(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241101BHJP
H01M 8/248 20160101ALI20241101BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20241101BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20241101BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20241101BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20241101BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/248
H01M8/2465
H01M8/249
H01M8/04014
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2020205206
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】礒田 博之
(72)【発明者】
【氏名】筑後 隼人
(72)【発明者】
【氏名】臼田 昌弘
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225078(JP,A)
【文献】特開2003-187838(JP,A)
【文献】特開2017-188189(JP,A)
【文献】特開2011-146160(JP,A)
【文献】特開2017-183228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルユニットが積層されて
それぞれ構成された
複数の燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの積層方向における一端に
それぞれ設けられたエンドプレートと、
前記燃料電池スタックの前記一端とは反対側の他端に設けられ、前記燃料電池スタックへ空気及び燃料を供給するとともに前記燃料電池スタックからの排ガスを排出する機能を有する構造体と、を備え、
前記
複数の燃料電池スタック
のそれぞれは、
それぞれの前記エンドプレートと前記構造体との間で保持され
、
前記構造体は、
前記燃料電池スタックからの排ガスを燃焼する排気燃焼器と、
前記排気燃焼器により燃焼された燃焼ガスと前記燃料電池スタックに供給される空気及び燃料の少なくとも一方とを用いて熱交換する熱交換器と、を内蔵し、
前記複数の燃料電池スタックは、前記構造体を挟んで対向するように設けられることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載された燃料電池システムであって、
前記燃料電池スタックは、前記エンドプレートと前記構造体の間で与圧が付与されていることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載された燃料電池システムであって、
前記エンドプレートと前記構造体とが通しボルトによって締結されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項
1に記載された燃料電池システムであって、
前記構造体は、
前記複数の燃料電池スタックのうちの少なくとも一つの燃料電池スタックに燃料あるいは空気を供給するための供給流路と、
前記一つの燃料電池スタックを通過した燃料あるいは空気を前記複数の燃料電池スタックのうちの前記一つの燃料電池スタックとは異なる燃料電池スタックに供給するための連結路と、を内蔵することを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の燃料電池が積層されて構成された燃料電池スタックを備えた燃料電池システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された燃料電池システムは、燃料電池スタックを覆う第1ケースと、第1ケースを収容する第2ケースとの間にオフガス流路を設けているため、燃料電池システム全体が大型化する虞がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、燃料電池システムを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、燃料電池システムは、複数のセルユニットが積層されてそれぞれ構成された複数の燃料電池スタックと、燃料電池スタックの積層方向における一端にそれぞれ設けられたエンドプレートと、燃料電池スタックの一端とは反対側の他端に設けられ、燃料電池スタックへ空気及び燃料を供給するとともに燃料電池スタックからの排ガスを排出する機能を有する構造体と、を備える。また、燃料電池システムでは、複数の燃料電池スタックのそれぞれは、それぞれのエンドプレートと構造体との間で保持され、構造体は、燃料電池スタックからの排ガスを燃焼する排気燃焼器と、排気燃焼器により燃焼された燃焼ガスと燃料電池スタックに供給される空気及び燃料の少なくとも一方とを用いて熱交換する熱交換器と、を内蔵し、構造体は、複数の燃料電池スタックそれぞれの他端に設けられて、それぞれのエンドプレートとの間で燃料電池スタックを保持され、複数の燃料電池スタックは、構造体を挟んで対向するように設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、構造体を燃料電池スタックのエンドプレートとして機能させているので、他端側に別途燃料電池スタックのエンドプレートを設ける必要がない。また、構造体が空気及び燃料を供給する機能と排気ガスを排出する機能を有しているので、これらの通路を別途設ける必要がない。したがって、燃料電池システムを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態による燃料電池システムの概略構成図である。
【
図2a】
図2aは、補機構造体の上面斜視図である。
【
図2b】
図2bは、補機構造体の底面斜視図である。
【
図3a】
図3aは、補機構造体内部のガス流路を説明する模式図である。
【
図3b】
図3bは、補機構造体内部のガス流路を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、変形例による燃料電池システムを示す模式図である。
【
図5】
図5は、変形例による燃料電池システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態による燃料電池システム100の概略構成図である。燃料電池システム100は、例えば車両等に搭載され、燃料電池スタック1(1a,1b)に対して発電に必要となる燃料ガス(アノードガス)及び酸化剤ガス(カソードガス)を供給し、燃料電池スタック1を車両走行用の電動モータ等の電気負荷に応じて発電させるシステムである。
【0011】
図1に示すように、燃料電池システム100は、第1の燃料電池スタック1a、第2の燃料電池スタック1b、後述するガス流路及び補機を内蔵する補機構造体2等から構成される。
【0012】
第1及び第2の燃料電池スタック1a,1bは、それぞれ複数の燃料電池セルユニットを重力方向に積層して構成され、アノードガスとカソードガスの供給を受けて発電する。燃料電池スタック1a,1bの発電源である個々の燃料電池は、例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)であり、高温で稼働する。
【0013】
第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとは、補機構造体2を介して重力方向に積層されている。即ち、燃料電池システム100は、重力方向に2段に積層された燃料電池スタック1(1a,1b)を含み、積層された第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとの間には、補機構造体2が介在している。
【0014】
また、第1の燃料電池スタック1aは、上端側にエンドプレート11aを有し、第2の燃料電池スタック1bは、下端側にエンドプレート11bを有している。エンドプレート11a,11bは、それぞれ矩形平板状に形成される。エンドプレート11a,は、対向する一対の側面111aに、それぞれボルト用の孔が設けられたフランジ12aを2つずつ備える。同様に、エンドプレート11bは、対向する一対の側面111bに、それぞれボルト用の孔が設けられたフランジ12bを2つずつ備える。フランジ12a,12bは、後述する補機構造体2に設けられたフランジ22a,22bに対向する位置に設けられる。このエンドプレート11aに設けられたフランジ12aと、補機構造体2に設けられたフランジ22aとは、フランジ12a及びフランジ22aに設けられたボルト用の孔を貫通する締結部材としての通しボルト21aによりボルト締めされる。これにより、第1の燃料電池スタック1aと補機構造体2とは締結固定される。同様に、エンドプレート11bに設けられたフランジ12bと、補機構造体2に設けられたフランジ22bとは、フランジ12b及びフランジ22bに設けられたボルト用の孔を貫通する通しボルト21bによりボルト締めされる。これにより、第2の燃料電池スタック1bと補機構造体2とは締結固定される。
【0015】
補機構造体2は、前面23、前面23に接続する第1の側面24、第1の側面24に対向する第2の側面25、前面23に対向する後面26、上面27、底面28を有する略直方体状の構造体で、金属等により形成される。補機構造体2は、燃料電池システム100のガス流路と、補機としての燃焼器(排気燃焼器)3及び熱交換器4(
図3a、
図3bを参照)とを内蔵する。なお、ここでいう内蔵とは、すべてが補機構造体2の内部にある場合だけでなく、構成部品の一部は補機構造体2の外部に出ているが補機構造体2に固定されているような場合も含む。補機構造体2に内蔵されるガス流路は、補機構造体2の第1の側面24を介して燃料供給管5、燃焼用燃料供給管51、空気供給管6、バイパス空気供給管61に接続し、補機構造体2の底面28を介して排気管7に接続している。なお、補機構造体2の内部構造の詳細は後述する。
【0016】
補機構造体2は、前述の通り、第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとの間に介在し、上面(保持面)27が第1の燃料電池スタック1aの底面(接続面)に接し、底面(保持面)28が第2の燃料電池スタック1bの上面(接続面)に接している。また、第1の燃料電池スタック1aの上面及び第2の燃料電池スタック1bの下面は、エンドプレート11a,11bに接している。これにより、第1及び第2の燃料電池スタック1a,1bは、エンドプレート11a,11bと補機構造体2との間で保持される。このように、補機構造体2は、2つの燃料電池スタック1a,1bの一方側端部の台座(エンドプレート)としての機能を兼ねている。
【0017】
また、補機構造体2は、第1の側面24と、第1の側面24に対向する第2の側面25に、それぞれボルト用の孔が設けられたフランジ22a,22bを2つずつ備える。フランジ22aは、補機構造体2の側面24,25の上部に設けられ、エンドプレート11aのフランジ12aと対向するように形成されている。一方、フランジ22bは、補機構造体2の側面24,25の下部に設けられ、エンドプレート11bのフランジ12bと対向するように形成されている。前述のとおり、フランジ12aとフランジ22a、及びフランジ12bとフランジ22bは、それぞれ通しボルト21a,21bによりボルト締めされ、これにより、第1及び第2の燃料電池スタック1a,1bと補機構造体2とは締結固定される。即ち、第1及び第2の燃料電池スタック1a,1bは、エンドプレート11a,11bと補機構造体2との間で保持されるとともに、通しボルト21a,21bにより補機構造体2に締結固定される。このとき、燃料電池スタック1a,1bは、エンドプレート11a,11bと補機構造体2の間で与圧が付与されるように締結固定される。
【0018】
なお、燃料電池スタック1a,1bと補機構造体2との締結構造は上記の方法に限るものではなく、燃料電池スタック1a,1bをエンドプレート11a,11bと補機構造体2の間で固定できれば、他の締結部材、例えば、金属バンド、あるいは金属プレートなどを用いてもよい。
【0019】
燃料供給管5、燃焼用燃料供給管51、空気供給管6、バイパス空気供給管61及び排気管7はいずれも補機構造体2外部の配管(外部配管)であり、補機構造体2の外部から補機構造体2内のガス流路に接続している。燃料供給管5は、燃料電池スタック1に供給する燃料ガス(アノードガス)を補機構造体2内のガス流路に供給する配管である。燃焼用燃料供給管51は、燃料電池システム100起動時に燃焼器3に供給する燃料ガスを、補機構造体2内のガス流路に供給する配管である。空気供給管6及びバイパス空気供給管61は、燃料電池スタック1に供給する空気(カソードガス)を補機構造体2内のガス流路に供給する配管である。排気管7は、燃料電池スタック1からのオフガスを外部に排出する配管である。燃料供給管5、燃焼用燃料供給管51、空気供給管6及びバイパス空気供給管61は、補機構造体2の第1の側面24を介して補機構造体2内のガス流路に接続し、排気管7は、補機構造体2の底面28を介して補機構造体2内のガス流路に接続している。
【0020】
図2aは、補機構造体2と第1の燃料電池スタック1aとを取り外した状態における、補機構造体2の上面27方向から見た斜視図(補機構造体2の上面斜視図)である。また、
図2bは、補機構造体2と第2の燃料電池スタック1bとを取り外した状態における、補機構造体2の底面28方向から見た斜視図(補機構造体2の底面斜視図)である。
【0021】
補機構造体2は、燃料供給路(アノードガス供給流路)81、アノード連結路82、空気供給路(カソードガス供給流路)83及びカソード連結路84を内蔵する。燃料供給路81は、第1の燃料電池スタック1aに燃料ガスを供給する流路であり、アノード連結路82は、燃料ガスを第1の燃料電池スタック1aから第2の燃料電池スタック1bに供給する流路である。また、空気供給路83は、第2の燃料電池スタック1bに空気(カソードガス)を供給する流路であり、カソード連結路84は、カソードガスを第2の燃料電池スタック1bから第1の燃料電池スタック1aに供給する流路である。
【0022】
図2a及び
図2bに示すように、燃料供給路81、アノード連結路82、空気供給路83及びカソード連結路84は、補機構造体2の上面27及び底面28において開口している。燃料供給路81、アノード連結路82及びカソード連結路84は、補機構造体2と第1の燃料電池スタック1aとを締結した状態において、補機構造体2の上面27及び第1の燃料電池スタック1aの底面(接続面)を介して第1の燃料電池スタック1a内のガス流路に連結する。また、アノード連結路82、空気供給路83及びカソード連結路84は、補機構造体2と第2の燃料電池スタック1bとを締結した状態において、補機構造体2の底面28及び第2の燃料電池スタック1bの上面(接続面)を介して第2の燃料電池スタック1b内のガス流路に連結する。
【0023】
また、補機構造体2は、排ガス流路85を内蔵し、排ガス流路85は、補機構造体2の上面27及び底面28において開口している。排ガス流路85は、アノードオフガスが流れるアノードオフガス流路851と、カソードオフガスが流れるカソードオフガス流路852と、燃焼器3により燃焼された排ガスが流れる燃焼ガス流路853とを含む。カソードオフガス流路852は、補機構造体2と第1の燃料電池スタック1aとを締結した状態において、補機構造体2の上面27及び第1の燃料電池スタック1aの底面(接続面)を介して第1の燃料電池スタック1a内のカソードオフガスが流れる通路に連結する。アノードオフガス流路851は、補機構造体2と第2の燃料電池スタック1bとを締結した状態において、補機構造体2の底面28及び第2の燃料電池スタック1bの上面(接続面)を介して第2の燃料電池スタック1b内のアノードオフガスが流れる通路に連結する。燃焼ガス流路853は、補機構造体2の底面28を介して排気管7(
図1を参照)に連結する。
【0024】
このように、補機構造体2に内蔵される燃料供給路81、アノード連結路82、空気供給路83、カソード連結路84及び排ガス流路85は、補機構造体2の保持面(上面27,底面28)及び燃料電池スタック1の接続面を介して燃料電池スタック1に接続される。これにより、補機構造体2外部の配管から補機構造体2内のガス流路を介して燃料ガス及び空気を燃料電池スタック1に供給し、燃料電池スタック1からのオフガスを補機構造体2内のガス流路を介して外部に排出することができる。
【0025】
具体的には、外部配管から燃料供給路81に供給された燃料ガスは、補機構造体2の上面27を介して第1の燃料電池スタック1aに供給された後、第1の燃料電池スタック1aから補機構造体2の上面27を介してアノード連結路82に供給される。アノード連結路82に供給された燃料ガス(アノードガス)は、補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに供給される。第2の燃料電池スタック1bに用いられたアノードガスは、アノードオフガスとして第2の燃料電池スタック1bから補機構造体2の底面28を介して排ガス流路85(アノードオフガス流路851)に流入する。アノードオフガス流路851に流入したアノードオフガスは、アノードオフガス流路851から燃焼器3(
図3a、
図3bを参照)に供給される。なお、燃料電池スタック1内のアノード流路には改質触媒が塗られており、これにより、燃料ガスは、燃料電池スタック1内で改質される。
【0026】
一方、外部配管から空気供給路83に供給された空気(カソードガス)は、補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに供給された後、第2の燃料電池スタック1bから補機構造体2の底面28を介してカソード連結路84に供給される。カソード連結路84に供給された空気(カソードガス)は、補機構造体2の上面27を介して第1の燃料電池スタック1aに供給される。第1の燃料電池スタック1aに用いられたカソードガスは、カソードオフガスとして補機構造体2の上面27を介して排ガス流路85(カソードオフガス流路852)に流入する。カソードオフガス流路852に流入したカソードオフガスは、カソードオフガス流路852から燃焼器3(
図3a、
図3bを参照)に供給される。
【0027】
燃焼器3(
図3a、
図3bを参照)に供給されたアノードオフガス及びカソードオフガスは、燃焼器3内で混合されて燃焼され、燃焼された排ガスは燃焼ガス流路853から補機構造体2の底面28を介して排気管7(
図1を参照)に排出される。
【0028】
図3a及び
図3bは、補機構造体2内部のガス流路を説明する模式図であり、補機構造体2の内部構成を取り出した図である。
図3aは補機構造体2の上面斜視図、
図3bは補機構造体2の底面斜視図である。
【0029】
図3a及び
図3bに示すように、補機構造体2は、補機としての燃焼器(排気燃焼器)3及び熱交換器4と、ガス供給流路としての燃料供給路81、アノード連結路82、空気供給路83、カソード連結路84と、排ガス流路85とを内蔵する。補機構造体2では、これらの補機3,4を収容する空間、ガス供給流路81~84、排ガス流路85を、例えば、鋳造などにより一体的に形成する。
【0030】
燃料供給路81は、燃料供給管5を介して供給される外部からの燃料ガスを第1の燃料電池スタック1aに供給する第1燃料供給路811と、燃料電池システム100の起動時に、燃料ガスを燃焼器3に供給する燃焼用燃料供給路812とを含む。
【0031】
第1燃料供給路811は、外部から燃料供給管5を介して補機構造体2に供給される燃料ガスを第1の燃料電池スタック1aに供給するための流路である。第1燃料供給路811は、直線部811aと、直線部811aから分岐する2つの湾曲部811bとを有している。直線部811aの一端は、第1燃料供給路811の入口8111であり、補機構造体2の第1の側面24を介して燃料供給管5(
図1を参照)に接続している。第1燃料供給路811と燃料供給管5とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。一方、直線部811aの他端は閉塞されている。2つの湾曲部811bは、直線部811aの両端付近においてそれぞれ直線部811aから分岐し、湾曲状に伸びている。各湾曲部811bの直線部811aと接続する側とは反対側の端部は、第1燃料供給路811の出口8112であり、補機構造体2の上面(保持面)27を介して第1の燃料電池スタック1aに接続している。外部から供給される燃料ガスは、入口8111から第1燃料供給路811に流入し、直線部811a及び湾曲部811bを介して出口8112から第1の燃料電池スタック1aに供給される。
【0032】
燃焼用燃料供給路812は、燃料電池システム100の起動時に、燃料ガスを燃焼器3に供給するための流路である。燃焼用燃料供給路812の一端(入口)8121は、補機構造体2の第1の側面24を介して燃焼用燃料供給管51(
図1参照)に接続し、他端(出口)は、燃焼器3に接続している。燃料電池システム100の起動時には、燃焼用燃料供給管51から燃焼用燃料供給路812を介して燃焼器3に燃料ガスが供給される。これにより、燃焼器3内にアノードオフガスが供給されていない燃料電池システム100の起動時においても、燃焼器3に燃料が供給され、燃焼器3内において空気と燃料の混合ガスが燃焼される。即ち、燃料電池システム100が暖機される。
【0033】
アノード連結路82は、燃料ガスを第1の燃料電池スタック1aから第2の燃料電池スタック1bに供給するための流路であり、第1の燃料電池スタック1a内のアノード流路と第2の燃料電池スタック1b内のアノード流路とを連結する。アノード連結路82は、第1の燃料電池スタック1aに接続する2つの湾曲部82aと、第2の燃料電池スタック1bに接続する2つの湾曲部82bと、湾曲部82aと湾曲部82bとを連結する連結部82cとを有している。湾曲部82aの一端はアノード連結路82の入口821であり、補機構造体2の上面27を介して第1の燃料電池スタック1aに接続している。湾曲部82aの他端は連結部82cに接続している。湾曲部82bの一端は、アノード連結路82の出口822であり、補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに接続している。湾曲部82bの他端は連結部82cに接続している。連結部82cは、湾曲部82a,82b同士、及び湾曲部82aと湾曲部82bとを連結するように形成されている。第1燃料供給路811から第1の燃料電池スタック1aに供給された燃料ガスは、アノード連結路82の入口821から湾曲部82aに流入し、連結部82c及び湾曲部82bを介してアノード連結路82の出口822から第2の燃料電池スタック1bに供給される。
【0034】
空気供給路83は、外部からの空気(カソードガス)を第2の燃料電池スタック1bに供給する流路であり、第1空気供給路831と第2空気供給路832とを含む。
【0035】
第1空気供給路831は、空気供給管6を介して補機構造体2に供給される外部からの空気を、熱交換器4により熱交換(加熱)して燃料電池スタック1に供給するための流路である。第1空気供給路831は、一端(入口)8311が補機構造体2の第1の側面24を介して空気供給管6(
図1を参照)に接続し、他端(出口)8312は、補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに接続している。なお、第1空気供給路831と空気供給管6とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0036】
また、第1空気供給路831は、入口8311と出口8312との間の中間部分において、熱交換器4に接した状態で熱交換器4の外周を覆うように構成される。これにより、補機構造体2の外部から供給される空気は、第1空気供給路831の入口8311から第1空気供給路831に流入し、中間部分において熱交換器4により熱交換(加熱)され、出口8312から第2の燃料電池スタック1bに供給される。なお、第1空気供給路831は、出口8312近傍において後述の第2空気供給路832に接続されている。
【0037】
第2空気供給路832は、外部からバイパス空気供給管61を介して供給される空気を、熱交換(加熱)せずに燃料電池スタック1に供給するための流路である。第2空気供給路832は、一端(入口)8321が、補機構造体2の第1の側面24を介してバイパス空気供給管61(
図1を参照)に接続し、他端(出口)8222は、第1空気供給路831の出口8312近傍に接続している。なお、第2空気供給路832とバイパス空気供給管61とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0038】
第2空気供給路832は、入口8321と出口8322との間の中間部分が熱交換器4に接していない。このため、バイパス空気供給管61から供給された空気は、第2空気供給路832の入口8321から第2空気供給路832に流入し、熱交換(加熱)されずに第1空気供給路831に供給される。即ち、第2の燃料電池スタック1bには、熱交換(加熱)されていない第2空気供給路832からの空気と、熱交換器4により熱交換(加熱)された第1空気供給路831内の空気とが混合した空気が供給される。従って、補機構造体2の外部において、燃料電池システム100の制御部(図示しない)によりバイパス空気供給管61に供給される空気の量を調節することで、燃料電池スタック1に供給される空気の温度を調節することができる。
【0039】
カソード連結路84は、空気を第2の燃料電池スタック1bから第1の燃料電池スタック1aに供給するための流路であり、第1の燃料電池スタック1a内のカソード流路と第2の燃料電池スタック1b内のカソード流路とを連結する。カソード連結路84は、一端(入口)841が補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに接続し、他端(出口)842は、補機構造体2の上面27を介して第1の燃料電池スタック1aに接続している。第1及び第2空気供給路831,832から第2の燃料電池スタック1bに供給された空気は、カソード連結路84の入口841からカソード連結路84に流入し、カソード連結路84の出口842から第1の燃料電池スタック1aに供給される。
【0040】
図3aに示すように、カソード連結路84は、第2の燃料電池スタック1bと第1の燃料電池スタック1aとの間を直線的に連結する。これにより、第2の燃料電池スタック1bと第1の燃料電池スタック1aとの間を連結する経路が最短化され、省スペース化及び部品点数を削減することができる。
【0041】
排ガス流路85は、アノードオフガスを燃焼器3に供給するアノードオフガス流路851と、カソードオフガスを燃焼器3に供給するカソードオフガス流路852と、燃焼ガスを補機構造体2外部の排気管7に排出する燃焼ガス流路853とを含む。なお、排ガス流路85上には、燃焼器3及び熱交換器4が配置されている。
【0042】
アノードオフガス流路851は、第2の燃料電池スタック1bからのアノードオフガスを燃焼器3に供給するための流路である。アノードオフガス流路851は、第2の燃料電池スタック1bに接続する2つの湾曲部851aと、湾曲部851aと燃焼器3とを連結する連結部851bとを有している。湾曲部851aの一端はアノードオフガス流路851の入口8511であり、補機構造体2の底面28を介して第2の燃料電池スタック1bに接続している。湾曲部851aの他端は連結部851bに接続している。連結部851bは、一端は閉塞し、他端は燃焼器3に接続されるアノードオフガス流路851の出口である。第2の燃料電池スタック1bからのアノードオフガスは、アノードオフガス流路851の入口8511からアノードオフガス流路851に流入し、湾曲部851a及び連結部851bを介してアノードオフガス流路851の出口から燃焼器3に供給される。
【0043】
カソードオフガス流路852は、第1の燃料電池スタック1aからのカソードオフガスを燃焼器3に供給するための流路である。カソードオフガス流路852は、一端(入口)8521が補機構造体2の上面27を介して第1の燃料電池スタック1aに接続し、他端(出口)は、燃焼器3に接続している。第1の燃料電池スタック1aからのカソードオフガスは、カソードオフガス流路852の入口8521からカソードオフガス流路852に流入し、カソードオフガス流路852の出口から燃焼器3に供給される。
【0044】
燃焼器(排気燃焼器)3は、燃料電池スタック1の排ガスを燃焼する補機である。燃焼器3は、アノードオフガス流路851、カソードオフガス流路852及び燃焼ガス流路853と接続している。燃焼器3には、アノードオフガス流路851及びカソードオフガス流路852からそれぞれアノードオフガス及びカソードオフガスが供給される。燃焼器3に供給されたアノードオフガス及びカソードオフガスは、燃焼器3内で燃焼され、高温の燃焼ガスが生成される。当該燃焼ガスは、燃焼ガス流路853に流入する。
【0045】
燃焼ガス流路853は、燃焼器3において生成された燃焼ガスを熱交換器4により熱交換させてから外部に排出する流路である。燃焼ガス流路853は、一端(入口)8531は燃焼器3に接続され、他端(出口)8532は補機構造体2の底面28を介して排気管7(
図1を参照)に接続されている。なお、燃焼ガス流路853と排気管7とが接続する部分は、フランジ(図示しない)等により固定されている。
【0046】
また、燃焼ガス流路853は、入口8531と出口8532との間に熱交換器4が配置されている。熱交換器4は、燃焼器3において燃焼された燃料電池スタック1の排ガス(燃焼ガス)と、空気供給路83(第1空気供給路831)内の空気とを用いて熱交換することで、燃料電池スタック1に供給される空気を加熱する。燃焼器3により燃焼された排ガス(燃焼ガス)は、燃焼ガス流路853を介して熱交換器4に供給され、空気供給路83(第1空気供給路831)内の空気との間で熱交換される。熱交換器4において熱交換された排ガスは燃焼ガス流路853を介して排気管7に排出され、排気管7を介して燃料電池システム100が搭載される車両等の外部に排出される。
【0047】
なお、アノード連結路82及びカソード連結路84は、補機構造体2の一つの側面である前面23(
図1を参照)寄りの位置に配置され、燃焼器3及び熱交換器4は、補機構造体2の中央の位置に配置されている。このようにアノード連結路82及びカソード連結路84を補機構造体2の一つの側面(前面23)寄りの位置に偏在させて配置することで、補機類を補機構造体2に格納する容積を容易に確保できる。
【0048】
以上のとおり、本実施形態では、燃料電池スタック1に接続するガス流路と、燃焼器3及び熱交換器4とを第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとの間に介在する補機構造体2に内蔵させている。
【0049】
排気燃焼器が積層される2つの燃料電池スタックの一方のみに隣接する位置に配置されている場合、或いはいずれの燃料電池スタックにも隣接しない位置に配置されている場合、燃料電池スタックからの排ガスを排気燃焼器に導く経路が長くなり、燃料電池システム全体が大型化する虞がある。また、燃料電池スタックと排気燃焼器との距離が離れていると、オフガスが排気燃焼器に到達するまで時間がかかり、燃料電池システムの昇温が遅れる虞がある。これに対し、本実施形態では、燃焼器3が、積層する2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に配置された補機構造体2に内蔵されている。このため、補機構造体2とは別の位置に燃焼器3を配置した場合に比べ、燃料電池スタック1のオフガスを燃焼器3に導く流路を短縮することができ、燃料電池システム100の小型化及び昇温の早期化が実現される。
【0050】
また、燃焼器3が、積層する2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に配置されているため、燃焼器3の温度が低下しにくく、燃焼器3の温度を保温することができる。
【0051】
また、熱交換器4も同様に、補機構造体2に内蔵されているため、補機構造体2とは別の位置に熱交換器4を配置した場合に比べ、昇温後の空気(カソードガス)を燃料電池スタック1に導く流路を短縮できる。これにより、燃料電池システム100の小型化が実現される。
【0052】
また、ガス流路と、燃焼器3及び熱交換器4とを補機構造体2に内蔵させて一体化しているため、燃料電池システム100全体の部品点数や組み立て工程数を削減することができる。
【0053】
なお、補機構造体2に内蔵される燃焼器3、熱交換器4及び各ガス流路は、上記の構成に限られるものではない。各ガス流路は、補機構造体2外部の配管と燃料電池スタック1とを接続するものであれば、補機構造体2内におけるガス流路の取り回しは如何なるものでもよい。また、燃料供給路81、アノード連結路82、空気供給路83及びカソード連結路84は、補機構造体2の前面23または後面26寄りの位置に配置し、燃焼器3及び熱交換器4は、補機構造体2の中央の位置に配置することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。補機構造体2内における補機類及びガス流路は、どのように配置してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、補機構造体2に鋳造により燃焼器3、熱交換器4の収容空間及び各ガス流路を一体的に形成しているが、必ずしもこれに限られず、3Dプリンタ、切削など既知の如何なる方法を用いてこれらを形成してもよい。
【0055】
上記した燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0056】
燃料電池システム100では、燃料電池スタック1a,1bが、それぞれエンドプレート11a,11bと補機構造体2の間位に保持される。このように、補機構造体2では、2つの燃料電池スタック1a,1bが保持する台座(エンドプレート)としての機能を有している。したがって、必要なエンドプレートの点数を削減できるため、燃料電池システム100の部品点数を削減できるとともに、燃料電池システム100を小型化できる。さらに、燃料電池システム100を軽量化及び低コスト化することができる。
【0057】
また、燃料電池システム100では、燃料電池スタック1a,1bは、重力方向に積層されているので、燃料電池スタック1a,1bの荷重を補機構造体2ないしエンドプレート11bで受けることができる。燃料電池スタック1a,1bに積層方向とは異なる方向の自重が作用した場合には、自重によって燃料電池スタック1a,1bが変形する(セルユニットの積層状態が崩れる)おそれがある。そこで、積層方向を重力方向とすることにより、燃料電池スタック1a,1bが変形する(セルユニットの積層状態が崩れる)ことを防止できる。
【0058】
燃料電池システム100は、2つの燃料電池スタック1a,1bを備え、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に燃焼器(排気燃焼器)3を配置している。このため、当該位置とは別の位置に燃焼器3を配置した場合に比べ、燃料電池スタック1のオフガスを燃焼器3に導く流路を短縮することができる。これにより、燃料電池システム100全体の小型化や部品数の低減を実現でき、省スペース化及び低コスト化することができる。また、燃料電池スタック1のオフガスを燃焼器3に導く流路が短縮され、オフガスが早期に燃焼されるため、燃料電池システム100の昇温を早期化することができる。
【0059】
また、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に燃焼器(排気燃焼器)3を配置しているため、燃焼器(排気燃焼器)3の温度は低下しにくい。即ち、燃焼器(排気燃焼器)3の温度を保温することができる。
【0060】
また、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に高温部品である燃焼器(排気燃焼器)3を配置しているため、燃焼器(排気燃焼器)3の熱によっても燃料電池スタック1a,1bが昇温される。即ち、燃料電池スタック1a,1bをより早期に昇温することができる。
【0061】
燃料電池システム100は、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に熱交換器4を配置している。このため、当該位置とは別の位置に熱交換器4を配置した場合に比べ、昇温後の空気(カソードガス)を燃料電池スタック1に導く流路を短縮できる。これにより、燃料電池システム100全体の小型化や部品数の低減を実現でき、省スペース化及び低コスト化することができる。また、昇温後の空気(カソードガス)が燃料電池スタック1に到達する前に温度低下してしまうことを抑制できる。
【0062】
また、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に熱交換器4を配置しているため、熱交換器4の温度は低下しにくい。即ち、熱交換器4の温度を保温することができる。
【0063】
また、2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に高温部品である熱交換器4を配置しているため、熱交換器4の熱によっても燃料電池スタック1a,1bが昇温される。即ち、燃料電池スタック1a,1bをより早期に昇温することができる。
【0064】
燃料電池システム100は、2つの燃料電池スタック1a,1bの間に配置される補機構造体2を備える。補機構造体2は、燃焼器(排気燃焼器)3と、熱交換器4と、燃料電池スタック1に空気及び燃料を供給するガス供給流路81~84と、燃料電池スタック1の排ガスを外部に排出する排ガス流路85とを内蔵する。このように、各ガス流路と、燃焼器3及び熱交換器4とを補機構造体2に内蔵させて一体化しているため、燃料電池システム100全体を小型化できるとともに、部品数や組み立て工程数を削減することができる。即ち、燃料電池システム100を省スペース化及び低コスト化することができる。
【0065】
燃料電池システム100は、燃料供給路(アノードガス供給流路)81、空気供給路(カソードガス供給流路)83及び排ガス流路(アノードオフガス流路及びカソードオフガス流路)85が、補機構造体2の保持面27,28及び燃料電池スタック1a,1bの接続面を介して燃料電池スタック1a,1bに接続される。即ち、各ガス流路が、補機構造体2と燃料電池スタック1とが面接触する部分を介して燃料電池スタック1に接続される。これにより、各ガス流路が当該部分を介さずに燃料電池スタック1に接続する場合(例えば補機構造体2の外部から燃料電池スタック1に接続する場合)に比べ、2つの燃料電池スタック1a,1bとのガスのやり取りを短距離で行うことができる。従って、流路が長いことによるガスの温度低下等を抑制でき、燃料電池システム100の性能を向上させることができるとともに、構成部品を削減することができ、低コスト化することができる。
【0066】
また、燃焼器3及び熱交換器4は、どちらも2つの燃料電池スタック1a,1bの間であって、2つの燃料電池スタック1a,1bのそれぞれに隣接する位置に配置することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。例えば、燃焼器3のみを当該位置に配置する構成であってもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、燃料電池システム100が2つの燃料電池スタック1a,1bを備える構成としたが、燃料電池スタック1の個数は2つに限られず、1つであっても、あるいは、3つ以上の燃料電池スタック1を備えていてもよい。例えば、
図4に示すように、4つの燃料電池スタック1a~1dの中心に配置した補機構造体2に燃焼器3を内蔵させるような構成であってもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとを補機構造体2を介して積層する構成としたが、第1の燃料電池スタック1aと第2の燃料電池スタック1bとは必ずしも積層させなくてもよい。例えば、
図5に示すように、燃焼器3を内蔵させた補機構造体2の上面27に複数の燃料電池スタック1(1a,1b)を保持するような構成であってもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、補機としての燃焼器3及び熱交換器4を補機構造体2に内蔵する構成としたが、補機構造体2に内蔵する補機類はこれらに限られない。例えば、改質器等を補機構造体2に内蔵してもよい。本実施形態では、燃料ガスの改質を燃料電池スタック1内で行う構成としたが、この場合、燃料ガスの改質は改質器により行われる。
【0070】
また、燃料電池システム100の小型化等の観点から、各ガス流路と補機類(燃焼器3及び熱交換器4)とは一体に構成することが好ましいが、必ずしもこれに限られず、ガス流路と補機類とを別体、例えば、補機類を補機構造体2の外部に設けてもよい。
【0071】
また、本実施形態においては、熱交換器4は、燃焼器3において燃焼された燃料電池スタック1の排ガス(燃焼ガス)と、空気供給路83内の空気とを用いて熱交換する構成としたが必ずしもこれに限られない。例えば、燃料供給路81を熱交換器4に隣接するように配置し、熱交換器4を燃焼ガスと燃料供給路81内の燃料とを用いて熱交換する構成としてもよい。即ち、熱交換器4は、燃焼器3により燃焼された燃焼ガスと燃料電池スタック1に供給する空気及び燃料の少なくとも一方とを用いて熱交換する構成であればよい。
【0072】
また、燃料供給路81、空気供給路83、アノードオフガス流路851及びカソードオフガス流路852は、いずれも補機構造体2の保持面27,28及び燃料電池スタック1の接続面を介して燃料電池スタック1に接続されることが好ましいが、必ずしもこれに限られない。即ち、燃料供給路81、空気供給路83、アノードオフガス流路851及びカソードオフガス流路852の少なくとも一つが補機構造体2の保持面27,28及び燃料電池スタック1の接続面を介して燃料電池スタック1に接続されていればよい。
【0073】
また、本実施形態においては、補機構造体2内のガス流路に接続する外部配管を燃料供給管5、燃焼用燃料供給管51、空気供給管6、バイパス空気供給管61及び排気管7としたが、外部配管はこれらに限られない。例えば、補機構造体2内のガス流路に接続する外部配管として、燃料ガスに酸素を供給するためのPOX用配管を設けて、補機構造体2にPOX用配管に接続するPOX用流路を内蔵させてもよい。
【0074】
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0075】
燃料電池システム100は、複数のセルユニットが積層されて構成された燃料電池スタック1a,1bと、燃料電池スタック1a,1bの積層方向における一端に設けられたエンドプレート11a,11bと、燃料電池スタック1の一端とは反対側の他端に設けられ、燃料電池スタック1へ空気及び燃料を供給するとともに燃料電池スタック1a,1bからの排ガスを排出する機能を有する構造体(補機構造体2)と、を備え、燃料電池スタック1a,1bは、エンドプレート11a,11bと構造体(補機構造体2)との間で保持される。
【0076】
燃料電池システム100では、構造体(補機構造体2)がエンドプレートとして機能するので、他端側にエンドプレートを設ける必要がない。また、構造体(補機構造体2)が空気及び燃料を供給する機能と排気ガスを排出する機能を有しているので、これらの通路などを別途設ける必要がない。したがって、燃料電池システム100を小型化できる。また、燃料電池システム100を軽量化、さらに、低コスト化することができる。
【0077】
燃料電池システム100では、燃料電池スタック1a,1bは、エンドプレート11a,11bと構造体(補機構造体2)の間で与圧が付与されている。
【0078】
燃料電池スタック1a,1bに与圧を付与することにより、セルユニット間の隙間の発生を防止し、セルユニット間からのガス漏れを確実に防止できる。
【0079】
燃料電池システム100では、エンドプレート11a,11bと構造体(補機構造体2)とが通しボルトによって締結される。
【0080】
エンドプレート11a,11bと構造体(補機構造体2)とが通しボルトによって締結することにより、組み立てを簡単に行うことができるとともに、与圧の調整を簡単に行うことができる。
【0081】
燃料電池システム100は、燃料電池スタック1a,1bを複数備え、構造体(補機構造体2)は、複数の燃料電池スタック1a,1bそれぞれの他端に設けられて、エンドプレート11a,11bとの間で燃料電池スタック1a,1bを保持する。
【0082】
燃料電池システム100が複数の燃料電池スタック1a,1bを備えている場合に、構造体(補機構造体2)を燃料電池スタック1a,1bの他端側のエンドプレートとして機能させることができる。これにより、部品点数を削減できるとともに、燃料電池システム100を小型化できる。
【0083】
燃料電池システム100では、複数の燃料電池スタック1a,1bは、構造体(補機構造体2)を挟んで対向するように設けられる。
【0084】
この構成では、例えば、車両の搭載時や保管時に、複数の燃料電池スタック1a,1bの積層方向を重力方向とすることで、燃料電池スタック1a,1bに積層方向とは異なる方向に自重が作用することを防止できる。よって、燃料電池スタック1a,1bに積層方向とは異なる方向の荷重が作用して、燃料電池スタック1a,1bが変形する(セルユニットの積層状態が崩れる)ことを防止できる。
【0085】
燃料電池システム100では、構造体(補機構造体2)は、複数の燃料電池スタック1a,1bのうちの少なくとも一つの燃料電池スタック1a、bに燃料あるいは空気を供給するための供給流路(アノードガス供給流路81、カソードガス供給流路83)と、一つの燃料電池スタック1a,1bを通過した燃料あるいは空気を複数の燃料電池スタック1a,1bのうちの一つの燃料電池スタック1a,1bとは異なる燃料電池スタック1a,1bに供給するための連結路(アノード連結路82、カソード連結路84)と、を内蔵する。
【0086】
この構成では、構造体(補機構造体2)に供給流路(アノードガス供給流路81、カソードガス供給流路83)及び連結路(アノード連結路82、カソード連結路84)が内蔵されるので、配管を簡素化でき、燃料電池システムを小型化できる。
【0087】
燃料電池システム100では、構造体(補機構造体2)は、燃料電池スタック1a,1bからの排ガスを燃焼する排気燃焼器(燃焼器3)と、排気燃焼器(燃焼器3)により燃焼された燃焼ガスと燃料電池スタック1a,1bに供給される空気及び燃料の少なくとも一方とを用いて熱交換する熱交換器4と、を内蔵する。
【0088】
この構成では、構造体(補機構造体2)に排気燃焼器(燃焼器3)及び熱交換器4が内蔵されるので、燃料電池システムを小型化できる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0090】
なお、上記実施形態では、燃料電池スタック1a,1bがエンドプレート11a,11bと補機構造体2との間で与圧が付与されている場合を例に説明したが、予め燃料電池スタック1a,1b自体のシール性、燃料電池スタック1a,1bとエンドプレート11a,11b及び補機構造体2との間のシール性が確保できていれば、与圧は付与されなくてもよい。
【符号の説明】
【0091】
100 燃料電池システム
1,1a,1b 燃料電池スタック
2 補機構造体(構造体)
3 燃焼器(排気燃焼器)
4 熱交換器
5 燃料供給管
6 空気供給管
7 排気管
11a,11b エンドプレート
21a,21b 通しボルト
81 燃料供給路(アノードガス供給流路)
81 ガス供給流路
82 アノード連結路
82 カソード連結路
83 空気供給路(カソードガス供給流路)
84 カソード連結路
85 排ガス流路