(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】入場管理システム及び入場管理方法
(51)【国際特許分類】
G07C 9/27 20200101AFI20241101BHJP
G06Q 50/16 20240101ALI20241101BHJP
G07C 9/25 20200101ALI20241101BHJP
【FI】
G07C9/27
G06Q50/16
G07C9/25
(21)【出願番号】P 2021024159
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 圭一
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-204202(JP,A)
【文献】特開2004-054700(JP,A)
【文献】特開2012-062690(JP,A)
【文献】特開2010-203091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/27
G06Q 50/163
G07C 9/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の設備の工事又は保守を実施する業者の前記建物への入場を管理する入場管理システムであって、
予め認証された業者の作業者により前記建物内で実施される作業の属性を示す作業情報を取得する管理サーバと、
前記建物内での作業に必要なセキュリティ要件を前記作業毎にデータベースとして記憶する記憶装置とを備え、
前記管理サーバは、前記業者の作業者から前記作業情報を取得すると、その取得された作業情報で示される作業に対応するセキュリティ要件を前記データベースから抽出して前記作業者に付与する、入場管理システム。
【請求項2】
前記セキュリティ要件は、前記作業毎に、作業対象の設備が含まれる所定のセキュリティ区域に立ち入るためのセキュリティ機器を規定する、請求項1に記載の入場管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバからの指令に従って、前記作業者に付与されたセキュリティ要件により規定されるセキュリティ機器を前記作業者に発行するように構成された機器発行装置をさらに備える、請求項2に記載の入場管理システム。
【請求項4】
前記建物への入場時に前記作業者の情報を入力する端末装置をさらに備え、
前記作業情報は、前記建物内で作業を実施する作業者の情報を含み、
前記管理サーバは、前記端末装置から入力された作業者の情報が、前記業者の作業者から取得された作業情報に示される作業者の情報と一致する場合に、前記セキュリティ機器を発行するように前記機器発行装置へ前記指令を出力する、請求項3に記載の入場管理システム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記建物内での作業を終了した作業者から作業報告を画像データで取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の入場管理システム。
【請求項6】
建物内の設備の工事又は保守を実施する業者の前記建物への入場を管理する入場管理方法であって、
予め認証された業者の作業者により前記建物内で実施される作業の属性を示す作業情報を取得するステップと、
前記建物内での作業に必要なセキュリティ要件が前記作業毎に規定されたデータベースを参照して、取得された作業情報で示される作業に対応するセキュリティ要件を前記データベースから抽出して前記作業者に付与するステップとを含む、入場管理方法。
【請求項7】
前記セキュリティ要件は、前記作業毎に、作業対象の設備が含まれる所定のセキュリティ区域に立ち入るためのセキュリティ機器を規定する、請求項6に記載の入場管理方法。
【請求項8】
前記作業者に付与されたセキュリティ要件により規定されるセキュリティ機器を前記作業者に発行するステップをさらに含む、請求項7に記載の入場管理方法。
【請求項9】
前記作業情報は、前記建物内で作業を実施する作業者の情報を含み、
前記入場管理方法は、前記建物への入場時に前記作業者の情報を入力する端末装置から入力された作業者の情報が、前記業者の作業者から取得された作業情報に示される作業者の情報と一致する場合に、前記セキュリティ機器を前記作業者に発行するステップをさらに含む、請求項8に記載の入場管理方法。
【請求項10】
前記建物内での作業を終了した作業者から作業報告を画像データで取得するステップをさらに含む、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の入場管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物内の設備の工事又は保守を行なう業者の建物への入場を管理する入場管理システム及び入場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル等の建物の運営管理業務では、常駐の管理人が配置され、管理人により、工事業者或いは保守業者の作業者の建物内への入館受付と、対象設備のあるセキュリティ区域に入場するための鍵又はセキュリティカード等の貸出しとが行なわれている。そして、ビル等の建物を運営管理する業界では、建物を少人数で効率的に運営管理することが求められている。
【0003】
例えば、特開2016-58015号公報(特許文献1)には、画像認証装置により人の入退場を管理するシステムが開示されている。この入退場管理システムでは、個人データと顔画像データとが同じID情報に紐付けられて予め顔蓄積サーバに登録される。入退場ゲートには、顔認証装置が設けられ、入退場者の顔画像データが取得される。そして、顔画像データと顔蓄積サーバから得られる顔画像データとを照合することにより、入退場者の認証が行なわれる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の入退場管理システムは、画像認証装置を用いて人の入退場を管理しており、作業者の入場を効率的に管理し得る。しかしながら、上記のシステムでは、入退場者の顔認証を行なっているにすぎず、作業に応じた建物内の入場区域の管理はしていないため、作業者の建物への入場受付を完全に自動化することは難しい。
【0006】
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、建物内の設備の工事又は保守を行なう業者の建物への入場を管理する入場管理システム及び入場管理方法において、作業者の建物への入場受付を完全に自動化可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の入場管理システムは、建物内の設備の工事又は保守を実施する業者の建物への入場を管理する入場管理システムであって、予め認証された業者の作業者により建物内で実施される作業の属性を示す作業情報を取得する管理サーバと、建物内での作業に必要なセキュリティ要件を作業毎にデータベースとして記憶する記憶装置とを備える。管理サーバは、業者の作業者から作業情報を取得すると、その取得された作業情報で示される作業に対応するセキュリティ要件を上記データベースから抽出して作業者に付与する。
【0008】
セキュリティ要件は、作業毎に、作業対象の設備が含まれる所定のセキュリティ区域に立ち入るためのセキュリティ機器を規定するものであってもよい。
【0009】
入場管理システムは、管理サーバからの指令に従って、作業者に付与されたセキュリティ要件により規定されるセキュリティ機器を作業者に発行するように構成された機器発行装置をさらに備えてもよい。
【0010】
入場管理システムは、建物への入場時に作業者の情報を入力する端末装置をさらに備えてもよい。作業情報は、建物内で作業を実施する作業者の情報を含んでもよい。そして、管理サーバは、端末装置から入力された作業者の情報が、業者の作業者から取得された作業情報に示される作業者の情報と一致する場合に、セキュリティ機器を発行するように機器発行装置へ指令を出力してもよい。
【0011】
管理サーバは、建物内での作業を終了した作業者から作業報告を画像データで取得してもよい。
【0012】
また、本開示の入場管理方法は、建物内の設備の工事又は保守を実施する業者の建物への入場を管理する入場管理方法であって、予め認証された業者の作業者により建物内で実施される作業の属性を示す作業情報を取得するステップと、建物内での作業に必要なセキュリティ要件が作業毎に規定されたデータベースを参照して、取得された作業情報で示される作業に対応するセキュリティ要件を上記データベースから抽出して作業者に付与するステップとを含む。
【0013】
入場管理方法は、作業者に付与されたセキュリティ要件により規定されるセキュリティ機器を作業者に発行するステップをさらに含んでもよい。
【0014】
作業情報は、建物内で作業を実施する作業者の情報を含んでもよい。そして、入場管理方法は、建物への入場時に作業者の情報を入力する端末装置から入力された作業者の情報が、業者の作業者から取得された作業情報に示される作業者の情報と一致する場合に、セキュリティ機器を作業者に発行するステップをさらに含んでもよい。
【0015】
入場管理方法は、建物内での作業を終了した作業者から作業報告を画像データで取得するステップをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記の入場管理システム及び入場管理方法によれば、作業者から取得された作業情報に対応するセキュリティ要件を作業者に付与することができるため、作業者の作業に応じた建物内の入場区域を管理することができる。したがって、作業者の建物への入場受付を完全に自動化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に従う入場管理システムを説明する図である。
【
図2】
図1に示す入場管理システムの構成を示す図である。
【
図5】記憶装置に記憶されるセキュリティ要件照合DBのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】処理装置により実行される業者登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】処理装置により実行される作業登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】処理装置により実行される入館処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】処理装置により実行される退館処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本実施の形態に従う入場管理システムを説明する図である。
図1を参照して、この入場管理システム1は、建物(代表的にはビルであり、以下ではビルとして説明する。)内の設備の工事又は保守作業(以下、纏めて「工事作業等」と称する。)を実施する業者のビルへの入退場を管理するシステムである。入場管理システム1は、管理サーバ10と、作業者端末30と、記憶装置40と、受付端末50と、キーボックス60とを備える。
【0020】
管理サーバ10は、入場管理システム1の全体を統括するサーバである。管理サーバ10は、ビルのオーナー20により、ビル内の設備の工事作業等を実施する業者の登録作業が行なわれると、登録された業者に対して業者固有の認証IDを発行する。発行された認証IDは、オーナー20を通じて、登録された業者に通知される。また、オーナー20は、認証IDが発行された業者に対して、ビル内の設備の工事作業等を発注する。なお、オーナー20は、実際のオーナーの他、ビル又はビル内設備の管理責任を負う者も含む。
【0021】
作業者端末30は、認証IDが発行され、かつ、工事作業等の発注を受けた業者に属する作業者の端末である。作業者端末30は、発注を受けた工事作業等を実施する作業者の責任者(以下「作業責任者」と称する。)により操作される。認証を受けた業者が工事作業等の発注を受けると、作業責任者は、業者の認証ID、作業日時、作業内容、対象設備、作業責任者名及び連絡先、作業人数等の作業の属性を示す作業情報を、作業者端末30を通じて管理サーバ10に入力する。この作業情報については、後ほど詳しく説明する。
【0022】
また、作業責任者は、本人確認を行なうための情報を、作業者端末30を通じて管理サーバ10へ送信する。この例では、作業責任者は、自分の運転免許証を写真に撮り、作業者端末30を通じて管理サーバ10に運転免許証の写真をアップロードする。運転免許証がない場合は、作業者端末30又はその他の端末のカメラで撮影した写真を管理サーバ10にアップロードしてもよい。なお、作業者端末30は、管理サーバ10と通信可能なスマートフォン、タブレット、PC等である。
【0023】
管理サーバ10は、作業者端末30から受信した運転免許証の写真から顔及び免許番号を認識し、作業責任者の本人確認を実施する。そして、管理サーバ10は、作業責任者の本人確認が行なわれると、作業者端末30を通じて入力された作業情報に対して作業IDを発行するとともに、運転免許証の写真データから顔写真データを抽出し、作業ID、作業情報、及び作業責任者の顔写真データを紐付けて管理する。なお、発行された作業IDは、作業者端末30に通知される。
【0024】
記憶装置40は、情報を記憶するストレージであって、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)やソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等である。本実施の形態に従う入場管理システム1では、記憶装置40は、工事作業等の発注を受けた業者の作業者がビル内で作業を行なうのに必要なセキュリティ要件を作業毎に定めたセキュリティ要件照合データベース(DB)を記憶している。
【0025】
このセキュリティ要件は、登録された作業情報に従って作業者がビル内で作業を行なうのに必要なセキュリティ機器を規定するものである。具体的には、セキュリティ要件は、作業対象の設備が含まれるセキュリティ区域、及びビルの入場口から当該区域までに通過するセキュリティ区域に立ち入るための物理キーやセキュリティカード等(以下、単に「キー」と称する。)を示す情報である。セキュリティ要件照合DBには、このようなセキュリティ要件が作業対象毎に定められている。セキュリティ要件照合DBについては、後ほど詳しく説明する。
【0026】
なお、本実施の形態では、記憶装置40は、管理サーバ10の外部に設けられているが、管理サーバ10内に設けられていてもよい。
【0027】
管理サーバ10は、作業者端末30を通じて作業情報が入力され、さらに作業責任者の本人確認も行なわれると、記憶装置40のセキュリティ要件照合DBを参照し、入力された作業情報に対応するセキュリティ要件を抽出する。例えば、管理サーバ10は、セキュリティ要件照合DBを参照して、作業者端末30から受けた作業情報に示される対象設備や作業場所等の作業属性情報に従って定められているキーの情報を抽出する。そして、管理サーバ10は、抽出されたセキュリティ要件を、対応の作業情報及び作業責任者の顔写真データとともに作業IDに紐付けて管理する。
【0028】
なお、この作業情報に対応するセキュリティ要件の抽出処理は、以下に説明する受付端末50からの入館処理の実行時に行なってもよい。
【0029】
受付端末50は、ビルの入退場口(セキュリティ区域の外側)に設けられ、作業者が工事作業等の当日に入館処理を行なうための端末である。作業責任者は、作業当日、受付端末50において、所定の登録情報を入力するとともに、顔の撮影を行なう。登録情報は、例えば、作業者の属する業者の認証IDであってもよいし、作業者端末30からの作業情報の入力に伴ない発行されて作業者端末30に通知された作業ID又は認証番号等であってもよい。そして、受付端末50は、入力された登録情報、及び撮影された顔写真データを管理サーバ10へ送信する。なお、受付端末50は、管理サーバ10と通信可能なPCやタブレット等である。
【0030】
管理サーバ10は、受付端末50において入力された登録情報及び顔写真データを受付端末50から受信すると、その受信した登録情報及び顔写真データを、作業者端末30から予め取得されている上述の作業情報及び作業責任者の顔写真データと比較することによって、作業責任者を含む作業員のビルへの入館を許可するか否かの合否判定を行なう。
【0031】
そして、管理サーバ10は、合否判定の結果を受付端末50へ送信するとともに、作業員の入館を許可する場合には、受付端末50から受信した登録情報に対応する作業情報と紐付いたセキュリティ要件に従って、キーボックス60へ必要なキーの発行を指示する。
【0032】
キーボックス60は、受付端末50とともに、ビルの入退場口(セキュリティ区域の外側)に設置されている。キーボックス60は、ビル内の各セキュリティ区域に立ち入るための各キーが格納されたケースである。キーボックス60は、管理サーバ10からの指示に従って、入場を許可された作業者に必要なキーを発行する。すなわち、キーボックス60は、作業者にキーを発行する「機器発行装置」である。
【0033】
ビル内での作業者の作業が終了し、貸与されたキー全てがキーボックス60に返却されると、キーボックス60は、キーが返却されたことを管理サーバ10へ通知する。
【0034】
ビル内での作業が終了すると、作業責任者は、キーボックス60にキーを返却するとともに、受付端末50において退館のための入力を行なう。なお、作業責任者は、退館に伴ない、作業報告を管理サーバ10へ送信する。作業報告については、受付端末50において入力され又はスキャナ等で読み込まれた報告書を受付端末50から管理サーバ10へ送信するようにしてもよいし、作業責任者の端末等で撮影された報告書の画像を管理サーバ10へアップロードするようにしてもよい。
【0035】
図2は、
図1に示した入場管理システム1の構成を示す図である。なお、
図1で説明した部分については、説明を繰り返さない。
図2を参照して、管理サーバ10は、通信装置110と、I/F(Interface)装置120と、処理装置130とを含む。
【0036】
通信装置110は、インターネット等の通信ネットワーク(図示せず)を通じて作業者端末30と通信可能に構成される。通信装置110は、作業者端末30から作業情報を受信すると、その受信した作業情報を処理装置130へ送信する。また、通信装置110は、作業者端末30から作業責任者の運転免許証の写真データを受信すると、その受信した写真データを処理装置130へ送信する。
【0037】
I/F装置120は、記憶装置40、受付端末50、及びキーボックス60と各種データや指令、信号等をやり取りするための入出力装置である。
【0038】
処理装置130は、管理サーバ10における各種処理を実行する。具体的には、処理装置130は、ビルのオーナー20により登録された業者に対して認証IDを発行する「業者登録処理」を実行する。また、処理装置130は、作業者端末30から通信装置110を通じて作業情報及び作業責任者の運転免許証の写真データを受けると、作業情報の登録、作業責任者の本人確認、作業情報に対応するセキュリティ要件の決定等を行なう「作業登録処理」を実行する。
【0039】
さらに、処理装置130は、作業情報に従って来館した作業者の入館に伴なう「退館処理」を実行する。また、さらに、処理装置130は、ビル内での作業を終了した作業者の退館に伴なう「退館処理」を実行する。これらの業者登録処理、作業登録処理、入館処理、及び退館処理については、後ほど詳しく説明する。
【0040】
図3は、管理サーバ10の詳細な構成を示す図である。
図3を参照して、管理サーバ10は、通信装置110、I/F装置120、及び処理装置130の他、入力装置140と、表示装置150とを含む。
【0041】
処理装置130は、CPU(Central Processing Unit)131と、RAM(Random Access Memory)132と、ROM(Read Only Memory)133とを含んで構成される。CPU131、RAM132、ROM133、入力装置140、表示装置150、通信装置110、及びI/F装置120は、通信バス160を通じて各種データをやり取りする。CPU131は、ROM133に格納されているプログラムをRAM132に展開して実行する。ROM133に格納されているプログラムには、処理装置130によって実行される上記各種処理が記述されている。
【0042】
入力装置140は、ビルのオーナー20やオペレータが管理サーバ10に対して入力操作するための装置であり、キーボードやマウス等である。例えば、オーナー20は、ビル内設備の工事作業等を実施する業者の情報を入力装置から入力する。表示装置150は、管理サーバ10上の各種データや作動状態等を表示するためのモニタであり、例えばタッチパネルディスプレイ等である。このタッチパネルディスプレイのタッチパネルを入力装置140としてもよい。
【0043】
図4は、作業情報のデータの構成例を示す図である。
図4を参照して、作業情報は、ビル内で実施される作業の属性を示すデータを含み、例えば、作業ID、認証ID、企業名、作業日時、作業内容、対象設備、業務区分、担当区分、作業階、担当テナント、作業責任者、作業責任者連絡先、作業人数、作業責任者顔写真データ、セキュリティ要件等のデータを含む。これらのデータのうち、作業ID、作業責任者顔写真データ、及びセキュリティ要件以外の各データは、作業者端末30を通じて作業責任者により入力されるデータである。
【0044】
作業IDは、作業情報毎に付与される識別番号であり、作業者端末30から作業情報が入力され、かつ、作業責任者の運転免許証の写真データから作業責任者の本人確認が行なわれると、管理サーバ10により発行される。認証IDは、上述のように、業者毎に付与される識別番号である。
【0045】
対象設備は、作業が実施される設備を示し、この例では、エレベータが作業対象であることが示されている。業務区分は、作業が、スポット的な工事か、定期的な保守作業かを示す。担当区分は、作業が実施されるエリアを示し、この例では、例えばビルがA館からC館まである場合にB館で作業が実施されることを示している。作業階は、作業が実施されるフロアを示し、この例では、地下1階と10階とで作業が実施されることを示している。担当テナントは、ビルに入居しているテナントで作業が行なわれる場合にそのテナントを示す。
【0046】
作業責任者顔写真データは、作業責任者の本人確認用に作業者端末30を通じてアップロードされた作業責任者の運転免許証の顔写真データである。セキュリティ要件は、上記の作業属性データに基づいて、記憶装置40に記憶されるセキュリティ要件照合DBから抽出されたセキュリティ要件の番号を示す。
【0047】
図5は、記憶装置40に記憶されるセキュリティ要件照合DBのデータ構造の一例を示す図である。
図5を参照して、セキュリティ要件照合DB(以下、単に「照合DB」と称する場合がある。)には、作業場所を特定する作業属性データ(例えば、対象設備、担当区分、作業階等)のセット毎に、その対象設備が含まれるセキュリティ区域、及びビルの入場口から当該区域までに通過するセキュリティ区域に立ち入るのに必要なキーの情報が格納されている。
【0048】
照合DB内で定められているセキュリティ要件には番号が付してあり、例えば、No.1のセキュリティ要件について代表的に説明すると、作業対象の設備がエレベータであり、ビルA館の地下1階及び14階で作業を実施するために、A館屋上機械室、A館屋上扉、A館地下1階機械室、及びA館通用口扉の各々のキーが必要であることが定められている。
【0049】
再び
図4を参照して、この例では、「セキュリティ要件」には、データ「2」が格納されている。すなわち、
図4に示される作業属性データに基づいて、
図5に示される照合DBが参照され、条件に合致したNo.2のセキュリティ要件(B館屋上機械室、B館屋上扉、B館地下1階機械室、及びB館通用口扉の各々のキーの発行)が照合DBから抽出されて作業情報に紐付けられている。そして、
図4に示した作業情報のセキュリティ要件に従って、作業当日に入館許可を受けた作業者に対して、必要なキーがキーボックス60から発行される。
【0050】
図6は、キーボックス60の構成例を示す図である。
図6を参照して、キーボックス60は、筐体62と、取出口64と、回収口66と、表示パネル68と、コントローラ(図示せず)とを備える。取出口64は、複数設けられており、作業者の入館時に、管理サーバ10からの指示に従ってコントローラにより筐体62内で準備されるキーを出力する。
【0051】
回収口66は、作業者の入館時に作業者に貸与されたキーを、退館時に作業者が返却するための投函口である。コントローラは、筐体62内に設けられ、回収口66に返却されたキーを認識し、返却通知を管理サーバ10に通知する。
【0052】
表示パネル68は、管理サーバ10からの指示に従ってキーが出力される取出口64の番号や回収口66の案内、発行されたキーの返却時間等の各種情報を作業者に向けて表示する。
【0053】
以下、管理サーバ10の処理装置130により実行される業者登録処理、作業登録処理、入館処理、及び退館処理の各々について、フローチャートを用いて説明する。
【0054】
図7は、処理装置130により実行される業者登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して、ビル内の設備の工事作業等を実施する業者の情報がオーナー20により入力装置140から入力されると(ステップS10)、処理装置130は、その業者に対して認証IDを発行する(ステップS20)。
【0055】
そして、処理装置130は、発行された認証IDをその業者に通知する(ステップS30)。認証IDの業者への通知は、認証IDの発行を確認したオーナー20が行なってもよいし、処理装置130から業者へ自動で行なってもよい。なお、この認証IDの通知は、業者の登録を通知するものであって、当該業者への具体的な工事作業等の発注は、別途個別に行なわれる。
【0056】
図8は、処理装置130により実行される作業登録処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、工事作業等の発注を受けた業者の作業責任者により作業者端末30を通じて作業情報が入力されると開始される。
【0057】
図8を参照して、管理サーバ10は、作業者端末30を通じて作業情報が入力されると、その作業情報を登録する(ステップS110)。そして、管理サーバ10は、その作業情報に対して固有の作業IDを発行する(ステップS120)。なお、作業IDは、作業当日に受付端末50(
図1)から入力する必要があり、作業者端末30へ通知される。
【0058】
次いで、管理サーバ10は、その作業情報に含まれている作業責任者の本人確認データを作業者端末30から受信すると(ステップS130)、受信した本人確認データに基づいて、作業責任者の本人確認を行なう。そして、作業責任者の本人確認が行なわれると、作業者端末30から受信した本人確認データに含まれている顔写真データを登録する(ステップS140)。この実施の形態では、本人確認データには、運転免許証を写真撮影したデータが用いられる。
【0059】
すなわち、管理サーバ10は、作業責任者の運転免許証をカメラで撮影した写真データを作業者端末30から受信すると、その運転免許証の写真から顔及び免許番号を認識し、作業責任者の本人確認を実施する。そして、作業責任者の本人確認が行なわれると、管理サーバ10は、運転免許証の写真データから顔写真を抽出して、作業責任者の顔写真データとして登録する。
【0060】
次いで、管理サーバ10は、記憶装置40にアクセスし、記憶装置40内のセキュリティ要件照合DBを参照して、ステップS110において登録された作業情報に対応するセキュリティ要件を決定する(ステップS150)。具体的には、管理サーバ10は、作業情報に含まれる属性データのうち、作業場所を特定する属性データ(例えば、対象設備、担当区分、作業階等)に基づいて、条件に合致したセキュリティ要件(発行キー)を抽出する。
【0061】
そして、管理サーバ10は、ステップS140において登録された顔写真データ、及びステップS150において決定されたセキュリティ要件を、ステップS120において発行された作業IDに紐付けて登録する(ステップS160)。すなわち、
図4に示したように、作業者端末30から入力された作業情報に作業IDが付与されるとともに、作業責任者の顔写真データ及びセキュリティ要件が紐付けられて、図示しない記憶部に記録される。
【0062】
図9は、処理装置130により実行される入館処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、例えば、作業当日に来館した作業者の責任者が受付端末50において入館手続を行なうための所定の入力を行なうと開始される。
【0063】
図9を参照して、管理サーバ10は、受付端末50において、業者を識別するための認証ID、及びビル内で実施される作業に対して発行された作業IDが入力されたか否かを判定する(ステップS210)。なお、作業IDは、作業者端末30からの作業情報の入力後に、管理サーバ10から作業者端末30に予め通知されたものである。
【0064】
認証ID及び作業IDの入力が確認されると、受付端末50において、作業責任者の顔が撮影され、管理サーバ10は、受付端末50において撮影された顔写真データを取得する(ステップS220)。そして、管理サーバ10は、受付端末50から取得された顔写真データを、受付端末50から入力された作業IDの作業情報に紐付けられている顔写真データ(
図4)と照合することにより、受付端末50において撮影された人が作業責任者本人であるか否かを判定する(ステップS230)。
【0065】
ステップS230において作業責任者本人ではないと判定されると(ステップS230においてNO)、以降の処理は実行されずにエンドへ処理が移行される。
【0066】
ステップS230において作業責任者本人であると判定されると(ステップS230においてYES)、管理サーバ10は、受付端末50から入力された作業IDの作業情報に紐付けられているセキュリティ要件(
図4)に基づくキーを発行するようにキーボックス60へ指示を出力する(ステップS240)。これにより、ビル内のセキュリティ区域に立ち入って対象設備で作業を行なうのに必要なキーがキーボックス60から発行される(ステップS250)。
【0067】
図10は、処理装置130により実行される退館処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、例えば、ビル内での作業を終了した作業者の責任者が受付端末50において退館処理を行なうための所定の入力を行なうと開始される。
【0068】
図10を参照して、管理サーバ10は、受付端末50において、認証ID及び作業IDが入力されたか否かを判定する(ステップS310)。認証ID及び作業IDの入力が確認されると、管理サーバ10は、入館時に作業者に貸与されたキーがキーボックス60に返却済であるか否かを判定する(ステップS320)。
【0069】
ステップS320においてキーの返却が確認できなかった場合は(ステップS320においてNO)、管理サーバ10は、受付端末50において、キーの返却指示を報知する(ステップS330)。その後、管理サーバ10は、ステップS320へ処理を戻す。
【0070】
ステップS320においてキーは返却済であると判定されると(ステップS320においてYES)、管理サーバ10は、作業報告書の画像データのアップロードが完了しているか否かを判定する(ステップS340)。
【0071】
そして、作業報告書のアップロードが完了していると判定されると(ステップS340においてYES)、管理サーバ10は、ステップS310において入力された作業IDの作業が終了したことを登録する(ステップS350)。
【0072】
以上のように、この実施の形態においては、管理サーバ10は、作業者端末30から作業情報を取得すると、記憶装置40内の照合DBを参照して、作業者端末30から取得された作業情報に対応するセキュリティ要件を作業者に付与する。セキュリティ要件は、ビル内での作業を実施するのに必要なキーを規定するものである。このように、本実施の形態では、作業者端末30から取得される作業情報に対応するセキュリティ要件を作業者に付与することができるため、作業者の作業に応じたビル内の入場区域を管理することができる。したがって、この実施の形態によれば、作業者のビルへの入場受付を完全に自動化することが可能となる。
【0073】
そして、この実施の形態においては、キーボックス60が設けられ、管理サーバ10からの指令に従って、作業者に付与されたセキュリティ要件により規定されるキーをキーボックス60から発行することができる。したがって、作業者に必要なキーを渡すための要員を配置する必要がなく、作業者のビルへの入場受付を自動化することができる。
【0074】
さらに、この実施の形態においては、ビルの入退場口に受付端末50が備えられ、受付端末50において撮影された作業責任者の顔写真データが、作業者端末30を通じて事前にアップロードされた顔写真データと一致する場合に、キーボックス60から必要なキーが発行される。このように、本実施の形態によれば、来館した作業者の本人確認も自動化して作業者にキーを貸与することができる。
【0075】
また、この実施の形態によれば、ビル内での作業を終了した作業者から作業報告を画像データで取得するので、この点でも自動かつ簡便に作業の終了を報告することができる。
【0076】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 入場管理システム、10 管理サーバ、30 作業者端末、40 記憶装置、50 受付端末、60 キーボックス、62 筐体、64 取出口、66 回収口、68 表示パネル、110 通信装置、120 I/F装置、130 処理装置、131 CPU、132 RAM、133 ROM、140 入力装置、150 表示装置。