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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ルアーケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/20 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
B65D85/20 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021093684
(22)【出願日】2021-06-03
(65)【公開番号】P2022185823
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2024-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】520277689
【氏名又は名称】有限会社ウマキタック工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(74)【代理人】
【識別番号】100217227
【弁理士】
【氏名又は名称】野呂 亮仁
(72)【発明者】
【氏名】馬木 隆志
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-204552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0103691(US,A1)
【文献】米国特許第04589546(US,A)
【文献】特開2008-011724(JP,A)
【文献】実開昭55-012498(JP,U)
【文献】実開平6-18231(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/20
A01K 97/00-99/00
B65D 67/00-79/02
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する箱形のケース本体と、
前記ケース本体の内部に着脱可能に設けられ、前記開口部から前記ケース本体の奥側に向かって延び、並列に配置される複数の筒状部材を備え
前記ケース本体の上端部の一部には、前記複数の筒状部材の上端縁よりも上方に延びる延伸部が形成され、
前記ケース本体の上端部のうち前記延伸部が形成されない開放部の上端縁は、前記複数の筒状部材の上端縁よりも下方に位置する
ルアーケース。
【請求項2】
前記延伸部への切り込みによって形成され、前記複数の筒状部材の上端縁に係止されることによって、前記複数の筒状部材の軸方向の移動を規制する係止部をさらに備えた
請求項1記載のルアーケース。
【請求項3】
前記ケース本体は、可撓性を有するシート状部材により形成され、平坦な状態と箱形の状態との間で可逆的に変形可能であり、
前記複数の筒状部材のそれぞれは、可撓性を有する部材により形成され、平坦な状態と筒形の状態との間で可逆的に変形可能である
請求項1または2記載のルアーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のルアーを収納可能なルアーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣り用の疑似餌(ルアー)を複数収納することができるルアーケースが提供されている。このようなルアーケースとしては、箱体形状を有するものからなり、この箱体に個々のルアーを横並びに収納できるルアー収納部を並列に連設したものが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来のルアーケースでは、複数のルアーが収納されている場合に、ケースの蓋を開く際にルア-が動いてそれぞれのルアーに設けられた釣り針が互いに絡み合ってしまい、ルアーが取り出しにくいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3087832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、上述の問題に鑑みて、複数収納されたルアーを個別に容易に取り出すことができるルアーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、開口部を有する箱形のケース本体と、前記ケース本体の内部に着脱可能に設けられ、前記開口部から前記ケース本体の奥側に向かって延び、並列に配置される複数の筒状部材を備えるルアーケースである。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、複数収納されたルアーを個別に容易に取り出すことができるルアーケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ルアーケースの斜視図。
図2】ルアーケースを分解した状態を示す斜視図。
図3A】ルアーケースの切断端面図。
図3B】ルアーケースの底面図。
図4】ケース本体を展開した状態を示す平面図。
図5】ケース本体を折り畳んだ平坦状態を示す平面図。
図6A】作成前の筒状部材の側面図。
図6B】作成途中の筒状部材の側面図。
図6C】作成後の筒状部材の側面図。
図7A】筒状部材を折り畳む途中の状態を示す平面図。
図7B】筒状部材を折り畳んだ平坦状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
【0010】
図1は、本実施例のルアーケース1の斜視図であり、図2は、本実施例のルアーケース1を分解した状態を示す斜視図であり、図3Aは、ルアーケース1の切断端面図であり、図3Bは、ルアーケース1の底面図である。図4は、ケース本体2を展開した状態を示す平面図である。図5は、ケース本体2を折り畳んだ平坦状態を示す平面図である。
【0011】
図1図2図3Aおよび図3Bに示すように、本発明のルアーケース1は、釣り用の疑似餌(ルアー)を複数収納することができるルアーの収納容器であり、ケース本体(外箱)2と、ルアー収納部3と、底板4とを備える。
【0012】
ケース本体2、ルアー収納部3および底板4のそれぞれは、可撓性(弾性復元力)を有する素材で構成され、たとえば、樹脂素材で構成される。また、ケース本体2、ルアー収納部3および底板4のそれぞれは、互いに同じ素材で構成されてもよいし、異なる素材で構成されてもよい。さらに、ケース本体2、ルアー収納部3および底板4のそれぞれは、透明であってもよいし、半透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0013】
ケース本体2は、箱形形状をなし、ケース本体2を構成する複数の面のうちの少なくとも1つに開口部21を有する。本実施例のケース本体2は、上面に開口部21を有する。なお、ケース本体2の上面に代えて、またはこれに加えて前後左右の側面のいずれかに開口部が設けられていてもよい。
【0014】
また、本実施例のケース本体2は、全体として直方体(長方体)または四角柱をなすように構成される。具体的には、ケース本体2の横断面は左右方向に長い矩形状(長方形状)である。たとえば、ケース本体2の横断面の左右方向の長さL1と前後方向の長さL2との比は、L1/L2=1.0~3.0の範囲とすることができ、L1/L2=有理数とすることが好適である。また、ケース本体2は、筒状であればよく、横断面が略円形(楕円を含む)であり、全体として円筒状をなすように構成されてもよい。
【0015】
ケース本体2は、前後左右の側面を構成する側壁22と、底面を構成する底壁23とを有する。側壁22は、筒状をなす。本実施例では、ケース本体2の横断面が矩形状であるので、側壁22は角筒状をなす。以下、筒状の側壁22の軸線方向を「軸方向」といい、軸方向に直交する方向を「幅方向」という。側壁22および底壁23に囲まれる部分、すなわちケース本体2の内部空間には、ルアー収納部3が軸方向に沿って着脱可能(挿入/抜去可能)に設けられる。すなわち、ルアー収納部3は、ケース本体2から分離可能に設けられる。
【0016】
ケース本体2(側壁22)の横断面は、軸方向から見た場合に略一定(断面一定)である。なお、ケース本体2(側壁22)の横断面が、ケース本体2の奥側に向かうにつれて狭くなるようにしてもよい。
【0017】
また、側壁22の上端部のうち、前後左右のうちの1方向(本実施例では前方)を除く部分(本実施例では左方、右方、後方)には、ルアー収納部3の上端縁よりも上方に延びる延伸部22Aが形成されている。延伸部22Aの上端縁は、ルアー収納部3の上端縁よりも10~40mm上方に位置する。
【0018】
延伸部22Aには、係止部24が設けられる。係止部24は、ルアー収納部3の上端縁に対応する位置に設けられ、ルアー収納部3の上端縁に係止されることによって、ルアー収納部3の軸方向の移動を規制する。たとえば、係止部24は、延伸部22Aの幅方向の中央部分(後面部分)に設けられる。また、係止部24は、下方に凸となる円弧状の延伸部22Aへの切り込みによって形成され、下方に延びる係止片(舌片)によって構成される。
【0019】
また、側壁22の上端部のうち、延伸部22Aが形成されない部分(開放部)の上端縁(開放部上端縁)22Bは、ルアー収納部3の上端縁よりも若干下方(1~5mm下方)に位置する。このようにすれば、ルアー収納部3の上端部が露出するので、ケース本体2からルアー収納部3を取り出しやすくなる。なお、上端縁22Bは、ルアー収納部3の上端縁と同じ高さに位置するようにしてもよいし、ルアー収納部3の上端縁よりも上方に位置するようにしてもよい。
【0020】
ルアー収納部3の挿入方向の奥側(ケース本体2の底部)であって、ケース本体2の底壁23とルアー収納部3の下端部との間には、底板4が設けられる。すなわち、底板4は、ケース本体2とルアー収納部3との間に挟まれるように配置される。底板4の形状は、特に限定されないが、側壁22の断面形状または底壁23の形状と相似形状であることが好ましい。ただし、底板4の前後左右の寸法は、側壁22の内側寸法または底壁23の寸法より若干小さくなるように構成されている。このため、底板4と側壁22との間に隙間が生じる。
【0021】
また、図3Bに示すように、底壁23の任意の位置には、開口端25が形成されている。この開口端25によって、底壁23には、貫通孔26が形成されている。本実施例では、貫通孔26は、底壁23の前後の端部に2つ形成されている。なお、貫通孔26は、1つであってもよいし、3つ以上形成されていてもよい。
【0022】
図4に示すように、ケース本体2は、可撓性を有する厚み一定のシート状部材により形成され、展開状態(組立前の状態)では、組立後に側壁22を構成する側壁構成部27と、組立後に底壁23を構成する底壁構成部28とを有する。
【0023】
側壁構成部27は、幅方向の一方端部から順に、前面(前壁)を構成する前壁構成部27Aと、左面(左壁)を構成する左壁構成部27Bと、後面(後壁)を構成する後壁構成部27Cと、右面(右壁)を構成する右壁構成部27Dとを有する。また、側壁構成部27は、側壁構成部27の幅方向の一方端部(前壁構成部27Aの右端部)から幅方向外側に延出する接合片27Eを有する。
【0024】
底壁構成部28は、幅方向の一方端部から順に、前壁構成部27Aに接続される前壁接続部28Aと、左壁構成部27Bに接続される左壁接続部28Bと、後壁構成部27Cに接続される後壁接続部28Cと、右壁構成部27Dに接続される右壁接続部28Dとを有する。
【0025】
さらに、ケース本体2には、組み立てるときまたは折り畳むときに折り曲げるための複数の折り部が形成されている。具体的には、複数の幅方向折り部(幅方向の山折り線)2C、および複数の軸方向折り部(軸方向の山折り線)2Dがケース本体2に形成されている。複数の折り部2C,2Dのそれぞれは、ケース本体2の成形時に予め形成されている直線状の折り目である。また、複数の折り部2C,2Dのそれぞれは、ケース本体2の組立後に角部となる。
【0026】
幅方向折り部2Cは、幅方向に延び、側壁構成部27と、底壁構成部28との間であって、ケース本体2の幅方向の全体にわたって一直線に設けられる。複数の軸方向折り部2Dは、軸方向に延び、側壁構成部27の範囲内であって、各壁構成部27A~27Dの間に互いに平行に設けられる。具体的には、軸方向折り部2Dは、前壁構成部27Aと左壁構成部27Bとの間、左壁構成部27Bと後壁構成部27Cとの間、後壁構成部27Cと右壁構成部27Dとの間のそれぞれに設けられる。また、複数の軸方向折り部2Dのうちの1つは、接合片27Eの基端部(前壁構成部27Aと接合片27Eの間)に設けられる。
【0027】
前壁接続部28A、左壁接続部28B、後壁接続部28Cおよび右壁接続部28Dのそれぞれは、幅方向において接続される壁構成部27A~27Dの幅内に収まるように形成される。すなわち、前壁接続部28A、左壁接続部28B、後壁接続部28Cおよび右壁接続部28Dのそれぞれは、軸方向折り部2Dの延長線を超えないように形成される。
【0028】
図4に示すような展開状態のケース本体2を組み立てて、図1および図2に示すような箱形(立体)のケース本体2を作成することができる。まず、複数の軸方向折り部2Dのそれぞれを略直角に山折りに折り曲げる。このとき、ケース本体2は筒状(角筒状)となる。ここで、側壁構成部27の幅方向の一方端部(接合片27E)に設けられる接合領域2Eと、側壁構成部27の幅方向の他方端部(右壁構成部27D)に設けられる接合領域2Eとを、接合部材により接合(接着)する。次に、左壁および右壁に接続される、左壁接続部28Bおよび右壁接続部28Dを幅方向折り部2Cで略直角に山折りに折り曲げる。その後、前壁および後壁に接続される、前壁接続部28Aおよび後壁接続部28Cを幅方向折り部2Cで略直角に山折りに折り曲げる。このとき、壁接続部28A~28Dのそれぞれは、隣り合う壁接続部と一部が重なる状態となる。ここで、前後の壁接続部のうちの1つと、左右の壁接続部のうちの1つとを、1組とし、接合部材により接合する。本実施例では、前壁接続部28Aと左壁接続部28Bとを接合領域2Fで接合し、後壁接続部28Cと右壁接続部28Dとを接合領域2Gで接合する。これにより、ケース本体2は組立状態となる。なお、各接合領域を接合する接合部材としては、接着剤や両面テープなどを用いることができる。
【0029】
ただし、ケース本体2は、組立後においても、平坦な状態(平坦状態)と組立状態との間で可逆的に変形可能である。図5に示すように、ケース本体2における対向する2つの軸方向の角部(第1の対角)を折り畳み、残りの2つの軸方向の角部(第2の対角)を略平坦になるように開くことによって、側壁22を平坦な状態とすることができる。また、これに伴い、底壁23を側壁22の内側に収納されるように折り畳むことによって、ケース本体2の全体を平坦な状態とすることができる。
【0030】
また、前壁接続部28Aおよび後壁接続部28Cのそれぞれには、幅方向折り部2Cに対し45°の角度で延びる谷折り部2Hが設けられている(図4参照)。前壁接続部28Aに設けられる谷折り部2Hは、接合領域2Fを含む部分と、それ以外の部分との間に設けられ、後壁接続部28Cに設けられる谷折り部2Hは、接合領域2Gを含む部分と、それ以外の部分との間に設けられる。これにより、底壁23を側壁22の内側に収納されるように折り畳む際に、前壁接続部28Aにおける接合領域2Fを含む部分と、それ以外の部分との間が谷折りに折り畳まれ、後壁接続部28Cにおける接合領域2Gを含む部分と、それ以外の部分との間が谷折りに折り畳まれることになり、底壁23、ひいてはケース本体2の全体をスムーズに平坦な状態とすることができる。
【0031】
図1図2図3Aおよび図3Bに戻って、ルアー収納部3は、ケース本体2の開口部21からケース本体2の奥側に向かって延びる複数の筒状部材31を有する。複数の筒状部材31のそれぞれは、独立した部材であり、隣り合う筒状部材31と連結されており、互いに並列に配置される。
【0032】
本実施例では、ルアー収納部3は、2×5本(前後2列、左右5列)の10本の筒状部材31を有する。また、複数の筒状部材31の軸線は、側壁22の軸方向と同じ方向に延び、互いに平行である。すなわち、複数の筒状部材31の軸方向と、側壁22の軸方向とは同じ方向である。
【0033】
複数の筒状部材31のそれぞれは、幅方向よりも軸方向の方が長い筒状の部材であり、横断面が同形状(幅寸法が同一)であり、軸方向(延伸方向)の長さも同じ長さである。すなわち、複数の筒状部材31は、互いに同じ形状である。
【0034】
本実施例では、筒状部材31は、横断面が正方形である。このため、余分なスペースが生じず、スペースを有効活用することができる。筒状部材31の幅方向の寸法(横断面の1辺の長さ)は、20mm~30mmとすることができ、25m~28mmとすることが好ましい。なお、筒状部材31の横断面は、正方形に限定されず、三角形状や、五角形以上の多角形状等の正方形以外の矩形状であってもよいし、略円形(楕円を含む)であってもよい。
【0035】
各筒状部材31の内部空間が、ルアーを個別に挿入/抜去可能なルアー収納空間32となる。すなわち、ルアー収納部3には、互いに独立した複数のルアー収納空間32が形成される。なお、筒状部材31は、ルアーの挿入方向または抜去方向に延びるともいえる。筒状部材31は、無端筒状に形成されている。また、ルアー収納空間32が設けられている筒状部材31の内面は、長手方向(ルアーの収納/取り出し方向)に凹凸がない真っすぐな形状に形成されている。
【0036】
この筒状部材31の内面は、長手方向に対する横断面積の変化が1割以下であることが好ましく、変化しないことがより好ましい。これにより、ルアーの針が筒状部材31の内面に引っかかることを防止でき、スムーズにルアーの収納/取り出しができる。また、筒状部材31の開口31bの広さは、ルアー収納空間32の広さの9割以上に形成され、ルアーの収納/取り出しが容易になるように構成されている。さらに、筒状部材31の内面に凹凸がないため、ルアー収納空間32に対してルアーを収納(挿入)する向きは特に限定されない。釣り糸(ライン)を結ぶラインアイ部がルアー収納空間32の奥側になるように収納されてもよいし、リアフック(釣り針)部がルアー収納空間32の奥側になるように収納されてもよい。
【0037】
図6Aは、作成前の筒状部材31の側面図である。図6Bは、作成途中の筒状部材31の側面図である。図6Cは、作成後の筒状部材31の側面図である。複数の筒状部材31は、筒状部材31の基になる長尺の筒状部材(長尺部材)33を加工することによって作成される。本実施例では、ルアー収納部3は10本の筒状部材31を有しているが、図6A図6Cでは、説明の簡単のため、2×3本の6本の筒状部材31を作成する場合を示している。なお、図6A図6Cの紙面の奥行方向に2本の長尺部材33が並んで配置されている。2本の長尺部材33は、対向する側面が接着などによって連結されている。
【0038】
まず、図6Aに示すように、作成後の筒状部材31の長さDの2倍以上の長さを有する長尺の長尺部材33に、等間隔で切り込み34が形成される。ただし、切り込み34の向きは、隣りの切り込み34とは逆向き(反対方向からの切り込み)となっている。また、長尺の長尺部材33の端部から最初の切り込み34までの距離、および、切り込み34同士の距離は、作成後の筒状部材31の長さDに設定される。なお、長尺の長尺部材33としては、筒状部材31の長さDの整数倍の長さのものを用いることが好ましい。
【0039】
切り込み34の深さは、長尺部材33を切断しきらずに、長尺部材33の筒状部分の厚みが残る程度に設定される。したがって、長尺部材33の厚みが残った部分に連結部31aが形成される。なお、連結部31aは、ミシン目状になっていてもよい(ミシン目加工が施されていてもよい)。
【0040】
このように、複数の筒状部材31は、長尺部材33の長手方向において、四角形の開口31bの一辺に形成された連結部31aにより連結されている。この連結部31aは、1つ目の筒状部材31と2つ目の筒状部材31の間に設けられる部位と、2つ目の筒状部材31と3つ目の筒状部材31の間に設けられる部位とが、2つ目の筒状部材31の対角辺に位置する関係になっており、ルアー収納空間32が連通する一直線の状態と、複数の筒状部材31が隣り合い平行に並ぶ状態とに折り曲げ可能となっている。したがって、図6Bに示すように、切り込み34の部分を折り曲げて、山折りと谷折りを繰り返して長尺部材33を蛇腹状に折り畳むことによって、図6Cに示すような、隙間の少ない状態で並列に配置される複数の筒状部材31を作成することができる。
【0041】
また、図6Cに示すように、ルアー収納部3は、複数の筒状部材31を折り畳んで平行に並んだ状態にしたときに、ルアーケース1の蓋側に位置する各開口31bと底側に位置する各開口31bがそれぞれ同じ高さで整列するように構成されている。
【0042】
さらに、複数の筒状部材31を折り畳んで平行に並んだ状態のルアー収納部3の大きさは、ケース本体2の内側に隙間の少ない状態で収納される大きさであるため、ルアー収納部3が全体で一体となる。したがって、係止部24によって係止されていなかったとしても、ケース本体2から一部の筒状部材31が抜け出るようなことがない。
【0043】
図7Aは、筒状部材31を折り畳む途中の状態を示す平面図である。図7Bは、筒状部材31を折り畳んだ平坦状態を示す平面図である。ルアー収納部3(複数の筒状部材31)は、作成後においても、平坦な状態(平坦状態)と筒形の状態(筒形状態)との間で可逆的に変形可能である。図7Aに示すように、筒状部材31の横断面形状が正方形から平行四辺形(菱形)に変形する(1組の対角が鋭角になり、他の1組の対角が鈍角になる)ように、斜め方向の力Pを加えることによって、複数の筒状部材31が押しつぶされるように変形していく。このとき、複数の筒状部材31は隣り合う筒状部材31と連結されているので、複数の筒状部材31(ルアー収納部3)が全体的に変形する。このまま力Pを加え続けることによって、図7Bに示すように、ルアー収納部3(複数の筒状部材31)を平坦な状態とすることができる。このとき、筒状部材31の横断面が正方形であるから、折り畳みがバランスよく綺麗にできる。
【0044】
以上の構成により、並列に配置される複数の筒状部材31のそれぞれの内部空間が、互いに独立した複数のルアー収納空間32となるので、ルア-が動いたとしても他のルアーに絡み合うことがなく、複数収納されたルアーを個別に容易に取り出すことができるルアーケースを提供することができる。
【0045】
また、ルアーケース1を構成する部材を透明または半透明の素材とすることにより、ルアー収納部3に収納したルアーを外部から視認することができ、使用者が収納したルアーを認識することができるので、便利である。
【0046】
さらに、ルアー収納部3を構成する複数の筒状部材31がケース本体から着脱可能であることに加え、ケース本体2は、可撓性を有する厚み一定のシート状部材により形成され、平坦な状態と箱形の状態との間で可逆的に変形可能であるので、平面で製造して使用時に立体にすることができる。したがって、製造工程が簡略化され、安価に製造することができる。また、ルアーケース1の流通時または不使用時に、ケース本体2を折り畳んで平坦な状態で保管することができ、省スペース化および小型化が可能になる。
【0047】
さらにまた、ケース本体2の組み立て時には、幅方向折り部2Cおよび軸方向折り部2Dを折り目に沿って山折りするだけで、簡単に箱形の状態(組立状態)にすることができるので、組立作業が容易である。
【0048】
また、複数の筒状部材31のそれぞれは、可撓性を有する部材により形成され、平坦な状態と筒形の状態との間で可逆的に変形可能であるので、ルアーケース1の流通時または不使用時に、複数の筒状部材31をケース本体2から取り外し、折り畳んで平坦な状態で保管することができ、省スペース化および小型化が可能になる。
【0049】
さらに、底板4と側壁22との間に隙間があり、さらに、底壁23に貫通孔26が形成されているので、貫通孔26からルアーケース1内の水を抜くことができる。したがって、ルアーを収納した状態でルアーケース1ごと水洗いすることができ、便利である。
【0050】
この発明は本実施形態に限られず他の様々な実施形態とすることができる。また、上述の実施形態で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。
【0051】
たとえば、上述の実施例では、ケース本体2の開口部21が上面となるように縦向きに設置した場合を例に挙げて説明したが、ケース本体2を横向きや斜め向きに配置することもできる。この場合、開口部21は、横方向や斜め方向を向くことになる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明は、複数のルアーを収納可能なルアーケースの製造販売の産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…ルアーケース
2…ケース本体
21…開口部
24…係止部
26…貫通孔
3…ルアー収納部
31…筒状部材
32…ルアー収納空間
4…底板
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B