IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プロセス入出力装置 図1
  • 特許-プロセス入出力装置 図2
  • 特許-プロセス入出力装置 図3
  • 特許-プロセス入出力装置 図4
  • 特許-プロセス入出力装置 図5
  • 特許-プロセス入出力装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】プロセス入出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 5/02 20060101AFI20241101BHJP
   H04J 1/02 20060101ALI20241101BHJP
   G05B 9/03 20060101ALI20241101BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H04L5/02
H04J1/02
G05B9/03
G05B19/05 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021180856
(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公開番号】P2023069181
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 史久
(72)【発明者】
【氏名】上根 隆義
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-020251(JP,A)
【文献】特開平10-222204(JP,A)
【文献】特開平11-136164(JP,A)
【文献】特開2002-300119(JP,A)
【文献】特開2016-194846(JP,A)
【文献】特開昭61-001128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 5/02
H04J 1/02
G05B 9/03
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ機器と外部機器との間に二重化されて設けられたプロセス入出力装置であって、
前記マスタ機器から制御データを受信するマスタインターフェースと、
前記マスタインターフェースで受信された前記制御データを前記外部機器を制御するプロセス信号に変換するデータ変換部と、
二重化されて設けられた前記プロセス入出力装置の間で前記外部機器の制御を担う系を切り替えるための系切り替え情報を送受信する系切り替え情報部と、
前記プロセス信号を含む通信信号を外部機器との間で送受信するプロセスインターフェースと、
前記系切り替え情報を系間信号に変調するおよび前記系間信号から前記系切り替え情報を復調する系間信号変換部とを備え、
前記プロセスインターフェースは、前記プロセス信号に前記系間信号を重畳して前記通信信号を生成する重畳回路と、前記プロセス信号に前記系間信号が重畳された前記通信信号から前記系間信号を分離するバンドパスフィルタ回路とを備えたことを特徴とするプロセス入出力装置。
【請求項2】
前記プロセス入出力装置は、前記マスタ機器と複数の前記外部機器との間に二重化されて設けられており、前記通信信号は、前記プロセス入出力装置と複数の前記外部機器との間にそれぞれ接続された複数の通信線で送受信されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス入出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プロセス入出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントなどを監視制御する制御システムにおいて、プラントの各種機器はプロセス入出力装置(Process Input-Output Device:これ以降PIOとも記す)で制御される。このような制御システムにおいては、信頼性を高めるためにPIOは二重化されて設けられている。
【0003】
従来の二重化されて設けられたPIOを有する制御システムにおいては、PIOの切り替え動作を実施する際に必要となる系間信号は、PIOとその上位装置であるマスタ機器との間の通信(これ以降、マスタ通信と記す)を介してPIO間で通信されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-207373号公報
【文献】特開2016-194846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マスタ機器は、多数のPIOとマスタ通信を行っている。マスタ通信の処理時間は、PIOの動作処理時間に比べて非常に長い。そのため、マスタ通信を介してPIO間で通信される系間信号の通信時間は長くなり、PIOの切り替えに遅延が生じるという問題がある。
【0006】
本願は、上述の課題を解決するためになされたもので、二重化されて設けられたPIOの系間信号の通信時間を短くすることで二重化されて設けられたPIOの系の切り替えを高速化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願のプロセス入出力装置は、マスタ機器と外部機器との間に二重化されて設けられたものであって、マスタ機器から制御データを受信するマスタインターフェースと、マスタインターフェースで受信された制御データを外部機器を制御するプロセス信号に変換するデータ変換部と、二重化されて設けられたプロセス入出力装置の間で外部機器の制御を担う系を切り替えるための系切り替え情報を送受信する系切り替え情報部と、プロセス信号を含む通信信号を外部機器との間で送受信するプロセスインターフェースと、系切り替え情報を系間信号に変調するおよび系間信号から系切り替え情報を復調する系間信号変換部とを備えている。そして、プロセスインターフェースは、プロセス信号に系間信号を重畳して通信信号を生成する重畳回路と、プロセス信号に系間信号が重畳された通信信号から系間信号を分離するバンドパスフィルタ回路とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本願のプロセス入出力装置は、プロセス信号を含む通信信号を外部機器との間で送受信するプロセスインターフェースと、系切り替え情報を系間信号に変調するおよび系間信号から系切り替え情報を復調する系間信号変換部とを備えている。そして、プロセスインターフェースは、プロセス信号に系間信号を重畳して通信信号を生成する重畳回路と、プロセス信号に系間信号が重畳された通信信号から系間信号を分離するバンドパスフィルタ回路とを備えているので、通信信号を用いて系間信号を通信することができる。その結果、系間信号の通信時間が短くなり、二重化されて設けられたプロセス入出力装置の系の切り替えを高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る制御システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係るプロセスインターフェースの構成図である。
図3】実施の形態1に係るプロセス入出力装置における通信信号の説明図である。
図4】実施の形態1における系間信号のデータフォーマットである。
図5】実施の形態2に係る制御システムの構成図である。
図6】実施の形態1および2に係るプロセス入出力装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願を実施するための実施の形態に係る制御システムおよびプロセス入出力装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一符号は同一もしくは相当部分を示している。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る制御システムの構成図である。本実施の形態の制御システムにおいては、PIOマスタ10と外部機器20との間にプロセス入出力装置1aとプロセス入出力装置1bとが二重化されて設けられている。この制御システムにおいては、外部機器20は、一方のプロセス入出力装置1aを介した通信経路の系と、他方のプロセス入出力装置1bを介した通信経路の系のどちらか一方の系で制御される。PIOマスタ10は二重化されて設けられたプロセス入出力装置1a、1bに対するマスタ機器であり、図示していない他のプロセス入出力装置にも接続されている。
【0012】
本実施の形態のプロセス入出力装置1a、1bは、それぞれマスタインターフェース2、データ変換部3、プロセスインターフェース4、系切り替え情報部5および系間信号変換部6を備えている。
【0013】
外部機器20は、プロセス入出力装置1aを介した通信経路の系で制御されているとする。プロセス入出力装置1aのマスタインターフェース2は、PIOマスタ10のPIOインターフェース11から外部機器20を制御するための制御データを受信する。プロセス入出力装置1aのデータ変換部3は、マスタインターフェース2で受信された制御データを外部機器20を制御するプロセス信号に変換し、このプロセス信号をプロセスインターフェース4に出力する。プロセス入出力装置1aのプロセスインターフェース4は、プロセス信号を含む通信信号を外部機器20に送信する。外部機器20は、通信信号に含まれるプロセス信号によって制御される。そして、外部機器20は、制御結果である設定データ、検知データなどをプロセス信号の形式でプロセス入出力装置1aに送信する。外部機器20から送信されたプロセス信号は、プロセス入出力装置1aのプロセスインターフェース4で受信される。データ変換部3は、プロセスインターフェース4で受信されたプロセス信号をPIOマスタ10に送る応答データに変換する。プロセス入出力装置1aのマスタインターフェース2は、この応答データをPIOマスタ10のPIOインターフェース11に送信する。
【0014】
図2は、本実施の形態に係るプロセスインターフェースの構成図である。プロセスインターフェース4は、後述する系間信号をプロセス信号に重畳して通信信号を生成する重畳回路41と、プロセス信号に系間信号が重畳された通信信号から系間信号を分離するバンドパスフィルタ回路42とを有している。
【0015】
次に、二重化されて設けられたプロセス入出力装置において、系の切り替えについて説明する。現時点において、外部機器20は一方のプロセス入出力装置1aの系で制御されており、制御の系を一方のプロセス入出力装置1aから他方のプロセス入出力装置1bに切り替える場合について説明する。
【0016】
プロセス入出力装置1aの系切り替え情報部5が、系切り替え情報を系間信号変換部6に出力する。系切り替え情報は、外部機器20の制御を担うプロセス入出力装置を二重化されて設けられたプロセス入出力装置1a、1bの間で切り替えるための情報である。
【0017】
プロセス入出力装置1aの系間信号変換部6は、系切り替え情報部5から入力された系切り替え情報をAC変調して系間信号に変換し、この系間信号をプロセスインターフェース4へ出力する。プロセスインターフェース4は、重畳回路41を用いてデータ変換部3から入力されたプロセス信号に系間信号変換部6から入力された系間信号を重畳して通信信号を生成し、この通信信号を外部機器20および二重化されて設けられた他方のプロセス入出力装置1bへ送信する。
【0018】
プロセス入出力装置1bのプロセスインターフェース4は、プロセス入出力装置1aから送信された通信信号を受信する。プロセス入出力装置1bのプロセスインターフェース4は、バンドパスフィルタ回路42を用いてプロセス信号に系間信号が重畳された通信信号から系間信号を分離し、この系間信号を系間信号変換部6へ出力する。プロセス入出力装置1bの系間信号変換部6は、入力された系間信号を復調して系切り替え情報に変換し、この系切り替え情報をプロセス入出力装置1bの系切り替え情報部5へ出力する。系切り替え情報部5は、系が切り替わったことをデータ変換部3に伝える。プロセス入出力装置1bのデータ変換部3は、マスタインターフェース2を介してPIOマスタ10から受信した制御データからプロセス信号への変換を開始する。このようにして、プロセス入出力装置1bは、系切り替え情報に基づいてプロセス入出力装置1aに代わって外部機器20の制御を開始する。
【0019】
図3は、プロセス信号に系間信号が重畳された通信信号の説明図である。図3において、系間信号は、デジタル信号の0と1とで変調されたAC信号であり、短いパルス幅の部分を0、長いパルス幅の部分を1とした例を示している。プロセスインターフェース4は、重畳回路41を用いてプロセス信号に系間信号を重畳して通信信号を生成する。
【0020】
図4は、本実施の形態における系間信号のデータフォーマットである。図4に示すように、系間信号は、系切り替え情報を挟んでデータの先頭にヘッダ情報が付与されており、データの最後にEOF(End Of File)情報が付与されたデジタル信号である。系間信号のデータフォーマットをこのように構成することで正確な情報の送受信が可能となる。系間信号変換部6は、系切り替え情報部5から系切り替え情報が入力されたときは、ヘッダ情報とEOF情報とを付与した系間信号を生成してプロセスインターフェース4へ出力する。また、系間信号変換部6は、プロセスインターフェース4から系間信号が入力されたときは、系間信号からヘッダ情報とEOF情報とを除いた系切り替え情報を生成して系切り替え情報部5へ出力する。
【0021】
このように構成されたプロセス入出力装置においては、系切り替え情報を系間信号に変換し、この系間信号をプロセス信号に重畳させて通信信号を生成し、この通信信号で二重化されて設けられたプロセス入出力装置の間で系間信号の通信を行っているので、系間信号の通信時間が短くなる。その結果、二重化されて設けられたプロセス入出力装置の系の切り替えを高速化することができる。
【0022】
従来のプロセス入出力装置は、系間信号変換部を備えていない。そのため、従来の二重化されて設けられたプロセス入出力装置においては、系間信号はマスタインターフェースを経由したマスタ通信を利用してプロセス入出力装置の間で送受信が行われていた。マスタ通信の処理時間は、プロセス入出力装置の動作時間に比べて非常に長い。そのため、マスタ通信を介して通信される系間信号の通信時間は長くなり、プロセス入出力装置の切り替えに遅れが生じていた。本実施の形態のプロセス入出力装置においては、系間信号の通信をマスタ通信ではなく通信信号を用いて行っているので系間信号の高速な通信が可能となる。その結果、二重化されて設けられたプロセス入出力装置の系間信号の通信時間が短くなり系の切り替えを高速化することができる。
【0023】
なお、本実施の形態の制御システムにおいては、外部機器を制御している系のプロセス入出力装置の系切り替え情報部から系切り替え情報が出力されているが、外部機器を制御していない系のプロセス入出力装置の系切り替え情報部から系切り替え情報が出力されてもよい。
【0024】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2に係る制御システムの構成図である。本実施の形態の制御システムは、PIOマスタ10と複数の外部機器20との間にプロセス入出力装置1aとプロセス入出力装置1bとが二重化されて設けられている。なお、本実施の形態のプロセス入出力装置の構成は、実施の形態1と同じである。そのため、図5において、プロセス入出力装置1a、1bの内部の構成は省略されている。複数の外部機器20にそれぞれ対応する通信線の端子をチャンネル1(CH1)、チャンネル2(CH2)、チャンネル3(CH3)、・・・とする。プロセス入出力装置1a、1bはそれぞれチャンネル1(CH1)、チャンネル2(CH2)、チャンネル3(CH3)、・・・の端子を備えている。これらのチャンネルの端子は、プロセスインターフェースにそれぞれ接続されている。通信信号は、プロセス入出力装置1a、1bと複数の外部機器20との間にそれぞれ接続された複数の通信線で送受信される。
【0025】
本実施の形態に係る制御システムにおいて、二重化されて設けられたプロセス入出力装置1a、1bにおける系の切り替え動作は、実施の形態1と同じである。
【0026】
本実施の形態のプロセス入出力装置においては、系間信号の通信をマスタ通信ではなく通信信号を用いて行っているので、実施の形態1と同様に、系間信号の通信時間が短くなり系の切り替えを高速化することができる。また、本実施の形態のプロセス入出力装置においては、複数のチャンネルの通信線を用いてそれぞれ送受信される複数の通信信号に系間信号を重畳することができるので、系間信号の通信の信頼性が向上する。
【0027】
なお、実施の形態1および2に係るプロセス入出力装置1a、1bは、ハードウェアの一例を図6に示すように、プロセッサ31と記憶装置32とで構成される。記憶装置は、図示していないがランダムアクセスメモリなどの揮発性記憶装置と、フラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ31は、記憶装置32から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ31にプログラムが入力される。また、プロセッサ31は、演算結果などのデータを記憶装置32の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
【0028】
本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つまたは複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0029】
1a、1b プロセス入出力装置、2 マスタインターフェース、3 データ変換部、4 プロセスインターフェース、5 系切り替え情報部、6 系間信号変換部、10 PIOマスタ、11 PIOインターフェース、20 外部機器、31 プロセッサ、32 記憶装置、41 重畳回路、42 バンドパスフィルタ回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6