(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】流体荷役装置用緊急離脱機構
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20241101BHJP
【FI】
B67D7/32 H
(21)【出願番号】P 2020176886
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】508173901
【氏名又は名称】TBグローバルテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】高澤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】レガル カンタン ミチエル ピエル
【審査官】西山 智宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/071591(WO,A2)
【文献】実開平02-093300(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体荷役装置の配管途中に設けられ、流体の流通を遮断する弁体を有し回動継手に回動自在に連設される上側弁体収容体と、流体の流通を遮断する弁体を有し前記上側弁体収容体の下方に連結される下側弁体収容体と、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体との連結保持若しくは連結解除をする連結機構と、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体の前記各弁体を閉弁動作させる弁体作動機構とを備え、前記弁体作動機構の作動により前記各弁体が閉弁した後、前記連結機構の作動により前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体との連結解除をして該上側弁体収容体と該下側弁体収容体とが分離するように構成されている流体荷役装置用緊急離脱機構であって、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体とが分離した際に、前記上側弁体収容体の前記下側弁体収容体に対する離脱移動をガイドするガイド機構を有し、このガイド機構は、前記上側弁体収容体に設けられる被ガイド部材と、前記下側弁体収容体に設けられ前記被ガイド部材をガイドするガイド部材とを備え、前記被ガイド部材と前記ガイド部材とのガイド長は、前記上側弁体収容体が前記回動継手の回転軸を回転中心として回動した場合、前記上側弁体収容体側に設けられ該上側弁体収容体の前記下側弁体収容体との連結面から下方に突出する下方突出部が該下側弁体収容体に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体をガイドする長さ、または、前記下側弁体収容体側に設けられ該下側弁体収容体の前記上側弁体収容体との連結面から上方に突出する上方突出部が該上側弁体収容体に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体をガイドする長さに設定され、前記上側弁体収容体は、このガイド機構にガイドされている間は前記回動動作が規制されるように構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構。
【請求項2】
流体荷役装置の配管途中に設けられ
、流体の流通を遮断する弁体を有し回動継手に回動自在に連設される上側弁体収容体と、流体の流通を遮断する弁体を有し前記上側弁体収容体の下方に連結される下側弁体収容体と、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体との連結保持若しくは連結解除をする連結機構と、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体の前記各弁体を閉弁動作させる弁体作動機構とを備え、前記各弁体は、前記上側弁体収容体及び前記下側弁体収容体夫々の側方に突設される弁軸により閉弁動作が行われるものであり、また、前記弁体作動機構は、前記上側弁体収容体及び前記下側弁体収容体の側方にして前記各弁軸間に上端が回動自在に連結し下端が離脱自在に係合した状態で架設され前記各弁体を同時に閉弁させるリンク部材を有し、また、前記連結機構は、前記各弁体が閉弁した後、前記上側弁体収容体と前記下側弁体収容体との連結解除をして該上側弁体収容体と該下側弁体収容体とが分離するように構成されている流体荷役装置用緊急離脱機構であって、前
記上側弁体収容
体と前記下側弁体収容体とが分離した際に
、前記上側弁体収容体
の前記下側弁体収容体に対
する離脱移動をガイドするガイド機構
を有し、このガイド機構は、前記上側弁体収容体に設けられる被ガイド部材と、前記下側弁体収容体に設けられ前記被ガイド部材をガイドするガイド部材とを備え、前記被ガイド部材と前記ガイド部材とのガイド長は、前記上側弁体収容体が前記回動継手の回転軸を回転中心として回動した場合、前記上側弁体収容体の前記弁軸に連結され垂設状態の前記リンク部材が前記下側弁体収容体に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体をガイドする長さに設定され、前記上側弁体収容体は、このガイド機構にガイドされている間は前記回動動作が規制されるように構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材は、前記上側弁体収容体の前記下側弁体収容体との連結面より下方に突出するように垂設され、また、前記ガイド部材は、前記下側弁体収容体の前記上側弁体収容体との連結面より上方に突出するように立設されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構。
【請求項4】
請求項
1~3いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材及び前記ガイド部材は、一方が筒状体に構成され、他方がこの筒状体に嵌入する棒状体に構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材の内面若しくは前記ガイド部材の外面に摺動部材が設けられていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体荷役装置の配管途中に設けられる流体荷役装置用緊急離脱機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海上のタンカーと陸上の流体貯蔵設備との間で液化天然ガスや液化石油ガス等の各種流体の荷役作業を行う場合、ローディングアームと称される流体荷役装置が用いられている。
【0003】
また、この流体荷役装置の多くには、強風、高潮、津波等の海面変動によるタンカーの予期せぬ移動が生じた場合や、海上側、陸上側の一方で火災等の不測の事態が発生した場合等の緊急時に、速やかに流体の搬送を緊急遮断弁によって遮断し流体の外部への流出を阻止した閉弁状態とした後、流体荷役装置の搬送ラインを海上側、陸上側の夫々に分離し、この流体荷役装置やタンカー側の配管接続部の破損を防止するための緊急離脱機構が設けられている(例えば特許文献1,2)。
【0004】
この緊急離脱機構30は、一般的には、
図6~8に示すように、流体荷役装置40のアウトボードアーム43の先端側途中に設けられ、夫々に流体の流通を遮断する弁体を有し上下に連結される一対の弁体収容体31,32と、この弁体収容体31,32同士の連結を保持する連結機構33と、両弁体収容体31,32の各弁体を閉弁動作させる弁体作動機構34とを備え、緊急時に、弁体作動機構34が作動し、各弁体収容体31,32の弁体を同時に閉弁状態にした後、連結機構33が解除作動し弁体収容体31,32同士の連結保持を解除して相互に分離し、流体荷役装置40の搬送ラインを海上側と陸上側とに分断することで、流体荷役装置40にかかる負荷をなくし、流体荷役装置40やタンカー50側の配管接続部51の破損を防止するように構成されている。なお、
図6中の符号41はベースライザー、符号42はインボードアーム、符号44はアッパーシーブ、符号45はロアシーブ、符号46はパンタグラフケーブル、符号47はカウンターウエイト、符号60が貯蔵施設連結管である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-160350号公報
【文献】特開2019-43641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、流体荷役装置40は、タンカー50の配管接続部51との接続がスムーズに行えるように、緊急離脱機構30を含めた配管の海陸方向の重心バランスが、先端スイベルジョイント48のフランジ面48aが鉛直に保持されるように設定されている。
【0007】
そのため、緊急離脱機構30が作動して流体荷役装置40の搬送ライン(アウトボードアーム43)が海上側と陸上側とに分断した場合、上記重心バランスがくずれ、緊急離脱機構30の上側に位置する上側弁体収容体31は上昇しながら下端側が海側に向う回動動作が生じて傾斜状態になるが、上昇移動よりも回動動作の方が早く動作してしまうため、上側弁体収容体31が下側に位置する下側弁体収容体32に対して十分な距離を上昇しないうちに回動動作することとなり、その結果、上側弁体収容体31に設けられ下方に突出した部品(図では弁体作動機構34の一部)が下側弁体収容体32に接触、衝突して、下側弁体収容体32や各種機構が損傷、破損することがある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するものであり、緊急離脱機構が作動して上側の弁体収容体と下側の弁体収容体とが分離した際、分離後の上側の弁体収容体に設けられる連結機構や弁体作動機構が下側の弁体収容体等に接触、衝突することなくスムーズに分離可能な流体荷役装置用緊急離脱機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
流体荷役装置の配管途中に設けられ、流体の流通を遮断する弁体を有し回動継手8に回動自在に連設される上側弁体収容体1と、流体の流通を遮断する弁体を有し前記上側弁体収容体1の下方に連結される下側弁体収容体2と、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2との連結保持若しくは連結解除をする連結機構3と、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2の前記各弁体を閉弁動作させる弁体作動機構4とを備え、前記弁体作動機構4の作動により前記各弁体が閉弁した後、前記連結機構3の作動により前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2との連結解除をして該上側弁体収容体1と該下側弁体収容体2とが分離するように構成されている流体荷役装置用緊急離脱機構であって、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2とが分離した際に、前記上側弁体収容体1の前記下側弁体収容体2に対する離脱移動をガイドするガイド機構5を有し、このガイド機構5は、前記上側弁体収容体1に設けられる被ガイド部材6と、前記下側弁体収容体2に設けられ前記被ガイド部材6をガイドするガイド部材7とを備え、前記被ガイド部材6と前記ガイド部材7とのガイド長は、前記上側弁体収容体1が前記回動継手8の回転軸8aを回転中心として回動した場合、前記上側弁体収容体1側に設けられ該上側弁体収容体1の前記下側弁体収容体2との連結面から下方に突出する下方突出部が該下側弁体収容体2に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体1をガイドする長さ、または、前記下側弁体収容体2側に設けられ該下側弁体収容体2の前記上側弁体収容体1との連結面から上方に突出する上方突出部が該上側弁体収容体1に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体1をガイドする長さに設定され、前記上側弁体収容体1は、このガイド機構5にガイドされている間は前記回動動作が規制されるように構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構に係るものである。
【0011】
また、流体荷役装置の配管途中に設けられ、流体の流通を遮断する弁体を有し回動継手8に回動自在に連設される上側弁体収容体1と、流体の流通を遮断する弁体を有し前記上側弁体収容体1の下方に連結される下側弁体収容体2と、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2との連結保持若しくは連結解除をする連結機構3と、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2の前記各弁体を閉弁動作させる弁体作動機構4とを備え、前記各弁体は、前記上側弁体収容体1及び前記下側弁体収容体2夫々の側方に突設される弁軸10により閉弁動作が行われるものであり、また、前記弁体作動機構4は、前記上側弁体収容体1及び前記下側弁体収容体2の側方にして前記各弁軸10間に上端が回動自在に連結し下端が離脱自在に係合した状態で架設され前記各弁体を同時に閉弁させるリンク部材4aを有し、また、前記連結機構3は、前記各弁体が閉弁した後、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2との連結解除をして該上側弁体収容体1と該下側弁体収容体2とが分離するように構成されている流体荷役装置用緊急離脱機構であって、前記上側弁体収容体1と前記下側弁体収容体2とが分離した際に、前記上側弁体収容体1の前記下側弁体収容体2に対する離脱移動をガイドするガイド機構5を有し、このガイド機構5は、前記上側弁体収容体1に設けられる被ガイド部材6と、前記下側弁体収容体2に設けられ前記被ガイド部材6をガイドするガイド部材7とを備え、前記被ガイド部材6と前記ガイド部材7とのガイド長は、前記上側弁体収容体1が前記回動継手8の回転軸8aを回転中心として回動した場合、前記上側弁体収容体1の前記弁軸10に連結され垂設状態の前記リンク部材4aが前記下側弁体収容体2に接触しない距離となるまで該上側弁体収容体1をガイドする長さに設定され、前記上側弁体収容体1は、このガイド機構5にガイドされている間は前記回動動作が規制されるように構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構に係るものである。
【0012】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材6は、前記上側弁体収容体1の前記下側弁体収容体2との連結面より下方に突出するように垂設され、また、前記ガイド部材7は、前記下側弁体収容体2の前記上側弁体収容体1との連結面より上方に突出するように立設されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構に係るものである。
【0013】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材6及び前記ガイド部材7は、一方が筒状体に構成され、他方がこの筒状体に嵌入する棒状体に構成されていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構に係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の流体荷役装置用緊急離脱機構において、前記被ガイド部材6の内面若しくは前記ガイド部材7の外面に摺動部材が設けられていることを特徴とする流体荷役装置用緊急離脱機構に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、緊急離脱機構が作動して上側の弁体収容体と下側の弁体収容体とが分離した際、上側の弁体収容体に設けられる連結機構や弁体作動機構が下側の弁体収容体等に接触、衝突することなくスムーズに分離可能な流体荷役装置用緊急離脱機構となる。
【0016】
したがって、緊急離脱時において、上側の弁体収容体に設けられる連結機構や弁体作動機構が下側の弁体収容体等に接触、衝突することで設備の損傷、破損が生じることを防止できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施例の緊急離脱前の状態を示す説明図である。
【
図2】本実施例の緊急離脱直後の状態を示す説明図である。
【
図3】本実施例の緊急離脱後(ガイド機構によるガイド終了直前)の状態を示す説明図である。
【
図4】本実施例の緊急離脱後(ガイド機構によるガイド終了後)の状態を示す説明図である。
【
図5】本実施例の弁体作動機構を示す説明図である。
【
図7】従来の流体荷役装置用緊急離脱機構(緊急離脱前)を示す説明図である。
【
図8】従来の流体荷役装置用緊急離脱機構(緊急離脱直後)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
本発明は、連結機構3による弁体収容体1,2同士の連結が解除されると、上側に位置する上側弁体収容体1と下側に位置する下側弁体収容体2とが分離し、上側弁体収容体1が下側弁体収容体2に対して上昇移動する。
【0020】
この上昇移動の際、上側弁体収容体1はガイド機構5にガイドされることにより回動動作が規制された状態で垂直方向に所定の距離Lだけ移動する。
【0021】
ここで、上側弁体収容体1のガイド機構5にガイドされる所定の距離Lを、例えば上側弁体収容体1がこの上側弁体収容体1が連設される回動継手8の回転軸8aを回転中心として回動してもこの上側弁体収容体1に設けられる連結機構3や弁体作動機構4が下側弁体収容体2に接触、衝突しない十分な上昇位置までの距離とすれば、ガイド機構5によるガイドがなくなり上側弁体収容体1が回動動作しても、この上側弁体収容体1に設けられる連結機構3や弁体作動機構4の下側弁体収容体2への接触、衝突は回避されることとなる。
【0022】
したがって、緊急離脱時において、上側弁体収容体1に設けられる連結機構3や弁体作動機構4が下側弁体収容体2に接触、衝突することで設備の損傷、破損が生じることを防止できる実用性に優れた流体荷役装置用緊急離脱機構となる。
【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本願発明は、流体荷役装置の配管途中に設けられる流体荷役装置用緊急離脱機構であって、夫々に流体の流通を遮断する弁体を有し上下に連結される一対の弁体収容体1,2と、この弁体収容体1,2同士の連結を保持する連結機構3と、前記両弁体を閉弁動作させる弁体作動機構4とを備え、前記連結機構3の解除動作により前記一対の弁体収容体1,2の連結保持が解除され相互に分離するように構成されており、前記一対の弁体収容体1,2が分離した際に、この一対の弁体収容体1,2の上側に位置する上側弁体収容体1を下側に位置する下側弁体収容体2に対して所定の距離Lだけ垂直方向に上昇移動するようにガイドするガイド機構5が設けられているものである。
【0025】
以下、本実施例に係る構成各部について詳述する。なお、本実施例の弁体収容体1,2、連結機構3及び弁体作動機構4については、先行技術文献に挙げた特開2013-160350号や特開2019-43641号に開示されるような従来の流体荷役装置用緊急離脱機構と同様の構成のものが採用されているため、詳細な説明は省略する。
【0026】
また、本実施例は、図示するように、弁体作動機構4として特開2019-43641号に開示されるようなリンク機構タイプのものを採用した場合であるが、弁体作動機構4はこれに限定されるものではなく、例えば特開2013-160350号に開示されるカム機構タイプのものを採用しても良い。
【0027】
本実施例のガイド機構5は、上側弁体収容体1に設けられこの上側弁体収容体1の下端面より垂直下方向に突出するように垂設される被ガイド部材6と、下側弁体収容体2に設けられこの下側弁体収容体2の上端面より垂直上方向に突出するように立設されるガイド部材7とからなるガイド体9を備える構成であり、本実施例においては、このガイド体9を二体備える構成である。
【0028】
具体的には、被ガイド部材6及びガイド部材7は、一方が筒状体に構成され、他方がこの筒状体(円筒体)に嵌入する棒状体に構成されていて、本実施例においては、被ガイド部材6が筒状体に構成され、ガイド部材7が棒状体(円柱状棒体)に構成されている。
【0029】
なお、被ガイド部材6の内周面、ガイド部材7の外周面のいずれか一方若しくは双方には図示省略の摺動部材が設けられている。
【0030】
また、被ガイド部材6は、ガイド部材7に距離Lガイドされ上昇移動し、距離L移動後はガイド部材7から離脱し非ガイド状態になる。
【0031】
この被ガイド部材6がガイド部材7にガイドされる距離Lは、被ガイド部材6が前記ガイド部材7にガイドされる距離であり、弁体作動機構4の連動体4a、具体的には、上側弁体収容体1から下側弁体収容体2へ向かって延設され、両弁体を同時に開閉動作させる連動体4a、言い換えると、弁体収容体1,2の両弁体を同時に開閉動作させるため、各弁体の弁軸10に設けられる回動リンク部材4b間に架設される架設リンク部材4aが一対の弁体収容体1,2同士が連結する水平面、言い換えると、上側弁体収容体1の下側弁体収容体2と連結する連結フランジ面から下方に突出している突出長さ以上に設定されている。
【0032】
より具体的には、この距離Lは、上側弁体収容体1がこの上側弁体収容体1が連設される回動継手8の回転軸8aを回転中心として回動してもこの上側弁体収容体1に設けられる連弁体作動機構4の連動体4aが下側弁体収容体2に接触、衝突しない上昇位置まで上側弁体収容体1を垂直上昇移動せしめる距離に設定されている。
【0033】
なお、この距離Lは、弁体作動機構4の連動体4aの突出長さにより適宜変更し得るものである。また、距離Lを決定する対象は前記連動体4aに限定されるものではなく、上側弁体収容体1から下方に突出する他の部品、或いは下側弁体収容体2から上方に突出する部品となる場合も含むものとする。
【0034】
以上のように構成される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0035】
本実施例は、ガイド機構5を備える構成としたから、緊急離脱時に上側弁体収容体1と下側弁体収容体2とが分離した際、上側弁体収容体1は距離L上昇するまでガイド機構5にガイドされ、このガイド機構5にガイドされている間は、被ガイド部材6のガイド部材7に対する移動に伴い、回動動作が規制され、下側弁体収容体2に対して垂直に上昇することとなる。
【0036】
そして、このガイド機構5によるガイドが終了した状態では、上側弁体収容体1は、この上側弁体収容体1が連設される回動継手8の回転軸8aを回転中心として回動してもこの上側弁体収容体1に設けられる連弁体作動機構4の連動体4aが下側弁体収容体2に接触、衝突しない位置まで上昇しているから、回動動作が生じても連動体4aの下側弁体収容体2への接触、衝突は起こらないこととなる。
【0037】
したがって、本実施例は、緊急離脱時において、上側弁体収容体1に設けられる連結機構3や弁体作動機構4が下側弁体収容体2に接触、衝突することで設備の損傷、破損が生じることを防止でき、安全且つスムーズに緊急離脱することができる実用性に優れた流体荷役装置用緊急離脱機構となる。
【0038】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0039】
1 上側弁体収容体
2 下側弁体収容体
3 連結機構
4 弁体作動機構
4a リンク部材
5 ガイド機構
6 被ガイド部材
7 ガイド部材
8 回動継手
8a 回転軸
10 弁軸