(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2022512673
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021014073
(87)【国際公開番号】W WO2021201187
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-22
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2020064511
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 一平
(72)【発明者】
【氏名】森田 竜也
【合議体】
【審判長】橿本 英吾
【審判官】宮澤 浩
【審判官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-35923(JP,A)
【文献】特開2008-110486(JP,A)
【文献】特開2017-81071(JP,A)
【文献】特開2006-281662(JP,A)
【文献】特開2017-119425(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109719973(CN,A)
【文献】米国特許第7786736(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B29C45/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形を支援する装置であって、
前記樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する予測部と、
前記解析対象特性の前記予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する表示処理部とを備え
、
前記予測部は、前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、前記解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出し、
前記表示処理部は、前記解析対象特性の前記予測値の確率分布の変化を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行するとともに、前記解析対象特性の目標値を満たす可能性を有する前記成形因子の範囲を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記確率分布の変化を示す指標として前記解析対象特性の予測値の平均値の変化と標準偏差の変化とを算出し、
前記表示処理部は、前記平均値の変化と前記標準偏差の変化とを前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値の指定をユーザから受け取る入力部を備え、
前記表示処理部は、前記予測値の確率分布とともに、前記指定された成形因子の値における前記解析対象特性の前記予測値の確率分布を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
請求項1
または2に記載の装置。
【請求項4】
前記予測部は、
前記樹脂成形の前記複数の成形因子の少なくとも1つについてのデータを入力したことに応じて、前記解析対象特性の前記予測値の確率分布を生成するモデルを有する
請求項1から
3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記予測部は、複数の前記モデルを用いて、前記解析対象特性の前記予測値をそれぞれ生成し、生成した前記予測値の平均値と標準偏差とを算出する
請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記解析対象特性の目標値を満たす確率が最も高い前記複数の成形因子の組み合わせである推奨条件を生成する推奨部を備え、
前記表示処理部は、前記予測値の確率分布の変化とともに、前記推奨条件を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
請求項1から
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記予測部は、
予め樹脂成形を行った結果における前記複数の成形因子の値と前記解析対象特性の値との組を含む学習データを取得する取得部と、
前記学習データを用いて、前記複数の成形因子の値から前記解析対象特性の予測値を生成するモデルを学習する学習部とを有する
請求項1から
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記予測部は、前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子における、前記解析対象特性の目標値を満たす確率を算出し、
前記表示処理部は、前記予測値の確率分布とともに、前記解析対象特性の目標値を満たす確率を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
請求項1から
7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記予測部は、前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、前記解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を算出し、
前記表示処理部は、前記予測値の確率分布とともに、前記解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する
請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
樹脂成形を支援する方法であって、
前記樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階と、
前記解析対象特性の前記予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階とを備え
、
前記予測値の確率分布を生成する段階は、
前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、前記解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出する段階を有し、
前記表示処理を実行する段階は、
前記解析対象特性の前記予測値の確率分布の変化を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行するとともに、前記解析対象特性の目標値を満たす可能性を有する前記成形因子の範囲を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を有する
方法。
【請求項11】
前記解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階は、前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出する段階を有し、
前記表示処理を実行する段階は、前記解析対象特性の前記予測値の確率分布の変化を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を有する
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータに、
樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階と、
前記解析対象特性の前記予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階とを実行させ
、
前記予測値の確率分布を生成する段階は、
前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、前記解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出する段階を有し、
前記表示処理を実行する段階は、
前記解析対象特性の前記予測値の確率分布の変化を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行するとともに、前記解析対象特性の目標値を満たす可能性を有する前記成形因子の範囲を前記表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を有する
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の成形品を成形する場合、不良品の発生を低減するべく、製造装置2の操作者が成形条件を調整する必要がある。特許文献1には、操作者に対する支援として、成形条件による評価項目の変動を予測してグラフ表示することが記載されている。
特許文献1 特開2006-123172号公報
【0003】
しかし、特許文献1では、成形条件の範囲によって評価項目の予測精度が変化して、成形条件の調整の精度が悪くなることがある。
【0004】
本発明の第1の態様においては、樹脂成形を支援する装置を提供する。装置は、樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する予測部を備えてよい。装置は、解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する表示処理部を備えてよい。
【0005】
予測部は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出してよい。表示処理部は、解析対象特性の予測値の確率分布の変化を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0006】
予測部は、確率分布の変化を示す指標として解析対象特性の予測値の平均値の変化と標準偏差の変化とを算出してよい。表示処理部は、平均値の変化と標準偏差の変化とを表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0007】
表示処理部は、解析対象特性の目標値を満たす可能性を有する成形因子の範囲を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0008】
装置は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値の指定をユーザから受け取る入力部を備えてよい。表示処理部は、予測値の確率分布とともに、指定された成形因子の値における解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0009】
予測部は、樹脂成形の複数の成形因子の少なくとも1つについてのデータを入力したことに応じて、解析対象特性の予測値の確率分布を生成するモデルを有してよい。
【0010】
予測部は、複数のモデルを用いて、解析対象特性の予測値をそれぞれ生成し、生成した予測値の平均値と標準偏差とを算出してよい。
【0011】
装置は、解析対象特性の目標値を満たす確率が最も高い複数の成形因子の組み合わせである推奨条件を生成する推奨部を備えてよい。表示処理部は、予測値の確率分布の変化とともに、推奨条件を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0012】
予測部は、予め樹脂成形を行った結果における複数の成形因子の値と解析対象特性の値との組を含む学習データを取得する取得部を有してよい。予測部は、学習データを用いて、複数の成形因子の値から解析対象特性の予測値を生成するモデルを学習する学習部を有してよい。
【0013】
予測部は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子における、解析対象特性の目標値を満たす確率を算出してよい。表示処理部は、予測値の確率分布とともに、解析対象特性の目標値を満たす確率を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0014】
予測部は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を算出してよい。表示処理部は、予測値の確率分布とともに、解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。
【0015】
推奨部は、複数の推奨条件を生成してよく、各推奨条件は、複数種類の解析対象特性についてのものであってよい。
【0016】
予測部は、複数の解析対象特性にそれぞれ対応するモデルから、対応する解析対象特性の予測値の確率分布を得てよい。
【0017】
推奨部は、予測値の確率分布がガウス分布になるとみなし、予測値の平均値と標準偏差とに基づいて、解析対象特性が予め定められた条件を満たす確率を算出してよい。予め定められた条件を満たす確率は、解析対象特性が目標値を下回る確率、解析対象特性が目標値を上回る確率、解析対象特性が目標範囲内となる確率であってもよい。
【0018】
推奨部は、複数の解析対象特性について、複数の成形因子の組み合わせが予め定められた基準を満たす同時確率を算出し、同時確率を最大化させるように最適化アルゴリズムを用いて推奨条件を生成してよい。
【0019】
学習部は、推奨部により生成された推奨条件の成形因子の値を、推奨条件に対応する解析対象特性の値が目標値を満たさないものとして、学習データに追加してよい。推奨部は、追加した学習データで学習した後のモデルを用いた予測値から、上記推奨条件とは異なる推奨条件を生成してよい。
【0020】
ユーザが入力部に成形因子の特定の値を入力すると、表示処理部は、予測値の確率分布の変化の表示において当該特定の値に対応する位置に、対応する予測値の確率分布を重ねて表示装置に表示させてよい。
【0021】
本発明の第2の態様においては、樹脂成形を支援する方法を提供する。方法は、樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階を備えてよい。方法は、解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を備えてよい。
【0022】
方法は、解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、成形した樹脂の解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出する段階を有してよい。予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階は、解析対象特性の予測値の確率分布の変化を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を有してよい。
【0023】
本発明の第3の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、コンピュータに、樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、樹脂成形体の解析対象特性の予測値の確率分布を生成する段階を実行させてよい。プログラムは、コンピュータに、解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置に表示させるための表示処理を実行する段階を実行させてよい。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】本実施形態の表示部60により表示される画面200の一例を示す。
【
図3】本実施形態の表示部60により表示される画面300の他の例を示す。
【
図4】本実施形態の表示部60により表示される画面400の他の例を示す。
【
図5】本実施形態の支援装置3におけるモデルの学習フローを示す。
【
図6】本実施形態の支援装置3における成形因子の表示フローを示す。
【
図7】本実施形態の表示部60により表示される画面500の他の例を示す。
【
図8】本実施形態の表示部60により表示される画面600の他の例を示す。
【
図9】本実施形態の表示部60により表示される画面700の他の例を示す。
【
図10】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
図1は、本実施形態に係るシステム1を示す。システム1は、樹脂の成形条件を調整して樹脂成形物を製造する。システム1は、樹脂成形物の製造装置2および支援装置3を備える。
【0028】
樹脂成形物の製造に用いる樹脂組成物は、一例として、ポリエチレン、アクリロニトリル、ポリアミド等、または樹脂にガラス繊維等を追加した強化プラスチックである。
【0029】
製造装置2は、支援装置3に有線または無線で接続され、射出成形、またはインモールド成型等により所望の形状に成形した樹脂成形物を製造する。製造装置2は、成形した樹脂(樹脂成形体)について複数の解析対象特性を評価して、複数の成形因子および成形した樹脂の解析対象特性を示すデータを支援装置3に送信してよい。
【0030】
ここで、複数の成形因子は、樹脂成形物の品質に影響する因子であってよく、製造装置2において設定する成形の条件を含んでよい。複数の成形因子は、一例として、金型厚さ、金型温度、冷却時間、射出温度、射出圧力最大値、保圧圧力、スクリュー回転数、および計量値等のうちの少なくとも1つであってよい。また、複数の成形因子は、製造装置2が設置された環境の温度、湿度、および成形の形状等のうちの少なくとも1つを含んでよい。複数の成形因子の値は、ある/なし(例えば、樹脂に所定の材料が含まれるか否か等)、ランク(例えば、樹脂の品質または価格等のランクA、B,またはC)、または樹脂の種類等を示す離散値を含んでよい。
【0031】
解析対象特性は、樹脂成形物が不良品か否かを判断する評価項目であってよい。解析対象特性は、一例として、樹脂成形物の寸法、強度、ヤング率、目標の寸法からの誤差、樹脂成形物に生じる欠陥のモード、数、面積、または密度、および不良が生じる位置等のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0032】
支援装置3は、樹脂成形を支援する装置の一例である。支援装置3は、製造装置2の操作者等のユーザ4に対して、複数の成形因子の組に応じた解析対象特性の予測値を表示することにより、成形条件の調整を支援することができる。支援装置3は、取得部10と、学習部20と、入力部30と、予測部40と、推奨部50と、表示部60とを備える。
【0033】
取得部10は、製造装置2に接続される。取得部10は、予め樹脂成形を行った結果における複数の成形因子の値と解析対象特性の値との組を含む学習データを取得する。取得部10は、製造装置2、ウェブサイト、および外部の記録媒体の少なくとも1つから学習データを取得してよい。複数の成形因子の値と解析対象特性の値との組は、製造装置2において予め樹脂成形を行った際の複数の成形因子の設定値と、当該樹脂成形で製造された樹脂成形物を評価して得られた解析対象特性の値との組であってよい。
【0034】
学習部20は、取得部10に接続される。学習部20は、取得部10が取得した学習データを用いて、複数の成形因子の値から解析対象特性の予測値の確率分布を生成するモデルを学習する。学習部20は、学習データを用いてモデルを生成および更新してよい。学習部20は、取得部10等からの学習データをデータベースに記憶させてよい。
【0035】
入力部30は、ユーザ4からの入力を受け取るためのものであってよく、一例として、キーボード、マウス、またはタッチパネル等である。入力部30は、支援装置3で表示するための少なくとも1つの表示条件を示すデータをユーザ4から入力される。表示条件は、例えば、複数の成形因子の少なくとも1つの値(例えば、複数の成形因子の特定の値の組み合わせ、複数の成形因子の少なくとも1つの範囲、または複数の成形因子の少なくとも1つの値の変更)、少なくとも1つの解析対象特性の指定、および解析対象特性の目標値のうちの少なくとも1つを含む。なお、入力部30は、ユーザ4の端末(パソコン、タブレット、またはスマートフォン等)から表示条件を示すデータを受信してもよい。さらに、入力部30は、製造装置2で成形を行うための成形条件の入力を受け取ってもよい。
【0036】
予測部40は、学習部20および入力部30に接続される。予測部40は、複数の成形因子の値の少なくとも1つについてデータを入力したことに応じて、解析対象特性の予測値の分布を生成するモデルを学習部20から受け取り保持する。予測部40は、入力部30および取得部10の少なくとも一方から入力されたデータとモデルとを用いて、樹脂成形の複数の成形因子の値に対応する、成形した樹脂の解析対象特性の予測値の分布を生成する。予測部40は、生成された予測値の分布に基づいて、当該分布の平均値または中央値並びに標準偏差を出力してよい。予測部40は、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲(例えば対応する成形因子の設定可能範囲)で変化させた場合における、解析対象特性の予測値の確率分布の変化を算出してよい。この場合、予測部40は、予測値の確率分布の変化を示す指標として解析対象特性の予測値の平均値の変化または中央値の変化と標準偏差の変化とを算出してよい。予測部40は、予測値の確率分布を推奨部50に送信する。予測部40は、取得部10が取得した学習データを推奨部50に送信してもよい。
【0037】
推奨部50は、予測部40に接続される。推奨部50は、解析対象特性の目標値を満たす確率が最も高い複数の成形因子の組み合わせである推奨条件を生成する。推奨部50は、複数の成形因子のうちの少なくとも1つを現在の値(現在最適とされている値)から変更した推奨条件を生成してよい。推奨部50は、ユーザ4から入力部30を介して指定された少なくとも1つの成形因子を、変更する成形因子として推奨条件を生成してよい。推奨部50は、生成した推奨条件を学習部20に学習データとして送信してよい。さらに、推奨部50は、推奨条件を製造装置2で成形を行うための成形条件として製造装置2に送信してもよい。推奨部50が複数の推奨条件を生成する場合は、生成された推奨条件の内、製造装置2に送信するものを選択可能であってよい。上記の選択は入力部30で受信した入力に応じて行われてよい。
【0038】
表示部60は、推奨部50に接続される。表示部60は、表示処理部62と表示装置64とを有する。表示処理部62は、予測部40が生成した、解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置64に表示させるための表示処理を実行する。表示処理部62は、予測値の確率分布とともに、推奨条件を表示装置に表示させるための表示処理を実行してよい。表示処理部62は、解析対象特性の名前と、評価条件と、予測データと、各成形因子の名前と、樹脂の種類名と、単位と、設定可能範囲(例えば、入力部30を介して入力された成形因子の範囲)と、最新の設定値とのうちの少なくとも1つをさらに表示装置64に表示させるための表示処理を実行してよい。表示処理部62は、表示画面を生成する処理、表示に必要なデータを表示装置64に無線又は有線で出力する処理等を実行してよい。また、表示装置64は、支援装置3が有するディスプレイ等であってよく、また、ユーザ4が有する端末の表示画面又は製造装置2の表示画面等、外部のディスプレイであってもよい。
【0039】
さらに、支援装置3は、製造装置2に成形条件を送信する送信部70を有していてもよい。送信部70は、入力部30に入力された成形条件を受け取って製造装置2に送信してもよいし、推奨部50が生成した推奨条件を受け取って成形条件とし、製造装置2に送信してもよい。
【0040】
図2は、本実施形態の表示部60により表示される画面200の一例を示す。表示部60は、画面200上に、各成形因子の項目名210と、成形因子の設定可能範囲を示すスライドバー220と、スライドバー220上の現在の値の位置を示すポインタ230と、成形因子の現在の値240と、樹脂の種類名のリストボックス250と、成形因子の現在の値の組み合わせの場合の解析対象特性の予測値の分布を示す予測値ボックス260とを表示する。
図2においては、予測値ボックス260は、樹脂成形物の強度の予測値確率分布における平均値が100であり、標準偏差が13であることを示す。
【0041】
ユーザ4は、当該画面200を見ながら、マウス(入力部30)を用いて、マウスカーソルでポインタ230を動かして成形因子の値を変化させる。これにより、解析対象特性の予測値ボックス260内の予測値分布の平均および標準偏差は、当該成形因子の値の組の変化に応じて予測部40によって画面上でリアルタイムに変化するため、ユーザ4は、予測値の確率分布に応じて精度よく成形条件を決定することができる。
【0042】
図3は、本実施形態の表示部60により表示される画面300の他の例を示す。表示部60は、画面300上に、解析対象特性の予測値の確率分布の変化を表示装置64に表示させるための表示処理を実行する。具体的には、表示処理部62は、平均値の変化と標準偏差の変化とを示すグラフを表示装置に表示させるための表示処理を実行する。当該グラフは、一例として、縦軸に解析対象特性の予測値(強度)、横軸に射出圧力最大値(MPa)を示す。表示部60は、一例として、目標値(
図3では、強度≧25)を満たす可能性のある範囲を表示してよい。表示部60は、画面200において成形因子(
図3では射出圧力最大値)がユーザ4により選択された際に表示するポップアップウインドウ内に、画面300を表示してもよい。
【0043】
図4は、本実施形態の表示部60により表示される画面400の他の例を示す。表示部60は、ユーザ4により選択された複数の成形因子の少なくとも1つについて、現在の値から変更する場合の推奨条件を複数表示してよい。
図4の例では、表示部60は、乾燥温度および乾燥時間についての1位から3位までの順位の3つの推奨条件を表示する。表示部60は、
図4のように、現在の値から変更する成形因子のみ表示してもよいし、他の成形因子の値についても表示してよい。表示部60は、
図2の画面200および
図3の画面300の少なくとも一方とともに、
図4の画面400を1つの画面上で表示してよい。
【0044】
図5は、本実施形態の支援装置3におけるモデルの学習フローを示す。ステップS500において、製造装置2は、樹脂成形を行う。製造装置2は、樹脂成形物の成形条件を変化させながら複数回の樹脂成形を行ってよい。
【0045】
ステップS510において、取得部10は、製造装置2から学習データを取得する。取得部10は、複数の成形因子の値と解析対象特性の値との複数の組み合わせを製造装置2から受信してよい。また、取得部10は、複数の成形因子の値と、樹脂成形物の測定データ(成形した樹脂の寸法の計測値、および画像データ等)とを製造装置2から取得して、取得部10が樹脂成形物を評価して解析対象特性の値を取得してもよい。
【0046】
ステップS520において、学習部20は、取得部10が取得した学習データを用いて、複数の成形因子の値から解析対象特性の予測値の確率分布を生成するモデルを学習する。学習部20は、推奨部50から推奨条件を学習データとして受け取り、その後学習データを用いてモデルを学習してよい。モデルは、一例として、ガウス過程法、またはアンサンブルモデルである。
【0047】
学習部20は、定期的に、S510において取得部10が学習データを取得することに応じて、またはユーザ4からの入力に応じて、モデルを学習し、更新してよい。支援装置3の電源がオフになると学習フローを終了してよい。
【0048】
図6は、本実施形態の支援装置3における成形因子の表示フローを示す。ステップS600において、入力部30は、ユーザ4から、解析対象特性(例えば強度等)の指定、および解析対象特性の目標値の少なくとも1つの指定を取得してよい。入力部30は、ユーザ4から、値を変更する成形因子の指定、複数の成形因子の値(例えば、現在の最適な成形因子の値の組み合わせ、または変更した値等)、および成形因子の範囲(例えば、設定可能範囲等)の少なくとも1つも取得してよい。
【0049】
ステップS610において、予測部40は、モデルを用いて、複数の成形因子から、入力部30で取得した特定の解析対象特性の予測値の分布を生成する。さらに予測部40は、生成した予測値の分布の平均値と標準偏差とを算出してよい。学習部20は、モデルがガウス過程法の場合は、過去の学習データから確率分布を規定し、成形因子の組み合わせ等の入力データに対する解析対象特性の予測値確率分布をガウス分布で出力してよい。また、学習部20は、モデルがアンサンブルモデルの場合は、複数の解析対象特性にそれぞれ対応する複数のモデルを用いて、成形因子の組み合わせ等の入力データに対する解析対象特性の予測値をそれぞれ生成し予測値確率分布として出力してよい。
【0050】
予測部40は、複数の成形因子のうちの、対応する成形因子を予め定められた範囲で変化させた場合の解析対象特性の複数の予測値(または変化)を生成してよい。変化させる予め定められた範囲は、例えば、各成形因子について、ユーザ4から入力部30を介して入力された範囲、または製造装置2から取得部10を介して取得した当該製造装置2の設定可能範囲であってよい。
【0051】
ステップS620において、推奨部50は、予測部40の予測した予測値の分布を用いて推奨条件を生成してよい。推奨部50は、例えば、複数の成形因子のうちの1または複数の成形因子を予め定められた範囲で変化させた場合の、解析対象特性の目標値を満たす(一例として、特定の範囲、閾値以下の範囲、または閾値以上の範囲等を満たす)確率の高い成形因子の組み合わせを推奨条件としてよい。推奨部50は、推奨条件の候補となる複数の成形因子の複数の組み合わせに対してそれぞれ探索解析対象特性の目標値を満たす確率を算出し、当該確率から予め定められた条件に基づいて推奨条件を決定してよい。推奨部50は、変化させる成形因子について、ユーザ4からの選択を入力部30を介して受信してよい。また、推奨部50は、対応する成形因子を予め定められた範囲で変化させた場合に解析対象特性の予測値の変化の幅(最小値と最大値との間の幅)が閾値を超える成形因子を、変化させる成形因子として選択してよい。また、推奨部50は、推奨条件を示すデータを製造装置2に送信して、推奨条件に従って樹脂成形物を製造するように製造装置2を制御してよい。
【0052】
ステップS620において、表示部60は、画面上に、解析対象特性の予測値の確率分布および推奨条件を表示する。表示部60は、例えば、
図2、
図3,および
図4の少なくとも1つのような画面を、同じ画面上で、または異なる画面上で表示してよい。表示部60は、予測部40からの予測値の確率分布の変化の一部を表示してよい。例えば、表示処理部62は、ユーザ4から入力された解析対象特性の目標値を満たす可能性を有する成形因子の範囲を表示装置64に表示させるための表示処理を実行してよい。ここで、解析対象特性が目標値を満たす可能性を有するとは、例えば、解析対象特性の予測値の確率分布に解析対象特性の目標値または目標値の範囲が含まれる場合であってよい。
図3の例では、表示部60は、解析対象特性の目標値が強度25以上である場合、予測値の平均値+標準偏差が25以上となる範囲を当該目標値を満たす可能性があるとし、そのような射出圧力最大値の範囲がx1以下、x2からx3の間、x4以上であることを示してよい。
【0053】
表示部60は、複数の成形因子の複数の組み合わせのうちの最適な値の組み合わせ、最も新しく取得した現在の値の組み合わせ、またはユーザ4から入力部30を介して入力された値の組み合わせを表示してよい。表示部60は、画面のデータを生成して出力し、ユーザ4の端末または製造装置2等の外部のディスプレイに表示させてもよい。
【0054】
本実施形態により、解析対象特性の予測値の確率分布をユーザ4に示すことができるため、ユーザ4は、解析対象特性の目標値を満たす確率がより高くなる成形因子の値を選択することができる。これにより、ユーザ4は、容易に精度の高い成形条件の調整を実施できる。また、実際に成形因子の全ての組み合わせで樹脂成形を行うことなく、予測した解析対象特性に応じて最適な成形条件を得ることができるため、樹脂材料および時間の節約による製造コストの削減を達成できる。成形条件の調整から製品の製造開始までの期間が短縮でき、製造装置の稼働率を向上できる。
【0055】
次に、複数の解析対象特性について複数の推奨条件を生成する実施形態について説明する。本実施形態は、
図5および
図6のフローにおける少なくとも1つのステップと組み合わせて実行することができる。本実施形態において、支援装置3は、遺伝的アルゴリズムまたはシミュレーテッドアニーリング等の進化的アルゴリズムを用いて推奨条件を生成してよい。
【0056】
推奨部50は、
図6のS620において解析対象特性の目標値を満たす確率が最も高い複数の成形因子の組み合わせである第1推奨条件を生成し、学習部20に送信する。学習部20は、
図5のS520において、当該第1推奨条件の複数の成形因子の組み合わせを学習データとして用いて、モデルを学習する。次に、予測部40は、
図6のS610において当該学習したモデルを用いて予測値の確率分布を生成して推奨部50に送信する。次に、推奨部50は、
図6のS620において、予測値の確率分布から、解析対象特性の目標値を満たす確率が最も高い複数の成形因子の新たな組み合わせである第2推奨条件を生成する。推奨部50は、さらに、第2推奨条件を学習部20に送信し、同様に新たな推奨条件を生成してよい。次に、より具体的に説明する。
【0057】
本例では、推奨条件に含まれる解析対象特性の種類は3つ(一例として、y1:欠陥数、y2:強度、y3:ヤング率)とし、推奨部50は複数の推奨条件を生成する。まず、予測部40は、推奨条件の候補となる複数の成形因子の複数の組み合わせを探索範囲(例えば、設定可能範囲)内でランダムに生成する(ステップ1000)。予測部40は、生成した成形因子の値の組み合わせを、3つの解析対象特性にそれぞれ対応するy1、y2、y3モデルに入力し、解析対象特性の予測平均値と予測標準偏差とを生成する(ステップ1010)。例えば、i番目の成形因子の組み合わせについては、解析対象特性y1、y2、およびy3の予測平均値をμi,1、μi,2、およびμi,3とし、予測標準偏差をσi,1、σi,2、およびσi,3とする。
【0058】
次に推奨部50は、予測値が解析対象特性の目標値を満たす確率を算出する(ステップ1020)。例えば、推奨部50は、予測値の確率分布がガウス分布になるとみなし、予測平均値と予測標準偏差とに基づいて、解析対象特性y1についてはa(目標値)を下回る確率Pi,1を、解析対象特性y2についてはb(目標値)を上回る確率Pi,2を、解析対象特性y3についてはc~dの範囲内(目標範囲)となる確率Pi,3を下記の3つの式でそれぞれ算出する。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
次に、推奨部50は、全ての解析対象特性の目標値を満たす同時確率Pi,all=Pi,1・Pi,2・Pi,3を算出し、同時確率Pi,allを最大化させるように最適化アルゴリズムを用いて推奨条件の候補を発生させる。推奨部50は、推奨条件として得られた複数の成形因子の組み合わせを第1推奨条件として出力してよい(ステップ1030)。
【0063】
次に、推奨部50は、第1推奨条件を示すデータを学習部20に送信する。学習部20は、当該第1推奨条件についての解析対象特性の値を平均値として学習データのデータベースに追加する(ステップ1040)。この際、学習部20は、当該第1推奨条件の成形因子の値を、対応する解析対象特性の値が目標値を満たさないものとして、学習データのデータベースに追加してよい。これにより、当該学習データで学習した後のモデルを用いることで、得られる推奨条件が第1推奨条件とは異なる値の組み合わせとなる。
【0064】
次に、ステップ1000-1040を繰り返し、この際のステップ1030で得られた成形因子の組み合わせを第2推奨条件とする。さらに、ステップ1000-1040を繰り返し、第3推奨条件、および第4推奨条件等を得ることができる。
【0065】
本実施形態により、複数の解析対象特性について、複数の推奨条件を効率的に生成することができる。また、実際に多数の樹脂成形を行うことなく推奨条件に基づいて成形条件を調整することができ、樹脂成形コストの削減、製品の樹脂成形までの期間の短縮、製造装置の稼動率向上等を達成することができる。
【0066】
なお、支援装置3は、製造装置2に接続されていなくてもよく、取得部10は、学習データとして、他の製造装置における樹脂成形のデータ、記録媒体に記録されたデータ、またはウェブサイトのデータを取得してよい。
【0067】
また、支援装置3は、学習部20を備えていなくてもよく、外部の学習装置からモデルを提供されてもよい。
【0068】
図9は、表示装置64に表示される画面500を示す。入力部30が、樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値の指定をユーザ4から受け取る場合、表示処理部62は、予測値の確率分布とともに、指定された成形因子の値における解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置64に表示させるための表示処理を実行してよい。表示処理部62は、ステップS610において予測部40が予測に用いたガウス分布の曲線で、指定された成形因子の値における解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置64に表示させてよい。なお、ガウス分布の曲線の縦軸(グラフの縦軸方向)は解析対象特性の予測値を示し、横軸(グラフの横軸方向)は当該予測値の確率を示す。
【0069】
具体的には、ステップS620において表示装置64に射出圧力最大値に対応する強度の予測値の確率分布(予測値の平均値及び標準偏差)の変化が表示されている場合、ユーザ4が入力部30に射出圧力最大値90MPa及び265Mpaを入力すると、表示処理部62は、グラフの射出圧力最大値90MPa及び265Mpaに対応する位置に、強度の予測値の確率分布を重ねて表示させてよい。
【0070】
図8は、表示装置64に表示される画面600を示す。表示処理部62は、画面500と同様に、指定された成形因子の値における解析対象特性の予測値の確率分布を表示装置64に表示させる。ただし、予測部40が予測に複数のモデルを用いた場合等には、
図8に示すように、確率分布の曲線において、確率が高くなる山が複数形成されうる。
図7,8のような実施形態により、実際に多数の樹脂成形を行うことなく適切な成形条件に調整することができ、樹脂成形コストの削減、製品の樹脂成形までの期間の短縮、製造装置の稼動率向上等を達成することができる。
【0071】
図9は、表示装置64に表示される画面700を示す。表示処理部62は、予測値の確率分布とともに、解析対象特性の目標値を満たす確率を表示装置64に表示させるための表示処理を実行してよい。表示処理部62は、前記予測値の確率分布とともに、前記解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を表示装置64に表示させるための表示処理を実行してよい。予測部は、前記樹脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子における、前記解析対象特性の目標値を満たす確率を算出してよく、例えば、脂成形の複数の成形因子のうち少なくとも1つの成形因子の値を予め定められた範囲で変化させた場合における、前記解析対象特性の目標値を満たす確率の変化を算出してよい。
【0072】
図9に示す画面は、
図3の画面と同様であってよく、ただし、追加で目標値を満たす確率の変化を含む。ユーザ4が入力部30に目標値(
図9では、強度≧25)を入力する場合、表示処理部62は、推奨部50により算出される強度が目標値を上回る確率P
i,2を受け取り、射出圧力最大値0~300MpaにおけるP
i,2の変化を、確率分布の変化に重ねて表示装置64に表示させてよい。このような実施形態により、実際に多数の樹脂成形を行うことなく適切な成形条件である確率が高い値に調整することができ、樹脂成形コストの削減、製品の樹脂成形までの期間の短縮、製造装置の稼動率向上等を達成することができる。
【0073】
なお、表示処理部62は、目標値を満たす確率の変化のみをグラフに表示させてもよく、また、ユーザ4により指定される成形因子の値での目標値を満たす確率を確率分布の変化の対応する位置に表示させてもよい。
【0074】
なお、支援装置3は、PC、サーバ、又は携帯端末等であってよい。
【0075】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0076】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0077】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0079】
図10は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0080】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0081】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0082】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0083】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0084】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0085】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0086】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0087】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0088】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0091】
1 システム
2 製造装置
3 支援装置
10 取得部
20 学習部
30 入力部
40 予測部
50 推奨部
60 表示部
62 表示処理部
64 表示装置
70 送信部
200 画面
210 項目名
220 スライドバー
230 ポインタ
240 現在の値
250 リストボックス
260 予測値ボックス
300 画面
400 画面
500 画面
600 画面
700 画面
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード