(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ボイルオフガスを冷却する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B63B 25/16 20060101AFI20241101BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20241101BHJP
B63J 2/14 20060101ALI20241101BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20241101BHJP
F25J 1/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B63B25/16 D
F17C13/00 302A
B63J2/14 A
B63H21/38 A
F25J1/00 B
(21)【出願番号】P 2021556342
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 GB2020050787
(87)【国際公開番号】W WO2020193971
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-02
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521358235
【氏名又は名称】エルジーイー アイピー マネジメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LGE IP Management Company Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ハルクロウ
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525910(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0147377(KR,A)
【文献】国際公開第2017/162984(WO,A1)
【文献】特開2016-128303(JP,A)
【文献】特表2014-522476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0037120(US,A1)
【文献】国際公開第2018/124815(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16
F17C 13/00
B63J 2/14
B63H 21/38
F25J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体式輸送船内において1気圧で測定されるときに-110℃より高い沸点を有する液化船荷からのボイルオフガス流を冷却する方法であって、
第1段階放出圧力を有する第1段階と、最終段階吸引圧力を有する最終段階を少なくとも含み、1つ以上の中間-任意で冷却-圧縮済BOG流が連続する圧縮段階間に供される、2段階以上の圧縮段階において前記液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮することで圧縮済BOG放出流を供する段階と、
1つ以上の第1冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
少なくとも1つの第2冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
第3冷却剤流に接触して前記第2冷却済既圧縮BOG流を冷却することで第3冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
前記液化船荷から船用燃料流を供する段階と、
前記船用燃料流を冷却剤流として利用することで前記圧縮済BOG放出流若しくは前記第1冷却済既圧縮BOG流又は前記圧縮済BOG放出流と前記第1冷却済既圧縮BOG流の両方を冷却する段階と、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の少なくとも膨張部を船用燃料流として用いる段階、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の一部を、前記第1段階放出圧力と最終吸引圧力との間の圧力へ膨張することで第1膨張済既冷却BOG流を供する段階と、
前記第1膨張済既冷却BOG流を前記第3冷却剤流として利用することで第1膨張済既加熱BOG流を供する段階と、
前記第1膨張済既加熱BOG流を前記第2冷却剤流又は第2冷却剤流として利用する段階と、をさらに有する、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記第2冷却済既圧縮BOG流の全ては、前記第3冷却剤流に接触して冷却される、方法。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載の方法であって、前記第2冷却剤流の全ては前記第1膨張済既加熱BOG流を含む、方法。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記第1冷却済既圧縮BOG流からの気体ベント流を提供する段階と、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の一部を膨張させて第4冷却剤流を生成する段階と、
前記気体ベント流を前記第4冷却剤流に接触して冷却して冷却済ベント流と加熱
済第4冷却剤流を提供する段階、
BOG再循環流として前記加熱済第4冷却剤流を使用する段階、
をさらに含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記冷却済ベン
ト流を膨張させて膨張済のさらに冷却されたベント流を供する段階と、
前記膨張済のさらに冷却されたベント流を貯蔵タンクに通過させる段階、
をさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、前記さらに冷却されたベント流を分離して、ベント放出流と冷却済ベントBOG戻り流を提供する段階と、
前記冷却済ベントBOG戻り流を膨張させて膨張済既冷却ベントBOG戻り流を供する段階と、
前記膨張済既冷却ベントBOG戻り流を貯蔵タンクに通過させる段階、
をさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記冷却
済ベントBOG戻り流の少なくとも膨張部を船用燃料流として用いる段階をさらに有する、方法。
【請求項9】
請求項
7又は8に記載の方法であって、前記気体ベント流の少なくとも膨張部分若しくは前記ベント放出流の少なくとも膨張部分、または両方の流れの少なくとも一部を船の燃料流として使用する段階をさらに有する、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法であって、前記液化船荷は、エタン、LPG、プロピレン及びエチレンのような液化石油化学ガス、及びアンモニアを含む群のうちの一である、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法であって、前記船用燃料流を冷却剤流として用いることで、前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却し、続いて前記圧縮済BOG放出流を冷却する段階を有する、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記1つ以上の第1冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階は、
第1冷却剤流としての予備冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を予備冷却することで予備冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
第1冷却剤流としての第1冷媒流に接触して前記予備冷却済既圧縮BOG流を冷却することで前記第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項
12に記載の方法であって、前記第1冷媒流は、プロパン及びプロピレンからなる群から選ばれる1つ以上である、方法。
【請求項14】
1気圧で-110℃を超える沸点を有する複数の成分を含む浮体式輸送船内の液化船荷からのボイルオフガス流を冷却する装置であって、
液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮するため、圧縮済BOG放出流を提供するための少なくとも第1の段階および最終段階を含む2つ以上の圧縮段階を含み、中間圧縮済-任意で既冷却-BOG放出流は連続する圧縮段階の間に提供される圧縮システムと、
前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を提供する1つ以上の第1熱交換器と、
内部において分離される混合相冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を供する1つ以上の第2熱交換器と、
前記第2冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第3冷却済既圧縮BOG流を提供する1つ以上の第3熱交換器と、
船用燃料流を冷却剤流として使用して、前記圧縮済BOG放出流を冷却する1つ以上の船用燃料熱交換器、
を少なくとも備え、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の少なくとも膨張部を船用燃料流としてさらに供することが可能である、
ことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置を有する、又は、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を用いて操作する、液化船荷用浮体式輸送船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式輸送船上の液化船荷からのボイルオフガス(BOG)を冷却-具体的には再液化-する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浮体式輸送船-たとえば液化ガス輸送船及び艀-は、液化状態の様々な船荷を輸送する機能を有する。本願では、これらの液化船荷は、1気圧で測定すると-110℃よりも高い沸点を有し、かつ、エタン、液化石油ガス、液化石油、化学ガス-たとえばプロピレン及びエチレン-、及び液化アンモニアを含むが、これらに限定されない。
【0003】
液化石油ガスは、たとえば機器及び車両の加熱だけではなく、炭化水素化合物源に有用な燃料源である。LPGは、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、及び任意で1つ以上の他の炭水化物-たとえばプロピレン、ブチレン、エタン-を含む。石油ガスは、気体状態よりも液体としての方がより容易に長距離にわたる貯蔵及び輸送が可能である。その理由は液体の石油ガスは、占める体積が気体の石油ガスよりも小さく、高圧で貯蔵する必要がないからである。そのようなLPGは、沸点-たとえばプロパン成分の沸点である-42℃-以下に維持されれば大気圧での貯蔵が可能である。あるいはその代わりにLPGは、大気圧よりも高い圧力で加圧されれば、より高い温度で貯蔵され得る。
【0004】
石油化学ガス-たとえばエチレン及びプロピレン-は、石油ガス又は他の炭化水素内に存在してよいし、あるいは石油ガス又は他の炭化水素から合成されてよい。通常は石油ガスと同様の理由で分離若しくは製造を行う場所又はその近くの場所にある液化施設内で石油化学ガスを液化することが望ましい。液化石油化学ガスは、沸点-たとえばエチレンであれば-104℃-以下で維持されている場合には大気圧で貯蔵され得る。あるいはその代わりに石油化学ガスは、大気圧よりも高い圧力で加圧される場合にはより高い温度で貯蔵され得る。
【0005】
1気圧で測定されるときに-110℃よりも高い沸点を有する液化船荷の長距離輸送は、適切な液化ガス輸送船-たとえば液化船荷を保持する1つ以上の貯蔵タンクを有する航洋タンカー-内で行われてよい。これらの貯蔵タンクは断熱タンク及び/又は加圧タンクであってよい。タンクの搬送及び該タンク内での液化船荷の貯蔵中、ガスは船荷の蒸発により生じ得る。この蒸発した船荷ガスはボイルオフガス(BOG)として知られている。タンク内でのBOGの発生を防止するため、BOGを再液化して凝縮状態で貯蔵タンクへ戻すことのできるシステムが輸送船上に供することができる。これは、BOGの圧縮と冷却によって実現され得る。多くのシステムでは、圧縮済BOGは海水に接触して冷却及び凝縮される。
【0006】
低沸点成分-1気圧で測定されるときには-110℃~-55℃の範囲の沸点を有する成分(たとえば天然ガス液体(NLG)中の成分として存在し得る石油ガスエタン及び石油ガス化学エチレン)-を含む液化船荷は、特定の再液化問題を抱えている。たとえば海水は、BOGのエタン又はエチレン成分を再液化する十分な冷却機能を提供することができない。それに加えてそのようなBOG成分の再液化は、(たとえばプロパンのような高沸点成分の再液化と比較して)より大きな圧縮を要求することが考えられる。
【0007】
典型的にはエチレンの再液化は、エチレンBOGを約51バールの圧力へ圧縮することのできる圧縮システム-たとえば3つ以上の段階を有する圧縮システム-及び圧縮済BOG流を凝縮するための温度9.5℃以下の冷却媒体を必要とする。
【0008】
他方エタンの輸送はボイルオフガス内でメタンが発生するという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
浮体式輸送船内において1気圧で測定されるときに-110℃より高い沸点を有する液化船荷からのボイルオフガスを冷却-具体的には再液化-する改善された方法を供する必要性が存在する。特に前記船荷の軽い成分を冷却-具体的には再液化-する改善された方法が望ましい。
【0010】
本発明は、二重又は三重の冷却でこれまで凝縮されてこなかった成分-これらは再液化されてその後液体状態で液化船荷タンクへ戻され得る-を凝縮することによってこれらの問題のうちの一を解決する。前記二重又は三重の冷却済既圧縮BOG流は、交換媒体-たとえば海水-と比較して冷却機能を強化された冷却源を提供することで、前記BOG流内での軽い成分の再液化を可能にする。
【0011】
本発明はまた船の燃料の問題をも考慮する。
【0012】
よって所与の圧縮段階数で、本願で開示されている方法及び装置は、これまで考慮された非凝縮成分の圧縮又は
の増大を行う追加の段階を追加する必要なく、1気圧で測定されるときに-110℃より高い沸点を有する液化船荷を輸送することを可能にし、同時に前記再液化過程での1つ以上の流れを船の燃料流として用いることも可能にし得る。別な視点から見ると、本願で記載されている方法及び装置は、所与の段階数を有する圧縮システムを通常再液化も凝縮もできない成分を有する船荷へ拡張することを可能にする。
【0013】
第1態様では、本発明は浮体式輸送船内で、1気圧で測定されるときに-110℃より高い沸点を有する液化船荷からのボイルオフガス流を冷却する方法を供する。当該方法は、
第1段階放出圧力を有する第1段階と、最終段階吸引圧力を有する最終段階を少なくとも含み、1つ以上の中間-任意で冷却-圧縮済BOG流が連続する圧縮段階間に供される、2段階以上の圧縮段階において前記液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮することで圧縮済BOG放出流を供する段階と、
1つ以上の第1冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却圧縮BOG流を供する段階と、
少なくとも1つの第2冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
前記液化船荷から船の燃料流を供する段階と、
前記船用燃料流を冷却剤流として利用することで前記圧縮済BOG放出流若しくは前記第1冷却済既圧縮BOG流又は前記圧縮済BOG放出流と前記第1冷却済既圧縮BOG流の両方を冷却する段階と、を有する。
【0014】
任意で当該方法は、第3冷却剤流に接触して前記第2冷却済既圧縮BOG流を冷却することで第3冷却済既圧縮BOG流を供する段階をさらに有する。
【0015】
任意で当該方法は、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の一部を、前記第1段階放出圧力と前記最終吸引圧力との間の圧力へ膨張することで第1膨張済既冷却BOG流を供する段階と、
前記第1膨張済既冷却BOG流を前記第3冷却剤流として利用することで第1膨張済既加熱BOG流を供する段階と、
前記第1膨張済既加熱BOG流を(前記)第2冷却剤流として利用する段階と、をさらに有する。
【0016】
このようにして前記第1膨張済既冷却BOG流は、前記第2冷却済既圧縮BOG流に接触して熱交換器内で前記第3冷却剤流として用いられ得る。前記熱交換器は、第3冷却圧縮BOG流と第1膨張加熱BOG流を加熱済第3冷却剤流として供する。前記加熱済第3冷却剤流は間接的又はより好適には直接的に1次又は2次の第2冷却剤流として利用され得る。
【0017】
つまり前記第1膨張済既加熱BOG流は、前記第1冷却済既圧縮BOG流に接触して熱交換器内で前記1次又は2次の第2冷却剤流として用いられ得る。前記熱交換器は、第2冷却済既圧縮BOG流と第1膨張済追加熱済BOG流を加熱済第2冷却剤流として供する。
【0018】
本願で用いられている「第1」、「第2」、「第3」、及び「第4」等の用語は接続又は関係を示唆することを意図し、明記されている場合を除き直接連続していても良いし、していなくてもよい。つまり「第2」の事項と「第3」の事項との間に1つ以上の他の段階又は処理又は位置が存在してもよい。前記用語は、流れに関連する事項の性質又は存在の違いを明らかにするのに用いられ、本発明はこれらの用語によって限定されない。
【0019】
疑義を回避するため、前記第2冷却剤流(つまり第1膨張済既加熱BOG流)は前記第1冷却済既圧縮BOG流より低温で、前記第3冷却剤流(つまり第1膨張済既冷却BOG流)は前記第2冷却済既圧縮BOG流より低温で、前記第3冷却剤流は前記第2冷却剤流より低温である。
【0020】
他の実施形態によると、当該方法は、加熱済第2冷却剤流としての前記第1膨張済既加熱BOG流と、中間圧縮済BOG流-たとえば第1中間圧縮済BOG流又は第2中間圧縮済BOG流で、好適には第1中間圧縮済BOG流-とを結合する段階をさらに有する。
【0021】
本発明の他の実施形態によると、前記1つ以上の第1冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階は、第1冷却剤流としての第1冷媒流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却することで第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階を含んでよい。
【0022】
つまり第1冷媒流は、熱交換器内で前記圧縮済BOG放出流に接触する前記1つ以上の第1冷却剤流のうちの一として用いられる。前記熱交換器は、加熱第1冷却剤流として第1冷却済既圧縮BOG流と加熱済第1冷媒流を供する。
【0023】
本発明の他の実施形態によると、前記1つ以上の第1冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階は、
第1冷却剤流としての予備冷却剤流に接触して前記圧縮済BOG放出流を予備冷却することで予備冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
第1冷却剤流としての第1冷媒流に接触して前記予備冷却済既圧縮BOG流を冷却することで第1冷却済既圧縮BOG流を供する段階と、
を含んでよい。
【0024】
つまり予備冷却剤流は、熱交換器内で前記圧縮済BOG放出流に接触する前記1つ以上の第1冷却剤流のうちの一として用いられる。前記熱交換器は、加熱済第1冷却剤流として第1予備冷却済既圧縮BOG流と加熱済予備冷却用冷却剤流を供する。
【0025】
つまり第1冷媒流は、熱交換器内で前記予備冷却圧縮BOG流に接触する前記1つ以上の第1冷却剤流のうちの一として用いられる。前記熱交換器は、加熱済第1冷却剤流として第1冷却済既圧縮BOG流と加熱済第1冷媒流を供する。
【0026】
本発明の他の実施形態によると、前記予備冷却用冷却剤流は、予備冷却用開予備冷却剤系又は予備冷却用閉予備冷却剤系の一部であってよい。前記予備冷却用予備冷却剤流は、水流、空気流、又は予備冷却用冷媒流から選ばれてよいが、水流又は空気流が好ましい。典型的には開予備冷却用冷却剤流回路が用いられる場合、前記予備冷却用冷却剤流は海水流又は大流体流から選ばれてよい。典型的には閉予備冷却用冷却剤流回路が用いられる場合、前記予備冷却用冷却剤流は予備冷却用冷媒流から選ばれてよい。
【0027】
本発明の他の実施形態によると、前記予備冷却用冷却剤流に接触しての前記予備冷却用圧縮済放出流の冷却は、予備冷却熱交換器-たとえばシェルアンドチューブ式熱交換器又はプレート式熱交換器-内で実行される。
【0028】
本発明の他の実施形態によると、前記1つ以上の第1冷却剤流は、たとえば1つの冷媒又は複数の冷媒の混合物を含む第1冷媒流を含む。前記第1冷媒は、(i)前記圧縮システムの放出圧力及び放出温度、又は、(ii)前記圧縮システムの放出圧力及び前記予備圧縮済BOG流の温度で前記船荷を凝縮する機能を有しなければならない。前記第1冷媒は、1つ以上の有機化合物、アンモニア、及び、特に炭化水素及びフッ素化炭化水素-たとえばプロパン、プロピレン、ジフルオロメタン、及びペンタフルオロメタンなどで、フッ素化炭化水素R-410Aを含む-を含んでよい。
【0029】
本発明の他の実施形態によると、前記第1冷媒流に接触しての前記圧縮済BOG放出流又は前記予備冷却用圧縮済放出流の冷却は、放出熱交換器-たとえばシェルアンドチューブ式熱交換器プレート式熱交換器、又はエコノマイザー-内で実行される。
【0030】
本発明の他の実施形態によると、前記圧縮済BOG放出流のすべては前記1つ以上の第1冷却剤流に接触して冷却される。
【0031】
本発明の一の実施形態では、前記液化船荷は、エタン、液化石油ガス、液化石油化学ガス、及び液化アンモニアを含む群から選ばれてよい。本願で開示されている装置及び方法は、液化船荷-たとえばエタン及びLPG(特に3.5mol%超の濃度のエタン又はエチレンなどの軽い成分を含むもの)-にとって特に有益である。当該方法のさらに他の実施形態では、前記液化船荷はLPGで、具体的には3.5mol%超の濃度のエタンを含むLPGで、より具体的には5.0mol%超の濃度のエタンを含むLPGである。
【0032】
前記圧縮段階数は本発明を限定する因子ではない。任意で当該方法は、2,3,又は4の圧縮段階を有する。
【0033】
任意で前記第1冷却済既圧縮BOG流として十分に凝縮したボイルオフガスを供することが望ましい。しかし本発明は、前記1つ以上の第1冷却剤流に接触して冷却した後でも前記ボイルオフガスが十分に凝縮されない方法にも拡張される。
【0034】
本発明はまた、ある型の熱交換器-具体的にはある型の熱交換器で、より具体的には、温度の接近がシェル内での流体の組成によって制限される従来のシェルアンドコイルエコノマイザー-を用いる困難をも克服する。前記シェル内の前記流体の組成が単一成分-つまり十分に“純粋な”ガス-である場合での前記圧縮済BOGの膨張部分に接触しての前記流体の冷却は周知でかつ高価である。しかしこの冷却機能は、多成分混合物では減少し、かつ、沸点が顕著に異なる多成分混合物-たとえばエタンとメタンでは劇的に減少する。よって本発明は、かなりの量の1つ以上の沸点の低いガスを含む液化船荷の冷却サイクルを改善する。つまり本発明は、現時点では取るに足らない(たとえば0.1mol%以下のそのようなガス)船荷の性能係数を改善し、かつ、より高い含有量を有する船荷での動作を可能にする。
【0035】
任意で本発明は、前記船用燃料流を冷却剤流として用いることで、一般的には前記第1冷却段階後でかつ前記第2冷却段階後に、前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却する段階を有する。任意で上述したように前記第1冷却済既圧縮BOG流に代わって前記液化船荷の冷却力の少なくとも一部を利用するため、そのような冷却は、当技術分野において既知の任意の型又は形式の熱交換器によって供されてよい。
【0036】
任意で本発明は、前記船用燃料流を冷却剤流として用いることで、前記浮体式輸送船の1つ以上のエンジンへ前記船の燃料流が向かう前に、連続する経路すなわち通路内で前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却し、続いて前記予備冷却用BOG流を冷却する段階を有する。
【0037】
任意で本発明は、前記船用燃料流を冷却剤流として用いることで、一般的には予備冷却段階前に前記圧縮BOGを冷却する段階を有する。任意で上述したように前記第1冷却圧縮BOG流に代わって前記液化船荷の冷却力の少なくとも一部を利用するため、そのような冷却は、当技術分野において既知の任意の型又は形式の熱交換器によって供されてよい。
【0038】
浮体式輸送船のエンジンは当技術分野において既知であり、1つ以上の燃料を利用可能な1つ以上のエンジンを有し得る。本発明は前記船荷をエンジン燃料としてのみ用いる浮体式輸送船に限定されない。本発明は、前記(複数の)エンジンの性質を限定することなく前記浮体式輸送船の前記(複数の)エンジンへ燃料流を供給し得る。
【0039】
任意で前記船用燃料流は、1つ以上の適切なポンプ-典型的には船荷タンク内の内部低圧ポンプ及び外部高圧ポンプ-を利用することによって前記液化船荷から供される。
【0040】
任意で本発明は、前記第3冷却済既圧縮BOG流の少なくとも膨張部、若しくは前記冷却ベントBOG戻り流の少なくとも膨張部、又は、上記流の両方の少なくとも一部を船用燃料流として用いることに及ぶ。
【0041】
つまり前記第3冷却圧縮BOG流は(任意で本願で論じられているように当技術分野において既知である従来の減圧装置を用いることによって)膨張されることで、膨張された第3冷却済既圧縮BOG流が生成される。続いて前記膨張された第3冷却済既圧縮BOG流は、任意で前記液化船荷から供される船用燃料流と併用される船用燃料流として用いられてよい。
【0042】
加えて又は代わりに、前記ベントBOG戻り流の一部を膨張させて(任意で本明細書で論じるような当技術分野で知られている従来の減圧装置を使用して)膨張済既冷却ベントBOG戻り流を生成することができ、続いて前記膨張済既冷却ベントBOG戻り流は-任意で前記液化船荷から提供される船の燃料流と組み合わせて-使用することができる。
【0043】
任意で本発明は、気体ベント流の少なくとも膨張部分若しくは前記ベント放出流の少なくとも膨張部分、または両方の流体流の少なくとも一部を船の燃料流として使用することに及ぶ。
【0044】
すなわち、前記ベント気体流の一部は、(任意で本明細書で論じるように当技術分野で知られている従来の減圧装置を使用して)膨張ベント気体流を生成するように膨張させ得る。次いで前記膨張ベント気体流は、船用燃料流として-任意で前記液化船荷から供給される船用燃料流と組み合わせて-使用することができる。
【0045】
それに加えて、またはその代わりに、前記ベント放出流の一部は、(任意選択で本明細書で論じるように当技術分野で知られている従来の減圧装置を使用して)膨張されることで、膨張済ベント放出流が生成され得る。次いで前記膨張済ベント気体流は、船用燃料流として-任意で前記液化船荷から供給される船用燃料流と組み合わせて-使用することができる。
【0046】
このようにして本発明は、前記BOG流若しくはその成分の一部または全部を、前記船用燃料流の一部または全部として提供することができる。例えば、前記液化船荷がエタンである場合、前記BOGは、液化エタン船荷よりも高いメタン含有量(その低沸点のため)を含み、そのようなBOG流体流またはその成分を使用することで、前記流の一部または全部を前記液化エタン船荷へ戻すのではなく、より高いメタン含有流を船用燃料流として使用するという追加の利点が供される。このようにして、前記液化エタン船荷の純度は維持され、またはさらには増加可能で、メタンを含むBOGの割合が常に増加しているという当技術分野で知られている問題も、低減または回避することができる。
【0047】
このようにして、本発明は、1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷の輸送に使用することができる。任意で前記液化船荷は複数の成分を含む。
【0048】
また本発明は、新しい動作要件を有する新しい装置を導入し、どのように使用するかを検討するのではなく、既知のOPEXおよびCAPEXを有する現在のオンボード装置および装置の使用を維持することを目的とする。
【0049】
したがって、本発明の別の実施形態によれば、前記第2冷却剤流に接触する前記第1冷却済既圧縮BOG流の冷却は、エコノマイザー内で行われる。
【0050】
本発明の別の実施形態によれば、前記第1冷却済既圧縮BOG流の全ては、前記第2冷却剤流に接触して冷却される。
【0051】
本発明の別の実施形態によれば、前記第2冷却済既圧縮BOG流の全ては、前記第3冷却剤流に接触して冷却される。
【0052】
本発明の別の実施形態では、当該方法は、
前記第1冷却済既圧縮BOG流からの気体ベント流を提供する段階と、
前記第3冷却済既圧縮BOG流の一部を膨張させて第4冷却剤流を生成する段階と、
前記気体ベント流を前記第4冷却剤流に接触して冷却して冷却済ベント流と加熱された第4冷却剤流を提供する段階、をさらに含む。
【0053】
このようにして、本発明はさらに、前記圧縮済BOG内の以前に考慮された「非凝縮性」または「非濃縮性」成分の再液化を増加させることができる。
【0054】
好ましくは、前記加熱済第4冷却剤流は、BOG再循環流であるか、またはBOG再循環流として使用され得る。したがって当該方法は、中間圧縮済BOG流-たとえば第1又は第2で好ましくは第1の中間圧縮済BOG流-と前記加熱済第4冷却剤流を組み合わせる段階をさらに含んでもよい。
【0055】
任意で本発明の方法は、前記冷却済ベント流を分離して、ベント放出流と冷却済ベントBOG戻り流を提供する段階をさらに含む。
【0056】
任意で本発明の方法は、
前記冷却済ベントBOG戻り流を膨張させて膨張済既冷却ベントBOG戻り流を提供する段階と、
前記膨張済既冷却ベントBOG戻り流を貯蔵タンクに通過させる段階をさらに含む。
【0057】
任意で本方法は、
前記冷却済ベントBOG戻り流を膨張させて前記膨張済既冷却ベントBOG戻り流を提供する段階と、
前記膨張済既冷却ベントBOG戻り流と前記ベント放出流との熱交換を行うことで、熱交換済ベントBOG戻り流、冷却済ベント放出流、及び他のベント放出流を供する段階と、
前記冷却済ベント放出流を拡張して、拡張済既冷却ベント放出流を供する段階と、
前記.熱交換済ベントBOG戻り流および前記膨張済既冷却ベント放出流を貯蔵タンクに通過させる段階をさらに含む。
【0058】
任意で圧縮の段階は多段コンプレッサの圧縮段階である。
【0059】
前記第1冷却済既圧縮BOG流体流は、少なくとも1つの第2の冷却剤流に接触して冷却されることで、第2冷却済圧縮BOG流体流が供される。任意で前記第1冷却済既圧縮BOG流は、前記第1膨張済既加熱BOG流のみを含む第2冷却剤流に接触して全体的に又は実質的に冷却される。好適には前記第2冷却剤流の全ては前記第1膨張済既加熱BOG流を含む。すなわち、第1冷却済既圧縮BOG流は1つ以上の他の第2冷却剤流に接触して冷却されてもよいが、これらは前記第1膨張済既加熱BOG流の使用によって供される冷却と比較して、二次的又は軽微である。
【0060】
任意で前記第2冷却剤流として使用される前記第1膨張済既加熱BOG流は、液相および気相の両方を含む。すなわち前記第1膨張済既加熱BOG流は、第2冷却剤流として使用される前に、独立した気相と液相とに分離される必要はない。
【0061】
好ましくは前記第2冷却剤流として使用される前記第1膨張済既加熱BOG流の前記液相と気相は、前記第1冷却済既圧縮BOG流の冷却において分離される。これは好適には、前記第1冷却済既圧縮BOG流が冷却されることを可能にする装置-好適にはコノマイザー-による。
【0062】
本発明の第2の態様によれば、1気圧で-110℃を超える沸点を有する複数の成分を含む浮体式輸送船内の液化船荷からのボイルオフガス流を冷却する装置が提供される。当該装置は少なくとも以下を含む:
- 液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮するための圧縮システム。前記圧縮システムは、圧縮済BOG放出流を提供するための少なくとも第1の段階および最終段階を含む2つ以上の圧縮段階を含み、中間圧縮済-任意で既冷却-BOG放出流は連続する圧縮段階の間に提供される。
- 前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を提供する1つ以上の第1熱交換器。
- 1つ以上の第2熱交換器。前記1つ以上の第2熱交換器は、該1つ以上の第2熱交換器において分離される混合相冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を供する。
- 船用燃料流を冷却剤流として使用して、前記圧縮済BOG放出流及び/又は前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却する1つ以上の船用燃料熱交換器。
【0063】
任意で当該装置は、前記第2冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第3冷却済既圧縮BOG流を提供する1つ以上の第3熱交換器をさらに備える。
【0064】
任意で本明細書で定義される装置は、本明細書で定義される方法を使用して動作可能である。
【0065】
好適には前記第2熱交換器はエコノマイザーである。
【0066】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で定義される装置を有する、あるいは本明細書で定義される方法を操作する、1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷用浮体式輸送船が供される。
【0067】
本発明は、1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷用の任意の浮体式輸送船に適用可能である。本発明は、液化船荷用貯蔵タンクが、温度を下げることによって前記船荷をほぼ大気圧で液相に維持するように十分に冷蔵されている浮体式輸送船、及び、環境温度よりも温度を低下させ、かつ、大気圧よりも圧力を上昇させることによって前記貯蔵タンク内の前記船荷が液相に維持されている浮体式輸送船に利用することができる。
【0068】
本明細書に開示される方法および装置の利点を得るためには、エコノマイザーの使用は必要とされない。しかし特定の実施形態では、エコノマイザーなどの熱交換器が、前記中間圧縮済BOG流を冷却するために、圧縮の連続する段階の間-たとえば第1段階と第2段階との間-に配置されてよい。3つ以上の圧縮段階が存在する場合、中間圧縮BOG流体流の冷却を可能にする熱交換器-エコノマイザー-又はインタークーラ-たとえば海水インタークーラ-が、前記第2圧縮段階と前記最終圧縮段階との間に設けられ得る。
【0069】
例えば、前記第2圧縮段階と前記第3圧縮段階との間に中間冷却器が配置されてよい。代替的にエコノマイザは、前記第2圧縮段階及び第3圧縮段階の間、並びに前記第1圧縮段階及び前記第2圧縮段階の間に配置されてもよい。エコノマイザーでは、前記冷却済既圧縮BOG流の膨張済-場合によりさらに冷却された-部分が、中間圧縮済BOG流と熱交換され得る。さらなる実施形態では、前記冷却済既圧縮BOG流の膨張済-任意でさらに冷却された部分-は、前記冷却済既圧縮放出流の任意のさらに冷却された部分と熱交換され得る。これは、性能係数のさらなる向上と冷却-特に再液化能力の増加-につながる。
【0070】
本明細書に開示される方法及び装置は、圧縮の段数が存在する状態を維持し、必要な配管、弁及び制御装置を追加して、前記第3冷却済BOG流の膨張部分に接触して第2冷却済既圧縮BOG流の冷却を行うことにより、追加部品として既存の浮体式輸送船に適用することができることは明らかである。
【0071】
本明細書で使用されるように、用語「複数の圧縮段階」は、圧縮システムにおける一連の2つ以上の圧縮段階と定義される。圧縮の各段階は、1つ以上の圧縮機によって達成することができる。各圧縮段階の1つ以上の圧縮機は、別々に駆動されるように、他の圧縮段階の圧縮機とは独立していてもよい。あるいは、圧縮段階のうちの2つ以上は、連結されて、典型的には任意の歯車を備えた単一の駆動部と駆動軸によって動力供給される圧縮機を利用することができる。そのように連結された圧縮段階は、多段圧縮機の一部とすることができる。
【0072】
本明細書に開示される方法および装置は、少なくとも2つの圧縮段階を必要とする。最初の圧縮段階後、後続の各段階は、前の段階の放出における圧力と比較して圧力を増加させる。「連続段階」とは、一対の隣接する圧縮段階、すなわち「n」を0より大きい整数とすると、第n段階と次の第(n+1)段階である。従って連続する段階は、例えば、第1段階と第2段階又は第2段階と第3段階と第4段階である。中間圧縮済流(及び冷却済中間既圧縮流)は、連続する圧縮段階を接続する流れを指す。前記冷却済中間既圧縮流に関して使用される「次の圧縮段階」又は「後の圧縮段階」とは、中間流を定める2つの連続する段階のうち数字の大きなもの (及びより高い圧力の段階)を指す。
【0073】
熱交換段階は間接的であってもよく、この場合、熱交換に関与する2つ以上の流れは分離されており、直接接触していない。あるいは、熱交換は直接的であってもよく、この場合、熱交換に関与する2つ以上の流れを混合し、それによって混合された流れを生成することができる。
【0074】
本発明のさらなる態様によれば、複数の構成要素を含む浮体式輸送船において、1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷からのボイルオフガス流を冷却するための装置を一体的に設計する方法が提供される。当該方法は、
液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮するために、圧縮済BOG放出流を提供する少なくとも第1段階と最終段階とを含む2つ以上の圧縮段階を有して、中間-任意で冷却済-圧縮済BOG流が連続する圧縮段階間で供される、圧縮システムを選択する段階と、
前記圧縮済BOG放出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を提供するために1つ以上の第1熱交換器を選択する段階と、
混合相冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を提供するため、1つ以上の第2熱交換器を選択する段階であって、前記混合相冷却剤流は前記1つ以上の第2の熱交換器内で分離される段階と、
船用燃料流を冷却剤流として使用して圧縮済BOG放出流及び/又は第1冷却済既圧縮BOG流を冷却するために1つ以上の容器燃料熱交換器を選択する段階、を有する。
【0075】
任意で当該方法は、前記第2冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第3冷却済既圧縮BOG流を提供するために、1つ以上の第3熱交換器を選択する段階をさらに含む。
【0076】
任意で当該方法は、
当該装置のプロセスシミュレーションを実行する段階と、
当該方法の効果を判断する段階と、
前記プロセスシミュレーションでのプロセス変数を変更する段階と、
前記プロセスシミュレーションを繰り返す段階、をさらに含む。
【0077】
本発明のさらなる態様によれば、浮体式輸送船において1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷からのボイルオフガス流を冷却するプロセスを設計する方法が提供される。当該方法は、
液化船荷からのボイルオフガス流を圧縮するため、前記圧縮システムは、圧縮済BOG放出流を提供するための少なくとも第1段階および最終段階を含む、圧縮されたBOG排出流を提供する2つ以上の圧縮段階を有する圧縮システムを設計する段階と、
(圧縮されたBOG排出流を冷却して第1冷却済既圧縮BOG流を提供するために)1つ以上の第1熱交換器を設計する段階と、
混合相冷却剤流に接触して前記第1冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第2冷却済既圧縮BOG流を提供するため、1つ以上の第2熱交換器を設計する段階であって、前記混合相冷却剤流は前記1つ以上の第2の熱交換器内で分離される段階と、
船用燃料流を冷却剤流として使用して、前記圧縮済BOG放出流及び/又は前記第1冷却済既圧縮BOG流を冷却する1つ以上の船用燃料熱交換器を設計する段階、を有する。
【0078】
任意で当該方法は、前記第2冷却済既圧縮BOG流をさらに冷却して第3冷却済既圧縮BOG流を提供するように1つ以上の第3熱交換器を設計するステップをさらに含む。
【0079】
任意で当該方法は、
プロセスのプロセスシミュレーションを実行する段階と、
当該方法の効果を判断する段階と、
前記処理シミュレーションにおいて処理変数を変更する段階と、
前記処理シミュレーションを繰り返す段階をさらに含む。
【0080】
本明細書で論じられている設計方法は、関連する運転設備及び制御装置を船全体の建設に組み込むためのコンピュータ支援プロセスを組み込むことができ、また、関連するコスト、運転パラメータの容量を方法論及び設計に組み込むことができる。本明細書で説明する方法は、コンピュータ上で読み取られ、処理されるのに適した媒体上に符号化することができる。例えば本明細書に記載される方法を実行するためのコードは、パーソナルコンピュータまたはメインフレームコンピュータによって読み取られて複製され得る磁気または光学媒体上に符号化され得る。よってこの方法は、このようなパーソナルコンピュータまたはメインフレームコンピュータを使用して、設計エンジニアによって実行され得る。
【0081】
本発明の特定の特徴およびその設計方法は、一組の数値上限および一組の数値下限に関して記載されてもよい。そのような限定の任意の組み合わせによって形成される任意の範囲が、本発明の範囲内に属すると考えられることを理解されたい。さらに、全体的な設計は、本明細書で具体的に定義された組み合わせと共に使用するための追加の構造の選択を含むことが企図される。様々な構造体動作パラメータは、限定された又は固定された基礎のために選択されてもよく、又は容器内での柔軟性又は複数の動作使用のために選択されてもよい。したがって、設計方法は、本発明の精神および範囲内に含まれる、容器および任意の船外の全体設計に関する代替、修正、および等価物を網羅することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
ここで、本発明の実施形態を、単なる例として、添付の非限定的な図面を参照して説明する。
【
図1】本発明の一の実施形態による浮体式輸送船において1気圧で-110℃を超える沸点を有する液化船荷からのボイルオフガスを冷却-特に再液化-するシステムの概略図を示す
【
図2】本発明の別の実施形態による浮体式輸送船内の液化船荷からのガスを冷却-特に再液化-して沸騰させるシステムの模式図を示す。
【
図3】本発明の別の実施形態による浮体式輸送船内で液化されたものからのボイルオフガスを冷却-特に再液化-するシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
浮遊再液化システムは、ボイルオフガスとしても知られている蒸気を1つ以上の貯蔵タンクから引き出し、ボイルオフガスを圧縮機に送り、そこで圧縮されて、圧縮済蒸気を冷却し、放熱板/冷媒として1つ以上の冷却剤に接触して凝縮させることができる。例えば、海水を使用して、典型的には脱過熱であるが、圧縮蒸気をオープンサイクル予備冷却回路で予備冷却することができる。次いで、予冷された圧縮蒸気を、閉サイクル冷媒回路内の冷媒に接触してさらに冷却することができる。
【0084】
冷媒に接触して凝縮することができない圧縮蒸気のより軽い成分は、通常、雰囲気に放出されるか、または蒸気の形態で貯蔵タンクに再循環される。典型的には、液化船荷は、減少した温度(周囲温度に対する)及び増加した圧力(大気圧に対する)の一方又は両方の下で貯蔵タンク内に保持される。
【0085】
本明細書に開示される方法および装置は、BOGを再液化する、および/または船舶燃料として船荷を使用する、および/または船舶燃料としてBOGを使用する、改善された方法および装置を提供しようとする。
【0086】
本明細書に開示される方法および装置は、BOGを再液化する、および/または船舶燃料として船荷を使用する、および/または船舶燃料としてBOGを使用する、改善された方法および装置を提供しようとする。
図1は、本発明の一実施形態による浮遊輸送船内の液化船荷からのボイルオフガスを冷却する、特に再液化するシステムの概略図を示す。船荷は、本明細書中で議論されるガスのいずれか1つであり得る:エタンが代表として選択される。
【0087】
液化エタン船荷は、エタンを液化状態に維持するために断熱および/または加圧され得る槽50aに貯蔵される。例えば、断熱材が不完全であるために槽内のエタンが蒸発すると、槽50aの頭上空間にエタンガスが形成されることになり、このようなガスは一般にボイルオフガス(BOG)と呼ばれる。このガスの蓄積を防止するために、ボイルオフガス流01aとして槽50aから除去される。全ての構成要素は圧縮され、除去されたボイルオフガスの出来るだけ多くの構成要素が通常冷却されて凝縮されてからタンク50aに戻される。
【0088】
ボイルオフガス流体流01aは、第1の圧縮段階65及び第2の圧縮段階75を備える
図1に示す2段階圧縮機のような圧縮システム60に渡すことができる。2段圧縮システム60は、圧縮済BOG放出流体流06aを生成し、この流体流は、圧縮済BOG放出流06aが海水流体流102に接触して冷却される、事前冷却熱交換器100に渡すことができる。予備冷却熱交換器100は、予備冷却済既圧縮BOG流07aと海水温海水流104とを生成する。予冷熱交換器100は、圧縮済BOG放出流06aを脱熱することができる。
【0089】
予備冷却済既圧縮BOG流07aは、冷媒熱交換器250に渡すことができ、この場合、予備冷却済既圧縮BOG流07aは、冷媒流体流252に接触して冷却される。冷媒は、圧縮システム60の吐出圧力で液化船荷を凝縮できるものであるべきである。冷媒は、プロパンまたはプロピレンであってもよい。冷媒流252は、冷媒熱交換器250と、冷媒圧縮器と、冷媒冷却器とを備える冷媒回路(図示せず)の一部とすることができる。冷媒回路は、閉じた冷媒システムであってもよい。このような冷媒回路は、冷媒パックとも呼ばれ、周知である。
【0090】
冷媒熱交換器250は、冷却された圧縮BOG流8aおよび加熱された冷媒流体流254を生成する。冷却済既圧縮BOG流8aは、圧縮の第2段階75の吐出圧力で'再液化'すなわち冷媒に接触して縮合'が可能な、ボイルオフガスのそれらの成分を含む少なくとも部分的に縮合された流体流である。
【0091】
本システムでは冷媒に接触して再縮合不能であり、本明細書で論じたように「非凝縮性」構成要素と「凝縮不能」構成要素の両方を含み得る「非凝縮性」構成要素は、冷媒熱交換器250、または蒸流体流である通流体流49として冷媒熱交換器250の下流側に配置された関連蓄(図示せず)から除去することができる。
【0092】
冷却された圧縮BOG流8aは、さらなる熱交換器80に通されて、典型的には完全に凝縮された流れである冷却された戻り流体流18を提供することができる。
【0093】
次いで、冷却された戻り流体流18を膨張器またはジュール-トムソン弁のような戻り圧力減少装置22に通過させて、膨張された冷却された戻り流体流24を提供することができる。典型的には、戻り減圧装置22は、冷却された戻り流体流18の圧力を、圧縮済BOG放出流06aの圧力またはその付近から、槽50a内の液体船荷およびBOGの圧力に近い圧力、例えば、槽50aへの膨張された冷却された戻り流体流24の適切な流体流を確実にするのに十分な槽内のBOGの圧力のすぐ上の圧力まで低下させる。膨張した冷却された戻り流体の流れ24の圧力は、圧縮の第1段階65の吐出圧力の圧力よりも低い。
【0094】
圧縮システム60に戻ると、圧縮の第1の段階65は第1の中間圧縮BOG流02aを提供し、これは更なる熱交換器80に渡される。第1中間圧縮済BOG流02aは、更なる熱交換器80内の冷却済既圧縮BOG流8aの膨張部分8bに接触して熱交換されて、冷却された第1中間圧縮BOG流03aを提供することができ、次いで、圧縮の第2段階75の吸引に渡すことができる。第2の段階75は、冷却された第1中間圧縮済BOG流03aを圧縮して、圧縮済BOG放出流06aを提供する。
【0095】
図1は、タンク50aから提供される船用燃料流40も示しており、任意で内部低圧ポンプ48と外部高圧ポンプ49を用いている。
【0096】
船用燃料流40は、線40aを介して第1船用燃料熱交換器42に供給することができる。第1船用燃料熱交換器42は、冷却済既圧縮BOG流8aの経路内に、更なる熱交換器80の前に位置する。任意に、第1船用燃料熱交換器42は、流体流8aよりもむしろ流体流18を冷却するために、さらなる熱交換器80の後に配置することができる。
【0097】
第1のより暖かい船用燃料流40bを第2の船用燃料熱交換器44に供給して、船用燃料流40が第1及び第2の船用燃料熱交換器42、44を直列に通過するように、圧縮済BOG放出流07aを冷却することができる。
【0098】
第1および第2船用燃料熱交換器42、44は、より暖かい船用燃料流燃料ガス流40cを提供する。
【0099】
任意に、第2船用燃料熱交換器44は、予備冷却済既圧縮BOG流07aよりも圧縮済BOG放出流06aを冷却するために、予備冷却済既圧縮BOG流07aよりも予備冷却された熱交換器100の前に配置することができる。
【0100】
あるいは、船用燃料流40は、船用燃料流40が第1および第2船用燃料熱交換器42、44を平行に通過するように線40b(図示せず)に供給することができる。
【0101】
より暖かい船用燃料流燃料ガス流40cは、別々の場所で組み合わされ、次いで、1つ以上のエンジン(図示せず)、一般に1つ以上のエンジンコンパートメント内の1つ以上のエンジンに向かって、任意選択で、船荷タンク50aの浮遊輸送船に動力を供給し、
図1に示される構成がその上に存在する1つ以上の他の燃料エンジンと組み合わせて、通過させることができる。
【0102】
船用燃料流40は冷媒流252及び/又は海水流102よりも低温であるので、
図1に示す冷却装置は、船用燃料流40を使用して追加の冷却を行い、圧縮システムの圧縮機動力要件を低減する。圧縮機所要動力の低減は、BOG回収操作の総合効率を高める。
船用燃料流に対する、および外部熱源に対する要求は、低減されるか、または排除される。検討中のシステムでは、約20%の電力削減が達成可能である。追加的に又は代替的に、考慮中のシステムについて、5~10%の冷却の増加が達成可能である。
【0103】
本発明による方法および装置の第2の実施形態が、
図2に開示されており、必要に応じて、
図1と同一の流名および構成要素名、ならびに
図1と同一の参照番号が、残りの図における対応する流および構成要素に使用されている。
【0104】
図2は、LPG運搬船のような浮体式輸送船用燃料流内の液化船荷貯蔵タンク50を示す。貯蔵タンク50からの蒸発した船荷を冷却、特に再液化するために、蒸発した船荷を含むボイルオフガス流体流01は、2つ以上の圧縮段階を有する圧縮システム60に送られる。ボイルオフガス流体流01は、0~500kPaゲージ以上の範囲の圧力(「BOG圧力」)を有することができ、圧縮システム60は、2段以上からなる多段圧縮機であってもよく、「多段圧縮機」とは、圧縮機内の各圧縮段が、同一の駆動軸によって駆動されることを意味する。あるいは、圧縮システム60は、圧縮の各段階に対して独立して駆動される圧縮機を備えてもよい。圧縮システム60が多段圧縮機である場合には、典型的には往復圧縮機である。
【0105】
図2の実施形態は、第1段65および第2段70と、第3段および最終段階75とを有する圧縮システム60を示すが、本明細書に記載の方法および装置は、2段または3段以上を有する圧縮機にも適用可能である。圧縮の第1段階65および最終段階75は、それぞれ、それらの放出で低圧および高圧の流れを提供する。
【0106】
圧縮システム60は、ボイルオフガス流体流01を圧縮して、圧縮済BOG放出流06を提供する。圧縮済BOG放出流06は、1.5~3.2MPa以上、例えば6MPaまでの範囲の圧力(「最終段階圧力」)を有することができる。
【0107】
圧縮済BOG放出流体流06は、1つ以上の第1の熱交換器200、300内で1つ以上の第1の冷却剤流体流202、302に接触して冷却され、第1冷却済既圧縮BOG流08を提供する。
図2の実施形態では、圧縮済BOG放出流06は、1つ以上の第1熱交換器の1つとして、予冷熱交換器200に渡すことができる。圧縮済BOG放出流06は、より多くの第1の冷却剤流体流の1つとして、予備冷却された冷却剤流体流に接触して予備冷却される。前冷却冷却剤流202は、空気または水流、例えば環境空気または海水流であってもよい。予冷熱交換器200は、シェルアンドチューブ熱交換器またはプレート熱交換器であってもよい。予備冷却熱交換器は、圧縮済BOG放出流06を脱熱することができる。予備冷却熱交換器200は、予備冷却済既圧縮BOG流07と加熱された予備冷却剤流204とを提供する。典型的には、予冷却剤として使用される海水は、+36(C)以下、より典型的には+32(C)以下の温度を有するであろう。
【0108】
予備冷却熱交換/交換器200は、本明細書に開示される方法および装置において任意である。それは、後続の冷却の工程の冷却デューティを減少させるので、有利である。しかしながら、代替の実施形態では、圧縮済BOG放出流06を、線06'を介して放出熱交換器300に直接通すことができ、その結果、符号210で示される装置を省略することができるような、本質的な態様ではない。このような状況では、予備冷却がないことを補うために、放出熱交換器300の冷却能力を増加させなければならないであろう。
【0109】
次いで、予備冷却済既圧縮BOG流07を、1つ以上の第1熱交換器の別のものとして、放出熱交換器300に送ることができる。放出熱交換器300は、予備冷却済既圧縮BOG流07を、1つ以上の第1冷却剤流体流の別のものとして、第1冷媒流体流302に接触して冷却する。放出熱交換器300は、第1冷却済既圧縮BOG流08と加熱済第1冷媒流体流304とを提供する。
【0110】
第1冷媒流302、放出熱交換器300および加熱された第1冷媒流304は、図示しない第1冷媒系の一部であってもよい。このような第1冷媒システムは、さらに、加熱された第1冷媒流304を圧縮して圧縮済第1冷媒流を提供する第1冷媒圧縮機と、第1冷媒を冷却して冷却済既圧縮第1冷媒流を提供する第1冷媒クーラーと、冷却済既圧縮第1冷媒流を膨張させて第1冷媒流302を提供する第1冷媒膨張装置とを備えることができる。第1の冷媒システムは、閉鎖システムであってもよい。第1の冷媒は、1つ以上の有機化合物、特に、フッ素化炭化水素混合物R-410Aを含む、プロパン、プロピレン、ジフルオロメタンおよびペンタフルオロメタンなどの炭化水素およびフッ素化炭化水素、ならびにアンモニアなどの1つ以上の無機化合物を含むことができる。
【0111】
第1冷却済既圧縮BOG流08は、部分的に凝縮された圧縮済BOG流であってもよく、圧縮の最終段階の吐出圧力で第1の冷媒に接触して凝縮されることができるボイルオフガスの成分を含む。いかなる非縮合成分も、放出熱交換器300から、通流体流(図示せず)として、又は放出熱交換器300の下流側に配置されたガス/液体分離器として機能する放出受信機(図示せず)から除去することができる。気体成分と液体成分の分離に適した放出熱交換器は、冷却済既圧縮BOGがシェル側に位置するシェル及びチューブ熱交換器である。
【0112】
任意の放出受け部は、蓄熱器とすることができ、放出熱交換器300内の液体シールを維持するように、および/または圧縮の最終段階75で放出圧力を維持するように動作することができる。
【0113】
放出熱交換器300は、蒸気相と凝縮相とを別々の流れ、例えばプレート型及びフィン型の熱交換器に適切に分離することができなかったタイプのものであってもよい。
このような状況では、放出受信機は、放出熱交換器300の下流に配置され、非縮合成分を通流体流として分離する。
【0114】
次に、第1冷却済既圧縮BOG流08は2回目の冷却がなされる。これは、第1冷却済既圧縮BOG流08を第2熱交換器180に通すことによって達成することができる。第2熱交換器180は任意の種類のものであってよく、中間段階、特に第1段階、中間BOG流02又は04並びに第1冷却済既圧縮流08を冷却するためのエコノマイザーが
図2に示されている。
【0115】
第1冷却済既圧縮BOG流08の冷却は第2の冷却剤流体流に接触して行われ、第2冷却済既圧縮BOG流34を提供する。任意選択的に、第1冷却済既圧縮BOG流08の一部は、第2熱交換器180に入る前に他の場所で使用することができるが、本実施形態では、第1冷却済既圧縮BOG流08の全体または実質的にすべてが第1熱交換器180に入ることが好ましい。
【0116】
後述する第2冷却剤の動作は、第2冷却済既圧縮BOG流34を提供することである。
この場合も、この流体流34の一部を他の場所で使用することができるが、好ましくは、第2低温圧縮済BOG流34の全体または実質的にすべてを第3熱交換器195に通して、第2冷却済既圧縮BOG流34をさらに冷却し、第3冷却圧縮BOG流35を提供する。
【0117】
第3熱交換器195は、エコノマイザなどの任意の種類のものとすることができるが、好ましくは、当技術分野で知られている板およびフィン熱交換器などの向流熱交換器である。
【0118】
本発明の本実施形態では、第3冷却済既圧縮BOG流35の一部は、第1段階の吐出圧力と最終段階の吸入圧力との間の圧力まで膨張され、第1膨張済既冷却BOG流33aを提供する。この動作は、ジュール・トムソン弁または膨張器などの減圧装置80を介して、当技術分野で知られている方法で実行することができる。
【0119】
第1膨張済既冷却BOG流33aは、第3熱交換器195内の第3冷却剤として使用され、熱交換は第3冷却済既圧縮BOG流35を提供し、第1膨張済既加熱BOG流33bは加熱済第3冷却剤流33bとして使用され、第2冷却剤流33bとして間接的に、又はより好ましくは直接的に使用することができる。第1膨張済既加熱BOG流/第2冷却剤流33bは、第2冷却剤流33bとして使用する前に、第3熱交換器195で使用した後の第1膨張済既加熱BOG流の残りの冷却効果の全てを完全に利用するために(気相/液相を分離するために)分離されない。
【0120】
第1膨張済既加熱BOG流/第2冷却剤流33bは、第2熱交換器180に通され、第1冷却済既圧縮BOG流08との熱交換によって、第2冷却済既圧縮BOG流34と、第2熱交換器180内の加熱済第2冷却剤とが提供される。加熱済第2冷却剤は、第2熱交換器180内で都合よく分離され、以下に説明される蒸気及び液体成分を含むことができる。加熱済第2冷却剤流体流は、第1膨張済かつさらに加熱されたBOG流であり、適切な圧力の中間圧縮済BOG流に渡すことができる。
図2の実施形態では、加熱済第2冷却剤流は、第1中間圧縮済BOG流02と組み合わされる。
【0121】
第1の膨張済既冷却BOG流33aを提供するために使用されない第3冷却済既圧縮BOG流35の部分は、当技術分野で公知の方法で、膨張冷却BOG戻り流体流36として減圧装置82を介して船荷タンク50への戻り流体流として戻すことができる。
【0122】
図2はまた、船荷タンク50からの船用燃料流40の提供を示しており、第1冷却済既圧縮BOG流08の経路内の第1船用燃料熱交換器42に線40aを提供して、放出熱交換器300の後に該流体流08を冷却する。第1船用燃料熱交換器42からのより暖かい船用燃料流燃料ガス流体流40dは、予備冷却済既圧縮BOG流07の経路内の第2船用燃料熱交換器44内に提供され、予備冷却熱交換器200の後、該流体流07に冷却を提供する。(場合により、装置210を通過しない任意の直接流体流06f'の前または後のいずれかである。)次に、より暖かい船用燃料流40eを、
図2に示す構成が上述した方法で存在する浮遊輸送船用燃料流の1つ以上のエンジンに供給することができる。選択的に、船用燃料熱交換器42は、流体流34を冷却するために代わりに設けられてもよい。
【0123】
図2はまた、第3冷却済既圧縮BOG流35の一部を任意に使用して、線35aに沿って減圧装置83を通過させ、膨張された第3冷却済既圧縮BOG流35bを提供することを示し、これは、代替的にまたは追加的に、船用燃料流燃料として使用することができる。すなわち、線40a内の船用燃料流燃料の体積は、膨張した第3冷却済既圧縮BOG流35bによって、限定された持続時間または期間の間、または全体的にまたは実質的に経時的に、部分的にまたは全体的に提供することができる。
【0124】
任意選択で、流体流33bはBOG流01に渡される。これは、流体流35の温度を船用燃料流40の要件により適合するように低下させる。
【0125】
したがって、本実施形態は、第1および/または第2の船用燃料熱交換器42、44に供給される船用燃料流燃料が、第3冷却済既圧縮BOG流35から、または船荷タンク50から、またはそれらの組み合わせから提供され、その組み合わせは、
図2に示される方法および装置全体で所望される燃料需要および/または効率に応じて、経時的に、または体積にわたって、またはその両方にわたって変化することができることを提供する。
【0126】
当業者は、線35aと減圧装置80及び82内への通路との間の第3冷却済既圧縮BOG流35の可能な分割を計算することができ、これは浮上輸送船用燃料流要件に対して最良の全体的な電力/効率バランスを達成する。検討中のシステムでは、約20%の電力削減が達成可能である。加えて、または代替的に、検討中のシステムに対して、約50%の冷却の増加が達成可能である。
【0127】
また、第1熱交換器200、300および第2熱交換器180の性質において、操作者が第2の熱交換器180として「従来の」シェルおよびチューブエコノマイザを使用し続けることができるように、また、本実施形態は、単に、1つまたは2つの船用燃料熱交換器42、44および任意の第3熱交換器195を追加するだけで達成することができるように、CAPEX変更が必要でないことも、本実施形態の特別な特徴である。これにより、全体的なBOG再液化システムを少なくとも第2の熱交換器180内の既存のレベルコントローラによって制御することができ、異なるBOG組成物および異なる段間圧力の使用に伴って生じる可能性のある温度制御に関する潜在的な問題を回避することができる。
【0128】
実際、液化船荷のためのBOG再液化方法および装置の冷凍能力における10~15%の向上は、デミニムスレベルを超え、さらには0.4または0.5モル%を超えるメタンを含有する(液相の)エタン船荷について可能である。このようなメタン含有液化エタン船荷は、新たな又は他のエタン源が提供されているが、輸送前にエタンを精製する(メタン含有量を低減又は排除することによって)という要望は、費用対効果が低く、場合によっては、局所的には不可能である場合には、ますます一般的になり得る。
【0129】
図3は、本発明の方法および装置のさらなる実施形態を示す。
図2と共通して、
図3は、液化船荷貯蔵タンク50を示し、そこから蒸発された船荷を含むボイルオフガス流体流01が圧縮システム60に渡され、圧縮の3段階が第1段階65、第2及び途中段階70、及び第3及び最終段階75を有する。第1段階65は、第2熱交換器180に入る第1中間圧縮済BOG流02を提供し、中間圧縮段階70に入る冷却された第1中間BOG流03を提供し、圧縮の最終段階75の吸引に入る第2の中間圧縮済BOG流04を提供する。
【0130】
圧縮システム60は、前述の方法で海水流202内の海水である1つの第1冷却剤に接触して冷却されるべき1つ以上の第1熱交換器の1つとして、予冷熱交換器200に通すことができる圧縮BOG放出流体流06を提供し、予冷済既圧縮BOG流07を提供する。
【0131】
次いで、前述の方法で、予備冷却済既圧縮BOG流07を、1つ以上の第1熱交換器の別のものとして、放出熱交換器300に送ることができる。放出熱交換器300は、第1冷却済既圧縮BOG流08と加熱済第1冷媒流304とを提供する。
【0132】
第1冷却済既圧縮BOG流08は、
図3に示すように、直接、または任意選択で放出受け部305を通過した後のいずれかで提供することができる。
【0133】
冷却済既圧縮BOG流08が完全に凝縮されていないところには、流体流51aとして放出熱交換器300から、および/または流体流51bとして放出受け部305から、同じくガス状のベント流体流51が設けられている。
図3は、2つの流れ51a、51bを別々に示しているが、このような流れは、放出熱交換器300および放出受け部305の性質および構造に応じて、別々に、または組み合わせて、または区別なしに提供することができる。これらの流体流または流体流の提供は、当該技術分野において公知である。
【0134】
気体通気流51は、「非凝縮性」構成要素と「凝縮性」構成要素の両方を含むことができる。凝縮内構成要素は、一般に、特定の浮遊輸送船用燃料流BOG冷却システムの閉じ込め及び動作パラメータ内で圧縮及び凝縮されることによって、これまで実用上不可能であった構成要素であると考えられ、主に窒素に関する。
【0135】
国際公開第2012/143699号パンフレットには、気体状ベント流の回収率を増加させるために、気体ベント流の凝縮の量または割合を増加させるための方法および装置が示されている。
【0136】
本実施形態では、本方法および装置は、
図3に例として示すように、第3の冷却圧縮BOG流35の一部を膨張させて第4の冷却剤流33cを形成する工程を、一般に、第3の冷却圧縮BOG流35の一部を減圧弁87に通して、第3の冷却圧縮BOG流35の一部がベント熱交換器などの第4の熱交換器197内で第4の冷却剤33cとして働くことを可能にする量だけ通す工程をさらに含むことができる。
【0137】
第4熱交換器197は、任意の種類であってよいが、好ましくは、板およびフィン配置などの向流熱交換器である。
図3に示すように、気体通気流51を第4冷却剤流33cに接触して冷却して、冷却された通流体流53及び加熱された第4冷却剤流38を提供することができる。
【0138】
任意に、加熱された第4冷却剤流体流38は、第2熱交換器180内に通過し、そこからの蒸気が冷却された第1の中間体BOG流03の一部として使用され得るBOG循環流体流である。
【0139】
ベント熱交換器197内の気体ベント流51の冷却は、放出熱交換器300内で凝縮できなかったボイルオフガスの成分の一部を、プロパンまたはプロピレンなどの第1の冷媒に接触して凝縮させることができる。冷却済ベント流体流53は、典型的には、少なくとも部分的に凝縮された流体流である。
【0140】
図3に示す1つの可能な実施形態では、冷却されたベント流53は、例えばジュール-トムソン弁または膨張器のようなベント流減圧装置61(破線)に渡すことができ、そこでその圧力は、膨張済の更に冷却されたベント流63(破線)を提供するために減圧される。膨張済のさらなる冷却されたベント流体流63は、液化船荷貯蔵タンク50の圧力またはそれよりわずかに高い圧力を有することができ、その結果、例えば、膨張済既冷却BOG戻り流体流36に加えて、それをタンクに戻して、組み合わせられた膨張済既冷却BOG戻り流体流11を提供することができる。
【0141】
図3に示す別の可能な実施形態では、冷却されたベント流体流53は、ガス/液体分離器などのベント流体流分離器150に通すことができる。通流体流セパレータ150は、一般に蒸流体流である完全に又は実質的に凝縮可能な成分である通気放出流55と、第4熱交換器197で凝縮されたボイルオフガスの成分を含む、一般に凝縮流である冷却された通気BOG戻り流57とを提供する。ベント放出流55の圧力は、例えば、貯蔵タンク50に戻すため、他の場所に貯蔵するため、またはベントするために適切な圧力まで低下させることができる。
【0142】
冷却されたベントBOG戻り流体流57は、膨張された冷却されたベントBOG戻り流体流59を提供するために、例えばジュール-トムソン弁又は膨張器のようなベント戻り流体流減圧装置58を通過させることができる。膨張済既冷却ベントBOG戻り流体流59は、例えば、膨張済既冷却BOG戻り流体流36に加えることによって、貯蔵タンク50に渡すことができる。
【0143】
第3及び第4の冷却剤流体流33a、33cを提供するために減圧装置80及び87に渡されない第3の冷却された圧縮BOG流35のその部分は、BOG戻り流体流10を提供し、これは膨張された冷却されたBOG戻り流体流36として貯蔵タンク50の圧力で又はその近くまで減圧弁82によって膨張させることができる。その後、これを貯蔵タンク50に戻すことができる。
【0144】
図3は、
図2と同様の船用燃料流燃料配置を示す。ここで、船用燃料流40は、船荷タンク50から、第1冷却済既圧縮BOG流08(および/または流体流34(図示せず))の経路内に位置する第1船用燃料熱交換器42に提供され、より暖かい船用燃料流40cを提供する。この船用燃料流は、放出熱交換器200の後、予冷圧縮BOG流07の経路内の第2船用燃料熱交換器44に入る。第2船用燃料熱交換器44は、予備冷却済既圧縮BOG流07への冷却を提供し、本明細書で上述した方法でより暖かい船用燃料流40hを提供する。
【0145】
図3はまた、
図3の冷却装置から船用燃料流燃料を提供するための1つ以上の代替または追加の選択肢を示し、これは、船用燃料流40の代替として、またはそれに加えて使用されて、
図3に示される装置が存在する浮体式輸送船用燃料流のエンジンに向けられる船用燃料流40hを提供することができる。
【0146】
図3は、線35aに沿って切り取られた第3冷却済既圧縮BOG流35の一部を使用して、膨張された第3冷却済BOG流35bを提供するために減圧装置を通過させることを含む第1の選択肢を示す。
【0147】
第2の選択肢は、線57aに沿って取り出された冷却されたベントBOG戻り流体流57の一部を使用し、減圧装置を通して膨張された冷却されたベントBOG戻り流体流57bを提供することを含む。
【0148】
第3の選択肢は、膨張した通流体流51cを提供するために、減圧装置を通して、線51cに沿って取られた放出受け部305からの通流体流51bの一部を使用することを含む。
【0149】
第4の選択肢は、膨張されたベント放出流体流55bを提供するために、減圧装置を通して、ベント流体流セパレータ150からのベント放出流体流55の一部、任意には全てを使用することを含む。
【0150】
図3に示される構成は、膨張された流体流51c、35b、55bおよび57bの各々が、結合されたライン46を通して、または別個のライン(図示せず)を通して、それぞれ提供されることを可能にし、任意に、船用燃料流40の代替として、またはそれと組み合わせて、または、必要とされる船用燃料流燃料の容積、ならびに上述される流35、51b、55および57の各々の容積に応じて、その中の1つ以上の変化する比率の中に、最終船用燃料流40hの少なくとも一部を提供することを可能にする。当業者は、必要な最終船用燃料流40hを提供するために、処分点の各接合点における最適流量を計算し、最適流量を計算することができる。船用燃料流40、46の使用及び/又は割合の変化は、ゲート又は弁88を用いて動作可能である。
【0151】
場合により、流れ33b、38をボイルオフガス流01に通す。これは、流体流35の温度を船用燃料流40の要件により適合するように低下させる。
【0152】
当業者は、本発明が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの様々な方法で実施され得ることを理解するであろう。例えば、本発明は、本明細書に開示される任意のまたは好ましい特徴のうちの1つ以上の組み合わせを包含する。