(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】殺菌システム、車両、構造物、制御装置、制御方法、プログラム、及び殺菌方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/16 20060101AFI20241101BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20241101BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20241101BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20241101BHJP
F24F 8/20 20210101ALI20241101BHJP
【FI】
A61L9/16 Z
A61L9/14
A61L9/015
B60H3/00 Z
F24F8/20
(21)【出願番号】P 2020166966
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】八十島 健
(72)【発明者】
【氏名】中道 憲治
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/239406(WO,A1)
【文献】特開2001-286542(JP,A)
【文献】特開2004-236896(JP,A)
【文献】特開2017-074943(JP,A)
【文献】特開2005-237804(JP,A)
【文献】特開2001-238943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00 - 9/22
A61L 2/00 - 2/28
F24F 7/00 - 7/003
B64D 13/02
B60H 1/00 - 1/34
B60H 3/00 - 3/06
F24F 8/00 - 8/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機を経た前記空気を、前記取出ラインに循環させる循環ライン
と、
を備える殺菌システム。
【請求項2】
前記圧縮機を経た前記空気の温度を検出する温度センサー、を更に備え、
前記温度センサーで検出された前記空気の温度が、予め定めた基準値未満である場合に、前記空気を前記圧縮機で再度圧縮する
請求項
1に記載の殺菌システム。
【請求項3】
前記圧縮機で圧縮された前記空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成器と、
前記濃縮酸素からオゾンを生成するオゾン生成器と、
前記オゾンを前記室内に供給するオゾン供給ラインと、を更に備える
請求項1
又は2に記載の殺菌システム。
【請求項4】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機で圧縮された前記空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成器と、
前記濃縮酸素からオゾンを生成するオゾン生成器と、
前記オゾンを前記室内に供給するオゾン供給ラインと、
を備え、
前記オゾン生成器は、前記冷却器で前記空気を冷却する際に生成される水に、前記オゾンを混入させることで、オゾン水を生成し、
前記オゾン供給ラインは、前記オゾン水を前記室内に供給する
殺菌システム。
【請求項5】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機で圧縮された前記空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成器と、
前記濃縮酸素からオゾンを生成するオゾン生成器と、
前記オゾンを前記室内に供給するオゾン供給ラインと、
前記濃縮酸素生成器で生成された前記濃縮酸素を貯留するタンク
と、
を備え、
前記オゾン生成器は、前記室内に前記オゾンを供給可能となった場合に、前記濃縮酸素から前記オゾンを生成する
殺菌システム。
【請求項6】
前記圧縮機を経た前記空気の一部を外部に排出する排気ラインと、
外部から空気を取り入れ、前記圧縮機を経た前記空気の残部に合流させる外気導入ラインと、を更に備える
請求項1から
5の何れか一項に記載の殺菌システム。
【請求項7】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機を経た前記空気の一部を外部に排出する排気ラインと、
外部から空気を取り入れ、前記圧縮機を経た前記空気の残部に合流させる外気導入ラインと、
前記排気ライン内の前記空気の流れによって回転駆動される第一ロータと、
前記第一ロータとともに回転し、前記外気導入ライン内の空気を前記圧縮機の下流側に送り込む第二ロータと、
を備える
殺菌システム。
【請求項8】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機で圧縮された前記空気に含まれる熱を回収することで、前記室内の空気の加熱、及び発電の少なくとも一方を行う熱回収部
と、
を備える殺菌システム。
【請求項9】
室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、
前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、
前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、
前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、
前記圧縮機で圧縮された前記空気から二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離器
と、
を備える殺菌システム。
【請求項10】
請求項1から
9の何れか一項に記載の殺菌システムを備える
車両。
【請求項11】
請求項1から
9の何れか一項に記載の殺菌システムを備える
構造物。
【請求項12】
請求項1から
9の何れか一項に記載の殺菌システムの制御装置であって、
前記圧縮機を起動させ、前記室内から取り出した前記室内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温させる起動部と、
前記圧縮機で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定する判定部と、
前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機で昇温された前記空気を、前記室内に供給する空気供給部と、を備える
制御装置。
【請求項13】
前記圧縮機で圧縮された前記空気の温度が定められた基準値未満であった場合に、前記圧縮機を経た前記空気を、前記取出ラインに循環させる再圧縮部、を更に備える
請求項1
2に記載の制御装置。
【請求項14】
前記室内が無人である場合に、前記圧縮機で圧縮された前記空気からオゾンを生成し、前記オゾンを前記室内に供給するオゾン供給部、を更に備える
請求項1
2又は1
3に記載の制御装置。
【請求項15】
請求項1から
9の何れか一項に記載の殺菌システムの制御方法であって、
前記圧縮機を起動させ、前記室内から取り出した前記室内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温し、
前記圧縮機で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定し、
前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機で昇温された前記空気を、前記室内に供給する
制御方法。
【請求項16】
コンピュータに、
請求項1から
9の何れか一項に記載の殺菌システムの前記圧縮機を起動させ、前記室内から取り出した前記室内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温し、
前記圧縮機で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定し、
前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機で昇温された前記空気を、前記室内に供給する
方法を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
取出ラインを通して室内の空気を前記室内から取り出す工程と、
取り出した前記空気を
圧縮機で圧縮することで、昇温させる工程と、
昇温された前記空気を冷却する工程と、
冷却された前記空気を前記室内に供給する工程と、
を含
み、
前記圧縮機を経た前記空気を、循環ラインを通して前記取出ラインに循環させる
殺菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、殺菌システム、車両、構造物、制御装置、制御方法、プログラム、及び殺菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、感染症患者を隔離収容する部屋等の汚染空気を吸引し、この汚染空気をガスタービン等、内燃機関や外燃機関で焼却することにより殺菌する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、基本的に、内燃機関等を通れば殺菌は100%できるが、特許文献1に記載の殺菌システムでは、殺菌できていない流路があるため、(車両や宇宙ステーション等の)システムの室内外を汚染することがある。加えて、例えば、特許文献1に記載の殺菌システムでは、装置停止後に室内外を汚染する可能性がある。加えて、例えば、内燃機関が無いモバイルクリニックや、資源が限られている宇宙空間では、汚染された空気を燃焼させることができないため、特許文献1に記載の殺菌システムを用いることは、難しい。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室内外の汚染を抑制できる殺菌システム、車両、構造物、制御装置、制御方法、プログラム、及び殺菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る殺菌システムは、室内の空気を前記室内から取り出す取出ラインと、前記取出ラインで取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機と、前記圧縮機で昇温された前記空気を冷却する冷却器と、前記冷却器で冷却された前記空気を前記室内に供給する供給ラインと、を備える。
【0007】
本開示に係る殺菌方法は、室内の空気を前記室内から取り出し、取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させ、昇温された前記空気を冷却し、冷却された前記空気を前記室内に供給する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の殺菌システム、車両、構造物、制御装置、制御方法、プログラム、及び殺菌方法によれば、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室内外の汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る殺菌システムを備えた車両の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る殺菌システムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の第一、第三実施形態に係る殺菌システムの制御装置の機能ブロック図である。
【
図4】本開示の第一、第三実施形態に係る殺菌システムの制御方法の手順を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第一実施形態に係る殺菌システムにおいて、圧縮機で昇温させることによって殺菌された空気を室内に供給している状態を示す図である。
【
図6】本開示の第一実施形態に係る殺菌システムにおいて、圧縮機で空気を再度圧縮している状態、及び取出ラインを殺菌している状態を示す図である。
【
図7】本開示の第一実施形態に係る殺菌システムにおいて、室内をオゾンにより殺菌している状態を示す図である。
【
図8】本開示の第二実施形態に係る殺菌システムを備えた構造物の概略構成を示す図である。
【
図9】本開示の第三実施形態に係る殺菌システムの構成を示す図である。
【
図10】本開示の第三実施形態に係る殺菌システムにおいて、圧縮機で昇温させることによって殺菌された空気を室内に供給している状態を示す図である。
【
図11】本開示の第三実施形態に係る殺菌システムにおいて、圧縮機で空気を再度圧縮している状態、及び取出ラインを殺菌している状態を示す図である。
【
図12】本開示の第三実施形態に係る殺菌システムにおいて、室内をオゾンにより殺菌している状態を示す図である。
【
図13】本開示の第三実施形態の変形例に係る殺菌システムの構成を示す図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る制御装置が備えるコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図15】本開示の殺菌方法の実施形態に係る殺菌方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る殺菌システム、車両、構造物、制御装置、制御方法、プログラム、及び殺菌方法について、
図1~
図15を参照して説明する。
【0011】
<第一実施形態>
(車両の構成)
図1に示すように、車両100は、例えば、感染病等の患者を搬送するための緊急搬送車両である。車両100は、自走可能な車体101と、エアーコンディショナー装置110と、殺菌システム1Aと、を主に備えている。
【0012】
車体101内には、室5としての車室102が形成されている。車室102は、第一車室102Aと、第二車室102Bと、を備えている。第一車室102Aは、車両100の走行方向Dmの前方に形成されている。第一車室102Aには、車両100を運転する乗員が搭乗する。第二車室102Bは、第一車室102Aに対し、車両100の走行方向Dmの後方に配置されている。第二車室102Bには、車両100で搬送する患者等が搭乗する。車体101には、第一車室102Aと第二車室102Bとを区画する区画壁105が形成されている。区画壁105は、車両100の前後方向(走行方向Dm)に交差する面に沿って形成されている。
【0013】
エアーコンディショナー装置110は、車室102内に、温度及び湿度が調和された空気を供給する。エアーコンディショナー装置110は、第一車室102Aの圧力が、第二車室102Bの圧力よりも高くなるように、車室102内に空気を供給する。これにより、車室102内の空気は、第一車室102Aと第二車室102Bとの圧力差によって、区画壁105の周囲などに形成される隙間(図示無し)を通して、第一車室102A側から第二車室102B側へと流れる。これにより、第二車室102B内の空気が第一車室102Aに流れ込むのを抑え、第二車室102Bに搭乗した患者等が、ウィルスや菌等を保有していても、ウィルスが第一車室102Aに侵入するのを抑える。
【0014】
(殺菌システムの構成)
殺菌システム1Aは、車室102内の空気を殺菌する。ここで、「殺菌」とは、空気中のウィルスや菌等を完全に死滅させることに限らず、ウィルスや菌の量を低減したり、ウィルスや菌の活性度を低減させたりすることを含む。
図2に示すように、殺菌システム1Aは、取出ライン11と、圧縮機13と、冷却器15と、供給ライン17と、循環ライン19と、オゾン生成部20Aと、制御装置60A(
図3参照)と、を主に備えている。
【0015】
取出ライン11は、一端が第二車室102Bに連通するよう配置されている。取出ライン11の他端は、圧縮機13に接続されている。取出ライン11は、圧縮機13が作動すると、圧縮機13で生じる負圧により、第二車室102Bの空気を吸い込む。これにより、取出ライン11は、第二車室102B内の空気を第二車室102Bから取り出す。取出ライン11を通して第二車室102Bの空気を吸い込むことで、第二車室102Bの圧力が、第一車室102Aの圧力よりも低くなる。これによっても第一車室102Aと第二車室102Bとの圧力差が生じる。
【0016】
圧縮機13は、取出ライン11で取り出した空気を圧縮する。圧縮機13としては、例えば電動圧縮機が用いられる。圧縮機13は、車両100の原動機(エンジンやモータ)の駆動力が伝達されることで作動するものを排除するものではない。圧縮機13で第二車室102Bから取り出した空気を圧縮すると、空気の圧力及び温度が上昇する。圧縮された空気の温度が基準値以上まで昇温されると、空気の殺菌がなされ、空気に含まれるウィルスや菌が消滅、又は低減される。圧縮機13の吐出側には、圧縮機13で圧縮された空気の温度を検出する温度センサー71が配置されている。
【0017】
冷却器15は、圧縮機13の吐出側(下流側)に接続管14を介して接続されている。冷却器15は、圧縮機13で昇温された空気を冷却する。冷却器15には、いわゆるエアクーラーを用いることができる。冷却器15としては、空気を膨張させることによって圧力および温度を低下させるものを用いてもよい。
【0018】
供給ライン17は、一端が冷却器15に接続されている。供給ライン17の他端は、車室102に連通するよう配置されている。供給ライン17は、冷却器15で冷却された空気を車室102内に供給する。本実施形態において、供給ライン17は、第一車室102Aに空気を供給する。供給ライン17には、第一車室102Aへの空気の供給を断続する第一弁17vが配置されている。
【0019】
循環ライン19は、その一端が圧縮機13の吐出側の接続管14に接続されている。循環ライン19の他端は、取出ライン11の第二車室102B側の一端に接続されている。循環ライン19は、圧縮機13を経た空気を、取出ライン11に循環させる。
循環ライン19には、圧縮機13を経た空気の取出ライン11への循環を断続する第二弁19vが配置されている。
【0020】
例えば、第二弁19vに関連して、接続管14には、弁14vが配置されてもよい。
例えば、接続管14と循環ライン19との分岐点と冷却器15との間であって、接続管14と循環ライン19との分岐点の直後の位置に、弁14vが配置されてもよい。その際、接続管14と循環ライン19との分岐点と、弁14vと、の間に、温度センサー71が配置されてもよい。
例えば、圧縮機13を経た空気を取出ライン11に循環させる場合に、第二弁19vが開かれ、弁14vが閉じられてもよい。
例えば、圧縮機13を経た空気を取出ライン11に循環させない場合に、第二弁19vが閉じられ、弁14vが開かれてもよい。
【0021】
オゾン生成部20Aは、圧縮機13で圧縮された空気からオゾン(O3)を生成する。オゾン生成部20Aは、濃縮酸素生成器21と、オゾン生成器23と、オゾン供給ライン25と、を備えている。
【0022】
濃縮酸素生成器21は、冷却器15の下流側に接続管22を介して接続されている。濃縮酸素生成器21は、冷却器15を経た空気に含まれる酸素を濃縮し、濃縮酸素を生成する。接続管22には、冷却器15から濃縮酸素生成器21への空気の送給を断続する第三弁22vが配置されている。
【0023】
オゾン生成器23は、濃縮酸素生成器21の下流側に接続管24を介して接続されている。オゾン生成器23は、濃縮酸素生成器21で生成された濃縮酸素からオゾンを生成する。接続管24には、濃縮酸素生成器21からオゾン生成器23への空気の送給を断続する第四弁24vが配置されている。
【0024】
オゾン供給ライン25は、オゾン生成器23で生成されたオゾンを、車室102内に供給する。本実施形態において、オゾン供給ライン25は、第一車室102Aにオゾンを供給する第一オゾン供給ライン25Aと、第二車室102Bにオゾンを供給する第二オゾン供給ライン25Bとに分岐している。第一オゾン供給ライン25A、第二オゾン供給ライン25Bには、それぞれオゾンの供給を断続する第五弁25v、第六弁25wが配置されている。
【0025】
(制御装置の構成)
制御装置60Aは、上記したような殺菌システム1Aの動作を制御する。
図3に示すように、制御装置60Aは、起動部61と、判定部62と、空気供給部63と、再圧縮部64と、オゾン供給部65Aと、取出ライン殺菌部66と、を機能的に備えている。
【0026】
起動部61は、圧縮機13の起動を制御する。起動部61は、圧縮機13を起動させて、第二車室102B(室5)内から取り出した空気を圧縮することで、空気を昇温させる。
【0027】
判定部62は、温度センサー71から、圧縮機13で圧縮することで昇温された空気の温度の検出データを受信する。判定部62は、温度センサー71で検出される、圧縮機13で昇温された空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定する。ここで、判定部62における判定基準となる、基準値は、殺菌対象となるウィルスや菌の種類、要求される殺菌の程度、等に応じて適宜設定すればよい。
【0028】
空気供給部63は、判定部62での判定結果に基づき、空気の温度が予め定めた基準値以上であった場合に、圧縮機13で昇温された空気を車室102(第一車室102A)に供給する。
【0029】
再圧縮部64は、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値未満である場合に、空気を圧縮機13で再度圧縮する。これには、再圧縮部64は、圧縮機13を経た空気を、取出ライン11に循環させる。これにより、取出ライン11を通して循環された空気が圧縮機13で再度圧縮される。
例えば、再圧縮部64は、圧縮機13を経た空気を、循環ライン19を通して、取出ライン11に循環させてもよい。
例えば、再圧縮部64は、第二弁19vを開閉する制御を行ってもよい。
例えば、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値未満である場合に、第二弁19vを開く制御を行ってもよい。
例えば、再圧縮部64は、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値以上である場合に、第二弁19vを閉じる制御を行ってもよい。
【0030】
例えば、再圧縮部64は、第二弁19v及び弁14vを開閉する制御を行ってもよい。
例えば、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値未満である場合に、第二弁19vを開き、弁14vを閉じる制御を行ってもよい。
例えば、再圧縮部64は、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値以上である場合に、第二弁19vを閉じ、弁14vを開く制御を行ってもよい。
【0031】
オゾン供給部65Aは、車室102内(室5内)が無人である場合に、オゾン生成部20Aで、圧縮機13で圧縮された空気からオゾンを生成し、車室102内に供給する。具体的には、オゾン供給部65Aは、濃縮酸素生成器21で、圧縮機13で圧縮された空気から濃縮酸素を生成させる。オゾン供給部65Aは、オゾン生成器23で、生成された濃縮酸素からオゾンを生成させ、オゾン供給ライン25を通してオゾンを車室102(室5)内に供給させる。
【0032】
取出ライン殺菌部66は、取出ライン11の内部を殺菌する。取出ライン殺菌部66は、圧縮機13で圧縮されて基準値以上の温度に昇温された空気を、循環ライン19を通して、取出ライン11に循環させる。これにより、取出ライン11内が、昇温された空気によって殺菌される。
【0033】
(制御方法の手順)
図4に示すように、本実施形態に係る殺菌システム1Aの制御方法S1は、圧縮機13を起動させて空気を昇温させるステップS2と、昇温させた空気の温度が基準値以上であるか否かを判定するステップS3と、昇温させた空気を室5内に供給するステップS4と、空気を圧縮機で再度圧縮するステップS5と、室内が無人であるか否かを判定するステップS6と、オゾンを室内に供給するステップS7と、取出ライン11を殺菌するステップS8と、圧縮機13を停止させるステップS9と、を備えている。殺菌システム1Aの制御方法S1は、制御装置60Aが、予め設定されたプログラムに基づいて所定の処理を順次実行することによって実現される。
【0034】
圧縮機13を起動させて空気を昇温させるステップS2では、車両100の使用開始時に、車両100の上位制御装置(図示無し)から殺菌システム1Aを起動させる信号が入力されると、制御装置60Aの起動部61が、圧縮機13を起動させる。すると、第二車室102B内の空気が、取出ライン11を通して圧縮機13に取り込まれる。圧縮機13に取り込まれた空気は、圧縮機13で圧縮されて、その圧力及び温度が上昇する。
圧縮機13で圧縮されて昇温した空気は、圧縮機13から接続管14に吐出される。圧縮機13から吐出された空気の温度は、温度センサー71によって検出される。温度センサー71は、検出した空気の温度を、制御装置60Aに送信する。
【0035】
昇温させた空気の温度が基準値以上であるか否かを判定するステップS3では、判定部62が、温度センサー71で検出された、圧縮機13で昇温した空気の温度が、予め定められた基準値(例えば100℃)以上であるか否かを判定する。
【0036】
ステップS3において、圧縮機13で昇温した空気の温度が基準値以上であると判定された場合、ステップS4に移行する。昇温させた空気を室5内に供給するステップS4では、上記ステップS3で空気の温度が予め定めた基準値以上であった場合、
図5に示すように、空気供給部63が、第二弁19v、第三弁22v、第四弁24v、第五弁25v、第六弁25wを閉じ、第一弁17vを開く。さらに、弁14vを開いてもよい。すると、圧縮機13で昇温された空気が、供給ライン17を通して車室102(第一車室102A)内に供給される。圧縮機13で昇温された空気は、基準値以上の温度となることで、空気中に含まれるウィルスや菌の殺菌がなされる。圧縮機13を経た空気は、冷却器15で冷却された後、車室102内に供給される。このようにして、車室102内には、殺菌された空気が供給される。
【0037】
ステップS3で、圧縮機13で昇温した空気の温度が基準値未満であると判定された場合、ステップS5に移行する。空気を圧縮機で再度圧縮するステップS5では、
図6に示すように、再圧縮部64が第一弁17vを閉じ、第二弁19vを開く。さらに、弁14vを閉じてもよい。これにより、圧縮機13で圧縮された空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に循環される。取出ライン11に循環された空気は、圧縮機13に送られて再度圧縮される。このとき、圧縮機13を経た空気は、その温度が基準値未満であっても、ある程度は昇温している。この空気を、循環ライン19、取出ライン11を経て、圧縮機13で再度昇温させることによって、昇温が速やかに行われる。
このようにして圧縮機13で再度圧縮しながら、圧縮機13を経た空気の温度が、上記ステップS3で基準値以上となったら、ステップS4に移行し、第一弁17vを開き、第二弁19vを閉じる。さらに、弁14vを開いてもよい。これにより、圧縮機13を経て、基準値以上の温度に昇温された空気を、冷却器15に供給する。
【0038】
室内が無人であるか否かを判定するステップS6では、制御装置60Aは、車室102内が無人であるか否かを判定する。車室102内が無人であるか否かを判定するには、例えば、車室102内に人感センサー等を設けてもよいし、車両100の運用者が、患者の搬送が完了したことを示す所定の操作等を行う等してもよい。また、例えば、車両100のキーが抜かれ、かつ、車両100の扉がロックされている、等、所定の条件を満たした場合に、車室102内が無人であると判定するようにしてもよい。室内が無人であると判定するための条件については、何ら限定するものではない。ステップS6における判定の結果、車室102内が無人でなければ、ステップS4を継続し、室内の空気を圧縮機13で昇温させることによる殺菌処理を継続する。
【0039】
ステップS6で車室102内が無人であると判定された場合、ステップS7に移行する。オゾンを室内に供給するステップS7では、オゾン供給部65Aが、
図7に示すように、第一弁17v、第二弁19vを閉じる。その際、弁14vを開いてもよい。さらに、オゾン供給部65Aが、第三弁22v、第四弁24v、第五弁25v、第六弁25wを開き、オゾン生成部20Aに、圧縮機13を経た空気を送り込む。これにより、オゾン生成部20Aは、圧縮機13で圧縮された空気からオゾンを生成して車室102内に供給する。具体的には、オゾン供給部65Aは、濃縮酸素生成器21で、圧縮機13で圧縮された空気から濃縮酸素を生成させる。オゾン供給部65Aは、オゾン生成器23で、生成された濃縮酸素からオゾンを生成させる。オゾン生成器23で生成されたオゾンは、オゾン供給ライン25を通して車室102に供給される。これにより、車室102内を、オゾンにより殺菌することができる。
【0040】
オゾンによる車室102内の殺菌が終了したら、次いで、取出ライン11を殺菌するステップS8を実行する。取出ライン11を殺菌するステップS8では、
図6に示すように、取出ライン殺菌部66が、第一弁17v、第三弁22v、第四弁24v、第五弁25v、第六弁25wを閉じ、第二弁19vを開く。さらに、弁14vを閉じてもよい。これにより、圧縮機13で昇温した空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に供給される。これにより、取出ライン11の内部が殺菌される。
【0041】
ステップS8の取出ライン11の内部の殺菌を、予め定めた時間実施したら、圧縮機13を停止させるステップS9を実行する。圧縮機13を停止させるステップS9では、圧縮機13を停止させる。これによって、殺菌システム1Aによる一連の殺菌処理が終了する。
【0042】
(作用効果)
上記実施形態の殺菌システム1Aでは、取出ライン11を通して室5(車室102)内から取り出した空気を、圧縮機13で圧縮し、昇温させる。圧縮機13で昇温された空気は、冷却器15で冷却された後、供給ライン17を通して室5内に供給される。
このため、殺菌システム1Aでは、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、殺菌システム1Aは、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。 例えば、特許文献1に記載の殺菌システムは、殺菌された供給ラインを有さないため、室5内外を汚染する可能性がある。
これに対し、殺菌システム1Aでは、上述のとおり、このため、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給されるため、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染が抑制される。
【0043】
加えて、上記実施形態の殺菌システム1Aの一例では、圧縮機13で昇温した空気を、循環ライン19を通して取出ライン11に循環させることで、圧縮機13よりも室内側に位置する取出ライン11内を殺菌することができる。
例えば、特許文献1に記載の殺菌システムの場合、取出ラインは殺菌されないため、機器停止時に菌が拡散する可能性がある。
これに対し、殺菌システム1Aの一例では、上述のとおり圧縮機13よりも室内側に位置する取出ライン11内を殺菌することができる。
したがって、殺菌システム1A、1Cは、圧縮機13の停止時においても、菌が拡散することを抑制できる。
【0044】
また、特許文献1に記載の殺菌システムのように内燃機関にて汚染空気を燃焼させた場合、上述のとおり、汚染空気は完全に殺菌されるが、吸気の圧力が下がるため、内燃機関の効率に影響を及ぼす。
これに対し、上記実施形態の殺菌システム1Aは、圧縮機13により、室5内の空気を殺菌することができる。
【0045】
上記実施形態の殺菌システム1Aでは、取出ライン11を通して室5(車室102)内から取り出した空気を、圧縮機13で圧縮する。空気を圧縮すると、空気の圧力及び温度が上昇する。このようにして、圧縮機13で空気を、昇温させることで、空気を殺菌することができる。このとき、圧縮機13で空気を圧縮すると、圧縮機13内で空気の全体が直ちに温度上昇する。これにより、空気を、均一かつ迅速に昇温させることができる。
上記実施形態の殺菌システム1Aの圧縮機13では、先に空気が昇温されるため、ヒーター等で昇温させる場合に比べて殺菌速度が速い。さらに、圧縮機13は、ヒーター等の昇温機能とファン等の送風機能を兼ね備えるため、1台2役を担うことができる。これにより、殺菌システム1Aのコンパクト化が実現できる。
【0046】
例えば、特許文献1に記載の殺菌システムのように殺菌するために汚染空気を燃焼させる場合、排熱回収を行うことができるものの、空気中の酸素を消費するため環境に悪い。
これに対し、上記実施形態の殺菌システム1Aでは、圧縮機13により汚染空気を圧縮し、汚染空気を昇温させて殺菌している。
このため、殺菌システム1Aは、汚染空気の燃焼のために空気中の酸素を消費する必要がない。
したがって、殺菌システム1Aは、環境への影響を低減できる。
【0047】
上記実施形態の殺菌システム1Aでは、圧縮機13を経て昇温された空気の温度が、予め定めた基準値未満である場合に、圧縮機13を経た空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に循環される。すると、循環された空気は、取出ライン11を通して圧縮機13に再度送り込まれて圧縮される。これにより、予め定めた基準値未満であった空気を、圧縮機13で圧縮して更に昇温させることができる。
【0048】
上記実施形態の殺菌システム1Aでは、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンを室5内に供給することで、オゾンによって室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0049】
上記実施形態の車両100では、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、車両100は、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0050】
上記実施形態の制御装置60Aによれば、殺菌システム1Aにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御装置60Aによれば、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0051】
上記実施形態の制御装置60Aは、圧縮機13を経て昇温された空気の温度が、予め定めた温度未満である場合に、空気を圧縮機13で再度圧縮できるため、空気を更に昇温させることができる。
【0052】
上記実施形態の制御装置60Aは、室5内が無人である場合に、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンにより、室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0053】
上記実施形態の制御方法S1によれば、殺菌システム1Aにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御方法S1によれば、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0054】
<第二実施形態>
次に、この開示に係る殺菌システム、構造物の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と共通する構成については、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0055】
(構造物の構成)
図8に示すように、構造物200は、例えば、感染病等の患者を診察するため、病院の外部に設置されるコンテナ型のモバイルクリニックである。構造物200は、構造物本体201と、殺菌システム1Bと、を主に備えている。構造物本体201内には、室5としての病室202が形成されている。
【0056】
(殺菌システムの構成)
殺菌システム1Bは、病室202内の空気を殺菌する。殺菌システム1Bは、取出ライン11と、圧縮機13と、冷却器15と、供給ライン17と、外気導入部30と、を主に備えている。
【0057】
取出ライン11は、一端が病室202に連通するよう配置されている。取出ライン11の他端は、圧縮機13に接続されている。取出ライン11は、圧縮機13が作動すると、圧縮機13で生じる負圧により、病室202の空気を吸い込む。これにより、病室202内は、構造物本体201の外部の大気よりも圧力が低い、陰圧とされる。
【0058】
圧縮機13は、取出ライン11で取り出した空気を圧縮する。圧縮機13で病室202から取り出した空気を圧縮すると、空気の圧力及び温度が上昇する。圧縮された空気の温度が基準値以上まで昇温されると、空気の殺菌がなされ、空気に含まれるウィルスや菌が消滅、又は低減される。
【0059】
冷却器15は、圧縮機13の吐出側(下流側)に接続管14を介して接続されている。冷却器15は、圧縮機13で昇温された空気を冷却する。冷却器15には、いわゆるエアクーラーや、膨張器を用いることができる。
【0060】
供給ライン17は、一端が冷却器15に接続されている。供給ライン17の他端は、病室202に連通するよう配置されている。供給ライン17は、冷却器15で冷却された空気を病室202内に供給する。
【0061】
外気導入部30は、圧縮機13で昇温されることによって殺菌された空気に、外部から取り込んだ外気を混合し、病室202内に供給する。外気導入部30は、排気ライン35と、外気導入ライン36と、を備えている。
【0062】
排気ライン35は、接続管14に一端が接続され、接続管14を流れる空気の一部を取り込む。排気ライン35には、排気ライン35内の空気の流れによって回転駆動される第一ロータ31が配置されている。第一ロータ31を経た空気の一部は、排気部35gから外部に排出される。第一ロータ31を経た空気の残部は、リターンライン35rを介して接続管14に戻される。排気ライン35への空気の排出を促すため、接続管14に、絞り14z等を設けてもよい。
【0063】
外気導入ライン36は、外部から空気を取り入れ、接続ラインを流れる空気(圧縮機13を経た空気の残部)に合流させる。外気導入ライン36には、外気導入ライン36内の空気を圧縮機13の下流側に送り込む第二ロータ32が配置されている。第二ロータ32は、第一ロータ31に対してシャフト33を介して連結されている。これにより、第二ロータ32は、接続管14から取り込まれる空気の流れによって回転する第一ロータ31によって、回転駆動される。つまり、外部から外気導入ライン36を通して空気を取り込むのに、別途、動力が必要なファン等を備える必要が無い。
【0064】
このような第一ロータ31、第二ロータ32、シャフト33は、例えばターボチャージャー30Tによって構成するようにしてもよい。これにより、第一ロータ31では、圧縮機13で圧縮された空気が第一ロータ31で膨張するので、第一ロータ31が効率良く回転される。また、第一ロータ31では、圧縮機13で圧縮された空気が第一ロータ31で膨張することによって温度が低下する。これにより、外部に高温の空気が排出されることが抑えられる。ここで、外部に排出される空気は、圧縮機13で昇温されているので、殺菌が成された空気である。
また、第二ロータ32では、外部から取り込む空気を圧縮することで昇温し、殺菌処理を施すこともできる。
このように、ターボチャージャー30Tを用いることで、より効率良く外気の導入を行うことができる。
【0065】
また、本実施形態における殺菌システム1Bは、圧縮機13で圧縮された空気に含まれる熱を回収する熱回収部40を備えている。殺菌システム1Bは、熱回収部40として、例えば、熱電素子41や、熱交換器42を備えている。
熱電素子41は、接続管14内を流れる、圧縮機13で昇温された空気の熱エネルギーを電気エネルギーに変換することで、発電をなす。熱電素子41で発電された電力は、例えば圧縮機13を作動させるために用いてもよい。
熱交換器42は、接続管14内を流れる、圧縮機13で昇温された空気と熱交換を行う。熱交換器42により交換された熱は、暖房等に利用される。例えば、熱交換器42により交換された熱は、病室202の暖房等に利用されてもよい。
【0066】
また、本実施形態における殺菌システム1Bは、圧縮機13の作動音が病室202内に侵入を抑えるため、例えば取出ライン11に、サイレンサーや、パッシブ型のノイズキャンセリング装置45を備える。
【0067】
(作用効果)
上記実施形態の殺菌システム1Bでは、取出ライン11を通して室5(病室202)内から取り出した空気を、圧縮機13で圧縮し、昇温させる。圧縮機13で昇温された空気は、冷却器15で冷却された後、供給ライン17を通して室5内に供給される。
このため、殺菌システム1Bでは、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、殺菌システム1Bは、構造物200全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
加えて、殺菌システム1Bでは、圧縮機13により殺菌されるため、例えば内燃機関が無いモバイルクリニックでも殺菌を行うことができる。
【0068】
上記実施形態の殺菌システム1Bは、第一実施形態と同様に、圧縮機13により、室5内の空気を循環しつつ殺菌することができる。
【0069】
上記実施形態の殺菌システム1Bは、第一実施形態と同様に、圧縮機13が、ヒーター等の昇温機能とファン等の送風機能を兼ね備えるため、殺菌システム1Bのコンパクト化が実現できる。
【0070】
上記実施形態の殺菌システム1Bは、第一実施形態と同様に、汚染空気の燃焼のために空気中の酸素を消費する必要がないため、環境への影響を低減できる。
【0071】
上記実施形態の殺菌システム1Bでは、排気ライン35と、外気導入ライン36と、を更に備える。これにより、外部から空気を取り入れて圧縮機13を経た空気に合流させることで、室5内の換気を図ることもできる。また、外部から取り入れる空気によって、圧縮機13を経た空気の温度を低下させることもできる。これによって、冷却器15の負荷を低減することもできる。
【0072】
上記実施形態の殺菌システム1Bでは、排気ライン35を通して外部に排出される空気の流れによって、第一ロータ31とともに第二ロータ32を回転させ、外部から空気を、外気導入ライン36を通して取り込むことができる。したがって、外部から空気を取り込むのに要するエネルギー量を抑えることができる。
【0073】
(第二実施形態の変形例)
このような殺菌システム1Bを備えた構造物200では、殺菌システム1Bを常時稼働させることで、上記第一実施形態で示した殺菌システム1Aの制御装置60Aによる制御を行わなくてもよい。
もちろん、構造物200に、上記第一実施形態と同様の構成を有した殺菌システム1Aを適用することも可能である。
【0074】
また、上記第二実施形態では、構造物200の用途として、コンテナ型のモバイルクリニックを例に挙げたが、これに限らない。上記のような構成を有する構造物200は、例えば、医療施設や療養施設、工場や倉庫、店舗やオフィス、商業施設、空港や駅、公共施設、教育施設、住居等の各種の建物であってもよい。
【0075】
<第三実施形態>
次に、この開示に係る殺菌システム、構造物、制御装置、制御方法の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一、第二実施形態と共通する構成については、第一、第二実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
【0076】
(構造物の構成)
図9に示すように、構造物300は、例えば有人宇宙探査機や、宇宙ステーション等である。構造物300には、室5として、感染病等の患者を収容するための収容室302Aと、収容室302Aに隣接して配置された別室302Bと、を備えている。このような構造物300は、殺菌システム1Cを備えている。
【0077】
(殺菌システムの構成)
殺菌システム1Cは、収容室302A、及び別室302B内の空気を殺菌する。殺菌システム1Cは、取出ライン11と、圧縮機13と、冷却器15と、供給ライン17と、循環ライン19と、オゾン生成部20Cと、制御装置60C(
図3参照)と、を主に備えている。
【0078】
取出ライン11は、一端が収容室302Aに連通するよう配置されている。取出ライン11の他端は、圧縮機13に接続されている。取出ライン11は、圧縮機13が作動すると、圧縮機13で生じる負圧により、収容室302A内の空気を吸い込む。これにより、取出ライン11は、収容室302A内の空気を収容室302Aから取り出す。収容室302A内は、取出ライン11によって空気が吸い出されることによって、別室302Bよりも圧力が低い、陰圧とされる。
【0079】
圧縮機13は、取出ライン11で取り出した空気を圧縮する。圧縮機13で収容室302Aから取り出した空気を圧縮すると、空気の圧力及び温度が上昇する。圧縮された空気の温度が基準値以上まで昇温されると、空気の殺菌がなされ、空気に含まれるウィルスや菌が消滅、又は低減される。圧縮機13の吐出側には、圧縮機13で圧縮された空気の温度を検出する温度センサー71が配置されている。
【0080】
冷却器15は、圧縮機13の吐出側(下流側)に接続管14を介して接続されている。冷却器15は、圧縮機13で昇温された空気を冷却する。冷却器15には、いわゆるエアクーラーを用いることができる。
【0081】
本実施形態において、冷却器15は、圧縮機13で昇温された空気を冷却する際に(結露によって)生成される水(水分)を回収する。冷却器15には、回収した水を、オゾン生成部20Cと、別室302B内に供給するための水分供給ライン81、82を備えている。水分供給ライン81、82には、それぞれオゾンの供給を断続する第七弁81v、第八弁82vが配置されている。
【0082】
供給ライン17は、一端が冷却器15に接続されている。供給ライン17の他端は、別室302Bに連通するよう配置されている。供給ライン17は、冷却器15で冷却された空気を別室302B内に供給する。供給ライン17には、別室302Bへの空気の供給を断続する第一弁17vが配置されている。供給ライン17には、水分供給ライン82を通して水分が供給される。これにより、別室302B内には、空気と共に水分が補給され、別室302B内の湿度調整がなされる。
【0083】
循環ライン19は、その一端が圧縮機13の吐出側の接続管14に接続されている。循環ライン19の他端は、取出ライン11の収容室302A側の一端に接続されている。循環ライン19は、圧縮機13を経た空気を、取出ライン11に循環させる。循環ライン19には、圧縮機13を経た空気の取出ライン11への循環を断続する第二弁19vが配置されている。
例えば、第二弁19vに関連して、接続管14には、弁14vが配置されてもよい。
例えば、接続管14と循環ライン19との分岐点と冷却器15との間であって、接続管14と循環ライン19との分岐点の直後の位置に、弁14vが配置されてもよい。その際、接続管14と循環ライン19との分岐点と、弁14vと、の間に、温度センサー71が配置されてもよい。
例えば、圧縮機13を経た空気を取出ライン11に循環させる場合に、第二弁19vが開かれ、弁14vが閉じられてもよい。
例えば、圧縮機13を経た空気を取出ライン11に循環させない場合に、第二弁19vが閉じられ、弁14vが開かれてもよい。
【0084】
オゾン生成部20Cは、圧縮機13で圧縮された空気からオゾンを生成する。オゾン生成部20Cは、濃縮酸素生成器21と、オゾン生成器23と、タンク27と、オゾン供給ライン25と、を備えている。
【0085】
濃縮酸素生成器21は、冷却器15に接続管22を介して接続されている。濃縮酸素生成器21は、冷却器15を経た空気に含まれる酸素を濃縮し、濃縮酸素を生成する。接続管22には、冷却器15から濃縮酸素生成器21への空気の送給を断続する第三弁22vが配置されている。
タンク27は、濃縮酸素生成器21で生成された濃縮酸素を貯留する。
【0086】
オゾン生成器23は、タンク27の下流側に接続管29を介して接続されている。オゾン生成器23は、タンク27に貯留された濃縮酸素からオゾンを生成する。接続管29には、濃縮酸素生成器21からオゾン生成器23への空気の送給を断続する第九弁29vが配置されている。本実施形態において、オゾン生成器23は、冷却器15から水分供給ライン81を通して供給される水(水分)に、オゾンを混入させることで、オゾン水を生成する。
オゾン供給ライン25は、オゾン生成器23で生成されたオゾン水を、収容室302A内に供給する。
【0087】
また、本実施形態の殺菌システム1Cは、二酸化炭素分離器50を備えている。二酸化炭素分離器50は、圧縮機13で圧縮された空気から二酸化炭素を分離する。二酸化炭素分離器50としては、例えば、ゼオライト等を用いることができる。二酸化炭素分離器50で分離した二酸化炭素は、構造物300内で、例えば室内農業等に有効利用することができる。
特にゼオライト等は、気体が高圧であるほど分離効率が高いことが証明されており、圧縮機13で圧縮された空気であることにメリットがある。
農業利用のメリットは、農作物が光合成を行う際に、二酸化炭素が必要で、さらに酸素を生成する点にある。
ビニルハウスでは、隔離されているため、二酸化炭素不足となりがちである。
これに対し、殺菌システム1Cで生成した二酸化炭素を農作物に供給することで、農作物の成長促進が図れる。
同様に宇宙ステーションにおいても、殺菌システム1Cで生成した二酸化炭素を利用することで、植物の成長を促進させることができる。
植物の成長を促進により、酸素発生量を増加させれば、空間内の酸素量を増加させることができるため、結果的に濃縮酸素を多く貯めることができ、殺菌システム1Cにおける殺菌効率も良くなる。
この点は、他の実施形態においても同様である。
【0088】
例えば、本実施形態の殺菌システム1Cは、第二実施形態と同様に、圧縮機13で圧縮された空気に含まれる熱を回収する熱回収部40をさらに備えていてもよい。その際、接続管14と循環ライン19との分岐点と熱回収部40との間の位置であって、接続管14と循環ライン19との分岐点の直後の位置に、弁14vが配置されてもよい。その際、接続管14と循環ライン19との分岐点と、弁14vと、の間に、温度センサー71が配置されてもよい。
【0089】
(制御装置の構成)
制御装置60Cは、上記したような殺菌システム1Cの動作を制御する。
図3に示すように、制御装置60Cは、起動部61と、判定部62と、空気供給部63と、再圧縮部64と、オゾン供給部65Cと、取出ライン殺菌部66と、を機能的に備えている。
【0090】
起動部61は、圧縮機13の起動を制御する。起動部61は、圧縮機13を起動させて、収容室302A(室5)内から取り出した空気を圧縮することで、空気を昇温させる。
【0091】
判定部62は、温度センサー71から、圧縮機13で圧縮することで昇温された空気の温度の検出データを受信する。判定部62は、温度センサー71で検出される、圧縮機13で昇温された空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定する。
【0092】
空気供給部63は、判定部62での判定結果に基づき、空気の温度が予め定めた基準値以上であった場合に、圧縮機13で昇温された空気を別室302Bに供給する。
【0093】
再圧縮部64は、圧縮機13で圧縮された空気の温度が定められた基準値未満である場合に、空気を圧縮機13で再度圧縮する。これには、再圧縮部64は、圧縮機13で圧縮された空気を、循環ライン19を通して取出ライン11に循環させる。これにより、取出ライン11を通して循環された空気が圧縮機13で再度圧縮される。
【0094】
オゾン供給部65Cは、収容室302A内(室5内)が無人である場合に、オゾン生成部20Cでオゾンを生成させ、収容室302A内に供給する。具体的には、オゾン供給部65Cは、殺菌システム1Cの稼働中、常時、濃縮酸素生成器21で、圧縮機13で圧縮された空気から濃縮酸素を生成させる。生成されたオゾンは、タンク27に貯留される。
オゾン供給部65Cは、収容室302A内(室5内)が無人である場合に、オゾン生成器23で、タンク27に貯留された濃縮酸素からオゾンを生成させる。オゾン生成器23で生成されたオゾンは、オゾン供給ライン25を通して収容室302A(室5)内に供給させる。
【0095】
取出ライン殺菌部66は、取出ライン11の内部を殺菌する。取出ライン殺菌部66は、圧縮機13で圧縮されて基準値以上の温度に昇温された空気を、循環ライン19を通して、取出ライン11に循環させる。これにより、取出ライン11内が、昇温された空気によって殺菌される。
【0096】
(制御方法の手順)
図4に示すように、本実施形態に係る殺菌システム1Cの制御方法S21は、圧縮機13を起動させて空気を昇温させるステップS22と、昇温させた空気の温度が基準値以上であるか否かを判定するステップS23と、昇温させた空気を室5内に供給するステップS24と、空気を圧縮機で再度圧縮するステップS25と、室内が無人であるか否かを判定するステップS26と、オゾンを室内に供給するステップS27と、取出ライン11を殺菌するステップS28と、圧縮機13を停止させるステップS29と、を備えている。殺菌システム1Cの制御方法S21は、制御装置60Cが、予め設定されたプログラムに基づいて所定の処理を順次実行することによって実現される。
【0097】
圧縮機13を起動させて空気を昇温させるステップS22では、収容室302Aの使用開始時に、制御装置60Cの起動部61が、圧縮機13を起動させる。すると、収容室302A内の空気が、取出ライン11を通して圧縮機13に取り込まれる。圧縮機13に取り込まれた空気は、圧縮機13で圧縮されて、その空気の圧力及び温度が上昇する。
圧縮機13で圧縮されて昇温した空気は、圧縮機13から接続管14に吐出される。圧縮機13から吐出された空気の温度は、温度センサー71によって検出される。温度センサー71は、検出した空気の温度を、制御装置60Cに送信する。
【0098】
昇温させた空気の温度が基準値以上であるか否かを判定するステップS23では、判定部62が、温度センサー71で検出された、圧縮機13で昇温した空気の温度が、予め定められた基準値(例えば100℃)以上であるか否かを判定する。
【0099】
ステップS23において、圧縮機13で昇温した空気の温度が基準値以上であると判定された場合、ステップS24に移行する。昇温させた空気を室5内に供給するステップS24では、上記ステップS23で空気の温度が予め定めた基準値以上であった場合、
図10に示すように、空気供給部63が、第二弁19v、第七弁81v、第九弁29vを閉じ、第一弁17v、第三弁22v、第八弁82vを開く。さらに、弁14vを開いてもよい。すると、圧縮機13で昇温された空気が、供給ライン17を通して別室302B内に供給される。圧縮機13で昇温された空気は、基準値以上の温度となることで、空気中に含まれるウィルスや菌の殺菌がなされる。圧縮機13を経た空気は、冷却器15で冷却された後、別室302B内に供給される。このようにして、別室302B内には、殺菌された空気が供給される。別室302Bに供給された空気は、別室302Bと収容室302Aとの圧力差により、別室302B側から収容室302A側へと流入する。これによって、収容室302A内に、殺菌された空気が供給される。また、冷却器15で回収された水分は、水分供給ライン82をとして、空気と共に別室302Bに供給される。
【0100】
ステップS23で、圧縮機13で昇温した空気の温度が基準値未満であると判定された場合、ステップS25に移行する。空気を圧縮機で再度圧縮するステップS25では、
図11に示すように、再圧縮部64が第一弁17v、第三弁22v、第七弁81v、第八弁82v、第九弁29vを閉じ、第二弁19vを開く。さらに、弁14vを閉じてもよい。これにより、圧縮機13で圧縮された空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に循環される。取出ライン11に循環された空気は、圧縮機13に送られて再度圧縮される。このとき、圧縮機13を経た空気は、その温度が基準値未満であっても、ある程度は昇温している。この空気を、循環ライン19、取出ライン11を経て、圧縮機13で再度圧縮すれば、昇温が速やかに行われる。
このようにして圧縮機13で再度圧縮しながら、圧縮機13を経た空気の温度が、上記ステップ基準値以上となったら、ステップS24に移行し、第一弁17vを開き、第二弁19vを閉じる。さらに、弁14vを閉じてもよい。これにより、圧縮機13を経て所定温度以上に昇温した空気を冷却器15に供給する。
【0101】
室内が無人であるか否かを判定するステップS26では、収容室302Aの使用終了後等に、制御装置60Cは、収容室302A内が無人であるか否かを判定する。収容室302A内が無人であるか否かを判定するには、例えば、収容室302A内に人感センサー等を設けてもよいし、収容室302Aの運用者が、収容室302Aの使用を完了したことを示す所定の操作等を行う等してもよい。その結果、収容室302A内が無人でなければ、ステップS24を継続する。
【0102】
ステップS26で収容室302A内が無人であると判定された場合、ステップS27に移行する。オゾンを室内に供給するステップS27では、オゾン供給部65Cが、
図12に示すように、第一弁17v、第二弁19v、第三弁22v、第八弁82v、第九弁29vを閉じる。その際、弁14vを閉じてもよい。さらに、オゾン供給部65Cが、第七弁81vを開く。これにより、オゾン生成部20Cは、タンク27に貯留された濃縮酸素からオゾンを生成する。オゾン生成器23で生成されたオゾンは、水分供給ライン81を通して供給される水とともに、オゾン供給ライン25を通して収容室302Aに供給される。これにより、収容室302A内を、オゾン水により殺菌することができる。
【0103】
オゾンによる収容室302A内の殺菌が終了したら、次いで、取出ライン11を殺菌するステップS28を実行する。取出ライン11を殺菌するステップS28では、取出ライン殺菌部66が、
図11に示すように、第一弁17v、第三弁22v、第七弁81v、第八弁82v、第九弁29vを閉じ、第二弁19vを開く。さらに、弁14vを閉じてもよい。これにより、圧縮機13で昇温した空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に供給される。これにより、取出ライン11の内部が殺菌される。
【0104】
ステップS28の取出ライン11の内部の殺菌を、予め定めた時間実施したら、圧縮機13を停止させるステップS29を実行する。圧縮機13を停止させるステップS29では、圧縮機13を停止させる。これによって、殺菌システム1Cによる一連の殺菌処理が終了する。
【0105】
(作用効果)
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、取出ライン11を通して室5(収容室302A)内から取り出した空気を、圧縮機13で圧縮し、昇温させる。圧縮機13で昇温された空気は、冷却器15で冷却された後、供給ライン17を通して室5内に供給される。
このため、殺菌システム1Cでは、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、殺菌システム1Cは、構造物300全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0106】
上記実施形態の殺菌システム1Cは、第一実施形態と同様に、圧縮機13が、ヒーター等の昇温機能とファン等の送風機能を兼ね備えるため、殺菌システム1Cのコンパクト化が実現できる。
【0107】
上記実施形態の殺菌システム1Cは、第一実施形態と同様に、汚染空気の燃焼のために空気中の酸素を消費する必要がないため、環境への影響を低減できる。
【0108】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13により殺菌されるため、例えば資源が限られている宇宙空間でも殺菌を行うことができる。
例えば有人宇宙探査機や宇宙ステーション等の資源が限られた場所において、特許文献1に記載の殺菌システムのように汚染空気を常に燃焼させることは非効率である。
これに対し、上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13により汚染空気を圧縮し、汚染空気を昇温させて殺菌している。
このため、汚染空気の燃焼させる必要がない。
したがって、殺菌システム1Cは、資源が限られた場所においても効率よく汚染空気を殺菌することができる。
【0109】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13で昇温されて殺菌された空気を、循環ライン19を通して取出ライン11に循環させることで、圧縮機13よりも室内側に位置する取出ライン11内を殺菌することができる。
【0110】
上記実施形態の殺菌システム1Cの一例は、第一実施形態と同様に、圧縮機13の停止時においても、菌が拡散することを抑制できる。
【0111】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13を経て昇温された空気の温度が、予め定めた基準値未満である場合に、圧縮機13を経た空気が、循環ライン19を通して取出ライン11に循環される。すると、循環された空気は、取出ライン11を通して圧縮機13に送り込まれて再度圧縮される。これにより、予め定めた基準値未満であった空気を、圧縮機13で圧縮して更に昇温させることができる。
【0112】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンを室5内に供給することで、オゾンによって室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0113】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13で圧縮された空気から生成されたオゾンを水に混入させることで生成したオゾン水により、室5内を殺菌することができる。オゾンは、圧縮機13で圧縮された空気から生成されたものであり、水は、空気を冷却する際に生成されたものである。このため、室5内の殺菌を、より効率的に行うことが可能となる。
【0114】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、濃縮酸素生成器21で生成された濃縮酸素を貯留するタンク27を更に備えている。これにより、圧縮機13で空気を順次圧縮することで生成される濃縮酸素を、タンク27に一時的に貯留することができる。室5内にオゾンを供給可能となった場合には、タンク27に貯留された濃縮酸素からオゾンを生成し、オゾンを室5内に供給する。これにより、オゾンを長期間にわたって保存する必要が無く、オゾンの変質や、オゾンに接触する部材がオゾンによって悪影響を受けるのを抑えることができる。
【0115】
上記実施形態の殺菌システム1Cでは、圧縮機13で圧縮された空気から二酸化炭素を分離することで、室5内の二酸化炭素量の増加を抑えることができる。また、分離した二酸化炭素を、他の用途に有効利用することもできる。
【0116】
上記実施形態の構造物300では、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、構造物300は、構造物300全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0117】
上記実施形態の制御装置60Cによれば、殺菌システム1Cにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御装置60Cによれば、構造物300全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0118】
上記実施形態の制御装置60Cは、圧縮機13を経て昇温された空気の温度が、予め定めた温度未満である場合に、空気を圧縮機13で再度圧縮できるため、空気を更に昇温させることができる。
【0119】
上記実施形態の制御装置60Cは、室5内が無人である場合に、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンにより、室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0120】
上記実施形態の制御方法S21によれば、殺菌システム1Aにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御方法S21によれば、構造物300全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0121】
(第三実施形態の変形例)
図13に示すように、上記第三実施形態で示した殺菌システム1Cにおいても、上記第二実施形態で示したような外気導入部30を備えるようにしても良い。この場合、外気導入ライン36では、構造物300内で、収容室302A、及び別室302B以外の他の領域から外部の空気を取り入れる。
また、この場合、外気導入部30での外気導入を適宜選択的に実行できるように、接続管14、排気ライン35、外気導入ライン36に、弁14w、35w、36wを設けるようにしてもよい。
【0122】
さらに、上記第三実施形態では、収容室302Aにオゾンを供給し、別室302Bに殺菌された空気を供給するようにしたが、収容室302Aに、オゾンと殺菌された空気の双方を供給するようにしてもよい。
【0123】
<プログラムの実施形態>
なお、上述の各実施形態においては、制御装置60A、60Cの各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをマイコンといったコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPUの各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0124】
上述の各実施形態において、制御装置60A、60Cの各種機能を実現するためのプログラムを実行させるコンピュータ190のハードウェア構成の例について説明する。
【0125】
図14に示すように、制御装置60A、60Cが備えるコンピュータ190は、プロセッサ195と、メモリ196と、記憶/再生装置197と、Input Output Interface(以下、「IO I/F」という。)198と、通信Interface(以下、「通信I/F」という。)199と、を備える。
【0126】
例えば、プロセッサ195は、CPUであってもよい。
例えば、メモリ196は、制御装置60A、60Cで実行されるプログラムで使用されるデータ等を一時的に記憶するRandom Access Memory(以下、「RAM」という。)等の媒体であってもよい。
例えば、記憶/再生装置197は、CD-ROM、DVD、フラッシュメモリ等の外部メディアへデータ等を記憶したり、外部メディアのデータ等を再生したりするための装置であってもよい。
例えば、IO I/F198は、制御装置60A、60Cと他の装置との間で情報等の入出力を行うためのインタフェースであってもよい。
例えば、通信I/F199は、インターネット、専用通信回線等の通信回線を介して、制御装置60A、60Cと他の装置との間で通信を行うインタフェースであってもよい。
【0127】
<殺菌方法の実施形態>
次に、この開示に係る殺菌方法の実施形態について説明する。
本殺菌方法は、例えば、上述の実施形態のいずれかの殺菌システムを用いて実施されてもよい。
【0128】
図15に示すように殺菌方法ST100は、室5内の空気を室5内から取り出す工程(ST101:取り出すステップ)と、取り出した空気を圧縮することで、昇温させる工程(ST102:昇温させるステップ)と、昇温された空気を冷却し、冷却された空気を室5内に供給する工程(ST103:供給するステップ)と、を含む。
【0129】
この殺菌方法ST100は、室5内から取り出した空気を、圧縮し、昇温させる。昇温された空気は、冷却された後、室5内に供給される。
このため、殺菌方法ST100では、圧縮により殺菌される一方、室5には、殺菌された空気が供給される。
したがって、殺菌方法ST100は、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0130】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記第一実施形態では、車両100として、緊急搬送車両を例示したが、これに限らず、例えば、各種の自動車、鉄道車両等であってもよい。
また、上記第二、第三実施形態では、構造物200、300の用途を例示したが、上記した以外にも、構造物は、医療施設や療養施設、工場や倉庫、店舗やオフィス、商業施設、空港や駅、公共施設、教育施設、住居等の各種の建物であってもよい。
また、上記の手順は適宜順番を入れ替えることが可能である。
【0131】
<付記>
各実施形態に記載の殺菌システム1A、1B、1C、車両100、構造物200、制御装置60A、60C、制御方法S1、S21、プログラム、及び殺菌方法ST100は、例えば以下のように把握される。
【0132】
(1)第1の態様に係る殺菌システム1A、1B、1Cは、室5内の空気を前記室5内から取り出す取出ライン11と、前記取出ライン11で取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる圧縮機13と、前記圧縮機13で昇温された前記空気を冷却する冷却器15と、前記冷却器15で冷却された前記空気を前記室5内に供給する供給ライン17と、を備える。
【0133】
この殺菌システム1A、1B、1Cは、取出ライン11を通して室5内から取り出した空気を、圧縮機13で圧縮し、昇温させる。圧縮機13で昇温された空気は、冷却器15で冷却された後、供給ライン17を通して室5内に供給される。
このため、殺菌システム1A、1B、1Cでは、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、殺菌システム1A、1B、1Cは、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0134】
(2)第2の態様に係る殺菌システム1A、1Cは、(1)の殺菌システム1A、1Cであって、前記圧縮機13を経た前記空気を、前記取出ライン11に循環させる循環ライン19を更に備える。
【0135】
これにより、殺菌システム1A、1Cでは、圧縮機13で昇温されて殺菌された空気を、循環ライン19を通して取出ライン11に循環させることで、圧縮機13よりも室内側に位置する取出ライン11内を殺菌することができる。
このため、殺菌システム1A、1Cでは、圧縮機13よりも室内側に位置する取出ライン11内を殺菌することができる。
したがって、殺菌システム1A、1Cは、圧縮機13の停止時においても、菌が拡散することを抑制できる。
【0136】
(3)第3の態様に係る殺菌システム1A、1Cは、(1)又は(2)の殺菌システム1A、1Cであって、前記圧縮機13を経た前記空気の温度を検出する温度センサー71、を更に備え、前記温度センサー71で検出された前記空気の温度が、予め定めた基準値未満である場合に、前記空気を前記圧縮機13で再度圧縮する。
【0137】
これにより、予め定めた基準値未満であった空気を、圧縮機13で再度圧縮して更に昇温させることができる。
【0138】
(4)第4の態様に係る殺菌システム1A、1Cは、(1)から(3)の何れか一つの殺菌システム1A、1Cであって、前記圧縮機13で圧縮された前記空気から濃縮酸素を生成する濃縮酸素生成器21と、前記濃縮酸素からオゾンを生成するオゾン生成器23と、前記オゾンを前記室5内に供給するオゾン供給ライン25と、を更に備える。
【0139】
これにより、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンを室5内に供給することで、オゾンによって室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0140】
(5)第5の態様に係る殺菌システム1Cは、(4)の殺菌システム1Cであって、前記オゾン生成器23は、前記冷却器15で前記空気を冷却する際に生成される水に、前記オゾンを混入させることで、オゾン水を生成し、前記オゾン供給ライン25は、前記オゾン水を前記室5内に供給する。
【0141】
これにより、圧縮機13で圧縮された空気から生成されたオゾンを水に混入させることで生成したオゾン水により、室5内を殺菌することができる。オゾンは、圧縮機13で圧縮された空気から生成されたものであり、水は、空気を冷却する際に生成されたものである。このため、室5内の殺菌を、より効率的に行うことが可能となる。
【0142】
(6)第6の態様に係る殺菌システム1Cは、(4)又は(5)の殺菌システム1Cであって、前記濃縮酸素生成器21で生成された前記濃縮酸素を貯留するタンク27を更に備え、前記オゾン生成器23は、前記室5内に前記オゾンを供給可能となった場合に、前記濃縮酸素から前記オゾンを生成する。
【0143】
これにより、圧縮機13で空気を順次圧縮することで生成される濃縮酸素を、タンク27に一時的に貯留することができる。室5内にオゾンを供給可能となった場合には、濃縮酸素からオゾンを生成し、オゾンを室5内に供給する。これにより、オゾンを長期間にわたって保存する必要が無く、オゾンの変質や、オゾンに接触する部材がオゾンによって悪影響が及ぼされるのを抑えることができる。
【0144】
(7)第7の態様に係る殺菌システム1B、1Cは、(1)から(6)の何れか一つの殺菌システム1B、1Cであって、前記圧縮機13を経た前記空気の一部を外部に排出する排気ライン35と、外部から空気を取り入れ、前記圧縮機13を経た前記空気の残部に合流させる外気導入ライン36と、を更に備える。
【0145】
これにより、外部から空気を取り入れて圧縮機13を経た空気に合流させることで、室5内の換気を図ることもできる。また、外部から取り入れる空気によって、圧縮機13を経た空気の温度を低下させることもできる。これによって、冷却器15の負荷を低減することもできる。
【0146】
(8)第8の態様に係る殺菌システム1B、1Cは、(7)の殺菌システム1B、1Cであって、前記排気ライン35内の前記空気の流れによって回転駆動される第一ロータ31と、前記第一ロータ31とともに回転し、前記外気導入ライン36内の空気を前記圧縮機13の下流側に送り込む第二ロータ32と、を備える。
【0147】
これにより、排気ライン35を通して外部に排出される空気の流れによって、第一ロータ31とともに第二ロータ32を回転させ、外部から空気を、外気導入ライン36を通して取り込むことができる。したがって、外部から空気を取り込むのに要するエネルギー量を抑えることができる。
【0148】
(9)第9の態様に係る殺菌システム1B、1Cは、(1)から(8)の何れか一つの殺菌システム1B、1Cであって、前記圧縮機13で圧縮された前記空気に含まれる熱を回収することで、前記室5内の空気の加熱、及び発電の少なくとも一方を行う熱回収部40、を更に備える。
【0149】
これにより、圧縮機13で圧縮された空気の熱エネルギーを有効利用することができる。
【0150】
(10)第10の態様に係る殺菌システム1Cは、(1)から(9)の何れか一つの殺菌システム1Cであって、前記圧縮機13で圧縮された前記空気から二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離器50、を更に備える。
【0151】
これにより、圧縮機13で圧縮された空気から二酸化炭素を分離することで、室5内の二酸化炭素量の増加を抑えることができる。また、分離した二酸化炭素を、他の用途に有効利用することもできる。
【0152】
(11)第11の態様に係る車両100は、(1)から(10)の何れか一つの殺菌システム1Aを備える。
車両100の例としては、緊急搬送車両をはじめとする各種の自動車、鉄道車両等が挙げられる。
【0153】
車両100では、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、車両100は、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0154】
(12)第12の態様に係る構造物200、300は、(1)から(10)の何れか一つの殺菌システム1B、1Cを備える。
構造物200、300の例としては、医療施設や療養施設、工場や倉庫、オフィス、商業施設、公共施設、教育施設、住居等を各種の建物、宇宙ステーション等が挙げられる。
【0155】
構造物200、300では、圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、構造物200、300は、車両100全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0156】
(13)第13の態様に係る制御装置60A、60Cは、(1)から(10)の何れか一つの殺菌システム1A、1Cの制御装置60A、60Cであって、前記圧縮機13を起動させ、前記室5内から取り出した前記室5内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温させる起動部61と、前記圧縮機13で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定する判定部62と、前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機13で昇温された前記空気を、前記室5内に供給する空気供給部63と、を備える。
【0157】
制御装置60A、60Cによれば、殺菌システム1A、1Cにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御装置60A、60Cによれば、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0158】
(14)第14の態様に係る制御装置60A、60Cは、(13)の制御装置60A、60Cであって、前記圧縮機13で圧縮された前記空気の温度が定められた基準値未満である場合に、前記圧縮機13で圧縮された前記空気を、前記取出ライン11に循環させる再圧縮部64、を更に備える。
【0159】
これにより、圧縮機13を経て昇温された空気の温度が、予め定めた基準値未満である場合に、圧縮機13を経た空気は、取出ライン11に循環される。すると、循環された空気は、取出ライン11を通して圧縮機13に送り込まれて再度圧縮される。これにより、空気を圧縮機13で再度圧縮することによって、空気を更に昇温させることができる。
【0160】
(15)第15の態様に係る制御装置60A、60Cは、(13)又は(14)の制御装置60A、60Cであって、前記室5内が無人である場合に、前記圧縮機13で圧縮された前記空気からオゾンを生成し、前記オゾンを前記室5内に供給するオゾン供給部65A、65C、を更に備える。
【0161】
これにより、室5内が無人である場合に、圧縮機13で圧縮された空気から生成したオゾンにより、室5内を殺菌することができる。したがって、室5内の殺菌を、より効率的に行うことができる。
【0162】
(16)第16の態様に係る制御方法S1、S21は、(1)から(10)の何れか一つの殺菌システム1A、1Cの制御方法S1、S21であって、前記圧縮機13を起動させ、前記室5内から取り出した前記室5内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温し、前記圧縮機13で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定し、前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機13で昇温された前記空気を、前記室5内に供給する。
【0163】
制御方法S1、S21によれば、殺菌システム1A、1Cにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、制御方法S1、S21によれば、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0164】
(17)第17の態様に係るプログラムは、コンピュータに、(1)から(10)の何れか一つの殺菌システム1A、1Cの前記圧縮機13を起動させ、前記室5内から取り出した前記室5内の空気を圧縮することで、前記空気を昇温し、前記圧縮機13で圧縮することで昇温させた前記空気の温度が、予め定めた基準値以上であるか否かを判定し、前記空気の温度が予め定めた前記基準値以上であった場合に、前記圧縮機13で昇温された前記空気を、前記室5内に供給する方法を実行させる。
【0165】
プログラムによれば、殺菌システム1A、1Cにおいて圧縮機13により殺菌される一方、室5には、殺菌された流路である供給ライン17を通じて空気が供給される。
したがって、プログラムによれば、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【0166】
(18)第18の態様に係る殺菌方法ST100は、室5内の空気を前記室5内から取り出す工程と、取り出した前記空気を圧縮することで、昇温させる工程と、昇温された前記空気を冷却し、冷却された前記空気を前記室5内に供給する工程と、を含む。
【0167】
この殺菌方法ST100は、室5内から取り出した空気を、圧縮し、昇温させる。昇温された空気は、冷却された後、室5内に供給される。
このため、殺菌方法ST100では、圧縮により殺菌される一方、室5には、殺菌された空気が供給される。
したがって、殺菌方法ST100は、システム全体のエネルギー効率を担保しつつも、室5内外の汚染を抑制できる。
【符号の説明】
【0168】
1A、1B、1C…殺菌システム
5…室
11…取出ライン
13…圧縮機
14…接続管
14v…弁
14w…弁
14z…絞り
15…冷却器
17…供給ライン
17v…第一弁
19…循環ライン
19v…第二弁
20A、20C…オゾン生成部
21…濃縮酸素生成器
22…接続管
22v…第三弁
23…オゾン生成器
24…接続管
24v…第四弁
25…オゾン供給ライン
25A…第一オゾン供給ライン
25B…第二オゾン供給ライン
25v…第五弁
25w…第六弁
27…タンク
29…接続管
29v…第九弁
30…外気導入部
30T…ターボチャージャー
31…第一ロータ
32…第二ロータ
33…シャフト
35…排気ライン
35g…排気部
35r…リターンライン
35w、36w…弁
36…外気導入ライン
40…熱回収部
41…熱電素子
42…熱交換器
45…ノイズキャンセリング装置
50…二酸化炭素分離器
60A、60C…制御装置
61…起動部
62…判定部
63…空気供給部
64…再圧縮部
65A、65C…オゾン供給部
66…取出ライン殺菌部
71…温度センサー
81、82…水分供給ライン
81v…第七弁
82v…第八弁
100…車両
101…車体
102…車室
102A…第一車室
102B…第二車室
105…区画壁
110…エアーコンディショナー装置
190…コンピュータ
195…プロセッサ
196…メモリ
197…記憶/再生装置
198…IO I/F
199…通信I/F
200…構造物
201…構造物本体
202…病室
300…構造物
302A…収容室
302B…別室
Dm…走行方向
S1、S21…制御方法
S2、S22…圧縮機を起動させて空気を昇温させるステップ
S3、S23…昇温させた空気の温度が基準値以上であるか否かを判定するステップ
S4、S24…昇温させた空気を室内に供給するステップ
S5、S25…空気を圧縮機で再度圧縮するステップ
S6、S26…室内が無人であるか否かを判定するステップ
S7、S27…オゾンを室内に供給するステップ
S8、S28…取出ラインを殺菌するステップ
S9、S29…圧縮機を停止させるステップ
ST100…殺菌方法
ST101…取り出すステップ
ST102…昇温させるステップ
ST103…供給するステップ