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特許7580358光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法
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  • 特許-光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/24 20060101AFI20241101BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20241101BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20241101BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G02B6/24
G02B6/46 321
G02B6/00 B
G01B11/16 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021162608
(22)【出願日】2021-10-01
(65)【公開番号】P2023053524
(43)【公開日】2023-04-13
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100133064
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 新
(72)【発明者】
【氏名】十川 貴行
(72)【発明者】
【氏名】曽我部 直樹
(72)【発明者】
【氏名】平 陽兵
(72)【発明者】
【氏名】大窪 一正
(72)【発明者】
【氏名】玉野 慶吾
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 進太郎
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-139344(JP,A)
【文献】米国特許第06829424(US,B1)
【文献】特開平10-176965(JP,A)
【文献】特開2002-168608(JP,A)
【文献】特開平06-337323(JP,A)
【文献】実開昭53-117251(JP,U)
【文献】特開2014-191208(JP,A)
【文献】実開昭53-114250(JP,U)
【文献】特開平10-115753(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101719651(CN,A)
【文献】特開2002-054956(JP,A)
【文献】特開2017-21015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00 - 6/02
G02B 6/24 - 6/255
G02B 6/36 - 6/40
G02B 6/44 - 6/54
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひずみを計測するための第1光ファイバと、
前記第1光ファイバを収容する第1管部材と、
ひずみを計測するための第2光ファイバと、
前記第2光ファイバを収容する第2管部材と、
前記第1光ファイバと前記第2光ファイバと間の接続部と、
第3管部材と、
を備え、
前記第1管部材と前記第3管部材とは一体化され、前記第2管部材と前記第3管部材とは一体化され、
前記接続部は、前記第1管部材、前記第2管部材及び前記第3管部材のいずれかに収容され、前記第1管部材、前記第2管部材及び前記第3管部材に対して遊動可能であり、
前記第1光ファイバは接着剤により前記第1管部材の内面に一体化されることで前記第1管部材に対して遊動不可能に固定され、前記第2光ファイバは接着剤により前記第2管部材の内面に一体化されることで前記第2管部材に対して遊動不可能に固定されている、光ファイバの接続構造。
【請求項2】
前記第3管部材は屈曲し、前記第3管部材と一体化された前記第1管部材及び前記第2管部材は互いに異なる方向に延在する、請求項に記載の光ファイバの接続構造。
【請求項3】
第1管部材に収容されたひずみを計測するための第1光ファイバと、第2管部材に収容されたひずみを計測するための第2光ファイバとを接続部で接続する光ファイバ接続工程と、
前記接続工程で接続された前記接続部が前記第1管部材、前記第2管部材及び第3管部材のいずれかに収容され、前記第1管部材、前記第2管部材及び前記第3管部材に対して遊動可能なように、前記第1管部材と前記第3管部材とを一体化し、前記第2管部材と前記第3管部材とを一体化する接続部収容工程と、
を備え、
前記光ファイバ接続工程では、前記第1光ファイバは接着剤により前記第1管部材の内面に一体化されることで前記第1管部材に対して遊動不可能に固定され、前記第2光ファイバは接着剤により前記第2管部材の内面に一体化されることで前記第2管部材に対して遊動不可能に固定される、光ファイバの接続方法。
【請求項4】
前記接続部収容工程では、前記第3管部材は屈曲し、前記第3管部材と一体化された前記第1管部材及び前記第2管部材は互いに異なる方向に延在する、請求項に記載の光ファイバの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体に生じた歪を検出するために構造体に光ファイバを設置する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、被覆管材の中に収容された光ファイバを既製杭に埋設する技術が開示されている。既製杭に埋設された光ファイバ同士は、各種カプラーにより接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003‐213676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、光ファイバ同士が接続された接続部は、光ファイバの心線そのものに比べて強度が劣るため、光ファイバ同士が接続された接続部に外部から力が加わった場合には、光ファイバの断線の可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、光ファイバの断線の可能性を低減できる光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1光ファイバと、第1光ファイバを収容する第1管部材と、第2光ファイバと、第2光ファイバを収容する第2管部材と、第1光ファイバと第2光ファイバと間の接続部と、第3管部材とを備え、第1管部材と第3管部材とは一体化され、第2管部材と第3管部材とは一体化され、接続部は、第1管部材、第2管部材及び第3管部材のいずれかに収容され、第1管部材、第2管部材及び第3管部材に対して遊動可能である光ファイバの接続構造である。
【0007】
この構成によれば、光ファイバの接続構造において、第1光ファイバと、第1光ファイバを収容する第1管部材と、第2光ファイバと、第2光ファイバを収容する第2管部材と、第1光ファイバと第2光ファイバと間の接続部と、第3管部材とを備え、第1管部材と第3管部材とは一体化され、第2管部材と第3管部材とは一体化され、接続部は、第1管部材、第2管部材及び第3管部材のいずれかに収容され、第1管部材、第2管部材及び第3管部材に対して遊動可能であるため、外部から第1管部材、第2管部材又は第3管部材に力が加わった場合でも接続部には歪が発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性を低減できる。
【0008】
この場合、第1光ファイバは第1管部材に対して遊動不可能に固定され、第2光ファイバは第2管部材に対して遊動不可能に固定されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1光ファイバは第1管部材に対して遊動不可能に固定され、第2光ファイバは第2管部材に対して遊動不可能に固定されているため、第1管部材及び第2管部材を構造体と一体化させることにより、構造体に生じた歪を計測することができる。
【0010】
また、第3管部材は屈曲し、第3管部材と一体化された第1管部材及び第2管部材は互いに異なる方向に延在してもよい。
【0011】
この構成によれば、第3管部材は屈曲し、第3管部材と一体化された第1管部材及び第2管部材は互いに異なる方向に延在するため、例えば、2本の鉄筋の交差部に光ファイバを設置する場合において、一方の鉄筋に第1管部材を取り付け、他方の鉄筋に第2管部材を取り付け、交差部には第3管部材を配置することにより、光ファイバの断線の可能性を低減しつつ、光ファイバの設置の施工性を向上できる。
【0012】
一方、本発明は、第1管部材に収容された第1光ファイバと、第2管部材に収容された第2光ファイバとを接続部で接続する光ファイバ接続工程と、接続工程で接続された接続部が第1管部材、第2管部材及び第3管部材のいずれかに収容され、第1管部材、第2管部材及び第3管部材に対して遊動可能なように、第1管部材と第3管部材とを一体化し、第2管部材と第3管部材とを一体化する接続部収容工程とを備えた光ファイバの接続方法である。
【0013】
この場合、光ファイバ接続工程では、第1光ファイバは第1管部材に対して遊動不可能に固定され、第2光ファイバは第2管部材に対して遊動不可能に固定されてもよい。
【0014】
また、接続部収容工程では、第3管部材は屈曲し、第3管部材と一体化された第1管部材及び第2管部材は互いに異なる方向に延在してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法によれば、光ファイバの断線の可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)は実施形態に係る光ファイバの接続方法の光ファイバ接続工程を示す図であり、(B)は(A)の第1光ファイバ及び第1管部材を示す横断面図である。
図2】実施形態に係る光ファイバの接続方法の接続部収容工程及び光ファイバの接続構造を示す図である。
図3】実施形態に係る光ファイバの接続方法の接続部収容工程及び光ファイバの接続構造の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の光ファイバの接続方法及び光ファイバの接続構造は、例えば、光ファイバを融着やコネクタを用いて接続する際に適用される。図1(A)及び図1(B)に示されるように、第1管部材21に収容された第1光ファイバ11と、第2管部材22に収容された第2光ファイバ12とを接続部30で接続する光ファイバ接続工程が行われる。
【0018】
例えば、第1管部材21及び第2管部材22は、外面にコンクリートとの付着のための凹凸(ネジ節)を有するポリ塩化ビニル等からなる管である。光ファイバ接続工程では、第1光ファイバ11は第1管部材21に対して遊動不可能に固定され、第2光ファイバ12は第2管部材22に対して遊動不可能に固定される。具体的には、第1光ファイバ11は第1管部材21の内面に接着され、第2光ファイバ12は第2管部材22の内面に接着される。第1管部材21の端部及び第2管部材22の端部には、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続のために必要な未接着部が設けられる。なお、第1管部材21に収容される第1光ファイバ11の本数及び第2管部材22に収容される第2光ファイバ12の本数は、任意の本数でよい。
【0019】
第1管部材21及び第2管部材22のいずれかは、第1管部材21及び第2管部材22の外径よりも内径が僅かに大きい第3管部材23A,23Bにより囲繞されている。第3管部材23A,23Bは、例えば、ポリ塩化ビニル等からなる管である。第3管部材23Aの内面には、第1管部材21及び第2管部材22のネジ節と互いに嵌合できる凹凸(ネジ節)が設けられている。
【0020】
第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12の配線方向が90°変わる鉄筋の交差部に対応した第3管部材23Bは、90°に屈曲している。第3管部材23Bの外径は、第3管部材23Aの内径よりも僅かに小さい。第3管部材23A,23Bの内面には、第1管部材21及び第2管部材22のネジ節と互いに嵌合できる凹凸(ネジ節)が設けられている。また、第3管部材23Bの外面には、第3管部材23Aの内面のネジ節と互いに嵌合できる凹凸(ネジ節)が設けられている。
【0021】
図1(A)の例では、図1(A)の中央の第1管部材21に第3管部材23Aが配置されている。図1(A)の左側の第2管部材22に第3管部材23Aが配置されている。第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12の配線方向が90°変わる鉄筋の交差部に対応した図1(A)の右側の第2管部材22は、第1管部材21に対して90°をなす角度に延在する。図1(A)の右側の第2管部材22の第1管部材21側の端部に第3管部材23Bが配置されている。
【0022】
第1光ファイバ11を収容した第1管部材21及び第2光ファイバ12を収容した第2管部材22は、不図示の鉄筋に結束され、所定の位置に設置される。第1管部材21の端部と図1(A)の左側の第2管部材22の端部とが、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続のために必要な長さだけ離隔させられた状態で、第1管部材21及び図1(A)の左側の第2管部材22が仮固定される。また、第1管部材21の端部と図1(A)の右側の第2管部材22に配置された第3管部材23Bの端部とが、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続のために必要な長さだけ離隔させられた状態で、第1管部材21及び図1(A)の右側の第2管部材22が仮固定される。
【0023】
第1管部材21に収容された第1光ファイバ11と、第2管部材22に収容された第2光ファイバ12とが接続部30で接続される。第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とは、例えば、接続部30で融着により接続される。
【0024】
図2に示されるように、接続工程で接続された接続部30が第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bのいずれかに収容され、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに対して遊動可能なように、第1管部材21と第3管部材23A,23Bとを一体化し、第2管部材22と第3管部材23A,23Bとを一体化する接続部収容工程が行われる。
【0025】
接続部収容工程では、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続のために離隔させられた状態で仮固定された第1管部材21の端部と図1(A)の左側の第2管部材22の端部とが突き合わされる。接続部30は、第1管部材21及び第2管部材22のいずれかの内部に収容される。また、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続のために離隔させられた状態で仮固定された第1管部材21の端部と図1(A)の右側の第2管部材22に配置された第3管部材23Bの端部とが突き合わされる。接続部30は、第1管部材21及び第3管部材23Bのいずれかの内部に収容される。
【0026】
図2の左側の第2管部材22に配置された第3管部材23Aが、互いに嵌合する第2管部材22及び第1管部材21の外面のネジ節と第3管部材23Aの内面のネジ節とにより、図2の左側の第2管部材22と第1管部材21とに跨るように、回転させられつつ移動させられる。図2の中央の第1管部材21に配置された第3管部材23Aが、互いに嵌合する第1管部材21及び第3管部材23Bの外面のネジ節と第3管部材23Aの内面のネジ節とにより、図2の中央の第1管部材21と図2に右側の第2管部材22に配置された第3管部材23Bとに跨るように、回転させられつつ移動させられる。
【0027】
これにより、接続工程で接続された接続部30が第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bのいずれかに収容され、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに対して遊動可能なように、第1管部材21と第3管部材23A,23Bとが一体化され、第2管部材22と第3管部材23A,23Bとが一体化される。図2の例では、接続部収容工程では、第3管部材23Bは屈曲し、第3管部材23Bと一体化された第1管部材21及び第2管部材22は互いに異なる方向に延在する。
【0028】
以上のようにして、本実施形態の光ファイバの接続構造1が形成される。本実施形態の光ファイバの接続構造1では、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11を収容する第1管部材21と、第2光ファイバ12と、第2光ファイバ12を収容する第2管部材22と、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12と間の接続部30と、第3管部材23A,23Bとを備え、第1管部材21と第3管部材23A,23Bとは一体化され、第2管部材22と第3管部材23A,23Bとは一体化され、接続部30は、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bのいずれかに収容され、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに対して遊動可能である。
【0029】
また、本実施形態では、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12とは構造体に生じる歪を計測するため、それぞれ構造体と一体化する第1管部材21と第2管部材22とに対して遊動不可能に固定されている。なお、第1管部材21に収容された第1光ファイバ11は必ずしも第1管部材21に対して遊動不可能に固定されていなくてもよく、第2管部材22に収容された第2光ファイバ12は、必ずしも第2管部材22に対して遊動不可能に固定されていなくてもよい。この場合、第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12には、構造体に生じた力学的な歪が伝わらないので、温度変化のみを計測することが可能になる。
【0030】
また、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bの形状は、丸管以外の任意の形状でよい。また、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bの材質は、ポリ塩化ビニル以外の合成樹脂又は金属等の任意の材質でよい。第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bの材質は、弾性係数が低く、降伏強度が大きく、防触性に優れたものが好ましい。
【0031】
第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12が第1管部材21及び第2管部材22の内部に直接入れられ接着剤(充填材)が充填されることで一体化される。また,第1管部材21及び第2管部材22が長手方向に沿った縦断面で分割されてから、第1管部材21及び第2管部材22の内面に第1光ファイバ及び第2光ファイバが接着剤で一体化され、分割された第1管部材21及び第2管部材22が再度一体化される。第1光ファイバ11及び第2光ファイバ12の両端は、第1管部材21及び第2管部材22の両端から出ている。
【0032】
また、光ファイバ接続工程では、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12との接続部30での接続は、融着ではなく、任意のコネクタによるコネクタ接続でもよい。また、接続部収容工程では、第1管部材21の端部と第2管部材22の端部とは、必ずしも突き合わされなくてもよい。また、接続部収容工程では、第1管部材21の端部と第2管部材22に配置された第3管部材23Bの端部とは、必ずしも突き合わされなくてもよい。また、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bは、必ずしも鉄筋に固定されなくてもよい。本実施形態の光ファイバの接続構造及び光ファイバの接続方法は、鉄筋の有無に関わらず適用可能である。
【0033】
また、第1管部材21及び第2管部材22の外面の凹凸(ネジ節)は任意の形状でよい。また、第3管部材23A,23Bの外面及び内面の凹凸(ネジ節)は任意の形状でよい。また、第1管部材21及び第2管部材22の外面の凹凸(ネジ節)は無くてもよい。また、第3管部材23A,23Bの外面及び内面の凹凸(ネジ節)は無くてもよい。
【0034】
第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに凹凸(ネジ節)が無い場合には、図3に示されるように、第1管部材21と第3管部材23C,23Dとの摩擦力により第1管部材21と第3管部材23C,23Dとを一体化し、第2管部材22と第3管部材23C、23Dとの間の摩擦力により第2管部材22と第3管部材23C,23Dとを一体化する摩擦接合式の継手である第3管部材23C,23Dが適用される。この場合、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23C,23Dの外面及び内面の形状は任意の形状が可能となる。
【0035】
光ファイバによってコンクリート躯体内の歪を計測する場合は、(1)コンクリート躯体内部の鉄筋に光ファイバを結束し光ファイバを配線する手法と、(2)コンクリート躯体内部の鉄筋表面に光ファイバ心線を接着剤で固着させる手法とが考えられる。(1)のコンクリート躯体内部の鉄筋に光ファイバを結束し光ファイバを配線する手法は、コンクリート躯体内のひずみを計測する場合に施工が容易であることから最も採用される手法である。
【0036】
同手法では、樹脂被覆された光ファイバが用いられるが、光ファイバ設置後に周囲の鉄筋が移動した際に鉄筋間に光ファイバが挟まれ光ファイバが破断した事例、コンクリート打設中にバイブレーターが光ファイバに当たり光ファイバが破断した事例及び作業員が鉄筋上を移動中に足または持ち物を引っ掛けて光ファイバが破断した事例が報告されている。破断した光ファイバの修復には多くの労力を割かれることや、施工状況の関係で修復ができなかった例もあり、破断リスクを最小限にする光ファイバ配線方法の開発が必要不可欠である。
【0037】
一方、(2)のコンクリート躯体内部の鉄筋表面に光ファイバ心線を接着剤で固着させる手法では、鉄筋に光ファイバが接着されることで、(1)の手法で懸念されている破断リスクが小さくなる。さらに、コンクリート躯体内にひび割れが生じた場合、鉄筋を介してひずみを計測するため、(1)の手法に比べ、より大きなコンクリート躯体の変形挙動を計測できるといった利点があげられる。
【0038】
しかしながら、あらかじめ光ファイバを貼り付けた複数の鉄筋を組み立てる場合は、鉄筋を組み立てた後に光ファイバを融着やコネクタを用いて接続する必要がある。例えば、光ファイバを貼り付けた鉄筋を継ぐ場合には、鉄筋の継手部において光ファイバも接続する必要があり、同継手部に光ファイバそのものよりも強度が低い融着部を設けることになるが、融着部の保護方法が確立されていないという課題がある。
【0039】
一方、本実施形態では、光ファイバの接続構造1において、第1光ファイバ11と、第1光ファイバ11を収容する第1管部材21と、第2光ファイバ12と、第2光ファイバ12を収容する第2管部材22と、第1光ファイバ11と第2光ファイバ12と間の接続部30と、第3管部材23A,23Bとを備え、第1管部材21と第3管部材23A,23Bとは一体化され、第2管部材22と第3管部材23A,23Bとは一体化され、接続部30は、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bのいずれかに収容され、第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに対して遊動可能であるため、外部から第1管部材21、第2管部材22又は第3管部材23A,23Bに力が加わった場合でも接続部30には歪が発生し難くなり、光ファイバの断線の可能性を低減できる。また、本実施形態では、第1光ファイバ11、第2光ファイバ12及び接続部30を第1管部材21、第2管部材22及び第3管部材23A,23Bに収容する簡易な手法で光ファイバの断線の可能性を低減でき、光ファイバの配線の施工性が向上する。
【0040】
また、本実施形態では、第1光ファイバ11は第1管部材21に対して遊動不可能に固定され、第2光ファイバ12は第2管部材22に対して遊動不可能に固定されているため、第1管部材21及び第2管部材22を構造体と一体化させることにより、構造体に生じた歪を計測することができる。
【0041】
また、本実施形態では、第3管部材23Bは屈曲し、第3管部材23Bと一体化された第1管部材21及び第2管部材22は互いに異なる方向に延在するため、例えば、2本の鉄筋の交差部に光ファイバを設置する場合において、一方の鉄筋に第1管部材21を取り付け、他方の鉄筋に第2管部材22を取り付け、交差部には第3管部材23Bを配置することにより、光ファイバの断線の可能性を低減しつつ、光ファイバの設置の施工性を向上できる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【符号の説明】
【0043】
1…接続構造、11…第1光ファイバ、12…第2光ファイバ、21…第1管部材、22…第2管部材、23A,23B,23C,23D…第3管部材、30…接続部。
図1
図2
図3