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特許7580333ウエハハンド、半導体製造装置、および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ウエハハンド、半導体製造装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241101BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 631
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021081049
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2022174968
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】武田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 博司
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-071025(JP,A)
【文献】特開2006-179836(JP,A)
【文献】特開2007-274003(JP,A)
【文献】特開2001-102421(JP,A)
【文献】特開2021-048322(JP,A)
【文献】特開2014-207338(JP,A)
【文献】特表2009-516376(JP,A)
【文献】特開2002-313872(JP,A)
【文献】特開2006-351707(JP,A)
【文献】特開2006-190817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのキャリー部と、ジョイント部と、を備えるウエハハンドであって
前記2つのキャリー部は第1方向に並んで配置されており、
前記2つのキャリー部は前記ジョイント部を介して繋がっており、
前記2つのキャリー部はそれぞれ前記ジョイント部から前記第1方向と直交する第2方向に延在しており、
前記2つのキャリー部それぞれの前記第2方向と交差する方向側を向いた側面であって互いに対向する側面の間の間隔が170mm以上であり、
前記2つのキャリー部それぞれの前記第2方向と交差する方向側を向いた側面同士であって互いに相手と逆側を向いている側面同士の間隔が280mm以下であり、
前記2つのキャリー部の内側側面の距離をA(mm)、前記2つのキャリー部の内側側面の前記第2方向の長さをL(mm)とした場合に、L≧(300‐A0.5の関係が成り立ち、
前記2つのキャリー部は、それぞれ、前記キャリー部の外側の方が前記キャリー部の内側よりも短
前記2つのキャリー部の一方と他方である第1のキャリー部と第2のキャリー部との上にはそれぞれ、前記第2方向側の端部と前記第2方向側とは逆側の端部とに載置部が設けられており、
平面視において、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
がなす角のうち、前記第1方向側に開いている角の角度は110°以下であり、
前記2つのキャリー部のそれぞれである前記第1のキャリー部と前記第2のキャリー部にはそれぞれ、前記第2方向側と前記第2方向側とは逆側の端部と、にガイドが設けられており、
前記ガイドは前記ウエハハンドに載置されたウエハの面内方向の位置を規制し、
前記ガイドは、前記載置部に設けられている、
ウエハハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のウエハハンドであって、
前記2つのキャリー部それぞれの前記第2方向と交差する方向側を向いた側面同士であって互いに相手と逆側を向いている側面同士の間隔が250mm以下である、
ウエハハンド。
【請求項3】
2つのキャリー部と、ジョイント部と、を備えるウエハハンドであって
前記2つのキャリー部は第1方向に並んで配置されており、
前記2つのキャリー部は前記ジョイント部を介して繋がっており、
前記2つのキャリー部はそれぞれ前記ジョイント部から前記第1方向と直交する第2方向に延在しており、
直径dが295(mm)以上の円板形状の載置すべき対象物を、
(a)前記第1方向に関して前記対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上140×(d/300)mm以下の領域以外では前記2つのキャリー部および前記ジョイント部と平面視で重ならない、
(b)前記第1方向に関して前記対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上140×(d/300)mm以下の2つの領域それぞれにおいて、前記2つのキャリー部のうちの1つずつが、前記対象物の前記第2方向側の側面よりも前記第2方向側まで延在している、
の2つの条件を満たすように、載置可能であ
前記2つのキャリー部の一方と他方である第1のキャリー部と第2のキャリー部との上にはそれぞれ、前記第2方向側の端部と前記第2方向側とは逆側の端部とに載置部が設けられており、
平面視において、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
がなす角のうち、前記第1方向側に開いている角の角度は110°以下であり、
前記2つのキャリー部のそれぞれである前記第1のキャリー部と前記第2のキャリー部にはそれぞれ、前記第2方向側と前記第2方向側とは逆側の端部と、にガイドが設けられており、
前記ガイドは前記ウエハハンドに載置されたウエハの面内方向の位置を規制し、
前記ガイドは、前記載置部に設けられている、
ウエハハンド。
【請求項4】
請求項3に記載のウエハハンドであって、
前記対象物を、前記(a)および前記(b)および
(c)前記2つのキャリー部それぞれの、前記対象物の前記第2方向側の側面よりも前記第2方向側の部分は、前記第1方向に関して前記対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の領域に収まる、
の3つの条件を満たすように、載置可能である、
ウエハハンド。
【請求項5】
請求項3に記載のウエハハンドであって、
前記対象物を、前記(a)および前記(b)に代えて、
(d)前記第1方向に関して前記対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の領域以外では前記2つのキャリー部および前記ジョイント部と平面視で重ならない、
(e)前記第1方向に関して前記対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の2つの領域それぞれにおいて、前記2つのキャリー部のうちの1つずつが、前記対象物の前記第2方向側の側面よりも前記第2方向側まで延在している、
の2つの条件を満たすように、載置可能である、
ウエハハンド。
【請求項6】
請求項1または3に記載のウエハハンドであって、
前記第1方向側に開いている前記角の前記角度は67°以上である、
ウエハハンド。
【請求項7】
請求項1、3、または6のいずれか1項に記載のウエハハンドであって、
前記載置部の上面に開口を有する吸着穴が設けられており、
前記開口からの吸引により前記載置部の前記上面に載置されたウエハを吸着する、
ウエハハンド。
【請求項8】
請求項1、3、6、または7のいずれか1項に記載のウエハハンドであって、
前記載置部の上面の傾斜は3°未満である、
ウエハハンド。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載のウエハハンドを備える半導体製造装置。
【請求項10】
ウエハハンドを用い半導体ウエハの搬送を行う半導体装置の製造方法であって、
中央部において外周部よりも薄い厚みを有する半導体ウエハを準備する工程を備え、
前記半導体ウエハは径d(mm)が295mm以上であり、
前記ウエハハンドは第2方向に延在する2つのキャリー部を備え、
前記第2方向と直交する第1方向に関して前記半導体ウエハの中心から85×(d/300)mm以上140×(d/300)mm以下の領域以外では、前記半導体ウエハが前記ウエハハンドと平面視で重ならないような状態で、前記半導体ウエハを前記2つのキャリー部に載置し搬送する工程をさらに備え、
前記2つのキャリー部の一方と他方である第1のキャリー部と第2のキャリー部との上にはそれぞれ、前記第2方向側の端部と前記第2方向側とは逆側の端部とに載置部が設けられており、
平面視において、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
前記第1のキャリー部の前記第2方向側の端部の前記載置部の中心と前記第2のキャリー部の前記第2方向側とは逆側の端部の前記載置部の中心とを結ぶ直線と、
がなす角のうち、前記第1方向側に開いている角の角度は110°以下であり、
前記2つのキャリー部のそれぞれである前記第1のキャリー部と前記第2のキャリー部にはそれぞれ、前記第2方向側と前記第2方向側とは逆側の端部と、にガイドが設けられており、
前記ガイドは前記ウエハハンドに載置されたウエハの面内方向の位置を規制し、
前記ガイドは、前記載置部に設けられている、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はウエハハンド、半導体製造装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハの移載には、ウエハハンドが用いられる。ウエハハンドは例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-151035号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエハを収納するキャリアでは、左右両内壁に上下方向に多重に形成された溝のそれぞれにより半導体ウエハを支持して、半導体ウエハを収納している。キャリア内に収納された半導体ウエハは当該半導体ウエハの外周部のみで支持されているため、支持されていない中央部では自重により下向きに撓みが発生する。段差付きウエハのようにウエハの厚みを薄くしたウエハでは大きな撓みが発生する。キャリアに上下方向に多重に収納された半導体ウエハをキャリアから取り出すには、半導体ウエハ間にウエハハンドを差し込む必要があるが、半導体ウエハの撓みによりウエハハンドを差し込む隙間が小さくなると、半導体ウエハとウエハハンドとが意図しない箇所で接触するという問題が起きる。
【0005】
本開示は上記のような問題点を解決するためになされたもので、半導体ウエハをキャリア内に出し入れする際の、半導体ウエハとウエハハンドとの意図しない箇所での接触を抑制できるウエハハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のウエハハンドは、2つのキャリー部と、ジョイント部と、を備え、2つのキャリー部は第1方向に並んで配置されており、2つのキャリー部はジョイント部を介して繋がっており、2つのキャリー部はそれぞれジョイント部から第1方向と直交する第2方向に延在しており、2つのキャリー部それぞれの第2方向と交差する方向側を向いた側面であって互いに対向する側面の間の間隔が170mm以上であり、2つのキャリー部それぞれの第2方向と交差する方向側を向いた側面同士であって互いに相手と逆側を向いている側面同士の間隔が280mm以下であり、2つのキャリー部の内側側面の距離をA(mm)、2つのキャリー部の内側側面の第2方向の長さをL(mm)とした場合に、L≧(300‐A0.5の関係が成り立ち、2つのキャリー部は、それぞれ、キャリー部の外側の方がキャリー部の内側よりも短2つのキャリー部の一方と他方である第1のキャリー部と第2のキャリー部との上にはそれぞれ、第2方向側の端部と第2方向側とは逆側の端部とに載置部が設けられており、平面視において、第1のキャリー部の第2方向側とは逆側の端部の載置部の中心と第2のキャリー部の第2方向側の端部の載置部の中心とを結ぶ直線と、第1のキャリー部の第2方向側の端部の載置部の中心と第2のキャリー部の第2方向側とは逆側の端部の載置部の中心とを結ぶ直線と、がなす角のうち、第1方向側に開いている角の角度は110°以下であり、2つのキャリー部のそれぞれである第1のキャリー部と第2のキャリー部にはそれぞれ、第2方向側と第2方向側とは逆側の端部と、にガイドが設けられており、ガイドはウエハハンドに載置されたウエハの面内方向の位置を規制し、ガイドは、載置部に設けられている、ウエハハンドである。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、半導体ウエハをキャリア内に出し入れする際に、半導体ウエハとウエハハンドとの意図しない箇所での接触を抑制できるウエハハンドが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1のウエハハンドの平面図である。
図2図1のα1-β1線における断面図である。
図3】キャリアに収納された段差付きウエハの撓みを表す図である。
図4】キャリアに収納されたウエハの間に実施の形態1のウエハハンドを挿入した状態を示す図である。
図5】キャリアに収納された段差付きウエハの撓みを表す図である。
図6】キャリアにウエハが収納された状態を示す図である。
図7図6のα2-β2線における断面図である。
図8】実施の形態2のウエハハンドの一例の平面図である。
図9図8のα3-β3線における断面図である。
図10】載置部の位置と段差付きウエハの撓みの関係を示す図である。
図11】実施の形態2のウエハハンドの別の一例の平面図である。
図12図11のα4-β4線における断面図である。
図13】実施の形態3の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図14】比較例のウエハハンドの平面図である。
図15】キャリアに収納されたウエハの間に比較例のウエハハンドを挿入した状態を示す図である。
図16】実施の形態3で製造される半導体装置を示す図である。
図17】実施の形態1の半導体製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は本実施の形態のウエハハンド21を示す平面図である。図2図1のα1-β1線におけるウエハハンド21の断面図である。図1および図2にはウエハハンド21に載置された段差付きウエハ5も示されている。段差付きウエハ5は外周部にリム15を有する。段差付きウエハ5の厚みは中央部においてリム15の部分におけるよりも薄い。
【0010】
ウエハハンド21は、2つのキャリー部2(2a,2b)とジョイント部3とを備える。2つのキャリー部2は第1方向(図1のx方向)に並んでいる。2つのキャリー部2はそれぞれジョイント部3から第2方向(図1のy方向)に向けて延在している。2つのキャリー部2はジョイント部3を介して繋がっている。第1方向と第2方向は直交する方向である。
【0011】
以下、2つのキャリー部2それぞれについて、内側とは、他方のキャリー部2の側を意味する。つまり、キャリー部2aの内側の側面とはキャリー部2b側の側面であり、キャリー部2bの内側の側面とはキャリー部2a側の側面である。
【0012】
2つのキャリー部2はそれぞれ、平面視で第2方向に直線状に延在した内側の側面を有する。また、2つのキャリー部2はそれぞれ、平面視で第2方向に直線状に延在した外側の側面を有する。
【0013】
ウエハハンド21は、例えば段差付きの300mmウエハを搬送するために用いられるウエハハンドである。
【0014】
2つのキャリー部2の内側側面の間隔Aは170mm以上である。
【0015】
また、2つのキャリー部2の外側側面の間隔Bは250mm以下である。
【0016】
2つのキャリー部2は、それぞれ、キャリー部2の外側の方がキャリー部2の内側よりも短くてよい。つまり、内側側面の第2方向側の端部は、外側側面の第2方向側の端部よりも、より第2方向側に位置していてよい。キャリー部2の外側がキャリー部2の内側よりも短いことで、キャリー部2の剛性が高くなる。2つのキャリー部2の先端は、それぞれ、例えば、ウエハハンド21に載置される段差付きウエハ5の外周に沿うように円弧状になっている。
【0017】
2つのキャリー部2の内側側面の間隔をA(mm)、2つのキャリー部2の内側側面の第2方向の長さをL(mm)とした場合に、L≧(300‐A0.5の関係が成り立つようにAとLを設計する。ここで、(300‐A0.5は、段差付きウエハ5の直径を300mmとしたときの、キャリー部2の内側側面が段差付きウエハ5と平面視で重なっている部分の長さである。これにより、2つのキャリー部2の内側側面のジョイント部3側の端部に段差付きウエハ5が重ならない状態で段差付きウエハ5を2つのキャリー部2に載置した場合に、2つのキャリー部2それぞれが、段差付きウエハ5の第2方向側の側面よりも第2方向側にまで至ることができる。そのため、キャリー部2が存在している第1方向の位置において、キャリー部2を、段差付きウエハ5を第2方向の全体に渡って支えるよう、しっかり差し込むことができる。
【0018】
段差付きの300mmウエハを想定し、例えば間隔A(mm)が170mm以上200mm未満の場合は、Lは247mm以上であってよい。例えば間隔A(mm)が200mm以上230mm以下の場合は、Lは223mm以上であってよい。
【0019】
ジョイント部3の第2方向側の側面のうち2つのキャリー部2の間の部分は、平面視において、2つのキャリー部2の間の中央部分でより第2方向とは逆方向側に位置するように凹んでいる。これにより、キャリー部2とジョイント部3との境界の付近に段差付きウエハ5の第2方向とは逆方向側の側面が位置するように段差付きウエハ5をキャリー部2上に載置した場合においても、ジョイント部3と段差付きウエハ5とは平面視で重ならない。
【0020】
次に、ウエハを収納するキャリアについて説明する。図6は段差付きウエハ5がキャリア6に収納されている状態を示す平面図である。図7図6のα2-β2線における断面図である。
【0021】
キャリア6は300mmウエハ対応のキャリアであり、Semi規格に準じたキャリアである。
【0022】
キャリア6には支持部7が設けられている。支持部7はキャリア6の側面から突き出た突起である。支持部7の突出長さは、例えば10mm未満である。
【0023】
段差付きウエハ5は、X方向の両端部の裏面を支持部7に支持された状態で、キャリア6に収納されている。
【0024】
図3は、段差付きウエハ5が図6および図7に示されるようにキャリア6の支持部7にX方向の両端側の端部の裏面を支持された状態での、段差付きウエハ5の撓み方を示す図である。
【0025】
図3では、支持部7での高さに対し各X方向位置での高さの最低値がプロットされている。あるX方向位置での高さの最低値とは、当該X方向位置により指定されるY方向に異なる位置の間で最も低い位置での高さである。
【0026】
図3では、段差付きウエハ5が支持部7により支持されている箇所の高さを0(mm)としてデータが示されている。
【0027】
図3に示されるように、段差付きウエハ5は支持部7の近傍、つまり横軸の値が‐150mmまたは150mmに近い領域では高く、X方向に関して中央部分、つまり横軸の値が0mmの近傍では低くなるように撓んでいる。
【0028】
図4は、キャリア6のある一つの段に図3の測定を行った段差付きウエハ5が収納され、当該段差付きウエハ5が収納された段の一つ下の段に半導体ウエハ4が収納されている状態を示す図である。半導体ウエハ4は中央部分が薄化されていないウエハである。図4では、半導体ウエハ4と段差付きウエハ5との間に挿入されたウエハハンド21のキャリー部2も示されている。
【0029】
図5において、5aは段差付きウエハ5の下面の高さを表す。4aは半導体ウエハ4の上面の高さを表す。半導体ウエハ4は薄化されていないため、半導体ウエハ4の上面の高さは面内の位置によらずほぼ一定である。
【0030】
上下に隣り合う段のうち上側の段に段差付きウエハ5が収納され、下側の段に薄化されていない半導体ウエハ4が収納されると、上側の段に収納されたウエハと下側の段に収納されたウエハとの間にウエハハンド21を挿入する際のクリアランスが小さくなる。
【0031】
支持部7は10mm程度の周期で高さ方向に配置されている。段差付きウエハ5の撓みにより、X方向に関する中央部分では、段差付きウエハ5の下面と半導体ウエハ4の上面の間隔は5mm程度である。
【0032】
間隔Aが170mm以上であるウエハハンド21を用い、図4および図5に示されるようにキャリー部2を段差付きウエハ5と半導体ウエハ4の間に挿入した場合、キャリー部2が挿入されるX方向位置においては、段差付きウエハ5の下面と半導体ウエハ4の上面の間隔が6mm程度以上となる。これにより、キャリー部2と段差付きウエハ5の間のクリアランスC、またはキャリー部2と半導体ウエハ4の間のクリアランスCをより大きく確保できる。例えば、キャリー部2の厚さが4mmの場合、キャリー部2と段差付きウエハ5の間のクリアランスC、またはキャリー部2と半導体ウエハ4の間のクリアランスCをそれぞれ少なくとも1mm程度ずつ、キャリー部2が存在するすべてのY方向の位置で確保できる。これにより、ウエハハンド21と、半導体ウエハ4または段差付きウエハ5と、の意図しない箇所での接触を抑制できる。
【0033】
また、図4の状態からウエハハンド21を持ち上げた際に支持部7に接触せずに段差付きウエハ5をウエハハンド21に載置できるように、例えば1つの支持部7の突出長さを10mm未満として、間隔Bは例えば280mm以下である。
【0034】
また、図6に示されるように、キャリア6は、ウエハハンド21が挿入される側とは逆側(つまり、図6においてY方向側)において、ウエハの端部を支持するために、ウエハハンド21が挿入される側よりも狭くなっている。その狭くなっている部分の開口16の幅Dは250mmである。間隔Bが250mm以下であれば、当該狭くなっている部分にまでウエハハンド21を挿入し、段差付きウエハ5の端部であってウエハハンド21が挿入される側とは逆側の端部においても段差付きウエハ5をウエハハンド21により支持できる。
【0035】
次に、ウエハハンドを備える半導体製造装置について説明する。図17は本実施の形態の半導体製造装置の一例である半導体製造装置200を示す図である。半導体製造装置200はウエハ搬送用の装置である。半導体製造装置200はウエハハンド21を備える。半導体製造装置200は例えばウエハハンド21を駆動する駆動部25を備え、駆動部25によりウエハハンド21を駆動して自動でウエハを搬送する。本実施の形態の半導体製造装置はウエハハンド21を備える半導体製造装置であればよく、本実施の形態の半導体製造装置は図17に示される半導体製造装置200以外の半導体製造装置であってもよい。
【0036】
<A-2.動作>
キャリア6に段差付きウエハ5が複数収納された状態から、ウエハハンド21を用いて段差付きウエハ5を取り出す方法について説明する。取り出す対象の段差付きウエハ5を段差付きウエハ5a、段差付きウエハ5aの一段下に収納されている段差付きウエハ5を段差付きウエハ5bと呼ぶ。
【0037】
キャリア6から段差付きウエハ5を取り出す際、ウエハハンド21の2つのキャリー部2が、取り出す対象の段差付きウエハ5aとその一段下の段差付きウエハ5である段差付きウエハ5bとの間に挿入される。
【0038】
このとき、2つのキャリー部2は、段差付きウエハ5のX方向に関する中央部と平面視で重ならないように、キャリア6に図6のマイナスY方向側からY方向側に向けて挿入される。2つのキャリー部2は、図3に示す撓み量が少ない領域、つまりX座標が‐125mm~‐85mmと85mm~125mmの領域に挿入される。1つのキャリー部2はX座標が‐125mm~‐85mmの領域に、もう1つのキャリー部2はX座標が85mm~125mmの領域に挿入される。
【0039】
2つのキャリー部2が、段差付きウエハ5のX方向に関する中央部と平面視で重ならないように、キャリア6に挿入されることで、2つのキャリー部2を、取り出し対象の段差付きウエハ5aとその1段下の段差付きウエハ5bとの間に挿入することが容易になる。
【0040】
図4に示されるように上側の段に段差付きウエハ5があり下側の段に段差のない半導体ウエハ4がある状況、つまりウエハハンド21を挿入する隙間が最も小さくなる状況でも十分なクリアランスを確保してウエハハンド21を挿入可能なよう、ウエハハンド21は前述したように設計されている。そのため、キャリア6に収納されているウエハの構成に応じてウエハハンド21を挿入する際のウエハハンド21の位置を調整する必要がない。位置を調整しないことで、ウエハハンド21を挿入する位置の設定のミス等による誤動作を防ぐことができる。これにより、生産効率が向上し、また、設定ミスによるウエハ破損を防ぐことができる。
【0041】
ウエハハンド21を挿入した後、段差付きウエハ5aと2つのキャリー部2が接触するまでウエハハンド21を上昇させ、段差付きウエハ5aが2つのキャリー部2のみによって保持され、支持部7では保持されないようにする。この時、2つのキャリー部2はウエハハンド21の挿入側と反対方向のウエハ端部まで保持をするため、2つのキャリー部2に保持された段差付きウエハ5aの挿入側と反対方向のウエハ端部は撓みが小さくなる。
【0042】
次に、段差付きウエハ5aの上の段に収納されている段差付きウエハ5に接触しない程度にウエハハンド21をわずかに上昇させる。
【0043】
次に、段差付きウエハ5aを保持したウエハハンド21をキャリア6から引き出す。キャリア6から引き出された段差付きウエハ5aは、その後、ウエハハンド21によって、段差付きウエハ5aを処理する装置の処理ステージ等に搬送される。
【0044】
次に、段差付きウエハ5を処理ステージ等からキャリア6に搬送し、段差付きウエハ5をキャリア6に収納する動作を説明する。
【0045】
まず、ウエハハンド21を処理が完了した段差付きウエハ5(以下、段差付きウエハ5cと呼ぶ)の下方向に位置させる。
【0046】
次にウエハハンド21を上昇させていき、段差付きウエハ5cと2つのキャリー部2を接触させて、段差付きウエハ5cを、2つのキャリー部2のみにより保持され処理ステージには保持されていない状態にする。
【0047】
次にウエハハンド21を処理ステージからキャリア6付近まで移動させる。次に、ウエハハンド21をキャリア6の収納対象位置の支持部7の上方向に位置させる。次に、段差付きウエハ5cを収納する予定の上側の段に収納されている段差付きウエハ5の最も撓んでいるウエハ中央部と、ウエハハンド21で保持している段差付きウエハ5cが接触しない位置にウエハハンド21を挿入する。その後、ウエハハンド21を降下させていき、段差付きウエハ5cと支持部7を接触させて、段差付きウエハ5cが支持部7のみにより保持され2つのキャリー部2には保持されていない状態にする。その後、ウエハハンド21をキャリア6から引き抜き、収納が完了する。
【0048】
<A-3.変形例>
ウエハハンド21において2つのキャリー部2はそれぞれ、平面視で第2方向に直線状に延在した内側の側面を有する、として説明したが、2つのキャリー部2はそれぞれより一般的な形状であってもよい。また、ウエハハンド21の形状は300mmウエハを想定して説明されたが、異なるサイズのウエハを想定したものであってもよい。サイズの大きなウエハであれば、キャリアに収納された際の撓みが大きいため、ウエハハンド21と同様のウエハハンドが有用である。
【0049】
つまり、ウエハハンド21は、例えば、下記の条件(a)と(b)とを満たすように直径がd(mm)の円板形状の対象物を載置できるウエハハンドであってもよい。
【0050】
ウエハハンド21が条件(a)を満たすことで、図1に示されるように、段差付きウエハ5のx方向に関する中央部分を避けて段差付きウエハ5を載置できる。また、ウエハハンド21が条件(a)を満たすことで、ウエハハンド21によりキャリア6から段差付きウエハ5を取り出す際に、ウエハハンド21が支持部7に引っかからずに済む。また、ウエハハンド21が条件(b)を満たすことで、キャリー部2がY方向の全体に渡って段差付きウエハ5を支持できる。
【0051】
ウエハハンド21は、例えば、下記の条件(a)と(b)と(c)とを満たすように直径がd(mm)の円板形状の対象物を載置できるウエハハンドであってもよい。
【0052】
条件(c)を満たすことで、ウエハハンド21の先端を、図6のようなキャリア6の狭まった開口16に挿入することができる。
【0053】
また、ウエハハンド21は、例えば、下記の条件(d)と(e)とを満たすように直径がd(mm)の円板形状の対象物を載置できるウエハハンドであってもよい。
【0054】
条件(d)と(e)を満たすことで、条件(a)と(b)と(c)を満たす場合と同様の利点が得られる。
【0055】
(a)x方向に関して対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上140×(d/300)mm以下の領域以外では2つのキャリー部2およびジョイント部3と平面視で重ならない。
【0056】
(b)x方向に関して対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上140×(d/300)mm以下の2つの領域それぞれにおいて、2つのキャリー部2のうちの1つずつが、対象物のy方向側の側面よりもy方向側まで延在している。
【0057】
(c)2つのキャリー部2それぞれの、対象物のy方向側の側面よりもy方向側の部分は、x方向に関して対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の領域に収まる。
【0058】
(d)x方向に関して対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の領域以外では2つのキャリー部2およびジョイント部3と平面視で重ならない。
【0059】
(e)x方向に関して対象物の中心からの距離が85×(d/300)mm以上125×(d/300)mm以下の2つの領域それぞれにおいて、2つのキャリー部2のうちの1つずつが、対象物のy方向側の側面よりもy方向側まで延在している。
【0060】
円板形状の対象物の直径dは例えば295mm以上であってもよい。具体的には、円板形状の対象物の直径dは例えば300mmまたは450mmであってもよい。
【0061】
<B.実施の形態2>
図8に示す本実施の形態のウエハハンド22は、実施の形態1のウエハハンド21と比べると、載置部8およびガイド9を備える点が異なる。ウエハハンド22は、その他の点ではウエハハンド21と同様である。なお、図9は、図8のα3-β3線における断面図である。
【0062】
ウエハハンド22において、載置部8およびガイド9は、2つのキャリー部2それぞれにおいて、y方向側の端部とy方向側とは逆側の端部との2か所に設けられている。
【0063】
ウエハハンド22に載置部8とガイド9とのうちいずれか片方のみが設けられていてもよい。
【0064】
ガイド9により段差付きウエハ5の面内方向の位置が規制されることで、段差付きウエハ5の適正な位置からのずれが抑制される。
【0065】
各載置部8は上面にウエハを載置するためのものであり、各載置部8の上面は傾斜していない。各載置部8の上面の傾斜は例えば3°未満である。各載置部8の上面の傾斜は例えば1°未満である。ウエハは、各載置部8を介して2つのキャリー部2上に載置される。
【0066】
載置部8が設けられていることにより、望ましくは、図8および図9に示されるように、ウエハハンド22が段差付きウエハ5の外周部のみと接する状態で、ウエハハンド22により段差付きウエハ5を保持できる。これにより、ウエハハンド22と段差付きウエハ5との接触面積を減らすことができる。
【0067】
図10においては、α3-β3線上で段差付きウエハ5が下凸になっている場合には、α3-β3線上で段差付きウエハ5の下面の最も低い位置の高さがプロットされている。α3-β3線上で段差付きウエハ5が上凸になっている場合には、α3-β3線上で段差付きウエハ5の下面の最も高い位置の高さがプロットされている。図10において、載置部8の上面の高さを0mmとしている。
【0068】
図10のデータは、十分高い載置部を用い、段差付きウエハ5とウエハハンド22が接触しないようにした状態で、α3-β3線上での段差付きウエハ5の高さを測定して得られたものである。
【0069】
載置部8の配置に関する角度Θは、平面視において、載置部8dの中心(例えば段差付きウエハ5の周方向における中心、以下周方向の中心という)と載置部8bの周方向の中心とを結ぶ直線と、載置部8aの周方向の中心と載置部8cの周方向の中心とを結ぶ直線と、がなす角のうち、第1方向側に開いている角の角度である。
【0070】
載置部8aはキャリー部2aのy方向側の端部の載置部8である。載置部8bはキャリー部2bのy方向側の端部の載置部8である。載置部8cはキャリー部2bのy方向とは逆側の端部の載置部8である。載置部8dはキャリー部2aのy方向とは逆側の端部の載置部8である。
【0071】
図10に示されるように、Θが小さい場合には、α3-β3線上で段差付きウエハ5は上凸である。Θが小さい場合には、段差付きウエハ5は第2方向の中央部分で支持されることになるため、第2方向の前後の両端部が下に下がる。そのため、第2方向に沿った線上では上凸になる。
【0072】
また、図10に示されるように、Θが大きくなるとα3-β3線上で段差付きウエハ5の下凸の度合いが大きくなる。
【0073】
ウエハハンド22の載置部8以外の部分と段差付きウエハ5との接触を抑制するためには、Θを小さくすることが望ましい。例えば、載置部8の高さを1mmとすると、Θが110°以下の場合には、図10に示される測定を行った段差付きウエハ5を保持する際に、段差付きウエハ5とウエハハンド22との接触を抑制できる。
【0074】
より好ましくは、Θは90°以下である。さらに好ましくは、Θは85°以下である。Θは85°以下の場合、図10に示されるように段差付きウエハ5はα3-β3線上で上凸である。そのため、ウエハハンド22の載置部8以外の部分と段差付きウエハ5との接触はより抑制される。Θが小さい場合には段差付きウエハ5は第2方向の中央部分で支持されることになるため、第2方向の前後の両端部が下に下がる。しかし、段差付きウエハ5は、ジョイント部3と段差付きウエハ5とが平面視で重ならないようにウエハハンド22に載置されるため、段差付きウエハ5の第2方向の両端部が下に下がったとしても、段差付きウエハ5がジョイント部3と接触しない。
【0075】
Θを例えば67°以上とすることで、段差付きウエハ5を安定的に保持することができる。
【0076】
以上より、Θは、例えば67°以上110°以下である。より好ましくは、Θは例えば67°以上85°以下である。
【0077】
図11および図12はそれぞれ図8および図9に対応する図であり、本実施の形態の別の例を示す図である。図12は、図11のα4-β4線における断面図である。ウエハハンド22には、図11および図12に示されるように、吸着穴10が設けられていてもよい。載置部8の上面に吸着穴10の開口が設けられている。
【0078】
ウエハハンド22は、載置部8の上面に設けられた当該開口からの吸引により、載置部8に載置された段差付きウエハ5を吸着する。これにより、段差付きウエハ5の落下が抑制される。また、例えば、ウエハハンド22の高速移動または反転を行うことができる。
【0079】
この時、段差付きウエハ5を吸着する領域は段差付きウエハ5の外周部のリム15であることが好ましい。リム15は研削されておらず厚いため、吸着されるのがリム15であることで、吸着により段差付きウエハ5に損傷が与えられる可能性が抑えられる。
【0080】
実施の形態1で説明した半導体製造装置200は、ウエハハンド21の代わりにウエハハンド22を備えていてもよい。
【0081】
<C.実施の形態3>
本実施の形態では、実施の形態1または2のいずれかのウエハハンドを用いた半導体装置の製造方法について説明する。
【0082】
<C-1.半導体装置の構成>
図16は本実施の形態で製造される半導体装置の一例である半導体素子50を示す図である。半導体素子50はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)である。
【0083】
半導体素子50は、裏面側に設けられたコレクタ電極64と、コレクタ電極64上に設けられたp型コレクタ層61と、p型コレクタ層61上に設けられたn型バッファ層60と、n型バッファ層60上に設けられたn型ドリフト層51と、n型ドリフト層51上に設けられたp型ベース層52と、p型ベース層52上の部分的な領域に設けられたn型エミッタ層53と、p型ベース層52上のうちn型エミッタ層53が設けられていない領域に設けられたp型コンタクト層54と、n型エミッタ層53およびp型コンタクト層54に電気的に接続されたエミッタ電極63と、を備える。ここで、n型またはp型は当該領域の不純物濃度がn型またはp型の領域の不純物濃度よりも高いことを表す。n型またはp型は当該領域の不純物濃度がn型またはp型の領域の不純物濃度よりも低いことを表す。
【0084】
半導体素子50では、n型エミッタ層53およびp型コンタクト層54の表面を含む面から、p型ベース層52を貫通しn型ドリフト層51に達するトレンチが形成されている。当該トレンチ内にゲート絶縁膜57を介して埋め込みゲート電極58が設けられることでトレンチゲートが構成されている。埋め込みゲート電極58は、ゲート絶縁膜57を介してn型ドリフト層51に対向している。ゲート絶縁膜57は、p型ベース層52およびn型エミッタ層53に接している。埋め込みゲート電極58にゲート駆動電圧が印加されると、ゲート絶縁膜57に接するp型ベース層52にチャネルが形成される。埋め込みゲート電極58とエミッタ電極63との間には層間絶縁膜59が設けられている。
【0085】
実施の形態1または2のウエハハンドを用いて製造される半導体装置は、IGBTに限らず、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)またはダイオードまたはRC-IGBT(Reverse-Conducting IGBT、逆導通IGBT)であってもよい。
【0086】
実施の形態1または2のウエハハンドを用いて製造される半導体装置に用いられる半導体は、例えば、シリコン半導体、炭化珪素半導体、窒化ガリウム半導体のいずれかである。
【0087】
<C-2.製造方法>
図13は本実施の形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。以下では半導体素子50を製造する場合を想定して説明する。
【0088】
まず、半導体ウエハ4の表面に、半導体素子50の表面側の構造を形成する(ステップS1)。
【0089】
次に、半導体ウエハ4の表面上に、表面保護膜を形成する(ステップS2)。表面保護膜は、以後の工程で半導体ウエハ4の裏面側の加工を行う際に、ステップS1で形成された半導体素子50の表面側の構造を保護する。
【0090】
次に、半導体ウエハ4の裏面側を研削およびエッチングし、半導体ウエハを薄化する(ステップS3)。ステップS3では、まず裏面を研削砥石による機械加工で研削する。この際に半導体ウエハ4の裏面の中央部のみを研削し、半導体ウエハ4の裏面の外周部を研削しない。これにより、外周部にリムがある段差付きウエハ5が形成される。ステップS3では、その後、段差付きウエハ5の裏面をウエットエッチングし、段差付きウエハ5を適切な厚さまで薄化する。当該ウエットエッチングにおいては、例えばフッ酸又は硝酸を含む薬液を用いる。
【0091】
次に、段差付きウエハ5の裏面側に、半導体素子50の裏面側の構造を形成する(ステップS4)。ステップS4では、段差付きウエハ5の裏面側からのイオン注入と熱処理により、n型バッファ層60及びp型コレクタ層61を順に形成し、その後段差付きウエハ5の裏面上にコレクタ電極64を形成する。
【0092】
実施の形態1または2のウエハハンド21またはウエハハンド22は、例えば、ステップS3で半導体ウエハが薄化された後の、半導体ウエハの搬送において用いられる。例えば、ステップS3において半導体ウエハ4が薄化されて得られた段差付きウエハ5は、実施の形態1または2のウエハハンド21またはウエハハンド22によりキャリア6内に収納される。段差付きウエハ5は薄化されているので、キャリア6内で自重により撓んだ状態で保持される。段差付きウエハ5がキャリア6内で自重により撓んだ状態で保持されていても、実施の形態1または2のウエハハンドで搬送をすることで、ウエハハンドにウエハの撓んだ領域が接触することを防いで搬送することが可能となる。ステップS4からS6工程を行う装置への搬入およびステップS4およびS5工程を行う装置からキャリア6内への搬送にも実施の形態1または2のウエハハンドを用いる。
【0093】
実施の形態1または2のウエハハンド21またはウエハハンド22は、ステップS3の後だけでなく、ステップS3以前においても用いられてもよい。
【0094】
段差付きウエハ5の厚みに応じて段差付きウエハ5の撓み方は異なるが、実施の形態1または2のウエハハンド21またはウエハハンド22を用いることで、ウエハハンドを挿入する際にその都度位置合わせを実施する必要がなくなり、生産性を向上できる。
【0095】
<D.比較例>
図14は比較例のウエハハンド100を示す図である。ウエハハンド100は、実施の形態1または2のウエハハンドと比べ、キャリー部2が短い。そのため、ウエハハンド100にウエハを載置する際は、ジョイント部3がウエハと重なる。そのため、キャリア6に収納されているウエハを取り出す際、図15に示されるようにクリアランスCが小さく、ウエハハンド100とウエハが接触しやすい。
【0096】
図7に示されるような状況においてウエハを取り出す際には、取り出す対象のウエハの一段下のウエハも撓んでいるため、ウエハハンド100の位置を下側に調整することで、上下のウエハとの間でクリアランスを確保できる可能性がある。しかし、下側にあるウエハの状態に応じてウエハハンド100の挿入位置を調整すると、ウエハハンド挿入位置の設定ミス等による誤動作が起きる可能性があり、生産効率の低下、または設定ミスによるウエハ破損につながる可能性がある。上述した実施の形態1または実施の形態2のウエハハンドによれば、そのような不都合を回避することができる。
【0097】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0098】
2,2a,2b キャリー部、3 ジョイント部、4 半導体ウエハ、5,5a,5b,5c 段差付きウエハ、6 キャリア、7 支持部、8,8a,8b,8c,8d 載置部、9 ガイド、10 吸着穴、15 リム、16 開口、21,22,100 ウエハハンド、50 半導体素子、200 半導体製造装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17