(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20241101BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 102E
(21)【出願番号】P 2021030978
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮入 圭介
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202157(JP,A)
【文献】特開平08-131911(JP,A)
【文献】実開平05-029250(JP,U)
【文献】特開2008-087787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体内に収容される液体を送り出すポンプ部を有する噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、前記ポンプ部により送り出される液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設され、前記ポンプ部を駆動させるトリガー部と、
前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記噴出器本体が挿入される挿入開口を有し、前記挿入開口を通じて前記噴出器本体に装着されるカバー本体と、
前記カバー本体の内面から、前記挿入開口の開口方向に交差する第1方向に突出した被係合部と、を備え、
前記被係合部は、
前記被係合部のうち前記開口方向の内側を向く面であって、前記噴出器本体に設けられた係合部に対し
て、前記開口方向の外側から係合する係合面と、
前記開口方向の外側を向き、前記カバー本体の内面から前記第1方向に離間するに従い前記開口方向の内側に向けて延びる反係合面と、を備え、
前記被係合部には、前記被係合部の表面のうち、前記係合面以外の面に開口する肉抜き凹部が形成され
、
前記肉抜き凹部は、前記第1方向に延びる縦溝とされ、
前記噴出器本体には、前記肉抜き凹部に差し込まれるとともに、前記肉抜き凹部の内側面に当接することで、前記開口方向から見て前記第1方向に交差する方向への前記噴出器本体に対する前記カバーの移動を規制するリブが設けられているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
容器体内に収容される液体を送り出すポンプ部を有する噴出器本体と、
前記噴出器本体の前端部に装着され、前記ポンプ部により送り出される液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、
前方付勢状態で後方に移動可能に配設され、前記ポンプ部を駆動させるトリガー部と、
前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、
前記カバーは、
前記噴出器本体が挿入される挿入開口を有し、前記挿入開口を通じて前記噴出器本体に装着されるカバー本体と、
前記カバー本体の内面から、前記挿入開口の開口方向に交差する第1方向に突出した被係合部と、を備え、
前記被係合部は、
前記被係合部のうち前記開口方向の内側を向く面であって、前記噴出器本体に設けられた係合部に対し
て、前記開口方向の外側から係合する係合面と、
前記開口方向の外側を向き、前記カバー本体の内面から前記第1方向に離間するに従い前記開口方向の内側に向けて延びる反係合面と、を備え、
前記被係合部には、前記被係合部の表面のうち、前記係合面以外の面に開口する肉抜き凹部が形成され
、
前記肉抜き凹部は、前記第1方向に延びる縦溝とされ、
前記噴出器本体には、前記肉抜き凹部に差し込まれたリブが設けられ、
前記肉抜き凹部は、前記反係合面で開口してい
るトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式液体噴出器として、ポンプ部を有する噴出器本体と、噴出器本体の前端部に装着されたノズル部材と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部と、を備える構成が開示されている。この種のトリガー式液体噴出器では、トリガー部を後方に引き、ポンプ部を駆動させることで、容器体内の液体がポンプ部により送り出される。ポンプ部により送り出された液体は、ノズル部材の噴出孔を通じて前方に噴出される。
【0003】
例えば下記特許文献1には、意匠性の向上等を目的として、噴出孔を露呈させた状態で噴出器本体を覆うカバーを備えるトリガー式液体噴出器が開示されている。カバーには、噴出器本体が前方から挿入される。この際、カバーに設けられた被係合部が噴出器本体に設けられた係合部を乗り越える。これにより、被係合部が係合部に係合した状態で、カバーが噴出器本体に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トリガー式液体噴出器にあっては、軽量化等を図るため、カバーを薄肉化させることが検討されている。
しかしながら、カバーを薄肉にすることで、カバーが変形し易くなる結果、被係合部が係合部から外れ易くなる可能性がある。一方で、被係合部と係合部との係合量を確保するために、被係合部の高さ寸法を大きくすると、被係合部の体積が増大し、カバーの重量の増大を抑えることが困難になる。
【0006】
本発明は、重量増大を抑えた上で、カバーと噴出器本体との係合強度を確保できるトリガー式液体噴出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、容器体内に収容される液体を送り出すポンプ部を有する噴出器本体と、前記噴出器本体の前端部に装着され、前記ポンプ部により送り出される液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、前方付勢状態で後方に移動可能に配設され、前記ポンプ部を駆動させるトリガー部と、前記噴出孔を露呈させた状態で前記噴出器本体を覆うカバーと、を備え、前記カバーは、前記噴出器本体が挿入される挿入開口を有し、前記挿入開口を通じて前記噴出器本体に装着されるカバー本体と、前記カバー本体の内面から、前記挿入開口の開口方向に交差する第1方向に突出した被係合部と、を備え、前記被係合部は、前記噴出器本体に設けられた係合部に対して前記開口方向で向かい合い、前記開口方向の外側から係合する係合面と、前記開口方向の外側を向き、前記カバー本体の内面から前記第1方向に離間するに従い前記開口方向の内側に向けて延びる反係合面と、を備え、前記被係合部には、前記被係合部の表面のうち、前記係合面以外の面に開口する肉抜き凹部が形成されている。
【0008】
本態様によれば、被係合部に肉抜き凹部が形成されているので、カバー本体の内面からの被係合部の突出高さを高くして、被係合部と係合部との係合代を高めたとしても、被係合部の体積増大を抑えることが可能になる。
特に、肉抜き凹部が、被係合部における係合面以外の面で開口しているので、被係合部と係合部との係合代を確実に高めることができる。
その結果、重量増大を抑えた上で、カバーと噴出器本体との係合強度を確保できる。
しかも、被係合部の反係合面が、カバー本体の内面から第1方向に離間するに従い開口方向の内側に向けて延びているので、挿入開口を通じて噴出器本体をカバー本体内に挿入するときに、被係合部が係合部をスムーズに乗り越える。これにより、カバー本体の内面からの被係合部の突出高さを高くしても、噴出器本体に対するカバーの組付性を確保することができる。
【0009】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記肉抜き凹部は、前記第1方向に延びる縦溝とされ、前記噴出器本体には、前記肉抜き凹部に差し込まれたリブが設けられていることが好ましい。
本態様によれば、リブの外面が肉抜き凹部の内面に当接することで、噴出器本体に対するカバーの移動が規制される。これにより、被係合部と係合部との係合が不意に解除されるのを抑制できる。これにより、被係合部と係合部との係合状態を維持し易い。
【0010】
上記態様のトリガー式液体噴出器において、前記肉抜き凹部は、前記反係合面で開口していることが好ましい。
本態様によれば、噴出器本体とカバーとを組み付ける際に、挿入開口を通じて噴出器本体をカバー本体内に挿入することで、リブが肉抜き凹部内に差し込まれる。これにより、噴出器本体に対するカバーの組付性を確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、重量増大を抑えた上で、カバーと噴出器本体との係合強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係るトリガー式液体噴出器の断面図である。
【
図2】実施形態に係るトリガー式液体噴出器において、係合部周辺を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図1に示すように、トリガー式液体噴出器1は、液体が収容される容器体Aに装着され、液体を前方に噴出する。トリガー式液体噴出器1は、噴出器本体10と、ノズル部材11と、トリガー部12と、カバー13と、を備えている。なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0014】
噴出器本体10は、縦供給筒部21と、装着キャップ22と、パイプ23と、射出筒部24と、中継部材25と、と、上板部材27と、ポンプ部26と、を備えている。
以下、縦供給筒部21の中心軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体Aの底部(不図示)側を下側、その反対側を上側という。上下方向から見て、縦供給筒部21に対してノズル部材11が位置している側を前側、その逆側を後側という。上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0015】
縦供給筒部21は、容器体Aの口部A1内を通じて容器体A内の液体を吸上げる。縦供給筒部21は、上方に向けて径が縮小する多段筒状に形成されている。具体的に、縦供給筒部21は、上方に位置する小径部21aと、段差部21bを介して小径部21aの下方に連なる大径部21cと、を備えている。
【0016】
大径部21cには、径方向の外側に張り出すフランジ部21dが設けられている。
小径部21a内の上端部には、ボール弁28が設けられている。ボール弁28は、小径部21a内において、縦供給筒部21と射出筒部24との間の連通及び遮断を切り替える。具体的に、ボール弁28は、縦供給筒部21から射出筒部24への液体の流通を許容し、射出筒部24から縦供給筒部21への液体の流通を規制する逆止弁である。ボール弁28は、金属や合成樹脂等によって形成されている。
【0017】
装着キャップ22は、上下方向に延びる筒状に形成されている。装着キャップ22は、容器体Aのうち口部A1の上端開口縁との間にフランジ部21dを挟み込んだ状態で、口部A1に着脱可能に締め付けられる。なお、装着キャップ22と口部A1との固定方法は、ねじ以外の方法(例えば、嵌合等)であってもよい。図示の例において、縦供給筒部21の中心軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後方に位置している。
【0018】
パイプ23は、大径部21cの内側を通じて縦供給筒部21内に挿入され、小径部21a内に下方から嵌め込まれている。パイプ23は、トリガー式液体噴出器1が容器体Aに装着された状態において、容器体A内を下方に延びている。
【0019】
射出筒部24は、縦供給筒部21内の液体を、ノズル部材11に向けて導く。射出筒部24は、縦供給筒部21の上端部から前方に向けて延びている。
中継部材25は、射出筒部24とノズル部材11との間を接続する。中継部材25は、射出筒部24に前方から組み付けられている。
【0020】
ポンプ部26は、容器体A内の液体の貯留及び圧送を行う。ポンプ部26は、シリンダ31と、ピストン32と、を備えている。
シリンダ31は、縦供給筒部21のうち小径部21aの前方に設けられている。シリンダ31は、前方に向けて開口する有底筒状に形成されている。
ピストン32は、シリンダ31に対して前後動可能に設けられている。ピストン32は、後方に開口する有底筒状に形成されている。ピストン32は、シリンダ31に対する前後動に伴い、シリンダ31の内周面上を摺動する。シリンダ31内は、ピストン32の前方への移動に伴い減圧され、ピストン32の後方への移動に伴い加圧される。
【0021】
シリンダ31内は、縦供給筒部21に設けられた連絡路36を通じて縦供給筒部21内及び射出筒部24内に連通している。連絡路36は、縦供給筒部21において、ボール弁28の周囲を取り囲んでいる。連絡路36は、縦供給筒部21の上端部に形成された連通孔21fを通じて縦供給筒部21内に連通している。一方、連絡路36は、射出筒部24の後端開口部を通じて射出筒部24内に連通している。
【0022】
上板部材27は、射出筒部24に対して上方及び側方を取り囲むように、射出筒部24に装着されている。上板部材27は、前方から見た正面視で下向きのU字状に形成されている。上板部材27は、板バネ部材40と、弾性部材41と、軸受部42と、を備えている。
板バネ部材40は、射出筒部24の上方に前後方向に沿って設けられている。板バネ部材40の後端部には、上方に向けて突出する係止突起40aが形成されている。係止突起40aは、射出筒部24の後端部に形成された係止凹部24a内に係止されている。板バネ部材40の前端部には、係止凹部40bが形成されている。係止凹部40bには、中継部材25に形成された係止突起25aが係止されている。これにより、板バネ部材40は、射出筒部24及び中継部材25間を連結している。
【0023】
弾性部材41は、板バネ部材40の前端部において、左右方向の両端縁から下方に延びている。弾性部材41は、前方に向けて突の湾曲形状で、板バネ部材40との境界部分(上端部)を起点にして前後方向に弾性変形可能に構成されている。
軸受部42は、板バネ部材40の後端部において、左右方向の両端縁から下方に延びている。軸受部42は、前後方向に突の湾曲形状で、後方に向けて開口している。
【0024】
トリガー部12は、上板部材27から下方に向けて延びている。具体的に、トリガー部12は、縦供給筒部21の前方において、下方に向かうに従い前方に湾曲しながら延びている。トリガー部12の上端部は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能に軸受部42に支持されている。一方、トリガー部12は、軸受部42よりも下方に位置する部分で弾性部材41に接続されている。これにより、トリガー部12は、軸受部42に回動可能に支持された状態で、弾性部材41によって前方付勢状態で後方移動可能に構成されている。
【0025】
トリガー部12は、ピストン32の前端部に接続されている。したがって、ピストン32は、トリガー部12の後方への移動に伴い、シリンダ31に対して後方に移動する。
【0026】
ノズル部材11は、中継部材25に対して前方から装着されている。ノズル部材11は、後方に開口する有底筒状に形成されている。ノズル部材11の頂壁部(前壁部)には、前後方向に延びる噴出孔11aが形成されている。噴出孔11aは、ノズル部材11内及び中継部材25内を通じて射出筒部24内に連通している。
【0027】
カバー13は、噴出器本体10の一部、トリガー部12の一部及び上板部材27の一部を上方、後方及び側方から取り囲んでいる。カバー13は、噴出器本体10の前方に向けて挿入されることで、噴出器本体10に装着される。
【0028】
カバー13は、カバー本体51と、突条部52と、第1被係合部53と、第2被係合部54と、規制片55と、が一体に形成された構成である。
カバー本体51は、前方(開口方向)に向けて開口する挿入開口51pが形成された箱型に形成されている。具体的に、カバー本体51は、上壁51aと、一対の側壁51bと、後壁51cと、底壁51dと、を備えている。
【0029】
上述した「開口方向」とは、挿入開口51pの開口面に交差する方向であって、本実施形態では前後方向である。その上で、開口方向の外側とは、カバー13の外側に向かう方向をいい、開口方向の内側とはカバー13の内側に向かう方向をいう。
【0030】
上壁51aは、カバー13が噴出器本体10に装着された状態において、射出筒部24、中継部材25及び上板部材27の上方に配置されている。上壁51aの前端縁は、ノズル部材11の後方に位置している。したがって、カバー13は、ノズル部材11(噴出孔11a)を前方に露呈させた状態で、噴出器本体10やトリガー部12、上板部材27を覆っている。
側壁51bは、上壁51aにおける左右方向の両端縁から下方に延びている。側壁51bは、噴出器本体10やトリガー部12、上板部材27を左右方向の両側から囲んでいる。側壁51bの下端縁は、後方に向かうに従い下方に向けて湾曲しながら延びている。したがって、弾性部材41の下端部は、側壁51bの前端部において側壁51bの下端縁から下方に向けて突出している。
【0031】
後壁51cは、上壁51aの後端縁、及び側壁51bの後端縁間を架け渡している。後壁51cは、上下方向に沿う縦断面視において、後方に向けて突となるL字状に形成されている。具体的に、後壁51cは、下方に向かうに従い後方に延びた後、さらに下方に向かうに従い前方に延びている。
【0032】
底壁51dは、後壁51cの下端縁から前方に延びている。底壁51dの前端縁は、縦供給筒部21に後方から近接又は当接している。底壁51dにおける左右両端縁は、側壁51bの後部下端縁同士に連なっている。底壁51dの前端縁、側壁51bの下端縁及び上壁51aの前端縁により、カバー本体51の挿入開口51pを形成している。
【0033】
突条部52は、各側壁51bの内面(各側壁51bの向かい合う面)に形成されている。突条部52は、各側壁51bの内面から左右方向の内側に突出した状態で、前後方向に延びている。突条部52は、噴出器本体10に設けられたレール部(不図示)に対して後方から差し込まれている。これにより、噴出器本体10に対するカバー13の上下方向の移動が規制される。
【0034】
第1被係合部53は、上壁51aの後端部から下方に突出している。第1被係合部53は、射出筒部24に形成された第1係合部62に対して前方から係合されている。
【0035】
第2被係合部54は、底壁51dの前端部から上方に向けて突出している。第2被係合部54は、縦供給筒部21に形成された第2係合部63に対して前方から係合されている。第2係合部63は、縦供給筒部21に設けられた延出片64に形成されている。延出片64は、段差部21bから後方に延びている。延出片64は、上下方向を厚さ方向として片持ちで延びている。第2係合部63は、延出片64の先端部(後端部)から下方に突出している。本実施形態において、カバー本体51の各壁51a~51dは、延出片64よりも薄肉に形成されている。したがって、延出片64は、カバー本体51の各壁51a~51dよりも剛性が高くなっている。なお、延出片64は、縦供給筒部21における任意の位置に設けられていてもよい。
【0036】
第2係合部63は、側面視において三角形状に形成されている。具体的に、第2係合部63の前面は、延出片64に対して垂直に延びる本体側係合面63m(
図3参照)を構成している。一方、第2係合部63の後面は、後方に向かうに従い上方に傾斜して延びる乗り越え面63n(
図3参照)を構成している。
【0037】
延出片64の前端部には、リブ65が設けられている。リブ65は、延出片64における左右方向の中央部から下方に突出するとともに、前後方向に延びている。リブ65における延出片64からの突出高さ(下方への突出量)は、第2係合部63の突出高さよりも大きい。リブ65の後端縁は、第2係合部63の本体側係合面63mに対して前方に離間している。リブ65の前端縁は、縦供給筒部21の後端に連なっている。但し、リブ65の後端縁は、縦供給筒部21から離間していてもよい。左右方向において、延出片64の寸法は、第2係合部63の寸法よりも小さくなっている。
【0038】
図2、
図3に示すように、第2被係合部54は、側面視において台形状に形成されている。第2被係合部54の後面は、第2係合部63の本体側係合面63mと前後方向で向かい合うカバー側係合面54mを構成している。第2被係合部54のカバー側係合面54mは、第2係合部63の本体側係合面63mに前方から近接又は当接している。一方、第2被係合部54の前面は、後方に向かうに従い上方に傾斜して延びる反係合面54nを構成している。本実施形態において、第2被係合部54の左右方向の寸法は、第2係合部63の寸法よりも大きくなっている。
【0039】
第2被係合部54には、第2被係合部54の表面のうちカバー側係合面54m以外の面で開口する肉抜き凹部54aが形成されている。肉抜き凹部54aは、第2被係合部54における左右方向の中央部において、第2被係合部54の上面54p及び反係合面54n上で開口している。すなわち、肉抜き凹部54aは、第2被係合部54の上面54pに対して下方に窪み、前後方向に向けて延びる縦溝である。左右方向において、肉抜き凹部54aの寸法は、リブ65よりも大きく、第2係合部63よりも小さくなっている。
【0040】
第2被係合部54が第2係合部63に係合している状態において、肉抜き凹部54a内にはリブ65が後方から差し込まれている。リブ65の外面のうち左右方向の外側を向く外側面は、肉抜き凹部54aの内面のうち左右方向で向かい合う内側面に対して近接又は当接している。リブ65の外側面と、肉抜き凹部54aの内側面と、が左右方向で近接又は当接することで、噴出器本体10に対するカバー13の左右方向の移動が規制されている。
【0041】
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1の作用について説明する。以下の説明において、噴出器本体10の各部内には既に液体が充填されているものとする。
図1に示すように、トリガー式液体噴出器1を用いて液体を噴出させるには、まず人差し指や中指をトリガー部12に前方から引っ掛け、親指を装着キャップ22に引っ掛けた状態で、トリガー式液体噴出器1を把持する。この状態で、トリガー部12を後方に引く。すると、トリガー部12が弾性部材41の付勢力に抗して後方に移動することで、ピストン32が後退する。これにより、シリンダ31内が加圧され、シリンダ31内に貯留された液体が連絡路36内に圧送される。連絡路36内を流通する液体の一部は、連通孔21fを通じて縦供給筒部21内に流入することで、ボール弁28を押し下げる。これにより、縦供給筒部21を通じた容器体A内と射出筒部24内との連通が遮断される。一方、連絡路36内を流通する液体の一部は、射出筒部24内に流入する。射出筒部24内に流入した液体は、中継部材25を通じてノズル部材11内に流入し、噴出孔11aを通じて噴出される。
【0042】
液体の噴出後、トリガー部12に付与した後方への押圧力を解放すると、弾性部材41の復元力によってトリガー部12が前方に付勢されて元の位置に復帰する。これに伴ってピストン32が前方移動することで、シリンダ31内が減圧される。これにより、ボール弁28が上昇して、容器体A内とシリンダ31内とが縦供給筒部21及び連絡路36内を通じて連通する。その結果、容器体A内の液体が、縦供給筒部21内に吸い上げられ、連絡路36内を通してシリンダ31内に導入される。
【0043】
続いて、噴出器本体10に対してカバー13を組み付ける際の作用について説明する。以下の説明では、主に第2係合部63と第2被係合部54との作用について説明する。以下の説明では、トリガー式液体噴出器1のうち、カバー13以外の部分をまとめて噴出器本体10等という。
まず、カバー本体51の挿入開口51pを前方に向けた状態で、噴出器本体10等とカバー13とを前後方向で接近させる。そして、噴出器本体10をカバー13の内側に挿入する。すると、噴出器本体10は、レール部が突条部52に案内されることで、カバー13内を後方に移動する。噴出器本体10等が後方に移動する過程で、第1被係合部53が第1係合部62を乗り越えることで、第1被係合部53が第1係合部62に前方から係合する。一方、噴出器本体10等が後方に移動する過程で、第2被係合部54が第2係合部63を乗り越えることで、第2被係合部54が第2係合部63に前方から係合する。これにより、噴出器本体10に対してカバー13が組み付けられる。
【0044】
ここで、
図3に示すように、第2被係合部54が第2係合部63を乗り越える際には、まず第2被係合部54の反係合面54nが第2係合部63の乗り越え面63nに接触する。この状態で、噴出器本体10等がカバー13に対して後方に移動することで、第2被係合部54の反係合面54nと第2係合部63の乗り越え面63n同士が摺動する。これにより、第2被係合部54が下方に向けて押し込まれ、カバー本体51の後壁51cの下端部や底壁51dが下方に向けて弾性変形する。カバー本体51の弾性変形に伴い、第2被係合部54が下方に向けて弾性変位する。その結果、第2被係合部54は、カバー13に対する噴出器本体10の後方移動に伴い、第2係合部63を乗り越える。そして、第2被係合部54が第2係合部63を乗り越えた後、カバー本体51(後壁51cや底壁51d)が復元変形する。その結果、第2被係合部54のカバー側係合面54mが第2係合部63の本体側係合面63mに対して前方から近接又は当接した状態となり、第2被係合部54が第2係合部63に前方(開口方向の外側)から係合する。
【0045】
なお、本実施形態では、第2被係合部54が第2係合部63を乗り越える際に、カバー本体51が弾性変形する構成について説明したが、この構成に限られない。例えば第2被係合部54が弾性変形することで、第2係合部63を乗り越える構成であってもよく、第2被係合部54及びカバー本体51の双方が弾性変形する構成であってもよい。また、第2被係合部54が第2係合部63を乗り越える際に、延出片64が上方に弾性変形してもよい。
【0046】
このように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1において、第2被係合部54は、第2係合部63の本体側係合面63mに対して前後方向で向かい合うカバー側係合面54mと、第2係合部63とは反対側を向き、上方に向かうに従い後方に延びる反係合面54nと、を備えている構成とした。その上で、第2被係合部54には、第2被係合部54のうち、カバー側係合面54m以外の面で開口する肉抜き凹部54aが形成されている構成とした。
この構成によれば、第2被係合部54に肉抜き凹部54aが形成されているので、カバー本体51(底壁51d)の内面からの第2被係合部54の突出高さを高くして、第2被係合部54と第2係合部63との係合代を高めたとしても、第2被係合部54の体積増大を抑えることが可能になる。
特に、肉抜き凹部54aが、第2被係合部54におけるカバー側係合面54m以外の面で開口しているので、第2被係合部54と第2係合部63との係合代を確実に高めることができる。
その結果、重量増大を抑えた上で、カバー13と噴出器本体10との係合強度を確保できる。
【0047】
しかも、第2被係合部54の反係合面54nが、上方に向かうに従い後方に向けて延びているので、挿入開口51pを通じて噴出器本体10をカバー本体51内に挿入するときに、第2被係合部54が第2係合部63をスムーズに乗り越える。これにより、カバー本体51の内面からの第2被係合部54の突出高さを高くしても、噴出器本体10に対するカバー13の組付性を確保することができる。
【0048】
本実施形態において、肉抜き凹部54aは、前後方向に延びる縦溝とされ、噴出器本体10には、肉抜き凹部54aに差し込まれたリブ65が設けられている構成とした。
この構成によれば、リブ65の外側面が肉抜き凹部54aの内側面に当接することで、噴出器本体10に対するカバー13の移動が規制される。これにより、第2被係合部54と第2係合部63との係合が不意に解除されるのを抑制できる。これにより、第2被係合部54と第2係合部63との係合状態を維持し易い。
【0049】
本実施形態において、肉抜き凹部54aは、第2被係合部54の反係合面54nで開口している構成とした。
この構成によれば、噴出器本体10とカバー13とを組み付ける際に、挿入開口51pを通じて噴出器本体10をカバー本体51内に挿入することで、リブ65が肉抜き凹部54a内に差し込まれる。これにより、噴出器本体10に対するカバー13の組付性を確保することができる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、カバー本体51の底壁51dに形成された第2被係合部54を本発明に係る被係合部とした場合について説明したが、この構成に限られない。例えば、第1被係合部53を本発明に係る被係合部としてもよい。
上述した実施形態では、挿入開口51pが前方に開口する構成について説明したが、この構成に限られない。挿入開口51pが上下方向等に開口していてもよい。この場合には、上下方向が開口方向となり、左右方向及び前後方向の一方が第1方向となる。
【0051】
上述した実施形態では、本発明に係る被係合部を1つのみ備える構成について説明したが、この構成に限られない。トリガー式液体噴出器1は、本発明に係る被係合部を複数備えていてもよい。
カバー13は、噴出孔11aを露呈させた状態で噴出器本体10を覆う構成であれば、適宜変更が可能である。
【0052】
上述した実施形態では、肉抜き凹部54aが第2被係合部54の上面54p及び反係合面54n上で開口している構成について説明したが、この構成に限られない。肉抜き凹部54aは、第2被係合部54のカバー側係合面54m以外の面に形成されていれば、上面54pのみや左右方向を向く側面のみに開口していてもよい。肉抜き凹部54aがリブ65と向かい合う面に形成されていない場合等において、カバー13を噴出器本体10に組み付ける際に、リブ65が第2被係合部54を乗り越えて肉抜き凹部54a内に嵌まり込む構成であってもよい。
上述した実施形態では、肉抜き凹部54a及びリブ65が一つずつ形成された構成について説明したが、この構成に限られない。肉抜き凹部54a及びリブ65は複数ずつ形成されていてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1:トリガー式液体噴出器
5:被係合部
10:噴出器本体
11:ノズル部材
11a:噴出孔
12:トリガー部
13:カバー
26:ポンプ部
51:カバー本体
51p:挿入開口
54:第2被係合部(被係合部)
54a:肉抜き凹部
54m:カバー側係合面(係合面)
54n:反係合面
63:第2係合部(係合部)
65:リブ
A:容器体