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特許7580405呼吸する産物を保存する為のパッケージ、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】呼吸する産物を保存する為のパッケージ、及び方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20241101BHJP
   B65D 81/20 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B65D85/50 120
B65D81/20 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021572853
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 NL2020050376
(87)【国際公開番号】W WO2020251358
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】2023294
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】2024761
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521536420
【氏名又は名称】ペルフォ テック ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】グルーネウェフ,バスティアーン リンケ アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ファン デロー,パウルス ヨセフス ベネディクテュス マリア
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004724(JP,A)
【文献】特開2006-223203(JP,A)
【文献】特開2005-230004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 81/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージに収容された呼吸する産物保存する為のパッケージであって、
前記パッケージは、
前記産物とパッケージ雰囲気とを収容する為のパッケージ容積を画定し且つ
前記パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)に形成する為に、前記パッケージ(1)を取り囲む雰囲気とのガス交換を可能にする少なくとも1つの穿孔(3)が設けられたパッケージング材料含み、
前記パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR)、二酸化炭素透過速度(COTR)及び酸素透過速度(OTR)を有し、
前記パッケージング材料の前記WVTRが、100~1200ml/(m.24時間)の範囲であり、
前記パッケージング材料の前記COTRが、1000ml/(m.24時間)超あり、
前記パッケージング材料のβ比=COTR/OTRが4超ある、
前記パッケージ。
【請求項2】
前記パッケージング材料の水蒸気透過速度(WVTR)が、100~1000ml/(m.24時間)の範囲ある、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記パッケージング材料の水蒸気透過速度(WVTR)が、100~1000ml/(m.24時間)の範囲ある、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記パッケージング材料の二酸化炭素透過速度(COTR)が、1000~12000ml/(m.24時間)の範囲ある、請求項1~3のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記パッケージング材料の酸素透過速度(OTR)が、500~4000ml/(m.24時間)の範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記パッケージング材料のβ比=COTR/OTRが、425の範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記パッケージング材料は、10~200マイクロメートルの範囲厚さを有するポリマーフィルムである、請求項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記パッケージが制御雰囲気パッケージ(CAP)であり、前記少なくとも1つの穿孔が、微穿孔であり、又は複数の微穿孔からなり、前記微穿孔は、1平方ミリメートル未満開口面積を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記パッケージング材料が、生分解性ある、請求項1~8のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージング材料がポリマーフィルムであり、前記ポリマーが、天然産物から製造され、及び/又は実質的に生物学的な過程によって製造される、請求項1~9のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項11】
呼吸する産物少なくともいくばくかを収容する、請求項1~10のいずれか1項に記載のパッケージ。
【請求項12】
呼吸する産物を保存する為のパッケージを製造する方法であって、
パッケージング材料、特にポリマーパッケージング材料用意すること、
前記産物を用意すること、
パッケージ容積を画定し且つ前記パッケージ容積内に前記産物とパッケージ雰囲気とを収容する、閉鎖されたパッケージを、前記パッケージング材料及び前記産物から形成すること
を含み、
前記方法が、
前記パッケージング材料に1以上の穿孔を設けて、少なくとも1つの雰囲気成分について前記パッケージの所定の透過速度を決定し、そして、前記パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)へと形成すること
を含み、
前記パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR)、二酸化炭素透過速度(COTR)及び酸素透過速度(OTR)を有し、
前記パッケージング材料の前記WVTRが100~1200ml/(m.24時間)であり、
前記パッケージング材料の前記COTRが、1000ml/(m.24時間)超あり、及び
前記パッケージング材料のβ比=COTR/OTR4超である、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パッケージに収容された呼吸する産物、特に野菜、果物、花及びハーブ、を保存する為のパッケージであって、該パッケージを取り囲む外側雰囲気とのガス交換、特に酸素及び二酸化炭素の交換、を可能にする少なくとも1つの穿孔が設けられたパッケージング材料、特にポリマーフィルム、を含む、該パッケージに関する。本発明は更に、このようなパッケージを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然産物の保存期間は、生産者、販売者、再販業者及び消費者等にとって、関心の対象である。野菜、果物、ハーブ及び/又は香辛料等の食品の場合、腐敗過程の阻害及び/又は病原体の増殖のみならず、味、フレーバー、成熟及び/又は構造的特性(例えば、硬度)は、特に問題とされる。花の場合に特に懸念されるのは、切花及び/又はブーケの花が、ディスプレイの際に受け入れられるように満足な外観及び/又は香りを保持する時間、いわゆる切花寿命である。典型的に、該切花寿命は、数日から最長で約2週までである。保存期間及び切花寿命は、初期の産物の質によって、並びに保存条件及び/又は輸送条件によって、影響を受ける。
【0003】
天然産物、例えば花、野菜、果物及び/又はハーブ、は、収穫された後、なかんずく酸素の消費及び二酸化炭素の発生を伴って、呼吸する傾向がある。該呼吸は、特に該産物が、殆ど又は全く加工されていない場合、例えば洗浄され、場合により皮を剥かれ、及び/又は細かく刻まれているが、それ以外は新鮮で、調理されていない場合には、長期間継続する。このような産物がパッケージされる場合、該パッケージ内の雰囲気は、該呼吸する産物によって影響を受ける。逆に、天然産物を取り囲む雰囲気は、パックされた産物の呼吸、成熟、熟成及び/又は劣化に影響を及ぼす。それ故に、パッケージ内に、新鮮な産物を、調整雰囲気(調整雰囲気パッケージ(Modified Atmosphere Package)、すなわちMAP)又は制御雰囲気(制御雰囲気パッケージ(Controlled Atmosphere Package)、すなわちCAP)と共にパッケージすることが、通例となってきた。MAPにおいては、産物はパッケージされ、該パッケージ内の特徴的な内部雰囲気を確立する為に、人工ガス混合物が使用されるが、しかしながら、該混合物は後に、該パックされた産物の呼吸により変化しうる。CAPにおいては、産物はパッケージされ、雰囲気成分の為の活性な吸収体、例えば酸素捕捉剤を含むことによって、及び/又は該パッケージング材料の透過を、例えば該材料を穿孔することによって該パッケージ外側の外部雰囲気と交換可能にするように適応させることによって、パッケージ雰囲気の組成が制御される。調整及び制御雰囲気パッケージング(MAP/CAP)は、好気呼吸速度を低減すると同時に、例えば、色、質感、フレーバー及び芳香の1以上に有害な変化をもたらしうる嫌気性過程を避けることによって、産物の質を保存する。
【0004】
生鮮産物及び/又は呼吸する産物の別の観点は、一方では、該産物による水蒸気の生成であり、他方では、該産物及び/又は汚染性生物(例えば、微生物、昆虫、寄生虫、真菌等)による湿度に対する感度である。従って、パッケージ内側の雰囲気の湿度がまた、好ましくは制御されるべきである。
【0005】
前述の観点から、様々なパッケージ及びパッケージング材料が開発されており、例えば国際公開第2016/071922号パンフレット又は国際公開第2016/003899号パンフレットを参照されたい。調整/制御雰囲気パッケージングの様々な観点は、米国特許第7,083,837号明細書及びP.V. Mahajan et al., ''An interactive design of MA-packaging for fresh produce'', in: ''Handbook of food science, technology and engineering'', Y.H. Hui (ed), CRC Press (Taylor & Francis Group) 2006に開示されていることが更に留意される。
【0006】
呼吸する産物のパッケージング材料及び/又はパッケージングに関する更なる観点は、欧州特許第2 294 923号明細書、米国特許出願公開第2010/221393号明細書、国際公開第2017/220801号パンフレット、米国特許出願公開第2010/151166号明細書、国際公開第2018/147736号パンフレット、国際公開第2009/003675号パンフレット、独国特許第699 01 477号明細書、並びにM. Mastromatteo, et al. ''A new approach to predict the mass transport properties of micro-perforated films intended for food packaging applications'', J. Food. Eng. 113 (1):41-46 (2012-05-18), DOI: 10.1016/J.JFOODENG.2012.05.029及びM. Scetar, et al, ''Trends in Fruit and Vegetable Packaging - a Review'', Croatian J. Food Tech., Biotech. Nutr., 5(3-4):69-86 (2010), ISSN: 1847-3423に開示されている。
【0007】
しかしながら、産物の質を改善し、且つ損傷及び損失を防止する為の現在進行中の努力の観点から、更なる改善がなお望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、呼吸する産物を保存する為のパッケージが提供され、且つ添付の特許請求の範囲において特定されている。
【0009】
一つの観点において、パッケージに収容された呼吸する産物、特に野菜、果物、ハーブ、香辛料及び/又は花、を保存する為のパッケージが提供される。
【0010】
該パッケージは、該産物とパッケージ雰囲気とを収容する為のパッケージ容積を画定し且つ該パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP:Controlled Atmosphere Package)に形成する為に、該パッケージを取り囲む雰囲気とのガス交換を可能にする少なくとも1つの穿孔が設けられたパッケージング材料、特にポリマーフィルム、を含む。
【0011】
該パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR:Water Vapour Transmission Rate)、二酸化炭素透過速度(COTR:carbon dioxide transmission rate)及び酸素透過速度(OTR:oxygen transmission rate)を有し、ここで、該パッケージング材料の水蒸気透過速度(WVTR)は、50~1200ml/(m.24時間)の範囲であり、該パッケージング材料の二酸化炭素透過速度(COTR)は、1000ml/(m.24時間)超、特に5000ml/(m.24時間)超、より特に1000~15000ml/(m.24時間)、例えば5000~15000ml/(m.24時間)、の範囲であり、β比=COTR/OTR>4(4超)であり、特に4~25の範囲である。
【0012】
該パッケージング材料は、現在入手可能なパッケージと比較して、特に、水蒸気に対する高い透過速度、及び酸素の透過速度と二酸化炭素の透過速度との間の高いβ比を提供する。
【0013】
高WVTRは、パッケージ雰囲気中における湿度蓄積を低減し、特に、該パッケージ雰囲気中の、例えば該パッケージの内側表面上における、例えば該パッケージング材料の内面上における、水膜及び/又は液滴の形成を低減する。このことは、真菌の増殖及び/又は他の腐敗過程を低減する。他方では、高過ぎるWVTRは、膨圧を喪失し、乾燥させ、及び/又は産物を萎れさせることによって腐敗を引き起こし、それはまた許容されない。本発明で提供される値は、商業的に関連するあらゆる産物のCAPの為に好適であることが証明されている。
【0014】
高いCOTRは、二酸化炭素が逃げるのを促進し、従ってパッケージ雰囲気内のCO濃度の上昇を低減し、従って、嫌気性腐敗過程のリスクを低減又は防止する。更に、COは水に溶解し得、それから、後に該パッケージ雰囲気に再び戻り得、それにより反応して炭酸を形成し得、ひいては、該パッケージ内に保存されている食品の味及び/又は組成に影響を及ぼしうる。
【0015】
呼吸する産物を収容するパッケージが閉じられる、例えば封止される、場合、該パッケージ雰囲気内の酸素は消費され、且つ酸素濃度が低下する。バッグを閉じることは、封かん具(closing device)(例えば、紐、クリップ、テープ、輪ゴム等)を用いて手作業によって、及び/又は折り畳む及び/又は結ぶことによってまた行われうる。または代替的には、該パッケージは、他の技術によって、例えば接着剤の使用によって、及び/又は溶接することによって、(更に)閉じられ得、それらは、手持ち式のデバイス及び/又は装置に備えられうる自動化デバイスを使用することを含みうる。該パッケージは、充填直後に閉じられうるか、又は産物が、該パッケージに充填され得、更なる処理工程及び/又はコンディショニング工程、例えば冷却、の後に、該パッケージが閉じられる。
【0016】
低過ぎるO濃度は、嫌気性腐敗過程を加速しうるが、しかしながら、高過ぎる濃度は、産物の持続的な成長及び熟成を可能にする。両方防止されるべきである。該パッケージング材料の酸素透過速度OTRは、パッケージ雰囲気への酸素の流入を可能にし、全酸素消費を防止する。しかしながら、高過ぎるOTRは、穿孔によって、該パッケージの酸素透過速度の制御を全体として妨げる。
【0017】
熟成過程を減速させ(「産物を眠らせる」(putting the produce to sleep)としてまた知られている)、保存期間を最大限にする為には、典型的に1~10%、好ましくは2~8%、例えば3~7%、より好ましくは4~6%、の範囲の酸素濃度が好まれうる。そのような濃度は、該少なくとも1つの穿孔が該パッケージをCAPに形成することによって達成されうる。該少なくとも1つの穿孔によって、該パッケージの酸素透過速度は、全体として増大されることができる。
【0018】
各穿孔は、酸素、二酸化炭素及びエチレンについて、パッケージの透過速度に全体として影響を及ぼす。CAPの為の微穿孔(microperforatio)の開口面積は、該パッケージの水蒸気透過速度に全体としてごくわずかに影響を及ぼす。高いβ比は、材料を穿孔することによって、パッケージ雰囲気中の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の制御を促進する。
【0019】
従って、酸素の増大された流入及び二酸化炭素の増大された流出は、1以上の穿孔によってバランスが取られうる。
【0020】
β比、高WVTR及びCOTRについての値の本発明により提供された組み合わせは、CAPパッケージ内の呼吸する産物の保存期間を、数日間延長できることが見出された。これは、現在の最適なポリマーフィルムと比較して10~20%上回る保存期間の延長であり、標準的な生鮮産物のパッケージングポリマーフィルムの4倍を十分に上回る保存期間の延長である。
【0021】
より詳細には、CAPにおいて、パッケージ雰囲気中の酸素濃度は、熟成過程を緩徐すると同時に、最小限の平衡酸素濃度を確保する為に、低い酸素濃度に低減されうる。また又は代替的には、パッケージ雰囲気中の二酸化炭素濃度は、所望の最大値に制御されうる。従って、熟成、成熟及び/又は腐敗は、緩徐され、特に嫌気性過程、例えば細菌増殖は、防止される。一般的に、平衡酸素濃度及び/又は二酸化炭素濃度に、可能な限り速く達することが好ましい。その為に、CAP及びMAPの組み合わせが使用されうる。MAPについては、初期のパッケージ雰囲気は、パッケージ容積内に、周囲雰囲気とは異なる雰囲気調整用のガス又はガス混合物を作り出し、及び/又は導入することによって、該パッケージを閉じるときに、又は大体そのときに確立されうる。
【0022】
異なる種の産物及び産物種内の異なる品種が、文献に記述されている通り、異なる呼吸速度を示すことが既知であり、これは文献に記載されている。CAPの為の穿孔の全開口面積は、パックされる(ことになる)産物及びパッケージング材料自体の透過特性に基づいて決定されるべきであり、物質ごとのパッケージの透過速度は、パッケージング材料の透過速度と、それぞれの物質の為の穿孔による透過速度との組み合わせによって形成される。
【0023】
長期保存については、殆どの産物が、パッケージ雰囲気中の低CO濃度及び低O濃度の両方から利益を得、ここで、該O濃度は、約1~10体積%(「vol%」)の範囲、好ましくは3~7vol%の範囲である。このような低O濃度を維持する為に、該パッケージにおける1以上の穿孔は、パッケージ容積への酸素の流入を制御し、特に嫌気性を防止する為の最小限の流入及び低酸素濃度を確保する為の最大限の流入を確立して、産物の代謝過程を緩徐する(「産物を眠らせる」としてまた知られる)ように構成された、開口面積を提供するべきである。1以上の穿孔の開口面積に対するこの制限は、本来的に、穿孔がO及びCOに関して選択的なものである観点から、該穿孔を介してパッケージからCOが流出するのを制限するものであり、典型的に小さいレーザー穿孔1つについてのCO:O流の比は、およそ1である。それ故に、該パッケージにおける穿孔は、COの流出及びOの流入について上限を同時に決定する。従って、CAPパッケージの製造は、一方では望ましいCOの流出の増大と、他方では望ましくないOの流入の増大の妥協を強いる。
【0024】
それ故に、パッケージ雰囲気中のOとCOとの間の改善された濃度バランスが、全体として該CAPパッケージについてCOの透過速度を増大するので、パッケージング材料の高COTRは、該改善された濃度バランスの確立に有益である。
【0025】
大体の目安として、新鮮な呼吸する産物の為の現在のパッケージングフィルムについて、一般的にCAPにおいては、O及びCOの濃度が一緒になって、パッケージ雰囲気の約21~23vol%を構成することが判明した({Oの濃度[vol%]}+{COの濃度[vol%]}={組み合わされた濃度}=約21~23vol%)。このことは、主にそれらのβ比=COTR/OTRが約1~3の範囲であることにより、見出された。本発明で提供されるパッケージにおいて、該パッケージング材料は、増大されたβ比=COTR/OTRを提供し、従って、該材料のCOTRは、該材料のOTRを有意に上回る。該パッケージング材料の高COTRは、前述の大体の目安を取り払い、組み合わされた濃度における比較的低い濃度のCOを達成することを促進し、また、1以上の穿孔の開口面積は低減され、Oの流入を低減し、それ故にCOの流出を有意に低減することなく、すなわちパッケージ雰囲気中のCOの平衡濃度を有意に増大することなく、パッケージ雰囲気中のOの平衡濃度を低減しうる。
【0026】
同時に、高WVTRは、パッケージ雰囲気中の低水蒸気濃度を確保し、水へのCOの吸収、及び/又は、特に酸を形成する、COと水との有害反応を低減する。
【0027】
COTR及びβ比の増大された値と高WVTRとの組み合わせは、パックされた生鮮産物にとってCO濃度が有害レベルに達し、及び/又は有害な効果をもたらすリスクなしに、又はそのリスクを少なくとも低減しながら、微穿孔のサイズ及び数を低減することによって、CAP内側の酸素レベルを低減することを可能にすることが見出された。
【0028】
例えば、生分解性ポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ-3-ヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PHV)、ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH)、酢酸セルロース、ニトロ-セルロース、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ酸無水物、コポリエステル等、を含むフィルムを用いて、良好な結果が得られうる。他の好適な材料は、エチレン-ビニルアルコールポリマー及び/又はセルロースナノ結晶を含む。ポリウレタンフィルムは、その高い弾性により、ポリスチレンフィルムは、その脆性により、確実な穿孔には好適でないことが見出されており、一般的に産物の為のパッケージング材料としての使用について、ロバスト性が欠けている。
【0029】
該フィルムは例えば、部分的に若しくは完全に積層された構造、又は単層基材、例えば多層紙積層、ポリマー積層、単層ポリマーフィルム等、でありうる。メタライゼーションの層がまた提供されうる。積層は、例えばパッケージを閉じる為に、封止及び/又は溶接するのに好まれうる。これは特に、トレイが1種の組成物を有し得、閉鎖フィルム(closing film)(通常、上部フィルム)が別の組成物を有し得、特に該トレイが相対的に薄い部分であり、該閉鎖フィルムが、本明細書において特定されている通りのパッケージング材料である、トレイ封止パッケージに有利でありうる。積層体は完全に又は部分的に積層され得、より多い層及びより少ない層の領域を提供する。該フィルムは、例えば、押出成形過程、例えばブロー成形、キャスティング(casting)過程又はカレンダリング(calendaring)過程、によって作成されることができる。押出成形及び/又はブロー成形は、該フィルムを管状物質として製造する為に好ましい。
【0030】
該産物は、純種、例えば単一種の果物若しくは野菜、であり得、又は該産物は、混合物、例えば混合フラワーブーケ、野菜混合物及び/又はハーブ混合物等、でありうる。
【0031】
高WVTRが一般的に好まれうるが、高過ぎるWVTRは産物の乾燥を引き起こし得、それは望まれない場合がある。十分に選択されたWVTRは、該産物の保存期間を最適化しうる。産物の幾つかの種について、最適なWVTRは、CAPを形成する為の少なくとも1つの穿孔の開口面積に関して望まれうることが判った。
【0032】
それ故に、該パッケージング材料は、特にブルーベリー、チコリ、ブドウ、ザクロ等の相対的に低い蒸散率を有する産物について、100~1000ml/(m.24時間)の範囲、好ましくは150~800ml/(m.24時間)の範囲、より好ましくは250~700ml/(m.24時間)の範囲、最も好ましくは400~600ml/(m.24時間)の範囲、の水蒸気透過速度(WVTR)を有しうる。
【0033】
別の実施態様において、該パッケージング材料は、特にアスパラガス、アボカド、エンドウマメ、サヤマメ、マンゴー等の相対的に高い蒸散率を有する産物について、100~1000ml/(m.24時間)の範囲、好ましくは700~1100ml/(m.24時間)の範囲、より好ましくは800~1100ml/(m.24時間)の範囲、最も好ましくは900~1000ml/(m.24時間)の範囲、の水蒸気透過速度(WVTR)を有しうる。
【0034】
該パッケージング材料は、1000~12000ml/(m.24時間)の範囲、好ましくは2000~10000ml/(m.24時間)の範囲、より好ましくは4000~9000ml/(m.24時間)の範囲、最も好ましくは5000~8500ml/(m.24時間)の範囲、の二酸化炭素透過速度(COTR)を有しうる。
【0035】
他の産物について、好ましい範囲は、5000~12000ml/(m.24時間)、好ましくは6000~10000ml/(m.24時間)の範囲、より好ましくは7000~9000ml/(m.24時間)の範囲、最も好ましくは7500~8500ml/(m.24時間)の範囲、例えば7000~9000ml/(m.24時間)、でありうる。
【0036】
最も熟成度が高い過程は、CO生成をもたらし、パッケージ雰囲気中への蓄積を引き起こす。上昇したCO濃度は、嫌気性腐敗過程を加速し得、且つ防止されるべきである。しかしながら、高過ぎるCOTRは、代謝過程の望ましい減速及び関連付けられた保存期間の延長を防止しうる。本発明で提供される範囲は、そのようなバランスを満たすのに好ましい。
【0037】
該パッケージング材料は、500~4000ml/(m.24時間)の範囲、好ましくは750~4000ml/(m.24時間)の範囲、より好ましくは900~3000ml/(m.24時間)の範囲、最も好ましくは1000~2500ml/(m.24時間)の範囲、の酸素透過速度(OTR)を有しうる。
【0038】
呼吸及び最も熟成度が高い過程は、O消費をもたらし、パッケージ雰囲気中の枯渇を引き起こす。高いOTRは、例えば該パッケージング材料の面積と1以上の穿孔の開口面積との比を正確に確立することによって、酸素流入の微調整を促進する。
【0039】
国際公開第2014/129904号パンフレットに説明されている通り、産物の呼吸(それ故に、CAPにおける酸素、二酸化炭素及びエチレンの1以上の最適な濃度)は、習慣的に考えられる通り、特定の産物種に依存するだけでなく、産物のバッチごとに特異的であることが、本出願人によって見出された。むしろ、季節的効果、取扱い及び/又は輸送に起因する、又は更には畑の異なる位置に起因する、単一種の作物の間の呼吸のばらつきは、異なる種の間の差異を上回りうる。それ故に、該パッケージの適切な透過速度は好ましくは、パックされることになる産物のバッチごとに、特にその後の同じ種の産物又は種の同じ組み合わせ、例えば混合フラワーブーケ、サラダ、果物、野菜及び/又はハーブの混合物のバッチについて、新しく確立されるべきであり、該パッケージの透過速度は、1以上の穿孔の対応する開口面積を提供することによって、決定的な成分について管理されるべきである。所定の雰囲気ガス(例えば、O、CO、エチレン、水等)の消費及び/又は発生の間の臨界呼吸率Hは、その成分(例えば、O又はCO)の制御を決定する為に確立され、使用され得、最適なパッケージング条件/保存期間を提供する為に、1以上の穿孔の開口面積が作成されなければならない。
【0040】
例えば、パッケージ雰囲気中の酸素の濃度を制御する為に、1以上の穿孔が作成される場合、高COTRは、相対的に少ないO導入及び該パッケージからの相対的に高いCO排出の両方を可能にする。高いβ比は更に、酸素の制御を考慮して1以上の穿孔を設けることが、呼吸のより大きいばらつきを上回って好適になりうるように、前述の臨界呼吸率Hがシフトされることを引き起こしうる。このことは、穿孔システムの調整及び/又は場合により関連付けられた(再)較正を、回避しうる。従って、パッケージング材料及び/又はパッケージの製造速度が、増大しうる。
【0041】
該パッケージング材料は、3~20の範囲、特に3.5~20の範囲、より特に3.5~10の範囲、最も好ましくは4~8又は4.0~8.0の範囲、例えば5~7又は5.0~7.0の範囲、のβ比=COTR/OTRを有しうる。
該パッケージング材料は、4超、特に4~25の範囲、特に4~20の範囲、より特に4~10の範囲、最も好ましくは4~8又は4.0~8.0の範囲、例えば5~7又は5.0~7.0の範囲、のβ比=COTR/OTRを有しうる。
【0042】
材料を穿孔することによって、β比が高いほど、パッケージ雰囲気中の酸素濃度及び二酸化炭素濃度の独立な制御が、より良好に達成されうる。しかしながら、高過ぎるβ比は、種の代謝のCO媒介性緩徐を防止することによって、「産物を眠らせる」ことを妨げうる。
【0043】
例えば10000~40000の範囲、特に10000~35000の範囲、好ましくは15000~30000又は20000~30000の範囲、のCOTRは、一部のタイプの産物及び/又は適用に望まれうる。1000~4000ml/(m.24時間)の範囲のOTR、及び/又は8~25、例えば10~25若しくは更には12~20、の範囲のβ比は、一部のタイプの産物及び/又は適用に望まれうる。
【0044】
そのような高透過材料は、特には、冷却が中断される又は一定でない輸送及び/又は保存の為に、産物をパッケージングするのに好適であり得、及び/又は望まれうる。それは、浅い冷却(周囲温度との差異が殆どない)、温度のばらつき及び/又は異なる温度への冷却、中断される冷却、並びに反復される冷却の場合の1以上を包含しうる。また代替的には、繰り返し開けられる産物用パッケージについても、同じことが当てはまる。典型的な例は、短時間パッケージング、一晩の保存及び/又は輸送、中断されるサプライチェーン、包括的及び/又は確実な温度制御がないサプライチェーン、選別及び/又は再梱包、産物(地域)チェック及び/又は質の制御、市場での販売(市場の売店及び/又はホール)、別の場所までの一晩のパッケージング及び輸送を伴う様々な場所での移動市場での販売、産物を見せる及び/又は試験の為に入手可能な産物を提供するせり売り及び/又は展示等を含む。
【0045】
そのような場合には、特に卸売部分及び/又はバルク部分の為のこのような高透過パッケージング、例えばパレットバッグ、ライナーバッグ及び/又はパレットカバー若しくはパレットラップ、ベールカバー若しくはベールラップ等は、特には、産物の代謝過程を緩徐し、パッケージ内側の望ましくない過程、例えば乾燥、嫌気性過程及び/又は水滴の形成を防止するのに有効でありうる。ある場合には、冷却は、現在使用されている、及び/又は完全に回避されている冷却よりも浅いものでありうる。これは、エネルギー消費量の有意な低減を可能にし、輸送及び/又は保存を促進しうる。
【0046】
該パッケージング材料は、10~200マイクロメートルの範囲、好ましくは15~150マイクロメートルの範囲、より好ましくは20~100マイクロメートルの範囲、最も好ましくは20~75マイクロメートルの範囲、例えば25~50マイクロメートル、例えば25~40マイクロメートルの範囲、の厚さを有するポリマーフィルムでありうる。
【0047】
該フィルムの厚さは、とりわけその機械的強度(薄い材料ほど強度が低い)、及び/又はその透過速度MVTR、COTR及びOTRを決定する。該フィルムの厚さはまた、穿孔のサイズ及び形状と組み合わさって、穿孔を介する1以上のガス成分の透過速度を決定しうる。該フィルムの厚さを低減することにより、その機械的なロバスト性が低減する一方、透過速度は増大する。該フィルムの厚さを増大することにより、その機械的なロバスト性が増大し、透過速度は低減する。材料の厚さ(の低減又は増大)と、雰囲気成分の透過速度(の低減又は増大)との間の関係は、異なる雰囲気成分の間で変わり得、このような場合には、該パッケージング材料のβ比は、該材料の厚さに応じて変わりうることが留意される。また、一部の材料は、雰囲気成分、特に水蒸気を吸収し得、全吸収は、パッケージング材料の量、従ってその厚さに関係し得、該吸収及び/又は吸収された量は、該材料の透過速度に影響を及ぼしうる。更に、製造コスト及び材料コストは、該フィルムの厚さに応じて変わり得、材料コストは、フィルムの厚さと共に上昇し得、一方、製造コストは、非常に薄いフィルム及び非常に厚いフィルムについて増大しうる。それ故に、該パッケージング材料の厚さは、幾つかのパラメータに合わせて最適化され得、なおも所望の透過速度を提供する。
【0048】
20~50マイクロメートル、例えば約25又は約40マイクロメートルの範囲の厚さは、特には、卸売及び小売り消費者のパッケージにとって好適であり得、バッグ及び/又はトレイ封止フィルムの両方にとって好適でありうる。より大きい厚さ、例えば50~100マイクロメートルは、特には、ライニングとして卸売パッケージにとって好適であり得、更により大きい60~120マイクロメートルは、こうして形成されたパッケージの外側の卸売容器、及び/又は(卸売)容器及び/又はパレットの全スタックをパッケージングするのに好適でありうる。
【0049】
一つの実施態様において、1以上の穿孔は、1平方ミリメートル未満、好ましくは0.5平方ミリメートル未満、例えば約0.25平方ミリメートル、の開口面積を有する微穿孔を含みうる。このような微穿孔は、該パッケージング材料を介するガスの交換を促進するが、パックされた材料の外側供給源からの汚染を妨げる。このような微穿孔は、(熱い)針によって作成されうる。レーザー穿孔は、このような微穿孔を、急速に、確実に、食品に使用しても安全なように、所望の場所で提供するのに有効な方式である。微穿孔はまた、特に、穿孔されたパッケージング材料がポリマーフィルムを含む場合、該パッケージング材料の完全性を有意に損なう傾向がない。好適なフィルムは、トレイを作成する為に、柔軟なフィルムから剛性のフィルムまで及びうる。
【0050】
レーザードリルで開けられた微穿孔は、50~500マイクロメートルの範囲、特に60~400マイクロメートルの範囲、好ましくは90~300マイクロメートルの範囲、より好ましくは100~250マイクロメートルの範囲、例えば120~200マイクロメートルの範囲、の(最大)直径を有する、ほぼ円形又は楕円形でありうる。
【0051】
該パッケージング材料は好ましくは、生分解性、好ましくはまた堆肥化可能、である。このことは、廃棄を低減する。該材料は、環境に優しいだけでなく、土壌に栄養素を提供する場合には有益でもありうる。該材料の生分解性は、例えば、EN13432及び/又はASTM D6400に従って決定されうる。
【0052】
該パッケージング材料がポリマーフィルムである場合、該ポリマーは、天然産物から、例えばトウモロコシ及び/又はジャガイモデンプン、糖、セルロース、タピオカ等から、製造され得、及び/又は実質的に生物学的な過程、例えば微生物を使用する発酵過程、によって製造されうる。
【0053】
本明細書文書において、「天然産物」は、産物(植物、藻類等)が生きていたが、収穫され、フィルムが作成されるポリマー材料を提供する為に現時点で処理されたものであり、数千年前に生じた天然産物由来の石油等でないことを意味することが理解されるべきであることに留意されたい。
【0054】
該ポリマーフィルムは、積層であり得、又は好ましくは単一層及び/又は単一成分材料であり得、それによって製造を促進し得、廃棄物が少なくて済み、及び/又はより良好な生分解性であり得、コストを低減しうる。
【0055】
該パッケージは、呼吸する産物、特に野菜、果物、ハーブ、香辛料及び/又は花の1以上、の少なくとも一部分を収容しうる該パッケージは、産物を新鮮に保ったまま、長期間保存されうる。代替的には、該パッケージは、呼吸する産物の複数の小売り部分を含む卸売パッケージでありうる。
【0056】
前述の観点から、一つの観点において、呼吸する産物を保存する為のパッケージを製造する方法が提供される。該方法は、
パッケージング材料、特にポリマーパッケージング材料、例えばポリマーフィルム、を用意すること、
該産物を用意すること、
パッケージ容積を画定し且つ該パッケージ容積内に該産物とパッケージ雰囲気とを収容する、閉鎖されたパッケージを、該パッケージング材料及び該産物から形成すること
を含む。
【0057】
該方法は更に、該パッケージング材料に1以上の穿孔を設けて、少なくとも1つの雰囲気成分について該パッケージの所定の透過速度を決定し、そして、該パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)へと形成することを含む。
【0058】
該パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR)、二酸化炭素透過速度(COTR)及び酸素透過速度(OTR)を有し、ここで、該パッケージング材料のWVTRは、50~1200ml/(m.24時間)の範囲であり、該パッケージング材料のCOTRは、1000ml/(m.24時間)超、特に5000ml/(m.24時間)超、特に1000~15000ml/(m.24時間)、例えば5000~15000ml/(m.24時間)の範囲であり、該パッケージング材料のβ比=COTR/OTRは、3超、特に3~25の範囲であり、β>3.5、より特に3.5~25の範囲、が好ましい。該パッケージング材料のβ比=COTR/OTRは、4超、特に4~25の範囲であり、より特に4~10の範囲であり、最も好ましくは4~8の範囲であり、例えば5~7の範囲、が好ましい。
【0059】
該方法において、該材料は、該パッケージを製造する為に用意され、少なくとも1つの雰囲気成分について該パッケージの所定の透過速度を決定する為に、従って該パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)に形成する為に、穿孔が作成される。該方法において、1以上の穿孔は、1以上の雰囲気ガスの流入及び/又は流出、特に該パッケージへの酸素の導入及び/又は該パッケージからの二酸化炭素、を調節する為の開口面積を提供するように決定される。高WVTR及びCOTRを考慮して、酸素流入を制御する為の1以上の穿孔の開口面積を決定する場合、従来技術と比較して、有意な量のCO及び水が該パッケージから逃げ、それ故にパッケージ雰囲気を改善しうる。従って、酸素流入に対する高い度合いの制御が達成されうる。更に、該穿孔を介して逃げるCOの寄与は、無視され、CAPパッケージの製造を更に促進しうる。
【0060】
前述の観点は、例示的な実施態様を示す図を参照しながら、更なる詳細及び利益と共に、以下に更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】装置の実施態様を模式的に示し、方法の実施態様の少なくとも一部を示す。
図2】表IIの結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
該図は、模式的であり、必ずしも尺度に従っていないこと、及び本発明を理解する為に必要とされない詳細は、省略されうることに留意されたい。語「上向き」、「下向き」、「下」、「上」等は、別段特定されない限り、該図に方向付けされている実施態様に関する。更に、少なくとも実質的に同一であるか、又は少なくとも実質的に同一の機能を発揮する要素は、同じ数字によって示され、アルファベットの接尾辞を用いて有用に個別化される。
【0063】
更に、別段特定されない限り、「取り外せる」及び「取り外し可能に接続される」等の語は、それぞれのパーツが、いずれのパーツを損傷することも破壊することもなく本質的に取り外されうることを意味することが企図され、例えば、該複数のパーツが一体になっている(例えば、一体として溶接又は成型されている)構造は除外するが、複数のパーツが、接続コネクタ、留め具、解除可能な自己固定特徴部等によって、又はそれらとして結合されている構造は包含する。「促進する為」という動詞は、「可能にする為」ではなく、「より容易にする及び/又は複雑にしない為」ことを意味することが企図される。
【0064】
図1は、調整雰囲気パッケージ3を製造する為の装置1を、模式的に示す。装置1は、それぞれパッケージ容積Vを画定し、且つ該パッケージ容積V内に産物9と調整雰囲気とを収容する調整雰囲気パッケージ3を、パッケージング材料7と産物9とから形成する為の、パッケージ形成デバイス5を備えている。本明細書において、該パッケージング材料は、パッケージング部分、例えばバッグ又はトレイの蓋、を形成する為に、ロール13上のパッケージングフィルム11のウェブとして供給されるが、他の形態及びタイプのパッケージング材料がまた可能であり、例えば、2以上のタイプのパッケージング材料、例えば複数のトレイ及び封止フィルム(図示されず)、が用意されうる。図1において、該産物は、産物輸送体14によって別個の部分9として用意されるが、該産物を部分9として、又は部分9に用意する他のやり方も使用されうる。本明細書において、該装置1は、パッケージ3を形成し、充填し、またそれらを閉鎖し、分けるように構成される。
【0065】
装置1は、該パッケージをMAPとして提供する為に、異なる雰囲気調整ガスの必要に応じた供給を含む。例えば、CO及びNは、本明細書において、ガスボトル21、23の形態である。装置1は、本明細書において、圧縮機22の形態の圧縮空気の、必要に応じた供給を含む。オゾン形成の為の酸素は、示される通り、別個の槽24から提供されうる。1以上の雰囲気調整ガスは、それら自体の圧力下で流れることによって輸送されうるように圧縮された状態で供給され得、従って1以上のプロペラは必要とされず、しかしながら、これらのプロペラが提供されうる。
【0066】
本明細書において、デバイス25は、ガス供給導管31によってパッケージ形成デバイス5に接続されたマニフォールド27を備えている。マニフォールド27及び必要に応じたフィードバックセンサーシグナルライン33は、コントローラー29に接続される。
【0067】
図1に示される通り、装置1は更に、微穿孔を有するフィルム11を提供するように構成された、本明細書において、(パルス化された)レーザー光36を提供する、(場合によりパルス化された)レーザー35である、穿孔機を備えている。装置1は更に、微穿孔及び/又は他の制御過程を画像化する為のカメラ37を備えている。レーザー35及びカメラ37は、レーザー35の操作制御、質の制御及び/又はフィードバック制御の為に、穿孔制御装置39と操作可能に接続されている。制御装置39は、該微穿孔の数、サイズ及び位置の1以上を決定する為にプログラム可能でありうる。
【0068】
更に、詳細には示されていないが、装置1は、例えば、パッケージされることになる産物の1以上の呼吸特性、例えばO消費及び/又はCO生成を測定し、測定結果に基づいて計算することによって、それらを決定し、それ/それらに基づいて、標的調整雰囲気の組成物、調整雰囲気の組成物、1以上のパッケージのパッケージング材料に作成された(作成されることになる)1以上の微穿孔の数及び/又はサイズの1以上、を決定するように構成された、検出器41及び計算機43を備えうる。
【0069】
実施例
【0070】
実施例1
透過速度試験が、ジャガイモデンプンから誘導されたコポリマーのブレンドから、可塑剤を用いずに押出成形によって作成された、25マイクロメートルの厚さのポリマーフィルムで実施された。供給源材料は、EU Directive 2002/72/EGに従うものであった。該材料は、EN13432及びASTM D6400に従う、食品と接触しても安全な生分解性フィルム材料として販売されているものであった。該単層フィルムは、熱的に溶接可能であり、ホイルラップ、バッグ、封止トレイ等としての該パッケージの形成を促進した。幾つかの試料が試験された。全ての試験試料は、まだ穿孔されておらず、無傷であった。
【0071】
該フィルムの水蒸気透過速度(WVTR)は、ISO2528(重量測定方法)に従って、38℃の試験温度及び90%rHの相対湿度で決定された。3回の個々の測定が実施された。該試験結果は、それぞれ1037ml/(m.24時間)、1111ml/(m.24時間)及び1071ml/(m.24時間)であり、すなわち平均でWVTR=1073ml/(m.24時間)であり、標準偏差が37ml/(m.24時間)であった。これは、他のフィルムと比較して高いWVTRである。
【0072】
該フィルムの酸素透過速度(OTR)は、ASTM D3985 2556(電量方法)に従って、23℃の試験温度で決定された。3回の個々の測定が実施された。該試験結果は、それぞれ1609ml/(m.24時間)、1602ml/(m.24時間)及び1595ml/(m.24時間)であり、すなわち平均でOTR=1602ml/(m.24時間)であり、標準偏差が7ml/(m.24時間)であった。
【0073】
該フィルムの二酸化炭素透過速度(COTR)は、ISO2556(圧測定方法)に従って、23℃の試験温度で決定された。3回の個々の測定が実施された。該試験結果は、それぞれ7675ml/(m.24時間)、8195ml/(m.24時間)及び8235ml/(m.24時間)であり、すなわち平均でCOTR=8035ml/(m.24時間)であり、標準偏差が312ml/(m.24時間)であった。
【0074】
それ故に、該フィルムのOTRは、COTRの約20%であり、又は換言すれば、β比=COTR/OTRは、約5.0である。これは、他のフィルムと比較して高い値である。
【0075】
同様に、該材料の80マイクロメートルの厚さのフィルムは、まだ約120g/(m.24時間)のWVTR及び約750ml/(m.24時間)のOTR及び約3750ml/(m.24時間)のCOTRを有しており、β比は5である。
【0076】
比較例
一連の試験パッケージが作成された。これらの試験において、様々なタイプの呼吸する産物が用意され、前述の装置及び方法を使用して、パッケージング材料としての様々なポリマーホイルにパッケージされた。それぞれのパッケージング材料に、制御されたサイズの1以上の微穿孔を設けると共に、酸素の為に該パッケージの最適化された透過速度を全体として提供するように決定された、該微穿孔の開口面積を提供することによって、各パッケージが、CAPパッケージとして形成された。各パッケージのそれぞれの開口面積は、パックされることになる産物の呼吸速度を測定し、パッケージされた産物の量、パッケージング材料の量、該パッケージにおける該産物の体積、パッケージ容積(該体積及び該容積(volumina)は、該パッケージのヘッドスペースを決定することを可能にする)を考慮に入れることによって、決定された。各タイプの産物の為の該CAPパッケージは、製造後に、冷蔵条件及び制御条件下で保存された。産物の質に基づいて、適切に訓練され経験を積んだ技術者から構成された試験パネルによって、保存期間が決定された。
【0077】
該試験材料は、以下の表1に列挙される。該試験結果は、表2に列挙され、図2にグラフで提示される。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
これらの結果から、以下が明らかになる。
【0081】
比較例1(Comp 1)の材料は、LDPEであったが、これは、標準的な生鮮産物用パッケージング材料である。LDPEは、平均的なOTR、高いCOTR、及び約4.0の高いβ比=COTR/OTRの組み合わせを有するが、非常に低いWVTRを有する。結果として、該微穿孔の全開口面積が、該パッケージの酸素透過速度に関して全体として最適化されている、LDPEのCAPパッケージは、パッケージ雰囲気中に高い相対湿度を提供する。
【0082】
LDPEベースのパッケージにおける相対湿度を低減する為に、追加の及び/又はより大きい穿孔を作成して、開口面積を増大することができたが、これは、酸素制御を低下し、又は損ないうることに留意されたい。また又は代替的には、吸湿性の及び/又はその他の方法で水を消費する材料は、添加されることができたが、それは、コストを増大し得、衛生及び/又は食品安全性の理由で、許容されることができなかった。提示された試験シリーズにおいては、該産物を、酸素に最適化されたCAPパッケージとしての穿孔されたフィルムに単にパッケージングする以上の方策は、取られなかった。
【0083】
比較例2(Comp 2)の材料は、ポリアミドであったが、それは別の標準的な生鮮産物用パッケージング材料である。ポリアミドは、LDPEよりも有意に高いWVTRを有するが、非常に低いOTR及びCOTRを有するバリア材料であり、その約3.0のβ比=COTR/OTR値は、平均である。低OTRの結果として、ポリアミドのCAPパッケージは、該パッケージの酸素透過速度に関して、全体として全開口面積を最適化する為に、微穿孔の非常に大きい開口面積(すなわち多数の穿孔及び/又は穿孔1個当たり大きい開口面積)を必要とする。従って、全体として該パッケージのCO及びOの透過速度の比、並びにそれと共に該パッケージを介するCO:Oの流量比は、約1であり、パッケージ雰囲気中の二酸化炭素の平衡濃度は、高くなる傾向がある。該微穿孔の大きい開口面積に起因して、パッケージング材料のWVTRが低いにもかかわらず、該パッケージの水蒸気についての透過速度は、全体として増大されて、パッケージ雰囲気中に低い相対湿度を提供する。複合効果は、LDPEベースのCAPパッケージを上回る延長された保存期間である。
【0084】
比較例3(Comp 3)の材料は、Uflex Limited社によって商標名Flexfresh(商標)フィルムの下で販売されている現況技術のパッケージング材料であった。該材料は、LDPE及びポリアミドを上回る有意な改善を提供する。該材料は、比較的、有意により高いWVTRを示し、中庸のOTRであるが平均以上のCOTR及びβ比値を示す。結果として、この材料のCAPパッケージは、該パッケージの酸素透過速度に関して全開口面積を全体として最適化すると同時に、水蒸気及びCOについてより大きい透過速度を提供する為に、該微穿孔の比較的小さい開口面積を必要とする。得られたパッケージは、LDPE及びポリアミドの保存期間よりも長い保存期間を提供する。
【0085】
本発明で提供される洞察に従うCAPパッケージにおいて、パッケージング材料が実施例1のものであり、該パッケージング材料は、非常に高いWVTR、中庸のOTR及び約5.0のβ比=COTR/OTRの高い値の組み合わせを有する。従って、そのようなCAPパッケージにおいて、該微穿孔の開口面積は、酸素について最適化されることができると同時に、該パッケージの水及びCOについての透過速度は、全体として非常に高い。該試験結果から、そのようなCAPパッケージの保存期間は、その他のパッケージと比較して、試験された全ての産物種について有意に延長されることが明らかになるであろう。
【0086】
本開示は、前述された実施態様に制限されず、該実施態様は、特許請求の範囲内で幾つかのやり方で変えられることができる。例えば、特定の実施態様に関して論じられている要素及び観点は好適には、任意の他の実施態様の要素及び観点と組み合わせられうる。
[項1]
パッケージに収容された呼吸する産物、特に野菜、果物、ハーブ、香辛料及び/又は花、を保存する為のパッケージであって、
前記パッケージは、
前記産物とパッケージ雰囲気とを収容する為のパッケージ容積を画定し且つ
前記パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)に形成する為に、前記パッケージ(1)を取り囲む雰囲気とのガス交換を可能にする少なくとも1つの穿孔(3)が設けられたパッケージング材料、特にポリマーフィルム(1A)、を含み、
前記パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR)、二酸化炭素透過速度(CO TR)及び酸素透過速度(O TR)を有し、
前記パッケージング材料の前記WVTRが、100~1200ml/(m .24時間)の範囲であり、
前記パッケージング材料の前記CO TRが、1000ml/(m .24時間)超、特に1000超~15000ml/(m .24時間)、であり、
前記パッケージング材料のβ比=CO TR/O TRが4超、特に4超~25の範囲、である、
前記パッケージ。
[項2]
前記パッケージング材料の水蒸気透過速度(WVTR)が、100~1000ml/(m .24時間)の範囲、好ましくは150~800ml/(m .24時間)の範囲、より好ましくは250~700ml/(m .24時間)の範囲、最も好ましくは400~600ml/(m .24時間)の範囲、である、項1に記載のパッケージ。
[項3]
前記パッケージング材料の水蒸気透過速度(WVTR)が、100~1000ml/(m .24時間)の範囲、好ましくは700~1100ml/(m .24時間)の範囲、より好ましくは800~1100ml/(m .24時間)の範囲、最も好ましくは900~1000ml/(m .24時間)の範囲、である、項1に記載のパッケージ。
[項4]
前記パッケージング材料の二酸化炭素透過速度(CO TR)が、1000~12000ml/(m .24時間)の範囲、好ましくは2000~10000ml/(m .24時間)の範囲、より好ましくは4000~9000ml/(m .24時間)の範囲、最も好ましくは5000~8500ml/(m .24時間)の範囲、である、項1~3のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項5]
前記パッケージング材料の酸素透過速度(O TR)が、500~4000ml/(m .24時間)の範囲、好ましくは750~4000ml/(m .24時間)の範囲、より好ましくは900~3000ml/(m .24時間)の範囲、最も好ましくは1000~2500ml/(m .24時間)の範囲、である、項1~4のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項6]
前記パッケージング材料のβ比=CO TR/O TRが、4超~20の範囲、より特に4超~10の範囲、最も好ましくは4超~8の範囲、例えば5~7の範囲、である、項1~5のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項7]
前記パッケージング材料は、10~200マイクロメートルの範囲、好ましくは15~150マイクロメートルの範囲、より好ましくは20~100マイクロメートルの範囲、最も好ましくは20~75マイクロメートルの範囲、例えば25~50マイクロメートル、例えば25~40マイクロメートルの範囲、の厚さを有するポリマーフィルムである、項1~6のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項8]
前記パッケージが制御雰囲気パッケージ(CAP)であり、前記少なくとも1つの穿孔が、微穿孔であり、又は複数の微穿孔からなり、前記微穿孔は、1平方ミリメートル未満、好ましくは0.5平方ミリメートル未満、例えば約0.25平方ミリメートル、の開口面積を有する、項1~7のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項9]
前記パッケージング材料が、生分解性、好ましくはまた堆肥化可能、である、項1~8のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項10]
前記パッケージング材料がポリマーフィルムであり、前記ポリマーが、天然産物から製造され、及び/又は実質的に生物学的な過程によって製造される、項1~9のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項11]
呼吸する産物、特に野菜、果物、ハーブ、香辛料及び/又は花の1以上、の少なくともいくばくかを収容する、項1~10のいずれか1項に記載のパッケージ。
[項12]
呼吸する産物を保存する為のパッケージを製造する方法であって、
パッケージング材料、特にポリマーパッケージング材料、例えばポリマーフィルム、を用意すること、
前記産物を用意すること、
パッケージ容積を画定し且つ前記パッケージ容積内に前記産物とパッケージ雰囲気とを収容する、閉鎖されたパッケージを、前記パッケージング材料及び前記産物から形成すること
を含み、
前記方法が、
前記パッケージング材料に1以上の穿孔を設けて、少なくとも1つの雰囲気成分について前記パッケージの所定の透過速度を決定し、そして、前記パッケージを制御雰囲気パッケージ(CAP)へと形成すること
を含み、
前記パッケージング材料は、水蒸気透過速度(WVTR)、二酸化炭素透過速度(CO TR)及び酸素透過速度(O TR)を有し、
前記パッケージング材料の前記WVTRが、50~1200ml/(m .24時間)の範囲、又は100~1200ml/(m .24時間)であり、
前記パッケージング材料の前記CO TRが、1000ml/(m .24時間)超、特に1000超~15000ml/(m .24時間)、であり、及び
前記パッケージング材料のβ比=CO TR/O TRが3超、特に3.5~25の範囲、又は4超、特に4超~25の範囲、である、
前記方法。
図1
図2