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7580421作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241101BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20241101BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20241101BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20241101BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241101BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241101BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/00 X
G08G1/09 V
E02F9/20 N
G16Y40/30
G16Y20/20
G16Y10/40
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022070689
(22)【出願日】2022-04-22
(65)【公開番号】P2023160361
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平中 貴士
(72)【発明者】
【氏名】小西 翔太
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
(72)【発明者】
【氏名】岡野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 駿
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/123660(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/037741(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/171097(WO,A1)
【文献】特開2017-117328(JP,A)
【文献】特開2019-046013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0132422(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108919803(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102016009255(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
E02F 3/42 - 3/43
E02F 3/84 - 3/85
E02F 9/20 - 9/22
G05D 1/00 - 1/87
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場を走行する無人車両の走行継続に係る優先度と前記無人車両の種類及び状態との関係を示す第2相関データを記憶する優先度記憶部と、
前記優先度を指定する入力信号を取得する入力信号取得部と、
前記第2相関データと前記入力信号とに基づいて、前記作業現場を走行する複数の無人車両のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する決定部と、
走行停止が決定された無人車両に走行停止指令を出力する出力部と、を備える、
作業現場の管理システム。
【請求項2】
前記優先度は、前記入力信号により走行継続させる無人車両及び走行停止させる無人車両を指定し、
前記決定部は、前記優先度に基づいて、前記作業現場を走行する複数の無人車両のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する、
請求項1に記載の作業現場の管理システム。
【請求項3】
前記入力信号は、第1入力信号と、第2入力信号とを含み、
前記第1入力信号により走行停止される無人車両の優先度と、前記第2入力信号により走行停止される無人車両の優先度とは、異なる、
請求項2に記載の作業現場の管理システム。
【請求項4】
前記入力信号は、入力装置が操作されることにより生成される、
請求項に記載の作業現場の管理システム。
【請求項5】
前記作業現場の状況を示す状況データを取得する状況データ取得部と、
前記状況データに基づいて、前記入力信号を生成する入力信号生成部と、を備える、
請求項に記載の作業現場の管理システム。
【請求項6】
前記優先度は、前記無人車両の種類及び状態の少なくとも一方に基づいて定められる、
請求項に記載の作業現場の管理システム。
【請求項7】
前記無人車両の状況に基づいて、前記走行停止指令により走行停止するか否かを判定する判定部を備え、
走行停止しないと判定された場合、前記無人車両は走行継続される、
請求項に記載の作業現場の管理システム。
【請求項8】
作業現場を走行する無人車両の走行継続に係る優先度と前記無人車両の種類及び状態との関係を示す第2相関データを記憶することと、
前記優先度を指定する入力信号を取得することと、
前記第2相関データと前記入力信号とに基づいて、前記作業現場を走行する複数の無人車両のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定することと、
走行停止が決定された無人車両に走行停止指令を出力することと、を含む、
作業現場の管理方法。
【請求項9】
前記優先度は、前記入力信号により走行継続させる無人車両及び走行停止させる無人車両を指定し、
前記優先度に基づいて、前記作業現場を走行する複数の無人車両のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する、
請求項8に記載の作業現場の管理方法。
【請求項10】
前記入力信号は、第1入力信号と、第2入力信号とを含み、
前記第1入力信号により走行停止される無人車両の優先度と、前記第2入力信号により走行停止される無人車両の優先度とは、異なる、
請求項9に記載の作業現場の管理方法。
【請求項11】
前記入力信号は、入力装置が操作されることにより生成される、
請求項に記載の作業現場の管理方法。
【請求項12】
前記作業現場の状況を示す状況データを取得することを含み、
前記入力信号は、前記状況データに基づいて生成される、
請求項に記載の作業現場の管理方法。
【請求項13】
前記優先度は、前記無人車両の種類及び状態の少なくとも一方に基づいて定められる、
請求項に記載の作業現場の管理方法。
【請求項14】
前記無人車両の状況に基づいて、前記走行停止指令により走行停止するか否かを判定することを含み、
走行停止しないと判定された場合、前記無人車両は走行継続される、
請求項に記載の作業現場の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場の管理システム及び作業現場の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業現場の管理システムに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、鉱山機械運行管理システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-117328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場においては、複数の無人車両が同時に走行する。作業現場にアクシデントが発生した場合、全ての無人車両を走行停止させることが好ましい場合と、一部の無人車両を走行継続させることが好ましい場合とがある。
【0005】
本開示は、無人車両の走行停止と走行継続とを適正に決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、作業現場を走行する無人車両の走行継続に係る優先度を記憶する優先度記憶部と、無人車両の走行停止に係る入力信号を取得する入力信号取得部と、優先度と入力信号とに基づいて、作業現場を走行する複数の無人車両のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する決定部と、走行停止が決定された無人車両に走行停止指令を出力する出力部と、を備える、作業現場の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、無人車両の走行停止と走行継続とが適正に決定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る作業現場を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る作業現場の管理システムを示す模式図である。
図3図3は、実施形態に係る作業現場の管理システムを示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る優先度と入力信号との関係を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る優先度と無人車両の種類及び状態との関係を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る作業現場の管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業現場]
図1は、実施形態に係る作業現場10を示す模式図である。作業現場10として、鉱山又は採石場が例示される。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。採石場とは、石材を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。
【0011】
作業現場10において、第1無人車両1と第2無人車両2とが稼働する。無人車両とは、運転者による運転操作によらずに無人で稼働する車両をいう。第1無人車両1及び第2無人車両2は、所定の作業を実施する作業車両でもよいし、作業車両でなくてもよい。
【0012】
実施形態において、第1無人車両1は、無人で作業現場10を走行する軽量車両である。実施形態においては、第1無人車両1を適宜、無人ライトビークル1、と称する。
【0013】
実施形態において、第2無人車両2は、無人で作業現場10を走行する重量車両である。実施形態において、第2無人車両2は、作業車両である。第2無人車両2は、積荷を運搬する運搬作業を実施する運搬車両である。実施形態においては、第2無人車両2を適宜、無人ダンプトラック2、と称する。
【0014】
作業現場10は、積込場3、排土場4、駐機場5、待機場6、及び走行路7を含む。
【0015】
積込場3とは、無人ダンプトラック2に積荷を積載する積込作業が実施されるエリアをいう。積荷として、積込場3において掘削された掘削物が例示される。積込場3において、積込機8が稼働する。積込機8として、油圧ショベルが例示される。
【0016】
排土場4とは、無人ダンプトラック2から積荷が排出される排土作業が実施されるエリアをいう。排土場4に、破砕機9が設けられる。
【0017】
駐機場5とは、無人ダンプトラック2が駐機するエリアをいう。
【0018】
待機場6とは、無人ライトビークル1が待機するエリアをいう。
【0019】
走行路7とは、無人ライトビークル1及び無人ダンプトラック2の少なくとも一方が走行するエリアをいう。走行路7は、少なくとも積込場3と排土場4とを繋ぐように設けられる。実施形態において、走行路7は、積込場3、排土場4、駐機場5、及び待機場6のそれぞれに繋がる。
【0020】
無人ライトビークル1は、積込場3、排土場4、待機場6、及び走行路7のそれぞれを走行することができる。無人ダンプトラック2は、積込場3、排土場4、駐機場5、及び走行路7のそれぞれを走行することができる。無人ダンプトラック2は、例えば積込場3と排土場4とを往復するように走行路7を走行する。
【0021】
[管理システム]
図2は、実施形態に係る作業現場10の管理システム11を示す模式図である。管理システム11は、管理装置12と、通信システム13とを備える。管理装置12は、無人ライトビークル1及び無人ダンプトラック2の外部に配置される。管理装置12は、作業現場10の管制施設14に設置される。管理装置12は、コンピュータシステムを含む。通信システム13として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。
【0022】
作業現場10において、複数の無人ライトビークル1が稼働する。作業現場10において、複数の無人ダンプトラック2が稼働する。一例として、図2には、無人ライトビークル1として、第1無人ライトビークル1Aと、第2無人ライトビークル1Bと、第3無人ライトビークル1Cとが示されている。一例として、図2には、無人ダンプトラック2として、第1無人ダンプトラック2Aと、第2無人ダンプトラック2Bとが示されている。
【0023】
第1無人ライトビークル1Aの種類と第2無人ライトビークル1Bの種類と第3無人ライトビークル1Cの種類とは、異なる。作業現場10で稼働する第1無人ライトビークル1Aの台数は、1台でもよいし複数台でもよい。作業現場10で稼働する第2無人ライトビークル1Bの台数は、1台でもよいし複数台でもよい。作業現場10で稼働する第3無人ライトビークル1Cの台数は、1台でもよいし複数台でもよい。また、無人ライトビークル1の種類は、3種類に限定されず、1種類又は2種類でもよいし、4種類以上でもよい。
【0024】
第1無人ダンプトラック2Aの種類と第2無人ダンプトラック2Bの種類とは、異なる。作業現場10で稼働する第1無人ダンプトラック2Aの台数は、1台でもよいし複数台でもよい。作業現場10で稼働する第2無人ダンプトラック2Bの台数は、1台でもよいし複数台でもよい。また、無人ダンプトラック2の種類は、2種類に限定されず、1種類でもよいし、3種類以上でもよい。
【0025】
以下の説明においては、無人ライトビークル1及び無人ダンプトラック2を適宜、無人車両100、と総称する。なお、作業現場10で稼働する無人車両100は、無人ライトビークル1及び無人ダンプトラック2に限定されない。無人車両100は、散水車両又は積込車両のような作業車両を含んでもよい。複数の無人車両100のそれぞれは、作業現場10を走行することができる。
【0026】
管理装置12は、通信システム13を介して複数の無人車両100のそれぞれと無線通信することができる。
【0027】
実施形態において、管理装置12は、複数の無人車両100のそれぞれに走行条件を示す走行データを送信する。無人車両100は、管理装置12から送信された走行データに基づいて作業現場10を走行する。走行データは、無人車両100の目標走行経路を示す走行パス、及び走行パスを走行するときの無人車両100の目標走行速度を含む。無人車両100は、走行パスに従って走行する。なお、無人車両100は、走行パスを利用せずに作業現場10を走行してもよい。無人車両100は、例えば作業現場10のマップデータに基づいて作業現場10を走行してもよい。無人車両100の位置を検出する位置センサが無人車両100に設けられている場合、無人車両100は、位置センサの検出データに基づいて、自己の位置を確認しながら作業現場10を走行することができる。位置センサとして、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して無人車両100の位置を検出するGNSS受信機が例示される。
【0028】
管理装置12は、複数の無人車両100のそれぞれに、走行開始指令及び走行停止指令を送信することができる。無人車両100は、走行停止状態で走行開始指令を受信した場合、走行開始する。無人車両100は、走行状態で走行停止指令を受信した場合、走行停止する。無人車両100は、走行状態で走行停止指令を受信しない場合、走行継続する。
【0029】
図3は、実施形態に係る作業現場10の管理システム11を示すブロック図である。
【0030】
管理装置12は、コンピュータシステムを含む。管理装置12は、処理回路16と、記憶回路17と、通信インタフェース18とを有する。
【0031】
無人車両100は、コントローラ25を有する。コントローラ25は、コンピュータシステムを含む。
【0032】
処理回路16は、演算処理及び制御指令の出力処理を実施する。処理回路16として、プロセッサが例示される。プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)が例示される。コンピュータプログラムが記憶回路17に記憶される。処理回路16は、記憶回路17からコンピュータプログラムを取得して実行することにより、所定の機能を発揮する。
【0033】
記憶回路17は、処理回路16に接続される。記憶回路17は、データを記憶する。記憶回路17として、不揮発性メモリ又は揮発性メモリが例示される。不揮発性メモリとして、ROM(Read Only Memory)又はストレージが例示される。ストレージとして、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が例示される。揮発性メモリとして、RAM(Random Access Memory)が例示される。
【0034】
通信インタフェース18は、処理回路16に接続される。通信インタフェース18は、管理装置12と無人車両100のコントローラ25との間の通信を制御する。通信インタフェース18は、通信システム13を介して無人車両100のコントローラ25と通信する。
【0035】
管理装置12に第1入力装置15A及び第2入力装置15Bが接続される。第1入力装置15A及び第2入力装置15Bのそれぞれは、管制施設14において管理者に操作される。第1入力装置15A及び第2入力装置15Bとして、コンピュータ用キーボード、プッシュボタン、マウス、又はタッチパネルが例示される。
【0036】
記憶回路17は、優先度記憶部19を有する。処理回路16は、入力信号取得部20と、決定部21と、出力部22と、状況データ取得部23と、入力信号生成部24とを有する。コントローラ25は、判定部26を有する。
【0037】
優先度記憶部19は、作業現場10を走行する無人車両100の走行継続に係る優先度を記憶する。優先度は、無人車両100の種類及び無人車両100の状態の少なくとも一方に基づいて予め定められる。
【0038】
入力信号取得部20は、無人車両100の走行停止に係る入力信号を取得する。入力信号は、第1入力装置15Aが操作されることにより生成される。管理者は、第1入力装置15Aを操作して、無人車両100の走行停止に係る入力信号を生成することができる。入力信号取得部20は、第1入力装置15Aから、無人車両100の走行停止に係る入力信号を取得する。
【0039】
決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている優先度と、入力信号取得部20により取得された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する。
【0040】
優先度は、入力信号により走行継続させる無人車両100及び走行停止させる無人車両100を指定する。決定部21は、優先度に基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する。
【0041】
出力部22は、走行停止が決定された無人車両100に走行停止指令を出力する。走行停止指令は、通信システム13を介して、走行停止が決定された無人車両100に送信される。
【0042】
状況データ取得部23は、作業現場10の状況を示す状況データを取得する。状況データは、第2入力装置15Bが操作されることにより取得される。管理者は、第2入力装置15Bを操作して、作業現場10の状況を示す状況データを管理装置12に入力することができる。状況データ取得部23は、第2入力装置15Bから、作業現場10の状況を示す状況データを取得する。なお、作業現場10の状況を検出する状況センサが作業現場10に配置されている場合、状況データ取得部23は、状況センサから状況データを取得してもよい。
【0043】
作業現場10の状況は、作業現場10に発生したアクシデントを含む。作業現場10に発生したアクシデントの種類として、火災、地震による土砂崩れ、大雨による洪水、豪雪、車両事故、又は人身事故が例示される。状況データは、作業現場10に発生したアクシデントの種類、規模、及び発生場所を含む。
【0044】
入力信号生成部24は、状況データに基づいて、無人車両の走行停止に係る入力信号を生成する。第1入力装置15Aが操作されずに、状況データ取得部23が状況データを取得した場合、入力信号取得部20は、状況データに基づいて、無人車両の走行停止に係る入力信号を生成する。入力信号取得部20は、入力信号生成部24により生成された入力信号を入力信号生成部24から取得する。
【0045】
判定部26は、無人車両100の状況に基づいて、走行停止指令により走行停止するか否かを判定する。判定部26は、管理装置12からの走行停止指令を受信しても、無人車両100の状況に基づいて、無人車両100を走行継続させることが適切であると判定した場合、走行停止しないと判定する。走行停止しないと判定部26により判定された場合、無人車両100は走行継続される。
【0046】
無人車両100の状況は、無人車両100の周囲の影響を含む。例えば、無人車両100が道幅の狭い走行路7を走行しているときに走行停止指令を受信した場合、走行停止指令に基づいて直ちに走行停止してしまうと、走行路7を塞いでしまうことになり、その結果、走行継続が決定された他の無人車両100の走行を妨げてしまう可能性がある。判定部26は、走行停止指令に基づいて無人車両100を直ちに走行停止させることが不適切であると判定した場合、無人車両100を走行停止させないと判定する。無人車両100は、例えば道幅の広い走行路7に到達するまで走行継続される。
【0047】
また、無人車両100の状況は、無人車両100が走行している路面の状況を含む。例えば、無人車両100が泥濘んだ路面を走行しているときに走行停止指令を受信した場合、走行停止指令に基づいて直ちに走行停止してしまうと、スタックしてしまう可能性がある。判定部26は、走行停止指令に基づいて無人車両100を直ちに走行停止させることが不適切であると判定した場合、無人車両100を走行停止させないと判定する。無人車両100は、例えば乾いた路面の走行路7に到達するまで走行継続される。
【0048】
[優先度]
図4は、実施形態に係る優先度と入力信号との関係を示す図である。管理者は、第1入力装置15Aを操作することにより、複数種類の入力信号を生成することができる。第1入力装置15Aが操作されることにより生成される入力信号は、少なくとも、第1入力信号と、第2入力信号とを含む。図4に示す例において、入力信号は、第1入力信号と、第2入力信号と、第3入力信号とを含む。
【0049】
第1入力信号により走行停止される無人車両100の優先度と、第2入力信号により走行停止される無人車両100の優先度と、第3入力信号により走行停止される無人車両100の優先度とは、異なる。
【0050】
第1入力装置15Aが操作され、第1入力信号が入力信号取得部20により取得された場合、走行継続される無人車両100は、優先度1及び優先度2の無人車両100であり、走行停止される無人車両100は、優先度3の無人車両100である。
【0051】
第1入力装置15Aが操作され、第2入力信号が入力信号取得部20により取得された場合、走行継続される無人車両100は、優先度1の無人車両100であり、走行停止される無人車両100は、優先度2及び優先度3の無人車両100である。
【0052】
第1入力装置15Aが操作され、第3入力信号が入力信号取得部20により取得された場合、走行継続される無人車両100は無く、走行停止される無人車両100は、優先度1、優先度2、及び優先度3の無人車両100である。
【0053】
図4に示したような、優先度と入力信号との関係を示す第1相関データは、予め定められ、優先度記憶部19に記憶されている。
【0054】
図5は、実施形態に係る優先度と無人車両100の種類及び状態との関係を示す図である。無人車両100の走行継続に係る優先度は、無人車両100の種類及び状態の少なくとも一方に基づいて定められる。無人車両100の状態は、無人車両100の走行状態を含む。
【0055】
図5は、無人車両100の種類が、無人ダンプトラック2、通常用途で使用される第1の無人ライトビークル1、通常用途で使用される第2の無人ライトビークル1、及び緊急用途で使用される第3の無人ライトビークル1である場合を示す。
【0056】
無人ダンプトラック2の状態は、無人ダンプトラック2のダンプボディに積荷が積載されている状態で走行する積荷状態と、積荷が積載されていない状態で走行する空荷状態とを含む。積荷状態の無人ダンプトラック2は、優先度2の無人車両100であり、空荷状態の無人ダンプトラック2は、優先度3の無人車両100である。
【0057】
第1の無人ライトビークル1の状態は、緊急を要する目的のために走行する緊急状態と、緊急を要しないで走行する通常状態とを含む。緊急状態の第1の無人ライトビークル1は、優先度1の無人車両100である。通常状態の第1の無人ライトビークル1は、優先度3の無人車両100である。
【0058】
第2の無人ライトビークル1の状態は、搭乗者が搭乗している状態で走行する搭乗状態と、搭乗者が搭乗しない状態で走行する非搭乗状態とを含む。搭乗状態の第2の無人ライトビークル1は、優先度2の無人車両100である。非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1は、優先度3の無人車両100である。
【0059】
第3の無人ライトビークル1の状態は、緊急を要する目的のために走行する緊急状態を含む。緊急状態の第3の無人ライトビークル1は、優先度1の無人車両100である。
【0060】
図5に示したような、優先度と無人車両100の種類及び状態との関係との関係を示す第2相関データは、予め定められ、優先度記憶部19に記憶されている。
【0061】
作業現場10にアクシデントが発生した場合、管理者は、作業現場10に発生したアクシデントの種類、規模、及び発生場所に基づいて、第1入力信号、第2入力信号、及び第3入力信号のいずれか一つの入力信号が生成されるように、第1入力装置15Aを操作する。アクシデントの種類、規模、及び発生場所に基づいて、生成すべき入力信号がマニュアルとして予め定められている場合、管理者は、マニュアルに基づいて、第1入力信号、第2入力信号、及び第3入力信号のいずれか一つの入力信号が生成されるように、第1入力装置15Aを操作することができる。
【0062】
第1入力装置15Aにより第1入力信号、第2入力信号、及び第3入力信号のいずれか一つの入力信号が生成され、入力信号取得部20が第1入力装置15Aにより生成された入力信号を取得した場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている優先度に係る第1相関データ及び優先度に係る第2相関データと、入力信号取得部20により取得された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する。
【0063】
第1入力信号が生成された場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている第1相関データ及び第2相関データと、入力信号取得部20により取得された第1入力信号とに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0064】
第2入力信号が生成された場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている第1相関データ及び第2相関データと、入力信号取得部20により取得された第2入力信号とに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0065】
第3入力信号が生成された場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている第1相関データ及び第2相関データと、入力信号取得部20により取得された第3入力信号とに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0066】
なお、入力信号は、第1相関データを使用せずに、第2相関データに基づいて、走行継続させる無人車両100の優先度及び走行停止させる無人車両100の優先度を指定してもよい。
【0067】
入力信号が優先度を指定する指定信号を含む場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶される第2相関データと、入力信号取得部20により取得された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する。
【0068】
第1入力信号が優先度3の無人車両100を走行停止させる指定信号を含む場合、決定部21は、第1入力信号と第2相関データとに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0069】
第2入力信号が優先度2及び優先度3の無人車両100を走行停止させる指定信号を含む場合、決定部21は、第2入力信号と第2相関データとに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行継続し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0070】
第3入力信号が優先度1、優先度2、及び優先度3の無人車両100を走行停止させる指定信号を含む場合、決定部21は、第3入力信号と第2相関データとに基づいて、優先度1の無人車両100である緊急状態の第1の無人ライトビークル1及び緊急状態の第3の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度2の無人車両100である積荷状態の無人ダンプトラック2及び搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止し、優先度3の無人車両100である空荷状態の無人ダンプトラック2、通常状態の第1の無人ライトビークル1、及び非搭乗状態の第2の無人ライトビークル1が走行停止するように決定する。
【0071】
入力信号は、第1入力装置15Aの操作により生成されてもよいし、作業現場10の状況を示す状況データに基づいて生成されてもよい。状況データに基づいて入力信号を生成する場合、管理者は、第2入力装置15Bを操作して、作業現場10に発生したアクシデントの種類、規模、及び発生場所を含む状況データを管理装置12に入力する。状況データ取得部23は、状況データを取得する。入力信号生成部24は、状況データに基づいて、例えば、第1入力信号、第2入力信号、及び第3入力信号のいずれか一つの入力信号を生成する。入力信号取得部20は、入力信号生成部24から入力信号を取得する。決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている第1相関データ及び第2相関データと、状況データに基づいて生成された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定してもよい。なお、入力信号が優先度を指定する指定信号を含む場合、決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている第2相関データと、状況データに基づいて生成された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定してもよい。
【0072】
[管理方法]
図6は、実施形態に係る作業現場10の管理方法を示すフローチャートである。
【0073】
入力信号取得部20は、無人車両100の走行停止に係る入力信号を取得する。入力信号取得部20は、第1入力装置15Aから入力信号を取得してもよいし、入力信号生成部24から入力信号を取得してもよい(ステップS1)。
【0074】
決定部21は、優先度記憶部19から優先度を取得する。実施形態において、優先度記憶部19には、図4に示したような優先度に係る第1相関データと、図5に示したような優先度に係る第2相関データとが記憶されている。決定部21は、優先度記憶部19から第1相関データ及び第2相関データを取得する。なお、入力信号が優先度を指定する指定信号を含む場合、決定部21は、優先度記憶部19から第2相関データのみを取得してもよい(ステップS2)。
【0075】
決定部21は、優先度記憶部19に記憶されている優先度と、入力信号取得部20により取得された入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する(ステップS3)。
【0076】
出力部22は、走行停止が決定された無人車両100に走行停止指令を出力する。走行停止指令は、通信システム13を介して走行停止が決定された無人車両100に送信される(ステップS4)。
【0077】
走行停止指令を受信した無人車両100は、走行停止する。なお、判定部26は、無人車両100の状況に基づいて、走行停止指令により走行停止するか否かを判定する。走行停止しないと判定部26により判定された場合、無人車両100は走行継続される。
【0078】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、管理システム11は、作業現場10を走行する無人車両100の走行継続に係る優先度を記憶する優先度記憶部19と、無人車両100の走行停止に係る入力信号を取得する入力信号取得部20と、優先度と入力信号とに基づいて、作業現場10を走行する複数の無人車両100のそれぞれについて走行継続又は走行停止を決定する決定部21と、走行停止が決定された無人車両100に走行停止指令を出力する出力部22と、を備える。これにより、無人車両100の走行停止と走行継続とが適正に決定される。
【0079】
作業現場10にアクシデントが発生した場合、全ての無人車両100を走行停止させることが好ましい場合と、一部の無人車両100を走行継続させることが好ましい場合とがある。アクシデントの種類、規模、及び発生場所によっては、緊急を要する目的のために走行する無人車両100を走行継続させることが好ましい場合がある。実施形態によれば、無人車両100の走行継続に係る優先度が予め定められる。入力信号により優先度が指定されることにより、無人車両100の走行停止と走行継続とが適正に決定される。
【0080】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、コントローラ25の機能の少なくとも一部が管理装置12に設けられてもよいし、管理装置12の機能の少なくとも一部がコントローラ25に設けられてもよい。例えば、上述の実施形態において、管理装置12が、判定部26の機能を有してもよい。例えば、無人車両100の状況を示す車両データが通信システム13を介して管理装置12に送信され、管理装置12において、無人車両100を走行停止するか否かが判定されてもよい。
【0081】
上述の実施形態において、管理装置12の複数の機能が別々のハードウエアにより構成されてもよい。すなわち、優先度記憶部19、入力信号取得部20、決定部21、出力部22、状況データ取得部23、及び入力信号生成部24のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…無人ライトビークル(第1無人車両)、1A…第1無人ライトビークル、1B…第2無人ライトビークル、1C…第3無人ライトビークル、2…無人ダンプトラック(第2無人車両)、2A…第1無人ダンプトラック、2B…第2無人ダンプトラック、3…積込場、4…排土場、5…駐機場、6…待機場、7…走行路、8…積込機、9…破砕機、10…作業現場、11…管理システム、12…管理装置、13…通信システム、14…管制施設、15A…第1入力装置、15B…第2入力装置、16…処理回路、17…記憶回路、18…通信インタフェース、19…優先度記憶部、20…入力信号取得部、21…決定部、22…出力部、23…状況データ取得部、24…入力信号生成部、25…コントローラ、26…判定部、100…無人車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6