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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】記録装置および記録方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20241101BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 213
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021019237
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022122135
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2024-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村澤 孝大
(72)【発明者】
【氏名】土屋 興宜
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕充
(72)【発明者】
【氏名】久保 英希
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-291511(JP,A)
【文献】特開2004-291510(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139272(WO,A1)
【文献】特開2004-299304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の搬送方向にノズル列が設けられた記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する走査方向に往復移動させ、前記記録手段のノズルから記録媒体上にインク滴を付与することにより画像の記録を行う記録装置であって、
前記記録手段は、蛍光インクに対応するノズル列と、前記蛍光インクと異なる他のインクに対応するノズル列を有し、
前記記録手段の複数の走査によって画像を記録するよう前記記録手段の移動と前記記録媒体の搬送を制御する記録制御手段と、
前記複数の走査それぞれにおける、前記蛍光インクと前記他のインクそれぞれのインク付与量の割合を決定する決定手段と、を備え、
前記記録制御手段は、前記決定手段により決定されたインク付与量の割合に基づいて、前記制御を行い、
前記決定手段は、前記記録媒体のインク層の表面における前記蛍光インクの色材量が、前記インク層の内部における前記蛍光インクの色材量よりも少なくなるように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記インク層の表面において、前記蛍光インクの色材量が前記他のインクの色材量よりも少なくなるように、前記蛍光インクと前記他のインクそれぞれのインク付与量の割合を決定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記インク層の表面における前記蛍光インクの第1色材量から前記インク層の内部における前記蛍光インクの第2色材量まで次第に増加していくように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記インク層の内部における前記蛍光インクの前記第2色材量から最下層における前記蛍光インクの第3色材量まで減少していくように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記複数の走査に渡って前記他のインクの色材量が一定となるように、前記複数の走査それぞれにおける前記他のインクのインク付与量の割合を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記蛍光インクによる記録はフルノズルで行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記インク層の表面における前記蛍光インクの第1色材量から前記インク層の内部における前記蛍光インクの第2色材量に切り替わるように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項8】
前記蛍光インクによる記録は、前記蛍光インクに対応するノズル列の一部を用いて行われることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記蛍光インクのインクデータを生成する第1生成手段と、
前記他のインクのインクデータを生成する第2生成手段と、をさらに備え、
前記記録制御手段は、前記第1生成手段により生成された前記蛍光インクのインクデータと、前記第2生成手段により生成された前記他のインクのインクデータの少なくともいずれかに基づいて前記制御を行い、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1生成手段により前記蛍光インクのインクデータが生成される場合に、前記決定手段による決定が行われることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第1生成手段による生成は、前記画像が表す色空間のうち所定の色域に対応する画素について行われることを特徴とする請求項9又は10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記所定の色域は、前記蛍光インクの発光波長に基づいて定められることを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記所定の色域は、前記蛍光インクの色と補色の関係とならない色域であることを特徴とする請求項11又は12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記画素が前記所定の色域に対応するか否かを判定する判定手段、をさらに備えることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第2生成手段による生成は、前記判定手段の前に実行されることを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項16】
前記第2生成手段による生成は、前記判定手段の後に実行されることを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項17】
前記第1生成手段による生成は、前記判定手段の後に実行されることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項18】
前記第1生成手段と前記第2生成手段がともに前記判定手段の後に実行される場合、前記第2生成手段は、前記第1生成手段により生成された前記蛍光インクのインクデータに基づいて、前記他のインクのインクデータを生成することを特徴とする請求項17に記載の記録装置。
【請求項19】
前記第2生成手段は、前記蛍光インクの付与量に応じて前記他のインクの付与量を低減させることを特徴とする請求項18に記載の記録装置。
【請求項20】
光沢度を制御するための制御情報を取得する取得手段、をさらに備え、
前記決定手段による決定は、前記取得手段により前記制御情報を取得した場合に行われることを特徴とする請求項9又は10に記載の記録装置。
【請求項21】
前記制御情報は、光沢度を低下させる領域を示す情報と、光沢度を低下させる度合いを示す情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項20に記載の記録装置。
【請求項22】
記録媒体の搬送方向にノズル列が設けられた記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する走査方向に往復移動させ、前記記録手段のノズルから記録媒体上にインク滴を付与することにより画像の記録を行うインクジェット記録装置において実行されるインクジェット記録方法であって、
前記記録手段は、蛍光インクに対応するノズル列と、前記蛍光インクと異なる他のインクに対応するノズル列を有し、
前記記録手段の複数の走査によって画像を記録するよう前記記録手段の移動と前記記録媒体の搬送を制御する記録制御工程と、
前記複数の走査それぞれにおける、前記蛍光インクと前記他のインクそれぞれのインク付与量の割合を決定する決定工程と、を有し、
前記記録制御工程では、前記決定工程において決定されたインク付与量の割合に基づいて、前記制御を行い、
前記決定工程では、前記記録媒体のインク層の表面における前記蛍光インクの色材量が、前記インク層の内部における前記蛍光インクの色材量よりも少なくなるように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定する、
ことを特徴とする記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録手段からインク滴を記録媒体上に付与して画像を記録する記録装置および記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリアインクを用いて光沢制御する記録装置が知られている。特許文献1では、UV硬化クリアインクを用いて、光沢のある記録媒体にマット状のオーバーコートを行い、マット感を付与している。例えば、ポスター印刷時に光沢紙にマット感を付与することで、文字などの強調に用いたり、色とは異なる絵柄を埋め込んだりして、ユーザの目に付きやすいポスターを印刷することができる。
【0003】
一方、蛍光色材を用いたインク(蛍光インク)がポスターなどの掲示物などの印刷に用いられることがある。例えば、蛍光インクの着弾順を制御することで、鮮やかに発色させることのできる記録装置が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-214133号公報
【文献】国際公開第2018/139272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれの引用文献においても、蛍光インクを用いて光沢度を制御することについては言及されていない。
【0006】
本発明は、蛍光インクを用いて光沢度を制御可能な記録装置および記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る記録装置は、記録媒体の搬送方向にノズル列が設けられた記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する走査方向に往復移動させ、前記記録手段のノズルから記録媒体上にインク滴を付与することにより画像の記録を行う記録装置であって、前記記録手段は、蛍光インクに対応するノズル列と、前記蛍光インクと異なる他のインクに対応するノズル列を有し、前記記録手段の複数の走査によって画像を記録するよう前記記録手段の移動と前記記録媒体の搬送を制御する記録制御手段と、前記複数の走査それぞれにおける、前記蛍光インクと前記他のインクそれぞれのインク付与量の割合を決定する決定手段と、を備え、前記記録制御手段は、前記決定手段により決定されたインク付与量の割合に基づいて、前記制御を行い、前記決定手段は、前記記録媒体のインク層の表面における前記蛍光インクの色材量が、前記インク層の内部における前記蛍光インクの色材量よりも少なくなるように、前記複数の走査それぞれにおける前記蛍光インクのインク付与量の割合を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蛍光インクを用いて光沢度を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷システムの構成を示すブロック図である。
図2】記録ヘッドを説明するための図である。
図3】ノズル列の配置を示す図である。
図4】蛍光ピンクインクを記録したときの励起の強度と発光の強度を示す図である。
図5】蛍光インクと減法混色インクの偏角反射特性を示す図である。
図6】インク堆積モデルでの画像形成過程を説明するための図である。
図7】インク浸透モデルでの画像形成過程を説明するための図である。
図8】鏡面光沢度の測定結果を示す図である。
図9】光沢度の制御処理を示すフローチャートである。
図10】ノズルの位置に対応する各走査を説明するための図である。
図11】各記録走査におけるインクの付与量の割合を示す図である。
図12】光沢度の制御処理を示すフローチャートである。
図13】光沢度の制御処理を示すフローチャートである。
図14】光沢度の制御処理を示すフローチャートである。
図15】光沢度低下情報を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1実施形態]
本明細書で使用する用語について、あらかじめ以下のように定義するものとする。この明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0012】
「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0013】
「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。ここでインクの処理とは、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化を指している。
【0014】
「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0015】
記録媒体に記録を行うために、記録ヘッドが記録媒体上を走査し、記録を行う。ここでは記録のため、または、記録に関連したヘッドの加減速中のヘッド移動のことを「走査」と記載する。
【0016】
「色再現域」は、色再現範囲、色域、ガマットとも言う。一般的には、任意の色空間における再現可能な色の範囲のことを指す。また、この色再現域の広さを表す指標として、色域体積がある。色域体積は、任意の色空間での3次元の体積のことである。色再現域を構成する色度点が離散的であることがある。例えば、特定の色再現域をCIE-L*a*b*上の729点をもって代表させ、その間の点については四面体補間や、立方体補間などの公知の補間演算を用いて求めることがある。このような場合には、対応する色域体積として、補間演算方法に対応して、色再現域を構成する四面体や、立方体などのCIE-L*a*b*上の体積を求めて累積したものを使用することができる。
【0017】
本明細書における色再現域や色域も特定の色空間に限られるものではないが、本明細書では、CIE-L*a*b*空間での色再現域を例として説明している。同様に、本明細書中での色再現域の数値は四面体補間を前提としてCIE-L*a*b*空間で累積計算した場合の体積を示している。
【0018】
<記録システム全体>
図1は、本実施形態における印刷システムの構成を示すブロック図である。PC101として、ホストPCやタブレットPCが用いられる。CPU102は、HDD104に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM103に読み出して実行することにより各種処理を実行する。例えば、CPU102は、HID(Human Interface Device)I/F106やタッチパネル(不図示)を介してユーザより受信したコマンドや、HDD104に記憶されているプログラムに従って、記録装置108が記録可能な記録データを生成して記録装置108に転送する。また、CPU102は、データ転送I/F107を介して記録装置108から受信した記録データに対し、HDD104に記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、その結果や様々な情報をディスプレイI/F105を介して不図示のディスプレイに表示する。
【0019】
記録装置108では、CPU111は、ROM113に記憶されているプログラムをワークエリアとしてのRAM112に読み出して実行することにより記録装置108を統括的に制御する。画像処理アクセラレータ109は、CPU111よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ109は、CPU111が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM112の所定のアドレスに書き込むことにより起動される。画像処理アクセラレータ109は、上記のパラメータとデータを読み込んだ後、そのデータに対し画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ109は必須な要素ではなく、同等の処理をCPU111で実行するようにしても良い。上記のパラメータはROM113に記憶されても良いし、フラッシュメモリやHDDなどのストレージ(不図示)に記憶されても良い。
【0020】
ここで、CPU111または画像処理アクセラレータ109が行う画像処理について説明する。画像処理は、例えば、受信した記録データに基づいて、記録ヘッド115による各走査でのインクのドット形成位置を示すデータを生成する処理である。CPU111または画像処理アクセラレータ109は、受信した記録データの色変換処理と量子化処理を行う。
【0021】
色変換処理は、記録装置108で扱うインク濃度に色分解する処理である。例えば、受信した記録データには、画像を示す画像データと蛍光印刷を行うための蛍光データが含まれる。画像データがモニタの表現色であるsRGB等の色空間座標で画像を示すデータである場合、そのsRGBの色座標(R、G、B)で画像を示すデータは、記録装置108で扱う減法混色インクデータ(CMYK)または、蛍光インク色を含んだインクデータ(CMYKF)に変換される。蛍光データは、蛍光インクデータに変換される。さらに、sRGBの色座標(R、G、B)で画像を示すデータと蛍光データの両方がある場合、減法混色インクデータ(CMYK)と蛍光インクデータの両方に変換される。または、蛍光インク色を含むインクデータ(CMYKF)と蛍光インクデータの両方に変換される。その場合、蛍光インクデータは2プレーン生成されることになる。色変換方法は、マトリクス演算処理や三次元LUT(ルックアップテーブル)、四次元LUTを用いた処理等によって実現される。
【0022】
本実施形態の記録装置108は、一例として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、蛍光(F)のインクを用いる。そのため、RGB信号の画像データと蛍光データは、K、C、M、Y、Fの各8ビットの色信号からなる画像データに変換される。各色の色信号は各インクの付与量に対応する。また、インク色の数としてはK、C、M、Y、Fの5色を例に挙げたが、画質向上の為に、濃度の薄いライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなど、他のインク色が用いられても良い。その場合、それらに応じたインク信号が生成される。本実施形態では、ライトシアン(Lc)やライトマゼンタ(Lm)やグレー(Gy)のインクなども減法混色インクとして説明する。さらに黒(K)やグレー(Gy)などの無彩色インクも減法混色インクとして説明する。
【0023】
色変換処理の後、インクデータに対して量子化処理を行う。量子化処理は、インクデータの階調のレベル数を下げる処理である。本実施形態では、各画素についてインクデータの値と比較するための閾値を配列したディザマトリックスを用いて量子化を行う。量子化処理を経て、最終的には、各ドット形成位置にドットを形成するかしないかを示す二値データが生成される。
【0024】
画像処理が行われた後、記録ヘッドコントローラ114によって、記録ヘッド115へ二値データが転送される。同時に、CPU111は、記録ヘッドコントローラ114を介して、記録ヘッド115を動作させるキャリッジモータを動作させ、さらに、記録媒体(用紙)を搬送する搬送モータを動作させるよう記録制御を行う。記録ヘッド115は記録媒体上を走査し、同時に、記録ヘッド115によってインク滴が記録媒体上に付与されることにより、画像が形成される。
【0025】
複数走査による記録を行う場合、所定の画像処理が行われた後、走査順決定処理が行われる。走査順決定処理とは、各回の走査に対応したデータを生成するため、量子化処理後のデータに対してマスクパターン等を用いて、画像を間引く処理である。その際、画像処理アクセラレータ109を用いて、処理を高速化するようにしても良い。
【0026】
PC101と記録装置108との間は、通信回線100を介して接続されている。本実施形態では、通信回線100の一例としてローカル・エリア・ネットワークを説明するが、USBハブ、無線のアクセスポイントを用いた無線通信ネットワーク、Wifiダイレクト通信機能を用いた接続等であっても良い。
【0027】
以下、記録ヘッド115が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ-(Y)、ブラック(K)の4色のカラ-インクと蛍光ピンク(FP)の蛍光インクとの計5つの記録ノズル列を有するものとして説明する。蛍光インクは、蛍光ピンクの他に蛍光レッド(FR)、蛍光イエロー(FY)、蛍光グリーン(FG)、蛍光ブルー(FB)であっても良い。
【0028】
<記録装置の記録ヘッドについて>
図2は、本実施形態における記録ヘッド115を説明するための図である。本実施形態では、1ノズル列分の単位領域に対して、N回の複数回走査で画像が記録される。記録ヘッド115は、キャリッジ116と、ノズル列115k、115c、115m、115y、115FPと、光学センサ118とを有する。5つのノズル列115k、115c、115m、115y、115FPと光学センサ118とを搭載したキャリッジ116は、ベルト117を介して伝達されるキャリッジモータの駆動力によって、図中X方向(主走査方向)に沿って往復移動可能である。キャリッジ116が、記録媒体に対し相対的にX方向に移動するとともに、ノズル列の各ノズルからインク滴が記録デ-タに基づいて重力方向(図中-z方向)に吐出される。これにより、プラテン119上に載置された記録媒体に主走査1/N回分の画像が記録される。1回分の主走査が完了すると、記録媒体は主走査1/N回分の幅に対応する距離だけ、主走査方向と交差する搬送方向に沿って(図中-y方向)搬送される。これらの動作により、N回の複数走査で1ノズル列分の幅の画像が記録される。このような主走査と搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に徐々に画像が形成される。
【0029】
図10は、ノズルの位置に対応する各走査を説明するための図である。記録媒体の搬送方向(Y方向)の上流から1走査目の領域、2走査目の領域と続き、最後に8走査目の領域の走査が行われる。X方向の記録解像度は、吐出周波数と、キャリッジの移動速度により定まる。Y方向の記録解像度は、記録ヘッド115のノズル解像度により定まる。本実施形態では、例えば、いずれの記録解像度も600[dpi]としている。従って、吐出されたインクドットは、縦横600[dpi]の解像度で記録される。光学センサ118は、キャリッジ116とともに移動しながら検出動作を行うことにより、プラテン119上に記録媒体が存在するかを判定する。
【0030】
<記録ヘッドの説明>
図3は、記録ヘッド115を記録装置108上面(-z方向)から見た場合のノズル列の配置を示す図である。記録ヘッド115には、5つのノズル列がX方向における位置が異なるように配置されている。即ち、Cインクに対応するノズル列115C、Mインクに対応するノズル列115M、Yインクに対応するノズル列115Y、Kインクに対応するノズル列115K、FPインクに対応するノズル列115FPが配置されている。ノズル列115CのノズルからCインクのインク滴が吐出される。ノズル列115MのノズルからMインクのインク滴が吐出される。ノズル列115YのノズルからYインクのインク滴が吐出される。ノズル列115KのノズルからKインクのインク滴が吐出される。ノズル列115FPからFPインクのインク滴が吐出される。各ノズル列においては、インク滴を吐出するための複数のノズルがY方向に沿って所定のピッチで配列されている。
【0031】
<蛍光インクの特性と減法混色インクについて>
蛍光色材は、基底状態から励起波長の光を吸収して励起状態となり、発光波長の光を発光して基底状態に戻ることで発色する色材である。図4は、記録媒体上に蛍光ピンクインクを記録したときの励起波長401の強度と発光波長402の強度をグラフにしたものである。図4の横軸は光の波長を示し、縦軸は強度を示している。図4のグラフは、記録サンプルに当てる光の波長とサンプルから受光される光の波長とを、それぞれ変化させて検知したときの各光の強度を示している。
【0032】
発光波長402は、励起する波長の光を記録サンプルに照射したときの、記録サンプルから受光された光の強度を波長ごとに表している。図4は、480nmの光を記録サンプルに照射したときを示している。励起波長401は、受光する光の波長を固定して、記録サンプルに照射する光の波長を変化させたときの受光した光の強度を表している。図4は、受光する光の波長を600nmに固定したときを示している。図4から示されるように、記録媒体上に記録された蛍光インクの励起する波長域は、発光する波長域と被り且つ短波長側となる。また、励起波長401は、波長毎に強弱があり、効率的に発光する波長とそうでない波長がある。また、蛍光色材は発光するため、発光波長における反射率は1を超えることが多い。本実施形態では、上記のような特性を有する色材のことを蛍光色材と呼ぶ。
【0033】
上記では、蛍光ピンクインクの励起と発光について説明したが、本実施形態では、他の波長を発光する蛍光インクが用いられても良い。例えば、青領域(450nmから500nm)の光を発光する蛍光ブルーインクが用いられても良いし、緑領域(500nmから565nm)の光を発光する蛍光グリーンインクが用いられても良い。さらに、黄色領域(565nmから590nm)の光を発光する蛍光イエローインクが用いられても良いし、赤領域(590nmから780nm)の光を発光する蛍光オレンジインクや蛍光レッドインクが用いられても良い。さらに、上述が組み合わせられた蛍光インクが用いられても良い。例えば、黄色領域と赤領域を組み合わせた領域の光を発光する蛍光イエローインクなどが用いられても良い。さらに、励起する波長の強度が異なる蛍光インクを組み合わせて、色調を調整しても良い。例えば、青領域の励起が弱く緑領域の励起が強い、オレンジ領域の光を発光する蛍光ピンクが用いられても良い。
【0034】
本実施形態では、非蛍光のインクを減法混色インクと呼ぶ。即ち、当てられた光のうち、特定波長の光を吸収し発光しないインクを減法混色インクと呼ぶ。例えば、減法混色インクは、図4におけるシアンインク403、マゼンタインク404、イエローインク405に示すような分光反射率となる。なお、図4のグラフは、分光反射率を測定する方法を用いて測定された結果を示している。減法混色インクは、蛍光インクと異なり、光を吸収するだけなので反射率が1を超えることはない。
【0035】
次に、蛍光インクと減法混色インクを記録媒体上で混色させることを図4を用いて説明する。蛍光ピンクインクとイエローインク405を混色させた場合、イエローインクは蛍光ピンクインクの励起波長401の波長域の光を吸収する。そのため、蛍光ピンクインクは、励起する光がイエローインクに吸収されるため、十分に励起することができず、発光が抑制されてしまう。
【0036】
蛍光ピンクインクとシアンインク403を混色させた場合、シアンインクは蛍光ピンクインクの発光波長402の波長域の光を吸収する。そのため、蛍光ピンクインクが発光した光がシアンインクに吸収され、発光が抑制されてしまう。
【0037】
蛍光ピンクインクとマゼンタインク404を混色させた場合、マゼンタインクは蛍光ピンクインクの励起感度が高い波長域の光を吸収する。そのため、蛍光ピンクインクは、十分に励起することができず、発光が抑制されてしまう。また、蛍光ピンクインクが発光した光がマゼンタインクに吸収され、発光が抑制されてしまう。
【0038】
蛍光ピンクインクと黒インク(不図示)を混色させた場合、黒インクは蛍光ピンクインクの励起波長401の波長域の光を吸収し、また、発光波長402の波長域の光を吸収する。そのため、蛍光ピンクインクは、十分に励起することができず、且つ、発光も抑制されてしまう。
【0039】
つまり、蛍光ピンクインクと減法混色インクを混色した場合、蛍光ピンクインクの発色への寄与率は低下してしまう。この特性は、蛍光インクと減法混色インクの記録媒体上での位置関係にも大きく影響を受ける。蛍光インクによるインク層が減法混色インクによるインク層より上層にある場合に比べ、下層にある方が減法混色インクの影響を強く受ける。その結果、蛍光ピンクインクの発色への寄与率も、蛍光インクが減法混色インクより上層にある場合に比べ、下層にある方が小さくなる。
【0040】
蛍光インクと減法混色インクの偏角反射特性について、図5を用いて説明する。図5は、実線が蛍光インク、破線が減法混色インクを示しており、各インクの偏角反射特性についての双方向反射率分布関数を模式的に表している。偏角反射特性の測定方法としては、例えば、記録媒体上に記録したサンプルに対して、垂直の光を照射し、受光した反射光を、角度を変えて検出する方法が用いられる。図5に示されるように、蛍光インクの偏角反射特性は、減法混色インクの偏角反射特性と比べ、等方的に光が散乱していることが分かる。これは、蛍光インクが光を吸収し励起して発光することで、入射してきた光の方向性がなくなり、蛍光インクの発光の方向性に強く依存するからである。このように、蛍光インクは、減法混色インクと比べ、光の散乱が強い傾向がある。
【0041】
<蛍光インクについて>
次に、本実施形態で使用される蛍光インクについて説明する。本実施形態では、蛍光特性をもつ色材の分散体と溶剤と活性材を混ぜることで作成された蛍光インクを使用する。本実施形態に用いられる蛍光色材の分散体は、上述した蛍光特性をもつ色材の分散体である。例えば、NKW-3207E(蛍光ピンク水分散体:日本蛍光化学)やNKW-3205E(蛍光イエロー水分散体:日本蛍光化学)であるが、蛍光特性を持っている色材の分散体であればよい。
【0042】
上記の蛍光色材分散体に既知の溶剤と活性剤を組み合わせて蛍光色材分散体を分散することでインク化する。蛍光色材分散体の分散方式は特に限定されない。例えば、界面活性剤により分散させた蛍光色材分散体、分散樹脂により分散させた樹脂分散蛍光色材分散体、などを用いることができる。勿論、分散方式の異なる蛍光色材分散体を組み合わせて使用することも可能である。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両イオン性活性剤を用いることができる。分散樹脂は、水溶性もしくは水分散性を有する樹脂であれば何れのものも用いることができるが、中でも特に、分散樹脂の重量平均分子量が1,000以上100,000以下、更には3,000以上50,000以下のものが好ましい。溶剤は、例えば水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。
【0043】
本実施形態では、例えば、インクとして、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、蛍光ピンク(FP)の5色の顔料インクを用いる。
【0044】
<記録媒体>
本実施形態における記録媒体は、基材と、少なくとも1層のインク受容層とを有している。本実施形態では、例えば、インクジェット記録方式による記録用の記録媒体が用いられる。本実施形態では、例えば、記録媒体として光沢紙を用い、色材として顔料インクを用いる。
【0045】
<記録媒体上の画像形成過程:インク堆積モデル>
図6を参照しながら、記録媒体上の画像形成過程について説明する。図6は、記録媒体上に着弾したインクが記録媒体上に堆積するインク堆積モデルでの画像形成過程を説明するための図である。これは、例えば、顔料インク中で発色に寄与する色材粒子の粒径よりも、記録媒体表面に存在する空隙の方が小さい光沢紙に記録する場合の画像形成過程にあたる。インク堆積モデルは、インク中で発色に寄与する色材粒子の粒径が、記録媒体表面の空隙よりも大きく、色材粒子は記録媒体表面より上に堆積してインク層を形成し、画像形成するという画像形成過程のモデルである。
【0046】
画像形成は、図6(a)~図6(d)に示すように行われる。
【0047】
図6(a)に示すように、顔料インクG1が記録媒体P上に付与される。そして、図6(b)に示すように、顔料インクG1は記録媒体P上に着弾し、堆積する。更に、後続の顔料インクG2が付与される。そして、図6(c)に示すように、既に堆積している顔料インクG1の上に、顔料インクG2が着弾する。そして、図6(d)に示すように、既に堆積している顔料インクG1の上に、顔料インクG2が堆積し、層をなす。このように、インク堆積モデルでは、後続ドットが記録媒体上層に残る画像形成が行われる。例えば、記録媒体として光沢紙、色材として顔料インクを用いる場合には、インク堆積モデルによる画像形成が行われる。
【0048】
<記録媒体上の画像形成過程:インク浸透モデル>
図7を参照しながら、記録媒体上の画像形成過程について説明する。図7は、記録媒体上に着弾したインクが記録媒体内に浸透するインク浸透モデルでの画像形成過程を説明するための図である。これは、例えば、顔料インクを色材粒子よりも空隙の大きい普通紙に記録する場合や、染料インクを色材粒子よりも空隙の小さい普通紙や光沢紙に記録する場合の画像形成過程にあたる。インク浸透モデルは、インク中の発色に寄与する色材粒径が、記録媒体表面の隙間より小さいため、色材が記録媒体表面よりも下の記録媒体内部にまで浸透して、記録媒体表面よりも下にインク層を形成するという画像形成過程のモデルである。
【0049】
画像形成は、図7(a)~図7(d)に示すように行われる。
【0050】
図7(a)に示すように、染料インクS1が記録媒体P上に付与される。そして、図7(b)に示すように、染料インクS1は記録媒体P上に着弾し、記録媒体内部に浸透する。更に、後続の染料インクS2が付与される。そして、図7(c)に示すように、既に浸透して記録媒体表層の空隙を占拠している染料インクS1の上に、染料インクS2が着弾する。そして、図7(d)に示すように、先着した染料インクS1が記録媒体表層の空隙を占拠しているため、それを迂回して染料インクS2が浸透し、記録媒体のより下層に浸透する。結果として、記録媒体上層が染料インクS1であり、記録媒体下層が染料インクS2である層をなす。このように、インク浸透モデルでは、着弾順と画像形成層順の関係が、インク堆積モデルとは逆となり、後続ドットが記録媒体下層に残る画像形成が行われる。
【0051】
<蛍光インクによる光沢度低下>
上述したように、蛍光インクは、励起波長の光を吸収し、発光波長の光を発光するため、記録媒体の面上から受光される光は等方的な光となる。そのため、蛍光インクを記録した領域は、光を強く散乱する。その結果、蛍光インクを記録した領域では、光沢度が下がる。記録媒体としては、光沢を持つ光沢紙が用いられても良い。光沢度の測定方法として公知の手法が用いられて良く、例えば、入射光角度が20度、60度、80度での正反射光の強度や、正反射光の強度と拡散光の強度の関係から算出されても良い。本実施形態では、入射光角度20度における鏡面光沢度を用いる。鏡面光沢度が高ければ光沢度が高く、鏡面光沢度が低ければ光沢度が低い。なお、入射光角度20度の鏡面光沢度は、屈折率n=1.567であるガラス表面において、基準面の反射率が約0.05となるときが100%である。
【0052】
図8は、記録媒体としてのインクジェット光沢紙(以下、単に光沢紙という)に蛍光ピンクインクとマゼンタインクの各インクの付与量を変えて記録したときの、鏡面光沢度(20度)の測定結果の一例を示す図である。縦軸は、鏡面光沢度(20度)を示し、横軸は付与量を示している。横軸では、左端が付与量ゼロを表しており、右に行くほど付与量が等量で増えていく。つまり、光沢紙の鏡面光沢度は、点801となる。図8におけるマゼンタインクは、光沢紙より光沢度が高いインクである。そのため、マゼンタインクの付与量を増やして記録していくと光沢度が増加していく。そして、紙面上のインク被覆率が100%を超えると、光沢度がほぼ横ばいとなる。一方、蛍光ピンクは、付与量を増やしていくと光沢度は低下していく。そして、紙面上のインク被覆率が100%を超えると、光沢度がほぼ横ばいになる。
【0053】
このように、蛍光インクによって光沢度は低下する。つまり、図8の点線のグラフのように、マゼンタインクと蛍光ピンクインクを混ぜて記録するとことにより、光沢度を低下させることができる。図8に示されるように、光沢度の低下は、蛍光インクの付与量に対する相関性が高いため、蛍光インクの付与量を制御することによって、光沢度の低下を制御することが可能となる。ここで、光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量は、鏡面光沢度が記録媒体もしくは減法混色インクのいずれかよりも光沢度が低下するような蛍光インクの付与量である。また、図8では、光沢紙より光沢度の高いインクが用いられた場合を示しているが、光沢度の低いインクが用いられても良い。その場合であっても、鏡面光沢度が記録媒体もしくは減法混色インクのいずれかよりも光沢度が低下するような蛍光インクの付与量が光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量とされる。例えば、光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量として、鏡面光沢度が20%未満となるような蛍光インクの付与量が決定される。このように、蛍光インクを用いて光沢度の低下を制御することが可能となる。
【0054】
図9は、本実施形態における光沢度の制御処理を示すフローチャートである。本実施形態では、図9の処理により、搭載している蛍光インクによって決定される色域において、蛍光インクによって光沢度が低下するように記録を制御することができる。図9の処理は、例えば、CPU111がROM113に記憶されているプログラムをRAM112に読み出して実行することにより実現される。また、図9の処理は、画像処理アクセラレータ109により実行されても良い。
【0055】
S101において、CPU111は、PC101から送信された記録データを受信する。記録データには、RGBデータもしくはCMYKデータが含まれている。S102において、CPU111は、S101で受信した記録データから減法混色インクデータを生成する。
【0056】
S103において、CPU111は、受信した記録データから画素ごとに、所定の色域であるか否かを判定する。所定の色域については後述する。S103で所定の色域でないと判定された場合、S105に進む一方、S103で所定の色域であると判定された場合、S104において、CPU111は、S101で受信した記録データから蛍光インクデータを生成する。その際、上述の光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量、例えば鏡面光沢度が20%未満となるような蛍光インクの付与量に応じた蛍光インクデータが生成される。S104の後、S105に進む。S102~S104は、上述の色変換処理に対応し、画素ごとに繰り返される。
【0057】
S105において、CPU111は、記録媒体上のドット被覆率に応じた出力ガンマ(OutPutGamma)補正を行う。S106において、CPU111は、上述の量子化処理を行い、S107において、記録走査毎の記録媒体に対するインク色材の付与量(以下、単に「付与量」もしくは「インクの付与量」という)を決定する処理を行う。記録走査毎の付与量を決定する処理については後述する。S108において、CPU111は、S107で決定された記録走査毎の付与量に基づいて、記録ヘッド115を制御して記録を行う。
【0058】
以上の処理により、蛍光インクによって光沢度を低下させることができる。ここで、蛍光インクの発光波長に対して補色の色域に蛍光インクを追加してしまうと、記録装置108で記録可能な色域が減少してしまう。そのため、本実施形態では、蛍光インクの発光波長に基づいた所定の色域において、S104での蛍光インクデータの生成が行われる。
【0059】
S103の所定の色域について説明する。所定の色域は、搭載している蛍光インクの発光波長に依存して定められる。例えば、記録装置108が青領域(450nmから500nm)の光を発光する蛍光ブルーインクを搭載している場合、L*A*B色空間における色相角180度から360度の色域が所定の色域として定められる。
【0060】
また、記録装置108が緑領域(500nmから565nm)の光を発光する蛍光グリーンインクを搭載している場合、L*A*B色空間における色相角90度から270度の色域が所定の色域として定められる。
【0061】
また、記録装置108が黄色領域(565nmから590nm)の光を発光する蛍光イエローインクを搭載している場合、L*A*B色空間における色相角0度から180度の色域が所定の色域として定められる。
【0062】
また、記録装置108が赤領域(590nmから780nm)の光を発光する蛍光オレンジインクまたは蛍光レッドインクを搭載している場合、L*A*B色空間における色相角-90度から90度の色域が所定の色域として定められる。
【0063】
本実施形態では、搭載している蛍光インクは一つでも良いし、全色相角に対応するよう複数の蛍光インクが登載されても良い。本実施形態では、所定の色域を定めることにより、光沢度低下のための蛍光インクを追加したことによる色域の減少を防ぐことができる。
【0064】
S107の記録走査毎の付与量の割合を決定する処理を、図11を参照しながら説明する。図11は、蛍光インクと減法混色インクそれぞれの各記録走査における付与量の割合を示す図である。付与量の割合とは、S102及びS104で生成されたインクデータの表す付与量に対する、各走査での付与量の割合を表す。各走査の付与量の割合を合計すると1となるが、付与量を増加させるためであれば1を超えるようにしても良い。本実施形態では、例えば8回の走査で画像を記録する。以下、インク浸透モデルの記録媒体を一例として説明する。インク浸透モデルの記録媒体では、先に着弾したインク滴の色材は、記録媒体の上層に定着する。そして、後に着弾したインク滴の色材は、先に着弾したインク滴の色材の下層に定着する。
【0065】
図11(A)~図11(D)は、記録ヘッド115の記録ノズルの全域(フルノズル)を用いて画像を形成する場合の付与量の割合を示している。図11(A)~図11(D)に示すように、減法混色インクはいずれの走査時でも一定の割合で付与するように決定される。
【0066】
図11(A)に示すように、蛍光インクの付与量の割合は、最初に近い走査の付与量の割合がそれより以降の走査と比べて低く決定される。さらに、最初に近い走査において、減法混色インクと比べ、蛍光インクの付与量の割合が低く決定される。例えば、蛍光インクの付与量の割合は、1走査目と2走査目では、減法混色インクより低く決定される。言い換えれば、1走査目と2走査目では、記録媒体に存在する蛍光インクの色材量が、減法混色インクより低くなるよう決定される。そのような構成により、蛍光インクを追加したことによる色変化を抑制しつつ、蛍光インクの等方的な発光効果により、光沢度を低下させることができる。また、蛍光インクの付与量の割合は、3走査目以降は、減法混色インクより高くなるような付与量の割合とされる。つまり、記録媒体におけるインク層の表面における蛍光色材量の割合を、インク層の内部より低減させる。言い換えれば、インク層の内部に向かうにつれ、減法混色インクの色材量の割合は一定である一方、蛍光色材量の割合を増加させていく。その結果、減法混色インクよりも下層にある蛍光色材量が多くなり、減法混色インクの吸光により、蛍光インクの励起の阻害または発光の吸収が起こりやすくなる。それにより、記録ノズルをフルノズルで用いる構成において、蛍光インクの等方的な発光効果により光沢度を低下させるとともに、記録媒体の内部における蛍光インクの発色への寄与率を小さくすることができる。
【0067】
また、図11(B)に示すように、最終走査目まで、蛍光インクの付与量の割合が減法混色インクの付与量の割合を超えないように決定しても良い。また、例えば3走査目以降について、蛍光インクの付与量の割合を、図11(A)と図11(B)の間で、光沢度の所望の低下量に応じて変更可能に決定しても良い。そのような構成により、蛍光インクの等方的な発光効果による光沢度の低下を柔軟に制御することができる。
【0068】
また、図11(C)に示すように、蛍光インクの付与量の割合が決定されても良い。即ち、蛍光インクの付与量の割合は、最初に近い走査では減法混色インクより低く、それ以降徐々に付与量の割合が増加していき、減法混色インクの付与量の割合を超え、最終走査目に近づくにつれ、付与量の割合が減少していくように決定される。その際、最終走査目では、最初の走査の付与量の割合を下回らないよう決定される。例えば、蛍光インクの付与量の割合は、1走査目と2走査目では減法混色インクより低く、徐々に増加していく。3走査目から6走査目までは減法混色インクより多くなり、4走査目がピークとなってそれ以降は減少していく。7走査目と8走査目では、徐々に減少していき、減法混色インクより低くなる。つまり、記録媒体におけるインク層の最上層と最下層の蛍光色材量の割合を、インク層の内部より低減させる。それにより、記録ノズルをフルノズルで用いる構成において、蛍光インクの等方的な発光効果により光沢度を低下させるとともに、記録媒体の内部における蛍光インクの発色への寄与率をより効果的に小さくすることができる。
【0069】
また、図11(D)に示すように、最終走査目まで、蛍光インクの付与量の割合が減法混色インクの付与量の割合を超えないように決定しても良い。また、例えば3走査目から6走査目までについて、蛍光インクの付与量の割合を、図11(C)と図11(D)の間で、光沢度の所望の低下量に応じて変更可能に決定しても良い。そのような構成により、蛍光インクの等方的な発光効果による光沢度の低下を柔軟に制御することができる。
【0070】
図11(A)~図11(D)では、減法混色インクの付与量の割合は一定と決定されているが、上記の蛍光インクとの付与量の割合の関係を維持するのであれば、一定でなくても良い。例えば、最初の走査から徐々に減法混色インクの付与量の割合が増加していき、途中の走査から最終走査目にかけて徐々に減少していくように決定しても良い。
【0071】
また、図11(F)に示すように、減法混色インクの付与量の割合は最終に近い走査でゼロとなり、蛍光インクの付与量の割合は最初に近い走査でゼロとなるように決定しても良い。例えば、減法混色インクの付与量の割合は、7走査目と8走査目でゼロになり、蛍光インクの付与量の割合は、1走査目と2走査目でゼロになるように決定しても良い。また、図11(G)に示すように、減法混色インクの付与量の割合と蛍光インクの付与量の割合を切替えるよう決定しても良い。なお、図11(F)及び図11(G)では、蛍光インクの付与量の割合は、減法混色インクの付与量の割合を超えないように決定しても良いし、蛍光インクの付与量の割合が減法混色インクの付与量の割合より多くなるように決定しても良いし、その間で変更可能に決定しても良い。そのような構成により、記録ヘッド115のノズル列の一部が制限されるものの、記録媒体のインク層の上層における蛍光色材の割合をより下げることができる。その結果、蛍光インクを追加したことによる色変化をより抑制することができる。図11(A)~図11(G)に示されるインク付与量の割合を決定するためのデータ(例えばマスクデータ等)は、記録装置108のROM113等に記憶されていても良いし、PC101のHDD104等から取得するようにしても良い。
【0072】
本実施形態では、インクが浸透するタイプの記録媒体で説明したが、インク堆積モデルの記録媒体が用いられても良い。その場合、先に着弾したインク滴の色材は、後に着弾したインク滴の色材よりも下層に定着する。そのため、上記の付与量の割合の制御とは逆の制御が行われる。インク堆積モデルの場合の蛍光インクの付与量の割合の制御の一例を以下に説明する。
【0073】
蛍光インクの付与量の割合は、最後に近い走査の付与量の割合がそれより以前の走査と比べて低く決定される。さらに、最後に近い走査において、減法混色インクと比べ、蛍光インクの付与量の割合が低く決定される。例えば、蛍光インクの付与量の割合は、7走査目と8走査目では、減法混色インクより低く決定される。そのような構成により、蛍光インクを追加したことによる色変化を抑制しつつ、蛍光インクの等方的な発光効果により、光沢度を低下させることができる。また、蛍光インクの付与量の割合は、6走査目までは、減法混色インクより高くなるような付与量の割合とされる。つまり、図11(A)の蛍光インクの付与量の割合の変化を左右に反転させたような変化となる。その場合であっても、インク浸透モデルの記録媒体の場合と同様に、蛍光色材の割合がインク層上層よりそれ以下の層において高くなるように付与量の割合が制御されることになり、同様の効果を得ることができる。また、図11(B)~図11(G)の蛍光インクの付与量の割合の変化のグラフを左右に反転させた変化を、インク堆積モデルの記録媒体に適用すれば、図11(B)~図11(G)それぞれの効果と同様の効果を得ることができる。
【0074】
以上のように、本実施形態では、蛍光インクを付加することにより、蛍光インクによる光沢度の低下を実現することができる。さらに、記録媒体のインク層の最上層において、蛍光色材量の割合を減法混色インクの色材量の割合より下げることにより、蛍光インクを追加したことによる色変化を抑制することができる。また、蛍光色材の割合が記録媒体の内部に向かうにつれ増加していくように、各走査の蛍光インクの付与量の割合を決定する。そのような構成により、蛍光インクに対応するノズル列をフルノズルで用いる構成においても、上記の効果を得ることが可能となる。光沢制御のためにクリアインクをオーバーコートする場合には、ノズル列の一部が制限されてしまい、印刷速度の高速化とマット感の付与の両立が困難となる。しかしながら、本実施形態によれば、蛍光インクに対応するノズル列をフルノズルで用いる構成においても、上記の効果を得ることが可能となるため、印刷速度の高速化と、蛍光インクを用いたマット感の付与とを両立させることができる。
【0075】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。第1実施形態では、所定色域であると判定された場合に、蛍光インクデータを追加して生成する制御を説明した。本実施形態では、所定色域の判定処理の後、減法混色インクデータのみ生成する処理と、減法混色インクデータおよび蛍光インクデータの両方を生成する処理とを切り換える。
【0076】
図12は、本実施形態における光沢度の制御処理を示すフローチャートである。図12の処理は、例えば、CPU111がROM113に記憶されているプログラムをRAM112に読み出して実行することにより実現される。また、図12の処理は、画像処理アクセラレータ109により実行されても良い。
【0077】
S201において、CPU111は、PC101から送信された記録データを受信する。記録データには、RGBデータもしくはCMYKデータが含まれている。S202において、CPU111は、受信した記録データから画素ごとに、所定の色域であるか否かを判定する。S202で所定の色域でないと判定された場合、S203において、CPU111は、S201で受信した記録データから減法混色インクデータを生成する。その後、S205に進む。一方、S202で所定の色域であると判定された場合、S204において、CPU111は、S201で受信した記録データから、減法混色インクデータと蛍光インクデータを生成する。ここで、生成される蛍光インクデータは、図9のS104と同様に、光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量に対応する。S202~S204は、上述画素ごとに繰り返される。
【0078】
S205~S208は、図9のS105~S108における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0079】
上記のように、本実施形態では、S203とS204との間でインクデータの生成処理を切り換える。そのような構成により、同じRGB値もしくはCMYK値に対応する色に基づいてインクデータを生成する処理を各々独立に行うことができる。図9の処理の場合、S103で所定の色域であると判定された場合と所定の色域でないと判定された場合との間で、S102で生成された減法混色インクデータは共通となる。一方、本実施形態の場合、S202で所定の色域であると判定された場合と所定の色域でないと判定された場合それぞれについて、その判定処理後に、減法混色インクデータが生成される。その結果、例えば、S204で生成される減法混色インクデータが表すインクの付与量をS203で生成される減法混色インクデータが表すインクの付与量と異ならせるようにして、S203の結果により表現される色味とS204の結果により表現される色味とを一致させることが可能となる。
【0080】
[第3実施形態]
以下、第1及び第2実施形態と異なる点について第3実施形態を説明する。本実施形態では、所定の色域であるか否かの判定処理の前に減法混色インクデータを生成する点については第1実施形態と同様である。本実施形態においては、所定の色域であると判定された場合、蛍光インクデータを生成した後、減法混色インクの付与量を減算する制御を行う。図13は、本実施形態における光沢度の制御処理を示すフローチャートである。図13の処理は、例えば、CPU111がROM113に記憶されているプログラムをRAM112に読み出して実行することにより実現される。また、図13の処理は、画像処理アクセラレータ109により実行されても良い。
【0081】
S301において、CPU111は、PC101から送信された記録データを受信する。記録データには、RGBデータもしくはCMYKデータが含まれている。S302において、CPU111は、S1101で受信した記録データから、減法混色インクデータを生成する。
【0082】
S303において、CPU111は、受信した記録データから画素ごとに、所定の色域であるか否かを判定する。S303で所定の色域でないと判定された場合、S306に進む。一方、S303で所定の色域であると判定された場合、S304において、CPU111は、S301で受信した記録データから、蛍光インクデータを生成する。S305では、CPU111は、S304で生成された蛍光インクデータに基づいて、減法混色インクの付与量の減算処理を行う。その後、S306に進む。S302~S305は、画素ごとに繰り返される。S306~S309は、図9のS105~S108における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0083】
ここで、S305の減法混色インクの減算処理について説明する。S304では、光沢度を低下させるために蛍光インクが追加される。しかしながら、蛍光インクが追加されると、蛍光インクの励起波長域における光の吸収が行われ、減法混色インクの色が変化する。そのため、本実施形態では、蛍光インクの励起波長域の励起強度が高い波長域の光を吸収する減法混色インクの付与量を減少させる。それにより、蛍光インクの励起波長域における光の吸収の影響を低減させることができる。
【0084】
減法混色インクを減少させる量は、まず、蛍光インクの付与量毎に励起により吸収される光の強さを予め測定しておく。さらに、減少させる対象となる減法混色インクによる光の吸収の強さを測定しておく。測定方法は、例えば、公知の方法を用いて分光反射率を測定しても良い。測定結果から蛍光インクの励起波長における分光反射率と、同波長における減法混色インクの分光反射率とが同じになるような、減法混色インクの付与量を算出する。そして、S305では、S304で追加された蛍光インクデータの表す蛍光インクの付与量に基づいて、上述のように算出した減法混色インクの付与量を減算する。
【0085】
以上のように、本実施形態では、蛍光インクを追加した量に対して減法混色インクの付与量を減算することにより、蛍光インクを追加したことによる色変化を抑制しつつ、蛍光インクの等方的な発光効果による光沢度を低下を実現することができる。
【0086】
[第4実施形態]
以下、第1~第3実施形態と異なる点について第4実施形態を説明する。本実施形態では、外部から入力された光沢度制御情報に基づいて蛍光インクデータを生成する。図14は、本実施形態における光沢度の制御処理を示すフローチャートである。図14の処理は、例えば、CPU111がROM113に記憶されているプログラムをRAM112に読み出して実行することにより実現される。また、図14の処理は、画像処理アクセラレータ109により実行されても良い。
【0087】
S401において、CPU111は、PC101から送信された記録データを受信する。記録データには、RGBデータもしくはCMYKデータと、光沢度制御情報が含まれている。S402において、CPU111は、S401で受信した光沢度制御情報に基づいて、蛍光インクデータを生成するか否かを判定する。S402で蛍光インクデータを生成しないと判定された場合、S403において、CPU111は、S401で受信した記録データから減法混色インクデータを生成する。その後、S405に進む。一方、S402で蛍光インクデータを生成すると判定された場合、S404において、CPU111は、S401で受信した記録データから、減法混色インクデータ及び蛍光インクデータを生成する。ここで、生成される蛍光インクデータは、図9のS104と同様に、光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量に対応する。その後、S405に進む。S402~S404は、画素ごとに繰り返される。S405~S408は、図9のS105~S108における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0088】
本実施形態における光沢度制御情報は、例えば、上述の鏡面光沢度、拡散光を測定した乱反射強度、または蛍光インクの付与量を含む。ここでの蛍光インクの付与量とは、記録装置108の外部において、鏡面光沢度などを用いて取得された光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量を表している。
【0089】
ここで、S401で受信する光沢度制御情報について、図15を用いて説明する。図15(A)は、RGBデータもしくはCMYKデータを模式的に示す図である。図15(B)は、図15(A)の文字部分に光沢度制御情報を付加したデータを模式的に示している。図15(B)のデータは、例えば、図15(A)のRGBデータもしくはCMYKデータとは異なるプレーンとして入力される。光沢度制御情報には、光沢度を低下させる領域を示す情報と、光沢度を低下させる度合いを示す情報とが画素ごとに設定されている。
【0090】
本実施形態では、光沢度制御情報に基づいて、蛍光インクデータを生成する画素領域と、生成される蛍光インクの付与量とが決定される。光沢度を低下させる度合いは、第1実施形態で説明した光沢度を低下させるための蛍光インクの付与量に基づいて決定される。その結果、図15(C)に示すように、文字部分だけ光沢度が低下した画像を得ることができる。そのような構成により、ユーザが指定した領域および光沢度低下度合いに基づいて、蛍光インクデータを生成することができ、所望の領域の光沢度を低下させた画像を出力させることができる。
【0091】
また、上記では、記録装置108は、光沢度制御情報を異なるプレーンで入力するとして説明したが、プレーンではなく、印刷制御コマンドとしてPC101から送信されるようにしても良い。この場合、PC101は、光沢度を低下させる対象となるRGB値もしくはCMYK値を印刷制御コマンドとして送信する。そして、S402において、CPU111は、印刷制御コマンドで送信されたRGB値もしくはCMYK値を受信した場合、蛍光インクデータを生成するように制御を行う。そのような構成により、異なるプレーンとしてデータを転送しなくてもよいので、転送時間を低減することができる。
【0092】
以上のように、本実施形態では、ユーザが指定した領域かつ光沢度低下度合いに基づいて蛍光インクデータを生成する。その結果、ユーザの意図通りに光沢度を低下させた画像を出力させることができる。
【0093】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0094】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0095】
101 PC: 108 記録装置: 102、111 CPU: 109 画像処理アクセラレータ
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