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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】乗客コンベヤの遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20241101BHJP
   B66B 27/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B66B31/00 D
B66B27/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020097398
(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公開番号】P2021187660
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】林 正樹
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-043075(JP,A)
【文献】特開2011-256026(JP,A)
【文献】特開2008-001467(JP,A)
【文献】特開2019-018993(JP,A)
【文献】特開2016-055934(JP,A)
【文献】国際公開第2018/109822(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03566997(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室に出入りするための開口部の開閉を検出する開閉検出装置と、
乗客コンベヤが点検作業中であるか否かを判定する点検作業判定部と、
前記開閉検出装置の検出結果および前記点検作業判定部の判定結果に基づいて、運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替えるモード切替部と、
を備え、
前記点検作業判定部は、点検作業が行われる時間帯の情報が含まれる点検作業の工程情報に基づいて、前記乗客コンベヤが前記点検作業中であるか否かを判定するものであって、現在の時刻が、前記点検作業が行われる時間帯に含まれる場合に前記点検作業中であると判定し、現在の時刻が、前記点検作業が行われる時間帯に含まれない場合に前記点検作業中ではないと判定し、
前記モード切替部は、
前記点検作業中ではないと前記点検作業判定部が判定する場合であって、前記開口部が閉じられていることを前記開閉検出装置が検出する場合に、前記運転モードを前記監視モードにし、
前記開口部が開いていることを前記開閉検出装置が検出する場合に、前記運転モードを前記保守モードにし、
前記点検作業中であると前記点検作業判定部が判定する場合であって、前記開口部が閉じられていることを前記開閉検出装置が検出する場合に、前記運転モードを前記保守モードにする乗客コンベヤの遠隔監視システム。
【請求項2】
作業者によって操作されることによって点検時間が設定され、前記点検時間が設定された時から前記点検時間が経過したか否かを判定する設定時間経過判定部をさらに備え、
前記点検作業判定部は、前記設定時間経過判定部の判定結果に基づいて、前記乗客コンベヤが前記点検作業中であるか否かを判定する請求項1に記載の乗客コンベヤの遠隔監視システム。
【請求項3】
前記開閉検出装置は、
マンホールカバーによって前記開口部が閉じられている場合に前記マンホールカバーによって押されて、押されたことを検出するマンホールカバー検出スイッチと、
前記マンホールカバー検出スイッチの検出結果に基づいて、前記開口部の開閉を判定する開閉判定部と、
を有している請求項1または請求項2に記載の乗客コンベヤの遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗客コンベヤの遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エスカレーターの機械室における照度変化を検出する光センサと、光センサの検出結果に基づいて、監視装置の運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替えるモード切替部とを備えたエスカレーターの遠隔監視システムが知られている。エスカレーターの機械室は、エスカレーターのトラスに形成されている。また、トラスには、作業者が機械室に出入りするための開口部が形成されている。トラスには、開口部を開閉するマンホールカバーが着脱可能に設けられている。マンホールカバーがトラスから取り外されることによって開口部が開いた場合に、光センサが機械室における照度変化を検出し、モード切替部が運転モードを保守モードにする。マンホールカバーがトラスに取り付けられることによって開口部が閉じられた場合に、光センサが機械室における照度変化を検出し、モード切替部が運転モードを監視モードにする。これにより、運転モードの切り替えが自動的に行われる。運転モードが監視モードである場合であって、エスカレーターに異常が発生したことを異常検出装置が検出した場合に、エスカレーターに異常が発生したことを示す異常発生情報が監視センターに通報される。一方、運転モードが保守モードである場合であって、エスカレーターに異常が発生したことを異常検出装置が検出した場合に、異常発生情報が監視センターに通報されない。これにより、エスカレーターの点検作業が行われる場合に、異常発生情報が監視センターに通報されることを抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-043075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗客コンベヤの点検作業には、マンホールカバーが開口部を閉じている状態で行われる点検作業が含まれる場合がある。マンホールカバーが開口部を閉じている状態で点検作業が行われる場合には、運転モードが監視モードになり、異常発生情報が監視センターに通報される可能性があるという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、乗客コンベヤの点検作業が行われる場合に運転モードをより確実に保守モードにすることができる乗客コンベヤの遠隔監視システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乗客コンベヤの遠隔監視システムは、機械室に出入りするための開口部の開閉を検出する開閉検出装置と、乗客コンベヤが点検作業中であるか否かを判定する点検作業判定部と、開閉検出装置の検出結果および点検作業判定部の判定結果に基づいて、運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替えるモード切替部と、を備え、点検作業判定部は、点検作業が行われる時間帯の情報が含まれる点検作業の工程情報に基づいて、乗客コンベヤが点検作業中であるか否かを判定するものであって、現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれる場合に点検作業中であると判定し、現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれない場合に前記点検作業中ではないと判定し、モード切替部は、点検作業中ではないと点検作業判定部が判定する場合であって、開口部が閉じられていることを開閉検出装置が検出する場合に、運転モードを監視モードにし、開口部が開いていることを開閉検出装置が検出する場合に、運転モードを保守モードにし、点検作業中であると点検作業判定部が判定する場合であって、開口部が閉じられていることを開閉検出装置が検出する場合に、運転モードを保守モードにする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る乗客コンベヤの遠隔監視システムによれば、乗客コンベヤの点検作業が行われる場合に運転モードをより確実に保守モードにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示す模式図である。
図2図1の監視装置を示す拡大図である。
図3図1のトラスにおける上階側階床側の部分を示す拡大図である。
図4図1のエスカレーターの遠隔監視システムを示すブロック図である。
図5図1のエスカレーターの遠隔監視システムの動作を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示すブロック図である。
図7】実施の形態3に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示す模式図である。乗客コンベヤであるエスカレーターは、上階側階床101と下階側階床102とに渡って設けられたトラス1を備えている。トラス1における上階側階床101側の部分には、機械室である上部機械室103が形成されている。トラス1における下階側階床102側の部分には、機械室である下部機械室104が形成されている。
【0010】
上部機械室103の上側部分には、作業者が上部機械室103に出入りするための開口部105が形成されている。下部機械室104の上側部分には、作業者が下部機械室104に出入りするための開口部106が形成されている。エスカレーターは、開口部105を開閉するマンホールカバー107と、開口部106を開閉するマンホールカバー108と、をさらに備えている。マンホールカバー107およびマンホールカバー108のそれぞれは、トラス1に着脱可能に設けられている。
【0011】
作業者が上部機械室103に出入りする場合には、作業者がマンホールカバー107をトラス1から取り外す。これにより、開口部105が開く。上部機械室103における点検作業が終了した場合には、作業者がマンホールカバー107をトラス1に取り付ける。これにより、開口部105が閉じられる。
【0012】
作業者が下部機械室104に出入りする場合には、作業者がマンホールカバー108をトラス1から取り外す。これにより、開口部106が開く。下部機械室104における点検作業が終了した場合には、作業者がマンホールカバー108をトラス1に取り付ける。これにより、開口部106が閉じられる。
【0013】
エスカレーターは、上部機械室103に設けられた制御盤109をさらに備えている。制御盤109は、エスカレーターの運転を制御する。制御盤109は、エスカレーターの運転を制御するための信号である運転信号を出力する。エスカレーターは、図示しない複数の異常検出装置を備えている。複数の異常検出装置のそれぞれは、エスカレーターの異常を検出する。複数の異常検出装置のそれぞれは、それぞれの検出結果を出力する。異常検出装置としては、例えば、インレット安全装置、スカートガード安全装置および踏段異常走行検出装置が挙げられる。
【0014】
エスカレーターには、エスカレーターの遠隔監視システム2が設けられている。エスカレーターの遠隔監視システム2は、上部機械室103に設けられた監視装置201と、エスカレーターから離れて設けられた監視センター202と、を備えている。監視装置201には、制御盤109から出力された運転信号と、複数の異常検出装置のそれぞれから出力された複数の検出結果と、が入力される。
【0015】
監視装置201の運転モードは、監視モードと保守モードとの間で切り替えられるようになっている。監視装置201の運転モードが監視モードである場合であって、異常検出装置がエスカレーターの異常を検出した場合には、監視装置201は、監視センター202にエスカレーターに異常が発生したことを示す異常発生情報を通報する。一方、監視装置201の運転モードが保守モードである場合には、異常検出装置によるエスカレーターの異常の検出の有無に関わりなく、監視装置201から監視センター202への異常発生情報の通報が停止される。
【0016】
図2は、図1の監視装置201を示す拡大図である。エスカレーターの遠隔監視システム2は、FOB(FAULT ON BELL)スイッチ203と、タイマー204と、をさらに備えている。FOBスイッチ203およびタイマー204のそれぞれは、上部機械室103に配置されており、監視装置201に取り付けられている。なお、FOBスイッチ203およびタイマー204は、監視装置201に限らず、上部機械室103に設けられたその他の部材に取り付けられてもよい。
【0017】
FOBスイッチ203は、エスカレーターの点検作業を行う作業者によって操作される。FOBスイッチ203が操作されることによって、FOBスイッチ203の位置は、監視側と保守側との間で移動する。FOBスイッチ203は、監視装置201から監視センター202への異常発生情報の通報の停止を手動で操作するための発報停止スイッチである。FOBスイッチ203の位置を示す情報は、監視装置201に入力される。
【0018】
タイマー204は、作業者によって操作されることによって点検時間が設定される設定時間経過判定部である。タイマー204は、点検時間が設定された時から点検時間が経過したか否かを判定する。タイマー204の判定結果は、監視装置201に入力される。
【0019】
図3は、図1のトラス1における上階側階床101側の部分を示す拡大図である。エスカレーターの遠隔監視システム2は、トラス1における上階側階床101側の部分に設けられたマンホールカバー検出スイッチ205をさらに備えている。マンホールカバー検出スイッチ205は、マンホールカバー107によって開口部105が閉じられている場合にマンホールカバー107に押される。マンホールカバー検出スイッチ205は、マンホールカバー107によってマンホールカバー検出スイッチ205が押された場合に、押されたことを検出する。したがって、マンホールカバー検出スイッチ205は、マンホールカバー107がトラス1に取り付けられていることを検出する。マンホールカバー検出スイッチ205の検出結果は、監視装置201に入力される。
【0020】
図4は、図1のエスカレーターの遠隔監視システム2を示すブロック図である。エスカレーターの遠隔監視システム2の監視装置201は、トラス1の開口部105の開閉を判定する開閉判定部206をさらに備えている。開閉判定部206には、マンホールカバー検出スイッチ205の検出結果が入力される。開閉判定部206は、マンホールカバー検出スイッチ205の検出結果に基づいて、開口部105の開閉を判定する。マンホールカバー検出スイッチ205および開閉判定部206から、マンホールカバー107による開口部105の開閉を検出する開閉検出装置が構成されている。
【0021】
エスカレーターの遠隔監視システム2の監視装置201は、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する点検作業判定部207をさらに備えている。点検作業判定部207には、FOBスイッチ203の位置を示す情報およびタイマー204の判定結果が入力される。点検作業判定部207は、FOBスイッチ203の位置を示す情報を用いて、FOBスイッチ203の位置が監視側であるか否かを判定する。また、点検作業判定部207は、FOBスイッチ203の位置を示す情報およびタイマー204の判定結果に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、点検作業判定部207は、次のように、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。
【0022】
FOBスイッチ203の位置が監視側である場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、タイマー204に点検時間が設定された時から点検時間が経過していない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、タイマー204に点検時間が設定された時から点検時間が経過した場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。
【0023】
エスカレーターの遠隔監視システム2の監視装置201は、監視装置201の運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替えるモード切替部208をさらに備えている。モード切替部208には、開閉判定部206の判定結果と点検作業判定部207の判定結果とが入力される。モード切替部208は、開閉判定部206の判定結果および点検作業判定部207の判定結果に基づいて、監視装置201の運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替える。具体的には、モード切替部208は、次のように、監視装置201の運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替える。
【0024】
エスカレーターが点検作業中ではないと点検作業判定部207が判定する場合であって、マンホールカバー107によって開口部105が閉じられていると開閉判定部206が判定する場合には、モード切替部208は、運転モードを監視モードにする。マンホールカバー107によって開口部105が閉じられておらず、開口部105が開いていると開閉判定部206が判定する場合には、モード切替部208は、運転モードを保守モードにする。エスカレーターが点検作業中であると点検作業判定部207が判定する場合であって、マンホールカバー107によって開口部105が閉じられていると開閉判定部206が判定する場合には、モード切替部208は、運転モードを保守モードにする。
【0025】
次に、エスカレーターの遠隔監視システム2の監視装置201の動作について説明する。図5は、図1のエスカレーターの遠隔監視システム2の動作を示すフローチャートである。エスカレーターの通常運転時には、点検作業が行われず、かつ、開口部105が閉じられている。したがって、この場合には、ステップS101に示すように、監視装置201の運転モードは、監視モードになる。
【0026】
点検作業が行われる場合に、作業者はマンホールカバー107をトラス1から取り外す。これにより、開口部105が開く。ステップS101の後に、ステップS102において、開閉判定部206は、開口部105が開いたか否かを判定する。ステップS102において、開口部105が開いていないと開閉判定部206が判定した場合には、ステップS102の処理が繰り返される。
【0027】
ステップS102において、開口部105が開いていると開閉判定部206が判定した場合には、監視装置201の処理は、ステップS103に進む。ステップS103において、モード切替部208は、監視装置201の運転モードを、監視モードから保守モードに切り替える。
【0028】
その後、作業者が上部機械室103に入り、作業者がFOBスイッチ203の位置を監視側から保守側に移動させる。これにより、ステップS104に示すように、FOBスイッチ203の位置が保守側である情報が点検作業判定部207に入力される。また、作業者は、タイマー204に点検時間を設定する。これにより、ステップS105に示すように、タイマー204の判定結果が点検作業判定部207に入力される。タイマー204の判定結果の点検作業判定部207への入力は、継続して行われる。
【0029】
その後、作業者によって、エスカレーターの点検作業が開始される。エスカレーターの点検作業中において、エスカレーターの異常検出装置がエスカレーターの異常を検出した場合に、監視装置201の運転モードが保守モードになっていることによって、監視装置201から監視センター202への異常発生情報の通報が停止される。
【0030】
エスカレーターの点検作業には、マンホールカバー107によって開口部105が閉じられている状態で行われる点検作業が含まれる場合がある。ステップS106において、開閉判定部206は、開口部105が閉じられているか否かを判定する。ステップS106において、開口部105が閉じられていないと開閉判定部206が判定した場合には、ステップS106の処理が繰り返される。
【0031】
ステップS106において、開口部105が閉じられていると開閉判定部206が判定した場合には、監視装置201の処理は、ステップS107に進む。作業者が点検作業を終了する場合には、作業者は、FOBスイッチ203の位置を保守側から監視側に移動させる。ステップS107において、点検作業判定部207は、FOBスイッチ203の位置が監視側であるか否かを判定する。
【0032】
ステップS107において、FOBスイッチ203の位置が監視側であると点検作業判定部207が判定した場合には、監視装置201の処理は、ステップS108に進む。ステップS108において、モード切替部208は、監視装置201の運転モードを、保守モードから監視モードに切り替える。したがって、FOBスイッチ203の位置が監視側である場合には、点検時間が経過していない場合であっても、監視装置201の運転モードが、保守モードから監視モードに切り替えられる。
【0033】
ステップS107において、FOBスイッチ203の位置が監視側ではないと点検作業判定部207が判定した場合には、FOBスイッチ203の位置が保守側であり、監視装置201の処理は、ステップS109に進む。
【0034】
ステップS109において、点検作業判定部207は、タイマー204に点検時間が設定された時から点検時間が経過したか否かを判定する。ステップS109において、点検時間が経過していないと点検作業判定部207が判定した場合には、開口部105が閉じられた状態で作業者が点検作業を行っており、ステップS109の処理が繰り返される。
【0035】
ステップS109において、点検時間が経過したと点検作業判定部207が判定した場合には、ステップS108の処理に進む。これにより、モード切替部208は、監視装置201の運転モードを、保守モードから監視モードに切り替える。したがって、点検時間が経過している場合には、FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であっても、監視装置201の運転モードが、保守モードから監視モードに切り替えられる。これにより、作業者がFOBスイッチ203の位置を保守側から監視側に移動させずに、作業者が点検作業を終了した場合に、監視装置201の運転モードが保守モードのままとなることが抑制される。
【0036】
以上説明したように、実施の形態1に係るエスカレーターの遠隔監視システム2は、トラス1の開口部105の開閉を検出する開閉検出装置と、点検作業判定部207と、モード切替部208と、を備えている。点検作業判定部207は、点検作業中であるか否かを判定する。モード切替部208は、開閉検出装置の検出結果および点検作業判定部207の判定結果に基づいて、監視装置201の運転モードを監視モードと保守モードとの間で切り替える。
【0037】
具体的には、モード切替部208は、点検作業中ではないと点検作業判定部207が判定する場合であって、開口部105が閉じられていることを開閉検出装置が検出する場合に、監視装置201の運転モードを監視モードにする。また、モード切替部208は、開口部105が開いていることを開閉検出装置が検出する場合に、監視装置201の運転モードを保守モードにする。また、モード切替部208は、点検作業中であると点検作業判定部207が判定する場合であって、開口部105が閉じられていることを開閉検出装置が検出する場合に、監視装置201の運転モードを保守モードにする。この構成によれば、マンホールカバー107が開口部105を閉じている状態で点検作業が行われる場合には、運転モードが点検モードになる。その結果、エスカレーターの点検作業が行われる場合に運転モードをより確実に保守モードにすることができる。
【0038】
また、実施の形態1に係るエスカレーターの遠隔監視システム2は、作業者によって操作されることによって点検時間が設定され、点検時間が設定された時から点検時間が経過したか否かを判定するタイマー204をさらに備えている。点検作業判定部207は、タイマー204の判定結果に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。この構成によれば、点検作業終了後に作業者がFOBスイッチ203の位置を保守側から監視側に移動させなかった場合に、監視装置201の運転モードが保守モードのままとなることを抑制することができる。
【0039】
また、実施の形態1に係るエスカレーターの遠隔監視システム2では、開閉検出装置は、マンホールカバー検出スイッチ205と開閉判定部206とを有している。マンホールカバー検出スイッチ205は、マンホールカバー107によって開口部105が閉じられている場合にマンホールカバー107に押されて、押されたことを検出する。開閉判定部206は、マンホールカバー検出スイッチ205の検出結果に基づいて、開口部105の開閉を判定する。この構成によれば、作業者がマンホールカバー検出スイッチ205を押すことによって、開口部105がマンホールカバー107によって閉じられていると開閉判定部206が判定する。これにより、マンホールカバー107によって開口部105が実際に閉じられることなく、マンホールカバー107が開口部105を閉じている状態で行われる点検作業を作業者が行うことができる。
【0040】
なお、実施の形態1では、FOBスイッチ203を備えたエスカレーターの遠隔監視システム2について説明した。しかしながら、FOBスイッチ203を備えていないエスカレーターの遠隔監視システム2であってもよい。この場合、点検作業判定部207は、タイマー204の判定結果に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、タイマー204に点検時間が設定された時から点検時間が経過していない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。タイマー204に点検時間が設定された時から点検時間が経過した場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。
【0041】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示すブロック図である。実施の形態2に係るエスカレーターの遠隔監視システム2は、作業者によって操作されることによって点検時間が設定されるタイマーではなく、点検作業工程情報入力装置209を備えている点において、実施の形態1と異なる。
【0042】
点検作業工程情報入力装置209には、点検作業の工程情報が入力される。点検作業の工程情報には、点検作業が行われる時間帯の情報が含まれている。点検作業判定部207は、FOBスイッチ203の位置を示す情報および点検作業工程情報入力装置209に入力された点検作業の工程情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、点検作業判定部207は、次のように、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。
【0043】
FOBスイッチ203の位置が監視側である場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれる場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、実施の形態1と同様に、エスカレーターの遠隔監視システム2がタイマーを備えてもよい。
【0044】
以上説明したように、実施の形態2に係るエスカレーターの遠隔監視システム2では、点検作業判定部207は、点検作業の工程情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。これにより、実施の形態1と同様に、エスカレーターの点検作業が行われる場合に運転モードをより確実に保守モードにすることができる。
【0045】
なお、実施の形態2では、FOBスイッチ203を備えたエスカレーターの遠隔監視システム2について説明した。しかしながら、FOBスイッチ203を備えていないエスカレーターの遠隔監視システム2であってもよい。この場合、点検作業判定部207は、点検作業の工程情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれる場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。現在の時刻が、点検作業が行われる時間帯に含まれない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。
【0046】
実施の形態3.
図7は、実施の形態3に係るエスカレーターの遠隔監視システムを示すブロック図である。実施の形態3に係るエスカレーターの遠隔監視システム2は、作業者によって操作されることによって点検時間が設定されるタイマーではなく、作業者位置情報入力装置210を備えている点において、実施の形態1と異なる。
【0047】
作業者位置情報入力装置210には、作業者の位置情報が入力される。点検作業判定部207は、FOBスイッチ203の位置を示す情報および作業者位置情報入力装置210に入力された作業者の位置情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、点検作業判定部207は、次のように、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。
【0048】
FOBスイッチ203の位置が監視側である場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、作業者の位置が、エスカレーターが設置されている位置である場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。FOBスイッチ203の位置が保守側である場合であって、作業者の位置が、エスカレーターが設置されている位置ではない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。その他の構成は、実施の形態1と同様である。なお、実施の形態1と同様に、エスカレーターの遠隔監視システム2がタイマーを備えてもよく、また、実施の形態2と同様に、エスカレーターの遠隔監視システム2が点検作業工程情報入力装置を備えてもよい。
【0049】
以上説明したように、実施の形態3に係るエスカレーターの遠隔監視システム2では、点検作業判定部207は、作業者の位置情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。これにより、実施の形態1と同様に、エスカレーターの点検作業が行われる場合に運転モードをより確実に保守モードにすることができる。
【0050】
なお、実施の形態3では、FOBスイッチ203を備えたエスカレーターの遠隔監視システム2について説明した。しかしながら、FOBスイッチ203を備えていないエスカレーターの遠隔監視システム2であってもよい。この場合、点検作業判定部207は、作業者の位置情報に基づいて、エスカレーターが点検作業中であるか否かを判定する。具体的には、作業者の位置が、エスカレーターが設置されている位置である場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中であると判定する。作業者の位置が、エスカレーターが設置されている位置ではない場合には、点検作業判定部207は、エスカレーターが点検作業中ではないと判定する。
【0051】
また、各実施の形態では、乗客コンベヤの遠隔監視システムとしてエスカレーターの遠隔監視システム2を例に説明した。しかしながら、乗客コンベヤの遠隔監視システムは、動く歩道の遠隔監視システムであってもよい。
【0052】
また、各実施の形態では、通報先として監視センター202を例に説明した。しかしながら、通報先は、監視センター202に限らず、例えば、管理室であってもよい。
【0053】
また、各実施の形態では、上部機械室103に出入りするための開口部105の開閉を検出する開閉検出装置を備えた監視装置201について説明した。しかしながら、下部機械室104に出入りするための開口部106の開閉を検出する開閉検出装置を備えた監視装置201であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 トラス、2 エスカレーターの遠隔監視システム、101 上階側階床、102 下階側階床、103 上部機械室、104 下部機械室、105 開口部、106 開口部、107 マンホールカバー、108 マンホールカバー、109 制御盤、201 監視装置、202 監視センター、203 FOBスイッチ(発報停止スイッチ)、204 タイマー(設定時間経過判定部)、205 マンホールカバー検出スイッチ(開閉検出装置)、206 開閉判定部(開閉検出装置)、207 点検作業判定部、208 モード切替部、209 点検作業工程情報入力装置、210 作業者位置情報入力装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7