(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】空調制御装置、空調システム、及び、位置情報出力方法
(51)【国際特許分類】
F24F 11/63 20180101AFI20241101BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20241101BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/79
(21)【出願番号】P 2022522476
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2020019457
(87)【国際公開番号】W WO2021229801
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】酒井 英里
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-079942(JP,A)
【文献】特開2012-225586(JP,A)
【文献】特開2016-065848(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150535(WO,A1)
【文献】特開2009-109025(JP,A)
【文献】特開2010-014350(JP,A)
【文献】特開2013-204852(JP,A)
【文献】特開2011-257071(JP,A)
【文献】特開2019-196868(JP,A)
【文献】国際公開第2019/097625(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像を赤外線センサから取得する画像取得手段と、
ユーザから前記赤外線センサの設置位置を受け付ける設置位置受付手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定し、前記相対的な位置と前記設置位置受付手段が受け付けた前記赤外線センサの設置位置とに基づいて、前記室内機の設置位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記室内機の設置位置を示す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御する、
空調制御装置。
【請求項2】
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像を赤外線センサから取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記相対的な位置、又は、前記相対的な位置から求められる前記室内機の設置位置を示
す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御し、
前記室内機は、複数の吹出口を備え、前記複数の吹出口毎に風向を調整可能であり、
前記空調制御手段は、前記室内機が、前記複数の吹出口から前記調和空気が吹き出され、前記複数の吹出口のうち第1吹出口の風向が他の吹出口の風向と異なる第1状態になるように前記室内機の動作を制御し、
前記位置推定手段は、前記室内機が前記第1状態であるときに前記赤外線センサが前記室内を撮像することにより取得される前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置を推定し、
前記出力手段は、前記位置推定手段が推定した前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置、又は、前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置から求められる前記第1吹出口の設置位置を示す前記室内機位置情報を出力する、
空調制御装置。
【請求項3】
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像を赤外線センサから取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記相対的な位置、又は、前記相対的な位置から求められる前記室内機の設置位置を示
す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御し、
前記室内機は、複数の吹出口を備え、前記複数の吹出口毎に前記調和空気の温度を調整可能であり、
前記空調制御手段は、前記室内機が、前記複数の吹出口から前記調和空気が吹き出され、前記複数の吹出口のうち第1吹出口から吹き出される前記調和空気の温度が他の吹出口から吹き出される前記調和空気の温度と異なる第2状態になるように前記室内機の動作を制御し、
前記位置推定手段は、前記室内機が前記第2状態であるときに前記赤外線センサが前記室内を撮像することにより取得される前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置を推定し、
前記出力手段は、前記位置推定手段が推定した前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置、又は、前記赤外線センサに対する前記第1吹出口の相対的な位置から求められる前記第1吹出口の設置位置を示す前記室内機位置情報を出力する、
空調制御装置。
【請求項4】
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像を赤外線センサから取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記相対的な位置、又は、前記相対的な位置から求められる前記室内機の設置位置を示
す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御し、
前記赤外線センサは、無線通信機能と移動検知機能とを有する撮像装置に内蔵されており、
前記撮像装置と無線で通信し、前記撮像装置が移動したことを通知する移動通知情報と前記赤外線画像とを前記撮像装置から受信する通信手段を更に備え、
前記通信手段が前記移動通知情報を前記撮像装置から受信した場合、前記画像取得手段が前記赤外線センサから前記赤外線画像を取得し、前記位置推定手段が前記相対的な位置を推定し、前記出力手段が前記室内機位置情報を出力する、
空調制御装置。
【請求項5】
前記赤外線センサは、無線通信機能を有する撮像装置に内蔵されており、
前記撮像装置と無線で通信し、前記撮像装置から前記赤外線画像を受信する通信手段を更に備える、
請求項1から3の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項6】
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに赤外線センサが撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づく前記室内機の位置を示す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御し、
前記赤外線センサは、空調制御装置に内蔵されており、
前記赤外線センサの設置角度を調整する角度調整手段と、
前記角度調整手段の動作を制御する角度制御手段と、を更に備える、
空調制御装置。
【請求項7】
前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内の熱分布と前記室内機の位置とを示す熱分布画像を表示する表示手段を更に備える、
請求項1から6の何れか1項に記載の空調制御装置。
【請求項8】
室内に設置された室内機と、前記室内機の動作を制御する空調制御装置と、前記室内を撮像する赤外線センサとを備える空調システムであって、
前記赤外線センサは、前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより赤外線画像を取得し、
前記空調制御装置は、
前記室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記赤外線センサから前記赤外線画像を取得する画像取得手段と、
ユーザから前記赤外線センサの設置位置を受け付ける設置位置受付手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定し、前記相対的な位置と前記設置位置受付手段が受け付けた前記赤外線センサの設置位置とに基づいて、前記室内機の設置位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記室内機の設置位置を示す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御する、
空調システム。
【請求項9】
赤外線センサが、室内に設置された室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより赤外線画像を取得し、
空調制御装置が、ユーザから前記赤外線センサの設置位置を受け付け、
空調制御装置が、前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定し、前記相対的な位置と前記赤外線センサの設置位置とに基づいて、前記室内機の設置位置を推定し、
空調制御装置が、推定した前記室内機の設置位置を示す室内機位置情報を出力し、
空調制御装置が、出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御する、
位置情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御装置、空調システム、及び、位置情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、適切な空調を実現するために、室内機の位置、ユーザの位置等を検出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、カメラが撮像した画像に基づいて、室内機の吹出口の位置とユーザの位置とを解析し、ユーザの位置に応じて空調制御する空気調和システムが記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された空気調和システムでは、室内機の吹出口の周囲に発光部を設け、カメラが撮像した画像に写っている発光部の位置に基づいて、吹出口の位置が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された空気調和システムのように、室内機の吹出口の周囲に発光部を設けると、室内機の構成が複雑になる。このため、簡単な構成で適切な空調を実現する技術が望まれている。
【0006】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で適切な空調を実現する空調制御装置、空調システム、及び、位置情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る空調制御装置は、
室内に設置された室内機の動作を制御する空調制御手段と、
前記室内機が調和空気を吹き出しているときに撮像領域に前記室内機が含まれるように前記室内を撮像することにより取得される赤外線画像を赤外線センサから取得する画像取得手段と、
ユーザから前記赤外線センサの設置位置を受け付ける設置位置受付手段と、
前記画像取得手段が取得した前記赤外線画像に基づいて、前記赤外線センサに対する前記室内機の相対的な位置を推定し、前記相対的な位置と前記設置位置受付手段が受け付けた前記赤外線センサの設置位置とに基づいて、前記室内機の設置位置を推定する位置推定手段と、
前記位置推定手段が推定した前記室内機の設置位置を示す室内機位置情報を出力する出力手段と、を備え、
前記空調制御手段は、前記出力手段が出力した前記室内機位置情報に基づいて、前記室内機の動作を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示では、室内機が調和空気を吹き出しているときに赤外線センサが室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づく室内機の位置を示す室内機位置情報が出力される。従って、本開示によれば、簡単な構成で適切な空調を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施の形態1に係る空調制御装置の機能構成図
【
図6】実施の形態1に係る空調制御装置が実行する空調制御処理を示すフローチャート
【
図7】
図6に示す室内機位置推定処理を示すフローチャート
【
図8】室内機の位置の推定に用いられる赤外線画像を示す図
【
図9】
図6に示す吹出口位置推定処理を示すフローチャート
【
図10】吹出口の位置の推定に用いられる赤外線画像を示す図
【
図14】実施の形態2に係る空調制御装置の機能構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る空調システム1000の構成を示す図である。空調システム1000は、空調対象の部屋の空気を調和するシステムである。
図2は、空調対象の部屋を示す図である。空調システム1000は、空調制御装置100と、赤外線センサ210と、赤外線センサ220と、4つの室内機300と、室外機400と、端末装置500とを備える。なお、理解を容易にするため、
図1には、室内機300Aと室内機300Bと室内機300Cと室内機300Dとの4つの室内機300のうち1つの室内機300のみを図示している。
【0012】
図1に示すように、空調制御装置100と赤外線センサ210と赤外線センサ220と4つの室内機300とは室内に設けられ、室外機400は室外に設けられる。端末装置500は、室内にあってもよいし、室外にあってもよい。
図1には、端末装置500が室内にある例が示されている。
【0013】
空調制御装置100は、4つの室内機300の動作と室外機400の動作とを制御し、空調対象の部屋の空気を調和する装置である。空調制御装置100は、赤外線センサ210と赤外線センサ220と4つの室内機300と室外機400と端末装置500とのそれぞれと通信する機能を有する。空調制御装置100は、赤外線センサ210が撮像した赤外線画像に基づいて、4つの室内機300のそれぞれの位置を推定する機能を有する。空調制御装置100は、空調対象の部屋が備える壁630に設置される。空調制御装置100は、例えば、壁630に備え付けられるリモートコントローラである。
【0014】
次に、
図3を参照して、空調制御装置100の構成について説明する。
図3に示すように、空調制御装置100は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、第1通信部15と、第2通信部16と、第3通信部17と、角度調整部18とを備える。これら各部は、通信バスを介して接続される。
【0015】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、RTC(Real Time Clock)等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、空調制御装置100の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部11において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、空調制御装置100を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0016】
記憶部12は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる補助記憶装置(二次記憶装置ともいう。)としての役割を担う。記憶部12は、制御部11が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部12は、制御部11が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0017】
表示部13は、制御部11による制御に従って、各種の画像を表示する。表示部13は、タッチスクリーン、液晶ディスプレイ等を備える。操作受付部14は、ユーザから各種の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を示す情報を制御部11に供給する。操作受付部14は、タッチスクリーン、ボタン、レバー等を備える。
【0018】
第1通信部15は、制御部11による制御に従って、赤外線センサ210と赤外線センサ220とのそれぞれと有線で通信する。例えば、第1通信部15は、空調制御装置100と赤外線センサ210とを接続する通信線を介して、赤外線センサ210と有線で通信する。また、例えば、第1通信部15は、空調制御装置100と赤外線センサ220とを接続する通信線を介して、赤外線センサ220と有線で通信する。第1通信部15は、各種の有線通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0019】
第2通信部16は、制御部11による制御に従って、4つの室内機300のそれぞれと通信し、また、室外機400と通信する。例えば、第2通信部16は、空調制御装置100と室内機300Aとを接続する通信線を介して、室内機300Aと有線で通信する。また、例えば、第2通信部16は、空調制御装置100と室内機300Aとを接続する通信線と、室内機300Aと室外機400とを接続する通信線とを介して、室外機400と有線で通信する。第2通信部16は、各種の有線通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0020】
第3通信部17は、制御部11による制御に従って、端末装置500と通信する。例えば、第3通信部17は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の周知の通信規格に則って、端末装置500と通信する。第3通信部17は、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0021】
角度調整部18は、制御部11による制御に従って、空調制御装置100に内蔵された赤外線センサ210の設置角度を調整する。角度調整部18は、赤外線センサ210の設置角度を調整することにより、赤外線センサ210の撮像領域を切り替える。角度調整部18は、例えば、回転部材と、支持部材と、アクチュエータとを備える。回転部材は、回転軸を中心にして回転する部材であり、赤外線センサ210が固定される部材である。支持部材は、回転軸を備え、回転軸を中心にして回転部材を回転可能に支持する部材である。本実施の形態では、支持部材が備える回転軸は、水平方向に延びる1つの軸である。アクチュエータは、回転軸を中心にして、回転部材を回転させる。
【0022】
赤外線センサ210は、赤外線を検出するセンサである。つまり、赤外線センサ210は、受光した赤外線の量に応じた電気信号を出力する。本実施の形態では、赤外線センサ210は、赤外線を検出する撮像素子が2次元に配置された赤外線イメージセンサである。赤外線センサ210は、撮像領域内の部分毎に、受光した赤外線の量を示す赤外線画像を生成する。なお、受光する赤外線の量は、基本的に、物体の表面の温度に対応する。赤外線センサ210は、主に、室内機300が設置された位置を特定するために用いられる。
【0023】
赤外線センサ210は、赤外線センサ210の撮像領域の中に室内機300が収まるように、室内に設置される。室内機300は、室内の天井610に設置されるため、赤外線センサ210は、天井610の画像が撮像可能な位置に、天井610の画像が撮像可能な角度で設置される。赤外線センサ210は、壁630に設置された空調制御装置100に内蔵される。空調制御装置100の筐体のうち、赤外線センサ210と対向する部分は、透明な樹脂により構成されることが好適である。又は、空調制御装置100の筐体は、この部分に開口を有し、赤外線センサ210が露出していてもよい。赤外線センサ210は、水平方向よりも上方向の領域が撮像される角度で設置されることが好適である。
【0024】
赤外線センサ220は、基本的に、赤外線センサ210と同様の構成である。赤外線センサ220は、室内の熱分布を検出するために用いられる。赤外線センサ220は、例えば、室内の天井610の中心の付近に設置される。赤外線センサ210と赤外線センサ220とのそれぞれは、有線で空調制御装置100と通信する。赤外線センサ210と赤外線センサ220とのそれぞれは、空調制御装置100による制御に従って赤外線画像を撮像し、撮像した赤外線画像を空調制御装置100に送信してもよい。又は、赤外線センサ210と赤外線センサ220とのそれぞれは、起動中に、継続的に赤外線画像を撮像し、継続的に赤外線画像を空調制御装置100に送信してもよい。
【0025】
室内機300は、空調制御装置100による制御に従って室内の空気を調和する設備機器のうち室内に設置される設備機器である。室内の空気を調和することは、室内の空気の温度、湿度、空気清浄度等を調整することである。室内機300は、空調制御装置100による制御に従って、調和空気を室内に吹き出す。調和空気は、室内の空気を調和するための空気であり、基本的に、暖房空気又は冷房空気である。暖房空気は、室内を暖房するための空気であり、室内の空気の温度よりも高い温度を有する空気である。冷房空気は、室内を冷房するための空気であり、室内の空気の温度よりも低い温度を有する空気である。
【0026】
図4を参照して、室内機300の構成について簡単に説明する。
図4は、室内機300の底面図である。
図4に示すように、室内機300は、4つの吹出口310と、4つのルーバ320と、吸込口330とを備える。吹出口310は、吹出口310Aと吹出口310Bと吹出口310Cと吹出口310Dとの総称である。ルーバ320は、ルーバ320Aとルーバ320Bとルーバ320Cとルーバ320Dとの総称である。
【0027】
吹出口310は、空調制御装置100の内部から室内に調和空気を吹き出すための開口である。本実施の形態では、4つの吹出口310のそれぞれは細長い形状であり、4つの吹出口310がそれぞれ正方形の4つの辺に対応する位置に配置される。ルーバ320は、吹出口310から吹き出す調和空気の風向を調整するための部材である。本実施の形態では、1つの吹出口310に対して1つのルーバ320が設けられる。具体的には、吹出口310Aに対してルーバ320Aが設けられ、吹出口310Bに対してルーバ320Bが設けられ、吹出口310Cに対してルーバ320Cが設けられ、吹出口310Dに対してルーバ320Dが設けられる。
【0028】
ルーバ320は、調和空気の風向を、真下方向から真横方向の間で調整する。真横方向は、水平方向のうち、空調制御装置100の外側に向かう方向である。本実施の形態では、4つのルーバ320の角度が独立制御可能であり、4つの吹出口310から吹き出す調和空気の風向が独立制御可能である。吸込口330は、室内から空調制御装置100の内部に空気を取り込むための開口である。吸込口330は、4つの吹出口310に囲まれる位置に配置され、平面視で正方形である。
【0029】
本実施の形態では、室内の天井610には4つの室内機300が設置され、4つの室内機300のそれぞれの底面が天井面から露出する。室内機300Aは、赤外線センサ210から見て手前の右側に配置される。室内機300Bは、赤外線センサ210から見て手前の左側に配置される。室内機300Cは、赤外線センサ210から見て奥側の右側に配置される。室内機300Dは、赤外線センサ210から見て奥側の左側に配置される。
【0030】
本実施の形態で、室内は、直方体の空間を有し、天井610と、床620と、壁630と、壁640と、壁650とを備える。壁630と壁640とは対向し、壁630と壁650とは隣接し、壁640と壁650とは隣接する。4つの室内機300のそれぞれは、空調制御装置100と有線で通信し、空調制御装置100から供給された制御信号に従って動作する。
【0031】
室外機400は、空調制御装置100による制御に従って室内の空気を調和する設備機器のうち室外に設置される設備機器である。室外機400は、室内機300が部屋から取り込んだ空気を取り込み、取り込んだ空気を加熱又は冷却することにより得られる調和空気を室内機300に供給する。室外機400は、室内機300を介して、空調制御装置100と有線で通信し、空調制御装置100から供給された制御信号に従って動作する。
【0032】
端末装置500は、空調制御装置100のユーザインターフェースとして機能する装置である。ユーザは、端末装置500を介して、空調制御装置100による空調を制御及び監視することができる。例えば、ユーザは、端末装置500を操作して、動作モード、運転モード、設定温度、風向等を変更することができる。動作モードは、運転中、停止中等を示すモードである。運転モードは、暖房運転、冷房運転、除湿運転等を示すモードである。設定温度は、暖房運転又は冷房運転において、目標とする部屋の温度である。
【0033】
また、ユーザは、端末装置500を操作して、空調に関する種々の情報を確認することができる。例えば、ユーザは、端末装置500が表示する画面を確認することにより、動作モード、運転モード、設定温度等を確認することができる。また、ユーザは、端末装置500が表示する画面を確認することにより、部屋の熱分布を示す熱分布画像を確認することができる。なお、熱分布画像は、赤外線センサ210又は赤外線センサ220が撮像した赤外線画像から生成される。
【0034】
端末装置500は、端末装置500全体の動作を制御する制御部、ユーザから操作を受け付ける操作部、各種の情報を表示する表示部、各種の情報を記憶する記憶部、空調制御装置100と通信する通信部等を備える。制御部は、例えば、CPU、ROM、RAM、RTC等を備える。操作部と表示部とは、例えば、タッチスクリーンを備える。記憶部は、SSD、ハードディスクドライブ等を備える。通信部は、例えば、Wi-Fi、Bluetooth等の周知の通信規格に則って通信する通信インターフェースを備える。端末装置500は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。
【0035】
次に、
図5を参照して、空調制御装置100の機能的な構成について説明する。空調制御装置100は、機能的には、画像取得部101と、空調制御部102と、位置推定部103と、出力部104と、角度制御部105とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部12に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0036】
画像取得部101は、赤外線センサ210から赤外線画像を取得する。例えば、画像取得部101は、撮像を指示する撮像指示情報を、第1通信部15を介して赤外線センサ210に送信する。そして、画像取得部101は、赤外線センサ210が撮像により取得した赤外線画像を、第1通信部15を介して赤外線センサ210から取得する。同様に、画像取得部101は、第1通信部15を介して赤外線センサ220から赤外線画像を取得する。画像取得部101は、画像取得手段の一例である。
【0037】
空調制御部102は、室内に設置された室内機300の動作を制御する。例えば、空調制御部102は、操作受付部14がユーザから受け付けた操作に従って、室内機300に対する制御内容を決定する。そして、空調制御部102は、室内機300に対する制御内容を示す制御情報を、第2通信部16を介して室内機300に送信する。なお、空調制御部102は、赤外線センサ210から取得された赤外線画像と、赤外線センサ220から取得された赤外線画像と、後述する出力部104が出力する後述する室内機位置情報とに基づいて、室内機300の動作を制御する。空調制御部102は、空調制御手段の一例である。
【0038】
位置推定部103は、画像取得部101が取得した赤外線画像に基づいて、室内機300の位置を推定する。この赤外線画像は、室内機300が調和空気を吹き出しているときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される。室内機300の位置は、室内機300の設置位置と、赤外線センサ210に対する室内機300の相対的な位置(以下、適宜「室内機300の相対位置」という。)とを含む概念である。室内機300の設置位置は、部屋において室内機300が設置された位置である。室内機300の相対位置は、赤外線センサ210の設置位置を基準として室内機300の設置位置を相対的に表した位置である。赤外線センサ210の設置位置は、部屋において赤外線センサ210が設置された位置である。
【0039】
室内機300の相対位置は、例えば、赤外線センサ210から室内機300までの距離、赤外線センサ210から見たときの室内機300の高さ、赤外線センサ210と室内機300とを結ぶ直線と水平面とのなす角度等により表現される。また、室内機300が複数存在する場合、室内機300の相対位置は、赤外線センサ210から室内機300までの距離の大小関係、赤外線センサ210から見たときの室内機300の並び方等により表現されてもよい。例えば、室内機300Aの相対位置と室内機300Bの相対位置とが手前側、室内機300Cの相対位置と室内機300Dの相対位置とが奥側と表現されてもよい。又は、例えば、室内機300Aの相対位置は右手前、室内機300Bの相対位置は左手前、室内機300Cの相対位置は右奥、室内機300Dの相対位置は左奥と表現されてもよい。
【0040】
位置推定部103は、画像取得部101が取得した赤外線画像に基づいて、室内機300の相対位置を推定する。例えば、調和空気が暖房空気である場合、室内機300の吹出口310の周囲の部分の温度は、他の部分の温度よりも高い。従って、赤外線画像において、室内機300の吹出口310の周囲の部分は、他の部分に比べて、高い温度で表現される。そこで、位置推定部103は、赤外線画像において高い温度で表現された部分を、室内機300の吹出口310の周囲の部分として、室内機300の相対位置を推定する。なお、位置推定部103は、記憶部12に記憶された機器情報に基づいて、室内機300の相対位置を精度よく推定することができる。機器情報は、室内機300の機種、吹出口310の個数、吹出口310の配置等を示す情報である。
【0041】
また、位置推定部103は、推定した室内機300の相対位置と赤外線センサ210の設置位置とから、室内機300の設置位置を更に推定する。なお、赤外線センサ210の設置位置は、操作受付部14がユーザから受け付ける。赤外線センサ210の設置位置は、例えば、壁630と壁640と壁650とのうちどの壁に赤外線センサ210が設置されたか、壁630のどの位置に赤外線センサ210が設置されたか、天井610から赤外線センサ210までの距離、床620から赤外線センサ210までの距離等により表現される。
【0042】
なお、記憶部12には、赤外線センサ210の設置位置、室内機300の設置位置等を適切に表現するために必要な情報が記憶されているものとする。例えば、記憶部12は、室内の形状と室内の大きさとを示す室内情報が記憶されているものとする。また、記憶部12には、赤外線センサ220の設置位置を示す情報が記憶されているものとする。
【0043】
位置推定部103は、室内における赤外線センサ210の設置位置と、赤外線センサ210から見たときの室内機300の相対的な位置とに基づいて、室内における室内機300の設置位置を推定する。位置推定部103は、4つの室内機300のそれぞれについて、室内における設置位置を推定する。位置推定部103は、位置推定手段の一例である。操作受付部14は、設置位置受付手段の一例である。
【0044】
出力部104は、室内機300が調和空気を吹き出しているときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づく室内機300の位置を示す室内機位置情報を出力する。つまり、出力部104は、位置推定部103が推定した室内機300の相対位置、又は、室内機300の相対位置から求められる室内機300の設置位置を示す室内機位置情報を出力する。
【0045】
例えば、出力部104は、空調制御部102に室内機位置情報を出力する。一方、空調制御部102は、出力部104が出力した室内機位置情報に基づいて、室内機300の動作を制御する。また、出力部104は、表示部13に室内機位置情報を出力する。一方、表示部13は、出力部104が出力した室内機位置情報に基づいて、室内の熱分布と室内機300の位置とを示す熱分布画像を表示する。また、出力部104は、第3通信部17を介して、端末装置500に室内機位置情報を送信する。一方、端末装置500は、出力部104が出力した室内機位置情報に基づいて、室内の熱分布と室内機300の位置とを示す熱分布画像を表示する。出力部104は、出力手段の一例である。表示部13は、表示手段の一例である。
【0046】
角度制御部105は、赤外線センサ210の設置角度を調整する角度調整部18の動作を制御する。つまり、角度制御部105は、撮像領域に室内機300が含まれるように、角度調整部18の動作を制御する。例えば、角度制御部105は、撮像領域に室内機300が含まれない場合、撮像領域に室内機300が含まれるまで、赤外線センサ210の設置角度を調整する。角度制御部105は、角度制御手段の一例である。角度調整部18は、角度調整手段の一例である。
【0047】
室内機300は、複数の吹出口310を備え、複数の吹出口310毎に風向を調整可能である。この場合、空調制御部102は、室内機300が、複数の吹出口310から調和空気が吹き出され、複数の吹出口310のうち第1吹出口の風向が他の吹出口の風向と異なる第1状態になるように室内機300の動作を制御する。一方、位置推定部103は、室内機300が第1状態であるときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づいて、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置を推定する。そして、出力部104は、位置推定部103が推定した赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置、又は、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置から求められる第1吹出口の設置位置を示す室内機位置情報を出力する。
【0048】
次に、
図6のフローチャートを参照して、空調制御装置100が実行する空調制御処理について説明する。空調制御装置100は、例えば、電源が投入されたことに応答して、空調制御処理の実行を開始する。なお、空調制御装置100が空調制御処理を実行することにより、本開示における位置情報出力方法が実現される。
【0049】
まず、空調制御装置100が備える制御部11は、位置検出指示があるか否かを判別する(ステップS101)。例えば、制御部11は、操作受付部14が位置検出を指示する位置検出指示操作をユーザから受け付けたか否かを判別する。又は、制御部11は、端末装置500から位置検出を指示する位置検出指示情報を受信したか否かを判別する。又は、起動時に位置検出を実行するようにプログラムされている場合、制御部11は、空調制御装置100が起動直後であるか否かを判別する。
【0050】
制御部11は、位置検出指示があると判別すると(ステップS101:YES)、赤外線センサ210の設置位置の入力を受け付ける(ステップS102)。例えば、制御部11は、表示部13を制御して、赤外線センサ210の設置位置を問い合わせる画像を表示する。赤外線センサ210の設置位置は、例えば、赤外線センサ210から天井610までの距離により指定される。なお、空調制御装置100の設置位置を示す情報が記憶部12に記憶されている場合、空調制御装置100の設置位置が赤外線センサ210の設置位置として扱われてもよい。制御部11は、赤外線センサ210の設置位置の入力を、操作受付部14を介してユーザから受け付ける。
【0051】
制御部11は、ステップS102の処理を完了すると、空調機位置推定処理を実行する(ステップS103)。以下、
図7を参照して、空調機位置推定処理について詳細に説明する。
【0052】
まず、制御部11は、天井面の赤外線画像を取得する(ステップS201)。例えば、制御部11は、赤外線センサ210による撮像範囲に天井面が含まれるように、角度調整部18を制御する。そして、制御部11は、赤外線センサ210に撮像を指示し、赤外線センサ210から天井面を含む赤外線画像を取得する。制御部11は、ステップS201の処理を完了すると室内機300を選択する(ステップS202)。具体的には、制御部11は、4つの室内機300のうち未選択の1つの室内機300を選択する。
【0053】
制御部11は、ステップS202の処理を完了すると、選択した室内機300の風向を真横に設定する(ステップS203)。具体的には、制御部11は、選択した室内機300については、全ての吹出口310から真横に調和空気が吹き出されるように、全てのルーバ320の角度を調整する。制御部11は、ステップS203の処理を完了すると、選択していない室内機300の風向を真下に設定する(ステップS204)。具体的には、制御部11は、選択していない全ての室内機300については、全ての吹出口310から真下に調和空気が吹き出されるように、全てのルーバ320の角度を調整する。
【0054】
制御部11は、ステップS204の処理を完了すると、調和空気を吹き出す(ステップS205)。例えば、制御部11は、全ての室内機300のそれぞれが備える全ての吹出口310から調和空気が吹き出されるように、全ての室内機300を制御する。本実施の形態では、調和空気は、暖房空気である。
【0055】
制御部11は、ステップS205の処理を完了すると、天井面の赤外線画像を取得する(ステップS206)。制御部11は、ステップS201と同様の処理により、赤外線センサ210から天井面の赤外線画像を取得する。制御部11は、ステップS206の処理を完了すると、温度変化領域を特定する(ステップS207)。この温度変化領域は、ステップS201で取得された赤外線画像とステップS206で取得された赤外線画像とで、温度の変化により画像が変化した領域である。
【0056】
ステップS201で取得された赤外線画像、つまり、全ての室内機300が調和空気を吹き出す前に取得された赤外線画像では、周囲に比べて高い温度を有する領域が観測されない。一方、ステップS206で取得された赤外線画像では、選択した室内機300に対応する領域が、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測される。
図8に、室内機300Aが選択されたときにステップS206で取得された赤外線画像である画像710を示す。なお、壁660は、壁650と対向する壁である。
【0057】
画像710では、選択された室内機300Aに対応する領域が、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測される。より詳細には、画像710では、室内機300Aが備える吹出口310Aの外側の領域である領域330Aと、室内機300Aが備える吹出口310Bの外側の領域である領域330Bと、室内機300Aが備える吹出口310Cの外側の領域である領域330Cと、室内機300Aが備える吹出口310Dの外側の領域である領域330Dとが、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測される。この理由は、室内機300Aが備える吹出口310からは真横に暖房空気が吹き出され、室内機300Aが備える吹出口310の外側の部材の温度が上昇するためである。
【0058】
これに対して、画像710では、室内機300B、室内機300C及び室内機300Dに対応する領域は、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測されない。この理由は、室内機300B、室内機300C及び室内機300Dが備える吹出口310からは真下に暖房空気が吹き出され、室内機300B、室内機300C及び室内機300Dが備える吹出口310の周囲の部材の温度はあまり上昇しないためである。
【0059】
制御部11は、ステップS207の処理を完了すると、選択した室内機300の相対位置を推定する(ステップS208)。例えば、選択された室内機300が室内機300Aである場合、画像710では、領域330Aと領域330Bと領域330Cと領域330Dとが、温度変化領域として観測される。制御部11は、画像710上において、領域330Aと領域330Bと領域330Cと領域330Dとにより囲まれた領域を、室内機300Aが設置された領域として特定する。
【0060】
なお、領域330Aと領域330Cとは、水平方向に延びる線状の領域として観測される。また、赤外線センサ210が設置された壁630から壁640までの距離に対して、床620から天井610までの距離がそれほど長くない場合、赤外線センサ210と室内機300とを結ぶ直線と水平面とのなす角度がそれほど大きくならないと考えられる。この場合、領域330Aの長さと領域330Cの長さとは、領域330Bの長さと領域330Dの長さとに比べて、長いと考えられる。このため、領域330Aと領域330Cとは、領域330Bと領域330Dとに比べて、画像710から検出しやすい。そこで、制御部11は、水平方向に延びて互いに対向する領域330Aと領域330Cとを画像710から検出し、領域330Aと領域330Cとに挟まれた領域を、室内機300Aの領域として推定することが好適である。
【0061】
制御部11は、画像710上における室内機300Aの位置及び大きさに基づいて、室内機300Aの相対位置を推定する。なお、室内機300Aの相対位置は、例えば、赤外線センサ210から室内機300Aまでの距離と、赤外線センサ210と室内機300Aとを結ぶ直線と水平面とのなす角度とにより表現される。
【0062】
制御部11は、ステップS208の処理を完了すると、選択した室内機300の設置位置を推定する(ステップS209)。具体的には、制御部11は、ステップS102で受け付けた赤外線センサ210の設置位置と、ステップS208で推定した選択した室内機300の相対位置とに基づいて、室内における選択した室内機300の設置位置を推定する。
【0063】
制御部11は、ステップS209の処理を完了すると、未選択の室内機300があるか否かを判別する(ステップS210)。制御部11は、未選択の室内機300があると判別すると(ステップS210:YES)、ステップS202に処理を戻す。制御部11は、未選択の室内機300がないと判別すると(ステップS210:NO)、空調機位置推定処理を完了する。
【0064】
制御部11は、ステップS103の空調機位置推定処理を完了すると、吹出口位置推定処理を実行する(ステップS104)。以下、
図9を参照して、吹出口位置推定処理について詳細に説明する。
【0065】
まず、制御部11は、天井面の赤外線画像を取得する(ステップS301)。制御部11は、ステップS301の処理を完了すると、室内機300を選択する(ステップS302)。制御部11は、ステップS302の処理を完了すると、吹出口310を選択する(ステップS303)。具体的には、制御部11は、4つの吹出口310のうち未選択の1つの吹出口310を選択する。
【0066】
制御部11は、ステップS303の処理を完了すると、選択した吹出口310の風向を真横に設定する(ステップS304)。具体的には、制御部11は、選択した室内機300が備える選択した吹出口310から真横に調和空気が吹き出されるように、選択した吹出口310に対応するルーバ320の角度を調整する。制御部11は、ステップS304の処理を完了すると、選択していない吹出口310の風向を真下に設定する(ステップS305)。具体的には、制御部11は、選択した室内機300が備える選択していない全ての吹出口310から真下に調和空気が吹き出されるように、選択していない全ての吹出口310のそれぞれに対応するルーバ320の角度を調整する。
【0067】
制御部11は、ステップS305の処理を完了すると、調和空気を吹き出す(ステップS306)。例えば、制御部11は、選択した室内機300が備える全ての吹出口310から調和空気が吹き出されるように、選択した室内機300を制御する。本実施の形態では、調和空気は、暖房空気である。
【0068】
制御部11は、ステップS306の処理を完了すると、天井面の赤外線画像を取得する(ステップS307)。制御部11は、ステップS201と同様の処理により、赤外線センサ210から天井面の赤外線画像を取得する。制御部11は、ステップS307の処理を完了すると、温度変化領域を特定する(ステップS308)。この温度変化領域は、ステップS301で取得された赤外線画像とステップS307で取得された赤外線画像とで、温度の変化により画像が変化した領域である。
【0069】
図10に、室内機300Aが選択され、吹出口310Aが選択されたときにステップS307で取得された赤外線画像である画像720を示す。画像720では、選択された室内機300Aが備える選択された吹出口310Aに対応する領域が、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測される。より詳細には、画像720では、室内機300Aが備える吹出口310Aの外側の領域である領域330Aが、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測される。この理由は、室内機300Aが備える吹出口310Aからは真横に暖房空気が吹き出され、室内機300Aが備える吹出口310Aの外側の部材の温度が上昇するためである。
【0070】
これに対して、画像720では、室内機300Aが備える吹出口310B、吹出口310C及び吹出口310Dのそれぞれに対応する領域は、周囲に比べて高い温度を有する領域として観測されない。この理由は、室内機300Aが備える吹出口310B、吹出口310C及び吹出口310Dのそれぞれからは真下に暖房空気が吹き出され、室内機300Aが備える吹出口310B、吹出口310C及び吹出口310Dのそれぞれの周囲の部材の温度はあまり上昇しないためである。
【0071】
制御部11は、ステップS308の処理を完了すると、選択した吹出口310の相対位置を推定する(ステップS309)。例えば、選択された室内機300が室内機300Aであり、選択した吹出口310が吹出口310Aである場合、画像720では、領域330Aが温度変化領域として観測される。制御部11は、画像720上において領域330Aが観測された領域を、室内機300Aが備える吹出口310Aが設置された領域として特定する。
【0072】
制御部11は、ステップS309の処理を完了すると、選択した吹出口310の設置位置を推定する(ステップS310)。具体的には、制御部11は、ステップS102で受け付けた赤外線センサ210の設置位置と、ステップS309で推定した選択した吹出口310の相対位置とに基づいて、室内における選択した吹出口310の設置位置を推定する。
【0073】
制御部11は、ステップS310の処理を完了すると、未選択の吹出口310があるか否かを判別する(ステップS311)。制御部11は、未選択の吹出口310があると判別すると(ステップS311:YES)、ステップS303に処理を戻す。制御部11は、未選択の吹出口310がないと判別すると(ステップS311:NO)、未選択の室内機300があるか否かを判別する(ステップS312)。制御部11は、未選択の室内機300があると判別すると(ステップS312:YES)、ステップS302に処理を戻す。制御部11は、未選択の室内機300がないと判別すると(ステップS312:NO)、吹出口位置推定処理を完了する。
【0074】
制御部11は、位置検出の開始指示がないと判別した場合(ステップS101:NO)、又は、ステップS104の吹出口位置推定処理を完了した場合、熱分布画像の表示指示があるか否かを判別する(ステップS105)。例えば、制御部11は、操作受付部14が、ユーザから熱分布画像の表示を指示する表示指示操作を受け付けたか否かを判別する。又は、制御部11は、熱分布画像の表示を指示する表示指示情報を端末装置500から受信したか否かを判別する。
【0075】
制御部11は、熱分布画像の表示指示があると判別すると(ステップS105:YES)、熱分布画像を表示する(ステップS106)。例えば、制御部11は、表示部13を制御して、熱分布画像を表示する。又は、制御部11は、熱分布画像を示す画像情報を端末装置500に送信し、端末装置500に熱分布画像を表示させる。この熱分布画像は、室内の熱分布と室内機300の位置とを示す画像である。例えば、熱分布画像は、赤外線センサ210が取得した赤外線画像、又は、赤外線センサ220が取得した赤外線画像に、室内機300の位置を示す画像を合成した画像である。
【0076】
図11に、熱分布画像である画像730を示す。画像730は、赤外線センサ220が取得した赤外線画像に、室内機300を示すアイコン画像と、吹出口310の名称を示す文字列画像とを合成した画像である。空調機位置推定処理により推定された室内機300の設置位置に基づいて、画像730上におけるアイコン画像の位置が決定される。また、吹出口位置推定処理により推定された吹出口310の設置位置に基づいて、画像730上における文字列画像の位置が決定される。なお、室内機A、室内機B、室内機C及び室内機Dは、それぞれ、室内機300A、室内機300B、室内機300C及び室内機300Dの名称である。また、吹出口A、吹出口B、吹出口C及び吹出口Dは、それぞれ、吹出口310A、吹出口310B、吹出口310C及び吹出口310Dの名称である。
【0077】
画像730には、領域731と領域732と領域733とが色分けにより示されている。領域731は、領域732と領域733とに比べて、温度が低い領域である。領域732は、領域731よりも温度が高く、領域733よりも温度が低い領域である。領域733は、領域731と領域732とに比べて、温度が高い領域である。画像730では、室内機300Aが領域731と領域732とに重なり、室内機300Bと室内機300Cと室内機300Dとが領域733に重なる。
【0078】
つまり、画像730は、室内機300Aの下方の領域の空気の温度が低く、室内機300B、室内機300C及び室内機300Dの下方の領域の空気の温度が高いことを示す。例えば、暖房時には、画像730を参照したユーザは、室内機300Aの設定温度を上げる、室内機300Aの風量を上げる、室内機300Bの風向と室内機300Cの風向とを室内機300Aに向かう風向に切り替える等の措置を講じることができる。
【0079】
制御部11は、熱分布画像の表示指示がないと判別した場合(ステップS105:NO)、又は、ステップS106の処理が完了した場合、空調制御を実行する(ステップS107)。制御部11は、空調機位置推定処理により推定された室内機300の設置位置と、吹出口位置推定処理により推定された吹出口310の設置位置とに基づいて、室内機300の動作を制御する。例えば、制御部11は、室内空間の温度のばらつきがなくなるように、4つの室内機300のそれぞれについて、設定温度、風量、ルーバ320の角度等を調整する。制御部11は、ステップS107の処理を完了すると、ステップS101に処理を戻す。
【0080】
本実施の形態では、室内機300が調和空気を吹き出しているときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づいて、室内機300の位置が推定され、推定された室内機300の位置を示す室内機位置情報が出力される。この室内機位置情報は、空調制御、熱分布画像の生成等に用いることができる。また、上記赤外線画像は、室内機300の位置の推定に用いるだけでなく、室内の温度分布の把握にも用いることができる。従って、本実施の形態によれば、簡単な構成で適切な空調を実現することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、赤外線画像に基づいて室内機300の相対位置が推定され、室内機300の相対位置、又は、室内機300の相対位置から求められる室内機300の設置位置を示す室内機位置情報が出力される。従って、本実施の形態によれば、室内機300の相対位置、又は、室内機300の設置位置を、空調制御、熱分布画像の生成等に用いることができる。
【0082】
また、本実施の形態では、室内機300の相対位置と赤外線センサ210の設置位置とに基づいて、室内機300の設置位置が推定される。本実施の形態によれば、室内機300の設置位置を自動で検出することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、室内機300が、複数の吹出口310のうち第1吹出口の風向が他の吹出口の風向と異なる第1状態であるときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される赤外線画像に基づいて、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置が推定される。本実施の形態によれば、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置を精度よく検出することができる。
【0084】
また、本実施の形態では、赤外線センサ210の角度が調整可能である。本実施の形態によれば、赤外線センサ210の視野角が狭い場合においても、広範囲の赤外線画像が取得可能である。
【0085】
また、本実施の形態では、室内機位置情報に基づいて、室内機300の動作が制御される。本実施の形態によれば、より適切な空調制御が期待できる。
【0086】
また、本実施の形態では、室内機位置情報に基づいて、室内の熱分布と室内機300の位置とを示す熱分布画像が表示される。本実施の形態によれば、ユーザに室内の熱分布と適切な空調制御を実現するために必要な操作とを分かりやすく伝えることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、空調制御装置100に赤外線センサ210が内蔵される例について説明した。赤外線センサ210が空調制御装置100の外部に設けられてもよい。以下、
図12から
図15を参照して、本実施の形態に係る空調システム1100について説明する。本実施の形態では、赤外線センサ210を内蔵しない空調制御装置110が、赤外線センサ210を内蔵する撮像装置200と無線で通信することにより、赤外線センサ210から赤外線画像を取得する。実施の形態1と同様の構成及び機能については、適宜、説明を省略又は簡略化する。
【0087】
図12に、本実施の形態に係る空調制御装置110の構成を示す。
図12に示すように、空調制御装置110は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作受付部14と、第1通信部15と、第2通信部16と、第3通信部17と、第4通信部19とを備える。つまり、空調制御装置110は、角度調整部18を備えず、第4通信部19を備える点において、空調制御装置100と異なる。
【0088】
第4通信部19は、制御部11による制御に従って、赤外線センサ210と無線で通信する。第4通信部19は、撮像装置200と無線で通信し、撮像装置200が移動したことを通知する移動通知情報と赤外線画像とを撮像装置200から受信する。例えば、第4通信部19は、Wi-Fi、Bluetooth等の周知の通信規格に則って、赤外線センサ210と通信する。第4通信部19は、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。第4通信部19は、通信手段の一例である。なお、本実施の形態では、第1通信部15は、制御部11による制御に従って、赤外線センサ220と有線で通信する。
【0089】
次に、
図13を参照して、撮像装置200の構成について説明する。撮像装置200は、無線通信機能と移動検知機能とを有する赤外線カメラである。
図13に示すように、撮像装置200は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、角度調整部24と、移動検知部25と、赤外線センサ210とを備える。これら各部は、通信バスを介して接続される。
【0090】
制御部21は、CPU、ROM、RAM、RTC等を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、撮像装置200の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部21において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、撮像装置200を統括制御する。RTCは、例えば、計時機能を有する集積回路である。なお、CPUは、RTCから読み出される時刻情報から現在日時を特定可能である。
【0091】
記憶部22は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部22は、制御部21が各種処理を実行するために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部22は、制御部21が各種処理を実行することにより生成又は取得するデータを記憶する。
【0092】
通信部23は、制御部21による制御に従って、空調制御装置110と無線で通信する。例えば、通信部23は、Wi-Fi、Bluetooth等の周知の通信規格に則って、空調制御装置110と通信する。通信部23は、Wi-Fi、Bluetooth等の無線通信規格に準拠した通信インターフェースを備える。
【0093】
角度調整部24は、制御部21による制御に従って、撮像装置200に内蔵された赤外線センサ210の設置角度を調整する。角度調整部24は、赤外線センサ210の設置角度を調整することにより、赤外線センサ210の撮像領域を切り替える。角度調整部24は、角度調整部18と同様の構成を有する。
【0094】
移動検知部25は、撮像装置200が移動したことを検知する。また、移動検知部25は、撮像装置200の移動量、撮像装置200の移動方向、撮像装置200の向き等を検知する。移動検知部25は、例えば、3軸加速度センサと3軸角速度センサとを備える。
【0095】
次に、
図14を参照して、空調制御装置110の機能的な構成について説明する。空調制御装置110は、機能的には、画像取得部101と、空調制御部102と、位置推定部103と、出力部104とを備える。空調制御装置110は、機能的には、角度制御部105を備えない点と、画像取得部101が第1通信部15ではなく第4通信部19を介して赤外線画像を取得する点とが、空調制御装置100と異なる。
【0096】
本実施の形態では、撮像装置200が移動したことが検知された場合、室内機300の位置を検出する処理が実行される。つまり、第4通信部19が移動通知情報を撮像装置200から受信した場合、画像取得部101が赤外線センサ210から赤外線画像を取得する処理を実行する。また、位置推定部103は、画像取得部101が取得した赤外線画像に基づいて、室内機300の相対位置を推定する。そして、出力部104は、位置推定部103が推定した室内機300の相対位置、又は、室内機300の相対位置に基づく室内機300の設置位置を示す室内機位置情報を出力する。
【0097】
本実施の形態では、画像取得部101は、赤外線センサ210の設置角度の変更を指示する角度変更指示情報を、第4通信部19を介して撮像装置200に送信する。そして、画像取得部101は、赤外線センサ210に撮像を指示する撮像指示情報を、第4通信部19を介して撮像装置200に送信する。
【0098】
次に、
図15を参照して、撮像装置200の機能的な構成について説明する。撮像装置200は、機能的には、撮像制御部201と、角度制御部202と、移動通知部203とを備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部22に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
【0099】
撮像制御部201は、赤外線センサ210による撮像を制御する。例えば、撮像制御部201は、通信部23が空調制御装置110から撮像指示情報を受信した場合、赤外線センサ210に撮像を指示し、赤外線センサ210から赤外線画像を取得する。撮像制御部201は、通信部23を介して、赤外線画像を空調制御装置110に送信する。
【0100】
角度制御部202は、角度調整部24の動作を制御する。例えば、角度制御部202は、通信部23が空調制御装置110から角度変更指示情報を受信した場合、角度調整部24を制御して、赤外線センサ210の設置角度を変更する。
【0101】
移動通知部203は、撮像装置200が移動したことを通知する。例えば、移動通知部203は、移動検知部25により撮像装置200の移動が検知された場合、撮像装置200が移動したことを通知する移動通知情報を、通信部23を介して、空調制御装置110に送信する。移動通知情報は、撮像装置200の移動量、撮像装置200の移動方向、撮像装置200の向き等を示す情報を含んでいてもよい。
【0102】
空調制御装置110が実行する空調制御処理は、空調制御装置110が無線通信で赤外線センサ210から赤外線画像を取得する点と、撮像装置200の移動が検知されたときに位置検出指示があったと判別される点とを除き、空調制御装置100が実行する空調制御処理と同様である。
【0103】
本実施の形態では、空調制御装置110と赤外線センサ210とが無線で通信する。従って、本実施の形態によれば、赤外線センサ210の設置場所の自由度が高い。例えば、空調制御装置110の設置位置が天井610の撮像に適さない設置位置である場合、空調制御装置110に赤外線センサ210を内蔵すると、天井610の赤外線画像を取得することが困難である。本実施の形態に係る空調システム1100では、空調制御装置110と赤外線センサ210とが無線で通信するため、赤外線センサ210の設置場所を自由に変更することができる。
【0104】
また、本実施の形態では、撮像装置200の移動が検知されたときに、室内機300の位置検出が自動で開始される。従って、本実施の形態によれば、撮像装置200が移動する毎に、空調制御装置110に室内機300の位置検出を実行させたい場合において、撮像装置200が移動する毎に、ユーザが空調制御装置110に位置検出指示をする必要がなく、ユーザ負担の軽減が期待できる。
【0105】
例えば、施工業者が室内に室内機300を設置した際、天井610に設置された複数の室内機300の位置関係を検出及び記録したいことがある。つまり、施工業者は、室内機300の配置マップを作成したいことがある。ここで、例えば、室内機300が設置される部屋が広い場合、赤外線センサ210が天井610に設置された全ての室内機300を一度に撮像できないことがある。この場合、赤外線センサ210を移動させながら空調制御装置110に室内機300の位置検出を実行させ、取得された複数の赤外線画像に基づいて、全ての室内機300の位置を特定する方法が考えられる。この場合において、赤外線センサ210が移動する毎に、室内機300の位置検出が自動で実行されると、ユーザの手間が少なく便利である。
【0106】
以上、本開示の実施の形態を説明したが、本開示を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。本開示において、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本開示において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上記実施の形態において説明した構成、機能、動作は、自由に組み合わせることができる。
【0107】
(変形例1)
実施の形態1では、複数の吹出口310の風向に差を設けることにより、吹出口310の位置を特定する例について説明した。複数の吹出口310から吹き出される調和空気の温度に差を設けることにより、吹出口310の位置を特定してもよい。この場合、室内機300は、複数の吹出口310毎に調和空気の温度を調整可能であることが前提である。空調制御部102は、室内機300が、複数の吹出口310から調和空気が吹き出され、複数の吹出口310のうち第1吹出口から吹き出される調和空気の温度が他の吹出口310から吹き出される調和空気の温度と異なる第2状態になるように室内機300の動作を制御する。例えば、複数の吹出口310から暖房空気を吹き出す場合、第1吹出口から吹き出される調和空気の温度が30℃に設定され、他の吹出口310から吹き出される調和空気の温度が20℃に設定される。なお、吹出口310から吹き出される調和空気の温度は、基本的に、吹出口310の設定温度である。
【0108】
そして、画像取得部101は、室内機300が第2状態であるときに赤外線センサ210が室内を撮像することにより取得される赤外線画像を取得する。位置推定部103は、この赤外線画像に基づいて、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置を推定する。出力部104は、位置推定部103が推定した赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置、又は、赤外線センサ210に対する第1吹出口の相対的な位置から求められる第1吹出口の設置位置を示す室内機位置情報を出力する。
【0109】
(他の変形例)
実施の形態1では、4つの吹出口310のそれぞれを第1吹出口として4つの赤外線画像を取得し、4つの赤外線画像から4つの吹出口310の位置を推定する例について説明した。記憶部12が記憶する機器情報が、室内機300における4つの吹出口310の配置関係を示す情報を含む場合、1つの赤外線画像から4つの吹出口310の位置を推定してもよい。具体的には、1つの吹出口310を第1吹出口として1つの赤外線画像を取得し、1つの赤外線画像から第1吹出口の位置を推定し、推定した第1吹出口の位置から他の3つの吹出口310の位置を推定してもよい。
【0110】
実施の形態1では、室内機300の個数が4つである例について説明した。室内機300の個数は、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。また、実施の形態1では、室内機300が備える吹出口310の個数が4つであり、4つの吹出口310が正方形の4つの辺に対応するように配置される例について説明した。4つの吹出口310の配置は、この例に限定されない。また、吹出口310の個数は、3つ以下でもよいし、5つ以上でもよい。
【0111】
実施の形態1では、空調制御装置100が、赤外線センサ210と赤外線センサ220と室内機300と室外機400とのそれぞれと有線で通信し、空調制御装置100が、端末装置500と無線で通信する例について説明した。空調制御装置100が、赤外線センサ210と赤外線センサ220と室内機300と室外機400と端末装置500とのそれぞれと通信する手法は、適宜、調整することができる。例えば、空調制御装置100が、赤外線センサ210と赤外線センサ220と室内機300と室外機400と端末装置500とのそれぞれと無線で通信してもよい。
【0112】
実施の形態1では、空調制御装置100が、赤外線センサ210の設置位置の入力をユーザから受け付ける例について説明した。赤外線センサ210の設置位置が予め定められている場合、ユーザによる赤外線センサ210の設置位置の入力は不要である。この場合、例えば、記憶部12に、赤外線センサ210の設置位置を示す情報が記憶されていることが好適である。
【0113】
実施の形態1では、赤外線センサ220が取得した赤外線画像に室内機300のアイコン画像と吹出口310の文字列画像とを合成することにより、ユーザに提示される熱分布画像を生成する例について説明した。赤外線センサ210が取得した赤外線画像に室内機300のアイコン画像と吹出口310の文字列画像とを合成することにより、ユーザに提示される熱分布画像を生成してもよい。この場合、赤外線センサ220はなくてもよい。
【0114】
また、赤外線センサ220が取得した赤外線画像と赤外線センサ210が取得した赤外線画像とから、室内の熱分布を精度良く求めてもよい。この場合、求めた室内の熱分布を示す画像に、室内機300のアイコン画像と吹出口310の文字列画像とを合成することにより、ユーザに提示される熱分布画像を生成する。
【0115】
実施の形態1では、室内機300の位置を検出するための赤外線センサ210の個数が1つである例について説明した。赤外線センサ210の個数が2つ以上でもよい。また、実施の形態1では、調和空気が暖房空気である例について説明した。調和空気が冷房空気であってもよい。
【0116】
上記実施の形態では、制御部11において、CPUがROM又は記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、
図5及び
図14に示した各部として機能した。しかしながら、本開示において、制御部11は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部11が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
【0117】
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部11は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0118】
本開示に係る空調制御装置100の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、本開示に係る空調制御装置100として機能させることも可能である。また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0119】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本開示は、空調システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
11,21 制御部、12,22 記憶部、13 表示部、14 操作受付部、15 第1通信部、16 第2通信部、17 第3通信部、18,24 角度調整部、19 第4通信部、23 通信部、25 移動検知部、100,110 空調制御装置、101 画像取得部、102 空調制御部、103 位置推定部、104 出力部、105 角度制御部、200 撮像装置、201 撮像制御部、202 角度制御部、203 移動通知部、210,220 赤外線センサ、300,300A,300B,300C,300D 室内機、310,310A,310B,310C,310D 吹出口、320,320A,320B,320C,320D ルーバ、330 吸込口、330A,330B,330C,330D 領域、400 室外機、500 端末装置、610 天井、620 床、630,640,650,660 壁、710,720,730 画像、731,732,733 領域、1000,1100 空調システム