(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】LIDAR閉塞検出方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
G01S7/497
(21)【出願番号】P 2022536577
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 US2020066797
(87)【国際公開番号】W WO2021133885
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-02
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】カープラス,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ガッセンド,ブレイズ
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング-クルーズ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】マクロスキー,スコット
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-022080(JP,A)
【文献】特開昭59-145982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188361(US,A1)
【文献】国際公開第2016/208373(WO,A1)
【文献】特開2007-108028(JP,A)
【文献】特表2019-535014(JP,A)
【文献】特開2016-095136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
外部構造に物理的に結合された光検出および測距(LIDAR)デバイスにより、前記LIDARデバイスの視野(FOV)内にある前記外部構造の少なくとも一部分を走査することであって、前記走査することが、
光学窓を通して、光パルスを前記外部構造に向かって様々な方向に送信することと、
前記光学窓を通して、前記外部構造から前記LIDARデバイスに戻る前記送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することと、を含む、ことと、
少なくとも、前記外部構造の前記少なくとも一部分の前記走査によって示された前記外部構造の外観が以前の走査によって示された所定の外観とは異なることに基づいて、前記FOVを走査することから前記LIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記走査によって示される、前記外部構造の反射率特性を所定の反射率特性と比較することをさらに含み、前記閉塞の前記存在を検出することが、前記比較に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の反射率特性が、前記LIDARデバイスによる、前記外部構造の前記少なくとも一部分の以前の走査に基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記LIDARデバイスによって走査される前記外部構造の前記少なくとも一部分が、前記外部構造上に配設された1つ以上の較正ターゲットを含み、前記所定の反射率特性が、前記1つ以上の較正ターゲットに関連付けられている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記LIDARデバイスによる前記FOVの1つ以上の走査に基づいて、前記閉塞が、前記光学窓上に配設されているかどうかを判断することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
回転期間中、軸を中心に前記LIDARデバイスを回転させることをさらに含み、前記外部構造の前記少なくとも一部分の前記走査が、前記回転期間の第1の部分の間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記回転期間の第2の部分の間、前記外部構造から分離された少なくとも1つの物体を前記LIDARデバイスによって走査することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記外部構造に向けて送信される1つ以上の前記光パルスの1つ以上の送信時間と、前記外部構造から前記LIDARデバイスに戻る1つ以上の前記反射光パルスの1つ以上の受信時間との間の1つ以上の時間差に基づいて、基準時間を決定することと、
前記少なくとも1つの物体に向けて送信される光パルスの送信時間と、前記少なくとも1つの物体から前記LIDARデバイスに戻る反射光パルスの受信時間と、前記基準時間とに基づいて、前記少なくとも1つの物体までの距離を決定することと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記外部構造が、車両に結合された取り付け構造を備え、前記LIDARデバイスが、前記取り付け構造に取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
システムであって、
取り付け構造と、
前記取り付け構造に取り付けられた光検出および測距(LIDAR)デバイスと、
光学窓と、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、前記システムに、
前記LIDARデバイスの視野(FOV)内にある前記取り付け構造の少なくとも一部分を走査することであって、前記走査することが、
前記光学窓を通して、光パルスを前記LIDARデバイスから前記取り付け構造に向かって様々な方向に送信することと、
前記取り付け構造から前記LIDARデバイスに戻る前記送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを、前記光学窓を通して受信することと、を含む、ことと、
少なくとも、前記取り付け構造の前記少なくとも一部分の前記走査によって示された前記
取り付け構造の外観が以前の走査によって示された所定の外観とは異なることに基づいて、前記FOVを走査することから前記LIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することと、
を含む動作を実行させる命令を記憶するデータストレージ、を備えるシステム。
【請求項11】
前記動作が、
前記走査によって示される、前記取り付け構造の反射率特性を所定の反射率特性と比較することをさらに含み、前記閉塞の前記存在を検出することが、前記比較に基づく、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記所定の反射率特性が、前記取り付け構造の前記少なくとも一部分の以前の走査に基づく、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記取り付け構造の前記走査された少なくとも一部分上に配設された1つ以上の較正ターゲットをさらに備え、前記所定の反射率特性が、前記1つ以上の較正ターゲットに関連付けられている、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記取り付け構造が、車両に結合されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
非一時的なコンピュータ可読媒体であって、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、システムに、
外部構造に物理的に結合された光検出および測距(LIDAR)デバイスを使用して、前記LIDARデバイスの視野(FOV)内にある前記外部構造の少なくとも一部分を走査することであって、前記走査することが、
前記LIDARデバイスの光学窓を通して、光パルスを前記外部構造に向かって様々な方向に送信することと、
前記光学窓を通して、前記外部構造から前記LIDARデバイスに戻る前記送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することと、を含む、ことと、
少なくとも、前記外部構造の前記少なくとも一部分の前記走査によって示された前記外部構造の外観が以前の走査によって示された所定の外観とは異なることに基づいて、前記FOVを走査することから前記LIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することと、
を含む動作を実行させる命令を記憶する、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記動作が、
前記走査によって示される、前記外部構造の反射率特性を所定の反射率特性と比較することをさらに含み、前記閉塞の前記存在を検出することが、前記比較に基づく、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記動作が、
前記FOVの1つ以上の走査に基づいて、前記閉塞が、前記光学窓上に配設されているかどうかを判断することをさらに含む、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記動作が、
回転期間中、軸を中心に前記LIDARデバイスを回転させることをさらに含み、前記外部構造の前記少なくとも一部分の前記走査が、前記回転期間の第1の部分の間に行われる、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記動作が、
前記LIDARデバイスを使用して、前記回転期間の第2の部分の間、前記外部構造から分離された少なくとも1つの物体を走査することをさらに含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記動作が、
前記外部構造に向けて送信される1つ以上の前記光パルスの1つ以上の送信時間と、前記外部構造から前記LIDARデバイスに戻る1つ以上の前記反射光パルスの1つ以上の受信時間との間の1つ以上の時間差に基づいて、基準時間を決定することと、
前記少なくとも1つの物体に向けて送信される光パルスの送信時間と、前記少なくとも1つの物体から前記LIDARデバイスに戻る反射光パルスの受信時間と、前記基準時間とに基づいて、前記少なくとも1つの物体までの距離を決定することと、をさらに含む、請求項19に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月22日に出願された米国特許出願第17/131,594号および2019年12月27日に出願された米国仮特許出願第62/954,338号に対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
いくつかの光検出および測距(Light Detection and Ranging、ライダー(lidar))システムは、発光送信機(例えば、レーザダイオード)を利用して、環境内に光パルスを放射する。次いで、環境内の物体と相互作用する(例えば、物体から反射する)放射された光パルスが、ライダーシステムの受信機(例えば、光検出器)によって受信され得る。次に、環境内の物体に関する距離情報が、光パルスの放射時間と、放射された光パルスの戻り反射の受信時間との間の時間差に基づいて、決定され得る。
【発明の概要】
【0003】
一例では、方法が提供される。方法は、外部構造に物理的に結合された光検出および測距(light detection and ranging、LIDAR)デバイスによって、LIDARデバイスの視野(field-of-view、FOV)内にある外部構造の少なくとも一部分を走査することを含む。走査することは、光学窓を通して、光パルスを外部構造に向かって様々な方向に送信することを含む。走査することはまた、光学窓を通して、外部構造からLIDARデバイスに戻る送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することを含む。方法はまた、少なくとも、外部構造の少なくとも一部分の走査に基づいて、FOVを走査することからLIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することを含む。
【0004】
別の例では、システムが、提供される。システムは、取り付け構造と、取り付け構造に取り付けられた光検出および測距(LIDAR)デバイスと、光学窓と、1つ以上のプロセッサと、データストレージとを含む。データストレージは、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、システムに動作を実行させる命令を記憶する。動作は、LIDARデバイスの視野(FOV)内にある取り付け構造の少なくとも一部分を走査することを含む。走査することは、光学窓を通して、光パルスをLIDARデバイスから取り付け構造に向かって様々な方向に送信することを含む。走査することはまた、光学窓を通して、取り付け構造からLIDARデバイスに戻る送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することを含む。動作はまた、少なくとも、取り付け構造の少なくとも一部分の走査に基づいて、FOVを走査することからLIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することを含む。
【0005】
さらに別の例では、非一時的なコンピュータ可読媒体が、提供される。非一時的なコンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、システムに動作を実行させる命令を記憶する。動作は、外部構造に物理的に結合された光検出および測距(LIDAR)デバイスを使用して、LIDARデバイスの視野(FOV)内にある外部構造の少なくとも一部分を走査することを含む。走査することは、LIDARデバイスの光学窓を通して、光パルスを外部構造に向かって様々な方向に送信することを含む。走査することはまた、光学窓を通して、外部構造からLIDARデバイスに戻る送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することを含む。動作はまた、少なくとも、外部構造の少なくとも一部分の走査に基づいて、FOVを走査することからLIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することを含む。
【0006】
さらに別の例では、システムが提供される。システムは、外部構造に物理的に結合された光検出および測距(LIDAR)デバイスによって、LIDARデバイスの視野(FOV)内にある外部構造の少なくとも一部分を走査するための手段を含む。走査することは、光学窓を通して、光パルスを外部構造に向かって様々な方向に送信することを含む。走査することはまた、光学窓を通して、外部構造からLIDARデバイスに戻る送信された光パルスの反射を含む反射光パルスを受信することを含む。システムはまた、少なくとも、取り付け構造の少なくとも一部分の走査に基づいて、FOVを走査することからLIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出するための手段を含む。
【0007】
他の態様、実施形態、および実施態様は、添付図面を適宜参照して、以下の詳細な説明を読み取ることによって、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的な実施形態による、システムの簡略ブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態による、取り付け構造に取り付けられたLIDARデバイスを示す。
【
図3A】例示的な実施形態による、車両の第1のビューを示す。
【
図3B】例示的な実施形態による、車両の第2のビューを示す。
【
図3C】例示的な実施形態による、車両の第3のビューを示す。
【
図3D】例示的な実施形態による、車両の第4のビューを示す。
【
図3E】例示的な実施形態による、車両の第5のビューを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示的な方法、デバイス、およびシステムが本明細書において説明される。「例」および「例示的」という語は、本明細書においては、「例、事例、または例示としての役割を果たす」ことを意味するために使用されることを理解されたい。本明細書において「例」または「例示的」であるとして説明されるいずれの実施形態または特徴も、他の実施形態または特徴よりも好ましい、または有利であると必ずしも解釈されるべきではない。本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。したがって、本明細書に記載される例示的な実施形態は、限定的であることを意味するものではない。本明細書において概して説明され、図に示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計されることが可能であり、これらの構成の全てが、本明細で想定されている。さらに、文脈で特に示唆しない限り、各図に示された特徴を、互いに組み合わせて使用することができる。したがって、図は、概して、図示された特徴のすべてが、必ずしも各実施形態に必要であるとは限らないという理解のもとで、1つ以上の実施形態全体のうちの部分的な態様として見なされるべきである。
【0010】
I.概要
本明細書の一例のライダーシステムは、送信機と、受信機とを含む。送信機は、送信経路内の1つ以上の光学要素(例えば、送信レンズ、回転可能ミラー、および光学窓)を介して、ライダーシステムの環境内に光を送信するように構成されている1つ以上の発光デバイス(例えば、各々1~8個のレーザダイオードを有する1つ以上のレーザバー)を含み得る。回転可能ミラーは、ミラーの回転軸を中心に回転するように構成され得る。回転可能ミラーは、LIDARシステムの視野(FOV)に向かって様々な方向に光パルスを向けるように、1つ以上の発光デバイスによって放射される光パルスと相互作用するように構成され得る。さらに、回転可能ミラーは、そのような光パルスが、環境と相互作用して戻り光パルスを形成した後、光パルスを受信機に向けるように構成され得る。
【0011】
例の中で、閉塞検出のためのシステムおよび方法が、提供される。例えば、例示的な閉塞検出システムは、光学窓上のほこり、汚れ、および/または亀裂、ならびに/もしくは光学窓を介してFOVを走査することからLIDARシステムを少なくとも部分的に閉塞する他のタイプの閉塞の存在を決定する方法を提供し得る。
【0012】
上記の例を続けると、LIDARシステムは、送信機と受信機とを含む光共振器の少なくとも部分的に外側に配設された反射型取り付けブラケットを含み得る。いくつかの実装例では、反射型取り付けブラケットは、LIDARシステムを取り付け面に物理的に結合し得る。取り付け面は、例えば、車両の車体を含み得る。
【0013】
一実装例では、反射型取り付けブラケットは、(送信機から光学窓を通して送信された)放射光の少なくとも一部分を、(光学窓を通して)受信機による受信のために、反射してLIDARシステムに戻すように構成された反射面を含み得る。例えば、反射面は、LIDARシステムによって走査されるFOV内にある反射型取り付けブラケットの一部分に対応し得る。いくつかの実施形態では、取り付けブラケット(またはその走査される部分)は、光学窓に対して所与の距離(例えば、50ミリメートルなど)内にある。
【0014】
別の実装例では、LIDARデバイスに物理的に結合された任意の他の外部構造の外面が、放射光の少なくとも一部分を、取り付けブラケットで反射される代わりに、またはそれに加えて、反射し得る。一例では、取り付けブラケットは、LIDARデバイスを車両の車体上に取り付けるように構成され得る。この例では、外面は、LIDARデバイスのFOV内にある車両の任意の外面(例えば、ボディパネル、サイドミラー構造、バンパー、フェンダーなど)に対応し得る。したがって、この例では、車両が環境内を移動する場合でも、外面は、LIDARデバイスに対して固定位置に留まり得る。別の例では、LIDARデバイスは、建物に取り付けられ得る意。この例では、外部構造/表面は、代わりに、壁、ドア、窓枠、またはLIDARデバイスのFOV内の建物の他の外部特徴を含み得る。他の例も可能である。
【0015】
いくつかの例では、反射型取り付けブラケット(または他の外部構造)の走査を使用して、光学窓上またはその近くの閉塞の存在を検出することができる。例えば、反射型取り付けブラケット(または外部構造)から反射され、LIDARデバイスによって受信される光が、予想よりも低い強度を有する場合、例示的なシステムは、閉塞(例えば、汚れ、ほこり、泥、水、など)が、取り付けブラケット(または外部構造)の反射面に送信される、および/またはそれから受信されるエネルギーの量を低減していると判断し得る。したがって、取り付けブラケットの反射面にわたって走査することにより、例示的なシステムは、閉塞が、光学窓上に存在するか、それともLIDARデバイスと、取り付けブラケット(または外部構造)との間の光路に沿った他の場所に存在するかを決定するように構成され得る。
【0016】
追加的または代替的に、いくつかの例では、走査を使用して、LIDARデバイスの光学的欠陥を検出することができる。例えば、外部構造(例えば、取り付けブラケット)から反射され、LIDARデバイスによって受信される光が、予想されるよりも低い強度を有する場合、例示的なシステムは、光強度の減少に関連付けられた光学的欠陥(例えば、レーザの減光)が存在すると判断し得る。例えば、光学的欠陥は、LIDARデバイス内の1つ以上の光学構成要素の相対位置の変化(例えば、光学的ミスアライメント)、LIDARデバイス内の1つ以上の発光体(例えば、レーザダイオード)の経年劣化に、および/またはLIDARデバイスによって送信および/または受信された光の減光(例えば、光強度の低下)を引き起こす可能性のある任意の他のタイプの光学的欠陥に関連し得る。
【0017】
II.システム例
図1は、例示的な実施形態によるシステム100を示す。いくつかの実施形態では、システム100は、レーザベースの距離および測距(ライダー)システム、またはその一部分であり得る。そのようなシナリオでは、システム100は、視野(FOV)17内の物体12を示す情報を提供するように、環境10内に光パルスを放射するように構成され得る。示されるように、システム100は、外部構造190を含むか、または外部構造190に物理的に結合され得る。例えば、システム100は、システム100および外部構造190が、互いに対して所定の物理的配置に留まるように、外部構造190に対して所与の位置に取り付けられ得る。
【0018】
いくつかの例では、システム100は、車両の外部環境に関する情報を提供するように、車両(または他のシステム)に結合され得る。一例では、外部構造190は、システム100を車両に物理的に結合する取り付け構造(例えば、取り付けブラケット)を含み得る。したがって、この例では、システム100は、(例えば、車両が環境内を移動するときでも)取り付け構造に対して所与の位置に留まり得る。他の例では、外部構造190は、外部構造の外面が、(例えば、車両が環境内を移動するときでも)システム100の所与の位置に対して固定された位置に留まるように、システム100に物理的に結合された任意の構造(例えば、車両のサイドミラー構造、車両のボディパネル、車両のバンパーなど)を含み得る。
【0019】
示されるように、外部構造190は、任意選択で、1つ以上の較正ターゲット192を含み得る。較正ターゲット192は、例えば、他の可能性の中でも、特定のテクスチャを有する1つ以上の表面、変化する反射率および/または放射率の表面、パターン化されたターゲットを含み得る。例として、特定の較正ターゲットは、入射ビームエネルギーの所与の部分を除くすべてを受信機121から離れるようにリダイレクトまたは吸収するように構成され得る(例えば、傾斜ミラー上に配設された黒い点状の表面など)。様々な他の例示的な較正ターゲット構成も、可能である。いくつかの例では、較正ターゲット192は、FOV17内にある、外部構造190の少なくとも一部分に配設され得る。したがって、システム100は、FOV17を走査しながら、(較正ターゲット192が位置する)外部構造190の少なくとも一部分を走査するように構成され得る。
【0020】
示されるように、システム100は、第1の軸102を中心に回転するように構成されている回転可能なベース110を含む。いくつかの実施形態では、ベースアクチュエータ112は、3ヘルツ~60ヘルツ(例えば、180回転毎分(RPM)~3600RPM)の方位角回転速度で、第1の軸102を中心に回転可能なベース110を回転させるように動作可能であり得る。しかしながら、他の方位角回転速度が、可能であり、企図される。いくつかの実施形態では、ベースアクチュエータ112は、所望の回転速度で回転するように、コントローラ150によって制御され得る。そのようなシナリオでは、コントローラ150は、単一の目標回転速度で回転するようにベースアクチュエータ112を制御し得、および/またはコントローラ150は、可能な回転速度の範囲内でベースアクチュエータ112の所望の回転速度を動的に調整し得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、ベースアクチュエータ112は、電気モータを含み得る。例えば、電気モータは、回転可能なベース110のシャフト118を回転させるように動作可能であり得る固定子116および回転子114を含み得る。様々な実施形態では、ベースアクチュエータ112は、直流(DC)モータ、ブラシレスモータ、または別のタイプの回転アクチュエータであり得る。いくつかの実施形態では、シャフト118は、1つ以上のベアリング119を介して、回転可能なベース110に結合され得る。ベアリング119は、回転ベアリングまたは別のタイプの低摩擦ベアリングを含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、システム100は、回転可能なベース110を含む必要はない。そのようなシナリオでは、ハウジング160内のシステム100の1つ以上の要素は、第1の軸102を中心に回転するように構成され得る。しかしながら、他の場合には、システム100のいくつかの要素は、第1の軸102を中心に回転する必要はない。したがって、そのような実施形態では、システム100は、他の可能性の中でも、ライン走査用途、単一点走査用途で利用され得る。
【0023】
システム100はまた、シャフト134を備えたミラーアセンブリ130と、ミラー回転軸131を中心に回転するように構成されているミラー本体133とを含む。いくつかの実施形態では、ミラー回転軸131は、第1の軸102に対して実質的に垂直(例えば、垂直の0~10度以内)であり得る。例示的な一実施形態では、ミラーアクチュエータ136は、ミラー本体133を100Hz~1000Hz(例えば、6,000RPM~60,000RPM)のミラー回転速度で、ミラー回転軸131を中心に回転させるように構成され得る。いくつかの文脈では、ミラー本体133は、回転期間内(例えば、3.3ミリ秒~1ミリ秒)にミラー回転軸131を中心に回転するように構成され得る。
【0024】
ミラーアクチュエータ136は、DCモータ、ブラシレスDCモータ、ACモータ、ステッピングモータ、サーボモータ、または別のタイプの回転アクチュエータであり得る。ミラーアクチュエータ136は、様々な回転速度で、または所望の回転速度で動作され得ること、およびミラーアクチュエータ136は、コントローラ150によって制御され得ることが理解されよう。
【0025】
いくつかの実施形態では、ミラーアセンブリ130は、複数の反射面132を含む。例えば、複数の反射面132は、4つの反射面を含み得る。様々な実施形態では、反射面132は、金、酸化ケイ素、酸化チタン、チタン、白金、またはアルミニウムのうちの少なくとも1つから形成され得る。そのようなシナリオでは、ミラーアセンブリ130のミラー本体133が、長方形のプリズム形状を有するように、4つの反射面は、ミラー回転軸131に対して対称に配置され得る。ミラーアセンブリ130は、4つよりも多いか、または少ない反射面を含んでもよいことが理解されよう。したがって、ミラーアセンブリ130は、4つよりも多いか、または少ない側面を有する多面プリズム形状として成形され得る。例えば、ミラーアセンブリ130は、3つの反射面を有し得る。そのようなシナリオでは、ミラー本体133は、三角形の断面を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、ミラー本体133は、複数の反射面132をシャフト134に結合するように構成され得る。そのようなシナリオでは、ミラー本体133は、実質的に中空であり得る。様々な実施形態では、ミラー本体133の少なくとも一部分は、八角形の断面および/または4回対称性を有し得る。一例では、ミラー本体133は、ポリカーボネート材料を含み得る。この例では、ミラー本体133の八角形および/または4回対称構成が、ミラー本体の回転中のシャフト134上のミラー本体133のポリカーボネート材料の潜在的滑りを低減することを容易にし得る。他の例も、同様に可能である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ミラー本体133は、複数の可撓性支持部材138を含み得る。そのようなシナリオでは、少なくとも1つの可撓性支持部材138は、真っ直ぐであり得る。追加的または代替的に、少なくとも1つの可撓性支持部材138は、湾曲され得る。いくつかの実施形態では、可撓性支持部材のシステムの形状に基づいて、ミラー本体133は、(例えば、荷重を伝達するために)いくつかの方向に剛性で、熱膨張に対応するためにいくつかの方向に弾性であり得る。例えば、可撓性支持部材138は、ねじれているときに実質的に剛性であり、回転軸に対して垂直な力に応答して実質的に弾性であるように構成され得る。様々な実施形態では、ミラー本体133は、射出成形された材料から形成され得る。さらに、シャフト134は、鋼または別の構造材料から形成され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、ミラーアセンブリ130は、シャフト134に結合され得るエンコーダ磁石139を含み得る。そのようなシナリオでは、エンコーダ磁石139は、送信機127および受信機121に対する、回転可能なミラーアセンブリ130の回転位置を示す情報を提供するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、エンコーダ磁石139はまた、(例えば、ミラーアクチュエータ136に含まれる)ミラーモータ磁石として構成され得る。これらの実施形態では、システム100は、磁石139を使用して、回転可能なミラーアセンブリ130の回転位置の測定および調整の両方を容易にし得る。一例示的実施形態では、磁石139は、円形配置に配設され、(例えば、アクチュエータ136で生成される)磁場と相互作用してミラーアセンブリの回転を引き起こすように構成されている複数の磁石(例えば、磁石リングなど)のうちの1つであり得る。他の実施形態が、可能である。
【0030】
様々な例では、ミラーアセンブリ130は、追加的または代替的に、ミラーアセンブリ130の少なくとも一部分をハウジング160などのシステム100の他の要素に結合するように構成された結合ブラケット135を含み得る。結合ブラケット135は、1つ以上のコネクタ137を通して、ミラーアセンブリ130をハウジング160に取り付けるように構成され得る。そのようなシナリオでは、結合ブラケット135およびコネクタ137は、システム100の他の要素から容易に取り外し可能であるように構成され得る。そのような取り外しの容易さは、より良好な再較正、サービス、および/または修理オプションを提供し得る。
【0031】
システム100は、回転可能なベース110に結合された光共振器120をさらに含む。光共振器は、少なくとも1つの発光デバイス126と、発光レンズ128とを有する送信機127を含む。例示的な実施形態では、少なくとも1つの発光デバイス126は、1つ以上のレーザダイオードを含み得る。他のタイプの光源が可能であり、企図される。少なくとも1つの発光デバイス126および発光レンズ128は、発光軸18を画定するように配置される。
【0032】
様々な実施形態では、回転可能なミラーアセンブリ130は、環境10内の位置に向かって放射光を送信し、かつそこからの戻り光を受信するように、ミラー回転軸131を中心に制御可能に回転するように構成され得る。
【0033】
光共振器120はまた、環境10からの戻り光16を検出するように構成された受信機121を含む。受信機121は、複数の光検出器122を含む。一例として、複数の光検出器122は、少なくとも1つの固体単一光子感受性デバイスを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数の光検出器122は、1つ以上のシリコン光電子増倍管(SiPM)を含み得る。そのようなシナリオでは、SiPMは各々、複数(例えば、二次元アレイ)の単一光子アバランシェダイオード(SPAD)を含み得る。追加的または代替的に、複数の光検出器122は、アバランシェフォトダイオード(APD)、赤外線フォトダイオード、光伝導体、または別のタイプの光検出器を含み得る。さらに、焦点面アレイまたは別のタイプの画像センサなどの複数の光検出器を組み込んだシステムも可能であり、企図されることが理解されよう。
【0034】
複数の光検出器122は、少なくとも1つの発光デバイス126の各発光デバイスのための2つ以上の光検出器のそれぞれのセットを含む。様々な実施形態では、少なくとも1つの発光デバイス126は、光パルスが、送信光14として、システム100の環境10に向けてリダイレクトされるように、ミラーアセンブリ130と相互作用する光パルスを放射するように構成され得る。そのようなシナリオでは、光パルスの少なくとも一部分は、飛行時間、物体12までの距離、および/または点群のうちの少なくとも1つを決定するように、戻り光16としてシステム100に向かって反射されて戻され、かつ複数の光検出器122によって受信され得る。
【0035】
例示的な実施形態では、光検出器122は、コントローラ150に出力信号を提供し得る。例えば、出力信号は、環境10の視野17の所与の部分に向けた所与の光パルスの飛行時間を示す情報を含み得る。追加的または代替的に、出力信号は、環境10の範囲マップまたは点群の少なくとも一部分を示す情報を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、2つ以上の光検出器の各セットは、一次光検出器123と、二次光検出器125とを含み得る。一次光検出器123は、所与の発光デバイスから放射された光パルスに対応する戻り光16の第1の部分を受信するように構成される。そのようなシナリオでは、二次光検出器125は、所与の発光デバイスから放射された戻り光の第2の部分を受信するように構成される。
【0037】
様々な実施形態では、戻り光16の第1の部分および戻り光16の第2の部分は、大きく異なる強度を有し得る。例えば、戻り光16の第1の部分は、戻り光16の第2の部分よりも光子束において少なくとも1桁大きくあり得る。
【0038】
例示的な一実施形態では、少なくとも1つの発光デバイス126は、4要素レーザダイオードバー(例えば、レーザバー上に配設された4つの個別の光源)を含み得る。そのようなシナリオでは、複数の光検出器122は、4つの一次光検出器を含み得る。各一次光検出器は、レーザダイオードバー上のそれぞれの発光体に対応し得る。さらに、複数の光検出器122は、4つの二次光検出器を含み得る。各二次光検出器は、レーザダイオードバー上のそれぞれの発光体に対応し得る。
【0039】
代替の実施形態では、少なくとも1つの発光デバイス126は、2つ以上のレーザダイオードバーを含み得、レーザバーは、4つよりも多いかまたは少ない発光デバイスを含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、発光デバイス126は、発光デバイス126に1つ以上のレーザ光パルスを放射させるように動作可能なレーザパルサ回路に結合することができる。そのようなシナリオでは、レーザパルサ回路は、トリガソースに結合され得、トリガソースは、コントローラ150を含み得る。発光デバイス126は、(例えば、800~1600ナノメートル(nm)、例えば905nmの波長を有する)赤外線を放射するように構成され得る。しかしながら、他の光の波長が可能であり、企図される。
【0041】
受信機121はまた、光検出器レンズ124を含む。複数の光検出器122および光検出器レンズ124は、受光軸19を画定するように配置される。受光軸19または発光軸18のうちの少なくとも一方は、第1の軸102に対する傾斜角を形成する。一例として、傾斜角度は、5~30度であり得る。ただし、他の傾斜角度も可能であり、企図される。
【0042】
受信機121は、追加的に、アパーチャプレート176の開口部であり得る複数のアパーチャ178を含む。様々な実施形態では、アパーチャプレート176は、50ミクロン~200ミクロンの厚さを有し得る。追加的または代替的に、複数のアパーチャ178のうちの少なくとも1つのアパーチャは、150ミクロン~300ミクロンの直径を有し得る。しかしながら、この範囲よりも大きいおよび小さい他のアパーチャサイズが、可能であり、企図される。さらに、例示的な一実施形態では、複数のアパーチャ178のそれぞれのアパーチャは、200ミクロン~800ミクロンで離間し得る。他のアパーチャ間隔が、可能であり、企図される。
【0043】
受信機121はまた、1つ以上の光リダイレクタ129を含み得る。そのようなシナリオでは、各光リダイレクタ129は、それぞれのアパーチャからの戻り光16のそれぞれの部分を、複数の光検出器122のうちの少なくとも1つの光検出器に光学的に結合するように構成され得る。例えば、各光リダイレクタは、全反射によって、それぞれのアパーチャからの戻り光のそれぞれの一部分を複数の光検出器のうちの少なくとも1つの光検出器に光学的に結合するように構成され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、光リダイレクタ129は、射出成形可能な光学材料から形成され得る。そのようなシナリオでは、光リダイレクタ129は、第1の要素対および第2の要素対が、互いにスライド可能に結合するように形成されるように、要素対に一緒に結合される。例示的な実施形態では、光リダイレクタ129は、第1の光検出器を戻り光16の第1の部分の第1の光子束で照らし、かつ第2の光検出器を戻り光16の第2の部分の第2の光子束で照らすように、戻り光16を不均等な部分に分離するように構成される。
【0045】
いくつかの例では、光リダイレクタ129はまた、第1の光検出器に投射される戻り光16の第1の部分(および/または第2の光検出器に投射される戻り光16の第2の部分)のビーム幅を拡大するように構成され得る。このようにして、例えば、戻り光16のそれぞれの部分が投射されるそれぞれの光検出器における検出領域は、それらの関連付けられたアパーチャの断面積よりも大きくあり得る。
【0046】
様々な例示的な実施形態では、回転可能なベース110、ミラーアセンブリ130、および光共振器120は、視野17を提供するように配設され得る。いくつかの実施形態では、視野17は、第1の軸102を中心に360度の方位角範囲と、ミラー回転軸131を中心に60度~120度(例えば、少なくとも100度)の仰角範囲とを含み得る。一実施形態では、仰角範囲は、システム100が、第1の軸102の方向に沿って(および/または実質的に平行に)1つ以上の放射ビームを向けることを可能にするように構成され得る。他の方位角範囲および仰角範囲が可能であり、企図されることが理解されるであろう。
【0047】
いくつかの実施形態では、視野17は、2つ以上の連続する角度範囲(例えば、「分割された」視野または不連続な視野)を有し得る。一実施形態では、2つ以上の連続する角度範囲は、第1の軸102の同じ側から離れて延在し得る。代替的に、別の実施形態では、2つ以上の連続する角度範囲は、第1の軸102の反対側から離れて延在し得る。例えば、第1の軸102の第1の側は、0度~180度の仰角に関連付けられ得、第1の軸の第2の側は、180度~360度の仰角に関連付けられ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、システム100は、光学窓162を有する回転可能なハウジング160を含む。光学窓162は、平坦な窓を含み得る。追加的または代替的に、光学窓162は、湾曲した窓および/または屈折力を有する窓を含み得る。一例として、湾曲した窓は、光ビームの品質のいくらかの損失または劣化と引き換えに、(平坦な光学窓と比較して)拡張視野を提供し得る。そのようなシナリオでは、光パルスは、光学窓162を通して環境10に向けて放射され、環境10を通して送信され、そして環境10から受信され得る。さらに、本明細書の様々な実施形態では、1つの光学窓が説明されているが、2つ以上の光学窓を有する例が可能であり、企図されることが理解されるであろう。
【0049】
光学窓162は、放射光パルスの波長(例えば、赤外線波長)などの波長を有する光に対して実質的に透明であり得る。例えば、光学窓162は、赤外線波長域で80%より高い透過効率で放射光パルスを透過させるように構成された、光学的に透明な材料を含み得る。一実施形態では、光学窓162の透過効率は、98%以上であり得る。別の実施形態では、光学窓162の透過効率は、光学窓162に入射する送信および/または受信光の入射角に応じて、変化し得る。例えば、透過効率は、光が比較的より高い入射角から光学窓に入射する場合に、光が比較的より低い入射角から入射する場合よりも、低くあり得る。
【0050】
いくつかの例では、光学窓162は、ポリマー材料(例えば、ポリカーボネート、アクリルなど)、ガラス、石英、またはサファイアから形成され得る。赤外光に対して実質的に透明である他の光学材料が、可能であり、企図されることが理解されるであろう。
【0051】
いくつかの実施形態では、回転可能なハウジング160の他の部分は、黒色テープ、吸収性塗料、カーボンブラック、黒色陽極酸化および/またはマイクロアーク酸化処理された表面または材料、ならびに/もしくは別のタイプの光学吸収性、反射防止性の表面または材料などの光吸収性材料でコーティングまたは形成され得る。
【0052】
システム100の様々な要素は、異なる配置に配設され得る。例えば、例示的な一実施形態では、受光軸19または発光軸18の少なくとも一方は、ミラー回転軸131と交差しない。
【0053】
システム100は、コントローラ150を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ150は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)のうちの少なくとも1つを含む。追加的または代替的に、コントローラ150は、1つ以上のプロセッサ152とメモリ154とを含み得る。1つ以上のプロセッサ152は、汎用プロセッサまたは特殊用途プロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ、グラフィックスプロセッサユニットなど)を含み得る。1つ以上のプロセッサ152は、メモリ154に記憶されているコンピュータ可読プログラム命令を実行するように構成され得る。したがって、1つ以上のプロセッサ152は、プログラム命令を実行して、本明細書に記載の機能および動作の少なくともいくつかを提供することができる。
【0054】
メモリ154は、1つ以上のプロセッサ152によって読み取りまたはアクセス可能な1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよく、またはその形態をとってもよい。1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ152のうちの少なくとも1つと全体的または部分的に一体化され得る光メモリ、磁気メモリ、有機メモリ、または他のメモリ、もしくはディスクストレージなどの揮発性および/または不揮発性ストレージ構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ154は、単一の物理デバイス(例えば、1つの光学メモリ、磁気メモリ、有機メモリもしくは他のメモリ、またはディスクストレージユニット)を使用して実装され得るが、他の実施形態では、メモリ154は、2つ以上の物理デバイスを使用して実装することができる。したがって、一実施形態では、メモリ154は、1つ以上のプロセッサ152によって実行されたときに、システム100に、本明細書に記載の動作のうちの少なくともいくつかを実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0055】
上記のように、メモリ154は、システム100の動作に関連するコンピュータ可読プログラム命令を含むことができる。したがって、メモリ154は、本明細書に記載の動作または機能の一部または全てを実行または促進するためのプログラム命令を含み得る。
【0056】
例えば、動作は、発光デバイス126に光パルスを放射させることを含み得る。そのようなシナリオでは、コントローラ150は、発光デバイス126に関連付けられたパルサー回路に、1つ以上の電流/電圧パルスを発光デバイス126に提供させることができ、それにより、発光デバイス126に、光パルスを提供させることができる。
【0057】
動作はまた、検出された光信号として、視野17からの反射光パルス(例えば、戻り光16)の少なくとも第1の部分を受信することを含み得る。例えば、光学窓162を介して発光デバイス126から放射された光パルスの少なくとも一部(例えば、送信光14)は、反射光パルスまたは戻り光16を提供するように、視野17内の環境10内の物体12と相互作用し得る。反射光パルスの少なくとも一部分は、複数の光検出器122のうちの少なくとも1つの光検出器によって受信され得る。次に、所与の光検出器は、光電流信号または光電圧信号を含み得る、検出された光信号を提供し得る。
【0058】
さらに、動作は、検出された光信号に基づいて、視野17内の物体12を示す点群を決定することを含み得る。例示的な一実施形態では、点群を決定することは、コントローラ150によって実行され得る。例えば、コントローラ150は、放射および受信された各光パルスのそれぞれの飛行時間に基づいて、複数の空間点を決定および蓄積し得る。点群を決定することは、ミラーアセンブリ130の仰角および回転可能なベース110の方位角にさらに基づき得る。
【0059】
本明細書で説明される動作のいくつかまたはすべては、コントローラ150から離れて位置するコンピューティングデバイス、および/またはシステム100の他の要素によって実行され得ることが理解されよう。
【0060】
様々な実施形態では、システム100は、少なくとも1つのバッフルを含み得る。例えば、システム100は、少なくとも1つの回転可能なバッフル170および/または少なくとも1つの静的バッフル172を含み得る。そのようなシナリオでは、少なくとも1つの回転可能なバッフル170および/または少なくとも1つの静的バッフル172は、光共振器120内の迷光(例えば、最初にシステム100周りの環境と相互作用することなく、発光デバイス126から複数の光検出器122に内部を移動する光)を低減するように構成され得る。例示的な一実施形態では、静的バッフル172は、受光軸19と、発光軸18との間に配設された光学的に不透明な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、回転可能なバッフル170は、ミラー本体133に結合され得、かつシステム100の送信機部分と、受信機部分との間の迷光を低減または排除するように構成されている光学的に不透明な材料を含み得る。換言すれば、ミラー本体133の第1の部分およびミラー本体133の第2の部分は、回転可能なバッフル170によって分離され得る。そのようなシナリオでは、回転可能なバッフル170は、平坦なディスクのように形成され得るが、他の形状が、企図され、可能である。回転可能なバッフル170は、ミラー回転軸131を中心とし、かつそれに対して垂直であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、システム100は、光フィードバックシステムを含み得る。光フィードバックシステムの一部として、送信機127は、ミラー本体133の回転期間中、複数の光パルスをミラーアセンブリ130の反射面132に向かって送信するように構成され得る。そのようなシナリオでは、ミラーアセンブリ130は、(i)複数の光パルスのうちの少なくとも第1の光パルスをシステム100の環境10内に反射し、かつ(ii)複数の光パルスのうちの少なくとも第2の光パルスを内部光路168内に反射するように構成され得る。いくつかの実施形態では、内部光路168は、回転可能なバッフル170、静的バッフル172内、および/または回転可能なバッフル170と、静的バッフル172との間のギャップ内にバッフル開口174を含み得る。
【0062】
そのようなシナリオでは、受信機121の複数の光検出器122は、(i)環境10内の物体12によって引き起こされる第1の光パルスの反射を含む反射光パルスを検出し、かつ(ii)内部光路168を介して受信された第2の光パルスを検出するように構成され得る。様々な実施形態では、内部光路168は、反射面132が、第2の光パルスを受信機121に向かって反射するように、ミラーアセンブリ130の反射面132に向かって第2の光パルスを反射する1つ以上の内部反射鏡180によって、少なくとも部分的に画定され得る。
【0063】
さらに、そのようなシナリオでは、コントローラ150は、第1の光パルスが、送信機127によって送信される時間と、反射光パルスが、光検出器122によって検出される時間と、第2の光パルスが、光検出器122によって検出される時間とに基づいて、環境10内の物体12までの距離を決定するように構成され得る。そのようなシナリオでは、第1の光パルス(およびその対応する反射光パルス)は、物体までの距離を示す情報を提供し得、第2の光パルス(およびその対応する反射光パルス)は、フィードバック距離またはゼロ長参照(zero-length reference)を示す情報を提供し得る。
【0064】
図2は、例示的な実施形態による、取り付け構造290に取り付けられたLIDARデバイス200を示す。例示における便宜上、x-y-z軸が、
図2に示されている。
【0065】
取り付け構造290は、外部構造190と同様であり得る。例えば、取り付け構造290は、ハウジング160および/またはその中の1つ以上の構成要素が軸102を中心に回転する間、LIDAR200を物理的に支持するのに適した任意の固体材料から形成され得る。
【0066】
図2に示されるように、LIDAR200は、受容構造291を介して、取り付け構造290に物理的に結合され得る。一例では、受容構造291は、LIDAR200の一部分が挿入されて、LIDAR200を取り付け構造290と物理的に結合することができる凹部を画定するように、ページから外に延在する、取り付け構造290の湾曲した壁を含み得る。例えば、LIDAR200の第1の部分は、受容構造291において取り付け構造290に物理的に接続され得、光学窓162を含むLIDAR200の底部分は、受容構造291の外側に留まり得る。他の例も、取り付け構造290に対して所与の位置にLIDAR200を物理的に取り付けることが可能である。
【0067】
図2に示されるように、較正ターゲット292は、取り付け構造290の表面上に配設される。較正ターゲット292は、例えば、システム100に関連して説明された較正ターゲット191と同様であり得る。例として、較正ターゲット292は、較正ターゲット292の少なくとも一部分(図示せず)が、LIDAR200と重なるように(例えば、LIDAR200の後ろの部分)、取り付け構造290の表面に沿って水平に(例えば、y軸に沿って)延在するように示されている。しかしながら、他の例では、ターゲット292は、代替的に、LIDAR(またはその一部分)が軸102を中心に回転するときに、LIDAR200によって走査されるFOV内にある取り付け構造290の任意の表面に沿った異なる位置に位置付けられ得る。さらに、ターゲット292は、代替的に、
図2に示されるものとは異なるサイズおよび/または形状を有し得る。したがって、較正ターゲット292の様々な形状、サイズ、および位置が可能であること、およびターゲット292は、説明の便宜のためにのみ
図2に示されるように図示されていることを理解されたい。
【0068】
いくつかの実施形態では、LIDAR200は、閉塞検出システムを含み得る。閉塞検出システムは、光学窓162に関連付けられた(例えば、結合された、またはその近くの)閉塞物体222の存在を示す情報を提供するように構成され得る。
【0069】
図2は、光学窓162の外面上に配設された閉塞物体222を示すが、他の閉塞物体が、他のどこかに位置し得ることが理解されよう。一例では、閉塞物体222は、代替的に、光学窓162の近くに結合された外部物体を含み得る。例えば、ビニール袋または他の物体(図示せず)が、取り付け構造またはLIDARもしくは他の外部構造に結合され得、そのような外部物体の少なくとも一部分がLIDARまたはその近くに存在するように、延在し得る。別の例では、閉塞物体222は、代替的に、光学窓162の亀裂、もしくは曇ったまたは不透明な領域など、光学窓162自体に統合された閉塞を含み得る。他の例も可能である。
【0070】
図2に示される例では、LIDAR200は、LIDAR200によって走査されるFOV内に配設された取り付け構造290の少なくとも一部分(例えば、較正ターゲット292が位置する部分など)を走査し得る。例えば、LIDAR200(またはその一部分)が軸102を中心に回転すると、(例えば、光学窓162が、取り付け構造に対向しているときなどに)光学窓162を通して放射される光パルスのうちの1つ以上が、取り付け構造290に向かって伝播し得る。次に、LIDAR200(またはLIDAR200からデータを受信する別のコンピューティングシステム)が、例えば、取り付け構造290の走査される部分の反射率特性を、所定のおよび/またはさもなければ予想される反射率特性と比較することによって、閉塞222の存在を検出し得る。
【0071】
いくつかの例では、取り付け構造290は、「第1の光パルス」および「第2の光パルス」を反射し得る。いくつかの実施形態では、取り付け構造290からLIDAR200に戻る、対応する反射光パルスが、例えば、外部較正ターゲットおよび/または環境内の他の既知の特徴の走査に基づいて決定される所与の基準時間の代わりに、またはそれに加えて、基準時間(例えば、「ゼロ時間」)を決定するための基礎として使用され得る。いくつかのシナリオでは、基準時間を決定するために取り付け構造を使用することは、取り付け構造290に対するLIDAR200の所定の物理的配置に起因して、決定される基準時間の精度を高め得る(例えば、必ずしもLIDAR200に物理的に結合されていない外部較正ターゲットを使用して計算された所与の基準時間と比較して)。
【0072】
III.例示的車両
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、および
図3Eは、例示的な実施形態による車両300を示す。車両300は、半自律型または完全自律型の車両であり得る。
図3A~
図3Eは、車両300を自動車(例えば、乗用バン)であるものとして示しているが、車両300は、センサおよびその環境に関する他の情報を使用してその環境内でナビゲートし得る別のタイプの自律型車両、ロボット、またはドローンを含み得ることが理解されよう。
【0073】
車両300は、1つ以上のセンサシステム302、304、306、308、および310を含むことができる。いくつかの実施形態では、センサシステム302、304、306、308、および310は、所与の平面(例えば、x-y平面)に対してある角度範囲にわたって配置された複数の発光デバイスを有するLIDARセンサを含み得る。
【0074】
センサシステム302、304、306、308、および310のうちの1つ以上は、車両300の周囲の環境を光パルスで照明するように、所与の平面に垂直な軸(例えば、z軸)の周りを回転するように構成され得る。反射光パルスの様々な要因(例えば、経過飛行時間、偏光、強度など)を検出することに基づいて、環境に関する情報が決定され得る。
【0075】
例示的な実施形態では、センサシステム302、304、306、308、および310は、車両300の環境内の物理的対象に関し得るそれぞれの点群情報を提供するように構成され得る。車両300ならびにセンサシステム302、304、306、308、および310は、特定の特徴を含むものとして示されているが、他のタイプのセンサシステムが、本開示の範囲内で企図されることが理解されよう。
【0076】
例示的な実施形態は、複数の発光体デバイスを有するシステムを含むことができる。システムは、ライダーデバイスの伝送ブロックを含むことができる。例えば、システムは、車両(例えば、自動車、トラック、オートバイ、ゴルフカート、航空機、ボートなど)のライダーデバイスに対応し得る(またはそれに含まれ得る)。複数の発光体デバイスの各発光体デバイスは、それぞれのビーム仰角に沿って光パルスを放射するように構成される。それぞれのビーム仰角は、基準角度または基準面に基づくことができる。いくつかの実施形態では、基準面は、車両300の運動軸に基づき得る。
【0077】
単一の発光デバイスを有するライダーシステムが、本明細書で説明および図示されているが、複数の発光デバイス(例えば、単一のレーザダイ上に複数のレーザバーを有する発光デバイス)を有するライダーシステムも企図される。例えば、1つ以上のレーザダイオードによって放射される光パルスは、システムの環境の周りに制御可能に向けられ得る。光パルスの放射の角度は、例えば、機械的走査ミラーおよび/または回転モータなどの走査デバイスによって調整することができる。例えば、走査デバイスは、所与の軸の周りを往復運動で回転する、および/または垂直軸の周りを回転することができる。別の実施形態では、発光デバイスは、各光パルスと相互作用するときのプリズムミラー角度の角度に基づいて光パルスを環境に放射させることができる、回転するプリズムミラーに向けて光パルスを放射することができる。付加的にまたは代替的に、走査光学系および/または他のタイプの電気光学機械デバイスは、環境の周りの光パルスを走査することが可能である。複数の固定ビームを利用する実施形態もまた、本開示の文脈内で企図される。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、単一の発光デバイスは、可変ショットスケジュールに従って、かつ/またはショット当たりの可変電力で光パルスを放射することができる。すなわち、各レーザパルスまたはショットの放射電力および/またはタイミングは、ショットのそれぞれの仰角に基づくことができる。さらにまた、可変ショットスケジュールは、ライダーシステムから、またはライダーシステムを支持する所与の車両の表面(例えば、フロントバンパー)からの所与の距離で所望の垂直間隔を提供することに基づくことができる。一例として、発光デバイスからの光パルスが下向きに向けられるとき、目標までの予想される最大距離がより短いことに起因して、ショット当たりの電力が低下する可能性がある。逆に、基準面の上の仰角で発光デバイスによって放射された光パルスは、より長い距離を移動するパルスを適切に検出するのに十分な信号対雑音を提供するように、ショット当たりの電力が比較的より高い場合がある。
【0079】
いくつかの実施形態では、ショット当たりの電力/エネルギーは、動的にショットごとに制御することができる。他の実施形態では、ショット当たりの電力/エネルギーは、いくつかのパルスの連続セット(例えば、10個の光パルス)について制御することができる。すなわち、光パルス列の特性は、パルス当たり基準および/または数パルス当たり基準に変更することができる。
【0080】
図3A~3Eは、車両300に取り付けられた様々なライダーセンサを示すが、車両300は、複数の光学システム(例えば、カメラ)、レーダ、または超音波センサなどの他のタイプのセンサを組み込み得ることが理解されよう。
【0081】
例示的な一実施形態では、車両300は、デフォルトの視野内の物体を示す情報を提供するように、車両300の環境内に光パルスを放射するように構成されたライダーシステム(例えば、システム100)を含み得る。例えば、車両300は、第1の軸(例えば、第1の軸102)を中心に回転するように構成された回転可能なベース(例えば、回転可能なベース110)を有する光学システム(例えば、システム100)を含み得る。光学システムはまた、ミラーアセンブリ(例えば、ミラーアセンブリ130)を含み得る。ミラーアセンブリは、ミラー回転軸を中心に回転するように構成され得る。いくつかの実施形態では、ミラー回転軸は、第1の軸に対して実質的に垂直である。
【0082】
光学システムはまた、回転可能なベースに結合された光共振器(例えば、光共振器120)を含む。そのようなシナリオでは、光共振器は、少なくとも1つの発光デバイス(例えば、発光デバイス126)と、発光レンズ(例えば、発光レンズ128)とを含む。少なくとも1つの発光デバイスおよび発光レンズは、発光軸(例えば、発光軸18)を画定するように配置される。
【0083】
光学システムは、さらに、複数の光検出器(例えば、光検出器122を含む。例示的な一実施形態では、複数の光検出器は、少なくとも1つの発光デバイスの各発光デバイスのための2つ以上の光検出器のそれぞれのセットを含む。光学システムはまた、光検出器レンズ(例えば、光検出器レンズ124を含む。そのようなシナリオでは、複数の光検出器および光検出器レンズは、受光軸(例えば、受光軸19)を画定するように配置される。いくつかの実施形態では、受光軸または発光軸のうちの少なくとも一方は、第1の軸に対して傾斜角を形成し得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、2つ以上の光検出器の各セットは、一次光検出器(例えば、一次光検出器123)と、二次光検出器(例えば、二次光検出器125)とを含み得る。そのようなシナリオでは、一次光検出器は、所与の発光デバイスから放射された戻り光の第1の部分を受信するように構成される。さらに、二次光検出器は、所与の発光デバイスから放射された戻り光の第2の部分を受信するように構成される。
【0085】
いくつかの実施形態では、戻り光の第1の部分は、戻り光の第2の部分よりも光子束において少なくとも1桁大きい。
【0086】
IV.例示的な方法
図4は、例示的な実施形態による、方法400を示す。方法400は、本明細書に明示的に示されているかまたは別様に開示されているものよりも少ないまたは多くのステップまたはブロックを含んでもよいことが理解されよう。さらに、方法400のそれぞれのステップまたはブロックは、任意の順序で実行され得、各ステップまたはブロックは、1回以上実行され得る。いくつかの実施形態では、方法400のブロックまたはステップの一部または全部は、
図1、
図2、および/または
図3A~
図3Eにそれぞれ関連して図示および説明されたように、システム100、LIDAR200および/または車両300のコントローラ150および/または他の要素によって実施され得る。
【0087】
ブロック402は、回転可能なベースに結合された発光デバイスから、最初にミラーアセンブリと相互作用し、次に放射光として、環境に向かって放射される光パルスを放射することを含む。
【0088】
ブロック404は、最初にミラーアセンブリと相互作用し、次に少なくとも一次光検出器および二次光検出器によって検出される、環境からの戻り光を受信することを含む。
【0089】
ブロック406は、放射時間と、受信時間との間の飛行時間に基づいて、環境内の物体までの距離を決定することを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、方法400は、回転可能なベースを第1の軸を中心に回転させることと、ミラーアセンブリをミラー回転軸を中心に回転させることと、ミラーアセンブリが回転している間、点群を形成するように、放射ステップ、受信ステップ、および決定ステップを繰り返すこととをさらに含み得る。点群は、環境の三次元表現内に複数の範囲または範囲データを含む。
【0091】
図5は、例示的な実施形態による方法500を示している。方法500は、本明細書に明示的に示されているかまたは別様に開示されているものよりも少ないまたは多くのステップまたはブロックを含んでもよいことが理解されよう。さらに、方法500のそれぞれのステップまたはブロックは、任意の順序で実施されてもよく、各ステップまたはブロックは、1回以上実施されてもよい。いくつかの実施形態では、方法500のブロックまたはステップの一部または全部は、
図1、
図2、および
図3A~
図3Eにそれぞれ関連して図示および説明されたように、システム100、LIDAR200、および/または車両300のコントローラ150および/または他の要素によって実施され得る。
【0092】
ブロック502において、方法500は、LIDARデバイスの視野内にある外部構造の少なくとも一部分を走査することを含む。
【0093】
第1の例では、外部構造は、取り付け構造に対応し得、LIDARデバイスは、取り付け構造に取り付けられ得る。例えば、
図2に戻ると、LIDAR200は、取り付け構造290に取り付けられ得、取り付け構造290は、次に任意選択で、LIDAR200を車両300などの別のシステム(図示せず)に取り付け得る。したがって、この例では、LIDARデバイスは、LIDARデバイスが、外部構造に対してオフセット位置に留まるように、外部構造(例えば、取り付け構造290)に物理的に結合され得る。例えば、
図2に示されるように、LIDAR200(またはその一部)が軸102を中心に回転する間、LIDAR200および取り付け構造290は、特定の相対的配置で物理的に接続され得る。
【0094】
第2の例では、外部構造は、外部構造が、LIDAR200に対して所定のオフセット位置に留まるように、LIDARデバイスに(直接的または間接的に)物理的に結合されている任意の他の構造に対応し得る。例えば、
図3Aに戻ると、外部構造は、LIDAR310によって走査されるFOV内にある車両300の構成要素(またはその一部)(例えば、車両のボディパネル、車両のバンパー、車両のフェンダー、車両のバックミラーなど)に対応し得る。したがって、この例では、LIDARデバイスは、LIDARデバイスが、外部構造に対してオフセット位置に留まるように、外部構造(例えば、LIDARデバイスのFOV内に外面を有する車両の任意の構成要素)に物理的に(例えば、間接的に)結合され得る。例えば、
図3Aに戻ると、外部構造は、車両のボディパネルであり、LIDARデバイスは、特定の取り付け位置で車両に取り付けられたLIDAR310であり得る。この場合、ボディパネルおよびLIDAR310は、車両におけるボディパネルの所与の位置に対するLIDAR310の特定の取り付け位置によって画定される特定の相対的配置のままであり得る。さらに、この場合、車両300が環境内を移動する場合、ボディパネル(すなわち、外部構造)およびLIDAR310(すなわち、LIDARデバイス)は、同じ特定の相対的配置のままであり得る。
【0095】
説明の便宜上、「取り付け構造」および「外部構造」という用語は、方法500の様々なブロックの説明において交換可能に使用され得ることに留意されたい。ただし、外部構造が取り付け構造である本明細書のいくつかの例は、本開示の範囲を逸脱することなく、LIDARデバイスに物理的に(直接的または間接的に)結合された任意の他の外部構造を使用して、代替的に実装され得る(逆の場合も同じ)ことが理解されるべきである。
【0096】
ブロック502での走査は、光パルス(例えば、光14)を、光学窓(例えば、光学窓162)を通して外部構造の少なくとも一部分に向かって様々な方向に送信することを含み得る。例えば、一連の放射光パルスは、LIDAR200によって様々な方向に向けられ得、したがって、放射光パルスの1つ以上は、(光学窓162を通して)LIDAR200のFOV内にある外部構造の少なくとも一部分(例えば、
図2に示される取り付け構造290)に向けて送信され得る。
【0097】
ブロック502での走査はまた、上記の考察に従って、外部構造からLIDARデバイスに戻る、送信された光パルスの反射を含む反射光パルス(例えば、光16)を、光学窓を通して受信することを含み得る。
【0098】
ブロック504において、方法500は、少なくともブロック502の走査に基づいて、FOVを走査することからLIDARデバイスを少なくとも部分的に閉塞する閉塞の存在を検出することを含む。
【0099】
例えば、
図2に戻ると、方法500のシステムは、取り付け構造290から戻る1つ以上の反射光パルスが、予想される強度よりも低い強度を有することを示す走査に基づいて、閉塞222が存在することを決定し得る。別の例として、システムは、走査によって示された外部構造の外観、位置、および/または他の特性が予想とは異なることを示す走査に応答して、閉塞が存在することを決定し得る。他の例も可能である。
【0100】
いくつかの例では、方法500は、走査によって示された外部構造の反射率特性を、所定の反射率特性と比較することを含む。これらの実施形態では、ブロック504で閉塞の存在の検出することは、比較に基づき得る。例えば、外部構造の走査された部分は、閉塞が存在するかどうかを決定するために、走査の前に測定され、走査によって示された測定値と比較される所定の特性に関連付けられ得る。
【0101】
一例では、所定の反射率特性は、LIDARデバイスによる外部構造の以前の走査に基づく。例えば、LIDAR200は、そのFOVを繰り返し走査するように構成され得、したがって、ブロック502での走査によって示された反射率特性が、前の走査によって示された所定の反射率特性と異なる場合、LIDAR200または方法500の別のシステムは、閉塞を検出し得る。
【0102】
別の例では、所定の反射率特性は、外部構造の少なくとも一部分に配設された1つ以上の較正ターゲットに関連付けられ得る。例えば、
図2に戻ると、較正ターゲット292の所定の特性(例えば、テクスチャ、パターンなど)が、ブロック502での走査によって示された測定された特性と比較されて、閉塞が存在するかどうかを決定することができる。
【0103】
いくつかの例では、方法500は、LIDARデバイスによるFOVの1回以上の走査に基づいて、閉塞が光学窓上に配設されているかどうかを決定することを含む。例えば、FOVの1回以上の以前の走査は、ブロック502の走査によって示される対応する特性および/または外観と比較して、外部構造および/またはFOVの他の部分の特性および/または外観の変化を示し得る。
【0104】
いくつかの例では、方法500は、回転期間中、軸(例えば、軸102)を中心にLIDARデバイスを回転させることを含み、ブロック502での走査は、回転期間の第1の部分の間に行われ得る。例えば、
図2に戻ると、回転期間の第1の部分は、光学窓162から放射された光パルスが、取り付け構造290(LIDAR200から所定のオフセット位置にある、LIDAR200に物理的に結合された任意の他の外部構造)に向けられる、軸102の周りの角度の範囲内にLIDAR200がある期間に対応し得る。いくつかの例では、方法500は、回転期間の第2の部分の間に少なくとも1つの物体を走査することを含む。
【0105】
いくつかの例では、方法500は、外部構造に向けて送信される光パルスの1つ以上の送信時間と、外部構造からLIDARデバイスに戻る反射光パルスの1つ以上の1つ以上の受信時間との間の1つ以上の時間差に基づいて、基準時間を決定することを含む。例えば、基準時間(例えば、「ゼロ時間」)は、LIDARデバイスの環境内の特徴を使用して基準時間を較正する代わりに、またはそれに加えて、1つ以上の較正ターゲット(例えば、較正ターゲット192、292など)および/または外部構造自体の所定のおよび/または既知の位置に基づいて、較正され得る。
【0106】
これらの例では、方法500はまた、少なくとも1つの物体に向けて送信された光パルスの送信時間と、少なくとも1つの物体からLIDARデバイスに戻る反射光パルスの受信時間と、基準時間とに基づいて、少なくとも1つの物体までの距離を決定することを含み得る。例えば、上記の考察に従って、少なくとも1つの物体に関連付けられた、測定された時間差は、決定された基準時間を使用して較正され得る。
【0107】
いくつかの例では、方法500は、LIDARデバイスの光学的ミスアライメント(または他の欠陥)を検出することを含み得る。例えば、ミラーアセンブリ130、ミラー表面132、光共振器120、受信機121、光学窓162、またはLIDARの他の構成要素のいずれかなど、LIDAR200の1つ以上の構成要素は、その予想される位置および/または配向からオフセットされている可能性がある。光学的ミスアライメントの一例として、ミスアライメントされた回転可能なベース110が、軸102とは異なるオフセット軸を中心に回転する可能性がある。他の例示的な光学的ミスアライメントも、同様に可能である。そのような光学的ミスアライメントが存在する例では、LIDAR200から放射される光パルスの実際の方向は、適切に整列されたLIDAR構成に関連付けられた、予想される方向とは異なり得る。したがって、いくつかの例では、方法500は、外部構造および/またはその上の1つ以上の特徴(例えば、較正構造292など)が検出される(例えば、軸102周りの)角度の測定値に基づいて、LIDARデバイスの光学的ミスアライメント(または他の欠陥)を検出することを含み得る。
【0108】
図に示される配置は、限定するものとしてみなされるべきではない。他の実施形態が、所与の図に示される各要素をより多く、またはより少なく含んでもよいことを理解されたい。さらに、図示される要素のうちのいくつかは、組み合わされ、または省略されてもよい。なおもさらには、例示的な実施形態は、図に示されていない要素を含み得る。
【0109】
情報の処理を表すステップまたはブロックは、本明細書において説明される方法または技術の特定の論理機能を実行するように構成することができる回路に対応することができる。代替的または追加的に、情報の処理を表すステップまたはブロックは、モジュール、セグメント、またはプログラムコード(関連データを含む)の一部に対応することができる。プログラムコードは、特定の論理機能または論理動作を方法または技術において実装するための、プロセッサにより実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコードおよび/または関連データは、ディスク、ハードドライブ、または他の記憶媒体を含む、ストレージデバイスのような任意のタイプのコンピュータ可読媒体に格納することができる。
【0110】
コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)のような、データを短期間にわたって格納するコンピュータ可読媒体のような非一時的なコンピュータ可読媒体を含むこともできる。コンピュータ可読媒体はまた、プログラムコードおよび/またはデータを長期間にわたって記憶する非一時的コンピュータ可読媒体も含むことができる。このように、コンピュータ可読媒体は、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、光ディスクまたは磁気ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)のような二次的なまたは長期永続的な記憶装置を含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、任意の他の揮発性または不揮発性の記憶システムとすることもできる。コンピュータ可読媒体は、例えばコンピュータ可読記憶媒体、または有形のストレージデバイスであると考えることができる。
【0111】
様々な例および実施形態が開示されてきたが、他の例および実施形態が当業者には明らかであろう。様々な開示された例および実施形態は、例示の目的のためであり、限定することを意図するものではなく、その真の範囲は、以下の特許請求の範囲により示される。