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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】光電変換装置及び機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/77 20230101AFI20241101BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20241101BHJP
   H04N 25/76 20230101ALN20241101BHJP
   H04N 25/773 20230101ALN20241101BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/78
H04N25/76
H04N25/773
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021185152
(22)【出願日】2021-11-12
(65)【公開番号】P2023072534
(43)【公開日】2023-05-24
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139374(JP,A)
【文献】特開2019-126013(JP,A)
【文献】国際公開第2021/019972(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/270158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/77
H04N 25/78
H04N 25/76
H04N 25/773
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換装置であって、
複数の画素行及び複数の画素列を構成するように配置された複数の画素回路と、
前記複数の画素回路から信号を読み出すための複数の信号線と、
前記複数の信号線に電流を供給するための複数の電流源と、
前記複数の信号線と前記複数の電流源との間の接続状態を切り替えるための切替回路と、
前記切替回路の前記接続状態を制御する制御回路と、を備え、
前記複数の信号線は、前記複数の画素回路の第1画素回路から信号を読み出すための第1信号線と、前記第1画素回路と同じ画素列に含まれる第2画素回路から信号を読み出すための第2信号線を含み、
前記複数の電流源は、第1電流源及び第2電流源を含み、
前記切替回路は、
前記第1信号線と前記第2信号線とが互いに絶縁されており、前記第1電流源が前記第1信号線に導通しており、前記第2電流源が前記第2信号線に導通している第1接続状態と、
少なくとも前記第1電流源が少なくとも前記第2信号線に導通している第2接続状態と、
を実現可能であり、
前記制御回路は、
第1動作モードにおいて、前記第1接続状態を選択し、前記第1画素回路からの信号と前記第2画素回路からの信号とを並行して読み出し、
第2動作モードにおいて、前記第2接続状態を選択し、前記第1画素回路からの信号と前記第2画素回路からの信号とを別々に読み出す
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第2接続状態において、前記第1電流源は、前記第1信号線にさらに導通していることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第2接続状態において、前記第2電流源は、前記第1信号線及び前記第2信号線から絶縁されていることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第2接続状態において、前記第2電流源は、前記第1信号線及び前記第2信号線に導通していることを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記切替回路は、前記第1電流源が前記第1信号線に導通している第3接続状態をさらに実現可能であり、
前記制御回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第2接続状態と前記第3接続状態とを交互に選択することを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記第2接続状態において、前記第1信号線は、前記第1電流源及び前記第2電流源から絶縁されており、
前記第3接続状態において、前記第2信号線は、前記第1電流源及び前記第2電流源から絶縁されていることを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第2接続状態において、前記第2電流源は、前記第2信号線に導通しており、
前記第3接続状態において、前記第2電流源は、前記第1信号線に導通していることを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第2接続状態において、前記第2電流源は、前記第2信号線から絶縁しており、
前記第3接続状態において、前記第2電流源は、前記第1信号線から絶縁していることを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記光電変換装置は、
前記第1信号線の電位を安定させる第1安定回路と、
前記第2信号線の電位を安定させる第2安定回路と、を更に備え、
前記制御回路は、
前記第2接続状態を選択する場合に、前記第1安定回路を動作させ、前記第2安定回路を動作させず、
前記第3接続状態を選択する場合に、前記第2安定回路を動作させ、前記第安定回路を動作させないことを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記光電変換装置は、
前記第1電流源と前記切替回路との間の経路にある第1トランジスタと、
前記第2電流源と前記切替回路との間の経路にある第2トランジスタと、
前記第1電流源に供給される電圧を保持するための第1サンプルホールド回路と、
前記第2電流源に供給される電圧を保持するための第2サンプルホールド回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記切替回路は、前記第1信号線と前記第1電流源との間の経路上にある第1ノードと、前記第2信号線と前記第2電流源との間の経路上にある第2ノードとの間の経路上に第1スイッチ素子を含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記切替回路は、
前記第2ノードと前記第2電流源との間の経路上に第2スイッチ素子を含むことと、
前記第2ノードと前記第2電流源との間の経路上に第2スイッチ素子を含み、前記第1ノードと前記第1信号線との間の経路上に第3スイッチ素子を含むことと、
前記第1ノードと前記第1信号線との間の経路上に第3スイッチ素子を含み、前記第2ノードと前記第2信号線との間の経路上に第4スイッチ素子を含むことと、
のうちの少なくとも1つを満たすことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置に対応した光学装置、
前記光電変換装置を制御する制御装置、
前記光電変換装置から出力された信号を処理する処理装置、
前記光電変換装置で得られた情報を表示する表示装置、
前記光電変換装置で得られた情報を記憶する記憶装置、及び
前記光電変換装置で得られた情報に基づいて動作する機械装置、の少なくともいずれかと、を備えることを特徴とする機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つの画素列に対して2つの信号線が配置された撮像装置を提案する。1つの画素列に含まれる複数の画素回路は、2つの信号線の一方に接続された画素回路と、2つの信号線の他方に接続された画素回路とを交互に有する。このような構成を有することによって、同一の画素列に含まれる2つの画素回路から信号を並行して読み出すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-213159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された撮像装置では、1つの画素列に対して配置された2つの信号線のそれぞれに別個の電流源が接続され、これらの電流源から対応する信号線にバイアス電流が供給される。この構成では、撮像装置の動作モードに応じて信号線と電流源との間の接続状態を切り替えることが考慮されていない。本発明の1つの側面は、複数の信号線と複数の電流源との間の接続関係の自由度を向上するための技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、光電変換装置であって、複数の画素行及び複数の画素列を構成するように配置された複数の画素回路と、前記複数の画素回路から信号を読み出すための複数の信号線と、前記複数の信号線に電流を供給するための複数の電流源と、前記複数の信号線と前記複数の電流源との間の接続状態を切り替えるための切替回路と、前記切替回路の前記接続状態を制御する制御回路と、を備え、前記複数の信号線は、前記複数の画素回路の第1画素回路から信号を読み出すための第1信号線と、前記第1画素回路と同じ画素列に含まれる第2画素回路から信号を読み出すための第2信号線を含み、前記複数の電流源は、第1電流源及び第2電流源を含み、前記切替回路は、前記第1信号線と前記第2信号線とが互いに絶縁されており、前記第1電流源が前記第1信号線に導通しており、前記第2電流源が前記第2信号線に導通している第1接続状態と、少なくとも前記第1電流源が少なくとも前記第2信号線に導通している第2接続状態と、を実現可能であり、前記制御回路は、第1動作モードにおいて、前記第1接続状態を選択し、前記第1画素回路からの信号と前記第2画素回路からの信号とを並行して読み出し、第2動作モードにおいて、前記第2接続状態を選択し、前記第1画素回路からの信号と前記第2画素回路からの信号とを別々に読み出すことを特徴とする光電変換装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、複数の信号線と複数の電流源との間の接続関係の自由度を向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一部の実施形態の光電変換装置の構成例を説明する図。
図2】一部の実施形態の画素回路の構成例を説明する図。
図3】一部の実施形態の切替回路の接続状態例を説明する図。
図4】一部の実施形態の切替回路の回路構成例を説明する図。
図5】一部の実施形態の高速動作モードの動作例を説明する図。
図6】一部の実施形態の通常動作モードの動作例を説明する図。
図7】一部の実施形態の光電変換装置の変形例を説明する図。
図8】一部の実施形態の光電変換装置の変形例を説明する図。
図9】一部の実施形態の光電変換装置の構成例を説明する図。
図10】一部の実施形態の光電変換装置の動作例を説明する図。
図11】様々な実施形態に係る機器を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
本発明の一部の実施形態は、光電変換装置に関する。以下では、光電変換装置が撮像に用いられる実施形態について主に説明する。この場合に、光電変換装置は、画像を生成するための撮像素子(イメージセンサ)として使用されうる。また、光電変換装置の他の例として、測距素子(焦点検出やTOF(Time Of Flightの略語。)を用いた距離測定等に用いられるセンサ)、測光素子(入射光量の測定等に用いられるセンサ)、LiDAR(Light Detection and Rangingの略語。)センサなどがある。以下に説明する実施形態は光電変換装置一般に適用されうる。
【0010】
図1のブロック図を参照して、一部の実施形態に係る光電変換装置100の構成例について説明する。図1に示す例において、光電変換装置100は、画素部110と、AD変換部130と、水平走査回路140と、信号処理回路150と、出力回路160と、垂直走査回路170と、タイミング制御回路180とを有する。また、光電変換装置100は、切替回路120と、電流源121と、制御回路122とを有する。
【0011】
画素部110は、複数の画素行及び複数の画素列を構成するように2次元アレイ状に配置された複数の画素回路111と、画素行の方向にそれぞれ延びた複数の駆動線112と、画素列の方向にそれぞれ延びた複数の信号線113とを含む。画素行とは、図1において左右方向に並んだ複数の画素回路111のことである。画素列とは、図1において上下方向に並んだ複数の画素回路111のことである。
【0012】
複数の画素行の各画素行に対して1つの駆動線112が配置されている。1つの画素行に含まれる複数の画素回路111は同一の1つの駆動線112に接続されている。複数の画素列の各画素列(1つの画素列)に対して2つの信号線113が配置されている。1つの画素列に含まれる複数の画素回路111は、当該1つの画素列に対して配置された2つの信号線113の何れか一方に接続されている。図1の例では、1つの画素列に含まれる複数の画素回路111のうち、画素部110の一端(例えば、上端)から奇数番目の画素行に含まれる画素回路111は、2つの信号線113のうちの一方(例えば、図3の信号線113a)に接続されている。1つの画素列に含まれる複数の画素回路111のうち、画素部110の一端(例えば、上端)から偶数番目の画素行に含まれる画素回路111は、2つの信号線113のうちの他方(例えば、図3の信号線113b)に接続されている。このように、1つの画素列に含まれる複数の画素回路111は、交互に異なる信号線113に接続されている。信号線113は、画素回路111から信号を読み出すために使用される。
【0013】
画素回路111は、入射した光を電気信号に変換する。そのため、画素回路111は、受光回路とも呼ばれうる。複数の画素回路111のそれぞれに、駆動線112を通じて垂直走査回路170から制御信号が供給される。アクティブレベルの制御信号が供給された画素回路111から信号線113を通じて電気信号が読み出される。
【0014】
1つの画素列に対して配置された2つの信号線113は、同一の1つの切替回路120に接続されている。そのため、光電変換装置100は、2つの信号線113ごとに1つの切替回路120を有する。複数の切替回路120のそれぞれには、2つの電流源121も接続されている。電流源121の一端は切替回路120に接続されており、電流源121の他端は接地ラインに接続されている。切替回路120は、自身に接続されている2つの信号線113と、自身に接続されている2つの電流源121との間の接続関係を切り替えることが可能である。切替回路120が実現可能な接続状態については後述する。制御回路122は、切替回路120の接続状態を制御する。例えば、制御回路122は、切替回路120が実現可能な複数の接続状態から1つの接続状態を選択し、当該1つの接続状態となるように切替回路120を制御する。
【0015】
AD変換部130は、信号線113ごとに設けられた複数のAD変換器131と、これらのAD変換器131の動作を制御する制御回路132とを含む。AD変換器131は、信号線113を通じて画素回路111から供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。以下の説明において、AD変換器131は、ΔΣAD変換器であってもよいし、スロープ型AD変換器であってもよいし、逐次比較型AD変換器であってもよい。
【0016】
水平走査回路140は、複数のAD変換器131から順にデジタル信号を読み出し、信号処理回路150に供給する。光電変換装置100は、AD変換部130と水平走査回路140との間に、デジタル信号を記憶するためのメモリ回路を有してもよい。信号処理回路150は、各画素回路111で生成された電気信号に相当するデジタル信号を処理する。信号処理回路150は、例えばデジタル信号に対して補正処理や補完処理などを行ってもよい。
【0017】
信号処理回路150によって処理されたデジタル信号は出力回路160から光電変換装置100の外部にある外部装置190に出力される。外部装置190は、例えば光電変換装置100を組み込んだ機器の制御装置であってもよい。タイミング制御回路180は、光電変換装置100の各回路に制御信号を供給することによって、光電変換装置100の全体的な動作を制御する。
【0018】
図2の回路図を参照して、画素回路111の具体的な回路構成例について説明する。画素回路111は、入射した光を電気信号に変換する任意の構成をとりうる。図2では、その一例について説明するが、画素回路111は他の構成であってもよい。
【0019】
図2に説明する例において、画素回路111は、光電変換素子201と、転送トランジスタ202と、リセットトランジスタ203と、増幅トランジスタ204と、選択トランジスタ205とを含む。図2の例では、画素部110は、各画素行に対して3本の駆動線112を含み、それぞれ制御信号PRES、PTX、PSELを画素回路111に供給する。
【0020】
光電変換素子201は、入射した光を電荷に変換し、この電荷を蓄積する。光電変換素子201は、例えばフォトダイオードやフォトトランジスタであってもよい。光電変換素子201は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサであってもよい。これにかえて、光電変換素子201は、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)センサであってもよい。
【0021】
光電変換素子201は、転送トランジスタ202を通じてフローティングディフュージョン206に接続されている。転送トランジスタ202のゲートには垂直走査回路170から制御信号PTXが供給される。制御信号PTXがアクティブレベルになったことに応じて、転送トランジスタ202が導通状態となる。これに応じて、光電変換素子201に蓄積されていた信号電荷がフローティングディフュージョン206に転送される。
【0022】
フローティングディフュージョン206は、増幅トランジスタ204のゲートにも接続されている。増幅トランジスタ204の一方の主電極は、選択トランジスタ205を介して信号線113に接続されている。増幅トランジスタ204の他方の主電極は、電源電位VDDに接続されている。選択トランジスタ205のゲートには垂直走査回路170から制御信号PSELが供給される。制御信号PSELがアクティブレベルになったことに応じて、選択トランジスタ205が導通状態となる。これに応じて、増幅トランジスタ204の一方の主電極が電流源121に接続される。これによって、増幅トランジスタ204はソースフォロワとして動作し、フローティングディフュージョン206の電位に応じた信号が信号線113に読み出される。
【0023】
リセットトランジスタ203は、フローティングディフュージョン206と電源電位VDDとの間に接続されている。リセットトランジスタ203のゲートには、垂直走査回路170から制御信号PRESが供給される。制御信号PRESがアクティブレベルになったことに応じて、リセットトランジスタ203が導通状態となる。これに応じて、フローティングディフュージョン206の電位が電源電位VDDにリセットされる。
【0024】
図3は、切替回路120が実現可能な2つの信号線113と2つの電流源121との間の様々な接続状態について説明する。以下、図3(a)~図3(g)に示される接続状態を、それぞれ接続状態A~接続状態Gのように表す。切替回路120は、図3のすべての接続状態を実現可能でなくてもよく、個別の実施形態で使用される接続状態のみを実現可能であってもよい。図3では、1つの切替回路120に接続される2つの信号線113を信号線113a及び信号線113bとして表す。また、1つの切替回路120に接続される2つの電流源121を電流源121a及び電流源121bとして表す。信号線113aは、例えば、1つの画素列に含まれる複数の画素回路111のうち、画素部110の一端(例えば、上端)から奇数番目の画素行に含まれる画素回路111に接続されている。信号線113bは、例えば、1つの画素列に含まれる複数の画素回路111のうち、画素部110の一端(例えば、上端)から偶数番目の画素行に含まれる画素回路111に接続されている。
【0025】
図3(a)は、接続状態Aを示す。接続状態Aにおいて、電流源121aは、信号線113aに導通しており、信号線113bから絶縁されている。接続状態Aにおいて、電流源121bは、信号線113aから絶縁されており、信号線113bに導通している。接続状態Aにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに絶縁されている。
【0026】
図3(b)は、接続状態Bを示す。接続状態Bにおいて、電流源121aは、信号線113a及び信号線113bに導通している。接続状態Bにおいて、電流源121bは、信号線113a及び信号線113bから絶縁されている。接続状態Bにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに導通している。
【0027】
図3(c)は、接続状態Cを示す。接続状態Cにおいて、電流源121aは、信号線113a及び信号線113bに導通している。接続状態Cにおいて、電流源121bは、信号線113a及び信号線113bに導通している。接続状態Cにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに導通している。
【0028】
図3(d)は、接続状態Dを示す。接続状態Dにおいて、電流源121aは、信号線113aに導通しており、信号線113bから絶縁されている。接続状態Dにおいて、電流源121bは、信号線113a及び信号線113bから絶縁されている。接続状態Dにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに絶縁されている。
【0029】
図3(e)は、接続状態Eを示す。接続状態Eにおいて、電流源121aは、信号線113aから絶縁されており、信号線113bに導通している。接続状態Eにおいて、電流源121bは、信号線113a及び信号線113bから絶縁されている。接続状態Eにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに絶縁されている。
【0030】
図3(f)は、接続状態Fを示す。接続状態Fにおいて、電流源121aは、信号線113aに導通しており、信号線113bから絶縁されている。接続状態Fにおいて、電流源121bは、信号線113aに導通しており、信号線113bから絶縁されている。接続状態Fにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに絶縁されている。
【0031】
図3(g)は、接続状態Gを示す。接続状態Gにおいて、電流源121aは、信号線113aから絶縁されており、信号線113bに導通している。接続状態Gにおいて、電流源121bは、信号線113aから絶縁されており、信号線113bに導通している。接続状態Gにおいて、信号線113aと信号線113bとは、互いに絶縁されている。
【0032】
図4は、図3で説明した様々な接続状態の少なくとも一部を実現するための切替回路120の具体的な回路構成について説明する。図3の接続状態を実現する回路構成は、図4の例に限られない。
【0033】
図4(a)は、接続状態Aと、接続状態Cとを実現可能な切替回路120の具体例な回路構成を示す。切替回路120は、信号線113aと電流源121aとの間の経路上にあるノード420と、信号線113bと電流源121bとの間の経路上にあるノード421との間の経路上にスイッチ素子401を含む。ノード420とノード421とはスイッチ素子401によって互いに接続されている。切替回路120は、信号線113aと電流源121aとの間の経路上に回路素子を含まず、信号線113bと電流源121bとの間の経路上に回路素子を含まない。
【0034】
スイッチ素子401のオン・オフは、制御回路122から供給される制御信号によって切り替わる。スイッチ素子401がオフの場合に、切替回路120は接続状態Aになる。スイッチ素子401がオンの場合に、切替回路120は接続状態Cになる。
【0035】
電流源121a及び電流源121bのそれぞれは、トランジスタ410によって構成される。電流源121aを構成するトランジスタ410のゲートと、電流源121bを構成するトランジスタ410のゲートとに、同一のバイアス電圧Vbが供給される。トランジスタ410は、ゲートに供給されているバイアス電流に応じた電流を生成する。トランジスタ410が何れかの信号線113に導通している場合に、この電流が信号線113に供給される。
【0036】
図4(b)は、接続状態Aと、接続状態Bと、接続状態Cとを実現可能な切替回路120の具体例な回路構成を示す。切替回路120は、上述のスイッチ素子401に加えて、ノード421と電流源121bとの間の経路上にスイッチ素子402をさらに含む。ノード421と電流源121bとはスイッチ素子402によって互いに接続されている。切替回路120は、信号線113aと電流源121aとの間の経路上に回路素子を含まず、信号線113bとスイッチ素子402との間の経路上に回路素子を含まない。
【0037】
スイッチ素子402のオン・オフは、制御回路122から供給される制御信号によって切り替わる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子402がオンの場合に、切替回路120は接続状態Aになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオフの場合に、切替回路120は接続状態Bになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンの場合に、切替回路120は接続状態Cになる。
【0038】
図4(c)は、接続状態Aと、接続状態Bと、接続状態Cと、接続状態Dと、接続状態Eと、接続状態Gとを実現可能な切替回路120の具体例な回路構成を示す。切替回路120は、上述のスイッチ素子401及びスイッチ素子402に加えて、ノード420と信号線113aとの間の経路上にスイッチ素子403をさらに含む。ノード420と信号線113aとはスイッチ素子403によって互いに接続されている。切替回路120は、スイッチ素子403と電流源121aとの間の経路上に回路素子を含まず、信号線113bとスイッチ素子402との間の経路上に回路素子を含まない。
【0039】
スイッチ素子403のオン・オフは、制御回路122から供給される制御信号によって切り替わる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオンである場合に、切替回路120は接続状態Aになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオンである場合に、切替回路120は接続状態Bになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオンである場合に、切替回路120は接続状態Cになる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオンである場合に、切替回路120は接続状態Dになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオフである場合に、切替回路120は接続状態Eになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオフである場合に、切替回路120は接続状態Gになる。
【0040】
図4(d)は、接続状態Aと、接続状態Cと、接続状態Dと、接続状態Fと、接続状態Gとを実現可能な切替回路120の具体例な回路構成を示す。切替回路120は、上述のスイッチ素子401及びスイッチ素子403に加えて、ノード421と信号線113bとの間の経路上にスイッチ素子404をさらに含む。ノード421と信号線113bとはスイッチ素子404によって互いに接続されている。切替回路120は、スイッチ素子403と電流源121aとの間の経路上に回路素子を含まず、スイッチ素子404と電流源121bの間の経路上に回路素子を含まない。
【0041】
スイッチ素子404のオン・オフは、制御回路122から供給される制御信号によって切り替わる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオンである場合に、切替回路120は接続状態Aになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオンである場合に、切替回路120は接続状態Cになる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオフである場合に、切替回路120は接続状態Dになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオフである場合に、切替回路120は接続状態Fになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子403がオフであり、スイッチ素子404がオンである場合に、切替回路120は接続状態Gになる。
【0042】
図4(e)は、接続状態A~接続状態Gのすべてを実現可能な切替回路120の具体例な回路構成を示す。切替回路120は、上述のスイッチ素子401~スイッチ素子404に加えて、ノード420と電流源121aとの間の経路上にスイッチ素子405をさらに含む。ノード420と電流源121aとはスイッチ素子405によって互いに接続されている。
【0043】
スイッチ素子405のオン・オフは、制御回路122から供給される制御信号によって切り替わる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオンであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Aになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオンであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Bになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオンであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Cになる。スイッチ素子401がオフであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオフであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Dになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオフであり、スイッチ素子403がオフであり、スイッチ素子404がオンであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Eになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオンであり、スイッチ素子404がオフであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Fになる。スイッチ素子401がオンであり、スイッチ素子402がオンであり、スイッチ素子403がオフであり、スイッチ素子404がオンであり、スイッチ素子405がオンである場合に、切替回路120は接続状態Gになる。
【0044】
図5及び図6を参照して、光電変換装置100の動作例について説明する。光電変換装置100は、複数の画素行を2行ずつ走査する高速動作モードと、複数の画素行を1行ずつ走査する通常動作モードとから選択された動作モードで動作可能である。
【0045】
図5を参照して、高速動作モードにおける光電変換装置100の動作例について説明する。図5の動作は、切替回路120が接続状態Aを実現可能である光電変換装置100によって実行される。高速動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Aを選択し、切替回路120が接続状態Aとなるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。タイミング制御回路180は、2行の画素行ずつ、駆動線112にアクティブレベルの制御信号を供給する。これによって、画素部110から高速に信号を読み出すことができる。図5では、k行目~k+2行目の画素行の駆動線112にアクティブレベルの制御信号が供給されるタイミングに着目して説明する。他の画素行も同様に制御される。以下の説明では、k行目及びk+2行目の画素回路111が信号線113aに接続されており、k+1行目の画素回路111が信号線113bに接続されているとする。
【0046】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aに導通し、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bに導通する。
【0047】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Aにおいて、k行目の画素回路111に信号線113aを通じて電流源121aからバイアス電流が供給され、k+1行目の画素回路111に信号線113bを通じて電流源121bからバイアス電流が供給される。信号線113aと信号線113bとが互いに絶縁されているので、k行目の画素回路111と、k+1行目の画素回路111とから、並行して独立に信号が読み出される。
【0048】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aから絶縁され、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bから絶縁される。
【0049】
時刻t3から時刻t4においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+2行目の画素回路111と、k+3行目の画素回路111とから、並行して独立に信号が読み出される。
【0050】
図6を参照して、通常動作モードにおける光電変換装置100の動作例について説明する。図6(a)~図6(d)は、通常動作モードで動作する光電変換装置100の別個の実施形態を示す。何れの実施形態でも、タイミング制御回路180は、1行の画素行ずつ、駆動線112にアクティブレベルの制御信号を供給する。これによって、画素部110から低電力で信号を読み出すことができる。通常動作モードでは、複数の画素行のそれぞれから別々に信号が読み出される。図6では、k行目~k+2行目の画素行の駆動線112にアクティブレベルの制御信号が供給されるタイミングに着目して説明する。他の画素行も同様に制御される。以下の説明では、k行目及びk+2行目の画素回路111が信号線113aに接続されており、k+1行目の画素回路111が信号線113bに接続されているとする。
【0051】
図6(a)に示される実施形態における動作は、切替回路120が接続状態Bを実現可能である光電変換装置100によって実行される。通常動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Bを選択し、切替回路120が接続状態Bとなるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。
【0052】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aに導通する。
【0053】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Bにおいて、k行目の画素回路111に信号線113aを通じて電流源121aからバイアス電流が供給される。このバイアス電流を利用して、k行目の画素回路111から信号線113aを通じて信号が読み出される。
【0054】
接続状態Bでは、信号線113aと信号線113bとが互いに導通しているため、信号線113bに接続されている画素回路111にも電流源121aからバイアス電流が供給される。しかし、信号線113bは、いずれの画素回路111の増幅トランジスタ204からも絶縁されているので、信号線113bを通じて信号が読み出されることはない。
【0055】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aから絶縁される。
【0056】
時刻t3で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bに導通する。
【0057】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Bにおいて、k+1行目の画素回路111に信号線113bを通じて電流源121aからバイアス電流が供給される。このバイアス電流を利用して、k+1行目の画素回路111から信号線113bを通じて信号が読み出される。
【0058】
接続状態Bでは、信号線113aと信号線113bとが互いに導通しているため、信号線113aに接続されている画素回路111にも電流源121aからバイアス電流が供給される。しかし、信号線113aは、いずれの画素回路111の増幅トランジスタ204からも絶縁されているので、信号線113aを通じて信号が読み出されることはない。
【0059】
時刻t4で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bから絶縁される。
【0060】
時刻t5から時刻t6においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+2行目の画素回路111から信号が読み出される。
【0061】
図6(b)に示される実施形態における動作は、切替回路120が接続状態Cを実現可能である光電変換装置100によって実行される。通常動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Cを選択し、切替回路120が接続状態Cとなるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。図6(b)の実施形態は、図6(a)の実施形態と比較して、電流源121aと電流源121bとの両方から信号線113a及び信号線113bにバイアス電流が供給される点で異なり、他の点は同様であってもよい。そのため、重複する説明を省略する。
【0062】
図6(c)に示される実施形態における動作は、切替回路120が接続状態D及び接続状態Eを実現可能である光電変換装置100によって実行される。通常動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Dと接続状態Eとを交互に選択し、切替回路120が選択した接続状態となるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。
【0063】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aに導通する。時刻t1の段階で、切替回路120は接続状態Dである。
【0064】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Dにおいて、k行目の画素回路111に信号線113aを通じて電流源121aからバイアス電流が供給される。このバイアス電流を利用して、k行目の画素回路111から信号線113aを通じて信号が読み出される。接続状態Bでは、信号線113bが電流源121a及び電流源121bから絶縁されているため、信号線113bに接続されている画素回路111にバイアス電流は供給されない。
【0065】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113aから絶縁される。
【0066】
時刻t3で、タイミング制御回路180は、制御回路122を制御することによって、切替回路120を接続状態Dから接続状態Eに切り替える。
【0067】
時刻t4で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bに導通する。
【0068】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Eにおいて、k+1行目の画素回路111に信号線113bを通じて電流源121aからバイアス電流が供給される。このバイアス電流を利用して、k+1行目の画素回路111から信号線113bを通じて信号が読み出される。接続状態Eでは、信号線113aが電流源121a及び電流源121bから絶縁されているため、信号線113aに接続されている画素回路111にバイアス電流は供給されない。
【0069】
時刻t5で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113bから絶縁される。
【0070】
時刻t6で、タイミング制御回路180は、制御回路122を制御することによって、切替回路120を接続状態Eから接続状態Dに切り替える。時刻t7から時刻t8においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+2行目の画素回路111から信号が読み出される。
【0071】
図6(d)に示される実施形態における動作は、切替回路120が接続状態F及び接続状態Gを実現可能である光電変換装置100によって実行される。通常動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Fと接続状態Gとを交互に選択し、切替回路120が選択した接続状態となるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。図6(d)の実施形態は、図6(c)の実施形態と比較して、接続状態Dの代わりに接続状態Fを選択し、接続状態Eの代わりに接続状態Gを選択する点で異なり、他の点は同様であってもよい。そのため、重複する説明を省略する。図6(d)の実施形態では、電流源121aと電流源121bとの両方から信号線113a又は信号線113bにバイアス電流が供給される。
【0072】
以下、上述の図6(a)~図6(d)の実施形態の効果について説明する。比較例として、信号線113aを通じた電流源121aからのバイアス電流の供給と、信号線113bを通じた電流源121bからのバイアス電流の供給とを交互に行う場合について説明する。信号線113aを通じて画素回路111から信号が読み出される場合に、信号線113bを通じて画素回路111から信号は読み出されない。そのため、電流源121bから供給されるバイアス電流によって、信号線113bの電位は接地電位の近くまで低下する。一方、信号線113aの電位は、接地電位の近くから信号電圧へと上昇する。このような変化に起因して、トランジスタ410のドレイン電圧が変動し、ゲート・ドレイン間容量を介して、バイアス電圧Vbも変動する。バイアス電圧Vbが安定するまで待機すると、画素回路111からの信号の読み出し速度が低下する。
【0073】
一方、上述の何れの実施形態においても、複数の画素行のそれぞれの画素回路111(すなわち、奇数行目の画素回路111及び偶数行目の画素回路111)へのバイアス電流が、同一の電流源から供給される。具体的に、図6(a)及び図6(c)の実施形態では、電流源121aのみからバイアス電流が供給される。図6(b)及び図6(d)では、電流源121a及び電流源121bからバイアス電流が供給される。また、図6(c)及び図6(d)の実施形態では、信号の読み出しに使用されない信号線113は、画素回路111及び電流源121から絶縁されるので、フローティング状態となる。そのため、この信号線は、切断前の電位を保持し、接地電位の近くに低下することはない。そのため、上述の実施形態では、比較例のようなバイアス電圧Vbの変動が抑制されるため、画素回路111からの信号の読み出し速度の低下を抑制できる。
【0074】
図6(c)及び図6(d)の実施形態では、信号線113aと信号線113bとが互いに絶縁された状態が維持される。これによって、信号線113aを通じて画素回路111から信号を読み出す際に、信号線113bが接続されることに起因する容量負荷を低減でき、それゆえ光電変換装置100は高速に動作できる。
【0075】
図6(b)及び図6(d)の実施形態では、信号線113に対して電流源121aと電流源121bとの両方からバイアス電流が供給される。そのため、バイアス電圧Vbを低下させたとしても、1つの電流源121からバイアス電流を供給する高速動作モードと同等の電流を信号線113に供給できる。信号線113の電位が低下しても、電流源121のトランジスタ410が飽和領域で動作可能となり、信号線113のダイナミックレンジを向上できる。
【0076】
図7を参照して、上述の図6(c)及び図6(d)の実施形態の変形例について説明する。以下では、図6(c)の実施形態との差として変形例を説明するが、図6(d)の実施形態も同様に変形することが可能である。図7(a)に示されるように、この変形例で、光電変換装置100は、信号線113aに接続されたP型トランジスタ701と、信号線113bに接続されたP型トランジスタ702とをさらに有する。
【0077】
P型トランジスタ701の一方の主電極は信号線113aに接続されており、P型トランジスタ701の他方の主電極は電源電圧ラインに接続されている。P型トランジスタ701のゲートに供給される制御信号PCL1がハイレベルの場合にP型トランジスタ701は非導通状態となる。一方、制御信号PCL1がローレベルの場合にP型トランジスタ701は導通状態となり、信号線113aが電源電圧ラインに導通する。このように、P型トランジスタ701は、信号線113aの電位を安定させる安定回路として機能する。具体的に、P型トランジスタ701は、ローレベルの制御信号が供給された場合に、信号線113aの電位を安定するように動作し、ハイレベルの制御信号が供給された場合に、このような動作を行わない。P型トランジスタ702もP型トランジスタ701と同様の構成を有しており、信号線113bの電位を安定させる安定回路として機能する。
【0078】
図7(b)を参照して、図7(a)の変形例の動作について説明する。P型トランジスタ701及びP型トランジスタ702以外の動作については、図6(c)で説明した動作と同様であってもよいため、説明を省略する。
【0079】
タイミング制御回路180は、切替回路120の接続状態として接続状態Dを選択する場合に、P型トランジスタ701を動作させず、P型トランジスタ702を動作させる。これによって、信号線113bは、フローティングとならずに、電源電圧に固定される。タイミング制御回路180は、切替回路120の接続状態として接続状態Eを選択する場合に、P型トランジスタ701を動作させ、P型トランジスタ702を動作させない。これによって、信号線113aは、フローティングとならずに、電源電圧に固定される。電流源121から絶縁されている信号線113の電位を安定させる(具体的に、電源電圧に固定する)ことによって、信号を読み出している信号線113に発生するノイズを低減できる。
【0080】
図8を参照して、上述の図6(a)~図6(d)の実施形態の変形例について説明する。以下では、切替回路120が図4(a)の回路構成を有する場合について説明するが、切替回路120は他の回路構成を有していてもよい。
【0081】
光電変換装置100は、電流源121aと切替回路120との間の経路上あるトランジスタ801と、電流源121aと切替回路120との間の経路上あるトランジスタ801とをさらに有する。トランジスタ801のゲート及びトランジスタ802のゲートには、バイアス電圧Vcが供給される。トランジスタ801及びトランジスタ802は、カスコードトランジスタとして機能する。本実施形態においても、通常動作モードにおいて、複数の画素行のそれぞれへのバイアス電流の供給に使用されるトランジスタ801及びトランジスタ802を固定できる。そのため、図6について上述したのと同様に、バイアス電圧Vcの変動を抑制できる。
【0082】
光電変換装置100は、容量803及びスイッチ素子805によって構成されたサンプルホールド回路と、容量804及びスイッチ素子806によって構成されたサンプルホールド回路とをさらに有する。容量803及びスイッチ素子805によって構成されたサンプルホールド回路は、電流源121a(具体的に、そのトランジスタ410のゲート)に接続されており、電流源121aに供給されるバイアス電圧Vbを保持する。容量804及びスイッチ素子806によって構成されたサンプルホールド回路は、電流源121b(具体的に、そのトランジスタ410のゲート)に接続されており、電流源121bに供給されるバイアス電圧Vbを保持する。
【0083】
上述の光電変換装置100では、1つの画素列に対して2つの信号線113が配置された。これに代えて、1つの画素列に対して3つ以上の信号線113が配置されてもよい。この場合には、切替回路120に、1つの画素列に対して配置された3つ以上の信号線113が接続される。これにともない、切替回路120に、信号線113と同数の電流源121が接続される。1つの画素列に対して配置された信号線113の本数と同じ画素行の画素回路111から信号を並行して読み出すことが可能となる。
【0084】
図9及び図10を参照して、他の実施形態に係る光電変換装置900について説明する。光電変換装置900では、複数の画素列の各画素列(1つの画素列)に対して1つの信号線113が配置されている。1つの画素列に含まれる複数の画素回路111は、当該1つの画素列に対して配置された1つの信号線113に接続されている。光電変換装置100と同様に、光電変換装置900においても、1つの切替回路120に2つの信号線113が接続されている。光電変換装置100とは異なり、光電変換装置900において、1つの切替回路120に接続されている2つの信号線113は、別個の画素列に対して配置されている。
【0085】
図10を参照して、光電変換装置900の動作例について説明する。光電変換装置900は、複数の画素回路111のそれぞれから信号を読み出す高解像度動作モードと、高解像度動作モードよりも低い解像度で信号を読み出す低解像度動作モードとから選択された動作モードで動作可能である。
【0086】
図10(a)を参照して、高解像度動作モードにおける光電変換装置900の動作例について説明する。図10(a)の動作は、切替回路120が接続状態Aを実現可能である光電変換装置900によって実行される。高解像度動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Aを選択し、切替回路120が接続状態Aとなるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。タイミング制御回路180は、1行の画素行ずつ、駆動線112にアクティブレベルの制御信号を供給する。これによって、画素部110から高解像度で信号を読み出すことができる。図10(a)では、k行目~k+2行目の画素行の駆動線112にアクティブレベルの制御信号が供給されるタイミングに着目して説明する。他の画素行も同様に制御される。
【0087】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113に導通する。
【0088】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Aにおいて、k行目の画素行に含まれる複数の画素回路111は、各画素列に対して配置された別個の信号線113を通じて電流源121からバイアス電流が供給される。複数の信号線113は互いに絶縁されているので、k行目の画素行に含まれる複数の画素回路111から独立に信号が読み出される。
【0089】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113から絶縁される。
【0090】
時刻t3から時刻t4においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+1行目の画素回路111から信号が読み出される。時刻t5から時刻t6においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+2行目の画素回路111から信号が読み出される。
【0091】
図10(b)を参照して、低解像度動作モードにおける光電変換装置900の動作例について説明する。図10(b)の動作は、切替回路120が接続状態Bを実現可能である光電変換装置900によって実行される。低解像度動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Bを選択し、切替回路120が接続状態Bとなるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。制御回路122は、接続状態Bの代わりに、接続状態Cを選択してもよい。
【0092】
この動作例では、2行2列の4つの画素回路111から1つの信号が読み出される。タイミング制御回路180は、2行の画素行ずつ、駆動線112にアクティブレベルの制御信号を供給する。図10(b)では、k行目~k+2行目の画素行の駆動線112にアクティブレベルの制御信号が供給されるタイミングに着目して説明する。他の画素行も同様に制御される。
【0093】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。
【0094】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。これによって、同一の画素列に含まれるk行目及びk+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が同一の信号線113に導通する。接続状態Bにおいて、隣接する2つの画素列に対して配置された2つの信号線113に電流源121aからバイアス電流が供給される。
【0095】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。接続状態Bにおいて、隣接する2つの画素列に対して配置された2つの信号線113は、互いに導通している。そのため、これらの2つの信号線113から、k行目及びk+1行目にあり、隣接する2つの画素列に含まれる4つの画素回路111の信号が合わさって読み出される。
【0096】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行及びk+1行目の画素行のそれぞれの駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目及びk+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113から絶縁される。
【0097】
時刻t3から時刻t4においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+1行目及びk+2行目の画素回路111から信号が読み出される。
【0098】
図10(c)を参照して、低解像度動作モードにおける光電変換装置900の別の動作例について説明する。図10(c)の動作は、切替回路120が接続状態Dと接続状態Eとを実現可能である光電変換装置900によって実行される。低解像度動作モードで動作中に、制御回路122は、接続状態Dと接続状態Eを交互に選択し、切替回路120が選択した接続状態となるように切替回路120内のスイッチ素子へ制御信号を供給する。制御回路122は、接続状態D及び接続状態Eの代わりに、接続状態F及び接続状態Gを選択してもよい。図10(c)の動作では、光電変換装置900は、複数の画像を生成する。光電変換装置900は、切替回路120を接続状態Dにし、複数の画素行のうちの半分(例えば、奇数行の画素行)及び複数の画素列のうちの半分(例えば、奇数列の画素列)を用いて1つの画像を生成する。その後、光電変換装置900は、切替回路120を接続状態Eにして、複数の画素行のうちの他の半分(例えば、偶数行の画素行)及び複数の画素列の他の半分(例えば、偶数列の画素列)を用いて別の1つの画像を生成する。
【0099】
時刻t1で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。この時点で、接続状態Dが選択されている。そのため、k行目に含まれる複数の画素回路111の半分(例えば、奇数列にある画素回路111)の増幅トランジスタ204が信号線113に導通する。
【0100】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。これによって、k行目に含まれる複数の画素回路111の半分(例えば、奇数列にある画素回路111)から独立に信号が読み出される。
【0101】
時刻t2で、タイミング制御回路180は、k行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113から絶縁される。
【0102】
時刻t3から時刻t4においても、時刻t1から時刻t2と同様にして、k+2行目に含まれる複数の画素回路111の半分(例えば、奇数列にある画素回路111)から信号が読み出される。これを最後の画素行まで繰り返すことによって、1つの画像が生成される。その後、制御回路122は、接続状態Dから接続状態Eに切り替える。
【0103】
時刻t5で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをローレベルからハイレベルに切り替える。この時点で、接続状態Eが選択されている。そのため、k+1行目に含まれる複数の画素回路111の他の半分(例えば、偶数列にある画素回路111)の増幅トランジスタ204が信号線113に導通する。
【0104】
タイミング制御回路180は、制御信号PSELをハイレベルにしている間に、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PTXを一時的にハイレベルに切り替える。これによって、k+1行目に含まれる複数の画素回路111の他の半分(例えば、偶数列にある画素回路111)から独立に信号が読み出される。
【0105】
時刻t6で、タイミング制御回路180は、k+1行目の画素行の駆動線112に供給する制御信号PSELをハイレベルからローレベルに切り替える。これによって、k+1行目の画素回路111の増幅トランジスタ204が信号線113から絶縁される。これを最後の画素行まで繰り返すことによって、別の1つの画像が生成される。その後、さらに画像を生成する場合に、制御回路122は、接続状態Eから接続状態Dに切り替える。
【0106】
光電変換装置900でも、光電変換装置100の上述の効果が同様に得られる。また、光電変換装置100に対する変形が光電変換装置900に対して行われてもよい。
【0107】
上述の光電変換装置900では、1つの切替回路120に2つの信号線113が配置された。これに代えて、1つの画素列に対して3つ以上の信号線113が配置されてもよい。この場合には、切替回路120に、1つの画素列に対して配置された3つ以上の信号線113が接続される。これにともない、切替回路120に、信号線113と同数の電流源121が接続される。
【0108】
<その他の実施形態>
図11(a)を参照しながら、半導体装置1103を備える機器1100に係る実施形態について詳細に説明する。半導体装置1103は、上述の何れの実施形態の光電変換装置に対応してもよい。半導体装置1103は、半導体デバイス1101と、半導体デバイス1101を収容するパッケージ1102とを含んでもよい。パッケージ1102は、半導体デバイス1101が固定された基体と、半導体デバイス1101に対向するガラスなどの蓋体と、を含んでもよい。パッケージ1102は、基体に設けられた端子と半導体デバイス1101に設けられた端子(ボンディングパッド)とを接続するボンディングワイヤやバンプなどの接合部材をさらに含んでもよい。
【0109】
機器1100は、光学装置1104、制御装置1105、処理装置1106、表示装置1107、記憶装置1108、および機械装置1109の少なくともいずれかを備えてもよい。光学装置1104は、例えばレンズやシャッター、ミラーである。制御装置1105は、半導体装置1103を制御する。制御装置1105は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの半導体装置である。
【0110】
処理装置1106は、半導体装置1103から出力された信号を処理する。処理装置1106は、AFE(アナログフロントエンド)あるいはDFE(デジタルフロントエンド)を構成するための、CPU(Central Processing Unit)やASICなどの半導体装置である。表示装置1107は、半導体装置1103で得られた情報(画像)を表示する、EL(Electro-Luminescence)表示装置や液晶表示装置である。記憶装置1108は、半導体装置1103で得られた情報(画像)を記憶する、磁気デバイスや半導体デバイスである。記憶装置1108は、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリ、又はフラッシュメモリやハードディスクドライブなどの不揮発性メモリである。
【0111】
機械装置1109は、モーターやエンジンなどの可動部又は推進部を有する。機器1100では、半導体装置1103から出力された信号を表示装置1107に表示したり、機器1100が備える通信装置(不図示)によって外部に送信したりする。そのために、機器1100は、半導体装置1103が有する記憶回路や演算回路とは別に、記憶装置1108や処理装置1106をさらに備えてもよい。機械装置1109は、半導体装置1103から出力され信号に基づいて制御されてもよい。
【0112】
また、機器1100は、撮影機能を有する情報端末(例えばスマートフォンやウェアラブル端末)やカメラ(例えばレンズ交換式カメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ)などの電子機器に適する。カメラにおける機械装置1109は、ズーミングや合焦、シャッター動作のために光学装置1104の部品を駆動してもよい。これにかえて、カメラにおける機械装置1109は防振動作のために半導体装置1103を移動してもよい。
【0113】
また、機器1100は、車両や船舶、飛行体などの輸送機器であり得る。輸送機器における機械装置1109は移動装置として用いられてもよい。輸送機器としての機器1100は、半導体装置1103を輸送するものや、撮影機能により運転(操縦)の補助および/または自動化を行うものであってもよい。運転(操縦)の補助および/または自動化のための処理装置1106は、半導体装置1103で得られた情報に基づいて移動装置としての機械装置1109を操作するための処理を行ってもよい。これにかえて、機器1100は、内視鏡などの医療機器や、分析測距センサなどの計測機器、電子顕微鏡のような分析機器、複写機などの事務機器であってもよい。
【0114】
図11(b)及び図11(c)を用いて、撮像システム及び移動体に係る実施形態について説明する。図11(b)は、車載カメラに関する撮像システム1110の一例を示したものである。撮像システム1110は、光電変換装置1111を有する。光電変換装置1111は、上述の実施形態の何れの光電変換装置であってもよい。撮像システム1110は、光電変換装置1111により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う処理装置である画像処理部1112を有する。また、撮像システム1110は、光電変換装置1111により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う処理装置である視差取得部1113を有する。さらに、撮像システム1110は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する処理装置である距離取得部1114と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する処理装置である衝突判定部1115と、を有する。ここで、視差取得部1113や距離取得部1114は、対象物までの距離情報等の情報を取得する情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部1115はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。上述した各種の処理装置は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールに基づいて演算を行う汎用のハードウェアによって実現されてもよい。また、処理装置は、FPGA、ASIC等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0115】
撮像システム1110は、車両情報取得装置1116と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム1110は、衝突判定部1115での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU1117に接続されている。すなわち、制御ECU1117は、距離情報に基づいて移動体を制御する移動体制御手段の一例である。また、撮像システム1110は、衝突判定部1115での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置1118にも接続されている。例えば、衝突判定部1115の判定結果として衝突可能性が高い場合に、制御ECU1117はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1118は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0116】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム1110で撮像する。図11(c)に、車両前方(撮像範囲1119)を撮像する場合の撮像システム1110を示した。車両情報取得装置1116は、撮像システム1110を動作させ撮像を実行させるように指示を送る。
【0117】
以上の説明では、他の車両と衝突しないように制御する例を述べたが、他の車両に追従して自動運転する制御、車線からはみ出さないように自動運転する制御等にも適用可能である。更に、撮像システムは、自動車等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(輸送機器)に適用することができる。移動体(輸送機器)における移動装置はエンジン、モーター、車輪、プロペラなどの各種の移動手段である。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0118】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0119】
100 光電変換装置、111 画素回路、113 信号線、120 切替回路、121 電流源、900 光電変換装置
図1
図2
図3
図4
図5
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