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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】航空機用推進システム
(51)【国際特許分類】
   B64D 41/00 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
B64D41/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021036961
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137452
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】北 章徳
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-075649(JP,A)
【文献】特開昭62-085700(JP,A)
【文献】特開平10-299533(JP,A)
【文献】特開平06-247186(JP,A)
【文献】特開2020-088918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0173300(US,A1)
【文献】特開平08-051797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0245748(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機に搭載されるガスタービンエンジンと、
前記ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合され、前記エンジン軸の回転を利用して発電する発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、
前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動する電動機と、
前記エンジン軸の回転数を検出する検出部と、
前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御するエンジン制御部と、
前記発電機の動作を制御する発電機制御部とを備え、
前記回転数が所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記回転数の急変を低減するための制御を実行
前記所定条件は、前記回転数と前記エンジン軸のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる第1閾値及び第2閾値について、前記第1閾値を前記回転数が上回る第1条件と前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を前記回転数が下回る第2条件とのうちいずれか一方が満たされることであり、
前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第1条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を増加させ、
前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第2条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を減少させ、
前記動作点に応じて定まる第3閾値及び第4閾値について、前記第3閾値を前記トルクが上回る第3条件と前記第3閾値よりも小さい前記第4閾値を前記トルクが下回る第4条件とのうちいずれか一方が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記トルクの急変を低減するための制御を実行する、
航空機用推進システム。
【請求項2】
前記第1条件が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記回転数の変化率に応じて前記燃料流量を減少させる、
請求項に記載の航空機用推進システム。
【請求項3】
前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の発電量を発電量上限値まで増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量下限値まで減少させる、
請求項に記載の航空機用推進システム。
【請求項4】
前記第2条件が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記回転数の変化率に応じて前記燃料流量を増加させる、
請求項に記載の航空機用推進システム。
【請求項5】
前記第2条件が満たされ、且つ、所定時間内に前記回転数が目標値に達しない場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させる、
請求項に記載の航空機用推進システム。
【請求項6】
航空機に搭載されるガスタービンエンジンと、
前記ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合され、前記エンジン軸の回転を利用して発電する発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、
前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動する電動機と、
前記エンジン軸の回転数を検出する検出部と、
前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御するエンジン制御部と、
前記発電機の動作を制御する発電機制御部とを備え、
前記回転数が所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記回転数の急変を低減するための制御を実行し
前記所定条件は、前記回転数と前記エンジン軸のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる第1閾値及び第2閾値について、前記第1閾値を前記回転数が上回る第1条件と前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を前記回転数が下回る第2条件とのうちいずれか一方が満たされることであり、
前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第1条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を増加させ、
前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第2条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を減少させ、
前記第2条件が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記回転数の変化率に応じて前記燃料流量を増加させ、
前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量上限値まで増加させる、
航空機用推進システム。
【請求項7】
航空機に搭載されるガスタービンエンジンと、
前記ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合され、前記エンジン軸の回転を利用して発電する発電機と、
前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、
前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動する電動機と、
前記エンジン軸のトルクを検出する検出部と、
前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御するエンジン制御部と、
前記発電機の動作を制御する発電機制御部とを備え、
前記トルクの変化率が所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記トルクの急変を低減するための制御を実行
前記所定条件は、前記エンジン軸の回転数と前記トルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる第1閾値及び第2閾値について、前記第1閾値を前記トルクが上回る第1条件と前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を前記トルクが下回る第2条件とのうちいずれか一方が満たされることであり、
前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第1条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を増加させ、前記エンジン制御部は、前記トルクの変化率に応じて前記燃料流量を減少させ、
前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第2条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を減少させる、
航空機用推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用推進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンと発電機と蓄電池とを備えるハイブリッド推進システムが知られている。このようなハイブリッド推進システムは、航空機用推進システムの一つである(特許文献1)。また、ガスタービンエンジンの制御では、エンジン軸の回転数及びトルクに応じて定まる動作点の範囲(以下「動作範囲」という。)が、予め定められている。動作範囲の内側に動作点が在る場合、ガスタービンエンジンは正常動作する。これに対して、動作範囲の外側に動作点が出た場合には、サージング、エンジンストール、異常高温又は失火等がガスタービンエンジンに生じる場合がある。そこで、航空機用推進システムは、予め定められた動作範囲内に動作点が常に在るように、エンジン軸の回転数及びトルクを制御する。
【0003】
しかしながら、気流の急変又はロータの故障によって、エンジン軸に対して負荷抜け又は過負荷が急に生じる場合がある。エンジン軸に対して負荷抜けが急に生じた場合、エンジン軸の回転数が急に上昇し、ガスタービンエンジンの破損及び失火が生じる場合がある。ガスタービンエンジンの破損及び失火が生じないように、航空機用推進システムは、ガスタービンエンジンの燃料流量を減少させて、エンジン軸の回転数及びトルクを減少させる。また、エンジン軸に対して過負荷が急に生じた場合、エンジン軸の回転数が急に下降し、サージング及びエンジンストールが生じる場合がある。サージング及びエンジンストールが生じないように、航空機用推進システムは、ガスタービンエンジンの燃料流量を増加させて、エンジン軸の回転数及びトルクを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8727271号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガスタービンエンジンの燃料流量の制御に対して、エンジン軸の回転数及びトルクの応答は遅い。このため、航空機用推進システムが燃料流量を早めに制御しなければ、ガスタービンエンジンを保護することができない場合がある。このように、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、ガスタービンエンジンを保護することができない場合がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、ガスタービンエンジンを保護することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る航空機用推進システムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る航空機用推進システムは、航空機に搭載されるガスタービンエンジンと、前記ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合され、前記エンジン軸の回転を利用して発電する発電機と、前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動する電動機と、前記エンジン軸の回転数を検出する検出部と、前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御するエンジン制御部と、前記発電機の動作を制御する発電機制御部とを備え、前記回転数が所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記回転数の急変を低減するための制御を実行する。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、前記所定条件は、前記回転数と前記エンジン軸のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる第1閾値及び第2閾値について、前記第1閾値を前記回転数が上回る第1条件と前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を前記回転数が下回る第2条件とのうちいずれか一方が満たされることであり、前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第1条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を増加させ、前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第2条件が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を減少させる。
【0009】
(3):上記(2)の態様において、前記第1条件が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記回転数の変化率に応じて前記燃料流量を減少させる。
【0010】
(4):上記(3)の態様において、前記第1条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の発電量を発電量上限値まで増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量下限値まで減少させる。
【0011】
(5):上記(2)の態様において、前記第2条件が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記回転数の変化率に応じて前記燃料流量を増加させる。
【0012】
(6):上記(5)の態様において、前記第2条件が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量上限値まで増加させる。
【0013】
(7):上記(2)の態様において、前記第2条件が満たされ、且つ、所定時間内に前記回転数が目標値に達しない場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させる。
【0014】
(8):上記(2)から(7)のいずれかの態様において、前記動作点に応じて定まる第3閾値及び第4閾値について、前記第3閾値を前記エンジン軸のトルクが上回る第3条件と前記第3閾値よりも小さい前記第4閾値を前記トルクが下回る第4条件とのうちいずれか一方が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記エンジン軸のトルクの急変を低減するための制御を実行する。
【0015】
(9):この発明の一態様に係る航空機用推進システムは、航空機に搭載されるガスタービンエンジンと、前記ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合され、前記エンジン軸の回転を利用して発電する発電機と、前記発電機によって発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動する電動機と、前記エンジン軸のトルクを検出する検出部と、前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御するエンジン制御部と、前記発電機の動作を制御する発電機制御部とを備え、前記エンジン軸のトルクが所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記エンジン軸のトルクの急変を低減するための制御を実行する。
【発明の効果】
【0016】
(1)から(2)の態様によれば、回転数が所定条件を満たす場合、回転数の急変を低減するための制御を少なくとも発電機制御部が実行することにより、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、航空機用推進システムはガスタービンエンジンを保護することができる。
【0017】
(3)の態様によれば、負荷抜けによってエンジン軸の回転数が回転数上限値を上回る可能性を、航空機用推進システムは低減することができる。
【0018】
(4)の態様によれば、負荷抜けによってエンジン軸の回転数が回転数上限値を上回る可能性を、航空機用推進システムは更に低減することができる。
【0019】
(5)の態様によれば、過負荷によってエンジン軸の回転数が回転数下限値を下回る可能性を、航空機用推進システムは低減することができる。
【0020】
(6)から(7)の態様によれば、過負荷によってエンジン軸の回転数が回転数下限値を下回る可能性を、航空機用推進システムは更に低減することができる。
【0021】
(8)の態様によれば、トルクが所定条件を満たす場合、トルクの急変を低減するための制御を少なくとも発電機制御部が実行することにより、航空機用推進システムはガスタービンエンジンを保護することができる。
【0022】
(9)の態様によれば、回転数が所定条件を満たす場合、回転数の急変を低減するための制御を少なくとも発電機制御部が実行することにより、航空機用推進システムはガスタービンエンジンを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】航空機の構成例を概略的に示す図である。
図2】航空機用推進システムの構成例を示す図である。
図3】回転数に対する各閾値線の例を示す図である。
図4】トルクが一定の場合における、回転数に対する各閾値の例を示す図である。
図5】トルクに対する各閾値線の例を示す図である。
図6】回転数が一定の場合における、トルクに対する各閾値の例を示す図である。
図7】各回転数閾値に基づく動作例を示すフローチャートである。
図8】回転数が第1上限閾値を上回る場合における処理例を示すフローチャートである。
図9】回転数が第1下限閾値を下回る場合における処理例を示すフローチャートである。
図10】各トルク閾値に基づく動作例を示すフローチャートである。
図11】トルクが第2上限閾値を超えた場合における処理例を示すフローチャートである。
図12】トルクが第3下限閾値を下回る場合における処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の航空機用推進システムの実施形態について説明する。
<概要>
実施形態の航空機用推進システムは、ガスタービンエンジンと発電機と蓄電池とを備えるハイブリッド推進システムである。発電機は、ガスタービンエンジンのエンジン軸に結合されている。発電機は、エンジン軸の回転を利用して回生運転(regenerative running)を実行する。発電機は、蓄電池から出力された電力を利用して、力行運転(power running)を実行してもよい。実施形態の航空機用推進システムは、以下の(1)及び(2)に例示された動作を実行する。
【0025】
(1)エンジン軸に対して負荷抜けが生じた場合
航空機用推進システムは、エンジン軸の回転数及びトルクのうちの少なくとも一方の時間変化率に比例するように、発電機の発電量(回生量)を増加させる。航空機用推進システムは、ガスタービンエンジンの燃料流量を減少させてもよい。これらによって、エンジン軸に対するトルク負荷が増加するので、エンジン軸の過回転が抑制され、エンジンの破損及び失火が生じることが抑制される。
【0026】
(2)エンジン軸に対して過負荷が生じた場合
航空機用推進システムは、エンジン軸の回転数及びトルクのうちの少なくとも一方の時間変化率に比例するように、発電機の発電量(回生量)を減少させる。航空機用推進システムは、ガスタービンエンジンの燃料流量を増加させてもよい。これらによって、エンジン軸に対するトルク負荷が減少するので、エンジン軸の回転の急な減少が抑制され、サージング及びエンジンストールが生じることが抑制される。
【0027】
また、発電量が減少してもエンジン軸の回転数の急な減少が所定時間において継続する場合には、航空機用推進システムは、蓄電池から出力された電力を利用して、発電機を電動機として動作(力行運転)させる。これによって、エンジン軸に対して逆トルクが積極的に生じるので、エンジン軸の回転の急な減少が更に抑制され、サージング及びエンジンストールが生じることが更に抑制される。
【0028】
なお、上記(1)及び(2)において、負荷量と発電量とが一時的に不一致となった場合、航空機用推進システムは、負荷量と発電量との差分を、蓄電池における充電又は放電によって補償する。
【0029】
<実施形態>
図1は、航空機1の構成例を概略的に示す図である。以下では、符号「N」は一例として4である。航空機1は、機体10と、電動機20-n(nは、1からNまでの整数。)と、アーム40-nと、ロータ30-nとを備える。航空機1は、特定の種類の航空機に限定されない。航空機1は、例えば、マルチコプタ、ヘリコプタ、又は、回転翼と固定翼との両方を有するコンパウンド型航空機である。航空機1は、有人航空機でもよいし、無人航空機でもよい。
【0030】
ロータ30-nは、アーム40-nを介して機体10に取り付けられている。ロータ30-nの回転軸には、電動機20-nが取り付けられている。電動機20-nは、電流を利用して、ロータ30-nを駆動させる。電動機20は、例えば、ブラシレス直流モータである。ロータ30-nは、ブレードを備える。ロータ30-nは、航空機1の姿勢が水平である場合、鉛直方向の軸線周りに回転する。
【0031】
以下では、電動機20-nに共通する事項については、符号の一部が省略されて、「電動機20-n」は「電動機20」と表記される。アーム40-nに共通する事項については、符号の一部が省略されて、「アーム40-n」は「アーム40」と表記される。ロータ30-nに共通する事項については、符号の一部が省略されて、「ロータ30-n」は「ロータ30」と表記される。
【0032】
電動機20-nの電流量が制御信号に応じて制御される。電動機20-nが電流量に応じてロータ30-nを駆動することによって、ロータ30が回転する。これによって、航空機1は、揚力を得る。制御信号は、航空機1の操縦者による操作又は自動操縦による指示に基づいて生成される。例えば、ロータ30-1とロータ30-4とが第1方向(例えば、時計方向)に回転し、ロータ30-2とロータ30-3とが第2方向(例えば、反時計方向)に回転することによって、航空機1は飛行する。なお、機体10は、ロータ30の他に、姿勢保持用又は水平推進用の補助ロータ(不図示)を備えてもよい。
【0033】
図2は、航空機用推進システム2の構成例を示す図である。航空機用推進システム2は、ガスタービンエンジン11と、エンジン軸12と、発電機13と、コンバータ14と、蓄電池15と、インバータ16と、蓄電池制御部17と、検出部18と、エンジン制御部19と、電動機20-nと、ハイブリッド制御部21と、発電機制御部22と、操作部23と、飛行制御部24と、電動機制御部25と、ロータ30-nとを備える。機体10は、これらのうちの電動機20-nとロータ30-nとを、機体10の外部に備える。発電機13は、ガスタービンエンジン11のエンジン軸12に予め結合される。
【0034】
蓄電池制御部17とエンジン制御部19とハイブリッド制御部21と発電機制御部22と飛行制御部24と電動機制御部25との構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0035】
ガスタービンエンジン11は、エンジン制御部19によって制御された燃料流量に応じて、エンジン軸12を回転駆動する。発電機13は、発電機制御部22による制御に応じて、回生運転又は力行運転を実行する。発電機13は、回生運転を実行する場合、エンジン軸12の回転を利用して発電する。発電機13は、発電機13が電動機として用いられる場合、コンバータ14を介して蓄電池15から出力された電力を用いて力行運転する。
【0036】
コンバータ14は、発電機13が回生運転を実行する場合、発電機13から出力された三相の交流電流(電力)を直流電流に変換する。コンバータ14は、変換された直流電流をインバータ16に出力する。また、コンバータ14は、変換された直流電流を蓄電池15に出力してもよい。これによって、変換された直流電流は、蓄電池15に蓄電される。
【0037】
コンバータ14は、発電機13が力行運転を実行する場合、蓄電池15から出力された直流電流を三相の交流電流(電力)に変換する。コンバータ14は、変換された三相の交流電流を発電機13に出力する。これによって、発電機13は、変換された三相の交流電流を利用して、力行運転を実行する。
【0038】
蓄電池15は、蓄電池制御部17による制御に応じて、発電機13から出力された直流電流(電力)を蓄電する。蓄電池15は、蓄電池制御部17による制御に応じて、蓄電された電力をコンバータ14又はインバータ16に出力する。
【0039】
インバータ16は、コンバータ14から出力された直流電流を、三相の交流電流に変換する。インバータ16は、三相の交流電流を電動機20に出力する。電動機20-nは、インバータ16から出力された三相の交流電流を利用して、ロータ30-nを回転駆動する。
【0040】
蓄電池制御部17は、蓄電池15の蓄電動作及び放電動作を制御する。蓄電池制御部17は、蓄電池15における蓄電量データを、ハイブリッド制御部21に出力する。蓄電池制御部17は、ハイブリッド制御部21による制御に応じて、蓄電池15の動作モードを蓄電モード又は放電モードに切り替える。
【0041】
検出部18は、エンジン軸12の回転数を、例えばレゾルバを用いて検出する。検出部18は、エンジン軸12のトルクを、例えば歪ゲージを用いて検出する。検出部18は、エンジン軸12のトルクを、例えばエンジン軸12の表面に貼られた光学素材の偏光を用いて検出してもよい。検出部18は、エンジン軸12の回転数データ及びトルクデータを、エンジン制御部19に出力する。
【0042】
エンジン制御部19は、ハイブリッド制御部21によって生成された制御指令に基づいて、ガスタービンエンジン11の燃料流量を制御する。制御指令は、例えば、エンジン軸12の回転数の指令値とエンジン軸12のトルクの指令値とを表す。
【0043】
ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数データを、エンジン制御部19を介して、検出部18から取得する。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクデータを、エンジン制御部19を介して、検出部18から取得する。ハイブリッド制御部21は、ロータ30の回転数の目標値を表す信号を、飛行制御部24から取得する。ハイブリッド制御部21は、蓄電池15における蓄電量データを、蓄電池制御部17から取得する。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数データ及びトルクデータとロータ30の回転数の目標値を表す信号とに基づいて、発電機制御部22とエンジン制御部19とのうちの少なくとも一方に対して制御指令を生成する。
【0044】
発電機制御部22は、ハイブリッド制御部21によって生成された制御指令に基づいて、発電機13の動作を制御する。発電機制御部22は、制御指令に基づいて、発電機13に回生運転を実行させる。発電機制御部22は、制御指令に基づいて、発電機13に力行運転を実行させてもよい。
【0045】
エンジン軸12の回転数が第1所定条件を満たす場合、発電機制御部22は、エンジン軸12の回転数の急変を低減するための制御を実行する。第1所定条件とは、予め定められた第1閾値と予め定められた第2閾値とについて、第1条件と第2条件とのうちいずれか一方が満たされるという条件である。
【0046】
以下では、第1閾値は、第1上限閾値「A1」と表記される。第2閾値は、第1下限閾値「B1」又は第2下限閾値「B2」と表記される。第1上限閾値「A1」と第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」とは、エンジン軸12の回転数とエンジン軸12のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる。第1上限閾値「A1」と第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」とのうち、第1上限閾値「A1」が最も大きい値であり、第2下限閾値「B2」が最も小さい値である。第1上限閾値「A1」と第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」との詳細は、図4を用いて後述される。
【0047】
第1条件とは、第1上限閾値「A1」をエンジン軸12の回転数が上回るという条件である。第2条件とは、第1下限閾値「B1」をエンジン軸12の回転数が下回るという条件である。第2条件とは、第2下限閾値「B2」をエンジン軸12の回転数が下回るという条件でもよい。
【0048】
第1条件が満たされる場合、発電機制御部22は、第1条件が満たされる以前における発電機13の発電量に比して、発電機13の発電量を増加させる。第2条件が満たされる場合、発電機制御部22は、第2条件が満たされる以前における発電機13の発電量に比して、発電機13の発電量を減少させる。第2条件が満たされ、且つ、所定時間内にトルクが目標値に達しない場合、発電機制御部22は、発電機13の力行量を増加させてもよい。
【0049】
エンジン軸12のトルクが第2所定条件を満たす場合、発電機制御部22は、エンジン軸12のトルクの急変を低減するための制御を実行する。第2所定条件とは、予め定められた第3閾値と予め定められた第4閾値とについて、第3条件と第4条件とのうちいずれか一方が満たされるという条件である。
【0050】
以下では、第3閾値は、第2上限閾値「A2」と表記される。第4閾値は、第3下限閾値「B3」又は第4下限閾値「B4」と表記される。第2上限閾値「A2」と第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」とは、エンジン軸12の回転数とエンジン軸12のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる。第2上限閾値「A2」と第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」とのうち、第2上限閾値「A2」が最も大きい値であり、第4下限閾値「B4」が最も小さい値である。第2上限閾値「A2」と第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」との詳細は、図5を用いて後述される。
【0051】
第3条件とは、第2上限閾値「A2」をエンジン軸12のトルクが上回るという条件である。第4条件とは、第3下限閾値「B3」をエンジン軸12のトルクが下回るという条件である。第4条件とは、第4下限閾値「B4」をエンジン軸12の回転数が下回るという条件でもよい。
【0052】
第3条件が満たされる場合、発電機制御部22は、第3条件が満たされる以前における発電機13の発電量に比して、発電機13の発電量を増加させる。第4条件が満たされる場合、発電機制御部22は、第4条件が満たされる以前における発電機13の発電量に比して、発電機13の発電量を減少させる。第4条件が満たされ、且つ、所定時間内にトルクが目標値に達しない場合、発電機制御部22は、発電機13の力行量(電動量)を増加させてもよい。
【0053】
操作部23は、例えば、操縦桿、操作ボタン及びタッチパネルを備える。操作部23は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備えてもよい。操作部23は、操縦者による操作を受け付ける。操作部23は、操縦者による操作に応じて、航空機1の航路データと、航空機1の速度データと、航空機1の高度データとを、飛行制御部24に出力する。操作部23は、センサ(不図示)による検出結果に応じて、航空機1の速度データと、航空機1の高度データとを、飛行制御部24に出力してもよい。
【0054】
飛行制御部24は、航空機1の速度データに基づいて、ロータ30の回転数(回転速度)の目標値を表す信号を生成する。飛行制御部24は、ロータ30の回転数の目標値を表す信号を、ハイブリッド制御部21と電動機制御部25とに出力する。電動機制御部25は、ロータ30の回転数の目標値を表す信号に基づいて、電動機20における電流量を制御する。ロータ30は、電動機20における電流量に応じた回転数で回転する。これによって、航空機1の揚力が得られる。
【0055】
次に、エンジン軸12の回転数に基づく制御について説明する。
図3は、回転数に対する各閾値線の例を示す図である。横軸は、エンジン軸12の回転数を示す。縦軸は、エンジン軸12のトルクを示す。動作点300の位置は、エンジン軸12の回転数及びトルクに応じて定まる。ガスタービンエンジン11の制御では、動作点300の範囲(動作範囲)が予め定められている。動作範囲は、第1境界線100と、第2境界線101と、第3境界線102と、第4境界線103と、第5境界線104と、第6境界線105と、第7境界線106とによって囲まれた一つの閉じられた領域(範囲)である。
【0056】
第1境界線100は、動作範囲の形状を定める境界線であって、タービン入口温度の境界を表す線である。動作点300が第1境界線100を通過して動作範囲外に出た場合、タービン入口温度が異常高温になる可能性がある。第2境界線101は、動作範囲の形状を定める境界線であって、エンジンストールの境界を表す線である。動作点300が第2境界線101を通過して動作範囲外に出た場合、ガスタービンエンジン11が停止する可能性がある。第3境界線102は、動作範囲の形状を定める境界線であって、エンジン軸の回転数の下限値(第1回転数下限値)を表す線である。第4境界線103は、動作範囲の形状を定める境界線であって、エンジン軸のトルクの下限値(第1トルク下限値)を表す線である。
【0057】
第5境界線104は、動作範囲の形状を定める境界線であって、失火の境界を表す線である。動作点300が第5境界線104を通過して動作範囲外に出た場合、ガスタービンエンジン11の失火が生じる可能性がある。第6境界線105は、動作範囲の形状を定める境界線であって、回転数の上限値(第1回転数上限値)を表す線である。第7境界線106は、動作範囲の形状を定める境界線であって、ガスタービンエンジン11の最大出力限界(例えば、400kW)を表す線である。図3に示された「第1トルク上限値」は、第1境界線100と第7境界線106とが交差する点におけるトルク値を表す。
【0058】
動作範囲の内側には、エンジン軸12の回転数に対する各閾値線が、例えば実験結果に基づいて予め定められる。第1上限閾値線200と第1下限閾値線201と第2下限閾値線202とによって囲まれた一つの閉じられた領域(範囲)は、動作範囲の内側に、動作範囲よりもわずかに狭い領域(範囲)を形成する。
【0059】
第1上限閾値線200は、動作範囲において、第3境界線102、第4境界線103、第5境界線104、第6境界線105及び第7境界線106により定まる境界線よりも内側に定められた閾値を表す線である。第1下限閾値線201は、動作範囲において、第1境界線100及び第2境界線101により定まる境界線よりも内側に定められた閾値を表す線である。第2下限閾値線202は、動作範囲において、第1境界線100及び第2境界線101により定まる境界線と第1下限閾値線201との間に定められた閾値を表す線である。
【0060】
以下では、説明を簡単にするため、トルクが一定で動作点300が移動する場合と、回転数が一定で動作点300が移動する場合とについて説明する。
【0061】
図4は、トルクが一定の場合における、回転数に対する各閾値の例を示す図である。横軸は、エンジン軸12の回転数を示す。縦軸は、エンジン軸12のトルクを示す。動作範囲内で動作点300が第1上限閾値線200を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第1上限閾値「A1」を上回る場合がある。動作範囲内で動作点300が第1下限閾値線201を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」との間にある場合がある。また、動作範囲内で動作点300が第2下限閾値線202を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第2下限閾値「B2」を下回る場合がある。
【0062】
(エンジン軸12の回転数「NE」が第1上限閾値「A1」を上回る場合)
ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数「NE」の変化率「ΔNE/Δt」を導出する。ここで、「Δt」は、所定の時間幅(例えば、100ms)を表す。「ΔNE」は、所定の時間幅「Δt」における、回転数「NE」の変化量を表す。
【0063】
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。
【0064】
ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を下限流量まで減少させてもよい。例えば、ハイブリッド制御部21は、燃料遮断弁を用いて、ガスタービンエンジン11の燃料流量を0まで減少させてもよい。また、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、発電機13の発電量(回生量)を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、発電機13の発電量を上限発電量まで増加させてもよい。
【0065】
(エンジン軸12の回転数「NE」が第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」との間にある場合)
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。
【0066】
ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させてもよい。ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を下限発電量(例えば、0kW)まで減少させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、発電機13の発電量を下限発電量まで減少させる。
【0067】
(エンジン軸12の回転数「NE」が第2下限閾値「B2」を下回る場合)
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。ハイブリッド制御部21は、力行運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の力行量(電動量)を上限力行量まで増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数の時間変化率に比例するように、発電機13の力行量(電動量)を増加させる。
【0068】
次に、エンジン軸12のトルクに基づく制御について説明する。
図5は、トルクに対する各閾値線の例を示す図である。横軸は、エンジン軸12の回転数を示す。縦軸は、エンジン軸12のトルクを示す。動作範囲の内側には、エンジン軸12のトルクに対する各閾値線が、例えば実験結果に基づいて予め定められる。第2上限閾値線203と第3下限閾値線204と第4下限閾値線205とによって囲まれた一つの閉じられた領域(範囲)は、動作範囲の内側に、動作範囲よりもわずかに狭い領域(範囲)を形成する。
【0069】
第2上限閾値線203は、動作範囲において、第1境界線100、第2境界線101、第3境界線102、第6境界線105及び第7境界線106により定まる境界線よりも内側に定められた閾値を表す線である。第3下限閾値線204は、動作範囲において、第4境界線103及び第5境界線104により定まる境界線よりも内側に定められた閾値を表す線である。第4下限閾値線205は、動作範囲において、第4境界線103及び第5境界線104により定まる境界線と第3下限閾値線204との間に定められた閾値を表す線である。
【0070】
図6は、回転数が一定の場合における、トルクに対する各閾値の例を示す図である。横軸は、エンジン軸12の回転数を示す。縦軸は、エンジン軸12のトルクを示す。動作範囲内で動作点300が第2上限閾値線203を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第2上限閾値「A2」を上回る場合がある。動作範囲内で動作点300が第3下限閾値線204を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」との間にある場合がある。また、動作範囲内で動作点300が第4下限閾値線205を通過したことによって、エンジン軸12の回転数が第4下限閾値「B4」を下回る場合がある。
【0071】
(エンジン軸12のトルク「T」が第2上限閾値「A2」を上回る場合)
ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルク「T」の変化率「ΔT/Δt」を導出する。ここで、「Δt」は、所定の時間幅(例えば、100ms)を表す。「ΔT」は、所定の時間幅「Δt」における、トルク「T」の変化量を表す。
【0072】
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。
【0073】
ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を下限流量まで減少させてもよい。例えば、ハイブリッド制御部21は、燃料遮断弁を用いて、ガスタービンエンジン11の燃料流量を0まで減少させてもよい。また、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、発電機13の発電量(回生量)を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、発電機13の発電量を上限発電量まで増加させてもよい。
【0074】
(エンジン軸12のトルク「T」が第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」との間にある場合)
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。
【0075】
ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させてもよい。ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を下限発電量(例えば、0kW)まで減少させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、発電機13の発電量を下限発電量まで減少させる。
【0076】
(エンジン軸12のトルク「T」が第4下限閾値「B4」を下回る場合)
ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、ガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。ハイブリッド制御部21は、力行運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の力行量(電動量)を上限力行量まで増加させる。例えば、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクの時間変化率に比例するように、発電機13の力行量(電動量)を増加させる。
【0077】
次に、航空機用推進システム2の動作例を説明する。
[各回転数閾値に基づく動作例]
図7は、各回転数閾値に基づく動作例を示すフローチャートである。航空機用推進システム2は、図7に示された処理を、所定周期(例えば、100ms周期)で実行する。検出部18は、エンジン軸12の回転数を検出する。検出部18は、エンジン軸12の回転数データを、エンジン制御部19に送信する。エンジン制御部19は、エンジン軸12の回転数データを、ハイブリッド制御部21に送信する(ステップS101)。
【0078】
次に、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数「NE」が第1上限閾値「A1」を上回るか否かを判定する(ステップS102)。エンジン軸12の回転数が第1上限閾値を上回る場合、ハイブリッド制御部21は、回転数が第1上限閾値「A1」を上回る場合における処理を実行する(ステップS103)。
【0079】
エンジン軸12の回転数が第1上限閾値を超えない場合、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数が第1下限閾値「B1」を下回るか否かを判定する(ステップS104)。エンジン軸12の回転数が第1下限閾値を下回る場合、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数が第1下限閾値「B1」を下回る場合における処理を実行する(ステップS105)。エンジン軸12の回転数が第1下限閾値を下回らない場合、ハイブリッド制御部21は、図7に示された処理を終了する。
【0080】
図8は、回転数が第1上限閾値「A1」を上回る場合における処理例を示すフローチャートである。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数「NE」の変化率「ΔNE/Δt」を導出する(ステップS201)。
【0081】
次に、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を下限流量まで減少させてもよい(ステップS202)。
【0082】
次に、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、発電機13の発電量を上限発電量まで増加させてもよい(ステップS203)。
【0083】
図9は、回転数が第1下限閾値「B1」を下回る場合における処理例を示すフローチャートである。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数「NE」の変化率「ΔNE/Δt」を導出する(ステップS301)。次に、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12の回転数が第2下限閾値「B2」を下回るか否かを判定する(ステップS302)。
【0084】
エンジン軸12の回転数が第2下限閾値を下回らない場合(エンジン軸12の回転数が第1下限閾値「B1」と第2下限閾値「B2」との間にある場合)、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させてもよい(ステップS303)。次に、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を下限発電量(例えば、0kW)まで減少させる(ステップS304)。
【0085】
エンジン軸12の回転数が第2下限閾値「B2」を下回る場合、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させる(ステップS305)。次に、ハイブリッド制御部21は、力行運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12の回転数の変化率に応じて発電機13の力行量(電動量)を上限力行量まで増加させる(ステップS306)。
【0086】
[各トルク閾値に基づく動作例]
図10は、各トルク閾値に基づく動作例を示すフローチャートである。航空機用推進システム2は、図10に示された処理を、所定周期(例えば、100ms周期)で実行する。検出部18は、エンジン軸12のトルクを検出する。検出部18は、エンジン軸12のトルクデータを、エンジン制御部19に送信する。エンジン制御部19は、エンジン軸12のトルクデータを、ハイブリッド制御部21に送信する(ステップS401)。
【0087】
次に、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルク「T」が第2上限閾値「A2」を上回るか否かを判定する(ステップS402)。次に、エンジン軸12のトルクが第2上限閾値を上回る場合、ハイブリッド制御部21は、トルクが第2上限閾値「A2」を上回る場合における処理を実行する(ステップS403)。
【0088】
エンジン軸12のトルクが第2上限閾値を超えない場合、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクが第3下限閾値「B3」を下回るか否かを判定する(ステップS404)。エンジン軸12のトルクが第3下限閾値を下回る場合、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクが第3下限閾値「B3」を下回る場合における処理を実行する(ステップS405)。エンジン軸12のトルクが第3下限閾値を下回らない場合、ハイブリッド制御部21は、図10に示された処理を終了する。
【0089】
図11は、トルクが第2上限閾値「A2」を上回る場合における処理例を示すフローチャートである。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルク「T」の変化率「ΔT/Δt」を導出する(ステップS501)。
【0090】
次に、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を減少させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を下限流量まで減少させてもよい(ステップS502)。
【0091】
次に、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、発電機13の発電量を上限発電量まで増加させてもよい(ステップS503)。
【0092】
図12は、トルクが第3下限閾値「B3」を下回る場合における処理例を示すフローチャートである。ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルク「T」の変化率「ΔT/Δt」を導出する(ステップS601)。次に、ハイブリッド制御部21は、エンジン軸12のトルクが第4下限閾値「B4」を下回るか否かを判定する(ステップS602)。
【0093】
エンジン軸12のトルクが第4下限閾値を下回らない場合(エンジン軸12のトルクが第3下限閾値「B3」と第4下限閾値「B4」との間にある場合)、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を増加させる。ここで、ハイブリッド制御部21は、ガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させてもよい(ステップS603)。次に、ハイブリッド制御部21は、回生運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の発電量(回生量)を下限発電量(例えば、0kW)まで減少させる(ステップS604)。
【0094】
エンジン軸12のトルクが第3下限閾値「B3」を下回る場合、ハイブリッド制御部21は、制御指令をエンジン制御部19に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じてガスタービンエンジン11の燃料流量を上限流量まで増加させる(ステップS605)。次に、ハイブリッド制御部21は、力行運転の制御指令を発電機制御部22に対して生成することによって、エンジン軸12のトルクの変化率に応じて発電機13の力行量(電動量)を上限力行量まで増加させる(ステップS606)。
【0095】
以上のように、発電機13は、航空機1に搭載されたガスタービンエンジン11のエンジン軸12の回転を利用して発電する。発電機13は、蓄電池15から出力された電力を利用して、力行運転を実行してもよい。蓄電池15は、発電機13によって発電された電力を蓄電する。蓄電池15は、蓄電された電力を放電してもよい。電動機20は、発電機13から出力された電力と蓄電池15から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用して、ロータ30-nを駆動する。検出部18は、エンジン軸12の回転数を検出する。エンジン制御部19は、ガスタービンエンジン11の少なくとも燃料流量を制御する。少なくとも発電機制御部22は、エンジン軸12の回転数が所定条件を満たす場合、回転数の急変を低減するための制御を実行する。これによって、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、ガスタービンエンジンを保護することができる。
【0096】
検出部18は、エンジン軸12のトルクを検出してもよい。少なくとも発電機制御部22は、エンジン軸12のトルクが所定条件を満たす場合、トルクの急変を低減するための制御を実行してもよい。発電機制御部22は、エンジン軸12のトルクが所定条件を満たす場合、トルクの急変を低減するための制御を実行してもよい。これによって、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、ガスタービンエンジンを保護することができる。
【0097】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
エンジン軸の回転を利用して発電し、
前記発電機によって発電された電力を蓄電し、
前記発電機から出力された電力と前記蓄電池から出力された電力とのうちの少なくとも一方を利用してロータを駆動し、
前記エンジン軸の回転数を検出し、
前記ガスタービンエンジンの少なくとも燃料流量を制御し、
前記発電機の動作を制御し、
前記回転数が所定条件を満たす場合、少なくとも前記発電機制御部が、前記回転数の急変を低減するための制御を実行するように構成されている、航空機用推進システム。
【0098】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0099】
(付記1)
前記所定条件(第2所定条件)は、前記回転数と前記エンジン軸のトルクとに基づいて決定される動作点に応じて定まる第1閾値(第3閾値)及び第2閾値(第4閾値)について、前記第1閾値を前記トルクが上回る第1条件(第3条件)と前記第1閾値よりも小さい前記第2閾値を前記トルクが下回る第2条件(第4条件)とのうちいずれか一方が満たされることであり、
前記第1条件(第3条件)が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第1条件(第3条件)が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を増加させ、
前記第2条件(第4条件)が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記第2条件(第4条件)が満たされる以前における前記発電機の発電量に比して、前記発電機の発電量を減少させる、
航空機用推進システム。
付記1の態様によれば、トルクが所定条件を満たす場合、トルクの急変を低減するための制御を少なくとも発電機制御部が実行することにより、エンジン軸に対する急な負荷抜け又は過負荷に対して、航空機用推進システムはガスタービンエンジンを保護することができる。
【0100】
(付記2)
前記第1条件(第3条件)が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記トルクの変化率に応じて前記燃料流量を減少させる、
付記1に記載の航空機用推進システム。
付記2の態様によれば、負荷抜けによってエンジン軸のトルクがトルク上限値を上回る可能性を、航空機用推進システムは低減することができる。
【0101】
(付記3)
前記第1条件(第3条件)が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の発電量を発電量上限値まで増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量下限値まで減少させる、
付記2に記載の航空機用推進システム。
付記3の態様によれば、負荷抜けによってエンジン軸のトルクがトルク上限値を上回る可能性を、航空機用推進システムは更に低減することができる。
【0102】
(付記4)
前記第2条件(第4条件)が満たされる場合、前記エンジン制御部は、前記トルクの変化率に応じて前記燃料流量を増加させる、
付記1に記載の航空機用推進システム。
付記4の態様によれば、過負荷によってエンジン軸のトルクがトルク下限値を下回る可能性を、航空機用推進システムは低減することができる。
【0103】
(付記5)
前記第2条件(第4条件)が満たされる場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させ、前記エンジン制御部は、前記燃料流量を流量上限値まで増加させる、
付記4に記載の航空機用推進システム。
付記5の態様によれば、過負荷によってエンジン軸のトルクがトルク下限値を下回る可能性を、航空機用推進システムは更に低減することができる。
【0104】
(付記6)
前記第2条件(第4条件)が満たされ、且つ、所定時間内に前記トルクが目標値に達しない場合、前記発電機制御部は、前記発電機の力行量を増加させる、
付記1に記載の航空機用推進システム。
付記6の態様によれば、過負荷によってエンジン軸のトルクがトルク下限値を下回る可能性を、航空機用推進システムは更に低減することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…航空機、2…航空機用推進システム、10…機体、11…ガスタービンエンジン、12…エンジン軸、13…発電機、14…コンバータ、15…蓄電池、16…インバータ、17…蓄電池制御部、18…検出部、19…エンジン制御部、20…電動機、22…発電機制御部、23…操作部、24…飛行制御部、25…電動機制御部、30…ロータ、40…アーム、100…第1境界線、101…第2境界線、102…第3境界線、103…第4境界線、104…第5境界線、105…第6境界線、106…第7境界線、200…第1上限閾値線、201…第1下限閾値線、202…第2下限閾値線、203…第2上限閾値線、204…第3下限閾値線、205…第4下限閾値線、300…動作点
図1
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図12