(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】浮体
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20241101BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20241101BHJP
B63B 27/24 20060101ALI20241101BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B63B25/08 B
B63B25/16 F
B63B27/24 E
B63B27/24 F
F17C13/00 302D
(21)【出願番号】P 2020180558
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0126773(KR,A)
【文献】特開2008-239097(JP,A)
【文献】特開2015-054690(JP,A)
【文献】特開2005-021814(JP,A)
【文献】特開2003-285791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/08
B63B 25/16
B63B 27/24
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体本体と、
前記浮体本体に配置され、液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
前記タンクの下部に接続され、前記浮体本体の外部から供給される液化二酸化炭素を前記タンク内に積み込む積込配管と、
前記タンクの下部に接続された揚荷配管と、
前記タンクの外部で前記揚荷配管に配置され、前記タンク内の液化二酸化炭素を前記浮体本体の外部に送り出すポンプと、を備え、
前記積込配管及び前記揚荷配管の全体が、前記タンクの底部よりも低い位置に配置されている
浮体。
【請求項2】
一端が前記タンクの下部に接続され、他端が前記積込配管及び前記揚荷配管に接続された接続配管と、
前記接続配管の接続先を前記積込配管および前記揚荷配管のいずれか一方に選択的に切り換える切換弁と、を更に備え、
前記積込配管及び前記揚荷配管は、前記接続配管を介して前記タンクの下部に接続され
、
前記接続配管、前記積込配管及び前記揚荷配管の全体が、前記タンクの底部よりも低い位置に配置されている
請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記接続配管の一端は、前記タンクの外部から前記タンクの底部に接続され、前記タンク内で上方に向けて開口している
請求項2に記載の浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された燃料タンクは、液化ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)を燃料タンクに積み込むための積込配管(パイプライン)と、燃料タンクから液化ガスを取るための揚荷配管(パイプライン)とを備えている。積込配管、及び揚荷配管は、タンク内で、タンクの頂部付近から底部付近まで導設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タンク内に液化二酸化炭素を収容する場合、以下のような理由により、液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成される可能性がある。すなわち、タンク内で開口する積込配管や揚荷配管の配管下端における液化二酸化炭素の圧力は、タンク運用圧に応じたものとなる。特許文献1に開示されたような構成では、積込配管や揚荷配管において最も高い位置となる配管頂部は、タンクの頂部よりも上方に位置する。配管頂部における液化二酸化炭素の圧力は、配管下端における液化二酸化炭素の圧力に対し、タンク内の液化二酸化炭素の液面と配管頂部との高低差によるヘッド圧に応じた分だけ低くなる。つまり、積込配管や揚荷配管においては、配管頂部における液化二酸化炭素の圧力が、タンク内における液化二酸化炭素の圧力よりも低くなる。
【0005】
液化二酸化炭素は、気相、液相、固相が共存する三重点の圧力(三重点圧力)が、LNGやLPGの三重点圧力に比較して高く、運用時におけるタンク運用圧との差異が小さい。その結果、タンク運用圧(タンクの設計圧力)によっては、液化二酸化炭素の圧力が最も低くなる配管頂部において、液化二酸化炭素の圧力が三重点圧力以下となり、液化二酸化炭素のフラッシュ蒸発が生じることがある。すると、液化二酸化炭素のフラッシュ蒸発の蒸発潜熱により、蒸発せずに残った液化二酸化炭素の温度低下が生じ、配管頂部内で液化二酸化炭素が凝固してドライアイスが生成される。積込配管や揚荷配管内でドライアイスが生成されると、配管内における液化二酸化炭素の流れが阻害され、液化二酸化炭素の積込・揚荷作業に影響を及ぼすことがある。
【0006】
また、特許文献1に開示されたような構成では、タンクの頂部には、タンクを貫通する積込配管や揚荷配管とタンクとの接合部分を覆うようにドーム構造が配置されている。ドーム構造には、積込配管、及び揚荷配管に加えて、二酸化炭素ガスを出し入れするための配管(パイプライン)や、計装配管、その他の機器等が収められている。液化二酸化炭素の三重点圧力に応じてタンク運用圧を高くすると、ドーム構造に作用する圧力も高くなる。これに応じてドーム構造の強度を確保するには、ドーム構造をなるべく小型化することが望まれる。
【0007】
また、配管をタンク内でタンクの頂部から底部まで導設する場合、タンクの内壁面から離れた位置にある配管を保持するためのサポート構造物が必要となる。
さらに、特許文献1に開示されたような構成では、揚荷用の配管に、ポンプ(ディープウェルポンプ)が配置されている。ポンプは、液化二酸化炭素の液中に没する位置に配置される。そのため、ポンプのメンテナンス等を行う際には、タンク内の液をすべて取り出した後、温度調節および酸素供給を行い、ポンプへアクセスできる環境を構築しなければならず、手間が掛かる。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、積込配管内でドライアイスが生成されることを抑えるとともに、ドーム構造の小型化、配管構造の簡素化、メンテナンスの容易化を図ることができる浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示に係る浮体は、浮体本体と、タンクと、積込配管と、揚荷配管と、ポンプと、を備える。前記タンクは、前記浮体本体に配置されている。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記積込配管は、前記タンクの下部に接続されている。前記積込配管は、前記浮体本体の外部から供給される液化二酸化炭素を前記タンク内に積み込む。前記揚荷配管は、前記タンクの下部に接続されている。前記ポンプは、前記タンクの外部で前記揚荷配管に配置されている。前記ポンプは、前記タンク内の液化二酸化炭素を前記浮体本体の外部に送り出す。前記積込配管及び前記揚荷配管の全体が、前記タンクの底部よりも低い位置に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示の浮体によれば、積込配管、揚荷配管内でドライアイスが生成されるのを抑えるとともに、ドーム構造の小型化、配管構造の簡素化、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る浮体としての船舶の概略構成を示す平面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたタンク、積込配管、揚荷配管を示す図であり、
図1のII-II矢視断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る船舶において、積込配管から液化二酸化炭素をタンク内に積み込んでいる状態を示す断面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る船舶において、タンク内の液化二酸化炭素を揚荷配管で払い出している状態を示す断面図である。
【
図5】本開示の実施形態の変形例に係る、タンク、積込配管、揚荷配管を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係るタンク、船舶について、
図1~
図5を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態において、浮体である船舶1は、液化二酸化炭素を運搬する。この船舶1は、浮体本体としての船体2と、タンク設備10と、を少なくとも備えている。
【0013】
(船体の構成)
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底(図示無し)と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底(図示無し)は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底(図示無し)により、船体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。この実施形態で例示する上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0014】
船体2内には、上部構造7よりも船首2a側に、貨物搭載区画(ホールド)8が形成されている。貨物搭載区画8は、上甲板5に対して下方の船底に向けて凹み、上方に開口している。
【0015】
(タンク設備の構成)
タンク設備10は、貨物搭載区画8内に、船首尾方向Daに沿って、複数が配置されている。本開示の実施形態において、タンク設備10は、船首尾方向Daに間隔を空けて二個配置されている。
【0016】
図2に示すように、タンク設備10は、タンク11と、タンク11の下部11bに接続された下部配管部20と、を少なくとも備えている。
この実施形態において、タンク11は、船体2に配置されている。タンク11は、例えば、水平方向に延びる円筒状をなす。タンク11は、その内部に液化二酸化炭素Lを収容する。タンク本体は、筒状部12と、端部球状部13と、を備えている。筒状部12は、水平方向を長手方向Dxとして延びている。この実施形態において、筒状部12は、長手方向Dxに直交する断面形状が円形の、円筒状に形成されている。端部球状部13は、筒状部12の長手方向Dxの両端部にそれぞれ配置されている。各端部球状部13は、半球状で、筒状部12の長手方向Dx両端の開口を閉塞している。なお、タンク11は、円筒状に限られるものではなく、タンク11は球形、方形等であってもよい。
【0017】
下部配管部20は、接続配管21と、積込配管22と、揚荷配管23と、ポンプ24と、切換弁25A、25B、25Cと、を備えている。
【0018】
接続配管21は、タンク11と、積込配管22及び揚荷配管23と、を接続している。接続配管21の一端21aは、タンク11の下部11bに接続されている。ここで、タンク11の下部11bとは、タンク11の上下方向Dvの中間位置11mよりも下側を意味する。この実施形態では、接続配管21の一端21aは、タンク11の最下部を含む底部11dに接続されている。接続配管21の一端21aは、タンク11の外部である下方からタンク11の底部11dに接続されている。接続配管21の一端21aは、タンク11内で上下方向Dvの上方に向けて開口している。接続配管21は、タンク11の底部11dに接続された一端21aから下方に延びている。
【0019】
接続配管21の一端21aをタンク11に接続する位置は、タンク11の下部11bであって、かつ、下記の式(1)を満足する範囲内に設定するのが好ましい。
h<(Pt-TP)・1000/ρg ・・・(1)
ただし、
h:タンク11の最下部から接続配管21の接続位置までの高さ(m)
Pt:タンク11の常用最低圧力(kPaG)
TP:タンク11に収容される液化二酸化炭素Lの三重点圧力(kPaG)
ρ:液化二酸化炭素Lの液密度(kg/m
3)
g:重力加速度(m/s
2)
なお、
図2では、接続配管21の一端21aがタンク11の底部11d(最下部)に接続されているので、h=0であり、上式(1)を満足している。
【0020】
接続配管21の他端21bは、積込配管22及び揚荷配管23に分岐して接続されている。
積込配管22は、接続配管21を介してタンク11の底部11d(下部11b)に接続されている。積込配管22は、船体2の外部から供給される液化二酸化炭素Lをタンク11内に積み込む。
【0021】
揚荷配管23は、接続配管21を介してタンク11の底部11d(下部11b)に接続されている。揚荷配管23は、タンク11内の液化二酸化炭素Lを船体2の外部に送出することで、タンク11内の液化二酸化炭素Lを揚荷する。
ポンプ24は、タンク11の外部で揚荷配管23に配置されている。ポンプ24は、揚荷配管23、接続配管21を通してタンク11内の液化二酸化炭素Lを吸い出し、船体2の外部に送り出す。
【0022】
上記の下部配管部20を構成する接続配管21、積込配管22、及び揚荷配管23の配管レイアウトについては何ら限定するものではないが、接続配管21、積込配管22、及び揚荷配管23の途中において最も高い位置となる配管頂部が上下方向Dvで高い位置に配置されると、配管頂部における液化二酸化炭素Lの圧力が、タンク11内における液化二酸化炭素の圧力よりも低くなる。そのため、接続配管21、積込配管22、及び揚荷配管23は、なるべく、その全体をタンク11の底部11dよりも低い位置にレイアウトするのが好ましい。
【0023】
切換弁25Aは、接続配管21に配置されている。切換弁25Bは、積込配管22に配置されている。切換弁25Cは、揚荷配管23に配置されている。切換弁25A,25B,25Cは、接続配管21の接続先を積込配管22および揚荷配管23のいずれか一方に選択的に切り換える。具体的には、
図3に示すように、切換弁25A及び切換弁25Bを開とし、切換弁25Cを閉とすることで、積込配管22が接続配管21に接続される。
図4に示すように、切換弁25A及び切換弁25Cを開とし、切換弁25Bを閉とすることで、揚荷配管23が、接続配管21に接続される。
【0024】
また、タンク11の頂部11tには、ドーム構造18が配置されている。ドーム構造18は、二酸化炭素ガスを出し入れするための配管(パイプライン)や、計装配管(図示無し)のタンク11への接続部や、その他の機器等が配置されている。各種計装類としては、例えば、タンク11内のガス成分検出センサ等が挙げられる。
【0025】
ここで、LNG等を搭載するタンクの場合、IGCコード(International Gas Carrier Code:液化ガスのばら積み輸送のための船舶の構造及び設備に関する国際規則)により、積込配管や揚荷配管はタンクの頂部に接続することが求められている。これに対し、液化二酸化炭素Lを収容するタンク11においては、積込配管22及び揚荷配管23の接続位置は、タンク11の頂部11tに限定されていない。そのため、上記のような構成が実現可能となっている。
【0026】
このようなタンク設備10は、タンク11内に液化二酸化炭素Lを積み込む際、
図3に示すように、切換弁25A及び切換弁25Bを開とし、切換弁25Cを閉とする。これにより、積込配管22が、接続配管21を介してタンク11内に連通する。この状態で、船外から積込配管22及び接続配管21を通して、タンク11内に液化二酸化炭素Lを積み込む。
また、タンク設備10は、タンク11内の液化二酸化炭素Lを揚げ荷する際、
図4に示すように、切換弁25A及び切換弁25Cを開とし、切換弁25Bを閉とする。これにより、揚荷配管23が、接続配管21を介してタンク11内に連通する。この状態で、ポンプ24を作動させ、タンク11内の液化二酸化炭素Lを吸い出し、船外に送出する。
【0027】
(作用効果)
上述したような船舶1によれば、積込配管22及び揚荷配管23がタンク11の下部11bに接続されている。これにより、タンク11の頂部11tに積込配管22及び揚荷配管23を接続する場合に比較し、積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置の高さを抑えることができる。積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力は、タンク11内に貯留される液化二酸化炭素Lの圧力よりも高くなる。したがって、積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力低下が抑えられる。その結果、積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことが抑えられる。これにより、積込配管22及び揚荷配管23内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることが抑えられる。
【0028】
また、積込配管22及び揚荷配管23がタンク11の下部11bに接続されているので、タンク11の頂部11tに配置するドーム構造18に積込配管22及び揚荷配管23を接続する必要が無い。これにより、タンク11の運用圧を高めるために、ドーム構造18を小型化してタンク11構造の強度を高めることが可能となる。また、タンク11内で頂部11tから底部11dに亘って積込配管22及び揚荷配管23を配置する必要が無い。そのため、タンク11内で積込配管22及び揚荷配管23を支持するためのサポート構造物を設ける必要性が無い。また、ポンプ24をタンク11の外部に配置されている配管の途中に設けることができる。そのため、タンク11の外部でポンプ24のメンテナンスを行うことが可能となる。したがって、ポンプ24のメンテナンス性が向上する。
その結果、積込配管22内でドライアイスが生成されるのを抑えるとともに、ドーム構造18の小型化、配管構造の簡素化、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【0029】
また、積込配管22及び揚荷配管23は、接続配管21を介してタンク11の下部11bに接続されている。そのため、積込配管22及び揚荷配管23の双方をタンク11の下部11bに直接接続する構成に比較し、タンク11の下部11bには、一本の接続配管21のみを接続すればよく、配管接続作業を容易に行うことができる。接続配管21に対する積込配管22及び揚荷配管23の接続作業は、タンク11外で行うことができる。この点においても、配管接続作業を容易に行うことができる。
【0030】
また、接続配管21の一端21aは、タンク11の外部からタンク11の底部11dに接続され、タンク11内で上方に向けて開口している。これにより、タンク11内の液化二酸化炭素Lは、自重により、接続配管21の一端21aの開口から接続配管21を介して揚荷配管23に流れ込む。したがって、タンク11内の液化二酸化炭素Lの払い出しを効率良く行うことができる。
【0031】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、接続配管21の一端21aを、タンク11の底部11dに接続するようにしたが、これに限られない。接続配管21の一端21aは、タンク11の下部11bであれば、底部11dよりも上方位置に配置するようにしてもよい。この場合も、上記式(1)は満足するよう、接続配管21の接続位置を設定するのが好ましい。
【0032】
また、
図5に示すように、接続配管21Bのタンク11への接続位置を、タンク11の下部11bであって、底部11dよりも上方としてもよい。この場合、接続配管21Bのタンク11への接続位置の高さhは、上式(1)を満足するものとする。このような構成では、接続配管21Bをタンク11内で下方に延ばし、先端部21sを、タンク11内で底部11d付近に配置してもよい。これにより、揚荷配管23を通してタンク11内の液化二酸化炭素Lを揚荷する際、揚荷完了後に、タンク11内に残留する液化二酸化炭素Lの量が抑えられる。
【0033】
また、上記実施形態では、接続配管21を介して、積込配管22及び揚荷配管23をタンク11の下部11b(底部11d)に接続するようにしたが、これに限られない。積込配管22、揚荷配管23は、それぞれ、タンク11に直接接続されるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、図示都合上、
図2において積込配管22が揚荷配管23よりも上方に配置されている場合を示したが、積込配管22と揚荷配管23との上下方向における位置関係は、このような位置関係に限られない。積込配管22と揚荷配管23との位置関係としては、例えば、積込配管22を揚荷配管23よりも下方に配置したり、水平方向から見て積込配管22と揚荷配管23とが重なるように配置したりしてもよい。
【0034】
さらに、タンク設備10の個数や配置は、上記実施形態で例示した個数や配置に限られない。例えば、タンク設備10を一つだけ設けたり、タンク設備10を三つ以上設けたりしてもよい。さらに、上記実施形態では、複数のタンク設備10を船首尾方向Daに並べて配置する場合を例示したが、タンク設備10は、船幅方向(言い換えれば、左右舷方向)に並べて配置してもよい。
また、上記実施形態では、浮体として船舶1を例示したが、これに限られない。浮体は、推進機構を備えない洋上浮体設備であってもよい。
【0035】
<付記>
実施形態に記載の浮体1は、例えば以下のように把握される。
【0036】
(1)第1の態様に係る浮体1は、浮体本体2と、前記浮体本体2に配置され、液化二酸化炭素Lを貯留可能なタンク11と、前記タンク11の下部11bに接続され、前記浮体本体2の外部から供給される液化二酸化炭素Lを前記タンク11内に積み込む積込配管22と、前記タンク11の下部11bに接続された揚荷配管23と、前記タンク11の外部で前記揚荷配管23に配置され、前記ポンプ24と、を備える。
浮体1の例としては、船舶や洋上浮体設備が挙げられる。浮体本体2の例としては、船体や洋上浮体設備の浮体本体が挙げられる。
【0037】
この浮体1は、積込配管22及び揚荷配管23がタンク11の下部11bに接続されている。これにより、タンク11の上部からタンク11内に積込配管22及び揚荷配管23を接続する場合に比較し、積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置の高さを抑えることができる。したがって、積込配管22及び揚荷配管23の最も高い位置における液化二酸化炭素Lの圧力が、三重点圧力に近づくことが抑えられる。これにより、積込配管22及び揚荷配管23内で液化二酸化炭素Lが凝固してドライアイスが生成されることが抑えられる。
また、積込配管22及び揚荷配管23がタンク11の下部11bに接続されているので、タンク11の頂部11tに配置するドーム構造18内に積込配管22及び揚荷配管23を配置する必要が無い。これにより、タンク11の運用圧を高めるために、ドーム構造18を小型化してタンク11構造の強度を高めることが可能となる。また、タンク11内で頂部11tから底部11dに亘って積込配管22及び揚荷配管23を配置する必要が無い。そのため、タンク11内で積込配管22及び揚荷配管23を支持するためのサポート部材等を設ける必要性が抑えられる。また、ポンプ24がタンク11の外部に配置されている。そのため、タンク11の外部でポンプ24のメンテナンスを行うことが可能となる。したがって、ポンプ24のメンテナンス性が向上する。
その結果、積込配管22、揚荷配管23内でドライアイスが生成されるのを抑えるとともに、ドーム構造18の小型化、配管構造の簡素化、メンテナンスの容易化を図ることができる。
なお、上記ポンプ24としては、タンク11内に設置するディープウェルポンプよりも安価な遠心ポンプや往復動ポンプ等、陸上の液化二酸化炭素設備で一般的に適用されているポンプを用いることができる。そのため、ポンプの種類について選択肢が増えて、設計自由度を向上できるという利点もある。
【0038】
(2)第2の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、一端21aが前記タンク11の下部11bに接続され、他端21bが前記積込配管22及び前記揚荷配管23に接続された接続配管21と、前記接続配管21の接続先を前記積込配管22および前記揚荷配管23のいずれか一方に選択的に切り換える切換弁25A、25B、25Cと、を更に備え、前記積込配管22及び前記揚荷配管23は、前記接続配管21を介して前記タンク11の下部11bに接続されている。
【0039】
これにより、積込配管22及び揚荷配管23は、接続配管21を介してタンク11の下部11bに接続されている。そのため、積込配管22及び揚荷配管23の双方をタンク11の下部11bに直接接続する構成に比較し、タンク11の下部11bには、接続配管21のみを接続すればよく、配管接続作業を容易に行うことができる。接続配管21に対する積込配管22及び揚荷配管23の接続作業は、タンク11外で行うことができる。この点においても、配管接続作業を容易に行うことができる。
【0040】
(3)第3の態様に係る浮体1は、(2)の浮体1であって、前記接続配管21の一端21aは、前記タンク11の外部から前記タンク11の底部11dに接続され、前記タンク11内で上方に向けて開口している。
【0041】
これにより、タンク11内の液化二酸化炭素Lは、自重により、接続配管21の一端21aの開口から接続配管21を介して揚荷配管23に流れ込む。これにより、タンク11内の液化二酸化炭素Lの払い出しを効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
1…船舶(浮体)
2…船体(浮体本体)
2a…船首
2b…船尾
3A…舷側
3B…舷側
4…船底
5…上甲板
7…上部構造
8…貨物搭載区画
10…タンク設備
11…タンク
11b…下部
11d…底部
11m…中間位置
11t…頂部
18…ドーム構造
20…下部配管部
21、21B…接続配管
21a…一端
21b…他端
21s…先端部
22…積込配管
23…揚荷配管
24…ポンプ
25A、25B、25C…切換弁
24…ポンプ
Da…船首尾方向
Dv…上下方向
L…液化二酸化炭素