(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】硬化性感圧接着剤組成物、硬化性感圧接着テープ、及びバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
C09J 133/14 20060101AFI20241101BHJP
C09J 133/02 20060101ALI20241101BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20241101BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241101BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241101BHJP
C09J 7/26 20180101ALI20241101BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20241101BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20241101BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20241101BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20241101BHJP
H01M 50/249 20210101ALN20241101BHJP
【FI】
C09J133/14
C09J133/02
C09J163/00
C09J11/06
C09J7/38
C09J7/26
H01M50/293
H01M50/264
H01M50/262 P
H01M50/209
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2021570269
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 IB2020054726
(87)【国際公開番号】W WO2020240343
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-18
(31)【優先権主張番号】201910455167.X
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201920787826.5
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヅェン シアン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ヘン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ヅァン,エン ヅォン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】グアン,ヅェン
(72)【発明者】
【氏名】パン,ルイ
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143352(JP,A)
【文献】特開平10-008001(JP,A)
【文献】特表平08-511569(JP,A)
【文献】国際公開第2017/117163(WO,A1)
【文献】特開平04-189887(JP,A)
【文献】特表2018-536967(JP,A)
【文献】特表2019-532482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 133/14
C09J 133/02
C09J 163/00
C09J 11/06
C09J 7/38
C09J 7/26
H01M 50/293
H01M 50/264
H01M 50/262
H01M 50/209
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
30重量部~65重量部の
、エポキシ基、カルボキシル基、又はヒドロキシル基を有するポリアクリレートと、
30重量部~50重量部の液体エポキシ樹脂と、
5重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、
0.3重量部~5重量部の
ポリオールと、
0.02重量部~3重量部の
カチオン性光開始剤と、を含む、硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記
ポリアクリレートの含有量が30重量部~50重量部である、請求項1に記載の硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項3】
前記液体エポキシ樹脂が、176g/当量~330g/当量のエポキシ当量であることにより特徴付けられ、前記固体エポキシ樹脂が、450g/当量~800g/当量のエポキシ当量であることにより特徴付けられる、請求項1に記載の硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項4】
下記:
前記液体エポキシ樹脂が、30重量部~40重量部の量で存在する、
前記固体エポキシ樹脂が、10重量部~20重量部の量で存在する、
前記
ポリオールが、1重量部~3重量部の量で存在する
前記
カチオン性光開始剤が、1重量部~2重量部の量で存在する
の1つ以上により特徴付けられる、請求項1に記載の硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項5】
0.05重量部~1重量部の量で存在するエポキシシランカップリング剤を更に含む、請求項1に記載の硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項6】
30重量部~50重量部の前記
ポリアクリレートと、
30重量部~40重量部の前記液体エポキシ樹脂と、
10重量部~20重量部の前記固体エポキシ樹脂と、
1重量部~3重量部の前記
ポリオールと、
1重量部~2重量部の前記
カチオン性光開始剤と、
0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤と、を含む、請求項1に記載の硬化性感圧接着剤組成物。
【請求項7】
少なくとも1つの、請求項1~
6のいずれか一項に記載の硬化性感圧接着剤組成物の層を有し、前記硬化性感圧接着剤組成物は硬化した状態にある、感圧接着テープ。
【請求項8】
電気絶縁層をさらに有し、前記硬化した状態にある硬化性感圧接着剤組成物の層が、前記電気絶縁層の片側又は両側において、前記電気絶縁層と接触している、請求項
7に記載の感圧接着テープ。
【請求項9】
前記電気絶縁層が発泡体層である、請求項
8に記載の感圧接着テープ。
【請求項10】
前記発泡体層が微多孔性ポリプロピレン層である、請求項
9に記載の感圧接着テープ。
【請求項11】
少なくとも1つのセルと、
前記少なくとも1つのセルの外側表面の少なくとも一部に第1の層として設けられた、請求項1~
6のいずれか一項に記載の硬化性感圧接着剤組成物と、
任意の電気絶縁層と、を有し、
前記硬化性感圧接着剤組成物は硬化した状態にあり、
前記電気絶縁層は、存在する場合、前記硬化した状態の硬化性感圧接着剤組成物の第1の層の、前記少なくとも1つのセルの外側表面と反対側の上に設けられる、バッテリーパック。
【請求項12】
前記電気絶縁層を有し、且つ
硬化した状態の前記硬化性感圧接着剤組成物の第2の層を更に有し、
前記硬化した状態の硬化性感圧接着剤組成物の第2の層が、前記電気絶縁層の、前記硬化した状態の硬化性感圧接着剤組成物の第1の層と反対側の上に設けられている、請求項
11に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記硬化した状態の硬化性感圧接着剤組成物の第2の層の、前記電気絶縁層と反対側の上に設けられた第2のセルを更に有する、請求項
12に記載のバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着剤の分野に関し、特に硬化性感圧接着剤組成物、硬化性感圧接着テープ、及び硬化性感圧接着剤組成物を含むバッテリーパックに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドビークル(vehicle)及び純電気ビークルの場合、ビークルバッテリーパックの安定性及び安全性は、極めて重要である。ビークルバッテリーパックでは、バッテリーパックの絶縁部分の信頼性は、その安定性及び安全性に影響を及ぼす重要な要因である。
【0003】
周知のように、自動車の運転環境は複雑であり、高温、高湿度、激しい振動、深刻な衝撃などを有する環境を含み得る。このような複雑な環境又は更には過酷な環境において、バッテリーパックの絶縁部分は、バッテリーパックの絶縁部品又は全ての破損につながり、結果として電池短絡などの安全性の問題を招く恐れがある、破裂及び接合不良の条件に遭遇し得る。
【0004】
ビークルバッテリーパックの場合、現在使用されている絶縁方法は、絶縁のために、バッテリーパックセルを感圧接着テープで包むことである。この解決策は、使用中の利便性及び取り外し後の単純な再組み立てなどの利点を有するが、この解決策はまた、低い接着強度などの欠点を有する。一般に、通常の感圧接着テープの接着強度が1MPa未満であるため、ビークルバッテリーパックに使用される通常の感圧接着テープの信頼性が乏しくなる。加えて、既存の一般的な感圧接着剤がビークルバッテリーパックに適用されると、バブリング、更には反りが接着後に生じる場合があり、これらの欠点は、潜在的な安全性の危険を走行ビークルに引き起こし得る。
【0005】
したがって、ビークルバッテリーパックの安全性能を確保し、改善するために、複雑な環境又は更には過酷な環境において、高い接着強度を有する絶縁材料を提供することが必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、バッテリーパック(ビークルバッテリーパックを含むがこれらに限定されない)に適用して、バッテリーパックの安定性及び安全性を向上させるために、少なくとも良好な接着強度及び良好な反り防止性能を有する、硬化性感圧接着剤組成物及び硬化性感圧接着テープを提供することを目的とする。
【0007】
一態様では、本発明は、30重量部~65重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~50重量部の液体エポキシ樹脂と、5重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、0.3重量部~5重量部のヒドロキシル含有化合物と、0.02重量部~3重量部の光開始剤と、を含む、硬化性感圧接着剤組成物を提供する。
【0008】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、反応性ポリアクリレートは、エポキシ基、カルボキシル基、又はヒドロキシル基を有するポリアクリレートである。
【0009】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、反応性ポリアクリレートの含有量は、30重量部~50重量部である。
【0010】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、液体エポキシ樹脂のエポキシ当量は176g/当量~330g/当量であり、固体エポキシ樹脂のエポキシ当量は450g/当量~800g/当量である。
【0011】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、液体エポキシ樹脂の含有量は、30重量部~40重量部である。
【0012】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、固体エポキシ樹脂の含有量は、10重量部~20重量部である。
【0013】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ヒドロキシル含有化合物はポリオールである。
【0014】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ヒドロキシル含有化合物の含有量は、1重量部~3重量部である。
【0015】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、光開始剤の含有量は、1重量部~2重量部である。
【0016】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着剤組成物は、0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤を更に含む。
【0017】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着剤組成物は、30重量部~50重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~40重量部の液体エポキシ樹脂と、10重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、1重量部~3重量部のヒドロキシル含有化合物と、1重量部~2重量部の光開始剤と、0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤と、を含む。
【0018】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの硬化性感圧接着剤組成物層を含む硬化性感圧接着テープを提供し、硬化性感圧接着剤組成物層は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む。
【0019】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープは、片面硬化性感圧接着テープであり、片面硬化性感圧接着テープは、電気絶縁層と、電気絶縁層の片側に設けられた硬化性感圧接着剤組成物層と、を含む。
【0020】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープは、両面硬化性感圧接着テープであり、両面硬化性感圧接着テープは、電気絶縁層と、電気絶縁層の両側にそれぞれ設けられた硬化性感圧接着剤組成物層と、を含む。
【0021】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、電気絶縁層は発泡体層を含む。
【0022】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、発泡体層は微多孔性ポリプロピレン層(microporous polypropylene layer)である。
【0023】
別の態様では、本発明は、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、を含む、バッテリーパックを提供する。
【0024】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、を含む。
【0025】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、を含む。
【0026】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、第2のセルであって、第2のセルが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられているセルと、を含む。
【0027】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、バッテリーパックサイドプレートであって、バッテリーパックサイドプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、バッテリーパックサイドプレートと、を含む。
【0028】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、バッテリーパックエンドプレートであって、バッテリーパックエンドプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、バッテリーパックエンドプレートと、を含む。
【0029】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、バッテリーパックボトムプレートであって、バッテリーパックボトムプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、バッテリーパックボトムプレートと、を含む。
【0030】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、バッテリーパックは、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、第1の電気絶縁層であって、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルから離れた側に設けられている層と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、第2の電気絶縁層であって、第2の電気絶縁層が、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている層と、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第3の硬化性感圧接着剤組成物層が、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第2の電気絶縁層の片側であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている層と、第2のセルであって、第2のセルが、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第2の電気絶縁層から離れた側に設けられているセルと、を含む。
【0031】
接着後、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物及び硬化性感圧接着テープは、良好な接着強度、良好な反り防止性能、及び比較的広いUVエネルギープロセスウィンドウを有する。加えて、本発明によって提供されるバッテリーパックは、良好な安全性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供される硬化性感圧接着テープの断面図である。
【
図1B】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供される硬化性感圧接着テープの断面図である。
【
図1C】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供される硬化性感圧接着テープの断面図である。
【
図1D】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供される硬化性感圧接着テープの断面図である。
【
図2】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供されるバッテリーパックの三次元立体概略図である。
【
図3】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供されるバッテリーパックの断面概略図である。
【
図4】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供されるバッテリーパックの断面概略図である。
【
図5】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供されるバッテリーパックの断面概略図である。
【
図6】本発明のいくつかの特定の実施形態に従って提供されるバッテリーパックの断面概略図である。
【
図7】
図2に示されるバッテリーパックのx-z断面概略図である(バッテリーパックのボトムプレート75は、
図7には図示されていない)。
【
図8】
図2に示すバッテリーパックのy-z断面概略図である(第1のセル10及び第2のセル50を除いて、バッテリーパックのボトムプレート75も他のセルも
図8には図示されていない)。
【
図9】
図2に示されるバッテリーパックのx-z断面概略図である(バッテリーパックのサイドプレート60は、
図9には図示されていない)。
【
図10】
図2に示すバッテリーパックのy-z断面概略図である(第1のセル10及び第2のセル20を除いて、バッテリーパックのボトムプレート75及びエンドプレート70も、他のセルも
図10には図示されていない)。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、硬化性感圧接着剤組成物及び硬化性感圧接着テープを提供する。硬化性感圧接着剤組成物及び硬化性感圧接着テープは、反応性ポリアクリレート/エポキシハイブリッド系を有し、ここでのエポキシ樹脂の硬化は光開始剤によって開始される。この光開始剤は、紫外線によって誘導され、紫外線源が除去されても、光開始剤は、硬化(いわゆるリビング重合)を終了するために、室温でエポキシ基の反応を開始し続けることができる。ポリアクリレートの反応性により、より高い温度への耐性を生じるように、エポキシ樹脂と相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成することができる。
【0034】
本明細書において、「硬化性感圧接着剤」は、以下の少なくとも2つの特性:(I)接着剤が、室温で最初に粘着性であり、更に加熱されることなく物体の表面に接着することができること、及び(II)物体の表面に接着された後、接着剤は、紫外線、可視光、熱などによって更に化学的に架橋され得ること、によって画定され得る感圧接着剤を指す。
【0035】
本明細書において、「構造用接着剤」とは、1000psi(1MPaは、約145psiに等しい)を超える剪断強度を有する接着剤を指す。
【0036】
本明細書において、「構造強度」は、1000psiを超える剪断強度を指す。
【0037】
本明細書において、「半構造強度」とは、100psiを超えるが1000psi未満の剪断強度を指す。
【0038】
本明細書において、「反り」とは、以下の状況を指す:硬化性感圧接着テープが物体の表面に接着されたとき、硬化後の感圧接着テープの硬化性感圧接着剤層の接着力が、感圧接着テープの基材層(基材層としては、電気絶縁層、バッキング層などを挙げることができるが、これらに限定されない)の内部応力よりも小さい場合、感圧接着テープの基材層を物体の表面から分離させる。
【0039】
本明細書において、「バブリング」とは、以下の状況を指す:硬化性感圧接着テープが物体の表面に接着されたとき、硬化後の感圧接着テープの硬化性感圧接着剤層の接着力が、感圧接着テープの基材層(基材層としては、電気絶縁層、バッキング層などを挙げることができるが、これらに限定されない)の内部応力よりも小さい場合、硬化した感圧接着剤層が引き伸ばされて、感圧接着テープの基材層と物体の接着面との間に間隙を作り出す。
【0040】
本発明において引用されるパーセント、比、部、濃度等は、別途指定されている場合を除き、全て重量基準である。
【0041】
硬化性感圧接着剤組成物及び硬化性感圧接着テープについて、以下により詳細に説明する。
【0042】
一態様では、本発明は、30重量部~65重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~50重量部の液体エポキシ樹脂と、5重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、0.3重量部~5重量部のヒドロキシル含有化合物と、0.02重量部~3重量部の光開始剤と、を含む、硬化性感圧接着剤組成物を提供する。
【0043】
a)反応性ポリアクリレート
本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物は、反応性ポリアクリレート、すなわち、反応性官能基を担持するポリアクリレートを含む。一般に、反応性官能基は、エポキシ基、あるいはカルボキシル若しくはヒドロキシルなどの基であってもよい。
【0044】
本明細書において、ポリアクリレートは、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのホモポリマー、又は少なくとも1つのポリアクリレート若しくはポリメタクリレートブロックを含有するコポリマーを含む。例えば、ポリアクリレートは、C1~C10アルキルポリアクリレート、C3~C8シクロアルキルポリアクリレート、C6~C12アリールポリアクリレート、C1~C10アルキルポリメタクリレート、C3~C8シクロアルキルポリメタクリレート、又はC6~C12アリールポリメタクリレートを含んでもよく、ポリアクリレートはまた、C1~C10アルキルポリアクリレート、C3~C8シクロアルキルポリアクリレート、C6~C12アリールポリアクリレート、C1~C10アルキルポリアクリレート、C3~C8シクロアルキルポリメタクリレート、又はC6~C12アリールポリメタクリレートの少なくとも1つのブロックのコポリマーを含んでもよく、ここではC1~C10アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC6~C12アリール基が、1つ又は複数の置換基で置換されてもよく、置換基が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びエポキシ基からなる群から独立して選択されてもよく、置換基はまた、ヒドロキシル基、カルボキシル基、又はエポキシ基によって任意に置換されたC3~C8シクロアルキル基、C6~C12アリール基、又はC6~C12アリールオキシ基であってもよい。
【0045】
反応性官能基を担持する反応性ポリアクリレートは、1つ又は複数のアクリレートモノマーのフリーラジカル共重合又は共重合によって調製され得る。これらのアクリレートモノマーはまた、エポキシ樹脂との良好な相溶性を有するべきである。加えて、アクリレートは、1つ又は複数のエポキシ基、カルボキシル基、又はヒドロキシル基を更に含んでもよい。
【0046】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、反応性ポリアクリレートは、C1~C10アルキルアクリレート、C3~C8シクロアルキルアクリレート、C6~C12アリールアクリレート、C1~C10アルキルメタクリレート、C3~C8シクロアルキルメタクリレート、及びC6~C12アリールメタクリレートからなる群から選択される1つ又は複数のモノマーのフリーラジカル重合又は共重合によって得ることができる。C1~C10アルキル基、C3~C8シクロアルキル基、及びC6~C12アリール基は、1つ又は複数の置換基によって置換されてもよい。置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びエポキシ基からなる群から独立して選択されてもよく、置換基はまた、ヒドロキシル基、カルボキシル基、及びエポキシ基によって任意に置換されたC3~C8シクロアルキル基、C6~C12アリール基、又はC6~C12アリールオキシ基であってもよい。C1~C10アルキルアクリレートの例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、及びヘキシルアクリレートからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。C1~C10アルキルメタクリレートの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、又はヘキシルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。C3~C8シクロアルキルアクリレートの例としては、シクロプロピルアクリレート、シクロブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、又はシクロヘキシルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。C3~C8シクロアルキルメタクリレートの例としては、シクロプロピルメタクリレート、シクロブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、又はシクロヘキシルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。C6~C12アリールアクリレートの例としては、フェニルアクリレート、又はナフチルアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。C6~C12アリールメタクリレートの例としては、フェニルメタクリレート、又はナフチルメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、C1~C10アルキル基は、好ましくはC1~C6アルキル基であり、C3~C8シクロアルキル基は、好ましくはC3~C6シクロアルキル基であり、C6~C12アリール基は、好ましくはC6~C10アリール基である。
【0047】
アクリレートモノマーの選択可能な例としては、ブチルアクリレート(BA)、メチルアクリレート(MA)、フェノキシエチルアクリレート(PEA)、又は(2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル)アクリレート(HPPA)などが挙げられるが、これらに限定されない。エポキシ基を担持する反応性モノマーの選択可能な例としては、グリシジルメタクリレート(GMA)、又は(3,4-エポキシ-シクロヘキシルメチル)アクリレート(ECA)などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの好ましい実施形態によれば、HPPAは、エポキシ樹脂との良好な相溶性のためにモノマーとして選択され得る。
【0048】
100重量%のポリアクリレートに基づいて、モノマーと、エポキシ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基などの反応基との比率は、1.5重量%~30重量%、好ましくは2重量%~25重量%、より好ましくは3重量%~20重量%である。エポキシ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基などの反応性基を有するモノマーの含有量が過度に低い場合、相互貫入ポリマーネットワーク(IPN)を形成することが困難であり、その結果、硬化性感圧接着剤組成物の温度耐性に影響を与え、エポキシ基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基などの反応性基を有するモノマーの含有量が過度に高い場合、硬化性感圧接着剤組成物の架橋密度は過度に高くなり、より高い脆性をもたらす場合がある。
【0049】
反応性官能基を担持する上記反応性ポリアクリレートは、従来の溶媒フリーラジカル重合法によって合成することができる。使用され得る溶媒としては、エステル、アルコール、ケトン、カルボン酸、脂肪族炭化水素、シクラン、ハロアルカン、又は芳香族炭化水素などが挙げられるが、これらに限定されず、溶媒の例としては、酢酸エチル、n-ブタノール、アセトン、酢酸、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘプタン、シクロヘキサン、1-クロロブタン、1-ブロモブタン、及び1-ヨードブタンなどからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。反応性ポリアクリレートの合成に使用され得る開始剤としては、アゾ開始剤及び過酸化物開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な開始剤としては、アゾジイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソヘプトニトリル(ABVN)、2,2’-アゾ-ビス(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、ベンゾイルペルオキシド(BPO)、又は過硫酸塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物中に反応性官能基を担持する反応性ポリアクリレートの含有量は、30重量部~65重量部、好ましくは30重量部~60重量部、より好ましくは30重量部~50重量部である。反応性ポリアクリレートの含有量が上記範囲内である場合、反応性ポリアクリレートは、エポキシ樹脂との良好な相溶性を有することができ、この含有量の反応性ポリアクリレートを含有する硬化性感圧接着剤組成物は、良好な最終接着強度だけでなく、硬化後も良好な強靭性(toughness)を有する。
【0051】
硬化性感圧接着剤組成物中の反応性ポリアクリレートの含有量が過度に高い場合、それに応じてエポキシ樹脂の含有量が過度に低く、硬化した絶縁感圧接着剤の接着強度が不良となる場合があることを指摘する必要がある。硬化性感圧接着剤組成物中の反応性ポリアクリレートの含有量が過度に低い場合、硬化した絶縁性感圧接着剤の強靭性は良好でない場合がある。
【0052】
b)エポキシ樹脂
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物は、少なくとも2つのエポキシ樹脂を含む。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、エポキシ樹脂の分子は、2つ以上のエポキシ基を含有する。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ジアリールビスフェノールA、及びテトラメチルビスフェノールFなどのポリフェノールの、エピクロロヒドリンとの反応によって得られる周知のエポキシ樹脂、例えば、グリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂、及びエポキシ化ポリオレフィンなどを使用することができる。
【0053】
本発明におけるエポキシ樹脂は、液体エポキシ樹脂と固体エポキシ樹脂との混合物である。本発明において、液体エポキシ樹脂とは、室温で液体のエポキシ樹脂を指す。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、液体エポキシ樹脂は、176g/当量~330g/当量のエポキシ当量を有する液体エポキシ樹脂であってもよい。例えば、液体エポキシ樹脂の例としては、Kunshan(Kudko)Chemical(Korea)から市販されているEPOKUKDO YD128(エポキシ当量:約187)、Taiwan Nanya Resin Co.,Ltd.から市販されているNEPL-128(エポキシ当量:約184~190)、Dow Chemical Company製のDER331(エポキシ当量:約182~192)、Blue Star Material(Wuxi)Co.,Ltd.製のE-51(エポキシ当量:約185~210)、又はShell Oil Company製のEPON 828(エポキシ当量:約185~192)などの、ビスフェノールAから誘導される液体エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。固体エポキシ樹脂とは、室温で固体であるエポキシ樹脂を指す。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、固体エポキシ樹脂は、450g/当量~800g/当量のエポキシ当量を有する固体エポキシ樹脂であってもよい。例えば、固体エポキシ樹脂の例としては、Taiwan Nanya Resin Co.,Ltd.から市販されているNEPS-901(エポキシ当量:約450~500)、Kukdo Chemical(Kunshan)Co.,Ltd.,Koreaから市販されているEPOKUKDO YD011(エポキシ当量:約450~500)、Blue Star Material(Wuxi)Co.,Ltd.から市販されているE-20(エポキシ当量:約440~550)、Dow Chemical Companyから市販されているDER661(エポキシ当量:約500~560)、又はShell Oil Companyから市販されているEPON1001(エポキシ当量:約525~550)などの、ビスフェノールAから誘導される固体エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
更に、本発明者が見出したように、エポキシ樹脂成分が液体エポキシ樹脂と固体エポキシ樹脂との混合物であると、組成物中の液体エポキシ樹脂の量は、30重量部~50重量部、好ましくは30重量部~40重量部であり、また、固体エポキシ樹脂の量は、5重量部~20重量部、好ましくは10重量部~20重量部であり、接着強度を明らかに低下させることなく、2つのエポキシ樹脂の相乗効果により、反りを効果的に防止することができる。
【0055】
また本発明者が見出したように、エポキシ樹脂成分が固体エポキシ樹脂のみからなると、硬化感圧接着剤の接着強度が低く、エポキシ樹脂成分が液体エポキシ樹脂のみからなると、硬化感圧接着剤の接着強度は高くなるが、反りの問題が生じる。
【0056】
また本発明者が見出したように、エポキシ樹脂成分の総量が過度に小さいと、硬化感圧接着剤の接着強度が不良となる。エポキシ樹脂成分の総量が過度に大きければ、硬化した感圧接着剤の強靭性は良好ではない。すなわち、硬化した感圧接着剤は脆性である。
【0057】
加えて、硬化性感圧接着剤組成物中の固体エポキシ樹脂の含有量が過度に低いと、硬化した絶縁性感圧接着剤の反り防止性能が不十分であり、硬化性感圧接着剤組成物中の固体エポキシ樹脂の含有量が過度に高いと、硬化した絶縁性感圧接着剤の接着強度が不十分となる。硬化性感圧接着剤組成物中の液体エポキシ樹脂の含有量が過度に低いと、硬化した感圧接着剤の接着強度が不十分であり、硬化した感圧接着剤組成物中の液体エポキシ樹脂の含有量が過度に高いと、硬化した感圧接着剤は、バブリング及び反りを起こしやすい。
【0058】
c)ヒドロキシル含有化合物
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物は、ヒドロキシル含有化合物を含む。ヒドロキシル含有化合物は、エーテル又はエステル誘導体を含む。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ヒドロキシル含有化合物はポリオールである。ヒドロキシル含有化合物は、エポキシ基がカチオン機構に従って反応するとき、連鎖移動剤として作用する。
【0059】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエーテルポリオールとしては、ポリエーテルトリオール及びポリエーテルジオールからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルポリオールとしては、ポリエステルトリオール、ポリエステルジオール、及びビスフェノールAポリオールからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ポリオールは、Dow Chemical Company,U.S.から市販されているTONE 0230ポリオール、VORANOL 230~238、及びVaronol 2070、並びにSeppic Company,Franceから市販されているDianol 285などから選択されてもよい。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ポリオールは、好ましくは、700の分子量を有するポリエーテルトリオールである、Dow Chemical Company,U.S.から市販されているVaronol 2070である。
【0060】
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物において、ポリオールの含有量は、一般に0.3重量部~5重量部、好ましくは2重量部~4重量部、より好ましくは1重量部~3重量部である。ポリオールの含有量が過度に低い場合、硬化性感圧接着剤組成物のUV誘導硬化速度が遅くなり、硬化した接着テープが比較的脆く、ポリオールの含有量が過度に高い場合、硬化した硬化性感圧接着剤組成物が比較的柔らかく、剪断強度が不十分である。
【0061】
d)光開始剤
反応性官能基を担持する反応性ポリアクリレート/エポキシハイブリッド系の硬化性感圧接着剤組成物中の光開始剤の量は非常に小さいが、光開始剤は、硬化性感圧接着剤組成物の硬化速度及び貯蔵安定性に大きな影響を及ぼす。
【0062】
光開始剤は、カチオン性光開始剤、又は少なくとも1つのカチオン性光開始剤と少なくとも1つのフリーラジカル光開始剤との混合物のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0063】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、カチオン性光開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンチモン酸塩、及び鉄アレン(iron arene)からなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、カチオン性光開始剤の具体例としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、アルキルスルホニウム塩、鉄アレン塩、スルホニルオキシケトン、トリアリールシロキシエーテル、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩、及びヘキサフルオロアンチモン酸塩からなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、カチオン性光開始剤は、好ましくはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩又はヘキサフルオロアンチモン酸塩である。
【0064】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、フリーラジカル光開始剤としては、ベンゾイン及び誘導体、ベンジル及び誘導体、アルキルベンゾフェノン及び誘導体、並びにアシルホスフィンオキシドからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ベンゾイン及び誘導体としては、ベンゾイン、ベンゾインジメチルエーテル、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンゾインブチルエーテルからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、ベンジル及び誘導体としては、ジフェニルエタノン及びα,α-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノンからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、アルキルベンゾフェノンとしては、α,α-ジエトキシアセトフェノン、α-ヒドロキシアルキルベンゼンケトン、及びα-アミノアルキルベンゼンケトンからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、アシルホスフィンオキシドとしては、アロイルホスフィンオキシド及びビス(ベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物において、光開始剤の含有量は、0.02重量部~3重量部、好ましくは0.5重量部~2.5重量部、より好ましくは1重量部~2重量部である。一般的に言えば、硬化性感圧接着剤組成物の硬化速度は、光開始剤の含有量の増加と共に増加する。光開始剤の含有量が過度に低いと、硬化中のUVの必要な照射エネルギーは高くなり、硬化速度は過度に低い。逆に、光開始剤の含有量が過度に高いと、硬化中のUVの必要な照射エネルギーは低く、硬化速度は過度に高く、硬化性感圧接着剤組成物は、太陽光又は蛍光灯光(少量のUV光を含む)下でさえ硬化する場合があり、室温での硬化性感圧接着剤組成物の貯蔵安定性に影響を及ぼし得る。
【0066】
e)エポキシシランカップリング剤
本発明者が更に予想外に見出したように、本発明によって提供されるUV誘導硬化性感圧接着剤組成物に適切な量のエポキシシランカップリング剤を添加することにより、UV硬化中のUV励起エネルギープロセスウィンドウを効果的に広げることができる。
【0067】
UVエネルギーはまた、単位面積上に適用されるUV放射エネルギーを指すUV照射線量と呼ばれてもよい。UVエネルギーの単位は、通常、mJ/cm2である。
【0068】
従来の経験によれば、感圧接着剤の強度はUVエネルギーに敏感であり、接着剤は、狭いUVエネルギープロセスウィンドウにおいてのみ十分な強度に到達することができる。UV光がUV誘導硬化性感圧接着剤組成物に適用される場合、UVエネルギーは、特定の範囲、すなわちUV励起エネルギープロセスウィンドウ内になければならない。UVエネルギーが過度に低いと、硬化性感圧接着剤組成物の硬化を完全に誘導するのに十分ではない。特に、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中のエポキシ樹脂の含有量は比較的高い。この場合、剥離力はUVエネルギーに対して非常に敏感である。UV強度が過度に高い場合、硬化した感圧接着剤の剥離力は過度に小さくなる。したがって、UV強度は、硬化プロセスにおいて制限されるべきである。このような制限は、プロセス上の厳しい要件を課すものであり、迅速な硬化を促進するものではない。しかしながら、本発明者が予想外に見出したように、本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、エポキシ官能基シランカップリング剤を硬化性感圧接着剤組成物に添加することにより、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物の他の成分との相乗効果を可能にし、UV励起エネルギープロセスウィンドウの上方エネルギー限界を大幅に向上させることができる。
【0069】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、エポキシ官能基シランカップリング剤は、エトキシル又はメトキシルなどの加水分解性基だけでなく、エポキシ基と反応可能なシランも含有する。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、エポキシ官能基シランカップリング剤は、Nanjing Shuguang Chemical Group Co.,Ltd.から市販されているKH560若しくはKH561、又はShin-Etsu Chemicalから市販されているKBM303であってもよい。
【0070】
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中にUV誘導硬化性エポキシシランカップリング剤が存在しないと、組成物のUV励起エネルギープロセスウィンドウは狭い。例えば、本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着剤組成物がエポキシシランカップリング剤を含まない場合、最大2000mJ/cm2のUVエネルギーを適用すると、硬化感圧接着剤の剥離力が大幅に低下するであろう。硬化性感圧接着剤組成物がエポキシシランカップリング剤を含む場合、UV励起エネルギープロセスウィンドウは大幅に増加することができる。例えば、本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、UV励起エネルギープロセスウィンドウは、5000mJ/cm2の高さであってもよい。このような高いUV励起エネルギーによる照射下でも、硬化感圧接着剤の剥離力は依然として高い。
【0071】
したがって、より広いUV励起エネルギープロセスウィンドウは、感圧接着剤の誘導硬化のためのプロセス条件を緩和するだけでなく、感圧接着剤の硬化プロセスも加速することができることが分かる。
【0072】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの硬化性感圧接着剤組成物層を含む硬化性感圧接着テープを提供する。硬化性感圧接着剤組成物層は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む。
【0073】
接着後、本発明により提供される硬化性感圧接着テープは、構造強度又は半構造強度を有し、縁部では反らない。加えて、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物が、適切な量のエポキシシランカップリング剤を含むと、調製された硬化性感圧接着テープは、比較的広いUV励起エネルギープロセスウィンドウで硬化され得る。
【0074】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープは、片面硬化性感圧接着テープであってもよい。
図1Aを参照すると、片面硬化性感圧接着テープは、電気絶縁層(「基材層」とも呼ばれる)2と、電気絶縁層2の片側に設けられた硬化性感圧接着剤組成物層1とを含む。
【0075】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープは、両面硬化性感圧接着テープであってもよい。
図1Bを参照すると、両面硬化性感圧接着テープは、電気絶縁層2と、電気絶縁層2の両方の側にそれぞれ設けられた硬化性感圧接着剤組成物層1とを含む。
【0076】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図1C又は
図1Dを参照すると、硬化性感圧接着テープは、剥離層3を更に含んでもよい。
【0077】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープの電気絶縁層は、発泡体層であってもよい。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、発泡体層は、微多孔性ポリプロピレン層であってもよい。
【0078】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、電気絶縁層は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、及びポリオレフィンからなる群から選択される1つ又は複数によって形成されるフィルムなどの、当該分野において一般的に使用される任意のものであってもよい。電気絶縁層の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルムなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、電気絶縁層の厚さは、0.002mm~2mm、好ましくは0.005mm~1mm、より好ましくは10μm~500μmであり得る。
【0079】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、電気絶縁層は発泡体層である。電気絶縁層が発泡体層であると、硬化性感圧接着テープは、弾性及び変形性を有する。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含有する層は、両面接着テープを形成するように、発泡体層の両面にそれぞれ設けられてもよい。バッテリーパックに使用されるとき、そのような硬化性感圧接着テープは、高い接着強度を提供し、機械的耐性を組み立てるように適合することができ、これはバッテリーパックの安全性を改善するのに役立つ。
【0080】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、発泡体層は、微多孔性ポリプロピレン層であってもよい。電気絶縁層としての微多孔性ポリプロピレン層の使用は、本発明によって提供される硬化性感圧接着テープに適切な強度及び変形性を更に提供することができる。
【0081】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、本発明によって提供される硬化性感圧接着テープは、本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物を、従来のコーティング法を採用することにより、基材層(例えば、電気絶縁層)上に流動形態でコーティングする工程と、その後の、加熱により溶剤を除去して、特定の厚さの接着フィルムを形成し、硬化性感圧接着テープを得る工程によって調製することができる。
【0082】
硬化性感圧接着剤組成物の過度に高い又は過度に低い粘度は、硬化性感圧接着剤組成物のコーティングの助けとならない。粘度を調整するために、溶媒、例えば、エステル、アルコール、ケトン、カルボン酸、脂肪族炭化水素、シクラン、ハロアルカン、芳香族炭化水素などを添加してもよい。溶媒の例としては、酢酸エチル、n-ブタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、ヘプタン、シクロヘキサン、1-クロロブタン、1-ブロモブタン、及び1-ヨードブタンからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
有用なコーティング方法としては、ロールナイフコーティング、コンマ(comma)ロールコーティング、ドラッギングブレードコーティング、逆ロールコーティング、巻線バー(Mayer)コーティング、グラビアロールコーティング、スリット型ダイ押出(Die)コーティングなどが挙げられる。好ましいコーティング方法は、一般的なロールコーティング及びスリット型ダイ押出(Die)コーティングである。
【0084】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、感圧接着剤層の厚さ(乾燥接着剤厚さ)は、15μm~75μmであってもよい。
【0085】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、特定の厚さを有する片面剥離紙又は剥離フィルム片は、接着フィルムの片側であって、電気絶縁層から離れた側に更に設けられてもよい。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化性感圧接着テープは、剥離紙などの剥離層を更に含んでもよい。剥離層は、感圧接着剤層の外側表面と接触する、すなわち、剥離層は、基材と接触している表面と反対側の感圧接着剤層の表面と接触して、感圧接着剤層を保護する。使用中、剥離層を剥がして、使用のために感圧接着剤層を露出させることができる。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、剥離層としては、セロハン、ラミネート紙、ポリエステルフィルム、及びポリプロピレンフィルムからなる群からの1つ又は複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
本発明のいくつかの例によれば、硬化した硬化性感圧接着テープの剪断強度は、半構造強度、すなわち、約0.7MPaに相当する100psi超に達することができる。本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、硬化した硬化性感圧接着テープの剪断強度は、構造強度、すなわち、約6.9MPaに相当する1000psi超に達することができる。
【0087】
別の態様では、本発明は、バッテリーパック(例えば、ビークルバッテリーパック)を提供する。
図2及び
図3を参照すると、バッテリーパックは、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、を含み、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20は、本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む。
【0088】
本発明によって提供される硬化性感圧接着剤組成物は、バッテリーパックのセル(通常は金属製)の表面に適用することができる。本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含むUV硬化型硬化性感圧接着剤組成物層は、バッテリーパックのセルの表面に絶縁材料を接着し、良好な接着強度及び良好な反り防止性能を提供することができ、また、セルの表面に接着された絶縁材料は、高温、高湿度、激しい振動、又は深刻な衝撃などの複雑な条件又は更には過酷な条件下でさえも、接着が破裂したり、又は破損したりしないことを確実にし、バッテリーパックの絶縁不良が発生することを防止し、バッテリーパックの絶縁性、安定性、及び安全性を改善する。
【0089】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図4を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、第1の電気絶縁層30は、第1のセル10の外側表面に安定して強固に接着され、反りなどの接合不良が発生しない。
【0090】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図5を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、必要に応じて、バッテリーパックの他の構成要素は、第2の電気絶縁層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に接着されてもよい。
【0091】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図6を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、第2のセル50であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物総40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、第2のセル50と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、2つのセルを含むバッテリーパックを得ることができ、本発明によって提供される硬化した硬化性感圧接着剤組成物層は、バッテリーパックの2つのセルを安定かつ強固に接着し、2つのセル間に電気絶縁層保護を提供する。加えて、これらの特定の実施形態では、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20、第1の電気絶縁層30、及び硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40を含む構造は、硬化した両面硬化性感圧接着テープの形態で提供されてもよい。すなわち、両面硬化性感圧接着テープは、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20、第1の電気絶縁層30、及び第2の硬化性感圧接着剤組成物層40を含んでもよい。使用中、硬化性感圧接着テープの1つの硬化性感圧接着剤組成物層は、第1のセルの表面に最初に接着されてもよく、次いで、硬化性感圧接着剤組成物層の硬化開始後に、硬化性感圧接着テープの他の硬化性感圧接着剤組成物層は、第2のセルの表面に接着されてもよい。硬化後、2つのセルを安定かつ強固に接着することができ、2つのセルの間に電気絶縁層保護を提供することができる。更に、必要に応じて、これらの特定の実施形態で提供される考え方に従えば、本発明によって提供される硬化した硬化性感圧接着剤組成物層が、バッテリーパックの複数のセルを安定かつ強固に接着し、2つのセル毎に電気絶縁層保護を提供するために使用されてもよい。
【0092】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図7を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、バッテリーパックサイドプレート60であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックサイドプレート60と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、セルとバッテリーパックのサイドプレートとの間に安定かつ強固な接着を提供することができ、セルとサイドプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができる。
【0093】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図8を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、バッテリーパックエンドプレート70であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックエンドプレート70と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、セルとバッテリーパックのエンドプレートとの間に安定かつ強固な接着を提供することができ、セルとエンドプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができる。
【0094】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図9を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、バッテリーパックボトムプレート75(
図2には図示されず)であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックボトムプレート75と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、セルとバッテリーパックのボトムプレートとの間に安定かつ強固な接着を提供することができ、セルとボトムプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができる。
【0095】
本発明のいくつかの特定の実施形態によれば、
図2及び
図10を参照すると、バッテリーパックは、少なくとも、第1のセル10と、第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、第1の電気絶縁層30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40と、第2の電気絶縁層80であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、第2の電気絶縁層80と、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層90であって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第2の電気絶縁層80の片側であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40から離れた側に設けられている、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層90と、第2のセル50であって、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層90の片側であって、第2の電気絶縁層80から離れた側に設けられている、第2のセル50と、を含む。これらの特定の実施形態によれば、本発明により提供される硬化した硬化性感圧接着剤組成物層を使用して、バッテリーパックの2つのセルを安定かつ強固に接着し、2つのセル毎に相互に独立した電気絶縁層保護を提供し、したがってバッテリーパックの安定性及び安全性を更に改善することができる。更に、必要に応じて、これらの特定の実施形態で提供される考え方に従えば、本発明によって提供される硬化した硬化性感圧接着剤組成物層が、バッテリーパックの複数のセルを安定かつ強固に接着し、2つのセル毎に相互に独立した電気絶縁層保護を提供するために使用されてもよい。
【0096】
以下の特定の実施形態は、本発明を限定的ではなく例示的に説明することを意図する。
【0097】
特定の実施形態1は、30重量部~65重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~50重量部の液体エポキシ樹脂と、5重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、0.3重量部~5重量部のヒドロキシル含有化合物と、0.02重量部~3重量部の光開始剤と、を含む、UV誘導硬化性感圧接着剤組成物である。
【0098】
特定の実施形態2は、反応性ポリアクリレートが、エポキシ基、カルボキシル基、又はヒドロキシル基を有するポリアクリレートである、特定の実施形態1に記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0099】
特定の実施形態3は、反応性ポリアクリレートの含有量が、45重量部~50重量部である、特定の実施形態1又は2に記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0100】
特定の実施形態4は、液体エポキシ樹脂のエポキシ当量が、176g/当量~330g/当量であり、固体エポキシ樹脂のエポキシ当量が、450g/当量~800g/当量である、特定の実施形態1~3のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0101】
特定の実施形態5は、液体エポキシ樹脂の含有量が、30重量部~40重量部である、特定の実施形態1~4のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0102】
特定の実施形態6は、固体エポキシ樹脂の含有量が、5重量部~10重量部である、特定の実施形態1~5のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0103】
特定の実施形態7は、ヒドロキシル含有化合物が、ポリオールである、特定の実施形態1~6のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0104】
特定の実施形態8は、ヒドロキシル含有化合物の含有量が、1重量部~3重量部である、特定の実施形態1~7のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0105】
特定の実施形態9は、光開始剤の含有量が、1重量部~2重量部である、特定の実施形態1~8のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0106】
特定の実施形態10は、0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤を更に含む、特定の実施形態1~9のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0107】
特定の実施形態11は、30重量部~50重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~40重量部の液体エポキシ樹脂と、10重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、1重量部~3重量部のヒドロキシル含有化合物と、1重量部~2重量部の光開始剤と、0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤と、を含む、特定の実施形態1に記載の硬化性感圧接着剤組成物である。
【0108】
特定の実施形態12は、少なくとも1つの硬化性感圧接着剤組成物層を含み、硬化性感圧接着剤組成物層が、特定の実施形態1~11のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物を含む、硬化性感圧接着テープである。
【0109】
特定の実施形態13は、硬化性感圧接着テープが、片面硬化性感圧接着テープであり、片面硬化性感圧接着テープが、電気絶縁層と、電気絶縁層の片側に設けられた硬化性感圧接着剤組成物層と、を含む、特定の実施形態12に記載の硬化性感圧接着テープである。
【0110】
特定の実施形態14は、硬化性感圧接着テープが、両面硬化性感圧接着テープであり、両面硬化性感圧接着テープが、電気絶縁層と、電気絶縁層の両側にそれぞれ設けられた硬化性感圧接着剤組成物層と、を含む、特定の実施形態12に記載の硬化性感圧接着テープである。
【0111】
特定の実施形態15は、電気絶縁層が、発泡体層を含む、特定の実施形態13又は14に記載の硬化性感圧接着テープである。
【0112】
特定の実施形態16は、発泡体層が、微多孔性ポリプロピレン層である、特定の実施形態15に記載の硬化性感圧接着テープである。
【0113】
特定の実施形態17は、第1のセルと、第1のセルの外側表面の少なくとも一部に設けられた、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層が、特定の実施形態1~12のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物を含む層と、を含む、バッテリーパックである。
【0114】
特定の実施形態18は、バッテリーパックが、第1の電気絶縁層を更に含み、第1の電気絶縁層が、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1のセルの外側表面から離れた側に設けられている、特定の実施形態17に記載のバッテリーパックである。
【0115】
特定の実施形態19は、バッテリーパックが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層を更に含み、第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、特定の実施形態1~11のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物を含み、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層が、第1の電気絶縁層の片側であって、第1の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられている、特定の実施形態18に記載のバッテリーパックである。
【0116】
特定の実施形態20は、バッテリーパックが、第2のセルを更に含み、第2のセルが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、特定の実施形態19に記載のバッテリーパックである。
【0117】
特定の実施形態21は、バッテリーパックが、第2の電気絶縁層と、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層であって、特定の実施形態1~11のいずれか1つに記載の硬化性感圧接着剤組成物を含む第3の硬化性感圧接着剤組成物層と、第2のセルを更に含み、第2の電気絶縁層が、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられており、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層が、第2の電気絶縁層の片側であって、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層から離れた側に設けられており、第2のセルが、硬化した第3の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第2の電気絶縁層から離れた側に設けられている、特定の実施形態19に記載のバッテリーパックである。
【0118】
特定の実施形態22は、バッテリーパックが、バッテリーパックサイドプレートを更に含み、バッテリーパックサイドプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、特定の実施形態19に記載のバッテリーパックである。
【0119】
特定の実施形態23は、バッテリーパックが、バッテリーパックエンドプレートを更に含み、バッテリーパックエンドプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、特定の実施形態19に記載のバッテリーパックである。
【0120】
特定の実施形態24は、バッテリーパックが、バッテリーパックボトムプレートを更に含み、バッテリーパックボトムプレートが、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層の片側であって、第1の電気絶縁層から離れた側に設けられている、特定の実施形態19に記載のバッテリーパックである。
【実施例】
【0121】
本発明を、実施例を用いて、以下に更に説明する。以下に提供される実施例及び比較例は、本開示の理解を容易にするものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0122】
実施例及び比較例で使用される原材料を表1に要約する。
【表1】
【0123】
試験方法:
本発明では、実施例及び比較例で得られたサンプルについて、以下の試験及び評価を行った。
【0124】
剥離力試験は、ASTM D3330に準拠して行った。
【0125】
剪断強度試験は、GB/T 7124に準拠して行った。
【0126】
引張強度試験は、ASTM D2095に準拠して行った。
【0127】
接着強度評価:剪断強度と引張強度の両方が3Mpa未満であった場合、接着強度を不良として評価し、剪断強度と引張強度の両方が3MPa~4MPaであったならば、接着強度が良好と評価し、剪断強度と引張強度の両方が4MPaを超えた場合には、接着強度が優れていると評価した。
【0128】
反り防止性能試験:硬化性感圧接着テープについては、硬化性感圧接着テープにおいて反りが生じる傾向があるかどうかを評価するために、以下の方法を用いた。10mm長の硬化性感圧接着テープをUV光で照射した後、正方形のアルミニウムセルの表面に接着させ、感圧接着テープの一端を直角側5mm重ね合わせ(すなわち、5mmの長さを有する感圧接着テープの一端をアルミニウムセルの表面に接着させた)、他端を宙づりにした。25℃で24時間硬化させた後、セルの直角側の硬化性感圧接着テープに反り又はバブリングが生じたかどうかを観察した。
【0129】
反りが生じた場合、反り防止性能を不良として評価し、バブリングしているが、反りが生じていない場合、反り防止性能を良好と評価し、変化が観察されなかった場合には、反り防止性能が優れていると評価した。
【0130】
実施例E1~E2、比較例C1~C3
比較例C1~C3及び実施例E1~E2のUV誘導硬化性感圧接着剤組成物を、表2の重量比に従って調製した。
【表2】
【0131】
硬化性感圧接着テープの調製方法:
硬化性感圧接着剤組成物の各成分を秤量し、フラスコに添加した。適切な量の酢酸エチル及びアセトンの混合溶媒(重量比3:1)を添加して、粘度を調整した。混合物を撹拌し、空気撹拌機で均一に混合した。
【0132】
気泡を除去するために放置した後、硬化性感圧接着剤組成物溶液を、コンマロールコーターを使用してPETフィルム上にコーティングした。
【0133】
溶媒をオーブン内で乾燥させた後、UV誘導硬化性感圧接着テープを得た。
【0134】
比較例C1及びC2では、反応性ポリアクリレート及びエポキシ樹脂の含有量は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中の含有量範囲内ではなく、エポキシ樹脂は両方とも液体エポキシ樹脂であり、エポキシシランカップリング剤は含まれなかった。
【0135】
比較例C3では、反応性ポリアクリレート及び液体エポキシ樹脂の含有量は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中の含有量範囲内であったが、固体エポキシ樹脂又はエポキシシランカップリング剤は含まれなかった。
【0136】
実施例E1では、反応性ポリアクリレート、液体エポキシ樹脂、及び固体エポキシ樹脂の含有量は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中の含有量範囲内であったが、エポキシシランカップリング剤は含まれなかった。
【0137】
実施例2では、各成分の含有量は、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物中の含有量範囲内にあり、エポキシシランカップリング剤の適量が更に含まれた。
【0138】
比較例C1~C3及び実施例E1~E2により提供される硬化性感圧接着剤組成物について性能試験を行った。試験結果を表3に列挙する。
【0139】
剥離力試験A:100mW/cm2のUV光源を使用して、各実施例及び比較例における硬化性感圧接着テープをそれぞれ10秒間誘導し、蓄積したUV照射エネルギーを1000mJ/cm2とした。硬化性感圧接着テープを、室温25℃でアルミニウム板に接着させた。3日間硬化後、得られた硬化性感圧接着テープの剥離力Aを、ASTM D3330に準拠して試験した。
【0140】
剥離力試験B:100mW/cm2のUV光源を使用して、各実施例及び比較例における硬化性感圧接着テープをそれぞれ20秒間誘導し、蓄積したUV照射エネルギーを2000mJ/cm2とした。硬化性感圧接着テープを、室温25℃でアルミニウム板に接着させた。3日間硬化後、得られた硬化性感圧接着テープの剥離力Bを、ASTM D3330に準拠して試験した。
【0141】
剥離力試験C:100mW/cm2のUV光源を使用して、各実施例及び比較例における硬化性感圧接着テープをそれぞれ50秒間誘導させ、蓄積したUV照射エネルギーを5000mJ/cm2とした。硬化性感圧接着テープを、室温25℃でアルミニウム板に接着させた。3日間硬化後、得られた硬化性感圧接着テープの剥離力Cを、ASTM D3330に準拠して試験した。
【0142】
剥離力試験では、硬化性感圧接着テープを80℃で30分間急速に硬化させた後に得られる剥離力試験結果は、室温で数日間硬化させた後に得られる剥離力試験結果よりも高かったことに留意する必要がある。各硬化性感圧接着テープの剥離力を実際の使用条件下で比較するために、80℃で30分間急速に硬化させる代わりに室温での硬化を採用して剥離力を評価した。
【0143】
剪断強度及び引張強度試験:100mW/cm2のUV光源を使用して、各実施例及び比較例における硬化性感圧接着テープをそれぞれ10秒間誘導し、蓄積したUV照射エネルギーを1000mJ/cm2とした。硬化性感圧接着テープを80℃で30分間急速に硬化させた後、得られた感圧接着剤の剪断強度を、GB/T 7124に準拠して試験し、得られた感圧接着剤の引張強度を、ASTM D2095に準拠して試験した。なお、剪断強度及び引張強度試験では、硬化性感圧接着テープを室温で3日間硬化させた後に得られた試験結果は、80℃で30分間急速に硬化させた後に得られた試験結果と同様であることに留意する必要がある。したがって、試験時間を短縮するために、80℃で30分間の急速硬化後に得られた試験結果を使用して、剪断強度及び引張強度を評価することができる。
【0144】
反り防止性能試験:各実施例及び比較例により提供された硬化性感圧接着テープを、上記の反り防止性能試験方法に従って試験し、評価した。100mW/cm2のUV光源を使用して、各実施例及び比較例における硬化性感圧接着テープをそれぞれ10秒間誘導し、蓄積したUV照射エネルギーを1000mJ/cm2とした。UV光を照射した後、実施例及び比較例によって提供された硬化感圧性接着テープを室温で24時間放置し、試験結果を観察した。
【0145】
実施例及び比較例によって提供された硬化性感圧接着テープの接着強度を上記方法により評価した。剥離力Aと剥離力Bとを比較することによって、UVウィンドウを評価した。2000mJ/cm2のエネルギー下で測定した剥離力Bが、1000mJ/cm2のエネルギー下で測定した剥離力Aの50%以上であった場合、2000mJ/cm2のエネルギーが依然として実現可能なUVウィンドウにあるとみなし、UVウィンドウを広いとして評価し、2000mJ/cm2のエネルギー下で測定した剥離力Bが、1000mJ/cm2のエネルギー下で測定した剥離力Aの15%~50%であった場合、UVウィンドウは比較的広く、2000mJ/cm2のエネルギー下で測定した剥離力Aが、1000mJ/cm2で測定した剥離力Aの15%未満であった場合、UVウィンドウを狭いと評価した。
【0146】
【0147】
表3の剥離力試験結果から、実施例E1で提供された硬化性感圧接着剤組成物を、2000mJ/cm2のUV照射エネルギー下で誘導させ、得られた絶縁性感圧接着剤層の剥離力を、1000mJ/cm2の条件のものに対して著しく低下させたことが分かる。これは、エポキシ樹脂の含有量が高いとき、絶縁性感圧接着剤層の剥離力がUV照射エネルギーに敏感であることを示す。したがって、絶縁性感圧接着剤層の剥離力が著しく低下することを防止するために、UV照射エネルギーは、狭いUVエネルギープロセスウィンドウにおいて制限される必要がある。狭いUVエネルギープロセスウィンドウは、誘導硬化プロセスの条件に対するより厳しい要件を有し、より高い設備要件及びより低い耐障害性を有する。
【0148】
対照的に、実施例E2によって提供された硬化性感圧接着剤組成物は、2000mJ/cm2のUV照射エネルギー下で硬化するよう誘導され、得られた絶縁性感圧接着剤層の剥離力は、1000mJ/cm2のUV照射エネルギー下で得られた絶縁性感圧接着剤層の剥離力に対して実質的に低下しなかった。特に、他の成分が同じであるがエポキシシランカップリング剤を含まない実施例E1と比較して、剥離力ははるかに大きい。
【0149】
本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物の組成は、良好な接着強度及び良好な反り防止性能の両方を提供することができることが分かる。また、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物が、適切な量のエポキシシランカップリング剤を含む場合、より広いUVエネルギープロセスウィンドウを更に得ることができる。
【0150】
実施例E3~E8
実施例E3~E8は、実施例E1と同じ方法を採用することによって実施した。組成物における成分及び含有量に違いがあった。本発明の実施例E3~E8の組成及び試験結果を表4に列挙する。
【表4】
【0151】
表4によれば、本発明により提供される絶縁性感圧接着剤は、少なくとも良好な接着強度、良好な反り防止性能、及び比較的広いUVエネルギープロセスウィンドウを提供することができる。
【0152】
表2、表3、及び表4によれば、硬化性感圧接着剤組成物中の反応性ポリアクリレートの含有量が30重量部~50重量部であると、対応する絶縁感圧接着剤は、優れた接着強度及び優れた反り防止性能を有する。
【0153】
表2、表3、及び表4によれば、硬化性感圧接着剤組成物中の液体エポキシ樹脂の含有量が40重量部~50重量部であると、対応する絶縁感圧接着剤は、優れた接着強度及び優れた反り防止性能を有する。
【0154】
表2、表3、及び表4によれば、硬化性感圧接着剤組成物中の固体エポキシ樹脂の含有量が10重量部~20重量部であると、対応する絶縁感圧接着剤は、優れた接着強度及び優れた反り防止性能を有する。
【0155】
表2、表3、及び表4によれば、硬化性感圧接着剤組成物中のエポキシシランカップリング剤の含有量が0.05重量部~1重量部であると、対応する絶縁感圧接着剤は、比較的広いUVエネルギープロセスウィンドウを有する。
【0156】
表2、表3、及び表4によれば、硬化性感圧接着剤組成物が、30~50重量部の反応性ポリアクリレートと、30重量部~40重量部の液体エポキシ樹脂と、10重量部~20重量部の固体エポキシ樹脂と、0.05重量部~1重量部のエポキシシランカップリング剤と、1重量部~3重量部のヒドロキシル含有化合物と、1重量部~2重量部の光開始剤とを含むと、対応する絶縁感圧接着剤は、優れた接着強度、優れた反り防止性能、及び広いUVエネルギープロセスウィンドウを有する。
【0157】
実施例E8及び実施例E9
実施例E8及び実施例E9は、実施例E3及び実施例E7におけるものと同じ方法を採用することによって実施した。実施例E8及び実施例E9の硬化性感圧接着剤組成物を、5000mJ/cm
2のUV光で照射し、25℃の室温で3日間硬化後の剥離力Cを試験するという違いがあった。本発明の実施例E8及び実施例E9の組成及び試験結果を表5に列挙する。
【表5】
【0158】
表5によれば、E8及びE9の剥離力の結果は、5000mJ/cm2のUV照射エネルギー下でそれぞれ0.4N/mm及び0.25N/mmであった。
【0159】
対照的に、E3及びE7の剥離力の結果は、1000mJ/cm2のUV照射エネルギー下でそれぞれ0.9N/mm及び0.8N/mmであった。
【0160】
これは、本発明により提供される硬化性感圧接着テープの剥離力が、5000mJ/cm2のエネルギー条件下でも依然として高く、1000mJ/cm2のエネルギー条件下での剥離力の30%以上であることを示す。
【0161】
したがって、本発明により提供される硬化性感圧接着剤組成物系にエポキシシランカップリング剤を更に添加することにより、比較的広いUVエネルギープロセスウィンドウを得ることができることが分かる。
【0162】
実施例E10
硬化性感圧接着テープは、実施例1と同様の方法を採用し、表6の原材料及び含有量を採用した。
【表6】
【0163】
多孔質ポリプロピレンMMP(又は他の適用可能な電気絶縁発泡体層)を基材層として使用して、両面上に剥離紙を有する両面接着テープを以下の工程により調製した。
【0164】
硬化性感圧接着剤組成物の各成分を秤量し、フラスコに添加した。適切な量の酢酸エチル及びアセトンの混合溶媒(重量比3:1)を、調整用に添加した。混合物を撹拌し、空気撹拌機で均一に混合して、硬化性感圧接着剤組成物溶液を得た。
【0165】
硬化性感圧接着剤組成物溶液を、コンマロールを使用して剥離紙上にコーティングした。コーティングされた剥離紙をオーブンに入れ、110℃で10分間加熱して溶媒を除去し、片面コーティングされた接着テープを得た。
【0166】
次いで、接着テープを、多孔質ポリプロピレン層MMP(又は他の適用可能な絶縁発泡体層)の両面に積層して、両面感圧発泡体粘着テープを得た。
【0167】
この実施例では、両面感圧発泡体粘着テープの第1の側の剥離紙をまず除去して、第1の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、反応が開始された第1の感圧接着剤層を、バッテリーパックの1つのセルの表面に接着させた。両面感圧発泡体粘着テープの第2の側の剥離紙を除去して、第2の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、バッテリーパックの別のセルの表面を露出した第2の感圧接着剤層に接着させた。
【0168】
第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層との架橋硬化反応が完了した後、バッテリーパックを得た。
図2及び
図6を参照すると、バッテリーパックは、
第1のセル10と、
第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、
第1の電気絶縁層(多孔質ポリプロピレンMMP)30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、
硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物40と、
第2のセル50であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、第2のセルと、を含む。
【0169】
したがって、この実施例によって提供されるバッテリーパックでは、この実施例によって提供される両面硬化性感圧接着テープが、バッテリーパックの2つのセルを安定かつ強固に接着し、2つのセル間に電気絶縁層保護を提供することができることが分かる。
【0170】
加えて、この実施例で提供された両面硬化性感圧接着テープの第1の電気絶縁層は発泡体層であるため、両面硬化性感圧接着テープは、高接着強度を提供することができるだけでなく、機械的耐性を組み立てるように適合することができ、したがってバッテリーパックの安全性を更に向上させることができる。
【0171】
実施例E11
この実施例は、実施例E10と同じ両面硬化性感圧接着テープを使用した。
【0172】
この実施例では、両面感圧発泡体粘着テープの第1の側の剥離紙をまず除去して、第1の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、反応が開始された第1の感圧接着剤層を、バッテリーパックの1つのセルの表面に接着させた。両面感圧発泡体粘着テープの第2の側の剥離紙を除去して、第2の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、バッテリーパックの1つのサイドプレートを、表面を露出した第2の感圧接着剤層に接着させた。
【0173】
第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層との架橋硬化反応が完了した後、バッテリーパックを得た。
図2及び
図7を参照すると、バッテリーパックは、
第1のセル10と、
第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、
第1の電気絶縁層(多孔質ポリプロピレンMMP)30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、
硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物40と、
バッテリーパックサイドプレート60であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックサイドプレート60と、を含む。
【0174】
したがって、この実施例によって提供されるバッテリーパックでは、この実施例によって提供される両面硬化性感圧接着テープが、バッテリーパックの1つのセルと1つのサイドプレートとを安定かつ強固に接着し、セルとサイドプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができることが分かる。
【0175】
加えて、この実施例で提供された両面硬化性感圧接着テープの第1の電気絶縁層は発泡体層であるため、両面硬化性感圧接着テープは、高接着強度を提供することができるだけでなく、機械的耐性を組み立てるように適合することができ、したがってバッテリーパックの安全性を更に向上させることができる。
【0176】
実施例E12
この実施例は、実施例E10と同じ両面硬化性感圧発泡体粘着テープを使用した。
【0177】
この実施例では、両面感圧発泡体粘着テープの第1の側の剥離紙をまず除去して、第1の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、反応が開始された第1の感圧接着剤層を、バッテリーパックの1つのセルの表面に接着させた。両面感圧発泡体粘着テープの第2の側の剥離紙を除去して、第2の感圧接着剤層を365nmのLED光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、バッテリーパックの1つのエンドプレートを、表面を露出した第2の感圧接着剤層に接着させた。
【0178】
第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層との架橋硬化反応が完了した後、バッテリーパックを得た。
図2及び
図8を参照すると、バッテリーパックは、
第1のセル10と、
第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、
第1の電気絶縁層(多孔質ポリプロピレンMMP)30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、
硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物40と、
バッテリーパックエンドプレート70であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックエンドプレート70と、を含む。
【0179】
したがって、この実施例によって提供されるバッテリーパックでは、この実施例によって提供される両面硬化性感圧接着テープが、バッテリーパックの1つのセルと1つのエンドプレートとを安定かつ強固に接着し、セルとエンドプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができることが分かる。
【0180】
加えて、この実施例で提供された両面硬化性感圧接着テープの第1の電気絶縁層は発泡体層であるため、両面硬化性感圧接着テープは、高接着強度を提供することができるだけでなく、機械的耐性を組み立てるように適合することができ、したがってバッテリーパックの安全性を更に向上させることができる。
【0181】
実施例E13
この実施例は、実施例E10と同じ両面硬化性感圧発泡体粘着テープを使用した。
【0182】
この実施例では、両面感圧発泡体粘着テープの第1の側の剥離紙をまず除去して、第1の感圧接着剤層を365nmのLEDのUV光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、反応が開始された第1の感圧接着剤層を、バッテリーパックの1つのセルの表面に接着させた。両面感圧発泡体粘着テープの第2の側の剥離紙を除去して、第2の感圧接着剤層を365nmのLED光源に曝露し、蓄積照射エネルギーが1000mJ/cm2に達した時点で、接着剤の架橋硬化反応を開始した。次いで、バッテリーパックの1つのボトムプレートを、表面を露出した第2の感圧接着剤層に接着させた。
【0183】
第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層との架橋硬化反応が完了した後、バッテリーパックを得た。
図2及び
図9を参照すると、バッテリーパックは、
第1のセル10と、
第1のセル10の外側表面の少なくとも一部に設けられた硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含む、第1の硬化性感圧接着剤組成物層20と、
第1の電気絶縁層(多孔質ポリプロピレンMMP)30であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20の片側であって、第1のセル10から離れた側に設けられている、第1の電気絶縁層30と、
硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40であって、この実施例により提供される硬化性感圧接着剤組成物を含み、第1の電気絶縁層30の片側であって、硬化した第1の硬化性感圧接着剤組成物層20から離れた側に設けられている、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物40と、
バッテリーパックボトムプレート75(
図2には図示せず)であって、硬化した第2の硬化性感圧接着剤組成物層40の片側であって、第1の電気絶縁層30から離れた側に設けられている、バッテリーパックボトムプレート75と、を含む。
【0184】
したがって、この実施例によって提供されるバッテリーパックでは、この実施例によって提供される両面硬化性感圧接着テープが、バッテリーパックの1つのセルと1つのボトムプレートとを安定かつ強固に接着し、セルとボトムプレートとの間に電気絶縁層保護を提供することができることが分かる。
【0185】
加えて、この実施例で提供された両面硬化性感圧接着テープの第1の電気絶縁層は発泡体層であるため、両面硬化性感圧接着テープは、高接着強度を提供することができるだけでなく、機械的耐性を組み立てるように適合することができ、したがってバッテリーパックの安全性を更に向上させることができる。
【0186】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明の実施を限定する代わりに、本発明を明確に説明するために使用される例に過ぎない。当業者は、上記の説明に基づいて、他の形態の変更又は変形を行うことができる。本明細書の全ての実施態様を余すことなく述べることは不可能である。本発明の技術的解決策に由来する全ての明白な変更又は変形は、依然として本発明の保護範囲内である。