(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】踏板ユニット
(51)【国際特許分類】
G08G 1/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
G08G1/02 A
(21)【出願番号】P 2021144104
(22)【出願日】2021-09-03
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 友佑
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】山口 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】小島 洋平
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-272360(JP,A)
【文献】特開平10-111996(JP,A)
【文献】特開2003-303396(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線の車線幅方向に延在して前記車線を走行する車両の車輪が通過した状態を検出する踏板ユニットであって、
前記車線幅方向に配列された複数の下部接点基板に設けられた下部接点と、
前記下部接点に対して間隔をあけて配置され、前記下部接点に対して上方から接触可能に設けられた上部接点と、
前記複数の下部接点基板の下方に設けられ、シリアル・パラレル変換基板を基盤内部に配置された基盤と、
前記シリアル・パラレル変換基板と前記下部接点基板とを接続し、前記下部接点と前記上部接点との接触による検出信号を伝送する第1信号ケーブルと、
前記シリアル・パラレル変換基板で変換した検出信号を踏板外部に伝送する第2信号ケーブルと、
を備える踏板ユニット。
【請求項2】
前記下部接点、前記上部接点、前記下部接点基板、前記基盤、前記第1信号ケーブル、及び前記シリアル・パラレル変換基板は、少なくとも上壁が上下方向に弾性変形可能な弾性部材からなる収容体に収容され、
前記第2信号ケーブルは、前記収容体の側壁から外部に引き出されている、
請求項1に記載の踏板ユニット。
【請求項3】
前記下部接点基板と前記基盤との間に配置され、内部に前記第1信号ケーブルを通すコア部材が設けられている、請求項1または2に記載の踏板ユニット。
【請求項4】
前記車線幅方向の踏板間端部は、上方から見て車線方向に対して傾斜している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の踏板ユニット。
【請求項5】
前記車線幅方向の踏板間端部は、上方から見て車線方向に段差が形成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の踏板ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、踏板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路に利用されている電子式料金収受システム(Electronic Toll Collection System;ETC(登録商標))は、料金所の車線(レーン)を走行する車両との間で無線通信を行うことで、走行中の車両に対して料金収受処理を実施することができる。
【0003】
電子式料金収受システムでは料金所の車線上に設置された車種判別装置を用いて、通過する車両の車種区分(普通車、大型車、・・等の区分)を判別できるものがある。例えば、車種判別装置は、車線の路面に敷設された踏板型の押圧検出センサ(以下、「踏板」又は「踏板ユニット」とも記載する。)を通じてタイヤによる押圧回数を計数することで当該車両の車軸数を計測し、その計測結果に基づいて車種区分を判別する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
路面に敷設される踏板の中には、車両の車軸数の他、車両の車輪の幅、一の車軸に接続された車輪の間隔(トレッド幅)など、車両に関する様々な情報を検出することができるものがある。このような踏板には、上下に対向する2つの導電体の接点が本体の長手方向に複数並べて設けられており、車両のタイヤが踏板を踏むと、踏まれた領域に属する上下2つの接点が接触する。踏板は、各接点についての導通の有無を示す信号を出力する。この信号により、通過する車両に関する上記情報を取得することができる。
【0005】
ところで、近年、複数車線からなる本線道路を走行する車両に対して課金可能なMLFF(マルチレーンフリーフロー)型の料金収受システムの実用化が進められている。ここで、上述の料金所に適用される料金収受システムの場合、料金所の単一車線(アイランドによって一車線ごとに仕切られている車線)の幅方向をカバーする踏板を敷設すればよいが、MLFF型の料金収受システムでは、踏板を、複数車線からなる本線道路の幅方向全体に渡って延びるように敷設する必要がある。
【0006】
しかしながら、通常の複数車線の道路の幅全体をカバーするためには、踏板の全長が10メートル以上となるように作り込まなければならず、このような踏板を単一品として製造することは困難である。そこで、MLFF型の料金収受システムを実現する方法の一つとして、単一品として製造された従来の長さの踏板(以下、踏板ユニットとも表記する。)を複数用意し、これらを車線幅方向全体に敷き詰めて連結することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の踏板ユニット(踏板)は、その長手方向に並べて配置される複数の接点に対し、さらに同方向に並ぶように信号伝送用のシリアル・パラレル変換基板が配置されているものがある。この構造では、シリアル・パラレル変換基板が配置されている領域には接点が配置されない。そのため、このような踏板ユニットを複数車線の車線幅方向に敷き詰めて並べたとしても、各踏板ユニットの長手方向の領域のうちシリアル・パラレル変換基板が配置される領域(接点が配置されていない領域)が不感帯となってしまい、複数車線に渡る車線幅方向の全ての領域において均一に車軸(タイヤの押圧)を検出することが困難であった。
【0009】
本開示は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、車両情報を確実に検出することができ、車種の判別精度を向上できる踏板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の一態様に係る踏板ユニットは、車線の車線幅方向に延在して前記車線を走行する車両の車輪が通過した状態を検出する踏板ユニットであって、前記車線幅方向に配列された複数の下部接点基板に設けられた下部接点と、前記下部接点に対して間隔をあけて配置され、前記下部接点に対して上方から接触可能に設けられた上部接点と、前記複数の下部接点基板の下方に設けられ、シリアル・パラレル変換基板を基盤内部に配置された基盤と、前記シリアル・パラレル変換基板と前記下部接点基板とを接続し、前記下部接点と前記上部接点との接触による検出信号を伝送する第1信号ケーブルと、前記シリアル・パラレル変換基板で変換した検出信号を踏板外部に伝送する第2信号ケーブルと、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の踏板ユニットによれば、車両情報を確実に検出することができ、車種の判別精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る踏板ユニットを車線に配置した全体構成を上方から見た平面図である。
【
図2】実施形態に係る踏板ユニットの全体構成を上方から見た平面図である。
【
図3】実施形態に係る
図2に示すA-A線断面図である。
【
図4】実施形態に係る
図2に示すB-B線断面図である。
【
図5】実施形態に係る下部接点の配置状態を示す上方から見た平面図である。
【
図6】実施形態に係る踏板ユニットにおける接続コネクタを示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る複数の踏板ユニットにおける信号ケーブルの接続状態を示す図である。
【
図8】実施形態に係る踏板ユニットにおける車輪検出方法を示す図である。
【
図9】第1変形例に係る踏板ユニットの踏板間の接合構造を示す上方から見た第1平面図である。
【
図10】第2変形例に係る踏板ユニットの踏板間の接合構造を示す上方から見た第2平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態による踏板ユニットについて、図面に基づいて説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0014】
<第1の実施形態>
図1~
図7を参照しながら、第1の実施形態に係る踏板ユニットについて詳細に説明する。
【0015】
(踏板ユニットの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る踏板ユニットを車線に配置した全体構成を上方から見た平面図である。
図2は、第1の実施形態に係る踏板ユニットの全体構成を上方から見た平面図である。
図3は、
図2に示すA-A線断面図である。
図4は、
図2に示すB-B線断面図である。
図5は、下部接点の配置状態を示す上方から見た平面図である。
図6は、踏板ユニットにおける接続コネクタを示す斜視図である。
図7は、複数の踏板ユニットにおける信号ケーブルの接続状態を示す図である。
【0016】
本実施形態に係る複数の踏板ユニット1および車種判別装置12は、MLFF型の料金収受システムの構成の一部として採用される。
【0017】
図1に示すように、有料道路を利用する車両Aは、複数(
図1の例では4つ)の車線Lからなる本線道路における、一つの車線Lを走行する。以下の説明では、車線Lが延在する方向(±X方向)を「車線方向」とも記載し、車線方向(±X方向)に水平に直交する方向(±Y方向)を「車線幅方向」とも記載する。また、車線方向(±X方向)における+X方向側を「下流側」または車両Aの「進行方向奥側」とも記載する。また、車線方向(±X方向)の-X方向側を「上流側」または車両Aの「進行方向手前側」とも記載する。また、車線幅方向(±Y方向)における+Y方向側を「車線幅方向左側」または車両Aの「進行方向左側」とも記載する。また、車線幅方向(±Y方向)における-Y方向側を「車線幅方向右側」または車両Aの「進行方向右側」とも記載する。また、車線方向(±X方向)と車線幅方向(±Y方向)とを含む平面に直交する方向(±Z方向)を「上下方向」とも記載する(+Z方向を上側とし、-Z方向を下側とする)。
【0018】
図1に示す踏板ユニット1は、上面を通過する車両の車軸数を検出するために用いられる踏板型の押圧センサである。
図1に示すように、踏板ユニット1は、複数の車線Lからなる本線道路において、上面1aを露出した状態で路面に設置される。複数の踏板ユニット1は、その長手方向が車線Lの車線幅方向(±Y方向)を向くようにして、複数の車線L全体に渡り敷き詰めて配置される。複数の踏板ユニット1は、このようにして複数の車線L全体を横切るように一直線上に配置されることで、当該複数の車線Lを走行する全ての車両のタイヤの通過を検出することができる。
【0019】
各踏板ユニット1は、車両AのタイヤTに踏まれたことを電気的な導通の有無によって検出する。各踏板ユニット1で検出した電気的信号(検出信号)は、第2信号ケーブル7によってそれぞれの踏板ユニット1から引き出されて外部に設けられる車種判別装置12(後述)に伝送される。
【0020】
図3及び
図4に示すように、踏板ユニット1は、下部接点2と、上部接点3と、基盤4と、シリアル・パラレル変換基板5と、第1信号ケーブル6と、第2信号ケーブル7と、を有している。これら下部接点2、上部接点3、基盤4、シリアル・パラレル変換基板5、第1信号ケーブル6および第2信号ケーブル7の一部は、収容体8の内側に収容されている。
【0021】
収容体8は、上方から見て車線幅方向(±Y方向)に長い長方形状であり、所定の厚みを有する中空の板形状の部材である。収容体8は、上壁81と、下壁82と、4辺それぞれに位置する側壁83と、を有する(
図6参照)。収容体8は、少なくとも上壁81が上下方向(±Z方向)に弾性変形可能な例えばゴム製の弾性部材からなる。
【0022】
下部接点2は、車線幅方向(±Y方向)に延びる長方形状のプリント基板である下部接点基板20の配線パターンとして形成され、当該下部接点基板20の表面に、等間隔に複数配列される。下部接点基板20は、車線幅方向(±Y方向)に複数配列されるとともに(
図3参照)、車線方向(±X方向)にも配置される(
図4参照)。このような構成により、下部接点2は、車線方向(±X方向)及び車線幅方向(±Y方向)のそれぞれに沿って複数配列されることとなる(
図5参照)。なお、
図5に示すように、踏板ユニット1に配置される下部接点2のうち車線幅方向(±Y方向)の両側に位置するものは、収容体8の側壁83に近接した位置に配置されている。
【0023】
複数の下部接点2は、各下部接点基板20のコネクタ21に接続されている(
図3参照)。さらに、下部接点基板20と基盤4との間には、内部に第1信号ケーブル6を通すコア部材9が設けられている(
図3、
図4参照)。
【0024】
図4に示すように、コア部材9は、例えばアルミ製の材料により形成されている。コア部材9は、支持板91と、支持板91の車線方向(±X方向)の両端部それぞれから上下方向(±Z方向)の両側に延びる側板92と、を有している。コア部材9は、支持板91の上方において下部接点2を備えた下部接点基板20及び上部接点3を収容可能な上コア部9Aと、支持板91の下方において第1信号ケーブル6を収容可能な下コア部9Bと、を有している。下部接点基板20のコネクタ21(
図3参照)に接続されている第1信号ケーブル6は、支持板91の下方の下コア部9B内を通過するように配置される。
【0025】
図3及び
図4に示すように、上部接点3は、下部接点2に対して間隔をあけて対向し、下部接点2に対して上方から接触可能に設けられる。上部接点3は、収容体8の上壁81の下面側に配置され、上壁81がタイヤTによって踏まれたときに、その踏まれた部分における上壁81の変形とともに下方に押し下げられて下部接点2に接触する。上部接点3は、平板形状で導体により形成され、幅寸法(±Y方向の長さ)は下部接点2の幅寸法と同程度とされる。複数の上部接点3は、下部接点2と同様に車線方向(±X方向)にも配列される。
【0026】
図4に示すように、接点体(下部接点2および上部接点3)が車線方向(±X方向)に沿って4つ並べて配置されることの技術的意義は以下のとおりである。即ち、車種判別装置12は、当該4つの下部接点2のOff→Onの順番、またはOn→Offの順番を参照することで、車両が前進しているか、後進しているか、もしくは途中で進行方向を変更したかを判断することができる。
なお、上部接点3は、下部接点2と同数(図では4つ)であることに制限されることはなく、例えば、踏板ユニット1の幅寸法と同程度の幅寸法の1枚の上部接点体とすることも可能である。このように上部接点体として共通化することにより、個々の下部接点の導通状態を検知することが可能となる。
【0027】
踏板ユニット1では、車両AのタイヤTが通過すると、収容体8の上壁81を介して上部接点3はタイヤTが作用する力によって弾性的に変形し、弾性的に変形した上部接点3が下部接点2に接触して電気的に導通する。下部接点2と上部接点3との間の電気的な導通の有無から、タイヤTが踏板ユニット1を通過しているか否かが検出される。
さらに、踏板ユニット1は、いずれの下部接点2が接触したかを判別することにより、車両AのタイヤTに踏まれたこと(車軸検出)に加え、踏まれた位置、タイヤTの幅、同一軸に接続されたタイヤTの間隔(トレッド幅)を検出できるように構成されている。
【0028】
第1信号ケーブル6としては、例えばフレキシブルプリントケーブル(FPC)が採用されている。第1信号ケーブル6は、シリアル・パラレル変換基板5と下部接点基板20とを接続し、下部接点2と上部接点3との接触による検出信号を伝送する。第1信号ケーブル6は、コア部材9と基盤4との間を通過してシリアル・パラレル変換基板5に接続される。
【0029】
図4に示すように、基盤4は、複数の下部接点基板20の下方、具体的には複数のコア部材9の下方に設けられている。基盤4は、踏板ユニット1の内部で車線方向(±X方向)および車線幅方向(±Y方向)の全体に広がるように形成された一つの金属板(例えば、厚さ5mmのSS(軟鉄)等)であり、踏板ユニット1全体を保持する。基盤4は、例えば踏板ユニット1を持ち運びする際などにたわんで変形しないよう、踏板ユニット1に一定の剛性を与える。
【0030】
基盤4は、車線幅方向(±Y方向)に延びる天板41と、天板41の車線方向(±X方向)の両端部それぞれから下方に延びる側板42と、を有している。基盤4は、天板41の下方においてシリアル・パラレル変換基板5、及び第2信号ケーブル7を収容可能な収容部4aを有している。
【0031】
図3に示すように、シリアル・パラレル変換基板5は、電源集積回路51と、ラッチ集積回路52と、を基板上に配置したものである。また、シリアル・パラレル変換基板5は、第1信号ケーブル6が接続される第1コネクタ53と、収容体8の外部から引き込まれた電源ケーブル11が接続される第2コネクタ54と、を有している。
電源ケーブル11は、収容体8の側壁83に設けられる挿通部(
図6に示す接続コネクタ84)を通して収容体8内に引き込まれている。
【0032】
第2信号ケーブル7は、シリアル・パラレル変換基板5でパラレル信号(複数の下部接点2のそれぞれの接触有無を示す信号の集合)をシリアル信号に変換した検出信号を踏板ユニット1の外部に伝送する。第2信号ケーブル7は、収容体8の側壁83から外部に引き出されている。
図7に示すように、収容体8から引き出された第2信号ケーブル7は、車種判別装置12に接続されている。すなわち、車線幅方向(±Y方向)に配列される複数の踏板ユニット1の側面から引き出されたそれぞれの第2信号ケーブル7は検出信号を車種判別装置12に伝送する。
【0033】
車種判別装置12は、各踏板ユニット1からの検出信号を受信する。車種判別装置12は、各踏板ユニット1から受信した検出信号に基づき、車両AのタイヤTによる押圧回数(車軸数)を計測し、車種区分の判別を行う。
【0034】
図1に示すように、本実施形態では、ガントリを通じて、各車線Lの真上に車両検知器13が設置されている。車両検知器13は、下方(路面)に向けて検出光(レーザ光)を照射するとともにその反射光の特性を計測することで、照射位置における車両Aの通過(進入および退出)を検出可能とする。そして、車種判別装置12は、踏板ユニット1によるタイヤTの検出結果と、この車両検知器13による車両Aの通過の検出結果とを合わせて、1台の車両AにおけるタイヤTの押圧回数(即ち車軸数)を計測することができる。
【0035】
(踏板ユニットを使用した車輪の検出方法)
上述した構成の踏板ユニット1を使用した車輪の検出方法について
図8を用いて説明する。
図8は、踏板ユニットにおける車輪検出方法を示す図である。
【0036】
具体的には、
図8は、
図5に示す検出範囲Pに設けられる下部接点2を車両AのタイヤTが通過したとき、この検出範囲P内の下部接点2から得られるビット列を時間t順に並べたものである。
図8の左図は、時間tの矢印の向く方向ほど経過時間が大きくなる。図中の「0」は、各時間tにおいてタイヤTに踏まれていない位置を示し、「1」は、各時間tにおいてタイヤTに踏まれた位置を示している。
図8に示すビット列から得られる検出領域「1」に基づいて、
図8の右図に示すタイヤ(タイヤT)の動きを想定することができる。
以上のように、本実施形態の車種判別装置12は、各踏板ユニット1内に車線方向に配列された4つの下部接点2のうち代表の一つの下部接点2(検出範囲P内の下部接点2)から得られるビット列を用いて
図8の左図に示すような時空間画像を作成する。
なお、他の実施形態に係る車種判別装置12はこの態様に限定されず、例えば、ある瞬間(同一時刻)に取得された上記4つの下部接点2のビット列の論理和を取ることで、
図8左図に示す時空間画像の一行に相当する情報を取得するようにしてもよい。
【0037】
そして、上述した車両検知器13による車両Aの通過の検出結果から、この車両Aの進入検出時刻、退出検出時刻を受け取り、踏板ユニット1によるビット列を紐づけることにより、車両AのタイヤTの動きを特定することができ、車両Aの車軸数を計測することが可能となる。
【0038】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る踏板ユニット1は、下部接点基板20の下方に配置される基盤4のさらに下方内側にシリアル・パラレル変換基板5が配置される構成となる。言い換えると、本実施形態に係る踏板ユニット1は、下部接点2の配置スペースと、シリアル・パラレル変換基板5の配置スペースとが、基盤4を介して踏板ユニット1の上下方向(±Z方向)に分離された構成となっている。
【0039】
このような構成によれば、互いの空間的干渉を回避しつつ、踏板ユニット1を上面から見た際に、シリアル・パラレル変換基板5を下部接点2の配置位置と重なるように配置することができる。その結果、
図5に示すように、踏板ユニット1は、下部接点2を、収容体8の側壁83に近接した位置まで敷き詰めて配置することができるので、
図1のように並べて配置した際に、各踏板ユニット1の連結部に形成される不感帯の幅を低減することができる。
【0040】
以上より、本実施形態に係る踏板ユニット1によれば、高い精度で車軸数を計測することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る踏板ユニット1によれば、第1信号ケーブル6がコア部材9の内側を通して配線されるので、下部接点基板20の下方で第1信号ケーブル6を配置させてシリアル・パラレル変換基板5に接続することができる。
【0042】
以上、踏板ユニットの各実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0043】
(第1変形例)
例えば、
図9に示す第1変形例による踏板ユニット1Aとしてもよい。踏板ユニット1Aは、車線幅方向(±Y方向)の踏板間端部1bが上方から見て車線方向(±X方向)に対して傾斜している。
【0044】
(第2変形例)
また、
図10に示す第2変形例による踏板ユニット1Bとしてもよい。踏板ユニット1Bは、車線幅方向(±Y方向)の踏板間端部1cが上方から見て車線方向(±X方向)に段差が形成されている。
【0045】
図9、
図10に示すような第1変形例、第2変形例の構成とすることで、車線方向(±X方向)に配列された4つの接点体(下部接点2、上部接点3)が、車線幅方向(±Y方向)にずれて配置されることとなる。これにより、4つの接点体のそれぞれが、車線幅方向に延びる不感帯を補い合うように配置される。この場合、車種判別装置12は、4つの下部接点2の論理データの論理和を取って時空間画像(
図8の左図参照)を作成する。このようにすることで、車線方向(±X方向)の幅の全体に渡って不感帯が形成される領域が小さくなるため、踏板間端部1b、1cに形成される不感帯の車線幅方向(±Y方向)の幅寸法を一層小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、収容体8の上壁81の材料として、ゴム製のものを採用しているが、ゴム製に限定されることはなく、上下方向(±Z方向)に弾性変形可能な弾性部材であれば他の材料であってもかまわない。
【0047】
また、本実施形態では、下部接点基板20と基盤4との間にコア部材9を設けた構成としているが、コア部材9を省略することも可能である。また、コア部材9の形状、寸法についても適宜変更可能である。さらに、コア部材9の材料は、アルミであることに制限されることはない。
【0048】
さらに、本実施形態では、下部接点2が車線方向(±X方向)及び車線幅方向(±Y方向)に沿って等間隔で配置されているが、このような配置であることに限定されることはない。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0050】
<付記>
上述の実施形態に記載の踏板ユニットは、例えば以下のように把握される。
【0051】
(1)第1の態様によれば、踏板ユニット1は、車線Lの車線幅方向(±Y方向)に延在して車線Lを走行する車両AのタイヤTが通過した状態を検出する踏板ユニット1であって、車線幅方向(±Y方向)に配列された複数の下部接点基板20に設けられた下部接点2と、下部接点2に対して間隔をあけて配置され、下部接点2に対して上方から接触可能に設けられた上部接点3と、複数の下部接点基板20の下方に設けられ、シリアル・パラレル変換基板5を基盤内部に配置された基盤4と、シリアル・パラレル変換基板5と下部接点基板20とを接続し、下部接点2と上部接点3との接触による検出信号を伝送する第1信号ケーブル6と、シリアル・パラレル変換基板5で変換した検出信号を踏板外部に伝送する第2信号ケーブル7と、を備える。
【0052】
(2)第2の態様によれば、下部接点2、上部接点3、下部接点基板20、基盤4、第1信号ケーブル6、及びシリアル・パラレル変換基板5は、少なくとも上壁81が上下方向(±Z方向)に弾性変形可能な弾性部材からなる収容体8に収容され、第2信号ケーブル7は、収容体8の側壁83から外部に引き出されている。
【0053】
(3)第3の態様によれば、下部接点基板20と基盤4との間に配置され、内部に第1信号ケーブル6を通すコア部材9が設けられている。
【0054】
(4)第4の態様によれば、車線幅方向(±Y方向)の踏板間端部は、上方から見て車線方向(±X方向)に対して傾斜している。
【0055】
(5)第5の態様によれば、車線幅方向(±Y方向)の踏板間端部は、上方から見て車線方向(±X方向)に段差が形成されている。
【符号の説明】
【0056】
1、1A、1B 踏板ユニット(踏板ユニット)
2 下部接点
3 上部接点
4 基盤
5 シリアル・パラレル変換基板
6 第1信号ケーブル
7 第2信号ケーブル
8 収容体
9 コア部材
11 電源ケーブル
12 車種判別装置
20 下部接点基板
81 上壁
A 車両
L 車線
T タイヤ
X 車線方向
Y 車線幅方向
Z 上下方向