(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】透析システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 60/546 20210101AFI20241101BHJP
A61M 60/113 20210101ALI20241101BHJP
A61M 60/37 20210101ALI20241101BHJP
A61M 1/16 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61M60/546
A61M60/113
A61M60/37
A61M1/16 110
(21)【出願番号】P 2021564650
(86)(22)【出願日】2020-04-30
(86)【国際出願番号】 US2020030751
(87)【国際公開番号】W WO2020223500
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-04-17
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516325121
【氏名又は名称】アウトセット・メディカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】OUTSET MEDICAL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】プジン,ジャスティン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,スティーブン オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,タイラー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リーバス,ローガン
(72)【発明者】
【氏名】キム,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホガード,マイケル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】エッター,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,トッド
(72)【発明者】
【氏名】タンバー,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】クランク,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイフォード,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ネイマーク,コール
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0275377(US,A1)
【文献】特表2005-512736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00-1/38,60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに設けられた血液ポンプと、
前記ハウジングに設けられた少なくとも1つの流量センサと、
前記血液ポンプ及び前記少なくとも1つの流量センサと係わり合うように構成された患者チューブセットであって、患者の血管アクセス部位に流体結合されるように構成された動脈ラインと静脈ラインとを備える、患者チューブセットと、
前記血液ポンプ及び前記少なくとも1つの流量センサに結合された電子コントローラとを備え、
前記電子コントローラは、
前記患者チューブセット内部に所望の血液の流速を達成する予め選択された速度で
前記血液ポンプを動作させ、
前記少なくとも1つの流量センサで前記患者チューブセット内の実際の血液の流速を測定
し、
測定された前記実際の血液の流速を前記
所望の血液の流速と比較
し、
前記測定された
前記実際の血液の流速と前記所望の血液の流速との間の差に基づいて
前記患者の動脈圧を計算
し、
前記測定された
前記実際の血液の流速が前記
所望の血液の流速と一致するように前記血液ポンプ
の速度を調整する
、透析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年4月30日に出願された「Automated Multimodal Sensor and Extracorporeal Cartridge for Hemodialysis」と題する米国仮出願第62/841,051号、および2019年11月11日に出願された「Dialysis System and Methods」と題する米国仮出願第62/933,752号の利益を主張し、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、「Dialysis System and Methods」と題された米国特許第9,504,777号、および2019年8月23日に出願された米国特許出願公開第16/550,042号に関連するものであり、これらが両方とも参照により本明細書に組み込まれている。
参照による組み込み
【0003】
本明細書で言及されるすべての刊行物および特許出願は、あたかも個々の刊行物または特許出願が各々具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本開示は、一般に、透析システムに関する。より具体的には、本開示は、透析治療中にリアルタイムで透析液を生成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0005】
現在、米国には末期腎疾患を有する数十万人の患者がいる。そのほとんどは、生存するために透析を必要とする。多くの患者は、透析センターで透析治療を受けており、これにより、患者に厳しい、制限的な、疲労させるスケジュールを課すことがある。センターでの透析を受けている患者は、典型的には、少なくとも週に3回センターに移動し、毎回3~4時間椅子に座っていなければならず、その間、毒素および過剰な体液が血液から濾過される。治療後、患者は、針の部位が出血を止めるのを待たなければならず、血圧が正常に戻るのを待たなければならず、これは、日常生活において他のより充実した活動からさらに多くの時間離れることを要する。さらに、典型的なセンターが1日のうちに3~5シフトの患者を治療するので、センター内の患者は、融通の利かないケジュールに従わなければならない。その結果、1週間に3回透析をする人の多くは、セッション後少なくとも数時間は疲労を感じていると訴えている。
【0006】
市場に出ている多くの透析システムは、透析療法の前、最中、および後に、技術者からの多大な入力および注意を必要としている。治療前に、技術者は往々にして、患者の血液チューブセットを透析システムに手動で設置し、チューブセットを患者および透析器に接続し、チューブセットを手動でプライミングして治療前にチューブセットから空気を除去する必要がある。治療中、技術者は、典型的には、静脈圧および体液レベルを監視し、生理食塩水および/またはヘパリンのボーラスを患者に投与する必要がある。治療後、技術者は往々にして、チューブセット内の血液を患者に戻し、透析システムから排出する必要がある。ほとんどの透析システムの非効率性、およびプロセスに技術者が著しく関与する必要性が、患者が大規模な治療センターから離れて透析療法を受けることを、はるかに困難にしている。
【0007】
センター内での透析は要求が厳しいという性質を考慮し、多くの患者はオプションとして在宅での透析に目を向けている。在宅での透析は、患者が仕事に行く、または家族を介護するといった他の活動に適合した治療時間を選択することを可能にするため、患者にスケジューリングの柔軟性を与える。残念なことに、現在の透析システムは、一般に、患者の自宅での使用には適していない。この理由の1つは、現在のシステムが、一般的な住居に収めるには大きすぎてかさばることである。現在の透析システムはまた、適切な使用のため大量の水を加熱するのに大量のエネルギーを使用するという点で、エネルギー的に効率が良くない。いくつかの在宅透析システムが利用可能であるが、それらは一般にセットアップし、使用するのが困難である。その結果、慢性の患者に対するほとんどの透析治療は、透析センターで行われている。
【0008】
血液透析はまた、入院してきた現在の透析患者または急性腎障害に罹患している患者のいずれかに対して、急の病院のセッティングで行われる。これらの治療セッティング、典型的には病室では、透析液を生成するのに十分な純度の水が容易に入手できない。したがって、急のセッティングにおける血液透析装置は、大量の予め混合された透析液に依存しており、これらは典型的には大きなバッグで提供され、スタッフが取り扱うのに厄介である。あるいは、血液透析装置は、ポータブルRO(逆浸透)機または他の同様の浄水装置に接続され得る。これには、管理、輸送および消毒されなければならない別の独立した機器を導入する。
【発明の概要】
【0009】
透析治療中の動脈圧を計算する方法であって、透析システムの血液ポンプを予め選択された速度で動作させるステップと、透析システムのチューブセット内の血液の流量を測定するステップと、測定された流量を予め選択された速度と比較するステップと、測定された流量と予め選択された速度との間の差に基づいて動脈圧を計算するステップと、測定された流量が予め選択された速度と一致するように血液ポンプ速度を調整するステップとを含む方法が、提供される。
【0010】
透析システムのフローチャンバであって、流入管腔および流出管腔を含むハウジングと、流入管腔を流出管腔から少なくとも部分的に分離するハウジング内の隔壁と、ハウジング内の圧力を感知するように構成された可撓性エラストマーダイアフラムであって、流体およびガスに対して不浸透性である、可撓性エラストマーダイアフラムと、ハウジングから流体ではなく空気を排出するように構成された空気排出機構とを含む、フローチャンバも提供される。
【0011】
いくつかの実施形態では、空気排出機構が、流体に対して不浸透性であるがガスに対して浸透性である疎水性膜を備える。他の実施形態では、空気排出機構はフロートボール弁を備える。
【0012】
透析システムにおいて透析液を生成する方法であって、透析治療システムへの水の流れを生成するステップ、水の流れのpHを測定するステップ、透析システムの透析液配分システムから水の流れに酸および/または重炭酸塩濃縮物を送達して、水のpHを調整するステップ、透析システムの浄水システムで水を浄化するステップ、および酸および/または重炭酸塩濃縮物を透析液配分システムから調整されたpHを有する精製水に送達して透析液を形成するステップを含む方法も、提供される。
【0013】
いくつかの例では、方法は、透析液を用いて透析システムの使用者に対して透析療法を実施することをさらに含む。
【0014】
透析液を生成するように構成された透析システムであって、透析システムに水の流れを供給するように構成された水の供給源と、透析システム内に配置され、水の流れのpHを測定するように構成されたpHセンサと、透析システム内に配置され、測定されたpHに基づいて、透析システムの透析液配分システムから水の流れの中に酸および/または重炭酸塩濃縮物を送達して、水の流れのpHを調整するように構成されたコントローラと、透析システムに配置され、水の流れを浄化するように構成された浄水システムとを含み、コントローラが、透析液配分システムから調整されたpHを有する精製水に酸および/または重炭酸塩濃縮物を送達して透析液を形成するようにさらに構成されている、透析システムが、提供される。
【0015】
逆浸透濾過システムの前に水の第1の伝導率を測定するステップ、水を逆浸透濾過システムに流すステップ、水から溶存ガスを除去するように構成された脱気チャンバを通って水を流すステップ、脱気チャンバの後の水の第2の伝導率を測定するステップ、および第1の伝導率と第2の伝導率との間の端数関係を確立して、除去率を求めるステップを含む、透析システムにおける除去率を測定する方法が提供される。
【0016】
透析システムからガスを除去するように構成された空気除去チャンバであって、透析システムの体外回路から血液の流れを受け取るように構成された血液チャンバ、血液チャンバに配置され、ガスおよび少量の血漿を通過させるように構成されているが、血液を通過させないように構成された一次膜、一次膜に隣接して配置され、少量の血漿を収集するように構成された二次チャンバ、二次チャンバ内に配置され、ガスは通過させるが血液は通過させないように構成された二次膜を備える、空気除去チャンバが提供される。
【0017】
いくつかの例では、一次膜および二次膜は、血液チャンバを通る全体的な血液の流れの平面に対してほぼ垂直に配置される。他の実施形態では、一次膜および二次膜は、血液チャンバを通る全体的な血液の流れの平面に対してほぼ平行に配置される。
【0018】
空気除去チャンバの一例は、二次チャンバ内の収集された血漿へのアクセスを可能にするように構成された二次チャンバ内のタップをさらに備える。
【0019】
別の例は、二次チャンバ内に配置された有孔支持構造体をさらに備え、有孔支持構造体は、一次膜と二次膜との間に構造的支持体を設けるように構成される。
【0020】
透析療法中に血漿を採取および分析する方法であって、透析療法を開始すること、血液ではなく血漿およびガスが、空気除去チャンバの一次膜を通過し、空気除去チャンバの二次チャンバに流入するのを許容すること、空気除去チャンバの二次チャンバから血漿のサンプルを収集すること、血漿のサンプルを血漿分析器で分析すること、および透析療法を完了することを含む方法が、提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、収集するステップが、二次チャンバ内のタップを介して二次チャンバから血漿のサンプルを収集することをさらに含む。他の実施形態では、収集ステップは、二次チャンバから血漿分析器に血漿サンプルを自動的に輸送することをさらに含む。
【0022】
透析システムの体外回路からガスを除去する方法であって、透析システムの血液ポンプを動作させて、体外回路の空気除去チャンバを通るステップを含む、体外回路を通って流体を移動させるステップ、通気可能な膜を横切って空気除去チャンバからガス除去チャンバ内にガスを除去するステップを許容するステップ、ガス除去チャンバ内に真空を生成し、空気除去チャンバから除去されたガスの除去を促進するために、ガス除去チャンバに結合されたレベル調整ポンプを動作させるステップを含む方法も提供される。
【0023】
一例では、方法は、ガス除去チャンバ内の圧力を監視すること、監視された圧力が比較的一定である場合、レベル調整ポンプの動作を停止させること、ガス除去チャンバ内の圧力を監視し続けること、およびガス除去チャンバ内の監視された圧力がレベル調整ポンプの停止に伴って増加しない場合、体外回路に漏れが存在すると判定することをさらに含む。
【0024】
別の例では、方法は、ガス除去チャンバ内の圧力を監視すること、および監視された圧力が低下した場合、すべてのガスが体外回路から除去されたこと、および体外回路が完全にプライミングされたことを判定することをさらに含む。
【0025】
透析システムからガスを除去するように構成された空気除去チャンバであって、透析システムの体外回路から血液の流れを受け取るように構成された血液チャンバ、血液チャンバに隣接するガス除去チャンバ、通気可能な膜であって、血液チャンバとガス除去チャンバとの間に配置され、ガスが血液チャンバからガス除去チャンバに通過することを可能にするが、血液は可能にしないように構成された、通気可能な膜、ガス除去チャンバに流体結合されたレベル調整ポンプであって、通気可能なフィルタを横切る圧力の勾配を増大させるように構成されたレベル調整ポンプ、およびガス除去チャンバ内の圧力を監視するように構成された電子コントローラであって、すべてのガスが体外回路から除去されたこと、および監視された圧力が低下した場合に体外回路が完全にプライミングされたことを判定するようにさらに構成される、電子コントローラを備える、空気除去チャンバが提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、通気可能なフィルタは変形可能である。
【0027】
透析システムからガスを除去するように構成された空気除去チャンバであって、透析システムの体外回路から血液の流れを受け取るように構成された血液チャンバ、血液チャンバに隣接するガス除去チャンバ、変形可能で通気可能な膜であって、血液チャンバとガス除去チャンバとの間に配置され、ガスが血液チャンバからガス除去チャンバに通過することを可能にするが、血液は可能にしないように構成された、変形可能で通気可能な膜、ガス除去チャンバに流体結合されたレベル調整ポンプであって、変形可能で通気可能なフィルタを横切る圧力の勾配を増大させるよう動作するように構成されたレベル調整ポンプ、およびガス除去チャンバ内の圧力を監視するように構成された電子コントローラであって、レベル調整ポンプの動作を停止し、レベル調整ポンプが停止した状態でガス除去チャンバ内の圧力を監視し続けるようにさらに構成され、レベル調整ポンプが停止してもガス除去チャンバ内の監視された圧力が上昇しない場合、体外回路に漏れが存在することを判定するようにさらに構成されている、電子コントローラを備える、空気除去チャンバ。
【0028】
血液ポンプと透析器との間の透析システムの体外回路におけるラインの圧力を推測する方法であって、透析システムの血液ポンプを動作させて、体外回路に血液の流れを作り出すステップ、体外回路の動脈ライン内の第1の動脈ラインの圧力を測定するステップ、動脈ラインと生理食塩水供給源の間の流体経路を開くステップ、体外回路の動脈ライン内の第2の動脈ラインの圧力を測定するステップ、第2の動脈ラインの圧力から第1の動脈ラインの圧力を差し引くことにより、生理食塩水供給源の静水圧を判定するステップ、体外回路の静脈ラインと生理食塩水供給源との間の流体経路を開くステップ、体外回路の動脈ライン内の第3の動脈ラインの圧力を測定するステップ、第3の動脈ラインの圧力から生理食塩水供給源の静水圧を差し引くことにより、血液ポンプと透析器の間のラインの圧力を判定するステップを含む方法も、提供される。
【0029】
いくつかの例では、方法は、生理食塩水供給源と、動脈ラインおよび静脈ラインの両方との間の流体経路を閉じること、体外回路の静脈ライン内の静脈ラインの圧力を測定すること、血液ポンプと透析器との間のラインの圧力を静脈ラインの圧力から減算することによって、透析器にわたる圧力の降下を判定することをさらに含む。
【0030】
一実施形態では、方法は、透析器にわたる圧力の降下がクリアランス閾値を超える場合、透析器が危険にさらされていると判定することをさらに含む。
【0031】
精製水源と流体連通している給水ポート、透析装置と流体連通する出口ラインを有する濃縮物接続キャップであって、給水ポート、粉末重炭酸塩キャニスタ、または予混合液体重炭酸塩濃縮物容器の1つと嵌合するように構成される、濃縮物接続キャップを含み、第1の構成では、粉末重炭酸塩キャニスタが給水ポートに接続され、濃縮物接続キャップが粉末重炭酸塩キャニスタに接続され、精製水が給水ポートから粉末重炭酸塩キャニスタに供給されて、次に、濃縮物接続キャップの出口ラインを介して透析システムに送達される混合重炭酸塩溶液を形成し、第2の構成では、濃縮物接続キャップは、予混合液体重炭酸塩濃縮物容器に接続され、混合重炭酸塩溶液は、次に、濃縮物接続キャップの出口ラインを介して透析システムに送達され、第3の構成では、濃縮物接続キャップが給水ポートに直接接続され、精製水源からの精製水が濃縮物接続キャップを通って流れて残留濃縮物を洗い流すように構成される、透析システムの透析液送達サブシステムも、提供される。
【0032】
一実施形態では、第2の構成において、給水ポートは自動的に閉鎖される。別の実施形態では、第2の構成では、ストローまたは導管が、濃縮物接続キャップを予混合液体重炭酸塩濃縮物容器に流体結合する。
【0033】
透析システムの透析液送達サブシステムであって、精製水の供給源と流体連通する給水ポート、給水ポートと嵌合するように構成された入口を有し、入口よりも下方に配置された出口と、出口よりも上方に配置されたフィルタとをさらに備える、粉末重炭酸塩キャニスタ、を含み、透析システムと流体連通する出口ラインを有する濃縮物接続キャップであって、粉末重炭酸塩キャニスタの出口と嵌合するように構成された濃縮物接続キャップ、給水ポートからの精製水は、粉末重炭酸塩キャニスタ内の粉末重炭酸塩濃縮物と混合して液体重炭酸塩を生成するように構成され、液体重炭酸塩はその後、濃縮物接続キャップによって透析システムに配分することができる透析液送達サブシステムが、提供される。
【0034】
一例では、フィルタは円錐形である。
【0035】
同じ透析システムを用いて体外透析療法および体内透析療法を施す方法であって、体外治療チューブセットを透析装置に取り付けるステップであって、体外治療チューブセットは、少なくとも動脈ライン、静脈ライン、空気除去チャンバ、および透析器を備える、取り付けるステップと、体外治療チューブセットを用いて体外透析療法を施すステップと、透析装置から体外治療チューブセットを除去するステップと、体内治療チューブセットを透析装置に取り付けるステップであって、体内治療チューブセットは、少なくとも入口ライン、出口ライン、および空気除去チャンバを含む、取り付けるステップと、体内治療チューブセットを用いて体内透析療法を施すステップとを含む方法が、提供される。
【0036】
いくつかの例では、透析システムの血液ポンプが、体外治療チューブセットに接続されているが、体内治療チューブセットにはいない。
【0037】
一実施形態では、方法は、空気除去チャンバで、体外治療チューブセットおよび体内治療チューブセットの両方からガスを除去することをさらに含む。
【0038】
体外透析療法と体内透析療法の両方を施すように構成された透析システムであって、体内治療チューブセットまたは体外治療チューブセットのいずれかを受け入れるように構成されたインターフェースパネルであって、体内治療チューブセットまたは体外治療チューブセット内の流体の圧力および/または流れを測定するように構成された1つ以上のセンサを含むインターフェースパネル、透析器または透析器シェルを受け入れるように構成された取り付け特徴部、透析液の供給源、および血液ポンプを含み、体内治療チューブセットがインターフェースパネルに設置され、透析器シェルが取り付け特徴部に設置される第1の構成では、透析システムは、透析液を、透析液の供給源から透析器シェルを通って体内治療チューブセットに送達するよう構成され、体外治療チューブセットがインターフェースパネルに設置され、透析器が取り付け特徴部に設置される第2の構成では、透析システムは、血液ポンプが患者から体外治療チューブセットおよび透析器へ血液吸引する間、透析液の供給源から透析器を介して透析液を送達するように構成されるシステムが、提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、透析器シェルが、単回使用微生物/エンドトキシンフィルタをさらに含む。
【0040】
透析システムと共に使用されるように構成された単回使用微生物/エンドトキシンフィルタであって、透析器の入口と取り外し可能に嵌合するように構成された第1のポート、透析液源の出口と取り外し可能に嵌合するように構成された第2のポートを含み、単回使用微生物/エンドトキシンフィルタは、透析液が透析器に入る前に透析液から汚染物質を除去するように構成されるフィルタも、提供される。
【0041】
透析システムと共に使用されるように構成された透析器であって、単回使用微生物/エンドトキシンフィルタと一体である透析器の入口、透析液源の出口と取り外し可能に嵌合するように構成されている、単回使用微生物/エンドトキシンフィルタの入口を含み、単回使用微生物/エンドトキシンフィルタは、透析液が透析器に入る前に透析液から汚染物質を除去するように構成される透析器が、提供される。
【0042】
透析システムの圧力測定装置であって、透析療法中に血液の流れを運ぶように構成されたチャネルと、チャネルの少なくとも一部分を含む可撓性膜であって、血液の流れの圧力の変動により、可撓性膜がチャネルから内側または外側に変位する、可撓性膜と、可撓性膜の少なくとも一部の内部に配置された磁気コアと、可撓性膜の内部に配置された磁気コアに磁気で結合されるように構成された磁石と、磁石に結合された力変換器であって、可撓性膜の変位を血液の流れの圧力と相関させるように構成された力変換器と、磁石の内部に配置され、可撓性膜に接触して、チャネルの内部の血液の流れの温度を判定するように構成された温度センサとを備える装置が、提供される。
【0043】
いくつかの例では、装置は、磁石と可撓性膜との間の一貫した結合を維持するために磁石に対して既知の力を加えるように構成されたコンプライアント取り付け部をさらに備える。一例では、コンプライアント取り付け部が、可撓性膜に隣接するチャネルに接触するように構成された複数の軸方向延長部を含む。別の例では、コンプライアント取り付け部は、各々の周りに巻き付けられたばねを有する複数の肩部ねじをさらに備え、肩部ねじは、軸方向移動方向の外側への力変換器のいかなる移動も排除するようにバッキングプレートに対して配置され取り付けられている。
【0044】
いくつかの実施形態では、温度センサは、磁石内に同心円状に配置される。
【0045】
透析療法のための透析システムに取り付けられるように構成された血液チューブセットであって、カセットシェル、カセットシェルの内部に配置された流体チューブ回路、カセットシェルの上または内部に配置された位置合わせ特徴部であって、カセットシェルを取り付けるときにカセットを透析システムと位置合わせするように構成された位置合わせ特徴部、およびカセットシェルの内部に配置された1つ以上の係合セクションであって、透析システム上の対応するチャネルの内部にカセットシェルの流体チューブ回路を完全に着座させるのを助けるように構成されている、1つ以上の係合セクションを含む、血液チューブセットが、提供される。
【0046】
いくつかの実施形態では、係合セクションが、透析システムの対応する流量センサの溝またはチャネル内に流体チューブ回路を押し込むように構成された当接リッジを備える。
【0047】
別の実施形態では、血液チューブセットは、1つ以上の係合セクションに配置され、カセットシェルを透析システムの上に取り付けるときにコンプライアンスを付与するように構成されたコンプライアント取り付け部をさらに備える。いくつかの実施形態では、透析システムの対応するチャネルが、透析システムのセンサ、ポンプ、またはピンチ弁に関連付けられる。
【0048】
透析システムであって、カートリッジ式患者チューブセットに嵌合するように構成されたカセットインターフェースパネル、カセットインターフェースパネルの内部または近くに配置された1つ以上のラッチであって、カートリッジ式患者チューブセットを把持するように構成された1つ以上のラッチ、およびカートリッジ式患者チューブセットが1つ以上のラッチによって把持されたときに、カセットインターフェースパネルをカートリッジ式患者チューブセットに向かって移動させるように構成されたリニアアクチュエータであって、カートリッジ式患者チューブセットをカセットインターフェースパネルと完全に係合させるリニアアクチュエータを含む、システムが、提供される。
【0049】
いくつかの実施形態では、カートリッジ式患者チューブセットが、カセットインターフェースパネルと完全に係合したときに、透析システムの1つ以上のセンサの内部に設置される。
【0050】
カートリッジ式患者チューブセットを透析装置に取り付ける方法であって、カートリッジ式患者チューブセットを透析装置のカセットインターフェースパネルのラッチ内に配置すること、カートリッジ式患者チューブセットがラッチの内部に配置されたことを透析装置によって自動的に検出すること、透析装置のカセットインターフェースパネルを、リニアアクチュエータを用いてカートリッジ式患者チューブセットに向かって移動させること、およびカートリッジ式患者チューブセットを透析装置のカセットインターフェースパネルと完全に係合させることを含む方法が、提供される。
【0051】
透析療法用の透析装置を準備する方法であって、体外回路の動脈ラインを体外回路の静脈ラインにユニオンジョイントで接続すること、透析装置の体外回路にプライミング溶液を流して、体外回路からガスを除去すること、ユニオンジョイントを透析システムの洗浄/排出経路に接続すること、体外回路から洗浄/排出経路を介してプライミング溶液を除去するように排液ポンプを動作させること、ユニオンジョイントを洗浄/排出経路から除去すること、透析液ラインを洗浄/排出経路に接続すること、および透析液ラインを消毒するために透析液ラインを通じて透析液を流すように透析液ポンプおよび/または排液ポンプを動作させることを含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0052】
本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
【0053】
【0054】
【
図2】透析システムの浄水システムの一実施形態を示す。
【0055】
【
図3】透析システムの透析送達システムの一実施形態を示す。
【0056】
【
図4】透析システムの内部に含まれる浄水システムのフロー図を示す。
【0057】
【
図5】透析システムの浄水システムの給水サブシステム、濾過サブシステム、予熱サブシステム、RO濾過サブシステム、および低温殺菌サブシステムを示す概略図である。
【0058】
【
図6】浄水システムの給水サブシステムの特徴を示す。
【0059】
【
図7】浄水システムの濾過サブシステムの一実施形態を示す。
【0060】
【
図8】浄水システムの予熱サブシステムの一実施形態を示す。
【0061】
【
図9】浄水システムのRO濾過サブシステムの一実施形態を示す。
【0062】
【
図10】水調製システムの低温殺菌サブシステムの一実施形態を示す。
【0063】
【
図11】
図10の低温殺菌サブシステムの代わりに使用することができる限外濾過サブシステムの異なる実施形態を示す。
【0064】
【
図12】透析送達システムの混合サブシステムの概略図を示す。
【0065】
【
図13】混合サブシステムから調製された透析液を受け取ることができる透析送達システムの限外濾過サブシステムを示す。
【0066】
【
図14】透析装置に組み込まれた逆浸透システムにおける除去率の測定の向上を示す。
【0067】
【0068】
【
図16】移動時間超音波プローブの実施形態を示す。
【0069】
【
図17】一対の移動時間超音波プローブを用いて限外濾過率を判定する技術を示す概略図である。
【0070】
【
図18A】患者の血管アクセス部位を監視するための技術の概略図である。
【
図18B】患者の血管アクセス部位を監視するための技術の概略図である。
【0071】
【
図19】患者の血液量を判定する技術を示す概略図である。
【0072】
【
図20】透析患者における動脈圧を判定するためのフローチャートである。
【0073】
【
図21A】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【
図21B】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【
図21C】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【
図21D】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【0074】
【
図22A】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【
図22B】透析システム用のフローチャンバの実施形態を示す。
【0075】
【
図23A】透析システム用のフローチャンバの別の実施形態を示す。
【
図23B】透析システム用のフローチャンバの別の実施形態を示す。
【0076】
【
図24】透析療法中に血漿を採取する方法を示すフローチャートである。
【0077】
【
図25】透析システム用のフローチャンバの別の実施形態である。
【0078】
【
図26】
図25のフローチャンバを使用する方法を説明するフローチャートを示す。
【
図27】
図25のフローチャンバを使用する方法を説明するフローチャートを示す。
【0079】
【0080】
【
図29】
図28の透析システムを使用する方法を説明するフローチャートである。
【
図30】
図28の透析システムを使用する方法を説明するフローチャートである。
【0081】
【
図31A】透析液溶液を調製および/または送達するための透析システムの様々な構成を示す。
【
図31B】透析液溶液を調製および/または送達するための透析システムの様々な構成を示す。
【
図31C】透析液溶液を調製および/または送達するための透析システムの様々な構成を示す。
【0082】
【
図32A】粉末重炭酸塩キャニスタから透析液を調製するための透析システムの構成を示す。
【
図32B】粉末重炭酸塩キャニスタから透析液を調製するための透析システムの構成を示す。
【
図32C】粉末重炭酸塩キャニスタから透析液を調製するための透析システムの構成を示す。
【
図32D】粉末重炭酸塩キャニスタから透析液を調製するための透析システムの構成を示す。
【0083】
【
図33A】透析システムの濃縮物接続キャップの詳細図を示す。
【
図33B】透析システムの濃縮物接続キャップの詳細図を示す。
【0084】
【
図34A】透析システムの体外回路の概略図を示す。
【
図34B】透析システムの体外回路の概略図を示す。
【0085】
【
図35A】
図35A~35Bは、透析システムと共に使用するための単回使用フィルタの2つの実施形態を示す。
【
図35B】
図35A~35Bは、透析システムと共に使用するための単回使用フィルタの2つの実施形態を示す。
【0086】
【
図36】透析システムの体内回路の実施形態を示す。
【
図37】透析システムの体内回路の実施形態を示す。
【0087】
【
図38A】患者チューブセットの内部の流体の圧力を測定するための圧力測定システムの一例を示す。
【
図38B】患者チューブセットの内部の流体の圧力を測定するための圧力測定システムの一例を示す。
【
図38C】患者チューブセットの内部の流体の圧力を測定するための圧力測定システムの一例を示す。
【0088】
【
図38A】透析システムの圧力測定装置の様々な実施形態を示す。
【
図38B】透析システムの圧力測定装置の様々な実施形態を示す。
【
図38C】透析システムの圧力測定装置の様々な実施形態を示す。
【0089】
【0090】
【
図40A】透析システムとカセットおよび患者チューブセットとの間のインターフェースを示す。
【
図40B】透析システムとカセットおよび患者チューブセットとの間のインターフェースを示す。
【0091】
【
図41】カセットおよび患者チューブセットの詳細図である。
【0092】
【
図42A】2つのクラムシェルセクションを有するカセットおよび患者チューブセットの一実施形態を示す。
【
図42B】2つのクラムシェルセクションを有するカセットおよび患者チューブセットの一実施形態を示す。
【0093】
【
図43A】流量センサなどの1つ以上のセンサ内に患者チューブを取り付けるための実施形態を示す。
【
図43B】流量センサなどの1つ以上のセンサ内に患者チューブを取り付けるための実施形態を示す。
【
図43C】流量センサなどの1つ以上のセンサ内に患者チューブを取り付けるための実施形態を示す。
【
図43D】流量センサなどの1つ以上のセンサ内に患者チューブを取り付けるための実施形態を示す。
【0094】
【
図44】患者チューブセット用のピンチ弁を設けるように構成されたピンチ機構の例である。
【0095】
【
図45】カートリッジ式の患者チューブセットおよび透析システムのパネルの一例である。
【0096】
【
図46A】
図46A~46Dは、透析システムのパネル上に装填および外されているカートリッジ式の患者チューブセットを示す。
【
図46B】
図46A~46Dは、透析システムのパネル上に装填および外されているカートリッジ式の患者チューブセットを示す。
【
図46C】
図46A~46Dは、透析システムのパネル上に装填および外されているカートリッジ式の患者チューブセットを示す。
【
図46D】
図46A~46Dは、透析システムのパネル上に装填および外されているカートリッジ式の患者チューブセットを示す。
【0097】
【
図47A】透析システムの体外回路をすすぎ、体外回路に/から流体を排出するように構成された流路を示す。
【
図47B】透析システムの体外回路をすすぎ、体外回路に/から流体を排出するように構成された流路を示す。
【
図47C】透析システムの体外回路をすすぎ、体外回路に/から流体を排出するように構成された流路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本開示は、透析療法に関連するシステム、装置、および方法を記載するものであり、使用が簡単であり、透析療法中の技術者の関与の必要性を排除または低減する自動化された特徴を含む透析システムを含んでいる。いくつかの実施形態では、透析システムは在宅透析システムであり得る。透析システムの実施形態は、自動化および透析療法の実行、効率、および安全性を改善する様々な特徴を含むことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、急性および慢性の透析療法を使用者に提供することができる透析システムが記載される。システムは、利用可能な水源を使用してリアルタイムで透析療法に使用するための水を調製するように構成された浄水システムと、透析療法のための透析液を調製するように構成された透析送達システムとを含むことができる。透析システムは、透析療法中に使用者に接続して、使用者から血液を回収および送達するための単回使用カートリッジおよびチューブセットを含むことができる。
【0100】
図1は、臨床的な環境または非臨床的な環境、例えば使用者の自宅で、使用者に透析治療をもたらすように構成された透析システム100の一実施形態を示す。
透析システム100は、ハウジング106内に配置された浄水システム102および透析送達システム104を含むことができる。浄水システム102は、透析療法のためにリアルタイムで水源を浄化するように構成することができる。例えば、浄水システムは、住宅の水源(例えば、水道水)に接続し、低温殺菌水をリアルタイムで調製することができる。次いで、低温殺菌された水は、典型的には浄水方法論に関連する大量のバッチ量の水を加熱および冷却する必要なしに、透析療法(例えば、透析送達システムを用いて)に使用することができる。
【0101】
透析システム100はまた、システムのハウジング106に取り外し可能に結合することができるカートリッジ120を含むことができる。カートリッジは、オーガナイザに取り付けられた患者用チューブセットを含むことができる。滅菌された単回使用の1回使用する構成要素であり得るカートリッジおよびチューブセットは、治療前に透析システムに接続するように構成される。この接続をすると、透析療法の前にカートリッジ、チューブセット、および透析システムの間で対応する構成要素が正確に整列される。例えば、チューブセットは、カートリッジが透析システムに連結されたときに、チューブセットを通して使用者の血液を引き込んで圧送するための、1つ以上のポンプ(例えば、蠕動ポンプ)、クランプ、およびセンサと、自動的に関連付けられる。チューブセットはまた、治療前の自動化されたプライミングおよび空気除去のために、透析システムの生理食塩水供給源と関連付けることができる。いくつかの態様では、カートリッジおよびチューブセットは、透析システムの透析器126に接続することができる。他の実施形態では、カートリッジおよびチューブセットは、チューブセットに予め取り付けられた内蔵式透析器を含むことができる。使用者または患者は、ディスプレイを含むユーザインターフェース113を介して、透析システムと対話することができる。
【0102】
図2~3は、透析システム100の一実施形態の浄水システム102および透析送達システム104をそれぞれ示す。2つのシステムは、説明を容易にするために別々に図示および説明されているが、両方のシステムを透析システムの単一のハウジング106に含めることができることを理解されたい。
図2は、(開位置に示される)フロントドア105を含むことができるハウジング106内に収容された浄水システム102の一実施形態を示す。フロントドア105は、堆積物フィルタ108、炭素フィルタ110、および逆浸透(RO)フィルタ112を含む1つ以上のフィルタなどの浄水システムに関連する特徴へのアクセスをもたらすことができる。フィルタは、浄水システム102と流体連通する水源(水道水など)からの水の浄化を補助するように構成することができる。浄水システムは、以下でより詳細に説明するように、低温殺菌およびシステムの流体温度を制御するように構成された、熱交換器を含む、加熱および冷却要素を、さらに含むことができる。システムは、任意選択的に、塩素含有量を測定するための流体のサンプルを得るための塩素サンプルポート195を含むことができる。
【0103】
図3では、ハウジング106内部に含まれる透析送達システム104は、上蓋109およびフロントドア111を含むことができ、両方とも開位置で示されている。上蓋109は、開いて、ユーザインターフェース113(例えば、電子コントローラと、タッチスクリーンなどのディスプレイとを含むコンピューティングデバイス)および透析液容器117などの、透析システムの様々な特徴へのアクセスを可能にすることができる。フロントドア111は、開閉して、カートリッジ120を透析システム100に結合するように構成された位置合わせおよび取り付け特徴部を含む、カートリッジ120およびその関連するチューブセットと相互作用するように構成された様々な特徴を含むことができるフロントパネル210へのアクセスを、可能にすることができる。透析器126は、フロントドア111またはフロントパネルに取り付けることができ、透析器を調製された透析液およびカートリッジのチューブセットに接続するラインまたはポートを含むことができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、透析システム100はまた、使用者の血圧のリアルタイムでの監視をもたらすための血圧カフを含むことができる。システム(すなわち、システムの電子コントローラ)は、透析療法の最中に使用者の血圧を監視するように構成することができる。使用者の血圧が閾値(例えば、使用者が低血圧であることを示す血圧閾値)を下回った場合、システムは、低血圧アラームで使用者に警告することができ、また透析療法を停止することができる。使用者がシステムからの設定可能な数の低血圧アラームを無視する場合、システムは透析療法を自動的に停止するように構成することができ、その時点で、システムは使用者の血液(チューブセットおよび透析器に残っている血液)を使用者の身体に戻す必要があることを使用者に通知することができる。例えば、使用者が3つの低血圧アラームを無視した場合に治療を自動的に停止するように、システムを予めプログラムすることができる。他の実施形態では、システムは、透析療法を再開する前に使用者の体液レベルを回復させるために生理食塩水のボーラスを使用者に投与することができる。患者に送達される生理食塩水の量は、限外濾過液を除去している最中に追跡し、考慮することができる。
【0105】
図3の透析送達システム104は、
図2の浄水システム102によって供給される浄水を用いて透析液流体を自動的に調製するように構成することができる。さらに、透析送達システムは、精製水を脱気し、透析液容器117からの酸および重炭酸濃縮物に比例および混合することができる。得られた透析液流体は、1つ以上の限外濾過器(以下に記載)を通過して、透析液流体が微生物およびエンドトキシン汚染物質の特定の規制の限界を、確実に満たすことができる。
【0106】
透析は、透析システム100の透析送達システム104において、使用者の血液および透析液を、透析器126に通すことによって、行うことができる。透析システム100は、血液透析、限外濾過、および血液透析濾過を含む様々なタイプの透析を達成するために、透析器へのおよび透析器からの透析液や血液の流れを調節するための様々な流れ制御装置および機構を管理するように構成された電子コントローラを含むことができる。
【0107】
図4は、透析システム100の内部に含まれる浄水システム102のフロー図を示す。蛇口からなどの流入水は、1つ以上の堆積物フィルタ108および1つ以上の炭素フィルタ110を含むいくつかのフィルタを通って流れることができる。塩素サンプルポート195を炭素フィルタ110の間に配置して、塩素含有量を測定するための流体のサンプルを供給することができる。炭素フィルタが故障した場合にシステムおよび使用者を保護するために、冗長または二重炭素フィルタを使用することができる。次いで、水は、逆浸透(RO)供給ヒータ140、RO供給ポンプ142、1つ以上のROフィルタ112(ROlおよびR02として示される)、および熱交換器(HEX)144を通過することができる。ROフィルタ112からの浸透液はHEX144に送達することができ、一方、過剰な浸透液は受動的に再循環されてRO供給ポンプおよびROフィルタを再び通過することができる。再循環は、流入する水道水をRO水で希釈して、流入水から塩をより多く排除することに関して、浄水システムの運転を促進する。HEX144を通過した後、透析液を調製し、透析治療を補助するために、精製水を透析送達システム104に送ることができる。さらに、浄水プロセスの最中のROフィルタからの濃縮物は、ドレイン152に送ることができる。
【0108】
図5を参照すると、透析システムの浄水システム102は、給水サブシステム150、濾過サブシステム154、予熱サブシステム156、RO濾過サブシステム158、および低温殺菌または限外濾過サブシステム160を含む、
図4で上述したような1つ以上のサブシステムを含むことができる。上記のサブシステムの各々は、ドレイン152への排出を生じることができる。浄水システム102は、透析療法のためにリアルタイムで水源を浄化するように構成することができる。例えば、浄水システムは、住宅の水源(例えば、水道水)に接続し、浄水をリアルタイムで調製することができる。次いで、浄水は、典型的には浄水方法論に関連する大量のバッチ量の水を加熱および冷却する必要なしに、透析療法(例えば、透析送達システムを用いて)に使用することができる。
【0109】
図6は、浄水システムの給水サブシステム150の特徴を示しており、これは浄水システムを通る流体の流れを制御するための様々な弁(例えば、三方弁、制御弁など)を含むことができる。例えば、少なくとも1つの弁2169を開いて、浄水システムに水を流して浄化することができる。流入する水は、例えば、水道水源2171から流し入れることができる。浄水システムから戻る流体は、弁のうちの1つ以上に通してドレイン152に導くことができる。さらに、サブシステムは、給水圧力を設定値に調整することができる供給レギュレータ183を含むことができる。給水サブシステム150は、水道水源2171の後の流体路に接続するpH制御ライン661をさらに含むことができる。
図6に示すように、pH制御ライン661は、水道水源2171の後であるが供給レギュレータ183の前に流体路に入る。しかし、pH制御ライン661は、水道水源2171の後であるが逆浸透(RO)フィルタ(例えば、
図2~3のROフィルタ112)の前の流体路の任意の点で、透析システムに入ることができるということを理解されたい。したがって、pH制御ライン661のための任意選択の接続を
図7、8、および9に示す。pH制御ライン661は、pH制御モジュール(後述)から水供給ラインへの酸および塩基の濃縮物の移送を可能にして、流入する水のバランスを整え、水の濾過効率を改善するように構成される。ドレイン圧力センサ153は、ドレインの圧力を測定することができる。水は、給水サブシステム150から次に説明する濾過サブシステムに流れることができる。
【0110】
図7は、浄水システムの濾過サブシステム154の一実施形態を示す。濾過サブシステムは、
図6に記載の給水サブシステム150から水を受け取ることができる。水は、最初に、水圧を測定するように構成された供給圧力センサ2173と、流入してくる給水の温度を検知するように構成された供給温度センサ2175とを通過することができる。この実施形態では、PH制御ライン661は、供給圧力センサおよび供給温度圧力の直前の流体路に合流する。しかし、pH制御ライン661は、濾過サブシステムの前、内部、または後の位置で、流体路に結合することができることを理解されたい。濾過サブシステムは、堆積物フィルタ155、例えば5ミクロンのポリプロピレンカートリッジフィルタを含むことができる。フィルタは、通常、6ヶ月ごとに交換することが必要である。沈殿物濾過器が高容量であること、および濾過器を比較的低い流量が通ることに基づいて、平均寿命は、米国の平均都市水質に基づいて1年を超えると推定される。6ヶ月の交換間隔により、早計の堆積物フィルタの付着がまれになることへの高い保証が得られる。また、フィルタの構造および材料に基づいてまれに発生すると予想されるのは、不具合により、濾過していない水がフィルタを通過することである。堆積後用圧力センサ2177は、堆積物フィルタを交換する必要があるときを監視および識別するために、堆積物フィルタにわたる圧力の降下を測定することができる。堆積物フィルタが濾過されていない水を通過させる場合、その結果は炭素フィルタの汚損であり、これは堆積後用圧力センサ2177での圧力の降下によって検出される。センサが5psigに低下したときにこの圧力の低下が重要な要因である場合、システムは、治療を開始する前に炭素フィルタと堆積物フィルタを両方交換することを必要とする。
【0111】
次いで、水は、有機化学物質、塩素、およびクロラミンなどの材料を水から濾過するように構成された1つ以上の炭素フィルタ110(CF-1およびCF-2として示す)を通って流れることができる。例えば、炭素フィルタ110は、10ミクロンフィルタを有する粒状炭素ブロックカートリッジを含むことができる。炭素フィルタは、炭素フィルタ間の流路に位置する塩素サンプルポート195と直列に接続することができる。塩素サンプルポートは、水の全塩素濃度レベルが特定の閾値未満(例えば、0.1ppm未満)であることを確実にする質の管理の目的などのために、使用者に、流水へのアクセス(システムのフロントパネルなどから)をもたらすことができる。さらに、堆積物および炭素を濾過した後のラインの流体圧力を監視するために、炭素フィルタの後に、炭素後圧力センサ2179を配置することができる。
【0112】
図8は、浄水システムの予熱サブシステム156の一実施形態を示す。予熱サブシステムは、ROの濾過の実行を最適化すべくラインの水の温度を制御するように構成することができる。予熱サブシステムは、1つ以上のRO供給ヒータ186を含むことができ、これは例えばペルチェヒータ/冷却器などの熱電装置を含むことができる。RO供給ヒータ186は、RO濾過の前の水の温度を調節または調整するように構成され得る。一実施形態では、逆浸透の目標温度は、最適なROフィルタ実行のために25℃である。水が冷たすぎると、ROフィルタの流れが不十分になり、システムは十分な水を作ることができない。水が熱すぎる場合、ROフィルタは、より多く流れることを可能にするが、また、脱塩を減少させる。一実施形態では、25℃が、十分な水量と適切な除去とをもたらすために流れと除去とのバランスがとられる点である。RO供給ヒータは、ヒータを通って流れる流体の加熱または冷却の両方をするために、使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、RO供給ヒータは、ペルチェ効果によって廃水または使用済み透析液から熱を回収することができる。熱殺菌サイクル中などの他の実施形態では、RO供給ヒータは、ペルチェ効果を打ち消すために反対の極性に配置することができる。水処理中、流入する水は、RO供給ヒータの2つの熱電ウェハの高温側に取り付けられたチタンプレートを通って流れる。廃水は、ウェハの低温側に取り付けられた別個のチタンプレートを通って導くことができる。したがって、熱は、ペルチェ効果を介して廃水から流入水に圧送される。予熱システムが2の実行係数を達成するときの最大出力では、流入水を加熱する出力の意図のある半分が廃水から回収され、残りの半分がウェハの電気加熱から回収される。より低い力のレベルでは、実行係数がより高くなり、すなわち、より高い割合の熱が廃棄物の流れから回収される。熱殺菌中、RO供給ヒータの熱電ウェハは反対の極性に配置することができる。このようにして、両方のチタンプレートが加熱され、ペルチェ効果が打ち消される。これにより、水は加熱されるだけであり、ヒータの両側で、常に流入温度を上回ることが保証される。
【0113】
図8に示すように、予熱サブシステム156は、濾過サブシステムとRO供給ヒータとの間のラインにあるプロセス供給弁188と、使用済みの透析液をドレインに送るための使用済み透析液戻り弁190とを含むことができる。RO供給ヒータは、ヒータの両側の流体の温度を測定するための一対の温度センサ192および194を含むことができる。水は、予熱サブシステムから次に説明するRO濾過サブシステムに流れることができる。この実施形態では、PH制御ライン661は、プロセス供給弁188とペルチェ冷却器186との間の流体路に合流する。しかし、pH制御ライン661は、予熱サブシステムの前、内部、または後の位置で流体路に合流することができることを理解されたい。
【0114】
図9は、浄水システムのRO濾過サブシステム158の一実施形態を示す。RO濾過サブシステムは、上述の予熱サブシステムから予熱水を受け取ることができる。RO濾過サブシステムは、(RO-1およびRO-2として示される)1つ以上のROフィルタ112にわたって水を駆り立てて浸透液の流れおよび濃縮物の流れを生成することができるRO供給ポンプ142を含むことができる。濃縮物の流れは、複数のROフィルタによって濾過することができる。さらに、浸透液の流れは、過剰な浸透液と組み合わせて再循環して戻り、流入水と混合することができる。さらに、各ROフィルタ112は、ROフィルタにわたって流体ラインの流速を高く維持するための再循環ポンプ200を含むことができる。再循環ポンプは、一定の速度で作動することができ、濃縮物の流れから出る任意の流れをROフィルタの入口に戻す。RO供給ポンプを介して再循環する代わりに別個の再循環ポンプを使用することは、全体的な電力消費を低下させ、RO膜にわたる流速を高く維持して、汚損を低減し、高い造水速度を可能にする。いくつかの実施形態では、RO供給ポンプは、低圧だが高い流量のポンプであり得る再循環ポンプと比較して、高圧だが比較的低い流量のポンプであり得る。
【0115】
RO供給ポンプおよびRO濃縮物の流れ制限部2181によって生成される圧力は、ドレインへ廃棄する流量を制御することができる。制限部が汚れたり詰まったりしないようにしておくために、弁180を作動させることによって、RO濃縮物の流れ制限部を通る流れを、周期的に逆転させることができる。さらに、フィルタの寿命および能力を改善するために、再循環ポンプを使用してROフィルタハウジング内の流体流量を増加させることができる。この流量の増加は、濾過膜付近の水が流れない可能性があるROフィルタの表面付近で起こり得る境界層効果を低減するのに役立ち得る。境界層は、ROフィルタの表面にわたって蓄積する可能性があり、ROフィルタを収集して汚す可能性がある、より高い濃度の総溶解固形分を有する領域を作り出し得る。
【0116】
RO濾過サブシステムは、溶質クリアランスを測定するためにサブシステムを通って流れる水の伝導率を測定するように構成された1つ以上の伝導率センサ196、または流体の圧力を監視するように構成された圧力センサ198と、流体から空気および気泡を分離および除去するように構成された空気分離器187とを含むことができる。さらに、RO濾過サブシステムは、逆止弁を含む様々な弁180と、ROフィルタを通って低温殺菌サブシステムへ、さらなる濾過のためにRO濾過サブシステムを通って戻る、またはドレインへの流れを制御するための流体ポンプとを含むことができる。本実施形態では、PH制御ライン661は、第1ROフィルタ112とROフィードポンプ142との間の流体路に合流している。しかし、pH制御ライン661は、RO濾過サブシステムの前、内部、または後の位置で、流体路に結合することができることを理解されたい。水は、RO濾過サブシステムから次に説明する低温殺菌サブシステムに流れることができる。
【0117】
図10は、水調製システムの任意選択の低温殺菌サブシステム160の一実施形態を示す。低温殺菌サブシステムは、流体を加熱してシステムから微生物学的汚染およびエンドトキシンを除去することによって、微生物学的汚染への患者の曝露を最小限に抑えるように構成することができる。低温殺菌サブシステムは、水を低温殺菌温度まで加熱し、水を高温で滞留させ、次いで水を冷却して透析液を生成するための安全な温度に戻すように構成された熱交換器(HEX)145を含むことができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、HEX145は、低温殺菌サブシステムによって受けられた水を摂氏約148度の温度まで加熱することができる。加熱された水は、細菌を除去して死滅させ、エンドトキシンを変性させるのに十分な期間、HEXのドウェルチャンバに保持することができる。エンドトキシンは、長い脂質鎖を特徴とする死菌の屠体として記載され得る。水および透析液の調製中に、エンドトキシンを細菌と共に監視して、透析液の純度を判断することができる。透析液のエンドトキシンは、使用者に望ましくない炎症反応を引き起こす可能性がある。したがって、透析液の中のエンドトキシンのレベルを最小限に抑えることが望ましい。エンドトキシンは、典型的な限外濾過器の孔径によって容易に捕捉されない。代わりに、エンドトキシンは、さらなるエンドトキシンが通過し始める点までエンドトキシンで飽和され得る、表面の吸着を介して、限外濾過器によって停止される。過熱される水のエンドトキシンを130℃程度の低い温度に加熱すると、エンドトキシンが変性するが、必要な滞留時間は非常に長い(数分)ということが実証されている。水が液相に留まるこれらの高温では、水は、典型的には極性溶媒と考えられ、非極性溶媒のように振る舞い始めて、エンドトキシンの脂質鎖を変性させる。温度が220℃以上に上昇すると、エンドトキシンの変性は数秒で起こる。本開示のHEXは、水を液状に保つ圧力(220℃で約340psiであるが、HEXは1000psiを超える圧力に耐えることができる)を維持しながら、220℃以上で運転することができる。一実施形態では、HEXの好ましい温度および圧力範囲は、180~220℃および145~340psiである。次いで、水は、ドウェルチャンバを出るときに冷却することができる。HEX145は、同時に流入水の加熱と流出水の冷却をして、エネルギー消費を低減する自己完結型向流熱交換器である。
【0119】
低温殺菌サブシステムは、水の沸騰を防止するために、流体ラインの流体圧力を維持するように構成されたHEXポンプ193を含むことができる。水がHEX145を通過した後、水調整器197は、透析送達システムで使用するために水の圧力を低下させることができる。低温殺菌サブシステムを流れる水の圧力および温度を測定するために、それぞれ1つ以上の圧力センサ182または温度センサ184を含めることができる。その上、空気分離器187は、水から空気および気泡をさらに除去することができる。一実施形態では、流れ制限部189および弁180を使用して、HEX145が熱くなった状態のときにドレインに排出される水を制限することができる。水が低温殺菌サブシステムを通過すると、水は浄水システム全体を通過し、透析液の調製および透析送達システムによる送達に使用されるのに十分に清浄かつ純粋になる。
【0120】
図10にまた示すように、任意選択の空気分離器187を堆積物フィルタと炭素フィルタとの間に配置して、ラインから過剰な空気および気泡を除去することができる。いくつかの実施形態では、各炭素フィルタは、高塩素の条件および機器支持体よりも高い流量で動作する場合、0.5ppm未満の遊離塩素およびクロラミンを有する2500ガロンの水生成寿命を有するように指定することができ、そのため2500ガロンを超える予想寿命が予想される。炭素フィルタを通る最大処理流量400mL/分に基づいて、単一の炭素フィルタについて予想されるのは、流入水の質に応じて約6ヶ月から1年以上である。システムは、通常、6ヶ月ごとに両方のフィルタの交換を必要とする。ほとんどの炭素フィルタは、熱または化学的消毒に耐えることができないため、給水および排出システムによって実装される再循環/消毒流体経路は、炭素フィルタ(または堆積物フィルタ)を含まない。炭素フィルタの塩素吸収能力が有限であり、流入する水の質に依存するため、塩素サンプルポート195からの水サンプルを採取して、水が0.1ppm未満の遊離塩素濃度レベルを有することを検証してもよい。2段階炭素濾過を使用し、第1の炭素フィルタの後の遊離塩素の「同等の欠如」を検証することにより、第2の炭素フィルタが第1の炭素フィルタと完全に重複して完全な容量のままであることが保証される。第1の炭素フィルタの期限が過ぎると、通常、両方のフィルタが交換される。水は、濾過サブシステムから次に説明する予熱サブシステムに流れることができる。
【0121】
図11は、
図10の低温殺菌サブシステムの代わりに使用することができる限外濾過サブシステムの異なる実施形態を示す。この限外濾過サブシステムは、ナノメートルスケールのフィルタ(限外濾過器)1102を使用して、システムから微生物学的汚染およびエンドトキシンを除去する。いくつかの実施形態では、限外濾過器の孔径は5ナノメートルである。いくつかの実施形態では、限外濾過器の材料はポリスルホンであるが、限外濾過器は、十分な多孔性のフィルタ構造に形作られ得る、当技術分野で公知の任意の材料を含み得る。限外濾過サブシステムは、限外濾過器を通る水の流れを駆り立てるのに十分な圧力を供給するブースタポンプ1104を含むことができる。フィルタにわたる圧力は、上流圧力センサ1106および下流圧力センサ1108によって監視することができ、これらは、フィルタが詰まっており変える必要があることを使用者に警告することができる。流れは、必要に応じて排出弁1110および制限器1112を通って排水するように迂回させることができる。限外濾過サブシステムはまた、限外濾過器の適切な機能性を確認するために水を引き出すためにシステムの外部からアクセス可能なサンプルポート1114を含む。いくつかの実施形態では、限外濾過サブシステムは、システムのアーキテクチャの他の場所の流体経路の冷却または加熱を容易にするために、熱交換器1116を通る流れを含んでもよい。
【0122】
図12は、透析送達システムの混合サブシステム162およびpH制御モジュール1263の概略図を示す。破線の長方形150は、上の
図6の給水サブシステム150を表す。混合サブシステム162を参照すると、酸濃縮物および重炭酸塩濃縮物は、所望の透析液組成物に到達するために、濃縮ポンプ223を介して酸源1202および重炭酸塩源1204からの流体路に体積測定的に比例させることができる。水および濃縮物は、流体の導入を円滑にするために、ライン内での混合の代わりに、時間遅延または体積測定的混合を利用する一連の混合チャンバ(図示せず)で、混合することができる。
【0123】
近年、ますます多くの自治体が、塩素を使用した水道水の消毒からクロラミンに移行している。クロラミンは、塩素がアンモニア分子に結合するときに形成される。最初、これは水道水の中のアンモニアを制御するためのものであったが、クロラミンは塩素に見られるのと同様の殺菌特性を維持する一方でそれほど急速に蒸発しないことが分かった。クロラミンは、その寿命が長いことから、維持に必要なコストが低いため、殺菌剤としてのさらなる普及が見て取れる。典型的な透析システムでは、流入する水道水の中のクロラミンがシステムの炭素フィルタと反応すると、塩素が除去され、アンモニアが遊離される。これは、RO後の除去率に関する問題を引き起こす可能性がある。高pHの水では、アンモニアは主に非イオン化形態N3/4として存在し、これはRO膜を濾過することを困難にする。RO膜は、上昇したpHで孔径が増加することが知られており、これにより、溶解した塩がそれらを通過することが増加し、その結果、拒絶が低下する。これにより、フィルタの有効性が低下する。薄膜複合RO膜では、pHが9.0を超えると、除去能力が低下することがあり、またpH7.0付近で最適な能力を有する。弱アルカリ種といった、水の他の化学成分が、緩衝剤として作用することも、当技術分野で知られている。これらの緩衝剤の存在下では、より低いpHで導入された物質は、緩衝剤が存在しないときよりも、溶液のpHに対する影響が小さい。
【0124】
しかし、
図12のpH制御モジュール1263は、アンモニアをアンモニウムNH4
+にイオン化することによって、給水サブシステム150の透析システムに入る水のpHを低下させるように構成され、これは上述のRO濾過サブシステムのRO膜によって容易に拒絶される。流入水の流入酸性度を変更することによって、ROサブシステムは、汚染物質をより良好に除去し、透析液の全体的な質を改善することができる。さらに、混合サブシステム162は、体積当たりをベースとして、塩基濃縮物よりも少ない酸濃縮物を使用する。
【0125】
pH制御モジュール1263は、混合サブシステム162と給水サブシステム150との間の流体路に配置することができる。配分弁1265aおよび1265bは、酸および重炭酸塩濃縮物容器に連結することができ、(透析システムのコントローラを介して)測定量の酸および重炭酸塩が給水サブシステム150の流入水に導入されて、供給レギュレータ183の直前の流体路内の箇所で流入水のpHを低下または調整することを可能にするように構成することができる。他の実施形態では、濃縮物は、RO膜の直前、炭素および堆積物フィルタの後に導入されてもよい。他の実施形態では、濃縮物は、沈殿物または炭素フィルタの2つの間に導入されてもよい。ギヤポンプ1267または当技術分野で公知の他のタイプのポンプは、濃縮物を混合サブシステム162から給水サブシステム150に移動させるのに必要な圧力を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、逆流を防止するために逆止弁を流体路に挿入することができる。濃縮物供給ライン、フォーは、現在の酸および重炭酸塩ラインに連結され、フィルタブロックの前にシステムに連結することによって、供給水の中へと空にするように構成することができる。いくつかの実施形態では、流入水のpHおよび化学物質含有量は、設置時またはある間隔で、外部から測定される。pHおよび水中の緩衝能力(典型的には弱アルカリ種)の量に基づいて、設定された濃縮物の流量を計算して流入水と混合し、pHを所望のレベルに調整することができる。次いで、この値をシステム内に電子的に保存し、一定の濃縮物の流れを供給するために使用することができる。いくつかの実施形態では、流入水のpHまたは他の特性は、システムの内部の1つまたは複数のセンサによって測定することができる。これらのセンサは、流入する水の特性が変化した場合に、必要に応じて濃縮物の流れを調整するために、電子コントローラを介してフィードバック制御ループへの入力として使用することができる。いくつかの実施形態では、濃縮物導入個所の下流の個所に配置された追加のセンサは、制御ループへの追加の入力として機能することができる。
【0126】
図13は、混合サブシステムから調製された透析液を受け取ることができる透析送達システムの限外濾過サブシステム164を示す。限外濾過サブシステムは、混合サブシステム162から調製された透析液を受け取るように構成される。透析液ポンプ226および使用済み透析液ポンプ227を操作して、限外濾過サブシステムを通る透析液の流れを制御することができる。ポンプ226および227は、透析器126に入る前に限外濾過器228および透析液ヒータ230を通過するように透析液の流れを制御することができる。温度センサ184は、透析液ヒータ230を通過する前後の透析液の温度を測定することができる。透析液ヒータは、使用者の好みに基づいて、典型的には35~39℃の間で透析液を加熱するように使用者が構成可能とすることができる。透析器を通過した後、使用済みの透析液は、使用済みの透析液ポンプ230を通って流れ、透析液ヒータ228を通って戻ってから排出することができる。限外濾過サブシステムは、透析液が透析器126を通過することを可能にするように、または代替的に、透析液が「バイパスモード」で透析器を通過するのを防ぐように制御することができる1つ以上のアクチュエータまたは弁177を、含むことができる。透析液ポンプ226と使用済みの透析液ポンプ227との間に配置された圧力センサ182cは、「バイパスモード」において透析液が透析器を通過することが阻止されたときに、ポンプ間の透析液の圧力を測定するように構成され得る。
【0127】
図14は、透析装置に組み込まれた逆浸透システムにおける除去率の測定の向上を示す。典型的には、位置1401における給水(ROFC)の伝導率を測定し、RO濾過サブシステム158に入り、RO濾過サブシステム158の直後の位置1402におけるシステム(ROPC)を出る生成水の伝導率も測定し、次いで、2つの数の間の分数の関係、1-(ROPC/ROFC)を確立することによって、除去率が計算される。供給されている水にかなりの量のアンモニアまたは二酸化炭素などの溶存ガスが存在する場合、これらのガスは、電荷がないために、逆浸透膜を自由に通過することができる。しかし、膜を通過するときの水の化学的性質の変化、また、場合によっては水のpHは、溶解した非荷電のガスがイオンを帯びた種、例えば、アンモニアNH3からアンモニウムNH4+に変化するのに、速度論的に有利であり得る状態に移行できる。これらのイオン種は、患者にとって良性であるが、測定された生成物の水の伝導率を増加させ、したがって明らかな拒絶を低下させる。透析用途では、濃縮物と混合する前に水を脱気チャンバ1403に流すことが一般的である。これは、水の加熱および/または水への負圧の適用のいずれかによって達成される。いくつかの実施形態では、加熱は、脱気チャンバに入る水の加熱と、脱気チャンバを出る水の冷却を同時にする熱交換器によって、達成される。位置1404での脱気後に生成物の水の伝導率ROPCが代わりに測定される場合、脱気チャンバ1403は溶存ガスの大部分を除去し、したがってイオン種の形成が抑制される。これは、懸念のある金属塩および他の化学物質を排除する際のRO濾過サブシステム158の能力のより正確な測定をもたらす。従来の透析用途では、RO除去および脱ガス添加/透析液混合システムは、ブレークポイント1405によって示されるように、別々の装置にあるため、この機会は実現不可能である。
【0128】
本開示はさらに、ワークフローに影響を与えない絶対的な血液量、血管アクセス状態(流れおよび再循環)、および他のパラメータの生理学的監視を提供する。これは、単一の一連のセンサを血液透析システムに統合することによって達成される。センサと血液チューブセットとの嵌合は、使用者がカートリッジベースの血液チューブセットを装置に取り付けるために行う単一の動作によって達成される。測定を実行するために必要な任意の動作(指標の導入、血流の制御、限外濾過の状態)は、装置によってタイミングが決められ、自動化され、使用者が介入する必要性および関連する使用者ベースのエラーを排除する。訓練された操作者へ依存することを排除することにより、これらの重要な測定は、在宅および施設内のセルフケアでの血液透析といったケア送達モデルを、一層良好に補完し、患者の関与を促進することができる。
【0129】
いくつかの実施形態では、急性および慢性の透析療法を使用者に提供することができる透析システムが記載される。システムは、利用可能な水源を使用してリアルタイムで透析療法に使用するための水を調製するように構成された浄水システムと、透析療法のための透析液を調製するように構成された透析送達システムとを含むことができる。透析システムは、透析療法中に使用者に接続して、使用者から血液を回収および送達するための単回使用カートリッジおよびチューブセットを含むことができる。
【0130】
図15は、臨床的な環境または非臨床的な環境、例えば使用者の自宅のいずれかで使用者に透析治療をもたらすように構成された透析システム1500の一実施形態を示す。透析システム1500は、ハウジング内に配置された浄水システムおよび透析送達システムを含むことができる。浄水システムは、透析療法のためにリアルタイムで水源を浄化するように構成することができる。例えば、浄水システムは、住宅の水源(例えば水道水)に接続し、低温殺菌水をリアルタイムで調製することができる。次いで、低温殺菌された水は、典型的には浄水方法論に関連する大量のバッチ量の水を加熱および冷却する必要なしに、透析療法(例えば、透析送達システムを用いて)に使用することができる。
【0131】
透析システム1500はまた、システムのハウジングに取り外し可能に結合することができるカートリッジ1502を含むことができる。カートリッジは、オーガナイザに取り付けられた患者チューブセット1503を含むことができ、あるいはチューブセットに取り付けられた内蔵流路を有する統合カセット構造を含むことができる。滅菌された単回使用の1回使用する構成要素であり得るカートリッジおよびチューブセットは、治療前に透析システムに接続するように構成される。この接続をすると、透析療法の前にカートリッジ、チューブセット、および透析システムの間で対応する構成要素が正確に整列される。例えば、チューブセットは、カートリッジが透析システムに連結されたときに、チューブセットを通して使用者の血液を引き込んで圧送するための、1つ以上のポンプ1506(例えば、蠕動ポンプ)、クランプ、およびセンサと、自動的に関連付けられる。チューブセットはまた、治療前の自動化されたプライミングおよび空気除去のために透析システムの生理食塩水供給源1504と関連付けることができる。いくつかの態様では、カートリッジおよびチューブセットは、透析システムの透析器に接続することができる。他の実施形態では、カートリッジおよびチューブセットは、チューブセットに予め取り付けられた内蔵式透析器を、含むことができる。使用者または患者は、ディスプレイを含むユーザインターフェースを介して、透析システムと対話することができる。
【0132】
透析送達システムは、浄水システムによって供給される浄水を用いて透析液流体を自動的に調製するように構成することができる。さらに、透析送達システムは、精製水を脱気し、透析液容器からの酸および重炭酸濃縮物に配分および混合することができる。得られた透析液の流体は、1つ以上の限外濾過器を通過して、前述のように、透析液の流体が微生物およびエンドトキシン汚染物質の特定の規制の限界を、確実に満たすことができる。
【0133】
透析は、透析システム1500の透析送達システムにおいて、使用者の血液および透析液を、透析器に通すことによって、行うことができる。透析システム1500は、血液透析、限外濾過、および血液透析濾過を含む様々なタイプの透析を達成するために、透析器へのおよび透析器からの透析液や血液の流れを調節するための様々な流れ制御装置および機構を管理するように構成された電子コントローラを含むことができる。
【0134】
図15は、カートリッジ1502、および透析システム1500と患者と関連付けられるチューブセット1503を含むことができる透析送達システムのフロントパネルの一例を示す。透析送達システムは、カートリッジのチューブセットに沿った流体の流れを監視および制御するように構成することができる。透析送達システムのフロントパネルは、他の特徴の中でもとりわけ、チューブセット内に生理食塩水を注入するように構成された生理食塩水供給源1504と、血流の速度および方向を制御するように構成された血液ポンプ1506と、チューブセットの血液を濾過するように構成された限外濾過システム1508とを含むことができる。透析システムは、血液ポンプの動作および生理食塩水供給源からチューブセットへの生理食塩水の注入を含む、治療前および治療中のシステムのすべての局面を制御するように構成された電子コントローラまたはコンピューティングシステム1509をさらに含むことができる。
【0135】
治療のために透析装置に取り付けられるように構成されたカスタムカートリッジベースの血液チューブセットを有する血液透析システムが、本明細書に記載されている。チューブセット自体は、取り付けのプロセスが容易に実行されるように構成され、血液ポンプ、ピンチ弁、およびセンサを含む、チューブセットと透析システムとの間のインターフェースを作成する。一例では、透析システムは、1つ以上の経時超音波プローブを含むことができ、一方は静脈ラインに嵌合し、他方は動脈ラインに嵌合する。あるいは、センサは、例えば、ドップラーシフトセンサを備えることができる。
【0136】
図16は、本開示による移動時間超音波プローブ1610を示す。各移動時間超音波プローブは、超音波エネルギーを流れの管、この場合は上述の血液または患者チューブセット1603に伝播するように構成された複数の超音波トランスデューサ1612および1614を含むことができる。患者チューブセット内の矢印によって示されるように、一方のトランスデューサ1614を流れの方向の上流側に配置することができ、他方のトランスデューサ1612を流れの方向の下流に配置することができる。各トランスデューサは、超音波信号を送信および受信するように構成することができる。上流側トランスデューサが伝達すると、チューブを通る伝播速度はチューブの流速によって増加する。逆に、下流側トランスデューサが伝達すると、チューブを通る伝播速度が低下する。どのトランスデューサが送信するかにかかわらず、伝播速度は、媒体の組成、例えば血液の相対的な含水量、血液中の気泡および/またはガスなどによっても影響を受ける。上流および下流両方の超音波パルスの移動時間は、透析システムの電子コントローラによって、測定および処理することができる。一実施形態では、電子コントローラは、信号を合計して流速成分を消失させるように構成することができ、したがって、電子コントローラがチューブセット内の流体の流体組成成分を推測することを可能にする。別の実施形態では、電子コントローラは、2つの信号を差し引くように構成することができ、流体組成成分を消滅させ、電子コントローラがチューブセット内部の流体の流速を測定することを可能にする。
【0137】
本明細書に記載の新規な手法は、超音波センサを血液透析装置に統合し、測定を行うのに必要な補助的な作業の完全な自動化を可能にし、治療の過程を通して継続的に測定の能力を追加する。
【0138】
本明細書に記載されるように、移動時間超音波プローブの可能性の多くは、体外血液チューブセット、または患者の血液を身体とルーティングする回路(カートリッジ)を含む透析システムに、シームレスに統合することによって、ロックが解除される。少なくとも、このカートリッジは、動脈血ライン、患者からの血液ラインの血液)、および静脈血ライン(患者に血液を戻す)を含むことができる。カートリッジは、非接触血液ポンプとインターフェースするチューブ(好ましくは動脈ラインに組み込まれる)のセクションを、さらに含むことができる。動脈ラインの遠位端は、透析器などの血液フィルタの一端に接続し、一方で、静脈ラインの遠位端は、フィルタの他端に接続する。血液からの流体除去は、溶質クリアランスと共に血液フィルタを介して行われる。
【0139】
好ましくは、透析装置は、カートリッジが取り付けられると、安全性および流量制御のために、動脈ラインおよび静脈ラインを独立して閉塞する特徴部(例えば、機械式、電気式、油圧式、または空気圧式のピンチ弁)を備える。カートリッジはまた、生理食塩水、または希釈ボーラスとして機能するのに適した他の流体を導入するための、少なくとも1つの流体源を含むことができる。いくつかの実施形態では、生理食塩水バッグは、2つのラインを介して2箇所で動脈ラインに接続される。1つは血液ポンプセグメントのすぐ上流にあり、1つは血液ポンプセグメントのすぐ下流にある。これら2つの生理食塩水ラインは、例えば静脈ラインおよび動脈ラインを閉塞する機構と同様の機構によって、独立して閉塞されてもよい。生理食塩水が送達されていない治療の最中、両方の生理食塩水ラインを閉塞することができる。順行性の流れの間に生理食塩水を導入するために、動脈ラインを閉塞することができ、またプレポンプ生理食塩水ラインを非閉塞にすることができ、これにより、患者から生理食塩水バッグへの血液ポンプの流入が効果的に変化する。所望の体積が導入された後、閉塞状態は以前の状態に戻ることができる。あるいは、生理食塩水と血液との混合を達成するために、プレポンプ生理食塩水ラインは、動脈ラインを閉塞しない間、非閉塞にし得る。逆流性の流れの間に生理食塩水を導入するために、静脈ラインを閉塞することができ、またポンプ後生理食塩水ラインを閉塞しない。順行性の場合と同様に、混合は、静脈ラインを閉塞しない状態にしながらポンプ後生理食塩水ラインを閉塞しないことによって、達成することができる。
【0140】
患者の体積測定的状態(血液量の監視、インピーダンス、または単なる体重の測定のいずれかによって判定される)は、透析治療のための限外濾過、または流体の除去の機械的機能への入力として機能する。本開示の移動時間超音波プローブは、センサの入力が限外濾過速度を調整することを可能にするための堅牢でインテリジェントな連結をもたらす。限外濾過精度の要求は非常に高い。例えば、400mL/分という血流の速度での4時間の治療の過程で、合計96リットルの血液が回路を通過する。治療目標は、患者から2リットルの体液を除去することであり得、その体液の量の許容誤差の許容範囲は、±250mL、1mL/分に相当する数値、または血流量の0.25%になり得る。このような精度は、一般に、単一の流れのプローブでは不可能である。
【0141】
図17は、
図16の移動時間超音波プローブを用いて限外濾過監視を実行するための技術の概略図を示す。
図17は、血液ポンプ1706を含む透析システムに取り付けられたチューブセット1703を示し、一対の移動時間超音波プローブ1710aおよび1710bが、それぞれ動脈ラインおよび静脈ラインに配置されている。Qar
tを測定する動脈プローブ1710aは、血液からのQUFが生じる透析器の上流に配置され、対するQ
venを測定する静脈プローブ1710bは透析器の下流にある。これらの項の関係は、単にQ
art=Q
ven+Q
UFと表すことができる。
【0142】
また、血液量を測定する際に、これらの測定値に基づいて液除去速度を調整することができる。操作的には、治療の開始時に、ボーラス注入を患者に注ぐことができ、その体積を流量センサで監視することができ、また能動循環血液量などの生理学的パラメータが測定される。その後、A)患者に注入される患者チューブセット内のプライミング流体の初期量、B)生理学的測定を実行するために必要なボーラス注入の量(AとBは同じであってもよい)、およびC)生理学的血液量測定の結果、要因の少なくとも一部を考慮に入れた透析システムによって、流体除去速度を確立することができる。
【0143】
次いで、治療を通して周期的に、定期的な時限注射ボーラスのためのレジメンを施すことができる。これらは、以下の最大3つの目的を果たすことができる:1)凝固を減少させるための血液回路のフラッシング;2)その後のより高い流体除去速度を可能にするために、血液循環に追加の流体を充填し、改善された対流クリアランス(プッシュプル血液透析濾過)を推進すること、および3.生理学的測定を可能にすること。これらの定期的なボーラス各々の後、注入されたボーラスの体積および生理学的血液量測定の結果に基づいて、新しい流体除去速度を調整することができる。ボーラス注入が、まさにその性質上、全体の血液量を増加させるので、流体除去速度をより高く設定することができ、これにより透析器を横切る溶質の対流輸送が増加し、それによって上記の目的2を達成する。いくつかの実施形態では、ボーラス注入源は、濾過された透析液に由来してもよく、これは、使用済みの透析液ポンプを新しい透析液ポンプよりも遅く一定期間作動させることによって、血液回路に追加することができる。これにより、過剰な透析液の流れが透析器の血液側に渡れるようになり、効率的にも、通常の限外濾過中に起こることと反対になる。あるいは、ボーラス注入は、血液回路に取り付けられた滅菌生理食塩水バッグから供給されてもよく、その流れはピンチ弁によって制御することができる。
【0144】
プローブの精度は、製造時にセンサ応答曲線を特性評価し、各機械に一致する応答曲線を有するセンサを設置することによって、さらに高めることができる。必要に応じて、限外濾過が一定時間停止され、血流のバランスが再確立される再較正事象が治療中に周期的に起こり得る。
【0145】
移動時間超音波プローブは、血管アクセス監視のための透析システムでも使用することができる。血管アクセス機能不全は、治療を見逃す主な原因である。患者の血管アクセスが狭窄の徴候を示す場合、監視を実行し、早期の警告を発するためのいくつかの方法がある。理想的な監視方法は、良質のデータを提供し、頻繁な測定(理想的にはすべての治療)を可能にし、ケアスタッフの負担を最小限に抑える。本明細書に記載のアプローチは、生理食塩水の希釈を利用する血管アクセス監視を完全に自動化することを可能にする。簡潔には、移動時間超音波プローブによって測定することができる2つのパラメータがある;1)アクセス再循環(再度取り込みを受ける機械からの処理済み血液の割合、治療効率の低下)、および2)血管アクセスシャント(瘻孔またはグラフトのいずれか)を通る体積測定的アクセス流量。
【0146】
図18A~18Bは、血管アクセス監視のために移動時間超音波プローブを使用するための技術を示す。
図18A~18Bに示す透析システムは、血液チューブセット1803、生理食塩水供給源1804、血液ポンプ1806、ならびに動脈および静脈の流れのラインでの移動時間超音波プローブ1810aおよび1810bをそれぞれ含むことができる。再循環を測定するために、生理食塩水の少量のボーラス(希釈指示薬)を生理食塩水供給源1804から血液チューブセット1803に導入することができる。これは、流体の組成の変化を引き起こし、その後、ベースライン希釈曲線を確立するために静脈プローブ1810bによって検出することができる。次いで、希釈指示薬は、血液チューブセットを出て、静脈針を介して患者の血管アクセスに入る。いずれかの再循環が存在する場合、比例した量の希釈指示薬が動脈針によって取り込まれ、動脈プローブ1810aによって検出される。この技術におけるチューブセットを通る流れの方向は、矢印で示されている。
【0147】
わずかな量の再循環であっても、潜在的に臨界的に低い流量でのアクセスを示すので、セッションごとに、またはセッション内で複数回実行されるこの機能の完全な自動化は、現在の方法で可能なよりもはるかに早い検出を可能にする。具体的には、この方法は、血液チューブセットの動脈ラインおよび静脈ラインを患者の血管アクセス部位に接続することと、生理食塩水のボーラスを血液チューブセットに導入することと、患者の血液およびボーラスのベースライン希釈曲線を、血液チューブセットの静脈ラインの移動時間超音波プローブで判定することと、血液チューブセットの動脈ラインの移動時間超音波プローブでボーラスの比例する量が検出された場合、再循環が存在すると判定することとを含むことができる。
【0148】
概念的には、アクセスの流れの測定は、
図18Bに図示および説明されているように、非常に類似している。血液が静脈針から引き抜かれ、動脈針によって再導入されることを除いて、上記と同じプロセスが繰り返される。アクセス部を通る流れが非常に高い場合、指示薬の希釈の大部分は、非常に低い濃度で静脈針を通過して運ばれ、静脈プローブがほとんど検出しない。逆に、アクセスの流れが比較的低い場合、より高い濃度の生理食塩水希釈指示薬が静脈針に入り、静脈プローブによって検出される。提案された技術では、流れの反転は、機械に血流の方向を反転させることによって達成される。この技術におけるチューブセットを通る流れの方向は、矢印で示されている。カートリッジ血液セットの設計は、例えば、動脈ライン上の空気および小さな血餅を検出し、それらが患者に到達するのを防ぐ能力を特徴とする、この能力に適し得る。具体的には、この方法は、血液チューブセットの動脈ラインおよび静脈ラインを患者の血管アクセス部位に接続することと、チューブセット内の流体の流れる方向を反転させることと、生理食塩水のボーラスを血液チューブセットに導入することと、患者の血液およびボーラスのベースライン希釈曲線を、血液チューブセットの動脈ラインの移動時間超音波プローブで判定することと、血液チューブの静脈ラインにおける移動時間超音波プローブに関するアクセス希釈曲線を判定することと、ベースライン希釈曲線をアクセス希釈曲線と比較して、アクセスの流れの測定値を判定することとを含むことができる。
【0149】
移動時間超音波プローブはまた、血液量の監視のために透析システムで使用することができる。任意の腎代替療法の重要な目的の1つは、患者由来の過剰な体液の除去である。血液透析では、この体液は患者の循環から生じ、理論的には、循環から失われた流体は、患者の体液過剰組織から補充される。血液透析治療を受けている患者の大部分は、血液量の過剰な枯渇に起因する低血圧症状を示す。即時の症状とは別に、透析中の体液の枯渇量および透析期間中のその後続的な過負荷は、長期の心臓および脳組織の障害、ならびに罹患率および死亡率の増加と関連している。この体液除去目標を確立するための従来の方法は、患者の「ドライウエイト」から患者の透析前の体重を減算することであった。この手法は、不正確なことが頻繁にあり、入手可能な過剰な体液の量とは無関係の体重に影響を与える他の要因(便、体液の分布、衣類の違い)を考慮しない。いくつかの現在の血液透析装置は、これらの交絡要因に対処するために、ヘマトクリットまたは総血中タンパク質濃度を検出するセンサを備えている。流体が除去されると、血液はより濃縮され、そこから血液量の相対的な変化を推測することが可能である。この技術の欠点には、実際のベースラインの血液量を確立できないこと、および体積の変化とは無関係の血中濃度に影響を及ぼす因子(赤血球遊離など)に対する感受性が含まれる。血液量の相対的な変化ではなく、患者の絶対的な血液量を測定することは、流体除去パラメータを確立または変更する際の臨床的に価値のあるメトリックとなり得ることが示唆されている。放射性同位体標識、血液希釈およびUFシフトを含むいくつかの方法が提案されている。しかし、実際には、費用効果的またはワークフローにとって効果的であるすべての血液透析治療セッション中に絶対的な血液量を測定するために確立された方法はまだ存在しない。
【0150】
血液量の測定(絶対的および相対的)は、上記と同じ2つの移動時間超音波プローブを用いて行うことができる。先に述べたように、流れのプローブは流動媒体組成の変化を検出することができ、これは生理食塩水希釈指示薬を見出すことができる方法である。簡単に言えば、治療が進行して流体が血液から除去されるにつれて、より濃縮され、血管のレフィルなどの効果を受けやすくなる。プローブは、相対的な血液量と相関させることができる変化を検出するように構成することができる。
【0151】
図19は、透析療法中に絶対的な血液量を測定するためのシステムおよび方法を示し、電子コントローラ1901、血液チューブセット1903、生理食塩水供給源1904、血液ポンプ1906、ならびに動脈および静脈の流れのラインでの移動時間超音波プローブ1910aおよび1910bをそれぞれ含む、上述のシステム構成要素を含むことができる。
図19を参照すると、絶対的な血液量は、以下の自動化された技術を使用して測定することができる:回路が正常な流れにある間、生理食塩水の比較的大きな(60~100mL)希釈ボーラスが数秒間にわたって生理食塩水供給源1904から導入される。ボーラスは、例えば、生理食塩水が生理食塩水供給源から血液チューブセット内に流れることを可能にするためにコントローラ作動弁を介して放出することができる。静脈ライン上の移動時間超音波プローブ1910bは、患者の血液およびボーラスのベースライン希釈曲線を判定することができる(例えば、血液の含水量の判定)。次いで、希釈ボーラスは、患者の血流に入り、心臓および肺に移動し、そこで均質に混合される。そこから、それは循環の残りの部分に分配され、その一部は、患者の血液と共に、心拍ごとに血液チューブセットに戻る。所望の測定枠の後、希釈ボーラスのこの残りの部分は、動脈ラインの移動時間超音波プローブ1910aによって検出することができ、血液の分配体積は、その信号の時間の経過から推測することができる。
【0152】
治療の目的が過剰な体液を除去することである場合、流体を注入することは逆効果であると思われるかもしれない。しかし、注入される流体は、血行動態安定性を改善し、遭遇するいずれかの不安定性が体積枯渇または血管の緊張に起因するかどうかに関する情報を提供することができる。この情報は、例えば、特定の患者または患者集団の治療プロファイルをパーソナライズするために使用することができる。所望の測定枠が経過すると(希釈ボーラスは約10~15分の半減期を有する)、システムの限外濾過速度を増加させて注入量を徐々に除去することができる。相乗的な利点として、生理食塩水ボーラスの定期的な注入も、体外回路内の凝固を減少させ、抗凝固の使用を減少させるのに有益であることが示されている。これらは、絶対的な血液量測定値を取得する機会として使用することができる。ボーラスによって導入された体積を除去するための限外濾過速度の増加に伴って、対流の増加により溶質クリアランスも改善され得る。
【0153】
本開示によれば、このカートリッジのいくつかの新規な特徴が本明細書に記載されている。従来の血液透析療法では、静脈ラインおよび動脈ラインの体外圧力を監視することが一般的な慣行である。圧力の大きな変動は、血液の流れを妨げ、および/または血液を機械で損傷する流れの状態(溶血)を引き起こすねじれたチューブまたは急性血管アクセス機能不全などの事象を示す可能性がある。体外圧力は、患者の血管アクセスの状態、使用されるチューブの長さ、および針のサイズによって影響を受ける。所与の回転速度で回転する蠕動ローラーポンプなど、機械の汚染を最小限に抑えるために、血液を圧送する非接触モードを使用することが、当技術分野で知られている。あるいは、リニア式非接触蠕動ポンプを使用し得る。
【0154】
一貫した血流量を供給することは、血液透析療法を施す際の重要な臨床的検討事項である。所与の血液ポンプ速度について、より低い(より負の)動脈圧は、より低い血流量をもたらす。また、数時間の血液透析治療の過程で、ポンプで送られる血液の温度および蠕動ローラ内のチューブの部分の機械的摩耗により、一定の回転速度で流量が減少することも知られている。これは、以下の一般式で表すことができる。
【0155】
Qb=f{CiPart,C2t,Vpump}
【0156】
式中、Qbは実際の血流量であり、Part tは動脈圧であり、tは治療時間であり、Vpumpはポンプの回転速度であり、C1およびC2は一般化した重み定数であり、f()は線形、指数関数、または当技術分野で知られている他の数学方程式である。理想化された血液ポンプでは、C1およびC2は0になるため、所与の回転速度のすべての条件下で同じ血流量がポンプによって生成される。実際には、血液ポンプシステムの設計目標は、可能な限り0に近いC1およびC2の値を達成し、それによって時間および動脈圧による流量の変動を最小限に抑えることであることが多い。これは、チューブの材料の選択、チューブの寸法、ローラの形状およびローラの数によって達成することができる。C1およびC2を最小にする設計を選択する背後にある理論的根拠は、従来技術で、血流量が一般に知られていないことである。動脈圧は、血液チューブセットおよび血液透析装置に組み込まれたトランスデューサおよびセンサのために一般に知られている。動脈圧は既知であるため、治療の時間と共に、これらの因子を使用して補正係数を血液ポンプ速度に適用し、実際の血流量を目標に近い状態に維持することが当技術分野で知られている。
【0157】
血液チューブセット内の体外圧力を測定する非接触的な手段は当技術分野で周知である。そのような方法の1つは、特殊化されたチャンバにわたり空隙を維持することと、空隙内部の空気の圧力を測定することとを含む。別の方法は、密封された空気圧チャンバを介して、または力の変換を介して、他方の側のセンサに圧力を伝達することができる血液と接触する可撓性ダイアフラムを含む。これらの方法は、血液チューブセット内の特殊化されたチャンバを含み、血液セット自体および血液透析装置自体の両方にコストを追加する。それらはまた、血流経路における不一致、血液接触表面積の増加および/または血液と空気との間の接触を引き起こす傾向があり、血栓形成経路を促進し、血液チューブセットまたは透析器の凝固をもたらし得る。
【0158】
本開示では、Qbは測定量であるため、追加のフローチャンバまたはハードウェアを必要とせずに、動脈圧をアルゴリズム的に決定する新規な方法を可能にする。高いレベルでは、方程式を代数的に再構成して、Partを既知の値から解かれる値に変更し、Qbを解かれる値から既知の値に変更することができる。
【0159】
Part=f{C3Qb,C2t,Vpump)
【0160】
設計の観点から、従来技術の理想的なポンプとは対照的に、動脈圧への依存性がより高い(大きい方のC
1または同等に大きいC
3)血液ポンプシステムが、本発明により適している。
図20は、透析治療中に動脈圧を計算する方法を説明するフローチャートである。動作中、ステップ2002において、使用者および/または電子コントローラは、所望の血流量を設定する。ステップ2004において、コントローラは、血液ポンプ速度を、想定動脈圧において設定速度に近い血流量を達成する公称値に設定する。このプロセスを通して、ステップ2006において、血液流量は、透析システム内に配置された流量センサを介して監視される。ステップ2008において、測定された流量が所望の流量と比較され、測定された血流量と所望の血流量との間の差は、動脈圧および/または治療までの時間などの測定または説明することができる他の要因に起因する。この差から、ステップ2010において、コントローラは、動脈圧をアルゴリズム的に推論し、それを使用者のために表示することができる。最後に、ステップ2012において、コントローラは、実際の血流量を所望の血流量に一致させるために血液ポンプ速度を調整することができる。血液ポンプ速度が一定に維持されると仮定すると、測定された血流量のいずれかの変動は、動脈圧の変化を示し、測定され表示された値の更新につながる可能性がある。コントローラは、血液ポンプ速度を(所与のパラメータ内で)調整して、例えばPID制御方式によって所望の血流量を補償し維持することができる。
【0161】
同様の方法によって血液ポンプの下流の体外圧力(すなわち、静脈圧)を導出することは理論的に可能であり得るが、実際には、方程式が十分に制約されなくなる。したがって、好ましい実施形態は、静脈圧を測定するための他の技術を含む。現技術では、血液層の上に空気層があるフローチャンバを有することが知られている。血液の流れは、チャンバの上部から入り、表面上に滴下するか、または底部から入り得る。典型的には、血液の流れは、チャンバの底部のチューブに接続する開口から出る。上部入口チャンバの場合、流入流の一部である任意の空気は、血液の流れが下向きの流れまたは液滴として空気と接触するときに分離される。底部入口チャンバの場合、垂直隔壁が入口開口と出口開口との間に配置され、それにより、流れは出口に進む前に隔壁を越えて上昇しなければならない。閉じ込められた空気の一部である任意の空気の浮力は、バルク流が隔壁を上昇させて隔壁を分離した後に上昇を継続させる。空気層の存在はまた、圧力センサが血液に触れる必要なしにチャンバ内の圧力を測定することを可能にする。なぜなら、空気層の圧力が、それより下の血液の圧力から任意の小さなコンプライアンス係数を引いた圧力に等しくなるためである。血液レベルが制御不能に上昇した場合に機械を汚染から保護するために、典型的には疎水性フィルタまたはトランスデューサプロテクタが、フローチャンバから圧力測定ハードウェアに通じるラインに配置される。それが湿潤せず、空気のみにさらされるとき、空気の自由な通過および圧力の変換が可能になる。血液レベルが上昇すると、トランスデューサプロテクタが濡れ、疎水性膜が密封され、血液がそれ以上上昇するのを防ぐ。これは汚染リスクを軽減する重要な特徴であるが、トランスデューサプロテクタが濡れると、圧力センサの圧力を検出する能力がなくなる。したがって、これらの構成では、フローチャンバ内の血液レベルの維持が最も重要である。これは、チャンバ内のレベルを視覚的に定期的に検査し、次いで、手動吸引またはシリンジによる空気の注入を行ってレベルを補正することによって、手動で行うことができる。しかし、これにはスタッフの注意または他の使用が必要である。
【0162】
この監視および調整は、センサおよびアクチュエータを介して行うこともできる。例えば、超音波、光学または他のセンサがチャンバ内の血液レベルを自動的に監視し、レベルが所定の限界を超えたことに応答して、機械に組み込まれたフローチャンバに接続された空気ポンプを使用して、空気を吸引または注入してレベルを補正することができる。これは、システムにコストおよび複雑さを追加し、レベルセンサおよびポンプの信頼性に依存する。
【0163】
治療を開始する前に、体外回路をプライミング流体、典型的には生理食塩水または透析液で満たし、内部容積部内からすべての空気を除去する必要がある。本発明の好ましい実施形態では、プライミング中、動脈ラインおよび静脈ラインは互いに接続されて連続ループを形成し、したがって、流体経路のどこかに空気の逃げ場を設ける必要がある。さらに、処理が開始された後、空気が流体経路に導入され得る場合がある。これは、動脈針が一時的に外れるか、または非常に低い動脈圧が一時的に発生し、血液中の溶存ガスが溶液から引き出されて気泡を形成する場合に起こり得る。静脈流を介してこの空気を患者に導入することは空気塞栓症のリスクのために望ましくないため、この空気が患者に到達する前に血流から除去するか、または少なくとも閉じ込めて患者に流れるのを防ぐ必要がある。
【0164】
本開示の別の態様は、圧力の測定、プライミング中の大量の空気の除去、および処理中の少量の空気の除去または捕捉という3つの必要性をもたらす異なる埋め込み膜を有するフローチャンバである。
図21A~21Dは、好ましくは透析器のすぐ下流に配置された、体外カートリッジの流路と一体のフローチャンバを示すが、他の位置も可能である。流れは、チャンバの底部から入り、垂直隔壁1201に頂点をつけ、チャンバの底部の異なる流出開口から出る。
【0165】
図21A~21Dに示すフローチャンバは、可撓性エラストマーダイアフラム2102を備え、これを介して圧力が伝達され検知される。このダイアフラムは、それを通る液体の流れも大きなガスの流れも許容しない。したがって、前処理プライミング中に空気を排出するために別個の機構が設けられる。この機構は、チャンバに一体であるが可撓性エラストマー膜2102とは別個の疎水性フィルタ膜2104(
図21A~21Bに示す)、または代替的に、チャンバの上部にフロートボール弁2106(
図21C~21Dに示す)を含んでもよい。いずれの実施形態においても、プライミング中の意図は、プライミング流体とチャンバの上部との間に空気の層を維持することである。したがって、プライミング中、空気は、疎水性膜またはボール弁機構のいずれかを通って出ることができる。空気の排出は、チャンバおよび回路内の内圧、ポンプによってチャンバに加えられる負圧、または両方の組み合わせによって駆動することができる。プライミングが完了した後、残留空気層は完全に排出される。疎水性膜が濡れる(
図21A~21Bの実施形態では)か、またはフロートボール弁は上部出口2108を封止する(
図21C~21Dの実施形態では)。次いで、空気-血液界面層なしで、チャンバを完全に満たして処置を行う。圧力を感知する能力は、もはやフローチャンバ内の空気-血液界面のレベルを維持する必要性と一体的に結合されていない。
【0166】
可撓性エラストマーダイアフラム2102が圧力を検出するために非血液側の密封チャンバに流体結合される場合、両側の圧力は均等になる。この場合、脱気膜2110などの第3の機構を
図21A~21Bのフローチャンバに組み込むことができる。これは、血液に面する側および大気に面する側を有する、ポリジメチルシロキサンを含む膜などのガス浸透性の高い薄膜であり得る。フローチャンバの圧力は一般に正であるため、気泡はこの脱気膜を通って低圧雰囲気に向かって動的に拡散し、流路から除去される。圧力を測定するために使用される可撓性エラストマーダイアフラムが密閉チャンバに流体結合されておらず、代わりに圧力を測定するために力ベースの変換手段を使用する場合、それは脱気膜としても機能することができる。流体シールが存在しないので、膜を横切る所望の圧力の勾配が存在する。力の変換は以下のように機能する:力センサは、ダイアフラムの非血液接触側に配置することができる。ダイアフラムの血液側のより大きな圧力は、ダイアフラムをさらに膨張させ、力センサによって検出されるより多くの力を及ぼす。負圧は、本質的に力センサがダイアフラムを内側に膨張させる予荷重をダイアフラムに加えることによって測定することができる。
【0167】
これらの特徴を有するカートリッジは、本明細書に記載のセンサの自動測定特徴を可能にするために独特に適している。例えば、接続された患者との流れの反転は、概念的に把握しやすい。しかし、これはいくつかの理由で透析治療には典型的には使用されない:第1に、ほとんどの透析装置は静脈ライン上に空気検出器を有するが、動脈ライン上には空気検出器を有さない。したがって、順流方向には空気塞栓症の保護があるが、逆流方向にはない。流れのプローブの別の特徴は、それらが空気を検出することができることであり、したがって、提案された実施形態は静脈ラインと動脈ラインの両方に流れのプローブを有するので、逆行性空気塞栓の保護が本質的に提供される。別の理由は、体外回路内に形成される小さな血栓が逆流中に排除され、患者に向かって戻される潜在的なリスクである。これは、当技術分野で知られている圧力ポッドなどの動脈圧を測定するための機構を支持するために(順行性の流れに対して)、特に透析器の上流の流体経路に流れの不連続部がある場合に特に懸念される。記載された発明では、流れのプローブを使用してそのようなハードウェアを必要とせずに動脈圧を判定することができるので、そのような流れの不連続部は存在しない。このリスクは、患者が接続されている最初の数分の間に流れの反転測定を実行するように指示することによってさらに軽減することができ、ここで、重大な離脱可能な血栓が形成された可能性は低い。記載されたフローチャンバに血栓が存在し、何らかの方法で逆行性の流れの間に除去される場合、それは透析器に流入し、その小さな中空繊維を通過させることができない。
【0168】
空気除去チャンバまたはドリップチャンバの代替設計も本明細書で提供される。透析治療および透析回路の両方の通常の過程の間、流体バルクを保持しながら空気を除去する必要性をプライミングすることが望ましい。一実施形態では、
図22A~22Bに示すように、空気除去チャンバ2202は、生理食塩水または血液などの流体で満たされるように構成された一次チャンバを含み、二次チャンバ2208によって分離された一次膜2204および二次膜2206をさらに含む。空気除去チャンバは、血液/流体がチャンバに出入りすることを可能にする少なくとも1つの入口/出口2209を含むことができる。この例では、膜は、チャンバを通る流路の一般的な平面に対して垂直に配置される。単一の入口/出口2209が
図22A~22Bに示されているが、別個の(すなわち、2つ以上の)入口/出口を実装することができることを理解されたい。この実施形態では、マルチフィルタ/膜アプローチが利用される。各膜は、フィルタ経路を横切る圧力の降下を生成し、したがって駆動する圧力はその後、各フィルタについて低下する。一次膜は血液が通過するのを防ぐように設計されているが、透析治療の過程で、少量の濾液および/または血漿が膜を通過し、二次チャンバ2208に収集することができる。二次チャンバを完全に満たすのに十分な濾液または血漿が二次チャンバ内に収集される場合、いくつかの実施形態で、設計はバックアップとして第3のチャンバを含むことができる。
【0169】
空気および気体を通過させるが血液を通過させない選択的浸透性を達成するために、細胞材料を保持するのに十分に小さい多孔性を有するが、空気の自由な通過を可能にし、血漿をはじくのに十分に低い表面エネルギーを有する材料が必要とされる。そのような膜は、エアレス血液カートリッジを維持し、空気の効率的な除去によるカートリッジプライミングを容易にするために、空気除去チャンバ2202に使用することができる。
図22A~22Bに示すマルチスタック手法は、カートリッジの使用可能寿命をさらに改善する。
【0170】
空気と血液の動的粘度は大きく異なるが、両方とも依然として流体であり、したがって同じ法則に従う。十分に小さい多孔性および低いフィルタ表面エネルギーは、血液の流れに抵抗するのに役立ち、それ流を止めることはない。十分な時間および/または圧力があれば、血漿は、関与する機構の関数である量としてフィルタを通って灌流する。
図22A~22Bのマルチスタックフィルタ構成は、汚染を防止するための二次膜2206と、いずれかの望ましくない血漿を収容するための二次チャンバ2208とを含む。いくつかの実施形態では、二次チャンバのサイズ/体積は、典型的な透析治療中に一次膜を通過する血漿の体積に基づいて選択される。
【0171】
図22Bの実施形態では、二次チャンバ2208は、透析療法中の血漿サンプリング/採取を可能にするためのタップ2210を含むことができる。
図22Aの実施形態と同様に、この実施形態は、複数のフィルタ(一次膜および二次膜)を含むことができる。しかし、この実施形態では、一次膜2204は、RBC、WBCおよび血小板を血液に面するサイズに保持しながら血漿の自由な移動を可能にするようなサイズおよび構成の細孔を含むことができる。二次膜2206は、液体ではなく気体の自由な通過を可能にするように、一次膜よりもはるかに小さい孔を有することができる。処理の過程で、二次チャンバ内のサンプル分析のために数ミリリットルまたは血漿を収集することができる。処置の最中または処置の終了時に、このサンプルは、手動または自動のいずれかの方法によって抜き取ることができる。次いで、サンプルを血漿/血清分析装置に輸送することができる。例えば、自動サンプリングおよび分析のために、タップ2210からサンプルを手動で取り出して血漿/血清分析器に輸送することができ、あるいはタップを(チューブを介して)直接血漿/血清分析器に接続することができる。分析器は、特定のタンパク質または分子に対するスペクトル分析(UV-Vis)アッセイ試験の使用を採用することができる。
【0172】
図23A~23Bは、
図22A~22Bの空気除去チャンバに対する代替の実施形態の分解図である。空気除去チャンバ2402は、一次チャンバ、一次膜2304、二次膜2306、および一次膜と二次膜との間に配置された二次チャンバ2308を含む、上述の空気除去チャンバ2202と同じ特徴の多くを含む。空気除去チャンバ2402は、血餅が患者に向かって下流に移動するのを防止するように構成された血餅フィルタ2307をさらに含むことができる。
図23A~23Bに示すように、二次チャンバ2308は、メッシュ、ハニカム、または多孔質基材などの有孔支持構造体をさらに含むことができ、有孔支持構造体は、2つの膜の間の機械的支持および分離をもたらすように設計および構成される。有孔支持構造体の多孔性は、依然として、処置の過程の間に血漿の収集および貯蔵を可能にする。
図23Aおよび23Bにさらに示すように、空気除去チャンバは、入口2309aおよび出口2309bを含むことができる。入口および出口は、生理食塩水または血液などの流体が空気除去チャンバに出入りすることを可能にする。膜が流路に対して垂直である
図22A~22Bの空気除去チャンバとは異なり、
図23A~23Bの実施形態は、一次チャンバを通る流路の一般的な平面に平行に配置された膜を含む。
【0173】
細孔濾過は、所与のサイズの微粒子を除去するための一般的な方法である。流体を所与のサイズの開口に通すためには、圧力の勾配が必要である。流体を細孔を通って移動させるのに必要な圧力は、細孔径、流体粘度、圧力の勾配の関数である。フィルタの表面張力および表面エネルギーはまた、流体が進むにつれて細孔空間内に生成されなければならない接触角を確立するための役割を果たすことができる。孔径および圧力の両方が一定であるが、気体および空気の動粘度は桁違いに異なるため、流れを必要とする圧力は、より低い粘度の流体の方が低くなる。これにより、システムの内圧(PI)がクラッキング圧力またはガスが流れるのに必要な最小圧力よりも大きい場合に、ガスがフィルタを通過することが可能になる。流体が効果的に流れるためには、所与の時間スケールでより高い圧力が必要とされる。しかし、経時的に、毛細管現象とマイクロチャネル流とのマイクロ流体相互作用により、少量の液体がフィルタを通過する可能性がある。2つの膜の間の二次チャンバの目的、ならびに二次チャンバの容積は、濾液/血漿を収容すること、ならびに所与の処理期間にわたって濾液/血漿を蓄積するのに十分な緩衝液を可能にすることの両方である。
【0174】
2つの膜間の二次チャンバの容積は、2つのフィルタ間の分離距離と同様に、それが含む流体の容積の関数である。含まれる流体の体積は、ある期間にわたって一次膜を通過する流体の量の関数である。二次チャンバの高さは、流体のたまりの高さの関数である。流体のたまりの高さは、流体自体の表面張力ならびに流体の表面エネルギーの関数である。距離は、流体が二次膜に触れることなくたまることを可能にするように設定することができる。この距離を適切に設定することにより、カートリッジのサイズも最小限に抑えながら、カートリッジの寿命を延ばすことができる。特定の膜の浸出速度が確立される。これにより、カートリッジの寿命を最大にするために、この二次チャンバ内にどれだけの濾液が収容されるべきかに関する体積推定が可能になる。収容容積と所望のたまりの高さの情報とを組み合わせることにより、空間の効率的な使用および搭載カートリッジ時間の最大化の両方を可能にする最適な設計を作成することができる。
【0175】
標準的な血清/血漿の採取のために、血漿を細胞材料から分離し、次いで再び血清を得るために、血液を操作しなければならない。従来の方法では、サンプルをスピンダウンするために遠心分離機を使用した。遠心運動は、より重い材料を試験管の底に移動させる。プラズマは、上部に層として形成され、自動または手動のいずれかの方法によって除去することができる。透明で着色されているプラズマは、光を散乱させるデブリがないため、分光法で分析することができる。この流体のスペクトル吸光度は、血漿を形成するタンパク質、イオン、および分子のスペクトル吸光度に固有であり、したがって測定することができる。本開示は、有利には、サンプルをスピンダウンするために遠心分離機を使用する必要なく、透析治療中に細胞材料を血液から自動的に分離することができる装置を提供する。
【0176】
図24は、透析療法を実施する方法を示すフローチャートである。
図24のステップ2402において、透析療法を開始することができる。いくつかの例では、上述のように、血液は患者から透析システムを通って流れ、患者に戻される。治療の過程で、血液は、
図22A~22Bおよび
図23A~
図23Bで上述したチャンバなどの点滴チャンバまたは空気除去チャンバを通過することができる。
図24のステップ2404において、透析システムは、血漿が点滴または空気除去チャンバの一次膜を通過し、濾液容器に回収することを可能にすることができる。例えば、血漿は、一次膜2204を通過し、
図22A~22Bの実施形態の二次チャンバ2208に収集することができる。いくつかの実施形態では、処理は濾液容器から開始する。透析治療が進行するにつれて、この濾液容器は血漿で満たされ始める。次に、
図24のステップ2406において、血漿のサンプルを濾液容器から収集することができる。このサンプルは、透析療法の経過中に収集することができ(例えば、所定の時間に)、あるいは、治療が完了した後に収集することができる。一例では、サンプルは、サンプルの無菌性および完全性が維持されるポートまたはタップ(
図22Bのタップ2210など)を通して引き出すことができる。次に、ステップ2408において、サンプルを血漿/血清分析装置に輸送でき、血漿を分析することができる。上述のように、サンプルをチャンバから手動で引き出して分析装置に輸送することができる、あるいは自動的に輸送して分析することができる。この分析は、透析療法の経過中に、または代替的に、治療が完了した後に、行うことができる。標準的な分光計では、回折の勾配が、様々な周波数の光を、容器を経て検出器まで通している間、分析容器が定位置に留まる。最後に、ステップ2410において、透析療法を完了することができる。サンプルと物理的に接触したすべての材料は、処置のセッションの最後に廃棄される。
【0177】
空気除去チャンバのさらに別の実施形態を
図25に示す。空気除去チャンバ2502は、変形可能な通気可能な膜2504によって分離された、一次チャンバ2501およびガス除去チャンバ2503を含むことができる。チャンバは、この例では単一の管として示されている流体入口/出口2509を含むことができるが、入口および出口は上述のように分離することができることを理解されたい。空気除去チャンバは、圧力変換器PTおよびレベル調整ポンプLAPをさらに含むことができ、両方とも図示のようにガス除去チャンバ2503に流体接続されている。ガス除去チャンバは、空気除去チャンバから空気/ガスを除去するために、圧力変換器およびレベル調整ポンプを介して、大気圧に排気することができる。
図25の実施形態は、2つのチャンバのみを有する空気除去チャンバと、単一の膜またはフィルタとを含むが、
図25の圧力変換器およびLAPは、
図22A~22Bの空気除去チャンバなどの本明細書に記載の他の空気除去チャンバと共に使用することができることを理解されたい。
【0178】
体外回路ガスの除去ならびに漏れの検出は、安全かつ効果的な治療にとって重要である。選択的に通気可能なフィルタを横切るガスを除去するためには、圧力差が必要である。ガスは、この膜を横切って移動する。それを駆動する圧力の勾配に比例する。より速い流速が必要とされる場合、フィルタの表面積を増加させる必要があるか、または圧力の勾配を増加させる必要がある。より大きなフィルタは、より多くの空間を必要とし、プライミング中にガスを効率的に排気する目的にのみ役立つが、その後、追加された領域はプライミングおよび処理の残りの部分にとっては無駄であり、したがって、より大きなフィルタは材料の効率的な使用ではない。
【0179】
空気除去チャンバの通気可能な膜は、ガスの自由な通過を可能にする。空気除去チャンバの一部分が圧力変換器/レベル調整ポンプを介して大気に開放されているとき、膜を横切る駆動圧力は、一次チャンバ2501内部の圧力と同程度にしか大きくすることができない。二次チャンバ2503をレベル調整ポンプLAPに取り付けることにより、回路の漏れの検出だけでなく、必要に応じて効率的に空気を除去するための調整可能な圧力の勾配などのいくつかの新しい機能を採用することができる。
【0180】
膜を横切る圧力の勾配を検出および制御するLAPの能力は、空気除去チャンバの内部に内圧を生成するシステム血液ポンプの能力、空気を除去するLAPの能力、および液体を保持する膜の能力の間でバランスがとられている。透析システムの血液ポンプが患者チューブセットの静脈側から流体を押し出すと、静脈側の内圧は正となり、通気可能な膜はポンプの拍動性によって膨張する。膜のガス除去側のLAPによって生成される真空は、空気が一次チャンバ側からフィルタを通過するまで定常状態にあり、したがって、乾燥側の空気の質量密度が増加し、したがって、LAPが見出す圧力が上昇する。
【0181】
プライミングプロセスを容易にするために、LAPを使用して漏れを探すと共に、システムが完全にプライミングされているかどうかを判定することができる。より高速の空気の除去が望まれる場合、より高い真空レベルをLAPによって生成することができ、したがってフィルタ全体の圧力の勾配を増加させる。動作中、乾燥側で真空を維持するために、LAPを周期的にサイクルすることができる。空気がフィルタを通過する場合、これは圧力の上昇として検出され、LAPは、空気のより迅速な除去を容易にするためにサイクルされるか、または所定の圧力を維持することができる。
【0182】
図26は、透析療法の前に体外血液回路または患者チューブセットをプライミングする方法を説明するフローチャートである。フローチャートは、上述のハードウェア、特に上述の透析システムおよび
図25の空気除去チャンバを指すことができる。
図26のフローチャートを参照すると、プライミングシーケンスの開始時に、ステップ2602において、透析システムの血液ポンプは、指定された流量で動作して、生理食塩水または別のプライミング流体を患者チューブセットに流入させ、したがって空気除去チャンバを介して患者チューブセットから空気を置換することができる。この段階の間、ステップ2604において、レベル調整ポンプLAPを指定された速度で作動させて、(
図25のガス除去チャンバ2503などに)通気可能なフィルタの上方に真空を作り出すこともできる。この真空は、通気可能なフィルタに見られる圧力を増加させ、したがって空気がフィルタを通過する速度を促進し、プライミングに必要な時間を短縮する。血液ポンプおよびレベル調整ポンプが作動している間、透析システムは、血液チャンバ内またはガス除去チャンバ内などのシステム内の圧力を連続的に監視することができる(例えば、空気除去チャンバ内の通気可能なフィルタの乾燥側)。ステップ2606において、監視された圧力が比較的一定である(例えば、血液チャンバ内の圧力は、ガス除去チャンバ内の圧力と比較的一致しており、あるいは、ガス除去チャンバ内の圧力は、比較的一定/安定したままである)場合、ステップ2608において、システムは、空気が依然として血液チューブセットからプライミングされていると判定し、ステップ2610において、レベル調整ポンプの動作を停止することができる(例えば、ポンプをオフにすることができる)。
図26のフローチャートのステップ2608は、空気が血液ポンプから通気可能なフィルタを通って圧送されている速度が、レベル調整ポンプによって除去されている速度と一致するために行うことができる。ステップ2612で、システムは圧力を監視し続けて、圧力が上昇しているかどうかを判定することができる。圧力が上昇しておらず、LAPが無効にされている場合、ステップ2614において、システムは、血液ポンプを介して送り込まれている空気に起因して漏れが存在すると判定することができ、空気がシステム内のいずれかの他の場所から出ていかなければならないことを示す。代わりに、圧力が上昇している場合、ステップ2616において、システムは、空気がまだプライミングされていると判定することができる。このシナリオでは、空気がLAPチャンバに押し込まれており、LAPが一時停止されているために出ていく場所がなく、検出可能な漏れが存在しないことを示している。この時点で、制御ループは、所定の速度で動作中のLAPに戻る(例えば、ステップ2604に戻る)ことができる。
【0183】
代わりに、ステップ2618において、監視された圧力が一定でない場合、LAPと血液ポンプの両方が作動しているとき、システムは第2決定点に到達することができる。圧力が低下している場合(例えば、血液チャンバおよび/またはガス除去チャンバ内の圧力は、以前の一定の圧力から実質的に低下するか、あるいは、圧力が低下するかまたは真空に近づき始める)、ステップ2620において、システムは、もはや空気がLAPが除去している空気を補充するために通気可能なフィルタを通過することができないので、体外回路が現在完全にプライミングされていると判定することができる。代わりに、圧力が上昇している場合、ステップ2622において、システムは、システムから空気を排出することができないため、LAPベントが塞がれていると判定することができる。
【0184】
図25の空気除去チャンバのレベル調整ポンプはまた、治療中に有用な特徴を設けることができる。
図27を参照すると、レベル調整ポンプは、システムからの不要な空気、ガス、または気泡の除去を強化することができる。最初に、ステップ2702において、ガス除去チャンバ(例えば、
図25の通気可能なフィルタの乾燥側)内に所定の真空を維持/確立するために、透析療法中にLAPが定期的に操作される。ステップ2704において、システムは、ガス除去チャンバ(例えば、
図25の圧力トランスデューサPTにおいて)内の圧力を監視することができる。内圧が上昇した場合(ステップ2706)、システムは、ステップ2708において、ガス除去チャンバの空気の質量が増加しており、したがって、空気、ガス、または気泡のいずれかが通気可能なフィルタを通過しているか、またはガス除去チャンバ内で漏れが発生していると判定することができる。フローチャートはステップ2702に戻ることができ、レベル調整ポンプは真空を増加させるように動作し続けることができ、したがって空気、ガス、または気泡がシステムから除去される速度を促進する。圧力が低下した場合(ステップ2710)、システムは、ステップ2712において、空気除去チャンバ内の流体レベルが低下し、したがって空気、ガス、または気泡が通気可能なフィルタを横切って自由に移動したと判定することができる。圧力が上昇も下降もしていない場合、ステップ2714において、システムは、体外回路が空気のない状態にあると判定することができる。
【0185】
図28は、血液ポンプ2802、生理食塩水供給源2804、透析器2806、動脈圧変換器2808、静脈圧変換器2810、動脈生理食塩水ピンチ弁2812、静脈生理食塩水ピンチ弁2814、および患者チューブセット2816を含む透析システムの一構成の概略図である。透析器の凝固は、透析治療の早期終了に関連する問題である。治療の開始時、次いで治療全体にわたって定期的に透析器全体の圧力降下を測定することによって、透析器の凝固を検出するためのシステムおよび方法が、本明細書に開示される。凝固が形成され始めると、凝固した材料の蓄積により流れがより制限され、透析器にわたる圧力降下が増加する。本開示は、既存の動脈圧力測定箇所と静脈圧力測定箇所との間に第2の閉じた流体経路を自然に作り出す既存の生理食塩水ラインを利用し、血液ポンプ後の圧力であるが透析器前の圧力は、追加のハードウェアまたは高価なセンサを必要とせずに推測することができる。
【0186】
血液ポンプ後であるが透析器前のラインの圧力(患者チューブセット内の位置2818に位置する)を推測するには、最初に2回の事前測定を行わなければならない。第1の測定は、動脈側のベースラインの圧力測定であり、治療中は常に負である。この測定は、動脈生理食塩水ピンチ弁2808および静脈生理食塩水ピンチ弁2814の両方を閉じた状態で行われ、したがって血液ポンプ2802によって生成される負圧のみを測定する。第2の測定は、生理食塩水バッグの液面の高さによって加えられる静水圧である。これを測定するために、動脈生理食塩水ピンチ弁2808を開く。この圧力が負であるため、静水圧ヘッドからの付加された圧力は動脈圧を上昇させる。静水圧ヘッドからベースラインの圧力測定値を減算すると、生理食塩水バッグからの正の静水圧が得られる。その後、位置2818で圧力を測定するために、両方の生理食塩水ピンチ弁を開くことができる。位置2818からの正圧は、動脈圧を上昇させる。生理食塩水バッグの高さの静水圧の寄与から減算された動脈圧の上昇は、位置2818のラインの圧力となる。静脈生理食塩水ピンチ弁を開いた状態で生理食塩水バッグの液面を降下させるのに十分に動脈ラインの圧力が負である場合、血液ポンプ後で透析器前のラインの圧力を、システムによって推測することができる。
【0187】
図29は、上述のシステムを使用して血圧ポンプ後の圧力を推定する方法を示す。記載されたすべてのステップの間、透析システムの血液ポンプは動作している。上述のように、ステップ2902において、透析システムは、動脈圧センサなどを用いて動脈ラインの圧力を測定することができる。この測定された圧力は、ステップ2903におけるベースライン動脈圧測定値とすることができる。次に、ステップ2904において、動脈生理食塩水ピンチ弁を開くことができ、ステップ2906において、動脈ラインの圧力をシステムによって再び測定することができる。ステップ2907において、生理食塩水バッグの静水圧は、ステップ2906で測定された動脈圧(現在の圧力測定値)からベースライン動脈圧測定値を減算することによって、計算することができる。次に、ステップ2908において、静脈生理食塩水ピンチ弁を開くことができ、ステップ2910において、動脈ラインの圧力をシステムによって再び測定することができる。最終的に、ステップ2912において、ステップ2907からの静水圧生理食塩水圧力測定値を、ステップ2910で測定された動脈ラインの圧力(新しい現在の圧力測定値)から減算して、血液ポンプの後であるが透析器の前に設定された患者チューブ内の箇所でのラインの圧力を判定することができる(例えば、
図28の位置2818において)。
【0188】
図30は、
図29の方法を使用して計算された、血液ポンプ後で透析前の圧力を使用して、透析器の圧力の低下を測定する方法を示す。ステップ3002において、治療開始時に、血液ポンプ後透析前のラインの圧力(例えば、
図29のステップ2912で計算されたラインの圧力)を計算し、記録することができる。次に、ステップ3004において、動脈および静脈の両方の生理食塩水ピンチ弁を閉じることができ、ステップ3006において、静脈圧を(静脈圧センサなどを用いて)測定することができる。最終的に、ステップ3008において、ステップ3002からの透析前ラインの圧力をステップ3006で測定された静脈圧から差し引いて、透析器にわたる圧力降下を確立することができる。
【0189】
治療中、周期的なサイクルで、透析器の圧力の降下は、上述の技術に従って計算および記録することができる。以前に確立された値(実験室試験)に基づいて、各透析器タイプに対して臨界圧力限界を確立することができた。これは、クリアランスが悪影響を受ける前に、どの程度の圧力降下が許容可能であるかをシステムに知らせるのに機能し得る。
【0190】
通常の治療中、システムは、システムおよび患者の状態を常に監視することができる。透析器にわたる圧力の降下が、治療の有効性が損なわれているクリアランス閾値を超えると、システムは、警報、ポップアップ、または可聴警報を生成することができる。これにより、使用者は、凝固がプロセスを物理的に破壊するまで治療を継続することができる。この時点で、使用者は、1)患者が効率的な治療を継続できるようにカートリッジ/透析器セットを変更する;または2)透析器を生理食塩水で逆流させていずれかの凝固した物質を除去し、患者が治療を再開することを可能にすることができる。各タイプの透析器で見られる圧力降下はわずかに異なる可能性があるため、各タイプの透析器の圧力降下の許容される限界を確立するために、参照的な研究を行うことができる。治療の開始時に、特定の透析器タイプを透析システムに入れることができ、したがって、システムは、治療時にシステムの固有のハードウェアに合わせた圧力の限界を設定することができる。
【0191】
透析治療の前または間に、透析装置上で直接、リアルタイムで透析液を生成するためのシステムおよび方法も本明細書で提供される。重炭酸塩ベースの透析液は、精製水、酸濃縮物、および重炭酸塩濃縮物の3つの成分を必要とする。酸濃縮物は不均一な混合物であり、他の成分、例えばナトリウムの大部分、ならびにカルシウム、カリウム、マグネシウム、デキストロースおよび酸成分、通常は酢酸を含有する。対照的に、重炭酸塩濃縮物は、典型的には、重炭酸ナトリウムの均一な溶液である。両方の濃縮物は、予め混合された液体として供給されてもよく、これは、所望の組成の透析液を生成するために透析装置によって水と配分される。その均質な性質のために、1つの処理の価値の重炭酸塩を供給するのに十分な量の重炭酸ナトリウム粉末の形態の重炭酸塩を容器に供給することが可能であり、当技術分野で公知である。次いで、透析装置によって精製水をこの容器に添加し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液を製造する。この手法の利点は、パッケージがより小さいことであり、これは物流にはより容易であり、出荷および保管がより安価である。一部の透析装置は、液体および粉末の重炭酸塩の形態の両方をサポートすることができる。しかし、それらの異なる要件のために、粉末重炭酸塩の液体ボトルまたはキャニスタのいずれかとインターフェースするための物理的ハードウェアは異なり、別個であり、機械のサイズおよび複雑さを増す。
【0192】
粉末重炭酸塩キャニスタを使用する場合、精製水を添加したら、キャニスタの底部から飽和濃縮溶液を取り出すことが有利であり得る。これは、包装または重炭酸塩を溶解する化学反応のいずれかからキャニスタ内に存在し得るいずれかの空気が、キャニスタの上部まで上昇する傾向があり、重力に起因している。キャニスタに水が追加され始めると、キャニスタの過加圧を防止するために、キャニスタ内部の空気がキャニスタから出ることを可能にしなければならない。この空気が、さらなる配分のために流体を引き出す出口を介して出る場合、この空気を除去するために透析装置内の下流に機構が存在しなければならない。これにより、機械の内部の複雑さが増す。溶液中の重炭酸塩は二酸化炭素として気体の状態になり、溶液を離れるので、高温または負圧などの技術で飽和重炭酸塩溶液を積極的に脱気することは望ましくない。
【0193】
本開示は、透析液の製造および送達に関連する3つの機能、すなわち(1)配分のために送達するために粉末重炭酸塩のキャニスタから液体重炭酸塩濃縮物を生成すること、(2)配分のために予混合液体重炭酸塩濃縮物を送達すること、および(3)すべての内部濃縮物ラインを精製水ですすぐためのすすぎ機能を設けることを実行することができる透析液送達サブシステムを含む透析システムを含む。透析液送達サブシステムは、構成に応じていくつかの構成要素を含むことができる。
【0194】
第1の構成では、
図31Aを参照すると、透析液送達サブシステムは、粉末重炭酸塩キャニスタから透析液を生成するように設計および構成されている。この構成は、浄水源3103と流体連通する給水ポート3102を含むことができる。給水ポート3102は、上述の透析システムなどの透析システム上または透析システム内に配置することができる。給水ポートは、以下でより詳細に説明する選択的に開閉可能な弁機構を含むことができる。さらに
図31Aを参照すると、透析液送達サブシステムは、給水ポートと嵌合するように構成された重炭酸塩キャニスタ3104をさらに含むことができ、それによって給水ポートの弁機構を開く。透析液送達サブシステムは、重炭酸塩キャニスタ3104と嵌合するように構成された濃縮物接続キャップ3106をさらに含むことができる。
図31Cで後述する別の構成では、濃度接続キャップは給水ポートと直接嵌合する。透析システムのポンプ3108は、濃縮物接続キャップの出口に接続することができる。ポンプは、精製水をキャニスタに引き込んで濃縮物と混合するため、および混合重炭酸塩溶液をキャニスタから透析システムの患者チューブセットに引き込むための両方のために操作することができ、後で酸濃縮物と混合して透析液を生成することができる。
【0195】
図32Aは、
図31Aの構成における透析液送達サブシステムの詳細な図である。上述したように、透析液送達サブシステムは、給水ポート3202、粉末重炭酸塩キャニスタ3204、および濃縮物接続キャップ3206を含むことができる。粉末重炭酸塩キャニスタは、給水ポートと嵌合するように構成されたドッキング突起3208を含むことができ、キャニスタを給水ポートに接続したままにするためのスナップフィンガーなどの機械的固定装置3210を任意に含むことができる。キャニスタは、給水ポートからキャニスタ内に精製水を送達するように構成された入口導管3212をさらに含むことができる。キャニスタは、混合重炭酸塩溶液をキャニスタから出口3216を通って濃縮物接続キャップ3206に送達するように構成された出口導管3214をさらに含むことができる。出口3216は、排気用の出口フィルタ3218および疎水性フィルタ3220を含むことができる。
【0196】
図31Aおよび
図32Aの構成では、粉末重炭酸塩キャニスタは、給水ポートに差し込まれるか、または給水ポートと直接嵌合し、給水ポートの遮断部を開き、濃縮物接続キャップは重炭酸塩キャニスタと嵌合する。ポンプは、精製水源からの水を粉末重炭酸塩キャニスタに流入させ、キャニスタの入口導管を通って流すように動作させることができる。好ましくは、水への重炭酸塩の溶解度が温度依存性であるため、精製水は既知の温度のものである。入口導管の末端で、精製水をキャニスタ内の重炭酸塩粉末溶液に滴下することができる。より多くの水が入ると、キャニスタ内の空気は、キャニスタの上部の疎水性フィルタを通って出て、水によって移動する。この充填段階中、透析システムポンプは、(濃縮コネクタキャップを介して)キャニスタの出口に接続される。疎水性フィルタは、流体がフィルタと接触する点まで上昇すると密封するので、溢出を防止するように構成される。充填段階が完了し、キャニスタに重炭酸塩が要求されると、透析システムポンプを作動させてキャニスタから重炭酸塩溶液を圧送することができる。
図32に示すように、出口導管3214は、キャニスタの底部に向かって下方に到達する。これにより、この出口導管を通って吸い上げられたいずれかの液体が、重炭酸塩粉末のバルク全体を実質的に移動し、重炭酸塩粉末を完全に飽和させることが保証される。流体の温度は一般に既知であり、重炭酸ナトリウムの飽和濃度も既知であるため、透析システムポンプによる所望の流量は、所与の量の重炭酸塩を透析液に比例させるように設定することができる。生成された濃縮物、部分的または完全に混合された透析液のpH、または伝導率または他の特性は、適切な組成を確実にするためにセンサによってチェックされ得る。
【0197】
図32B~32Dは、
図31の構成の代替の実施形態である。これらの実施形態では、濃縮物接続キャップ3206は、キャニスタを給水ポート3202から離れるように延出させるための横方向延在部分3222を含む重炭酸キャニスタ3204の底部に取り付けられる。キャップ3206を透析システム(したがって、透析システムポンプ)に接続するライン3224も示されている。
【0198】
図32Bの実施形態は、キャニスタへの空気の注入を管理するためのいくつかの固有の解決策を提供する。
図32Cの実施形態では、フィルタ3218をキャニスタ内部の重炭酸塩粉末の下に配置することができ、フィルタは未溶解粉末の通過を防止するが、キャニスタの内容物が溶解した液体を通過させる。規定された空の容積部3226がフィルタの下に存在することができる。キャニスタが水で満たされると、この容積部3226内の空気は、バルク粉末を通って、または出口3216および濃縮コネクタキャップを通って完全に出ることはできない。液体がフィルタを通過するとき、液体は、空気除去チャンバのように作用する容積部3226内のこの空気カラムを通過しなければならず、空気が出口3216を通過する前に液体から空気を分離する。
【0199】
同様に、
図32Dでは、空気の注入を管理するための代替の戦略は、フィルタ3218の下の空気の量を最小限に抑えることである。この実施形態の意図は、フィルタの下の空気を流体で完全に移動させ、その容積部自体からの空気がラインに入らないようにすることである。これは、フィルタを円錐面として成形し、円錐面の頂点を下に向け、同じ輪郭に沿ってキャビティ内にフィルタネストを有することによって、達成することができる。この実施形態における出口3216は、円錐面の頂点に位置する。上述の実質的に平坦なフィルタと比較して、この設計は、出口がキャニスタの実質的に最も低い点にあるという利点を有する。任意の空気は、浮力によって、出口点よりも高いフィルタの縁部の周りに集まる傾向があり、したがって出口に入らない傾向がある。いくつかの態様では、流体がその中心/頂点のすぐ周りの領域でフィルタを通過するための経路はなく、したがって、流体および/または空気をフィルタの周りの幾分曲がりくねった経路に進ませ、空気を流体から分離する。
【0200】
図31Bに戻って参照すると、透析液送達サブシステムの第2の構成が提供されており、この構成では、配分のために予混合液体重炭酸塩濃縮物を送達するように構成されている。
図31Aの実施形態と同様に、この構成は、給水ポート3102、精製水源3103、濃縮物接続キャップ3106、およびポンプ3108を含む。しかし、この第2の構成では、粉末重炭酸塩キャニスタは、液体重炭酸塩容器3110に置き換えられる。この例では、ストローまたはキャップ導管3112が濃縮物接続キャップに接続され、次いで、ストローまたはキャップ導管が液体重炭酸塩容器に挿入される。給水ポートに何も接続されていない状態では、自動的にポート自体を閉じることができる。次いで、液体重炭酸塩は、酸濃縮物と共に精製水に比例して透析液を形成することができる。
【0201】
図31Cは、粉末重炭酸塩キャニスタまたは液体重炭酸塩容器がない第3の構成を示す。これは、「すすぎ」構成と呼ぶことができ、使用されていないときにシステムがどのように格納されるかであってもよい。濃縮コネクタキャップ3106は、給水ポート3102に嵌合することができ、これにより、精製水が、透析液送達サブシステム内のすべてのラインを通して精製水供給源3103から流れることが可能になり、それにより、いずれの残留濃縮物も洗い流される。
【0202】
図33A~33Bは、濃縮コネクタキャップ3306が給水ポート3302とどのように嵌合し相互作用するかを示す。
図33Aは、濃縮コネクタキャップが給水ポートにまだ嵌合されていない濃縮コネクタキャップを示す。弁機構3308は、給水ポートを例えばOリングで封止するように、完全に伸長した位置にあることが分かる。しかし、
図33Bの例では、濃縮コネクタキャップ3306が押し下げられて給水ポートと嵌合され、弁機構3308を押し下げて、精製水源からの流体の流れを濃縮物容器キャップに流入させる。
図33Aにも示されるように、濃縮コネクタキャップ内のレセプタクル3310が示されており、これは、液体重炭酸塩容器と共に使用される場合、上述のようにストローまたはキャップ導管に接続するために使用される。
【0203】
単一の透析システムを血液透析および腹膜透析の両方に使用することができるシステムおよび方法も本明細書で提供される。従来、血液透析(体外治療)および腹膜透析(体内治療)は、送達するために異なる機械および単回使用品を必要としてきた。腹膜透析は、生活様式の観点から便利であり得るが、多数の患者にとって長期的に有効ではない可能性があり、最終的にそれらの患者は血液透析に切り替える必要があり得る。PDはまた、従来、大量の予め混合された流体を患者の家に送達することを必要としており、これは高い輸送コストおよび保管の問題をもたらす。自宅で治療を行えること、または他の患者がパワーを与えられる状況は、転帰を改善することが示されている。腹膜透析(頻繁に家庭で行われる)から血液透析に移行している患者にとって、機器の連続性を有することは、心理学的および物流上の観点から有益である。さらに、同じ患者に対して血液透析と腹膜透析の両方を行うことが有益であり得るという証拠がある。したがって、水道水から透析液を調製することができ、血液透析および腹膜透析の両方のモダリティを設けるために使用することができる濃縮物を供給することが有利であろう。
【0204】
体外腎代替療法では、さらなるモダリティの層別化がある。治療の場所(自宅、診療所または病院)に加えて、高対流療法(プッシュプル血液透析ろ過)、持続的腎代替のための延長療法、または小児療法などの治療法がある。これらの治療のそれぞれは、単回使用または機械の設定で異なる構成を必要とする場合がある。例えば、高対流療法では、透析液を患者の血液に注入する必要があるため、使用される透析液の微生物およびエンドトキシンの要件はより高くなり得る。小児治療は、はるかに小さい体外体積が必要となるため、機械の最大ポンプ速度は低くしなければならない。したがって、複数の単回使用可能な構成を受け入れる単一の透析装置を製造することが有利であり、様々な単回使用可能な構成はそれぞれ、ソフトウェアで有効化または無効化される機械の機能を変更する機械によって読み取られる固有の識別子を有する。
【0205】
図34Aは、血液透析を患者に送達するための透析療法システムの標準的な構成を示す。
図34Aに示すように、透析システムは、体外治療回路3400を含むことができ、体外治療回路は、体外患者チューブセット3401a、透析器3402、血液ポンプ3404、動脈圧センサ3406a、静脈圧センサ3406b、動脈流量センサ3408a、静脈流量センサ3408b、空気除去チャンバ3410を含むことができる。システムの透析装置側は、新しい透析液を透析器に圧送するように構成された第1透析ポンプ3412と、古いまたは使用済みの透析液を透析器からシステムを出てドレインに圧送するように構成された第2透析ポンプ3414とを含むことができる。当技術分野で知られているように、動脈血は、動脈アクセスポイント3416で体外治療回路3400に流入し、透析器を含む回路を通って流れ、静脈アクセスポイント3418で患者に戻される。
【0206】
図34Aの回路3400は、透析システムが典型的な血液透析療法を施すなど、標準的な体外治療モードで動作することを可能にする。このモードは、分離された限外濾過を送達するためにも使用することができ、ここで、新しい透析液はゼロであるが、使用済みの透析液は回路の血液側から引き出される流体である。識別機構3420は、IDバーコード、2Dバーコード、RFIDタグまたは他の機構などの回路のカートリッジに配置することができる。いくつかの態様では、カートリッジおよび患者チューブセットが透析装置に設置されると、識別機構は、透析上のリーダに近接して自動的に位置合わせされる。このリーダは、識別機構に記憶された情報を検出および復号するように構成され、一旦取り付けられると、機械のソフトウェアによって制御される特定の機能が有効または無効にされる。例えば、標準的な体外治療カートリッジの場合、機械は、体内治療モードおよび高対流プッシュプルモードを無効にしながら、最大血液ポンプ速度、治療時間または他のパラメータにパラメータを設定するように構成される。一層少ない体外体積、したがってその識別機構の小さい方のチューブのために構成された別のカートリッジが検出された場合、最大流量設定は、小さい方の流路での安全な治療を確実にするために低減され得る。異なるカートリッジの構成の設定ステップが異なる可能性があるため、使用者に提示される誘導グラフィカルユーザインターフェース(GUI)の設定ステップは、復号された識別機構データに基づいて異なる。同様に、設定後に画面上に提示されるデータ、グラフ、アラート、アラーム、応答、または他のユーザインターフェース要素は、処置が有効である間、および処置の最中に、同じデータに基づいて異なり得る。
【0207】
図34Bは、
図34Aの実施形態で上述したすべての特徴を含むが、使い捨てで単回使用の微生物/エンドトキシンフィルタ3422も追加する体外治療回路3400の一実施形態を示す。図示の例では、このフィルタは透析器/血液フィルタの入口に設けられ、そこで機械に接続して透析液の流れを受け取る。新しい治療が開始されるたびに変更される単回使用の微生物/エンドトキシンフィルタを設けることにより、フィルタが機能的であり、従来の機械側フィルタが受ける過剰な使用または消毒サイクルによって劣化していないという高い信頼性を与えることができる。フィルタの下流では、体外治療回路のすべての流体経路は、使用前に最終的に滅菌される。機械側のフィルタの場合、フィルタと、それが流体を送達する流体路の任意の他の構造との間に存在する流体路の少なくとも一部が常に存在する。このラインは通常定期的に消毒されるが、使い捨てフィルタ装置のすべての下流流体経路が無菌性であることを保証することが、改善点である。一実施形態では、このフィルタを機械側フィルタと組み合わせて使用して、患者の血液に注入するのに許容できる二重または三重の濾過の透析液流を生成することができる。好ましくは、このカートリッジは、そのチューブセットに予め取り付けられた透析器を有し、単回使用の微生物/エンドトキシンフィルタは透析器に組み込まれている。
【0208】
図35Aおよび35Bは、単回使用の微生物/エンドトキシンフィルタ3522の2つの変形例の拡大図である。これは、
図34A~34Bで上述したのと同じフィルタとすることができる。
図35Aおよび35Bの両方を参照すると、フィルタ3522は、透析装置から新しい透析液の流れを受け取るために、透析装置にある雌型のハンセン継手と嵌合するように構成された雄型のハンセン式継手3524を含むことができる。
図35Aの実施形態では、フィルタ3522は、透析器3502と一体化されているか、またはその中に組み込まれている。しかし、
図35Bの実施形態では、微生物/エンドトキシンフィルタは、透析器3502および透析装置の両方と嵌合するように構成されたスタンドアロンユニットである。したがって、
図35Bを参照すると、フィルタは、一方の側(例えば、透析器の対応する雄型ハンセン式継手3530とインターフェースするため)に雌型ハンセン式継手3528を、他方の側(例えば、透析装置とインターフェースするため)に雄型ハンセン式継手3524を含むことができる。
【0209】
フィルタが正しく設置されていることを確実にするために、(フィルタによって引き起こされる透析液の流れにわたる既知の圧力の降下を探求するなどの)治療前の自己テストを、透析装置によって行うことができる。一体型またはスタンドアロンの場合のいずれにおいても、透析装置は、設置されたフィルタの構成を検出するように構成することができる。標準的な体外治療モードを可能にすることに加えて、透析装置は、透析液(外部滅菌生理食塩水バッグではなく)で血液セットをプライミングするなどの機能を可能にし、透析液が透析器の血液に順次注入され、そこから取り出される高対流療法を可能にすることができる。
【0210】
上記の
図34A~34Bは、体外透析療法を施すための透析システムの使用を説明しているが、システムは、体内透析療法を施すように構成することもできる。
図36は、体内透析療法のために構成された透析システムの概略図を示す。体外構成で上述したように、同じまたは類似のシステム構成要素の多くは、体内構成のままで、体内治療チューブセット3601、第1透析ポンプ3612、第2透析ポンプ3614、単回使用の微生物/エンドトキシンフィルタ3622、血液ポンプ3604、動脈圧センサ3606a、静脈圧センサ3606b、動脈流センサ3608a、静脈流センサ3608b、および空気除去チャンバ3610を含む。血液ポンプ3604が透析システムにあるままである間、それは体内構成では使用されず、体内治療チューブセット3601bは、ポンプをバイパスまたは回避する。さらに、体内透析療法では、透析液が患者に直接注入されるため、透析器は必要とされない。しかし、いくつかの実施形態では、機械への取り付けおよび接続を容易にするために、「ダミー」またはプレースホルダ透析器3632を使用するか、またはチューブセットまたは透析システムに組み込むことができる。一例では、ダミーまたはプレースホルダ透析器は、透析器が取り付けられる(体外構成用)場所で透析システムに取り付けられるシェルを含むことができる。さらに別の実施形態では、単回使用フィルタ3622は、このダミー透析器シェル内に含めるかまたは組み込むことができる。
【0211】
図36の構成は、血液を運ぶことを意図した体外治療チューブセットのチューブおよび流路を本質的に取り、代わりにそれらを使用して濾過済み透析液を運ぶことによって、体内治療を促進する。チューブ流路内のすべてのセンサインターフェースは依然として機能的であり、患者への透析液の送達を監視および測定するために使用することができる。この構成では、新たな使用済みの透析液の流れは、体内治療チューブセットの流体経路に直接接続される。この構成では、使い捨ての微生物/エンドトキシンフィルタを使用する末端での濾過が、依然として非常に好ましいことがある。
【0212】
上述のように、血液フィルタ/透析器の物理的形状、および関連する取り付け機構は、機械に存在し、チューブセットと機械との間の流体接続を編成するための便利でよく知られた方法として機能する。いくつかの態様では、体内治療チューブセットは、体内治療モードのための正しい流体接続をもたらす血液濾過器または透析器の一般的な形状のシェルをさらに含み、シェルの容積部の中に微生物/エンドトキシンフィルタをさらに含む。一実施形態では、このシェルは患者チューブラインに予め接続されている。このカートリッジが設置されると、透析装置上のリーダは、この体内構成を検出するように構成することができ、システムは、血液ポンプを無効にすることなどによって、設定ガイダンスおよび装置の設定を適切に自動的に構成することができる。この構成は、持続性の流れの体内治療(持続性の流れの腹膜透析など)、または一定量の透析液が、典型的には睡眠中に、患者に順次送達され、患者から取り出される自動腹膜透析などの換気の体内治療の両方をサポートするように構成することができる。単一のアクセスポイントしかない換気の治療の場合、患者に向かう2つのラインを、例えば、ウィー型コネクタを用いて単一のラインに組み合わせることが有益であろう。そのような区別は、体内治療チューブセットの識別子機構にさらに符号化することができ、機械がカートリッジの正しい治療モードを有効にすることを可能にする。
【0213】
図37は、上述の体内構成で使用するための透析器シェル3732の一例を示す。上述のように、体内治療には物理的透析器が必要ではないが、シェル型透析器を使用して透析装置とインターフェースし、その構成ですべての適切な流体接続を可能にすることができる。
図37を参照すると、透析器シェル3732は、透析システムから新しい透析液を受け取るように構成された新しい透析液入口3734を含むことができる。図示の例では、透析器シェルは、一体化された微生物/エンドトキシンフィルタ3722をさらに含むことができる。しかし、他の実施形態では、フィルタはシェルに組み込まれず、代わりに
図35Bの例のように外部に取り付けられることを理解されたい。使用済みの透析液は、患者から患者チューブセットに戻り、使用済みの透析液入口3736で透析器シェルに戻り、そこで次いでシステムから排出することができる。
【0214】
上述のように、本明細書の透析システムは、様々な機能および特徴のために動脈および静脈の両方の患者のラインの圧力測定値を利用する。本明細書では、治療中にこれらの圧力を正確かつ簡便に測定するための新規かつ独自の圧力測定装置について説明する。これらの圧力測定装置は、透析装置と血液チューブセットとの間に流体シールを形成する必要なく、血液チューブセット内部の圧力を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、本明細書の圧力測定装置は、血液が片側を通って流れる可撓性ダイアフラムと、血液チューブセット内の圧力と相関するダイアフラムの物理的な撓みを測定するように構成された圧力トランスデューサとを使用する。さらに、いくつかの実施形態では、ダイアフラムは変位の低い状態で空間内に拘束することができ、ダイアフラムの物理的力は圧力変換器によって測定される。そのような構成は、流体シールの必要性および製造公差に関する懸念の両方を克服する。
【0215】
上述のように、ダイアフラムが変位の低い状態で拘束される場合、血圧に対する平衡を維持するための力の大部分は、拘束部材によって加えられる。拘束部材内の力を、例えばロードセルで定量化することにより、血液中の圧力を測定することができる。さらに、圧力測定装置は、血液中の正圧および負圧の両方を測定するように構成することができる。正のゲージ圧を測定することは、ダイアフラムが拘束部材を押すことになるため、簡単である。しかし、負のゲージ圧は、典型的には、ダイアフラムを拘束部材から引き離す。一実施形態では、拘束部材は、カセットベースの血液チューブセットが透析装置に取り付けられるときに、ダイアフラムに予圧を加えるように構成される。このようにして、負圧が生成されると、それは拘束部材から分離するのではなく、拘束部材によって感知される力を単に減少させる。
【0216】
本開示は、圧力検知アセンブリに結合された可撓性膜を有する流路(患者チューブセットの流路など)を含む圧力測定装置を含む。圧力検知アセンブリは、膜全体の温度を測定するように構成された温度センサと一体化することができる。いくつかの実施形態では、流路の膜は、磁気での結合によって圧力検知アセンブリに結合される。圧力測定装置は、物理的遮蔽および/または予圧変位吸収機構をさらに含むことができる。
【0217】
図38Aは、圧力測定装置の流路3802の一例を示す。流路は、例えば、透析システムの患者血液チューブセットの一部を含むことができる。図示の例では、流路3802は、可撓性ダイアフラム3804を含む部分を含む。可撓性ダイアフラム3804の少なくとも一部は、一体型磁気コア3806を含むことができる。流路を横切って配置された可撓性の膜は、膜の変位を可能にして、流路内の圧力と、膜の低い弾性率に起因する変位との間の相関を生じさせる。可撓性ダイアフラムは、より剛性の高い膜構造を収容するための小さな領域とすることができ、またはよりコンプライアンスの高い構造を収容するためのより波形である設計とすることができる。波形の設計は、より許容性があり、高圧流路を収容するために膜により多くのコンプライアンスを付加する。したがって、最も理想的な構成に対応するように設計構造上バランスをとることができる。磁気または鉄のコアは、可撓性ダイアフラムの中央部分内部に一体化されて、圧力測定装置の圧力変換器に結合するための鉄ベースおよび剛性平坦面を形成することができる。磁気コアの剛性の平坦な表面により、可撓性膜は、圧力変動に起因する膜の変位のより反復可能な測定値が得られる。
【0218】
図38Bは、上述の可撓性ダイアフラム3804に磁気で結合された圧力トランスデューサまたは力ゲージ3808を含む圧力検知装置の例を示す。図示のように、圧力測定装置は、可撓性ダイアフラム3804の磁気コア3806と嵌合するように構成された磁石3810を含むことができる。磁気結合機構は、可撓性膜の変位を圧力変換器による力の読み取り値に変換するように構成される。圧力検知装置は、可撓性ダイアフラムとシャフトとの間の界面に結合されたRTDなどの温度センサをさらに含むことができる。
【0219】
力ゲージまたは力変換器は、磁石と変換器との間に配置されたねじ付きシャフト3812を含むことができ、圧縮と引張両方の操作に対応する主要な取り付け機構として機能する。流体が流路を通って流れ始めると、流路内に負圧および正圧が生成され、力変換器で力の読み取り値に変換されることが予想される。流路の平衡点は、力ゲージのフルスケールでの動作を利用するために、静止時にゼロの読み取り値に近くなるように較正することができる。次いで、結果として得られた力の読み取り値を、圧力の読み取り値に変換することができる伝達関数に入力することができる。さらに、圧力変換器の正味ゼロの読み取り値は、システムが静止しているときに透析システムの他のセクションの他の圧力測定値と直接比較することができる。これは、動作中の圧力測定の冗長性チェックとしても使用できる。
【0220】
図38Cは、透析システムの残りの部分から独立して、圧力変換器と可撓性ダイアフラムとの間の一貫した取り付け量を安定させて維持するように構成されたコンプライアント取り付け部3814をさらに含む圧力測定装置のさらに別の実施形態である。コンプライアント取り付け部3814は、透析システムの患者チューブセット/カートリッジおよびフロントパネルアセンブリの隣接する構成要素によるいずれかの悪影響を低減するように構成される。この実施形態は、図示のように流路に機械的に取り付けるように構成された構造延長部3818(半径方向)および3820(軸方向)を有する当接部材3816をさらに含むことができる。当接部材3816は、可撓性ダイアフラムに接続する流路の端部に接触して保持するように特に設計および構成される。さらに、当接部材の端部はまた、並進方向の圧力変換器を固定するために、可撓性ダイアフラムの構造の形状に適合することもできる。
【0221】
当接部材は、構造の任意の構造的歪みを力変換器自体ではなくアセンブリのハウジングに加えるように、圧力変換器の平面と同一平面にあるか、またはわずかに突出することができる。これはまた、使用者の取り扱いまたは清掃に起因するねじ付きシャフトの損傷を防止する。さらに、当接部材はまた、コンプライアント取り付け部に加えられている構造上の力を吸収することができ、これは今度は圧力変換器にノイズを加えることになる。目標は、流路から力変換器への圧力読み取り値を、読み取り値に影響を及ぼし得る構造上の力または隣接する機構から独立させることである。
【0222】
コンプライアント取り付け部3814は、例えば、機械的な力のバイアスを生成するための当技術分野で公知のばねまたは他の機構を含むことができ、流路を力変換器に結合した状態に保つのに十分強い一定の力を維持するように構成することができる。これは、上述の当接部材を適切に位置合わせして取り付けるための位置合わせピンを含むことができる。コンプライアント取り付け部および当接部材は、圧力変換器の移動を単一の並進自由度で抑制して軸方向の移動のみを可能にするように構成することができる。例えば、コンプライアント部材は、他の2つの並進および3つの回転の自由度を制約するように、2~3つのピンで取り付けることができる。これにより、圧力変動が軸方向の自由度においてのみ作用して、力ゲージの読み取り値に対する最大限の感度を可能にする。
【0223】
装置の磁気結合は、コンプライアント取り付け部上および流路上に加えられる力に起因して減衰を生じさせる可能性がある。一実施形態では、任意選択の減衰器3811をコンプライアント取り付け部と共に使用することができる。流路からの圧力がコンプライアント取り付け部に圧力を加えると、ダンパーは、コンプライアント取り付け部が圧縮されている速度を遅くするように構成することができる。これは、順次、周波数の応答を凝縮および減衰させ、圧力変換器にとってノイズがはるかに些細なものになるよう寄与する。減衰力は変位の変化率に比例するため、いくらかのわずかな減衰が依然として存在するが、時間および周波数の振幅の枠は、この実施形態では、はるかに抑制される。
【0224】
図39A~39Bは、コンプライアント部材を含む圧力検知装置の別の実施形態を示す。
図39Aを参照すると、圧力検知装置は、力変換器または力ゲージ3908、ねじ付きシャフト3912、磁石3910、およびコンプライアント取り付け部3914を含む、上述したものと同じ構成要素の多くを含むことができる。圧力検知装置は、流路の可撓性ダイアフラムに接触するように構成された温度センサ3922と、ねじ付きシャフトを取り囲んで保護するように構成されたシャフトハウジング3924とをさらに含むことができる。
図39Bの例では、温度センサ3922は、磁石3910内に同心円状に配置することができる。温度センサワイヤ出口孔3934および導管3936は、それぞれ
図39Aおよび39Bに見ることができる。
【0225】
図39Bに見られるように、コンプライアント取り付け部は、バッキングプレートセクション3926と、複数の軸方向延長部3920とを含むことができる。上述したように、コンプライアント取り付け部の軸方向延長部は、可撓性ダイアフラムに隣接する流路の部分(例えば、患者血液チューブセットの正常なチューブ)に接触/保持するように構成することができる。軸方向延長部は、任意選択的に、流路(例えば、患者チューブセットの形状に適合するように構成された凹面)の形状に適合するように構成された切り欠き形状3928を含むことができる。
【0226】
再び
図39Aを参照すると、コンプライアント取り付け部は、ねじの外径の周りに巻かれたばね3932を有する1つ以上の肩部ねじ3930を含むことができる。次いで、ばねは、バッキングプレート3926に取り付けられたときにねじに対して自然に圧縮される。肩部ねじのバッキングプレート孔への位置合わせ(肩部ねじのOD上のばねの力による)は、圧力変換器が沿って移動する平面を適切に制御するために厳密に制御することができる。したがって、圧力変換器の軸方向外側の任意の方向の動きを実質的に排除することができる。
【0227】
図40A~40Bは、透析システム4000のカセットインターフェースパネル4002の2つの図を示す。カセットインターフェースパネルは、透析システムの構成要素と、透析療法中に使用される単回使用カセットおよび患者チューブセットとの間の接続をもたらす。
図40Aは、カセットおよび患者チューブセットが設置されていないカセットインターフェースパネル4002を示し、
図40Bは、カセットインターフェースパネルに設置されたカセットおよび患者チューブセット4008を示す。
図40Aに示すように、透析システムは、血液ポンプ4004、透析器4006、および上述の圧力測定装置などの1つ以上の圧力測定装置4009を含むことができる。
図40Bに示すように、カセットおよび患者チューブセット4008は、治療中に透析システムとインターフェースする血液チューブラインを含むことができ、空気除去チャンバまたは空気除去チャンバなどの上記の他の特徴をさらに含むことができる。
【0228】
力変換器のフルスケールの範囲は、より低いkgの範囲とすることができる。フルスケールの範囲(張力および圧縮の両方を含む)は、体外治療チューブセットを用いた現在の用途の透析療法のために最大1~5lbfという範囲を利用することができる。これにより、圧力変換器は、いずれかの電気的ノイズ、重心(CG)のシフト、および設置方向に対して非常に感度が高くなる。これに対抗するために、非対称の3穴ボルトパターンを利用して圧力検知装置を取り付ける。これにより、ダイアフラムに対する圧力変換器の重心への影響を最小限に抑えることができる。さらに、非対称の取り付けパターンは、力変換器に悪影響を及ぼす設置時のあらゆるタイプの誤差を低減することができる。
【0229】
血液凝固は、体外回路を使用する透析において常に潜在的な問題である。血液は、本質的に、様々な機能を果たす複雑なコロイド状の非ニュートン流体であり、その1つは、そうするようにトリガされたときに効果的に凝固することである。任意の体外回路に十分な時間があれば、わずかな凝固作用でさえも治療終了血栓症になり得る。透析のシフトがホームケアに向かって移動するにつれて、これらの治療は、時間尺度の増加のみに起因して凝固からのより高い影響を受ける。
【0230】
ナイーバーストークス方程式のように凝固カスケードは複雑であるが、望ましくない凝固を減少させるために血流条件を最適化するために行うことができるいくつかの一次近似がある。血流プロファイルを制御して血餅形成条件を最小限に抑えることは、計算流体力学(CFD)によって支援され得ることである。停滞箇所の流れは、流れベクトルが分岐する流れ場の箇所の近くにある流れ領域として定められる。これらの発散性のベクトルは、望ましくない遅い流れの領域または渦領域を生成する可能性がある。流体力学におけるノースリップ状態に起因して、低い流れの状態が常に存在するが、流れの場における停滞箇所は、大幅に低減され得る。これらの停滞箇所は、主として流れの場が測定、方向転換、または治療などの何らかの代替目的を果たす場合に、無数の場所からもたらされる。従来、血液経路は、流れが逆ではなく装置の必要性に最適化されるように、主として医療装置全体に従属するものと見られていた。
【0231】
上述の圧力測定装置、特に可撓性ダイアフラムを有する流路の位置は、覆い始める傾向があり得る体外回路内部の場所を備える。これは、患者チューブラインと圧力変換器との間に界面領域が必要であるためである。上述したように、可撓性ダイアフラムは回路の圧力の関数として移動し、他方の側の圧力変換器はラインの圧力を測定することができる。特定の設計上の選択は、圧力測定装置内の流路のサイズおよび形状におよび、流れの再循環を検出可能な限界未満に低減した。これを達成するために、2つの要因を考慮した:境界層の効果を補償しながら流れ面積を維持する。境界層の影響を考慮しながら流路の高さが減少する速度を推定するために、(圧力センサを収容するために)流路が広がる速度のバランスをとるために動力関数を使用した。流路が急激に狭くなりすぎると、流体が同等ではない制限に遭遇したときに背圧の波が生成され、流れを人工的に制限する。流路があまりにも徐々に狭くなった場合、より大きなカートリッジを作成するために過剰な空間および材料が必要とされ、したがって治療のために患者の血液をより多く必要とする。膨張による壁での流れの分離に起因して生じ得る任意の潜在的な直交する流れベクトルを方向転換するために、流れチャネル内の内面の移行を滑らかにするために、内部幾何学的特徴がさらに追加されている。これは、流れの再循環の潜在的なスポットを減らすのにさらに役立つ。流体の慣性効果のために、流路アスペクト比は、圧力ゾーンを通る流れを中心からずらす傾向があり、したがって局所的な渦を生成する流路の曲がりを補償するように変更された。
【0232】
改善策は、所与の速度で移動する流体の体積の減少を見ることによって確かめることができる。渦流に巻き込まれた流体は、よどみ点の近くを流れる流体のような、目に見える正味の速度を有していない。測定領域でゆっくりと移動する量(壁または壁付近の流れを除く)を比較することによって、改善の程度を数値で表すことができる。本開示の圧力測定チャネルは、従来の設計における2ミリリットルの低速流動流体の上方と比較して、0.08ミリリットルの低速流動体積を有することができる。これは、圧力測定ゾーン内のリスクのある流体の体積の20倍を超える減少を表す。透析回路を血液の固有の特性に合わせることにより、追加のコーティングを必要とせずに凝固を最小限に抑え、カートリッジの体積を減少させ、以前と同じレベルのケアを維持するために流路が最適化されている。
【0233】
図41は、透析システムに設置されたカセットおよび患者チューブセット4102の詳細な図を提示し、カセットシェル4103、圧力検知装置4104、空気除去チャンバ/静脈点滴チャンバ4106、血液ライン4108、流量センサ4110、およびピンチ弁4112などの構成要素の図を含む。いくつかの実施形態では、カセットおよび患者チューブセットは、異なる種類のチューブを互いに接合するチューブカプラ4114を含むことができる。
【0234】
カセットおよび患者チューブセット4102は、2つ以上のクラムシェルセクションを有する非対称のクラムシェル設計を含むことができる。
図41の示している例において、カセットは、第1のクラムシェルセクション4116(
図41において暗い境界として示されている)が第2のクラムシェルセクション4118(
図41において点線として示されている)よりも大きい、2つのクラムシェルセクションを備えることができる。第2のクラムシェルセクション4118は、成形された流路、または潜在的にカセット内の血液または他の流体の流れを導くためのチューブを含む流路を含むことができる。成形された流路が使用される場合、クラムシェルセクションが超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接、接着、または当技術分野で知られている任意の他のプロセスによって互いに接合されると、流路は完全に形成されシールされる。第2のクラムシェルセクションの境界に沿って、チューブは、内部流路の各々の端部に接合または溶接され得る。2つのクラムシェルセクションが接合されると、大きい方のクラムシェルセクションのセクションは、小さい方の半分の境界に接合されたチューブにオーバーハングすることができる。流路は、小さいクラムシェルセクションまたは大きいクラムシェルセクションのいずれかに存在してもよく、または流路の部分的なセクションが半体各々の内部に含まれてもよいことを理解されたい。小さい方のまたは大きい方のクラムシェルセクションは、一般的な構造が組み立てられた後もこの一般的な説明に適合する限り、小さい方のセクションにさらに細分されてもよいことをさらに理解されたい。
【0235】
大きい方のクラムシェルセクションの境界に配置された特徴は、血液チューブがカセットの全体的な境界を出るときにそれを所定の位置に保持するために、血液チューブを捉えるために使用され得る。チューブに張り出す大きい方のクラムシェルセクションのセクションは、血液ポンプ、ピンチ弁および流量センサなど、カセット内のチューブと透析システムとの間の様々なインターフェース上に配置されてもよい。そのようなインターフェースのために、係合セクション上の係合セクションは、チューブをセンサに適切に装填すること、弁が流れを遮断することができる表面または特徴を設けること、またはピンチ弁の作動および血液ポンプ運動などの機械的運動から使用者の四肢を保護することなどのタスクを支援するために組み込まれてもよい。空気除去チャンバおよび圧力センサなどの他のインターフェースは、小さい方のクラムシェルセクションの成形された流路内に優先的に組み込まれてもよい。
【0236】
図42Aは、カセットおよび患者チューブセット4202の第2の(小さい方の)クラムシェルセクション4218を示し、
図42Bは、カセットおよび患者チューブセットの第1の(大きい方の)クラムシェルセクション4216を示す。
図42Aの星4220は、患者チューブと小さい方のクラムシェルセクション内の成形された流路との間の移行を示す。いくつかの実施形態では、カセットおよび患者チューブセットは、異なる種類のチューブを互いに接合するチューブカプラ4214を含むことができる。
【0237】
図42Bは、第1の(大きい方の)クラムシェルセクション4216内部の係合セクション4222、4224、および4226を示す。これらの係合セクションは、例えば、透析システムのピンチ弁および流量センサに対応することができる。一般に、インターフェース用の係合セクションの下に収容されるチューブは、特別な材料または寸法であってもよい。例えば、透析システムの血液ポンプとインターフェースするチューブは、流路の大部分を構成するチューブよりも大きな内径および外径を有することができる。
図42A~42Bに示す構成では、流量センサおよびピンチ弁とインターフェースするチューブは、チューブの同じセクションであり、超音波伝達特性、潤滑性、および低次の力での閉塞などの、そのようなインターフェースに適した特性に設計することができる。患者との間を含む回路の残りの部分を通って流体を運ぶチューブのより長いセクションは、より高い耐キンク性および長さ当たりのコストの必要性などの異なる能力上の制約がある。したがって、大きい方のクラムシェルセクションの境界またはその近くで、二種類の異なるチューブがカプラ4214によって接合されてもよい。この設計の全体的な利点および意図は、カートリッジが透析装置の嵌合パネルに設置されたときに、センサ、弁および血液ポンプのすべてのインターフェースを、単一の動きで作ることができることである。
【0238】
大きなクラムシェルセクションの係合セクションは、それらの下に配置されたチューブまたはセンサに圧縮力を加える目的を果たすことができる。この圧縮力は、厳密に制御することができる。理論的には、センサチャネルの上面を使用して、チャネル内のチューブを圧縮するために使用される蓋または他の構造を位置合わせすることは簡単である。これは、ヒンジ付きの蓋の動きがセンサのサイズと比較して比較的小さい場合に実用的であり、蓋を定位置に保持するための正確なラッチ機構を設計することが可能である。しかし、図示されたカセットの適用において、チューブに当接する係合セクションに位置するリッジなどの押圧要素は、接近運動がはるかに大きいため、位置合わせがより困難であり、カセット全体を所定の位置に保持するためのラッチ機構の規模は、センサ自体に直接取り付けられた蓋と同じ公差の能力を有していない可能性がある。この制限を克服するために、剛性の蓋の正確な位置決めに依存する代わりに、いくらかのコンプライアンスがシステムに導入され、カセットの設置中に利用可能な全体的な位置決めであっても、チューブが流量センサチャネル内にあるときに比較的小さい範囲の一貫した力をチューブに加えることができる。
【0239】
図43A~43Dは、流量センサのチャネル内に透析チューブを完全に着座させるのを助けるためにカセット(例えば、
図42Bの係合セクション4222、4224、および4226)の係合セクションに依存するチューブ取り付け構成の実施形態を示す。
図43Aを参照すると、係合セクション4322は、チューブ4308を流量センサ4330の溝またはチャネルに押し込むように構成された当接リッジ4328を含むことができる。
図43Bは、センサに設置されたチューブを示す。流量センサは、チューブがセンサのチャネルに押し付けられるときにいくらかの移動を可能にするコンプライアント取り付け部4332に取り付けることができる。1つのセンサのみが示されているが、好ましい実施形態は、1つが動脈ライン上にあり、1つが静脈ライン上にある2つ以上のそのようなセンサを含むことを理解されたい。流路の構成により、これらのセンサは互いに直接隣接して配置されてもよく、いくつかの実施形態では、2つの別個の流路および単一のコンプライアント取り付け部を有する単一のセンサブロック内に含まれてもよい。システムのコンプライアンスは、
図43C~43Dに示すように、係合セクション自体にあってもよいことも理解されよう。この例では、コンプライアント取り付け部4332は、チューブおよび流量センサチャネルと整列するように構成されたチャネル内に配置される。代表的なコイルばねが示されているが、コンプライアンス源は、ねじりばね、片持ち構造、またはコンプライアンスを提供するための当技術分野で知られている他の構造であってもよい。
【0240】
図44は、カセットの係合セクション4422に依存するピンチ弁機構4402の一実施形態を示す。なお、この図は、前述の図から90度回転したものである。リニアアクチュエータまたはソレノイド4404は、小さい方のクラムシェルセクションに溶接されたチューブ4408に対して駆動される第1ピンチ機構4406に接続することができ、大きい方のクラムシェルセクションの係合セクション4422の下に位置する。第2ピンチ機構4408は、大きい方のクラムシェルセクションの係合セクション上に配置されている。2つのピンチ機構は、対向するウェッジ、対向するラウンド、オフセットウェッジ、オフセットラウンド、平坦面へのウェッジ、平坦面へのラウンド、または当技術分野で知られている任意の他の構成などの任意の構成であってもよい。
【0241】
従来の血液透析装置では、血液チューブセットは手動で接続され、複雑な一連のポンプ、弁、およびセンサを介して繋がれる。このアプローチは、血液チューブセットがいずれの追加の支持構造をも有さないため経済的であるが、使用者の不便さは、典型的には訓練された使用者のみが設定を実行できるようなものである。上述のように、本開示の透析システムは、血液チューブセットを透析装置に接続するためにカートリッジまたはカセットベースの手法を使用し、血液または患者チューブセットは、その後、血液透析装置のカセットインターフェースパネルの上に配置されるカセットを通って事前に送られる。この動きは、すべての弁、センサ、およびポンプインターフェースを事前に整列させて作成し、これにより使用者の利便性が向上し、集団のあまり熟練していないメンバーによるセットアップを可能にするのに寄与する。しかし、この手法では、多くのインターフェースを形成する必要があるため、設置時の力が高くなり得る。本開示は、設置に必要な設置時の力を低減し、設置および設定プロセスをさらに改善するための追加の解決策を提供する。
【0242】
図45を参照すると、本明細書に記載の透析システムは、カートリッジまたはカセット型の血液チューブセット4501の設置を支援するように構成された機械支援ラッチ機構を含むことができる。一連のラッチまたは枢動ヒンジ4502は、透析装置のカセットインターフェースパネル4504の周囲(または中央の特徴部)に配置することができる。図示の実施形態では、これらのラッチはすべて、カセットインターフェースパネルの背後に位置する移動プレート4506に接続されており、これにより、これらのラッチは、パネルの平面に対して垂直に一斉に出入りすることができる。他の実施形態では、これらのラッチは互いに接続されていないが、同じ動きを行う能力を有する。移動プレート4506は、電気機械式リニアアクチュエータなどのリニアアクチュエータ4508に接続することができるが、手動機構またはばね式機構などの直線運動をもたらすように構成された他の機構も考慮することができる。
図45に示すように、ラッチは、センサ、ポンプおよび弁などのカートリッジ用のインターフェース点4512と、任意選択的に位置合わせ特徴部4514とを含む固定プレート4510の開口部を通って突出することができる。パネル上のインターフェース点4512は、チューブなどのカートリッジ側インターフェース点4516と整列することができ、位置合わせ特徴部4514は、対応するカートリッジ側位置合わせ特徴部4518と整列するように構成することができる。
【0243】
図示の実施形態では、ラッチは点を中心に枢動することができ、枢動運動はねじりばねまたは他の機構で付勢され、それにより設置中にカートリッジを変位させて通過させ、次いでカートリッジが保持されるように定位置に枢動することができる。さらに、ラッチは、移動プレートの特定の変位した位置において、ラッチを付勢トルクに対して枢動させるように固定プレートに取り付けられたローラ4522と係合するランプ特徴部4520を備え、ラッチが効果的に「開いて」、ラッチによって保持されていたカートリッジを解放する。
【0244】
透析システムのカセットインターフェースパネル4604上にセットされたカセット4601またはカートリッジベースのチューブの装填および取り出しが、
図46A~46Dに示されている。
図46Aは、ラッチ4602に挿入される前のカートリッジまたはカセットを示す。使用者は、カートリッジをラッチ4602内に配置することができ、ラッチは、カートリッジが着座することを可能にするために枢動し、使用者からの最小限の力を必要とする。
図46Bは、ラッチ内に着座したカートリッジを示す。(高い反力を有し得る)例えばセンサと患者チューブとの間のカートリッジインターフェースのいずれも、この時点では完全には形成されないことに留意されたい。
【0245】
図46Cを参照すると、カートリッジがラッチ内部に着座すると、リニアアクチュエータ4608(または他の機構)は、移動プレート4606、したがってカセットインターフェースパネル4604を完全係合位置または着座位置に移動させるように構成される。
図46Cに示すように、完全着座位置では、カセット患者チューブは、対応するセンサ内に完全に設置され、パネルの位置合わせ特徴部は、カセット側位置合わせ特徴部と完全に位置合わせされ、その内部に着座する。システムは、カートリッジがラッチに押し付けられた場合、またはラッチに押し付けられたときに、機械に知らせるためのセンサまたは検出器を備えてもよい。使用者は、ボタン(例えば、グラフィックユーザインターフェース上で)によりこのステップに関与することができ、あるいは機械は、カートリッジが設置されたことを検出するとすぐにこの機能に自動的に関与してもよい。この「係合」位置では、すべてのインターフェースが完全に形成され、これを達成するのに必要な力がリニアアクチュエータによって供給される。システムは、移動プレートが移動するまでインターフェースを完全に生成するのを防止するために、カートリッジが内側に移動することができる距離を制限する特徴部をさらに備えてもよい。
【0246】
「係合」位置に入った後、カートリッジをプライミングすることができ、透析治療を行うことができる。治療の終わりに、カートリッジを外す必要があるとき、移動プレートは、リニアアクチュエータによって反対方向に「アンロード」位置に作動させることができる。この位置では、ラッチのランプ特徴部4620は、固定プレートに接続されたローラ4622と係合するように構成される。この動作は、ラッチをそれらのねじりバイアスに対して枢動させ、使用者がカートリッジまたはカセットを取り外すことを可能にする。ローラ/ランプ構成は、同様に機能する他の機械的装置の代わりに使用できることを理解されたい。移動プレートは、移動プレートが外側に移動するときにカートリッジをそのインターフェース点から押し出すのに役立つカートリッジの内面に載せる特徴部をさらに備えてもよい。
【0247】
上記の
図35A~
図35Bの実施形態は、透析液の供給源に透析器を取り付けるためのハンセン型コネクタについて説明した。これらのコネクタは、治療後に体外回路からプライミング流体を除去するため、および/または治療前に透析器または透析器ラインを洗浄または消毒するための新しい技術をさらに容易にすることができる。
図47Aは、透析器4704に接続された透析システムの体外回路4702の概略図を示す。図示のように、体外回路の静脈ラインおよび動脈ラインは、ユニオンジョイント4707と一緒に結合される。ハンセン型コネクタ4706は、透析器を新鮮な透析液の供給源に連結し、使用済みの透析液をドレインに除去するための流体経路を設けることができる。ポンプ4709および4711は、新しい透析液を透析器に供給し、費やされたまたは使用した透析液をドレインに除去するように構成される。
【0248】
図47Aは、透析器ラインを洗浄し、および/または体外回路からプライミング流体を除去するように構成された洗浄/排出経路4708をさらに示す。洗浄/排出経路4708は、排出シャント4714に流体結合された第1のコネクタ4710および第2のコネクタ4712を含むことができる。排液ポンプ4716は、排出シャント4714に流体を引き込み、第1および/または第2のコネクタを介してドレインを通って排出するように構成することができる。洗浄/排出経路4708は、任意選択的に、流体が第2コネクタ4712を単一方向にのみ通過することを可能にするように構成された一方向弁4718を含むことができる。
【0249】
図47Bは、ハンセン型コネクタ4706が第1および第2のコネクタ4710および4712に接続されて、新しい透析液の供給源からドレインへの連続的な流体経路を形成する、洗浄/排出経路4708の第1の構成を示す。排出シャント4714は、コネクタ4710および4712から分岐する。この構成は、透析液ラインをすすぎまたは消毒するために使用することができる。図示の流体回路全体の消毒/水洗を可能にするために、ポンプ4709、4711、および4716を介して、ラインを通して流体の流れを作り出すことができる。
【0250】
図47Cは、体外回路からプライミング流体を除去するように構成された洗浄/排出経路4708を示す。この構成では、体外回路のユニオンジョイント4707は、洗浄/排出経路4708の第1のコネクタ4710に接続されている。第2のコネクタ4712は、他のいずれかのラインに取り付けられていなくてもよく、一方向弁4718は、流体が第2のコネクタから漏れるのを防止することができる。図示のように、排出ポンプ4716は、体外回路から第1コネクタ4710を介して洗浄/排出経路4708に生理食塩水またはプライミング流体を引き込み、ドレインを通して流体を除去するように動作することができる。いくつかの実施形態では、透析システムの血液ポンプを使用して、排出ポンプ4716と連携して前方または後方のいずれかに作動させて、プライミング流体を体外回路からドレインに排出させることができる。プライムの廃棄が完了すると、動脈ラインおよび静脈ラインをユニオンジョイント4707から離し、患者の血管のアクセス部に取り付けて、透析治療を開始することができる。処理が完了すると、ハンセン型コネクタ4706をコネクタ4710および4712に戻すことができ、これにより上述のようにすすぎまたは消毒経路が自動的に形成される。
【0251】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、特許請求の範囲または請求される可能性のある発明の範囲の制限としてではなく、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されるある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実装することもできる。さらに、ある特定の組み合わせで作用するものとして特徴を上記で説明し、最初にそのように特許請求する場合さえもあるが、場合によっては、特許請求される組み合わせからの1つ以上の特徴を、特許請求される組み合わせから削除することができ、特許請求される組み合わせはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションに向けられ得る。同様に、操作は図面に特定の順序で描かれているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような操作を示された特定の順序または順番で実行すること、またはすべての説明された操作を実行することを要求するものとして理解されるべきではない。いくつかの例と実装形態のみが開示されている。開示された内容に基づいて、説明した例と実装形態、および他の実装形態に対する変形、修正、および拡張を行うことができる。
【0252】
本発明に関するさらなる詳細に関して、材料および製造技術は、当業者のレベルの範囲内で使用することができる。このことは、一般的または論理的に利用される追加の動作という観点から、本発明の方法がベースの態様に関しても当てはまり得る。また、記載された本発明の変形のいずれかの任意選択の特徴は、独立して、または本明細書に記載された特徴のいずれか1つ以上と組み合わせて記載および特許請求され得ることが企図される。同様に、単数形の項目への言及は、同じ項目が複数存在し得ることを含んでいる。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「および」、「前記」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。特許請求の範囲は、任意選択の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙、または「負」の限定の使用に関連して、「単独で」、「のみ」などのような排他的な用語を使用するための先行詞としての役割を果たすことを意図している。本明細書で他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の幅は、主題の特定によって限定されるものではなく、むしろ使用される特許請求の範囲の用語の明白な意味によってのみ限定される。