(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ロック部材
(51)【国際特許分類】
B65D 55/14 20060101AFI20241101BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D55/14
B65D47/34 200
(21)【出願番号】P 2021091566
(22)【出願日】2021-05-31
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0206050(US,A1)
【文献】実開昭60-118655(JP,U)
【文献】特開2004-001791(JP,A)
【文献】特開2003-342927(JP,A)
【文献】特開2021-008296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 55/14
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体の口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体と、
一対の前記半割筒体の外周面に設けられ、キー部材が上下方向に挿入可能な挿入凹部と、を備え、
一対の前記半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、
一対の前記半割筒体のうち、いずれか一方の半割筒体に、いずれか他方の半割筒体に設けられた第1係止片に、離脱可能に係止された第2係止片が設けられ、
前記一方の半割筒体における周方向の他方側の端部に、前記第2係止片が設けられ、
前記他方の半割筒体における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、前記第2係止片を径方向の外側から覆うとともに前記第1係止片が内部に配置された膨出部が形成され、
前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記キー部材により前記第1係止片および前記第2係止片のうちの少なくとも1つが弾性変形させられることで、前記第1係止片と前記第2係止片との係合が解除され
、
前記第1係止片または前記第2係止片には第1磁石が設けられ、
前記キー部材には第2磁石が設けられ、
前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記第1磁石と前記第2磁石との間に生じる力により、前記第1係止片または前記第2係止片が弾性変形させられ、
前記第1磁石と前記第2磁石との間に生じる力により、一対の前記半割筒体における周方向の他方側の端部同士が離間するように、一対の前記半割筒体が前記ヒンジ軸回りに相対回転する、ロック部材。
【請求項2】
前記キャップは、ピストンをシリンダ内に向けて押し込むことにより、前記シリンダ内の内容物が吐出口から吐出されるポンプを前記口部に固定する、請求項
1に記載のロック部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器体の口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止するためのロック部材が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のロック部材では、キャップに対して容易に着脱することができず、例えば、キャップを口部から外して容器体内に内容物を詰め替えたり、キャップを、内容物が充填されている新たな容器体に付け替えたりすること等が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができるロック部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係るロック部材は、容器体の口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体と、一対の前記半割筒体の外周面に設けられ、キー部材が上下方向に挿入可能な挿入凹部と、を備え、一対の前記半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、一対の前記半割筒体のうち、いずれか一方の半割筒体に、いずれか他方の半割筒体に設けられた第1係止片に、離脱可能に係止された第2係止片が設けられ、前記一方の半割筒体における周方向の他方側の端部に、前記第2係止片が設けられ、前記他方の半割筒体における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、前記第2係止片を径方向の外側から覆うとともに前記第1係止片が内部に配置された膨出部が形成され、前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記キー部材により前記第1係止片および前記第2係止片のうちの少なくとも1つが弾性変形させられることで、前記第1係止片と前記第2係止片との係合が解除され、前記第1係止片または前記第2係止片には第1磁石が設けられ、前記キー部材には第2磁石が設けられ、前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記第1磁石と前記第2磁石との間に生じる力により、前記第1係止片または前記第2係止片が弾性変形させられ、前記第1磁石と前記第2磁石との間に生じる力により、一対の前記半割筒体における周方向の他方側の端部同士が離間するように、一対の前記半割筒体が前記ヒンジ軸回りに相対回転する。
【0007】
この発明によれば、口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体を備え、これらの半割筒体に、互いに係合する第1係止片および第2係止片が各別に設けられているので、一対の半割筒体の相対移動を規制した状態で、キャップを覆うことが可能になり、一対の半割筒体をキャップに外装した状態では、キャップの操作をできなくすることができる。
膨出部が第2係止片を径方向の外側から覆い、かつ第1係止片が膨出部の内部に配置されているので、第1係止片および第2係止片が、膨出部内で互いに係合することとなる。したがって、互いに係合している第1係止片および第2係止片の各係合部分には直接触れることができず、挿入凹部にキー部材を上下方向に挿入して、第1係止片および第2係止片のうちの少なくとも1つを弾性変形させなければ、第1係止片と第2係止片との係合を解除することができない。
以上より、一対の半割筒体をキャップに外装した状態では、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止することができるとともに、キー部材を用いれば、ロック部材を容易にキャップから外すことができる。また、キー部材を挿入凹部に上下方向に挿入するので、例えば、作業スペースの制約が生じ難くなったり、片手での操作が可能になったりする等し、キャップの取り外し作業の作業性を確保することができる。
一対の半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結されているので、一対の半割筒体をキャップに外装する際、一対の半割筒体を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸回りに相対回転させ、第1係止片と第2係止片とを摺接させ、第1係止片および第2係止片のうちの少なくとも一方を弾性変形させることで、第1係止片および第2係止片が互いに係合されることとなり、一対の半割筒体をキャップに容易に外装することができる。
以上より、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができる。
ロック部材がキャップに対して外装されるので、現行のキャップ、ポンプ、および容器体の組立体に対して、設計変更等をせずにそのまま適用することができる。
【0009】
この場合、挿入凹部にキー部材を挿入したときに、第1磁石と第2磁石との間に生じる力により、第1係止片または第2係止片が弾性変形させられる。磁石の磁力を利用することで、第1係止片または第2係止片を円滑に弾性変形させることができる。
またこのとき、挿入凹部にキー部材を挿入するので、キー部材に設けられた第2磁石を、例えば、挿入凹部の内部に留めておくことができる。そのため、第1磁石に対する第2磁石の位置が大きくぶれることがない。よって、第1係止片または第2係止片をより円滑に弾性変形させることができる。
【0011】
この場合、第1磁石と第2磁石との間に生じる力により、一対の半割筒体における周方向の他方側の端部同士が離間するように、一対の半割筒体がヒンジ軸回りに相対回転する。よって、単にキー部材を挿入することで、第1係止片と第2係止片との係止を解除するだけでなく、一対の半割筒体を相対的に離間移動させることができる。よって、キャップをより容易に取り外しやすくすることができる。
【0012】
<2>本発明の一態様に係るロック部材は、容器体の口部に装着されたキャップに外装される一対の半割筒体と、一対の前記半割筒体の外周面に設けられ、キー部材が上下方向に挿入可能な挿入凹部と、を備え、一対の前記半割筒体における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸回りに回転可能に連結され、一対の前記半割筒体のうち、いずれか一方の半割筒体に、いずれか他方の半割筒体に設けられた第1係止片に、離脱可能に係止された第2係止片が設けられ、前記一方の半割筒体における周方向の他方側の端部に、前記第2係止片が設けられ、前記他方の半割筒体における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、前記第2係止片を径方向の外側から覆うとともに前記第1係止片が内部に配置された膨出部が形成され、前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記キー部材により前記第1係止片および前記第2係止片のうちの少なくとも1つが弾性変形させられることで、前記第1係止片と前記第2係止片との係合が解除され、前記挿入凹部に前記キー部材を挿入したときに、前記キー部材が前記第1係止片または前記第2係止片に接触することにより、前記第1係止片または前記第2係止片が上下方向に弾性変形させられる構成を採用してもよい。
【0013】
この場合、挿入凹部にキー部材を挿入したときに、キー部材が第1係止片または第2係止片に接触することにより、第1係止片または第2係止片が上下方向に弾性変形させられる。キー部材が挿入凹部に挿入される方向と、第1係止片または第2係止片が弾性変形する方向と、がいずれも上下方向である。よって、第1係止片または第2係止片を円滑に弾性変形させることができる。
【0014】
<5>上記<1>または<2>に係るロック部材では、前記キャップは、ピストンをシリンダ内に向けて押し込むことにより、前記シリンダ内の内容物が吐出口から吐出されるポンプを前記口部に固定する構成を採用してもよい。
【0015】
この場合、キャップが、ポンプを口部に固定するので、例えば宿泊施設等に設置された、キャップ、ポンプ、および容器体の組立体において、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材をキャップに対して容易に着脱すること等ができる。
店頭に陳列された前記組立体についても、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、口部に装着されたキャップが離脱されるのを防止しつつ、キャップに対して容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】
図1のロック部材のIII-III線矢視断面図である。
【
図8】
図6のロック部材のVIII-VIII線矢視断面図である。
【
図11】
図10のキー部材を使用して
図8のロック部材を開錠する状態を示す図であって、挿入凹部にキー部材を挿入し始めた状態を示す図である。
【
図12】
図11に示す状態の後、キー部材の爪部が第1係止片に当接した状態を示す図である。
【
図13】
図12に示す状態の後、キー部材の爪部が第1係止片を弾性変形させている状態を示す図である。
【
図14】
図13に示す状態の後、第1係止片の第1係止突起が第2係止片の第2係止突起を乗り越え始める状態を示す図である。
【
図15】
図14に示す状態の後、第1係止片の第1係止突起が第2係止片の第2係止突起を乗り越える途中の状態を示す図である。
【
図16】
図15に示す状態の後、第1係止片の第1係止突起が第2係止片の第2係止突起を乗り越え終えた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、
図1から
図4を参照し、第1実施形態のロック部材1、および第1実施形態のキー部材40aについて説明する。
図1から
図3に示されるように、ロック部材1は、容器体Wの口部に装着されたキャップCに外装される一対の半割筒体11、12を備えている。
【0019】
一対の半割筒体11、12は、キャップCに外装された状態で、キャップCと同軸に配設された円筒を構成し、その中心軸線Oは上下方向に延びる。
以下、上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
一対の半割筒体11、12における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸X回りに回転可能に連結されている。一対の半割筒体11、12は、キャップCを全域にわたって覆っている。
【0021】
図示の例では、一対の半割筒体11、12は別体とされ、それぞれの周方向の一方側の端部が互いに係合されている。
キャップCは、ピストンをシリンダ51内に向けて押し込むことにより、シリンダ51内の内容物が吐出口52から吐出されるポンプ50を口部に固定する。
なお、キャップCは、例えば、口部を単に封止する構成等であってもよい。
シリンダ51の上端部には、径方向の外側に向けて突出し周方向の全長にわたって連続して延びる取付フランジ部が形成されており、キャップCを口部に装着することで、キャップCと口部の上端開口縁とにより、取付フランジ部が上下に挟まれて、ポンプ50が口部に固定される。
【0022】
ポンプ50は、ピストンがシリンダ51内で下方に向けて押し込まれることにより、シリンダ51内の内容物が吐出口52から吐出される。ポンプ50は、シリンダ51の上方に設けられた押下ヘッド53と、シリンダ51に固定された規制筒54と、を備えている。
押下ヘッド53は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられ、ピストンは、押下ヘッド53の上下動に伴って上下動する。規制筒54に、下降端位置に位置する押下ヘッド53が離脱可能に取付けられている。
【0023】
一対の半割筒体11、12の上端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる上フランジ部19aが各別に形成されている。上フランジ部19aは、ポンプ50の規制筒54を上方から覆っている。上フランジ部19aは、径方向に真直ぐ延びている。
一対の半割筒体11、12の下端部には、径方向の内側に向けて突出し、周方向の全長にわたって連続して延びる下フランジ部19bが各別に形成されている。下フランジ部19bは、キャップCの下端開口縁を下方から覆っている。
上フランジ部19a、および下フランジ部19bは、キャップCに対するロック部材1の上下方向の移動を規制する規制部を構成している。
【0024】
図3に示すように、一対の半割筒体11、12のうち、いずれか一方の半割筒体11に、いずれか他方の半割筒体12に設けられた第1係止片13に、離脱可能に係止された第2係止片14が設けられている。第1係止片13および第2係止片14が互いに係合することによって、一対の半割筒体11、12は、キャップCに外装された円筒の状態に保たれる。
一方の半割筒体11における周方向の他方側の端部に、第2係止片14が設けられている。
他方の半割筒体12における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて膨出し、第2係止片14を径方向の外側から覆う膨出部15が形成されている。
【0025】
図1から
図3に示すように、膨出部15は、上方、下方、周方向の一方側、および径方向の外側が閉塞され、周方向の他方側、および径方向の内側が開放された箱型に形成されている。膨出部15における周方向の他方側には、開口が設けられている。
一方の半割筒体11における周方向の他方側の端部には、径方向の外側に向けて突出し、膨出部15における周方向の他方側の前記開口を閉塞する蓋壁11aが形成されている。蓋壁11aは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。蓋壁11aは、膨出部15における周方向の他方側の前記開口に嵌合されている。
【0026】
図3に示すように、第1係止片13は、膨出部15の内部に配置されている。第1係止片13および第2係止片14は、膨出部15内で互いに係合している。第1係止片13は、膨出部15を画成する壁部のうち、径方向の外端部に位置して表裏面が径方向を向く外周壁15aに設けられている。第1係止片13は、外周壁15aから径方向の内側に向けて突出する凸部である。第1係止片13は、上下方向に直線状に延びている。
【0027】
第2係止片14は、蓋壁11aから周方向(周方向の一方側)に突出している。第2係止片14は、蓋壁11aから膨出部15内に向けて突出している。第2係止片14は、外周壁15aと径方向で対向している。第2係止片14は、基部14aと、先端部14bと、突起14cと、を備えている。
図1に示すように、基部14aは、先端部14bに比べて上下方向に小さい。
図3に示すように、基部14aは、先端部14bに比べて径方向に薄肉である。これらの結果、基部14aは、先端部14bに比べて弾性変形し易くなっている。なお図示の例では、先端部14bは、基部14aに対して径方向の外側に張り出している。
【0028】
突起14cは、先端部14bに設けられている。突起14cは、先端部14bから径方向の外側に向けて突出している。突起14cは、第1係止片13に離脱可能に係合している。第1係止片13と突起14cとは、一対の半割筒体11、12の周方向の他方側の端部同士が接近する方向には、周方向に摺接しながら互いに乗り越え可能である。一方、第1係止片13と突起14cとは、一対の半割筒体11、12の周方向の他方側の端部同士が離間する方向には、互いに乗り越え不能である。
【0029】
第2係止片14には、第1磁石31が設けられている。第1磁石31は、先端部14bに埋め込まれている。第1磁石31は、いわゆる永久磁石である。第1磁石31は、中心軸線Oに直交する横断面視において、直線状に延びている。第1磁石31は、前記横断面視において、径方向に対して傾斜する方向に延びている。図示の例では、第1磁石31は、径方向の外側に向かうに従い、周方向の他方側に向けて延びている。
【0030】
膨出部15には、キー部材40aが挿入可能な挿入凹部15bが形成されている。挿入凹部15bは、膨出部15を画成する壁部のうち、周方向の一方側の端部に位置して表裏面が周方向を向く周端壁15cに形成されている。
図1から
図3に示すように、挿入凹部15bは、上方から下方にむけて窪み底部を有する凹部である。挿入凹部15bは、上方に開口しているが下方には開放していない。挿入凹部15bは、径方向の外側に開口しているが、径方向の内側には開口していない。
【0031】
挿入凹部15bには、ガイド突起15dが設けられている。ガイド突起15dは、挿入凹部15bに挿入されるキー部材40aの移動を案内する。ガイド突起15dは、挿入凹部15bの内面のうち、周方向を向く面に設けられている。本実施形態では、ガイド突起15dは、挿入凹部15bの内面のうち、周方向の一方側に位置する部分に設けられている。
【0032】
図2および
図3に示されるように、挿入凹部15bにキー部材40aを挿入したときに、キー部材40aにより第2係止片14が弾性変形させられることで、第1係止片13と第2係止片14との係合が解除される。本実施形態では、挿入凹部15bにキー部材40aを挿入したときに、第2係止片14が第1係止片13から離れるように、第2係止片14が径方向に弾性変形する。
【0033】
キー部材40aは、
図2から
図4に示されるように、板状(カード状)である。キー部材40aは、平面視において矩形状をなす。
キー部材40aには、第2磁石32が設けられている。第2磁石32は、いわゆる永久磁石である。第2磁石32は、キー部材40aに設けられた窪みに嵌め込まれている。第2磁石32の表面は、キー部材40aの表面に対して面一である。第2磁石32の表面は、キー部材40aから露出している。第2磁石32は、キー部材40aの平面視において、キー部材40aの中心よりも外周寄り(角部寄り)に設けられている。
【0034】
以下、キー部材40aについて、
図2および
図3に示されるように、キー部材40aが挿入凹部15bに挿入された姿勢に基づいて説明する。この姿勢では、キー部材40aの下端が、挿入凹部15bの底部に突き当たっている。
【0035】
第2磁石32は、第1磁石31と上下方向に同等の位置に配置されている。第2磁石32は、中心軸線Oに直交する横断面視において、直線状に延びている。第1磁石31と第2磁石32とは、前記横断面視において、互いに傾斜する方向に延びている。本実施形態では、第1磁石31と第2磁石32とは、径方向の外側に向かうに従い、互いに近づくように傾斜している。
なお、第1磁石31と第2磁石32との位置関係(例えば、第2磁石32に対する第1磁石31の傾斜の向きや角度など)は、(1)第1係止片13や第2係止片14、第1磁石31、第2磁石32それぞれの大きさ、(2)第1磁石31や第2磁石32の磁力の強さ、(3)第1係止片13と第2係止片14との係合がどのように解除されるか、などによって、適宜設計することができる。
【0036】
以上の構成において、挿入凹部15bに、キー部材40aを上下方向に挿入すると、第1磁石31と第2磁石32との間に反発力(斥力)が生じる。これにより、第2係止片14が、その基端部回りに径方向に弾性変形し、第2係止片14が、第1係止片13から径方向に離れ、第1係止片13および第2係止片14の係合が解除される。また前述の反発力により、一方の半割筒体11が、他方の半割筒体12における周方向の他方側の端部から離れる向きに付勢され、ヒンジ軸X回りに回転する(このとき、他方の半割筒体12は、例えば、キー部材40aを介して作業者に支持される)。これにより、キャップCからロック部材1を外すことができる。
【0037】
なお本実施形態では、キャップCからロック部材1を外した後、キー部材40aは、ロック部材1に対して手前(径方向の外側)に引き抜いたり、上方に引き抜いたりすることができる。
ここで本実施形態では、挿入凹部15bが底部を有し、下方に開口していない。しかしながら、挿入凹部15bが底部を有さず、下方に向けて開口していてもよい。この場合、挿入凹部15bに対して上方から挿入したキー部材40aを、下方に抜き出すこともできる。
【0038】
ところで本実施形態では、第1磁石31と第2磁石32との間に反発力が生じることで、第1係止片13と第2係止片14との係合が解除される。しかしながら、第1磁石31と第2磁石32との間に引力が生じることで、第1係止片13と第2係止片14との係合が解除されるように構成してもよい。このような構成は、例えば、第1磁石31や第2磁石32、第1係止片13、第2係止片14の設計を適宜変更すること等により実現可能である。
ただし、第1磁石31と第2磁石32との間に引力が生じる場合、挿入凹部15bに挿入されたキー部材40aが第1磁石31に吸引される。そのため、キー部材40aが挿入凹部15bから取り出しにくくなる。一方、本実施形態のように、第1磁石31と第2磁石32との間に引力ではなく反発力が生じる場合、前述のようにキー部材40aが第1磁石31に吸引されることがない。そのため、ロック部材1やキー部材40aの使用性が高まる。
【0039】
一対の半割筒体11、12をキャップCに外装する際、一対の半割筒体11、12を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸X回りに相対回転させると、第1係止片13が、第2係止片14の突起14cに周方向に摺接しつつ、第2係止片14が、その基端部回りに径方向に弾性変形し、第1係止片13が突起14cを周方向に乗り越える。その後、第2係止片14が径方向に向けて復元変形し、第1係止片13と突起14cとが周方向に当接、若しくは近接することで、第1係止片13および第2係止片14が周方向で互いに係合する。これにより、ロック部材1がキャップCに外装される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材1によれば、口部に装着されたキャップCに外装される一対の半割筒体11、12を備え、これらの半割筒体11、12に、互いに係合する第1係止片13および第2係止片14が各別に設けられているので、一対の半割筒体11、12の相対移動を規制した状態で、キャップCを覆うことが可能になり、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装した状態では、キャップCの操作をできなくすることができる。
【0041】
膨出部15が第2係止片14を径方向の外側から覆い、かつ第1係止片13が膨出部15の内部に配置されているので、第1係止片13および第2係止片14が、膨出部15内で互いに係合することとなる。したがって、互いに係合している第1係止片13および第2係止片14の各係合部分には直接触れることができず、挿入凹部15bにキー部材40aを上下方向に挿入して、第2係止片14を弾性変形させなければ、第1係止片13と第2係止片14との係合を解除することができない。
【0042】
以上より、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装した状態では、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止することができるとともに、キー部材40aを用いれば、ロック部材1を容易にキャップCから外すことができる。また、キー部材40aを挿入凹部15bに上下方向に挿入するので、例えば、作業スペースの制約が生じ難くなったり、片手での操作が可能になったりする等し、キャップCの取り外し作業の作業性を確保することができる。
【0043】
一対の半割筒体11、12における周方向の一方側の端部同士が、上下方向に延びるヒンジ軸X回りに回転可能に連結され、第2係止片14が弾性変形可能に形成されているので、一対の半割筒体11、12をキャップCに外装する際、一対の半割筒体11、12を、それぞれの周方向の他方側の端部が互いに接近するように、ヒンジ軸X回りに相対回転させ、第1係止片13と第2係止片14とを摺接させ、第2係止片14を弾性変形させることで、第1係止片13および第2係止片14が互いに係合されることとなり、一対の半割筒体11、12をキャップCに容易に外装することができる。
【0044】
以上より、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材1をキャップCに対して容易に着脱することができる。
ロック部材1がキャップCに対して外装されるので、現行のキャップC、ポンプ50、および容器体Wの組立体に対して、設計変更等をせずにそのまま適用することができる。
【0045】
挿入凹部15bにキー部材40aを挿入したときに、第1磁石31と第2磁石32との間に生じる力により、第2係止片14が弾性変形させられる。磁石の磁力を利用することで、第2係止片14を円滑に弾性変形させることができる。
またこのとき、挿入凹部15bにキー部材40aを挿入するので、キー部材40aに設けられた第2磁石32の位置を、例えば、挿入凹部15bの内部に留めておくことができる。そのため、第1磁石31に対する第2磁石32の位置が大きくぶれることがない。よって、第2係止片14をより円滑に弾性変形させることができる。
【0046】
第1磁石31と第2磁石32との反発力により、一対の半割筒体11における周方向の他方側の端部同士が離間するように、一対の半割筒体11、12がヒンジ軸回りに相対回転する。よって、単にキー部材40aを挿入することで、第1係止片13と第2係止片14との係止を解除するだけでなく、一対の半割筒体11、12を相対的に離間移動させることができる。よって、キャップCをより容易に取り外しやすくすることができる。
【0047】
キャップCが、ポンプ50を口部に固定するので、例えば宿泊施設等に設置された、キャップC、ポンプ50、および容器体Wの組立体において、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、ロック部材1をキャップCに対して容易に着脱すること等ができる。
店頭に陳列された前記組立体についても、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のロック部材2を、
図5を参照しながら説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0049】
本実施形態では、キャップCが口部に固定するポンプ60が、いわゆるトリガー式噴出器となっている。図示の例では、ポンプ60は、内容物が収容された容器体Wに装着される噴出器本体62と、噴出器本体62の前端部に装着され、内容物を前方に向けて噴出する吐出口63が形成されたノズル部材64と、を備え、噴出器本体62は、上下方向に延び、容器体W内の内容物を吸上げる縦供給筒部65と、縦供給筒部65の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に設けられたトリガー部66を有し、トリガー部66の後方への移動によって、内容物を縦供給筒部65内から吐出口63側に向けて流通させるトリガー機構67と、を有している。
【0050】
縦供給筒部65の下端部には、径方向の外側に向けて突出し周方向の全長にわたって連続して延びる取付フランジ部が形成されており、キャップCを口部に装着することで、キャップCと口部の上端開口縁とにより、取付フランジ部が上下に挟まれて、ポンプ60が口部に固定される。
トリガー機構67は、トリガー部66の後方に設けられ、かつ前後方向に延びるシリンダ68と、トリガー部66の前後動に伴い、シリンダ68内を前後動するピストン69と、を備えている。トリガー部66の後方への移動によって、ピストン69がシリンダ68内に押し込まれ、シリンダ68内の内容物が縦供給筒部65内を通して吐出口63側に向けて流通し、吐出口63から噴出される。
【0051】
キャップCの上端部は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
一対の半割筒体11、12における上フランジ部21aは、径方向の内側に向かうに従い上方に向けて延びている。上フランジ部21aは、キャップCの上端部をキャップCの上方から覆っている。
下フランジ部19bは、容器体Wのうち、口部と肩部W1との接続部分に形成された周溝W2に嵌合されている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材2によれば、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、キャップCに対して容易に着脱すること等ができる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のロック部材3、第2実施形態のキー部材40bを、
図6から
図16を参照しながら説明する。
なお、本実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0054】
図6から
図8に示すように、第1係止片13および第2係止片14は、上下方向に間隔をあけて複数組設けられている。
第1係止片13は、弾性変形可能に形成されている。第1係止片13は、周端壁15cから周方向の他方側に延びている。第1係止片13は、周方向の一方側の端部、つまり基端部回りに上下方向に弾性変形可能となっている。第1係止片13は、基端部から、周方向の他方側の端部、つまり先端部に向けて直線状に延びている。
【0055】
図8に示すように、第1係止片13の先端部に、上方に向けて突出した第1係止突起17が形成されている。第1係止突起17のうち、周方向の他方側を向く先端面17bは、周方向に沿う第1係止片13における先端部側から基端部側に向かうに従い上方に向けて延びている。第1係止突起17のうち、周方向に沿う第1係止片13の基端部側の端部(以下、周端面という)17aは、周方向に沿う第1係止片13の基端部側を向く平坦面となっている。
【0056】
図6から
図8に示すように、蓋壁11aは、一方の半割筒体11において、周方向の他方側の端縁よりも周方向の一方側に設けられている。第2係止片14は、一方の半割筒体11において、蓋壁11aよりも周方向の他方側に配置されている。第2係止片14は、一方の半割筒体11から径方向の外側に突出している。第2係止片14は、第1係止片13の上面と上下方向で対向している。
図8に示すように、第2係止片14は、第1係止片13の第1係止突起17より第1係止片13の基端部側に位置している。第2係止片14の下面に、下方に向けて突出し、第1係止突起17に離脱可能に係合した第2係止突起18が形成されている。第2係止突起18は、第1係止突起17の周端面17aに周方向に当接、若しくは近接している。第1係止突起17および第2係止突起18によって、第1係止片13および第2係止片14は、周方向で互いに係合している。
【0057】
蓋壁11aは、膨出部15における周方向の他方側の前記開口を閉塞まではしていない。蓋壁11aと膨出部15とは周方向に離れており、蓋壁11aと膨出部15との間に挿入凹部15bが設けられている。挿入凹部15bの幅(周方向の大きさ)は、カード状のキー部材40bが上下方向に挿入可能な程度であるが、使用者の指などは挿入不能な程度である。挿入凹部15bは、膨出部15内に連通している。
なお挿入凹部15bの上部は、挿入凹部15bの下部に比べて周方向に大きい。挿入凹部15bの上部は、下部に比べて周方向の他方側に膨らんでいる。以下、挿入凹部15bのうち、この膨らんでいる部分を、逃げ部15fという。
【0058】
図9および
図10に示すように、キー部材40bには、第1スリット40dおよび第2スリット40fが形成されている。
第1スリット40dは、キー部材40bの平面視においてU字状に形成されている。第1スリット40dは、キー部材40bに弾性片40cを画成する。弾性片40cは、キー部材40bの厚さ方向に弾性変形可能である。弾性片40cには、押込み突起40eが設けられている。押込み突起40eは、弾性片40cからキー部材40bの厚さ方向に突出している。押込み突起40eは、第1係止片13に対応して複数設けられている。
【0059】
第2スリット40fは、キー部材40bの平面視において、第1スリット40dに対して反転されたU字状に形成されている。第2スリット40fの高さ(第2スリット40fがなすU字の高さ)は、第1スリット40dの高さ(第1スリット40dがなすU字の高さ)よりも低い。第2スリット40fは、第1スリット40dに対して間隔をあけて配置されている。第2スリット40fと第1スリット40dとの間は、軸40gとして機能する。軸40gは、弾性片40cの弾性変形時に起点となる部分である。なお第2スリット40f、軸40gは無くてもよい。
【0060】
以上の構成において、挿入凹部15bに、キー部材40bを挿入すると、まず、膨出部15の上端に押込み突起40eが当接し、弾性片40cが軸40gを起点として逃げ部15fに向けて周方向に弾性変形する。これにより、
図11に示すように、押込み突起40eが膨出部15の上端を乗り越え、膨出部15内に配置される。このとき、弾性片40cは復元変形している。その後、キー部材40bを更に下方に移動させると、
図12に示すように、押込み突起40eが、第1係止突起17の先端面17bに摺接し、第1係止片13を下方に向けて押し込む。これにより、
図13に示すように、第1係止片13が、その基端部回りに下方に向けて弾性変形し、
図14に示すように、第1係止突起17が、第2係止片14の第2係止突起18から下方に離れ、第1係止片13および第2係止片14の係合が解除される。このとき、弾性片40cの周方向への移動が蓋壁11aによって規制されることから、
図15および
図16に示すように、他方の半割筒体12が、弾性片40cによって一方の半割筒体11における周方向の他方側の端部から離れる向きに、周方向に押込まれ、ヒンジ軸X回りに回転する。これにより、キャップCからロック部材1を外すことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によるロック部材3によれば、口部に装着されたキャップCが離脱されるのを防止しつつ、キャップCに対して容易に着脱することができる。
【0062】
挿入凹部15bにキー部材40aを挿入したときに、キー部材40aが第1係止片13に接触することにより、第1係止片13が上下方向に弾性変形させられる。キー部材40aが挿入凹部15bに挿入される方向と、第1係止片13が弾性変形する方向と、がいずれも上下方向である。よって、第1係止片13を円滑に弾性変形させることができる。
【0063】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0064】
例えば、前記実施形態では、一対の半割筒体11、12が別体とされた構成を示したが、
図17および
図18に示されるように、一対の半割筒体11、12が一体に形成された構成を採用してもよい。
図18において、一対の半割筒体11、12それぞれの周方向の一方側の端部が構成するヒンジ部の周方向の大きさが、
図17における前記ヒンジ部の周方向の大きさより大きくなっており、
図18に示す前記ヒンジ部は、いわゆる帯ヒンジとなっている。
【0065】
第1実施形態において、第2係止片14に代えて第1係止片13が弾性変形可能であってもよく、第3実施形態において、第1係止片13に代えて第2係止片14が弾性変形可能であってもよい。各実施形態において、第1係止片13および第2係止片14の両方が弾性変形可能であってもよい。
挿入凹部15bは、一対の半割筒体11、12の外周面に設けられた他の形態に適宜変更可能である。
【0066】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3 ロック部材
11 一方の半割筒体
12 他方の半割筒体
13 第1係止片
14 第2係止片
15 膨出部
15b 挿入凹部
31 第1磁石
32 第2磁石
40a キー部材
40b キー部材
50 ポンプ
51 シリンダ
52 吐出口
60 ポンプ
63 吐出口
68 シリンダ
69 ピストン
C キャップ
W 容器体
X ヒンジ軸