(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】泡吐出容器
(51)【国際特許分類】
B05B 11/10 20230101AFI20241101BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20241101BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20241101BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20241101BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241101BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B05B11/10 101B
B05B11/00 101B
B05B1/02 101
B65D47/34 110
A61Q19/10
A61K8/34
(21)【出願番号】P 2022563017
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 IB2021052825
(87)【国際公開番号】W WO2021220081
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-12-06
(31)【優先権主張番号】202010341859.4
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110260691.9
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マー シーチン
(72)【発明者】
【氏名】シア ヤードン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ チャンジャ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュ ベイベイ
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-083781(JP,A)
【文献】特開2017-190141(JP,A)
【文献】国際公開第92/008657(WO,A1)
【文献】特開平07-215353(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0255961(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/10
B05B 11/00
B05B 1/02
B65D 47/34
A61Q 19/10
A61K 8/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容されている前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が、前記液状組成物を吐出する時に前記液状組成物が通過する複数の多孔質体を備え、
前記複数の多孔質体が、前記泡吐出装置の吐出口の近傍に配置された先端側多孔質体を備え、
前記先端側多孔質体がポリエチレンテレフタレートから構成さ
れ、
前記泡吐出装置が、前記吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーを備え、
前記カーブコーナーが、内カーブコーナーと外カーブコーナーとを含み、
前記内カーブコーナーの円弧半径が1~5mmであり、前記外カーブコーナーの円弧半径が5~16mmである、泡吐出容器。
【請求項2】
前記先端側多孔質体のメッシュ数が、100~350メッシュである、請求項1に記載の泡吐出容器。
【請求項3】
前記空気と前記液状組成物を、空気/液状組成物の体積比15/1以上38/1以下で前記吐出口から吐出する、請求項1又は2に記載の泡吐出容器。
【請求項4】
前記カーブコーナーの起点の接線と終点の接線とが垂直になるように交差している、請求項
1~3のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の泡吐出容器の前記泡吐出装置と、
前記液状組成物を収容した前記容器本体と、を備え、
前記液状組成物が、IOBの値が0.55~5.0のアルコールを成分(A)として含有する、泡吐出容器。
【請求項6】
前記成分(A)が、1,2-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びフェノキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である、請求項
5に記載の泡吐出容器。
【請求項7】
前記液状組成物100質量%に対し、前記成分(A)を2~50質量%含有する請求項
5又は
6に記載の泡吐出容器。
【請求項8】
前記液状組成物が、更に、前記液状組成物100質量%に対し発泡性界面活性剤を0.5~20質量%含有する、請求項
5~
7のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項9】
前記液状組成物が皮膚洗浄剤組成物である、請求項
5~
8のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項10】
前記先端側多孔質体のメッシュ数が、これよりも上流側にある内部側多孔質体のメッシュ数以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項11】
液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容されている前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が
、吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーを備え、
前記カーブコーナーが、内カーブコーナーと外カーブコーナーとを
含み、
前記内カーブコーナーの円弧半径が1~5mmであり、前記外カーブコーナーの円弧半径が5~16mmである、泡吐出容器。
【請求項12】
前記カーブコーナーの起点の接線と終点の接線とが垂直となるように交差している、請求項1
1に記載の泡吐出容器。
【請求項13】
前記空気と前記液状組成物を、空気/液状組成物の体積比15/1以上38/1以下で前記吐出口から吐出する、請求項1
1又は1
2に記載の泡吐出容器。
【請求項14】
前記泡吐出装置が、前記液状組成物を吐出する時に前記液状組成物が通過する複数の多孔質体を備え、
前記泡吐出装置の前記吐出口の近傍に先端側多孔質体が設けられている、請求項1
1~1
3のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項15】
前記先端側多孔質体がポリエチレンテレフタレートから構成される、請求項1
4に記載の泡吐出容器。
【請求項16】
前記先端側多孔質体のメッシュ数が、100~350メッシュである、請求項1
4又は1
5に記載の泡吐出容器。
【請求項17】
前記先端側多孔質体のメッシュ数が、これよりも上流側にある内部側多孔質体のメッシュ数以下である、請求項14~16のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項18】
請求項1
1~1
7のいずれか1項に記載の泡吐出容器の前記泡吐出装置と、
前記液状組成物を収容した前記容器本体と、を備え、
前記液状組成物が、IOBの値が0.55~5.0のアルコールを成分(A)として含有する、泡吐出容器。
【請求項19】
前記成分(A)が、フェノキシエタノールである、請求項1
8に記載の泡吐出容器。
【請求項20】
前記液状組成物100質量%に対し、前記成分(A)を2~50質量%含有する請求項1
8又は
19に記載の泡吐出容器。
【請求項21】
前記液状組成物が、更に、前記液状組成物100質量%に対し発泡性界面活性剤を0.5~20質量%含有する、請求項1
8~
20のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【請求項22】
前記液状組成物が皮膚洗浄剤組成物である、請求項1
8~2
1のいずれか1項に記載の泡吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドウォッシュ、洗顔料、ボディウォッシュ等の液状組成物を泡状に吐出する泡吐出容器は広く利用されている。泡吐出容器は、具体的には、収容される組成物が空気等の気体と混合されることにより泡が生成され、このように生成された泡が泡吐出容器の内部流路を通過し、吐出口から吐出されるようになっている。
【0003】
ここで、泡の流路内には、通常、泡が通過する多孔質体が形成されており、泡が多孔質体を通過することで、泡がよりきめ細かくなる。一般的には、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維が多孔質体として利用されている。
【0004】
これに対し、より均一でよりきめ細かい泡を吐出できる泡吐出容器が求められている。例えば、特許文献1には、網目の大きさが異なる二枚の多孔質体を吐出口側に設けることにより、泡状になった液剤を前記多孔質体に通過させてより均一な泡状の液剤を吐出する泡吐出装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の泡吐出装置では、泡を吐出させた後に長時間そのまま放置したり長時間断続的に使用したりすると、吐出口側の多孔質体上に残留された泡が乾燥して固化し、該多孔質体の孔が目詰まりしてしまい、ポンプをスムーズに押下することができなくなって液剤の吐出が困難となり、均一できめ細かい泡を安定に得ることができなくなるという問題があった。
【0006】
また、特許文献1の泡吐出装置では、泡吐出装置を押圧して泡を吐出する時の押圧力が大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に鑑みてなされるものである。本発明の一目的は、均一できめ細かい泡質を維持しつつ、液剤が乾燥して多孔質体に固化することによる目詰まりを防止することができる泡吐出容器を提供することにある。また、本発明の他の一目的は、泡吐出装置を押圧する時の押圧力を低減することができる泡吐出容器を提供することにある。
【0009】
本発明者らは、上記一の目的を実現するために鋭意検討した結果、特定の材料で構成される多孔質体を吐出口の近傍に配置することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
【0010】
更に、本発明者らは、特定の組成を有する液状組成物を上記泡吐出容器に用いることにより、一層優れた効果が得られることを見出した。
【0011】
また、本発明者らは、上記他の一の目的を実現するために鋭意検討した結果、泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定するコーナーを直角ではなくカーブコーナーとすることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
【0012】
より具体的には、本発明の一側面は以下の(1)と(2)に関する。
【0013】
(1)泡吐出容器であって、
液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容された前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が、前記液状組成物を吐出する時に前記液状組成物が通過する複数の多孔質体を備え、
前記複数の多孔質体が、前記泡吐出装置の吐出口の近傍に配置された先端側多孔質体を備え、
前記先端側多孔質体がポリエチレンテレフタレート(PET)から構成される泡吐出容器。
【0014】
(2)泡吐出容器であって、
上記(1)に記載の泡吐出容器の泡吐出装置と、
液状組成物を収容した容器本体と、を備え、
前記液状組成物が、IOBの値が0.55~5.0のアルコールを成分(A)として含有する泡吐出容器。
【0015】
また、本発明の他の一側面は以下の(3)と(4)に関する。
【0016】
(3)泡吐出容器であって、
液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容された前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が、前記泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーを備え、
前記カーブコーナーが、内カーブコーナーと外カーブコーナーとを含む、泡吐出容器。
【0017】
(4)泡吐出容器であって、
上記(3)に記載の泡吐出容器の泡吐出装置と、
液状組成物を収容した容器本体と、を備え、
前記液状組成物が、IOBの値が0.55~5.0のアルコールを成分(A)として含有する泡吐出容器。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る泡吐出容器を示す側面部分断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る泡吐出装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る多孔質体を部分的に示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置を示す断面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置のカーブコーナーの円弧半径の最大値を示す模式図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置のカーブコーナーの円弧半径の最小値を示す模式図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態の変形例に係る泡吐出装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1… 泡吐出容器
10… 容器本体
20… 泡吐出装置
21… 吐出ヘッド
21a… 第1円筒部
21b… 第2円筒部
21c… ノズル部
21d… 吐出口
22… キャップ
22a… 管状部
23… 第1多孔質体
24… 第2多孔質体
25… 第3多孔質体(先端側多孔質体)
26a… 空気室
26b… 空気用ピストン
27a… 液体室
27b… 液用ピストン
28… ステム
29… 混合室
25a,25b… 糸状部
25c… 孔部
30… ポンプ芯流路
31… 連接流路
32… カーブコーナー
32a… 内カーブコーナー
32b… 外カーブコーナー
P1… 内カーブコーナーの起点
P2… 内カーブコーナーの終点
P3… 外カーブコーナーの起点
P4… 外カーブコーナーの終点
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付与し、重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
【0021】
1.泡吐出容器の全体構造
まず、
図1と
図2に基づいて本実施形態の泡吐出容器1の構造について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る泡吐出容器1を示す側面部分断面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る泡吐出装置20を示す断面図である。
なお、本明細書では、理解を容易にするために、後述する容器本体10から泡吐出装置20に向かう方向を上方向と呼ぶ。ここで、泡吐出容器1はユーザーに利用される際に種々の姿勢を取り得るので、容器本体10から泡吐出装置20に向かう方向は必ずしも鉛直上方向を意味するものではない。
【0022】
図1に示すように、泡吐出容器1は、液状組成物を収容する容器本体10と、容器本体10に収容された液状組成物を泡状に吐出する泡吐出装置20と、を備える。具体的には、容器本体10に収容された液状組成物が空気と混合されることにより泡が生成され、このように生成された泡が泡吐出装置20の内部流路21a-1、21c-1を通過し、吐出ヘッド21に形成されている吐出口21dから吐出されるようになっている。
【0023】
容器本体10は、上端に口部を有する中空状の部材であり、当該口部に泡吐出装置20が取り付けられている。上記液状組成物は、容器本体10の内部に収容される。容器本体10は、例えば、樹脂によって形成されている。
【0024】
泡吐出装置20は、容器本体10の内部に収容されている組成物を泡として吐出する。泡吐出装置20は、例えば、樹脂によって形成されている。
【0025】
具体的には、
図1及び
図2に示すように、泡吐出装置20は、吐出ヘッド21と、キャップ22とを含む。キャップ22が容器本体10の口部に螺合されることによって、泡吐出装置20が容器本体10に着脱可能に装着される。また、泡吐出装置20は、容器本体10内に収容されている液状組成物を空気と混合して泡を生成させ、当該泡を吐出ヘッド21へ送るポンプ機構を含む。
【0026】
ポンプ機構としては、公知のポンプ機構を適用することができる。例えば、
図2に示すように、ポンプ機構は、液体室27a内を上下方向に摺動可能な液用ピストン27bと、空気室26a内を上下方向に摺動可能な空気用ピストン26bと、容器本体10の口部より内側に配置され液用ピストン27b及び空気用ピストン26bと連動して上下方向に移動可能なステム28と、ステム28を上方に付勢するスプリング(図示せず)とを有している。
【0027】
吐出ヘッド21の下部には、液用ピストン27bから供給される液状組成物と空気室26aから供給される空気とが混合される混合室29が形成されている。吐出ヘッド21が押し下げられると、ステム28とともに液用ピストン27b及び空気用ピストン26bが押し下げられ、液用ピストン27bによって、容器本体10内に収容される液状組成物が混合室29に供給され、空気室26aから空気が混合室29に供給される。これにより、混合室29において、液状組成物が空気と混合されることによって、泡が生成される。
【0028】
吐出ヘッド21は、キャップ22の径方向の中央側から上方に突設される管状部22aの内側に挿通され、上下方向に延在する第1円筒部21aと、キャップ22の管状部22aの外周部を覆い、上下方向に延在する第2円筒部21bと、第1円筒部21aの上部から当該第1円筒部21aの径方向に延在するノズル部21cとを有する。
【0029】
第1円筒部21aの内部流路21a-1は、ノズル部21cの内部流路21c-1と連通しており、ノズル部21cの先端に吐出口21dが形成されている。また、第1円筒部21aの内部流路21a-1の下部に上述した混合室29が形成されており、第1円筒部21aの内部流路21a-1における混合室29より下流(つまり、上側)には、下方から順に第1多孔質体23及び第2多孔質体24が設けられている。ゆえに、混合室29に形成された泡は、第1多孔質体23及び第2多孔質体24を通過することによりきめ細かくなった後に、第1円筒部21aの内部流路21a-1を通ってノズル部21cの内部流路21c-1に送られる。その後、泡は、吐出口21dの近傍に配置された第3多孔質体25を通過して更にきめ細かくなった後に、吐出口21dから吐出される。第1~第3多孔質体23~25は、複数の貫通孔が形成された膜状又は板状の部材である。ここで、第3多孔質体25は、吐出口21dの近傍に配置された先端側多孔質体であり、第1多孔質体23と第2多孔質体24とは、第3多孔質体25よりも上流側(泡の流動方向の上流側)に配置された内部側多孔質体である。これらの多孔質体の詳細な構成については後述する。なお、
図1では内部流路が折れ曲がった形状となっているが、これに限られず、直線状(例えば上方に伸びる形状)であってもよい。
【0030】
2.多孔質体
次に、
図1~3に基づいて本実施形態の多孔質体について詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る第3多孔質体25を部分的に示す図である。
上述したように、第3多孔質体25は、吐出口21dの近傍に配置された先端側多孔質体である。具体的に、「第3多孔質体25が吐出口21dの近傍に配置される」とは、第3多孔質体25の吐出口21d側の表面から吐出口21dの開口面までの距離が特定の範囲内にあることを指し、前記距離は、例えば20mm以下である。
【0031】
第3多孔質体25は、
図3に示すように、メッシュ形状を有している。詳細には、第3多孔質体25は、互いに間隔を空けて第1の方向に延びる複数の糸状部25aと、互いに間隔を空けて第1の方向と直交する第2の方向に延びる複数の糸状部25bとを有しており、複数の糸状部25a及び複数の糸状部25bによって略矩形状の複数の孔部25cが画成されている。孔部25cの形状は必ずしも矩形状に限られず、円形、楕円形、三角形、多角形等さまざまな形状であってもよい。
【0032】
本実施形態において、第3多孔質体25には、複数の糸状部25a及び複数の糸状部25bがそれぞれ等間隔に配置されており、隣り合う糸状部25a間の間隔と隣り合う糸状部25b間の間隔とは略一致している。ゆえに、各孔部25cは同一寸法の略正方形状を有している。また、隣り合う糸状部25a間の間隔と隣り合う糸状部25b間の間隔とは異なってもよく、これにより、各孔部25cは同一寸法の略長方形状を有している。
【0033】
ここで、第3多孔質体25、より具体的に言うと第3多孔質体25を構成する糸状部25a及び糸状部25bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成(形成)されることが好ましい。PETから構成される第3多孔質体25が吐出口21dの近傍に配置されることにより、良好な泡質を維持しつつ、液状組成物が当該多孔質体上に乾燥して固化することにより該多孔質体が詰まるのを防止することができる。なぜならば、PETから構成される多孔質体の表面は、水との接触角が大きく、疎水性が強いため、液状組成物が当該多孔質体に付着し難く、液状組成物が当該多孔質体上に乾燥して固化することによる当該多孔質体の目詰まりが抑制されるからであると考えられる。
【0034】
このようなPETから構成される多孔質体としては、従来の方法で製造された多孔質体を使用することができ、具体的には、可撓レピア織機を使用してPETの単糸から平織り又は綾織りで織ってなる多孔質体を使用できる。
【0035】
また、第3多孔質体25は、1枚又は複数枚のPETからなる多孔質体で構成されてもよい。第3多孔質体の目詰まりを抑制する観点から、第3多孔質体は、好ましくは1枚のPETからなる多孔質体で構成される。
【0036】
第3多孔質体25の目詰まりを抑制する観点から、第3多孔質体25のメッシュ数は、好ましくは100メッシュ以上である。また、きめ細かく豊富な泡を得る観点から、第3多孔質体25のメッシュ数は、好ましくは350メッシュ以下、より好ましくは300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以下である。
【0037】
また、第3多孔質体25の厚さは特に制限されず、強度と目詰まりの抑制を兼ねる観点から、50~120μm程度であってもよい。
【0038】
第1多孔質体23と第2多孔質体24とは、第3多孔質体25と同様な構造を有する。即ち、第1多孔質体23と第2多孔質体24はメッシュ形状を有している。第1多孔質体23と第2多孔質体24は、互いに間隔を空けて第1の方向に延びる複数の糸状部と、互いに間隔を空けて第1の方向と直交する第2の方向に延びる複数の糸状部とを有しており、これらの糸状部によって略矩形状の複数の孔部が画成されている。これらの孔部の形状は必ずしも矩形状に限られず、円形、楕円形、三角形、多角形等さまざまな形状であってもよい。
【0039】
第1多孔質体23と第2多孔質体24を構成する材質は特に制限されず、第3多孔質体25と同様な材質であってもよく、第3多孔質体25の材質と異なって、従来の泡吐出容器によく使用される材質と同様な材質であってもよい。例えば、第1多孔質体23と第2多孔質体24は、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等で構成されていてもよい。なお、製造の簡便性の観点から、第1多孔質体23と第2多孔質体24を構成する材質は、第3多孔質体25と同様な材質であることが好ましい。
【0040】
きめ細やかで豊富な泡を得る観点から、第1多孔質体23のメッシュ数は、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは200メッシュ以上300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以上250メッシュ以下である。第2多孔質体24のメッシュ数は、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは250メッシュ以上350メッシュ以下、更に好ましくは300メッシュ以上350メッシュ以下である。
【0041】
第1~第3多孔質体23~25において、第3多孔質体25のメッシュ数は、第3多孔質体25よりも上流側に配置された第1多孔質体23と第2多孔質体24のメッシュ数よりも小さいことが好ましい。この場合、液状組成物の泡は吐出口から吐出される前に、再度第3多孔質体25を通過し、よりきめ細やかで均一な泡が形成される。また、第3多孔質体25のメッシュ数を、第3多孔質体25よりも上流側に配置された第1多孔質体23と第2多孔質体24のメッシュ数よりも小さくすることにより、液状組成物が当該多孔質体上に乾燥して固化することによる当該多孔質体の目詰まりを抑制するのに寄与することができる。また、各多孔質体のメッシュ数はこの例に限られず、第3多孔質体25のメッシュ数が第1多孔質体23及び第2多孔質体24のメッシュ数と同程度であってもよく、各多孔質体の目メッシュ数はランダムであってもよい。
【0042】
3.液状組成物
本発明の泡吐出容器には、下記の液状組成物が好ましく使用される。ここでは、上記実施形態の泡吐出容器に好ましく使用される液状組成物の成分を説明する。
【0043】
良好な発泡性を確保する観点から、本発明の液状組成物は、公知の発泡性界面活性剤を含有することが好ましい。前記発泡性界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれるいずれか1種又は2種以上であってもよい。
【0044】
アニオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。これらのうち、良好な発泡性を確保する観点から、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩が好ましい。飽和又は不飽和脂肪酸塩としては、例えば、炭素数9~21の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル又はアルケニル脂肪酸塩が挙げられる。より具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の塩が挙げられる。また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウムや、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン,アミノメチルプロパノール等のアルカノールアミンから得られるアンモニウム、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸から得られるカチオン等が挙げられる。アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩としては、例えば炭素数10~18の脂肪アルコールポリエーテルカルボン酸塩が挙げられ、より具体的には、ラウレスカルボン酸、ミレスカルボン酸、パレスカルボン酸等の塩が挙げられる。また、これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アンモニウムや、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン,アミノメチルプロパノール等のアルカノールアミンから得られるアンモニウム、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸から得られるカチオン等が挙げられる。
【0045】
両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系の界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、良好な発泡性を確保する観点から、ヒドロキシスルホベタイン系、スルホベタイン系が好ましい。ヒドロキシスルホベタイン系としては、例えばココナッツオイル脂肪酸ヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0046】
非イオン界面活性剤としては、例えばポリエーテル系、グリコシド誘導体、エトキシル化油系と油脂系、アルキルアルコールアミド系等が挙げられる。これらのうち、良好な発泡性を確保する観点から、グリコシド誘導体が好ましい。グリコシド誘導体としては、例えばアルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0047】
上記発泡性界面活性剤の含有量は、良好な発泡性、及び第3多孔質体25の目詰まりの抑制の観点から、上記液状組成物100質量%に対し、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは12質量%以下である。
【0048】
更に、第3多孔質体25上に残留する液体組成物を溶解して目詰まりを防ぐとともに、泡質を損ねない観点から、本発明に使用する液状組成物は、成分(A)としてIOBの値が0.55~5.0のアルコールを含有することが好ましい。
【0049】
成分(A)のアルコールとしては、グリセリン(IOB:5)、プロピレングリコール(IOB:3.3)、メチルグルセス-20(IOB:2.1)、1,2-ヘキサンジオール(IOB:1.7)、エトキシジグリコール(IOB:1.6)、PPG-9ジグリセリルエーテル(IOB:0.9)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(IOB:0.9)、フェノキシエタノール(IOB:0.8)、ポリプロピレングリコール-9(IOB:0.7)、エチルヘキシルグリセリルエーテル(IOB:0.55)、エタノール(IOB:2.5)等が挙げられる。
【0050】
第3多孔質体25に残留する液体組成物を溶解して目詰まりを防ぐ観点から、前記成分(A)は、IOB値が5.0以下のアルコールであることが好ましい。
【0051】
ここで、IOB値とは、有機概念図(藤田穆、有機化合物の予測と有機概念図、化学の領域 Vol.11,No.10(1957)719-725)に基づいて求められる無機性値及び有機性値の比(Inorganic Organic Balance)を表わすもので、次式により求められる。
IOB値=無機性値/有機性値
【0052】
良好な泡質と第3多孔質体25の目詰まりの抑制を兼ねる観点から、1,2-ヘキサンジオール(IOB:1.7)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(IOB:0.9)、フェノキシエタノール(IOB:0.8)が好ましい。
【0053】
上記アルコールは、単独で使用されても、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
【0054】
液状組成物における成分(A)の含有量は、良好な泡質と液状組成物が第3多孔質体25上に乾燥して固化することによる孔の目詰まりを防止する観点から、液状組成物100質量%に対し、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは48質量%以下であり、更に好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。
【0055】
前記液状組成物には、本発明の効果を損ねない範囲で他の成分を含んでいてもよい。前記他の成分は組成物の用途、目的等に応じて選択すればよい。前記他の成分としては、例えば、保湿剤、キレート剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、着色剤、粘度調整剤、pH調整剤、香料等が挙げられる。これらのうちいずれか1種又は2種以上を液状組成物に任意に添加してもよい。
【0056】
また、前記液状組成物の用途は特に制限されず、例えばハンドウォッシュ、ボディウォッシュ、洗顔剤等の皮膚洗浄剤組成物、乳液や美容液等の肌用化粧料、ひげそり用化粧料、整髪剤、シャンプー、ヘアケア剤等の毛髪用化粧料、食器用洗剤等が挙げられ、中でも、皮膚洗浄剤組成物であることが好ましい。
【0057】
4.泡吐出容器の使用
次に、泡吐出容器1の使用について説明する。使用者が泡吐出容器1の吐出ヘッド21を押し下げると、ポンプ機構により混合室29に液状組成物及び空気が供給される。混合室29において、液状組成物が空気と混合されることによって、泡が生成される。生成された泡は、内部流路21a-1、21c-1を通って吐出口21dから外部に排出される。ここで、混合室29で生成された泡は、内部流路21a-1を通る際に、第1多孔質体23及び第2多孔質体24を順次通過することで、きめ細やかな泡になる。その後、液状組成物の泡は、第3多孔質体25を通過することで均一で更にきめ細やかな泡になり、外部に排出される。
【0058】
また、良好な泡質を得る観点から、好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が15/1以上で吐出口21dから泡を吐出する。当該比は、好ましくは16/1以上、より好ましくは17/1以上、更に好ましくは20/1以上である。また、泡吐出容器1の小型化の観点から、好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が38/1以下で吐出口21dから泡を吐出する。当該比は、好ましくは30/1以下、より好ましくは29/1以下、更に好ましくは26/1以下である。
【0059】
また、本実施形態の泡吐出容器1は3つの多孔質体を有するが、多孔質体の数は3つに限られない。多孔質体の数は2つ以上であればよい。また、多孔質体の配置も
図1に示す例に限られない。すなわち、複数の多孔質体のうち、少なくとも1つが先端側多孔質体であればよい。例えば、上述した第1~第3多孔質体23~25のうち、第1多孔質体23及び第2多孔質体24のいずれかを省略してもよいし、第1多孔質体23及び第2多孔質体24以外の他の内部側多孔質体を内部流路21a-1内に配置してもよい。また、第3多孔質体25以外の他の先端側多孔質体を吐出口21dの近傍に配置してもよい。
(第2の実施形態)
【0060】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置を示す断面図である。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置のカーブコーナーの円弧半径の最大値を示す模式図である。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る泡吐出装置のカーブコーナーの円弧半径の最小値を示す模式図である。
【0061】
本実施形態に係る泡吐出装置20Aは、先端側多孔質体を備えておらず、弧状のカーブコーナーを備える点で第1の実施形態に係る泡吐出装置20と異なっている。本実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同様なものであるため、ここでその説明を省略する。
【0062】
図4に示すように、泡吐出装置20Aは、吐出口21dの近傍に第3多孔質体(先端側多孔質体)が設けられていない。また、泡吐出装置20Aが、泡吐出装置20Aの吐出口21dに連通すると共にポンプ芯流路30に連通する連接流路31を画定する弧状のカーブコーナー32を備え、カーブコーナー32が、内カーブコーナー32aと外カーブコーナー32bとを含む。
【0063】
また、
図5に示すように、カーブコーナー32aの起点P1の接線と終点P2の接線とが垂直となるように交差しており、外カーブコーナー32bの起点P3の接線と終点P4の接線とが垂直となるように交差している。
【0064】
また、
図5に示す場合には、内カーブコーナー32aの円弧半径R1が、最大値であって5mmであり、外カーブコーナー32bの円弧半径R2が、最大値であって16mmである。
図6に示す場合には、内カーブコーナー32aの円弧半径R1が、最小値であって1mmであり、外カーブコーナー32bの円弧半径R2が、最小値であって5mmである。即ち、内カーブコーナー32aの円弧半径R1が1~5mmであり、外カーブコーナー32bの円弧半径R2が5~16mmである。このように、内カーブコーナー32aの円弧半径R1を1~5mmとし、外カーブコーナー32bの円弧半径R2を5~16mmとすることにより、泡吐出装置を押圧する時の押圧力を効果的に低減することができる。
なお、当該円弧半径は、連接流路31の中心を通る断面図から求めたものである。当該断面図は、泡吐出装置20Aにおいて、吐出口21dの吐出方向を前方向とし、その反対方向を後方向にした場合における前後方向に、連接流路31の中心を通る断面図である。
【0065】
また、本実施形態で使用される液状組成物及び空気と液状組成物の体積比(空気/組成物)、並びに本実施形態の泡吐出容器の使用などは、上記の第1の実施形態と同様なものであるため、ここでその説明を省略する。
(第2の実施形態の変形例)
【0066】
図7は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る泡吐出装置を示す断面図である。本変形例に係る泡吐出装置20Bは、上記の第1の実施形態のような第3多孔質体(先端側多孔質体)25をさらに備える点で第2の実施形態に係る泡吐出装置20Aと異なっている。本変形例の他の構成は、第2の実施形態と同様なものであるため、ここでその説明を省略する。
【0067】
図7に示すように、第3多孔質体25は、吐出口21dの近傍に配置された先端側多孔質体である。具体的に、「第3多孔質体25が吐出口21dの近傍に配置される」とは、第3多孔質体25の吐出口21d側の表面から吐出口21dの開口面までの距離が特定の範囲内にあることを指し、前記距離は、例えば20mm以下である。
【0068】
第3多孔質体25は、上記第1の実施形態と同様に、メッシュ形状を有している。詳細には、第3多孔質体25は、互いに間隔を空けて第1の方向に延びる複数の糸状部25aと、互いに間隔を空けて第1の方向と直交する第2の方向に延びる複数の糸状部25bとを有しており、複数の糸状部25a及び複数の糸状部25bによって略矩形状の複数の孔部25cが画成されている。孔部25cの形状は必ずしも矩形状に限られず、円形、楕円形、三角形、多角形等さまざまな形状であってもよい。
【0069】
本変形例において、第3多孔質体25には、複数の糸状部25a及び複数の糸状部25bがそれぞれ等間隔に配置されており、隣り合う糸状部25a間の間隔と隣り合う糸状部25b間の間隔とは略一致している。ゆえに、各孔部25cは同一寸法の略正方形状を有している。また、隣り合う糸状部25a間の間隔と隣り合う糸状部25b間の間隔とは異なってもよく、これにより、各孔部25cは同一寸法の略長方形状を有している。
【0070】
ここで、第3多孔質体25、より具体的に言うと第3多孔質体25を構成する糸状部25a及び糸状部25bは、ポリエチレンテレフタレート(PET)から構成(形成)されることが好ましい。PETから構成される第3多孔質体25が吐出口21dの近傍に配置されることにより、良好な泡質を維持しつつ、液状組成物が当該多孔質体上に乾燥して固化することにより該多孔質体が詰まるのを防止することができる。なぜならば、PETから構成される多孔質体の表面は、水との接触角が大きく、疎水性が強いため、液状組成物が当該多孔質体に付着し難く、液状組成物が当該多孔質体上に乾燥して固化することによる当該多孔質体の目詰まりが抑制されるからであると考えられる。
【0071】
このようなPETから構成される多孔質体としては、従来の方法で製造された多孔質体を使用することができ、具体的には、可撓レピア織機を使用してPETの単糸から平織り又は綾織りで織ってなる多孔質体を使用できる。
【0072】
また、第3多孔質体25は、1枚又は複数枚のPETからなる多孔質体で構成されてもよい。第3多孔質体の目詰まりを抑制する観点から、第3多孔質体は、好ましくは1枚のPETからなる多孔質体で構成される。
【0073】
第3多孔質体25の目詰まりを抑制する観点から、第3多孔質体25のメッシュ数は、好ましくは100メッシュ以上である。また、きめ細かく豊富な泡を得る観点から、第3多孔質体25のメッシュ数は、好ましくは350メッシュ以下、より好ましくは300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以下である。
【0074】
また、第3多孔質体25の厚さは特に制限されず、強度と目詰まりの抑制を兼ねる観点から、50~120μm程度であってもよい。
【0075】
また、本変形例で使用される液状組成物及び空気と液状組成物の体積比(空気/組成物)、並びに本実施形態の泡吐出容器の使用などは、上記の第1の実施形態と同様なものであるため、ここでその説明を省略する。
【0076】
上記実施形態に関し、本発明は以下の泡吐出容器を開示する。
【0077】
<1>液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容された前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が、前記液状組成物を吐出する時に前記液状組成物が通過する複数の多孔質体を備え、
前記複数の多孔質体が、前記泡吐出装置の吐出口の近傍に配置された先端側多孔質体を備え、
前記先端側多孔質体がポリエチレンテレフタレート(PET)から構成される、泡吐出容器。
<2>前記先端側多孔質体がメッシュ形状を有する、上記<1>に記載の泡吐出容器。
<3>前記先端側多孔質体は、可撓レピア織機を使用してPETの単糸から平織り又は綾織りで織ってなるものである、上記<1>又は<2>に記載の泡吐出容器。
<4>前記先端側多孔質体が、1枚又は複数枚のPETからなる多孔質体で構成され、好ましくは1枚のPETからなる多孔質体で構成される、上記<1>~<3>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<5>前記先端側多孔質体のメッシュ数が、好ましくは100メッシュ以上であり、また、好ましくは350メッシュ以下、より好ましくは300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以下である、上記<1>~<4>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<6>前記先端側多孔質体の厚さが50~120μmである、上記<1>~<5>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<7>前記複数の多孔質体が、前記先端側多孔質体よりも上流側に配置された内部側多孔質体を有する、上記<1>~<6>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<8>前記内部側多孔質体の材質が、前記先端側多孔質体の材質と同一、又は不同であり、前記先端側多孔質体と同様な材質で構成されることが好ましい、上記<7>に記載の泡吐出容器。
<9>前記内部側多孔質体の数が、1又は2以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは2である、上記<7>又は<8>に記載の泡吐出容器。
<10>前記内部側多孔質体が第1内部側多孔質体と第2内部側多孔質体とから構成される場合、前記第1内部側多孔質体のメッシュ数が、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは200メッシュ以上300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以上250メッシュ以下であり、前記第2多孔質体のメッシュ数が、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは250メッシュ以上350メッシュ以下、更に好ましくは300メッシュ以上350メッシュ以下である、上記<7>~<9>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<11>好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が15/1以上、好ましくは16/1以上、より好ましくは17/1以上、更に好ましくは20/1以上である比で吐出口21dから泡を吐出し、また、好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が38/1以下、好ましくは30/1以下、より好ましくは29/1以下、更に好ましくは26/1以下である比で吐出口21dから泡を吐出する、上記<1>~<10>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<12>好ましくは、前記泡吐出装置が、前記吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーを備え、前記カーブコーナーが、内カーブコーナーと外カーブコーナーとを含む、上記<1>~<11>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<13>好ましくは、前記カーブコーナーの起点の接線と終点の接線とが垂直になるように交差している、上記<12>に記載の泡吐出容器。
<14>好ましくは、前記内カーブコーナーの円弧半径が1~5mmであり、前記外カーブコーナーの円弧半径が5~16mmである、上記<12>又は<13>に記載の泡吐出容器。
<15>上記<1>~<14>のいずれかに記載の泡吐出容器の泡吐出装置と、
液状組成物を収容した容器本体と、を備え、
前記液状組成物が成分(A)としてIOBの値が0.55~5.0のアルコールを含有する、泡吐出容器。
<16>前記成分(A)が、グリセリン、プロピレングリコール、メチルグルセス-20、1,2-ヘキサンジオール、エトキシジグリコール、PPG-9ジグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、フェノキシエタノール、ポリプロピレングリコール-9、エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びエタノールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは、IOBの値が5.0以下のアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは、1,2-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びフェノキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である、上記<15>に記載の泡吐出容器。
<17>前記液状組成物における前記成分(A)の含有量が、液状組成物100質量%に対し、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは48質量%以下であり、更に好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である、上記<15>又は<16>に記載の泡吐出容器。
<18>前記液状組成物が、好ましくは、発泡性界面活性剤を含有し、より好ましくは、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する、上記<15>~<17>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<19>前記アニオン界面活性剤が、好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル塩であり、より好ましくは、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩であり、更に好ましくは、炭素数9~21の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル脂肪酸塩、炭素数10~18の脂肪アルコールポリエーテルカルボン酸塩であり、更に好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸の塩、ラウレスカルボン酸、ミレスカルボン酸、パレスカルボン酸の塩である、上記<18>に記載の泡吐出容器。
<20>前記両性界面活性剤が、好ましくは、イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系の界面活性剤であり、より好ましくは、ヒドロキシスルホベタイン系、スルホベタイン系であり、更に好ましくは、ココナッツオイル脂肪酸ヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタインである、上記<18>に記載の泡吐出容器。
<21>前記非イオン界面活性剤が、好ましくは、ポリエーテル系、グリコシド誘導体、エトキシル化油系と油脂系、アルキルアルコールアミド系であり、より好ましくは、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステルである、上記<18>に記載の泡吐出容器。
<22>前記発泡性界面活性剤の含有量が、液状組成物100質量%中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは12質量%以下である、上記<18>~<21>のいずれかに記載の泡吐出容器。
<23>前記液状組成物が、好ましくは皮膚洗浄剤組成物、肌用化粧料、毛髪用化粧料又は食器用洗剤であり、より好ましくは、皮膚洗浄剤組成物である、上記<15>~<22>のいずれかに記載の泡吐出容器。
【0078】
上記に加えて、上記実施形態に関し、本発明は以下の泡吐出容器をさらに開示する。
[1]液状組成物を収容するための容器本体と、前記容器本体に収容されている前記液状組成物を空気と混合して泡状に吐出する泡吐出装置と、を備え、
前記泡吐出装置が、前記泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーを備え、
前記カーブコーナーが、内カーブコーナーと外カーブコーナーとを含む、泡吐出容器。
[2]前記カーブコーナーの起点の接線と終点の接線とが垂直になるように交差している、上記[1]に記載の泡吐出容器。
[3]前記内カーブコーナーの円弧半径が1~5mmであり、前記外カーブコーナーの円弧半径が5~16mmである、上記[1]又は[2]に記載の泡吐出容器。
[4]前記泡吐出装置の前記吐出口の近傍に先端側多孔質体が設けられている、上記[1]~[3]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[5]前記先端側多孔質体がメッシュ形状を有する、上記[4]に記載の泡吐出容器。
[6]前記先端側多孔質体は、可撓レピア織機を使用してPETの単糸から平織り又は綾織りで織ってなるものである、上記[4]又は[5]に記載の泡吐出容器。
[7]前記先端側多孔質体が、1枚又は複数枚のPETからなる多孔質体で構成され、好ましくは1枚のPETからなる多孔質体で構成される、上記[4]~[6]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[8]前記先端側多孔質体のメッシュ数が、好ましくは100メッシュ以上であり、また、好ましくは350メッシュ以下、より好ましくは300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以下である、上記[4]~[7]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[9]前記先端側多孔質体の厚さが50~120μmである、上記[4]~[8]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[10]前記複数の多孔質体が、前記先端側多孔質体よりも上流側に配置された内部側多孔質体を有する、上記[4]~[9]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[11]前記内部側多孔質体の材質が、前記先端側多孔質体の材質と同一、又は不同であり、前記先端側多孔質体と同様な材質で構成されることが好ましい、上記[10]に記載の泡吐出容器。
[12]前記内部側多孔質体の数が、1又は2以上であり、好ましくは2以上、より好ましくは2である、上記[10]又は[11]に記載の泡吐出容器。
[13]前記内部側多孔質体が第1内部側多孔質体と第2内部側多孔質体とから構成される場合、前記第1内部側多孔質体のメッシュ数が、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは200メッシュ以上300メッシュ以下、更に好ましくは200メッシュ以上250メッシュ以下であり、前記第2多孔質体のメッシュ数が、好ましくは200メッシュ以上350メッシュ以下、より好ましくは250メッシュ以上350メッシュ以下、更に好ましくは300メッシュ以上350メッシュ以下である、上記[10]~[12]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[14]好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が15/1以上、好ましくは16/1以上、より好ましくは17/1以上、更に好ましくは20/1以上である比で吐出口21dから泡を吐出し、また、好ましくは、空気と液状組成物との体積比(空気/液状組成物)が38/1以下、好ましくは30/1以下、より好ましくは29/1以下、更に好ましくは26/1以下である比で吐出口21dから泡を吐出する、上記[1]~[13]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[15]上記[1]~[14]のいずれかに記載の泡吐出装置と、
液状組成物を収容した容器本体と、を備え、
前記液状組成物が成分(A)としてIOBの値が0.55~5.0のアルコールを含有する、泡吐出容器。
[16]前記成分(A)が、グリセリン、プロピレングリコール、メチルグルセス-20、1,2-ヘキサンジオール、エトキシジグリコール、PPG-9ジグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、フェノキシエタノール、ポリプロピレングリコール-9、エチルヘキシルグリセリルエーテル、及びエタノールから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくは、IOBの値が5.0以下のアルコールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくは、1,2-ヘキサンジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びフェノキシエタノールから選ばれる1種又は2種以上である、上記[15]に記載の泡吐出容器。
[17]前記液状組成物における前記成分(A)の含有量が、液状組成物100質量%に対し、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは48質量%以下であり、更に好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である、上記[15]又は[16]に記載の泡吐出容器。
[18]前記液状組成物が、好ましくは、発泡性界面活性剤を含有し、より好ましくは、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上を含有する、上記[15]~[17]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[19]前記アニオン界面活性剤が、好ましくは、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル塩であり、より好ましくは、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩であり、更に好ましくは、炭素数9~21の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル脂肪酸塩、炭素数10~18の脂肪アルコールポリエーテルカルボン酸塩であり、更に好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸の塩、ラウレスカルボン酸、ミレスカルボン酸、パレスカルボン酸の塩である、上記[18]に記載の泡吐出容器。
[20]前記両性界面活性剤が、好ましくは、イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系の界面活性剤であり、より好ましくは、ヒドロキシスルホベタイン系、スルホベタイン系であり、更に好ましくは、ココナッツオイル脂肪酸ヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ミリスチルヒドロキシスルホベタインである、上記[18]に記載の泡吐出容器。
[21]前記非イオン界面活性剤が、好ましくは、ポリエーテル系、グリコシド誘導体、エトキシル化油系と油脂系、アルキルアルコールアミド系であり、より好ましくは、アルキルグルコシド、ショ糖脂肪酸エステルである、上記[18]に記載の泡吐出容器。
[22]前記発泡性界面活性剤の含有量が、液状組成物100質量%中に、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは12質量%以下である、上記[18]~[21]のいずれかに記載の泡吐出容器。
[23]前記液状組成物が、好ましくは皮膚洗浄剤組成物、肌用化粧料、毛髪用化粧料又は食器用洗剤であり、より好ましくは、皮膚洗浄剤組成物である、上記[15]~[22]のいずれかに記載の泡吐出容器。
【実施例】
【0079】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。前記実施例は、本発明の例示に過ぎず、いかなる制限の意図もない。
(実施例1~17)
【0080】
まず、
図1、2に示す泡吐出容器1を準備した。表2~4の通り、泡吐出容器1中の各多孔質体をそれぞれ変えた。なお、表2~4における「PET(200#)」とは、メッシュ数が200メッシュである、PETから構成される多孔質体(中国石化儀征化繊株式会社製 PETの商品名:FC510)を指すものであり、「PET(300#)」とは、メッシュ数が300メッシュである、PETから構成される多孔質体(中国石化儀征化繊株式会社製 PETの商品名:FC510)を指すものであり、「PET(100#)」とは、メッシュ数が100メッシュである、PETから構成される多孔質体(中国石化儀征化繊株式会社製 PETの商品名:FC510)を指すものであり、「PET(350#)」とは、メッシュ数が350メッシュである、PETから構成される多孔質体(中国石化儀征化繊株式会社製 PETの商品名:FC510)を指すものであり、「ナイロン(200#)」とは、メッシュ数が200メッシュである、ナイロンから構成される多孔質体(日本三菱エンジニアリング株式会社製 ナイロンの商品名:1010F5)を指すものであり、「ナイロン(300#)」とは、メッシュ数が300メッシュである、ナイロンから構成される多孔質体(日本三菱エンジニアリング株式会社製 ナイロンの商品名:1010F5)を指すものである。更に、表2~4における「内部」は、内部側多孔質体を表し、括弧内は多孔質体の目開きである。
【0081】
ついで、表1に示す成分及び配合比で各液状組成物を調製した。その後、調製した各液状組成物を泡吐出容器1に充填することで、実施例1~17及び比較例1に係る泡吐出容器をそれぞれ作製した。なお、表中の各成分の数値は、液状組成物の総質量に対する質量%であり、有効成分に換算した値である。
【0082】
各実施例及び比較例で得られた泡吐出容器を使用して以下の各性能を評価した。
【0083】
<泡質の評価>
実施例1~17及び比較例1に係る泡吐出容器を3回押し下げ、液状組成物の泡を泡吐出容器の吐出口から吐出させ、泡の状況を目視で観察した。その後、以下の評価基準に基づいて泡質を評価し、得られた結果を以下の表2~4に示した。
6:泡が非常にきめ細やかで豊富である。
5:泡がきめ細やかで豊富である。
4:泡がやや粗い。
3:泡がやや粗く、少量のやや大きな気泡がある。
2:泡がやや粗く、多くのやや大きな気泡がある。
1:泡が粗く、多くの大きな気泡がある。
【0084】
<目詰まりの評価>
温度40℃に設定した恒温槽内に各泡吐出容器を静置し、一日ごとに1プッシュ吐出する作業を繰り返し、90回目のプッシュ吐出時に目詰まりの有無を以下の基準で評価して、短期間の目詰まりの評価結果とした。結果を以下の表2~4に示した。
温度40℃に設定した恒温槽内に各泡吐出容器を静置し、1週ごとに1プッシュ吐出する作業を繰り返し、12回目のプッシュ吐出時に目詰まりの有無を以下の基準で評価して、長期間の目詰まりの評価結果とした。結果を下記の表2~4に示した。
5:ポンプのプッシュがスムーズで、押し圧の変化が感じられない(全く目詰まりしない)。
4:ポンプのプッシュがスムーズで、押し圧がやや重くなったと感じられる(軽微な目詰まり)。
3:ポンプのプッシュがややスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったと感じられる(軽い目詰まり)。
2:ポンプのプッシュがスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったとやや強く感じられる(やや明らかな目詰まり)。
1:ポンプのプッシュがスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったと強く感じられる(明らかな目詰まり)。
【0085】
【表1】
*1:商品名:PROPYLENE GLYCOL USP/EP、製造元:The Dow Chemical Company、有效成分含有量:100質量%
*2:商品名:1,2-ヘキサンジオール(試薬)、製造元:Sigma-Aldrich Corporation、有效成分含有量:100質量%
*3:商品名:SY-DP9、製造元:Sakamoto Yakuhin Kogyo Co., Ltd.、有效成分含有量:100質量%
*4:商品名:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(試薬)、製造元:国薬グループ化学試薬有限公司、有效成分含有量:100質量%
*5:商品名:NEOLONE PH 100、製造元:The Dow Chemical Company、有效成分含有量:100質量%
*6:商品名:POLYGLYCOL P-425、製造元:The Dow Chemical Company、有效成分含有量:100質量%
*7:商品名:GLYCERIN A(COSMETIC GRADE)、製造元:花王株式会社、有效成分含有量:100質量%
*8:商品名:PENETOL GE-EH、製造元:花王株式会社、有效成分含有量:90質量%
*9:商品名:Akypo RLM-45CA、製造元:花王株式会社、有效成分含有量:100質量%
*10:商品名:PALMAC 98-12、製造元:IOI Acidchem Sdn. Bhd.、有效成分含有量:100質量%
*11:商品名:PALMAC 98-14、製造元:IOI Acidchem Sdn. Bhd.、有效成分含有量:100質量%
*12:商品名:PALMAC 98-16、製造元:IOI Acidchem Sdn. Bhd.、有效成分含有量:100質量%
*13:商品名:Amphitol 20HD、製造元:花王株式会社、有效成分含有量:30質量%
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
以上の表2~4から分かるように、PETで構成される多孔質体を泡吐出容器の吐出口の近傍に配置することにより、ナイロンで構成される多孔質体を泡吐出容器の吐出口の近傍に配置する場合と比べて、均一できめ細かい泡質を維持しつつ、吐出口の近傍における多孔質体の孔の目詰まりを防止することができる。
(実施例18~28)
【0090】
まず、
図4、7に示す泡吐出容器1を準備した。表6~10の通り、泡吐出容器1中の各多孔質体、及び泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定する弧状のカーブコーナーをそれぞれ変えた。
【0091】
ついで、表5に示す成分及び配合比で各液状組成物を調製した。その後、調製した各液状組成物を泡吐出容器1に充填することで、実施例18~28及び比較例2に係る泡吐出容器をそれぞれ作製した。なお、表中の各成分の数値は、液状組成物の総質量に対する質量%であり、有効成分に換算した値である。
【0092】
各実施例及び比較例で得られた泡吐出容器を使用して以下の各性能を評価した。
【0093】
<泡質の評価>
実施例18~28及び比較例2に係る泡吐出容器を3回押し下げ、液状組成物の泡を泡吐出容器の吐出口から吐出させ、泡の状況を目視で観察した。その後、以下の評価基準に基づいて泡質を評価し、得られた結果を以下の表6~10に示した。
6:泡が非常にきめ細やかで豊富である。
5:泡がきめ細やかで豊富である。
4:泡がやや粗い。
3:泡がやや粗く、少量のやや大きな気泡がある。
2:泡がやや粗く、多くのやや大きな気泡がある。
1:泡が粗く、多くの大きな気泡がある。
【0094】
<目詰まりの評価>
温度40℃に設定した恒温槽内に各泡吐出容器を静置し、一日ごとに1プッシュ吐出する作業を繰り返し、90回目のプッシュ吐出時に目詰まりの有無を以下の基準で評価して、短期間の目詰まりの評価結果とした。結果を以下の表6~10に示した。
温度40℃に設定した恒温槽内に各泡吐出容器を静置し、1週ごとに1プッシュ吐出する作業を繰り返し、12回目のプッシュ吐出時に目詰まりの有無を以下の基準で評価して、長期間の目詰まりの評価結果とした。結果を下記の表6~10に示した。
5:ポンプのプッシュがスムーズで、押し圧の変化が感じられない(全く目詰まりしない)。
4:ポンプのプッシュがスムーズで、押し圧がやや重くなったと感じられる(軽微な目詰まり)。
3:ポンプのプッシュがややスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったと感じられる(軽い目詰まり)。
2:ポンプのプッシュがスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったとやや強く感じられる(やや明らかな目詰まり)。
1:ポンプのプッシュがスムーズではないと感じられ、押し圧が重くなったと強く感じられる(明らかな目詰まり)。
【0095】
<押圧力の評価>
温度25℃に設定した恒温室内に各泡吐出容器を静置し、プッシュプルスケール(SF-100、AIPLI有限公司)により、500mm/minの速度で泡吐出容器を押圧する(押圧のストローク:15mm)ことにより、最後にプッシュプルスケールでの数値を読み出し押圧力を(単位:kgf)の具体的な数値を取得し、取得した結果を以下の表6~10に示した。押圧力を3.5kgfの基準で評価して、3.5kgfより小さいことは、改善効果を達成することを意味している。
【0096】
【表5】
*14:商品名:ETHANOL(95%)、製造元:Taicang Xintai、有效成分含有量:95質量%
【0097】
【0098】
以上の表6から分かるように、泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定するコーナーを直角ではなくカーブコーナーとすることにより、押圧力を効果的に低減することができる。
【0099】
【0100】
以上の表7から分かるように、泡吐出装置の吐出口に連通すると共にポンプ芯流路に連通する連接流路を画定するコーナーを直角ではなくカーブコーナーとし、PETで構成される多孔質体を泡吐出容器の吐出口の近傍に配置することにより、均一できめ細かい泡質を維持しつつ、吐出口の近傍の多孔質体の目詰まりを防止することができ、押圧力を効果的に低減することができる。
【0101】
【0102】
以上の表8から分かるように、内カーブコーナーの円弧半径を1~5mmとし、外カーブコーナーの円弧半径を5~16mmとすることにより、押圧力をより効果的に低減することができる。
【0103】
【0104】
以上の表9から分かるように、先端多孔質体のメッシュ数を100~350メッシュとすることにより、均一できめ細かい泡質を維持しつつ、吐出口の近傍の多孔質体の目詰まりを防止することができる。
【0105】
【0106】
以上の表10から分かるように、空気/組成物の体積比を15/1とすることにより、均一できめ細かい泡質を維持しつつ、吐出口の近傍の多孔質体の目詰まりを防止することができる。