(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】需要予測装置、需要予測システム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241101BHJP
G08G 1/00 20060101ALN20241101BHJP
【FI】
G06Q10/04
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021158342
(22)【出願日】2021-09-28
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 智
(72)【発明者】
【氏名】向原 康平
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/186880(WO,A1)
【文献】特開2004-038317(JP,A)
【文献】特開2005-173979(JP,A)
【文献】特開2012-198689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測する予測装置であって、
前記部品の需要の実績値、前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値、および予測された前記部品の需要である既存予測値を取得する取得部と、
前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測する予測部と、を備
え、
前記部品を用いる車両は、前記車両の車種と部品との組み合わせに関する情報から特定され、
前記稼働値は、所定のエリアおよび車種に対応付けられた前記車両の走行実態を示す情報であって、所定時間ごとの走行時間、走行距離、および制動回数のうち、少なくとも一つを用いて生成される増減度合を示す値であり、
前記取得部は、
所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、
前記予測部は、
前記稼働値の増減の傾向から求めた指標と、前記実績値の増減の傾向から求めた指標とに基づいて、前記需要の増加後または減少後の増減度合を予測し、
第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも増加傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を減少させた値を予測値に決定して前記第3時点の需要を予測する、
需要予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記稼働値の増減の傾向から求めた指標と、前記既存予測値と、前記実績値から求めた指標との相対関係に基づいて、前記既存予測値を予測値として採用するか、前記既存予測値を補正した値を予測値として採用するかを決定する、
請求項
1に記載の需要予測装置。
【請求項3】
時系列における前記稼働値の増減の傾向は前記実績値の増減の傾向と同一または類似し、
前記予測部は、前記時系列における前記稼働値の増減の傾向と前記実績値の増減の傾向とに基づいて、前記需要を予測する、
請求項
2に記載の需要予測装置。
【請求項4】
時系列における前記稼働値の振り幅の傾向は前記実績値の振り幅の傾向と同一または類似し、
前記予測部は、前記時系列における前記稼働値の振り幅の傾向と前記実績値の振り幅の傾向とに基づいて、前記需要を予測する、
請求項
2または
3に記載の需要予測装置。
【請求項5】
前記取得部は、
所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、
前記予測部は、
第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも減少傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を増加させた値を予測値に決定
して前記第3時点の需要を予測する、
請求項1から
4のうちいずれか1項に記載の需要予測装置。
【請求項6】
前記取得部は、
所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、
前記予測部は、
第1時点の実績値と、前記第1時点よりも前の第2時点の実績値とに基づいて、前記第1時点よりも将来の第3時点の前記実績値に基づく指標を取得し、
前記第3時点の前記既存予測値と、前記実績値に基づく指標との大きさを比較し、比較結果に基づいて、前記第3時点の前記既存予測値を前記第3時点の予測値とするか、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値とに基づいて前記第3時点の既存予測値を補正した値を前記第3時点の予測値とするかを決定する、
請求項1から
5のうちいずれか1項に記載の需要予測装置。
【請求項7】
前記予測部は、
前記第3時点の前記既存予測値が前記実績値に基づく指標以上である場合、前記第3時点の前記既存予測値を前記第3時点の予測値に決定し、
前記第3時点の前記既存予測値が前記実績値に基づく指標よりも小さい場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値とに基づいて前記第3時点の既存予測値を補正した値を前記第3時点の予測値に決定する、
請求項
6に記載の需要予測装置。
【請求項8】
車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測する需要予測システムであって、
前記需要予測システムは、
前記部品の需要の実績値を取得し、
前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値を取得し、
予測された前記部品の需要である既存予測値を取得し、
前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測
し、
前記部品を用いる車両は、前記車両の車種と部品との組み合わせに関する情報から特定され、
前記稼働値は、所定のエリアおよび車種に対応付けられた前記車両の走行実態を示す情報であって、所定時間ごとの走行時間、走行距離、および制動回数のうち、少なくとも一つを用いて生成される増減度合を示す値であり、
所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、
前記稼働値の増減の傾向から求めた指標と、前記実績値の増減の傾向から求めた指標とに基づいて、前記需要の増加後または減少後の増減度合を予測し、
第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも増加傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を減少させた値を予測値に決定して前記第3時点の需要を予測する、
需要予測システム。
【請求項9】
コンピュータに車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記部品の需要の実績値を取得させ、
前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値を取得させ、
予測された前記部品の需要である既存予測値を取得させ、
前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測さ
せ、
前記部品を用いる車両は、前記車両の車種と部品との組み合わせに関する情報から特定され、
前記稼働値は、所定のエリアおよび車種に対応付けられた前記車両の走行実態を示す情報であって、所定時間ごとの走行時間、走行距離、および制動回数のうち、少なくとも一つを用いて生成される増減度合を示す値であり、
所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得させ、
前記稼働値の増減の傾向から求めた指標と、前記実績値の増減の傾向から求めた指標とに基づいて、前記需要の増加後または減少後の増減度合を予測させ、
第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも増加傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を減少させた値を予測値に決定して前記第3時点の需要を予測させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要予測装置、需要予測システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品の交換率および稼働特性を用いて、部品の需要を予測する部品需要予測プログラムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の予測手法は、十分に高精度ではない場合があった。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より精度よく部品の需要を予測することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係る需要予測装置、需要予測システム、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る需要予測装置は、車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測する予測装置であって、前記部品の需要の実績値、前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値、および予測された前記部品の需要である既存予測値を取得する取得部と、前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測する予測部とを備える。
【0006】
(2):上記(1)の態様において、前記予測部は、前記稼働値から求めた指標と、前記既存予測値と、前記実績値から求めた指標との相対関係に基づいて、前記需要を予測するものである。
【0007】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記予測部は、前記稼働値の増減の傾向から求めた指標と、前記既存予測値と、前記実績値から求めた指標との相対関係に基づいて、前記既存予測値を予測値として採用するか、前記既存予測値を補正した値を予測値として採用するかを決定する。
【0008】
(4):上記(3)の態様において、時系列における前記稼働値の増減の傾向は前記実績値の増減の傾向と同一または類似し、前記予測部は、前記時系列における前記稼働値の増減の傾向と前記実績値の増減の傾向とに基づいて、前記需要を予測する。
【0009】
(5):上記(3)または(4)の態様において、時系列における前記稼働値の振り幅の傾向は前記実績値の振り幅の傾向と同一または類似し、前記予測部は、前記時系列における前記稼働値の振り幅の傾向と前記実績値の振り幅の傾向とに基づいて、前記需要を予測する。
【0010】
(6):上記(1)から(5)のいずれかの態様において、前記取得部は、所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、前記予測部は、第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも増加傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を減少させた値を予測値に決定する。
【0011】
(7):上記(1)から(6)のいずれかの態様において、前記取得部は、所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、前記予測部は、第1時点の前記稼働値が、前記第1時点よりも前の第2時点の稼働値よりも減少傾向である場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値との差分に基づいて、前記第1時点よりも後の第3時点の前記既存予測値を増加させた値を予測値に決定する。
【0012】
(8):上記(1)から(7)のいずれかの態様において、前記取得部は、所定周期ごとの前記実績値、前記所定周期ごとの前記稼働値、および前記所定周期ごとの前記既存予測値を取得し、前記予測部は、第1時点の実績値と、前記第1時点よりも前の第2時点の実績値とに基づいて、前記第1時点よりも将来の第3時点の前記実績値に基づく指標を取得し、前記第3時点の前記既存予測値と、前記実績値に基づく指標との大きさを比較し、比較結果に基づいて、前記第3時点の前記既存予測値を前記第3時点の予測値とするか、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値とに基づいて前記第3時点の既存予測値を補正した値を前記第3時点の予測値とするかを決定する。
【0013】
(9):上記(8)の態様において、前記予測部は、前記第3時点の前記既存予測値が前記実績値に基づく指標以上である場合、前記第3時点の前記既存予測値を前記第3時点の予測値に決定し、前記第3時点の前記既存予測値が前記実績値に基づく指標よりも小さい場合、前記第1時点の前記稼働値と前記第2時点の稼働値とに基づいて前記第3時点の既存予測値を補正した値を前記第3時点の予測値に決定する。
【0014】
(10):上記(1)から(9)のいずれかの態様において、前記車両の稼働値は、所定のエリアに対応付けられた車両の走行実態を示す情報である。
【0015】
(11):この発明の他の一態様に係る需要予測システムは、車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測する需要予測システムであって、前記需要予測システムは、前記部品の需要の実績値を取得し、前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値を取得し、予測された前記部品の需要である既存予測値を取得し、前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測する需要予測システムである。
【0016】
(12):この発明の他の一態様に係るプログラムは、コンピュータに車両の部品の交換または修理に備えた前記部品の需要を予測させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記部品の需要の実績値を取得させ、前記部品を用いる車両の稼働に関する稼働値を取得させ、予測された前記部品の需要である既存予測値を取得させ、前記実績値と前記稼働値と前記既存予測値とに基づいて、前記需要を予測させるプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
(1)-(12)によれば、需要予測装置、需要予測システム、またはプログラムが、実績値と稼働値と既存予測値とに基づいて、需要を予測することにより、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0018】
(8)または(9)によれば、需要予測装置が、既存予測値と実績値に基づく指標との関係に基づいて、第3時点の予測値を決定することにより、予測値が大きくなってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】情報提供装置および需要予測装置を含む予測システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】車両Mに搭載された車両システム10の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置100および予測装置200の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】第2取得部120が取得する稼働情報144の一例を示す図である。
【
図7】走行実態情報148について説明するため図である。
【
図8】走行実態情報148と、実績情報142とを比較して示す図である。
【
図9】第2予測情報258を生成する処理について説明するための図(その1)である。
【
図10】第2予測情報258を生成する処理について説明するための図(その2)である。
【
図11】予測装置200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図12】既存予測値と新予測値とを比較するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の需要予測装置、需要予測システム、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0021】
図1は、情報提供装置および需要予測装置を含む予測システム1の構成の一例を示す図である。予測システム1は、例えば、一以上の車両M(図中、M1-Mn)と、情報処理装置100と、予測装置200とを備える。車両Mと、情報処理装置100とは、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局などを含む。情報処理装置100と、予測装置200とは、専用線またはネットワークNWを介して互いに通信可能である。情報処理装置100は特許請求の範囲の「情報提供装置」の一例であり、予測装置200は特許請求の範囲の「需要予測装置」の一例である。
【0022】
[車両]
一以上の車両Mは、所定の地域で利用されている車両である。所定の地域とは、車両Mが主に利用されている地域や、車両Mの駐車スペースに対応する地域である。
【0023】
図2は、車両Mに搭載された車両システム10の機能構成の一例を示す図である。車両システム10は、例えば、車両センサ20や、ナビゲーション装置30、通信装置40、処理装置50、記憶部60などを含む。車両システム10は、上記の機能構成の他に不図示の車両を制御するためのアクチュエータや電子機器、操作子などを含む。
【0024】
車両センサ20は、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、ヨーレート(例えば、車両Mの重心点を通る鉛直軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。車両センサ20は、例えば、ブレーキペダルに対して行われた操作を検出するブレーキペダルセンサや、自車両Mの操舵量(例えば、操舵角)を検出する操舵センサなどを含んでいてもよい。車両センサ20により検出した結果は、処理装置50に出力される。
【0025】
ナビゲーション装置30は、例えば、HMI(Human machine Interface)32と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機34と、ナビ制御部36と、地図情報38とを備える。HMI32は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ装置やスピーカ、マイクなどを含む。GNSS受信機34は、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて自機の位置(車両Mの位置)を測位する。ナビ制御部36は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や各種記憶装置を備え、ナビゲーション装置30全体を制御する。記憶装置には、地図情報(ナビ地図)38が格納されている。ナビ地図は、ノードとリンクで道路を表現した地図である。ナビゲーション装置30は、測位した位置を示す位置情報を処理装置50に提供する。
【0026】
通信装置40は、例えば、ネットワークNWを介して他の装置と通信するための通信インターフェースである。通信装置40は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。
【0027】
処理装置50は、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶装置に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。記憶部60は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはSSD(Solid State Drive)や、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等により実現されてもよい。記憶部60には、例えば、車両センサ20により出力された情報や、ナビゲーション装置30により提供された情報が記憶される。
【0028】
処理装置50は、車両センサ20により出力された情報や、ナビゲーション装置30により提供された情報など車両の稼働に関する稼働情報(車両Mのイグニッションスイッチの状態や走行状態などを含む車両の状態を示す情報)を情報処理装置100に提供する。
【0029】
[情報処理装置]
図3は、情報処理装置100および予測装置200の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置100に含まれる機能構成の一部または全部は、予測装置200に含まれてもよい。情報処理装置100に含まれる機能構成、または予測装置200に含まれる機能は複数の装置に分散されて設けられてもよい。情報処理装置100または予測装置200は、車両Mを製造または販売する自動車メーカ等の事業体が管理する装置である。
【0030】
情報処理装置100は、例えば、第1取得部110と、第2取得部120と、処理部130(「提供部」の一例)と、記憶部140とを備える。第1取得部110と、第2取得部120と、処理部130とは、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能構成のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め情報処理装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで情報処理装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0031】
記憶部140は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはSSDや、RAM、HDD等により実現される。記憶部140には、後述する第1取得部110および第2取得部120が取得した情報(実績情報142、稼働情報144)が記憶される。また、記憶部140には、処理部130が、実績情報142または稼働情報144を加工した情報である集計情報146および走行実態情報148が記憶される。記憶部140に記憶された情報の詳細については後述する。
【0032】
第1取得部110は、実績情報を取得する。実績情報は、部品の出荷実績を示す情報(実績値を示す情報)である。実績情報は、部品の在庫や出荷、生産を管理する不図示の管理装置により提供された情報である。第2取得部120は、稼働情報を取得する。稼働情報は、処理装置50に提供された情報である。
【0033】
処理部130は、第1取得部110が取得した実績情報142および第2取得部120が取得した稼働情報144を記憶部140に記憶させる。処理部130は、実績情報142または稼働情報144を加工し、予測装置200が利用する情報を生成する。例えば、処理部130は、稼働情報144を加工して集計情報146および車両Mの走行実態を示す走行実態情報148を生成する。処理部130は、生成した情報を所定のタイミングで予測装置200に提供する。処理部130は、例えば、予測装置200のリクエストに応じて、または事前に決められた周期で実績情報142または稼働情報144を予測装置200に提供する。処理部130は、稼働情報144を予測装置200に提供し、予測装置200が稼働情報144を加工してもよい。
【0034】
[予測装置]
予測装置200は、例えば、情報管理部210(「取得部」の一例)と、第1予測部220と、第2予測部230(「予測部」の一例)と、予測提供部240と、記憶部250とを備える。情報管理部210と、第1予測部220と、第2予測部230と、予測提供部240とは、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能構成のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め予測装置200のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで情報処理装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0035】
記憶部250は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはSSDや、RAM、HDD等により実現される。記憶部250には、後述する情報管理部210が取得した実績情報252および走行実態情報254が記憶される。また、記憶部250には、第1予測部220が予測した部品の需要に関する第1予測情報256、および第2予測部230が予測した部品の需要に関する第2予測情報258が記憶される。
【0036】
情報管理部210は、各種情報を管理する。情報管理部210は、情報処理装置100により提供された情報または予測装置200が処理を行って得られた情報を取得したり、管理したりする。情報管理部210は、情報処理装置100により提供された実績情報142および走行実態情報148を記憶部250に記憶させたり、第1予測部220または第2予測部230が予測した予測結果を記憶部250に記憶させたりする。
【0037】
第1予測部220は、部品の需要を予測する。第2予測部230は、実績情報252と、走行実態情報254とに基づいて、需要を予測する。第2予測部230は、車両Mの車種ごと(または特定の車種をグループ化したグループごと)、部品ごと、或いは車種と部品との組み合わせごとに、部品の需要を予測する。この処理の詳細については後述する。
【0038】
予測提供部240は、第2予測部230の予測結果を他の装置に提供する。他の装置とは、部品を管理している事業者または部署の端末装置や、部品を製造している事業者または部署の端末装置である。
【0039】
[情報処理装置の処理]
図4は、情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、第1取得部110が、実績情報142を取得する(ステップS100)。次に、第2取得部120が、車両Mから稼働情報144を取得する(ステップS102)。次に、処理部130が、稼働情報144を集計する(ステップS104)。集計された稼働情報144を、以下、集計情報と称する場合がある。次に、処理部130は、集計情報146を加工して走行実態情報148を生成する(ステップS106)。次に、処理部130は、生成した走行実態情報148を予測装置200に提供する。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0040】
図5は、第2取得部120が取得する稼働情報144の一例を示す図である。稼働情報144は、車両Mごとに、日付(または日時)と、車両Mの稼働状況を示す情報とが互いに対応付けられた情報である。稼働状況を示す情報とは、走行時間や、走行距離、制動回数等の車両Mの稼働状態や走行状態を示す情報である。走行時間とは、車両Mのイグニッションスイッチがオン状態にされてからオフ状態にされるまでの時間であってもよいし、実際に車両Mが所定速度以上で走行している時間であってもよい。制動回数とは、制動が行われた回数や、所定度合以上の制動動作が行われた回数である。稼働状況には、加速度または減速度が所定度合以上変化した回数(急加速または急減速した回数)や、車両Mの横方向の加速度が所定度合以上変化した回数(急旋回した回数)等が含まれていてもよい。
【0041】
情報処理装置100は、稼働情報144を車両Mから直接取得することに代えて(或いは加えて)、車両Mのナビゲーション装置30と通信して車両Mの情報を取得するナビゲーションサーバ(不図示)や、車両Mの情報を取得するその他の装置から稼働情報144(または集計情報)を取得してもよい。また、情報処理装置100は、車両Mから車両Mの位置情報(位置情報と時刻とが対応付けられた情報)を取得し、取得した位置情報に基づいて稼働情報144を生成してもよい。例えば、情報処理装置100は、位置情報から車両の走行距離や走行時間を生成してもよい。
【0042】
図6は、集計情報146の一例を示す図である。集計情報146は、例えば、所定期間ごとの稼働情報144の集計結果を示す情報であって、同じ車種の車両と属する地域が同じ車両との組み合わせごとに稼働情報144が集計された結果を示す情報である。所定期間とは、月や週など任意に定められた期間である。属する地域とは、情報提供元の車両Mが属する地域である。車両Mが属する地域とは、例えば、車両Mの駐車場の位置に対応する地域(例えば駐車している時間が長い場所の地域)や、走行している時間の長い地域、車両Mを管理している店舗(車両Mの販売店や修理工場)が存在している地域である。集計情報146は、例えば、月ごとの地域Aに属する車種aの車両Mの走行時間や、走行距離、制動回数などを含む情報である。集計情報146または後述する走行実態情報148は、「所定のエリアに対応付けられた車両の走行実態を示す情報」の一例である。
【0043】
図7は、走行実態情報148について説明するため図である。走行実態情報148とは、集計情報146から得られた地域および車種ごとの車両Mの走行実態を示す情報である。例えば、走行実態情報148は、所定期間ごとの集計情報146の所定の項目(走行時間や走行距離、制動回数など)の増減を示す情報である。走行実態情報148は、集計情報146の各項目(走行時間や、走行距離、制動回数など)のうち任意の項目に着目して生成された情報であってもよいし、全ての項目に着目して生成された情報であってもよい。走行実態情報148は、任意の項目をスコア化して得られた情報であってもよい。
【0044】
図7の例では、集計情報146のうち走行時間(実態値)に着目して生成された走行実態情報148を示している。
図7の走行実態情報148では、月ごとの車両Mの走行時間の増加度合および減少度合を示している。
図7に示すように、車両Mの走行時間は、増減を交互に繰り返す傾向であり、更に、増減の振り幅は所定の範囲内に収まる傾向である。
【0045】
走行実態情報148と、実績情報142とを比較すると、これらの増減の傾向および振り幅は連動している傾向となる。
図8は、走行実態情報148と、実績情報142とを比較して示す図である。
図8に示すように、時系列における部品を実際に出荷した数を示す実績情報142(実績値)の増減の傾向と走行実態情報148の増減の傾向とは同一または類似の傾向である。
図8に示すように、部品を実際に出荷した数を示す実績情報142(実績値)の振り幅の傾向と、走行実態情報148の振り幅の傾向とは同一または類似の傾向である。月ごとの車両Mの走行時間の増減と、月ごとの部品の出荷数の増減とは連動し(特徴1)、月ごとの車両Mの走行時間の振り幅と、月ごとの部品の出荷数の振り幅とは連動している(特徴2)。
【0046】
情報処理装置100は、上記の実績情報142および走行実態情報148を予測装置200に提供し、予測装置200は、提供された実績情報142、および走行実態情報148が示す走行実態の傾向(特徴1および特徴2)を利用して、より精度よく部品の需要予測を行う。このように、情報処理装置100は、予測装置200が部品の需要予測を行うことを支援することができる。
【0047】
[予測装置の処理]
予測装置200は、実績情報252(142)、走行実態情報254(148)、および第1予測情報256に基づいて、第2予測情報258を生成する。
【0048】
実績情報252は、情報処理装置100により提供された実績情報142であり、走行実態情報254は、情報処理装置100により提供された走行実態情報148である。第1予測情報256は、第1予測部220が、各種指標に基づいて予測した部品の需要予測を示す情報(既存予測値を示す情報)である。第1予測情報256は、現在までの部品の出荷数や需要などの傾向と各種経済指標とに基づいて生成された情報である。各種経済指標とは、例えば、GDP(Gross Domestic Product)や、鉱工業指数、機械受注数である。
【0049】
図9は、第2予測情報258を生成する処理について説明するための図(その1)である。第2予測部230は、所定周期ごとの実績値および走行実態情報254の指標であって、少なくとも3つの時点の実績値および指標を用いて、部品の需要を予測する。第2予測部230は、例えば、タイミングT-1およびTの走行実態情報254の指標を用いてT+1における部品の需要を予測し、タイミングTおよびT+1の走行実態情報254の指標を用いてT+2における部品の需要を予測する。
【0050】
第2予測部230は、タイミングT(「第1時点」の一例)の走行実態情報254の指標に対するとタイミングT-1(「第2時点」の一例)の走行実態情報254の指標の変位に基づいて、タイミングT+1(「第3時点」の一例)の需要を予測する。第2予測部230は、タイミングTの走行実態情報254の指標がタイミングT-1の走行実態情報254の指標に対して増加傾向である場合、タイミングT+1の需要の予測を既存予測値よりも低下させる。第2予測部230は、タイミングTの走行実態情報254の指標がタイミングT-1の走行実態情報254の指標に対して減少傾向である場合、タイミングT+1の需要の予測を既存予測値よりも増加させる。
【0051】
第2予測部230は、タイミングTの走行実態情報254の指標がタイミングT-1走行実態情報254の指標に対して増加傾向である場合、タイミングT+1の既存予測値からタイミングTの走行実態情報254の指標とタイミングT-1走行実態情報254の指標との差分の大きさを減算した値に基づいて、タイミングT+1の需要を予測する。第2予測部230は、タイミングTの走行実態情報254の指標がタイミングT-1走行実態情報254の指標に対して減少傾向である場合、タイミングT+1の既存予測値からタイミングTの走行実態情報254の指標とタイミングT-1走行実態情報254の指標との差分の大きさを加算した値に基づいて、タイミングT+1の需要を予測する。
【0052】
例えば、現在がタイミングTであり、将来のタイミングT+1における第2予測情報258を求める処理について説明する。第2予測部230は、タイミングT-1の走行実態情報254の走行実態値に対して、タイミングTの走行実態情報254の走行実態値(
図9、P1)はプラス4%であるため、次のタイミングT+1の第1予測情報256の既存予測値(
図9、P2)をマイナス4%した値を新予測値(
図9、P3)とした第2予測情報258を生成する。第2予測部230は、上述した特徴1を用いて需要の増加の後は減少が生じる傾向であると予測し、上述した特徴2を用いて振り幅は同じ傾向であるため、増加した分だけ需要は減少すると予測する。
【0053】
なお、既存予測値をマイナス4%した値を新予測値とすることに代えて、タイミングTの走行実態値とタイミングT-1の走行実態値との差分を関数に適用して得られた値や、係数を用いて演算した値を新予測値としてもよい。また、値に代えて、既存予測値に比べて増加傾向や減少傾向などの傾向が上記の処理において求められてもよい。
【0054】
上記のように、第2予測部230は、前回のタイミングに対して着目するタイミングの走行実態値が増加傾向である場合、増加傾向である走行実態値に基づいて、既存予測値を補正した新予測値を予測する。これにより、予測装置200は、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0055】
なお、第2予測部230は、前回のタイミングに対して着目するタイミングの走行実態値が減少傾向である場合、減少傾向である走行実態値に基づいて、既存予測値を補正した新予測値を予測してもよい。これにより、予測装置200は、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0056】
このように、第2予測部230は、次のタイミングの走行実態値が過去の走行実態値の増減の傾向とは反対の傾向である特性(第1時点の稼働値と第2時点の稼働値)と、次のタイミングの既存予測値とに基づいて、次のタイミングの既存予測値を補正した新予測値を求めることで、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0057】
図10は、第2予測情報258を生成する処理について説明するための図(その2)である。第2予測部230は、需要の実績値と走行実態値と既存予測値とに基づいて、需要を予測する。第2予測部230は、走行実態値から得た指標と、既存予測値と、実績値から求めた指標との相対関係に基づいて、需要を予測する。例えば、第2予測部230は、走行実態値から得た指標と、既存予測値と、実績値から求めた指標との相対関係に基づいて、既存予測値を予測値として採用するか、既存予測値を補正した値を予測値として採用するかを決定する。
【0058】
例えば、現在がタイミングT+1であり、将来のタイミングT+2における第2予測情報258を求める処理について説明する。第2予測部230は、タイミングTの走行実態情報254の走行実態値に対して、タイミングT+1の走行実態情報254の走行実態値(
図10、P4)はマイナス3%であるため、次のタイミングT+2の予測値を、第1予測情報256の既存予測値(
図10、P5)をプラス3%した値を新予測値(
図10、P6)に仮置きする。仮置きした新予測値は「走行実態値から得た指標」の一例である。後述する成行き値は「実績値から求めた指標」または「実績値に基づく指標」の一例である。
【0059】
次に、第2予測部230は、タイミングT+2における実績値の成行き値(
図10、P7)を求める。成行き値は、過去の実績値の傾向から求めた値である。成行き値は、例えば、タイミングTの実績と、タイミングT+1の実績とを結んだ線を線形に延在させた値である。
【0060】
第2予測部230は、タイミングT+2における実績値の成行き値(
図10、P7)と、タイミングT+2における既存予測値(
図10、P5)とを比較して、既存予測値が実績値の成行き値に対して上振れ予測できている場合(既存予測値から成行き値を減算した場合に符号がプラスになる場合)、仮置きした新予測値に補正をせずに、既存予測値を新予測値(
図10、P5)とする。
【0061】
なお、既存予測値が実績値に対して上振れできている場合において、既存予測値に代えて、既存予測値に基づく値を新予測値としてもよい。既存予測値に基づく値とは、例えば、既存予測値を増加(または低下)させるように補正した値である。例えば、第2予測部230は、仮置きした新予測値(既存予測値を増加させた値)と、既存予測値(第3時点の既存予測値)とに基づいて(例えば差分に基づく値に基づいて)、新予測値が決定されてもよい。
【0062】
また、成行き値のほうが既存予測値よりも大きい場合(または同一或いは近似する場合)、仮置きした新予測値(
図10、P6)を正規の新予測値としてもよいし、既存予測値を正規の新予測値としてもよい。
【0063】
上記のように、第2予測部230は、走行実態値と、成行き値と、既存予測値とを用いて、既存予測値を新予測値として採用するか、走行実態値に基づいて補正した値を新予測値として採用するか決定する。これにより、予測装置200は、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0064】
なお、上述した
図10を用いて説明した処理は省略され、
図9を用いて説明した処理が実行されてもよい。
【0065】
[フローチャート]
図11は、予測装置200により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、予測装置200の第2予測部230が、過去の走行実態値の傾向に基づいて、次の予測タイミングの走行実態値が現在のタイミングの走行実態値に対して減少傾向であると予測できるか否かを判定する(ステップS200)。
【0066】
減少傾向であると予測できる場合、第2予測部230は、前回の走行実態値に対する今回の走行実態値の増加度合を取得する(ステップS202)。次に、第2予測部230は、既存予測値を増加度合の絶対値分減少させる(ステップS204)。次に、第2予測部230は、減少させた既存予測値を新予測値とする(ステップS206)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0067】
減少傾向でないと予測できる場合(増加傾向であると予測できる場合)、第2予測部230は、前回の走行実態値に対する今回の走行実態値の減少度合を取得する(ステップS208)。次に、第2予測部230は、既存予測値を減少度合の絶対値分増加させた新予測値を仮置きする(ステップS210)。次に、第2予測部230は、実績値に基づいて、成行き値を求める(ステップS212)。
【0068】
次に、第2予測部230は、既存予測値が成行き値に対して上振れしているか否かを判定する(ステップS214)。既存予測値が成行き値に対して上振れしている場合、第2予測部230は、仮置きした新予測値に補正を行わずに既存予測値を正規の新予測値とする(ステップS216)。既存予測値が成行き値に対して上振れしていない場合、第2予測部230は、仮置きした新予測値を正規の新予測値とする(ステップS218)。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
【0069】
なお、上記の処理の順番は変更されてもよいし、一部の処理は省略されてもよい。例えば、既存予測値が成行き値に対して上振れしている場合、新予測値を仮置きする処理は省略されてもよい。
【0070】
また、上記の処理において、既存予測値が成行き値に対して下振れしている場合、上記の考え方と同様の処理が行われてもよい。例えば、仮置きした新予測値が既存予測値よりも小さく、成行き値に対して既存予測値が小さい場合、第2予測部230は、仮置きした新予測値を正規の新予測値とせずに、既存予測値を正規の新予測値としてもよい。
【0071】
図12は、既存予測値と新予測値とを比較するための図である。
図12は、所定期間における実績値に対する既存予測値の誤差と、所定期間における実績値に対する新予測値の誤差とを示している。
図12に示すように、所定期間において新予測値の誤差は、既存予測値の誤差より小さい傾向である。新予測値は既存予測値に対して精度の高い予測結果であることが分かる。
【0072】
更に、所定期間のうち、特定の期間では、新予測値は既存予測値に対してより精度が高いことが分かる。特定の期間とは、社会環境において変化が生じた期間である。具体的には、コロナウイルスの影響により社会生活が抑制されたり、経済活動が停滞したりした機関である。特定の期間において既存予測値の誤差は、他の期間よりも大きくなったが、新予測値の誤差は上がり過ぎず踏みとどまる傾向となった。これは、予測装置200が、上述したように、部品の需要実績および経済指標などからは測れない(既存予測値に反映されていない)車両Mの走行実態を反映させて新予測値を導出しているためである。
【0073】
上記のように予測装置200は、より精度の高い部品の需要予測を行うことができる。
【0074】
なお、予測装置200は、特定の車種の部品や、特定の部品の需要を予測する場合に、上記の処理を行ってもよい。例えば、予測装置200は、車格が所定以下の車両や、前方の部品、需要規模が所定度合以上の部品の需要を予測する場合に、上記の処理を行ってもよい。車格が所定以下の車両の予測精度は、車格が所定よりも大きい車両の予測精度よりも高く、前方の部品の予測精度は、他の部品(例えば後方の部品)の予測精度よりも高く、需要規模が所定度合以上の部品の予測精度は、需要規模が所定度合未満の部品の予測精度よりも高い傾向であるためである。
【0075】
以上説明した実施形態によれば、情報処理装置100は、実績値および稼働値を予測装置200に提供することにより、予測装置200がより精度よく部品の需要を予測することを支援することができる。
【0076】
以上説明した実施形態によれば、予測装置200は、実績値と稼働値とに基づいて、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0077】
以上説明した実施形態によれば、予測装置200は、更に実績値と走行実態値と既存予測値とに基づいて、より精度よく部品の需要を予測することができる。
【0078】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0079】
1‥予測システム、10‥車両システム、20‥車両センサ、30‥ナビゲーション装置、100‥情報処理装置、110‥第1取得部、120‥第2取得部、130‥処理部、142‥実績情報、144‥稼働情報、146‥集計情報、148‥走行実態情報、200‥予測装置、210‥情報管理部、220‥第1予測部、230‥第2予測部、240‥予測提供部、252‥実績情報、254‥走行実態情報、256‥第1予測情報、258‥第2予測情報