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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】耳整形機構
(51)【国際特許分類】
   A61F 11/00 20220101AFI20241101BHJP
【FI】
A61F11/00 350
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022526745
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020127421
(87)【国際公開番号】W WO2021093698
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】201911101712.1
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511051616
【氏名又は名称】チョウ,シン
【氏名又は名称原語表記】ZHOU,Xing
【住所又は居所原語表記】A601,Guangzhou International Business Incubator,Guangzhou Science Park,Guangzhou,Guangdong 510663,China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109893317(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107260375(CN,A)
【文献】中国特許第103919634(CN,B)
【文献】国際公開第2018/053219(WO,A1)
【文献】中国実用新案第209474958(CN,U)
【文献】中国実用新案第209332470(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0185043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 11/00
A61F 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(1)と、耳裏型ホルダ(2)と、上カバー(3)とを備える調整可能な耳整形機構(100)であって、
前記ベース(1)は開口(11)を備え、当該開口が当該開口を通ってユーザの耳(4)を受け入れるように適合され
前記耳裏型ホルダ(2)は、
前記開口(11)内に移動可能に設けられ、
前記耳の種々の奇形に対応するために前記ベース(1)に対して異なる位置に調節可能であり、かつ、
前記耳が矯正を必要とする部位に応じて前記耳(4)の裏部から前記耳の耳介を支え、
前記上カバー(3)は、前記ベース(1)に着脱可能に接続され、
前記上カバー(3)、前記ベース(1)及び前記耳裏型ホルダ(2)は、前記耳を含む収容スペース(5)を画定することを特徴とする、調整可能な耳整形機構。
【請求項2】
前記ベース(1)は、貼付の方式により前記耳(4)周辺皮膚に固定されるように適合していることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項3】
前記耳裏型ホルダ(2)は、前記耳(4)の裏部の皮膚に貼り付けられるように適合していることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項4】
前記ベース(1)は、側壁(12)をさらに有し、
前記耳裏型ホルダ(2)は、前記耳(4)の前記種々の奇形に対応するために異なる位置に調節できるように、前記ベース(1)の前記側壁(12)に接続することができることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項5】
前記耳裏型ホルダ(2)は、貼付又は嵌合の方式により前記ベース(1)の側壁(12)に接続することができることを特徴とする、請求項4に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項6】
前記耳裏型ホルダ(2)に弾性溝(21)が設けられ
前記弾性溝(21)は、耳の裏の異なる空間の高さに対応できるように、外力の作用により収縮することができ、かつ、前記外力から解放されると復帰するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項7】
前記調整可能な耳整形機構(100)は、耳輪成形器(6)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項8】
前記耳輪成形器(6)は、成形溝(61)と、前記ベース(1)に接続される固定部(62)とを備えることを特徴とする、請求項7に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項9】
前記固定部(62)は、貼付又は嵌合の方式により前記ベース(1)に接続されることを特徴とする、請求項8に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項10】
前記調整可能な耳整形機構(100)は、耳甲介成形器(7)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項11】
前記調整可能な耳整形機構(100)は、前記耳(4)の前部に設けられる耳介成形器(8)をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項12】
前記耳介成形器(8)と前記耳裏型ホルダ(2)は互いに整合し、それらの間の空間は前記耳(4)の成形空間を構成することを特徴とする、請求項11に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項13】
前記耳介成形器(8)は、
耳輪成形機構(81)、
対耳輪成形機構(82)、
三角窩成形機構(83)、
耳甲介成形機構(84)、
耳珠成形機構(85)、及び/又は
対耳珠成形機構(86)を備えることを特徴とする、請求項11に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項14】
前記耳介成形器(8)は、前記上カバー(3)と一体的に製造することができることを特徴とする、請求項11に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項15】
前記ベース(1)は、可撓性医療用材料で製造されることを特徴とする、請求項1に記載の調整可能な耳整形機構。
【請求項16】
前記可撓性医療用材料は、シリコン、ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)であることを特徴とする、請求項15に記載の調整可能な耳整形機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用医療器具に関し、特に、耳矯正に用いる調整可能な耳整形機構に関する。
【背景技術】
【0002】
耳は、皮膚に覆われる軟骨で構成され、正常な耳の形態として、耳輪、舟状窩、三角窩、対耳輪、耳甲介、耳珠、対耳珠及び耳垂が不可欠である。そのうち、耳輪は、折り曲げられる完全な縁を有するものであり、対耳輪は、完全な湾曲形状を有して、Y型の対耳輪脚を形成することで、三角窩を構成するものである必要がある。対耳輪、対耳珠、耳珠及び耳輪脚の間に形成される耳甲介腔は、耳栓を置く場所である。
【0003】
しかし、統計によると、新生児のうち奇形耳又は変形耳の発生率が非常に高く、一部の国や地域では、耳の奇形や変形が発生する新生児は全体のほぼ半数にもなる。耳には立ち耳、コップ状耳、垂れ耳、Stahl’s耳、埋没耳、奇形な耳輪等種々の形態が含まれ、耳輪、対耳輪、耳甲介腔等種々の部位のいずれにも奇形が生じる可能性がある。
【0004】
現在、新生児の耳の奇形又は変形に対しては、矯正器を用いた矯正により治療することができるが、奇形又は変形が生じる部位は不定であるため、矯正器の矯正部位も不定である。したがって、種々の奇形部位の矯正に対応できるように、矯正器のさらなる改良が求められる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の調整可能な耳整形機構は、支持位置を調整可能な耳裏型ホルダの特別な設計により、臨床上の使用に際して、耳奇形の具体的な形態特徴に応じて、耳裏型ホルダを異なる位置に配置することで、種々の奇形部位の矯正の要求に対応する。
【0006】
本発明は、ベース1と、耳裏型ホルダ2と、上カバー3とを備える調整可能な耳整形機構100であって、
A.前記ベース1は、耳4が通過可能な開口11を備え、
B.前記耳裏型ホルダ2は、前記開口11内に移動可能に設けられ、矯正を必要とする部位に応じて前記耳4の裏部から耳介を支え、
C.前記上カバー3は、前記ベース1に着脱可能に接続され、前記上カバー3、前記ベース1及び前記耳裏型ホルダ2の間には収容スペース5が形成されることを特徴とする、調整可能な耳整形機構である。
【0007】
本発明の調整可能な耳整形機構の耳裏型ホルダ2は、移動可能に設計されており、臨床上の使用に際して、耳奇形の部位に応じて、前記耳裏型ホルダ2を耳裏の対応する奇形部位に配置し、前記耳4の裏部から耳介を支えることができる。臨床上の使用時に、前記耳裏型ホルダ2を対応する奇形部位に固定し、前記耳4を前記ベースの開口11から出し、前記ベース1を前記耳4の周辺に固定し、前記上カバー3を前記ベース1に被せ、前記耳4を前記収容スペース5内に固定し、こうして、矯正治療を行うことができる。
【0008】
前記ベース1は、貼付の方式により前記耳4周辺の皮膚に固定する。前記ベース1は、医療用テープによって前記耳4周辺の皮膚に貼り付けることができ、好ましくは医療用両面テープ9によって貼り付けることができる。医療用両面テープ9の一方の面を前記ベース1の底部に貼り付け、他方の面を皮膚に貼り付け、取り替えが必要な時、前記医療用両面テープ9を引き剥がせばよく、使用中においては非常に便利である。当然ながら、実際の適用において、当業者が必要に応じて前記ベース1を他の固定方式で前記耳の周辺に固定してもよい。
【0009】
前記耳裏型ホルダ2は、前記耳4裏部の皮膚に貼り付けて固定することができる。前記耳裏型ホルダ2は、前記医療用両面テープ9によって前記耳4裏部の皮膚に貼り付けることができる。矯正を必要とする部位が変わった場合、前記医療用両面テープ9を引き剥がせば、前記耳裏型ホルダ2を異なる部位に固定し直すことができ、臨床使用時に、治療過程に応じて調整することができる。
【0010】
前記耳裏型ホルダ2は、前記ベース1の側壁12に接続することができる。前記耳裏型ホルダ2は、前記側壁12に沿って移動することで位置が調整できるように、前記ベース1の側壁12に接続してもよい。
【0011】
前記耳裏型ホルダ2は、貼付又は嵌合の方式により前記ベース1の側壁12に接続することができる。特に、嵌合の接続方式により、前記耳裏型ホルダ2を異なる接続溝12-1内に嵌合することが容易であり、臨床上の使用は非常に便利である。
【0012】
前記耳裏型ホルダ2に弾性溝21が設けられる。前記耳裏型ホルダ2は前記耳4の裏部に設けられるが、前記耳4の前部は前記上カバー3によって前記ベース1を固定する。人それぞれの耳の裏の空間の高さが異なるため、耳の裏の空間の高さが小さい一方、前記耳裏型ホルダ2が高すぎると、外力の圧迫による耳組織の虚血性壊死が発生しやすく、矯正中に予想外の損傷が引き起こされることがある。前記弾性溝21は、外力の作用により収縮することができ、外力から解放されると復帰することができる。したがって、耳の裏の空間の高さが小さい場合、前記弾性溝21は外力の作用により圧縮し、空間が増大し、それによって、異なる耳の裏の空間の高さに対応でき、臨床上の使用はより安全となる。
【0013】
前記調整可能な耳整形機構100は、耳輪成形器6をさらに備える。前記耳輪成形器6は、耳輪を矯正することができ、特に、耳輪の折り曲げの成形には好適である。
【0014】
前記耳輪成形器6は、成形溝61と、前記ベース1に接続される固定部62とを備える。前記成形溝61は耳輪に嵌合され、耳輪の折り曲げを矯正する。前記固定部62は前記ベース1に接続され、前記耳輪成形器6の変位を防ぎ、矯正の安定性を保つことができる。
【0015】
前記固定部62は貼付又は嵌合の方式により前記ベース1に接続される。前記固定部62は、貼付、嵌合又は両方を組み合わせた固定方式により前記ベース1に接続することができる。実際の適用において、当業者は必要に応じて他の異なる接続方式を設計してもよく、ここで出願人は具体的に例を挙げて説明することはないが、いずれも本出願の保護範囲から逸脱するものではない。
【0016】
前記調整可能な耳整形機構100は、耳甲介成形器7をさらに備える。前記耳甲介成形器7は、耳甲介腔の形態特徴に応じて設計されており、耳甲介腔を矯正することができる。臨床上の使用に際して、前記耳甲介成形器7の定型端71を耳道内に押し込み、前記上カバー3によって前記耳甲介成形器7を前記収容スペース5内に固定する。
【0017】
前記調整可能な耳整形機構100は、前記耳4の前部に設けられる耳介成形器8をさらに備える。
【0018】
前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2は互いに整合し、それらの間の空間は前記耳4の成形空間を構成する。
【0019】
前記耳介成形器8は、耳輪成形機構81、及び/又は対耳輪成形機構82、及び/又は三角窩成形機構83、及び/又は耳甲介成形機構84、及び/又は耳珠成形機構85、及び/又は対耳珠成形機構86を備える。
【0020】
前記耳介成形器8は、正常な耳の形態特徴に応じて一種又は複数種の前記成形機構を設けることができる。前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2との間の空間は正常な耳の形状である。前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2とを組み合わせて用いることにより、前記耳4を全体として整形することができ、臨床上の使用中において耳全体の矯正は一回で完了することができる。前記耳輪成形機構81、対耳輪成形機構82、三角窩成形機構83、耳甲介成形機構84、耳珠成形機構85、及び対耳珠成形機構86は正常な耳の形態特徴に応じて設計されているため、矯正過程において、前記耳輪成形機構81、対耳輪成形機構82、三角窩成形機構83、耳甲介成形機構84、耳珠成形機構85、及び対耳珠成形機構86は、各部位の形状に適合して面接触を形成することができ、従来技術における耳輪局所外向き拡張引張の矯正方式は、面接触空間立体引張の矯正方式に変更され、接触部位の圧力が低減し、圧迫による組織の壊死が起きにくくなるだけでなく、空間多点引張の方式により、わずかな力だけで矯正の意図した目的を達成でき、臨床上の使用はより安全となり、矯正効果はより高くなる。
【0021】
前記耳介成形器8は、前記上カバー3と一体的に製造することができる。前記耳介成形器8は、前記上カバー3とは別体に設けて、さらに前記上カバー3を被せてもよく、前記上カバー3と一体的に製造してもよい。患児の音声聴覚感覚を保証するために、前記耳介成形器8と前記上カバー3に、音の伝導を保証するための通孔が設けられる。
【0022】
前記ベース1は、可撓性医療用材料で製造される。
【0023】
前記可撓性材料は、シリコン、ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である。
【0024】
本発明の調整可能な耳整形機構は臨床上、一般的に新生児の耳の矯正用に用いられ、新生児の皮膚は非常にデリケートで敏感であるため、皮膚に接触する前記ベース1は、快適性を保証するために、医療用可撓性材料で製造される。好ましくは、本発明の調整可能な耳整形機構は全体として医療用可撓性材料で製造することができる。
【0025】
臨床上の使用に際して、まず耳奇形の形態特徴に応じて、前記耳裏型ホルダ2の取り付け位置を選択し、その後、前記耳裏型ホルダ2を前記医療用両面テープ9によって皮膚に貼り付け、前記ベース1を前記耳4の周辺に取り付け、前記耳4を前記ベース1の開口から出し、それから、前記ベース1を前記医療用両面テープ9によって前記耳4周辺の皮膚に固定し、前記上カバー3を被せる。前記上カバー3、前記ベース1及び前記耳裏型ホルダ2の間には収容スペース5が形成され、前記耳4は前記収容スペース5内に収容されるとともに、前記上カバー3は前記ベース1を四方に向けて押し広げ、それによって、前記耳4の引張、矯正が実現される。
【0026】
本発明の調整可能な耳整形機構は、ベース1と、耳裏型ホルダ2と、上カバー3とを備える。前記ベース1は、耳4が通過可能な開口11を備え、前記耳裏型ホルダ2は、前記開口11内に移動可能に設けられ、矯正を必要とする部位に応じて前記耳4の裏部から耳介を支え、前記上カバー3は、前記ベース1に着脱可能に接続され、前記上カバー3、前記ベース1及び前記耳裏型ホルダ2の間には収容スペース5が形成され、前記耳4は前記収容スペース5内に収容される。臨床上の使用に際して、耳奇形の部位に応じて、前記耳裏型ホルダ2を耳裏の対応する奇形部位に配置し、前記耳4の裏部から耳介を支えることができ、種々の部位の矯正の要求に対応可能であり、臨床使用時に非常に便利である。特に、前記耳介成形器8の面接触立体空間引張の矯正方式により、接触部位の圧力が低減するだけでなく、わずかな力で矯正の意図した目的を達成でき、臨床上の使用はより安全となり、矯正の効果はより高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の調整可能な耳整形機構の閉鎖時の立体構造模式図である。
図1-1】図1の底面図である。
図1-2】上カバー移除後の図1の立体構造模式図である。
図1-3】図1-2の断面図である。
図1-4】図1の分解図である。
図2】耳裏型ホルダの側壁への貼付時における本発明の調整可能な耳整形機構の閉鎖時の立体構造模式図である。
図2-1】図2の平面図である。
図2-2】図2における耳裏型ホルダの立体構造模式図である。
図3】耳裏型ホルダの側壁への嵌合時における本発明の調整可能な耳整形機構の閉鎖時の立体構造模式図である。
図3-1】図3における耳裏型ホルダの立体構造模式図である。
図4】耳輪成形器を備える本発明の調整可能な耳整形機構の閉鎖時の立体構造模式図である。
図4-1】図4における耳輪成形器の立体構造模式図である。
図5】耳甲介成形器の立体構造模式図である。
図5-1】底面視状態の図5の立体構造模式図である。
図6】弾性溝を備える貼付式耳裏型ホルダの立体構造模式図である。
図6-1】弾性溝を備える嵌合式耳裏型ホルダの立体構造模式図である。
図7】本発明の調整可能な耳整形機構の動作原理図である。
図8】耳介成形器を備える本発明の調整可能な耳整形機構の立体構造模式図である。
図8-1】図8の部分分解図である。
図8-2】上カバー移除後の図8の動作原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施例1:本発明の調整可能な耳整形機構>
図1図1-4を参照する。本実施例において、前記調整可能な耳整形機構100は、ベース1と、耳裏型ホルダ2と、上カバー3とを備える。
【0029】
図7を参照する。前記ベース1は、耳4が通過可能な開口11を備える。前記耳裏型ホルダ2は、前記開口11内に移動可能に設けられ、矯正を必要とする部位に応じて前記耳4の裏部から耳介を支える。
【0030】
図1-2及び図1-3を参照する。前記耳裏型ホルダ2は、支持部22と接続端23とを備え、前記支持部22は前記耳4の裏部から耳介を支えることができ、前記接続端23は前記耳裏型ホルダ2を矯正部位に固定する。
【0031】
前記耳裏型ホルダ2は、耳の形態特徴に応じて支持を必要とする部位を選択し、医療用テープ、好ましくは前記医療用両面テープ9によって前記接続端23を前記耳4の裏部の支持を必要とする部位の皮膚に貼り付け、前記耳裏型ホルダ2の位置を決め、そして、矯正を必要とする部位が変わった場合、前記医療用両面テープ9を引き剥がせば、前記耳裏型ホルダ2を異なる部位に固定し直すことができ、臨床使用時に、治療過程に応じて調整することができる。
【0032】
前記上カバー3は、前記ベース1に着脱可能に接続され、前記上カバー3、前記ベース1及び前記耳裏型ホルダ2の間には収容スペース5が形成される。
【0033】
本実施例において、前記ベース1は、前記医療用両面テープ9を用いた貼付の方式により前記耳4周辺の皮膚に固定する。前記医療用両面テープ9の一方の面を前記ベース1の底部に貼り付け、他方の面を皮膚に貼り付け、取り替えが必要な時、前記医療用両面テープ9を引き剥がせばよく、使用中においては非常に便利である。当然ながら、実際の適用において、当業者が必要に応じて前記ベース1を他の固定方式で前記耳の周辺に固定してもよい。
【0034】
図6を参照する。前記耳裏型ホルダ2に弾性溝21が設けられる。前記耳裏型ホルダ2は前記耳4の裏部に設けられるが、前記耳4の前部は前記上カバー3によって前記ベース1を固定する。人それぞれの耳の裏の空間の高さが異なるため、耳の裏の空間の高さが小さい一方、前記耳裏型ホルダ2が高すぎると、外力の圧迫による耳組織の虚血性壊死が発生しやすく、矯正中に予想外の損傷が引き起こされることがある。前記弾性溝21は、外力の作用により収縮することができ、外力から解放されると復帰することができる。したがって、耳の裏の空間の高さが小さい場合、前記弾性溝21は外力の作用により圧縮し、空間が増大し、それによって、異なる耳の裏の空間の高さに対応でき、臨床上の使用はより安全となる。
【0035】
図4及び図4-1を参照する。本実施例において、前記調整可能な耳整形機構100は、耳輪成形器6をさらに備える。前記耳輪成形器6は、耳輪を矯正することができ、特に、耳輪の折り曲げの成形には好適である。
【0036】
前記耳輪成形器6は、成形溝61と、前記ベース1に接続される固定部62とを備える。前記成形溝61は耳輪に嵌合され、耳輪の折り曲げを矯正する。前記固定部62は前記ベース1に接続され、前記耳輪成形器6の変位を防ぎ、矯正の安定性を保つことができる。
【0037】
本実施例において、前記固定部62は、貼付と嵌合とを組み合わせた方式により前記ベース1に接続される。前記固定部62は係止溝62-1を備え、前記ベース1の側壁12の上端部に位置制限溝12-2が設けられ、前記係止溝62-1の外側支持脚62-11は前記位置制限溝12-2内に挿入される。前記側壁12の内側に前記医療用両面テープ9が設けられ、前記係止溝62-1の内側支持脚62-12は前記側壁12に貼り付けられて、二重に位置決めされる。
【0038】
当然ながら、実際の適用において、当業者は必要に応じて他の異なる接続方式を設計してもよく、ここで出願人は具体的に例を挙げて説明することはないが、いずれも本出願の保護範囲から逸脱するものではない。
【0039】
図5及び図5-1を参照する。前記調整可能な耳整形機構100は、耳甲介成形器7をさらに備える。前記耳甲介成形器7は、耳甲介腔の形態特徴に応じて設計されており、耳甲介腔を矯正することができる。図7を参照し、臨床上の使用に際して、前記耳甲介成形器7の定型端71を耳道内に押し込み、前記上カバー3によって前記耳甲介成形器7を前記収容スペース5内に固定する。
【0040】
前記ベース1は、可撓性医療用材料で製造される。
【0041】
前記可撓性材料は、シリコン、又はゴム、又は熱可塑性エラストマー(TPE)、又は熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)である。
【0042】
本発明の調整可能な耳整形機構は臨床上、一般的に新生児の耳の矯正用に用いられ、新生児の皮膚は非常にデリケートで敏感であるため、皮膚に接触する前記ベース1は、快適性を保証するために、医療用可撓性材料で製造される。好ましくは、本発明の調整可能な耳整形機構は全体として医療用可撓性材料で製造することができる。
【0043】
図7を参照する。臨床上の使用に際して、まず耳奇形の形態特徴に応じて、前記耳裏型ホルダ2の取り付け位置を選択し、その後、前記耳裏型ホルダ2を前記医療用両面テープ9によって、支持を必要とする部位の皮膚に貼り付け、前記ベース1を前記耳4の周辺に取り付け、前記耳4を前記ベース1の開口から出し、それから、前記ベース1を前記医療用両面テープ9によって前記耳4周辺の皮膚に固定し、前記上カバー3を被せる。前記上カバー3、前記ベース1及び前記耳裏型ホルダ2の間には収容スペース5が形成され、前記耳4は前記収容スペース5内に収容されるとともに、前記上カバー3は前記ベース1を四方に向けて押し広げ、それによって、前記耳4の引張、矯正が実現される。
【0044】
本発明の調整可能な耳整形機構の耳裏型ホルダ2は、移動可能に設計されており、臨床上の使用に際して、耳奇形の部位に応じて、前記耳裏型ホルダ2を耳裏の対応する奇形部位に配置し、前記耳4の裏部から耳介を支えることができる。臨床上の使用時に、前記耳裏型ホルダ2を対応する奇形部位に固定し、前記耳4を前記ベースの開口11から出し、前記ベース1を前記耳4の周辺に固定し、前記上カバー3を前記ベース1に被せ、前記耳4を前記収容スペース5内に固定し、こうして、矯正治療を行うことができる。
【0045】
移動可能な耳裏型ホルダの設計を採用しているため、臨床上の使用において、患者それぞれの耳の構造に応じて異なる部位を選択して固定することができ、これにより、前記耳裏型ホルダ2と前記耳輪成形器6が余り接近していることによる前記耳4への圧迫、さらには、虚血性壊死の発生を効果的に回避し、臨床上の使用はより安全となり、適用範囲もより広くなる。
<実施例2:耳裏型ホルダが側壁に接続される本発明の調整可能な耳整形機構>
【0046】
図2図2-2を参照する。本実施例と実施例1は、本実施例において、前記耳裏型ホルダ2は前記ベース1の側壁12に接続することができる点で相違する。
【0047】
図2及び図2-2を参照する。前記耳裏型ホルダ2は、支持部22と接続端23とを備え、前記接続端23に前記医療用両面テープ9が貼り付けられ、前記医療用両面テープ9によって前記耳裏型ホルダ2を前記ベース1の側壁12に貼り付けることができる。前記耳裏型ホルダ2が前記ベース1の側壁に貼り付けられているため、皮膚の表面に直接貼り付ける必要はなく、皮膚が刺激を受けるリスクが低減され、より安全である。当然ながら、位置決めの安定性を保証しようとする場合、前記支持端23の接続ブリッジ23-1の下面を貼付の方式により皮膚に固定することも可能である。
【0048】
臨床上の使用に際して、まず耳奇形の形態特徴に応じて、前記耳裏型ホルダ2の取り付け位置を選択し、手で前記耳裏型ホルダ2を仮固定するか、又は前記耳裏型ホルダ2の接続ブリッジ23-1を皮膚に貼り付けて固定する。その後、前記ベース1を前記耳4の周辺に取り付け、前記耳4を前記ベース1の開口から出し、前記ベース1を前記医療用両面テープ9によって固定した後、前記耳裏型ホルダ2は前記ベース1の側壁12に固定される。
【0049】
図3及び図3-1を参照する。前記耳裏型ホルダ2は、嵌合の方式により前記ベース1の側壁12に接続してもよい。前記ベース1の側壁12には異なる接続溝12-1を設けることができ、前記耳裏型ホルダの接続端23は前記接続溝12-1内に嵌合することができ、必要に応じて前記耳裏型ホルダ2を異なる接続溝12-1内に嵌合するか、又は前記接続溝12-1内を往復摺動することにより前記耳裏型ホルダ2の位置を調整することができ、臨床上の使用はより便利となる。
<実施例3:耳介成形器を備える本発明の調整可能な耳整形機構>
【0050】
図8図8-2を参照する。本実施例と実施例1及び実施例2は、本実施例において、前記調整可能な耳整形機構は耳介成形器8をさらに備える点で相違する。
【0051】
前記耳介成形器8は、正常な耳の形態特徴に応じて設計されており、使用時は前記耳4の前部に設けられる。
【0052】
前記耳介成形器8は、耳輪成形機構81、及び/又は対耳輪成形機構82、及び/又は三角窩成形機構83、及び/又は耳甲介成形機構84、及び/又は耳珠成形機構85、及び/又は対耳珠成形機構86を備える。前記耳介成形器8は、必要に応じて一種又は複数種の前記成形機構を設けることができる。
【0053】
前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2は互いに整合し、それらの間の空間は正常な耳の形状であり、前記耳4の成形空間を構成する。
【0054】
本実施例において、前記耳介成形器8は、前記上カバー3と一体的に製造することができる。前記耳介成形器8は、前記上カバー3とは別体に設けて、さらに前記上カバー3を被せてもよい。
【0055】
患児の音声聴覚感覚を保証するために、前記耳介成形器8と前記上カバー3に、音の伝導を保証するための通孔が設けられる。
【0056】
図8及び図8-2を参照する。臨床使用時に、まず前記耳裏型ホルダ2を適切な位置に固定し、その後、前記ベース1を前記耳4の周辺に固定し、耳を前記ベース1の開口11から出し、それから、一体的に製造された前記耳介成形器8と前記上カバー3を前記ベース1に取り付ける。前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2との間には正常な耳の形態の収容スペース5が形成され、前記耳4は該収容スペース5内に成長、整形することができる。
【0057】
本実施例において、前記耳介成形器8と前記耳裏型ホルダ2とを組み合わせて用いることにより、前記耳4を全体として整形することができ、臨床上の使用中において耳全体の矯正は一回で完了することができる。前記耳輪成形機構81、対耳輪成形機構82、三角窩成形機構83、耳甲介成形機構84、耳珠成形機構85、及び対耳珠成形機構86は正常な耳の形態特徴に応じて設計されているため、矯正過程において、前記耳輪成形機構81、対耳輪成形機構82、三角窩成形機構83、耳甲介成形機構84、耳珠成形機構85、及び対耳珠成形機構86は、各部位の形状に適合して面接触を形成することができ、従来技術における耳輪局所外向き拡張引張の矯正方式は、面接触空間立体引張の矯正方式に変更され、接触部位の圧力が低減し、圧迫による組織の壊死が起きにくくなるだけでなく、空間多点引張の方式により、わずかな力だけで矯正の意図した目的を達成でき、臨床上の使用はより安全となり、矯正効果はより高くなる。
【0058】
本明細書に開示、説明された構造の替わりに、他の効果が同じである構造を使用可能であり、また、本発明に紹介された実施例は、本発明を実現する唯一の構造ではないことに注意すべきである。本発明の好ましい実施例は、既に本明細書において紹介され、説明されたが、これらの実施例が、例示として説明するためのものに過ぎないことは、当業者にとって明らかである。当業者であれば、本発明を逸脱することなく、様々な変更、改善及び置換を行うことができる。したがって、本発明の添付される特許請求の範囲の精神及び範囲によって、本発明の保護範囲を限定すべきである。
【符号の説明】
【0059】
100:本発明の調整可能な耳整形機構。
1:ベース、2:耳裏型ホルダ、3:上カバー、4:耳、5:収容スペース、6:耳輪成形器、7:耳甲介成形器、8:耳介成形器、9:医療用両面テープである。
11:開口、12:側壁、12-1:接続溝、12-2:位置制限溝。
21:弾性溝、22:支持部、23:接続端、23-1:接続ブリッジ。
61:成形溝、62:固定部、62-1:係止溝、62-11:外側支持脚、62-12:内側支持脚。
71:定型端。
81:耳輪成形機構、82:対耳輪成形機構、83:三角窩成形機構、84:耳甲介成形機構、85:耳珠成形機構、86:対耳珠成形機構。
図1
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2
図2-1】
図2-2】
図3
図3-1】
図4
図4-1】
図5
図5-1】
図6
図6-1】
図7
図8
図8-1】
図8-2】