(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】プレート状態ツール
(51)【国際特許分類】
B22D 41/24 20060101AFI20241101BHJP
B22D 41/42 20060101ALI20241101BHJP
B22D 41/38 20060101ALI20241101BHJP
B22D 45/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B22D41/24
B22D41/42
B22D41/38
B22D45/00
(21)【出願番号】P 2021575481
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2020065826
(87)【国際公開番号】W WO2020254133
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-16
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500180226
【氏名又は名称】ベスビウス グループ,ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100187702
【氏名又は名称】福地 律生
(74)【代理人】
【識別番号】100162204
【氏名又は名称】齋藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】コランタン ピカール
(72)【発明者】
【氏名】アントーニオ ファビア
(72)【発明者】
【氏名】ドニ ジュアン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-221271(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02395095(FR,A1)
【文献】特表2006-528070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 41/00-62
B22D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドゲート弁プレート(2u、2L、2m)の状態データの測定のためのプレート状態ツール(3)であって、取鍋などの冶金容器(1)のスライドゲート弁(2)に結合されており、前記スライドゲート弁(2)が、スライドゲート弁第1の軸X1’に平行なコレクタノズル主軸(2a)に沿って、前記スライドゲート弁(2)の外壁(2w)から突起するコレクタノズル(2n)を備え、前記スライドゲート弁第1の軸X1’が、スライドゲート弁第2の軸X2’および
スライドゲート弁第3の軸X3’とともに、正規直交座標を画定し、前記スライドゲート弁(2)が、少なくとも2つのスライドゲート弁プレートを互いに対して摺動させることによって、開放構成と閉鎖構成との間で切り替えることが可能であり、前記コレクタノズル(2n)は、前記スライドゲート弁(2)が前記開放構成にあるときに、前記冶金容器(1)の鋳造流路と流体連通しており、前記プレート状態ツール(3)が、
a)前記コレクタノズル(2n)を少なくとも部分的に閉塞させるための閉塞器(5)を備える、主要本体(4)と、
b)前記閉塞器(5)を通して、前記コレクタノズル(2n)内のガスを目標圧力で注入するための圧力レギュレータ(6)を備える、ガス注入デバイスと、
c)前記ガス注入デバイスによって注入された前記ガスの流量を測定するためのガス流量測定デバイス(7)または前記コレクタノズル(2n)内のガス圧力を測定するための圧力測定デバイスと、
d)前記ガス流量測定デバイス(7)に、または前記圧力測定デバイスに通信可能に接続されており、前記スライドゲート弁プレート(2u、2L、2m)の相対位置に関する入力データを受信するように構成されている、コントローラ(8)と、を備え、
前記閉塞器(5)が、コレクタノズルシール(52)を保持するためのシールホルダ(51)を備え、前記シールホルダ(51)が、少なくとも前記主要本体(4)の前軸X1に沿って、前記主要本体(4)に対して移動可能であり、前記前軸
X1が、主要本体第2の軸X2および
主要本体第3の軸X3とともに、前記主要本体(4)の正規直交座標を画定し、
i.前記プレート状態ツール(3)が、前記主要本体(4)を前記冶金容器(1)の定着部分に、または前記冶金容器(1)の近傍の地面に定着させるための定着システムを備え、その場合、前記主要本体(4)の基準点と前記スライドゲート弁(2)の前記外壁(2w)の基準点との間の距離は、前記主要本体(4)が、前記スライドゲート弁第1の軸X1’に沿って、前記スライドゲート弁(2)に対して変位したときに、前記スライドゲート弁第1の軸X1’に対する最大距離D_maxを超過し得ず、
ii.前記定着システムは、前記シールホルダ(51)が、前記主要本体(4)が前記冶金容器に、または前記冶金容器(1)の近傍の地面に定着されているときに、前記スライドゲート弁(2)
のX2’X3’
平面内の前記コレクタノズル(2n)に面するように構成されており、その場合、前記コレクタノズルシールは、前記コレクタノズル(2n)を閉塞させるために、前記主要本体(4)の前記前軸X1に沿って、前記コレクタノズル(2n)に対して押圧され得、
iii.前記プレート状態ツール(3)が、機械的アクチュエータ(9)を備え、前記機械的アクチュエータ(9)が、主要本体(4)および前記シールホルダ(51)に結合されており、前記機械的アクチュエータは、少なくとも前記主要本体(4)の前記前軸X1に沿って、前記シールホルダ(51)を前記主要本体(4)に対して移動させ、(i)前記主要本体(4)が前記冶金容器(1)に、または前記冶金容器(1)の近傍の地面に定着され、かつ(ii)前記最大距離D_maxに位置するときに、前記コレクタノズルシール(52)を前記コレクタノズル(2n)に対して押圧するように構成されている、プレート状態ツール(3)。
【請求項2】
前記定着システムが、前記主要本体(4)の前記前軸X1に沿って延在する少なくとも1つの定着ロッド(31)を備え、前記定着ロッド(31)が、遠位端と、近位端と、を備え、前記近位端が、前記主要本体(4)に固定され、前記定着ロッド(31)が、その遠位端に回転定着ヘッド(311)を備え、前記
回転定着ヘッド(311)が、前記スライドゲート弁(2)の定着通路(22)内に定着されるために、前記主要本体(4)の前記前軸X1の周りで回転可能である、請求項1に記載のプレート状態ツール(3)。
【請求項3】
前記定着システムが、前記スライドゲート弁(2)の前記外壁(2w)から突出するピン(21)を受容するための前記主要本体(4)のハウジング(41)の前壁に少なくとも1つの貫通孔(11)を備え、
前記ピン(21)が、外面に少なくとも1つの溝(211)を備
え、前記定着システムが、前記ハウジング(41)の内側に結合要素(121)を備え、前記結合要素(121)が
、X2X3
平面に凹状プロファイルを備え、前記主要本体(4)の前記軸X2、X3のうちの少なくとも1つに沿って並進移動可能であり、その場合、前記結合要素(121)は、前記ピン(21)が前記貫通孔(11)に挿入された後に、その凹状プロファイルが前記ピン(21)の前記少なくとも1つの溝(211)に固着され得る位置まで移動され得る、請求項1に記載のプレート状態ツール(3)。
【請求項4】
前記定着システムが、前記主要本体(4)を支持するための脚部(321)を備え、前記脚部は、長さが調整可能であり、かつ支持基部(322)に堅固に結合されており、前記定着システムが、前記支持基部(322)を前記冶金容器(1)の近傍の地面に締結するための締結手段(323)を備える、請求項1に記載のプレート状態ツール(3)。
【請求項5】
前記機械的アクチュエータが、変形可能な壁を有する閉鎖型膨張可能チャンバ(9)を備え、前記閉鎖型膨張可能チャンバ(9)が、可変圧力まで膨張され得、前記閉鎖型膨張可能チャンバ(9)が、前記シールホルダ(51)と前記主要本体(4)の裏材壁(42)との間に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のプレート状態ツール。
【請求項6】
弾性要素(10)が、前記閉鎖型膨張可能チャンバ(9)の前記膨張に対して復元力を及ぼすように、前記主要本体(4)内に位置決めされている、請求項5に記載のプレート状態ツール。
【請求項7】
前記プレート状態ツールが、前記ガス注入デバイスによって注入された前記ガスの前記流量を測定するためのガス流量測定デバイス(7)を備え、前記コントローラ(8)が、時間変数の関数として、前記スライドゲート弁プレート(2u、2L、2m)の前記目標圧力および前記相対位置(RP)に到達するために必要なガス流量(GF)を、前記コントローラ(8)のメモリに格納するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のプレート状態ツール。
【請求項8】
前記コントローラ(8)が、前
記関数を処理して、前記関数の微分を計算することによって第1の指標を、かつ前記関数の積分を計算することによって第2の指標を抽出するように構成されている、請求項7に記載のプレート状態ツール。
【請求項9】
前記コントローラ(8)が、前記圧力レギュレータ(6)に通信可能に接続されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のプレート状態ツール。
【請求項10】
前記コントローラ(8)が、前記スライドゲート弁プレート(2u、2L、2m)の相対摺動運動を制御するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のプレート状態ツール。
【請求項11】
前記プレート状態ツールが、測距装置(13)を備え、前記測距装置(13)は、前記主要本体(4)に装着されており、かつ、前記プレート状態
ツールが前記スライドゲート弁(2)に定着されているときに、前記測距装置(13)と前記冶金容器の固定部品に装着された目標との間
の距離を測定するように構成されており、前記測距装置(13)が、前記コントローラ(8)に通信可能に接続されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のプレート状態ツール。
【請求項12】
請求項1に記載のプレート状態ツール(3)と、スライドゲート弁(2)と、を備える、部品のキットであって、前記定着システムが、前記スライドゲート弁(2)の定着部分(21、22)に定着されるように構成されている、部品のキット。
【請求項13】
請求項2に記載のプレート状態ツール(3)と、スライドゲート弁(2)と、を備え、前記プレート状態ツール(3)の前記定着システムが、前記スライドゲート弁(2)の前記外壁(2w)内の少なくとも1つの定着通路(22)に定着されるように構成されており、前記少なくとも1つの定着通路(22)が、入口部分(221)と、底部部分(222)と、を備え、前記底部部分(222)
のX2’X3’平面内の断面が、前記入口部分(221)
のX2’X3’平面内の断面よりも大きく、かつそれを包含する、請求項12に記載の部品のキット。
【請求項14】
請求項3に記載のプレート状態ツール(3)と、スライドゲート弁(2)と、を備え、前記プレート状態ツール(3)の前記定着システムが、前記スライドゲート弁(2)の前記外壁(2w)から突出する少なくとも1つのピン(21)に定着されるように構成されており、前記少なくとも1つのピン(21)が、前記少なくとも1つのピン(2
1)の前記外面に位置する、少なくとも1つの溝(211)を備えるか、または前記ピン(21)の遠位端の断面と比較して
、X2’X3’平面内の低減された断面を有する部分を備え、その場合、前記遠位端が、前記ピン(21)の定着ヘッドとして成形されている、請求項12に記載の部品のキット。
【請求項15】
(i)請求項4に記載のプレート状態ツール(3)と、(ii)前記プレート状態ツール(3)に固定可能な脚部(321)、前記脚部(321)に固定可能な支持基部(322)、および前記支持基部(322)を地面に固定するための締結手段(323)、を備える定着システムと、を備える、部品のキット。
【請求項16】
請求項1に記載のプレート状態ツール(3)と、スライドゲート弁(2)の外壁(2w)に固定されるヒートシールドと、を備え、前記ヒートシールドが、前記スライドゲート弁(2)の前記コレクタノズル(2n)を受容するための貫通孔を備え、前記プレート状態ツール(3)の前記定着システムが、前記ヒートシールドの定着部分(21、22)に定着されるように構成されている、部品のキット。
【請求項17】
請求項2に記載のプレート状態ツール(3)を備え、前記プレート状態ツール(3)の前記定着システムが、前記ヒートシールド内の少なくとも1つの定着通路(22)に定着されるように構成されており、前記少なくとも1つの定着通路(22)が、入口部分(221)と、底部部分(222)と、を備え、前記底部部分(222)
のX2’X3’平面内の断面が、前記入口部分(221)
のX2’X3’平面内の断面よりも大きく、かつそれを包含する、請求項16に記載の部品のキット。
【請求項18】
請求項3に記載のプレート状態ツール(3)と、ヒートシールドと、を備え、前記プレート状態ツール(3)の前記定着システムが、前記ヒートシールドの少なくとも1つのピン(21)に定着されるように構成されており、前記少なくとも1つのピン(21)が、前記少なくとも1つのピン(2
1)の前記外面に位置する、少なくとも1つの溝(211)を備えるか、または前記ピン(21)の遠位端の断面と比較して
、X2’X3’平面内の低減された断面を有する部分を備え、その場合、前記遠位端が、前記ピン(21)の定着ヘッドとして成形されている、請求項16に記載の部品のキット。
【請求項19】
前記スライドゲート弁が、最初に閉鎖構成で設定され、前記スライドゲート弁プレートが、前記閉鎖構成から前記開放構成に移動される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプレート状態ツールを動作させる方法。
【請求項20】
シーリングの調整のための予備ステップが実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプレート状態ツールを動作させる方法であって、前記予備ステップが、
a)前記コレクタノズルシールを前記コレクタノズル(2n)に対して押圧するように前記機械的アクチュエータを動作させることと、
b)前記コレクタノズル(2n)内の目標圧力に達するように前記ガス注入デバイスを動作させることと、
c)前記コレクタノズル(2n)内のこのような目標圧力を維持するために必要な残留ガス流量を測定することと、
d)前記測定された残留ガス流量が所定の閾値を超過する場合、前記機械的アクチュエータによって加えられる力を増加させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取鍋などの冶金容器のスライドゲート弁プレートの状態データの測定のためのツールに関する。
【背景技術】
【0002】
スライドゲート弁は、1883年から既知である。スライドゲート弁は、上流の冶金容器から下流の容器に注がれた溶融金属の流量を制御するために使用される。例えば、炉から取鍋へ、取鍋からタンディッシュへ、またはタンディッシュからインゴット鋳型へ。例えば、US-A-0311902またはUS-A-0506328は、貫通ボアを備える耐火性スライドゲート弁プレートの対が、一方が他方に対して摺動する、鋳造用取鍋の底部に配設されたスライドゲート弁を開示する。注ぎ口がレジスタ内にあるか、または部分的に重複している場合、溶融金属はスライドゲート弁を通って流れ得る(「鋳造流路」は開放されている)。一方、注ぎ口間に重複がない場合、溶融金属の流量は完全に停止される(「鋳造流路」は、閉鎖されている)。注ぎ口の部分的な重複は、溶融金属流を押さえることによって、溶融金属流の調節を可能にする。スライドゲート弁は過去数十年間で大きく進化したが、原理は同じままであり、2つのプレートの貫通ボア間の重複のレベルを制御するために、一方のプレートが他方のプレートに対して摺動している。
【0003】
スライドゲート弁プレートは、スライドゲート弁に装着されたときに厳しい状態で動作され、時間とともに摩耗するため、頻繁に交換される必要がある。したがって、一定の間隔で、冶金容器は、その内容物から空にされ、鋳造設備から離れて移動され、かつ過度の摩耗の兆候に関して確認される。ボアの摩耗およびスロットル経路の摩耗を含むスライドプレートの状態を評価するために、オペレータはスライドゲート弁を(開放構成から閉鎖構成に)単純に作動させ、プレートおよび鋳造流路の状態を目視で観察し得る。別の方法は、機械的ゲージ、いわゆる「Lゲージ」を鋳造流路に挿入することである。次に、このゲージは、スライドプレート間の界面でオペレータによって作動され、それらのスライド面の摩耗状態を評価する。この人間が動作させる方法は、オペレータの経験に強く依存する精度を有し、本質的に誤差が発生しやすい。
【0004】
JP2008/221271は、スライドゲート弁プレートが、一方が他方に対して摺動している間に、ガスが取鍋の鋳造流路のコレクタノズル(CNT)を通して注入され、スライドプレートが、開放ゲート構成から閉鎖ゲート構成まで、固定プレートに対して摺動される装置および方法を開示する。ガスは、計測機器主要本体を介して、注入ホースの助けを借りて注入される。主要本体は、耐熱パッキンまたはモルタルなどの接着材料によって、ノズルに封止されている。主要本体は、ノズルから戻ってくる空気を吸引するための吸引ホースにも接続されている。注入ホースに送られた空気の圧力は、レギュレータによって調節され、一方、吸引ホースに吸い込まれた空気の圧力は、圧力センサによって監視される。コントローラは、測定機器によって測定された吸引ホース内の圧縮およびスライドプレートの変位状態を同時に監視する。コントローラの目的は、吸引ホース内で測定された圧力が、注入ホース内に注入されたガスの圧力およびスライドプレートの対応する位置と一致するときを検出することである。スライドプレートのこの位置は、閉鎖長さLに対応し、スライドプレートは、それらの注ぎ口の間に重複がもはや存在しないため、閉鎖ゲート構成に入っている。コントローラは、このような閉鎖長さLから、スライドプレートのボア摩耗状態を推定する。
【0005】
この先行技術の文書に記載されている方法では、スライドプレートの摩耗状態は、単一の値、閉鎖長さLによって要約される。このような値は、摩耗による注ぎ口の拡大を判定するために有用であるとしても、この方法は、スライドプレートの摩耗状態をより全体的に評価する方法を提供しない。例えば、スライドプレートのスロットル経路浸食に関する信頼できる情報は、実際には推定することができないが、これは、スライドゲート弁内の溶融金属の漏出の原因となる可能性がある。さらに、この先行技術の文書からの方法は、測定機器の主要本体とコレクタノズルとの間のシーリングの品質を評価する方法を提供しない。これに関して、上述される方法および装置の信頼性は限定的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、取鍋などの冶金容器のスライドゲート弁プレートの評価のための装置を提供することである。装置は、信頼性の高い測定値を提供し、スライドプレートの摩耗状態を全体的に評価することができなければならない。
【0007】
本発明は、添付の独立請求項に定義されている。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。特に、本発明は、スライドゲート弁プレートの状態データの測定のためのプレート状態ツールであって、取鍋などの冶金容器のスライドゲート弁に結合されており、該スライドゲート弁が、スライドゲート弁第1の軸X1’に平行なコレクタノズル主軸に沿って、該スライドゲート弁の外壁から突起するコレクタノズルを備え、該スライドゲート弁第1の軸X1’が、スライドゲート弁第2の軸X2’および第3の軸X3’とともに、正規直交座標を画定し、該スライドゲート弁が、少なくとも2つのスライドゲート弁プレートを互いに対して摺動させることによって、開放構成と閉鎖構成との間で切り替えることが可能であり、該コレクタノズルは、該スライドゲート弁が開放構成にあるときに、該冶金容器の鋳造流路と流体連通しており、該プレート状態ツールが、
a)コレクタノズルを少なくとも部分的に閉塞させるための閉塞器を備える、主要本体と、
b)閉塞器を通して、コレクタノズル内のガスを目標圧力で注入するための圧力レギュレータを備える、ガス注入デバイスと、
c)ガス注入デバイスによって注入されたガスの流量を測定するためのガス流量測定デバイスまたはコレクタノズル内のガス圧力を測定するための圧力測定デバイスと、
d)ガス流量測定デバイスに、または圧力測定デバイスに通信可能に接続されており、スライドゲート弁プレートの相対位置に関する入力データを受信するように構成されている、コントローラと、を備え、
閉塞器が、コレクタノズルシールを保持するためのシールホルダを備え、該シールホルダが、少なくとも該主要本体の前軸X1に沿って、該主要本体に対して移動可能であり、該前軸X1が、主要本体第2の軸X2および主要本体第3の軸X3とともに、該主要本体の正規直交座標を画定し、
i.プレート状態ツールが、主要本体を冶金容器の定着部分に、または冶金容器の近傍の地面に定着させるための定着システムを備え、その場合、主要本体の基準点とスライドゲート弁の外壁の基準点との間の距離は、該主要本体が、該スライドゲート弁第1の軸X1’に沿って、スライドゲート弁に対して変位したときに、該スライドゲート弁第1の軸X1’に対する最大距離D_maxを超過し得ず、
ii.定着システムは、シールホルダが、主要本体が冶金容器に、または冶金容器の近傍の地面に定着されているときに、スライドゲート弁のX2’X3’ 平面内のコレクタノズルに面するように構成されており、その場合、コレクタノズルシールは、主要本体の前軸X1に沿って、該コレクタノズルを閉塞させるために、コレクタノズルに対して押圧され得、
iii.プレート状態ツールが、機械的アクチュエータを備え、該機械的アクチュエータが、主要本体およびシールホルダに結合されており、該機械的アクチュエータは、少なくとも主要本体の該前軸X1に沿って、シールホルダを主要本体に対して移動させ、(i)主要本体が冶金容器に、または冶金容器の近傍の地面に定着され、かつ(ii)最大距離D_maxに位置するときに、コレクタノズルシールをコレクタノズルに対して押圧するように構成されている、プレート状態ツールに関する。
【0008】
有利な実施形態では、定着システムが、主要本体の前軸X1に沿って延在する少なくとも1つの定着ロッドを備え、該定着ロッドが、遠位端と、近位端と、を備え、該近位端が、主要本体に固定され、該定着ロッドが、その遠位端に回転定着ヘッドを備え、該回転定着ヘッドが、スライドゲート弁の定着通路内に定着されるために、主要本体の前軸X1の周りで回転可能である。
【0009】
有利な実施形態では、定着システムが、スライドゲート弁の外壁から突出するピンを受容するための主要本体のハウジングの前壁に少なくとも1つの貫通孔を備え、該ピン(21)は外面に少なくとも1つの溝を備え、該定着システムが、ハウジングの内側に結合要素を備え、該結合要素が、X2X3平面に凹状プロファイルを備え、主要本体の該軸X2に沿って、または該軸X3に沿って並進移動可能であり、その場合、結合要素は、該ピンが貫通孔に挿入された後に、その凹状プロファイルがピンの少なくとも1つの溝に固着され得る位置まで移動され得る。
【0010】
有利な実施形態では、定着システムは、主要本体を支持するための脚部を備え、該脚部は、長さが調整可能であり、かつ支持基部に堅固に結合されており、定着システムが、支持基部を冶金容器の近傍の地面に締結するための締結手段を備える。
【0011】
有利な実施形態では、機械的アクチュエータが、変形可能な壁を有する閉鎖型膨張可能チャンバを備え、閉鎖型膨張可能チャンバが、可変圧力まで膨張され得、該閉鎖型膨張可能チャンバが、シールホルダと主要本体の裏材壁との間に配置されている。
【0012】
有利な実施形態では、弾性要素が、閉鎖型膨張可能チャンバの膨張に対して復元力を及ぼすように、主要本体内に位置決めされている。
【0013】
有利な実施形態では、プレート状態ツールが、ガス注入デバイスによって注入されたガスの流量を測定するためのガス流量測定デバイスを備え、コントローラが、時間変数の関数として、スライドゲート弁プレートの目標圧力および相対位置(RP)に到達するために必要なガス流量(GF)を該コントローラのメモリに格納するように構成されている。
【0014】
有利な実施形態では、コントローラは、ガス流量(GF)の関数を処理して、該関数の微分を計算することによって第1の指標を、かつ該関数の積分を計算することによって第2の指標を抽出するように構成されている。
【0015】
有利な実施形態では、コントローラは、圧力レギュレータに通信可能に接続されている。
【0016】
有利な実施形態では、コントローラは、スライドゲート弁プレートの相対摺動運動を制御するように構成されている。
【0017】
有利な実施形態では、プレート状態ツールが、測距装置を備え、測距装置は、主要本体に装着されており、かつ、該測距装置と冶金容器の固定部品に装着された目標との間の距離を測定するように構成されており、該測距装置が、該コントローラに通信可能に接続されている。
【0018】
本発明はまた、プレート状態ツールと、スライドゲート弁と、を備える、部品のキットに関し、定着システムが、該スライドゲート弁の定着部分に定着されるように構成されている。
【0019】
有利な実施形態では、部品のキット内のプレート状態ツールの定着システムが、該スライドゲート弁の外壁内の少なくとも1つの定着通路に定着されるように構成されており、該少なくとも1つの定着通路が、入口部分と、底部部分と、を備え、底部部分のX2’X3’平面内の断面が、入口部分のX2’X3’平面内の断面よりも大きく、かつそれを包含する。
【0020】
有利な実施形態では、部品のキット内のプレート状態ツールの定着システムが、スライドゲート弁の外壁から突出する少なくとも1つのピンに定着されるように構成されており、該少なくとも1つのピンが、該少なくとも1つのピンの外面に位置する、少なくとも1つの溝を備えるか、またはピンの遠位端の断面と比較して、X2’X3’平面内の低減された断面を有する部分を備え、その場合遠位端が、該ピンの定着ヘッドとして成形されている。
【0021】
本発明はまた、(i)プレート状態ツールと、(ii)該プレート状態ツールに固定可能な脚部、該脚部に固定可能な支持基部、および支持基部を地面に固定するための締結手段、を備える定着システムと、を備える部品のキットに関する。
【0022】
本発明はまた、プレート状態ツールと、スライドゲート弁の外壁に固定されるヒートシールドと、を備える部品のキットに関し、該ヒートシールドが、スライドゲート弁のコレクタノズルを受容するための貫通孔を備え、プレート状態ツールの定着システムが、該ヒートシールドの定着部分に定着されるように構成されている。
【0023】
有利な実施形態では、プレート状態ツールの定着システムが、ヒートシールド内の少なくとも1つの定着通路に定着されるように構成されており、該少なくとも1つの定着通路が、入口部分と、底部部分と、を備え、底部部分のX2’X3’平面内の断面が、入口部分のX2’X3’平面内の断面よりも大きく、かつそれを包含する。
【0024】
有利な実施形態では、プレート状態ツールの定着システムが、ヒートシールドの少なくとも1つのピンに定着されるように構成されており、該少なくとも1つのピンが、該少なくとも1つのピンの外面に位置する、少なくとも1つの溝を備えるか、またはピンの遠位端の断面と比較して、X2’X3’平面内の低減された断面を有する部分を備え、その場合、遠位端が、該ピンの定着ヘッドとして成形されている。
【0025】
本発明はまた、スライドゲート弁が、最初に閉鎖構成で設定され、スライドゲート弁プレートが、閉鎖構成から開放構成に移動される、本発明によるプレート状態ツールを動作させる方法に関する。
【0026】
プレート状態ツールを動作させる方法の有利な実施では、シーリングの調整のための予備ステップが実施され、該予備ステップは、
・コレクタノズルシールをコレクタノズルに対して押圧するように機械的アクチュエータを動作させることと、
・コレクタノズル内の目標圧力に達するようにガス注入デバイスを動作させることと、
・コレクタノズル内のこのような目標圧力を維持するために必要な残留ガス流量を測定することと、
・測定された残留ガス流量が所定の閾値を超過する場合、機械的アクチュエータによって加えられる力を増加させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のこれらおよびさらなる態様は、例として、かつ添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【
図1】スライドゲート弁を備える取鍋の底部の斜視図を示す。
【
図2】冶金容器の(a)2プレートおよび(b)3プレートスライドゲート弁を示す。
【
図3】本発明によるプレート状態ツールに結合されているスライドゲート弁を備える、取鍋の底部の斜視図を示す。
【
図4】スライドゲート弁に結合された、本発明による、プレート状態ツールの主要構成要素の概略図である。
【
図5】本発明による、プレート状態ツールの前方のスライドゲート弁のより詳細な斜視図を示す。
【
図6】スライドゲート弁に結合された、本発明による、プレート状態ツールの内部の側面図を示す。
【
図7】本発明による、プレート状態ツールの内部の第1の斜視図を示す。
【
図8】本発明による、プレート状態ツールの内部の第2の斜視図を示す。
【
図9】本発明による、プレート状態ツールの内部の第3の斜視図を示す。
【
図10】本発明による、プレート状態ツールの外部の第1の斜視図を示す。
【
図11】本発明による、プレート状態ツールの外部の第2の斜視図を示す。
【
図12a)】本発明による、プレート状態ツールおよびスライドゲート弁のコレクタノズルによって形成された空気圧回路を示す。
【
図12b)】
図12a)のプレート状態ツールによって形成された空気圧回路の拡大図を示す。
【
図13a)】本発明による、プレート状態ツールによって監視されるパラメータのグラフを示す。
【
図13b)】本発明による、プレート状態ツールによって監視されるパラメータのグラフを示す。
【
図14】本発明の第1の実施形態による、定着通路を備える、スライドゲート弁の前部の概略断面図および概略正面図を示す。
【
図15】その定着ヘッドが、スライドゲート弁の定着通路に挿入されるための角度で配向された、本発明の第1の実施形態による、プレート状態ツールの概略側面図および概略正面図を示す。
【
図16】その定着ヘッドが、スライドゲート弁の定着通路内に定着されるための角度で配向された、本発明の第1の実施形態による、プレート状態ツールの概略側面図および概略正面図を示す。
【
図17】本発明の第1の実施形態による、スライドゲート弁に定着される前後のプレート状態ツールの概略断面図を示す。
【
図18】本発明の第2の実施形態による、定着ロッドを備える、スライドゲート弁の前部の概略断面図および概略正面図を示す。
【
図19】スライドゲート弁の定着ロッドをプレート状態ツールの定着通路に受容するための位置にロックフォークを有する、本発明の第2の実施形態による、プレート状態ツールの概略側面図および概略正面図を示す。
【
図20】スライドゲート弁の結合ロッドの定着ヘッドをプレート状態ツールの定着通路にロックするための位置にロックフォークを有する、本発明の第2の実施形態による、プレート状態ツールの概略側面図および概略正面図を示す。
【
図21】本発明の第2の実施形態による、スライドゲート弁に定着される前後のプレート状態ツールの概略断面図を示す。
【
図22】本発明による、プレート状態ツールのシールホルダの実現のための好ましい実施形態の概略断面図を示す。
【
図23】本発明の第3の実施形態による、冶金容器の近傍の地面へのプレート状態ツールの概略断面図を示す。 なお、図は、縮尺通りに描画されていない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、摩耗した要素および改修のためのチェックが行われているワークショップにおける、横倒しの取鍋1の底部を示す。取鍋1は、該取鍋取鍋1のコレクタノズル2nを通る流量を制御するためのスライドゲート弁2を備える。上記で説明されるように、このようなスライドゲート弁2は、スライドゲート弁プレートを備える。スライドゲート弁は、2プレートまたは3プレートスライドゲート弁であり得る。
図2(a)に示されるように、2プレートスライドゲート弁は、上部スライドゲート弁プレート2uと、底部スライドゲート弁プレート2Lと、を備え、一方、
図2(b)に示されるような3プレートスライドゲートは、上部スライドゲート弁プレート2uと底部スライドゲート弁プレート2Lとの間に挟まれたミッドスライドゲート弁プレート2mをさらに備える。
【0029】
スライドゲート弁プレートは、スライドゲート弁プレートの厚さによって第2の表面2dから分離され、周辺縁によって互いに連結されたスライド面2sを備える。また、スライド面と直交する方向に延在する貫通ボア2bを備える。ミッドスライドゲート弁プレート2mの第2の表面2dもスライド面である。上部、底部、および任意選択的にミッドスライドゲート弁プレートは、それぞれ、対応する上部、底部、および任意選択的にミッドプレート支持フレーム21t、21L、21mの受容クレードル2cに結合されており、1つのプレートの少なくとも1つのスライド面2sは、第2のプレートのスライド面2sと摺動接触する。
【0030】
上部プレート支持フレーム21uは、冶金容器に対して固定され、上部スライドゲート弁プレート2uは、一般に、冶金容器の内側ノズルに結合されている。2プレートスライドゲート弁(
図2(a)参照)では、底部プレート支持フレーム21Lは、底部スライドゲート弁プレートのスライド面が上部スライドゲート弁プレートのスライド面に接触して、それに対して摺動するように、空気圧または油圧ピストン27によって駆動されて並進し得る移動可能なキャリッジである。3プレートスライドゲート弁では、底部プレート支持フレーム21Lは、上部プレート支持フレームに対して、かつ冶金容器に対して固定されている。ミッドプレート支持フレーム21mは、ミッドスライドゲート弁プレートの2つのスライド面を、上部スライドゲート弁プレートおよび下部スライドゲート弁プレートのスライド面に対してそれぞれ摺動させるのに好適な移動可能なキャリッジである。当該技術分野において周知であるように、3プレートスライドゲート弁における上部スライドゲート弁プレートの、および任意選択的に、底部スライドゲート弁プレートのスライド面に対するスライドゲート弁プレートのスライド面の摺動並進によって、2(または3)プレートの貫通ボア2b間の重複レベルの制御が可能になる。
【0031】
上記で説明されるように、スライドゲート弁プレートは、それらが動作される機械的および熱的制約のため、短い間隔で交換される必要がある。特に、いくつかの鋳造動作の後、それらのスライド面2sは浸食される可能性がある。それらの貫通ボア2bはまた、拡大され、かつ/または、それらの縁を丸くされ得る。スライドゲート弁プレートを交換するかどうかを判断するには、事前に摩耗状態を評価する必要がある。本発明は、依然として取鍋1などの冶金容器に結合されている間のスライドゲート弁プレートの摩耗状態を評価するためのプレート状態ツール3を提案する。
【0032】
図4~
図5に示されるように、本発明によるプレート状態ツール3は、コレクタノズル2nを少なくとも部分的に閉塞させるための閉塞器5を備える主要本体4を有する。閉塞器の機能は、コレクタノズル2nから流出しようとするガスの変位に対して、時に不正確に「背圧」と呼ばれる抵抗に対抗することである。
図6~
図10に示されるように、閉塞器5は、コレクタノズル2nに対して押圧されるシールを保持するためのシールホルダ51を備え得る。別の実施形態では、閉塞器5は、コレクタノズル2nのねじ山にねじ込まれたキャップを備え得る。さらに別の実施形態では、閉塞器は、例えば、セメントのおかげで、コレクタノズル2nに化学的にシーリングされたキャップを備え得る。好ましい実施形態では、閉塞器は、コレクタノズル2nの完璧な気密閉鎖部となるように構成されている。しかしながら、完璧な気密閉鎖は、本発明によるプレート状態ツールによるプレート状態試験の実施に不可欠ではない。プレート状態ツール3は、例えば、閉塞器がシーリングされ得なくなった破損したコレクタノズル2nとでも、実際に使用され得る。
【0033】
本発明の1つの必須の特徴は、閉塞器5を通して、コレクタノズル2n内のガスを目標圧力で注入するための圧力レギュレータ6を備える、ガス注入デバイスである。圧力レギュレータ6は、
図6~
図9に示されるように、プレート状態ツール3の背面のプレート上に位置し得る。圧力レギュレータは、入力圧力でガスを受容し、その出力でこのような入力圧力を所望の値、目標圧力に低減させるように構成された制御弁である。本発明では、圧力レギュレータ6は、例えば、高圧空気供給から6バールの圧力で圧縮空気を受容し、その入力とその出力との間のガス流を調節して、その出力で、1.5バールの目標圧力を維持するように構成された電子比例圧力レギュレータであり得る。ガス注入デバイスは、有利には、圧力レギュレータ6の出力6sと流体連通することが可能な供給ダクト61のおかげで、閉塞器5の貫通孔内にガスを注入するように、構成されている(
図12bを参照)。
【0034】
本発明の別の本質的な特徴は、コレクタノズル2n内のガス注入デバイスによって注入されるガスの流量を測定するように構成されたガス流量測定デバイス7、または流量計7の存在である。
図4に示されるように、このようなガス流量測定デバイス7は、有利には、圧力レギュレータ6の出力から来るガスが、コレクタノズル2nに入る前にガス流量測定デバイス7を通って流れるように、圧力レギュレータ6と閉塞器5との間に嵌合されている。ガス流量測定デバイス7の代替として、圧力測定デバイスを使用して、従来技術の文書JP2008/221271に開示されているものと同様の方法で、コレクタノズル内の圧力を測定し、スライドゲート弁プレートの貫通孔が重複するかどうかを判定するために、コレクタノズル内のこの実際の圧力値を圧力レギュレータの目標圧力設定値と比較することを可能にし得る。次いで、圧力測定デバイスは、有利には、閉塞器5を通して、コレクタノズルに嵌合されている。
【0035】
本発明の第3の本質的な特徴は、ガス流量測定デバイス7に、または圧力測定デバイスに通信可能に接続されており、スライドゲート弁プレートの相対位置に関する入力データを受信するように構成されている、コントローラ8である。このようなコントローラは、有利には、(i)ガス流量および(ii)スライドゲート弁プレートの相対位置の値を連続したタイムステップで該コントローラのメモリに格納するように構成されたPLCなどの電子コントローラである。有利な実施形態では、コントローラ8は、圧力レギュレータ6に通信可能に接続されている。次に、コントローラ8は、圧力レギュレータ6によって調節された圧力、流量計7によって測定されたガス流量、およびスライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置を監視する中央ユニットである。有利な実施形態では、コントローラ8は、空気圧または油圧ピストン27を作動させることによって、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対摺動運動を制御するようにさらに構成されている。この構成では、コントローラ8は、フルプレート状態試験を実施するために必要なスライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対摺動運動を自ら開始することが可能になる。有利な実施形態では、コントローラ8は、スライドゲート弁2が閉鎖構成から開放構成に移動される間、プレート状態試験を実施するように構成されている。コントローラ8のこのような構成の利点は、本文のさらなるセクションで考察される。
【0036】
ガス流量測定データ、または圧力測定データ、およびスライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置データを処理することによって、コントローラ8は、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの摩耗状態に関連する指標を評価することが可能になる。スライドゲート弁プレートの相対変位中に流量計7によって測定されたガス流量は、実際には、スライドゲート弁を通って流れるガスの量と強く相関する。上記で既に説明されるように、スライドゲート弁プレートが完全な状態(摩耗なし)である場合、流体は、スライド弁プレート2u、2L、2mの貫通ボア2bの間に少なくとも部分的な重複があるときにのみ、スライドゲート弁を通って流れ得る。完璧な状態にあるスライドゲート弁プレートの貫通ボア2bが既知の直径を有するため、ガス流量のプロファイルは、スライドゲート弁プレートの既知の相対位置における変動が急激な形状を有する。ガス流量のこのような急激な変動は、スライドゲート弁が最初に閉鎖ゲート(急増)にあったか、または開放ゲート構成(急激な低減)にあったかに応じて、貫通ボア2bが重複を開始するか、または停止する位置で実際に観察される。
【0037】
ガス流量のこのような急激な変動は、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置RPが閉鎖ゲート構成から開放構成に変更されるときに、時間変数に対するガス流量のグラフGFを示す
図13a)に示されている。初期ピークS1は、コレクタノズル2n内の圧力を上昇させるために必要なガス流量に対応する。ガス流量の急増S2は、貫通ボア2bが重複を開始するスライドゲート弁の相対位置に対応する。グラフNPは、圧力レギュレータ6によって監視されたガス圧力を示し、圧力レギュレータ6は、初期ガス流量ピークS1の後、その目標値1.5バーに到達する。
【0038】
図13b)は、
図13a)と同じグラフを示すが、今回は摩耗したプレートについてである。摩耗したプレートは、浸食されたスライド面2sおよび/または拡大された貫通ボア2bによって特徴付けられる。浸食された表面2sの場合、ガス流量の急増S2に先立って、貫通ボア2bが重複を開始する前に流体連通するときに生じる漏出を反映して、軽度の増加M1が生じる。摩耗したプレートが貫通ボア2bを通して拡大した場合、急増S2の左側へのシフトも観察され得る。そのコントローラ8を有するプレート状態ツール3は、GFグラフのこれらの変更を検出し、かつ定量化することを可能にする。
【0039】
一実施形態では、コントローラ8は、ガス流量のグラフGFの下の領域、すなわち、時間変数に対するガス流量の積分を計算することによって、スライド面2の浸食による漏出を定量化するように構成され得る。浸食に起因する漏出に関連する有意な物理的指標を生成するために、このような積分は、有利には、浸食漏出指標を生成するように、試験中に移動するスライドゲート弁プレートの摺動速度とともに、全体的に、例えば正規化されて示される。一方、プレートの貫通ボア2bの拡大は、急増S2のシフトを評価することによって定量化され得る。一実施形態では、急増S2の位置は、ガス流量のグラフGFの微分を計算することによって、かつこの微分の局所最大値を探すことによって見出され得る。次いで、「開口点」と呼ばれるスライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置は、グラフRPを使用することによって、この急増S2に関連付けられ得る。コントローラ8、またはコントローラ8に格納されたデータを受信するコンピューティングデバイスは、浸食による漏出が所定の閾値を超過するとき、および/または急増S2のシフトが所定の閾値を超過するときに、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mが交換されなければならない(「NO GO」判断)ことを確立するように構成され得る。好ましくは、コントローラ8、またはコントローラ8に格納されたデータを受信するコンピューティングデバイスは、浸食による漏出および急増S2のシフトの両方がそれぞれの所定の閾値を超えないときに、スライド弁プレート2u、2L、2mを交換してはならない(「GO」判断)ことを確立する。それぞれの所定の閾値は、数値シミュレーションおよび/または実験的測定値のおかげで事前に判定され得る。
【0040】
スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置のグラフRPを生成し、上記に記載された物理指標を抽出するために、コントローラ8は、該相対位置に関連付けられた電子信号を受信しなければならない。一実施形態では、このような電子信号は、移動するスライドゲート弁プレート2L、2mの変位を測定するように構成された測距装置によって提供され得る。代替的に、このような電子信号は、スライドゲート弁2の移動可能なキャリッジ21L、21mを作動させる空気圧または油圧ピストン27の制御システムから直接取得され得る。しかしながら、この実装形態は、制御システムが、十分な精度で移動するスライドゲート弁プレート2L、2mの位置を判定し得る場合にのみ有利である。
図5~
図11の実施形態では、コントローラ8は、プレート状態ツール3の主要本体4に位置する測距装置13に通信可能に接続されている。測距装置13は、冶金容器1の固定部品上に位置する
目標までの距離を測定するように構成されている。このような構成は、
図1、
図3、
図5~
図11において、スライドゲート弁2が
図2a)に記載されているタイプのものであるため可能である。このタイプのスライドゲート弁では、有利には、ヒートシールドで作製されたノズル2nおよび外面2wは、移動可能なキャリッジ21Lに装着されている。プレート状態ツール3がこの移動可能なキャリッジ21Lに結合されると、冶金容器1の固定部品に対するその変位は、固定スライドゲート弁プレート2uに対する移動スライドゲート弁プレート2Lの相対変位に対応する。
図5~
図11の実施形態では、測距装置13は、レーザ三角測量センサである。代替的に、測距装置13は、レーザ飛行時間センサまたは超音波センサであり得る。このような測距装置13が主要本体4のハウジング41の内側に装着されるとき、ハウジング41は、
図10~
図11に示されるように、レーザビームの通過のためのフレーム13aを備える。
【0041】
図5~
図12および
図14~
図22に示すプレート状態ツール3の実施形態では、閉塞器5は、コレクタノズルシール52を保持するためのシールホルダ51を備え、これは、有利には、はリング状であり、好ましくは高温耐性シールであり、その結果、プレート状態ツール3は、冶金容器が依然として高温にあるときでも、例えば、鋳造動作の直後に使用され得る。プレート状態ツール3の主要本体4は、
図5~
図12および
図14~
図21に示されるように、冶金容器1に、または
図22に示されるように、冶金容器1の近傍の地面に、定着されるための定着システムを備える。本文全体を通して、スライドゲート弁2は、冶金容器1の不可欠な部品とみなされることに留意することが重要である。定着システムは、定着時に、主要本体4の前軸X1が、スライドゲート弁2の第1の軸X1’に平行であり、コレクタノズル主軸2aに平行であり、主要本体4の基準点とスライドゲート弁2の外壁2wとの間の距離が、該スライドゲート弁第1の軸X1’に対して最大距離D_maxを超過し得ないように構成されている。スライドゲート弁2が、
図2a)に記載されるタイプの2プレートスライドゲート弁である場合、主要本体4は、有利には、移動可能なキャリッジであり、コレクタノズル2nに堅固に結合されている底部プレート支持フレーム21Lに定着されている。この構成では、主要本体4は、底部プレート支持フレーム21Lおよび対応するプレート2Lの摺動運動中に、軸X3’に対してコレクタノズル2nの下向きまたは上向きの運動に自動的に従う。スライドゲート弁が3プレートスライドゲートである場合、主要本体4はまた、有利には、スライドゲート弁2のこの場合の固定部品である底部プレート支持フレーム21に定着されている。
【0042】
図14~
図17の実施形態では、プレート状態ツール3の定着システムは、主要本体4の前軸X1に沿って延在する定着ロッド31を備える。定着ロッド31は、主要本体4に堅固に結合された近位端と、遠位端と、を備える。遠位端には、回転可能な定着ヘッド311が装着されている。回転可能な定着ヘッド311は、主要本体4の前軸X1の周りで回転可能である。このようなプレート状態ツール3の定着システムは、
図14に表されるスライドゲート弁2の外壁2wに定着されるように構成されている。このようなスライドゲート弁2の外壁2wは、定着ロッド31を受容するための定着通路22を備える。通路22は、入口部分221と、底部部分222と、を備える。底部部分222のX2’X3’平面内の断面は、入口部分221のX2’X3’平面内の断面よりも大きく、かつそれを包含する。入口部分221のX2’X3’平面内の断面は、その回転可能な定着ヘッド311が、
図15に表されるように、プレート状態ツール3をスライドゲート弁2に結合するために、軸X1の周りに挿入角度で配向されるときに、定着ロッド31が通路22内に挿入され得るような形状を有する。回転可能な定着ヘッド311が軸X1の周りに挿入角度で配向されるとき、プレート状態ツール3は、その軸X2およびX3がスライドゲート弁2の軸X2’およびX3’に実質的に平行に維持されている間、スライドゲート弁2に対して軸X1’に沿った並進によって、スライドゲート弁2に結合され得る。定着ロッド31が通路22内に、定着ヘッド311が底部部分222に到達する深さまで挿入されているとき、定着ヘッド311は、
図16に表されるように、定着角度まで回転され得る。したがって、底部部分222のX2’X3’平面の断面は、定着ヘッド311が挿入角度から軸X1の周りの定着角度に回転され得るような形状を有する。一方、入口部分221のX2’X3’平面内の断面は、
図17に表されるように、定着ヘッド311が底部部分222内にあり、かつ定着角度で配向されているとき、プレート状態ツール3が、スライドゲート弁2に定着され、主要本体4の基準点とスライドゲート弁プレート2の外壁2wの基準点との間の距離が、スライドゲート弁の第1の軸X1’に対して最大距離D_maxを超過し得ないような形状を有する。
【0043】
図5~
図22に表される実施形態では、ハウジング41の前壁は、有利には、プレート状態ツール3がスライドゲート弁2に定着されているときに、スライドゲート弁2のコレクタノズル2nを受容するための貫通孔43を備える。したがって、貫通孔43は、主要本体4の軸X2およびX3に対する位置で、ハウジング41の前壁に位置し、プレート状態ツール3がスライドゲート弁2に定着されているときに、スライドゲート弁2
のX2’X3’
平面でコレクタノズル2nに面する。
【0044】
図5~
図22に表される実施形態では、閉鎖型膨張可能チャンバ9などの機械的アクチュエータは、主要本体4に、およびシールホルダ51に結合されている。
図17および
図21に示されるように、機械的アクチュエータは、主要本体4が定着され、かつ外壁2wから最大距離D_maxに位置するときに、コレクタノズルシール52をコレクタノズル2nに対して押圧するために、少なくとも主要本体4の横軸X1に沿って、主要本体4に対してシールホルダ51を移動させるように構成されている。高温耐性シール52をコレクタノズル2nに対して押圧することによって、コレクタノズル2nを閉塞させ得る。
図5~
図22に示される実施形態では、機械的アクチュエータは、可変圧力まで膨張され得、かつシールホルダ51と主要本体4の裏材壁との間に配置されている閉鎖型膨張可能チャンバ9である。代替的に、閉鎖型膨張可能チャンバ9の代わりに、機械的アクチュエータは、規則的な線形アクチュエータであり得る。コレクタノズル2nを閉塞させるために、その結果、膨張可能チャンバ9は、横軸X1に沿って、コレクタノズル2nに向かってシールホルダ51を移動させるのに十分な力を及ぼすように、圧力下でガスによって膨張される。膨張可能チャンバ9は、最終的に、シールホルダ51によって保持されたコレクタノズルシール52を、スライドゲート弁2に対する主要本体4の潜在的な後方運動を、軸X1’の正方向に、かつ最大距離D_maxまで引き起こす前に、コレクタノズル2nに対して押圧する。この瞬間、シールホルダ51上の膨張可能チャンバ9によって加えられる力は、コレクタノズル2nに対するコレクタノズルシール52のシーリングのみのためである。シールホルダ51および膨張可能チャンバ9などの機械的アクチュエータによるコレクタノズル2nの閉塞は、シールが、プレート状態ツール3を操作するオペレータまたはロボットによって容易に実施される、簡単かつ信頼できるステップであるため、有利である。例えばセメントによる化学シーリングとは逆に、このシールホルダおよび機械的アクチュエータの使用は、さらに、清潔かつ可逆的なステップである。
【0045】
図5~12および
図18~21の実施形態では、定着システムは、ハウジング41の前壁に少なくとも1つの貫通孔11を備える。このような少なくとも1つの貫通孔11は、スライドゲート弁2の外壁2wから突出するピン21を受容し得るように構成されている。プレート状態ツール3は、ハウジング41の内側に少なくとも1つのロック機構12を備え、ロックフォー
クなどの結合要素
121は、横軸X1に垂直な軸X2に沿って機械的に作動可能である。結合要素121は、有利には、軸X1に垂直
なX2X3
平面内に凹状プロファイルを有しており、その結果、それが軸X2に沿って、アクチュエータによって該ピン21に向かって移動されるときに、対応するピン21の外面に位置する環状溝211内に固着され得る。代替的に、環状溝211の代わりに、対応するピン21は、線形上部溝および線形下部溝を備え得、これらの線形溝は、軸X2に平行である。代替的に、溝の代わりに、ピン21は、ピン21の遠位端の断面と比較して、X2’X3’平面内の低減された断面を有する部分を備え得、その場合、遠位端は、該ピン21の定着ヘッドとして成形されている。結合要素121の凹状プロファイルが、環状溝211に、ピン21の線形溝に、またはピン21の低減された断面を有する部分に固着されると、プレート状態ツール3の主要本体4は、該スライドゲート弁2に定着され、その場合、主要本体4の基準点とスライドゲート弁2の外壁2wとの間の距離は、該スライドゲート弁第1の軸X1’に対する最大距離D_maxを超過し得ない。
図5~12の実施形態では、定着システムは、ハウジング41の前壁に2つの貫通孔11と、スライドゲート弁2の外壁2wから突出する2つのピン21を受容するための対応するロックフォーク121と、を備える。スライドゲート弁2の外壁2wは、
図5の実施形態に示されるように、スライドゲート弁の前壁に固定され得るヒートシールドで作製され得る。したがって、本発明はまた、(i)スライドゲート弁2のためのヒートシールドであって、該ヒートシールドがコレクタノズル2nを受容するための貫通孔と、少なくとも1つのピン21を備える外面と、を備える、ヒートシールドと、(ii)本発明による、プレート状態ツール3であって、プレート状態ツール3の定着システムが、上述のように、少なくとも1つのピン21に固着されるように構成された、少なくとも1つのロック機構12と、を備える、部品のキットに関する。代替的に、ピン21の代わりに、ヒートシールドは、通路22を備え得る。次いで、プレート状態ツールは、上で考察され、かつ
図14~
図17の実施形態に示されるような定着ロッド31を備える。
【0046】
図22では、プレート状態ツール3のシールホルダ51の実現のための好ましい実施形態が表されている。この好ましい実施形態では、シールホルダ51は、主要本体4のX1X3平面に円錐台状の断面を有する内壁を有し、コレクタノズルシール52は、この内壁に装着されている。このような内壁の円錐台状の断面は、コレクタノズルシール52をコレクタノズル2nに対して押圧するためにシールホルダ51を移動させるときに、スライドゲート弁2のX2’X3’平面内のコレクタノズル2nに対するシールホルダ51のわずかなずれを自動的に補償し得る点で有利である。また、有利には、コレクタノズルシール52をコレクタノズル2nに対して押圧するためにシールホルダ51を移動させるときに、プレート状態ツール3の軸X1のスライドゲート弁2の軸X1’とのわずかなずれを補償し得る。この円錐台形状は、シールホルダが軸X1’に沿って、コレクタノズル2nに向かって並進されるときに、コレクタノズル2n上のシールホルダ51およびコレクタノズルシール52のセルフセンタリングを達成することを実際に可能にする。
【0047】
図23において、本発明によるプレート状態ツールの別の実施形態が示される。この実施形態において、定着システムは、主要本体4を支持するための脚部321を備える。脚は、有利には、ボルト323などの締結手段のおかげで、冶金容器1の近傍の地面に固定されている支持基部322に堅固に結合されている。脚部321は、有利には、高さを調整可能であり、その結果、高さは、プレート状態ツール3が横倒しの冶金容器1のスライドゲート弁2に結合されるために適切な大きさに微調整され得る。本発明はまた、(i)プレート状態ツール3と、(ii)脚部321、支持基部322、および支持基部322を地面に固定するための締結手段323、を備える定着システムと、を備える部品のキットに関する。
【0048】
図6~
図9に示されるように、延在して作動する螺旋ばね10などの弾性要素は、主要本体4に使用されて、閉鎖型膨張可能チャンバ9の膨張に対して復元力を及ぼし得る。弾性要素からの復元力は、例えば、プレート状態ツール3によって実施されたプレート状態試験が終了したために、膨張可能チャンバ9内の圧力が低下したときに、シールホルダ51が初期の非膨張構成を回復するのを助ける。弾性要素の役割は、高温耐性シールがホットコレクタノズル2nに対して貼着されたままであることを回避することである。
【0049】
有利な実施形態では、プレート状態ツール3の圧力レギュレータ6は、高圧ガス中に膨張可能チャンバ9も供給するように構成されている。この目的のために、
図12a)およびb)に示す空気圧回路は、プレート状態ツール3において実装され得る。このような空気圧回路は、ソレノイド弁SV2、SV3、SV4などの複数の弁を備える。ソレノイド弁SV2は、圧力レギュレータ6とコレクタノズル2nとの間の高圧ガスの流量を制御するように、圧力レギュレータ6の出力6sとシールホルダ51との間に嵌合されている。弁SV2は、
図12a)およびb)に表されるように、コレクタノズル2nが排気フィルタ(アイドル状態)に接続されている第1の状態にあり得る。弁SV2の第2の状態では、コレクタノズル2nは、圧力レギュレータ6の出力6sに接続され、流量計7はそれらの間に配置されている。
【0050】
ソレノイド弁SV3およびSV4は、圧力レギュレータ6の出力6sと膨張可能チャンバ9との間に直列に配置されている。
図12a)およびb)に表されるように、弁SV3およびSV4がそれぞれ第1の状態にあるとき、膨張可能チャンバ9は、排気フィルタ(アイドル状態)に接続されている。弁SV3がその第2の状態に移動し、弁SV4がその第1の状態のままであるとき、膨張可能チャンバ9は、圧力レギュレータ6の出力6sに接続されている。この構成は、シールホルダ51がコレクタノズル2nに向かって移動される必要があるときに、膨張可能チャンバ9を膨張させ、そのコレクタノズルシール52のおかげでシールを実行するために使用される。シーリングを実行するために膨張可能チャンバ9内で十分な圧力に達すると、弁SV4は、膨張可能チャンバ9の空気圧回路を閉鎖するように、その第2の状態に移動され得る。補助圧力計14は、有利には、膨張可能チャンバ9内の圧力を測定するように構成されている。圧力ゲージ14は、該膨張可能チャンバが弁SV4によって圧力レギュレータ6から切り離されている場合であっても、膨張可能チャンバ9内の圧力を監視することを可能にする。このような圧力計14は、膨張可能チャンバ9が閉鎖された後に、膨張可能チャンバ9に実質的な圧力変動がないことを確認するために使用されることができ、これは、膨張可能チャンバ9における潜在的な漏出または別の欠陥を示すことになる。圧力計14は、有利には、コントローラ8に通信可能に接続されている。次いで、コントローラ8は、プレート状態試験中の連続した時間ステップで膨張可能チャンバ9内の圧力の値を受信し得る。膨張可能チャンバ9内の圧力値のグラフCPは、コントローラ8によって監視された他のパラメータとともに、
図13a)およびb)に表される。
【0051】
有利な実施形態では、アンカレッジシステムのロック機構12は、空気圧で作動される。次いで、圧力レギュレータ入口6iおよびアンカレッジシステム入口12iは、有利には、
図12b)に示されるように、同じ高圧供給HPに嵌合されている。この実施形態では、アンカレッジシステムは、有利には、ロック機構12に二重作用シリンダを供給するための3つの状態を有するソレノイド弁SV1を備える。
【0052】
本発明はまた、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの状態データの測定のためのプレート状態ツール3によって実施される方法であって、
・スライドゲート弁2のコレクタノズル2nを閉塞器5で閉塞させるステップと、
・該コレクタノズル2n内の目標圧力に達するようにガス注入デバイスを動作させるステップと、
・時間間隔の間にガス注入デバイスによって注入された該ガスの流量を測定するステップと、
・該時間間隔の間に、スライドゲート弁2を閉鎖構成から開放構成へ、または開放構成から閉鎖構成へ移動させるステップと、
・該時間間隔の間のスライドゲート弁プレート2u、2L、2mの相対位置を測定するステップと、
・上で考察される浸食漏出指標または開口点指標などの、スライドゲート弁プレート2u、2L、2mの計算状態指標を計算するステップと、
・該状態指標を、完璧な状態のスライドゲート弁プレートに対応する該状態指標の理想値と比較し、それに応じて、該スライドゲート弁プレート2u、2L、2mについて「GO」または「NO GO」判断を発行するステップと、を含む、方法に関する。
【0053】
この方法の好ましい実装では、スライドゲート弁2は、閉鎖構成から開放構成に移動される。これは、実際に、閉塞器5によるコレクタノズル2nの閉塞の品質を評価するための予備ステップを実施することを可能にする。
【0054】
本方法の好ましい実施態様では、「GO」判断は、浸食漏出指標と開始点指標との両方とそれらのそれぞれの理想値との差がそれぞれの所定の閾値を超過しないときに発行される。
【0055】
本発明はまた、プレート状態ツール3を動作させるための方法に関する。本発明による方法では、プレート状態ツール3は、スライドゲート弁2が閉鎖構成から開放構成に移動されている間、プレート状態試験を実施するように動作される。
図13a)およびb)のグラフを生成するために使用されるこの方法は、閉塞器5とコレクタノズル2nとの間のシールの品質を確認し得るため、有利である。GFグラフの初期ピークS1の直後にガス流量測定デバイス7によって測定された残留ガス流量は、実際に、閉塞器5とコレクタノズル2nとの間のシールの品質の良好な指標を提供する。残留ガス流量の値が所定の閾値を超過するとき、プレート状態ツール3は、有利には、閉塞器5とコレクタノズル2nとの間のシーリングの誤動作があることを示すアラート信号を送信するように構成されている。
【0056】
閉塞器5が、コレクタノズル2nに対して高温シールに可変の大きさの力を及ぼすように作動可能な可動シールホルダ51を備える場合、シーリングの調整のための以下の予備ステップは、有利には、本発明による方法において実施され、該予備ステップは、
・コレクタノズルシールをコレクタノズル2nに対して押圧するように機械的アクチュエータを動作させることと、
・コレクタノズル2n内の目標圧力に達するようにガス注入デバイスを動作させることと、
・コレクタノズル2n内のこのような目標圧力を維持するために必要な残留ガス流量を測定することと、
・測定された残留ガス流量が所定の閾値を超過する場合、機械的アクチュエータによって加えられる力を増加させることと、を含む。
【0057】
このような予備ステップは、残留ガス流量が所定の閾値を下回って低下するまで数回実施され得、次いで、閉塞器5とコレクタノズル2nとの間のシーリングが十分であるとみなされる。
【0058】
残留ガス流量が、上述されるようないくつかの予備ステップの後で所定の閾値を下回らない場合、プレート状態ツール3は、次いで、有利には、コレクタノズル2nまたは高温シールに欠陥が存在する可能性があることを示すアラート信号を送信するように構成されている。
【0059】
コレクタノズルシール52の状態を確認するためのシールチェックステップが実施され得、該シールチェックステップは、
・閉鎖空洞に装着されたコレクタノズル2nの完璧な状態のレプリカに対してコレクタノズルシール52を押圧するように機械的アクチュエータを動作させることと、
・コレクタノズル2nのレプリカ内の目標圧力に達するようにガス注入デバイスを動作させることと、
・コレクタノズル2nのレプリカ内のこのような目標圧力を維持するために必要な残留ガス流量を測定することと、
・測定された残留ガス流量が所定の閾値を超過する場合、機械的アクチュエータによって加えられる力を増加させることと、を含む。
【0060】
このようなシールチェックステップは、残留ガスの流量が所定の閾値を下回り、コレクタのノズルシールが良好な状態であるとみなされるまで、数回実施され得る。次いで、プレート状態ツール3は、有利には、スライドゲート弁2のコレクタノズル2nに欠陥があることを示すアラート信号を送信するように構成されている。
【0061】
残留ガス流量が、上述されるようないくつかのシールチェックステップの後で所定の閾値を下回らない場合、プレート状態ツール3は、次いで、有利には、高温シールに欠陥が存在することを示すアラート信号を送信するように構成されている。