(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】押出可能な感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 153/02 20060101AFI20241101BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241101BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20241101BHJP
B29C 65/52 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
C09J153/02
C09J7/38
C09J11/08
B29C65/52
(21)【出願番号】P 2021549590
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(86)【国際出願番号】 IB2020051604
(87)【国際公開番号】W WO2020174396
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ナピエララ,マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】チャステーク,トーマス キュー.
(72)【発明者】
【氏名】ワイド,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ベウリング,ロス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト,シャウン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ジャコブ ディー.
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-502385(JP,A)
【文献】特開平08-302151(JP,A)
【文献】国際公開第2018/151190(WO,A1)
【文献】特開2018-199799(JP,A)
【文献】特開2002-338933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 9/00 - 201/10
B32B 1/00 - 43/00
B29C 63/00 - 63/48
B29C 65/00 - 65/82
B05D 1/00 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤を基材に接着する方法であって、
スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、前記スチレンブロックコポリマー組成物は、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有し、前記スチレンブロックコポリマー組成物は、スチレンブロックコポリマーのコアと、周囲温度で非粘着性のシースと、を含むコアシースフィラメントで提供される、提供することと、
前記接着剤溶融組成物を混錬することと、
前記接着剤溶融組成物を、前記ハードセグメントブロックの前記ガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、前記基材上に供給することと、
前記接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含み、
前記コアシースフィラメントは、分配ヘッドによって混錬及び供給され、
前記分配ヘッドは、
1つ以上の加熱要素を含むバレルと、
前記コアシースフィラメントを受容するために前記バレルの側面を通って延びる入口と、
前記接着剤溶融組成物を分配するための、前記バレルの遠位端にある出口と、
前記バレル内に受容された回転可能なスクリューであって、前記コアシースフィラメントを混錬して均質かつ流動性の溶融物を得るための少なくとも1つの混合要素を含むスクリューと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が、非フィルム基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材が、低表面エネルギー基材、多孔質基材、及び突出面又は凹面を有する基材から選択される非フィルム基材である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スチレンブロックコポリマー組成物が、1つ以上の粘着付与剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記入口が、前記バレル内に前記コアシースフィラメントが引き込まれる際に前記コアシースフィラメントの破断を防止するための傾斜ニップポイントを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基材が1つ以上の空洞を含み、前記接着剤溶融組成物が、供給されると前記1つ以上の空洞を少なくとも部分的に充填する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材が、20mJ/m
2~37mJ/m
2の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
感圧接着剤を基材に接着する方法であって、
スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、前記スチレンブロックコポリマー組成物
は、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有
し、前記スチレンブロックコポリマー組成物は、スチレンブロックコポリマーのコアと、周囲温度で非粘着性のシースと、を含むコアシースフィラメントで提供される、提供することと、
前記接着剤溶融組成物を混錬することと、
前記接着剤溶融組成物を、前記ハードセグメントブロックの前記ガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、前記基材上に供給することであって、前記基材が剥離面を含む、供給することと、
前記接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連するシステム及びアセンブリと共に、基材に接着する方法が提供される。提供される方法は、低表面エネルギー基材、多孔質基材、及び突出面又は凹面を有するものを接着するのに特に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
感圧接着剤は、圧力を加えると基材に付着する材料である。これらは、接着剤結合を提供するために溶媒、水、又は熱を必要としない。これらの接着剤は、非常に高い接着強度を提供することができ、多くの工業用途において従来のメカニカルファスナーに置き換わることができる。製造業者はまた、経済的であり、使用が容易であるため、これらの接着解決策を理解する。
【0003】
自動車産業は、例えば、製造された各車両(Vehicle)において、バッジ、エンボス、ボディサイドモールド、及びトリム構成部品を使用する。感圧接着剤を使用してこれらの部品を貼り付けることは、メカニカルファスナーの使用に勝る様々な利点を有する。機械的締結のための穴のドリル加工は、特に水の露出がある領域において腐食問題につながる場合がある。この問題は、これらの造作用途のために感圧接着剤を使用するときに著しく低減される。更に、これらの接着剤は、接着線に清浄な部分を保持し、防水シールを提供し、改善された接着信頼性を提供することができる。
【発明の概要】
【0004】
車両構成部品は、製造業者が車両の燃料効率及び審美的外観を改善し続けるにつれて進化している。成長傾向は、車両の軽量化に向けられている。これは、低密度材料及びより薄い部品を使用することによって達成されることが多い。多くの現代のトリム構成部品は、もはや固体片ではなく、薄い壁素材にくり抜かれている。リブなどの補強特徴部を部品の裏側に配置して、射出成形後に部品が冷却される際の部品の反り及び曲率を制限することができる。これらの部品の接着表面は、多くの場合、深く凹んでおり、従来の接着テープを使用して接着するのが困難であり得る。
【0005】
別の問題は、これらの部品を形成するために使用されるプラスチック、典型的には熱可塑性オレフィン(「TPO」)は、低表面エネルギーを有する傾向がある。結果として、一般的な感圧接着剤は、TPO及び同様のタイプのプラスチック上で高度な「ウェットアウト」を達成せず、接着剤と基材との間の表面積が低減される。プライマー及び他の表面処理は、「ウェットアウト」を改善するために使用することができるが、これらは、接着の複雑さ及びコストを増加させる。これらの理由から、非平面的な低表面エネルギー基材への接着は、困難な技術的問題のままである。発泡体又は不織布材料の表面を含む多孔質表面を接着する際に、同様の技術的問題が生じ、これは、感圧接着剤との強力な接着界面を形成することが困難であり得る。
【0006】
本明細書では、低表面エネルギー基材を含む、多種多様な基材と共に使用するのに好適な接着方法、システム、及びアセンブリが提供される。多くの場合、これらの基材は、プライミングを必要とせずに、受け取ったままの状態で接着され得る。感圧接着剤はまた、押出成形可能であり、一方又は両方の接着表面に適合する形状に成形されることを可能にする。別個の複製部品を接着するために、これらの方法は、多様な形状に接着するために容易にカスタマイズすることができる。持続性の観点から、これらの方法はまた、製造プロセスにおける接着性廃棄物を低減するため、有益である。
【0007】
一態様では、感圧接着剤を基材に接着する方法が提供される。本方法は、スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有する、提供することと、接着剤溶融組成物を混錬する(masticate、マスティケート)ことと、接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することであって、基材が非フィルム基材である、供給することと、接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む。
【0008】
第2の態様では、感圧接着剤を基材に接着する方法が提供され、本方法は、スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有し、スチレンブロックコポリマー組成物が、スチレンブロックコポリマーのコアと、周囲温度で非粘着性のシースと、を含むコアシースフィラメントで提供される、提供することと、接着剤溶融組成物を混錬することと、接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することと、接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む。
【0009】
第3の態様では、感圧接着剤を基材に接着する方法が提供され、本方法は、スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有する、提供することと、接着剤溶融組成物を混錬することと、接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することであって、基材が剥離面を含む、供給することと、接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む。
【0010】
第4の態様では、上記の方法を使用して作製された接着アセンブリが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】1つの例示的な実施形態による基材に接着剤を接着する方法を示す概略図である。
【
図1A】
図1の方法で使用される特定の構成要素を示す概略図である。
【
図2】
図1の方法と共に使用することができるフィラメント接着剤の斜視図である。
【
図3】
図2のフィラメント接着剤を分配することができる分配ヘッドの側面断面図である。
【
図4】
図1の接着方法のための分配システムの斜視図である。
【
図5】その接着表面を示す例示的な基材の斜視図である。
【
図6】自動車用グレージングを通して見た自動車用グレージングに接着された自動車用ブラケットの写真である。
【
図7】自動車用ヘッドライナー、感圧接着剤、及びワイヤハーネスを別個の層として示す、自動車用ヘッドライナーアセンブリの分解斜視図である。
【0012】
明細書及び図面中の参照文字が繰り返して使用されている場合、本開示の同じ又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。当業者は多くの他の修正形態及び実施形態を考案することができ、それらは本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図は、縮尺通りに描かれていないことがある。
【0013】
定義
本明細書で使用される場合、
「周囲条件」は、摂氏25度の温度及び1気圧(約100キロパスカル)の圧力を意味する。
【0014】
「周囲温度」は、摂氏25度の温度を意味する。
【0015】
「ガラス転移温度」は、非晶質ポリマー(又は半結晶性ポリマー内の非晶質領域内)が、温度が上昇するにつれて、硬く比較的脆い状態から粘性又はゴム状の状態になる温度を指す。本明細書で使用するとき、ガラス転移温度は、実施例に記載される動的機械分析によって測定される。
【0016】
「低表面エネルギー」は、20mJ/m2~37mJ/m2の表面エネルギーを有することを意味する。
【0017】
「非粘着性」は、「自己接着試験」に合格する材料を指し、この場合、材料を破砕することなく、材料を材料自体から引き剥がすのに必要な力は、所定の最大閾値量以下である。自己接着試験は、同時係属中の国際特許出願第PCT/US19/17162号(Nyariboら)に記載されており、シースが非粘着性であるか否かを決定するためにシース材料のサンプルに対して実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用するとき、「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利点をもたらすことができる本明細書に記載される実施形態を指す。ただし、他の実施形態もまた、同じ又は他の状況において好ましい場合がある。1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用ではないことを示唆するものではなく、また本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈上特に明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の指示物を含むものとする。したがって、例えば、「a」又は「the」が付いた構成要素への言及には、1つ以上の構成要素及び当業者に公知のその等価物を含んでもよい。更に、「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくは全て、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0020】
用語「含む」及びその変形は、これらの用語が添付の説明に現れた場合、限定的意味はないことに注意されたい。また更に、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、本明細書では互換的に使用される。左、右、前方、後方、上部、底部、側、上方、下方、水平、垂直などの相対語が、本明細書において使用される場合があり、その場合、特定の図面において見られる視点からのものである。これらの用語は、説明を簡単にするためだけに使用される。しかしながら、本発明の範囲を決して制限しない。
【0021】
本明細書全体において、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」又は「ある実施形態」に対する言及は、その実施形態に関して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」などの句の出現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及しているわけではない。該当する場合、商品名は、全て大文字で記載する。
【0022】
本明細書に記載される方法は、接着剤、特に感圧接着剤の1つ以上の基材への接着を目的とする。基材としては、工業アセンブリにおいて遭遇し得るように、他の物品に恒久的に接着されることを意図した物品が挙げられる。基材はまた、一時的に剥離可能な接着を意図する剥離面を有する物品も含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、感圧接着剤は、通常、室温で粘着性があり、軽い指圧を加えることによって表面に接着することができ、したがって、感圧性ではない他の種類の接着剤と区別することができる材料である。感圧接着剤の一般的な説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.13,Wiley-Interscience Publishers(New York,1988)に見出すことができる。感圧接着剤の更なる説明は、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.1,Interscience Publishers(New York,1964)に見出すことができる。本明細書で使用される「感圧接着剤」又は「PSA」は、以下の特性、すなわち、(1)強力で恒久的な粘着性、(2)指圧以下でのフッ素熱可塑性フィルム以外の基材への接着、及び(3)基材からきれいに剥離されるのに十分な凝集力、を有する粘弾性材料を指す。感圧接着剤はまた、Handbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology,D.Satas,2nd ed.,page172(1989)に説明されるダールキスト評価基準(Dahlquist criterion)を満たし得る。この基準は、感圧接着剤を、使用温度において(例えば、15℃~35℃の範囲内の温度において)1×10-6cm2/ダインを超える1秒クリープコンプライアンスを有する接着剤として定義する。
【0024】
いくつかの実施形態では、感圧接着剤は、表面化学、幾何学、又はその両方のために、通常は接着が困難な基材への接着を可能にする組成物を有する。多くの用途では、提供される方法は、これらの基材上に優れた接着性能を提供する。これらの方法はまた、これらの基材上にプライマーを不要な表面機能化、洗浄、又は前に適用することもできる。接着性物品を受容されるように使用することを可能にすることによって、これらの結合方法は、結合プロセスにおける効率を向上させ、著しい時間及びコストを節約することができる。
【0025】
接着剤を一般的な基材114に結合する例示的なプロセスは、
図1に概略的に示されており、本明細書では数字100と称される。プロセス100では、供給組成物は、供給機構102、フィードストック105に連結されたヒートシンク104、並びに加熱器要素106、温度センサ108、及びヒータブロックのホットエンド110からなるミキサー111を介して搬送される。これらの成分のそれぞれは、下記により詳細に記述する。
【0026】
図1の供給機構102は、溶融堆積モデリング(溶融フィラメント製造と呼ばれることもある)装置で使用されるものと同様であり得る。例示的な実施形態では、供給機構102は、図示されるように、対向する軸受を押圧する駆動ギアを使用する。駆動ギアの歯は、
図1に示されるようなスプール状フィラメント101などの固体供給組成物と係合し、供給組成物を押出成形機に把持し、前進させる。
【0027】
供給組成物は、任意の特定の形態に限定されず、例えば、所与の接着剤成分は、リボン、ペレット、フレーク、又は任意の他の連続若しくは微粒子形態の形態で提供されてもよい。多くの用途では、フィラメント形成因子は、作業が容易であり、その均一な断面が供給機構102による材料の正確な計量を可能にするため、フィラメントのフォームファクタが好ましい。
【0028】
次いで、供給組成物は、ヒートシンク104を通過する。ヒートシンク104は、供給機構102に向かってフィードストック105を介して加熱器要素からの熱が飽和されることを防止する。これにより、材料を軟化させ、ミキサー111内へ及びミキサー111を通って押し出すことが困難になる。
【0029】
ミキサー111内で、加熱器要素106は、接着剤溶融組成物112を提供するために、供給組成物に熱を供給する。一般的に、電気抵抗加熱器は、温度センサ108をフィードバックループ内で使用して、一貫した動作温度を維持する好適な温度制御装置と組み合わせて使用される。ヒータブロックのホットエンド110は、接着剤溶融組成物112が出口又はオリフィスを通って分配される加熱ノズルを提供する。ヒータブロックのホットエンド110内のオリフィスのサイズは、分配されるビードのサイズを決定する。供給速度と共にオリフィスサイズを決定し、プロセス100の体積出力を決定する。
【0030】
好ましい実施形態では、加熱器要素106、温度センサ108、及びヒータブロックのホットエンド110は、供給組成物101を混錬して均質かつ流動性の溶融物を得るミキサー111の一体構成要素である。好ましい実施形態では、ミキサー111は、単軸押出機又は二軸押出機である。押出機内の回転スクリューはまた、フィードストック105を通して供給組成物101を引っ張るのを支援することができる。あるいは、ミキサー111はまた、動的ミキサー又は静的ミキサーであってもよい。
【0031】
ヒータブロックのホットエンド110から分配された後、接着剤溶融組成物112は、基材114の接着表面に供給される。周囲温度まで冷却すると、接着剤溶融組成物112は、接着された感圧接着剤を提供する。
【0032】
図1の基材114は一般的である。一部の実施形態では、基材114はフィルム基材である。フィルム基材は、連続的(例えば、テープ支持体)又は不連続(例えば、デカール)のいずれかであり得る。フィルム基材は、溶媒キャスティング、溶融鋳造、又はメルトブロープロセスを使用して作製することができ、例えば、0.254ミリメートル(10ミル)未満の厚さを有する。フィルム基材は、概ね均一な厚さを有することができる。あるいは、基材114は、スラブ又は成形部品などの非フィルム基材である。基材は、剛性又は可撓性であってもよく、平面又は非平面の接着表面を有してもよい。
【0033】
図1は、基材114への供給直後に、接着剤溶融組成物112の上に剥離ライナー113を連続的に適用する任意の工程を更に示す。後述するように、これを使用して、いくつかの後の時点で第2の基材に接着するために、接着剤で予めコーティングされた基材を調製することができる。ローラー115は、剥離ライナー113を接着剤溶融組成物112上に押し付けるのを補助し、図示されるように概ね平坦な表面輪郭をもたらす。
【0034】
図1Aは、
図1のローラー115の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、ローラー115A(ここでは、
図1に示す方向から90°回転された方向から見た)は、下部の基材114Aの不均一な表面に一致する複数の隆起部117Aを有する。この成形ローラー115Aは、基材114Aの不均一な表面を追跡する接着剤に好適な剥離ライナー113Aを適用することができる。
【0035】
プロセス100で使用される供給組成物は、好ましくはブロックコポリマー組成物である。特に好ましいブロックコポリマー組成物としては、スチレンブロックコポリマー組成物が挙げられる。スチレンブロックコポリマー組成物は、一般に、1種以上のスチレンブロックコポリマー及び1種以上の粘着付与剤を含む。粘着付与剤は、ブロックコポリマー組成物のハードセグメントブロック又はソフトセグメントブロックのいずれかのガラス転移温度を変更するために使用することができる。
【0036】
任意の数のスチレンブロックコポリマーをこの組成物に組み込むことができる。ジブロック、トリブロック、及び星型ブロックコポリマーを含む、1つ、2つ、3つ、4つ、又は更にはより多くの異なるスチレンブロックコポリマーが、この組成物に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、好適なスチレンブロックコポリマーは、(メタ)アクリレートとスチレンマクロマーとのコポリマーを含む。選択された実施形態では、接着性コアは、(メタ)アクリルホモポリマーを含む。
【0037】
好適な粘着付与剤の例としては、ロジン及びそれらの誘導体(例えば、ロジンエステル);ポリテルペン及び芳香族変性ポリテルペン樹脂;クマロン-インデン樹脂;炭化水素樹脂、例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族変性炭化水素系樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。非水素化粘着付与剤は、典型的には、より着色性があり、耐久性(すなわち、耐候性)が低い。(部分的又は完全)水素化粘着付与剤を使用してもよい。水素化粘着付与剤の例としては、例えば、水素化ロジンエステル、水素化酸、水素化芳香族炭化水素樹脂、水素化芳香族変性炭化水素系樹脂、水素化脂肪族炭化水素系樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。合成粘着付与剤の例としては、フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ポリ-t-ブチルスチレン、アクリル樹脂、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
有用なスチレンブロックコポリマー組成物は、90℃~220℃、90℃~185℃、120℃~180℃、又はいくつかの実施形態では90℃、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、又は220℃よりも低い、それに等しい、又はそれよりも高いガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを有することができる。
【0039】
これらのスチレンブロックコポリマー組成物は、高温で分注することができ、接着剤溶融組成物が押し出された直後に一定の程度まで流動することを可能にする。接着剤溶融組成物は、ハードセグメントブロックのガラス転移温度より20℃~150℃、20℃~115℃、20℃~75℃高い温度で、又はいくつかの実施形態では、20℃、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、若しくは150℃より低い、それに等しい、若しくはそれよりも高い温度で、基材上に供給することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、プロセス100は、単一のコアシースフィラメント150を使用して、前述の供給組成物成分を容易に分配される一体型形態で統合する。一般に、コアシースフィラメント材料は、第1の材料(すなわち、コア)が第2の材料(すなわち、シース)によって取り囲まれ、コアとシースとが共通の長手軸を有する構成を有する。好ましくは、コア及びシースは同心である。コアの端部は、シースによって取り囲まれている必要はない。
【0041】
図2は、接着剤コア152及び非粘着性シース154を含む例示的なコアシースフィラメント150を示す。図示のように、コア152は、シース154がコア152の外面156を取り囲む円筒状の外表面156を有する。コアシースフィラメント150は、概ね円形の断面を有するが、他の断面形状(例えば、正方形、六角形、又は多葉形状)もまた可能であることを理解されたい。非粘着性シース154は、コアシースフィラメント150がそれ自体に固着することを防止する。好都合には、これにより、コアシースフィラメント150は、スプールから便利に保管され、輸送され、巻き出されることを可能にする。
【0042】
コアシースフィラメントの直径は特に制限されない。フィラメント直径の選択に影響を及ぼす要因としては、接着剤ディスペンサ上のサイズ制約、所望の接着剤のスループット、及び接着剤適用の精密な要件が挙げられる。コアシースフィラメントは、1ミリメートル~20ミリメートル、3ミリメートル~13ミリメートル、6ミリメートル~12ミリメートルの平均直径、あるいはいくつかの実施形態では、1ミリメートル、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又は26ミリメートルよりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい平均直径を有することができる。コアシースフィラメント100は、適用に適した任意の長さで作製することができる。
【0043】
有利には、コアシースフィラメント100は、加熱されたときに高い溶融粘度を保持することができる。これは、基材上の分配された接着剤の寸法安定性に望ましい。溶融した場合であっても、これらの材料は、それらが配置される場所から滴り落ち(drip)、弛む、ないしは別の方法で移動することはない。
【0044】
本開示によるコアシースフィラメント接着剤は、任意の既知の方法を使用して作製することができる。例示的な実施形態では、これらのフィラメント接着剤は、溶融ポリマーを同軸ダイを通して押し出すことによって作製される。前述のコアシースフィラメント接着剤に関する更なる詳細、選択肢、及び利点は、同時係属中の国際特許出願第PCT/US19/17162号(Nyariboら)に記載されている。
【0045】
図3は、
図2のコアシースフィラメント150を受容、溶融、混合、及び分配することができる構成を有する分配ヘッド250を示す。分配ヘッド250は、バレル252と、その中に受容される回転可能なスクリュー254と、を含む。ギヤボックス256及びモータ258は、スクリュー254に動作可能に連結されている。任意選択的に、図示されるように、電動式であってもよい整列ホイール260は、フィラメントが分配ヘッド250内に誘導されるバレル252の側面に固定される。コアシースフィラメント150(図示せず)のロールは、分配ヘッド250の動作中に連続的に巻き取られ得る。
【0046】
バレル252は、単軸押出成形機のためのバレルの構成を有する。バレル252は、円柱状の内側表面270を有し、スクリュー254を取り囲む関係で係合する。内側表面270は、バレル252の遠位端で出口272で終端する。出口272は、任意の好適な形状を有することができる。バレル252は、内側表面270を加熱し、分配動作中にフィラメント接着剤を溶融するための1つ以上の埋め込まれた加熱要素(不可視)を更に含む。任意選択的に、バレル252の内側表面270は、バレル252と押出接着剤との間の摩擦を増加させるために溝付きであるか、ないしは別の方法でテクスチャ加工され得る。
【0047】
再び
図3を参照すると、入口274は、フィラメント接着剤を受容するために、バレルの上面を通って延びる。更に示されるように、入口274は傾斜ニップポイントを画定する傾斜面276を含み、傾斜面276は、スクリュー254の外側表面と収束する。有利には、傾斜ニップポイントは、それがバレル252内に引き込まれる際にフィラメント接着剤の破断を防止する。傾斜ニップポイントは、操作者による介入を必要とせずにフィラメント接着剤をバレル252内に連続的に供給することを可能にする堅牢な供給機構の一部である。
【0048】
分配ヘッド250の駆動機構は、ギヤボックス256及びモータ258によって提供される。いくつかの実施形態では、分配ヘッド250は、回転スクリュー254の速度及び/又はトルクの調節を可能にする制御部を含む。いくつかの実施形態では、モータ258はサーボモータである。サーボモータは、広範囲の回転速度(rpm)にわたって高いトルクを提供することができるため、有利である。
【0049】
図示のように、入口274は、逆漏斗の形状を有し、入口274の横断面積は、スクリュー254に近接して増加するにつれて大きくなる。入口274は、前側壁276などの1つ以上の側壁を有する。前側壁276は、平面状又は湾曲状であってもよい。横断方向から見たとき、前側壁276の少なくとも一部分は、スクリュー254の長手方向軸に対して鋭角で延びる。フィラメント接着剤の供給を容易にする鋭角は、10度~70度、18度~43度、23度~33度、又はいくつかの実施形態では、10度、13、15、17、20、22、25、27、30、32、35、37、40、42、45、47、50、53、55、57、60、65、又は70度よりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きくあり得る。
【0050】
分配ヘッド250に関する更なる詳細は、本出願と同日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第62/810,248号(Napieralaら)に記載されている。
【0051】
提供される分配ヘッドは、多くの技術的利点を提供する。分配システム内でのその展開は、ロール製品としてスプーミングされたフィラメント接着剤を使用し、特に自動化プロセスにおいて、消耗材料の装填及び交換を容易にする。提供されるスクリュー構成はまた、比較的軟質の粘弾性稠度を有し、従来のディスペンサに供給することが困難であるPSAフィラメント接着剤と共に使用するのにも適している。従来のディスペンサとは異なり、提供される分配ヘッドは、フィラメント接着剤を供給するためにガイド構造体を必要としない。
【0052】
提供された分配ヘッドはまた、様々なカスタマイズされたノズルのいずれかと共に使用することを可能にし、接着剤配置において所望の精度を提供する。提供される分配ヘッドは、接着剤がカスタマイズされた様式で分配されることを可能にすることができる。例えば、ドット、ストライプ、又は他の不連続なパターンで、基材上に接着剤を分配することが可能である。前述のように、好適なコーティングパターンは、平坦である必要はなく、複雑で不規則な接着表面上に配置することができる。
【0053】
加熱された接着剤組成物は、供給又は冷却されるときに成形されることも可能である。このような成形は、出口のオリフィスが従来ではない形状を有する、異形押出成形によって実施することができる。オリフィスの形状は、例えば、基材の対応する接着表面に相補的な、湾曲した又は角度の付いた縁部を有し得る。
【0054】
更なる選択肢として、接着剤組成物は、成形された剥離面上に接着剤を配置することによって成形することができる。冷却後、成形された感圧接着剤は、その後、剥離面から第2の基材に転写され、これに恒久的に接着される。感圧接着剤を第2の基材と相補的な形状に成形することにより、接着剤の被覆性を向上させ、廃棄物を低減することができる。
【0055】
提供される分配ヘッドは、高効率かつ軽量化され得る。いくつかの実施形態では、分配ヘッドは、最大で10kg、最大で8kg、又は最大で6kgの総重量を有する。分配ヘッドの実施例は、製造施設で現在使用されている軽質ロボットアームに取り付けられるのに十分に軽くコンパクトである。多くのロボットアームは、分配ヘッドに対する重量制限を有する。共通のロボットの最大重量制限は、約10kg以下である。分配ヘッドの質量を増加させることは、自動接着剤分配プロセス内で急速に移動及び加速する能力に悪影響を及ぼし得る。最後に、スクリュー及びバレルは、溶融ゾーン内の短い滞留時間内で優れた混合を提供するように構成されているため、接着剤の熱劣化のリスクも低減される。
【0056】
図4は、可動アーム302の端部に取り付けられた分配ヘッド250を含む分配システム300を示す。いくつかの実施形態では、分配システム300は、コンピュータによって制御することができ、分配ヘッド250及び可動アーム302を製造プロセス内で高度の精度及び再現性で操作することを可能にする。
【0057】
可動アーム302は、テーブル304に固定され、高度な可動性を提供するために、任意の数のロボット継手を有することができる。いくつかの実施形態では、分配ヘッド250は、最大6自由度で並進及び回転させることができる。したがって、可動アーム302は、分配ヘッド250が、テーブル304に対して広範囲の位置にわたって接着剤組成物を分配することを可能にする。いくつかの実施形態では、可動アームは、操作者が所定の位置に保護することなくロボットにごく近接して作業することを可能にする安全機構を有する、協働ロボット(又は「コボット」)の一部である。
【0058】
任意選択的に、及び示されるように、分配システム300は、
図4に示されるように、分配ヘッド250に連続的に供給するためのフィラメント接着剤306を含む。フィラメント接着剤306は、図示のようにスプール308から連続的に巻き取られ得る。分配システム300の他の構成要素に対するスプール308の位置は重要ではなく、便利な場合に展開され得ることを理解されたい。所望であれば、スプール308は、分配ヘッド250に直接取り付けられ得る。あるいは、スプール308は、可動アーム302、テーブル304、又はその上の任意の他の構造体に取り付けられ得る。
【0059】
分配ヘッド250は、ホットメルト形態で接着剤組成物310を分配することが示されている。接着剤組成物310の分配は自動化又は半自動化することができ、したがって、人間の操作者による介入をほとんど又は全く必要としない。提供される方法の1つの利点は、所定のパターンに従って所与の基材(
図1の基材114など)上に接着剤組成物310を分配する可能性である。所定のパターンは、二次元(平面に沿って)又は3次元(非平面の表面に沿って)であり得る。所定のパターンは、コンピュータ上のデジタルデータによって表すことができ、所定のパターンが様々な異なる基材のいずれかに対してカスタマイズされることを可能にする。
【0060】
好ましい実施形態では、接着剤組成物310は、分配された後に流れ続けることができる熱可塑性エラストマーである。これは、非平面接着表面を有する基材に結合する際に、有意な技術的利点となり得る。特定の用途では、接着剤溶融物は、増加した機械的保持のために、基材の突出又は凹状の特徴部の上を流れることができる。任意選択的に、突出又は陥凹した特徴は、結合の強度を更に向上させるために、1つ以上のアンダーカットを有することができる。
【0061】
図5は、低表面エネルギー基材350に結合する分配システム300の例示的な用途に関する。低表面エネルギー基材は、多結晶ポリマーから構成することができる。多結晶ポリマーは、20℃~200℃、80℃~200℃、120℃~190℃、又はいくつかの実施形態では、20℃、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200℃よりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい融解温度を有し得る。多結晶ポリマーは、いくつかの実施形態では、熱可塑性オレフィン、又はより広くはポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0062】
この例では、基材350は空洞352を有する。任意選択的に、及び示されるように、空洞352は、中空及び軽量構造を提供する基材350の容積の大部分を占める。複数のリブ354が空洞352内に延びて、構造を補強し、部品の射出成形後に生じ得る任意の反りを低減する。
【0063】
代替的な実施形態では、基材は2つ以上の空洞を有してもよい。2つ以上の空洞は、互いに通信していても、又は通信しなくてもよい。空洞は、任意の好適なサイズであってもよく、基材の任意の部分にわたって延びてもよい。
図5に示されるリブ354は空洞352にわたって部分的にのみ延びるが、リブの少なくとも一部は、所望であれば空洞352を完全に横断することができ、より高い強度を有する基材350を提供することができる。
【0064】
リブのサイズ及び形状は特に限定されず、所与の用途の制約内で、軽量化、製造の容易さ、及び構造的一体性の利益のバランスをとるように選択することができる。リブサイズ及び間隔は、多くの場合、設計仕様、製造上の考慮事項、又はその両方によって制約されることが注目される。提供される結合方法は、リブ寸法の広い範囲にわたって、これらの構造体への強い接着を可能にすることができる。
【0065】
複数のリブが、0.5ミリメートル~2ミリメートルの、0.6ミリメートル~1.5ミリメートルの、0.7ミリメートル~1ミリメートルの平均厚さを有することができ、あるいは、いくつかの実施形態では、0.5ミリメートル、0.6ミリメートル、0.7ミリメートル、0.8ミリメートル、0.9ミリメートル、1ミリメートル、1.1ミリメートル、1.2ミリメートル、1.3ミリメートル、1.4ミリメートル、1.5ミリメートル、1.6ミリメートル、1.7ミリメートル、1.8ミリメートル、1.9ミリメートル、又は2ミリメートルよりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい平均厚さを有することができる。複数のリブが、0.5ミリメートル~8ミリメートルの、0.75ミリメートル~6ミリメートルの、2ミリメートル~4ミリメートルの平均中心間間隔を有することができ、あるいは、いくつかの実施形態では、0.5ミリメートル、0.6ミリメートル、0.7ミリメートル、0.8ミリメートル、0.9ミリメートル、1ミリメートル、1.2ミリメートル、1.5ミリメートル、1.7ミリメートル、2ミリメートル、2.2ミリメートル、2.5ミリメートル、2.7ミリメートル、3ミリメートル、3.5ミリメートル、4ミリメートル、4.5ミリメートル、5ミリメートル、5.5ミリメートル、6ミリメートル、6.5ミリメートル、7ミリメートル、7.5ミリメートル、又は8ミリメートルよりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい平均中心間間隔を有することができる。
【0066】
好ましくは、接着剤組成物は、リブ354間の空間に流入して貫通する。接着のための増大した表面積を提供することによって、この構成は、平面結合構成と比較して著しく強い接着を提供する。冷却すると、接着剤組成物のミクロ相分離は凝集力をもたらし、材料は感圧接着剤として挙動する。比較すると、従来の平面感圧接着剤は、空洞352内の凹面に接着することができず、したがって、より低い接着強度を有する傾向がある。
【0067】
提供された接着方法を使用して、基材350内のリブ354間の空間を接着剤で充填することにより、10N/cm~100N/cmの、15N/cm~70N/cmの、20N/cm~55N/cmの90°剥離強度(実施例で定義される)を得ることができ、あるいは、いくつかの実施形態では、10N/cm、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は100N/cmよりも小さい、それに等しい、又はそれよりも大きい。
【0068】
接着剤付き基材は、直ちに、対応する物品又はアセンブリと接触して配置されて、接着アセンブリを提供してもよい。接着剤付き基材が接着される準備ができていない場合、分配された接着剤の露出面は、剥離ライナーに一時的に接着され得る。用途に応じて、接着剤付き基材をパッケージ化及び/又は保管することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、分配システムは、剥離ライナー、供給機構、及び任意選択的に、表面プロファイリング機構(例えば、ナイフエッジ、ローラーなど)を含み得るライナー堆積装置を含む。接着剤が所与の基材の表面(例えば、外部又は内部トリム部分、又は他の物品)の表面上に分配されるとすぐに、適用された接着剤及びライナーの上に適用された圧力に剥離ライナーを配置して、適用された接着剤の所望の厚さ及び/又は適用された接着剤の外向きの側の表面プロファイル又はトポグラフィーを作製することができる。接着剤は、所定の厚さ及び/又は所定のトポグラフィー(例えば、平坦/均一、テクスチャ加工、又は凹凸表面)を有することができる。所望であれば、接着剤の厚さは、不均一な基材表面に対応するように意図的に不均一に作製することができる。一般に、剥離ライナーは、最終的な接着表面プロファイル、トポグラフィー、及び/又は寸法を画定するのに有用であり得る。
【0070】
剥離ライナーはまた、適用された接着剤の接着及び他の特性に影響を及ぼす汚れ、埃、及び酸化を防止するのに有用であり得る。ライナーは、後の時点で、適用された接着剤から容易に剥がすことができる。剥離ライナーは、適用された接着剤ビーズと同様の幅を有することができる。あるいは、剥離ライナーの使用は、剥離ライナーの下からの接着剤の圧搾量を防止又は低減するのに有利であり得る。ライナー適用ツールの表面プロファイル特徴部は、ローラー、ナイフエッジ、又はライナーを接着剤上に押し付けるために使用される他の構造体、及び/又はライナーが適用された後にライナーを輪郭形成するために使用される。ライナー適用ツールは、適用されたライナー/接着剤の表面に所望のプロファイル/トポグラフィーを提供する、直線、輪郭、又は他の形で輪郭を有する接触縁部を有することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、接着剤が対応する基材表面上に分配された後、その軟化点を下回る温度まで冷却され、剥離ライナーが冷却された接着剤に適用される。本明細書で使用するとき、適用された接着剤の軟化点は、適用された接着剤が剥離ライナーを適用するために使用される圧力によって永久的に変形され得る温度を指す。その軟化点を下回る温度では、接着剤の寸法は分配システムからのみ生じる。この場合の剥離ライナーは、必ずしも接着剤ビーズと同様の幅である必要はない。前述のように、剥離ライナーは、適用された接着剤の面積よりも大きい面積を有することができる(例えば、適用された接着剤が印刷パターン、平行線、螺旋線などの形態である場合)、それによってライナーが印刷された接着剤の全てを被覆することができる。任意に、剥離ライナーは再利用可能であってもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、分配システムは、延びた表面積を有する剥離ライナー上に接着剤を直接付着させる。これは、接着剤の一部のパターンであり得、剥離ライナーは、接着剤を基材と接触させるためのキャリアとして使用される。剥離ライナーは、接着剤の位置決めを容易にするために、基材と位置合わせされ得る位置決め特徴部を含んでもよい。これらの工程は、接着剤が冷却された直後に、かつ粘着性を維持している間に起こり得る。接着剤に接触する剥離ライナー表面はまた、テクスチャ加工されるか、又はそうでなければ、例えば、米国特許第5,296,277号及び同第5,362,516号(ともにWilsonら)、同第5,141,790号及び第5,897,930号(ともにCalhounら)、及び同第6,197,397号(Sherら)に記載されている、例えば、抽気チャネル又は他の特徴をライナーとの境界面で接着剤に形成する隆起部又は他の構造体などの、有用なトポロジー的特徴を付与されてもよい。
【0073】
特定の実施形態では、接着剤は2つの剥離ライナーの間に堆積される。例えば、前述の実施形態のいずれかは、基材を第2の剥離ライナーに置き換えることによって変更することができる。
【0074】
図6は、平滑な表面への接着に使用される、提供された感圧接着剤を示す。ここで、取り付けブラケットは、自動車用グレージング又はフロントガラスに接着剤で取り付けられて示されている。図示のように、ガラスとブラケットの接着表面との間で完全なウェットアウトが達成された。
【0075】
取り付けブラケットは、自動車ウィンドシールドの内面に装置を取り付けるために一般的に使用されている。このような装置としては、鏡、雨センサ、多機能カメラ、衝突回避センサが挙げられ、これらは、クリップ又は他のメカニカルファスナーを使用して結合ブラケットに固定することができる。異なる形状及びサイズで提供される付属品では、制御された量の接着剤がブラケットの接着表面に供給されるカスタマイズされたプロセスを有し、その周縁部を越えて表出する過剰な接着剤の量を最小化する、カスタマイズされたプロセスを有することが望ましい。
【0076】
例示的な実施形態では、コンピュータは、感圧接着剤を取り付けブラケットの接着表面上に自動的に分配するように分配ヘッドを案内し、ブラケット/接着アセンブリはその後、
図6に示されるように自動車用グレージングに取り付けられる。あるいは、ブラケット/接着剤アセンブリは、剥離ライナー上に配置され、別個の動作で自動車用グレージングに取り付けられてもよい。グレージングは、典型的にはガラスから作製されるが、ポリカーボネート又はポリ(メタ)アクリレートなどのプラスチック材料から作製することもできる。
【0077】
図7は、自動車用ヘッドライナーアセンブリ400における感圧接着剤の適用を示す。ヘッドライナーは、自動車や船舶の内装屋根に接着された複合材料である。典型的な構造では、ヘッドライナーは、多孔質バッキングに取り付けられた面布で構成される。ヘッドライナーは、内部キャビンを視覚的に軟化させ、電子配線及び空気ダクトを隠し、音響及び断熱の両方を提供することができる。
【0078】
ヘッドライナーアセンブリ400は、車両の天井及び側壁に適合するように輪郭付けられた一体型ヘッドライナー402を含む。空気流ベント及び照明構成要素を収容するために、貫通孔404は、これらの構成要素を受容するためにヘッドライナー内に設けられる。ヘッドライナー402の裏側(
図7の露出面)には、ワイヤハーネス406が設けられて、電子信号を通信し、電力を提供する。ワイヤハーネス406は、ワイヤハーネス406を定位置に保持し、車両が駆動されている間にガタ音及び振盪を防止する感圧接着剤407によってヘッドライナー402に固定される。
【0079】
いくつかの実施形態では、提供される接着する方法は、ワイヤハーネス406をヘッドライナー402の裏側表面に固定するために使用される。提供された感圧接着剤は、ワイヤハーネス406が接着剤に少なくとも部分的に埋め込まれることを可能にする。これは、接着剤をワイヤハーネス406に直接供給することによって、又は接着剤をヘッドライナー402に最初に供給し、その後、ワイヤハーネス406を熱の適用によって接着剤に押し込むことによって、使用時点で達成することができる。いずれの場合も、感圧接着剤は、必要とされる場所にのみ配置され、任意の数のヘッドライナー及びワイヤハーネス構成に対して容易にカスタマイズすることができる。
【0080】
ヘッドライナー402の多孔質バッキングは、特に限定されない。いくつかの実施形態では、これは熱可塑性発泡体で構成される。熱可塑性発泡体は、ポリスチレン、ポリウレタン、スチレン-無水マレイン酸ポリマー、スチレン-アクリロニトリルポリマー、又はコポリマー若しくはこれらのブレンドから作製されてもよい。
【0081】
発泡体は、物理的発泡剤、化学的発泡剤、又は中空ガラスバブルなどの中空充填剤を含むことを含む、任意の既知の方法を使用して調製することができる。有用な物理的発泡剤としては、Chase Corporation(Westwood、MA、米国)から商品名DUALITEで入手可能なもの、及びNouryon(Amsterdam、オランダ)から商品名EXPANCELで入手可能なものなどの、独立気泡発泡体を作製するために使用される膨張性微小球が挙げられる。
【0082】
他の実施形態では、多孔質バッキングは、複数のポリマー繊維から構成される不織布材料などの繊維基材から作製される。不織布材料は、メルトブロー又はスパンボンドプロセスのいずれかによって作製されてもよく、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせから作製された繊維を含有してもよい。
【0083】
接着性能を更に向上させるために、提供された接着方法を加熱された又は更に溶融した基材に適用することが特に有利であり得る。接着剤が溶融した基材と接触する場合、ポリマー鎖の絡み合いが界面で生じ、接着界面を強化することができる。特に、これは低表面エネルギー基材に有効であり得ることが発見された。
【0084】
いくつかの実施形態では、低表面エネルギー基材は、低表面エネルギー基材上に接着剤溶融組成物を供給しながら溶融形態で押し出され、溶融低表面エネルギー基材は、150℃~260℃、160℃~250℃、170℃~220℃の温度であり、又はいくつかの実施形態では、接着剤溶融組成物と接触するとき、150℃、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、又は260℃よりも低い、それに等しい、又はそれよりも高い。接着剤溶融組成物及び溶融した基材は、2つの別個のダイから押し出されてもよく、又は同じダイから共押出されてもよい。
【0085】
低表面エネルギー基材は、以前に特定された任意の好適な材料から構成されてもよい。低表面エネルギー基材は、ガラス状熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、又は更には架橋ゴムから作製される。
【0086】
限定することを意図するものではないが、提供される接着方法及びアセンブリの例示的な実施形態を以下に列挙する。
1.感圧接着剤を基材に接着する方法であって、
スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有する、提供することと、
接着剤溶融組成物を混錬することと、
接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することであって、基材が非フィルム基材である、供給することと、
接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む、方法。
2.スチレンブロックコポリマー組成物が、スチレンブロックコポリマーのコアと、周囲温度で非粘着性であるシースと、を含むコアシースフィラメントで提供される、実施形態1に記載の方法。
3.感圧接着剤を基材に接着する方法であって、
スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有し、スチレンブロックコポリマー組成物が、スチレンブロックコポリマーのコアと、周囲温度で非粘着性のシースと、を含むコアシースフィラメントで提供される、提供することと、
接着剤溶融組成物を混錬することと、
接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することと、
接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む、方法。
4.基材が、非フィルム基材である、実施形態3に記載の方法。
5.ハードセグメントブロックが、90℃~185℃の範囲のガラス転移温度を有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.ハードセグメントブロックが120℃~180℃の範囲のガラス転移温度を有する、実施形態5に記載の方法。
7.スチレンブロックコポリマー組成物が、1つ以上の粘着付与剤を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.接着剤溶融組成物が、ハードセグメントブロックのガラス転移温度よりも20℃~115℃高い温度で供給される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.接着剤溶融組成物が、ハードセグメントブロックのガラス転移温度よりも20℃~75℃高い温度で供給される、実施形態8に記載の方法。
10.接着された感圧接着剤が、0.5g/cm3~2g/cm3の範囲の密度を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.接着された感圧接着剤が、0.6g/cm3~1.1g/cm3の範囲の密度を有する、実施形態10に記載の方法。
12.接着された感圧接着剤が、0.8g/cm3~1g/cm3の範囲の密度を有する、実施形態11に記載の方法。
13.接着剤溶融組成物が、基材上に供給されるときに発泡される、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.接着剤溶融組成物が物理的発泡剤を含む、実施形態13に記載の方法。
15.接着剤溶融組成物が化学的発泡剤を含む、実施形態13に記載の方法。
16.接着剤溶融組成物が中空ガラスバブルを含む、実施形態13に記載の方法。
17.シースが、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、エチレンアクリレートコポリマー、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、スチレンブタジエンコポリマー、又はこれらのブレンド若しくはコポリマーを含む、実施形態2~16のいずれか1つに記載の方法。
18.接着剤溶融組成物が混錬されるときに、シース及びコアが互いに均質に混合される、実施形態2~17に記載の方法。
19.コアシースフィラメントが、分配ヘッドによって供給され、分配ヘッドが、1つ以上の加熱要素を含むバレルと、コアシースフィラメントを受容するためにバレルの側面を通って延びる入口であって、バレル内にコアシースフィラメントが引き込まれる際にコアシースフィラメントの破断を防止するための傾斜ニップポイントを含む、入口と、接着剤溶融組成物を分配するためのバレルの遠位端にある出口と、バレル内に受容された回転可能なスクリューであって、接着剤溶融組成物を混錬するための少なくとも1つの混合要素を含む、回転可能なスクリューと、を備える、実施形態2~18のいずれか1つに記載の方法。
20.基材が、非平面である接着表面を有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.基材が1つ以上の空洞を含み、接着剤溶融組成物が、供給されると1つ以上の空洞を少なくとも部分的に充填する、実施形態20に記載の方法。
22.基材が、1つ以上の空洞を横切って延びる複数のリブを更に備え、接着剤溶融組成物が、供給されると複数のリブの間の空間を少なくとも部分的に充填する、実施形態21に記載の方法。
23.複数のリブが、0.5ミリメートル~2ミリメートルの平均厚さを有する、実施形態22に記載の方法。
24.複数のリブが、0.6ミリメートル~1.5ミリメートルの平均厚さを有する、実施形態23に記載の方法。
25.複数のリブが、0.7ミリメートル~1.0ミリメートルの平均厚さを有する、実施形態24に記載の方法。
26.複数のリブが、0.5ミリメートル~8ミリメートルの平均中心間間隔を有する、実施形態22~25のいずれか1つに記載の方法。
27.複数のリブが、0.75ミリメートル~6ミリメートルの平均中心間間隔を有する、実施形態26に記載の方法。
28.複数のリブが、2ミリメートル~4ミリメートルの平均中心間間隔を有する、実施形態27に記載の方法。
29.接着された感圧接着剤が、10N/cm~100N/cmの90°剥離強度を示す、実施形態22~28のいずれか1つに記載の方法。
30.接着された感圧接着剤が、15N/cm~70N/cmの90°剥離強度を示す、実施形態29に記載の方法。
31.接着された感圧接着剤が、20N/cm~55N/cmの90°剥離強度を示す、実施形態30に記載の方法。
32.基材が、20mJ/m2~37mJ/m2の表面エネルギーを有する低表面エネルギー基材を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
33.低表面エネルギー基材が、熱可塑性オレフィンを含む、実施形態32に記載の方法。
34.熱可塑性オレフィンが、熱可塑性エラストマーを含む、実施形態33に記載の方法。
35.熱可塑性エラストマーが、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴムを含む、実施形態34に記載の方法。
36.低表面エネルギー基材が多結晶ポリマーを含み、この多結晶ポリマーが20℃~200℃の融解温度を有する、実施形態32~35のいずれか1つに記載の方法。
37.多結晶ポリマーが、80℃~200℃の融解温度を有する、実施形態36に記載の方法。
38.多結晶ポリマーが、120℃~190℃の融解温度を有する、実施形態37に記載の方法。
39.低表面エネルギー基材が、下塗りされていない、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
40.低表面エネルギー基材が、接着剤溶融組成物を供給する前に表面処理も洗浄もされない、実施形態39に記載の方法。
41.低表面エネルギー基材上に接着剤溶融組成物を供給しながら、低表面エネルギー基材を溶融形態で押し出す工程を更に含み、溶融形態の低表面エネルギー基材は、接着剤溶融組成物と接触する際に150℃~260℃の温度である、実施形態32~38のいずれか1つに記載の方法。
42.溶融形態の低表面エネルギー基材が、接着剤溶融組成物と接触するとき、160℃~250℃の温度である、実施形態41に記載の方法。
43.溶融形態の低表面エネルギー基材が、接着剤溶融組成物と接触するとき、170℃~220℃の温度である、実施形態42に記載の方法。
44.低表面エネルギー基材は、架橋ゴムを含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法。
45 上記基材がガラス又はセラミックエナメルを含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
46.基材が、自動車用グレージング用の取り付けブラケットである、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
47.取り付けブラケットを自動車用グレージングに固定するために、接着された感圧接着剤を自動車用グレージングと接触させて配置することを更に含む、実施形態46に記載の方法。
48.自動車用グレージングが、ガラスを含む、実施形態47に記載の方法。
49.基材が、多孔質基材を含む、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
50.多孔質基材が、熱可塑性発泡体を含む、実施形態49に記載の方法。
51.熱可塑性発泡体が、ポリスチレン、ポリウレタン、スチレン-無水マレイン酸ポリマー、スチレン-アクリロニトリルポリマー、又はコポリマー若しくはこれらのブレンドを含む、実施形態50に記載の方法。
52.多孔質基材が、繊維基材を含む、実施形態51に記載の方法。
53.繊維基材が、複数のポリマー繊維を含む、実施形態52に記載の方法。
54.複数のポリマー繊維が、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、又はこれらの組み合わせを含む、実施形態53に記載の方法。
55.多孔質基材が、自動車用ヘッドライナーの一部である、実施形態49~54のいずれか1つに記載の方法。
56.接着された感圧接着剤と接触している電気ワイヤハーネスを配置することを更に含む、実施形態55に記載の方法。
57.接着剤溶融組成物中に電気ワイヤハーネスを少なくとも部分的に埋め込むことを更に含む、実施形態56に記載の方法。
58.接着剤溶融組成物が、供給又は冷却されるときに成形される、実施形態1~57のいずれか1つに記載の方法。
59.接着剤溶融組成物が、異形押出成形によって成形される、実施形態58に記載の方法。
60.接着剤溶融組成物が、基材上に配置された剥離面に対して成形することによって成形される、実施形態58に記載の方法。
61.基材が第1の基材であり、接着された感圧接着剤を第1の基材から第2の基材に転写することを更に含む、実施形態60に記載の方法。
62.接着された感圧接着剤が、第2の基材の形状と相補的な形状を有する、実施形態61に記載の方法。
63.感圧接着剤を基材に接着する方法であって、
スチレンブロックコポリマー組成物を加熱して接着剤溶融組成物を提供することであって、スチレンブロックコポリマー組成物が、90℃~220℃のガラス転移温度を有するハードセグメントブロックを含有する、提供することと、
接着剤溶融組成物を混錬することと、
接着剤溶融組成物を、ハードセグメントブロックのガラス転移温度を20℃~150℃上回る温度で、基材上に供給することであって、基材が剥離面を含む、供給することと、
接着剤溶融組成物を冷却して、接着された感圧接着剤を得ることと、を含む、方法。
64.基材が、剥離ライナーである、実施形態63に記載の方法。
65.基材が、第1の基材であり、接着された感圧接着剤を第1の基材から第2の基材に転写することを更に含む、実施形態64に記載の方法。
66.実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法を使用して作製された、接着アセンブリ。
【実施例】
【0087】
本開示の目的及び利点は以下の非限定的な実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限しないものと解釈されるべきである。
【0088】
特に記載のない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。
【0089】
【0090】
試験方法:
90°剥離強度試験方法:試験標準に続いて、周囲条件でわずかな改質を有するASTM D6862であった。基材を1.59cm×16.5cm(0.63インチ×6.5インチ)のストリップに切断し、基材の半分は、スポンジ先端適用ツールを使用して適用される接着促進剤4298UV(3M Company,St.Paul、MN、米国)の薄膜を有した。EPDMに試験するために、2つの剥離ライナーの間に配置された透明なコート及びリブ付きLSEプラスチック接着剤サンプルを、1.27cm×12.7cm(0.5インチ×5.0インチのストリップ)に切断し、次いで手の圧力のみを用いるゴムローラーを使用して、接着促進剤及びコーティングされていない基材でコーティングされた両方に積層した。試料を、力空気オーブン中で、190℃で5分間基材にエージングし、剥離ライナーを除去する前に、室温まで少なくとも30分間冷却した。これらを、厚さ0.81mm(32ミル)のアルミニウム(AI)パネル又は自動車用塗料パネルRK8211(ACT Test Panels of Hillsdale、MI、米国)に手の圧力を用いるゴムローラーを使用して積層し、その後、接着剤を4回通した4.54kg(10lb.)のローラーで圧縮した。リブ付きLSE基材及びヘッドライナー材料に試験するために、接着剤を基材上に直接押し出した。薄い(10ミル)Alリボン0.75インチ幅及び6インチ長を接着剤上に置き、手の圧力を利用してゴムローラーで手動で圧延した。50キロニュートンロードセル(Instron、Norwood、MA、米国)を装備した3300 Universal Testing Systemロードフレームで試料試験を実施した。試料を、上部クランプ及びパネル内の基材の自由端でロードフレームにクランプし、接着剤を貼り付けて、剥離中90°角度を維持した固定具に設置した。試料を30.5cm/分(12インチ/分)で剥離した。試料を、117mmのヘッド運動のために伸張させた。最初の25mmの剥離データを廃棄し、次の89mmにわたる平均剥離力を記録した。特に断りがない限り、試料を第2の基材として陽極酸化アルミニウムに積層した。
【0091】
T型剥離試験方法:試験標準に続いて、わずかな修正を伴うASTM D1876であった。2つの剥離ライナーの間に配置された接着剤を、2.54cm×17cm(1インチ×7インチ)のストリップに切断し、次いで、手の圧力のみを利用して、基材の3.18cm×22.9cm(1.25インチ×9インチ)のストリップに積層した。剥離ライナーを取り外し、基材の第2のストリップをゴムローラーで接着剤の上部に適用した。次いで、サンプルを、力空気オーブン中で190℃で5分間エージングした。オーブンから取り出した直後に、接着剤を4回通した4.54kg(10lb.)のローラーで試料を手動で圧縮した。試料を、50キロニュートンロードセル(Instron、Norwood、MA、米国)を装備した3300 Universal Testing Systemロードフレームで試験する前に、試料を少なくとも30分間冷却した。試料を、T型剥離構成で基材の自由端でロードフレームにクランプし、30.5cm/分(12インチ/分)で剥離した。試料を、225mmのヘッド運動のために伸張させた。最初の50mmの剥離データを廃棄し、次の175mmにわたる平均剥離力を記録した。
【0092】
動的機械分析試験方法:DHR-3平行プレートレオメーター(TA Instruments、New Castle、DE、米国)を使用して、動的機械分析(DMA)によって実施例を分析し、各試料の物理的特性を温度の関数として特徴付けた。レオロジー試料を、シリコーン剥離ライナーの間の厚さ約1mmの接着フィルムに押し出した。室温まで冷却後、次いで、8mm円形ダイでフィルムを打ち抜いて、剥離ライナーから取り出し、レオメーターの直径8mmの平行プレートの中心に置かれ、試料の縁部が上部プレート及び底部プレートの縁部と均一になるまで圧縮した。試料を、±30グラムの感度で25グラムの軸方向力制御下で実行し、試験開始前に80℃の開始温度で120秒間調整した。次に温度を3℃/分で80℃から220℃に上昇させると同時に、試料を1ヘルツの角振動周波数及び5%の一定歪みで振動させた。材料の多くの物理的パラメータが温度勾配中に記録されたが、剪断貯蔵弾性率(G’)、剪断損失弾性率(G’’)、及びtanδは、本発明のコポリマーの特性評価において重要である。接着性ハードセグメントのガラス転移温度Tgは、最初にその貯蔵(G’)及び損失剪断(G’’)弾性率を決定することによって測定した。典型的には「タンデルタ」と記載される、単位のないパラメータであるG”/G’比は、温度に対してプロットした。良好に規定される場合、tanδ曲線のうちの、ゴム状平坦領域と末端粘性領域の間の、遷移領域の極大点(傾きが0になる点)により、その特定の周波数下での接着性ハードセグメントのTgを求める。
【0093】
実施例1~11(EX1~EX11)及び
比較例1及び2(CE1及びCE2)
コアシースフィラメントを、以下の表2に重量パーセント(wt%)で記載されている組成例で、内側PSAコアの周囲に非粘着性の外側シース層を共押出することにより作製した。全ての試料について、PSAコアを、18ミリメートルの共回転二軸押出機(Coperian GmbH(Stuttgart、ドイツ)から入手可能)を使用して、全てのゾーンを160℃~170℃の範囲で加熱して、PSAコアを1分当たり200回転で配合した。PSAコアを配合した後、3cc/revギアポンプ(Colfax Corporation(Annapolis Junction、MD、米国)から入手可能)を使用して溶融流を計量した。非粘着性外側シースを溶融し、19.1ミリメートルの単軸押出機(HAAKEブランド、Thermo Fisher Scientific(Waltham、MA、米国)から入手可能)を使用して押出成形した。両方の溶融物ストリームを、米国特許第7,773,834号(Ouderkirkら)に記載されている、約3.50ミリメートルの出口直径を有する同軸ダイに供給した。PSAを同軸ダイの内側コア層に供給し、非粘着性シース材料をダイの外側シースに供給して、最終的にコアシースフィラメントを作製した。フィラメントを、室温(22℃)の水浴を介して、最終直径6又は12ミリメートルのいずれかに引き伸ばした。フィラメントを、保存のために直径75ミリメートルの管に巻き取った。EPDM及び透明なコーティングに対する接着試験のために試料を作成した。これらのフィラメントを、加熱された40mm TSEに供給することによって均質に混合されるまで更に加工し、180℃のギアポンプで、15.2cm(6インチ)のフィルムダイを通して押し出し、シリコーン処理したPETライナー上に堆積させた。これを直径7.6cm(3インチ)のコア上に巻き取った。リブ付きLSEプラスチック及びヘッドライナ材料上の例の接着試験のために、実施例のフィラメントを、加熱された40mm TSEに供給し、180℃で12.5mm×1mmスロットノズルを通してポンプ注入し、1秒当たり25.4mmの速度で直接基材上に分配した。
【0094】
【0095】
T型剥離及び90°剥離強度試験を、基材として選択されたEPDMを用いて行った。結果を、表3及び4に示す。PT1100(CE1)及びEX4011(CE2)の性能も、比較例として試験した。動的機械分析試験も実施した。結果を表5に示す。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
実施例12~13(EX12~EX13)及び
比較例3(CE3)
90°剥離強度試験は、Chrysler(Auburn Hills、MI、米国)から入手したリブ付き熱可塑性ポリオレフィン(TPO)上で実施した。リブ付き試験片は、幅40mm及び長さ153mmであった。リブは、3mmの中実基部の上に5mm延びる。リブ先端部は丸みを帯びており、リブはテーパ状であり、基部で幅8mm、頂部で幅6mmであった。リブは、2mmの中心間間隔を有するクーポンの長さを、中心30mmのクーポンの中央に架け渡させる。1.27cm(0.5インチ)幅の試料を、リブ上に直接配置された0.89mm(35ミル)の接着剤層を用い、続いて190℃まで5分間加熱する(EX12)か、又はリブ付き部分上に直接分配する(EX13)。結果を表6に示す。5074(CE3)を、4298UVでプライミングした後、リブ付きTPO上に置いた。EX12及びEX13の接着剤組成物は、EX1と同一であった。
【0100】
【0101】
実施例14(EX14)及び
比較例9及び10(CE9及びCE10)
組成物EX1のコアシースフィラメントを、加熱された40mm TSEを介してフィルムに変換し、180℃で15.2cm(6インチ)のフィルムダイを通してポンプ圧送し、シリコーン処理PETライナー上に堆積させた。変換されたフィルム接着剤を、C520(Ford Motor Company(Dearborn、MI、米国)から入手)ウィンドシールドセンサブラケットの形状に切断した。C520は、ガラス充填ポリブチレンテレフタレート(PBT)ウィンドシールドブラケットであった。これは、最長長さ162ミリメートル、最短幅160ミリメートル、表面被覆率約150cm2の多角形形状を有した。これ(EX14)をブラケットの後部に接着し、次いで、ブラケットを180℃のオーブンに入れた。5分後、ブラケットを取り外し、加温した、前処理されていない積層ガラス片に押し付けた。試料を24時間静置した後、6kgの重りを均等に掛けた。ガラス表面が地面に平行であるように、ガラスブラケットアセンブリを吊るした。損傷は、最大40日目に見られなかった。
【0102】
PT1100(CE9)及びEX4011(CE10)をC520ブラケットの裏側に配置し、6kgの荷重を有する65℃80%の相対湿度(RH)オーブンに入れた。ブラケットには表面前処理はなかった。試験の前に、サンプルを24時間、室温で静置した。両方のテープは、1日より長くブラケットを保持することができなかった。
【0103】
実施例15(EX15)及び
比較例11~13(CE11~CE13):
組成物EX1のコアシースフィラメントを、加熱された40mm TSEを介してフィルムに変換し、180℃で15.2cm(6インチ)のフィルムダイを通してポンプ圧送し、シリコーン処理PETライナー上に堆積させた。変換されたフィルム接着剤を、25.4mm×25.4mm×0.9mmの形状に切断した。続いて試験標準はわずかな修正を伴うASTM D3654であった。4つの代表的なヘッドライナーを選択し、それぞれ繊維性不織布B側(非表示面)を有する。ヘッドライナーは、自動車産業に典型的な様々な独自の組成物の軽量複合構造からなる。試験のために、ヘッドライナー材料を150mm×100mmのクーポンに切断した。接着剤の正方形を、ヘッドライナー材料のB側に置き、176.7℃(350°F)で3分間完全に閉じることなく、これらを2枚のホットプレートの間に配置した。即時除去すると、アルミニウムシートを露出した接着剤上に押し付けた。アルミニウムリボンをループ状にし、反対側の端部にステープル留めした。500グラムの重量を有する80℃のオーブンに試料を吊るし、静置した。試料が500グラムに保持された時間量を記録した。3つの代表的な同等の接着剤の性能:5074(CE11)、6111T(CE12)、及び3794(CE13)も、比較例として試験した。結果を表7に示す。
【0104】
【0105】
EX15及びCE11、CE12、及びCE13について、90°剥離強度試験を実施した。組成物EX1のコアシースフィラメントを、ヘッドライナークーポン上に直接分配した。幅16mm及び長さ150mmの薄い0.25mm(10ミル)のAlリボンを接着剤上に置き、手の圧力を利用してゴムローラーで手動で圧延した。比較例として、3794(CE11)、5074(CE12)及び6111T(CE13)の性能も、比較例として試験した。結果を表8に示す。
【0106】
【0107】
上記の特許出願において引用された全ての参考文献、特許文献及び特許出願は、一貫した形でその全文が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の記載における情報が優先するものとする。前述の記載は、当業者が、特許請求の範囲に記載の開示を実践することを可能にするためのものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は特許請求の範囲及びその全ての等価物によって定義される。