(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】パイル編地の編成方法
(51)【国際特許分類】
D04B 1/02 20060101AFI20241101BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
D04B1/02
D04B1/00 Z
(21)【出願番号】P 2021076321
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】池中 政光
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-019062(JP,A)
【文献】特開2014-047446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/00 - 1/28
D04B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する前針床と後針床とを備える横編機を用いて、
前記前針床と前記後針床の一方と他方にそれぞれ、第一編目列と第二編目列とが係止された状態から、
前記第一編目列のウエール方向に続けて第一パイル編目列と第一固定編目列とを編成し、
前記第二編目列のウエール方向に続けて第二パイル編目列と第二固定編目列とを編成し、
前記第一パイル編目列及び前記第二パイル編目列は、複数の標準パイルループと、各標準パイルループを挟む複数のアンカー編目とを備え、
前記第一固定編目列及び前記第二固定編目列は、各アンカー編目を固定する固定編目を備えるパイル編地の編成方法において、
前記第一パイル編目列を編成した後で前記第二パイル編目列を編成する前に、端部編目よりも編幅方向の外側に配置される端部パイルループと、前記端部パイルループよりも編幅方向の外側に配置される追加編目とを編成し、
前記端部編目を固定する第一固定編目と、前記追加編目を固定する第二固定編目とを含む前記第一固定編目列又は前記第二固定編目列を編成した後、前記端部パイルループを非係止状態とすると共に、前記第二固定編目を前記第一固定編目に重ね、
前記端部編目は、前記第一パイル編目列の終端編目、又は前記第二パイル編目列の始端編目であるパイル編地の編成方法。
【請求項2】
前記第一編目列と前記第二編目列とを編幅方向にずらし、前記前針床と前記後針床のいずれかにおいて前記第一編目列と前記第二編目列とが編幅方向に重複しない非重複領域を形成し、
前記追加編目を前記非重複領域に形成する請求項1に記載のパイル編地の編成方法。
【請求項3】
前記第一パイル編目列の各標準パイルループを挟む二つのアンカー編目のいずれか一方をタックによって形成し、
前記第二パイル編目列の各標準パイルループを挟む二つのアンカー編目のいずれか一方をタックによって形成し、
前記端部パイルループを挟む前記アンカー編目と前記追加編目のいずれか一方をタックによって形成する請求項1又は請求項2に記載のパイル編地の編成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル編地の編成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のパイルループを備えるパイル編地の編成方法が知られている。特許文献1には、パイルループを形成するためのパイルシンカーを備える横編機を用いたパイル編地の編成方法が開示されている。特許文献2には、複合針を備える横編機を用いたパイル編地の編成方法が開示されている。複合針は、フックを有する針本体と、フックを開閉するスライダーとを有する編針である。その他、パイルシンカーや複合針などの特別な構成を備えない汎用の横編機を用いたパイル編地の編成方法が知られている。
【0003】
パイル編地の編成方法では、針床に係止される第一編目列のウエール方向に続けて第一パイル編目列と第一固定編目列とを編成する。第一パイル編目列は、複数のパイルループと、各パイルループを挟む複数のアンカー編目を備える。第一固定編目列は、各アンカー編目を固定する複数の固定編目を備える。
【0004】
代表して複合針を用いたパイル編地の編成方法を
図4の編成工程図に基づいて説明する。
図4の左欄の『T+数字』は編成工程の番号を示している。右欄には前針床FBと後針床BBにおける編目の編成状態が示されている。右欄における縦棒は複合針の針本体を、横棒はスライダーを示している。スライダーは、スライダーを使用する工程においてのみ図示されている。水滴状のマークはT0に示す編成開始時に後針床BBに係止される第一編目列の編目を、Ω状のマーク及びV字状のマークは第一パイル編目列3の編目を、Π状のマークは第一固定編目列5の編目を示す。
【0005】
図4のT0には、後針床BBの複合針の針本体に第一編目列1が係止された状態が示されている。この状態からT1では、複数の固定編目50からなる第一固定編目列5を編成する。固定編目50は針本体のフックに保持され、第一編目列1の編目は複合針のスライダー上に保持される。
【0006】
T2では、第一パイル編目列3を編成する。第一パイル編目列3は、複数のパイルループ31と複数のアンカー編目30とを備える。パイルループ31はFBの針本体に形成される掛け目である。アンカー編目30は、固定編目50に重ねられるタック目である。このT2によって、アンカー編目30と固定編目50とからなる重ね目が、第一編目列1の編目から引き出されてフックに係止された状態となる。その結果、固定編目50によってアンカー編目30が固定される
【0007】
T3では、パイルループ31を前針床FBの複合針のフックから外す。さらにパイル編地部をウエール方向に形成する場合、後針床BBの複合針に係止される重ね目を、第一編目列1と見做し、T1,T2を繰り返す。
【0008】
ここでの説明は省略するが、パイルシンカーを用いたパイル編地の編成方法では、第一パイル編目列と第一固定編目列とが同時に編成される。また、汎用機を用いたパイル編地の編成方法では、第一パイル編目列を編成した後に、第一固定編目列が編成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特公昭61-20668号公報
【文献】特開平11-81101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
針床上において筒状あるいはC字状にパイル編地を編成する場合がある。その場合、第一編目列に加えて、第一パイル編目列が係止される針床に対向する針床において第二パイル編目列が編成される。第一パイル編目列の終端編目と、第二パイル編目列の始端編目とをつなぐ編糸が、対向する二つの針床間をわたる。ここで、
図4を参照して説明したように、パイルループを形成するには、パイルループを編幅方向に挟む二つのアンカー編目が必要である。そのため、第一パイル編目列の終端編目と第二パイル編目列の始端編目との間にパイルループを形成することができない。従って、針床上において第一パイル編目列と第二パイル編目列とが筒状あるいはC字状につながるパイル編地では、第一パイル編目列と第二パイル編目列との境界にパイルループが無いところができてしまう。
【0011】
本発明の目的の一つは、筒状あるいはC字状につながる第一パイル編目列と第二パイル編目列との境界にパイルループを形成できるパイル編地の編成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
<1>本発明のパイル編地の編成方法は、
互いに対向する前針床と後針床とを備える横編機を用いて、
前記前針床と前記後針床の一方と他方にそれぞれ、第一編目列と第二編目列とが係止された状態から、
前記第一編目列のウエール方向に続けて第一パイル編目列と第一固定編目列とを編成し、
前記第二編目列のウエール方向に続けて第二パイル編目列と第二固定編目列とを編成し、
前記第一パイル編目列及び前記第二パイル編目列は、複数の標準パイルループと、各標準パイルループを挟む複数のアンカー編目とを備え、
前記第一固定編目列及び前記第二固定編目列は、各アンカー編目を固定する固定編目を備えるパイル編地の編成方法において、
前記第一パイル編目列を編成した後で前記第二パイル編目列を編成する前に、端部編目よりも編幅方向の外側に配置される端部パイルループと、前記端部パイルループよりも編幅方向の外側に配置される追加編目とを編成し、
前記端部編目を固定する第一固定編目と、前記追加編目を固定する第二固定編目とを含む前記第一固定編目列又は前記第二固定編目列を編成した後、前記端部パイルループを非係止状態とすると共に、前記第二固定編目を前記第一固定編目に重ね、
前記端部編目は、前記第一パイル編目列の終端編目、又は前記第二パイル編目列の始端編目である。
【0013】
<2>本発明のパイル編地の編成方法の一形態として、
前記第一編目列と前記第二編目列とを編幅方向にずらし、前記前針床と前記後針床のいずれかにおいて前記第一編目列と前記第二編目列とが編幅方向に重複しない非重複領域を形成し、
前記追加編目を前記非重複領域に形成する形態が挙げられる。
【0014】
<3>本発明のパイル編地の編成方法の一形態として、
前記第一パイル編目列の各標準パイルループを挟む二つのアンカー編目のいずれか一方をタックによって形成し、
前記第二パイル編目列の各標準パイルループを挟む二つのアンカー編目のいずれか一方をタックによって形成し、
前記端部パイルループを挟む前記アンカー編目と前記追加編目のいずれか一方をタックによって形成する形態が挙げられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパイル編地の編成方法では、第一編目列と第二編目列との境界に配置される端部編目の編幅方向の外側に端部パイルループと追加編目とを編成している。この場合、端部編目と追加編目とが端部パイルループを維持するアンカー編目として機能する。そのため、本発明のパイル編地の編成方法によれば、第一編目列と第二編目列との境界に端部パイルループを形成できる。
【0016】
本発明のパイル編地の編成方法では、端部パイルループを形成するための追加編目を形成しているが、その追加編目によってパイル編地の編幅が変化することはない。追加編目と端部編目とをそれぞれ固定する第一固定編目と第二固定編目を形成した後、第一固定編目と第二固定編目とを重ねているからである。
【0017】
上記形態<2>の編成方法によれば、後述する実施形態1に示すように、標準パイルループと端部パイルループの見た目をほぼ同じにできる。
【0018】
上記形態<3>の編成方法によれば、ウエール方向に並ぶパイルループの間隔が詰まるので、パイルループが密集したパイル編地を編成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るパイル編地の編成方法の第一編成工程図である。
【
図4】
図4は、従来のパイル編地の編成方法の一例を示す編成工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係るパイル編地の編成方法を図面に基づいて説明する。
【0021】
<実施形態1>
本実施形態では、汎用の2枚ベッド横編機を用いたパイル編地の編成方法の一例を
図1から
図3の編成工程図に基づいて説明する。
図1から
図3の左欄の『S+数字』は編成工程の番号を示す。右欄には各編成工程における編目の編成状態が示されている。右欄における黒点は編針を、丸マークはニット目を、Vマークは掛け目を、角型マークはタック目を、逆三角マークは給糸口9を示している。矢印は目移しを示している。各編成工程において行われた編成動作は太線で示されている。
【0022】
図1のS1には、給糸口9を用いて前針床FBに第一編目列1を編成し、後針床BBに第二編目列2を編成した状態が示されている。
【0023】
S2では、第一編目列1に対して第二編目列2を相対的に左方向にずらす。その結果、前針床FBにおいて、第一編目列1と第二編目列2とが編幅方向に重複しない非重複領域R1が形成される。S2の状態にするには、例えば後針床BBを左方向にラッキングすることが挙げられる。
【0024】
S3では、前針床FBと後針床BBとをずらし、給糸口9を左方向に移動させ、第一パイル編目列3を編成する。第一パイル編目列3は、ニット目からなるアンカー編目30、標準パイルループ31、タック目からなるアンカー編目30の順に編成される。第一パイル編目列3の終端編目3Eは、ニット目からなるアンカー編目である。ここでは、終端編目3Eを端部編目7と呼ぶ。
【0025】
S3では更に、端部編目7よりも編幅方向の外側に端部パイルループ71と、追加編目70と、折り返し編目72とを編成する。端部パイルループ71は後針床BBの空針に形成される掛け目である。追加編目70は前針床FBの空針に形成される掛け目である。追加編目70は、端部パイルループ71よりも編幅方向の外側に配置されている。折り返し編目72は前針床FBの空針に形成される掛け目である。折り返し編目72は、追加編目70よりも編幅方向の外側に配置されている。この折り返し編目72は追加編目70を編成し易くするためのものであって、必須の編目では無い。
【0026】
S3では、給糸口9が左方向に移動する間に標準パイルループ31と端部パイルループ71とが編成される。また、隣り合う二つの標準パイルループ31の距離と、端部パイルループ71と標準パイルループ31との距離が等しく、かつ標準パイルループ31を挟む二つのアンカー編目30の距離と、端部パイルループ71を挟む端部編目7と追加編目70との距離も等しくなっている。そのため、標準パイルループ31と端部パイルループ71とがほぼ同じ条件で編成されるので、端部パイルループ71を含む全てのパイルループ31,71の見栄えがほぼ同じになる。そのような標準パイルループ31,71を備えるパイル編地は見栄えに優れる。端部パイルループ71と追加編目70を上述した位置に配置できるのは、S2において第一編目列1と第二編目列2の端部の位置を左右にずらし、前針床FBに非重複領域R1を形成しているからである。
【0027】
S4では、給糸口9を右方向に移動させ、第二パイル編目列4を編成する。第二パイル編目列4は、ニット目からなるアンカー編目40、標準パイルループ41,タック目からなるアンカー編目40の順に編成される。第二パイル編目列4の始端編目4S及び終端編目4Eはニット目からなるアンカー編目である。
【0028】
ここで、
図1から
図3の編成を繰り返す場合、
図3のS13の後に
図1のS3の編成が行われる。その場合、
図1のS4の第二パイル編目列4を第一パイル編目列とみなし、二回目のS3で編成されるパイル編目列を第二パイル編目列とみなすことができる。従って、S4では、S3と同様に、第二パイル編目列4の終端編目4Eよりも編幅方向の外側に、端部パイルループ71と、追加編目70と、折り返し編目72とを編成する。端部パイルループ71は前針床FBの空針に形成される掛け目であり、追加編目70と折り返し編目72は後針床BBの空針に形成される掛け目である。折り返し編目72は必須では無い。
【0029】
S5では、給糸口9を左方向に移動させ、第一固定編目列5を編成する。第一固定編目列5は、S3の各アンカー編目30のウエール方向に続く固定編目50を含む。固定編目50はアンカー編目30を固定する。ここでは、第一パイル編目列3の端部編目7のウエール方向に続く固定編目50を第一固定編目8と呼ぶ。
【0030】
S5では更に、第一固定編目列5の一部である第二固定編目80と第三固定編目82を編成する。第二固定編目80は、追加編目70(S4の前針床FB)に重なるタック目である。第三固定編目82は、折り返し編目72(S4の前針床FB)のウエール方向に続くニット目である。
【0031】
S6では、給糸口9を右方向に移動させ、第二固定編目列6を編成する。第二固定編目列6は、S4の各アンカー編目40のウエール方向に続く固定編目60を含む。固定編目60は、アンカー編目40を固定する。第二パイル編目列4の端部編目7のウエール方向に続く固定編目60を特に第一固定編目8と呼ぶ。
【0032】
S6では更に、第二固定編目列6の一部である第二固定編目80と第三固定編目82を編成する。第二固定編目80は、追加編目70(S4の後針床BB)に重なるタック目である。第三固定編目82は、折り返し編目72(S4の後針床BB)のウエール方向に続くニット目である。
【0033】
図2のS7では、給糸口9を左方向に移動させ、S5において編成した第一固定編目列5のウエール方向に続けて新たな第一固定編目列5を編成する。新たな第一固定編目列5の編目は全てニット目である。新たな第一固定編目列5は前針床FBからタック目を無くすことで、その編成コースにおいて目移しなどを行い易くするためのもので、必須では無い。ここで、新たな第一固定編目列5の第三固定編目82は、第一固定編目列5の他の編目と逆方向に編成した捻り目である。
【0034】
S8では、端部パイルループ71を後針床BBの編針から外す。端部パイルループ71は編針に係止されていない非係止状態になる。続くS9では、S8の第二固定編目80を第一固定編目8に重ねた重ね目85を形成する。
【0035】
S10では、給糸口9を右方向に移動させ、S11では、第三固定編目82を第二固定編目列6の端部編目に重ねた重ね目86を形成する。S10の給糸口9の移動は、第三固定編目82を移動させる際に編糸が絡まないようにするためのものである。
【0036】
S11の後は、後針床BBにおいて、S7からS10と前後対称の編成を行う。その結果、
図3のS12に示す編目の係止状態が得られる。なお、S11の後に新たな第二固定編目列6を編成する際、重ね目86を除く固定編目60のウエール方向に続けて新たな固定編目60を編成する。
【0037】
図3のS12では、端部パイルループ71は針床から外れた非係止状態になっており、標準パイルループ31,41は針床に保持された係止状態になっている。S13では、標準パイルループ31,41を針床から外す。標準パイルループ31,41,71は、パイル編地の筒の内側に突出した状態となる。
【0038】
S13の後、更にパイルループ31,41,71を有する編地部を編成する場合、S13の第一固定編目列5を第一編目列1とみなし、第二固定編目列6を第二編目列2とみなし、
図1のS3から
図3のS13の編成を繰り返す。
【0039】
本例のパイル編地の編成方法によれば、第一パイル編目列3と第二パイル編目列4との境界に端部パイルループ71を形成できる。従って、第一パイル編目列3と第二パイル編目列4との境界が目立つことが無い。また、本例のパイル編地の編成方法によれば、パイル編地の編幅を変化させること無く、第一パイル編目列3と第二パイル編目列4との間に端部パイルループ71を形成できる。
【0040】
<実施形態2>
実施形態1では、第一パイル編目列3が係止される前針床FBに追加編目70を編成した。実施形態2では、第二パイル編目列4が係止される後針床BBに追加編目70を編成する例を
図1に基づいて説明する。
【0041】
実施形態2では、S1の状態から第二編目列2を第一編目列1に対して右方向に移動させる。その結果、後針床BBにおいて、第一編目列1の左側部分と重複しない非重複領域R1が形成される。給糸口9を左方向に移動させ、第一パイル編目列3を編成した後、給糸口9を右方向に移動させ第二パイル編目列4を編成する。その際、第二パイル編目列4を編成する前に、後針床BBの非重複領域R1に追加編目70を編成し、前針床FBに端部パイルループ71を編成する。本例のパイル編地の編成方法によっても、第一パイル編目列3の終端編目3Eと、第二パイル編目列4の始端編目4Sとの間に端部パイルループ71が編成される。
【0042】
<その他の実施形態>
実施形態1,2に係るパイル編地の編成方法は、4枚ベッド横編機によっても実施可能である。4枚ベッド横編機であれば、第一パイル編目列3及び第二パイル編目列4を総針状態で編成できる。総針状態とは、隣接する編目の間に空針が無い状態で編成を行うことである。その場合、パイルループ31,41,71がより密に配置されたパイル編地が得られる。
【0043】
実施形態1,2に係るパイル編地の編成方法は、パイルシンカーを備える横編機によって実施することもできる。パイルシンカーを備える横編機では、第一パイル編目列3と第一固定編目列5とが同時に編成され、第二パイル編目列4と第二固定編目列6とが同時に編成される。この場合、パイルループ31,41,71はパイルシンカーに係止される。パイルシンカーは歯口に向かって進退自在に構成されている。従って、パイルシンカーを歯口から後退させることで、パイルシンカーからパイルループ31,41,71を外すことができる。
【0044】
実施形態1,2に係るパイル編地の編成方法は、複合針を備える横編機によって実施することもできる。複合針を備える横編機では、
図4を参照して説明した従来技術と同様に、第一固定編目列5が編成された後、その第一固定編目列5に重なるように第一パイル編目列3が編成され、第二固定編目列6が編成された後、その第二固定編目列6に重なるように第二パイル編目列4が筒状に編成される。
【符号の説明】
【0045】
1 第一編目列
2 第二編目列
3 第一パイル編目列
3E 終端編目、30 アンカー編目、31 標準パイルループ
4 第二パイル編目列
4E 終端編目、4S 始端編目、40 アンカー編目、41 標準パイルループ
5 第一固定編目列、50 固定編目
6 第二固定編目列、60 固定編目
7 端部編目
70 追加編目、71 端部パイルループ、72 折り返し編目
8 第一固定編目、80 第二固定編目、82 第三固定編目、85,86 重ね目
9 給糸口
FB 前針床、BB 後針床、R1 非重複領域