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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 838
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021008063
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112293
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177450(JP,A)
【文献】特開2018-191046(JP,A)
【文献】特開2002-354271(JP,A)
【文献】特開2008-048167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定値に宛先を含むジョブを実行する制御部と、記憶部と、表示部とを備え、
前記記憶部は、前記宛先を含む宛先情報と、前記設定値を含み、前記ジョブの実行に係る履歴情報である設定履歴情報とを記憶し、
前記制御部は、前記記憶部から前記設定履歴情報を読み出し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されている場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されていない場合、前記設定履歴情報の表示を制限することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先のうち、前記記憶部に記憶されていない前記宛先については、一部又は全てを隠蔽して表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部に表示された前記設定履歴情報の選択を受け付け、選択された前記設定履歴情報に基づき前記ジョブを実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されている場合、選択された前記設定履歴情報に基づく前記ジョブを実行することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、選択された前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されていない場合、当該設定履歴情報の使用不可をユーザに対して報知することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、選択された前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されていない場合、前記宛先以外の前記設定値を適用し、選択された前記設定履歴情報に基づく前記ジョブを実行することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記宛先に基づき、前記設定履歴情報を検索し、
前記宛先の前記記憶部における記憶状況に関わらず、検索結果を表示することを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記ジョブの実行に係る設定画面を表示可能であって、
前記制御部は、前記設定画面を介して前記宛先の入力を受け付けると、前記宛先に基づき、前記設定履歴情報を検索し、前記宛先の前記記憶部における記憶状況に関わらず、検索結果を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
設定値に宛先を含むジョブを実行する制御部と、記憶部と、表示部とを備えた情報処理装置を制御する制御方法であって、
前記宛先を含む宛先情報と、前記設定値を含み、前記ジョブの実行に係る履歴情報である設定履歴情報とを前記記憶部に記憶する工程と、
前記記憶部から前記設定履歴情報を読み出し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されている場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されていない場合、前記設定履歴情報の表示を制限することを特徴とする工程とを含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ファクス送信、E-mail送信、コピー、スキャン、又はデータ保存等の各機能に基づくジョブの実行後に当該ジョブに係る設定値を設定履歴情報として記憶する情報処理装置が知られている。
【0003】
設定履歴情報に係るジョブと同一又は類似するジョブの実行を容易とするために、当該設定履歴情報をユーザに対して提示する情報処理装置が存在する。ユーザは、提示された設定履歴情報を選択し、必要であれば設定値を変更して実行指示を入力する。情報処理装置は設定履歴情報に基づき各種ジョブ機能を実行することで、ユーザは容易にジョブの実行結果を得ることができる。
【0004】
一般的に、特定のユーザに対する認証処理が行われず、多数のユーザが共有して利用可能な状況下においては、当該情報処理装置で実行されたジョブに係る設定履歴情報は多数のユーザに対して閲覧可能な状態にある。この場合、例えば、ファクス送信に係る宛先番号や、E-mail送信に係るE-mailアドレスといった宛先に関する情報(以降、宛先情報と称する)についても多数のユーザに対して閲覧可能な状態にある。これらの宛先情報は個人情報に該当するものである。したがって、ユーザの意図しないところで当該宛先情報が外部に漏洩することはセキュリティの観点から好ましくない。
【0005】
これまでに、宛先情報の外部への漏洩を防止するため、例えば、設定履歴情報の表示において、宛先を非表示としたり、設定履歴情報の表示自体を制限する装置が知られている。しかしながら、これらの装置は、自己が記録している全ての設定履歴を対象としている。したがって、全ての設定履歴情報に対して表示制限が課されるため、設定履歴情報の確認・再利用という点について実用的な機能とは言えなかった。
【0006】
例えば、特許文献1には、多くの利用者の通信履歴が混在して表示されるデータ通信装置において、各利用者が指定した通信履歴の項目を読み取り不能に暗号化する読取不能手段を備えることが記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、通信履歴の隠したい項目については、暗号化して表示されるため、第三者による当該項目の読み取りを防止することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2010-273030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、暗号化機能を利用するために、ID、パスワード、暗証番号等を入手して記憶する必要がある。また、特許文献1の技術では、ファクス送信(ジョブの実行)毎に暗号化のための操作を行う必要がある。加えて、特許文献1の技術では、暗号化を促すための「暗号化案内」がファクス送信毎に表示されるため、暗号化が必要ではないジョブに関しても対応する必要があった。
【0009】
本開示の目的は、設定履歴情報の使用に関し、ユーザに対する特別な操作を要求せずとも、ユーザの意図に反して宛先情報が外部に漏洩することを防止することが可能な情報処理装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係る情報処理装置は、設定値に宛先を含むジョブを実行する制御部と、記憶部と、表示部とを備え、前記記憶部は、前記宛先を含む宛先情報と、前記設定値を含み、前記ジョブの実行に係る履歴情報である設定履歴情報とを記憶し、前記制御部は、前記記憶部から前記設定履歴情報を読み出し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されている場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示することを特徴としている。
【0011】
また、本開示に係る制御方法は、設定値に宛先を含むジョブを実行する制御部と、記憶部と、表示部とを備えた情報処理装置を制御する制御方法であって、前記宛先を含む宛先情報と、前記設定値を含み、前記ジョブの実行に係る履歴情報である設定履歴情報とを前記記憶部に記憶する工程と、前記記憶部から前記設定履歴情報を読み出し、前記設定履歴情報に含まれる前記宛先が前記記憶部に記憶されている場合、前記設定履歴情報を前記表示部に表示する工程とを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、設定履歴情報の使用に関し、ユーザに対する特別な操作を要求せずとも、ユーザの意図に反して宛先情報が外部に漏洩することを防止することが可能な情報処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における複合機の外観図である。
図2】第1実施形態における複合機の機能構成図である。
図3】アドレス帳の一構成例を説明する図である。
図4】設定履歴情報の一構成例を説明するテーブルである。
図5】第1実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】第1実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図7】第1実施形態における動作例を説明する図である。
図8】第1実施形態における動作例を説明する図である。
図9】第2実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図10】第2実施形態における動作例を説明する図である。
図11】第2実施形態における動作例を説明する図である。
図12】第3実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図13】第3実施形態における動作例を説明する図である。
図14】第4実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図15】第4実施形態における動作例を説明する図である。
図16】第5実施形態における処理の流れを説明するフローチャートである。
図17】第5実施形態における動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、実施形態の説明では、情報処理装置として、ファクス送信、E-mail送信、コピー、スキャン、又はデータ保存等の機能を有し、各機能に基づくジョブを実行する複合機を一例にして説明する。また、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した説明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0015】
[1.第1実施形態]
第1実施形態に係る複合機は、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開であるか否かを自己が備える宛先情報としてのアドレス帳を参照・比較することで判定する。複合機のアドレス帳がユーザに対して解放されている場合、当該アドレス帳に登録された宛先は不特定多数の人に開示されたとしてもセキュリティ上問題のない個人情報であると考えることができる。したがって、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開、すなわち、保護されるべき対象の宛先であるか否かの判定を当該宛先のアドレス帳への登録状況に依拠して行うことができる。
【0016】
[1.1 機能構成]
第1実施形態に係る複合機10の機能構成について図1及び図2を参照して説明する。図1は、複合機10の全体構成を説明するための外観図である。図2は複合機10の機能構成図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、複合機10は、制御部11と、表示部13と、操作入力部15と、通信部17と、画像形成部19と、画像読取部21と、記憶部23と、給紙部25と、排紙部27とを備える。
【0018】
制御部11は、複合機10全体を制御する。制御部11は、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central processing unit)等)により構成される。制御部11は、記憶部23に記憶されたジョブ実行プログラム231、設定履歴情報処理プログラム232、判定処理プログラム233、表示処理プログラム234等を読み出して実行することによりその機能を実現する。
【0019】
表示部13は、各種情報をユーザ等に対して表示する。表示部13は、例えば、LCD(Liquid crystal display)や有機EL(Electro-luminescence)ディスプレイ等により構成することができる。
【0020】
操作入力部15は、ユーザ等による設定値等の情報の入力を受け付ける。操作入力部15は、ハードキー(例えば、テンキー)やボタン等で構成することができる。なお、操作入力部15は、表示部13を介しての入力が可能なタッチパネルとして構成することも可能である。この場合、タッチパネルの入力検出方式としては、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった方式を採用することができる。
【0021】
通信部17は、LAN(Local area network)、WAN(Wide area network)、インターネット、一般加入電話回線、ファクシミリ通信網等のネットワーク(NW)を介して他の装置と接続し、画像データやファクスデータ等の各種情報、E-mail等を送信する。通信部17は、例えば、通信可能なインタフェースとして構成され、接続方法としては有線/無線の何れか又はその両方を採用することができる。
【0022】
画像形成部19は、用紙上に画像データに基づく画像を形成する。画像形成部19は、給紙部25から用紙を給紙し、用紙上に画像データに基づく画像を形成した後、排紙部27に排紙する。画像形成部19は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等により構成することができる。画像形成部19は、トナー色(例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))に対応した図示せぬトナーカートリッジから供給されるトナーを用いて画像形成を行う。
【0023】
画像読取部21は、読取対象の画像を読み取ることによりスキャンデータを生成する。画像読取部21は、CCD(Charge coupled device)、CIS(Contact image sensor)等のイメージセンサによって画像を電気信号に変換し、当該画像信号を量子化及び符号化することでデジタルデータを生成するスキャナ装置等により構成することができる。
【0024】
給紙部25は、用紙を複数枚積載した状態で収納するためのトレイを有する。トレイには用途に応じて種々のサイズ、厚みを有する用紙を収納することができる。給紙部25は、例えば、A4サイズ、B5サイズ、A3サイズ等のサイズの異なる用紙を個々に収納した複数のトレイから構成することができる。
【0025】
排紙部27は、画像形成後、装置外部に排出された用紙を積載する板状のスタッカを備える。図1に示されるように、スタッカは、サイズの異なる用紙の排出が可能となるように、複数箇所に複数個設けてもよい。
【0026】
記憶部23は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部23は、例えば、RAM(Random access memory)等の揮発性メモリ、半導体メモリであるSSD(Solid state drive)、HDD(Hard disk drive)、ROM(Read only memory)等の不揮発性メモリにより構成することができる。
【0027】
第1実施形態において、記憶部23は、ジョブ実行プログラム231、設定履歴情報処理プログラム232、判定処理プログラム233、及び表示処理プログラム234を記憶し、設定値記憶領域235、宛先情報記憶領域236、及び設定履歴情報記憶領域237を確保する。
【0028】
ジョブ実行プログラム231は、ファクス送信、E-mail送信、コピー、スキャン、又はデータ保存機能等の実行に伴う処理をジョブ単位で行うために、制御部11が読み出すプログラムである。制御部11はジョブ実行プログラム231を読み出すことで当該ジョブの実行に関与する各部を制御する。
【0029】
設定履歴情報処理プログラム232は、例えば、ジョブの実行に係る設定値等の取得、設定履歴情報の生成、設定履歴情報に対する検索処理といった各種処理を行う際に制御部11が読み出すプログラムである。制御部11は、設定履歴情報処理プログラム232を読み出すことによりジョブの実行に係る設定値を取得して設定値記憶領域235に記憶する。また、制御部11は取得した設定値を用いて設定履歴情報を生成し、設定履歴情報記憶領域237に記憶する。
【0030】
判定処理プログラム233は、設定履歴情報に設定値としてのファクス送信やE-mail送信に係る宛先が含まれているか否かを判定する際に制御部11が読み出すプログラムである。また、制御部11は、当該宛先が含まれている場合に、制御部宛先に一致するアドレス帳が存在するか否かを判定する際に同プログラムを読み出す。制御部11は、判定処理プログラム233を読み出すことにより、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開、すなわち、保護されるべき対象の宛先であるか否かの判定を行う。
【0031】
表示処理プログラム234は、設定履歴情報記憶領域237に記憶された設定履歴情報を読み出し、設定履歴選択画面をユーザに対して提示する際に制御部11が読み出すプログラムである。また、制御部11は、設定履歴情報の表示又は隠蔽表示、ジョブ設定画面の表示等を行う際に表示処理プログラム234を読み出す。制御部11は、表示処理プログラム234を読み出し、表示部13を制御することで、様々な表示処理を行うことができる。
【0032】
設定値記憶領域235は、ジョブの実行に係る種々の設定値を記憶する記憶領域である。設定値には、各ジョブの実行において、ユーザにより設定された設定値や、装置自身が保持する装置初期値等が含まれる。また、設定値記憶領域235は、実行したジョブがファクス送信、E-mail送信、スキャン保存等のデータ送信に係るジョブであった場合、データ送信の宛先を設定値として記憶する。
【0033】
なお、設定値は、操作入力部15や表示部13に表示されたタッチパネル等を介し、ユーザにより直接入力された値であってよい。また、複合機10が通信部17を介して不図示の外部端末装置等に接続されている場合、外部端末装置に導入されたプリンタドライバ等の制御プログラムを介して入力された設定値を制御部11が取得することも可能である。制御部11は取得した設定値を設定値記憶領域235に記憶する。
【0034】
宛先情報記憶領域236は、ファクス送信に係る宛先番号や、E-mail送信に係るE-mailアドレスといった宛先に関する宛先情報をアドレス帳として記憶する記憶領域である。例えば、図3は、第1実施形態に係るアドレス帳の一構成例を説明する図である。アドレス帳は、例えば、宛先名とE-mailアドレス、ファクス番号、スキャナアドレス等の宛先番号とを関連付け、さらに、当該情報を一義的に識別するためのIDが付された宛先情報の集合情報である。例えば、図3で例示する「宛先名:田中一郎」には、「E-mailアドレス:tanaka.ichiro@aabbcc.co.jp」が関連付けられ、「ID:1」が付されている。また、同様に、「宛先名:田中花子」には、「E-mailアドレス:tanaka.hanako@aabbcc.co.jp」が関連付けられ、「ID:2」が付されている。「宛先名:田中二郎」には、「ファクス番号:1234567890」が関連付けられ、「ID:3」が付されている。さらに、「宛先名:田中四郎」には、「スキャナアドレス:123.456.789.123」が関連付けられ、「ID:4」が付されている。
【0035】
宛先情報記憶領域236に記憶されたアドレス帳は、ファクス送信や電子メール送信等のデータ送信の際に読み出され、不図示のアドレス帳画面として表示することができる。ユーザは表示されたアドレス帳画面を介し、所望の宛先を選択することで、データ送信の宛先を選択することができる。
【0036】
なお、図3では、各宛先名に対して1つの宛名番号を関連付けた例を示しているが、宛先情報はこれに限定されるものではない。宛先名に対して、例えば、E-mailアドレスとファクス番号との2つの宛先番号を関連付けてもよく、宛先名に対して関連付ける宛先番号の数に制限はない。なお、アドレス帳は、宛先名で示される宛先に対して実行したジョブに応じ、E-mailアドレスや、ファクス番号、スキャナアドレス等を自動的に収集することで構築することが可能である。また、ジョブを実行したユーザが宛先名に対する宛先番号を操作入力部15等の入力部を介して直接入力する形態とすることも無論可能である。
【0037】
設定履歴情報記憶領域237は、設定履歴情報をデータテーブル形式で記憶する記憶領域である。設定履歴情報は、例えば、ジョブの実行日時、モード(ジョブ機能)、出力先、及び保存先等のジョブの実行に係る実行情報と、設定値記憶領域235に記憶された設定値や操作入力部15等を介して取得した設定値の一部又は全部との組み合わせからなる情報に対し、当該情報を一義的に識別するためのジョブID(JID)を付した履歴情報として構成することができる。なお、本開示に係る設定履歴情報は、実行したジョブがファクス送信、E-mail送信等のデータ送信に係るジョブであった場合、データ送信の宛先を設定値として含む。
【0038】
図4は、本開示に係る設定履歴情報の一構成例を説明する図である。例えば、ジョブID:JID2は、E-mail送信に係る設定履歴情報であることを示している。当該ジョブは、2020年01月07日、15:00に実行されたジョブである。ジョブID:JID2に係る設定履歴情報は、カラーモード:自動/白黒2値、解像度:300×300dpi・・・に加え、宛先:tanaka.ichiro@aabbcc.co.jpの設定値を含む。なお、設定履歴情報に含まれる設定値(項目)は、設定値記憶領域235に記憶されている設定値であれば、特に限定されるものではない。図4で示すデータ送信の宛先以外の設定値はあくまでも例示であって、本開示における設定値が図4の記載内容のみによって限定されるものではない。
【0039】
[1.2 処理の流れ]
[1.2.1 宛先が保護対象である場合の設定履歴の表示制限処理]
まず、設定履歴情報に設定値として含まれる宛先が保護対象である場合の設定履歴の表示制限処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5は、設定履歴情報に基づく設定履歴の表示指示入力から設定履歴の表示に係る処理を説明するフローチャートである。
【0040】
初めに、制御部11は、ユーザによる設定履歴の表示指示入力を受けると(ステップS10)、判定処理プログラム233を読み出し、設定履歴情報記憶領域237に記憶している設定履歴情報を解析する(ステップS20)。
【0041】
制御部11は、設定履歴情報にファクス送信やE-mail送信等のデータ送信に係る宛先が存在するか否かを判定する(ステップS30)。制御部11は宛先を含む設定履歴情報は存在しないと判定した場合(ステップS30;No)、設定履歴を表示すると決定する(ステップS40)。そして、制御部11は、表示処理プログラム234を読み出し、設定履歴を表示部13に表示し(ステップS50)、処理を終了する。
【0042】
一方、制御部11は宛先を含む設定履歴情報が存在すると判定した場合(ステップS30;Yes)、宛先情報記憶領域236に記憶したアドレス帳の検索を行う(ステップS60)。
【0043】
アドレス帳の検索の結果、宛先に一致する宛先情報が存在するか否か判定し(ステップS70)、その宛先情報が存在しない場合(ステップS70;No)、制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開とされる宛先、すなわち、保護対象の宛先であると判定する(ステップS80)。そして、制御部11は、設定履歴の表示制限を決定する(ステップS90)。
【0044】
制御部11は、設定履歴の表示制限を決定すると、表示処理プログラム234を読み出し、設定履歴の表示制限を行い(ステップS100)、処理を終了する。
【0045】
なお、アドレス帳の検索の結果(ステップS60)、宛先に一致する宛先情報が存在する場合(ステップS70;Yes)、制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が公開してもよい宛先、すなわち、保護される対象の宛先ではないと判定する。そして、制御部11は、設定履歴を表示すると決定する(ステップS40)。次いで、制御部11は、表示処理プログラム234を読み出し、設定履歴を表示部13に表示し(ステップS50)、処理を終了する。
【0046】
[1.2.2 宛先が保護対象である場合の設定履歴の遮蔽表示処理]
次に、設定履歴情報に設定値として含まれる宛先が保護対象である場合の設定履歴の遮蔽表示処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6は、図5のステップS80以降に係る処理である。ステップS10からステップS70までの処理については図5のフローチャートに係る処理と同一であるため、ここでの説明は省略する。
【0047】
制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開とされる宛先、すなわち、保護対象の宛先であると判定すると(ステップS80)、設定履歴の一部を表示すると決定する(ステップS110)。次いで、制御部は、表示処理プログラム234を読み出し、設定履歴の一部を遮蔽表示し(ステップS120)、処理を終了する。
【0048】
[1.3 動作例]
[1.3.1 宛先が保護対象である場合の設定履歴の表示制限の動作例]
図7は、宛先が保護対象である場合の設定履歴の表示制限の動作例を説明する図である。本動作例は、図5のステップS100の処理に対応する。
【0049】
設定履歴画面W100は、制御部11がユーザによる表示指示入力を受けて表示部13に表示する画面である。設定履歴画面W100は、複合機10が実行したジョブに係る設定履歴情報に基づく設定履歴を、例えば、時系列順に並べて表示する履歴画面である。設定履歴画面W100は、設定履歴表示領域R11と、検索値入力ボックスBx11とを含む。
【0050】
設定履歴表示領域R11は、設定履歴情報に基づく設定履歴を表示する表示領域である。設定履歴表示領域R11には、図4で例示した設定履歴情報に基づく設定履歴が表示される。例えば、最上段の「2020年01月06日 10:00」に実行されたコピージョブに係る設定履歴は、図4のジョブID(JID)1のコピージョブに係る設定履歴情報に対応するものである。
【0051】
図7で例示する設定履歴表示領域R11には、図4で例示した設定履歴情報のJID3に係る設定履歴は表示されていない。これは、JID3のE-mail送信ジョブの宛先である「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」が図3で例示したアドレス帳に「宛先名:田中二郎」の「宛先番号」として記憶されていないため、制御部11が当該宛先を保護対象として判定したことに起因する。この場合、制御部11は当該設定履歴を設定履歴表示領域R11に表示しないとする表示制限を課す。
【0052】
検索値入力ボックスBx11は、設定履歴情報を検索する際にユーザによる検索値の入力を受け付ける入力ボックスである。ユーザは、検索値入力ボックスBx11に所望の検索値を入力することで設定履歴情報記憶領域237に記憶された設定履歴情報を検索することができる。
【0053】
[1.3.2 宛先が保護対象である場合の設定履歴の遮蔽表示の動作例]
図8は、宛先が保護対象である場合の設定履歴の遮蔽表示の動作例を説明する図である。本動作例は、図6のステップS120の処理に対応する。なお、設定履歴画面W110は、図7で例示した設定履歴画面W100と同一構成とすることができるため、同一構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0054】
設定履歴画面W110は、設定履歴画面W100と同様に、制御部11がユーザによる表示指示入力を受けて表示部13に表示する画面である。
【0055】
図8で例示する設定履歴表示領域R13には図4で例示した設定履歴情報のJID3に係る設定履歴が表示されている。しかしながら、E-mail送信の宛先が「******.jiro@*******co.jp」と、宛先の決められた部分以外の文字が「*」に変換されて、宛先の一部分が遮蔽表示されている。これは、JID3のE-mail送信ジョブの宛先である「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」が図3で例示したアドレス帳に「宛先名:田中二郎」の「宛先番号」として記憶されていないため、制御部11が当該宛先を保護対象として判定したことに起因する。この場合、制御部11は、JID3に係る設定履歴を表示するが、当該宛先の一部分を遮蔽処理して表示する。
【0056】
ところで、図8では、宛先に対する遮蔽処理として、宛先の最後から5文字以外、@直前の5文字以外の文字を「*」に変換した例を示しているが、遮蔽する文字数はこれに限定されるものではない。また、遮蔽処理として、宛先の決められた部分以外の文字を所定の文字・記号等に変換する以外にも、例えば、宛先を表示しない(ブランク表示にする)、宛先の全ての文字を所定の文字・記号に変換して表示する形態としてもかまわない。
【0057】
以上のように、第1実施形態によれば、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開、すなわち、保護されるべき対象の宛先であるか否かの判定を当該宛先のアドレス帳への登録状況に依拠して行うことで、ユーザに対する特別な操作を要求せずとも、ユーザの意図に反して宛先情報が外部に漏洩することを防止することが可能な複合機等を提供することができる。
【0058】
[2.第2実施形態]
第2実施形態に係る複合機は、設定履歴画面に表示された設定履歴の選択が可能となるように構成されている。ユーザは所望の設定履歴を選択することにより、当該設定履歴に対応する設定歴情報に基づくジョブを実行させることができる。このとき、第2実施形態に係る複合機は、設定履歴情報に含まれる宛先が保護対象の宛先であるか否かの判定を行い、選択された設定履歴の使用可否を決定する形態である。
【0059】
[2.1 機能構成]
第2実施形態に係る複合機の機能構成は、第1実施形態に係る複合機10と同様とすることができる。したがって、第2実施形態に係る機能構成の説明はここでは省略する。
【0060】
[2.2 処理の流れ]
第2実施形態の処理の流れについて、図9のフローチャートを用いて説明する。図9は、ユーザによる設定履歴の表示指示入力からジョブの実行又は設定履歴の使用不可の報知までの処理を説明するフローチャートである。
【0061】
初めに、制御部11は、ユーザによる設定履歴の表示指示入力を受けると(ステップS130)、設定履歴情報記憶領域237に記憶された設定履歴情報に基づく設定履歴を表示部13に表示する。
【0062】
制御部11は、ユーザによる設定履歴の選択を受け付けると(ステップS140)、受け付けた設定履歴に係る設定履歴情報にデータ送信に係る宛先が存在するか否かを判定する(ステップS150)。
【0063】
制御部11は宛先を含む設定履歴情報は存在しないと判定した場合(ステップS150;No)、ジョブ設定画面を表示部13に表示する(ステップS180)。
【0064】
ユーザは、ジョブ設定画面を介してジョブの実行に係る設定値の入力、変更、又は確認を行う。ジョブ設定画面を介した設定が完了すると、制御部11はジョブを実行し(ステップS190)、処理を終了する。
【0065】
一方、制御部11は宛先を含む設定履歴情報が存在すると判定した場合(ステップS150;Yes)、宛先情報記憶領域236に記憶したアドレス帳の検索を行う(ステップS200)。
【0066】
アドレス帳の検索の結果、宛先に一致する宛先情報が存在するか否かを判定し(ステップS210)、判定の結果、宛先情報が存在しない場合(ステップS210;No)、制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開とされる宛先、すなわち、保護対象の宛先であると判定する(ステップS220)。そして、制御部11は、設定履歴の使用不可をユーザに対して報知し(ステップS230)、処理を終了する。
【0067】
なお、アドレス帳の検索の結果(ステップS210)、宛先に一致する宛先情報が存在する場合(ステップS210;Yes)、制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が公開してもよい宛先、すなわち、保護される対象の宛先ではないと判定する。
【0068】
次いで、制御部11は、ジョブ実行確認画面を表示部13に表示する(ステップS160)。ジョブ実行確認画面を介し、ユーザによるジョブの実行が確認されると(ステップS170;Yes)、制御部11はジョブ設定画面を表示部13に表示する(ステップS180)。
【0069】
ユーザは、ジョブ設定画面を介してジョブの実行に係る設定値の入力、変更、又は確認を行う。ジョブ設定画面を介した設定が完了すると、制御部11はジョブを実行し(ステップS190)、処理を終了する。
【0070】
[2.3 動作例]
図10は、ユーザにより保護対象ではない宛先を含む設定履歴情報に係る設定履歴が選択された場合の動作例を説明する図である。本動作例は、図9のステップS130からステップS180に係る処理に対応する。
【0071】
図10(a)は、図8で例示した設定履歴画面W110を表している。ここで、ユーザにより点線枠の設定履歴表示領域R13aの設定履歴が選択された場合、制御部11は、ステップS140からステップS210に係る処理を実行する。
【0072】
制御部11は、アドレス帳の検索の結果、宛先に一致する宛先情報が存在する場合(図9のステップS210;Yes)、図10(b)で例示するジョブ実行確認画面W120を表示する。ジョブ実行確認画面W120は、「選択した設定履歴を使用して新たにジョブを実行しますか?」といった旨のメッセージをユーザに対して提示する。ここで、ユーザにより「はい」が選択されると、制御部11は、図10(c)で例示するジョブ設定画面W200を表示する。一方、ユーザにより「いいえ」が選択されると、制御部11は処理を終了する。
【0073】
図10(c)はジョブ設定画面W200の一構成例である。ジョブ設定画面W200は、宛先入力ボックスBx13と、機能設定ボタンB11と、処理選択ボタンB13と、スタートボタンB15とを備える。
【0074】
宛先入力ボックスBx13は、選択された設定履歴に係る設定履歴情報に含まれる宛先が設定される。本図の場合、宛先として「tanaka.ichiro@aabbcc.co.jp」が設定された例を示している。
【0075】
機能設定ボタンB11は、選択された設定履歴に係る設定履歴情報に含まれる各設定値が反映されて表示される。機能設定ボタンB11は、ユーザによる押下を受けて当該設定値を変更することが可能となるように構成されている。例えば、ユーザは、カラーモードを“白黒2値”から“フルカラー”に変更したい場合、カラーモードの設定項目に対応する機能設定ボタンB11を押下し、表示された不図示の変更画面を介してカラーモードを“白黒2値”から“フルカラー”に変更することができる。なお、機能設定ボタンB11には、実行するジョブ機能(本動作例では、E-mail送信機能)に関連する設定値項目が優先的に表示される。
【0076】
処理選択ボタンB13は、ユーザが所望する処理の選択を受け付ける入力ボタンである。例えば、ユーザは、宛先入力ボックスBx13に設定された宛先を変更したい場合、処理選択ボタンB13の“宛先一覧”を押下する。すると、制御部11は、宛先情報記憶領域236に記憶された宛先情報であるE-mailアドレスを表示する。ユーザは所望のE-mailアドレスを選択することで宛先入力ボックスBx13に設定されたE-mailアドレスを変更することができる。
【0077】
スタートボタンB15は、ジョブ設定画面W200において設定された設定内容に基づきジョブを実行する際に、ユーザによる押下を受け付ける入力ボタンである。制御部11は、スタートボタンB15の押下を受けてジョブを実行する。
【0078】
図11は、ユーザにより保護対象の宛先を含む設定履歴が選択された場合の設定履歴の使用不可の報知に係る動作例を説明する図である。本動作例は、図9のステップS130からステップS230に係る処理に対応する。
【0079】
図11(a)は、図8で例示した設定履歴画面W110を表している。ここで、ユーザにより点線枠で囲まれた設定履歴表示領域R13bの設定履歴が選択された場合、制御部11は、ステップS140からステップS210に係る処理を実行する。
【0080】
制御部11は、アドレス帳の検索の結果、宛先に一致する宛先情報が存在しない場合(図9のステップS210;No)、図11(b)で例示する設定履歴の使用不可画面W130を表示する。設定履歴の使用不可画面W130は、「選択した設定履歴は使用できません」といった旨のメッセージをユーザに対して提示する。なお、設定履歴の使用不可の報知手段として、メッセージ提示以外にも、例えば、使用不可警告を促すビープ音を鳴らすといった手段を採用してもよい。設定履歴の使用不可を報知すると、制御部11はジョブ設定画面への遷移を行わない。
【0081】
以上のように、第2実施形態によれば、設定履歴情報に含まれる宛先が保護対象の宛先であるか否かの判定を行い、選択された設定履歴の使用可否を決定する複合機等を提供することができる。
【0082】
[3.第3実施形態]
第3実施形態に係る複合機は、第2実施形態に係る複合機において、設定履歴情報に含まれる宛先が保護対象の宛先である場合に設定履歴の使用不可を報知する構成に替えて、宛先以外の設定値を反映したジョブ設定画面をユーザに対して提示する形態である。
【0083】
[3.1 機能構成]
第3実施形態に係る複合機の機能構成は、第1実施形態及び第2実施形態に係る複合機10と同様とすることができる。したがって、第3実施形態に係る機能構成の説明はここでは省略する。
【0084】
[3.2 処理の流れ]
第3実施形態の処理の流れについて、図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、図9のステップS220以降に係る処理である。ステップS130からステップS210までの処理については図9のフローチャートに係る処理と同一とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
制御部11は、設定履歴情報に含まれる宛先が非公開とされる宛先、すなわち、保護対象の宛先であると判定すると(ステップS220)、設定履歴の一部を表示すると決定する(ステップS240)。次いで、制御部は、当該宛先以外の設定履歴情報の設定値を反映したジョブ設定画面を表示する(ステップS250)。
【0086】
ユーザは、ジョブ設定画面を介してジョブの実行に係る設定値の入力、変更、又は確認を行う。ジョブ設定画面を介した設定が完了すると、制御部11はジョブを実行し(ステップS190)、処理を終了する。
【0087】
[3.3 動作例]
図13は、ユーザにより保護対象の宛先を含む設定履歴情報が選択された場合において、宛先以外の設定値を反映したジョブ設定画面をユーザに対して提示する動作例を説明する図である。本動作例は、図9のステップS130からステップS210及び図12のステップS220からステップS190に係る処理に対応する。
【0088】
図13(a)は、図8で例示した設定履歴画面W110を表している。ここで、ユーザにより点線枠で囲まれた設定履歴表示領域R13bの設定履歴が選択された場合、制御部11は、ステップS140からステップS210に係る処理を実行する。
【0089】
制御部11は、宛先に一致する宛先情報が存在しない場合(図9のステップS210;No)、図13(b)で例示するジョブ実行確認画面W120を提示する。ジョブ実行確認画面W120は、「選択した設定履歴を使用して新たにジョブを実行しますか?」といった旨のメッセージをユーザに対して提示する。ここで、ユーザにより「はい」が選択されると、制御部11は、図13(c)で例示するジョブ設定画面W210を表示する。一方、ユーザにより「いいえ」が選択されると、制御部11は処理を終了する。
【0090】
図13(c)はジョブ設定画面W210の一構成例である。ジョブ設定画面W210は、ジョブ設定画面W200と同一構成である。制御部11は、宛先入力ボックスBx13をブランクとした状態でジョブ設定画面W210を表示する。このとき、制御部11は、ユーザにより選択された設定履歴に係る設定履歴情報が含む設定値を機能設定ボタンB11に反映させて表示する。
【0091】
以上のように、第3実施形態によれば、設定履歴情報に含まれる宛先が保護対象の宛先である場合に、宛先以外の設定値を反映したジョブ設定画面をユーザに対して提示する複合機等を提供することができる。
【0092】
[4.第4実施形態]
第4実施形態に係る複合機は、第1実施形態から第3実施形態に係る複合機において、設定履歴画面を介した設定履歴情報の検索結果を用いてジョブを実行する形態である。
【0093】
[4.1 機能構成]
第4実施形態に係る複合機の機能構成は、第1実施形態から第3実施形態に係る複合機と同様とすることができる。したがって、第4実施形態に係る機能構成の説明はここでは省略する。
【0094】
[4.2 処理の流れ]
第4実施形態に係る処理の流れについて、図14のフローチャートを用いて説明する。
【0095】
初めに、制御部11は、ユーザによる設定履歴の表示指示入力を受けると(ステップS260)、設定履歴情報記憶領域237に記憶された設定履歴情報に基づく設定履歴を表示部13に表示する。
【0096】
制御部11は、ユーザによる検索値の入力を受け付けると(ステップS270)、受け付けた検索値に基づき設定履歴情報の検索を行う(ステップS280)。
【0097】
次いで、制御部11は検索結果として受け付けた検索値を含む設定履歴情報に基づく設定履歴を表示する(ステップS290)。ユーザにより所望の設定履歴が選択されると、制御部11は当該設定履歴に係る設定履歴情報が含む設定値を反映したジョブ設定画面を表示する(ステップS300)。
【0098】
ユーザは、ジョブ設定画面を介してジョブの実行に係る設定値の入力、変更、又は確認を行う。ジョブ設定画面を介した設定が完了すると、制御部11はジョブを実行し(ステップS310)、処理を終了する。
【0099】
[4.3 動作例]
図15は、設定履歴情報の検索結果を用いたジョブの実行に係る動作例を説明する図である。本動作例は、図14のステップS260からステップS310に係る処理に対応する。
【0100】
図15(a)は、図7で例示した設定履歴画面W100を表している。ここで、ユーザにより検索値入力ボックスBx11に、検索値としてE-mailアドレス「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」が入力されると、制御部11は、図14のステップS270からステップS280に係る処理を実行する。
【0101】
図15(b)は、検索結果の一例を設定履歴画面に表示した例である。設定履歴画面W140は、検索結果表示領域R15を含む。制御部11は検索値を含む設定履歴情報に基づく設定履歴を検索結果表示領域R15に表示する。本図の例では、検索結果としてE-mailアドレス「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」を含むE-mail送信ジョブに係る設定履歴を表示した例である。
【0102】
検索結果として表示された設定履歴がユーザにより選択されると、制御部11は当該設定履歴に係る設定履歴情報の設定値を反映したジョブ設定画面を表示する。図15(c)は、図15(b)で選択された設定履歴に係る設定値が反映されたジョブ設定画面W220の一構成例である。
【0103】
ジョブ設定画面W220は、図10で例示したジョブ設定画面W200と同一構成とすることができる。ジョブ設定画面W220の宛先入力ボックスBx13には、図15(b)で選択された設定履歴に係る設定履歴情報の宛先が反映して表示される。
【0104】
そして、制御部11は、ユーザによるスタートボタンB15の押下を受けてジョブを実行する。
【0105】
以上のように、第4実施形態によれば、設定履歴画面を介した設定履歴情報の検索結果を用いてジョブを実行することが可能な複合機等を提供することができる。
【0106】
[5.第5実施形態]
第5実施形態に係る複合機は、第1実施形態から第3実施形態に係る複合機において、ジョブ設定画面を介した設定履歴情報の検索結果を用いてジョブを実行する形態である。
【0107】
[5.1 機能構成]
第5実施形態に係る複合機の機能構成は、第1実施形態から第3実施形態に係る複合機と同様とすることができる。したがって、第5実施形態に係る機能構成の説明はここでは省略する。
【0108】
[5.2 処理の流れ]
第5実施形態に係る処理の流れについて、図16のフローチャートを用いて説明する。なお、図16のステップS320以外の処理は、第4実施形態の図14で説明した処理(ステップS270からステップS310)と同様に行うことができる。したがって、ここではステップS320に係る処理のみ説明する。
【0109】
ステップS320において、制御部11は、ジョブの実行指示入力等に基づきジョブ設定画面を表示する。制御部11は、ユーザによるジョブ設定画面の宛先入力ボックスへの宛先(検索値)の入力を受けて(ステップS270)、ステップS280以降の検索処理を実行する。
【0110】
[5.3 動作例]
図17は、設定履歴情報の検索結果を用いたジョブの実行に係る動作例を説明する図である。本動作例は、図16のステップS320からステップS310に係る処理に対応する。
【0111】
図17(a)は、図13(c)例示したジョブ設定画面W210を表している。ここで、ユーザにより宛先入力ボックスBx13に,検索値としてE-mailアドレス「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」が入力されると、制御部11は、ステップ図16のS270からステップS280に係る処理を実行する。
【0112】
図17(b)は、検索結果の一例をジョブ設定画面に表示した例である。ジョブ設定画面W230は、検索結果表示領域R15を含む。制御部11は検索値を含む設定履歴情報に基づく設定履歴を検索結果表示領域R15に表示する。本図の例では、検索結果としてE-mailアドレス「tanaka.jiro@aabbcc.co.jp」を含むE-mail送信ジョブに係る設定履歴を表示した例である。
【0113】
検索結果として表示された設定履歴がユーザにより選択されると、制御部11は当該設定履歴に係る設定履歴情報が含む設定値を反映したジョブ設定画面を表示する。図17(c)は、図17(b)で選択された設定履歴に係る設定値が反映されたジョブ設定画面W240の一構成例である。
【0114】
ジョブ設定画面W240は、図15(c)で例示したジョブ設定画面W220と同一構成とすることができる。ジョブ設定画面W240の宛先入力ボックスBx13には、図17(b)で選択された設定履歴に係る設定履歴情報が含む宛先が反映して表示される。
【0115】
制御部11は、ユーザによるスタートボタンB15の押下を受けてジョブを実行する。
【0116】
以上のように、第5実施形態によれば、ジョブ設定画面を介した設定履歴情報の検索結果を用いてジョブを実行することが可能な複合機等を提供することができる。
【0117】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0118】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。
【0119】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0120】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray Disk(登録商標)等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
【0121】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0122】
10 複合機
11 制御部
13 表示部
15 操作入力部
17 通信部
19 画像形成部
21 画像読取部
23 記憶部
231 ジョブ実行プログラム
232 設定履歴情報処理プログラム
233 判定処理プログラム
234 表示処理プログラム
235 設定値記憶領域
236 宛先情報記憶領域
237 設定履歴情報記憶領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17