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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ロック部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021029822
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131082
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239244(JP,A)
【文献】特開2018-028197(JP,A)
【文献】米国特許第07014225(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0039940(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体を備え、
一対の前記半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、
一対の前記半割筒体のうち、いずれか一方の半割筒体に、いずれか他方の半割筒体に設けられた第1係止片に、離脱可能に係止された第2係止片が設けられ、
前記一方の半割筒体における周方向の他方側の端部に、前記第2係止片が設けられ、
前記他方の半割筒体における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、前記第2係止片を径方向の外側から覆う膨出部が形成され、
前記第1係止片は、前記膨出部の隔壁の一部を構成し、かつ弾性変形可能に形成され、
前記膨出部には、キー部材が差込可能な差込口が形成され、
前記差込口に前記キー部材を差し込んだときに、前記キー部材により前記第1係止片が弾性変形させられることで、前記第1係止片と前記第2係止片との係合が解除され
前記差込口は周方向に開口し、
前記膨出部内には、前記差込口と周方向で対向し、前記一方の半割筒体に固定され、前記キー部材により周方向に押込まれる被係合部が設けられている、ロック部材。
【請求項2】
前記差込口は周方向に開口し、
前記第1係止片および前記第2係止片は、周方向で互いに係合し、かつ上下方向に間隔をあけて複数組設けられ、
前記膨出部内には、上下方向で互いに隣り合う、前記第1係止片および前記第2係止片の各組同士の間を仕切る仕切壁が設けられている、請求項1に記載のロック部材。
【請求項3】
前記キャップは、ピストンをシリンダ内に向けて押し込むことにより、前記シリンダ内の内容物が吐出口から吐出されるポンプを前記口部に固定する、請求項1または2に記載のロック部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器体の口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止するためのロック部材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-43607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のロック部材では、キャップに対して容易に着脱することができず、例えば、キャップを口部から外して容器体内に内容物を詰め替えたり、キャップを、内容物が充填されている新たな容器体に付け替えたりすること等が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができるロック部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のロック部材は、容器体の口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体を備え、一対の前記半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、一対の前記半割筒体のうち、いずれか一方の半割筒体に、いずれか他方の半割筒体に設けられた第1係止片に、離脱可能に係止された第2係止片が設けられ、前記一方の半割筒体における周方向の他方側の端部に、前記第2係止片が設けられ、前記他方の半割筒体における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、前記第2係止片を径方向の外側から覆う膨出部が形成され、前記第1係止片は、前記膨出部の隔壁の一部を構成し、かつ弾性変形可能に形成され、前記膨出部には、キー部材が差込可能な差込口が形成され、前記差込口に前記キー部材を差し込んだときに、前記キー部材により前記第1係止片が弾性変形させられることで、前記第1係止片と前記第2係止片との係合が解除される。
【0007】
この発明によれば、口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体を備え、これらの半割筒体に、互いに係合する第1係止片および第2係止片が各別に設けられているので、一対の半割筒体の相対移動を規制した状態で、キャップを覆うことが可能になり、一対の半割筒体をキャップに外装した状態では、キャップの操作をできなくすることができる。
膨出部が第2係止片を径方向の外側から覆い、かつ第1係止片が膨出部の隔壁の一部を構成しているので、第1係止片および第2係止片が、膨出部内で互いに係合することとなる。したがって、互いに係合している第1係止片および第2係止片の各係合部分には直接触れることができず、差込口にキー部材を差し込んで、第1係止片を弾性変形させなければ、第1係止片と第2係止片との係合を解除することができない。
以上より、一対の半割筒体をキャップに外装した状態では、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止することができるとともに、キー部材を用いれば、ロック部材を容易にキャップから外すことができる。
一対の半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、第1係止片が弾性変形可能に形成されているので、一対の半割筒体をキャップに外装する際、一対の半割筒体を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸回りに相対回転させ、第1係止片を、第2係止片に摺接させ弾性変形させることで、第1係止片および第2係止片が互いに係合されることとなり、一対の半割筒体をキャップに容易に外装することができる。
以上より、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができる。
ロック部材がキャップに対して外装されるので、現行のキャップ、ポンプ、および容器体の組立体に対して、設計変更等をせずにそのまま適用することができる。
【0008】
前記差込口は周方向に開口し、前記膨出部内には、前記差込口と周方向で対向し、前記一方の半割筒体に固定され、前記キー部材により周方向に押込まれる被係合部が設けられてもよい。
【0009】
この場合、膨出部内に、差込口と周方向で対向し、一方の半割筒体に固定され、キー部材により周方向に押込まれる被係合部が設けられているので、差込口にキー部材を差し込み、第1係止片および第2係止片の係合を解除した後に、キー部材により被係合部を周方向に押込むことが可能になり、一方の半割筒体を、他方の半割筒体における周方向の他方側の端部から離れる向きに、ヒンジ軸回りに回転させることができる。
【0010】
前記差込口は周方向に開口し、前記第1係止片および前記第2係止片は、周方向で互いに係合し、かつ上下方向に間隔をあけて複数組設けられ、前記膨出部内には、上下方向で互いに隣り合う、前記第1係止片および前記第2係止片の各組同士の間を仕切る仕切壁が設けられてもよい。
【0011】
この場合、膨出部内に、上下方向で互いに隣り合う、第1係止片および第2係止片の各組同士の間を仕切る仕切壁が設けられているので、キー部材として、差込口に差し込まれる差込突起が、上下方向に間隔をあけて複数設けられ、かつこの隙間に仕切壁が進入する構成を採用する必要があり、例えば、差込口に差し込んだ状態で、複数組の第1係止片および第2係止片に跨って一体に上下方向に延びる板材等では、仕切壁に干渉して、第1係止片を弾性変形させることができず、複数組の第1係止片および第2係止片の係合を解除することができない。したがって、このようなキー部材を有しない不特定の第3者によって、ロック部材がキャップから外されるのを防ぐことができる。
【0012】
前記キャップは、ピストンをシリンダ内に向けて押し込むことにより、前記シリンダ内の内容物が吐出口から吐出されるポンプを前記口部に固定してもよい。
【0013】
この場合、キャップが、ポンプを口部に固定するので、例えば宿泊施設等に設置された、キャップ、ポンプ、および容器体の組立体において、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材をキャップに対して容易に着脱すること等ができる。
店頭に陳列された前記組立体についても、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のロック部材の側面図である。
図2図1のロック部材のII-II線矢視断面図である。
図3】第1実施形態のキー部材の側面図である。
図4】一実施形態のキー部材の平面図である。
図5】第1実施形態のロック部材の作用を説明する説明図である。
図6】第2実施形態のロック部材の側面図である。
図7】第3実施形態のロック部材の側面図である。
図8図7のロック部材のVIII-VIII線矢視断面図である。
図9】第2実施形態のキー部材の側面図である。
図10図2の一部を示す第1変形例である。
図11図2の一部を示す第2変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、第1実施形態のロック部材1、および第1実施形態のキー部材40aについて説明する。
図1および図2に示されるように、ロック部材1は、容器体Wの口部に装着されたキャップCに外装される一対の半割筒体11、12を備えている。
【0017】
一対の半割筒体11、12は、キャップCに外装された状態で、キャップCと同軸に配設された円筒を構成し、その中心軸線Oは上下方向に延びる。
以下、上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
一対の半割筒体11、12における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸X回りに回転可能に連結されている。一対の半割筒体11、12は、キャップCを全域にわたって覆っている。
【0019】
図示の例では、一対の半割筒体11、12は別体とされ、それぞれの周方向の一方側の端部が互いに係合されている。
キャップCは、ピストンをシリンダ51内に向けて押し込むことにより、シリンダ51内の内容物が吐出口52から吐出されるポンプ50を口部に固定する。
なお、キャップCは、例えば、口部を単に封止する構成等であってもよい。
シリンダ51の上端部には、径方向の外側に向けて突出し周方向の全長にわたって連続して延びる取付フランジ部が形成されており、キャップCを口部に装着することで、キャップCと口部の上端開口縁とにより、取付フランジ部が上下に挟まれて、ポンプ50が口部に固定される。
【0020】
ポンプ50は、ピストンがシリンダ51内で下方に向けて押し込まれることにより、シリンダ51内の内容物が吐出口52から吐出される。ポンプ50は、シリンダ51の上方に設けられた押下ヘッド53と、シリンダ51に固定された規制筒54と、を備えている。
押下ヘッド53は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられ、ピストンは、押下ヘッド53の上下動に伴って上下動する。規制筒54に、下降端位置に位置する押下ヘッド53が離脱可能に取付けられている。
【0021】
一対の半割筒体11、12の上端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる上フランジ部19aが各別に形成されている。上フランジ部19aは、ポンプ50の規制筒54を上方から覆っている。上フランジ部19aは、径方向に真直ぐ延びている。
一対の半割筒体11、12の下端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる下フランジ部19bが各別に形成されている。下フランジ部19bは、キャップCの下端開口縁を下方から覆っている。
上フランジ部19a、および下フランジ部19bは、キャップCに対するロック部材1の上下方向の移動を規制する規制部を構成している。
【0022】
一対の半割筒体11、12のうち、いずれか一方の半割筒体11に、いずれか他方の半割筒体12に設けられた第1係止片13に、離脱可能に係止された第2係止片14が設けられている。第1係止片13および第2係止片14が互いに係合することによって、一対の半割筒体11、12は、キャップCに外装された円筒の状態に保たれる。
一方の半割筒体11における周方向の他方側の端部に、第2係止片14が設けられている。
他方の半割筒体12における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、第2係止片14を径方向の外側から覆う膨出部15が形成されている。
【0023】
膨出部15は、上方、下方、周方向の一方側、および径方向の外側が閉塞され、周方向の他方側、および径方向の内側が開放された箱型に形成されている。
一方の半割筒体11における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて突出し、膨出部15における周方向の他方側の開口を閉塞する蓋壁11aが形成されている。蓋壁11aは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。蓋壁11aは、膨出部15における周方向の他方側の開口端縁に、全長にわたって周方向に突き当たっている。
【0024】
第1係止片13は、膨出部15の隔壁の一部を構成し、かつ弾性変形可能に形成されている。第1係止片13および第2係止片14は、膨出部15内で互いに係合している。第1係止片13は、膨出部15を画成する壁部のうち、径方向の外端部に位置して表裏面が径方向を向く外周壁15aの一部を構成している。第1係止片13は、外周壁15aに形成された周方向に延びる上下一対のスリット15dにより画成されている。スリット15dは、外周壁15aにおける周方向の他方側の端縁に開口している。第1係止片13は、周方向の一方側の端部、つまり基端部回りに径方向に弾性変形可能となっている。第1係止片13は、基端部から、周方向の他方側の端部、つまり先端部に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0025】
第1係止片13の先端部に、径方向の内側に向けて突出した第1係止突起17が形成されている。第1係止突起17のうち、径方向の内側を向く内面17bは、周方向に沿う第1係止片13における先端部側から基端部側に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。第1係止突起17のうち、周方向に沿う第1係止片13の基端部側の端部(以下、周端面という)17aは、周方向に沿う第1係止片13の基端部側を向く平坦面となっている。
【0026】
第2係止片14は、一方の半割筒体11における周方向の他方側の開口端縁から周方向に突出している。第2係止片14は、第1係止片13のうちの径方向の内側を向く内面と径方向で対向している。第2係止片14の外周面において、第1係止片13の第1係止突起17より第1係止片13の基端部側に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出し、第1係止突起17に離脱可能に係合した第2係止突起18が形成されている。第2係止突起18は、第1係止突起17の周端面17aに周方向に当接、若しくは近接している。第1係止突起17および第2係止突起18によって、第1係止片13および第2係止片14は、周方向で互いに係合している。
【0027】
膨出部15には、キー部材40aが差込可能な差込口15bが形成されている。差込口15bは、膨出部15を画成する壁部のうち、周方向の一方側の端部に位置して表裏面が周方向を向く周端壁15cに形成され、周方向に開口している。差込口15bは、第1係止片13および第2係止片14のうち、少なくとも第1係止片13の内面と周方向に対向している。図示の例では、差込口15bは、第1係止片13および第2係止片14と周方向に対向している。差込口15bは、第2係止片14の第2係止突起18と周方向に対向している。差込口15bの大きさは、第1係止片13および第2係止片14それぞれの上下方向の大きさと同等になっている。差込口15bは、第1係止片13および第2係止片14の上下方向の全域にわたって周方向に対向している。
【0028】
図5に示されるように、差込口15bにキー部材40aを差し込んだときに、キー部材40aにより第1係止片13が弾性変形させられることで、第1係止片13と第2係止片14との係合が解除される。
差込口15bにキー部材40aを差し込んだときに、第1係止突起17が第2係止突起18から離れるように、第1係止片13が弾性変形する。図示の例では、この差し込み時に、第1係止片13は、径方向の外側に向けて弾性変形する。
【0029】
キー部材40aは、図3および図4に示されるように、把持部41および差込突起42を備えている。差込突起42は、差込口15bに差し込まれる。
以下、キー部材40aについて、図5に示されるように、差込突起42が差込口15bに差し込まれた姿勢に基づいて説明する。
【0030】
把持部41は、有頂筒状に形成され、その周壁には、差込突起42が差込口15bに差し込まれた状態で、他方の半割筒体12が、径方向に挿入される窪み部41aが形成されている。窪み部41aの内面は、上下方向から見て、他方の半割筒体12の外周面に沿う円弧状を呈する。差込突起42は、把持部41の周壁における窪み部41aの開口周縁部のうち、上下方向に延びる部分に設けられている。差込突起42は、差込口15bに差し込まれた状態で、他方の半割筒体12を径方向に挟むように2つ設けられている。差込突起42は、把持部41における上下方向の中央部に設けられている。
【0031】
差込突起42は、差込口15bに差し込まれたときに、第1係止片13の内面と第2係止片14の外周面との間に進入する。差込突起42には、差込口15bに差し込まれた状態において、径方向の外側に向けて突出し、第1係止片13の内面を、径方向の外側に向けて押し込む押込み突起42aが形成されている。押込み突起42aは、差込突起42の先端部に形成されている。
【0032】
ここで、膨出部15内には、差込口15bと周方向で対向し、一方の半割筒体11に固定され、キー部材40aにより周方向に押込まれる被係合部16が設けられている。
被係合部16は、第2係止片14に形成されている。被係合部16は、第2係止片14の第2係止突起18における周方向の他方側の端部に形成された、周方向を向く平坦面となっている。第2係止片14の外周面において、第2係止突起18よりも周方向の他方側、つまり差込口15bの近くに位置する先端部は、周方向に沿って差込口15bに近付くに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0033】
キー部材40aの差込突起42には、差込口15bに差し込まれたときに、被係合部16に周方向に突き当たる突き当て部42bが形成されている。突き当て部42bは、差込突起42の先端部側を向く段部となっている。突き当て部42bは、押込み突起42aに対して径方向の内側で、かつ差込突起42の基端部側に位置している。
【0034】
以上の構成において、差込口15bに、キー部材40aの差込突起42を差し込むと、押込み突起42aが、第1係止片13の内面に摺接し、第1係止片13を径方向の外側に向けて押し込む。これにより、第1係止片13が、その基端部回りに径方向の外側に向けて弾性変形し、第1係止突起17が、第2係止片14の第2係止突起18から径方向の外側に離れ、第1係止片13および第2係止片14の係合が解除される。この解除と前後して、差込突起42の突き当て部42bが、一方の半割筒体11における被係合部16に周方向に突き当たり、一方の半割筒体11が、他方の半割筒体12における周方向の他方側の端部から離れる向きに、周方向に押込まれ、ヒンジ軸X回りに回転する。これにより、キャップCからロック部材1を外すことができる。
【0035】
一対の半割筒体11、12をキャップCに外装する際、一対の半割筒体11、12を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸X回りに相対回転させると、第1係止突起17の内面17bが、第2係止突起18に周方向に摺接しつつ、第1係止片13が、その基端部回りに径方向の外側に向けて弾性変形し、第1係止突起17が第2係止突起18を周方向に乗越える。この際、第1係止片13が径方向の内側に向けて復元変形し、第1係止突起17の周端面17aが、第2係止突起18に当接、若しくは近接することで、第1係止片13および第2係止片14が周方向で互いに係合する。これにより、ロック部材1がキャップCに外装される。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材1によれば、口部に装着されたキャップCに外装される一対の半割筒体11、12を備え、これらの半割筒体11、12に、互いに係合する第1係止片13および第2係止片14が各別に設けられているので、一対の半割筒体11、12の相対移動を規制した状態で、キャップCを覆うことが可能になり、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装した状態では、キャップCの操作をできなくすることができる。
【0037】
膨出部15が第2係止片14を径方向の外側から覆い、かつ第1係止片13が膨出部15の隔壁の一部を構成しているので、第1係止片13および第2係止片14が、膨出部15内で互いに係合することとなる。したがって、互いに係合している第1係止片13および第2係止片14の各係合部分には直接触れることができず、差込口15bにキー部材40aを差し込んで、第1係止片13を弾性変形させなければ、第1係止片13と第2係止片14との係合を解除することができない。
【0038】
以上より、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装した状態では、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止することができるとともに、キー部材40aを用いれば、ロック部材1を容易にキャップCから外すことができる。
【0039】
一対の半割筒体11、12における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸X回りに回転可能に連結され、第1係止片13が弾性変形可能に形成されているので、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装する際、一対の半割筒体11、12を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸X回りに相対回転させ、第1係止片13を、第2係止片14に摺接させ弾性変形させることで、第1係止片13および第2係止片14が互いに係合されることとなり、一対の半割筒体11、12をキャップCに容易に外装することができる。
【0040】
以上より、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材1をキャップCに対して容易に着脱することができる。
ロック部材1がキャップCに対して外装されるので、現行のキャップC、ポンプ50、および容器体Wの組立体に対して、設計変更等をせずにそのまま適用することができる。
【0041】
膨出部15内に、差込口15bと周方向で対向し、一方の半割筒体11に固定され、キー部材40aにより周方向に押込まれる被係合部16が設けられているので、差込口15bにキー部材40aを差し込み、第1係止片13および第2係止片14の係合を解除した後に、キー部材40aにより被係合部16を周方向に押込むことが可能になり、一方の半割筒体11を、他方の半割筒体12における周方向の他方側の端部から離れる向きに、ヒンジ軸X回りに回転させることができる。
【0042】
キャップCが、ポンプ50を口部に固定するので、例えば宿泊施設等に設置された、キャップC、ポンプ50、および容器体Wの組立体において、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材1をキャップCに対して容易に着脱すること等ができる。
店頭に陳列された前記組立体についても、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止することができる。
【0043】
次に、第2実施形態のロック部材2を、図6を参照しながら説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0044】
本実施形態では、キャップCが口部に固定するポンプ60が、いわゆるトリガー式噴出器となっている。図示の例では、ポンプ60は、内容物が収容された容器体Wに装着される噴出器本体62と、噴出器本体62の前端部に装着され、内容物を前方に向けて噴出する吐出口63が形成されたノズル部材64と、を備え、噴出器本体62は、上下方向に延び、容器体W内の内容物を吸上げる縦供給筒部65と、縦供給筒部65の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部66を有し、トリガー部66の後方への移動によって、内容物を縦供給筒部65内から吐出口63側に向けて流通させるトリガー機構67と、を有している。
【0045】
縦供給筒部65の下端部には、径方向の外側に向けて突出し周方向の全長にわたって連続して延びる取付フランジ部が形成されており、キャップCを口部に装着することで、キャップCと口部の上端開口縁とにより、取付フランジ部が上下に挟まれて、ポンプ60が口部に固定される。
トリガー機構67は、トリガー部66の後方に設けられ、かつ前後方向に延びるシリンダ68と、トリガー部66の前後動に伴い、シリンダ68内を前後動するピストン69と、を備えている。トリガー部66の後方への移動によって、ピストン69がシリンダ68内に押し込まれ、シリンダ68内の内容物が縦供給筒部65内を通して吐出口63側に向けて流通し、吐出口63から噴出される。
【0046】
キャップCの上端部は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
一対の半割筒体11、12における上フランジ部21aは、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている。上フランジ部21aは、キャップCの上端部をキャップCの上方から覆っている。
下フランジ部19bは、容器体Wのうち、口部と肩部W1との接続部分に形成された周溝W2に嵌合されている。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材2によれば、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、キャップCに対して容易に着脱すること等ができる。
【0048】
次に、第3実施形態のロック部材3、第2実施形態のキー部材40bを、図7図8および図9を参照しながら説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
第1係止片13および第2係止片14が、上下方向に間隔をあけて複数組設けられている。膨出部15内には、上下方向で互いに隣り合う、第1係止片13および第2係止片14の各組同士の間を仕切る仕切壁31が設けられている。
【0050】
図示の例では、上下方向で互いに隣り合う第2係止片14は、仕切壁31を介して上下方向に連ねられて一体に形成されている。仕切壁31は、蓋壁11aから周方向に沿う差込口15b側(周方向の他方側)に向けて突出している。仕切壁31は、第2係止突起18より周方向に沿う差込口15b側に張り出している。仕切壁31は、スリット15dと径方向で対向している。差込口15bは、上下方向に延び、複数組の第1係止片13および第2係止片14に対して一体に周方向で対向している。膨出部15内に被係合部16が設けられていない。
【0051】
本実施形態のキー部材40bでは、差込突起42が、上下方向に間隔あけて複数設けられている。差込突起42を差込口15bに差し込んだときに、上下方向で互いに隣り合う差込突起42同士の間に仕切壁31が周方向に差し込まれる。
なお、仕切壁31を設けず、第1係止片13および第2係止片14の各組に対して周方向に各別に対向する差込口15bを上下方向に間隔をあけて複数設けてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材3によれば、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、キャップCに対して容易に着脱することができる。
【0053】
膨出部15内に、上下方向で互いに隣り合う、第1係止片13および第2係止片14の各組同士の間を仕切る仕切壁31が設けられているので、キー部材40bとして、差込口15bに差し込まれる差込突起42が、上下方向に間隔をあけて複数設けられ、かつこの隙間に仕切壁31が進入する構成を採用する必要があり、例えば、差込口15bに差し込んだ状態で、複数組の第1係止片13および第2係止片14に跨って一体に上下方向に延びる板材等では、仕切壁31に干渉して、第1係止片13を弾性変形させることができず、複数組の第1係止片13および第2係止片14の係合を解除することができない。したがって、このようなキー部材40bを有しない不特定の第3者によって、ロック部材3がキャップCから外されるのを防ぐことができる。
【0054】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0055】
例えば、前記実施形態では、一対の半割筒体11、12が別体とされた構成を示したが、図10および図11に示されるように、一対の半割筒体11、12が一体に形成された構成を採用してもよい。
図11において、一対の半割筒体11、12それぞれの周方向の一方側の端部が構成するヒンジ部の周方向の大きさが、図10における前記ヒンジ部の周方向の大きさより大きくなっており、図11に示す前記ヒンジ部は、いわゆる帯ヒンジとなっている。
また、差込口15bが、周方向に開口した構成を示したが、周方向に交差する方向に開口してもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1~3 ロック部材
11 一方の半割筒体
12 他方の半割筒体
13 第1係止片
14 第2係止片
15 膨出部
15b 差込口
16 被係合部
31 仕切壁
40a、40b キー部材
50、60 ポンプ
51、68 シリンダ
52、63 吐出口
69 ピストン
C キャップ
W 容器体
X ヒンジ軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11