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特許7580220排出ポートを備えた外科用器具および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】排出ポートを備えた外科用器具および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020132849
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2021041148
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】16/564,900
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ バリル
(72)【発明者】
【氏名】ロイ ピレティア
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ディニーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン トーマス
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0086815(US,A1)
【文献】特開2019-097962(JP,A)
【文献】特開2016-214553(JP,A)
【文献】米国特許第05683359(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0336634(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0059988(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0105789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具であって、
ハンドルアセンブリと、
前記ハンドルアセンブリから遠位に延在する細長いシャフトであって、外壁を含む細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位部分に結合されているエンドエフェクタと、
吸引装置と流体連通するように構成されている排出ポートであって、前記排出ポートの遠位部分は、内側リングと外側リングとを含み、前記内側リングは、前記細長いシャフトの前記外壁内に配置されており、前記内側リングおよび前記外側リングは、前記内側リングと前記外側リングとの間に環状空間を規定し、前記環状空間は、前記排出ポートの近位端と流体連通する、排出ポートと
を含む外科用器具。
【請求項2】
前記排出ポートの一部は、前記ハンドルアセンブリの開口部を通って延在する、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項3】
前記内側リングは、前記外側リング内に同心円状に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項4】
前記排出ポートの前記遠位部分は、前記内側リングおよび前記外側リングを相互接続する近位壁を含む、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項5】
前記外科用器具は、駆動シャフトを含み、前記細長いシャフトに対する前記駆動シャフトの長手方向の動きが、前記エンドエフェクタの第2のジョー部材に対する前記エンドエフェクタの第1のジョー部材の動きを引き起こし、前記排出ポートの前記内側リングは、前記駆動シャフトの半径方向外側に配置されている、請求項1に記載の外科用器具。
【請求項6】
前記排出ポートは、前記エンドエフェクタの第1のジョー部材と第2のジョー部材との間の開口部と流体連通する、請求項1に記載の外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、外科用器具および方法に関する。より具体的には、本開示は、排出ポートを備えた外科用器具、および排出ポートが外科用器具の遠位部分と流体連通している手術部位から煙を排出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
エネルギーベースの組織治療のための外科用器具および方法は、機械的クランプ作用およびエネルギー、例えば、電気外科エネルギー、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギーなどの適用を利用して、組織を加熱して凝固、焼灼、および/または組織を封止することによって、止血に影響を与える。非血管組織、小血管、例えば直径が約2ミリメートル未満の血管、および小血管を含む組織で止血を達成するには、凝固で十分であることがある。より大きな血管、例えば直径が約2ミリメートルを超える血管、およびより大きな血管を含む組織に関して、止血を達成するには凝固が十分ではないことがあり、代わりに、これらのより大きな血管およびこれを含む組織は、組織のコラーゲンが加熱され、変性され、融合塊に再形成されて血管(複数可)を永久的に閉鎖するプロセスで封止される必要があり得る。例えば、凝固(より小さな血管の場合)または封止(より大きな血管の場合)を介して止血が達成されると、組織を(機械的、電気的、または電気機械的)切断して組織を分割してもよい。
【0003】
これらの方法または他の方法によって組織を加熱するときに、手術部位またはその近くで煙が形成されることがある。例えば、視覚化を助けるために、この煙を排出することはしばしば役に立つ。
【0004】
現在、外科医は、トロカールまたは他の外科用アクセス装置のポートを利用して、手術部位から煙を排出し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ハンドルアセンブリ、細長いシャフト、エンドエフェクタ、および排出ポートを含む外科用器具に関する。細長いシャフトが、ハンドルアセンブリから遠位に延在し、外壁を含む。エンドエフェクタが、細長いシャフトの遠位部分に連結されている。排出ポートが、吸引装置と流体連通するように構成されている。排出ポートの一部は、細長いシャフトの外壁内に配置されている。
【0006】
開示される実施形態では、排出ポートの一部が、ハンドルアセンブリの開口部を通って延在してもよい。
【0007】
細長いシャフトの外壁内に配置されている排出ポートの一部が、排出ポートの遠位部分であり得ることも開示される。実施形態では、排出ポートの遠位部分は、内側リングおよび外側リングを含み得る。内側リングが、外側リング内に同心円状に配置され得ることが開示される。実施形態では、排出ポートの遠位部分が、内側リングと外側リングを相互接続する近位壁を含み得る。さらなる実施形態では、内側リングおよび外側リングは、それらの間に環状空間を規定してもよく、環状空間は、排出ポートの近位端と流体連通する。実施形態では、細長いシャフトに対する外科用器具の駆動シャフトの長手方向の動きは、エンドエフェクタの第2のジョー部材に対するエンドエフェクタの第1のジョー部材の動きを引き起こしてもよく、排出ポートの内側リングは、駆動シャフトの半径方向外側に配置されている。
【0008】
排出ポートが、エンドエフェクタの第1のジョー部材と第2のジョー部材との間の開口部と流体連通し得ることがさらに開示される。
【0009】
本開示はまた、手術部位から気体を排出する方法に関する。この方法は、組織を封止するように構成されている外科用器具の遠位部分を通して気体を吸引することと、外科用器具の細長いシャフトを気体が通過するようにすることと、外科用器具のハンドルアセンブリの開口部を通って延在する排出ポートを気体が通過するようにすることと、を含む。
【0010】
方法の開示される実施形態では、組織を封止するように構成されている外科用器具の遠位部分を通して気体を吸引することは、外科用器具のジョー部材の間で近位に気体を通過させることを含み得る。
【0011】
この方法は、外科用器具の細長いシャフトの外壁内に配置された排出ポートの遠位部分を通して気体を吸引することを含み得ることがさらに開示される。
【0012】
開示される実施形態では、方法は、排出ポートの内側リングと外側リングとの間で気体を吸引することを含み得る。実施形態では、この方法はまた、排出ポートの内側リングと外側リングとの間の環状空間を通して、および排出ポートの近位端を通して気体を吸引することも含み得る。
【0013】
この方法は、外科用器具の細長いシャフトの内壁と外科用器具の駆動シャフトの外壁との間で気体を吸引することを含み得ることも開示される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用器具であって、
ハンドルアセンブリと、
上記ハンドルアセンブリから遠位に延在し、外壁を含む細長いシャフトと、
上記細長いシャフトの遠位部分に連結されているエンドエフェクタと、
吸引装置と流体連通するように構成されている排出ポートであって、上記排出ポートの一部が上記細長いシャフトの上記外壁内に配置されている、排出ポートと
を含む、外科用器具。
(項目2)
上記排出ポートの一部は、上記ハンドルアセンブリの開口部を通って延在する、上記項目に記載の外科用器具。
(項目3)
上記細長いシャフトの上記外壁内に配置されている上記排出ポートの上記一部が、上記排出ポートの遠位部分である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目4)
上記排出ポートの上記遠位部分は、内側リングおよび外側リングを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目5)
上記内側リングが、上記外側リング内に同心円状に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目6)
上記排出ポートの上記遠位部分は、上記内側リングおよび上記外側リングを相互接続する近位壁を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目7)
上記内側リングおよび上記外側リングが、それらの間に環状空間を規定し、上記環状空間が、上記排出ポートの近位端と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目8)
上記外科用器具が駆動シャフトを含み、上記細長いシャフトに対する上記駆動シャフトの長手方向の動きが、上記エンドエフェクタの第2のジョー部材に対する上記エンドエフェクタの第1のジョー部材の動きを引き起こし、上記排出ポートの上記内側リングが、上記駆動シャフトの半径方向外側に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目9)
上記排出ポートが、上記エンドエフェクタの第1のジョー部材と第2のジョー部材との間の開口部と流体連通する、上記項目のいずれか一項に記載の外科用器具。
(項目10)
手術部位から気体を排出するために、吸引装置および外科用器具を備えるシステムを動作させる方法であって、
上記吸引装置が、組織を封止するように構成されている上記外科用器具の遠位部分を通して気体を吸引することと、
上記吸引装置が、上記外科用器具の細長いシャフトを上記気体が通過するようにすることと、
上記吸引装置が、上記外科用器具のハンドルアセンブリの開口部を通って延在する排出ポートを上記気体が通過するようにすることと
を含む、方法。
(項目11)
組織を封止するように構成されている外科用器具の遠位部分を通して気体を吸引することが、上記外科用器具のジョー部材の間で近位に上記気体を通過させることを含む、上記項目に記載の方法。
(項目12)
上記吸引装置が、上記外科用器具の上記細長いシャフトの外壁内に配置されている上記排出ポートの遠位部分を通して気体を吸引することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
上記吸引装置が、上記排出ポートの内側リングと外側リングとの間で気体を吸引することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
上記吸引装置が、上記排出ポートの上記内側リングと上記外側リングとの間の環状空間を通して、および上記排出ポートの近位端を通して気体を吸引することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
上記吸引装置が、上記外科用器具の上記細長いシャフトの内壁と上記外科用器具の駆動シャフトの外壁との間で気体を吸引することをさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(摘要)
外科用器具は、ハンドルアセンブリ、細長いシャフト、エンドエフェクタ、および排出ポートを含む。細長いシャフトは、ハンドルアセンブリから遠位に延在し、外壁を含む。エンドエフェクタは、細長いシャフトの遠位部分に連結されている。排出ポートは、吸引装置と流体連通するように構成されている。排出ポートの一部は、細長いシャフトの外壁内に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する図面を参照して、本開示の様々な態様および特徴を本明細書で説明し、図面は、上記の開示の一般的な説明、および下記の実施形態の詳細な説明と共に、開示の原理を説明する働きをする。
【0015】
図1】本開示に従って、係合した排出ポートを含む外科用器具の斜視図である。
図2図1の外科用器具のハンドルアセンブリと係合した排出ポートの斜視図および部分切り取り図である。
図3図1および図2の排出ポートの斜視図である。
図4図3の切断線4-4に沿って取られた排出ポートの断面図である。
図5図2の切断線5-5に沿って取られた外科用器具のハンドルアセンブリおよび排出ポートの断面図である。
図6図5に描かれた細部の領域の拡大図である。
図7図6の切断線7-7に沿って取られた外科用器具および排出ポートの断面図である。
図8図1の外科用器具の遠位部分の斜視図である。
図9図8の切断線9-9に沿って取られた外科用器具の遠位部分の断面図である。
図10図9の切断線10-10に沿って取られた外科用器具の遠位部分の断面図である。
図11】本開示に従って提供される外科用システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
外科処置中に煙または他の流体もしくは気体を除去または排出するための本開示の外科用器具および方法の実施形態が、図面を参照して詳細に説明され、同様の数字は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。当該技術分野で一般的であるように、「近位」という用語は、ユーザまたはオペレータ、例えば、外科医または臨床医により近い部分または構成要素を指し、「遠位」という用語は、ユーザからより遠く離れた部分または構成要素を指す。
【0017】
図1参照すると、本開示に従って提供される外科用器具は、概して参照符号10によって識別されて示されている。外科用器具10は、ハンドルアセンブリ20と、細長いシャフト60と、エンドエフェクタアセンブリ100と、を含む。ハンドルアセンブリ20は、ハウジング30と、可動ハンドル40と、トリガ50と、含む。細長いシャフト60は、ハンドルアセンブリ20から遠位に延在し、長手方向軸A-Aを規定する。駆動バー70(図5図7図9および図10を参照)は、細長いシャフト60を通って少なくとも部分的に延在し、可動ハンドル40およびエンドエフェクタ100と機械的に協働する。回転ノブ80は、ハンドルアセンブリ20と細長いシャフト60との間に配置されており、ハンドルアセンブリ20のハウジング30に対して長手方向軸A-Aの周りに細長いシャフト60およびエンドエフェクタアセンブリ100の回転を与えるように構成されている。エンドエフェクタアセンブリ100は、細長いシャフト60から遠位に延在し、第1のジョー部材110と、第2のジョー部材120と、を含む。
【0018】
可動ハンドル40(例えば、ハウジング30に対する可動ハンドル40の枢動)の作動は、細長いシャフト60に対する駆動バー70の長手方向の動きを引き起こし、これにより、第1のジョー部材110が第2のジョー部材120に向かって動き(例えば、枢動)、それらの間で組織を把持するようにする。図6に示すように、例えば、駆動バー70は、細長いシャフト60の駆動シャフト64の管腔内を移動する。トリガ50の作動により、ジョー部材110とジョー部材120との間の組織にエネルギーが加えられ、例えば、組織を封止、凝固、焼灼、または別様に融着するようにする。コード55は、ハンドルアセンブリ20から延在し、電気外科エネルギー「EE」の供給源と係合して、エネルギー、例えば、電気外科エネルギー、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、光エネルギーなどを提供する。
【0019】
排出ポート200は、外科用器具10と機械的に協働して配置され、外科処置の前、最中、または後に、手術部位からの煙または他の流体(例えば、気体または液体)を除去または排出するように構成されている。より具体的には、排出ポート200は、管状部分210と、コネクタ220と、を含む。管状部分210の第1の部分212は、吸引または排出装置「SD」に接続するように構成されている。管状部分210の第2の部分214は、コネクタ220の近位部分230(図2)に接続するように構成されている。
【0020】
電気外科エネルギーを供給するコード55は、排出ポート200に吸引を提供するコードと同じであることが想定される。ここで、単一のコードは、アクティブチャネル、戻りチャネル、および空気排出管腔を含み得る。
【0021】
図3および図4を特に参照すると、コネクタ220は、近位部分230と、中間部分240と、遠位部分250と、を含む。図4に示されるように、近位部分230、中間部分240、および遠位部分250はすべて、それらを通る通路を規定し、流体または気体の通過を可能にする。コネクタ220の近位部分230は、排出ポート200の管状部分210の第2の部分214に(例えば、取り外し可能に)取り付けられており、コネクタ220の遠位部分250は、外科用器具10と係合可能であり、コネクタの中間部分240は、近位部分230および遠位部分250と相互接続する。
【0022】
ここで図2および図5図7を参照すると、排出ポート200と外科用器具10との間の係合が示されている。コネクタ220の近位部分230は、ハンドルアセンブリ20の開口部22を通って延在する。排出ポート200のコネクタ220の遠位部分250は、外科用器具10の細長いシャフト60の近位端62と係合している。
【0023】
より具体的には、コネクタ220の遠位部分250の外側リング252は、(回転ノブ80内の半径方向にある位置で)外科用器具10の細長いシャフト60の近位端62の外径を半径方向に囲んでいる。実施形態では、コネクタ220の遠位部分250の外側リング252の内径は、例えば、超音波溶接を介して、またはそれらの間のOリングを使用して、例えば、摩擦嵌合物質において、細長いシャフト60の外径を封止係合する。
【0024】
図2および図5図7を引き続き参照すると、コネクタ220の遠位部分250の内側リング254は、外科用器具10の細長いシャフト60内に配置されており、細長いシャフト60の駆動シャフト64を半径方向に囲んでいる。実施形態では、コネクタ220の遠位部分250の内側リング254の内径は、例えば、超音波溶接を介して、またはそれらの間のOリングを使用して、例えば、摩擦嵌合物質において、駆動シャフト64の外径を封止係合する。コネクタ220の遠位部分250はまた、外側リング252と内側リング254を相互接続する近位壁256を含む。加えて、図4を特に参照すると、コネクタ220の遠位部分250の外側リング252と内側リング254との間の空間は、コネクタ220の中間部分240の通路242と流体連通しており、通路242は、コネクタ220の近位部分230の通路234と流体連通している。
【0025】
図6および図7を特に参照すると、コネクタ220の遠位部分250が外科用器具10と係合している、流体(例えば、液体、煙、または気体)の排出経路「EP」が示されている。例えば、外科用器具10の細長いシャフト60内の様々な構成要素間の空間は、流体および気体が流れることができる通路を形成する。特に、細長いシャフト60の内壁61と内側リング254の外壁255との間の空間は、排出経路「EP」の一部を規定する。
【0026】
ここで図8図10を参照すると、排出経路「EP」の他の部分が示されている。ここで、外科用器具10内の、排出ポート200の遠位に位置する排出経路「EP」が示されている。概して、この遠位排出経路「EP」は、外科用器具10の細長いシャフト60内の様々な構成要素間に規定される。例えば、細長いシャフト60の内壁61と駆動バー70の外壁71との間の空間は、遠位排出経路「EP」の一部を規定する(図9を参照)。加えて、細長いシャフト60の壁内の任意の開口部(例えば、図8の開口部67および68)ならびにジョー部材110とジョー部材120との間の開口部69は、開口部67、68、69として遠位排出経路「EP」の一部であり、流体(例えば、液体、煙、または気体)が、外科用器具10の外部に位置する領域から細長いシャフト60に入るのを可能にする。
【0027】
使用時に、外科処置が手術部位で行われるときに、例えば、組織を封止した結果として手術部位でまたはその近くで生成される煙は、開口部67、68、69を通って手術部位から排出され得る。開口部67、68、69は、残りの排出経路「EP」と流体連通しているため、煙は、吸引装置「SD」によって提供される圧力および/または吸引に応答して、排出経路「EP」を通って近位に動かされる。排出経路「EP」の遠位部分は、手術部位またはその近く(例えば、ジョー部材110とジョー部材120との間)に位置するため、外科処置中に(例えば、ジョー部材110とジョー部材120との間)生成される煙が手術部位から迅速に除去され、それによって、例えば、手術部位での視認性を高める。
【0028】
外科用器具10のような外科用器具および本明細書で説明する排出ポート200はまた、ロボット手術システムおよび一般に「遠隔手術」と称されるものとともに動作するように構成され得る。そのようなシステムは、外科医を支援し、外科用器具の遠隔操作(または部分遠隔操作)を可能にする様々なロボット要素を使用する。様々なロボットアーム、歯車、カム、滑車、電気モータおよび機械モータなどをこの目的のために使用することができ、手術または治療の過程で外科医を補助するようにロボット外科手術システムにより設計することができる。そのようなロボットシステムは、遠隔操縦可能システム、自動フレキシブル外科手術システム、遠隔フレキシブル外科手術システム、遠隔関節運動外科手術システム、無線外科手術システム、モジュール式または選択的に構成可能な遠隔動作式外科手術システムなどを含むことができる。
【0029】
ロボット外科用システムは、手術室に隣接するか、または遠隔場所に位置する1つ以上のコンソールとともに用いられることができる。この場合、外科医または看護師の1つのチームが外科手術のために患者を準備し得、かつ別の外科医(または外科医のグループ)がロボット外科用システムを介して器具を遠隔的に制御しながら、本明細書で開示される器具のうちの1つ以上を用いてロボット外科用システムを構成することができる。理解され得るように、高度に熟練した外科医は、自身の遠隔コンソールを離れずに複数の場所で複数の動作を行うことができ、これは、経済的に有利であり得、患者または一連の患者にとって有益であり得る。
【0030】
外科用システムのロボットアームは、典型的には、コントローラによって一対のマスターハンドルに連結される。ハンドルは、本明細書で説明される実施形態のうちの1つ以上の使用を保管し得る、任意の種類の外科用器具(例えば、エンドエフェクタ、把持器、ナイフ、はさみなど)の作業端の対応する移動を生成するように外科医によって移動され得る。マスターハンドルの移動は、作業端部が、外科医の動作手によって行われる移動とは異なるか、より小さいか、またはより大きい対応する移動を有するように、スケーリングされ得る。スケール因子またはギア比は、動作者が外科用器具(複数可)の作業端の分解能を制御できるように調節可能であり得る。
【0031】
マスターハンドルは、様々な組織パラメータもしくは状態、例えば、操作、切断、または別様に処置による組織抵抗、組織への器具による圧力、組織温度、組織インピーダンスなどに関する外科医へのフィードバックを提供するための様々なセンサを含み得る。理解されるように、そのようなセンサは、外科医に、実際の動作状態をシミュレートする増強された触覚フィードバックを提供する。マスターハンドルはまた、実際の動作状態を模倣するための外科医の能力をさらに強化する繊細な組織操作または治療のための様々な異なるアクチュエータを含み得る。
【0032】
図11を参照すると、医療ワークステーションは、概してワークステーション1000として示され、概して、複数のロボットアーム1002および1003と、制御装置1004と、制御装置1004に連結された操作コンソール1005と、を含み得る。操作コンソール1005は、特に3次元画像を表示するように設定された表示デバイス1006と、人(図示せず)、例えば、外科医が、第1の動作モードでロボットアーム1002、1003を遠隔操作することができる手動入力デバイス1007、1008とを含み得る。
【0033】
ロボットアーム1002、1003の各々は、以下により詳細に説明されるように、本明細書で開示されるいくつかの実施形態のうちのいずれか1つによって、関節を介して接続された複数の部材と、例えば、エンドエフェクタ1100を支持する外科用ツール「ST」などの取り付け可能な取り付けデバイス1009、1011と、を含み得る。
【0034】
ロボットアーム1002、1003は、制御装置1004に接続された電気駆動装置(図示せず)によって駆動されることができる。制御装置1004(例えば、コンピュータ)は、ロボットアーム1002、1003、それらの取り付け装置1009、1011、およびよって外科用ツール(エンドエフェクタ1100を含む)が、手動入力装置1007、1008の手段によって定義される移動に従って所望の移動を実行するような方法で、具体的にはコンピュータプログラムの手段によって、駆動装置を作動させるように設定されることができる。制御装置1004はまた、ロボットアーム1002、1003および/または駆動装置の移動を調整するような方法で設定されることができる。
【0035】
医療ワークステーション1000は、エンドエフェクタ1100の手段によって最小侵襲的に治療されるべき患者用台1012上に横たわる患者1013上での使用のために構成され得る。医療ワークステーション1000はまた、3つ以上のロボットアーム1002、1003も含むことができ、追加のロボットアームも同様に制御装置1004に接続され、操作コンソール1005によって遠隔操作可能である。医療器具または外科用ツール(エンドエフェクタ1100を含む)を、追加のロボットアームに取り付けることもできる。医療ワークステーション1000は、特に制御装置1004に連結されたデータベース1014を含むことができ、データベース1014には、例えば、1013である患者/生体および/または解剖学的アトラスからの術前データが保管されている。
【0036】
上記の説明が単に本開示の例示的なものであると理解されたい。様々な代替例および変更例が本開示から逸脱することなく当業者によって想到され得る。したがって、本開示は、全てのこのような代替例、変更例および差異を包含するように意図される。添付された図面を参照して説明された実施形態は、本開示の一定の例を説明するためにのみ提示される。上記および/または添付の請求項に説明されたものとは実質的ではない部分で異なる他の要素、ステップ、方法および技術はまた、本開示の範囲内にあるように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11