(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】液体クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20241101BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241101BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20241101BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241101BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20241101BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241101BHJP
A61K 8/72 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A61K8/36
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q19/10
A61K8/365
A61K8/34
A61K8/72
(21)【出願番号】P 2022212801
(22)【出願日】2022-12-29
(62)【分割の表示】P 2019565554の分割
【原出願日】2018-05-25
【審査請求日】2022-12-29
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヨクビナス,レオノーラ
(72)【発明者】
【氏名】クリシアック,ジェシカ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマソン,ケヴィン・デイビッド
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-227999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)10~45重量%のC
8-C
20の脂肪酸または脂肪酸石鹸であって、前記総脂肪酸および脂肪酸石鹸の55~62重量%がC
14ミリスチン酸である、脂肪酸または脂肪酸石鹸、
b)3重量%以下の合成界面活性剤、
c)0.1~5重量%の12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)であって、0.1~5重量%の12-HSAは10~45重量%の成分(a)の一部である、12-ヒドロキシステアリン酸、
d)
25~35重量%のポリオール、
e)
0.01~5重量%のカチオン性ポリマー、および
f)水
を含む、液体クレンジング組成物であって、
前記
液体クレンジング組成物のpHは8.5~10.0であり、
前記ミリスチン酸の量(重量%)は、以下の式:
【数1】
に従って計算され、
前記組成物はさらに、ワセリン、シリコーン油、植物油、トリグリセリド油、ビタミンA、ビタミンE、シアバター、亜鉛、マグネシウムから選択される少なくとも1つを含み、
前記ポリオールがグリセリンを含む、液体クレンジング組成物。
【請求項2】
前記ポリオールがグリセリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、構造化剤、炭水化物ガム、ポリアクリレート、防腐剤、安息香酸、着色剤、乳白剤、香料、研磨剤、顔料、酸化防止剤、抗菌剤、アロエ、アラントイン、パンテノール、アルファヒドロキシ酸、リン脂質、ボタニカルオイル、アミノ酸またはそれらの混合物からなる群から選択される0.1~7重量%の成分をさらに含む、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が防腐剤、シアバター、ワセリン、またはそれらの混合物を含む、
請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が防腐剤およびワセリンを含む、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が防腐剤およびシアバターを含む、
請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
アルキルグルコシドを含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオールが
アルキレングリコールをさらに含む、請求項1または3に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が防腐剤およびワセリンを含む、
請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
合成界面活性剤が存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
20~45重量%の脂肪酸または脂肪酸石鹸が存在し、前記脂肪酸または脂肪酸石鹸がC
10-C
20である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
25~45重量%の脂肪酸または脂肪酸石鹸が存在し、前記脂肪酸または脂肪酸石鹸がC
12-C
18である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
総脂肪酸および脂肪酸石鹸の55~62重量%がC
14ミリスチン酸である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記合成界面活性剤が、前記組成物の1~3重量%を占める、
請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
12-HSAが、前記組成物の0.5~4重量%で存在する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリオールが、前記組成物の21~40重量%で存在し、カチオン性ポリマーが、前記組成物の0.01~3重量%で存在する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ポリオールがグリセリンであり、カチオン性ポリマーが組成物の0.03~2重量%で存在し、前記組成物がシアバター、ワセリンまたはその両方をさらに含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物が、香料、油、植物抽出物、抗菌剤、抗酸化剤、またはそれらの混合物をさらに含む、
請求項1または2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クレンジング組成物、特に、加工処理可能で安定であり、皮膚に対して
消費者の利益(例えば、保湿、美白)をもたらす組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者に適した液体クレンジング組成物では、組成物は加工処理可能(例えば、混合ブ
レードが詰まることなくすべての成分を混合できるようなレオロジーを有する)で、安定
(例えば、定義された温度で定義された時間にわたって相分離しない)であるべきであり
、適切な感覚的経験を提供するレオロジー特性を有するべきである。皮膚の健康または他
の利点を有する成分を添加することが望ましい。
【0003】
そのような液体への組み込みに特に有益な分子の1つは、12-ヒドロキシステアリン
酸(「12-HSA」)である。12-HSAは、皮膚の健康に影響を与える可能性のあ
る、周知のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(「Ppar」)活性化剤である。
【0004】
ただし、液体配合物への12-HSAの組み込みは、配合物の構造化、配合物の粘度、
加工処理、および安定性に影響を与える可能性があるため、課題となる。どのように組み
込むかについての指示がない場合、12-HSAの使用は通常、配合物の濃厚化または薄
化、および/または経時的な相分離(不安定性)につながる。
【0005】
具体的には、合成界面活性剤の濃度が低い配合物、主に脂肪酸および脂肪酸石鹸に基づ
く組成物(すなわち、脂肪酸および脂肪酸石鹸、好ましくはC8-C20脂肪酸および石
鹸の組み合わせを有する組成物であり、これは組み合わせおよび他の界面活性剤の50%
超過である)では、12-HSAの使用は、通常、加工処理不可能である、不安定である
(すなわち、定義されるような「ストレス」安定でない)、またはその両方である組成物
をもたらす。
【0006】
非常に驚くべきことに、および予想外に、本出願人は、このような主に脂肪酸および脂
肪酸石鹸に基づく低合成界面活性剤組成物において、組成物が加工処理性および安定性の
両方を保持しながら12-HSAを使用できる配合枠(formulation win
dow)を見出した。配合枠は、特定のミリスチン酸(使用されるすべての脂肪酸の45
~65重量%)が、下限レベル(組成物の20重量%以上、好ましくは21~40重量%
、最も好ましくは25~35重量%)のポリオールと組み合わせて使用されなければなら
ないような脂肪酸の特定の選択を含む。この特定のミリスチン酸の枠に入らない組成物、
またはポリオール(例えばグリセリン、ポリアルキレングリコール)の下限レベルを有し
ていない組成物は、加工処理性および安定性の両方の要件を満たさない。
【0007】
石鹸棒状組成物での12-HSAの使用は新しいものではない。
【0008】
Chokappa et al.に対する米国特許第6,730,643号明細書は、
30~60重量%の総脂肪物質(「TFM」)を含む透明棒状石鹸を開示し、ここで1~
15重量%は、12-ヒドロキシステアリン酸の塩またはその前駆体である。これらの組
成物は棒状であり、例えば安定性の問題および液体組成物を安定化するために定義された
脂肪酸レベルでミリスチン酸を選択することは無関係である。
【0009】
Uchiyama et al.に対する米国特許第5,876,705号明細書は、
12-HSAを含む0.9~10%の脂肪化合物を含み得るコンディショニングシャンプ
ーを開示している。これらは、脂肪酸に基づく系ではなく、本発明の組成物に関連する問
題も解決策も考慮されていない。
【0010】
それぞれGlenn,Jr.et al.に対する米国特許第5,885,948号明
細書;米国特許第6,080,707号明細書;および米国特許第6,080,708号
明細書は、0.5~10重量%の、液体安定剤として12-HSAを含む結晶性ヒドロキ
シル含有液体を含む液体組成物を開示している。脂肪酸に基づく組成物はいずれにも開示
されていない;このような組成物に関連する問題をいずれも認識していない;本発明者ら
の発明の特定の解決策(すなわち、ミリスチン酸の枠、ポリオールの下限レベル)を想定
するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6,730,643号明細書
【文献】米国特許第5,876,705号明細書
【文献】米国特許第5,885,948号明細書
【文献】米国特許第6,080,707号明細書
【文献】米国特許第6,080,708号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
1)10~45重量%のC8-C20、好ましくはC10-C20またはC12-C1
8の脂肪酸または脂肪酸石鹸(下記ポイント(3)の0.1~5%の12-HSAを含む
)であって、総脂肪酸の45~65%、好ましくは50~63%、より好ましくは55~
62%がC14ミリスチン酸である、脂肪酸または脂肪酸石鹸、
2)5重量%未満、好ましくは1~3重量%の合成界面活性剤、
3)0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%の12-ヒドロキシステアリン酸
(12-HSA)であって、0.1~5%の12-HSAは上記段落(1)の10~45
%の脂肪酸の一部である、12-ヒドロキシステアリン酸、
4)20~50重量%、好ましくは21~40重量%、より好ましくは25~35重量
%のポリオール、および
5)0~5重量%、好ましくは0.01~3重量%、好ましくは0.03~2重量%の
カチオン性ポリマー
を含む、液体クレンジング組成物であって、
前記液体クレンザ組成物のpHは8.0~11.0、好ましくは8.5~10.0であ
る、組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施例において、または他に明確に示されている場合を除いて、材料の量または反応条
件、材料の物理的特性および/または使用を示すこの説明におけるすべての数字は、用語
「約」によって修飾されると理解されるべきである。特記しない限り、すべての量は最終
組成物の重量による。
【0014】
任意の範囲の濃度または量を特定する際に、任意の特定の上限濃度を任意の特定の下限
濃度または量と関連付けることができることに留意されるべきである。
【0015】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という用語は、「含む(in
cluding)」を意味していることを意図しているが、必ずしも「からなる」または
「構成される」を意味しているとは限らない。言い換えれば、列挙された工程または選択
肢は、網羅的である必要はない。
【0016】
本明細書に見られる本発明の開示は、請求項が複数従属性または冗長性なしに見出され
得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして請求項に見られるようなす
べての実施形態を包含すると見なされるべきである。
【0017】
本発明は、液体クレンジング組成物、特に、有益剤として12-HSAを含む主に脂肪
酸石鹸および脂肪酸に基づく液体に関する。12-HSAは、皮膚の健康に影響を与える
ことができる周知のPpar活性化剤である。
【0018】
ただし、12-HSAは、配合物の構造化、レオロジー、加工処理、および/または安
定性に影響を与える可能性がある(例えば、相分離する製品の形成)。
【0019】
本出願人らは、最終組成物中の脂肪酸および脂肪酸石鹸が定義された組成および範囲内
に収まるように選択され(脂肪酸および脂肪酸石鹸に基づく低合成界面活性剤組成物にお
いて)、ポリオールが定義された下限レベルに維持される場合(少なくとも一定量の使用
が必要)、12-HSAは、加工処理可能で最終組成物が安定であるように組み込むこと
ができることを見出し、ここで、「加工処理可能」および「安定性」は以下で定義される
。
【0020】
脂肪酸
本発明の組成物は、10重量%~45重量%、好ましくは20重量%~45重量%、よ
り好ましくは25重量%~45重量%の脂肪酸または脂肪酸石鹸を含む。脂肪酸または脂
肪酸石鹸の鎖長は、C8-C20、好ましくはC10-C20またはC12-C18であ
る。10~45%の量には、0.1~5%の12-HSAが含まれる。
【0021】
本出願人らは、12-HSAを組み込み、加工処理性、安定性、またはその両方を維持
するために必要なミリスチン酸の特有の枠を見出した。具体的には、45%~65%、好
ましくは50~63%、より好ましくは55~62%の遊離脂肪酸(中和されていない脂
肪酸)がC14(ミリスチン)脂肪酸でなければならない。
【0022】
界面活性剤
本発明の主に脂肪酸および脂肪酸石鹸に基づく組成物において共界面活性剤として使用
され得る特定のタイプの共界面活性剤は重要ではない。それは、当業者に周知であるよう
に、任意のアニオン性、非イオン性、両性および/または双性イオン性界面活性剤であり
得る。これらは、例えば、組成物の0~5重量%、好ましくは0.5~4重量%、より好
ましくは1~3重量%で含まれる低合成界面活性剤系であることだけが重要である。
【0023】
12-HSA
本発明の組成物は、0.1~5重量%、好ましくは0.5~4重量%の12-ヒドロキ
システアリン酸を含む。これは、10%~45%の脂肪酸および脂肪酸石鹸の一部である
。示されているように、通常、低合成界面活性剤、脂肪酸および脂肪酸石鹸に基づく組成
物での12-HSAの使用は、加工処理の問題および相の不安定性を生じる。脂肪酸およ
び脂肪酸石鹸およびポリオールのタイプおよび量を選択することにより、12-HSAを
加工処理でき、安定な配合物として維持することができる。
【0024】
ポリオール
本発明の配合物の別の重要な成分は、それらが20重量%超過、好ましくは21~40
重量%、より好ましくは25~35重量%のポリオールを含むことである。不十分なポリ
オールは、脂肪酸のタイプおよび量が適切に選択されている場合でも、ストレス不安定性
をもたらし、結果として相分離を引き起こす。
【0025】
好ましいポリオールには、グリセリン、および短鎖アルキレングリコール、例えばプロ
ピレンまたはエチレングリコールが含まれる。
【0026】
その他の成分
12-HSAに加えて、本発明の組成物は、例えば、0~15重量%、好ましくは0.
1~10重量%または0.1~5重量%の、油溶性皮膚軟化剤または保湿油を含んでいて
もよい皮膚有益剤を含み得る。これらの分子は、水の損失を防ぐ(閉塞性)、水分を引き
込む(保水剤)、または皮膚に保湿因子を回復させることにより(例えば、アミノ脂質)
、水分補給を増加させ得る。
【0027】
保湿剤の例には、ワセリン、シリコーン、植物油またはトリグリセリド油が含まれる。
回復剤には、ビタミン(ビタミンAまたはE);脂質(例えばコレステロール)、植物性
バター(シアバター)、およびミネラル、亜鉛またはマグネシウムなどのミネラルが含ま
れる。
【0028】
組成物は、0.1~7%の構造化剤を含んでもよい。これらには、例えば、炭水化物ガ
ム(例えば、セルロースガム)、ポリアクリレート(例えば、Carbopol(登録商
標)、Aculyn(登録商標)ポリマー)、またはそれらの混合物が含まれ得る。
【0029】
組成物はまた、0.01~2%または1%の防腐剤(例えば、パラベン、メチルイソチ
オゾリノン、安息香酸、フェノキシエタノールおよびそれらの混合物)を含んでもよい。
【0030】
それらは1つ以上の追加成分を含んでもよい。そのような追加成分の非限定的な例は、
例えば着色剤、顔料、乳白剤、芳香剤(カプセル化されているか、遊離芳香剤として存在
するかにかかわらず)、情動油(emotive oil)、ビタミンおよびビタミン誘
導体、研磨剤、光学剤(例えば、反射粒子および干渉顔料を含む)、pH調整剤、植物抽
出物、エッセンシャルオイル、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤、粘度調整剤、保水剤、ひげ
湿潤剤(beard wetting agent)、感覚剤、脂肪酸石鹸、ならびに皮
膚および/または毛髪有益剤(例えば、いくつかの例を挙げればアロエ、アラントイン、
パンテノール、アルファヒドロキシ酸、リン脂質、ボタニカルオイル、アミノ酸)である
。任意の個々の追加成分の選択および量は、特定の成分、所望の特性、およびそれが使用
される組成物の使用目的を含む要因に依存する。例えば、芳香剤は、通常、組成物の0.
1~3.0重量%以上の量で使用される。多くの組成物について、そのような追加成分の
総量は、組成物の総重量に基づいて、0.01~30重量%、より具体的には0.1~1
5重量%、さらにより具体的には1~10重量%である。1つ以上の実施形態において、
そのような追加の任意成分の総量は、0.5~5重量%である。
【0031】
組成物は水性系であり、通常5~40重量%、好ましくは8~20重量%の水を含む。
上記で記述されたすべての成分が考慮された後、水はバランス量である。
【0032】
本発明の組成物は、好ましくは8.0~11.0、より好ましくは8.5~10.0の
pHを有する。
【0033】
別の形態において、本発明は、12-HSAを含む安定で加工処理可能な(両方とも定
義されるように)液体組成物を提供する方法を提供し、この方法は請求項1の組成物を形
成することを含む。
【0034】
加工処理
本発明の組成物は以下のように作製される:
脂肪酸、ポリオール、構造化剤(例えば、アルキレングリコールジステアレート)、お
よびキレート剤(例えば、EDTA)を主容器内で組み合わせ、75~80℃に加熱した
。脂肪酸が融解したとき、混合物を撹拌した。すべてが融解し、均質になったとき、熱を
取り除き、水酸化カリウム、共界面活性剤(例えばデシルグルコシドなど)、およびカチ
オン性ポリマーを添加した。冷却後、情動剤(emotive)、香料、防腐剤が添加さ
れた。
【0035】
プロトコルおよび定義
「加工処理可能な液体クレンザ」という用語は、(1または複数の)混合ブレードを備
えた容器で製造される場合、(1または複数の)ブレードがもはや成分を混合できなくな
る程に製品は濃厚にならないようなレオロジーを有する皮膚クレンジング液体組成物とし
て定義される。
【0036】
本発明の目的のために、混合は6枚のブレードで行われ、ブレードは長方形の形状であ
り、5cm×4cmの大きさである。ブレードは毎分130~140回転(rpm)で回
転する。
【0037】
これらの処理条件下で、ミキサを130~140rpmの速度で混合できない場合、製
品は「濃厚」になりすぎていると見なされて加工処理できない。
【0038】
「ストレス安定液体クレンザ(Stress Stable Liquid Clea
nser)」という用語は、45℃の条件にさらされたときに少なくとも2週間相分離し
ない皮膚クレンジング液体組成物として定義される。
【0039】
[実施例]
以下の表は、本発明のいくつかの非限定的な例を含む。成分は有効成分パーセントで記
録される
【表1】
【0040】
比較例Aでは、ミリスチン酸(17.5%のレベルで使用される)は、使用される総脂
肪酸および脂肪酸石鹸の約44%(43.9%)のみで含まれる。この量は、最初に脂肪
酸石鹸、つまり水酸化カリウムから生成される量を計算し、次いで総脂肪酸および石鹸に
対するミリスチンの量を計算することによって計算される。具体的には、これは、以下に
留意する:
-カリウムと水酸化カリウムとのモル質量比:
【数1】
【0041】
-各条件に対して反応する%カリウムを計算する:
例)組成物A
7.03%KOHがバッチに添加されるため、次のようになる:
【数2】
【0042】
【0043】
44%のミリスチンでは、定義されているように、組成物は、加工処理可能ではないこ
とがわかり:したがって、44%超過のC14(ミリスチン酸)が必要である。
【0044】
比較Bでは、ミリスチン酸(26.25%)は総脂肪酸の75%(26.25/26.
25+7.36+1.39(総脂肪酸)+5.0(カリウム石鹸)であり、これは26.
25/40%=65.6%に等しい) 。この比較はストレス試験に不合格であり;した
がって、C14のレベルが65%を超えると、ミリスチン酸のレベルが高すぎる。
【0045】
実施例1では、ミリスチン酸は、総脂肪酸の60.18%に相当する(25(ミリスチ
ン)/41.54(総脂肪酸および石鹸)。この45~65%の「スイートスポット」は
、組成物が加工処理可能で安定している領域を表す(プロトコルで「ストレス安定」と定
義しているように)。
【0046】
比較Cは、ミリスチン酸と総脂肪酸および石鹸との比が45~65%(25/45.3
9または55.8%)になる組成物を定義している。ただし、12-HSAのレベルは7
%であり;これは、本発明で要求される5%HSAの上限レベルを超える。わかるように
、この組成物は加工処理可能ではない。
【0047】
比較DおよびEの両方でも同様に、ミリスチン酸レベルは、総脂肪酸および石鹸の臨界
比(45超過~65%)内に収まる(25/39.97または62.5%)。さらに、1
2-HSAのレベルも5%未満であり、発明のレベルに含まれる。しかしながら、ポリオ
ールのレベル(それぞれ10%および15%)は、本発明が必要とする下限レベルを下回
り、したがって、両方の組成物は加工処理可能ではない。
【0048】
例では、計算は添加された成分を指す。本発明者らの例では、脂肪酸のみが添加され、
脂肪酸石鹸は添加されていないことに留意する。ただし、計算の形成時に石鹸が添加され
た場合、分子はミリスチン酸に加えてミリスチン酸石鹸に変更され(例えば添加または添
加時に形成された任意のミリスチン酸石鹸)、分母は総脂肪酸+総脂肪酸石鹸(KOHか
ら形成されたカリウム石鹸を含まない)+カリウム(これは、記述されるようにKOHか
ら形成されたカリウム石鹸である)に変更される。したがって、その場合の55~62%
は、総脂肪酸、総脂肪酸石鹸(形成されたカリウム石鹸を含まない)およびカリウム石鹸
に対するミリスチン酸およびミリスチン酸石鹸の重量パーセントを表す。
【0049】
本発明は、組成物が加工処理可能で安定であるために必要な臨界域を定義することがわ
かる。