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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】組み合わせ型メークアップ化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20241101BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20241101BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20241101BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20241101BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20241101BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q1/00
A61K8/06
A61K8/73
A61Q1/02
A61K8/25
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020123315
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2021017448
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019134183
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】柿本 涼
(72)【発明者】
【氏名】井出 美紀
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-522982(JP,A)
【文献】特開2009-203212(JP,A)
【文献】特開2004-224709(JP,A)
【文献】特開2015-113326(JP,A)
【文献】特開2005-298385(JP,A)
【文献】特開2006-265180(JP,A)
【文献】特開2005-330262(JP,A)
【文献】特開2003-300831(JP,A)
【文献】国際公開第2018/078561(WO,A1)
【文献】特開2012-131733(JP,A)
【文献】特開2017-132741(JP,A)
【文献】特開2008-179628(JP,A)
【文献】特開2016-088935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/19
A61Q 1/00
A61K 8/06
A61K 8/73
A61Q 1/02
A61K 8/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の第1化粧料と第2化粧料を含み、第1化粧料と第2化粧料を質量比9:1~1:9で混合した場合の30℃における粘度が750~30,000mPa・sである組み合わせ型メークアップ化粧料。
第1化粧料:成分(a1)セラミド、ステロール類、糖類、アミノ酸類から選ばれる1種又は2種以上の処理剤で表面処理された粉体、成分(b1)界面活性剤を3質量%以下、及び成分(c1)油性増粘剤を含有し、30℃における粘度が500~10,000mPa・sの油中水乳化型化粧料であって、前記(a1)を全粉体中の30質量%以上含有し、光輝性粉体を含まない油中水乳化型化粧料
第2化粧料:成分(a2)疎水化処理された光輝性粉体を1~20質量%、成分(b2)界面活性剤を3.5~6質量%、及び成分(c2)油性増粘剤を含有し、30℃における粘度が10,000~30,000mPa・sである油中水乳化型化粧料
【請求項2】
前記第1化粧料と第2化粧料を含み、第1化粧料と第2化粧料を質量比4:1~1:4で混合した場合の30℃における粘度が10,000~30,000mPa・sである請求項1に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【請求項3】
前記成分(a1)の表面処理される粉体が金属酸化物である請求項1又2に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【請求項4】
前記成分(a2)がジメチルポリシロキサン処理光輝性粉体である請求項1~3のいずれか1項に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【請求項5】
前記成分(c2)が粘土鉱物である請求項1~4のいずれか1項に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【請求項6】
前記成分(c2)が有機変性粘土鉱物である請求項1~5のいずれか1項に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【請求項7】
前記成分(c1)がデキストリン脂肪酸エステルである請求項1~6のいずれか1項に記載の組み合わせ型メークアップ化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メークアップ化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料はカバー力や化粧持ちの良さからメークアップ化粧料、特にファンデーションや下地等のベースメイク化粧料で良く使われる。ベースメイク化粧料では、顔にツヤ感を付与し、肌のトーンを明るく魅せるために光輝性粉体を用いられることがある。光輝性粉体により、油剤だけでは演出することができない技巧的なツヤを、剤型に左右されることなく演出することが可能となる。光輝性粉体の安定化のためには、油性増粘剤を多く配合して化粧料の粘度をあげることで、流動性を低下させ光輝性粉体の沈降を防ぐ方法や、活性剤を多く配合し光輝性粉体の分散性を向上させ沈降を防ぐ方法が一般的であるが、これらの手法では、使用時ののびが悪くなり重い使用感となってしまうため、光輝性粉体の安定化と軽い使用感を両立することはとても困難である。
これまでに、なめらかな使用感を有し、塗布時ののびが軽く、粉末の分散安定性に優れた低粘度の油中水型乳化化粧料の技術(特許文献1)等も開発されているが、光輝性粉体が与えるツヤの効果について言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-108952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のとおり、光輝性粉体によるツヤ感と、伸び広がりがよい使用性を有し、ツヤ高いメークアップ化粧料を提供することは困難であった。すなわち本発明では、化粧料の塗布時の使用性に優れ光輝性粉体が安定に配合され、高いツヤ感を実感することができるメークアップ化粧料の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、このような事情に鑑み、ファンデーションや下地等の光輝性粉体を含むメークアップ化粧料において、光輝性粉体が沈降しない安定性と、さらに使用性に優れた品質を実現させるべく鋭意検討した結果、肌への親和性のある成分で処理された粉体を用いた油中水型化粧料の第1化粧料と、疎水化処理された光輝性粉体を含む油中水型化粧料の第2化粧料を、使用時に混合することで、光輝性粉体を配合することによる安定性と使用性についての課題が解決することを見出した。また、第1化粧料の粉体と、第2化粧料の光輝性粉体の配向性に差が生じることから、少量の光輝性粉体で効率的にパール感によるツヤを演出することが可能であることを見出し、混合時の量を調整することで使用者が希望するツヤを適宜得ることができ、混合の使用性、伸び広がりの使用性ともに優れるものである本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の第1化粧料と第2化粧料を含み、第1化粧料と第2化粧料を質量比9:1~1:9で混合した場合の30℃における粘度が750~30,000mPa・sである組み合わせ型メークアップ化粧料である。
第1化粧料:成分(a1)セラミド、ステロール類、糖類、アミノ酸類から選ばれるから選ばれる1種又は2種以上の処理剤で表面処理された粉体、成分(b1)界面活性剤を3質量%以下、及び成分(c1)油性増粘剤を含有し、30℃における粘度が500~10000mPa・sの油中水乳化型化粧料であって、前記(a1)を全粉体中の30質量%以上含有し、光輝性粉体を含まない油中水乳化型化粧料
第2化粧料:成分(a2)疎水化処理された光輝性粉体を1~20質量%、成分(b2)界面活性剤を1~10質量%、及び成分(c2)油性増粘剤を含有し、30℃における粘度が10000~30,000mPa・sである油中水乳化型化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、肌への親和性のある成分で処理された粉体を含有する第1化粧料と、疎水化処理された光輝性粉体を含有する第2化粧料とを使用時に混合することで、光輝性粉体が沈降せず使用性に優れる安定性と、伸び広がりの使用性に優れた化粧料を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味し、特に記載がない場合の「%」は質量%を指すものとする。
【0009】
本発明に用いられる成分(a1)はセラミド、ステロール類、糖類、アミノ酸類から選ばれる1種または2種以上の処理剤で表面処理された粉体である。これらの成分は肌への親和性に優れることが知られている。
(セラミド)
セラミドは、生体内の脂質またはそれに近しい構造、すなわち長鎖アルキル構造と親水基を持つという共通の性質を有する両親媒性物質である。通常化粧料に使用できる物であれば、天然抽出物でも合成物でもよく、具体的には、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン及びそれらの長鎖脂肪酸アミドであるセラミドEOP、セラミドNS、セラミドNG、セラミドNP、セラミドAP等の天然セラミド類、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンのリン脂質誘導体であるスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、それらの配糖体であるセレブロシドやガングリオシド等のスフィンゴ糖脂質及びフィトスフィンゴ糖脂質等を挙げることができる。中でも、天然セラミド類が好ましく、より好ましくはセラミドNGである。
【0010】
(ステロール類)
ステロール類は、構造中にステロール骨格を持つものであり、具体的には、ステロールコレステロール、フィトステロール(β-シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等)、ラノステロール等を挙げることができる。カルボン酸を有しており、肌との親和性が高いコレステロールが好ましく用いられる。
【0011】
(糖類)
糖類としては、通常化粧料に使用できる物であれば特に限定されない。具体的には、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、マルトース、シュークロース、ラクトース、乳糖、ショ糖、果糖、デンプン、デキストリン等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、多糖類を挙げることができる。好ましくは多糖であり、より好ましくはデキストリンが用いられる。
【0012】
(アミノ酸類)
アミノ酸類としては、通常化粧料に使用できる物であれば特に限定されない。具体的には、例えばグルタミン酸、トリプトファン、メチオニン、グリシルグリシン、アラニン、システイン、バリン、リジン、アルギニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、グリシン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グリシルグリシン、テアニン等およびこれらの塩、N-ラウロイルグルタミン酸、N-ラウロイルリシン、N-ミリストイルグルタミン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ステアロイルグルタミン酸2Na等のアミノ酸中のアミノ基の少なくとも一つが、アシル基によりアシル化されたN-アシルアミノ酸等を挙げることができる。中でも化粧料への分散性が高いアシル基によりアシル化されたN-アシルアミノ酸が好ましく、より好ましくはステアロイルグルタミン酸2Naが用いられる。
【0013】
成分(a1)は、上記セラミド、ステロール類、糖類、アミノ酸類から選ばれる1種または2種以上で処理されたものであるが、その処理量は、粉体に対して0.01~10%、さらには0.05~5%が好ましく、更に好ましくは0.1~3.5%である。
【0014】
成分(a1)において処理される粉体としては、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、ナイロンパウダー、アクリルパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N-アシルリジン、タール系顔料等の有機粉体類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。本発明のメークアップ化粧料のメークアップ効果の点において、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化鉄等の金属酸化物が好ましい。これらが肌親和性の高いセラミド、ステロール類、糖類、アミノ酸類で処理されることにより、肌上にカバー効果のある化粧膜を作ることができる。
【0015】
成分(a1)は、上述の処理剤及び粉体を用い通常公知の方法で処理して用いることができるが、市販品を用いることもできる。市販品としては、ラウロイウリジン処理のLL処理(大東化成工業社製)、ラウロイルアスパラギン酸Na処理のASI処理(大東化成工業社製)、ラウロイルグルタミン酸Na処理のASL処理(大東化成工業社製)、ステアロイルグルタミン酸2Na処理のNAI処理(三好化成社製)、パルミトイルプロリン、パルミトイルサルコシンNa、パルミトイルグルタミン酸Mg処理のLP処理(三好化成社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明における成分(a1)の含有量は、特に限定されないが、使用性とカバー効果の点において、第1化粧料中に0.1~30%が好ましく、より好ましくは1~20%であり、更に好ましくは2~15%である。
【0017】
本発明に用いられる成分(b1)界面活性剤は、通常化粧料に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。具体的には、ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POE脂肪酸エステル類、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類、プルロニック型類、POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、及び/又はポリグリセリン・アルキル共変性シリコーン、PEG-9ジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルポリグリセリル-3ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等の側鎖にポリエーテルまたポリグリセリンを有するシリコーンエラストマー等のシリコーン系界面活性剤等を挙げることができる。市販品としては、例えば、NIKKOL HEXAGLYN PR-15(HLB=3.2)、NIKKOL DECAGLYN PR-20(HLB=3.4)、コスモール182V(HLB=4.0、以上日光ケミカルズ社製)、コスモール82(HLB=5.0、日清オイリオ社製)、レオドールAO-15V(HLB=5.0、花王社製)、サンソフトNo.818R(HLB=3.0、太陽化学社製)、KF-6028、KF-6028P(HLB=4.0)、KF-6038(HLB=3.0)、KF-6015(HLB=4.5)、KF-6016(HLB=4.5)、KF-6017(HLB=4.5、以上信越化学工業社製)、SH3775M(HLB=5)、SS2910(HLB=4、以上東レ・ダウコーニング社製)、SILSOFT305(HLB=5~8)、SILSOFT805(HLB=5~8)、SILSOFT810(HLB=5~8、以上モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)などを挙げることができる。
【0018】
成分(b1)は、これらの例示を含め1種または2種以上を用いることができる。成分(b1)のHLBは2~6が好ましく、2.5~5が特に好ましい。なお、本発明で用いるHLB(親水性-親油性バランス;Hydrophile-Lypophile Balance)値はグリフィン法により得られる値のことである。また、成分(b1)の重量平均分子量は、特には限定されるものではないが、500~200,000が好ましく、さらに好ましくは1,000~10,000である。更に、付加される親水基としては、ポリオキシアルキレン鎖が好ましく、ポリオキシエチレン鎖が7~11であるポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。
【0019】
成分(b1)の含有量は第1化粧料中に3%以下であるが、安定性の点において、0.1%以上が好ましく、2.5%以下が好ましく、更に好ましくは2.0%以下である。
【0020】
本発明に用いられる成分(c1)は、油剤を増粘させるものであれば特に限定せずに用いることができる。具体的には、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイト、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの有機性粘土鉱物、フュームドシリカ(平均一次粒子径7 ~ 40 nm)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、イヌリンステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体から選ばれるゲル化剤が挙げられる。市販品としては、ベントン27、ベントン38(以上、ナショナルレッド社製)、AEROSIL 380、AEROSIL 972(以上、日本アエロジル社製)、アミノ酸系油ゲル化剤GP-1、アミノ酸系油ゲル化剤EB-21(以上、味の素社製)、レオパールKL、レオパールTT2、レオパールISK2(以上、千葉製粉社製)等が挙げられる。中でも、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0021】
成分(c1)の含有量は混合のしやすさの点において、第1化粧料中に0.1~5%が好ましく、より好ましくは0.2~3%である。
【0022】
本発明に用いられる成分(a2)は光輝性粉体を疎水化処理したものである。疎水化処理の処理剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、フッ素変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーンゲル等のシリコーン化合物、パーフルオロアルキルシラン、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ポリイソブチレン、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の油剤等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。中でもジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン化合物が好ましく、ジメチルポリシロキサンが特に好ましい。
【0023】
上記の処理剤で粉体を処理する方法は、通常公知の方法が用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。また、成分(a2)の処理剤による処理量は、その種類によっても異なるが、仕上がりの均一性や化粧持ちにおいて、疎水化処理粉体の0.5~7%が好ましく、1~5%がより好ましい。
【0024】
成分(a2)の疎水化処理される光輝性粉体は、通常化粧料に使用できる物であれば、特に限定されない。具体的には、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、有機顔料処理雲母チタン、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆合成金雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、魚鱗箔、二酸化チタン被覆ガラス末等のガラス末、酸化チタン被覆合成金雲母、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の樹脂積層末等の光輝性顔料、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。本発明に用いられる光輝性粉体の平均粒径は、0.1~30μmが好ましく、5~20μmがより好ましい。この範囲であれば、塗布膜の均一性と、ツヤの付与の点で好ましい。
【0025】
成分(a2)の含有量はツヤの点において、第2化粧料中に1~20%であるが、好ましくは2~15%であり、更に好ましくは3~12%である。
【0026】
本発明に用いられる成分(b2)界面活性剤は、前記成分(b1)と同じものを用いることができる。
【0027】
成分(b2)の含有量は第2化粧料中に1~10%であるが、製剤の安定性と安全性の点において、好ましくは2~8%、更に好ましくは3.5~6%である。
【0028】
本発明に用いられる成分(c2)は、前記成分(c1)と同じものを用いることができ、中でも粘土鉱物が好ましく、さらにはジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイト、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイト、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの有機性粘土鉱物が好ましく用いられる。
【0029】
成分(c2)の含有量は混合のしやすさの点において、第2化粧料中に0.01~10%が好ましく、更に好ましくは0.1~5%である。
【0030】
本発明の第1化粧料及び第2化粧料は、前記の必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、油性成分、粉体、水性成分、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、色素、香料等の通常公知の成分を含有することができる。
【0031】
油性成分としては、通常化粧料に使用できる物であれば特に限定されず、用いることができる。例えば、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、キャンデリラロウ等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジステアリル等のエステル類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油類等が挙げられる。
【0032】
粉体としては、通常化粧料に使用できる物であれば球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等、無機粉体類、光輝性粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等を特に限定されず用いることができる。具体的には、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、シリカ等の無機粉体、ポリアミド末、ポリエチレン末、ポリプロピレン末、ポリスチレン末、ポリウレタン末、ポリメチルメタクリレート末、セルロース末、ナイロン末、シリコーン末、ラウロイルリジン等の有機粉体等をあげることができる。
【0033】
水性成分としては、水及び水に可能なものであれば特に限定されず、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール等の多価アルコール、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や樹脂等の粘液質等を挙げることができる。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤、例えば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等を挙げることができる。
【0035】
本発明の組み合わせ型メークアップ化粧料の第1化粧料と第2化粧料は、いずれも油中水型化粧料であり、水を10~50%含有するものが使用性や、感触において好ましく、油性成分を15~80%含有するものが好ましい。また、油性成分中に揮発性油を含有すると化粧持ちの点で好ましい。揮発性油は常温で揮発性を有する油剤をいい、低沸点(常圧での沸点が260℃以下)のイソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油や、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン等の環状シリコーン、重合度2~6のジメチルポリシロキサン等のシリコーン油等を挙げることができる。
【0036】
本発明の組み合わせ型メークアップ化粧料は、第1化粧料と第2化粧料を、それぞれ公知の方法で調整し、それぞれの容器に充填し、使用時に適量を手のひら、皿等で混合して用いることができる。第1化粧料と第2化粧料の混合比率は、使用する目的によって、適宜調整して用いることができる。なお、これらの第1化粧料と第2化粧料は用途に応じ、それぞれを単独に使用することも可能である。
【0037】
本発明の組み合わせ型メークアップ化粧料の第2化粧料の30℃における粘度は、10,000~30,000mPa・sである。この範囲であると、成分(a2)が、化粧料中で沈降することなく安定であるため、使用時に光輝性粉体の取れ方が一定となり、好みのツヤ感を調整しやすいものが得られる。一方、第1化粧料の30℃における粘度は、500~10,000mPa・sである。この範囲であると、第2化粧料と適宜の混合比率において混合しやすい。さらに、これらの範囲であると、第1化粧料と第2化粧料を単独に使用する場合においても使用しやすい。
さらに、本発明の組み合わせ型メークアップ化粧料は、第1化粧料と第2化粧料を質量比9:1~1:9で混合した混合物の30℃における粘度は、750~30,000mPa・sである。この範囲であると、手のひら等での混合の際の使用性に優れ、使用時にたれ落ち等の心配がなく、塗布時の伸び広がりの使用性も良好である。また第1化粧料と第2化粧料を質量比4:1~1:4で混合した場合の30℃における粘度10,000~30,000mPa・sであると、使用性の点においてさらに好ましい。
【0038】
本発明の粘度は、試料を30℃恒温槽にて1日保管した後、B型粘度計でローターNo.4を用いて測定した値である。
【0039】
本発明の第1化粧料は、光輝性粉体を含まないものである。第1化粧料に光輝性粉体を含まないと、組み合わせて使用する場合のツヤ感のコントロールが容易である。第2化粧料のは、第1化粧料に用いられる成分(a1)を含む場合5%以下であることが好ましく、更には1%未満であると、組み合わせて使用する場合のツヤ感のコントロールが容易である。
【0040】
本発明の第1化粧料と第2化粧料の製造方法は、特に限定されず常法により調製することができる。例えば、第1化粧料については、成分(a1)を含む粉体を、(b1)及び(c1)を含む油剤に必要に応じて加熱溶解した後、均一に分散し、水性成分を添加混合し乳化することにより調整することができる。また第2化粧料については、成分(a2)を含む粉体を、(b2)と(c2)を含む油剤に必要に応じて加熱溶解した後、均一に分散し、水性成分を添加混合し乳化することにより調整することができる。
【0041】
本発明の組み合わせ型メークアップ化粧料は、特に限定されないが、下地、ファンデーション、頬紅、アイカラー等のメークアップ化粧料に適用可能である。中でも、伸び広がりの良い使用性を有することから全顔に使用する下地やファンデーションに好適に用いることができる。また、その使用方法は、手や指、パフやスポンジ等の小道具で使用する方法が挙げられる。
【実施例
【0042】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0043】
実施品1~12及び比較品1~6:組み合わせ化粧料
表1及び2に示す組成の化粧料を、表3に示す割合で手のひらにとり、指で混合した後、顔に塗布し、下記評価方法により、混合時の混ぜやすさ、使用性の良さ、カバー効果、パール感を評価し、結果を表3に記載した。
【0044】
(第1化粧料:ファンデーション)
【0045】
【表1】
【0046】
(製造方法)
A.成分(1)~(12)を均一に分散する。
B.成分(18)~(19)を均一に分散する。
C.成分(13)~(17)を必要に応じて80℃に加温しながら均一に溶解後、室温まで冷却し、A、B、及び成分(20)~(25)を加え混合する。
D.成分(26)~(32)を均一に分散する。
E.CにDを室温で添加し、均一に攪拌し乳化して、ファンデーションを得た。
【0047】
(第2化粧料:下地)
【0048】
【表2】
【0049】
(製造方法)
A.成分(1)~(8)を均一に分散する。
B.成分(18)~(21)を必要に応じて80℃に加温しながら均一に溶解後、均一に分散する。
C.成分(9)~(17)、A、B、成分(22)を均一に混合する。
D.成分(23)~(27)を均一に混合する。
E.CにDを室温で添加し、均一に攪拌し乳化して、下地化粧料を得た。
【0050】
(混合使用)
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
(評価方法)
表3及び4+の実施品・比較品を顔に塗布した時の、第1剤化粧料と第2剤化粧料の混合時の混ぜやすさ、顔に塗布した時の塗り具合、化粧膜の仕上がり具合を目視で判定した。評価は専門パネル5名で下記の評価基準にて評価した。比較品1~4については、混ぜ合わせてから塗布するのではなく、第2剤化粧料を塗布した後、第1剤化粧料を重ねて塗布した。
[評価基準]
<混合時の混ぜやすさ>
5: とても混合しやすい
4: 混合しやすい
3: どちらとも言えない
2: 混合しにくい
1: とても混合しにくい

<使用性の良さ>
5: とても使用しやすい
4: 使用しやすい
3: どちらとも言えない
2: 使用しにくい
1: とても使用しにくい

<カバー効果>
5: とてもカバー効果を感じる
4: カバー効果を感じる
3: どちらとも言えない
2: カバー効果を感じない
1: まったくカバー効果を感じない

<パール感>
5: とてもパール感を感じる
4: パール感を感じる
3: どちらとも言えない
2: パール感を感じない
1: まったくパール感を感じない
【0054】
表1~4の結果から明らかなように、実施品1~12のメークアップ化粧料は第1化粧料および第2化粧料を容易に混ぜ合わせることが可能であり、塗布した際に使用性が良く、高いカバー効果、高いパール感を実感することが可能であった。
一方、第1化粧料と第2化粧料を混合せずに重ね塗りした比較例1~4は、混ぜ合わせて使用する場合と比較して簡便性も低下することから、使用性の項目で良好な結果は得られなかった。さらにカバー効果とパール感についても、第2化粧料の上に第1化粧料を重ね塗りすることから、第1剤化粧料に起因する効果であるカバー効果は実感できるものの、第2化粧料に起因するパール感について良好な結果が得られなかった。第1化粧料と第2化粧料の混合比率が極端に偏る比較例5~6については少ない比率の剤型の効果が実感しにくく、良好な結果は得られなかった。光輝性粉体が疎水化処理されていない比較品、光輝性粉体の量が少ない比較品、多い比較品はそれぞれ望ましいパール感が得られなかった。比較品11は混ぜやすさや、使用性が良好ではなく、比較品15はカバー効果が得られず十分なパール感を得ることができなかった。
尚、第1化粧料と第2化粧料はそれぞれメークアップ化粧料として単体での使用が可能なものであった。
【0055】
実施品13:組み合わせ化粧料
(第化粧料:BBクリーム)
下記に示す組成及び製造方法で、BBクリームを調製した。
(組成) (%)
(1)3%ステアロイルグルタミン酸2Na処理酸化チタン 10.5
(2)赤酸化チタン 0.4
(3)黄酸化チタン 1.9
(4)黒酸化チタン 0.23
(5)シリカ 0.2
(6)酸化チタン 4.2
(7)ラウリルポリグリセリル-3
ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.3
(8)PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 0.9
(9)セラミド 0.02
(10)パルミチン酸デキストリン 0.1
(11)ジメチコン 1.0
(12)ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 5.0
(13)シクロメチコン 20.0
(14)ジステアルジモニウムヘクトライト 1.2
(15)ジプロピレングリコール 0.6
(16)イソノナン酸イソトリデシル 2.0
(17)精製水 残量
(18)エタノール 6.0
(19)塩化ナトリム 0.1
(20)グリセリン 1.2
【0056】
(製造方法)
A.成分(1)~(12)を必要に応じて80℃に加温して均一に分散する。
B.成分(13)~(16)とAを均一に混合する。
C.成分(17)~(20)を均一に混合する。
D.BにCを室温で添加し、均一に攪拌し乳化して、BBクリームを得た。
【0057】
以上のようにして得られたBBクリームを第化粧料として、表に記載の第2化粧1を1:3の比率で混ぜ合わせて、使用すると、容易に混ぜ合わせることが可能であり、塗布した際に使用性が良く、高いカバー効果、高いパール感を実感するものであった。さらに局所的な使用においても使用性が高く、顔の立体感を引き出すことに優れていた。