IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ペプシコ・インクの特許一覧

特許7580389飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法
<>
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図1
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図2
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図3
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図4
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図5
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図6
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図7
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図8
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図9
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図10
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図11
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図12
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図13
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図14
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図15
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図16
  • 特許-飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】飲料容器ディスペンサと飲料容器を出すための方法
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/02 20060101AFI20241101BHJP
   G07F 5/22 20060101ALI20241101BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20241101BHJP
   G07F 9/10 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G07F9/02 C
G07F9/02 Z
G07F5/22 A
G07F5/22 T
G07F9/00 F
G07F9/00 109
G07F9/10 102A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021557311
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020022982
(87)【国際公開番号】W WO2020197831
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】201941011449
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ,プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】ブタニ,グルミート シン
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ブライアン ディ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ウィルトン
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0277904(US,A1)
【文献】米国特許第05222624(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0294618(US,A1)
【文献】特開平9-282556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/02
G07F 5/22
G07F 9/00
G07F 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器ディスペンサから飲料容器を出すための方法であって、
飲料のユーザ選択を受信することであって、前記ユーザ選択を受信することには、ユーザの飲料選択に対応する第1の飲料容器を前記飲料容器ディスペンサの入口ポートで受け取ることが含まれる、ことと、
前記ユーザ選択の受信を受けて、飲料容器出し作業のシミュレーションをディスプレイに表示することであって、前記シミュレーションは前記ユーザ選択に基づいて飲料容器を描写することを含む、ことと、
前記シミュレーションの完了を受けて、前記ユーザ選択に対応する第2の飲料容器を出すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザ選択を受信することには、前記飲料容器ディスペンサのユーザインターフェースによって前記ユーザ選択を受信することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザインターフェースがタッチスクリーンディスプレイである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の飲料容器のしるしを検出して、飲料の種類を判定することを更に含み、前記飲料容器を出すことが、前記第1の飲料容器と同じ飲料の種類の第2の飲料容器を出すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ディスプレイが前記飲料容器ディスペンサに配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シミュレーションが、前記ユーザによって選択された前記飲料と同じである飲料容器を描写する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シミュレーションが、前記ディスプレイにおいて、飲料容器が前記飲料容器ディスペンサの送達ポータルに向かって移動することを描写する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記シミュレーションが、前記飲料容器内でのスラッシュ飲料の形成を描写する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記飲料容器を出すことには、前記飲料容器ディスペンサの温度調節区画から前記飲料容器を出すことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
飲料容器においてスラッシュ飲料を提供するための方法であって、
飲料容器ディスペンサによって、飲料のユーザ選択を受信することと、
前記飲料容器ディスペンサのディスプレイに、飲料容器が出されるシミュレーションを表示することと、
前記ユーザ選択に対応する飲料容器を前記飲料容器ディスペンサの第1の温度調整区画から前記飲料容器ディスペンサの送達ポータルに出すことであって、前記第1の温度調整区画は、前記飲料が過冷却されるように前記飲料の凝固点以下の温度で前記飲料容器を貯蔵するように構成されている、ことと、
前記飲料容器ディスペンサの前記ディスプレイ上に、前記飲料容器内でスラッシュ飲料を形成するために、前記過冷却された飲料の核形成を引き起こすための説明を表示することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記ユーザ選択を受信することには、ユーザインターフェースを用いて別の飲料容器をを受信することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ユーザインターフェース及び前記ディスプレイにはタッチスクリーンディスプレイが含まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
核形成を引き起こすための説明を表示することには、核形成を引き起こすための工程を実演するビデオを表示することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
核形成を引き起こすための説明を表示することには、前記飲料容器を振るための説明を表示することが含まれる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記飲料容器ディスペンサが、前記飲料容器内で前記飲料の核形成を引き起こすように構成された撹拌機を更に備え、前記説明を表示することには、前記撹拌機を作動させるための説明が含まれる、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、概して、飲料容器を消費者に出すためのデバイスに関するものである。具体的には、本明細書に記載の実施形態は、飲料容器を出す過程のシミュレーションを表示する飲料容器ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器詰飲料を消費者に出すための飲料ディスペンサがよく知られている。多くのこのようなディスペンサは、消費者に入手可能な飲料の選択を与え、消費者が飲料の選択を行うのを可能にする。次いで、このデバイスは、消費者の飲料選択に対応する飲料容器を出す。多くの飲料ディスペンサは、完全に機能的なものであり、単に選択された飲料を消費者に出すに過ぎない。このような従来の飲料ディスペンサは、消費者にユニークな又は楽しませる体験を与えることはなく、消費者は、飲料が出される間、ぼんやり待たなくてはいけない。
【0003】
そのため、消費者にユニークな飲料出し体験を与える飲料容器ディスペンサが求められ続けている。
【発明の概要】
【0004】
実施形態には、飲料容器を消費者に出すための方法であって、ユーザの飲料選択に対応する飲料を含有する第1の飲料容器を飲料容器ディスペンサにおいて受け取ることと、飲料容器ディスペンサの温度調節区画からこの飲料を含有する第2の飲料容器を出すことであって、第2の飲料容器がユーザの飲料選択に対応する、出すことと、を含む、方法に関するものがある。
【0005】
実施形態には、飲料容器を出すための方法であって、飲料のユーザ選択を受信することと、ユーザ選択の受信を受けて、飲料容器出し作業のシミュレーションをディスプレイに表示することと、シミュレーションの完了を受けて、ユーザ選択に対応する飲料容器を出すことと、を含む、方法に関するものがある。
【0006】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、第1の飲料容器を受け取ることには、飲料容器ディスペンサの入口ポートにおいて第1の飲料容器を受け取ることが含まれ得る。実施形態によっては、飲料容器を出すための方法は、第1の飲料容器を飲料容器ディスペンサの温度調節区画に収容することを更に含む。実施形態によっては、飲料容器を出すための方法は、第1の飲料容器を飲料容器ディスペンサの収容区画に収容することを更に含み得る。
【0007】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、第1の飲料容器を受け取ることには、ボトル入り飲料又は缶入り飲料を受け取ることが含まれ得る。
【0008】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料容器を出すための方法は、飲料ディスペンサの検出装置によって第1の飲料容器の飲料の種類を検出することを更に含み得る。実施形態によっては、第1の飲料容器の飲料の種類を検出することには、検出装置によって第1の飲料容器にあるしるしを検出することが含まれ得、このしるしが、第1の飲料容器の飲料の種類に対応する。実施形態によっては、この方法は、第1の飲料容器にあるしるしを検出して、飲料の種類を判定することを更に含んでもよく、飲料容器を出すことには、第1の飲料容器と同じ飲料の種類の第2の飲料容器を出すことが含まれる。
【0009】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、ディスプレイが、飲料ディスペンサに配置されている。
【0010】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、ユーザ選択を受信することには、飲料容器ディスペンサのユーザインターフェースを用いてユーザ選択を受信することが含まれ得る。実施形態によっては、ユーザインターフェースは、タッチスクリーンディスプレイであり得る。
【0011】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、シミュレーションは、ユーザによって選択された種類の飲料容器を描写することができる。実施形態によっては、シミュレーションは、ディスプレイにおいて、飲料容器が飲料ディスペンサの送達ポータルに向かって移動するのを描写することができる。実施形態によっては、シミュレーションは、予め記録されたビデオであり得る。
【0012】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料容器を出すことには、飲料容器ディスペンサの温度調節区画から飲料容器を出すことが含まれ得る。
【0013】
実施形態には、筐体と、飲料のユーザ選択を受信するためのユーザインターフェースと、筐体内に配置され、飲料を含有する第1の飲料容器を第1の所定の温度で収容するための第1の温度調節区画と、筐体内に配置され、飲料を含有する第2の飲料容器を第2の所定の温度で収容するための第2の温度調節区画と、筐体に配置され、ユーザ選択に対応する飲料容器へのアクセスを提供するための送達ポータルと、を含む飲料容器ディスペンサに関するものがある。
【0014】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、第1の温度は、第2の温度よりも高く温度であり得、第2の温度は、第2の飲料容器の飲料の凝固点以下であり得る。実施形態によっては、第1の温度は、約35°F~約45°Fであり得る。
【0015】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、第1の飲料容器と第2の飲料容器とはそれぞれ、同じ種類の飲料を収容していてもよい。
【0016】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料容器ディスペンサは、ユーザ選択の受信を受けて、飲料容器出し作業のシミュレーションを表示するディスプレイを更に含み得る。
【0017】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料容器ディスペンサは、ユーザ選択に基づいて第1の飲料容器又は第2の飲料容器を取り出し、第1又は第2の飲料容器を送達ポータルに移送するように構成された飲料収集器を更に含み得る。
【0018】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、飲料容器ディスペンサは、第2の温度調節区画から出された第2の飲料容器を受け取るように構成された撹拌機を更に含み得、撹拌機は、第2の飲料容器内の飲料に、第2の飲料容器でスラッシュ飲料を作り出すように核形成を経させることができる。
【0019】
実施形態には、飲料容器ディスペンサによって飲料のユーザ選択を受信することと、飲料ディスペンサのディスプレイに、飲料容器が出されるシミュレーションを表示することと、飲料の凝固点以下の第1の所定の温度を有する第1の温度調節区画から、ユーザ選択に対応する飲料容器を出すことと、飲料容器内で飲料の核形成を引き起こすための説明を表示することと、を含む、飲料容器においてスラッシュ飲料をもたらすための方法に関するものがある。
【0020】
本明細書で述べる様々な実施形態のいずれにおいても、核形成を引き起こすための説明を表示することには、核形成を引き起こすための過程を実演するビデオを表示することが含まれ得る。実施形態によっては、核形成を引き起こすための説明を表示することには、飲料容器を振るための説明を表示することが含まれ得る。実施形態によっては、飲料容器ディスペンサが、飲料容器内で飲料の核形成を引き起こすように構成された撹拌機を更に含み得、説明を表示することは、撹拌機を作動させるための説明が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を成す添付図面は、本開示の良い例となるものであり、発明を実施するための形態と共に、更に、本開示の原理を説明し、当業者に本開示を作り、使用することを可能にさせるのに役立つものである。
【0022】
図1】一実施形態による飲料容器ディスペンサを示す。
【0023】
図2】一実施形態による飲料容器ディスペンサの構成要素の概略図を示す。
【0024】
図3】一実施形態による飲料容器ディスペンサの冷却システムを示す。
【0025】
図4】一実施形態による飲料容器ディスペンサの構成要素の概略図を示す。
【0026】
図5】一実施形態による飲料容器ディスペンサ用のグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【0027】
図6】一実施形態による、飲料出し作業のシミュレーションのディスプレイを示す。
【0028】
図7】一実施形態による、飲料容器を様々な温度で収容するための飲料容器ディスペンサの構成要素の概略図を示す。
【0029】
図8】一実施形態による飲料容器ディスペンサの正面透視図を示す。
【0030】
図9図8による飲料容器ディスペンサの内部容積の正面透視図を示す。
【0031】
図10図8による飲料容器ディスペンサの温度調節区画の正面透視図を示す。
【0032】
図11】飲料容器を収容するのに使用される際の図8による飲料容器ディスペンサの温度調節区画の正面透視図を示す。
【0033】
図12図8による飲料容器ディスペンサの出し機構の詳細図を示す。
【0034】
図13図8による飲料容器ディスペンサの冷却システムの構成要素の斜視図を示す。
【0035】
図14】一実施形態による飲料容器ディスペンサの撹拌機の図を示す。
【0036】
図15】一実施形態による飲料容器ディスペンサ用のグラフィカルユーザインターフェースを示す。
【0037】
図16】一実施形態による飲料容器において、スラッシュ飲料をもたらすための方法のフロー図を示す。
【0038】
図17】実施形態が実施され得る例示的なコンピュータシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
ここで、添付図面に示される代表的な実施形態について詳細に述べることとする。以下の発明を実施するための形態が、実施形態を1つの好ましい実施形態に限定することを目的とするものではないことが理解されるべきである。それとは反対に、発明を実施するための形態は、特許請求の範囲によって定義される通りの記載の実施形態の趣旨及び範囲内に含まれ得る代替形態、修正形態、及び均等物に及ぶことを目的とするものである。
【0040】
プラスチックボトルかガラスボトルかに限らず、ボトル入り飲料又は缶入り飲料などの容器詰飲料を出すための自動販売機がよく知られている。自動販売機によって、消費者は、オンデマンドで飲料を素早く簡単に購入することができる。結果として、消費者は、店舗に入り、望みの飲料を探し、レジの列に並んで待ち、レジカウンタなどでその飲料の支払いをする必要がなくなる。
【0041】
自動販売機は、消費者に、利便性をもたらすが、従来の自動販売機には、いくつか欠点があり得る。具体的には、多くの自動販売機は、単に飲料の消費者選択を受信し、選択された飲料を消費者に出すだけである。消費者は、飲料が出されている間、一定時間ぼんやり待たなければならない。このような自動販売機は、その自動販売機に戻ってまた購入する気に消費者をさせ得るユニークな又は楽しませる体験を消費者に与えることはない。その結果、消費者が、他の販売会社又は自動販売機からそれ以降の飲料購入を行うようことを選ぶ可能性がある。その代わりに、消費者は、ユニークな体験を得るために飲料が出される過程を見たいと思うことがある。更に、消費者が飲料が調製されている過程を見ることができる場合、消費者は、ユニークで楽しませる体験を得ることができる。ユニークな消費者体験を与えることにより、飲料ディスペンサ及び自動販売機の所有者は、全体的な売上を伸ばすことができる。
【0042】
また、自動販売機は、通常、自動販売機内の冷蔵区画から冷却された飲料容器又はチルド飲料容器のみを出す。このような販売機は、消費者に出される飲料容器の温度を選ばせない。消費者は、例えば、冷却された飲料か又はスラッシュ飲料かを選択するために、出される飲料の温度を選択する選択肢を持つことを好む場合がある。飲料容器におけるスラッシュ飲料を選択する選択肢を含む、複数の温度選択肢の可用性は、特定の自動販売機を再度訪れる気に消費者をさせることができる。
【0043】
当技術分野において知られている他の種の飲料ディスペンサには、このような飲料ディスペンサが単に飲料を消費者に出すだけであるのと同様の限界がある。それゆえ、このような飲料ディスペンサは、ユニークな楽しませる体験を与えることはない。飲料を出す過程は、消費者には描写されず、消費者は、飲料が出されている間、待つしかない。また、通常、飲料ディスペンサは、チルド飲料か又はスラッシュ飲料かを選択するためなど、飲料の温度を選択する選択肢を消費者に与えることはない。
【0044】
消費者にスラッシュ飲料を提供するためのデバイスがいくつか知られているが、スラッシュ飲料を提供するための知られているシステムには、多くの欠点がある。このようなシステムは、消費者が、飲料容器を冷蔵庫から手で取り出し、飲料容器を振るか又は開けて、またキャップを嵌め、飲料を核形成するための核形成デバイス内に飲料容器を位置付け、飲料容器内でスラッシュ飲料を作り出すことを必要とし得る。しかし、冷蔵庫を開けて飲料容器を引き出すことにより、冷蔵庫内の温度が変わる可能性がある。飲料容器が適切な温度で収容されていない場合、飲料は、核形成せず、スラッシュ飲料が生み出されない。また、消費者は、スラッシュ飲料を作り出すために一連の説明に従い、様々な作業を行うよう要求され得る。これにより、ユーザエラーのいくつかの機会が持ち込まれ、消費者がスラッシュ飲料を生み出すことができない場合、消費者は、このデバイスを再び使用することも、更に購入することもありそうにない。また、多くの消費者が、一連の段階に従ってスラッシュ飲料を調製することがやっかいであると感じることがあり、消費者は、より簡単で、かつ時間が掛からない飲料購入の選択肢を好んで、スラッシュ飲料システムを使用しないと決める可能性がある。
【0045】
本明細書に記載の実施形態によっては、飲料容器ディスペンサが、第1の飲料容器を受け取るための入口ポートを含み、温度制御式区画から第2の飲料容器を出して、挿入された飲料容器が、出される冷却された飲料容器であるという印象を消費者に与える。本明細書に記載実施形態によっては、飲料容器ディスペンサが、ユニークで楽しませる体験を消費者に与えるために、飲料出し作業のシミュレーションを表示するためのディスプレイを含む。本明細書に記載の実施形態によっては、飲料容器ディスペンサは、消費者が出される飲料の温度を選択することができるような第1の温度調節区画及び第2の温度調節区画を含み、消費者にスラッシュ飲料を提供するために、ある温度がその飲料の凝固点以下である。
【0046】
これら及び他の実施形態について、その全体が参照により本明細書に組み込まれている図面に関連して述べる。しかし、当業者であれば、これらの図面に関して本明細書に与えられる発明を実施するための形態が、単に説明上のものであり、また限定していると解釈されるべきではないことがすぐに分かるであろう。
【0047】
本明細書に記載の様々な実施形態のいずれにおいても、「飲料容器」という用語は、飲料を入れるための様々な種類の容器のいずれも指すことができるものである。飲料容器は、ボトル又は缶の形態であってもよい。飲料容器には、数ある中でも、ガラス、アルミニウムなどの金属、又はポリエチレンテレフタレート(PET:PolyEthylene Terephthalate)などのプラスチックを含む、様々な材料のいずれでも含まれ得る。
【0048】
本明細書で使用される際、「飲料」という用語は、数ある中でも、ソフトドリンク、水、炭酸水、乳飲料、ジュース、アルコール飲料、スポーツドリンク、スムージー、コーヒー飲料、茶飲料、及びミルクセーキを含むがこれらに限定されるわけではない、炭酸又は無炭酸であり得る、如何なる消費できる自由流動性液体製品又は半液体製品も含むものである。また、「スラッシュ飲料」という用語は、飲料が一部液体及び一部固体であるような、少なくとも部分的に凍結している、本明細書に記載のような如何なる飲料も含むものである。
【0049】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ100は、第1の飲料容器800.を受け取るための入口ポート120を含む。第1の飲料容器800は、周囲温度であり得、消費者によって購入される準備が整っている満杯の未開封の飲料容器であり得る。第1の温度調節区画180(図2参照)は、第2の飲料容器850が冷却されるような所定の温度で第2の飲料容器850を収容する。入口ポート120による第1の飲料容器800の受け取りを受けて、第2の飲料容器850が、飲料容器ディスペンサ100の送達ポータル160に出される。第2の飲料容器850は、第1の飲料容器800内の飲料と同じ種類の飲料を含有する。それゆえ、飲料容器ディスペンサ100は、入口ポート120に挿入された第1の飲料容器800が、出される冷却された第2の飲料容器850と同じであるという印象を消費者に与える。
【0050】
飲料容器ディスペンサ100は、図1に示されるように、飲料容器ディスペンサ100が独立型デバイスであるような筐体105を含み得る。飲料容器ディスペンサ100は、床などの支持面に設置され得、数ある中でも、レストラン、オフィス、学校、映画館、コンビニエンスストア、スポーツスタジアム、又はコンサート会場などの様々な環境のいずれでも使用され得る。
【0051】
入口ポート120は、筐体105の側壁になど、飲料容器ディスペンサ100の筐体105に配置され得る。入口ポート120は、缶入り飲料又はボトル入り飲料など、飲料を含有する第1の飲料容器800を受け入れるようなサイズであり得る。入口ポート120は、飲料容器ディスペンサ100内に収容された第2の飲料容器850と同じである第1の飲料容器800を受け入れるように構成されている。実施形態によっては、入口ポート120が、該当の飲料容器を受け入れるようなサイズであり得かつ/又は形状であり得る。例えば、飲料容器ディスペンサ100が飲料A及び飲料Bのボトルのみを収容する場合、入口ポート120は、飲料A又は飲料Bのボトルのみを受け入れるように構成されている。入口ポート120は、入口ポート120に挿入される飲料容器と同様の形状であり得る。それゆえ、入口ポート120は、ボトル又は缶を、例えばほぼ直立向きで受け入れるように、ボトル形状の開口又は缶形状の開口を含み得る。実施形態によっては、入口ポート120は、飲料容器を受け入れることができるようなサイズである矩形の又は楕円形の開口を備え得る。
【0052】
送達ポータル160がまた、出された飲料容器へのアクセスを消費者に与えるために、飲料容器ディスペンサ100の筐体105に配置され得る。送達ポータル160は、筐体105上の様々な位置のいずれにでも位置していてよく、例えば、筐体105の側壁に位置付けられていてもよい。実施形態によっては、送達ポータル160は、飲料容器が出されるまで、送達ポータル160を取り外し可能に覆うための扉又は蓋を含み得る。筐体105は、図1に示されるように矩形の送達ポータル160を画定し得るが、代替の実施形態では、送達ポータル160は、限定されるわけではないが、正方形、楕円形、ボトル形状、缶形状、又は他の適切な形状を含む、様々な形状のいずれでも有するように形成され得る。
【0053】
飲料容器ディスペンサ100は、図2に示されるように、第2の飲料容器850を第1の所定の温度で収容するための第1の温度調節区画180を更に含む。第1の温度調節区画180は、筐体105内に配置されている。第1の温度調節区画180は、消費者が飲料容器に手が届くことができないように、複数の飲料容器を収容することができる。第1の温度調節区画180は、第1の所定の温度を維持し、第1の温度調節区画180への熱伝達を制限又は低減するように絶縁され得る。例えば、第1の温度調節区画は、断熱材料の1つ以上の層から構成され得、かつ/又は二重壁構造を備え得る。第1の所定の温度は、約35°F~約55°F、又は約35°F~約50°Fの温度であり得る。このように、飲料容器ディスペンサ100は、冷却されている又は冷蔵されている第2の飲料容器を第1の温度調節区画180から出すことができる。
【0054】
飲料容器ディスペンサ100は、例えば、図3に示されるように、冷却システム190を含み得る。冷却システム190は、第1の温度調節区画180を第1の所定の温度に維持するように構成されている。一実施形態において、冷却システム190は、冷媒を循環させるのに複数の導管199を介して圧縮器194、凝縮器196、及び膨張弁198と連通している蒸発器192を含み得る。蒸発器192は、ダクト193を通して冷却された空気を第1の温度調節区画180に供給する。第1の温度調節区画180は、それを通して冷却された空気が蒸発器192からダクト193を通って第1の温度調節区画180に流れ込むことができる通気孔185を備え得る。ダクト193は、第1の温度調節区画180内で冷却された空気の循環を促進するためのファン195に更に接続され得る。実施形態によっては、第1の温度調節区画180は、この区画180内の温度を判定するために1つ以上の温度センサ189を含み得る。制御ユニット150は、温度センサ189の読み取りに基づいて、第1の所定の温度に第1の温度調節区画180の温度を維持するように、冷却システム190の作動を自動的に調節することができる。代替の実施形態において、第1の温度調節区画180の温度が、第1の所定の温度に維持されている限り、他の種類の冷却システムが使用されてもよい。
【0055】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ200は、図4に示されるように、入口ポート220に挿入された飲料容器を飲料ディスペンサ200の収容区画230に向ける入口ポート220を含む。入口ポート220が、シュート又は通路225などによって収容区画230と連通していてもよい。収容区画230は、収容区画230とその中の如何なる飲料容器にも消費者の手が届かないように、飲料ディスペンサ200内に位置している(例えば、完全に筐体105内に設けられている)。収容区画230は、入口ポート220によって受け入れられた飲料容器を集め、収容することができる。それゆえ、収容区画230内の飲料容器が出されることはない。実施形態によっては、収容区画230は、飲料ディスペンサ200の操作者によって手作業で空にされ得る。飲料容器を収容区画230に向けることにより、操作者は、他の消費者による購入に向けて挿入された飲料容器を在庫補充する前に、消費者によって入口ポート220に挿入された飲料容器が損傷していないか、開封されていないか、それとも手が加えられていないかについて、そこにある如何なる飲料容器も点検することができる。また、収容区画230は、入口ポート220に誤って又は意図的に挿入された如何なる飲料容器商品も集めることができる。
【0056】
実施形態によっては、図2に示されるように、飲料容器ディスペンサ100の入口ポート120によって受け入れられた第1の飲料容器800は、温度調節区画180に向けられる。このような実施形態では、飲料容器ディスペンサ100内の飲料容器の個数が一定のままであるように、消費者によって入口ポート120に挿入された飲料容器が、第1の温度調節区画180から消費者に出された飲料容器に取って代わるのに従って、温度調節区画180には、通常の作業中に、途切れることなく又は周期的に飲料容器が補充される。結果として、実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ100が、通常の作業中に消費者によって補充されるので、操作者は、飲料容器ディスペンサ100に飲料容器を在庫補充する必要も補充する必要もない。
【0057】
実施形態によっては、第1の温度調節区画180は、飲料容器を入口から第1の温度調節区画180の出口に向けて誘導する通路を画定している。飲料容器は、挿入された第1の飲料容器が最初に出されるような順番で、第1の温度調節区画180内に配置されている。このように、第1の温度調節区画180内に保持されたそれまでに挿入された飲料容器がすべて出されるまで、挿入された飲料容器が出されることがないので、消費者によって入口ポート120に挿入された飲料容器は、飲料容器が所定の温度まで冷却されるのを可能にするのに十分な時間、温度調節区画180内に留まることになる。しかし、実施形態によっては、消費者によって入口ポート120に挿入された第1の飲料容器800は、急速に冷却されるように温度調節区画180を通過することがあり、次に、消費者によって挿入された第1の飲料容器800が、消費者に出される第2の飲料容器850と同じであるような送達ポータル160に出される。
【0058】
第1の温度調節区画180の入口は、入口ポート120に挿入された飲料容器が、温度調節区画180の入口を通過し、区画180に入るように、飲料容器ディスペンサ100の入口ポート120と連通している。第1の温度調節区画180の出口において、飲料容器は、消費者が手が届くように、飲料容器ディスペンサ100の引き渡し160に移送され得る。実施形態によっては、飲料容器は、飲料容器を取り出し、移送するための送達機構によって、第1の温度調節区画180の出口から移動し得る。実施形態によっては、第1の温度調節区画180の出口にある飲料容器は、重力下でこの飲料容器をシュートに沿って落下させることなどによって、送達機構の使用なく、送達ポータル160に直接移動し得る。重力下で飲料容器を出すためのシュートを備える飲料ディスペンサが、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているインド特許出願第2018/41038006号に開示されている。
【0059】
飲料容器ディスペンサ100が、複数の温度調節区画180を含む実施形態では、消費者によって入口ポート120に挿入された第1の飲料容器800は、第1の飲料容器800内のその種類の飲料を収容するための温度調節区画180に向けられる。図示のように、例えば、図1図2では、飲料容器ディスペンサ100は、飲料容器ディスペンサ100が、第1の飲料容器800内に保持されたその種類の飲料を収容するための温度調節区画180に第1の飲料容器800を向けることができるような、第1の飲料容器800内に保持された飲料の種類を判定するための検出装置110を含み得る。例えば、第1の飲料容器800が飲料Aを収容し、飲料容器ディスペンサ100が、飲料Aを収容するための第1の温度調節区画180と、飲料Bを収容するための第2の温度調節区画とを含む場合、検出装置110が、第1の飲料容器800が飲料Aを収容し、それゆえ、第1の飲料容器800が第1の温度調節区画180に向けられていることを検出することができる。
【0060】
実施形態によっては、検出装置110は、第1の飲料容器800の飲料の種類を判定するために、第1の飲料容器800(図1を参照)にあるバーコード、QRコード(登録商標)、又は他のしるし810を読み取ることができるスキャナであり得る。検出装置110には、光学スキャナ、RFIDリーダ、又は他の適切なデバイスが含まれ得る。検出装置110が、入口ポート120に隣接して位置付けられ得、入口ポート120によって受け入れられると第1の飲料容器800を検出するように構成されているか、又は実施形態によっては、第1の飲料容器800を入口ポート120に挿入する前に、消費者が第1の飲料容器800を走査するよう要求されることがある。入口ポート120は、飲料容器が検出装置110によって走査された後でなければ飲料容器を受け入れることができないように構成され得る。
【0061】
検出装置110は、図2に示されるように、制御ユニット150に使用可能に接続され得る。制御ユニット150は、飲料容器ディスペンサ100内に入手可能な飲料容器のデータベースを含み得る。第1の飲料容器800を検出装置110によって走査するのを受けて、制御ユニット150は、第1の飲料容器800の飲料の種類を判定し、この種類の飲料を入手可能な飲料のデータベースと比較することができる。検出装置110によって検出された第1の飲料容器800の飲料の種類が、制御ユニット150によって判定された飲料容器ディスペンサ100において入手可能である場合、制御ユニット150が、入口ポート120による第1の飲料容器800の受け入れを可能にする。そうでなければ、入口ポート120は、第1の飲料容器800の受け入れを可能にはせず、ディスプレイ140が、選択された飲料が入手できないという通知又は説明を消費者に提示することができ、かつ/又は異なる飲料を選択するための説明を消費者に提示することができる。このように、飲料容器ディスペンサ100は、消費者が、出されることができない飲料容器を挿入することを防止し、消費者が望みの飲料を確実に受け取るのに役立つ。
【0062】
このような実施形態では、第1の飲料容器800を受け入れるのを受けて、飲料容器ディスペンサ100は、検出装置110によって判定された際の第1の飲料容器800によって収容された種類の飲料に対応する第2の飲料容器850を出す。結果として、消費者には、出されている第2の飲料容器850が入口ポート120.に挿入された第1の飲料容器800と同じであるという印象が与えられる。
【0063】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ300は、例えば、図5に示されるように、飲料のユーザ選択を受信するためのユーザインターフェース310を含み得る。ユーザインターフェース310は、複数の押しボタン、レバー、ハンドル、又はアクチュエータを含み得る。ユーザインターフェース310は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)ディスプレイ、又は有機LED(OLED:Organic LED)ディスプレイなどの電子ディスプレイスクリーンを更に含み得る。実施形態によっては、ユーザインターフェース310は、タッチスクリーンディスプレイ340であり得る。タッチスクリーンディスプレイ340は、入手可能な飲料に対応するアイコンが表示され、また飲料容器ディスペンサを作動させるための説明を表示することができるグラフィカルユーザインターフェース500を表示することができる。
【0064】
グラフィカルユーザインターフェース500は、消費者が飲料選択を行い、飲料容器を出すための説明510を表示することができる。実施形態によっては、グラフィカルユーザインターフェース500は、ユーザがチルド飲料か又はスラッシュ飲料かを選択することができるような説明510を、消費者が出される飲料に対して温度選択を行う際に表示することができる。グラフィカルユーザインターフェース500は、入手可能な飲料の種類(例えば、飲料A、飲料B)を示し、また温度選択(例えば、温度1(チルド飲料)、温度2(スラッシュ飲料))を示すアイコン520を更に表示することができる。消費者は、特定のアイコン520が表示されているタッチスクリーンディスプレイ340の一部に触れることによって選択を行うことができる。
【0065】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ300が、スマートフォン、タブレット、又は消費者の他のポータブル電子デバイスなどのモバイルデバイス700を用いて、飲料選択のユーザ入力を受信するように構成され得る。モバイルデバイス700は、飲料を出すための説明を表示し、かつ/又は入手可能な飲料の種類及び飲料温度選択肢を表示するように構成されたソフトウェアアプリケーション(例えば、「アプリ」)を含み得る。飲料容器ディスペンサ300は、消費者の選択を受信するために、数ある中でも、Bluetooth又は他の短距離無線ネットワーキングなどによって、又は無線ローカルエリアネットワーキング、例えばWi-Fiによって、無線通信方法を介してモバイルデバイス700と通信するように構成された通信組立体330(図7参照)を含み得る。
【0066】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ100が、例えば、図1に示されるように、ディスプレイ140を含み得る。ユーザインターフェースとしてタッチスクリーンディスプレイを有する飲料容器ディスペンサ100の実施形態では、タッチスクリーンディスプレイは、ユーザインターフェース及びディスプレイ140の両方として機能することができる。ユーザインターフェースが複数のボタン、レバー、アクチュエータ、又は制御装置である実施形態では、ディスプレイ140は、ユーザインターフェースとは別個のものであり得る。
【0067】
飲料容器ディスペンサ100のディスプレイ140は、例えば飲料容器などの飲料を出す過程のシミュレーション600を表示するように構成され得る。実施形態によっては、シミュレーション600は、代替として又は追加として、スマートフォン、タブレット、又は消費者の他のポータブル電子デバイスなどのモバイルデバイス700のディスプレイに表示され得る。
【0068】
シミュレーション600は、飲料容器の描写を含み得る。シミュレーションに示される飲料容器は、実際の飲料容器と同じ寸法でディスプレイ140に示され得る。シミュレーション600に示される飲料容器はまた、消費者によって選択された飲料容器と同じ種類及び様式のものであり得る。このように、シミュレーション600は、シミュレーション600に示された飲料容器が、飲料容器ディスペンサ100によって消費者に出されている飲料容器と同じであるという印象を消費者に与えることができる。消費者が第1の飲料容器を入口ポート120に挿入する実施形態では、シミュレーション600は、入口ポート120に挿入された第1の飲料容器が、シミュレーション600に示され、シミュレーション600の完了を受けて出される飲料容器であるという印象も与えることができる。それゆえ、シミュレーション600は、挿入された飲料容器がディスプレイ140に表示されているという見かけを与えるように、飲料容器が、入口ポート120に隣接しているディスプレイ140の一部に現れることで始まり得る。また、飲料容器がシミュレーション600を完了すると、シミュレーション600に示された飲料容器は、シミュレーション600の飲料容器が送達ポータル160に出されているという印象を与えるように、送達ポータル160の近くに位置するディスプレイ140の一部に移動し得る。それゆえ、飲料容器ディスペンサ100は、飲料容器が出されるシミュレーション600を消費者が見ることができるユニークな体験を消費者に与える。
【0069】
一実施形態において、シミュレーション600は、制御ユニット150のメモリなどに、デジタルビデオファイルとして格納され得、ディスペンサ100は、ディスプレイ140上でデジタルビデオファイルを再生するように構成され得る。ビデオは、ユーザインターフェースからか、入口ポート120を介した第1の飲料容器の受け取りかに関わらず、ユーザ選択の受信を受けて自動的に再生され得る。制御ユニット150は、ユーザ選択の受信を受けて、ディスプレイ140上でデジタルビデオファイルを再生することができる。シミュレーション600は、各種類の飲料が別々のシミュレーションを有するような種類又は様式の飲料が選択されるのに基づくものであり得る。また、飲料ディスペンサ100は、消費者によって購入された飲料ごとに異なるシミュレーションの表示をもたらすことができるような、様々なシミュレーションの複数のデジタルビデオファイルを含み得る。
【0070】
シミュレーション600は、飲料容器出し作業を描写することができる。シミュレーション600は、ライブ映像、コンピュータアニメーション、コンピュータ生成画像、又はこれらの組み合わせを含み得る。「飲料容器出し作業」という用語は、飲料容器が、ディスプレイに示される収容域から、軌道又は経路などに沿って送達ポータルに向かって移動するなど、飲料又は飲料容器が出される如何なる過程も指すものである。実施形態によっては、シミュレーション600は、事象の連鎖が飲料容器が出されることをもたらすような、飲料容器を出すためのRube Goldberg型マシンの作動を描写することができる。飲料容器出し作業には、飲料を冷却する若しくは冷蔵する過程、又はスラッシュ飲料を形成する過程など、飲料を調製するための過程も含まれ得る。それゆえ、シミュレーション600は、飲料容器が冷却された空気によって噴霧されるか、又は氷浴に沈められることを示し、飲料容器が冷却されていることを消費者に提示することができる。スラッシュ飲料の形成を示す実施形態において、シミュレーション600は、飲料容器内で飲料の核形成を引き起こすように飲料容器が撹拌されるのを描写することができる。シミュレーション600は、飲料容器が機械的衝撃又はジャークを受けているのを示すことによって、撹拌を描写することができる。例えば、シミュレーション600は、飲料を撹拌するための数ある方法の中でも、表面に落ちる飲料容器が物体にぶつかる、又は振られているのを示すことができる。撹拌されると、シミュレーション600は、飲料内に形成された氷又は氷結晶を示すことなどによって、容器内の飲料が徐々に凍結するのを描写することができる。
【0071】
例えば、図6に示されるようなある実施形態では、シミュレーション600は、消費者によって選択された種類の飲料容器644がディスプレイ140に示される収容域から出し域に移動するのを示すアニメーションであり得る。シミュレーション600は、飲料容器644が飲料収容域642においていくつかの飲料容器から選択されるのを描写することができる。次に、選択された飲料容器644が、経路646に沿って、入口ポート120に隣接するディスプレイ140の上部141から、飲料容器ディスペンサ100の送達ポータル160に隣接するディスプレイ140の下部143に移動するか又は転がる。経路646に沿って、飲料容器644は、1つ以上の障害物648に出くわす可能性があり、冷却などの1つ以上の処理を受ける可能性がある。シミュレーション600は、飲料容器644が送達ポータル160に向かって移動する際に様々な視覚効果及び飾りを更に含み得る。シミュレーション600は、さらなる興味及び楽しみをもたらすように、飲料容器ディスペンサ100のスピーカによって再生されるサウンド効果などの音響を更に含み得る。
【0072】
シミュレーション600の完了を受けて、シミュレーション600に示された飲料容器が消費者に出されているという印象を与えるように、飲料容器ディスペンサ100は、温度調節区画180から第2の飲料容器を出すように構成されている。出し作業は、シミュレーションが終わるのとほぼ同時に、第2の飲料容器が出されるようなシミュレーションの完了とのタイミングに合わせられ得る。それゆえ、例えば、シミュレーション600には、設定ランタイムがあり得、飲料容器ディスペンサ100の制御ユニット150が、シミュレーション600をディスプレイ140上で再生し、シミュレーション600のランタイムが経過した後に飲料容器を出すことができる。
【0073】
実施形態によっては、ディスプレイ140が、飲料容器ディスペンサ100がアイドル状態にあるときに、画像又はビデオを表示するように更に構成され得る。それゆえ、飲料容器ディスペンサ100が消費者によって使用されていないとき、ディスプレイ140は、消費者の注意を引き付けるように設計された画像又はビデオを表示するように構成され得る。アイドル状態では、ディスプレイ140は、購入時に入手可能な飲料の広告及び/又は画像若しくはビデオを示すことができる。ある一定時間、消費者が飲料容器ディスペンサ100に関わっていない場合、ディスプレイ140は、自動的にアイドル状態に入り得る。消費者が飲料容器ディスペンサ100に関わると、飲料容器ディスペンサ100は、飲料及び/又は飲料温度の消費者選択を受信するのにグラフィカルユーザインターフェースを表示することに戻り得る。消費者は、動きセンサ、近接センサ、若しくは熱センサなどの飲料容器ディスペンサ100のセンサによって検出され得るか、又は消費者は、タッチスクリーンディスプレイに触れることなどによって、ユーザインターフェースとの消費者インタラクションによって検出され得る。シミュレーションを表示することを含み得る、飲料出し作業の完了を受けて、ディスプレイは、アイドル状態に戻り得る。
【0074】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、例えば図7に示されるように、飲料容器を第1の所定の温度で収容するための第1の温度調節区画380と、飲料容器を第2の所定の温度で収容するための第2の温度調節区画382と、を含み得る、飲料容器ディスペンサ300に関するものである。第1及び第2の温度調節区画380、382は、温度調節区画380、382をそれぞれ、第1の所定の温度、第2の所定の温度に維持するための冷却システム390に使用可能に接続されている。
【0075】
温度調節区画380、382のそれぞれに冷却システム390が1つだけ使用されてもよく、又は複数の冷却システムが使用されてもよい。冷却システム390は、飲料容器ディスペンサ100に関して上に述べた冷却システム190と同様に構成され得る。それゆえ、冷却システム390は、図13に示されるように、冷媒を循環させるのに、複数の導管を介して圧縮器398、凝縮器396、及び膨張弁と連通している蒸発器392を含み得る。蒸発器392は、冷却された空気をダクト393を通して温度調節区画380に供給する。温度調節区画380は、通気孔397を備え得、この通気孔397を通して冷却された空気が蒸発器392からダクト393を通って第1及び第2の温度調節区画380、382に流れ込むことができ、また温度調節区画380は、温度調節区画380内で冷却された空気の循環を促進するためのファン395を備え得る。
【0076】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ300の第1の温度調節区画380と第2の温度調節区画382とが、同じ種類の飲料を収容するように構成されている。それゆえ、飲料容器ディスペンサ300は、消費者によって望まれる通りの第1又は第2の所定の温度で飲料を出すことができる。第1の所定の温度は、第1の所定の温度で収容された飲料容器が冷却又は冷蔵されるように、約35°F~約55°Fであり得、約40°F~約50°Fであり得る。第2の所定の温度は、飲料容器内に保持された飲料が過冷却されるように、飲料容器内の飲料の凝固点以下であり得る。飲料がその凝固点以下であるが液体状態に留まる場合、飲料は、「過冷却される」。過冷却飲料は、飲料容器を振る、落とす、若しくは叩くことなどによって、又は炭酸を放出するように飲料容器のキャップを開くことによって、撹拌されるまで液体状態に留まるようになる。ある実施形態では、第2の所定の温度が、約10°F~約32°Fでも、又は16°F~約25°Fでも、又は約19°F~約25°Fであってもよい。第2の温度調節区画382内で飲料の過冷却をもたらすのに、飲料は、特定の飲料及び区画382の温度に応じて、少なくとも約1時間~約8時間、区画382に収容され得る。当業者であれば、凝固点が、ある飲料と別の飲料とで異なり、適宜、相応しい温度を選択することができる、ことが分かるであろう。例えば、甘くした炭酸飲料の凝固点は、大抵、フラットな精製水の凝固点よりも低く、その結果、甘くした炭酸飲料を収容するための温度調節区画は、精製水を収容するための温度調節区画よりも低い温度で維持される必要があり得る。
【0077】
図7の飲料容器ディスペンサ300などの第1及び第2の温度調節区画380、382を有する実施形態では、飲料容器ディスペンサ300は、ユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース310を含み得る。飲料容器ディスペンサ300が飲料を一種類のみ収容する場合、ユーザ入力は、例えば、消費者がチルド飲料か又はスラッシュ飲料かを選択することができるような、冷蔵されるか又は過冷却された、出される飲料の温度であり得る。実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ300は、複数種類の飲料を収容することができ、ユーザ入力は、飲料の種類、例えばソーダ又はダイエットソーダ、更に出される飲料の温度であり得る(図5参照)。
【0078】
実施形態によっては、図8図9に示されるように、飲料容器ディスペンサ300は、密閉型内部容積309を有する筐体305を含む。1つ以上の温度調節区画380は、内部容積309内に配置されている。温度調節区画380が、飲料を第1の所定の温度で収容するための第1の温度調節区画か、又は第2の所定の温度で飲料を収容するための第2の温度調節区画であり得ることが、分かる。温度調節区画380は、飲料容器ディスペンサ300によって出される飲料容器を収容する。飲料容器ディスペンサ300は、温度調節区画380から飲料容器を取り出し、この飲料容器を送達ポータル360に移送するための送達機構361を更に含む。飲料容器ディスペンサ300は、飲料容器ディスペンサ300によって出された飲料容器内で過冷却飲料の核形成を引き起こすための撹拌機370を更に含み得る。
【0079】
実施形態によっては、各温度調節区画380は、図10図11に示されるように、飲料容器800が一列縦隊で温度調節区画380内に配置され、順番に出されるような経路381を画定している。各温度調節区画380は、1つ以上の飲料容器を横向き又は水平向きに収容するように構成され得る。それゆえ、複数の飲料容器が、横向きに配置され、第1の飲料容器の側壁が第2の飲料容器の側壁に隣接するか又は接触するように、温度調節区画380の下端308から上端307まで互いに垂直に積み重ねられ得る。
【0080】
実施形態によっては、図10に示されるように、経路381は、第2の側壁386と反対側の第1の側壁385によって画定され得、一方又は両方の側壁は、そこから延出している複数の突出部383を含み得る。温度調節区画380は、温度調節区画380の上端307から温度調節区画380の下端308に向かって、第1の側壁385又は第2の側壁386に沿って互いに離間された一連の突出部383を含み得る。実施形態によっては、突出部383は、第1の側壁385から対向する第2の側壁386に向かって延出している。図10では、第2の側壁386は、突出部383が何もないとして示されているが、実施形態によっては、第2の側壁386は、経路381を画定している突出部383を含むこともあり得る。突出部383には、様々な構成のいずれでも有してもよく、ほぼ三角形の長手方向断面を有するとして示されている。ただし、代替の実施形態では、突出部383は、数ある中でも、半円形断面又は台形断面などの代替の断面形状を有し得る。温度調節区画380において、飲料容器の重さが他の飲料容器に直に掛ることのないように、突出部383が飲料容器の重さの一部を担う一助になり得る。また、突出部383は、飲料容器が出される際、飲料容器が温度調節区画380内に自由落下しないように、経路381に沿った飲料容器の進行を遅くする一助になり得る。
【0081】
図10に一番うまく示されるように、経路381内の飲料容器800がシュート388に移動するのを防ぐゲート387が、経路381に沿って温度調節区画380の下端308に配置され得る。ゲート387は、飲料容器のユーザ選択に応答して、1つの飲料容器800しか温度調節区画380から解放されないことを可能にするために開くように構成されているような、ゲート387が電気式に作動し、制御ユニット350に使用可能に接続され得る。飲料容器が垂直に積み重ねられると、飲料容器は、重力下で解放され得る。飲料容器がシュート388に解放されるのを受けて、ゲート387は、さらなる飲料容器がシュート388に移るのを防ぐように、閉位置に戻るようになる。
【0082】
シュート388は、温度調節区画380の下端308に位置付けられ得る。シュート388は、横向きに収容された飲料容器を直立又は直立する向きに向け直すように構成されている傾斜面を含み得る。傾斜面は、約30°~80°、約40°~約75°、又は約50°~約70°の水平面に対する角度を有し得る。それゆえ、水平向きに向けられた飲料容器がシュート388上に解放されると、シュート388は、飲料容器を直立又は直立する向きに向け直すように働く。
【0083】
実施形態によっては、図9に示されるように、送達機構361が飲料容器ディスペンサ300に含まれている。過冷却飲料が核生成を経て、撹拌を受けて固体状態に転換するので、過冷却された飲料容器は、飲料容器を撹拌することを回避し、飲料の核形成を引き起こすことを回避するように、送達ポータル360に慎重に移動する必要がある。核形成が飲料容器ディスペンサ100内で起こる場合、飲料容器内のスラッシュ飲料が消費者に提供されるが、消費者に楽しんでもらえ、ユニークな消費者体験を与えることができる、飲料の核形成の過程を消費者は、見ることができない。送達機構361は、温度調節区画380から飲料容器を取り出し、その飲料容器を送達ポータル360に移送するための飲料収集器364を含む。飲料容器を向け直すことに加えて、温度調節区画380のシュート388は、飲料容器を飲料収集器364へ向けるように働くこともできる。
【0084】
飲料収集器364は、飲料容器を取り出し、移送するのに、温度調節区画380から送達ポータル360に可動である。実施形態によっては、飲料収集器364は、上端377及び下端378を有するガイドロッド376に、ガイドロッド376が、温度調節区画380の下端308から上端307まで温度調節区画380に平行に延在するように位置付けられている。飲料収集器364は、上端377から下端378まで(Y方向に)ガイドロッド376の長手方向軸に沿って可動である。ガイドロッド376は、温度調節区画380の上端307及び下端308に配置された一対の軌道379に更に可動に位置付けられている。軌道379は、ガイドロッド376に対して横方向に配置され、互いに平行である。ガイドロッド376は、軌道379に沿って(X方向に)ガイドロッド376の長手方向軸に対して横方向に移動するように構成されている。このように、飲料容器が出されると、飲料収集器364は、互いに直角である2つの方向、例えば、X方向とY方向とに移動することができ、ガイドロッド376及び軌道379を経て移動し、温度調節区画380から飲料容器を取り出し、その飲料容器を飲料容器を消費者に出すための送達ポータル360に移送することができる。
【0085】
実施形態によっては、飲料収集器364は、例えば図12に示されるような容器支持体362及び可動側壁365を含む。容器支持体362は、飲料容器800の下端又は基部及び側壁368を支持するように構成された基部363を含み得る。容器支持体362は、ほぼL字形の構成を有し得る。側壁368は、基部363と一体形成され得る。容器支持体362は、側壁368を介してガイドロッド376に可動に固定され得る。
【0086】
容器支持体362は、可動側壁365を更に含み得る。可動側壁365は、飲料容器800が容器支持体362に位置付けられると、可動側壁365が飲料容器800の一部を取り囲むようなU字形又はC字形の横断面を有し得る。可動側壁365は、可動側壁365が第1の位置から第2の位置に可動であるような、ヒンジなどの枢動点366を介して容器支持体362に接続され得る。第1の位置では、可動側壁365の一部が、基部363に飲料容器を支持するように、容器支持体362の側壁368に座る。第2の位置では、可動側壁365が、枢動点366を中心として、側壁368.から離れる外方向に回転する。可動側壁365が飲料容器800を部分的に取り囲むと、外向きの回転により、飲料容器800が基部363から外れ、飲料容器800は、可動側壁365の開いた下端367を通って重力下で落ちる。可動側壁365は、飲料容器800を送達ポータル360へ向けることができ、送達ポータル360は、飲料容器800を送達ポータル360の中に誘導するように構成された入口シュート369を含み得る。
【0087】
飲料収集器364は、モータなどの駆動機構によって可動であり得、送達機構361の作動は、飲料容器ディスペンサ300の制御ユニット350によって判定され得る。それゆえ、飲料のユーザ選択を受信するのを受けて、制御ユニット350は、飲料収集器364に、温度調節区画380において飲料容器の場所に移動させて、飲料容器を取り出させることができる。飲料容器が直立位置に向け直され、可動側壁365が第1の位置である状態で飲料収集器364の容器支持体362へ移動するようなシュート388へ飲料容器800を解放するように、温度調節区画380のゲート387が開くことができる。飲料収集器364が送達ポータル360に隣接しているような、軌道379に沿って移動するガイドロッド376に沿って、飲料収集器364が移動する。送達ポータル360に隣接するのを受けて、飲料容器800が送達ポータル360の中に向けられるような第2の位置に、可動側壁365が、容器支持体362から外方に回転することによって移動する。飲料容器が送達ポータル360に自由に落下するように飲料容器を落とすことによってではなく、飲料容器を飲料収集器364に移送することによって、飲料容器内の飲料の核形成が回避される。
【0088】
実施形態によっては、飲料容器ディスペンサ300は、例えば図14に示されるように、過冷却飲料を含有する飲料容器に核形成を経させるための撹拌機370を更に含み得る。撹拌機370は、飲料容器ディスペンサ300によって出された飲料容器内で飲料の核形成を引き起こすように構成されている。それゆえ、出される飲料が飲料の凝固点以下の温度であるような第2の温度調節区画382から飲料容器を出すことを消費者が選択すると、消費者は、撹拌機370を使用して、スラッシュ飲料を生み出し、飲料が液体から部分固体へと核形成する過程を見ることができる。
【0089】
撹拌機370は、飲料容器ディスペンサ300に一体的に接続されるか、又は飲料容器ディスペンサ300の一部として形成され得る。例えば、撹拌機370は、飲料容器ディスペンサ300の筐体305に組み込まれていてもよく、又は筐体305に接続されていてもよい。実施形態によっては、撹拌機370は、飲料容器ディスペンサ300とは別個のデバイスであり、それに隣接して位置付けられ得る。
【0090】
実施形態によっては、撹拌機370は、飲料容器受け入れ域375を画定している飲料容器枠384を含む。飲料容器枠384は、飲料容器受け入れ域375内に飲料容器800を確実に保持するように構成されている。実施形態によっては、飲料容器枠384は、下部支持体373及び上部支持体374を含み得、飲料容器800が上部支持体374と下部支持体373との間にしっかりと保持されるように、下部支持体373が、飲料容器800の基部を支持するように構成され、上部支持体374が、飲料容器800の蓋又は上端を支持するように構成されている。飲料容器枠384は、飲料容器800に振り運動を掛けるように構成されている。飲料容器枠384は、上下運動、左右運動、又はこれらの組み合わせで素早く移動することができる。それゆえ、飲料容器枠384は、飲料容器800に円形の振り運動を掛けることができる。代替として、飲料容器枠384は、固定点を中心に枢動することによって、ロッキング運動で移動するように構成され得る。飲料容器に振り運動を与えるために、飲料容器枠384が、アーム又はリンク機構389によってモータ371などの駆動機構に使用可能に接続され得る。モータ371は、筐体372内に含まれ得、筐体372は、飲料容器ディスペンサ300の筐体305とは別個であり得るか、又はそれと一体化され得る。
【0091】
第2の所定の温度、例えば、出された飲料容器内の飲料の凝固点以下の温度で飲料を含有する飲料容器を出すのを受けて、飲料容器ディスペンサ300のディスプレイ340が、図15に示されるように、飲料を核形成するための説明を表示し得る。ディスプレイ340は、容器内で飲料の核形成を引き起こすように、飲料容器540の手による振り560を説明するグラフィカルユーザインターフェース500を含み得る。この説明には、飲料容器540内で飲料の核形成を引き起こすためのテキスト説明550、及び/又はアニメーションなどの画像説明若しくはビデオ説明が含まれ得る。撹拌機370を有する飲料容器ディスペンサ300の実施形態において、説明では、撹拌機370の作動を実演するか又は説明することができる。例えば、撹拌機370を作動させるための説明には、出された飲料容器を撹拌機370に挿入して固定し、撹拌機370の作動を開始させるように制御装置を作動させる工程が含まれ得る。撹拌機370が、撹拌機370に挿入された飲料容器を自動的に撹拌するように構成され得るか、又は消費者が、撹拌機370に作動を始めさせるように、制御装置を作動させる必要があり得る。
【0092】
飲料容器においてスラッシュ飲料を出すための過程は、例えば、図16に示される。スラッシュ飲料400を出すための過程には、飲料及び/又は出される飲料の温度に対するユーザ選択410を受信することが含まれる。ユーザ選択は、飲料容器ディスペンサのタッチスクリーンディスプレイなど、飲料容器ディスペンサのユーザインターフェースによって受信され得る。ユーザ選択は、飲料容器を飲料ディスペンサの入口ポートに挿入することによって、部分的になされ得、飲料容器ディスペンサは、飲料容器内の飲料の種類を検出し得る。飲料容器ディスペンサは、ユーザ選択の受信を受けて、飲料出し作業420のシミュレーションを表示し得る。このシミュレーションの完了を受けて、飲料容器ディスペンサは、ユーザ選択に対応する飲料容器430を出すことができる。飲料の凝固点以下である温度で飲料を出すことを消費者が選択した場合、飲料ディスペンサは、飲料440を撹拌するための説明を更に表示し得る。説明には、飲料を手で撹拌するための工程が含まれ得、又は飲料容器ディスペンサの撹拌機を作動させるための工程が含まれ得る。それにより、消費者は、飲料容器を飲料ディスペンサの撹拌機に挿入し、飲料ディスペンサの核形成を引き起こすように撹拌機を作動させることなどによって、ディスプレイに提示された説明に従って、飲料450を撹拌することができる。
【0093】
本明細書に記載の実施形態のいずれにおいても、飲料容器ディスペンサは、飲料容器を消費者に出す前にユーザから支払いを受け取るための支払いシステムを更に含み得る。支払いシステムは、ユーザから支払いを受け取るための様々な手段のうちのいずれでも含み得、手段には、紙幣、例えばドルビル、硬貨、又はトークンを受け取るためのスロット、クレジットカード、デビットカード、ギフトカードなどを読み取るためのクレジットカードリーダ、又はスマートフォン上のアプリケーションによってなされる支払いを受け取るためのモバイル支払いスキャナ、を含まれるがそれに限定されるわけではない。
【0094】
図17は、実施形態又はその一部がコンピュータ可読コードとして実装され得る、例示的なコンピュータシステム900の良い例となるものである。本明細書に述べられる制御ユニット150、250、350は、本明細書に述べられるプロセスを実施するためのコンピュータシステム900の構成要素のすべて又はいくつかを有するコンピュータシステムであり得る。
【0095】
プログラマブルロジックが使用される場合、このようなロジックは、市販の処理プラットフォーム又は特殊用途デバイス上で実行することができる。当業者であれば、本開示の発明の対象の実施形態が、マルチコア・マルチプロセッサシステム、ミニコンピュータ、及びメインフレームコンピュータ、分散型機能とリンク又はクラスタ化されたコンピュータ、更には事実上如何なるデバイスにも埋め込まれ得るパーベイシブコンピュータ又はミニチュアコンピュータを含む、様々なコンピュータシステム構成により実施され得ることが分かるであろう。
【0096】
例えば、少なくとも1つのプロセッサデバイス及びメモリが、上記の実施形態を実装するのに使用され得る。プロセッサデバイスは、1つのプロセッサのみ、複数のプロセッサ、又はこれらの組み合わせであってもよい。プロセッサデバイスは、1つ以上のプロセッサ「コア」を備え得る。
【0097】
様々な実施形態が、このコンピュータシステム例900に関して実装され得る。この発明の実施するための形態を読めば、他のコンピュータシステム及び/又はコンピュータアーキテクチャを用いて、本発明のうちの1つ以上をどのように実装するかが当業者には明らかになるであろう。演算については、途切れのないプロセスとして説明されている場合があるが、演算の一部が、実際には、並行して、同時に、かつ/又は分散型環境において行われてもよく、シングルプロセッサマシン又はマルチプロセッサマシンによるアクセスに対してローカルに又はリモートに格納されたプログラムコードにより行われてもよい。更に、実施形態によっては、演算の順序は、本開示の発明の対象の趣旨を逸脱しない限り、配列し直されてもよい。
【0098】
プロセッサデバイス904は、特殊用途プロセッサデバイス又は汎用プロセッサデバイスであり得る。当業者であれば分かるように、プロセッサデバイス904はまた、マルチコア/マルチプロセッサシステムにおけるシングルプロセッサであってもよく、このようなシステムは、単独で、又はクラスタ若しくはサーバファームにおいて演算するコンピューティングデバイスのクラスタで演算する。プロセッサデバイス904は、通信インフラストラクチャ906、例えば、バス、メッセージキュー、ネットワーク、又はマルチコアメッセージ受け渡しスキームに接続されている。
【0099】
コンピュータシステム900は、メインメモリ908、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)も含み、二次メモリ910も含み得る。二次メモリ910は、例えば、ハードディスクドライブ912、又はリムーバルブストレージドライブ914を含み得る。リムーバブルストレージドライブ914には、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリなどが挙げられ得る。リムーバブルストレージドライブ914は、よく知られているように、リムーバブルストレージユニット918から読み取りかつ/又はそれに書き込む。リムーバブルストレージユニット918としては、フロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク、ユニバーサルシリアルバス(USB:Universal Serial Bus)ドライブなどを挙げることができ、これらは、リムーバルブストレージドライブ914により、読み取られ、書き込まれる。当業者であれば分かるように、リムーバブルストレージユニット918としては、それに格納されたコンピュータソフトウェア及び/又はデータを有するコンピュータ使用可能記憶媒体が挙げられる。
【0100】
コンピュータシステム900は(場合によっては)、ディスプレイ940に表示する対象のグラフィックス、テキスト、及び他のデータを通信インフラストラクチャ906から(又は、図示されていないフレームバッファから)転送する表示インターフェース902(キーボード、マウスなどの入力デバイス及び出力デバイスを含めることができる)を含む。
【0101】
代替の実装態様において、二次メモリ910としては、コンピュータプログラム又は他の命令がコンピュータシステム900に読み込まれるのを可能にするための他の同様の手段を挙げることができる。このような手段としては、例えば、リムーバブルストレージユニット922及びインターフェース920を挙げることができる。このような手段の例としては、ソフトウェア及びデータがリムーバブルストレージユニット922からコンピュータシステム900に転送されるのを可能にする、プログラムカートリッジ及びカートリッジインターフェース(ビデオゲームデバイスに見られるものなど)、リムーバブルメモリチップ(EPROM又はPROMなど)及び対応するソケット、また他のリムーバブルストレージユニット922及びインターフェース920を挙げることができる。
【0102】
コンピュータシステム900は、通信インターフェース924も含み得る。通信インターフェース924は、ソフトウェア及びデータがコンピュータシステム900と外部デバイスとの間で転送されるのを可能にする。通信インターフェース924としては、モデム、ネットワークインターフェース(イーサネットカードなど)、通信ポート、PCMCIAスロット、及びカードなどを挙げることができる。通信インターフェース924を介して転送されるソフトウェア及びデータは、通信インターフェース924によって受信されることが可能な電子信号、電磁信号、光信号、又は他の信号であり得る信号の形態であり得る。これらの信号は、通信パス926を介して、通信インターフェース924に与えられ得る。通信パス926は、信号を搬送し、ワイヤ若しくはケーブル、光ファイバ、電話回線、携帯電話リンク、RFリンク、又は他の通信チャネルを使用して実装され得る。
【0103】
本明細書において、「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータ使用可能媒体」という用語は、大抵、リムーバブルストレージユニット918、リムーバブルストレージユニット922、及びハードディスクドライブ912に設置されたハードディスクなどの媒体を指すのに使用される。コンピュータプログラム媒体及びコンピュータ使用可能媒体は、メインメモリ908及び二次メモリ910などのメモリを指すこともあり、これは、メモリ半導体(例えば、DRAMなど)であり得る。
【0104】
コンピュータプログラム(コンピュータ制御ロジックとも呼ばれる)は、メインメモリ908及び/又は二次メモリ910に格納される。コンピュータプログラムはまた、通信インターフェース924を介して受信され得る。このようなコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム900に、本明細書に述べられるような実施形態を実施するのを可能にさせる。具体的には、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサデバイス904に、本明細書に述べられる実施形態のプロセスを実施することを可能にさせる。したがって、このようなコンピュータプログラムは、コンピュータシステム900のコントローラに相当する。実施形態がソフトウェアを使用して実装されている場合、ソフトウェアは、コンピュータプログラム製品に格納され、リム-バルブストレージドライブ914、インターフェース920、及びハードディスクドライブ912、又は通信インターフェース924を使用してコンピュータシステム900に読み込まれ得る。
【0105】
本発明の実施形態はまた、如何なるコンピュータ使用可能媒体にでも格納されたソフトウェアを含むコンピュータプログラム製品を対象とするものであり得る。このようなソフトウェアは、1つ以上のデータ処理デバイスにおいて実行されると、データ処理デバイスに、本明細書に記載のように演算させる。本発明の実施形態には、如何なるコンピュータ使用可能媒体又は可読媒体も採用され得る。コンピュータ使用可能媒体の例としては、一次記憶デバイス(例えば、如何なる種類のランダムアクセスメモリでも)、二次記憶デバイス(例えば、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD ROM、ZIPディスク、テープ、磁気記憶デバイス、及び光記憶デバイス、MEMS、ナノ技術記憶デバイスなど)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0106】
発明を実施するための形態のセクション、また発明の概要ではなく要約のセクションが、特許請求の範囲を解釈するのに使用されることを目的とするものであることを理解されたい。発明の概要及び要約のセクションは、本発明者によって想定されるような本発明の1つ以上であるがすべてではない例示的な実施形態を明示することができ、それゆえ、本発明及び添付の特許請求の範囲を多少なりとも限定することを目的とするものではない。
【0107】
具体的な機能の実施及びその関係のよい例となる機能ビルディングブロックの助けにより、本発明を上で説明してきた。これらの機能ビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、本明細書において任意に定義されている。具体的な機能及びこれらの関係が適宜行われる限り、代替の境界が定義され得る。
【0108】
具体的な実施形態の上記の説明により、他者が、当業者が備えている技能の範囲内に知識を適用することによって、過剰な試行錯誤をしない限り、また本発明の全般的な概念を逸脱しない限り、このような具体的な実施形態を様々な用途に合わせて容易に修正しかつ/又は適合させることができるように、本発明の全体的な性質が完全に明らかになる。したがって、このような適合及び修正は、本明細書に提示された教示及び指針に基づいて、本開示の実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることを目的とするものである。本明細書における表現法又は用語法は、説明上のものであって、限定目的のものではないことを理解すべきであり、本明細書の用語法又は表現法は、本明細書における教示及び指針に照らして当業者によって解釈されるようなものである。
【0109】
本発明の幅広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の記特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17