(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241101BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241101BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241101BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H01M10/44 Q
H01M10/48 Z
H02J13/00 301A
H02J13/00 301J
H02J7/00 P
(21)【出願番号】P 2022074388
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】國府田 遼
(72)【発明者】
【氏名】椛澤 明
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-097333(JP,A)
【文献】特開2014-050291(JP,A)
【文献】特開2014-039388(JP,A)
【文献】特開2012-110170(JP,A)
【文献】国際公開第2021/038683(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出する導出部と、
前記導出部により導出された前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる表示制御部と、
前記車両が充電中であるか否かを判定する充電判定部と、
前記充電判定部により前記車両が充電中であると判定された場合に、前記車両の位置情報に基づいて充電設備を特定する設備特定部と、を備え、
前記取得部は、前記設備特定部により特定された充電設備の識別情報に基づいて充電を行った電力の由来情報を取得す
る、
表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記電力の由来情報ごとに識別可能な表示態様で前記バッテリの残量を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記バッテリに充電された電力の消費に伴い、仮想的に前記環境負荷度合に応じた順番で消費しているように前記バッテリの残量を示す画像を生成し、生成した画像を表示させる、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、仮想的に前記環境負荷度合の低い電力から消費しているように前記バッテリの残量を示す画像を生成する、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記導出部は、前記由来情報に応じて異なる色を前記環境負荷度合として導出し、
前記表示制御部は、前記バッテリの残量を前記由来情報に応じた前記異なる色を混合した色で示した画像を前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記車両が外部から給電する場合に、充電端子から所定距離以内の位置に設けられるインジケータランプまたは前記表示部に表示させる充電中を示す画像の色を前記環境負荷度合に応じた色で表示させる、
請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出するとともに前記環境負荷度合に応じて異なる色を割り当てる導出部と、
前記車両の現在の消費電力と前記由来情報とを仮想的に対応付けて前記導出部により導出された前記環境負荷度合に対応する色で前記車両の所定の部位を点灯表示させる表示制御部と、
前記車両が充電中であるか否かを判定する充電判定部と、
前記充電判定部により前記車両が充電中であると判定された場合に、前記車両の位置情報に基づいて充電設備を特定する設備特定部と、を備え、
前記取得部は、前記設備特定部により特定された充電設備の識別情報に基づいて充電を行った電力の由来情報を取得す
る、
表示制御装置。
【請求項8】
コンピュータが、
車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得し、
取得した前記由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出し、
導出した前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させ、
前記車両が充電中であるか否かを判定し、
前記車両が充電中であると判定された場合に、前記車両の位置情報に基づいて充電設備を特定し、
特定された充電設備の識別情報に基づいて充電を行った電力の由来情報を取得す
る、
表示制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得させ、
取得された前記由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出させ、
導出された前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させ、
前記車両が充電中であるか否かを判定させ、
前記車両が充電中であると判定された場合に、前記車両の位置情報に基づいて充電設備を特定させ、
特定された充電設備の識別情報と前記車両の位置情報とに基づいて充電を行った電力の由来情報を取得させ
る、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池を搭載する車両における充給電に関する研究開発が行われている。これに関連して、環境付加価値の高い電力を安定して市場に流通させるために、電動車両に搭載されたバッテリに充電する際の系統電力と再生可能エネルギーとをユーザから求められた割合で調整して提供する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、二次電池を搭載する車両における充給電に関する技術においては、過去の充電履歴も含めて現在のバッテリ残量における電力由来を把握することができず、充電後の電動車両の走行に伴う環境負荷を感覚的に把握することが困難であった。そのため、ユーザに対し、環境に良いエネルギーの利用を促すことができない場合があった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、上記課題の解決のため、ユーザに対し、より環境に良いエネルギーの利用を促すことができる表示制御装置、表示制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとしたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る表示制御装置、表示制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る表示制御装置は、車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出する導出部と、前記導出部により導出された前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる表示制御部と、を備える表示制御装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記車両が充電中であるか否かを判定する充電判定部と、前記充電判定部により前記車両が充電中であると判定された場合に、前記車両の位置情報に基づいて充電設備を特定する設備特定部と、を更に備え、前記取得部は、前記設備特定部により特定された充電設備から充電を行った電力の由来情報を取得するものである。
【0008】
(3):上記(1)の態様において、前記表示制御部は、前記電力の由来情報ごとに識別可能な表示態様で前記バッテリの残量を前記表示部に表示させるものである。
【0009】
(4):上記(1)の態様において、前記表示制御部は、前記バッテリに充電された電力の消費に伴い、仮想的に前記環境負荷度合に応じた順番で消費しているように前記バッテリの残量を示す画像を生成し、生成した画像を表示させるものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記表示制御部は、仮想的に前記環境負荷度合の低い電力から消費しているように前記バッテリの残量を示す画像を生成するものである。
【0011】
(6):上記(4)の態様において、前記導出部は、前記由来情報に応じて異なる色を前記環境負荷度合として導出し、前記表示制御部は、前記バッテリの残量を前記由来情報に応じた前記異なる色を混合した色で示した画像を前記表示部に表示させるものである。
【0012】
(7):上記(1)の態様において、前記表示制御部は、前記車両が外部から給電する場合に、充電端子から所定距離以内の位置に設けられるインジケータランプまたは前記表示部に表示させる充電中を示す画像の色を前記環境負荷度合に応じた色で表示させるものである。
【0013】
(8):この発明の他の一態様に係る表示制御装置は、車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出するとともに前記環境負荷度合に応じて異なる色を割り当てる導出部と、前記車両の現在の消費電力と前記由来情報とを仮想的に対応付けて前記導出部により導出された前記環境負荷度合に対応する色で前記車両の所定の部位を点灯表示させる表示制御部と、を備える表示制御装置である。
【0014】
(9):この発明の一態様に係る表示制御方法は、コンピュータが、車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得し、取得した前記由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出し、導出した前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる、表示制御方法である。
【0015】
(10):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得させ、取得された前記由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出し、導出された前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)~(10)の態様によれば、ユーザに対し、より環境に良いエネルギーの利用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る表示制御装置を搭載した車両を含む電力管理システム1の構成図である。
【
図2】実施形態に係る車両Mの構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態の管理サーバ200の構成の一例を示す図である。
【
図7】バッテリ残量を第1の表示態様で表示させた画像IM10の一例を示す図である。
【
図8】バッテリ残量を第2の表示態様で表示させた画像IM20の一例を示す図である。
【
図9】第1の表示態様における電力消費に伴う表示内容の変化について説明するための図である。
【
図10】由来情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の表示制御装置、表示制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、以下では、表示制御装置が車両(以下、車両M)に搭載されているものとする。車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いはバッテリ(蓄電池の一例)の放電電力を使用して動作する。以下、車両Mは、例えば、BEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)やHEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド電気自動車)等、車載バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する電動車両であるものとする。
【0019】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る表示制御装置を搭載した車両を含む電力管理システム1の構成図である。電力管理システム1は、例えば、車両Mと、管理サーバ200と、充電設備300とを備える。電力管理システム1は、複数の車両Mおよび充電設備300が管理されてよい。車両Mと、管理サーバ200と、充電設備300とは、例えば、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、例えば、セルラー網や、Wi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局等を含む。
【0020】
車両Mは、車両Mに搭載されたバッテリの充電状況に関する情報や車両Mの位置に関する情報等を、ネットワークNWを介して管理サーバ200に送信したり、管理サーバ200から送信された情報を受信し、受信した情報を車両Mに乗車中のユーザ(運転者)等に提供する。
【0021】
管理サーバ200は、電力管理システム1が管理するバッテリ充電用の充電設備300のそれぞれの位置情報と、充電設備300から供給される電力の由来情報、電力に対するGHG(Green House Gas)排出量を管理する。由来情報とは、例えば、供給される電力がどのような設備または材料等から生成されたものかを示す情報である。設備には、例えば、風力発電設備や太陽光発電設備、地熱発電設備、火力発電設備、原子力発電設備、水力発電設備等が含まれる。また、設備には、再生可能エネルギーの発電設備か否かを示す情報が含まれてもよい。また、材料には、例えば、非化石、液化天然ガス(LNG)、石炭等が含まれる。また、GHG排出量とは、例えば、所定の電力量を発電(生成)するために、温室効果ガスがどの程度排出されるかを示す指標値(電力係数)である。温室効果ガスには、例えばCO2が含まれる。例えば、電力係数が小さいほど、GHG排出量が小さく、環境負荷への影響度合(環境負荷度合)が小さいことを意味する。例えば、管理サーバ200は、例えば、ネットワークNWを介して電力会社や充電設備300の管理会社等から、充電設備300の位置情報、由来情報、電力係数等の情報を取得し、取得した情報を管理する。
【0022】
充電設備300は、車両Mに搭載されたバッテリを充電するための設備である。充電設備300は、例えば、自宅や商業施設の駐車場、バッテリ販売店(例えば、ディーラー)、充電スポット等に設けられる。また、充電設備300は、例えば、充電設備300で充電中の車両Mや管理サーバ200と通信する通信機能を備えていてもよい。車両Mと通信する場合、充電設備300は、有線(例えば、後述する信号ケーブル)を介して通信してもよく、無線により通信してもよい。例えば、充電設備300は、車両Mの位置情報や、車両Mに搭載されたバッテリに関する情報を取得し、取得した情報を、ネットワークNWを介して管理サーバ200に送信する。また、充電設備300は、管理サーバ200から受信した情報(例えば、由来情報や電力係数に関する情報)を車両Mに送信してもよい。
【0023】
次に、車両M、管理サーバ200のそれぞれの機能について具体的に説明する。
[車両]
図2は、実施形態に係る車両Mの構成の一例を示す図である。車両Mは、例えば、モータ12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、PCU(Power Control Unit)30と、バッテリ40と、バッテリセンサ42と、通信装置50と、充電口(充電端子の一例)70と、インジケータランプ72と、表示部80と、ナビゲーション装置90と、表示制御装置100とを備える。
【0024】
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12のロータは、駆動輪14に連結される。モータ12は、供給される電力を用いて動力を駆動輪14に出力する。また、モータ12は、車両Mの減速時に車両Mの運動エネルギーを用いて発電する。モータ12による発電エネルギーは、バッテリ40の充電に用いられてもよい。
【0025】
ブレーキ装置16は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータとを備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダルの操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置16は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。ブレーキ装置16が作動すると、モータ12が回生電流を発生させる。この回生電流によるエネルギー(回生エネルギー)は、バッテリ40の充電に用いられてよい。
【0026】
車両センサ20は、例えば、アクセル開度センサと、車速センサと、ブレーキ踏量センサと、位置センサ(位置取得部の一例)と、温度センサとを備える。アクセル開度センサは、アクセルペダルに取り付けられ、アクセルペダルの操作量をアクセル開度として検出する。車速センサは、例えば、各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両の速度(車速)を導出する。ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、ブレーキペダルの操作量をブレーキ踏量として検出する。位置センサは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機(不図示)により車両Mの位置情報を取得する。温度センサは、車外温度または車内温度を検出する。上述の各センサによって取得した各情報は、制御部36または表示制御装置100に出力される。
【0027】
PCU30は、例えば、変換器32と、VCU(Voltage Control Unit)34と、制御部36と、を備える。なお、これらの構成要素をPCU30として一まとまりの構成としたのは、あくまで一例であり、これらの構成要素は分散的に配置されても構わない。
【0028】
変換器32は、例えば、AC-DC変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、VCU34を介してバッテリ40が接続されている。変換器32は、モータ12により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力する。
【0029】
VCU34は、例えば、DC―DCコンバータである。VCU34は、バッテリ40から供給される電力を昇圧して直流リンクDLに出力する。
【0030】
制御部36は、例えば、モータ制御部と、ブレーキ制御部と、バッテリ・VCU制御部と、を備える。モータ制御部、ブレーキ制御部、及びバッテリ・VCU制御部は、それぞれ別体の制御装置、例えば、モータECU、ブレーキECU、バッテリECUといった制御装置に置き換えられてもよい。
【0031】
制御部36は、モータ制御部において、車両センサ20の出力に基づいて、モータ12を制御する。制御部36は、ブレーキ制御部において、車両センサ20の出力に基づいて、ブレーキ装置16を制御する。制御部36は、バッテリ・VCU制御部において、バッテリ40に取り付けられたバッテリセンサ42の出力に基づいて、バッテリ40のSOCを算出し、VCU34および表示制御装置100に出力する。SOCの算出および出力は、所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。制御部36は、車両センサ20により車速が出力された車速の情報を表示制御装置100に出力する。VCU34は、バッテリ・VCU制御からの指示に応じて、直流リンクDLの電圧を上昇させる。また、制御部36は、モータ12からの発電エネルギー量や回生エネルギー量を取得する。また、制御部36は、バッテリセンサ42から取得した情報に基づいてバッテリ40の劣化度合を推定したり、バッテリ40の劣化状態の学習を行ってもよい。
【0032】
バッテリ40は、例えば、リチウムイオン電池や全固体電池等の二次電池である。バッテリ40は、車両Mの走行用の電力を蓄える。例えば、バッテリ40は、車両Mの充電口70を介して外部の充電設備300から供給される電力を蓄えて充電し、車両Mの走行のための放電を行う。また、バッテリ40は、上述した発電エネルギーや回生エネルギーによって車両Mの走行用の電力等を蓄えてもよい。
【0033】
充電口70は、車両Mの車体外部に向けて設けられている。充電口70は、充電ケーブル320を介して充電設備300に接続される。充電ケーブル320は、例えば、第1プラグ322と第2プラグ324を備える。第1プラグ322は、充電設備300に接続され、第2プラグ324は、充電口70に接続される。充電設備300から供給される電気は、充電ケーブル320を介して充電口70に供給される。また、充電ケーブル320は、電力ケーブルに付設された信号ケーブルを含む。信号ケーブルは、車両Mと充電設備300との間の通信を仲介する。したがって、第1プラグ322と第2プラグ324のそれぞれには、電力ケーブルを接続する電力コネクタと信号ケーブルを接続する信号コネクタが設けられている。また、充電口70とバッテリ40の間には、接続回路(不図示)が設けられてよい。接続回路は、充電設備300から供給される直流電力を、第1プラグ322、充電ケーブル320、第2プラグ324、及び充電口70を介してバッテリ40に伝達する。また、接続回路は、バッテリ40から伝達される直流電力を、充電口70、第2プラグ324、充電ケーブル320、第1プラグ322を介して充電設備300に供給してもよい。なお、車両Mには、充電口70や後述するインジケータランプ72を覆い隠す蓋部(充電ポートリッド)が設けられていてもよい。蓋部は、例えば、車室内に設けられたスイッチ等によって、閉状態から開状態に遷移する。
【0034】
インジケータランプ72は、例えば、バッテリ40が充電中である場合に点灯するランプであり、点灯によって充電中であることをユーザ等に視認させることができる。インジケータランプ72は、例えば、充電口70付近(充電口70から所定距離以内)に設置される。また、インジケータランプ72は、充電口70付近に加えて(または代えて)、車室内に設けられてもよい。また、インジケータランプ72の点灯する色や、点灯、点滅、および消灯等の制御は、表示制御装置100によって行われる。
【0035】
バッテリセンサ42は、例えば、電流センサ、電圧センサ、温度センサを備える。バッテリセンサ42は、例えば、各センサによりバッテリ40の電流値、電圧値、温度を検出する。また、バッテリセンサ42は、車両Mが充電設備300から供給される電力によって充電中であるか否を検出してもよい。例えば、バッテリセンサ42は、第2プラグ324が充電口70に接続されている場合に、充電中であることを検出する。また、車両Mが充電設備300と非接触で充電可能な構成を有する場合、バッテリセンサ42は、充電設備300との通信結果やバッテリ40の充電状態に基づいて、どの充電設備300から供給された電力によって充電中であるかを示す情報を検出してもよい。また、バッテリセンサ42は、バッテリ40の充電回数や充電量を計測してもよい。充電回数は、例えば、充電設備300によってバッテリ40が充電された回数である。また、充電回数は、上述した発電エネルギーや回生エネルギーによってバッテリ40に充電された回数を含めてもよく、含めなくてもよい。また、充電量についても、上述した発電エネルギーや回生エネルギーによってバッテリ40に充電された電力量を含めてもよく、含めなくてもよい。また、バッテリセンサ42は、車両Mの走行等によって消費したバッテリ40の電力量(消費電力量)を検出してもよい。バッテリセンサ42は、検出した情報や充電回数を制御部36または表示制御装置100に出力する。
【0036】
通信装置50は、セルラー網やWi-Fi網を接続するための無線モジュールを含む。通信装置50は、制御部36および表示制御装置100からの情報を、ネットワークNWを介して管理サーバ200に送信する。また、通信装置50は、管理サーバ200により送信された情報を受信し、受信した情報を表示制御装置100に出力する。
【0037】
表示部80は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。表示部80は、例えば、車室内のステアリングホイールが設けられた運転席の前方のインストルメントパネルに設けられた車速計等の計器類を備えるメータパネル部に設置される。また、表示部80は、例えば、車室内のインストルメントパネルの中央付近に設置される。また、表示部80は、他の車載装置(例えば、ナビゲーション装置90)のHMI(Human machine Interface)が備える表示部であってもよい。表示部80は、表示制御装置100の制御に基づいて車両Mに乗車するユーザに提供する情報(例えば、バッテリ40の利用に関する情報、交通案内、車両情報)を表示する。また、表示部80は、タッチパネル等であってもよく、この場合にユーザからの指示を受け付けてもよい。また、表示部80には、点灯や点滅によってバッテリ40等の車両Mの状態を表示させることが可能な部位(機器)が含まれてもよい。部位には、例えば、デイタイムランニングライト(DRL)やエンブレム等の車体の外側に設けられた灯体や、アンビエントライトやルームランプの照明機器、その他のインジケータ等の車室内に設けられた灯体が含まれる。
【0038】
ナビゲーション装置90は、例えば、GNSS受信機や案内制御部、地図情報を記憶した記憶部等を有する。GNSS受信機は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両Mの位置を特定する。車両Mの位置は、車両センサ20の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。案内制御部は、例えば、GNSS受信機により特定された車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、乗員により入力された目的地までの経路を、地図情報を参照して決定し、車両Mが経路に沿って走行するように表示制御装置100を介して表示部80に案内情報を出力させる。地図情報は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。地図情報は、道路の車線数や曲率、POI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。また、地図情報には、充電設備300の位置情報や充電設備300を特定するための情報(識別情報)等を含んでもよい。地図情報は、後述する表示制御装置100の記憶部160に格納されていてもよい。ナビゲーション装置90は、通信装置を介してナビゲーションサーバに車両Mの現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから経路を取得してもよい。
【0039】
表示制御装置100は、例えば、充電判定部110と、設備特定部120と、取得部130と、導出部140と、表示制御部150と、記憶部160とを備える。充電判定部110と、設備特定部120と、取得部130と、導出部140と、表示制御部150とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性記憶媒体)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0040】
記憶部160は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。記憶部160には、例えば、バッテリ情報162、表示態様情報164、プログラム、その他各種情報が格納される。また、記憶部160には、地図情報が格納されていてもよい。バッテリ情報162および表示態様情報164の詳細については、後述する。
【0041】
充電判定部110は、車両Mのバッテリ40が充電中であるか否かを判定する。例えば、充電判定部110は、例えば、車両センサ20の位置センサにより検出される車両Mの位置情報に基づいてナビゲーション装置90の地図情報を参照し、車両Mの位置が充電設備300の設置位置から所定距離以内の位置であって、且つ、上述の第2プラグ324が充電口70に接続されている場合に充電中であると判定する。また、第2プラグ324が充電口70に接続されている場合に代えて、充電口70が第2プラグ324と接続可能な状態である場合であってもよい。接続可能な状態である場合とは、例えば、蓋部(充電ポートリッド)が開状態であることである。また、充電判定部110は、所定時間あたりにバッテリ40に充電される電力量が閾値以上である場合に充電中であると判定してもよい。また、充電判定部110は、バッテリセンサ42から得られる情報に基づいてバッテリ40が充電中であるか否かを判定してもよい。また、充電判定部110は、モータ12からの発電エネルギーや回生エネルギーによる充電を、充電中ではないと判定してもよい。
【0042】
設備特定部120は、充電判定部110によりバッテリ40が充電中であると判定された場合に、電力を充電している充電設備300を特定する。例えば、設備特定部120は、充電ケーブル320に付設された信号ケーブルを介して充電設備300から充電設備300を特定するための情報を取得してもよく、車両Mの位置情報に基づいて地図情報を参照し充電設備を特定するための情報を取得してもよい。また、設備特定部120は、充電設備300の位置情報を取得してもよい。
【0043】
取得部130は、車両センサ20や制御部36、バッテリセンサ42から出力される情報、および通信装置50により受信される情報を取得する。通信装置50により受信される内容には、管理サーバ200から送信される情報が含まれる。また、取得部130は、設備特定部120により特定された充電設備300を特定するための情報(例えば、識別情報)を管理サーバ200に送信し、管理サーバ200から充電設備300が供給する電力の由来情報を含む情報を取得する。
【0044】
また、取得部130は、取得した由来情報を含む情報をバッテリ情報162として記憶部160に格納する。
図3は、バッテリ情報162の一例を示す図である。バッテリ情報162には、充電日時および充電場所に、電力量と、由来関連情報とが対応付けられている。充電日時には、例えば、充電を開始した時刻や終了した時刻が格納される。充電場所には、例えば、設備特定部120により充電中の充電設備300の位置情報や識別情報が格納される。電力量は、その充電場所において充電された電力量が格納される。なお、電力量には、バッテリ40が充電可能な最大電力量のうち、どの程度の電力量が充電されたかを示す値(例えば、割合[%])が格納されてもよい。由来関連情報は、由来情報を含む情報であり、例えば、由来情報や、由来に対応付けられた電力係数に関する情報が含まれる。バッテリ情報162により、バッテリ40に充電された電力を、例えば電力係数が異なる電力として仮想的に区別して管理することができる。
【0045】
また、取得部130、バッテリ情報162を、現在のバッテリ残量として管理してもよい。この場合、バッテリ情報162に格納された電力量の合計値(P1+P2+P3)がバッテリ残量として管理される。
【0046】
また、取得部130は、バッテリセンサ42から車両Mの走行等によって消費した電力量を取得し、取得した電力量に基づいて、バッテリ情報162を更新してもよい。この場合、取得部130は、由来関連情報に基づいて予め設定された優先順位に基づいて、電力が消費されているように更新させる。優先順位は、例えば、環境負荷度合または電力係数が小さい方からの順位である。また、優先順位は、環境負荷度合または電力係数の大きい方からの順位でもよい。
【0047】
導出部140は、取得部130により取得された由来情報等に基づいて、バッテリ40に充電された電力の環境負荷度合(環境負荷の影響度合)を導出する。例えば、導出部140は、バッテリ情報162を参照し、バッテリ40に充電された電力の由来(電力係数)ごとの環境負荷度合を導出する。また、導出部140は、バッテリ情報162を参照し、バッテリ40に充電された電力(バッテリ残量)における由来ごとの構成比率(どの由来の電力がバッテリ残量の何割含まれるか)を環境負荷度合として導出してもよい。
【0048】
ここで、具体例について説明する。例えば、バッテリ情報162に2つの異なる由来(由来A、由来B)における電力量が格納されており、由来Aは由来Bよりも電力係数が小さいものとする。この場合において、導出部140は、バッテリ残量の80%が由来Aの電力であり、20%が由来Bの電力である場合の環境負荷度合を20/(80+20)=0.2として導出する。なお、環境負荷度合の導出は所定の関数(計算式)を用いてもよく、由来ごとの構成比率を入力すると環境負荷度合が出力される学習済みモデルを用いて導出されてよい。また、由来ごとの構成比率と、環境負荷度合とが対応付けられた対応テーブルを予め記憶部160等に記憶しておき、その対応テーブルを用いて環境負荷度合を導出してもよい。また、例えばバッテリ残量の80%が由来Aの電力であり、20%が由来Bの電力である場合の環境負荷度合は、バッテリ残量の50%が由来Aの電力であり、50%が由来Bの電力である場合よりも小さい値となる。また、導出部140は、取得部130により取得された由来情報に基づいてバッテリ40に充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出するとともに、環境負荷度合に応じて異なる色を割り当ててもよい。
【0049】
表示制御部150は、車両センサ20や制御部36、バッテリセンサ42、通信装置50、ナビゲーション装置90等から得られる車両Mに関する情報等を表示部80に表示させる。例えば、表示制御部150は、車両Mが外部(充電設備300)から給電する場合に、車両Mが充電中であることを示す情報をインジケータランプ72や表示部80に表示させる。また、表示制御部150は、導出部140により導出された結果に基づいて、環境負荷度合をバッテリ40の残量の内訳に対応付けた画像を生成し、生成した画像を表示部80に表示させる。また、表示制御部150は、記憶部160に記憶された表示態様情報164を参照し、電力の由来ごと(または由来に応じた環境負荷度合や電力係数ごと)に表示させる色等を決定し、残量に応じた色の画像を生成して、表示部80に表示させる。
【0050】
図4は、表示態様情報164の一例を示す図である。表示態様情報164は、例えば、由来関連情報と電力係数と表示態様とが対応付けられた情報である。表示態様には、例えば、色合いに関する情報、点滅の有無、模様、文字のフォントや大きさに関する情報が含まれる。
図4の例では、環境負荷度合(由来または電力係数)ごとに異なる色で表示されるような情報が格納されている。
図4の例では、由来関連情報に対応付けられた電力係数が小さいほど、明るい色合いで表示されるような情報が格納されているが、これに限定されるものではない。表示制御部150は、
図4に示す表示態様に基づいて、バッテリ残量を表示させることで、バッテリ40に充電された電力の由来をユーザに提供することができる。なお、表示制御部150は、車両Mが仮想的に使用している電力の電力係数に応じた音を、車両Mに搭載されたスピーカ(音声出力部の一例)から出力させてもよい。上述した表示制御装置100において表示される画像(例えば、バッテリ残量を示す画像)の具体例については、後述する。
【0051】
[管理サーバ]
図5は、実施形態の管理サーバ200の構成の一例を示す図である。管理サーバ200は、例えば、サーバ側通信部210と、入力部220と、出力部230と、サーバ側制御部240と、サーバ側記憶部250とを備える。管理サーバ200は、例えば、車両Mや充電設備300とネットワークNWを介して互いに通信し、各種データを送受信するクラウドサーバとして機能してもよい。
【0052】
サーバ側通信部210は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth等を利用して、ネットワークNWを介して車両Mややその他の外部装置と通信する。サーバ側通信部210は、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含んでもよい。
【0053】
入力部220は、例えば、ボタン、キーボードやマウス等のユーザインターフェースである。入力部220は、サーバ管理者等の操作を受け付ける。入力部220は、出力部230の表示部と一体として構成されるタッチパネルであってもよい。
【0054】
出力部230は、サーバ管理者等に情報を出力する。出力部230は、例えば、画像を表示する表示部と、音声を出力する音声出力部とを備える。表示部は、例えば、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置を含む。表示部は、サーバ側制御部240により出力される情報の画像を表示する。音声出力部は、例えば、スピーカである。音声出力部は、サーバ側制御部240により出力される情報の音声を出力する。
【0055】
サーバ側制御部240は、例えば、管理部242と、取得部244と、提供部246とを備える。サーバ側制御部240の各構成要素は、例えば、CPU等のプロセッサがサーバ側記憶部250に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、サーバ側制御部240の構成要素の一部または全部は、LSI、ASIC、FPGA、またはGPU等のハードウェア(回路部;circuitry)により実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。上述のプログラムは、予め管理サーバ200のHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM、メモリカード等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置やカードスロット等に装着されることで管理サーバ200の記憶装置にインストールされてもよい。
【0056】
サーバ側記憶部250は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM、ROM、RAM等により実現されてもよい。サーバ側記憶部250には、例えば、設備管理情報252、プログラム、およびその他各種情報等が格納される。
【0057】
管理部242は、充電設備300ごとに設置位置および供給される電力の由来情報を含む情報を管理する。また、管理部242は、車両Mのユーザの自宅に充電設備300が存在する場合に、電力会社や契約情報等に基づき自宅から供給される電力の由来情報を含む情報を管理してもよい。
【0058】
例えば、管理部242は、上述の情報を設備管理情報252としてサーバ側記憶部250に記憶して管理する。
図6は、設備管理情報252の一例を示す図である。設備管理情報252は、例えば、充電設備300の識別情報である充電設備IDに位置情報と生成由来情報とが対応付けられた情報である。位置情報は、例えば、緯度・経度の情報である。例えば、商業設備の駐車場に複数の充電スポットが存在する場合には、充電スポットごとに管理される。
【0059】
取得部244は、車両Mまたは充電設備300から電力の由来情報の問い合わせがあった場合に、問い合わせと共に送信された車両Mの位置情報または充電設備300の識別情報に基づいて、設備管理情報252を参照し、合致する充電施設IDまたは地情報に対応付けられた由来関連情報を取得する。提供部246は、取得部244により取得された情報を問い合わせがあった車両Mまたは充電設備300に送信する。
【0060】
[バッテリ残量を示す画像の表示態様]
次に、実施形態におけるバッテリ残量を示す画像の表示態様の例について説明する。表示制御部150は、バッテリ40に充電された電力量(バッテリ残量)について、導出部140により導出された環境負荷度合について、由来ごとに識別可能な表示態様で表示させた画像を生成し、生成した画像を表示部80に表示させる。
【0061】
図7は、バッテリ残量を第1の表示態様で表示させた画像IM10の一例を示す図である。
図7に示す画像IM10には、バッテリ40を擬した画像IM12と、由来情報ごとの電力量を擬した画像IM14-1~IM14-4とが示されている。また、画像IM10には、各由来の内容を示す情報が表示されていてもよい。
図7の例において、由来A~Dのうち、由来Aの電力係数が最も小さく、由来B、由来C、由来Dの順に大きいものとする。
【0062】
例えば、表示制御部150は、バッテリ情報162に格納されているバッテリ40に充電された電力量の構成比率に基づいて環境負荷度合を由来ごとに区分けし、バッテリ残量の内訳情報と疑似的に表現した画像IM14-1~IM14-4を生成して表示部80に表示させる。これにより、ユーザに、車両Mのバッテリ40に充電された電力がどのような由来から生成された電力であるかの内訳を把握させ易くすることができる。したがって、ユーザは、充電された電力がクリーン(環境にやさしい、エコロジー)であるかを容易に判別することができる。
【0063】
また、表示制御部150は、バッテリ40に充電された電力量(バッテリ残量)について、環境負荷度合ごとに対応付けられた異なる色で混合してバッテリ残量全体を表示させてもよい。
図8は、バッテリ残量を第2の表示態様で表示させた画像IM20の一例を示す図である。
図8に示す画像IM20には、バッテリ40を擬した画像IM22と、環境負荷度合に応じた色で残量を表示した画像IM24を示している。ここで、環境負荷度合ごとに対応付けられた色とは、例えば、電力の由来ごと(または電力係数ごと)に対応付けられた色である。例えば、バッテリ40に充電された電力の由来が、由来Aと由来Bと由来Cである場合、表示制御部150は、それぞれに対応付けられた色を均等に混合した色でバッテリ残量を示す画像IM24を生成する。また、表示制御部150は、由来Aと由来Bと由来Cにおけるそれぞれの構成比率に応じて、色の混合比率を調整してもよい。これにより、例えば、バッテリ残量が同一であっても由来Aの構成比率が多いほど、由来Aに対応付けられた色に近い色でバッテリ残量が表示されるため、電力の由来の内訳をある程度把握することができる。第2の表示態様によって、第1の表示態様と同様に、充電された電力がどの程度クリーンであるか(電力係数が低い電力であるか)を、ユーザに把握させ易くすることができる。
【0064】
なお、表示制御部150は、第1の表示態様と第2の表示態様において、それぞれの由来における構成比率や電力量を示す数値を表示してもよい。また、表示制御部150は、第1の表示態様と第2の表示態様を所定の条件に基づいて切り替えて表示させてもよい。表示制御部150は、例えばユーザの選択によって表示態様を切り替えてもよく、バッテリ残量が閾値以上の場合は第2の表示態様で表示させ、閾値未満となった場合に第1の表示態様で表示させてもよい。
【0065】
なお、表示制御部150は、バッテリ40に充電された電力の消費に伴い、仮想的に環境負荷度合(由来または電力係数と言い換えてもよい)に応じた順番で消費しているようにバッテリ40の残量を示す画像を生成してもよい。
【0066】
図9は、第1の表示態様における電力消費に伴う表示内容の変化について説明するための図である。
図9の例では、上述した第1の表示態様における画像IM10が示されている。例えば、表示制御部150は、バッテリ40に充電された電力量に基づき、電力の消費に伴って電力係数が小さい(環境負荷度合が小さい)電力から優先的に減少させた画像IM20を生成し、生成した画像IM20を表示部80に表示させる。
図9の例では、電力係数が最も低い由来Aの残量表示を減少させている。これにより、ユーザは、バッテリ40の電力消費によって、クリーンな電力が減っていると擬似的に視認させることができ、電力係数が小さい由来の電力で充電しようとする意思を持たせ易くすることができる。
【0067】
また、第2の表示態様における画像表示の場合、表示制御部150は、バッテリ40の電力消費に伴い、電力係数が小さい(環境負荷度合が小さい)電力から優先的に減少させ、減少させたときの環境負荷度合(電力係数、由来)ごとの構成比率に応じて、色の混合比率を逐次変化させた画像を生成して表示部80に表示させる。第2の表示態様における画像表示では、バッテリ40が充電中である場合にも色の混合比率が逐次変化して表示される。
【0068】
なお、表示制御部150は、モータ12からの発電エネルギーや回生エネルギーによってバッテリが充電される場合には、バッテリ残量や混合色の逐次変化させなくてもよい。モータ12からの発電エネルギー量や回生エネルギー量は、充電設備300からの電力量に比べて小さいため、発電エネルギー量や回生エネルギー量によって混合色が頻繁に変化して色がちらつくのを抑制することができる。また、第1の表示態様または第2の表示態様において、表示制御部150は、モータ12からの発電エネルギーや回生エネルギーによってバッテリ40が充電される場合には、それぞれのエネルギー量を充電設備300からのエネルギー量とは識別可能な表示態様で表示させてもよい。これにより、ユーザに対し、バッテリ40に充電された電力の由来情報等をより詳細に提供することができる。
【0069】
また、表示制御部150は、車両Mが外部(充電設備300)から給電している場合(車両Mが充電中である場合)に、インジケータランプ72または表示部80の所定位置を点灯させる。この場合、表示制御部150は、充電中の電力の環境負荷度合(または由来、電力係数)に対応付けられた色を表示させる。これにより、ユーザに現在どのような由来の電力が充電されているのかをより明確に把握させることができる。
【0070】
また、表示制御部150は、車両Mが充電設備300に到着した時点で、車両Mの位置情報により特定された充電設備300が供給する電力の由来情報を取得し、取得した由来情報を充電が開始される前に表示部80に表示させてもよい。これにより、ユーザは、事前に充電しようとしている電力の由来を把握することができるため、充電設備300を変更する等の対応によってエコ充電を促進させることができる。
【0071】
また、表示制御部150は、ユーザがナビゲーション装置90で充電設備300を検索した場合に、検索により抽出された充電設備300の由来関連情報を管理サーバ200から取得して、由来関連情報と共に表示部80に表示させてもよい。これにより、ユーザは、電力の由来情報に基づいて、充電設備300を選択することができる。
【0072】
また、表示制御部150は、
図7、
図8に示すような画像を表示させることに代えて(または加えて)、車両Mの現在の消費電力と由来情報とを仮想的に対応付けて、導出部140により導出された環境負荷度合に対応する色で車両の所定の部位を点灯表示させてもよい。所定の部位とは、例えば表示部80に含まれるデイタイムランニングライトやエンブレム等の車両Mの車体の外側に設けられた灯体、或いはアンビエントライトやルームランプ、その他インジケータランプ等の車室内に設けられた灯体である。
【0073】
この場合、表示制御部150は、バッテリ40の残量に対応する由来情報を取得し、現在の消費電力に応じて電力係数が小さい(環境負荷度合いが小さい)電力から優先的に消費しているように灯体を点灯表示する。したがって、例えば、車両Mの走行中にバッテリ40に充電された電力量に基づき、電力の消費に伴って環境負荷度合が小さい電力から優先的に減少させる場合であって、
図9に示すように由来Aの残量表示を減少させる場合には、由来Aに対応付けられた色で所定の部位を点灯表示させる。これにより、消費電力の由来情報に基づく表示を、画像表示に代えて(または加えて)、照明機器等の灯体の点灯表示で実現できる。これにより、消費される電力の由来をユーザに把握させ易くすることができる。
【0074】
上述した表示制御装置100によるバッテリ40に関する各種画像や点灯等の表示制御により、ユーザに対し、より環境に良いエネルギーの利用を促すことができる。なお、表示制御装置100は、車両Mの走行等によって消費した電力量やバッテリ情報162に関する情報、車両Mの走行距離に関する情報を管理サーバ200に送信してもよい。この場合、管理サーバ200の管理部242は、取得した消費電力量や由来情報等から車両Mの走行時のGHG排出量等を管理する。
【0075】
[処理フロー]
次に、実施形態の表示制御装置100によって実行される処理の流れについて説明する。なお、以下では、表示制御装置100によって実行される処理のうち、主にバッテリ40に充電された電力の表示制御処理を中心として説明する。また以下の処理では、表示制御処理を、供給される電力の由来情報を取得する処理と、由来情報に基づいてバッテリ残量の内訳を表示する処理とに分けて説明する。また、本フローチャートの処理は、例えば、所定のタイミングで繰り返し実行されてよい。
【0076】
図10は、由来情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図10の例において、充電判定部110は、車両Mが充電中(充電動作中)であるか否かを判定する(ステップS100)。充電中であると判定した場合、設備特定部120は、車両Mの位置情報を取得し(ステップS102)、取得した位置情報に基づいて充電設備300を特定する(ステップS104)。
【0077】
次に、取得部130は、充電設備情報に基づいて、管理サーバ200から充電電力の由来情報を含む情報を取得し(ステップS106)、取得した情報と、充電した電力量とをバッテリ情報162として記憶部160に記憶させる(ステップS108)。これにより、本フローチャートの処理は終了する。また、ステップS100の処理において、充電中ではないと判定した場合、本フローチャートの処理は終了する。
【0078】
図11は、表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
図11の例において、導出部140は、バッテリ情報162等に基づき、バッテリ40に充電された電力の環境負荷度合を導出する(ステップS200)。次に、表示制御部150は、電力係数が異なる電力の由来情報に基づいてバッテリの残量の内訳に対応付けた画像を生成し、生成した画像を表示部80に表示させる(ステップS202)。
【0079】
次に、表示制御部150は、バッテリ40に充電された電力の消費に伴い、環境負荷の影響度合に応じた順番で消費しているようにバッテリの残量を表示させる(ステップS204)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。なお、表示制御部150は、ステップS202およびS204の処理において、表示制御部150は、度合に基づく色を混合(均等混合)した画像を表示させてもよい。
【0080】
[変形例]
実施形態の管理サーバ200に含まれる構成のうち少なくとも一部は、車両Mに設けられていてもよく、車両Mに含まれる構成のうち少なくとも一部は、管理サーバ200に設けられていてもよい。また、実施形態において、表示制御装置100は、生成した画像を、車両Mに搭載される表示部80に代えて、ユーザが所有する端末装置に表示させてもよい。その場合、表示制御装置100と端末装置とは、例えば、Bluetooth等の近距離通信によって通信可能に接続される。また、実施形態において、管理サーバ200で管理される設備管理情報252は、それぞれの充電設備300で自己の情報が管理されていてもよい。
【0081】
また、上述の実施形態は、バッテリ40に限らず水素エンジン等の他の駆動源を用いた車両に適用してもよい。また、上述した実施形態において、上述した電力係数のレンジ(評価の幅)や環境負荷度合(由来または電力係数)に対応する表示態様(例えば、色、点滅の有無、模様、文字のフォントや大きさ)については、ユーザが任意に設定可能にしてもよい。この場合、表示制御部150は、表示部80等によりユーザから受け付けた設定情報に基づいて表示態様情報164を更新する。
【0082】
また、上述の実施形態は、において、取得部130は、車両Mの位置情報に基づき特定された充電設備300によって供給される電力の由来情報を管理サーバ200から取得することに代えて(または加えて)、充電設備300から直接由来情報を取得してもよい。また、取得部130は、管理サーバ200と、充電設備300とからそれぞれ由来情報が取得できる場合に、充電設備300から取得した由来情報を優先して適用してもよい。例えば、充電設備300が自宅である場合には、同じ充電設備300であっても、充電時の天候や時間等に基づいて、自宅に設置された太陽光発電システムによる電力によってバッテリ40を充電する場合と、化石由来の系統電力から取得した電力によってバッテリ40を充電する場合とがあり得る。したがって、充電設備300からの由来情報を優先して適用することで、より正確な由来情報を取得することができる。なお、取得部130は、上述したように天候や時間帯等の充電時環境に応じて由来情報が変化する充電設備300から充電を行う場合に、充電設備300が存在する位置における充電時の天候や充電する時間帯に応じて、由来情報を推定してもよい。
【0083】
また、実施形態において、管理サーバ200のサーバ側制御部240は、車両Mごとの環境負荷度合の評価結果を収集して管理することで、販売後の車両Mが間接的に排出するGHG排出量を計測したり、評価してもよい。これにより、GHG排出量の計測結果や評価結果に基づいて、例えば、車両製造会社或いは車両販売会社のLCA(Life Cycle Assessment)に活用することができる。
【0084】
以上の通り説明した実施形態によれば、車両に搭載されたバッテリ40への充電時に、供給される電力の発電電力の由来情報を含む情報を取得する取得部130と、取得部により取得された由来情報に基づいて、バッテリ40に充電された電力の環境負荷度合を導出する導出部140と、導出部140により導出された環境負荷度合をバッテリ40の残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる表示制御部150とを備えることにより、ユーザに対し、より環境に良いエネルギーの利用を促すことができる。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与することができる。
【0085】
また、実施形態によれば、バッテリ40に充電された電力を環境負荷度合ごとに仮想的に区分けして管理することができる。また、実施形態によれば、充電時の電力の由来情報に対応する色でインジケータランプ等をさせることで、ユーザに充電した電力がクリーン(環境にやさしい、エコロジー)であるか否かを把握させ易くすることができる。したがって、ユーザは、クリーンな電力が充電できる充電設備300を探す等の行動変容を誘引することができる。したがって、実施形態によれば、車両Mの走行におけるCO2排出量等を削減することができる。
【0086】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
車両に搭載されたバッテリへの充電時に供給される電力の由来情報を含む情報を取得し、
取得した前記由来情報に基づいて、前記バッテリに充電された電力の環境負荷の影響度合を示す環境負荷度合を導出し、
導出した前記環境負荷度合を前記バッテリの残量の内訳に対応付けた画像を表示部に表示させる、
ように構成されている、表示制御装置。
【0087】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0088】
1…電力管理システム、12…モータ、14…駆動輪、16…ブレーキ装置、20…車両センサ、30…PCU、40…バッテリ、42…バッテリセンサ、50…通信装置、70…充電口、インジケータランプ72と、表示部80と、90…ナビゲーション装置、100…表示制御装置、110…充電判定部、120…設備特定部、130…取得部、140…導出部、150…表示制御部、160…記憶部、200…管理サーバ、210…サーバ側通信部、220…入力部、230…出力部、240…サーバ側制御部、250…サーバ側記憶部、300…充電設備、M…車両