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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】植物保護ガードシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
A01G13/02 C
A01G13/02 L
A01G13/02 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022530975
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 NZ2020050170
(87)【国際公開番号】W WO2021118369
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】760016
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】522207154
【氏名又は名称】ブレイルズフォーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRAILSFORDS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブレイルズフォード, スティーブン フランシス ジョン
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】スウェーデン国特許発明第518676(SE,C2)
【文献】特開2004-236656(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0253135(US,A1)
【文献】特開2001-251977(JP,A)
【文献】特開平10-150862(JP,A)
【文献】国際公開第2004/107841(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3055384(JP,U)
【文献】特開平10-66456(JP,A)
【文献】特開平7-289095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00-17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物保護ガードシステムであって、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
使用時に、前記上スリーブを地面に据え付けるために周囲に延びて前記植物の根系の下で互いに接続するように構成された複数のアンカー部分を備える下部分と、
を備え、
前記上スリーブと前記下部分は、単一の材料片で形成され、
植物保護ガードシステムは、バンドを更に備え、前記バンドは、使用中、前記植物の茎の周りで前記上スリーブの直径を減少させるように前記上スリーブの基部を圧着する、植物保護ガードシステム。
【請求項2】
前記上スリーブは、一つ又は複数の実質的に垂直なプリーツを含み、前記一つ又は複数の実質的に垂直なプリーツは、前記上スリーブの両側に位置決めされた一対の対向するプリーツを備え、前記プリーツは、前記上スリーブに剛性を与えるが、製造され、運搬され又は保管されるときに前記ガードを折り畳むことを可能にする、請求項1に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項3】
前記プリーツは、前記ガードが展開されるときに伸長するが、使用時には部分的に折り畳まれたままであるように構成され、これにより、前記上スリーブが地面に設置された後も立ったままであることを可能にする、請求項2に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項4】
前記プリーツは、前記植物が成長するにつれて拡大するように構成され、その結果、前記ガードは、最初は、植物に対してぴったりとしたより小さな環境を提供し、前記植物が成長するにつれて、前記プリーツは開放されて、前記上スリーブ内部で前記植物が拡大するための空間を可能にする、請求項2又は3に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項5】
前記アンカー部分の少なくとも一つは、前記プリーツに一致して延び、前記プリーツは前記上スリーブから前記アンカー部分またはその一部に沿って延びている、請求項2~4のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項6】
前記上スリーブは、一つ又は複数の脆弱部を備え、前記脆弱部は、植物が、前記脆弱部を横切って所定の強度の引張力を付与する点まで成長したときに開くように構成され、それによって、前記植物の空間が、前記ガードによって規定された容積を超えて大きくなることを可能にする、請求項1~5のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項7】
前記下部分は、少なくとも部分的に開いており、植付け後の流体の流れと根の成長を可能にする、請求項1~6のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項8】
前記バンドは、使用時に植物の根球のすぐ上の地点で位置決めされる、請求項1~7のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項9】
前記バンドは、弾力性がある、請求項1~8のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項10】
前記上スリーブおよび下部分は、プラスチックで製造される、請求項1~9のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項11】
前記上スリーブおよび下部分は、折り畳み、拡大して開くように構成された材料から製造される、請求項1~10のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項12】
使用される前記上スリーブおよび下部分の材料は、50~350ミクロンの厚さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステム。
【請求項13】
調製された植物組立体において、
植物と、
植物保護ガードシステムであって、上スリーブと、複数のアンカー部分を備える下部分とを備え、前記上スリーブおよび前記下部分は、単一の材料片とバンドとから形成されている、植物保護ガードシステムと、
を備え、
前記上スリーブは、植物の茎の周囲に位置決めされ、前記植物の地上部分の周囲に延び、
前記下部分のアンカー部分は、周囲に延び、前記植物の根球の下で互いに接続しており、
前記バンドは、前記植物の茎の周囲の前記上スリーブの直径を減少させるように、前記上スリーブの基部を互いに圧着する、調製された植物組立体。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の植物保護ガードシステムに植物を導入するステップを含む、植物組立体を形成する方法。
【請求項15】
穴形成装置と植付け管とを備えた植付けツールを用いて植物を植え付ける方法であって、
a)前記穴形成装置を用いて穴を形成するステップと、
b)前記植付けツールの植付け管を介して前記形成された穴に、請求項13に記載の調製された植物組立体から植物を放出するステップと、
を含む、植物を植え付ける方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願]
【0002】
本出願は、2019年12月10日に出願された(参照により本明細書に組み込まれる)ニュージーランド特許出願番号第760016号、WIPO DAS CODE-E2AFに基づく優先権を有する。
【0003】
[技術分野]
【0004】
植物を保護するためのシステムおよび方法、特に植物保護ガードシステムおよび方法を本明細書に記載する。
【0005】
[背景技術]
【0006】
植物ガードシステム(以後、「植物ガード(商標)」、「トリガード(商標)」、「TerraGuard(商標)」、「EmGuard(商標)」、「NaturaGuard(商標)」という商標又は表示を用いて、相互交換可能に称することもある)スプレーガード、植物スリーブまたはCombiGuard(商標))は、若い植物や苗が植え付けられた後にそれらを保護するために使用されることがある。植物ガードシステムは、雑草の成長、除草剤、野生および家畜の放牧、霜および乾燥する風のうちの一つ又は複数から保護することを目的としている。また、植物ガードシステムは、苗を定着させるためのより改良された生育環境と、植付け現場での非作物成長から作物植物を識別する手段を提供することができる。苗を地中に植え付けた後、既存の植物保護/ガードシステムが設置される。これらは、通常、3つの定義する構成要素から構成されるが、以下、図1に示す従来技術の保護ガードを参照して説明する。
【0007】
(a)一般的に、植物ガードシステムの包囲体は、3辺または4辺の構造であるが、この包囲体は、プラスチック、厚紙またはコイア(coir)で作られることが多い。苗は、最上部が開いた包囲体により囲まれているが、この包囲体は地上から様々な高さまで広がっている。最終的には、植物が定着されると、包囲体を除去することができる。
【0008】
(b)杭およびペグ
ペグが地面に設置され、包囲体とマットを適所に支えて固定する。1、2、3、または4個のペグが異なる製品に必要である。ペグは典型的には木材と竹であり、植付け後に剛性を与え、ガードを適所に保持する。
【0009】
(c)雑草抑制マットは、苗の直近の土/地表面に設置され、包囲体よりも大きな設置面積を覆う。マットの機能は、包囲体の内部から雑草の成長を抑え、水分を保持することである。マットは典型的にはウール、コイア、天然および人造繊維で作られている。
【0010】
図1に示すようなガードシステムは、3つの構成部品(雑草抑制マット、包囲体/スリーブおよび杭)を必要とする。設置には時間がかかり、特に大規模な植付けプロジェクトで、これらのガードシステムを使用すると、多大な労働と材料の費用がかかる。さらに、スリーブは、時間の経過とともに劣化したり、および/または植物を吹き飛ばしたりする可能性があり、これは、スリーブがもはや植物を保護していないことを意味し、また、落葉問題を生じさせる。
【0011】
厚紙スリーブやコイアスリーブも、光が植物に届くのを妨げる傾向があり、成長を制限する可能性がある。たとえば、杭を設置したり、ロゴを付けたりするためのスリーブの穴は、植物の成長を上向きに促進するのではなく、切断された穴を通して植物の成長を促進する。また、穴は、散布中に除草剤の侵入を可能にするかもしれない。
【0012】
植物保護システムおよび方法の改善を提供すること、または少なくとも公衆に有用な選択を提供することが望ましい。
【0013】
プラントガードシステムおよび方法の更なる態様および利点は、単に実施例として与えられる以下の説明から明らかになるであろう。
【0014】
【概要】
【0015】
本明細書には、植物保護ガードシステムおよび植物保護を提供する方法が記載される。ガード構造は、事前組立後から植付け時まで植物の根系を支持する。ガードおよびそのアンカー部分は、単一の材料片から形成されてもよく、一度植え付けられると、いかなる雑草マット、ペグまたは杭も必要としない。
【0016】
第1の態様において、以下を含む植物保護ガードシステムが提供される:
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブ;および、
植付け後に植物保護スリーブを据え付けるために植物の根系の周囲に延びるように使用時に構成された一つ又は複数のアンカー部分を備える下部分。
【0017】
第2の態様において、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
植付け後に植物保護スリーブを据え付けるために使用時に構成された一つ又は複数のアンカー部分を備える下部分と、
を備え、
上スリーブおよび下部分は、単一の材料片から形成されている、植物保護ガードシステムが提供される。
【0018】
第3の態様において、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
使用時に上スリーブの下部と植物の茎の周囲に位置決めされるように配置されたバンドと、
を備える、植物保護ガードシステムが提供される。
【0019】
第4の態様において、実質的に上記のような植物保護ガードシステムで組み立てられた、植物を含む調製された植物組立体が提供される。
【0020】
第5の態様において、実質的に上記のように植物を植物保護ガードシステムに導入するステップを含む、植物組立体を形成する方法が提供される。
【0021】
第6の態様において、実質的に上記のように植物を植物保護ガードシステムに導入するステップと、植物の茎の周囲にバンドを固定するステップとを含む、植物組立体を形成する方法が提供される。
【0022】
第7の態様において、ホール形成装置と植付け管とを備えた植付けツールを用いて植物を植え付ける方法であって、
穴形成装置を用いて穴を形成するステップと、
上記のようにして調製された植物組立体を、植付け管を介して、形成された穴に放出するステップと、
を含む、方法が提供される。
【0023】
システムおよび方法は、アートガードシステムおよび方法と比較して、労働コストおよび材料コストが低減されるという利点を有することができ、植物および植物ガードを植付け前に事前に組み立てるという利便性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
植物ガードシステム及び方法の更なる態様は、以下の説明から明らかになるであろう。これらの説明は、単に実施例として、添付する図面に関して与えられたものである。
図1図1は、従来技術の植物保護スリーブを示す。
図2図2は、一実施形態による植物保護スリーブを示す図である。
図3図3は、植物保護スリーブを用いて組み立てる前の組立ツールおよび植物を示す。
図3A図3Aは、植物を用いて組み立てる前に、図3の組立ツール上に配置された植物保護組立体を示す。
図4図4は、図3のツールとともに、植物および植物保護スリーブを示す。
図5図5は、弾性バンドを取り付けるためのツールとともに、組み立てられた植物及び植物保護スリーブを示す。
図6図6は、地面に植えられた、組み立てられた植物及び植物保護スリーブを示す。
図7図7は、図6の植物及び植物保護スリーブの更なる図である。
図8図8は、スリーブのアンカー部分と植物の根系のより詳細な図である。
図9図9は、スリーブのアンカー部分と植物の根系の別の詳細図である。
図10図10は、第1の位置にある植付けツールを示す。
図11図11は、第2の位置にある図10の植付けツールを示す。
図12図12は、植物及び植物保護スリーブの上からの図を示す。
図13図13は、下からの斜視図で展開された図2の植物保護スリーブを示す。
図14図14は、展開された図2の植物保護スリーブの下からの詳細な斜視図を示す。
【0025】
【詳細な説明】
【0026】
上述したように、本出願人の植物保護ガードシステム及び方法は、低減された労働コストおよび材料コスト、ならびに植付け前の植物および植物ガードの事前組み立ての利便性を備えた植物保護を提供する。ガード構造は事前組立後から植付け時まで植物の根系を支持する。ガードおよびその据え付け部分は、単一の材料片から形成されてもよく、一度植付けされると、いかなる雑草マット、ペグまたは杭も必要としない。
【0027】
スリーブの構造は、保護機能を提供し、また、スリーブを植物および/または植付けの地面/現場に据え付ける。比較的安価で軽量な材料から形成されているが、スリーブの構造は、スリーブを直立状態に維持するのに役立つ追加の剛性(すなわち、平板材料よりも大きい剛性)を提供することができる。さらに、スリーブの構造は、植物の寿命の初期に風抵抗の少ないより小さな構造を可能にし、時間の経過とともに植物の成長に適応する。適切なツールを使用することにより、植物および植物保護スリーブの組立て、ならびに植付け作業の効率を改善することができる。
【0028】
本明細書の目的のために、「約」または「近似的に」という用語およびその文法上の変形は、基準量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対して30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%だけ変化する量、レベル、程度、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さを意味する。
【0029】
用語「実質的に」またはその文法上の変形は、少なくとも、約50%、たとえば、75%、85%、95%または98%を指す。
【0030】
「備える」という用語及びその文法上の変形は,包含的な意味を有するものとする。即ち、それが直接参照する列挙された構成要素だけでなく、他の特定されていない構成要素又は要素も含むことを意味するものとする。
【0031】
上スリーブおよび下部分を備えたガードシステム
【0032】
第1の態様において、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
植付け後に植物保護スリーブを据え付けるために植物の根系の周囲に延びるように使用時に構成された一つ又は複数のアンカー部分と、
を備える、植物保護ガードシステムが提供される。
【0033】
上スリーブ
【0034】
上スリーブは、植物が成長するために上スリーブの最上部に開口部を有するように植物の側面を囲むことができる。
【0035】
上スリーブの基部または下端部分は、植物茎の周りの地面に、一部の実施形態では僅かに地面に、地面の上に、または地面の僅かに上に当接してもよい。上スリーブの基部を地面に対して特別に位置決めする必要はなく、地面表面に対する正確な位置は重要ではないが、理想的には、上スリーブ内側の雑草の成長を阻止するために、地面に近接しているか、または地面上にある。
【0036】
上スリーブの高さは、ガードシステムで使用される植物に適するように変化させることができる。たとえば、非常に小さな苗は、より大きなより定着された苗よりも、より短い高さの上スリーブを有してもよい。大きなサイズに成長する植物は、低い高さに成長する植物などよりも高い上スリーブを有してもよい。
【0037】
上スリーブは連続した側部を有してもよい。すなわち、上スリーブの側部は、実質的な開口部、スリットまたは穴を有していなくてもよい。別の実施形態において、上スリーブ側部は、開口部、スリットまたは穴を含むことができるが、開口部、スリットまたは穴は、上スリーブの側部の全表面積の5%、4%、3%、2%、または1%以下を含む。
【0038】
地面から最も遠い上スリーブの最上部は、連続した開口部を含むことができる。つまり、上スリーブの最上部は制限がなく、環境に対して開放されている。別の実施形態において、上スリーブの最上部は、開口部の側日を互いにリンクする一つ又は複数のアームを備えることができる。この実施形態において、アームは、ガードシステム内側の植物への光または湿気の遮断を最小にするように比較的薄くすることができる。
【0039】
ガードシステム内側に最初に植物を植え付けられたときの最も広い点における上スリーブの横断面幅は、植物が最初に植え付けられたときの植物幅の地上部分の約1~30倍、または1~20倍、または1~10倍、または2~6倍、または3~5倍であってもよい。たとえば、ガードシステムと共に植え付けられたときの植物苗が、約20mmの地上最大幅を有する場合、上スリーブは、約20~600mm、または20~400mm、または20~200m、または40~120mm、または60~100mmの最大横断面幅を有してもよい。理解されるように、上スリーブは対称および/または円形でなくてもよいので、上スリーブの最大横断面幅は位置が可変であってもよい。
【0040】
ガードシステム内側に最初に植物を植え付けられたときの最高点における上スリーブの地面からの高さは、植物が最初に植え付けられたときの植物の地上部分の高さの約1~6倍、または2~6倍、または3~6倍、または2~5倍、または2~4倍であってよい。たとえば、植物が植え付けられたときに地表面から約50mm上方に延びる場合、上スリーブは、地表面から50~300mm、100~300mm、150~300mm、100~250mm、100~200mm上方に延びてもよい。上スリーブの最大高さは可変であるが、大部分の用途に対して、上スリーブは、上スリーブの上端の周りに共通の最大高さを有することが予想される。
【0041】
上スリーブは、植物が成長して植付け現場に定着するまでの期間、上スリーブ内側の植物の地上部分を保護するように構成することができる。上スリーブは、移植および/または植物成長の初期段階において有用な植物成長を支持するために、スリーブ内側に守られたより暖かい環境を提供する機能を有する。
【0042】
下部分
【0043】
システムの下部分は、上スリーブにアンカーを提供することができる。上述したように、下部分は、例えば風によってガードと植物とが分離されることを防ぐために、植物の根/根球と係合するアンカーを備える。係合は、植物の根または根球とリンクする上スリーブから延びる部分を使用することによって行うことができる。アンカーとしての脚部は、以下にさらに説明するが、他の形状のアンカー方法、例えば、根/根球および/または根/根球の下に伸びて植物の重量によって固定されるのに十分な長さのアンカーを把持する尖った延長部を使用することもできる。本明細書で使用される用語「アンカー」は、ガードシステムの下部分を地面に保持するための手段を指す。
【0044】
下部分は「下部」と呼ばれ、使用中にこの部分が地表面の下に位置するという事実を指す。これは、地面および植物の茎/根に対して適切な位置に上スリーブを効果的に据え付け、ガードが植物から除去されるか、または植物から外れるタイミングを防止するか、または少なくとも遅らせる。
【0045】
記載された保護システムの下部分は、上スリーブにリンクされてもよい。多くのアートガードシステムは、代わりに、上スリーブを適所に据え付けるために別個のペグまたは杭に依存するが、これらのペグまたはスリーブは、設置するのに余分な労力を必要とし、物の根/根球にまたはその周囲に一体化されていないので、植物から放出されやすい。
【0046】
一実施形態では、ガードシステムの下部分は、地面より下の容積を画定する。この容積は、部分的には植物の根系または根球の形によって画定され、部分的には植物の根/根球の周りに延びる下部分の形によって画定される。この容積は、様々な形状、例えば、円筒形、卵形、プリズム形、立方形などとすることができる。その形状は、根球の形状によって実質的に画定されてもよく、根球の形状は、典型的には、植物が成長していた容器の形状によって支配される。
【0047】
下部分の容積は、大きな開口部を有することを特徴とし、これにより、ガードシステムに植え付けられたときの植物の根/根球の(表面積で50、60、70、80、90%を超える)大部分が、植物が植え付けられた囲む地面に直接的にもたれかかる。別の言い方をすれば、下部分はアンカーを備え、アンカーは植物根/根球の全体表面積と比較して比較的薄い。この実施形態におけるアンカーは、上スリーブへの構造的リンクを提供するのに十分な大きさであるが、植物の根/根球と植物が植え付けられている囲む地面との間の可能な限り多くの接触を可能にするような大きさに最小化されるような大きさである。このような大きな開口部を使用する意図は、植物が下部分の容積を超えて囲む環境に成長することを可能にすることに加えて、水、植物栄養剤などの自由な移動を可能にし、植物および囲む環境を形成することを可能にすることである。
【0048】
下部分の幅は、上スリーブ最大横断面幅と同じであってもよい。その代わりに、下部分の幅は、上スリーブの最大横断面幅に対して少なくともある程度先細になり、下部分の基部の周りで最小幅に達するように先細になり、下部分の基部は、植物根/根球の基部の周りにある。
【0049】
植物と共に使用される場合、地面より下の下部分の深さは、植物が最初にガードシステム内側wに植え付けられるときの最大深さにおいて、植物が最初に植え付けられるときの植物根系/根球の深さの約1~4倍、または1~3倍、または1~2倍でもよい。たとえば、植え付け時の植物根球の深さが地表面から約30mmである場合、下部分の容積は地表面から30~120mm、または30~90mm、または30~60mmである。下部分の最大深さは可変であるが、ほとんどの用途に対して、下部分は、植物根/根球の基部に関して共通の最大深さを有すると予想される。一実施形態において、下部分の容積は、植物が植え付けられるときに植物根/根球によって規定される容積と実質的に同じである。
【0050】
折り畳まれた/開いた構成
【0051】
記載されたガードシステムは、使用されない場合、即ち、製造時または保管時、実質的に平坦な構成を備えてもよく、使用する場合は、開いた構成または展開された構成を備えてもよい。
【0052】
平坦な構成において、ガードシステムは、本発明者が経験するように非常に小さな形状に折り畳まれる。折り畳まれたときのガードシステムの正確な厚さは、ガードシステム部品の壁厚に依存して変化してもよいが、2mm未満または1mmでさえも、発明者の経験に基づいて達成される。理解されるように、この小さい厚さは、使用前に上述のガードシステムを運搬および保管することが容易であることを意味する。
【0053】
折り畳まれた保護システムを広げるには、手で、または本明細書で後述するツールなどのツールを使用して、完了することができる。植物自身の挿入もまた、ガードシステムの展開を生じさせる。
【0054】
一旦展開されると、ガードシステムは、全体として、上述のように上スリーブおよび下部分を備える容積を画定することができ、2つの部品は、プリズム、円筒、卵形または立方形の形状を有する展開された容積を有する。1つの実施例において、展開された構成におけるガードシステムの容積は、ガードシステムの少なくとも上スリーブ内に長方形プリズムを画定する。プリズム形状の上スリーブ容積のこの実施例において、プリズム形状の角部は、以下に更に説明するプリーツまたは折り目によって画定することができる。展開されたガードシステムの上スリーブのプリズム角部は、一実施形態において、上スリーブ内のプリーツまたは折り目と一致してもよい。記載されたプリーツまたは折り目は、下部分の一部分または複数の部分に沿って、例えば、以下に更に説明されるように一つ又は複数のアンカー又は脚部に沿って延びてもよい。
【0055】
プリーツ
【0056】
上スリーブは、一つ又は複数の実質的に垂直なプリーツを備えてもよい。一つ又は複数の実質的に垂直なプリーツは、上スリーブの両側に配置された一対の対向するプリーツを備えてもよい。
【0057】
プリーツは、上スリーブに剛性を与えるのを助けるが、製造され、運搬され又は保管されるときにガードを折り畳むことを可能にすることが発明者によって見出されている。プリーツは、ガードが展開されるときに伸長するが、使用時には部分的に折り畳まれたままであり、これは、上スリーブが地面に設置された後も立ったままであることを助ける。また、プリーツは、植物が成長するにつれて拡大することができ、したがって、最初は小さな苗のためのぴったりとしたより小さな環境を提供し、苗が成長するにつれて、プリーツは開放されて、植物がガード内で拡大するための空間を可能にする。
【0058】
脆弱部
【0059】
上スリーブは、一つ又は複数の脆弱性を含むことができる。一つ又は複数の脆弱部は、上スリーブに形成された複数の穿孔を含むことができる。一つ又は複数の脆弱部の少なくとも一部は、上スリーブに沿って上向きに延びてもよい。
【0060】
本明細書で使用される「脆弱部」という用語は、意図的に応力が加えられるか、弱められるか、または脆弱にされ得るガードの一部又は複数の部分を指す。本明細書に記載される脆弱部の機能は、植物の空間が、ガードによって規定された容積を超えて大きくなることを可能にすることである。たとえば、脆弱部は、植物が所定の強度の引張力を穿孔に付与する点まで成長したときに開口を裂く上スリーブ内の穿孔であってもよい。脆弱部は、上述したような穿孔であってもよいし、他の手段、例えば、脆弱部におけるより薄い材料のセクション、カットまたはスロットを介して達成されてもよい。
【0061】
一つ又は複数の脆弱部は、上スリーブの一つ又は複数の側部に沿って垂直面内で全体的に上向きに延びてもよい。正確な方向は、上向きに直線に対して幾らかオフセットされてもよく、および/または湾曲してもよく、または曲がりくねった経路であってもよい。
【0062】
脚部
【0063】
上記のような下部分のアンカーは、複数の脚部を備えてもよい。
【0064】
複数の脚部の少なくとも一部は、アンカー部分の下端で互いに接続されてもよい。一実施形態において、複数の脚部は、下端で互いに接続された4つの脚部を備えてもよい。代替的な実施形態において、脚部は植物の根/根球の下に延びているが、接続されていないままである。更なる実施形態において、脚部は、植物の根/根球の周りおよび/または下に延び、一つ又は複数のリンク特徴部は、植物の根/根球または土壌を把持して、地面からの脚部の除去に抵抗するように作用する。
【0065】
本明細書で使用される「脚部」という用語は、ガードの上スリーブからの延びた延長部を指す。脚部は、幅が比較的小さく(30mm以下)、上スリーブ壁厚の厚さと同一または同様の厚さを有することができる。
【0066】
脚部は、上スリーブの異なる側部から延び、脚部端の周りで互いに接続することができる。2本の脚部を使用する場合、上スリーブの両側から脚部が延びてもよい。4本の脚部を使用する場合、各脚部は他の脚部と等距離にある地点から延びてもよい。脚部は、上スリーブの角部の間の中間地点から延びてもよい。代わりに、脚部は、上スリーブの角部の頂点から延びてもよい。上スリーブに使用される場合、一つ又は複数の脚部がプリーツに一致して延びてもよい。この実施形態において、プリーツは脚部またはその一部に沿って続くことができる。
【0067】
脚部の接続は、上スリーブより遠位の脚部末端で起こり得る。脚部末端同士の接続は、熱を用いて(例えば、溶接を介して)、機械的手段(例えばステープル)を介して、または化学的手段を介して(例えば、接着剤を使用して)、達成することができる。全ての脚端部は、植物苗の根球を保持するのに適した容積を形成するように接続されてもよい。
【0068】
上述したように、一つ又は複数の脚部は、植物の根/根球の下に延び、これを行う際に、ガードが植物の周りで除去されるのを防止するために、ガードにアンカーを備える。
【0069】
開いたアンカー部分
【0070】
アンカー部分は、少なくとも部分的に開いていてもよく、植付け後に流体の流れおよび根の成長を可能にする。
【0071】
アンカー部分(または上記実施形態を使用する脚部)は、アンカー部分内に保持された根球と植物が植え付けられている囲む地面との間に水、養分植物根または他の材料の流れを可能にするのに十分な間隔を有してもよい。開口部は、植え付けられた環境に植物が定着することを可能にする一方で、アンカー部分およびガードが植物の周りの地面にしっかりと取り付けられたままであることも可能にする。
【0072】
使用される材料
【0073】
植物保護ガードシステムは、一実施形態において、プラスチックから形成されてもよい。プラスチックは、約50~350ミクロン、75~325ミクロン、100~300ミクロン、125~275ミクロン、100~250ミクロン、100~200ミクロン、100~150ミクロンの厚さを有することができる。プラスチックは、低密度ポリエチレンであってもよい。
【0074】
あるいは、植物保護スリーブは、植え付け後にスリーブの必要な寿命にわたって分解するように配置された生分解性材料から形成されてもよい。この生分解性材料は、上述のプラスチックと同様の材料厚を有してもよく、または材料の所望の寿命および所望の材料剛性に適合するように変化されてもよい。
【0075】
プラスチックは、材料の剛性、作業の容易さ、コスト効率およびガード内部の植物への光の伝達の間の妥協を提供するので、環境的な欠点があるにもかかわらず、ガードシステムに使用するのに有用な材料である。当技術分野の生分解性材料は、剛性、製造の容易さ、コスト効率および光伝達の同じ特性を提供しない可能性があり、例えば、カードボードは、湿った環境では急速に劣化する傾向があり、時には植物の成長に対して所望よりも速く、苗への光伝達のレベルは非常に低い可能性がある。また、ガードシステムを形成するために使用されるプラスチックは、容易にリサイクル可能であり、従って、少なくともある程度の材料の再使用を可能にする。そうは言っても、生体高分子および生分解性材料は急速に開発されており、PLAのような新しいコンポスト可能な材料または有機プラスチックは、記載されたガードシステムにおいて使用するための代替材料を提供し得る。したがって、プラスチックへの言及は限定的なものとみなすべきではない。
【0076】
単一材料
【0077】
上スリーブおよび下部分は、単一の材料片から形成されてもよい。
【0078】
上述したように、当技術分野において、ガードシステムは、典型的には、スリーブまたはボックス形状構造のような地上部分から製造され、次いで、これは、別個のペグを用いて所定の位置に保持されて、ガードを所定の位置に保持する。記載されたガードシステムは、地下アンカー部分の下の地上上スリーブ部分に使用される破断または代替部品のない1つの連続した材料片から製造することができる。これにより、製造コストが削減され、必要な部品と材料が少なくなり、複雑さが低減され、設置が迅速化される。また、ペグの必要性を除去することは、ガードシステムが早期に植物から外れるリスクを減少させ、また、別個のスリーブは、強風時に、または材料劣化によって所望よりも早く外れる可能性がある。
【0079】
バンド
【0080】
植物保護ガードシステムは、使用時に上スリーブおよび植物の茎の下部の周囲に位置決めされるように配置されたバンドをさらに含むことができる。バンドは、使用時に、植物の根球のすぐ上の地点に位置決めてもよい。バンドは弾力性があってもよい。
【0081】
一つ又は複数のバンドを、植物ステップについて述べたように使用することができる。一実施形態において、バンドは、上スリーブの基部を互いに圧着して、上スリーブの直径を植物茎の周り、典型的には地表面の周りで減少させる。これは、雑草または他の植物がガードシステム内側でも成長し、最終的に標的植物と成長について競合する可能性を減少させるという利点を有する。また、ガードシステム内部の雑草等の成長を回避することは、新しい植え付け現場を定期的に訪問して雑草を除去する必要性を最小限にする。アートガードシステムでは、しばしばプランタースタッフによって、ガードシステムのスリーブ内部に生えている雑草を手作業で除去するために、新たに植え付けられた現場への定期的な訪問が必要とされる。これは、アートガードシステムのネックおよびスリーブ開口部が広いために生じる。記載されたガードシステムを使用して、定期的な訪問および植付け後の草取りの必要性を除去すること、または少なくともフォローアップ訪問が必要とされる場合の頻度を低減することが可能であることが想定される。これは労働に大きな影響を与え、したがって植栽のコストにも影響を与える。
【0082】
1つの材料から上部分および下部分を有するガードシステム
【0083】
第2の態様において、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
植付け後に植物保護スリーブを据え付けるために使用時に構成された一つ又は複数のアンカー部分を備える下部分と、
を備え、
上スリーブおよび下部分は、単一の材料片から形成される、植物保護保護システムが提供される。
【0084】
上記の態様において、同様のガードシステムが説明されるが、この態様において、上スリーブおよび下部分は、単一の材料片から製造される。上述したように、これは、ガードシステムの製造および構造的一体性に関して多くの利点を有する。
【0085】
バンド付きガードシステム
【0086】
第3の態様において、
使用時に、植物の茎の周囲に位置決めされ、地上から上向きに延びるように構成された上スリーブと、
使用時に上スリーブの下部と植物の茎の周囲に位置決めされるように配置されたバンドと、
を備える、植物保護ガードシステムが提供される。
【0087】
上述したように、バンドの使用は、下部アンカー部分が使用されない場合であっても、本明細書に記載されるガードシステムの有用な利点であり得る。
【0088】
調製された植物組立体
【0089】
第4の態様において、実質的に上述のような植物保護ガードシステムを用いて組み立てられた植物を備える、調製された植物組立体が提供される。
【0090】
記載された植物およびガードシステムは、植付け前に調製することができる。これは、作業現場での一度の植付けがより迅速であるという利点を提供し、したがって作業現場での中断がより少なく、時間のより効率的な利用を提供する。土地の大量植付けは、都市や町から遠く離れた多様な国で行われることが多いため、現場での労働者の時間を最小限に抑えることは、労働コストを削減する上で有用である。
【0091】
植物組立体を形成する方法
【0092】
第5の態様において、実質的に上述のように植物を植物保護ガードシステムに導入することを含む、植物組立体を形成する方法が提供される。
【0093】
第6の態様において、実質的に上記のように植物を植物保護ガードシステムに導入し、植物の茎の周囲にバンドを固定するステップを含む、植物組立体を形成する方法が提供される。
【0094】
植物を植え付ける方法
【0095】
第7の態様において、穴形成装置と植付け管とを備える植付けツールを用いて植物を植え付ける方法であって、
(a)穴形成装置を用いて穴を形成するステップと、
(b)上記のように実質的に調製された植物組立体を、形成された穴に植付け管を介して放出するステップと、
を含む。
【0096】
上記の態様において、説明されたガードシステムを使用して植物の調製および植付けを容易にすることができる簡単なツールを説明する。これは、必要とされる労働を最小限にすることができ、したがって、植付けコストを低下させることができ、植付け者に対する健康と安全のリスクを最小限にすることができる。
【0097】
また、上述の実施形態は、本出願の明細書に言及または表示されている部品、要素および特徴、個々にまたは集合的に、ならびに任意の2つ以上の前記部品、要素または特徴の任意の又は全ての組み合わせからなると広く言うことができる。
【0098】
さらに、実施形態が関連する技術において既知の等価物を有する特定の整数が本明細書に記載されている場合、そのような既知の等価物は、あたかも個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれるものとする。
【実施例1】
【0099】
本出願人の植物保護スリーブ10の一実施形態は、図2に折り畳まれた形態で(即ち、植物との組み立て前に)示されている。また、図13および図14は、展開された形態でのスリーブ10の下部分15のより詳細を示す。
【0100】
スリーブ10は、例えば既知のプラスチック製造技術を使用して、単一のプラスチックシート片またはフィルム片から単一片として形成することができる。示された実施形態において、植物保護スリーブ10は、2つの下区域12、13を切り取る前に、一端11で密封された略管状の形態を有するプラスチックバッグと同様の方法で形成することができる。これにより、スリーブ10の上スリーブ部分14がアンカーの下部分15から上向きに延びる。上スリーブ部分14は、以下で明らかになるように、その長さに沿って上向きに延びる一つ又は複数のプリーツ16を有することができる。
【0101】
また、上スリーブ部分14は、その長さに沿って上向きに延びることができる一つ又は複数の脆弱部17を有することができる。各脆弱部17は、成長中の植物の茎、枝および葉からの圧力がスリーブ10に対して外向きに作用したときに引き裂き又は切れるのに十分な一連の穿孔、穴、小さな切れ目または他の脆弱部17を備えることができる。これらについても後述する。
【0102】
図3は、フレーム20と、上スリーブ部分14の上縁を開口位置に保持するのに適した一対のクリップすなわちスプレッダ21とを備える組立ツールを示す。図3Aは、植物(例えば、苗)を導入する準備ができている植物保護スリーブ10を示す。フレーム20は、植物を挿入することができる開口22を有することができる。また、図3Aは、スリーブ10が拡大するにつれて部分的に開口するプリーツ16の1つを示す。
【0103】
図3および図3Aに示すツールは、部分的または完全自動化に適合させることができる。
【0104】
図4は、スリーブ10およびスリーブ10内に挿入された植物25を示す。図12は、スリーブ10に挿入された植物25を有する上からの図を示す。植物25の根系(または根球)28は、スリーブ10を通って下方に滑り落ち、スリーブ10の密封された下端11に寄りかかる。したがって、図4図13および図14に最も良く示されているように、アンカー部分15は、一般に、多数の脚部26を備えることができるが、これらは、上スリーブ部14から下向きに延び、下端で互いに接続される。これは、例えば、脚部26間の従来の熱シール又は接合部50によって達成することができる。従って、脚部26は根系28の周囲に延びる。植物25および植物保護スリーブ10の組み立て後、アンカー部分15は植物25の根球/根系28を支持することができる。アンカー部分15は、組み立てられた植物25および植物保護スリーブ10が地面に植え付けられると、スリーブ10を植物25および地面または植付け現場の両方に据え付けるように作用する。これは、従来技術のスリーブとは対照的であるが、従来技術のスリーブは、ペグまたは杭によって地面に取り付けられる傾向があり、時間とともに自由になる可能性がある。
【0105】
また、アンカー部分15の他の構成も可能であり、植え付け後にスリーブ10を植物25および地面に据え付けるように作用する任意の適切な構成を使用してもよいことに留意されたい。これは、一実施例において、メッシュフォーマットを備えることができる。
【0106】
アンカー部分15は、図4図9および図13図14に見られるように、部分的に開口している。これは、水および栄養素(図示せず)を含む流体の根への流れを可能にし、また、根球28から保護スリーブ10を越えて根を成長させることを可能にする。
【0107】
図5は、組み立てられた植物25および保護スリーブ10への弾性バンドの取り付けを容易にするように配置された更なるツールを示す。このツールは、多数の弾性バンド30が伸長状態で保持される支持構造31を備えることができる。図6に示されるように、植物25の根系28およびアンカー部分15は、支持構造31を通して下方に通過してもよく、次いで、伸長された弾性バンド30のうちの1つは、上スリーブ部分14の下部および植物の25の茎の周囲に放出されてもよい。一旦位置決めされたバンド30は、植物25の根球28のすぐ上に置かれてもよい。放出された弾性バンド30は、アンカー部分15および/または上スリーブ部分14を根系28の最上部の周囲に効果的に固定する。任意の適切な弾性バンド30を使用することができ、これは広く入手可能なゴムバンド30を含む。弾性バンド30の代わりに、黄麻ひも等を備える他の結束材を用いてもよい。特に明記しない限り、ゴムバンドまたは弾性バンドへの言及は、他の結合材料を使用することができるので、限定的であると見なされるべきではない。
【0108】
植付け前に、ゴムバンド30は、植物25とスリーブ10を一緒に保持するのを助け、またアンカー部分15を植物25の根28の周囲にしっかりと保持することによって植物25の根球または根系28を支持するのを助ける。組み立てられた植物25およびスリーブ10が地面に植え付けられると、弾性バンド30は、植物25の茎に対してスリーブ10を保持し、スリーブ10内側で雑草が成長する機会を制限する。多くの用途において、これは使用される別個の雑草マットの必要性を排除することができる。しかしながら、いくつかの用途において、ユーザは、スリーブ10の外側の周囲にオプションの雑草マットを追加することを選択してもよい。
【0109】
また、弾性バンド30は、上スリーブ部分14の基部を収縮させ、プリーツ16を作用させ、上部土壌に設置されたときに、プリーツ16に対してより強い基部を提供し、上スリーブ部分14の剛性を向上させてもよい。また、プリーツおよび/または折り目16は、同じ材料の普通の管と比較した場合、上スリーブ部分14の剛性を増大させ、したがって、上スリーブ部分14を直立状態に維持するのに役立つ。これは、従来技術のスリーブで使用されるよりも遙かに軽い材料で、機能的な(実質的に直立したままで風荷重に耐えることができる)上スリーブ部分14を提供する。
【0110】
必要に応じて(図示せず)、初期剛性を補助するために一つ又は複数のペグ(典型的には1つのペグだけ)を取り付けることができ、一方、苗の植物25の茎は、必要な支持を提供するのに十分ではない。単一のペグを短期支持体として使用してもよい。ペグは、植え付けプロセスの一部として、スリーブ10の下方に内部的に挿入され、植物25苗の根球28のそばの地面に挿入されてもよい。これは、極端な気候事象、すなわち、強風、駆動雨および降雪の間、スリーブ10を保持することができる。植物25の苗が成長すると、その背丈がこの剛性機能を引き継ぐ。
【0111】
図6および図7は、弾性バンド30が所定位置にある、組み立てられ植え付けられた植物25およびスリーブ10の図を示す。根球28および地上Gは、これらの図面に概略的に示されている。図7に示すように、各プリーツ16は、内折畳み部16Aおよび一対の外折畳み部16Bによって形成されてもよい。しかしながら、折畳み部16の任意の適切な組合せを使用する、より複雑な又は他の形態の折畳み部16を使用することができる。
【0112】
図8および図9は、根系28の周囲のアンカー部分15の位置を示す更なる図である。
【0113】
プリーツ及び/又は折畳み部16は、上スリーブ部分14の横断面積にある程度の柔軟性を与える。これは、上スリーブ部分14は、植物25の寿命の初期には比較的小さい面積を有することができる(したがって、風抵抗が低い)が、上スリーブ部分14は植物25が成長するにつれて幾らか拡大することができることを意味する。植物25が十分に成長し、その茎または幹を上スリーブ部分14に対して外向きに押し出すと、一つ又は複数の脆弱部17は切れる又は裂けるので、上スリーブ部分14は、譲歩し、植物25の更なる成長を妨げない。また、弾性バンド30は、植物25が成長するにつれて伸長し、弾性バンド/タイ30の材料および/またはサイズは、植物25が特定のサイズに成長した後に切れるように、または、ある期間後に破壊するように選択されてもよい。
【0114】
植物保護スリーブ10は、植付け作業が行われる前に植物25とともに組み立てられてもよい。一実施形態において、植付け作業者には、植物25および保護スリーブ10を備えた事前に組み立てられた植物組立体を提供することができる。組立は、苗床の施設、植付け現場またはその他の場所で行うことができる。組立は正確な組み立てツールまたはジグを用いた別個の作業として起こり、また植付け者または他の作業者が、保護スリーブ10を位置決め又は固定するために、植え付け後に更なるステップを行う必要がないので、これは、作業効率を高める。これは、例えば、雑草マットを調製して位置決めするステップ、保護スリーブを位置決めするステップ、ペグまたは杭でスリーブおよび/または雑草マットを固定するステップを含む、植付け後の幾つのステップを必要とする従来技術のスリーブとは対照的である。
【0115】
本出願人の植物保護スリーブ10は、任意の適切なプロセスによって形成することができる。一実施形態において、プラスチックスリーブ10を生産し、正方形の横断面形状に折り畳むことができ、少なくとも1つの側部(典型的には2つの対向する側部)を折り畳むことができ、および/またはひだを付けることができる。スリーブ10の底部は、密封または融合され、アンカー部分15は、適切な切断作業によって形成される。
【0116】
任意の適切なスリーブ10の材料を使用することができる。プラスチック材料は、製造を容易にし、材料コストを低くするために適している。低密度ポリエチレンを使用してもよい。プラスチック材料は、約50~350ミクロン、75~325ミクロン、100~300ミクロン、125~275ミクロン、100~250ミクロン、100~200ミクロン、100~150ミクロンの厚さを有することができる。代替的な実施形態において、生分解性および/または堆肥化可能な材料および/または天然材料(例えば、生分解性プラスチック材料などを含む)を使用することができる。このような材料は、スリーブ10の必要とされる寿命にわたって分解するように選択することができる。
【0117】
図10および図11は、事前に組み立てられた植物および植物保護スリーブ10を植え付けるように構成された植え付けツール40を示す。ツール40は、植物組立体の形状(すなわち、根系およびスリーブ10の形状)に適合する内部横断面を有する管状シャフト41を備えることができる。従って、シャフト41の最上端42に挿入された植物組立体は、シャフト41の下端43まで下向きに摺動する。ツール40は、ユーザがツール40を保持して位置決めするのを助ける一つ又は複数のハンドル44を備えることができる。
【0118】
ツール41の下端には、穴形成装置45が設けられてもよい。示された実施形態において、これは、図10の閉鎖位置と図11の開放位置との間で移動されるように構成された一対のジョー46、47を備えてもよい。ジョー46の一方は固定ジョー46であってもよく、他方のジョー47は開位置に移動するように作動されてもよい。示された実施形態において、ジョー47の移動は、足踏み式アクチュエータまたはペダル48によって作動させることができる。また、ツール40は、段部または肩部49を備えてもよく、この段部または肩部49の上にユーザが立ったり踏み込んだりして、ツールを地面に押し込むのを助けることができる。バネ50は、ジョー47を閉位置に付勢することができる。
【0119】
植付け作業中、ユーザは、ハンドル44および/または段部または肩部49に下向きに圧力を加えることによって、ジョー46、47を地面に押し下げることができる。次に、ユーザは、ペダル48を踏むことができ、これにより、ジョー47が開く。また、ユーザは、ツール40をロックまたはレバー操作して、地面への挿入および/または穴の形成を補助することができる。穴が形成される前または後に、植物組立体がシャフト41の開口最上端42内に挿入されてもよい。ジョー46、47が開いた状態で、植物組立体は、ツール40を通って新たに形成された穴に落下し、その後、ツール40を引き抜くことができる。次に、ユーザは、土を(通常は足で)植え付けられた植物組立体の周囲に押し付けて、植付け作業を完了する。従って、植付け作業は、ユーザが身をかがめることなく効率的に完了する。さらに、組み立てられた植物および植物保護スリーブ10は、スリーブ10、雑草マット、ペグ、杭などを固定するための別個の作業要することなく、単一の作業で都合よく植え付けることができる。
【0120】
示される実施形態において、一般的に正方形の根球を有する植物に使用するためのものである。この形状は、一般に、植物が育てられるポットまたは他の容器の形状によって制限される。しかしながら、スリーブ10が様々な形状の根球を収容することは、当業者には理解されよう。さらに、本明細書で説明する様々なツールは、異なる形状の根球に適合させることができる。
【0121】
植物ガードシステムおよび方法の態様は、例としてのみ説明されてきたが、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなく修正および追加を行うことができることは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14