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特許7580267熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体を含む筆記体セット
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  • 特許-熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体を含む筆記体セット 図1
  • 特許-熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体を含む筆記体セット 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体を含む筆記体セット
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/17 20140101AFI20241101BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20241101BHJP
   B43K 29/02 20060101ALI20241101BHJP
   B43K 8/02 20060101ALI20241101BHJP
   B43K 5/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
C09D11/17
B43K7/00
B43K29/02 F
B43K8/02
B43K5/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020215520
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2021107543
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2019238898
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】桝重 直登
(72)【発明者】
【氏名】大野 いつ香
(72)【発明者】
【氏名】名渕 由弦
【審査官】橋本 栄和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-000733(JP,A)
【文献】特開2013-233815(JP,A)
【文献】特開2016-047653(JP,A)
【文献】特開2018-075836(JP,A)
【文献】特開2015-083640(JP,A)
【文献】特開2009-025718(JP,A)
【文献】特開2019-116603(JP,A)
【文献】特開2009-185133(JP,A)
【文献】特開2008-290392(JP,A)
【文献】特開2019-126950(JP,A)
【文献】特開2006-123324(JP,A)
【文献】特開2009-227954(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103788939(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/17
B43K 7/00
B43K 29/02
B43K 8/02
B43K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、下書き用熱変色性筆記体に内蔵される熱変色性インキ組成物であって、
マイクロカプセルに可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有し、
前記可逆熱変色性組成物が、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記電子供与性呈色性有機化合物及び前記電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体とを含み、
前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値から、前記清書用非熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値を差し引いた明度差が、30以上であり、
前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値が、80以下である
熱変色性インキ組成物
を内蔵した下書き用熱変色性筆記体であって、
前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材を含み、
前記摩擦部材は、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、かつ動摩擦係数が0.25~0.50である、
下書き用熱変色性筆記体
【請求項2】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を10質量%以下含有する請求項1に記載の下書き用熱変色性筆記体
【請求項3】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が、1.0μm以下である請求項1又は2に記載の下書き用熱変色性筆記体
【請求項4】
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度が、-10℃以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の下書き用熱変色性筆記体
【請求項5】
レフィルである請求項1~4のいずれか1項に記載の下書き用熱変色性筆記体。
【請求項6】
前記硬さが65~80であり、前記動摩擦係数が0.25~0.35である、請求項1~5のいずれか1項に記載の下書き用熱変色性筆記体。
【請求項7】
前記摩擦部材は有機高分子材料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の下書き用熱変色性筆記体。
【請求項8】
前記有機高分子材料はポリエチレン樹脂を含む、請求項7に記載の下書き用熱変色性筆記体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の下書き用熱変色性筆記体、及び
非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体
を含む筆記体セット。
【請求項10】
前記下書き用熱変色性筆記体及び前記清書用非熱変色性筆記体が、それぞれ独立した筆記体である請求項に記載の筆記体セット。
【請求項11】
前記下書き用非熱変色性筆記体と前記清書用非熱変色性筆記体とを単一の軸筒内に含む複合式筆記体である請求項に記載の筆記体セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体を含む筆記体セットに関する。
【背景技術】
【0002】
熱変色性インキ組成物を内蔵した熱変色性筆記体は、それを用いて形成した筆跡を熱により消色することができるものであり、様々な用途で広く利用されている。そのような熱変色性筆記体は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-247358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱変色性筆記体は、非熱変色性インキ組成物を内蔵した非熱変色性筆記体と共に、例えば、熱変色性筆記体で下書きを行い、次いで、下書き筆跡に基づいて非熱変色性筆記体で清書を行った後、下書き筆跡を消色するという用途で、組み合わせて使用することができる。そのため、熱変色性筆記体及び非熱変色性筆記体の筆記体セットは、例えば、履歴書の作成等に好適に用いることができる。
そのような用途において、下書き筆跡には、清書し易いように、下書き筆跡に対して清書筆跡が相対的に見易い、すなわち、清書筆跡の視認性を損ない難い(以下、「清書筆跡視認性に優れる」と言うことがある)こと、下書き筆跡自体が見易い(以下、「下書き筆跡視認性に優れる」と言うことがある)ことが求められる。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、視認性に優れ、且つ清書筆跡の視認性を損ない難い下書き筆跡を形成できる下書き用熱変色性筆記体に内蔵される熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体と清書用非熱変色性筆記体とを含む筆記体セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、
非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、下書き用熱変色性筆記体に内蔵される熱変色性インキ組成物であって、
マイクロカプセルに可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有し、
前記可逆熱変色性組成物が、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、前記電子供与性呈色性有機化合物及び前記電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体とを含み、
前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値から、前記清書用非熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値を差し引いた明度差が、30以上であり、
前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値が、80以下である
熱変色性インキ組成物である。
【0007】
本発明の態様2は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を10質量%以下含有する態様1に記載の熱変色性インキ組成物である。
【0008】
本発明の態様3は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径が、1.0μm以下である態様1又は2に記載の熱変色性インキ組成物である。
【0009】
本発明の態様4は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度が、-10℃以下である態様1~3のいずれかに記載の熱変色性インキ組成物である。
【0010】
本発明の態様5は、非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる態様1~4のいずれかに記載の熱変色性インキ組成物を内蔵した下書き用熱変色性筆記体である。
【0011】
本発明の態様6は、レフィルである態様5に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0012】
本発明の態様7は、
態様6又は5に記載の下書き用熱変色性筆記体、及び
非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体
を含む筆記体セットである。
【0013】
本発明の態様8は、前記下書き用熱変色性筆記体及び前記清書用非熱変色性筆記体が、それぞれ独立した筆記体である態様7に記載の筆記体セットである。
【0014】
本発明の態様9は、前記下書き用非熱変色性筆記体と前記清書用非熱変色性筆記体とを単一の軸筒内に含む複合式筆記体である態様7に記載の筆記体セットである。
【0015】
本発明の態様10は、前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材を含む態様5に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0016】
本発明の態様11は、前記摩擦部材が、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、かつ動摩擦係数が0.25~0.50である、態様10に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0017】
本発明の態様12は、前記硬さが65~80であり、前記動摩擦係数が0.25~0.35である、態様11に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0018】
本発明の態様13は、前記摩擦部材が有機高分子材料を含む、請求項11または12に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0019】
本発明の態様14は、前記有機高分子材料がポリエチレン樹脂を含む、態様13に記載の下書き用熱変色性筆記体である。
【0020】
本発明の態様15は、前記下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡を摩擦熱により熱変色させる摩擦部材を含む態様7~9のいずれかに記載の筆記体セットである。
【0021】
本発明の態様16は、前記摩擦部材が、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、かつ動摩擦係数が0.25~0.50である、態様15に記載の筆記体セットである。
【0022】
本発明の態様17は、前記硬さが65~80であり、前記動摩擦係数が0.25~0.35である、態様16に記載の筆記体セットである。
【0023】
本発明の態様18は、前記摩擦部材が有機高分子材料を含む、態様16または17に記載の筆記体セットである。
【0024】
本発明の態様19は、前記有機高分子材料がポリエチレン樹脂を含む、態様18に記載の筆記体セットである。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、視認性に優れ、且つ清書筆跡の視認性を損ない難い下書き筆跡を形成できる下書き用熱変色性筆記体に内蔵される熱変色性インキ組成物、それを内蔵した下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体と清書用非熱変色性筆記体とを含む筆記体セットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線である。
図2A】摩擦部材1の筆跡の伸び評価の結果を示す画像である。
図2B】摩擦部材2の筆跡の伸び評価の結果を示す画像である。
図2C】摩擦部材3の筆跡の伸び評価の結果を示す画像である。
図2D】摩擦部材4の筆跡の伸び評価の結果を示す画像である。
図2E】摩擦部材5の筆跡の伸び評価の結果を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。本発明者らは、下書き用熱変色性筆記体で形成される下書き筆跡自体を見易くするため、下書き筆跡の明度を所定の範囲に調整することに加えて、下書き筆跡に対して清書筆跡を相対的に見易くするため、清書筆跡の明度から下書き筆跡の明度を差し引いた明度差を所定の範囲に調整することを着想した。その結果、本発明者らは、清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、視認性に優れ、且つ清書筆跡の視認性を損ない難い下書き筆跡を形成できる下書き用熱変色性筆記体が得られることを見出した。
以下に、本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物、下書き用熱変色性筆記体及びレフィル、並びに下書き用熱変色性筆記体と清書用非熱変色性筆記体とを含む筆記体セットの詳細を説明する。
【0028】
1.熱変色性インキ組成物
本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物は、マイクロカプセルに可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含有し、
可逆熱変色性組成物が、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体とを含む。
本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物は、非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる、下書き用熱変色性筆記体に内蔵され、
下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値から、清書用非熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値を差し引いた明度差が、30以上であり
下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡のCIE1976L色空間における明度L値が、80以下である。
【0029】
以下、下書き用熱変色性筆記体で形成した筆跡を「下書き筆跡」と呼ぶことがあり、清書用非熱変色性筆記体で形成した筆跡を「清書筆跡」と呼ぶことがある。
【0030】
本発明の実施形態において、CIE1976L色空間を用いて、下書き筆跡及び清書筆跡の明度を数値化する。L値(明度)が高い程(100に近づく程)、色が白に近づいて薄くなり、L値が低い程(0に近づく程)、色が黒に近づいて濃くなる。
【0031】
値の測定方法は特に限定されず、例えば、市販の蛍光分光濃度計、例えば、コニカミノルタ社製の「FD-7」を用いてL値を測定してよい。
【0032】
(1)下書き筆跡のL値から清書筆跡のL値を差し引いた明度差:30以上
下書き筆跡のL値から清書筆跡のL値を差し引いた明度差(以下、「明度差」と呼ぶことがある)は、30以上であり、清書筆跡のL値は下書き筆跡のL値より30以上小さい。これにより、清書筆跡が下書き筆跡より濃く、且つ清書筆跡と下書き筆跡との濃淡の差を十分に識別することができるため、下書き筆跡に対して清書筆跡が相対的に見易く、清書し易くなる、すなわち、清書筆跡視認性が高くなる。明度差が30未満であると、下書き筆跡が濃くなるため、清書筆跡と下書き筆跡との濃淡の差を十分に識別することができなくなり、清書筆跡視認性が低くなる。明度差は、好ましくは50以上である。なお、本発明の実施形態において、下書き筆跡のL値が80以下であることから、明度差は80未満となる。
【0033】
(2)下書き筆跡のL値:80以下
下書き筆跡のL値は80以下である。これにより、下書き筆跡が視認するのに十分な濃さを有するため、下書き筆跡自体が見易く、清書し易くなる、すなわち、下書き筆跡視認性が高くなる。下書き筆跡のL値が80以下であると、下書き筆跡が薄く、書き筆跡視認性が低くなる。下書き筆跡のL値は、好ましくは77以下である。清書筆跡視認性をより容易に高める観点から、下書き筆跡のL値は、好ましくは50以上、より好ましくは60以上である。
【0034】
(3)可逆熱変色性マイクロカプセル顔料
本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物は、着色剤として、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」又は「MC顔料」(Micro Capsule顔料)と呼ぶことがある)を含有する。マイクロカプセル顔料は、マイクロカプセルに可逆熱変色性組成物が内包されたものである。可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物と、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体とを含む。マイクロカプセル顔料は、熱により消色する、すなわち、有色から、例えば、白色、薄い有色になる。
【0035】
マイクロカプセル顔料に含まれる可逆熱変色性組成物として、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、及び特開平8-39936号公報等に記載されたものを用いることができる。可逆熱変色性組成物は、所定の温度を境としてその前後で変色して、発色状態又は消色状態を呈し、また、変色にヒステリシスがある。可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について、図1を参照して説明する。
【0036】
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されており、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
【0037】
変色温度域はtとt間の温度域であり、発色状態及び消色状態のいずれかの状態を呈することができ、色濃度の差の大きい領域であるtとtの間の温度域が実質二相保持温度域である。
【0038】
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、「ヒステリシス幅ΔH」と呼ぶことがある)である。ヒステリシス幅が大きいと、変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と、逆に変色温度域より高温側から温度を低下させていく場合とで、大きく異なる経路を辿って色濃度が変化する。このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態のみが存在し、一方、ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0039】
上述した特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、及び特公平1-29398号公報等には、ヒステリシス幅ΔHが1.5℃以上3.8℃以下と比較的小さい加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物が記載されている。また、上述した特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、及び特開平8-39936号公報等には、ヒステリシス幅ΔHが8℃以上70℃以下と比較的大きい加熱消色型の可逆熱変色性組成物が記載されている。すなわち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色する。
【0040】
例えば、可逆熱変色性組成物は、完全発色温度tを冷凍室又は寒冷地等の温度(例えば、-50℃以上0℃以下であり、好ましくは-40℃以上、より好ましくは-30℃以上であり、好ましくは-5℃以下、より好ましくは-10℃以下である)とし、完全消色温度tを摩擦体による摩擦熱又はヘアドライヤー等の加熱体からの熱(例えば、45℃以上95℃以下であり、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上であり、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である)とし、更にΔH値を40℃以上100℃以下とすることにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持により有効に機能することができる。また、常態で呈する色彩の保持により更に有効に機能させる観点から、可逆熱変色性組成物の発色開始温度は、好ましくは-10℃以下である。また、完全発色温度は、発色開始温度より低温であることが好ましい。
【0041】
(電子供与性呈色性有機化合物)
電子供与性呈色性有機化合物は、色を決定する成分であり、顕色剤である電子受容性化合物に電子を供与して発色する。
【0042】
電子供与性呈色性有機化合物として、例えば、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、及びビスキナゾリン化合物等が挙げられ、フタリド化合物及びフルオラン化合物が好ましい。
【0043】
フタリド化合物として、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、及びそれらの誘導体等が挙げられ、フェニルインドリルアザフタリド化合物及びその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物として、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0044】
このような電子供与性呈色性有機化合物として、例えば、
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3’,6’-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2’-エチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2’,4’-ジエチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4’-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
等が挙げられる。
【0045】
フルオラン類として、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物、及びキサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色又は黒色を呈する化合物等が挙げられる。
【0046】
(電子受容性化合物)
電子受容性化合物は、電子供与性呈色性有機化合物から電子を受け取り、その顕色剤として機能する。
【0047】
電子受容性化合物として、例えば、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、及び電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられ、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0048】
活性プロトンを有する化合物群として、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物及びその誘導体、並びにカルボン酸及びその誘導体が挙げられ、芳香族カルボン酸及びその誘導体、炭素数2以上5以下の脂肪族カルボン酸及びその誘導体、2-ヒドロキシカルボン酸誘導体、N-置換アミノ酸誘導体、酸性リン酸エステル及びその誘導体、アゾ-ル系化合物及びその誘導体、1,2,3-トリアゾール及びその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2以上5以下のハロヒドリン類、スルホン酸及びその誘導体、並びに無機酸類等が好ましい。
【0049】
偽酸性化合物群としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸との混合酸無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素及びその誘導体、チオ尿素及びその誘導体、グアニジン及びその誘導体、並びにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
【0050】
電子空孔を有する化合物群として、例えば、硼酸塩類、硼酸エステル類、及び無機塩類等が挙げられる。
【0051】
以上に挙げた電子受容性化合物の中でも、より有効に熱変色特性を発現させる観点から、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
【0052】
フェノール性水酸基を有する化合物には、例えば、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、更に、ビスフェノール化合物及びトリスフェノール化合物等、並びにフェノール-アルデヒド縮合樹脂等も含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2つ以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル、アミド基、及びハロゲン基等の置換基を有してよい。
【0053】
フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩等が含む金属として、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、及びモリブデン等が挙げられる。
【0054】
フェノール性水酸基を1つ有する化合物として、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等が挙げられる。
【0055】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物として、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
4-フェニルアセチル-6-クロロレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等が挙げられる。
【0056】
ビスフェノール化合物として、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロぺニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等が挙げられる。
【0057】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物として、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、及び没食子酸ドデシル等が挙げられる。
【0058】
トリスフェノール化合物として、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、 4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、 4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、 4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、 2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、 4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等が挙げられる。
【0059】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物として、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、
1,1,2,2-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、 1,1,4,4-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
2,2′-ビス〔4,4-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
3,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)カテコール、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-3-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、ビス〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
〔3-(3,6-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔α-メチル-(4-ヒドロキシフェニル)ベンジル-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4′,4″,4′″-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-1,1′-ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチルカテコール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチル
フェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)レゾルシン、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)ピロガロール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、ビス〔3-(α,α-ビス(2,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5ージメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5ーシクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、 2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等が挙げられる。
【0060】
カルボン酸及びその誘導体として、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
p-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルグリシン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α、α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等が挙げられる。
【0061】
酸性リン酸エステル化合物として、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等が挙げられる。
【0062】
電子受容性化合物として、上述のように、より有効に熱変色特性を発現させることができるためフェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2以上5以下の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びその金属塩、並びに1,2,3-トリアゾール及びその誘導体等からなる群から選択される化合物も有効に用いることができる。
【0063】
(呈色反応の生起温度を決定する反応媒体)
可逆熱変色性組成物は、電子受容性化合物と、電子供与性呈色性有機化合物及び電子受容性化合物の呈色反応の生起温度を決定する反応媒体を含む。反応媒体は、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物との間の電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる。
【0064】
反応媒体として、例えば、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、及び酸アミド類等を挙げることができる。
【0065】
反応媒体は、色濃度-温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物であってよい。
そのようなカルボン酸エステル化合物として、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0066】
また、反応媒体として、例えば、炭素数が9以上の奇数である脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数である脂肪族カルボン酸とから得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコール又はn-ヘプチルアルコールと炭素数が10以上16以下の偶数である脂肪族カルボン酸とから得られる炭素数17以上23以下の脂肪酸エステル化合物も有効である。
そのような脂肪族エステル化合物として、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデシル、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0067】
ケトン類として、炭素数10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
【0068】
また、ケトン類として、炭素数が12以上24以下のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0069】
エーテル類として、炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0070】
アルコール類として、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0071】
酸アミド類として、例えば、ヘキサン酸アミド、ヘプタン酸アミド、オクタン酸アミド、ノナン酸アミド、デカン酸アミド、ウンデカン酸アミド、ラウリル酸アミド、トリデカン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ドコサン酸アミド等が挙げられる。
【0072】
また、反応媒体は、下記一般式(1)で示される化合物であってよい。
【化1】
(ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、q1は0~2の整数であり、Xのいずれか一方は-(CH)kOCOR’又は-(CH)kCOOR’であり、他方は水素原子であり、kは0~2の整数であり、R’は炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基であり、Yはそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはメトキシ基、又はハロゲンであり、p1はそれぞれ独立に0~3の整数である。)
【0073】
一般式(1)で示される化合物は、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、更に、Rが水素原子であり、且つmが0の場合がより好ましい。
【0074】
一般式(1)で示される化合物は、より好ましくは下記一般式(1a)で示される化合物である。
【化2a】
(ここで、R1aは、炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基、好ましくは炭素数10以上24以下のアルキル基、更に好ましくは炭素数12以上22以下のアルキル基である。)
【0075】
一般式(1a)で示される化合物として、例えば、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル等が挙げられる。
【0076】
また、反応媒体は、下記一般式(2)で示される化合物であってよい。
【化3】
(ここで、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基であり、p2はそれぞれ独立に0~3の整数であり、Xはそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲンである。)
【0077】
一般式(2)で示される化合物として、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等が挙げられる。
【0078】
また、反応媒体は、下記一般式(3)で示される化合物であってよい。
【化4】
(ここで、Xはそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、メトキシ基、又はハロゲン原子のいずれかであり、p3はそれぞれ独立に0~3の整数であり、q3は1以上20以下の整数である。)
【0079】
一般式(3)で示される化合物として、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、コハク酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、コハク酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル等が挙げられる。
【0080】
また、反応媒体は、下記一般式(4)で示される化合物であってよい。
【化5】
(ここで、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上21以下のアルキル基又はアルケニル基であり、p4はそれぞれ独立に1以上3以下の整数である。)
【0081】
一般式(4)で示される化合物として、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとパルミチン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸カルボン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサン酸プロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等が挙げられる。
【0082】
また、反応媒体は、下記一般式(5)で示される化合物であってよい。
【化6】
(ここで、Xはそれぞれ独立に炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子のいずれかであり、p5はそれぞれ独立に0以上3以下の整数であり、q5は1以上20以下の整数である。)
【0083】
一般式(5)で示される化合物として、例えば、コハク酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等が挙げられる。
【0084】
また、反応媒体は、下記一般式(6)で示される化合物であってよい。
【化7】
(ここで、Rは炭素数4以上22以下のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4以上22以下のアルケニル基のいずれかであり、Xは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、q6は0又は1である。)
【0085】
一般式(6)で示される化合物として、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0086】
また、反応媒体は、下記一般式(7)で示される化合物であってよい。
【化8】
(ここで、Rは炭素数3以上18以下のアルキル基、又は炭素数3以上18以下の脂肪族アシル基のいずれかであり、Xは水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、Yは水素原子、メチル基のいずれかであり、Zは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1又は2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかである。)
【0087】
一般式(7)で示される化合物として、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等が挙げられる。
【0088】
また、反応媒体は、下記一般式(8)で示される化合物であってよい。
【化9】
(ここで、Rは炭素数4以上22以下のアルキル基、炭素数4以上22以下のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかであり、Xは、それぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかであり、p8は0又は1であり、q8は0以上5以下であり、r8は0以上4以下である。)
【0089】
一般式(8)で示される化合物として、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等が挙げられる。
【0090】
また、反応媒体は、下記一般式(9)で示される化合物であってよい。
【化10】
(ここで、Rは炭素数3以上17以下のアルキル基、炭素数3以上8以下のシクロアルキル基、炭素数5以上8以下のシクロアルキルアルキル基であり、Xは水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子であり、p9は1以上3以下の整数である。)
【0091】
一般式(9)で示される化合物として、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等が挙げられる。
【0092】
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物、及び反応媒体の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態及びこれらの成分の種類にもよるが、所望の変色特性を得る観点から、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して、電子受容性化合物は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下であり、反応媒体は、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、好ましくは800質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。
【0093】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させる方法は特に限定されず、例えば界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、及びスプレードライング法等が挙げられ、用途に応じて適宜選択してよい。
【0094】
マイクロカプセルの材質として、有機樹脂、例えば、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、及びイソシアネート樹脂等が挙げられる。
【0095】
マイクロカプセルの表面に目的に応じて二次的な樹脂皮膜を設けることにより、耐久性を付与することができ、また、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0096】
マイクロカプセル(すなわち、可逆熱変色性組成物が内包されていないマイクロカプセル壁部分)と可逆熱変色性組成物との質量比率は、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、好ましくは7質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を7質量部以下とすることにより、マイクロカプセル壁が肉薄になり過ぎずに適正な壁厚とすることが容易となるため、マイクロカプセル顔料の耐熱性及び耐圧性等を高めることが容易となる。また、マイクロカプセル1質量部に対して、可逆熱変色性組成物を1質量部以上とすることにより、マイクロカプセル顔料が発色した際の色濃度及び鮮明性を高めることが容易となる。
【0097】
(4)マイクロカプセル顔料の含有量
マイクロカプセル顔料は、熱により消色した後、例えば、白色又は薄い有色を呈した状態で被筆記体上に残存する。そのため、下書き筆跡の特性として、下書き筆跡を熱で消色した後の下書き跡が目立ち難い(以下、「熱消色性に優れる」と言うことがある)ことが好ましい。また、清書した際に下書き筆跡上で清書筆跡が途切れ難い(以下、「清書性に優れる」ということがある)ことが好ましく、また、清書筆跡が形成された下書き筆跡を摩擦部材で擦過して摩擦熱で消色した際に、清書筆跡が損なわれ難い、すなわち、途切れ難い(以下、「擦過消色性に優れる」と言うことがある)ことが好ましい。
【0098】
熱消色性、清書性及び擦過消色性の1つ以上をより向上させる観点から、マイクロカプセル顔料の含有量は、好ましくは10質量%以下である。下書き筆跡を熱で消色した後の下書き跡に含まれる消色したマイクロカプセル顔料の数を低減できるため、下書き跡がより目立ち難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料の数が少ないため、下書き筆跡上に清書筆跡を形成した際、マイクロカプセル顔料による非熱変色性組成物のはじきをより抑制することができ、清書筆跡が下書き筆跡上でより途切れ難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料の数が少ないため、清書筆跡が形成された下書き筆跡を摩擦部材で擦過した際、被筆記体からの清書筆跡を伴ったマイクロカプセル顔料の脱離をより抑制することができ、清書筆跡がより途切れ難くなる。
また、マイクロカプセル顔料の含有量を10質量%以下とすることにより、インキ吐出性がより良好となり、下書き用筆記体を使用する際、滑らかな筆記感をより容易に得ることができる。
マイクロカプセル顔料の含有量の下限は特に限定されないが、下書き筆跡の視認性をより容易に高める観点から、マイクロカプセル顔料の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。
マイクロカプセル顔料は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい
【0099】
(5)マイクロカプセル顔料の平均粒子径
熱消色性、清書性及び擦過消色性の1つ以上をより向上させる観点から、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、好ましくは1.0μm以下である。下書き筆跡を熱で消色した後の下書き跡に含まれる消色したマイクロカプセル顔料が小さく、消色後のマイクロカプセル顔料の透明性が高くなるため、下書き跡がより目立ち難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料が小さいため、下書き筆跡上に清書筆跡を形成した際、マイクロカプセル顔料による非熱変色性組成物のはじきをより抑制することができ、清書筆跡が下書き筆跡上でより途切れ難くなる。また、被筆記体に付着するマイクロカプセル顔料が小さいため、清書筆跡が形成された下書き筆跡を摩擦部材で擦過した際、被筆記体からの清書筆跡を伴ったマイクロカプセル顔料の脱離をより抑制することができ、清書筆跡がより途切れ難くなる。
また、マイクロカプセル顔料の平均粒子径を1.0μm以下とすることにより、インキ吐出性がより良好となり、下書き用筆記体を使用する際、滑らかな筆記感をより容易に得ることができる。
マイクロカプセル顔料の平均粒子径の下限は特に限定されないが、マイクロカプセル顔料が発色した際の色濃度及び鮮明性をより容易に高める観点から、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。また、マイクロカプセル顔料の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、被筆記体、例えば、紙の繊維間へのマイクロカプセル顔料の侵入をより抑制することができるため、擦過部材で下書き跡を擦って消色する際、消色することがより容易となる。
【0100】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。
【0101】
また、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合、マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定してよい。また、マイクロカプセル顔料について、例えば、標準試料又はコールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-300」を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定してよい。
【0102】
熱変色性インキ組成物は、油性であってよく、水性であってもよいが、例えば、インキ吐出性等を考慮して、水性の熱変色性インキ組成物を用いてよい。
【0103】
熱変色性インキ組成物が水性である場合、主たる溶媒として水を含有する。水は特に限定されず、例えば、イオン交換水、限外ろ過水又は蒸留水であってよい。水の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよい。
【0104】
以下、非熱変色性インキ組成物が水性である場合を例として、非熱変色性インキ組成物に含まれ得る他の成分を説明する。
【0105】
(6)その他の成分
熱変色性インキ組成物は、多糖類を含有してよい。多糖類は、種々の効果を有し、主に、剪断減粘性の付与(剪断減粘性付与剤)、耐ドライアップ性能の向上、インキ粘度の調整(増粘剤)等の効果を有する。
【0106】
ここで、剪断減粘性とは、静置時には高粘度を有し、剪断力が加えられると粘度が低下する特性である。ボールペンとして、一般にゲルインキと呼ばれるインキ組成物を内蔵するものが挙げられる。ゲルインキは、剪断応力が加わらない静置時には高粘度であり、筆記体内に安定的に保持されており、筆記時にはボールの高速回転によって生じる高剪断力によってボール近傍のインキが低粘度化し、その結果、インキがボールとボール収容部との間隙からインキが吐出して被筆記体に付着する。多糖類を含有することにより、熱変色性インキ組成物をゲルインキとすることができる。
また、例えば、熱変色性インキ組成物をボールペン又はマーキングペン、特にノック式ボールペンに用いた場合、そのペン先は乾燥しやすい状況に置かれる。その結果、それらの筆記体は筆記不能な状態になることがあり、このような状態をドライアップという。
【0107】
多糖類として、例えば、サクシノグリカン、キサンタンガム、ウェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン及びダイユータンガム、並びにそれらの誘導体等が挙げられ、また、セルロース誘導体、グリコマンナン、寒天及びカラゲニン等の海藻から抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、並びにデキストリン等が挙げられる。また、セルロース誘導体として、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロース及びその塩等が挙げられる。
【0108】
デキストリン又はセルロース誘導体を用いることにより、剪断減粘性の付与、耐ドライアップ性能の向上、及びインキ粘度の調整等の効果を同時に得ることができることがある。デキストリンは耐ドライアップ性能の向上の効果が大きいため好ましい。
【0109】
デキストリンとして、例えば、8糖以上の澱粉糖化物及び/又はその還元物を含む糖混合物であることが好ましい。当該糖混合物は、8糖以上の澱粉糖化物等を30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上含むことが更に好ましい。デキストリンは、皮膜形成性に優れるため、熱変色性インキ組成物を筆記体に適用した場合、ペン先からの水分蒸発抑制の効果が大きいため好ましい。
【0110】
多糖類は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物が多糖類を含有する場合、多糖類の含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0111】
熱変色性インキ組成物がサクシノグリカン及び/又はキサンタンガムを含有する場合、サクシノグリカン及び/又はキサンタンガムの含有量の合計は、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。これにより、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで容易に維持し、且つマイクロカプセル顔料の凝集を容易に抑制することができる。サクシノグリカン又はキサンタンガムの含有量は、より好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以下である。
【0112】
熱変色性インキ組成物がデキストリン又はセルロース誘導体を含有する場合、デキストリン又はセルロース誘導体の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。これにより、ペン先からのインキ吐出特性を高いレベルで容易に維持し、且つペン先からのインキ垂れ下がり及び水分蒸発を容易に抑制することができる。
【0113】
熱変色性インキ組成物は、N-ビニル-2-ピロリドンの重合体であるポリビニルピロリドン(以下、「PVP」と呼ぶことがある)を含有してよい。これらは、耐ドライアップ性能の向上、インキ粘度の調整(増粘剤)、マイクロカプセル顔料の凝集の抑制、インキ成分の紙への固着性及び粘着性の改良等の効果を有し、また、PVPを用いることにより、これらの効果を同時に得ることができることがある。
【0114】
PVPは、重合度が2以上20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、更に好ましくは6以下である。重合度を2以上20以下とすることにより、熱変色性インキ組成物中の水分が蒸発した際、インキ粘度の上昇及びマイクロカプセル顔料の凝集を容易に抑制することができる。
【0115】
熱変色性インキ組成物がPVPを含有する場合、PVPの含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
【0116】
熱変色性インキ組成物は、増粘剤として、多糖類以外のものを含有してよい。増粘剤として、例えば、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万以上15万以下の重合体、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール並びにこれらの誘導体が挙げられ、また、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及び脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤が挙げられ、更に、ジアルキルスルホコハク酸の塩類又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類等が挙げられる。
多糖類以外の増粘剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0117】
熱変色性インキ組成物は、界面活性剤を含有してよい。界面活性剤として、例えば、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン結合を構造中に有する界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、熱変色性インキ組成物の成分及び用途等に応じて適切に選択することができる。例えば、熱変色性インキ組成物をボールペンに用いる場合、リン酸エステル系界面活性剤が好ましい。
【0118】
界面活性剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
【0119】
熱変色性インキ組成物は、pH調整剤を含有してよい。熱変色性インキ組成物のpHを適切な範囲に調整するために、各種の酸又は塩基をpH調整剤として用いることができる。pH調整剤として、例えば、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の無機塩類、トリエタノールアミン及びジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物、乳酸並びにクエン酸等が挙げられる。
【0120】
pH調整剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
熱変色性インキ組成物がpH調整剤を含有する場合、pH調整剤の含有量は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である
【0121】
また、熱変色性インキ組成物をボールペンに内蔵させて用いる場合、ボール受け座の摩耗を容易に防止するため、熱変色性インキ組成物は、潤滑剤を含有してよい。潤滑剤として、例えば、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)及びチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、それらの金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩、並びにアルカノールアミン塩等であってよい。
潤滑剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
必要に応じて、例えば、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物又はポリビニルアルコール等の樹脂を熱変色性インキ組成物に添加して紙面への固着性及び粘性を付与することができる。
当該樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0123】
熱変色性インキ組成物は、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト及びサポニン等の防錆剤を含有してよい。
防錆剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0124】
熱変色性インキ組成物は、例えば、石炭酸、1、2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、及び2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤又は防黴剤を含有してよい。
防腐剤及び防黴剤はそれぞれ、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0125】
熱変色性インキ組成物は、例えば、尿素、還元デンプン加水分解物又は非還元デンプン加水分解物、及びトレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、ぶどう糖、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を含有してよい。
湿潤剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0126】
熱変色性インキ組成物は、消泡剤、分散剤、及び比重調整剤等を含有してよく、これらはそれぞれ、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0127】
熱変色性インキ組成物は、速乾性を向上させるため、水に相溶性のある水溶性有機溶剤を含有してよい。水溶性有機溶剤として、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。
水溶性有機溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
【0128】
熱変色性インキ組成物の製造方法は特に限定されず、通常知られている方法を用いてよい。例えば、上述の成分を配合した混合物を、プロペラ攪拌、ホモディスパー若しくはホモミキサー等の攪拌機で攪拌することにより、又はビーズミル等の分散機等を用いて分散することにより、熱変色性インキ組成物を製造してよい。
【0129】
2.下書き用熱変色性筆記体
本発明の実施形態に係る下書き用熱変色性筆記体は、本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物を内蔵し、非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体と共に用いられる。以下、下書き用熱変色性筆記体を「下書き用筆記体」と呼ぶことがあり、非熱変色性インキ組成物を「下書き用インキ」と呼ぶことがある。
【0130】
下書き用筆記体として、例えば、ボールペン、マーキングペン、筆ペン、万年筆及びカリグラフィーペン等が挙げられる。ある実施形態において、下書き用筆記体は、ボールペンレフィル又はマーキングペンレフィル(以下、これらを合わせて「レフィル」と呼ぶことがある)である。
【0131】
下書き用筆記体がボールペンである場合、ボールペン自体の構造及び形状は特に限定されず、例えば、軸筒内部に直接下書き用インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材又は繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、ボールを先端部に装着したボールペンチップとインキ流量調節部材とが直接またはホルダーを介して連結されてなる構造のボールペンが挙げられる。
【0132】
また、下書き用筆記体がボールペンである場合、例えば、軸筒内に下書き用インキを充填したインキ収容管を有し、インキ収容管がボールペンチップに流体連通してなる構造のボールペンが挙げられる。また、軸筒内に直接下書き用インキを収容し、インキの後部にインキの消費と共に追従するグリース状の追従体を充填し、軸筒の後端部内に、軸筒の内外を連通する空気流通路(通気孔)を有する尾栓の圧入部を圧入装着し、ボールを先端部に装着したボールペンチップが直接またはホルダーを介して装着されてなる構造のボールペンも挙げられる。ある態様において、下書き用筆記体は、下書き用インキを充填したインキ収容管とボールペンチップとが連通してなるボールペンレフィルである。
【0133】
下書き用インキを収容するインキ収容管として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体を用いてよい。
インキ収容管にボールペンチップを直接連結してよく、接続部材を介してインキ収容管とボールペンチップとを連結してもよい。
【0134】
インキ収容管に収容した下書き用インキの後端にはインキ逆流防止体が充填されることが好ましい。インキ逆流防止体として、液栓及び固体栓が挙げられる。
【0135】
液栓として、不揮発性液体又は難揮発性液体、例えば、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α-オレフィン、α-オレフィンのオリゴマー及びコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及び脂肪酸変性シリコーンオイル等が挙げられ、単独で用いてよく、二種以上を併用してもよい。
【0136】
不揮発性液体及び/又は難揮発性液体は、増粘剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましい。増粘剤として、例えば、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイト及びモンモリロナイト等の粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、及び脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、並びにセルロース系化合物等が挙げられる。
【0137】
固体栓として、例えば、樹脂製、例えばポリエチレン製、ポリプロピレン製及びポリメチルペンテン製の固体栓が挙げられる。インキ逆流防止体として、液栓及び樹脂製の固体栓を併用してよい。
【0138】
ボールペンチップとして、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ(パイプ式ボールペンチップ)、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるボールペンチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたボールペンチップ、及び上記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたボールペンチップ等が挙げられる。
【0139】
ボーペンチップは、少なくとも先端部がストレート状の円筒体(直管状円筒体)である金属製パイプを具備したパイプ式ボールペンチップであってよい。パイプ式ボールペンチップの形状として、例えば、ボールペンチップ全体がストレート状円筒体である金属製パイプからなるもの、または、先端部にストレート状の金属製パイプを有し、かつその後方に外径及び内径が拡径する形状を有するものが挙げられる。後者はインキ吐出性が良好であるため好ましい。
また、本願の実施形態に係る熱変色性インキ組成物と、ボール径が例えば0.25mm以上0.5mm以下であるボールを備えたパイプ式ボールペンチップとを組み合わせることにより、インキ吐出性及び耐ドライアップ性能に優れたボールペンを得ることができる。
【0140】
ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂又はゴム等からなるものが用いられるのが一般的である。また、ボール径は、一般に0.2mm以上3.0mm以下であり、好ましくは0.25mm以上であり、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下、更に好ましくは0.5mm以下である
【0141】
また、ボールペンチップにおけるボールの縦軸方向の移動可能量(クリアランス)は、ボールペンの製造時または使用開始時に、10μm以上60μm以下とすることが好ましく、より好ましくは30μm以上であり、より好ましくは45μm以下である。これにより、インキ吐出量を適切に調整し、線とび及びカスレ等を抑制することが容易となり、良好な筆跡がより得られ易くなる。
ここで、クリアランスとは、ボールがボールペンチップ本体の縦軸方向への移動可能な距離を示す。移動可能量は、ボール及びボール座が下書き用筆記体の使用によって摩耗するため、下書き用筆記体の使用に応じて一般的に増大していく。そして、移動可能量はインク吐出量と関係する。一般的に、ボールペンの製造時又は使用開始時における移動可能量は、上記範囲内に設定されることから、安定した筆記特性を達成するために、ボールペンの使用終了時まで上記範囲内であることが好ましい。
【0142】
インキ吐出量は、筆記距離100m当たりのインキ消費量として、200mg以上800mg以下であってよい。ここで、インキ消費量は、20℃、筆記角度70°、筆記荷重100g及び筆記速度4m/minの条件で、JIS P3201に記載の筆記用紙A(以下、「JIS P3201筆記用紙A」と呼ぶことがある)、及び筆記体5本を用いて、筆記距離100mのらせん筆記試験をそれぞれの筆記体について行い、それらのインキ消費量の平均値とする。
【0143】
熱変色性インキ組成物はマイクロカプセル顔料を含有するが、その平均粒子径に応じてクリアランスを調整することにより、インキ吐出性を改善できることがある。そのような観点から、クリアランスG[μm]に対するマイクロカプセル顔料の平均粒子径D[μm]の割合D/Gが、1/150≦D/G≦1/3の関係を満足することが好ましく、1/100≦D/G≦1/5の関係を満足することがより好ましい。
【0144】
下書き用筆記体がマーキングペンである場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されず、例えば、軸筒内部に直接下書き用インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材又は繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させ、毛細間隙が形成された、繊維加工体又は樹脂成型体からなるマーキングペンチップとインキ流量調節部材とが連結されてなる構造のマーキングペン、及びマーキングペンチップの押圧により開放する弁体を介してマーキングペンチップとインキ収容管とを配置し、インキ収容管内に下書き用インキを直接収容させてなる構造のマーキングペン等が挙げられる。
【0145】
また、下書き用筆記体がマーキングペンである場合、例えば、軸筒内に下書き用インキを含浸させた繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、マーキングペンチップが直接又は中継部材を介して軸筒に装着され、インキ吸蔵体とチップとが流体連通してなる構造のマーキングペンが挙げられる。ある態様において、下書き用筆記体は、下書き用インキを含侵したインキ吸蔵体とマーキングペンチップとが連通してなるマーキングペンレフィルである。
【0146】
マーキングペンチップは、繊維の樹脂加工体、熱溶融性繊維の融着加工体、又はフェルト体等の従来から汎用の気孔率が概ね30%以上70%以下の範囲である連通気孔の多孔質部材、又は軸方向に延びる複数のインキ導出孔を有する合成樹脂の押出成型体であり、一端が砲弾形状、長方形状、又はチゼル形状等の目的に応じた形状に加工されている。
インキ吸蔵体は、捲縮状繊維を長手方向に集束させたものであり、プラスチック筒体又はフィルム等の被覆体に内在させて、気孔率が概ね40~90%の範囲に調整して構成される。
【0147】
また、弁体は、従来から汎用のポンピング式であってよく、筆圧により押圧開放可能なバネ圧に設定したものが好適である。
【0148】
下書き用筆記体は、筆記先端部の保護及び乾燥防止のためにキャップを備えてよい。
【0149】
下書き用筆記体は、レフィルを軸筒内に収容して出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部が突出する構造の出没式筆記体であってよい。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式及びスライド式等が挙げられる。出没式筆記体の一例として、軸筒内に複数のボールペンレフィルを収容してなり、出没機構の作動によっていずれかのボールペンレフィルの筆記先端部が軸筒前端開口部から出没する複合タイプの出没式ボールペンが挙げられる。
【0150】
下書き用筆記体から形成した下書き筆跡はマイクロカプセル顔料を含んでおり、例えば、指又は摩擦部材による摩擦、あるいは、加熱具又は冷熱具の適用により消色することができる。
【0151】
加熱具として、例えば、抵抗発熱体を装備した通電加熱具、温水等を充填した加熱具、及びヘアドライヤー等が挙げられるが、簡便な方法により下書き筆跡を消色させることができる摩擦部材が好ましい。
【0152】
冷熱具として、例えば、ペルチエ素子を利用した冷熱具、冷水又は氷片等の冷媒を充填した冷熱具、及び冷蔵庫又は冷凍庫の適用が挙げられる。
【0153】
本発明の1つの好ましい実施形態としては、摩擦部材は、プラスチック成形体、石材、木材、金属、又は布帛であってよいが、例えば、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、又はプラスチック発泡体等の弾性体が好適であり、例えば、シリコーン樹脂、SEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、SEPS樹脂(スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、及びEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が好適に用いられる。シリコーン樹脂は摩擦により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれる傾向にあるため、SEBS樹脂がより好適に用いられる。
【0154】
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しゴムのカスが発生するため、上述のような摩擦部材が好適に用いられる。
【0155】
本発明の別の好ましい実施形態としては、摩擦部材は、タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、動摩擦係数が0.25~0.50である。上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲にすることにより、下書き用筆記体の筆跡と共に清書用筆記体の筆跡を擦過したときに、下書き用筆記体の筆跡を消色できると共に、清書用筆記体の筆跡の外観を維持しやすくなる。
【0156】
上記硬さを55以上とすることにより、擦過時に、筆跡と共に形成される紙面上の凹みに沿って変形しにくくなり、清書用筆記体の筆跡上のインキを移動させにくくなり、結果として清書用筆記体の筆跡が周囲に伸びにくくなる(又は散りにくくなる)。より好ましくは、上記硬さが65以上である。一方、上記硬さを90以下にすることにより、熱変色性筆記体の筆跡を消色しやすくなり、消色するために何度も(又は強く)擦過する必要性がなくなり、その結果として清書用筆記体の筆跡が周囲に伸びにくくなる(又は散りにくくなる)。より好ましくは上記硬さが80以下である。
【0157】
上記動摩擦係数が0.25以上とすることにより、下書き用筆記体の筆跡を消色しやすくなり、消色するために何度も(又は強く)擦過する必要性がなくなり、その結果として清書用筆記体の筆跡が周囲に伸びにくくなる(又は散りにくくなる)。一方、上記動摩擦係数を0.50以下にすることにより、擦過時に非熱変色性筆記体の筆跡上のインキを移動させにくくなり、結果として清書用筆記体の筆跡が周囲に伸びにくくなる(又は散りにくくなる)。より好ましくは、上記動摩擦係数が0.35以下である。
【0158】
上記硬さは、Dタイプのデュロメータ硬度計(株式会社テクロック社製デュロメータ、型式:GS-720G)を用いて、以下のようにして測定する。まず、デュロメータ硬度計の押芯先端を、当該押芯先端の法線と摩擦部体の先端部(筆記体に装着されたときの当該筆記体長手方向における摩擦部体の先端部(擦過部)に相当)の法線とが概ね一致するように、摩擦部材の先端部の上方に設置する。そして、25℃50%RHの環境下、加重5.0kgf・速度3mm/secで押芯先端を摩擦部材に押し付けたときのデュロメータ硬度計のピーク値を摩擦部材の硬さとする。
上記のように測定するために、例えば、摩擦部材が装着された筆記体の長手方向と当該摩擦部材の先端部の法線とが概ね一致する場合、摩擦部材が装着された筆記体を、切断面が当該筆記体の長手方向と略垂直となるように切断して、次に、切断面を下にして、摩擦部材の先端部上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、摩擦部材を含む部分をデュロメータ硬度計に配置して、押芯先端を摩擦部材に押し付けることで摩擦部材の硬さを測定してもよい。このとき、摩擦部材の先端部が平面である場合、当該平面の中心の上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、摩擦部材を含む部分を配置してもよい。
【0159】
上記動摩擦係数は、HEIDON摩擦摩耗試験機(新東科学株式会社製、トライボギアTYPE:14)を用いて、摩擦部材を、摩擦部材の先端部と紙面とが摩擦するように紙面上を走行させたときに、摩擦部材に係る力F(紙面と平行方向の荷重)を測定する。力Fと、(紙面と垂直方向の)摩擦部材に係る荷重N(200gf)とをF=μ(動摩擦係数)×Nに適用し、動摩擦係数μを算出する。力Fのサンプリングは0.001秒間隔とし、測定開始から測定開始後0.3秒までに計測される力Fは動摩擦係数の算出に用いないこととする。紙面はNPiフォーム<55>(日本製紙株式会社製)の紙面表側を使用し、測定環境は23℃42%RHとし、走行速度は4m/分とし、走行距離は10cmとし、摩擦体の先端部の法線と紙面との角度は90°として測定する。また、摩擦部材1つにつき測定用サンプルを3つ用意し、測定サンプル1つにつき1回の測定を行い、3つの測定用サンプルの測定値の平均値を、当該摩擦部材の動摩擦係数とする。
【0160】
本発明の別の好ましい実施形態において、摩擦部材は、有機高分子材料を含むことが好ましい。これにより上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲に調整しやすくなる。好ましくは、上記摩擦部材が有機高分子材料を50質量%超含むことであり、より好ましくは、有機高分子材料を75質量%以上含むことであり、さらに好ましくは、有機高分子材料を90質量%以上含むことであり、さらにより好ましくは、有機高分子材料からなることである。
【0161】
上記有機高分子材料としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂、スチレン系、オレフィン系、ポリスチレンとポリオレフィンのブロック共重合体、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1、2-ポリブタジエン系、塩化ビニル系およびフッ素系等の熱可塑性エラストマー、ポリプロピレンとエチレンプロピレン系ゴムとのブレンド、ブタジエンとアクリロニトリルの共重合体とのブレンドおよび塩素化ポリエチレンとナイロンとのブレンド等のブレンドされたエラストマー、シリコーンゴム等のゴムエラストマーならびに天然ゴムからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。これにより上記の硬さ範囲および動摩擦係数範囲に、より調整しやすくなる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、アイソタクティックポリプロピレンおよびシンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン樹脂、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体、1-ブテン・αオレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体ならびに塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
中でもポリエチレン樹脂を含むことにより、上記硬さの好ましい範囲および上記動摩擦係数の好ましい範囲に調整しやすくなる。さらに、ポリエチレン樹脂は、例えばポリプロピレン等と比較して、酸化されにくく耐候性が良いことおよび低温でも強度が低下しないことから、長期使用しても劣化しにくい、および寒冷地での使用に適しているといった利点がある。好ましくは、上記摩擦部材がポリエチレン樹脂を50質量%超含むことであり、より好ましくは、ポリエチレン樹脂を75質量%以上含むことであり、さらに好ましくは、ポリエチレン樹脂を90質量%以上含むことであり、さらにより好ましくは、ポリエチレン樹脂からなることである。
【0162】
摩擦部材は凸曲面形状を有することが好ましい。凸曲面形状を有することにより、筆跡を剥がすことなく、適度に擦過しやすくなる。また、筆跡との接触角度によらず一定の接触面積が得られ、広域を擦過することなく目的の部分のみを擦過できる。さらに摩擦部材自体の磨耗性を低減でき、熱の発生効率が高めることができ、削れカスが出難くなり、変色させたい部分を的確且つ容易に変色することが可能となる。上記凸曲面の曲率半径は、1mm~10mmの範囲に設定することが好ましい。上記範囲とすることで、筆記体により形成される幅の狭い筆跡を的確且つ容易に変色させ得る。
【0163】
摩擦部材は、種々の添加剤を含んでいてもよい。例えば、摩擦部材に汎用の染料、顔料から選ばれる着色剤を添加してデザイン性を向上させたり、筆跡の色に合わせて色表示部とすることもできる。更に、摩擦部材に、必要に応じて充填剤等の各種添加剤を加えることもできる。
【0164】
摩擦部材の製造方法については、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えば摩擦部材の素材を混錬して、所定の形状に成型することにより製造できる。
【0165】
下書き用筆記体は摩擦部材を含んでよく、携帯性を考慮し、例えば、摩擦部材を下書き用筆記体に固着させてよい。摩擦部材を固着する箇所は特に限定されず、例えば、キャップ先端部(頂部)、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。
【0166】
3.清書用非熱変色性筆記体
非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体は、本発明の実施形態に係る熱変色性インキ組成物を内蔵した下書き用熱変色性筆記体と共に用いられる。以下、清書用非熱変色性筆記体を「清書用筆記体」と呼ぶことがあり、非熱変色性インキ組成物を「清書用インキ」と呼ぶことがある。
【0167】
非熱変色性インキ組成物は特に限定されず、着色剤として一般の顔料及び/又は染料を含有するものであってよい。
顔料として、カーボンブラック、群青等の無機顔料、銅フタロシアニンブルー及びベンジジンイエロー等の有機顔料、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料、並びにパール顔料、金属粉顔料及び二酸化チタン等の白色顔料等が挙げられる。
染料として、例えば、酸性染料、塩基性染料及び直接染料等が挙げられる。
【0168】
非熱変色性インキ組成物は、油性であってよく、水性であってもよいが、水性である場合、清書筆跡を形成した際に下書き筆跡上で清書筆跡が途切れ難い、すなわち、清書性に優れるため、水性であることが好ましい。更に、非熱変色性インキ組成物が水性である場合、より優れた清書性を得る観点から、顔料よりも染料を好適に用いてよい。
【0169】
非熱変色性インキ組成物が水性である場合、非熱変色性インキ組成物は、例えば、熱変色性水性インキ組成物について上述した「(5)その他の成分」に記載の成分を適宜含有してよい。
【0170】
清書用非熱変色性筆記体として、下書き用熱変色性筆記体と同様に、例えば、ボールペン、マーキングペン、筆ペン、万年筆及びカリグラフィーペン等が挙げられ、更に、ボールペンレフィル及びマーキングペンレフィルが挙げられる。これらの詳細も、ボールペンチップのクリアランスを除いて、下書き用筆記体について上述したものと同様であり、清書用インキを用いて清書用筆記体を得ることができる。
【0171】
4.筆記体セット
本発明の実施形態に係る筆記体セットは、本発明の実施形態に係る下書き用熱変色性筆記体と、非熱変色性インキ組成物を内蔵した清書用非熱変色性筆記体とを含む。
【0172】
筆記体セットの構成は特に限定されず、例えば、同一又は異なる形状の筆記先端部を有する下書き用筆記体及び清書用筆記体の組み合わせであってよく、また、同一又は異なる色調の下書き用筆記体及び清書用筆記体の組み合わせであってよい。
【0173】
筆記体セットは、下書き用筆記体及び清書用筆記体が、それぞれ独立した筆記体であってよい。独立した下書き用筆記体及び清書用筆記体を含む筆記体セットは、例えば、下書き用筆記体であるボールペンと清書用筆記体であるボールペンとの組み合わせであってよく、これらを単一のパッケージに収容したものであってよい。
【0174】
独立した下書き用筆記体及び清書用筆記体を含む筆記体セットは、独立した下書き用筆記体及び清書用筆記体に加えて、上述の摩擦部材を含んでよい。携帯性を考慮し、例えば、摩擦部材を下書き用筆記体又は清書用筆記体に固着させてよい。摩擦部材を固着する箇所は特に限定されず、例えば、キャップ先端部(頂部)、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。あるいは、独立した摩擦部材を、下書き用筆記体及び清書用筆記体と共に、単一のパッケージに収容してよい。
【0175】
筆記体セットは、下書き用筆記体と清書用筆記体とを単一の軸筒内に含む複合式筆記体であってよい。
複合式筆記体である筆記体セットは、例えば、下書き用筆記体であるボールペンレフィルと清書用筆記体であるボールペンレフィルとを単一の軸筒内に収容し、出没機構の作動によって軸筒開口部から筆記先端部、すなわち、ボールペンチップが突出する構造の出没式筆記体であってよい。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
また、複合式筆記体である筆記体セットは、単一の軸筒の一端に下書き用筆記体を有し、他端に清書用筆記体を有する構造の両頭式筆記体であってよい。
【0176】
複合式筆記体である筆記体セットは、下書き用筆記体及び清書用筆記体に加えて、上述の摩擦部材を含んでよい。携帯性を考慮し、例えば、摩擦部材を下書き用筆記体又は清書用筆記体に固着させてよい。摩擦部材を固着する箇所は特に限定されず、例えば、キャップ先端部(頂部)、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)等が挙げられる。
【実施例
【0177】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら制限されるものではない。
【0178】
マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、コールター法(電気的検知帯法)による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行った堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-300」を用いて、体積基準による平均粒子径(メジアン径)を測定したものである。
【0179】
1.マイクロカプセル顔料の調整
(1)マイクロカプセル顔料MC1
電子供与性呈色性有機化合物として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体としてデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる、可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料MC1の懸濁液を得た。当該懸濁液を遠心分離してMC1を単離した。MC1は、平均粒子径が2.0μmであり、t1:-20℃、t2:-9℃、t3:40℃、t4:57℃、△H63℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から白色、白色から黒色へ可逆的に変色した。
【0180】
(2)マイクロカプセル顔料MC2
電子供与性呈色性有機化合物として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン4.5部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体としてデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる、可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料MC2の懸濁液を得た。当該懸濁液を遠心分離してMC2を単離した。MC2は、平均粒子径が1.0μmであり、t1:-20℃、t2:-9℃、t3:40℃、t4:57℃、△H63℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、黒色から白色、白色から黒色へ可逆的に変色した。
【0181】
(3)マイクロカプセル顔料MC3
電子供与性呈色性有機化合物として1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン0.3部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体としてデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる、可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料MC3の懸濁液を得た。当該懸濁液を遠心分離してMC3を単離した。MC3は、平均粒子径が2.0μmであり、t1:-16℃、t2:-8℃、t3:48℃、t4:58℃、△H65℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、桃色から白色、白色から桃色へ可逆的に変色した。
【0182】
(4)マイクロカプセル顔料MC4
電子供与性呈色性有機化合物として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン1.0部、電子受容性化合物として1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン4.5部、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、反応媒体としてデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.5部からなる、可逆熱変色性組成物が内包された可逆熱変色性マイクロカプセル顔料MC4の懸濁液を得た。当該懸濁液を遠心分離してMC4を単離した。MC4は、平均粒子径が2.0μmであり、t1:-20℃、t2:-9℃、t3:40℃、t4:57℃、△H63℃のヒステリシス特性を有する挙動を示し、灰色から白色、白色から灰色へ可逆的に変色した。
【0183】
2.熱変色性インキ組成物(下書き用インキ)及び非熱変色性インキ組成物(清書用インキ)の調整
下記表1に記載の組成で原料を配合し、実施例1~4及び比較例1~3の下書き用インキ及び清書用インキを得た。なお、表1中の組成の単位は質量%である。
【0184】
【表1】
【0185】
表1中の原料の内容について説明する。
(1)黒色MC1、平均粒子径2.0μm
(2)黒色MC2、平均粒子径1.0μm
(3)桃色MC3、平均粒子径2.0μm
(4)灰色MC4、平均粒子径2.0μm
(5)大日精化工業社製、商品名:ラブコロール220(MD)、非熱変色性粒子、平均粒子径8μm
(6)オリエント化学工業製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)、黒色染料
(7)グリセリン
(8)エチレングリコール
(9)川研ファインケミカル社製、商品名:アセチレノールE100、アセチレングリコールとポリオキシエチレンとのエーテル
(10)第一工業製薬社製、商品名:プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル
(11)トリエタノールアミン
(12)ロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL-2、ベンゾイソチアゾリン-3-オン
(13)三晶社製、商品名:ケルザン、キサンタンガム
【0186】
3.下書き用筆記体の作製
ボールペンチップ(ボール径0.5mm、クリアランス35μm)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管に下書き用インキを充填し、更に、インキ逆流防止体をインキ後端面に密着させて充填し、下書き筆記体であるボールペンレフィルを得た。ボールペンレフィルのインキ吐出量は、筆記距離100m当たりのインキ消費量として、280mgであった。インキ消費量は、20℃、筆記角度70°、筆記荷重100g及び筆記速度4m/minの条件で、JIS P3201筆記用紙A、及びボールペンレフィル5本を用いて、筆記距離100mのらせん筆記試験をそれぞれのボールペンレフィルについて行い、それらのインキ消費量の平均値とした。
【0187】
4.清書用筆記体
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたインキ収容管清書用インキを充填し、更に、インキ逆流防止体を後端面に密着させて充填し、清書用筆記体であるボールペンレフィルを得た。
【0188】
5.評価
得られた下書き用筆記体及び清書用筆記体を用いて以下の試験を行った。
【0189】
(1)下書き筆跡視認性
JIS P3201筆記用紙Aに、下書き筆記体を用いて、筆記角度70°且つ筆記荷重100gで、下書き筆跡を形成し、コニカミノルタ社製の「FD-7」を用いて、下書き筆跡のL値を測定した。L値が80以下のものを合格(〇)とし、L値が80超のものを不合格(×)とした。
JIS P3201筆記用紙Aに、下書き筆記体を用いて手書きで「小諸なる」と下書きし、下書き筆跡を目視した際、L値が80以下のものは下書き筆跡が明瞭であって見易く、下書き筆跡視認性が優れていた。
【0190】
(2)清書筆跡視認性
JIS P3201筆記用紙Aに、清書筆記体を用いて、筆記角度70°且つ筆記荷重100gで、清書筆跡を形成した。コニカミノルタ社製の「FD-7」を用いて測定した清書筆跡のL値は15であった。上記で測定した下書き筆跡のL値から清書筆跡のL値を差し引いた明度差を求め、明度差が30以上のものを合格(〇)とし、明度差が30未満のものを不合格(×)とした。
JIS P3201筆記用紙Aに、下書き筆記体を用いて手書きで「小諸なる小城のほとり」と下書きし、次いで、清書筆記体を用いて手書きで同文字を清書する際、明度差が30以上のものは、下書き筆跡に対して清書筆跡が相対的に見易く、清書筆跡視認性が優れていた。
【0191】
(3)熱消色性
グレー色封筒(ハート封筒社製、長3グレー封筒)に、下書き筆記体を用いて、筆記角度70°且つ筆記荷重100gの条件で下書き筆跡を形成し、80℃で1分間加熱した。コニカミノルタ社製の「FD-7」を用いて、加熱後の下書き筆跡及びグレー色封筒の非筆記面について、CIE1976L色空間の色相(L)を測定し、それらの色差ΔEを下記式で求めた。

ΔE=((L-L*’+(a-a*’+(b-b*’1/2
ここで、Lは下書き筆跡の色相であり、L*’*’*’はグレー色封筒の非筆記面の色相である。
評価基準は以下の通りであり、「○」及び「△」を合格、「×」を不合格とした。
○:十分消色できている(ΔE:2未満)
△:やや残像が見える(ΔE:2以上10未満)
×:全く消色できていない(ΔE:10以上)
グレー色封筒に、下書き筆記体を用いて手書きで「小諸なる」と下書きして80℃で1分間加熱した後、目視により下書き跡を確認した際、評価結果が「〇」及び「△」であるものは、下書き跡が目立ち難く、熱消色性に優れていた。
【0192】
(4)清書性
JIS P3201筆記用紙Aに、下書き筆記体を用いて手書きで「小諸なる小城のほとり」と下書きし、次いで、清書筆記体を用いて手書きで同じ文字を清書し、目視により清書筆跡を確認した。
評価基準は以下の通りであり、「○」を合格、「×」を不合格とした。
○:下書き筆跡上で清書筆跡が途切れていない
×:下書き筆跡上で清書筆跡が途切れている
【0193】
(5)擦過消色性
JIS P3201筆記用紙Aに、下書き筆記体を用いて手書きで「小諸なる小城のほとり」と下書きし、次いで、清書筆記体を用いて手書きで同文字を清書し、1時間放置した。その後、擦過部材(SEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)製)を用いて下書き筆跡を消色し、目視により清書筆跡を確認した。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
○:下書き筆跡上で清書筆跡が途切れていない
×:下書き筆跡上で清書筆跡が途切れている
なお、比較例3の下書きインキから形成した下書き筆跡は、擦過部材による擦過で消去することができなかった。
【0194】
評価結果を下記表2に示す。
【0195】
【表2】
【0196】
さらに摩擦部材の好ましい態様について調査すべく、以下の試験を行った。
【0197】
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックLJ809A)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、摩擦部材1を得た。なお、フリクションボールノック05に付属の摩擦部材は、先端部(擦過部)が凸曲面形状(曲率半径2.5mm)を有している。
【0198】
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックHJ260)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、摩擦部材2を得た。
【0199】
ポリエチレン樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名:ノバテックMG2TA)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、摩擦部材3を得た。
【0200】
SEBS共重合体(アロン化成株式会社製、商品名:AR-885C)を、公知の方法でフリクションボールノック05に付属の摩擦部材と同形状に成型することにより、摩擦部材4を得た。また、市販の熱変色性筆記体に付属の摩擦部材を、摩擦部材5とした。なお、摩擦部材5の先端部の法線と熱変色性筆記体の長手方向とは概ね一致していた。
【0201】
上記摩擦部材1~5について、硬さと動摩擦係数を測定した。
硬さは、Dタイプのデュロメータ硬度計(株式会社テクロック社製デュロメータ、型式:GS-720G)を用いて、以下のようにして測定した。まず、熱変色性筆記体(フリクションボールノック05)に摩擦部材1~4を、熱変色性筆記体の長手方向と摩擦部材の先端部(凸曲面形状)の法線とが概ね一致するようにそれぞれ装着した。次に摩擦部材1~5を、切断面が熱変色性筆記体の長手方向と略垂直となるように切断した。そして、切断面を下にして、各摩擦部材の先端部上方にデュロメータ硬度計の押芯先端が位置するように、各摩擦部材を含む部分をデュロメータ硬度計に配置した。そして、25℃50%RH環境下、加重5.0kgf・速度3mm/secで押芯先端を各摩擦部材に押し付けたときのデュロメータ硬度計に表示されるピーク値を、各摩擦部材の硬さとした。
【0202】
動摩擦係数は、HEIDON摩擦摩耗試験機(新東科学株式会社製、トライボギアTYPE:14)を用いて、摩擦部材1~5を、各摩擦部材の先端部と紙面とが摩擦するように紙面上を走行させたときに、各摩擦部材に係る力F(紙面と平行方向の荷重)を測定した。なお、摩擦部材5については、市販の熱変色性筆記体から取り外して測定に使用した。力Fと、(紙面と垂直方向の)各摩擦部材に係る荷重N(200gf)とをF=μ(動摩擦係数)×Nに適用し、動摩擦係数μを算出した。力Fのサンプリングは0.001秒間隔とし、測定開始から測定開始後0.3秒までに計測される力Fは動摩擦係数の算出に用いないこととした。紙面はNPiフォーム<55>(日本製紙株式会社製)の紙面表側を使用し、測定環境は23℃42%RHとし、走行速度は4m/分とし、走行距離は10cmとし、各摩擦部材の先端部の法線と紙面との角度は90°として測定した。また、各摩擦部材につき測定用サンプルを3つ用意し、測定サンプル1つにつき1回の測定を行い、3つの測定用サンプルの測定値の平均値を、各摩擦部材の動摩擦係数とした。
【0203】
上記摩擦部材1~5に対して、上述した、実施例1の下書き用筆記体および清書用筆記体を用いて、下記筆跡の伸び評価を行った。
【0204】
(筆跡の伸び評価)
試験紙(コクヨ履歴書用紙(多枚数)B5 JIS様式準拠10枚 シン-51J)上に、25℃50%RH環境下において、上記実施例1の下書き用筆記体で形成した筆跡の上を上記清書用筆記体でトレースして形成した筆跡「名古屋」を、清書用筆記体の筆跡形成から10秒後に摩擦部材1~5を用いて、角度60度・荷重300g・速度10cm/secで擦過して、下書き用筆記体の筆跡を消色した後の、清書用筆記体で形成した筆跡のインキの伸びを目視で確認した。
【0205】
摩擦部材1~5の硬さ、動摩擦係数、および筆跡の伸び評価の結果を表3にまとめた。また、摩擦部材1~5の筆跡の伸び評価の結果を示す画像を、それぞれ図2A図2Eに、以下のように示した。
図2A:摩擦部材1の筆跡の伸び評価の結果
図2B:摩擦部材2の筆跡の伸び評価の結果
図2C:摩擦部材3の筆跡の伸び評価の結果
図2D:摩擦部材4の筆跡の伸び評価の結果
図2E:摩擦部材5の筆跡の伸び評価の結果
なお、表3の筆跡の伸び評価結果について、以下のように判定した。
A:インキが筆跡周囲に広がった形跡は確認されない
B:インキがわずかに筆跡周囲に広がった形跡が確認される
C:インキが筆跡周囲に広がった形跡が明瞭に確認される
【0206】
【表3】
【0207】
表3の結果より、次のように考察できる。摩擦部材1~3は、本発明の別の実施形態で規定する好ましい要件(タイプDのデュロメータ硬度計で測定した硬さが55~90であり、動摩擦係数が0.25~0.50である)を満足する例であり、筆跡の伸び評価においてAまたはB判定であり、下書き用筆記体の筆跡と共に清書用筆記体の筆跡を擦過したときに、下書き用筆記体の筆跡を消色できると共に、清書用筆記体の筆跡の外観を維持しやすいという結果が得られた。特に摩擦部材2は、硬さが65~80および動摩擦係数が0.25~0.35というより好ましい要件を満たしたため、筆跡の伸び評価において、特に優れた結果(A判定)を示した。
【符号の説明】
【0208】
t1 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全発色温度
t2 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の発色開始温度
t3 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の消色開始温度
t4 加熱消色型のマイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E