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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241101BHJP
   H01M 8/2475 20160101ALI20241101BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20241101BHJP
   H01M 8/2465 20160101ALI20241101BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20241101BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/2475
H01M8/04 Z
H01M8/249
H01M8/2465
H01M8/12 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020205204
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092400
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒田 博之
(72)【発明者】
【氏名】臼田 昌弘
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-190312(JP,A)
【文献】特開2017-183251(JP,A)
【文献】特開2018-41720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを保持する保持面を有し、前記燃料電池スタックの補機を内蔵する補機構造体と、
前記燃料電池スタック及び前記補機構造体を収容する筐体と、を備え、
前記燃料電池スタックは、前記補機構造体の前記保持面と接する接続面を有し、前記接続面と前記保持面とが接することで前記補機構造体に保持され、
前記補機構造体は、前記筐体に締結固定されるとともに前記燃料電池スタックに空気及び燃料を供給するガス供給流路と、前記燃料電池スタックの排ガスを外部に排出する排ガス流路とを内蔵し、
前記ガス供給流路及び前記排ガス流路は、前記保持面及び前記接続面を介して前記燃料電池スタックに接続される燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムは、
前記補機構造体の前記ガス供給流路及び前記排ガス流路に接続する外部配管をさらに備え、
前記補機構造体は、前記筐体に締結固定される固定点を有する第1側面と、前記第1側面に隣接する第2側面とを有し、
前記外部配管は、前記第2側面と同一平面上の位置において前記ガス供給流路及び前記排ガス流路に接続し、
前記固定点は、前記第1側面における前記第2側面寄りの位置に設けられる、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記補機構造体は、前記補機として前記燃料電池スタックの排ガスを燃焼する排気燃焼器と、前記排気燃焼器により燃焼された燃焼ガスと前記燃料電池スタックに供給する空気及び燃料の少なくとも一方とを用いて熱交換する熱交換器と、を内蔵する、
燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックは、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、
前記補機構造体が前記燃料電池スタックを分割して保持するように、積層される前記燃料電池または前記燃料電池単位セルの間に前記補機構造体を介在させた、
燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記補機構造体は、前記筐体に締結固定される固定点を有しており、
前記燃料電池システムは、前記筐体に固定されるとともに、一方向にのみ変位可能な締結部材をさらに備え、
前記締結部材は、前記燃料電池スタックまたは前記補機構造体が前記筐体に対して一方向に変位可能なように、前記燃料電池スタックまたは前記補機構造体と前記筐体とを締結し、
前記締結部材は、変位可能な方向に伸ばした軸線が前記固定点を通るように配置された、
燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記補機構造体と、前記燃料電池スタックとは、同等の線膨張係数を有する材料により構成された、
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の固体酸化物型燃料電池スタックの中央部に蒸発器を、燃料電池スタック上面に改質器を配置した燃料電池システムが開示されている。この燃料電池システムでは、燃料電池スタックに燃料を供給する燃料ヘッダの上面に燃料電池スタックを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-178923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)は反応温度が高いため、稼働時に燃料電池スタックや改質器、蒸発器などの部品が高温になり、熱膨張する。特許文献1に記載の燃料電池システムでは、SOFC稼働時に、蒸発器と改質器をつなぐ配管や燃料ヘッダ内の配管等に熱膨張応力がかかり、これらが損傷してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、配管に熱膨張応力がかかることを抑制可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、燃料電池スタックと、燃料電池スタックを保持する保持面を有し、燃料電池スタックの補機を内蔵する補機構造体と、燃料電池スタック及び前記補機構造体を収容する筐体と、を備える燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムでは、燃料電池スタックは、補機構造体の保持面と接する接続面を有し、接続面と保持面とが接することで補機構造体に保持される。また、補機構造体は、筐体に締結固定されるとともに、燃料電池スタックに空気及び燃料を供給するガス供給流路と、燃料電池スタックの排ガスを外部に排出する排ガス流路とを内蔵する。ガス供給路及び排ガス流路は、保持面と接続面とが接する接合面を介して燃料電池スタックに接続される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料電池スタックに空気及び燃料を供給するガス供給流路と、燃料電池スタックの排ガスを外部に排出する排ガス流路とが、筐体に締結固定される補機構造体に内蔵される。また、ガス供給流路及び排ガス流路は、補機構造体と燃料電池スタックとの接合面を介して燃料電池スタックに接続される。補機構造体は筐体に固定されているため、熱膨張によっても外部に対する相対移動(変位)が抑制される。このように、外部に対する相対移動(変位)が抑制された補機構造体にガス供給流路及び排ガス流路を設け、ガス供給流路及び排ガス流路を補機構造体から燃料電池スタックに接続している。これにより、燃料電池スタックの熱膨張による膨張応力がガス供給流路と排ガス流路から外部の配管にかかることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態による燃料電池システムの概略構成図である。
図2a図2aは、補機構造体内部のガス流路を説明する模式図である。
図2b図2bは、補機構造体内部のガス流路を説明する模式図である。
図3図3は、筐体に設置された締結部材の配置を説明する図である。
図4図4は、補機構造体の固定部の位置を説明する図である。
図5図5は、燃料電池スタックの熱膨張を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム100について説明する。
【0011】
燃料電池システム100は、例えば車両等に搭載され、燃料電池スタック1(1a,1b)に対して発電に必要となる燃料ガス(アノードガス)及び酸化剤ガス(カソードガス)を供給し、燃料電池スタック1を車両走行用の電動モータ等の電気負荷に応じて発電させるシステムである。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による燃料電池システムの概略構成図である。図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料電池スタック1、ガス流路及び補機を内蔵する補機構造体2、燃料電池スタック1及び補機構造体2を収容する筐体3等から構成される。
【0013】
燃料電池スタック1は、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、アノードガスとカソードガスの供給を受けて発電する。燃料電池スタック1の発電源である個々の燃料電池は例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)であり、高温で稼働する。
【0014】
燃料電池スタック1は、積層される燃料電池または燃料電池単位セルの間に補機構造体2が介在しており、補機構造体2を介して第1燃料電池スタック1aと、第2燃料電池スタック1bとに分割されている。また、燃料電池スタック1は、燃料電池スタック1を収容する筐体3に対し一方向にのみ変位可能なマウント(締結部材)31によって、筐体3に締結されている。なお、マウント31の詳細は後述する。
【0015】
補機構造体2は、金属等の塊から成る略直方体状の構造体で、燃料電池システム100のガス流路(ガス供給流路26,27及び排ガス流路28)及び補機を内蔵する。また、補機構造体2は、前面(第1側面)21から突出する固定部25を有している。なお、ここでいう内蔵とは、すべてが補機構造体2の内部にある場合だけでなく、構成部品の一部は補機構造体2の外部に出ているが補機構造体2に固定されているような場合も含む。本実施形態においても、ガス流路の一部は補機構造体2の外部において補機構造体2に固定されている。
【0016】
補機構造体2は、前述の第1燃料電池スタック1aと第2燃料電池スタック1bとの間に介在し、上面(保持面)23が第1燃料電池スタック1aの底面(接続面)に接し、底面(保持面)24が第2燃料電池スタック1bの上面(接続面)に接している。これにより、燃料電池スタック1(1a,1b)は、補機構造体2に保持される。補機構造体2に内蔵されるガス流路(ガス供給流路26,27及び排ガス流路28)は、補機構造体2の上面23を介して第1燃料電池スタック1aに接続し、補機構造体2の底面24を介して第2燃料電池スタック1bに接続している。また、補機構造体2に内蔵されるガス流路のうち、ガス供給流路26,27は、補機構造体2の第1側面21に隣接する側面(第2側面)22と同一平面上の位置において、燃料供給管(外部配管)4、空気供給管(外部配管)5、バイパス空気供給管(外部配管)6に接続している。補機構造体2に内蔵されるガス流路のうち、排ガス流路28は、補機構造体2の底面24を介して排気管7に接続している。なお、補機構造体2の内部構造の詳細は後述する。
【0017】
補機構造体2の前面(第1側面)21から突出する固定部25は、補機構造体2を収容する筐体3の内周面に接している。補機構造体2は、固定部25と筐体3の内周面が接する位置において、筐体3の外側からボルトなどの締結部材により筐体3に対しリジッド(変位不能)に締結固定されている。また、補機構造体2は、筐体3に対し一方向にのみ変位可能なマウント(締結部材)31によっても筐体3に締結されている。
【0018】
筐体3は金属等からなり、燃料電池スタック1及び補機構造体2を収納する。筐体3は、略直方体状に構成され、前面32の内周面には補機構造体2の固定部25が接している。筐体3と補機構造体2は、当該固定部25において、ボルトなどの締結部材により締結固定されている。
【0019】
また、筐体3の前方側32の内周面には、筐体3と燃料電池スタック1及び補機構造体2とを締結する、一方向のみに変位可能なマウント(締結部材)31が複数(例えば5個)設置されている。マウント31は、筐体3と燃料電池スタック1または補機構造体2とがマウント31の変位方向に相対移動可能なように、下面が筐体3に固定され、上面が燃料電池スタック1または補機構造体2に固定されている。このように、筐体3は、固定部(固定点)25において補機構造体2とリジッドに締結固定され、マウント31の設置個所において燃料電池スタック1または補機構造体2と相対移動可能に締結されている。なお、ボルトなどの締結部材により、筐体3の上面や底面に燃料電池スタック1を締結してもよい。
【0020】
燃料供給管(外部配管)4は、燃料電池スタック1に供給する燃料ガス(アノードガス)を筐体3外部から補機構造体2に内蔵されたガス供給流路(燃料供給路26)へと供給する配管である。空気供給管(外部配管)5及びバイパス空気供給管(外部配管)6は、燃料電池スタック1に供給する空気(カソードガス)を筐体3外部から補機構造体2に内蔵されたガス供給流路(空気供給路27)へと供給する配管である。燃料供給管4、空気供給管5及びバイパス空気供給管6は、一端が補機構造体2の第2側面22と同一平面を成す位置において、補機構造体2に内蔵されたガス供給流路26,27に接続され、他端は筐体3外部の配管(図示しない)に接続される。
【0021】
排気管(外部配管)7は、燃料電池スタック1からのオフガスを外部に排出する配管である。排気管7は、一端が補機構造体2の底面24において、補機構造体2に内蔵された排ガス流路28に接続され、他端は筐体3外部の配管(図示しない)に接続される。
【0022】
高温で稼働するSOFCにおいては、燃料電池スタックや燃焼器、熱交換器等の部品が高温になり、熱膨張するため、各部品間を接続する配管に膨張応力がかかり、これらが損傷する虞がある。これに対し、本実施形態では、筐体3に対しリジッド(変位不能)に固定した補機構造体2にガス流路(ガス供給流路26,27及び排ガス流路28)を設けている。これにより、燃料電池スタック1の熱膨張によるガス流路(ガス供給流路26,27及び排ガス流路28)の変位が抑制され、熱膨張応力が、ガス流路から外部の配管にかかることが抑制されるため、配管の損傷が回避される。
【0023】
以下、補機構造体2の詳細を説明する。
【0024】
図2a及び図2bは、補機構造体2内部のガス流路を説明する模式図であり、補機構造体2の内部構成を取り出した図である。図2aは補機構造体2の前面21方向から見た斜視図、図2bは補機構造体2の底面24方向から見た斜視図である。
【0025】
図2a及び図2bに示すように、補機構造体2は、補機としての燃焼器(排気燃焼器)8及び熱交換器9、ガス供給流路としての燃料供給路26及び空気供給路27、及び排ガス流路28を内蔵する。補機構造体2は、これらの補機8,9及びガス流路26,27,28に対し、金属等が鋳込まれて形成される。
【0026】
燃料供給路26は、燃料供給管(外部配管)4を介して供給される外部からの燃料ガスを第1燃料電池スタック1aに供給する第1燃料供給路261と、燃料ガスを第1燃料電池スタック1aから第2燃料電池スタック1bに供給する第2燃料供給路262とを含む。
【0027】
第1燃料供給路261は、筐体3外部の配管から燃料供給管4を介して補機構造体2に供給される燃料ガスを第1燃料電池スタック1aに供給するための流路である。第1燃料供給路261は、直線部261aと、直線部261aから分岐する2つの湾曲部261bとを有している。直線部261aの一端は、第1燃料供給路261の入口2611であり、補機構造体2の第2側面22と同一平面上の位置において燃料供給管4(図1参照)に接続している。第1燃料供給路261と燃料供給管(外部配管)4とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。一方、直線部261aの他端は閉塞されている。2つの湾曲部261bは、直線部261aの両端付近においてそれぞれ直線部261aから分岐し、湾曲状に伸びている。各湾曲部261bの直線部261aと接続する側とは反対側の端部は、第1燃料供給路261の出口2612であり、補機構造体2の上面(保持面)23を介して第1燃料電池スタック1aに接続している。外部から供給される燃料ガスは、入口2611から第1燃料供給路261に流入し、直線部261a及び湾曲部261bを介して出口2612から第1燃料電池スタック1aに供給される。
【0028】
第2燃料供給路262は、燃料ガスを第1燃料電池スタック1aから第2燃料電池スタック1bに供給するための流路である。第2燃料供給路262は、第1燃料電池スタック1aに接続する2つの湾曲部262aと、第2燃料電池スタック1bに接続する2つの湾曲部262bと、湾曲部262aと湾曲部262bとを連結する連結部262cとを有している。湾曲部262aの一端は第2燃料供給路262の入口2621であり、補機構造体2の上面23を介して第1燃料電池スタック1aに接続している。湾曲部262aの他端は連結部262cに接続している。湾曲部262bの一端は、第2燃料供給路262の出口2622であり、補機構造体2の底面24を介して第2燃料電池スタック1bに接続している。湾曲部262bの他端は連結部262cに接続している。連結部262cは、湾曲部262a,262b同士、及び湾曲部262aと湾曲部262bとを連結するように形成されている。第1燃料供給路261から第1燃料電池スタック1aに供給された燃料ガスは、第2燃料供給路262の入口2621から湾曲部262aに流入し、連結部262c及び湾曲部262bを介して第2燃料供給路262の出口2622から第2燃料電池スタック1bに供給される。
【0029】
空気供給路27は、外部からの空気(カソードガス)を第2燃料電池スタック1bに供給する第1及び第2空気供給路271,272と、空気(カソードガス)を第2燃料電池スタック1bから第1燃料電池スタック1aに供給する第2空気供給路272とを含む。
【0030】
第1空気供給路271は、筐体3外部の配管から空気供給管(外部配管)5を介して補機構造体2に供給される外部からの空気を、熱交換器9により熱交換(加熱)して燃料電池スタック1に供給するための流路である。第1空気供給路271は、一端(入口)2711が補機構造体2の第2側面22と同一平面上の位置において空気供給管(外部配管)5に接続し、他端(出口)2712は、補機構造体2の底面24を介して第2燃料電池スタック1bに接続している。なお、第1空気供給路271と空気供給管(外部配管)5とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0031】
また、第1空気供給路271は、入口2711と出口2712との間の中間部分において、熱交換器9に接した状態で熱交換器9の外周を覆うように構成される。これにより、補機構造体2の外部から供給される空気は、第1空気供給路271の入口2711から第1空気供給路271に流入し、中間部分において熱交換器9により熱交換(加熱)され、出口2712から第2燃料電池スタック1bに供給される。なお、第1空気供給路271は、出口2712近傍において後述の第2空気供給路272に接続されている。
【0032】
第2空気供給路272は、筐体3外部の配管からバイパス空気供給管(外部配管)6を介して供給される外部からの空気を、熱交換(加熱)せずに燃料電池スタック1に供給するための流路である。第2空気供給路272は、一端(入口)2721が、補機構造体2の第2側面22と同一平面上の位置においてバイパス空気供給管(外部配管)6(図1参照)に接続し、他端(出口)2722は、第1空気供給路271の出口2712近傍に接続している。なお、第2空気供給路272とバイパス空気供給管(外部配管)6とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0033】
第2空気供給路272は、入口2721と出口2722との間の中間部分が熱交換器9に接していない。このため、バイパス空気供給管(外部配管)6から供給された空気は、第2空気供給路272の入口2721から第2空気供給路272に流入し、熱交換(加熱)されずに第1空気供給路271に供給される。即ち、第2燃料電池スタック1bには、熱交換(加熱)されていない第2空気供給路272からの空気と、熱交換器9により熱交換(加熱)された第1空気供給路271内の空気とが混合した空気が供給される。従って、筐体3外部において、燃料電池システム100の制御部(図示しない)によりバイパス空気供給管6に供給される空気の量を調節することで、燃料電池スタック1に供給される空気の温度を調節することができる。
【0034】
第3空気供給路273は、空気を第2燃料電池スタック1bから第1燃料電池スタック1aに供給するための流路である。第3空気供給路273は、一端(入口)2731が補機構造体2の底面24を介して第2燃料電池スタック1bに接続し、他端(出口)2732は、補機構造体2の上面23を介して第1燃料電池スタック1aに接続している。第1及び第2空気供給路271,272から第2燃料電池スタック1bに供給された空気は、第3空気供給路273の入口2731から第3空気供給路273に流入し、第3空気供給路273の出口2732から第1燃料電池スタック1aに供給される。
【0035】
排ガス流路28は、アノードオフガスを燃焼器8に供給するアノードオフガス通路281と、カソードオフガスを燃焼器8に供給するカソードオフガス通路282と、燃焼ガスを補機構造体2外部の排気管(外部配管)7に排出する燃焼ガス通路283とを含む。なお、排ガス流路28上には、燃焼器8及び熱交換器9が配置されている。
【0036】
アノードオフガス通路281は、第2燃料電池スタック1bからのアノードオフガスを燃焼器8に供給するための流路である。アノードオフガス通路281は、第2燃料電池スタック1bに接続する2つの湾曲部281aと、湾曲部281aと燃焼器8とを連結する連結部281bとを有している。湾曲部281aの一端はアノードオフガス通路281の入口2811であり、補機構造体2の底面24を介して第2燃料電池スタック1bに接続している。湾曲部281aの他端は連結部281bに接続している。連結部281bは、一端は閉塞し、他端は燃焼器8に接続されるアノードオフガス通路281の出口である。燃料電池スタック1bからのアノードオフガスは、アノードオフガス通路281の入口2811からアノードオフガス通路281に流入し、湾曲部281a及び連結部281bを介してアノードオフガス通路281の出口から燃焼器8に供給される。
【0037】
カソードオフガス通路282は、第1燃料電池スタック1aからのカソードオフガスを燃焼器8に供給するための流路である。カソードオフガス通路282は、一端(入口)2821が補機構造体2の上面23を介して第1燃料電池スタック1aに接続し、他端(出口)は、燃焼器8に接続している。第1燃料電池スタック1aからのカソードオフガスは、カソードオフガス通路282の入口2821からカソードオフガス通路282に流入し、カソードオフガス通路282の出口から燃焼器8に供給される。
【0038】
燃焼器(排気燃焼器)8は、燃料電池スタック1の排ガスを燃焼する補機である。燃焼器8は、アノードオフガス通路281、カソードオフガス通路282及び燃焼ガス通路283と接続している。燃焼器8には、アノードオフガス通路281及びカソードオフガス通路282からそれぞれアノードオフガス及びカソードオフガスが供給される。燃焼器8に供給されたアノードオフガス及びカソードオフガスは、燃焼器8内で燃焼され、高温の燃焼ガスが生成される。当該燃焼ガスは、燃焼ガス通路283に流入する。
【0039】
燃焼ガス通路283は、燃焼器8において生成された燃焼ガスを熱交換器9により熱交換させてから外部に排出する流路である。燃焼ガス通路283は、一端(入口)2831は燃焼器8に接続され、他端(出口)2832は補機構造体2の底面24を介して排気管(外部配管)7に接続されている。なお、燃焼ガス通路283と排気管(外部配管)7とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0040】
また、燃焼ガス通路283は、入口2831と出口2832との間に熱交換器9が配置されている。熱交換器9は、燃焼器8において燃焼された燃料電池スタック1の排ガス(燃焼ガス)と、空気供給路27(第1空気供給路271)内の空気とを用いて熱交換することで、燃料電池スタック1に供給される空気を加熱する。燃焼器8により燃焼された排ガス(燃焼ガス)は、燃焼ガス通路283を介して熱交換器9に供給され、空気供給路27(第1空気供給路271)内の空気との間で熱交換される。熱交換器9において熱交換された排ガスは燃焼ガス通路283を介して排気管(外部配管)7に排出され、排気管(外部配管)7から筐体3外部に排出される。
【0041】
このように、補機構造体2に内蔵される燃料供給路26、空気供給路27及び排ガス流路28は、それぞれ外部配管4,5,6,7と燃料電池スタック1に接続している。そして補機構造体2は、筐体3に対し締結固定され、外部に対する変位が抑制されているため、燃料電池スタック1が熱膨張しても、燃料供給路26、空気供給路27及び排ガス流路28とこれらに接続される外部配管4,5,6,7の変位は抑制される。このため、燃料電池スタック1の熱膨張により、外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることが抑制される。
【0042】
また、燃料電池システム100の稼働時に高温になる燃焼器8や熱交換器9を、筐体3に固定した補機構造体2に内蔵させ、燃料供給路26、空気供給路27及び排ガス流路28と外部配管4,5,6,7との接続箇所をフランジ等で固定している。燃焼器8や熱交換器9を外部に対する変位が抑制された補機構造体2に内蔵し、ガス流路26,27,28と外部配管4,5,6,7との接続部を固定しているので、燃焼器8や熱交換器9の熱膨張により、ガス流路26,27,28及び外部配管4,5,6,7が変位することが抑制される。従って、燃焼器8や熱交換器9の熱膨張により、外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることが抑制される。
【0043】
なお、補機構造体2に内蔵されるガス流路26,27,28は、上記の構成に限られるものではなく、補機構造体2外部の配管と燃料電池スタック1とを接続するものであれば、補機構造体2内におけるガス流路26,27,28の取り回しは如何なるものでもよい。
【0044】
また、ガス流路26,27,28は、どのように補機構造体2に内蔵させてもよいが、本実施形態のように補機構造体2に金属等が鋳込ませて内蔵させることが好ましい。これにより、ガス流路26,27,28が補機構造体2に強固に固定されるため、燃料電池スタック1の熱膨張によるガス流路26,27,28の変位をより抑制することができ、外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることがより抑制される。
【0045】
図3は、筐体3に設置されたマウント(締結部材)31の配置を説明する図である。
【0046】
マウント31は、筐体3と燃料電池スタック1または補機構造体2とを、一方向(軸線方向)に相対移動(変位)可能なように締結する部材である。マウント31は、第1筐体固定部材311と、第2筐体固定部材312と、シャフト313と、部品固定部材314とから構成され、筐体3の前面32の内周面に複数設置されている。
【0047】
第1及び第2筐体固定部材311,312は、ボルトなどの締結部材により筐体3の前面32の内周面に締結固定されている。第1筐体固定部材311と第2筐体固定部材312とはシャフト313により連結されている。部品固定部材314は、シャフト313に沿って移動可能に設けられ、上面に、ボルトなどの締結部材または溶接等により燃料電池スタック1または補機構造体2が固定されている。このような構成により、マウント31は、筐体3と燃料電池スタック1または補機構造体2とを、シャフト313に沿った方向(軸線方向)に相対移動可能に締結する。
【0048】
また、複数のマウント31は、それぞれ変位可能な方向に延ばした軸線が、筐体3と補機構造体2とをリジッド(変位不能)に締結する固定部(固定点)25を通るような位置に配置される。補機構造体2及び補機構造体2に保持される燃料電池スタック1を一つの剛体として見ると、当該剛体に熱膨張が生じる場合、熱膨張は当該剛体が筐体3に固定される固定点25を中心に放射状に発生する。即ち、燃料電池システム100の稼働中、燃料電池スタック1(スタックケース)及び補機構造体2は、固定点25を中心に放射状(図3の矢印方向)に熱膨張する。従って、マウント31を、軸線が固定点25を通るように固定点25を中心に放射状に配置することで、燃料電池スタック1及び補機構造体2の熱膨張による変位をマウント31により確実に吸収することができる。これにより、補機構造体2に接続する外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることが抑制される。
【0049】
図4は、補機構造体2の固定部25の位置を説明する図であり、補機構造体2の内部を上面から見た模式図である。
【0050】
図4に示すように、補機構造体2に内蔵された燃料供給路26及び空気供給路27(第1空気供給路271、第2空気供給路272)は、第2側面22と同一平面上の位置において燃料供給管(外部配管)4、空気供給管(外部配管)5、バイパス空気供給管(外部配管)6に接続している。なお、図示しないが、燃料供給路26及び空気供給路27と外部配管4,5,6とが接続する部分は、フランジ等によって固定されている。
【0051】
前述の通り、補機構造体2の前面(第1側面)21から突出する固定部25はボルトなどの締結部材により筐体3に締結されている。また、図4に示すように、ガス供給流路26,27と外部配管4,5,6とは、第2側面22と同一平面上の位置において接続され、固定部25は、補機構造体2の第1側面21における、第2側面22寄りの位置に形成される。前述の通り、燃料電池システム100の稼働による熱膨張は、固定部(固定点)25を中心に放射状(図4の矢印方向)に発生する。このため、固定点25が第2側面22寄りにあるほど、燃料供給路26、空気供給路27(第1空気供給路271、第2空気供給路272)と外部配管4,5,6とが接続する部分において、固定部25の突出方向(図4のX方向)と垂直に交わる方向(図4のY方向)への変位が生じなくなる。従って、固定部(固定点)25が第2側面22寄りの位置に形成された本実施形態では、熱膨張が生じても、外部配管4,5,6の面直方向にはほとんど変位しない。これにより、外部配管4,5,6にかかる熱膨張応力が抑制される。また、面直方向の変位がほとんどないため、外部配管4,5,6と接続する筐体3外部の配管にかかる熱膨張応力も抑制される。一方、固定部25を第2側面22から離れた位置に形成した場合は、燃料供給路26、空気供給路27(第1空気供給路271、第2空気供給路272)と外部配管4,5,6とが接続する部分において、熱膨張によりX方向とY方向の両方向への変位が生じる。このように、固定部(固定点)25を第2側面22寄りの位置に形成することで、固定部25を第2側面22から離れた位置に形成した場合に比べ、外部配管4,5,6及び外部配管4,5,6に接続する筐体3外部の配管にかかる熱膨張応力をより抑制することができる。
【0052】
図5は、燃料電池スタック1の熱膨張を説明する模式図である。
【0053】
前述の通り、燃料電池スタック1は、複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、積層される燃料電池または燃料電池単位セルの間に介在する補機構造体2により、第1燃料電池スタック1aと、第2燃料電池スタック1bとに分割されている。また、第1燃料電池スタック1aの端部11a及び第2燃料電池スタック1bの端部11bには、それぞれ銅板からなるバスバー12が設置されている。
【0054】
図5に示すように、燃料電池スタック1は高温(稼働)時に、主に積層方向に熱膨張する。ここで、燃料電池スタック1は、補機構造体2により、第1燃料電池スタック1aと、第2燃料電池スタック1bとに分割されているため、熱膨張も2つの燃料電池スタック1a,1bに分散される。即ち、燃料電池スタック1は、補機構造体2から第1燃料電池スタック1aの端部11aに向かう方向にΔxだけ熱膨張し、補機構造体2から第2燃料電池スタック1bの端部11bに向かう方向にΔyだけ熱膨張する。一方、燃料電池スタック1を分割せずに、補機構造体2の上面23上に燃料電池スタック1を保持した場合、高温(稼働)時に燃料電池スタック1は、積層方向(補機構造体2からスタック端部に向かう方向)にΔ(x+y)熱膨張する。
【0055】
このように、補機構造体2により燃料電池スタック1が2つに分割されているため、燃料電池スタック1が熱膨張による変位が2つのスタックに分散され、1スタック当たりの変位量が小さくなる。このため、燃料電池スタック1の端部に設置されるバスバー12の変位量も小さくなり、燃料電池スタック1を分割しない場合に比べ、変位吸収の対策が容易になる。
【0056】
また、補機構造体2を介在させる位置を調整することで、第1燃料電池スタック1aと第2燃料電池スタック1bの熱膨張によるそれぞれの変位量を制御することができるため、レイアウトの自由度が向上し、システムを小型化することができる。
【0057】
なお、上記の通り、燃料電池スタック1は主に積層方向に熱膨張するが、面方向にも多少変位する場合もある。このため、燃料電池スタック1と補機構造体2の接合面において、補機構造体2に内蔵されたガス流路26,27,28と燃料電池スタック1内の流路の位置とがずれる虞がある。従って、好ましくは、補機構造体2と、燃料電池スタック1とは、同等の線膨張係数を有する材料により構成される。例えば、燃料電池スタック1におけるセパレータや膜-電極接合体を支持するセルフレームの材料にはフェライト系ステンレス鋼を用い、補機構造体2には燃料電池スタック1の材料に用いたフェライト系ステンレス鋼と同等の線膨張係数を有するAl含有ステンレス鋼を用いる。これにより、燃料電池スタック1と補機構造体2の面方向の膨張/収縮量が同等になり、燃料電池スタック1と補機構造体2の接合面の変位量に差が生じない。従って、燃料電池スタック1と補機構造体2の接合面において、補機構造体2に内蔵されたガス流路26,27,28と燃料電池スタック1内の流路の位置とがずれることが防止され、ガス漏れ等が確実に防止される。
【0058】
上記した実施形態に係る燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0059】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1に空気及び燃料を供給するガス供給流路(燃料供給路26、空気供給路27)と、燃料電池スタック1の排ガスを外部に排出する排ガス流路28とが、筐体3に締結固定される補機構造体2に内蔵される。また、ガス供給流路(燃料供給路26、空気供給路27)及び排ガス流路28は、補機構造体2と燃料電池スタック1との接合面を介して燃料電池スタックに接続される。補機構造体2は筐体3に固定されているため、熱膨張によっても外部に対して相対移動(変位)が抑制される。このように、外部に対する相対移動(変位)が抑制された補機構造体2にガス供給流路26,27及び排ガス流路28を設けているため、燃料電池スタック1が熱膨張しても、燃料供給路26、空気供給路27及び排ガス流路28とこれらに接続される外部配管4,5,6,7の変位は抑制される。従って、燃料電池スタック1の熱膨張による膨張応力がガス供給流路26,27や排ガス流路28、及び外部の配管にかかることが抑制される。
【0060】
また、ガス供給流路(燃料供給路26、空気供給路27)と排ガス流路28の熱膨張による変位が抑制されるため、ガス供給流路26,27及び排ガス流路28にゴムホース、蛇腹加工、金属ベローズ等の変位吸収構造を設ける必要がない。従って、レイアウト自由度が向上するとともに、低コスト化することができる。
【0061】
燃料電池システム100は、筐体3に締結固定された補機構造体2が、燃焼器(排気燃焼器)8と、熱交換器9とを内蔵する。このように、燃料電池システム100の稼働時に高温となる燃焼器(排気燃焼器)8や熱交換器9といった部品を、外部に対する相対移動(変位)が抑制された補機構造体2に内蔵させている。このため、燃焼器8や熱交換器9の熱膨張により、ガス流路26,27,28及び外部配管4,5,6,7が変位することが抑制される。従って、燃焼器8や熱交換器9の熱膨張により、外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることが抑制される。
【0062】
また、燃焼器(排気燃焼器)8及び熱交換器9を補機構造体2に内蔵させて一体化させているため、これらの部品間をつなぐ金属配管を減少または短縮することができ、低コスト化及び省スペース化することができる。
【0063】
燃料電池システム100は、補機構造体2が筐体3に締結固定される固定点25を有する第1側面21と、第1側面21に隣接する第2側面22を有し、外部配管4,5,6は、第2側面22と同一平面上の位置においてガス供給流路26,27に接続する。また、固定点25は第1側面21における第2側面22寄りの位置に設けられる。燃料電池システム100の稼働による熱膨張は、固定点25を中心に放射状に発生する。このため、固定部(固定点)25が第2側面22寄りの位置に形成された燃料電池システム100では、熱膨張が生じても、外部配管4,5,6の面直方向への変位がほとんど生じない。従って、固定点25が第2側面22から離れた位置に形成される場合に比べ、外部配管4,5,6及び外部配管4,5,6に接続する筐体3外部の配管にかかる熱膨張応力をより抑制することができる。
【0064】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1が、積層される燃料電池または燃料電池単位セルの間に介在する補機構造体2により分割されている。これにより、燃料電池スタック1の熱膨張による変位が2つのスタックに分散され、1スタック当たりの変位量が小さくなる。従って、燃料電池スタック1の端部に設置されるバスバー12の変位量も小さくなり、燃料電池スタック1を分割しない場合に比べ、変位吸収の対策が容易になる。
【0065】
また、補機構造体2を介在させる位置を調整することで、第1燃料電池スタック1aと第2燃料電池スタック1bの熱膨張によるそれぞれの変位量を制御することができるため、レイアウトの自由度が向上し、システムを小型化することができる。
【0066】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1または補機構造体2が筐体3に対して一方向に変位可能なように、燃料電池スタック1または補機構造体2と筐体3とを締結するマウント(締結部材)31を備える。そして、マウント(締結部材)31は、変位可能な方向に伸ばした軸線が、補機構造体2と筐体3とが締結固定される固定点25を通るように配置される。燃料電池スタック1(スタックケース)及び補機構造体2の熱膨張は固定点25を中心に放射状に生じる。従って、マウント(締結部材)31を、軸線が固定点25を通るように固定点25を中心に放射状に配置することで、燃料電池スタック1及び補機構造体2の熱膨張による変位をマウント31(締結部材)により確実に吸収することができる。これにより、補機構造体2に接続する外部配管4,5,6,7や筐体3外部の配管に膨張応力がかかることが抑制される。
【0067】
なお、本実施形態では、補機構造体2を固定部25の一点に筐体3に締結固定しているが、必ずしもこれに限られない。例えば固定部25を複数設けてもよく、また変位不能なマウント部材等によって固定してもよい。
【0068】
また、本実施形態のように、筐体3に一方向にのみ変位可能なマウント(締結部材)31を設置することが好ましいが、マウント(締結部材)31は必須の構成ではなく、マウント(締結部材)31を設けていなくても、配管に熱膨張応力がかかることをある程度抑制できる。また、本実施形態では、筐体3にマウント(締結部材)31を5個設置しているが、マウント(締結部材)31の個数はこれに限られず、任意の個数でよい。
【0069】
また、1スタック当たりの変位量を少なくするため、本実施形態のように、燃料電池スタック1を補機構造体2によって分割することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。例えば、燃料電池スタック1を分割せずに、補機構造体2の上面(保持面)21上に保持してもよい。
【0070】
また、本実施形態では、熱交換器9は燃焼ガスと空気供給路27内の空気とを用いて熱交換しているがこれに限られず、燃焼ガスと燃料供給路26内の燃料ガスとを用いて熱交換する構成であってもよい。即ち、熱交換器9は、燃焼ガスと、燃料電池スタック1に供給される空気及び燃料ガスの少なくとも一方とを用いて熱交換する構成であればよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0072】
1 燃料電池スタック
2 補機構造体
3 筐体
4 燃料供給管(外部配管)
5 空気供給管(外部配管)
6 バイパス空気供給管(外部配管)
7 排気管(外部配管)
8 燃焼器(排気燃焼器)
9 熱交換器
25 固定部(固定点)
26 燃料供給路
27 空気供給路
28 排ガス流路
31 マウント(締結部材)
100 燃料電池システム
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5