(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/10 20060101AFI20241101BHJP
B60K 17/04 20060101ALI20241101BHJP
F16H 41/24 20060101ALI20241101BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20241101BHJP
【FI】
H02K7/10 Z
B60K17/04 G ZHV
F16H41/24 A
B60K6/40
(21)【出願番号】P 2020150311
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】北田 賢司
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 智博
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓磨
(72)【発明者】
【氏名】高田 幸悦
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-085385(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108397(WO,A1)
【文献】実開平05-018261(JP,U)
【文献】国際公開第2012/070121(WO,A1)
【文献】特開2000-289475(JP,A)
【文献】特開2006-341725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/10
B60K 17/04
F16H 41/24
B60K 6/26
B60K 6/40
H02K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の第1側からトルクが入力され、軸方向の第2側にトルクを出力するように構成される流体継手と、
回転不能に配置される第1ステータ、及び前記流体継手の回転軸を中心に回転するように配置されるロータ、を有する回転電機と、
を備え、
前記回転電機は、前記流体継手に対して軸方向の第2側
且つ前記流体継手と同一空間内に配置され、軸方向視において前記流体継手と重複する、
駆動装置。
【請求項2】
前記回転電機は、界磁コイルを有する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記回転電機は、軸方向において前記流体継手のトーラスと隣り合うように配置される、
請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記ロータは、前記流体継手の外殻に取り付けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項5】
前記ロータは、前記流体継手のトーラスの中心に対して径方向内側で、前記流体継手の外殻に取り付けられる、
請求項1から4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ロータは、前記流体継手のトーラスの中心に対して径方向外側で、前記流体継手の外殻に取り付けられる、
請求項1から4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記流体継手は、第2ステータと、前記第2ステータの内周端部に取り付けられるワンウェイクラッチと、を有し、
前記ワンウェイクラッチは、前記流体継手のトーラスの中心に対して、軸方向の第2側に配置される、
請求項1から6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記流体継手の外殻は、径方向外側を向く取付面を有し、
前記駆動装置は、前記取付面上に内周面が取り付けられる環状の抑制部材をさらに備える、
請求項1から7のいずれかに記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トルクコンバータに回転電機が取り付けられた駆動装置が提案されている。例えば、特許文献1では、トルクコンバータとエンジンとの間にモータを配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにトルクコンバータに回転電機を取り付けると、従来のトルクコンバータのみの場合に比べてスペースが不足するという問題がある。このため、駆動装置を径方向においてコンパクト化したいという要望があった。
【0005】
本発明の課題は、径方向において駆動装置をコンパクト化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある側面に係る駆動装置は、流体継手と、回転電機とを備える。流体継手は、軸方向の第1側からトルクが入力され、軸方向の第2側にトルクを出力するように構成される。回転電機は、第1ステータ、及びロータを有する。第1ステータは、回転不能に配置される。ロータは、流体継手の回転軸を中心に回転するように配置される。回転電機は、流体継手に対して、軸方向の第2側に配置される。回転電機は、軸方向視において、流体継手と重複する。
【0007】
この構成によれば、回転電機は、流体継手の軸方向第2側に配置され、軸方向視において流体継手と重複しているため、駆動装置を径方向においてコンパクト化することができる。
【0008】
好ましくは、回転電機は、界磁コイルを有する。
【0009】
好ましくは、回転電機は、軸方向において流体継手のトーラスと隣り合うように配置される。
【0010】
好ましくは、ロータは、流体継手の外殻に取り付けられる。
【0011】
ロータは、流体継手のトーラスの中心に対して径方向内側で、流体継手の外殻に取り付けられてもよい。この構成によれば、変形しにくい箇所にロータを取り付けるため、接続部への影響を小さくすることができる。
【0012】
ロータは、流体継手のトーラスの中心に対して径方向外側で、流体継手の外殻に取り付けられてもよい。この構成によれば、変形量の少ない箇所にロータを取り付けるため、流体継手の変形によって生じるロータの軸方向の移動を抑制することができる。
【0013】
好ましくは、流体継手は、第2ステータと、第2ステータの内周端部に取り付けられるワンウェイクラッチと、を有する。ワンウェイクラッチは、流体継手のトーラスの中心に対して、軸方向の第2側に配置される。
【0014】
好ましくは、流体継手の外殻は、径方向外側を向く取付面を有する。駆動装置は、環状の抑制部材をさらに備える。抑制部材は、取付面上に内周面が取り付けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、径方向において駆動装置をコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態に係る駆動装置について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、駆動装置の回転軸が延びる方向である。軸方向の第1側は、
図1の左側であり、軸方向の第2側は
図1の右側である。駆動装置の軸方向第1側にエンジンが配置され、軸方向の第2側にトランスミッションが配置される。また、周方向とは、回転軸を中心とした円の周方向であり、径方向とは、回転軸を中心とした円の径方向である。
【0018】
[駆動装置]
図1に示すように、駆動装置100は、トルクコンバータ2(流体継手の一例)と、回転電機3と、角度センサ4とを備えている。駆動装置100は、エンジン(図示省略)からトランスミッションまでの動力伝達経路に配置されている。
【0019】
[トルクコンバータ]
トルクコンバータ2は、軸方向の第1側からトルクが入力され、軸方向の第2側にトルクを出力するように構成されている。なお、本実施形態では、トルクコンバータ2は、エンジンからトルクが入力され、トランスミッションへとトルクを出力するように構成されている。
【0020】
トルクコンバータ2は、カバー21と、インペラ22と、タービン23と、第2ステータ24と、ロックアップクラッチ装置25と、ワンウェイクラッチ26とを有している。トルクコンバータ2は、回転軸Oを中心に回転する。トルクコンバータ2は、エンジンからトランスミッションへ流体を介してトルクを伝達するように構成されている。
【0021】
[カバー]
カバー21は、エンジンからのトルクが入力される。カバー21は、カバー本体部21aと、筒状部21bとを有している。カバー本体部21aは、円板状の部材である。筒状部21bは、カバー本体部21aの外周端部から、軸方向の第2側に延びている。カバー本体部21aの外周部に、フレキシブルプレート(図示省略)などが固定される。
【0022】
[インペラ]
インペラ22は、カバー21に固定されている。インペラ22は、カバー21と一体的に回転する。インペラ22は、インペラシェル22aと、複数のインペラブレード22bと、インペラハブ22cと、インペラコア22dを有している。
【0023】
インペラシェル22aは、径方向外側を向く取付面22eを有している。取付面22eは、トルクコンバータ2のトーラスの中心Cに対して、径方向内側に形成されている。取付面22eは、第2ステータ24の外周面に対して、径方向内側に形成されている。なお、トルクコンバータ2のトーラスとは、インペラシェル22aと、後述するタービンシェル23aとによって囲まれた空間を意味する。また、トーラスの中心Cは、インペラコア22d、及びタービンコア23dで囲まれる空間の中心である。なお、トルクコンバータ2がコアレスタイプの場合、トルクコンバータ2がインペラコア及びタービンコアを有するものとしてトーラスの中心Cを決定する。
【0024】
インペラブレード22bは、インペラシェル22aの内側に固定されている。インペラハブ22cは、インペラシェル22aの内周端部に固定されている。インペラハブ22cは、インペラシェル22aの内周端部から軸方向の第2側に延びている。なお、本実施形態では、インペラハブ22cは、インペラシェル22aと一つの部材によって構成されているが、インペラシェル22aとは別の部材によって構成されていてもよい。インペラシェル22aと、インペラハブ22cと、カバー21とによって、トルクコンバータ2の外殻が構成される。
【0025】
[タービン]
タービン23は、インペラ22に対して軸方向に対向して配置されている。タービン23は、主に、タービンシェル23aと、複数のタービンブレード23bと、タービンハブ23cと、タービンコア23dを有している。
【0026】
タービンブレード23bは、タービンシェル23aの内側の面に固定されている。タービンハブ23cは、タービンシェル23aの内周端部に固定されている。タービンハブ23cは、タービンシェル23aと複数のリベット(図示省略)などによって固定されている。また、タービンハブ23cの内周面には、トランスミッションの入力シャフト101に係合するスプラインが形成されている。
【0027】
[第2ステータ]
第2ステータ24は、タービン23からインペラ22に戻る作動油の流れを整流するための機構である。第2ステータ24は、インペラ22とタービン23との間に配置されている。第2ステータ24は、主に、ステータシェル24aと、ステータシェル24aの外周面に設けられた複数のステータブレード24bと、第2ステータコア24cとを有している。
【0028】
タービン23と第2ステータ24との間には、第1スラストベアリング27aが配置されており、第2ステータ24とインペラ22との間には、第2スラストベアリング27bが配置されている。
【0029】
[ワンウェイクラッチ]
ワンウェイクラッチ26は、第2ステータ24の内周端部に取り付けられる。第2ステータ24は、ワンウェイクラッチ26を介して、筒状の固定シャフト102に支持される。固定シャフト102はトランスミッションの入力シャフト101の外周面とインペラハブ22cの内周面との間を延びている。固定シャフト102は、回転不能に配置されている。
【0030】
ワンウェイクラッチ26は、トルクコンバータ2のトーラスの中心Cに対して、軸方向の第2側に配置されている。また、ワンウェイクラッチ26は、ステータブレード24bに対して、軸方向の第2側に配置されている。
【0031】
径方向視において、ワンウェイクラッチ26は、ステータブレード24bと重複していない。また、径方向視において、ワンウェイクラッチ26は、後述する第1コイルエンド31bと重複している。
【0032】
[ロックアップクラッチ装置]
ロックアップクラッチ装置25は、インペラ22とタービン23との間でトルクを伝達及び遮断するように構成されている。本実施形態では、ロックアップクラッチ装置25は、カバー21を介して、インペラ22とタービン23との間でトルクを伝達及び遮断している。
【0033】
ロックアップクラッチ装置25は、カバー21とタービン23との間に配置されており、両者を機械的に連結したり、遮断したりするように構成されている。ロックアップクラッチ装置25は、ピストンプレート25aと、ダンパ装置25bとを有している。
【0034】
[ピストンプレート]
ピストンプレート25aは、タービンハブ23cに相対回転可能且つ軸方向移動可能に支持されている。ピストンプレート25aは、カバー21側に移動することによって、カバー21と摩擦係合して一体的に回転する。
【0035】
ピストンプレート25aは、円板状であって、中央に開口を有している。ピストンプレート25aの外周端部のカバー21側の面に、摩擦材25cが固定されている。摩擦材25cは環状である。この摩擦材25cがカバー21に押し付けられることによって、カバー21からピストンプレート25aに動力が伝達される。すなわち、ピストンプレート25aに貼り付けられた摩擦材25cによってクラッチ部が構成されている。
【0036】
[ダンパ装置]
ダンパ装置25bは、複数の弾性部材25dと、ドリブンプレート25eと、を有している。ドリブンプレート25eは、タービンシェル23aに固定されている。
【0037】
弾性部材25dは、ピストンプレート25aとタービン23とを弾性的に連結するように構成されている。詳細には、弾性部材25dは、ピストンプレート25aに形成された係合部(図示省略)とドリブンプレート25eとに係合している。
【0038】
[回転電機]
回転電機3は、駆動輪を回転駆動するためのモータとしての機能を有している。また、回転電機3は、発電機としての機能も有している。例えば、回転電機3は、減速時に発電機として機能する。
【0039】
回転電機3は、軸方向視において、トルクコンバータ2と重複するように配置されている。詳細には、回転電機3は、軸方向においてトルクコンバータ2と隣り合うように配置されている。また、回転電機3は、径方向視において、インペラハブ22cと重複している。回転電機3は、トルクコンバータ2に対して軸方向の第2側に配置されている。すなわち、軸方向において、トルクコンバータ2、回転電機3、トランスミッション(図示省略)の順に配置されている。
【0040】
回転電機3は、第1ステータ31、及びロータ32を有している。また、回転電機3は、界磁コイル33をさらに有している。回転電機3は、回転軸Oを中心とした環状に構成されている。
【0041】
[第1ステータ]
第1ステータ31は、回転不能に配置されている。具体的には、第1ステータ31は、ハウジング103に取り付けられている。第1ステータ31は、ハウジング103に直接取り付けられていてもよいし、間接的に取り付けられていてもよい。
【0042】
第1ステータ31は、第1ステータコア31aと、第1コイルエンド31b、及び第2コイルエンド31cを有している。第1ステータ31は、環状である。
【0043】
第1ステータコア31aは、円筒状である。第1ステータコア31aの外周面がハウジング103に固定されている。第1ステータコア31aの外径は、トルクコンバータ2の外径よりも小さい。第1ステータコア31aは、積層された複数枚の磁性鋼板によって構成されている。この第1ステータコア31aに、ステータコイルが巻き回されている。詳細には、第1ステータコア31aの複数のティース部間のスロットにステータコイルが挿入されている。
【0044】
第1及び第2コイルエンド31b、31cは、ステータコイルの一部である。具体的には、第1及び第2コイルエンド31b、31cは、ステータコイルのうち、第1ステータコア31aから軸方向に突出している部分である。
【0045】
第1及び第2コイルエンド31b、31cは、第1ステータコア31aから互いに逆方向に突出している。本実施形態では、第1コイルエンド31bは第1ステータコア31aから軸方向第1側に突出しており、第2コイルエンド31cは第1ステータコア31aから軸方向第2側に突出している。第1及び第2コイルエンド31b、31cのそれぞれは、全体として、回転軸Oを中心とした環状に構成されている。
【0046】
第1コイルエンド31bは、径方向外側に向かって折り曲げられている。詳細には、第1コイルエンド31bは、根元部31dから径方向外側に向かって折り曲げられている。そして、第1コイルエンド31bの一部が、第1ステータコア31aの外周面に対して、径方向外側に位置している。詳細には、第1コイルエンド31bの先端部31eの一部が第1ステータコア31aの外周面に対して、径方向外側に位置している。なお、第1コイルエンド31bの根元部31dとは、軸方向において、第1ステータコア31aに近い側の端部である。また、第1コイルエンド31bの先端部31eとは、軸方向において、第1ステータコア31aから遠い側の端部である。
【0047】
第1コイルエンド31bの根元部31dは、第1ステータコア31aの外周面に対して、径方向内側に位置している。一方、第1コイルエンド31bの先端部31eの一部は、第1ステータコア31aの外周面に対して、径方向外側に位置している。第1コイルエンド31bの最外径は、第1ステータコア31aの最外径よりも大きい。
【0048】
第1コイルエンド31bは、根元部31dから先端部31eに向かって、外径が大きくなるように構成されている。詳細には、第1コイルエンド31bの根元部31dの外径は、第1ステータコア31aの外径よりも小さく、第1コイルエンド31bの先端部31eの外径は、第1ステータコア31aの外径よりも大きい。なお、第1コイルエンド31bの径とは、回転軸Oからの距離を言う。
【0049】
また、第1コイルエンド31bは、根元部31dから先端部31eに向かって、内径が大きくなるように構成されている。なお、第1コイルエンド31bの根元部31d及び先端部31eの内径は、第1ステータコア31aの外径よりも小さい。
【0050】
以上のように、第1コイルエンド31bの外径及び内径は、根元部31dから先端部31eに向かって大きくなっている。このため、径方向における第1コイルエンド31bの寸法は、根元部31dと先端部31eとの間で実質的に等しい。
【0051】
第1コイルエンド31bは、径方向視において、トルクコンバータ2のトーラスと重複している。詳細には、第1コイルエンド31bは、径方向視において、インペラブレード22bと重複している。一方で、第1ステータコア31aは、径方向視において、トルクコンバータ2のトーラスと重複していない。
【0052】
また、第1コイルエンド31bの先端部31eは、軸方向視において、トルクコンバータ2のトーラスと重複しないように配置されている。なお、本実施形態では、第1コイルエンド31bの略全体が、軸方向視において、トルクコンバータ2のトーラスと重複していない。
【0053】
また、第1コイルエンド31bは、軸方向視において、実質的にトルクコンバータ2と重複している。なお、本実施形態では、第1コイルエンド31bの先端部31eの外周部は、軸方向視において、トルクコンバータ2と重複していないが、重複していてもよい。
【0054】
第2コイルエンド31cは、第1コイルエンド31bと異なり、径方向外側に向かって折り曲げられていない。なお、第2コイルエンド31cの一部は、成形されている。詳細には、第2コイルエンド31cの外径は、根元部31fから先端部31gに向かって小さくなっている。一方で、第2コイルエンド31cの内径は、根元部31fと先端部31gとの間で実質的に一定である。
【0055】
[ロータ]
ロータ32は、回転軸Oを中心に回転するように構成されている。ロータ32は、トルクコンバータ2の外殻(インペラシェル22a)に取り付けられている。詳細には、ロータ32は、インペラシェル22aの取付面22eに取り付けられている。すなわち、ロータ32は、トルクコンバータ2のトーラスの中心Cに対して径方向内側でトルクコンバータ2に取り付けられている。ロータ32は、第2ステータ24の外周面よりも径方向内側で、トルクコンバータ2に取り付けられている。ロータ32は、A部分においてインペラシェル22aと接触することによっても、径方向の位置決めがされている。なお、ロータ32は、A部分において、インペラシェル22aに固定されていない。
【0056】
ロータ32は、円筒状であって、第1ステータ31の径方向内側に配置されている。すなわち、本実施形態に係る回転電機3は、インナーロータ型である。ロータ32の外周面は、第1ステータ31の内周面と間隔をあけて対向している。ロータ32は、いわゆるクローポール型として構成されている。すなわち、ロータ32は、複数の第1爪極32aと、複数の第2爪極32bとを有している。第1爪極32aと第2爪極32bとは、周方向において、交互に配置されている。第1爪極32a及び第2爪極32bは、鉄などの磁性体によって形成されている。第1爪極32aと第2爪極32bとの間は絶縁されている。例えば、第1爪極32aと第2爪極32bとの間にアルミニウムなどの非磁性体が配置されている。
【0057】
ロータ32は、支持部材32c(抑制部材の一例)を有している。支持部材32cは、第1爪極32a及び第2爪極32bを支持している。支持部材32cは、インペラシェル22aに取り付けられている。詳細には、支持部材32cは、インペラシェル22aの取付面22eに取り付けられている。
【0058】
支持部材32cは、環状の円板部32dと、円筒部32eとを有する。円板部32dの内周面が、インペラシェル22aの取付面22eに取り付けられる。円筒部32eは、円板部32dの外周端部から軸方向第2側に延びている。この円筒部32eに、第1及び第2爪極32a、32bが支持されている。
【0059】
[界磁コイル]
界磁コイル33は、ロータ32の径方向内側に配置されている。界磁コイル33は、円筒状である。界磁コイル33の外周面は、ロータ32の内周面と間隔をあけて対向している。界磁コイル33は、回転不能に配置されている。例えば、界磁コイル33は、第1ステータ31と同様に、ハウジング103に取り付けられている。
【0060】
界磁コイル33は、ロータ32に磁化力を付与してロータ32を励磁するように構成されている。電流制御部(図示省略)によって界磁コイル33に供給される電流を調整することによって、ロータ32の磁化力を調整でき、ひいては、第1ステータ31に発生する誘起電圧を調整することができる。
【0061】
この界磁コイル33に電流を供給することによって第1爪極32a及び第2爪極32bが励磁される。例えば、第1爪極32aがN極に励磁され、第2爪極32bがS極に励磁される。このように、ロータ32は、周方向においてN極とS極とが交互に配置される。このロータ32が回転することによって、誘導起電力が第1ステータ31において発生する。
【0062】
[角度センサ]
角度センサ4は、回転電機3のロータ32の回転速度を検出するように構成されている。詳細には、角度センサ4は、ロータ32と一体的に回転するトルクコンバータ2の外殻の回転速度を検出するように構成されている。
【0063】
角度センサ4は、例えば、レゾルバである。角度センサ4は、例えば、回転電機3の径方向内側に配置されている。詳細には、径方向内側から、角度センサ4、界磁コイル33、ロータ32、第1ステータ31の順に配置されている。径方向視において、角度センサ4は、回転電機3と重複している。軸方向視において、角度センサ4は、ワンウェイクラッチ26と重複している。
【0064】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0065】
変形例1
上記実施形態では、回転電機3は、第1ステータ31、ロータ32、及び界磁コイル33によって構成されているが、回転電機3の構成はこれに限定されない。例えば、回転電機3は、第1ステータ31、及びロータ32から構成されていてもよい。すなわち、回転電機3は、界磁コイル33を有していなくてもよい。この場合、ロータ32は、例えば、永久磁石によって形成されている。
【0066】
変形例2
ロータ32は、トルクコンバータ2のトーラスの中心Cに対して径方向外側でトルクコンバータ2に取り付けられていてもよい。ロータ32は、トルクコンバータ2の第2ステータ24の外周面に対して径方向外側で、トルクコンバータ2に取り付けられていてもよい。
【0067】
変形例3
角度センサ4は、径方向視において、トーラスと重複するように配置されていてもよい。
【0068】
変形例4
上記実施形態では、第1ステータ31の第1コイルエンド31bは第1ステータコア31aから軸方向の第1側に突出していたが、第1コイルエンド31bの構成はこれに限定されない。例えば、第1コイルエンド31bは第1ステータコア31aから軸方向の第2側に突出しており、第2コイルエンド31cは第1ステータコア31aから軸方向の第1側に突出していてもよい。
【0069】
変形例5
上記実施形態における第1コイルエンド31bは、径方向外側に向かって折り曲げられているが、第1コイルエンド31bの構成はこれに限定されない。例えば、第1コイルエンド31bは、径方向に折り曲げられていなくてもよい。
【0070】
変形例6
上記実施形態では、回転電機3はインナーロータ型であったが、回転電機3はアウターロータ型であってもよい。
【0071】
変形例7
上記実施形態では、インペラシェル22aとカバー21とによってトルクコンバータ2の外殻を構成しているが、トルクコンバータ2の構成はこれに限定されない。例えば、カバー21とタービンシェル23aによってトルクコンバータ2の外殻を構成してもよい。この場合、インペラ22とタービン23との配置が上記実施形態の配置と逆になる。すなわち、インペラ22が、トルクコンバータ2の外殻内に配置される。そして、エンジンからのトルクは、外殻を貫通して内部へと延びる伝達シャフトによって、インペラ22へと伝達される。
【0072】
変形例8
上記実施形態では、ロックアップクラッチ装置25のクラッチ部は、摩擦材25cによって構成されているが、これに限定されない。例えば、
図2に示すように、ロックアップクラッチ装置25のクラッチ部は、多板クラッチ25fによって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
2 トルクコンバータ
22e 取付面
23 タービン
24 第2ステータ
26 ワンウェイクラッチ
3 回転電機
31 第1ステータ
32 ロータ
33 界磁コイル
32c 支持部材
4 角度センサ