(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】RFIDタグ、RFIDタグの製造装置、及びRFIDタグの製造方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/04 20060101AFI20241101BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20241101BHJP
H01Q 9/27 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G06K19/04 010
G06K19/077 216
G06K19/077 280
H01Q9/27
(21)【出願番号】P 2021038584
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2024-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】306029349
【氏名又は名称】ゼネラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】釜瀬 文章
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3169415(JP,U)
【文献】国際公開第2008/126649(WO,A1)
【文献】特開平8-265036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/04
G06K 19/077
H01Q 9/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグであって、
ストリップ状の基材と、
前記基材の少なくとも一方の面上に配置され、前記基材の長さ方向に対して傾斜する導電性の線条体と、
前記線条体に所定の間隔を開けて配置されるICと、
を備え
、
前記基材は、複数回巻き回されて構成されるRFIDタグ。
【請求項2】
前記ICは、前記線条体に沿って配置される請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記ICは、前記基材の面のうち、前記線条体の配置される面とは逆の面に配置される請求項1又は2に記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記ICは、複数配置される請求項1から3のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記線条体は、前記基材の長さ方向に沿う方向における任意の二点において、前記基材の長さ方向の一辺からの距離が互いに異なる請求項1から4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記線条体は、前記基材の長さ方向に沿う方向において、少なくとも一部の部位で傾斜する請求項1から4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記線条体は、前記基材の一方の端部で折り返して配置され、
前記ICは、前記線条体の折り返し位置から所定の間隔を開けて配置される請求項1から4のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項8】
前記基材は、長さ方向に沿って巻かれて構成される請求項1から7のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記基材、前記線条体、及び前記ICを巻き回しした状態で収納するとともに、巻き回しした状態を維持するカバー体をさらに備える請求項1から8のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記基材のたわみを調整可能な調整部をさらに備える請求項1から9のいずれかに記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記線条体は、当該線条体の一端側から他端側に向けて、徐々に径の広がるスパイラル状に構成されたコニカルスパイラルアンテナである、請求項1~10のいずれかに記載のRFIDタグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ、RFIDタグの製造装置、及びRFIDタグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ICチップにアンテナを接続したRFIDタグが知られている。RFIDタグは、ICチップに記憶されている情報をリーダに対して非接触で出力可能になっている。このようなRFIDタグには、例えば、自ら電源を備えているアクティブタイプや、リーダから照射されるUHF帯やマイクロ波等の電波をエネルギーとして駆動するパッシブタイプ等のいくつかの種類がある。このうち、パッシブタイプのRFIDタグは、安価であることから、流通や物品管理等の多様な用途に用いられている。
【0003】
ところで、平面アンテナを用いるRFIDは、金属体の近傍に配置されると、電波に金属体の影響を受けることがある。このため、平面アンテナを用いるRFIDは、金属体の近傍において、通信距離の極端な劣化を生じることがある。これに対し、ヘリカルアンテナなどの立体構造のアンテナの採用が有効であることがわかっている。
【0004】
立体構造のアンテナとして、ヘリカルアンテナを用いた無線ICデバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、通信用のアンテナとして、立体構造を採用したアンテナが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-20835号公報
【文献】特開平11-330833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ヘリカルアンテナとして、樹脂モールドされた螺旋状導体が開示されている。また、特許文献1では、同じく樹脂モールドされた給電用導体に無線ICチップを搭載することが開示されている。特許文献2では、誘電体シートにアンテナ素子となる給電パターンを表面に形成することが開示されている。また、特許文献2では、誘電体シートを柱状もしくは筒状又は錐体状の誘電体支持体の側面に被着したアンテナが提案されている。特許文献2では、ICは外部に設けられる。
【0007】
特許文献1のように、ヘリカルアンテナを樹脂モールドする場合、個々に無線ICデバイスを製造する必要があるので、無線ICデバイスのコストが高くなる可能性がある。また、特許文献1のように、モールド成型では、無線ICチップを個別にマウントする必要があるため、コストが高くなる可能性がある。また、特許文献2のように、ICを外部に設ける場合、誘電体シートの端部に給電点を設ける必要がある。そして、アンテナが給電、整合回路についても担う場合、アンテナの両端をICに接続する必要がある。このため、アンテナの巻き数や巻き径に制約を生じることがあった。そこで、コストを低下させつつ、アンテナの巻き数や巻き径の自由度を向上可能であれば好適である。
【0008】
本発明は、コストを低下させつつ、アンテナの巻き数や巻き径の自由度を向上可能なRFIDタグ、RFIDタグの製造装置、及びRFIDタグの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、RFIDタグであって、ストリップ状の基材と、前記基材の少なくとも一方の面上に配置され、前記基材の長さ方向に対して傾斜する導電性の線条体と、前記線条体に所定の間隔を開けて配置されるICと、を備えるRFIDタグに関する。
【0010】
また、前記ICは、前記線条体に沿って配置されるのが好ましい。
【0011】
また、前記ICは、前記基材の面のうち、前記線条体の配置される面とは逆の面に配置されるのが好ましい。
【0012】
また、前記ICは、複数配置されるのが好ましい。
【0013】
また、前記線条体は、前記基材の長さ方向に沿う方向における任意の二点において、前記基材の長さ方向の一辺からの距離が互いに異なるのが好ましい。
【0014】
また、前記線条体は、前記基材の長さ方向に沿う方向において、少なくとも一部の部位で傾斜するのが好ましい。
【0015】
また、前記線条体は、前記基材の一方の端部で折り返して配置され、前記ICは、前記線条体の折り返し位置から所定の間隔を開けて配置されるのが好ましい。
【0016】
また、前記基材は、長さ方向に沿って巻かれて構成されるのが好ましい。
【0017】
また、RFIDタグは、前記基材、前記線条体、及び前記ICを巻き回しした状態で収納するとともに、巻き回しした状態を維持するカバー体をさらに備えるのが好ましい。
【0018】
また、RFIDタグは、前記基材のたわみを調整可能な調整部をさらに備えるのが好ましい。
【0019】
また、本発明は、上記のRFIDタグを製造するRFIDタグの製造装置であって、前記ICと前記線条体との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反を引き出し可能に保持する原反保持部と、引き出された前記原反を長さ方向に沿ってカットするカッターであって、前記ICと前記線条体との組をそれぞれ分離するカッターと、分離された前記原反のそれぞれを巻き取る巻取部と、を備えるRFIDタグの製造装置に関する。
【0020】
また、本発明は、上記のRFIDタグを製造するRFIDタグの製造方法であって、前記ICと前記線条体との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反を引き出す通紙工程と、引き出された前記原反を長さ方向に沿ってカットするカット工程であって、前記ICと前記線条体との組をそれぞれ分離するカット工程と、分離された前記原反のそれぞれを巻き取る巻取工程と、を備えるRFIDタグの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コストを低下させつつ、アンテナの巻き数や巻き径の自由度を向上可能なRFIDタグ、RFIDタグの製造装置、及びRFIDタグの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグを示す概略平面図である。
【
図2】第1実施形態のRFIDタグの基材の一方の面を示す平面図である。
【
図3】第1実施形態のRFIDタグの調整部による調整の例を示す概略図である。
【
図4】第1実施形態のRFIDタグの原反を示す平面図である。
【
図5】第1実施形態のRFIDタグを製造する製造装置を示す概略平面図である。
【
図6】第1実施形態のRFIDタグの長さ方向に沿ってカットされた原反を示す概略図である。
【
図7】第1実施形態のRFIDタグの幅方向に沿ってカットされた原反(RFIDロール)を示す概略図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るRFIDタグの基材の一方の面を示す平面図である。
【
図9】第2実施形態のRFIDタグの基材の他の例を示す平面図である。
【
図10】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【
図11】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【
図12】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【
図13】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【
図14】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【
図15】変形例のRFIDタグの基材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態に係るRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法について、
図1から
図11を参照して説明する。
まず、各実施形態に係るRFIDタグ1の概要について説明する。
【0024】
各実施形態に係るRFIDタグ1は、例えば、
図1に示すように、立体構造のアンテナを有するタグである。立体構造のアンテナを有するRFIDタグ1は、金属体(図示せず)の近傍に配置されたとしても、通信距離の劣化を抑制して通信することが可能である。各実施形態に係るRFIDタグ1では、一面上に沿ってアンテナの配置された基材が複数層になるように巻き回しされることで、巻き回しごとに基材の厚さ分だけ径の大きくなるコニカルスパイラルアンテナを構成する。各実施形態に係るRFIDタグ1では、径の異なる複数の円周をもつアンテナが構成されることになる。それぞれの円周において好適な放射を得る周波数帯が異なるので、広帯域のRFIDタグ1を得ることができる。
【0025】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係るRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法について
図1から
図7を参照して説明する。
本実施形態に係るRFIDタグ1は、
図1及び
図2に示すように、基材11と、線条体12と、IC13と、カバー体14と、調整部15と、を備える。
【0026】
基材11は、例えば、紙、プラスチックフィルム等で形成される。基材11は、
図2に示すように、ストリップ状に構成される。本実施形態において、基材11は、矩形に構成される。基材11は、長さ方向に巻かれて構成される。基材11は、例えば、複数回巻き回しされて筒状に構成される。
【0027】
線条体12は、いわゆるアンテナである。線条体12は、例えば、金属などの導電性材料で構成される。線条体12は、例えば、
図2に示すように、基材11の少なくとも一方の面上に配置され、基材11の長さ方向に対して傾斜する。本実施形態において、線条体12は、基材11の長さ方向に沿う方向における任意の二点において、基材11の長さ方向の一辺からの距離が互いに異なる。すなわち、線条体12は、基材11の長さ方向に対して全体が傾斜する。また、本実施形態において、線条体12は、巻き回しされる基材11の外面側の面上に配置される。これにより、線条体12は、一端側から他端側に向けて、徐々に径の広がるスパイラル状に構成される。すなわち、線条体12は、基材11の巻き回しごとに、基材11の厚さ分だけ径の広がるコニカルスパイラルアンテナ状に構成される。
【0028】
IC13は、例えば、線条体12に所定の間隔を開けて配置される。IC13は、例えば、共振回路(給電回路及び整合回路)を含む。本実施形態において、IC13は、基材11の面のうち、線条体12の配置される面と同じ面に配置される。異なる面に配置される場合は線条体12の陰影に重ねて配置されても基材を介している為に間隔を開けていると見做せる。同様に同じ面に配置する場合も間に補助基材を介して高さ方向に間隔を開けることでも可能となる。IC13は、例えば、基材11の長さ方向及び幅方向のそれぞれにおける中央位置に近づけて配置される。本実施形態において、IC13は、磁界結合型のICである(例えば、特許第5835336号公報参照)。また、本実施形態において、IC13は、線条体12に所定の間隔を開けて配置される。具体的には、IC13は、線条体12から所定の間隔を開けて、線条体12に沿って配置される。IC13は、例えば、線条体12から1mm以内の間隔を開けて配置される。IC13は、例えば、線条体12に発生する誘導起電力に基づく磁界に基づいて、応答する電波を外部に出力可能に構成される。IC13は、線条体12と接続されないことが好ましい。これにより、IC13と線条体12との間の短絡が抑制される。
【0029】
カバー体14は、例えば、樹脂材料で形成される。本実施形態において、カバー体14は、長さ方向の一端が開口する有底円筒状に構成される。カバー体14は、基材11、線条体12、及びIC13を収納可能である。また、カバー体14の内周面には、内部に収納された基材11の長さ方向一端のうち、外周端である長さ方向一端が取り付けられる。
【0030】
調整部15は、例えば、樹脂材料で形成される。本実施形態において、調整部15は、棒状体である。調整部15は、胴部151と、拡径部152と、を備える。
【0031】
胴部151は、カバー体14の内径よりも小さい径で形成される。また、胴部151は、カバー体14の長さよりも短い長さで形成される。胴部151は、カバー体14の開口から内部に挿入された状態に配置される。また、胴部151は、周面に、基材11の長さ方向一端のうち、内径側の一端を取り付けられた状態で配置される。すなわち、胴部151は、周囲に、基材11、線条体12、及びIC13を巻き付けられた状態で配置される。
【0032】
拡径部152は、胴部151の一端に配置される。拡径部152は、胴部151よりも大きい径で形成される。また、拡径部152は、カバー体14の内径よりも大きい径で形成される。本実施形態において、拡径部152は、カバー体14の外形と同じ又は略同じ径で構成される底部(図示せず)を有する略円錐状に形成される。また、拡径部152は、胴部151の軸心と軸心位置を合わせて配置される。そして、拡径部152は、カバー体14の開口端の位置に配置される。また、拡径部152は、カバー体14に、軸心を中心として回動可能に装着される。換言すると、拡径部152は、カバー体14に、胴部151の軸心を中心として回動可能に装着される。
【0033】
次に、RFIDタグ1の作用について説明する。
RFIDタグ1は、例えば、被対象物に対して取り付けられる。RFIDタグ1は、ハンディリーダ(図示せず)からの電波の受信に応じて、IC13に記憶されている情報を電波に乗せて放射する。このとき、RFIDタグ1は、コニカルスパイラルアンテナである線条体12から電波を放射する。したがって、RFIDタグ1は、広帯域化され得る。
【0034】
好適な周波数帯域が変更される場合、調整部15は、カバー体14に対して回動される。具体的には、拡径部152は、カバー体14に対して軸心周りに回動される。これにより、胴部151は、拡径部152とともに軸心周りに回動する。胴部151が軸心周りに回動することにより、基材11の巻き径が変化する。すなわち、線条体12の巻き径が拡径又は縮径する。例えば、
図3の上段に示すように、胴部151が基材を巻き取る方向に回動されることで、線条体の巻き径は縮小する。一方、
図3の下段に示すように、胴部151が基材の巻取を解除する方向に回動することで、線条体の巻き径は拡大する。線条体の巻き径の変更により、好適な周波数帯域を変更することができる。RFIDタグ1は、例えば、ハンディリーダで電波受信可能となるように、調整部15を用いて巻き径を調整することができる。
【0035】
次に、RFIDタグ1の製造装置100について、
図4から
図7を参照して説明する。
RFIDタグ1の製造装置100は、原反保持部101と、カッター102と、巻取部103と、を備える。
【0036】
原反保持部101は、
図4及び
図5に示すように、IC13と線条体12との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反Aを引き出し可能に保持する。原反保持部101は、例えば、ロール状の原反Aを軸止することで保持する。本実施形態において、原反保持部101は、引き出し方向に沿う方向においても、IC13と線条体12との組が配置される。
【0037】
カッター102は、例えば、回転式カッター112と、切断用カッター113と、を備える。回転式カッター112は、通紙された原反Aを長さ方向(引き出し方向)に沿ってカットする。これにより、回転式カッター112は、IC13と線条体12との組をそれぞれ分離する。回転式カッター112は、例えば、原反Aの幅方向に沿って、基材11の幅に合わせた間隔で配置される複数の刃(図示せず)を有する。これにより、回転式カッター112は、
図6に示すように、原反Aの幅方向を基材11の幅に合わせた幅で分離する。
【0038】
切断用カッター113は、回転式カッター112の後段に配置される。切断用カッター113は、
図7に示すように、長さ方向に沿ってカットされた原反Aのそれぞれを所定の間隔で幅方向にカットする。切断用カッター113は、例えば、1m又は3mの間隔で原反Aをカットする。これにより、原反Aの巻き数を変更することができる。
【0039】
巻取部103は、分離された原反Aのそれぞれの数に合わせて設けられる。巻取部103は、分離された原反Aのそれぞれを巻き取る。これにより、巻取部103は、複数のRFIDタグ1が帯状に連続するロール状の複数のRFIDタグ1(例えば、RFIDロールBという)を製造する。
【0040】
次に、RFIDタグ1の製造方法について説明する。
RFIDタグ1の製造方法は、通紙工程と、カット工程と、巻取工程と、を備える。
【0041】
通紙工程において、
図4に示すような、IC13と線条体12との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反Aが製造装置100の原反保持部101にセットされる。次いで、原反保持部101にセットされている原反Aは、引き出されて、製造装置100の所定の箇所に通紙される。
【0042】
次いで、カット工程において、引き出された原反Aが長さ方向に沿ってカットされる。カット工程において、原反Aがカットされることで、IC13と線条体12との組がそれぞれ分離される。
【0043】
次いで、巻取工程において、分離された原反Aのそれぞれが巻き取られる。これにより、RFIDロールBが製造される。RFIDタグ1は、さらにRFIDロールBを長さ方向で分離することで構成される。
【0044】
以上の本実施形態のRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(1) RFIDタグ1は、ストリップ状の基材11と、基材11の少なくとも一方の面上に配置され、基材11の長さ方向に対して傾斜する導電性の線条体12と、線条体12に所定の間隔を開けて配置されるIC13と、を備える。これにより、基材11上に線条体12及びIC13を配置するのみでRFIDタグ1を製造することができるので、コストを低下することができる。また、単に基材11を巻き回すだけでコニカルアンテナを形成することができ、巻き回しの仕様を変更するだけで巻き数や巻き径を容易に変更することができる。したがって、アンテナの巻き数や巻き径の自由度を向上することができる。アンテナの巻き数や巻き径を変更することで、アンテナのインピーダンス特性及び放射特性を変更することができる。また、線条体12を1本の線として形成できるので、容易に構成することができる。また、IC13と線条体12とを別々に配置することができるので、設計を容易にすることができる。
【0045】
(2) 線条体12は、基材11の長さ方向に沿う方向における任意の二点において、基材11の長さ方向の一辺からの距離が互いに異なる。これにより、複数の異なる径の円周をもつコニカルスパイラルアンテナを構成することができる。したがって、RFIDタグ1をより広帯域化することができる。
【0046】
(3) 基材11は、長さ方向に沿って巻かれて構成される。これにより、より容易にコニカルスパイラルアンテナを構成することができる。
【0047】
(4) RFIDタグ1は、基材11、線条体12、及びIC13を巻き回しした状態で収納するとともに、巻き回しした状態を維持するカバー体をさらに備える。また、RFIDタグ1は、基材のたわみを調整可能な調整部をさらに備える。RFIDタグ1は、基材11、線条体12、及びIC13を収納可能なカバー体14であって、基材11のたわみを調整可能な調整部15を有するカバー体14をさらに備える。これにより、調整部15を用いて基材11の巻き回し方向を調整することで、巻き幅や巻き径を変更することができる。したがって、放射特性の異なるRFIDタグ1を容易に得ることができる。すなわち、RFIDタグ1の好適に放射する周波数帯を容易に変更することができ、RFIDタグ1の汎用性を向上することができる。
【0048】
(5) 上記RFIDタグ1を製造するRFIDタグ1の製造装置100であって、IC13と線条体12との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反Aを引き出し可能に保持する原反保持部101と、引き出された原反Aを長さ方向に沿ってカットするカッター102であって、IC13と線条体12との組をそれぞれ分離するカッター102と、分離された原反Aのそれぞれを巻き取る巻取部103と、を備える。また、上記のRFIDタグ1を製造するRFIDタグ1の製造方法であって、IC13と線条体12との組が幅方向に沿って並設されるロール状の原反Aを引き出す引き出し工程と、引き出された原反Aを長さ方向に沿ってカットするカット工程であって、IC13と線条体12との組をそれぞれ分離するカット工程と、分離された原反Aのそれぞれを巻き取る巻取工程と、を備える。これにより、原反Aから容易にRFIDタグ1(RFIDロールB)を得ることができ、RFIDタグ1の製造コストを低減することができる。また、ロール状の原反Aを用いることで、基材11に連続的にマウントしたIC13を用いることができ、モールド成型したアンテナにIC13をマウントする場合に比べて大量生産に対して有利である。
【0049】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法について、
図8及び
図9を参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係るRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法は、線条体12が、基材11の一方の端部で折り返して配置される点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係るRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法は、IC13が、線条体12の折り返し位置に所定の間隔を開けて配置される点で第1実施形態と異なる。
【0050】
以上の本実施形態のRFIDタグ1、RFIDタグ1の製造装置100、及びRFIDタグ1の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(6) 線条体12は、基材11の一方の端部で折り返して配置され、IC13は、線条体12の折り返し位置に所定の間隔を開けて配置される。これにより、コニカルスパイラルアンテナのアンテナ長をより長くとることができる。また、軸心に対して交差する方向に金属板(図示せず)を置いた場合に、スパイラル部分が金属板に対してグランドとして機能するため、金属板の影響を受けにくくすることができる。また、金属板が無い場合であっても、スパイラル部分がある程度グラウンドとして機能するので、コニカルアンテナ及びスパイラルアンテナの両立をすることができる。
【0051】
以上、本発明のRFIDタグ、RFIDタグの製造装置100、及びRFIDタグの製造方法の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、カバー体14は、調整部15の調整度合いを示す標示部(図示せず)を備えてもよい。標示部は、例えば、設定用の周波数帯の値を示してもよい。調整部15は、標示部の位置に合わせされることで、線条体12の巻き幅及び巻き数を位置合わせされた標示部の値に合わせてもよい。
【0052】
また、上記実施形態において、基材11は、線条体12が配置されている面を外側に向けて巻き回しされたが、これに制限されない。基材11は、線条体12が配置されている面を内側に向けて巻き回しされてもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、線条体12が基材11の一方の端部で折り返して配置される場合に、折り返された線条体12の部分は、基材11の長さ方向に沿う方向に沿って伸びてもよい。これにより、傾斜する線条体12の部分側に放射が大きくなる疑似エンドファイヤー型のRFIDタグ1を構成することができる。
【0054】
また、上記実施形態において、
図10に示すように、線条体12は、IC13に近接する位置から延びる両端部を直線状に形成されてもよい。また、上記第1実施形態において、
図11に示すように、線条体12の両端部を基材11の長辺に沿って配置するようにしてもよい。この場合、線条体12は、両端部において、基材11の長さ方向に対して傾斜して配置されてもよい。また、上記実施形態において、IC13は、線条体12の配置されている基材11とは異なる補助基材(図示せず)であって、基材11に重ねられる補助基材上に配置されていてもよい。すなわち、IC13は、線条体12の配置される基材11とは層の異なる補助基材上に配置されてもよい。
【0055】
また、上記実施形態において、調整部をカバー体14の周方向に動作可能としたが、これに制限されない。調整部は、例えば、カバー体14の長さ方向にスライド可能に構成されることで、線条体12の軸方向をカバー体14の長さ方向に沿ってずらすにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、共振回路を内蔵するIC13が例示されたが、これに制限されない。例えば、IC13が共振回路を有しない場合、RFIDタグ1は、
図12に示すように、共振回路17をさらに備えてもよい。共振回路17は、線条体12の長さ方向に沿って伸びる線路を有しているのが好ましい。
【0057】
また、上記実施形態において、RFIDタグ1が調整部15を備えるとしたが、これに制限されない。この場合、基材11は、巻き回しされた状態で長さ方向の外周端をシールで巻き留めされてもよい。例えば、基材11は、外周面に、外周端を巻き崩れ防止用にテープ留めされてもよい。調整部15は、同じ形状でケース体14に固定されてよい。また、ケース体14は、内周面に基材11の外周面を接触させることで、基材11の巻き崩れを抑制してもよい。このようにすることで、巻き数や巻き径の同じ又は略同じRFIDタグ1を容易に大量生産することができる。
【0058】
また、上記実施形態において、IC13は、線条体12の中心から所定の距離を開けて配置されるのが好適である。また、IC13は、第1実施形態に比べ、第2実施形態のように、線条体12に対して2辺以上で近接して配置されるのが好適である。これにより、線条体12は{1/2+(n-1)}λに近似した長さ(最小は1/2λ)(ここで、λは受信する電波の波長を示す)とするのが好ましくなり、電流の極大点は中心付近となる。磁界結合は共振回路と隣接する電線に生じる為、ICと隣接して接続する電線が1辺<2辺<3辺と増えることでより電流が大きくなり通信性も良好となる。
【0059】
また、上記実施形態において、調整部15がカバー体14に対して回転されることで基材11のたわみを調整するとしたが、これに制限されない。カバー体14が調整部15に対して回動されることで基材11のたわみが調整されてもよい。
【0060】
また、上記実施形態において、IC13は、線条体12の配置される面と同じ面に配置される例で説明されたが、これに制限されない。IC13は、基材11の面のうち、線条体12の配置される面とは逆の面に配置されてもよい。
効果としては、製造する上で線条体12との接続しない位置精度の問題や配置時に線条体12を欠損してしまうリスクが無く容易になる。
【0061】
また、上記実施形態において、IC13は、複数配置されてもよい。この場合、IC13は、
図13及び
図14に示すように、線条体12を挟んで対象となる位置に配置されてもよい。また、IC13は、
図15に示すように、線条体12に沿う方向において、1/4及び3/4となる位置に配置されてもよい。また、2つのIC13は、基材11の面のうち、互いに異なる面に配置されてもよい。3/2λに近似した長さとした場合、極大点を2点(1/4付近,3/4付近)に増えることで線条体12の1/4付近、3/4付近にそれぞれICを配置することで双方が起動するように設計されている。
2つ以上のICはそれぞれ同じ情報を有していれば互いに補完関係となり通信信頼性を担保することが可能となり、異なる情報を有していれば複数の機能を共有することが可能となる。
【0062】
また、上記実施形態において、IC13が線条体12と異なる面に配置される場合、IC13は、線条体12の陰影に重ねて配置されてもよい。また、線条体12とIC13との間に補助基材(図示せず)が配置される場合、IC13は、線条体12とを重ねて配置されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 RFIDタグ
11 基材
12 線条体
13 IC
14 カバー体
15 調整部
100 製造装置
101 原反保持部
102 カッター
103 巻取部
A 原反