(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】2接合超伝導キュービット間のZZ相互作用の抑制を容易にする量子デバイス
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20241101BHJP
G06N 10/20 20220101ALI20241101BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20241101BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
G06N10/40
G06N10/20
H10N60/10 K
G06F7/38 510
G06F7/38 610
(21)【出願番号】P 2022566300
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2021067861
(87)【国際公開番号】W WO2022002944
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-11-14
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】カルニオル、エイプリル
(72)【発明者】
【氏名】ブレア、ジョン
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0165242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00
H10N 60/10
G06F 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
超伝導バス共振器と、
第1の超伝導キュービットと、
第2の超伝導キュービットと
を備え、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットがそれぞれ、
第1の超伝導パッド、
第2の超伝導パッド、
第3の超伝導パッド、
前記第1の超伝導パッドおよび前記第2の超伝導パッドに結合された第1のジョセフソン接合、ならびに
前記第2の超伝導パッドおよび前記第3の超伝導パッドに結合された第2のジョセフソン接合
を備え、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第1の超伝導パッドおよび前記第2の超伝導パッドが前記超伝導バス共振器に結合され、前記超伝導バス共振器が、制御信号を受信したことに基づいて前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとをもつれさせる、デバイス。
【請求項2】
前記第1の超伝導キュービットが、第1の振動モードおよび第2の振動モードで動作する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の超伝導キュービットが、第1の振動モードおよび第2の振動モードで動作する、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つが、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第1の超伝導パッドおよび前記第2の超伝導パッドが前記超伝導バス共振器に結合されて、前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、前記超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または前記デバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
コンピュータ実施方法であって、
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の振動モードで量子情報を符号化することと、
前記システムによって、超伝導バス共振器を、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合することと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記第1の超伝導キュービットが、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードで動作する、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記第2の超伝導キュービットが、前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードで動作する、請求項6または7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つが、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項6ないし8のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記システムによって、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第1の振動モードで量子情報を符号化することと、
前記システムによって、前記超伝導バス共振器を、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第2の振動モードに対応する前記振動モード構造に結合して、前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、前記超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または前記第1の超伝導キュービットと、前記第2の超伝導キュービットと、前記超伝導バス共振器とを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることと
をさらに含む、請求項6ないし9のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
デバイスであって、
超伝導バス共振器と、
第1の超伝導キュービットと、
第2の超伝導キュービットと
を備え、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットがそれぞれ、
第1の超伝導パッド、
第2の超伝導パッド、
第3の超伝導パッド、
前記第1の超伝導パッドおよび前記第2の超伝導パッドに結合された第1のジョセフソン接合、ならびに
前記第2の超伝導パッドおよび前記第3の超伝導パッドに結合された第2のジョセフソン接合
を備え、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第2の超伝導パッドが前記超伝導バス共振器に結合され、前記超伝導バス共振器が、制御信号を受信したことに基づいて前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとをもつれさせる、デバイス。
【請求項12】
前記第1の超伝導キュービットが、第1の振動モードおよび第2の振動モードで動作する、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の超伝導キュービットが、第1の振動モードおよび第2の振動モードで動作する、請求項11または12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つが、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項11ないし13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の超伝導キュービットの前記第2の超伝導パッドおよび前記第2の超伝導キュービットの前記第2の超伝導パッドが前記超伝導バス共振器に結合されて、前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、前記超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または前記デバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする、請求項11ないし14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
コンピュータ実施方法であって、
プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットのデータ・モードで量子情報を符号化することと、
前記システムによって、超伝導バス共振器を、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの結合モードに対応する結合モード構造に結合することと
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項17】
前記第1の超伝導キュービットが、前記データ・モードおよび前記結合モードで動作する、請求項16に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
前記第2の超伝導キュービットが、前記データ・モードおよび前記結合モードで動作する、請求項16または17に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項19】
前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つが、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項16ないし18のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項20】
前記システムによって、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記データ・モードで前記量子情報を符号化することと、
前記システムによって、前記超伝導バス共振器を、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの前記結合モードに対応する前記結合モード構造に結合して、前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、前記超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または前記第1の超伝導キュービットと、前記第2の超伝導キュービットと、前記超伝導バス共振器とを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることと
をさらに含む、請求項16ないし19のいずれか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項21】
デバイスであって、
第1の振動モードで動作する第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットと、
前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合された超伝導バス共振器と
を備える、デバイス。
【請求項22】
前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つが、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1の振動モードおよび前記第2の振動モードが、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットの第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合に関連する励起の対称的な組合せおよび反対称的な組合せを示す、請求項21または22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記第1の振動モードまたは前記第2の振動モードのうちの少なくとも1つが、データ・モードまたは結合モードのうちの少なくとも1つを含む、請求項21ないし23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットが、前記第1の振動モードで動作し、前記超伝導バス共振器が、前記第2の振動モードに対応する前記振動モード構造に結合されて、前記第1の超伝導キュービットと前記第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、前記超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、前記第1の超伝導キュービットまたは前記第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、前記第1の超伝導キュービットおよび前記第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または前記デバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする、請求項21ないし24のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子デバイスに関し、より詳細には、2接合超伝導量子ビット(キュービット)間のZZ相互作用の抑制を容易にする量子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バスを介して結合されたキュービットは、外部ドライブ(例えば、外部マイクロ波パルス、磁場など)がない場合でも互いの残留相互作用を有する。ZZ相互作用として知られるこれら残留相互作用は、キュービットの周波数をその隣接するキュービットの状態に依存させる可能性があり、量子演算の忠実度を阻害される可能性がある。さらに、キュービットをバスに結合すると、バス内の内部損失(例えば、表面損失もしくは2準位系)またはバスのドライブ・ポートを介したエネルギーの外界への外部損失のいずれかによって、エネルギー損失およびデコヒーレンスが発生する可能性がある。
【0003】
いくつかの先行技術では、読み出し共振器への同調可能な結合を可能にするために、また単一回路内で複数のキュービットを符号化する方法として、2接合キュービットを使用する。このような先行技術に関連する問題は、このような先行技術が、バス共振器への純粋な縦方向結合(longitudinal coupling)を可能にしながらデータ・モード間の静的ZZ相互作用(static ZZ interaction)を抑制するために、マルチモード・キュービットにおけるモード選択型結合を使用しないことである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つまたは複数の実施形態の基本的な理解を提供するために、以下に概要を提示する。この概要は、重要な要素または必須の要素を識別することも、特定の実施形態のいかなる範囲または特許請求の範囲のいかなる範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後述するさらに詳細な説明の前置きとして、簡略化した形式で概念を提示することである。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態では、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にするシステム、デバイス、コンピュータ実施方法、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せについて説明する。
【0005】
一実施形態によれば、デバイスは、超伝導バス共振器を備えることができる。デバイスは、第1の超伝導キュービットをさらに備えることができる。デバイスは、第2の超伝導キュービットをさらに備えることができ、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットはそれぞれ、第1の超伝導パッド、第2の超伝導パッド、第3の超伝導パッド、第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドに結合された第1のジョセフソン接合、ならびに第2の超伝導パッドおよび第3の超伝導パッドに結合された第2のジョセフソン接合を備える。第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドは、超伝導バス共振器に結合される。超伝導バス共振器は、制御信号を受信したことに基づいて第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとをもつれさせる。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドは、超伝導バス共振器に結合されて、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、またはデバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【0007】
別の実施形態によれば、コンピュータ実施方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の振動モードで量子情報を符号化することを含むことができる。コンピュータ実施方法は、システムによって、超伝導バス共振器を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0008】
いくつかの実施形態では、上記のコンピュータ実施方法は、システムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の振動モードで量子情報を符号化することと、システムによって、超伝導バス共振器を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合して、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または第1の超伝導キュービットと、第2の超伝導キュービットと、超伝導バス共振器とを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることとをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【0009】
別の実施形態によれば、装置は超伝導バス共振器を備えることができる。デバイスは、第1の超伝導キュービットをさらに備えることができる。デバイスは、第2の超伝導キュービットをさらに備えることができ、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットはそれぞれ、第1の超伝導パッド、第2の超伝導パッド、第3の超伝導パッド、第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドに結合された第1のジョセフソン接合、ならびに第2の超伝導パッドおよび第3の超伝導パッドに結合された第2のジョセフソン接合を備える。第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の超伝導パッドは、超伝導バス共振器に結合される。超伝導バス共振器は、制御信号を受信したことに基づいて第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとをもつれさせる。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の超伝導キュービットの第2の超伝導パッドおよび第2の超伝導キュービットの第2の超伝導パッドは、超伝導バス共振器に結合されて、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、またはデバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【0011】
別の実施形態によれば、コンピュータ実施方法は、プロセッサに動作可能に結合されたシステムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットのデータ・モードで量子情報を符号化することを含むことができる。コンピュータ実施方法は、システムによって、超伝導バス共振器を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの結合モードに対応する結合モード構造に結合することをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記のコンピュータ実施方法は、システムによって、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットのデータ・モードで量子情報を符号化することと、システムによって、超伝導バス共振器を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの結合モードに対応する結合モード構造に結合して、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、または第1の超伝導キュービットと、第2の超伝導キュービットと、超伝導バス共振器とを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることとをさらに含むことができる。このようなコンピュータ実施方法の利点は、このようなコンピュータ実施方法を実施して、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【0013】
別の実施形態によれば、デバイスは、第1の振動モードで動作する第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを備えることができる。デバイスは、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合された超伝導バス共振器をさらに備えることができる。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットは、第1の振動モードで動作し、超伝導バス共振器は、第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合されて、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、またはデバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にする。このようなデバイスの利点は、このようなデバイスが、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
【
図1B】
図1Aのデバイスの例示的で非限定的な回路図である。
【
図2A】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
【
図2B】
図2Aのデバイスの例示的で非限定的な回路図である。
【
図3】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイスの上面図である。
【
図4】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフである。
【
図5】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフである。
【
図6】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフである。
【
図7】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図8】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図9】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法の流れ図である。
【
図10】本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は単なる例示であり、実施形態、または実施形態の適用もしくは用途、あるいはその両方を限定することを意図するものではない。さらに、前述の技術分野もしくは発明の概要のセクションまたは発明を実施するための形態のセクションに提示されている明示的または暗示的な情報によって拘束される意図はない。
【0017】
次に、図面を参照して1つまたは複数の実施形態を説明するが、全体を通して、同様の参照番号は同様の要素を指すために使用されている。以下の説明では、1つまたは複数の実施形態のより完全な理解を提供するために、説明を目的として多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、様々な場合において、1つまたは複数の実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実施され得ることは明らかである。
【0018】
量子コンピューティングは、一般に、コンピューティングおよび情報処理機能を実行する目的で量子力学的現象を使用することである。量子コンピューティングは、一般にトランジスタを用いて2進値に対して演算を実行する古典コンピューティングと対照をなすものと見ることができる。すなわち、古典コンピュータは、0または1のいずれかであるビット値で演算を実行することができるが、量子コンピュータは、0と1との両方の重ね合せを含む量子ビット(キュービット)に対して演算を実行し、複数の量子ビットをもつれさせることができ、干渉を使用する。
【0019】
先行技術に関する上記の問題を考慮すると、本開示を実施して、超伝導バス共振器と、第1の超伝導キュービットと、第2の超伝導キュービットとを備えるデバイスを使用することによって、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができるデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の形式でこれらの問題に対する解決策を生み出すことができ、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットはそれぞれ、第1の超伝導パッド、第2の超伝導パッド、第3の超伝導パッド、第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドに結合された第1のジョセフソン接合、ならびに第2の超伝導パッドおよび第3の超伝導パッドに結合された第2のジョセフソン接合を備え、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドは、超伝導バス共振器に結合され、超伝導バス共振器は、制御信号を受信したことに基づいて第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとをもつれさせる。このようなデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の利点は、これらを実施して、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの両方の第1の振動モード間のZZ相互作用を抑制することができること、またはこのようなキュービットを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の速度を向上させることができること、あるいはその両方である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示を実施して、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の超伝導パッドおよび第2の超伝導パッドが超伝導バス共振器に結合されて、第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のZZ相互作用を抑制し、超伝導バス共振器に関連するエネルギー損失を低減し、それによって、第1の超伝導キュービットまたは第2の超伝導キュービットのうちの少なくとも1つに関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットを含む量子ゲートの高速化、またはデバイスを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にするデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の形式で、上記の問題に対する解決策を生み出すことができる。このようなデバイスまたはコンピュータ実施方法あるいはその両方の利点は、これらを実施して、論理キュービットまたはスケーラブルな量子コンピュータあるいはその両方の開発を可能にできることである。
【0021】
要素が別の要素に「結合されている」と言及される場合、それは、化学結合、通信結合、電気結合、電磁結合、動作結合、光結合、物理結合、熱結合、または別のタイプの結合あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の様々なタイプの結合を表し得ることが理解されよう。本明細書で言及される以下の用語は、以下のように定義されることも理解されよう。
【0022】
図1Aは、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイス100aの上面図を示す。
図1Bは、デバイス100aの例示的で非限定的な回路
図100bを示す。
【0023】
デバイス100aは、量子デバイス内に実装され得る半導体デバイスまたは超伝導デバイスあるいはその両方を備えることができる。例えば、デバイス100aは、例えば、量子ハードウェア、量子プロセッサ、量子コンピュータ、または別の量子デバイスあるいはその組合せなどの量子デバイス内に実装され得る集積半導体回路または集積超伝導回路(例えば、量子回路)を備えることができる。デバイス100aは、例えば、上記で定義したような量子デバイス内に実装され得る量子カプラ・デバイスなどの半導体デバイスまたは超伝導デバイスあるいはその両方を備えることができる。
【0024】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態によって例示されるように、デバイス100aは、(
図1Aおよび
図1Bでは同調可能カプラキュービット(TCQ1)と表示された)第1の超伝導キュービット104aおよび(
図1Aおよび
図1Bでは同調可能カプラキュービット(TCQ2)と表示された)第2の超伝導キュービット104bに結合することができる、(
図1Aおよび
図1Bでは共振器と表示された)超伝導バス共振器102を備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された超伝導バス共振器102は、コプレーナ導波管共振器を含むことができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方はそれぞれ、同調可能カプラキュービット、2接合キュービット、マルチモード・キュービット、マルチモード2接合キュービット、または同調可能キュービットのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0025】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された超伝導バス共振器102は、第1の超伝導パッド102a、第2の超伝導パッド102b、第3の超伝導パッド102c、または第4の超伝導パッド102dあるいはその組合せを備えることができ、このような超伝導パッドのそれぞれは、電極を備えることができる。この例示的な実施形態では、第1の超伝導パッド102a、第2の超伝導パッド102b、第3の超伝導パッド102c、または第4の超伝導パッド102dあるいはその組合せのそれぞれは、以下に説明する1つもしくは複数の半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造技術を使用して基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成され得る超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)を備えることができる。
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、超伝導バス共振器102は、(
図1BではL
Rと表示された)インダクタ132、(
図1BではCRと表示された)コンデンサ134、または接地136あるいはその組合せをさらに備えることができる。
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、超伝導バス共振器102は、6ギガヘルツ(GHz)の共振周波数(fr)を有することができる。
【0026】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aは、第1の超伝導パッド106a、第2の超伝導パッド108a、または第3の超伝導パッド110aあるいはその組合せを備えることができ、このような超伝導パッドのそれぞれは、電極を備えることができる。この例示的な実施形態では、第1の超伝導パッド106a、第2の超伝導パッド108a、または第3の超伝導パッド110aあるいはその組合せのそれぞれは、以下に説明する1つもしくは複数の半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造技術を使用して基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成され得る超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)を備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aは、第1の超伝導パッド106aおよび第2の超伝導パッド108aに結合された(
図1BではE
J1と表示された)第1のジョセフソン接合112aをさらに備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aは、第2の超伝導パッド108aおよび第3の超伝導パッド110aに結合された(
図1BではE
J2と表示された)第2のジョセフソン接合114aをさらに備えることができる。この例示的な実施形態では、第1のジョセフソン接合112aまたは第2のジョセフソン接合114aあるいはその両方は、1つもしくは複数の超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)または基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成された1つもしくは複数の非超伝導膜(例えば、通常の金属膜)を備えることができる。
【0027】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第1の超伝導パッド106aおよび第2の超伝導パッド108aは、互いに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて(
図1BではC
1と表示された)第1のコンデンサ116aによって表されている。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第2の超伝導パッド108aおよび第3の超伝導パッド110aは、互いに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
2と表示された)第2のコンデンサ118aによって表されている。
図1Bに示す例示的な実施形態では、第1のコンデンサ116aおよび第2のコンデンサ118aはそれぞれ、第1のジョセフソン接合112aおよび第2のジョセフソン接合114aにわたる直流容量分流(direct capacitive shunting)を表す。この例示的な実施形態では、
図1Aおよび
図1Bにおいて例示されるように、第1の超伝導キュービット104aは、直列に接続された2つの容量分流ジョセフソン接合、すなわち第1のジョセフソン接合112aおよび第2のジョセフソン接合114aを備えることができる。
【0028】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第2の超伝導キュービット104bは、第1の超伝導パッド106b、第2の超伝導パッド108b、または第3の超伝導パッド110bあるいはその組合せを備えることができ、このような超伝導パッドのそれぞれは、電極を備えることができる。この例示的な実施形態では、第1の超伝導パッド106b、第2の超伝導パッド108b、または第3の超伝導パッド110bあるいはその組合せのそれぞれは、以下に説明する1つもしくは複数の半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造技術を使用して基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成され得る超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)を備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第2の超伝導キュービット104bは、第1の超伝導パッド106bおよび第2の超伝導パッド108bに結合された(
図1BではE
J3と表示された)第1のジョセフソン接合112bをさらに備えることができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第2の超伝導キュービット104bは、第2の超伝導パッド108bおよび第3の超伝導パッド110bに結合された(
図1BではE
J4と表示された)第2のジョセフソン接合114bをさらに備えることができる。この例示的な実施形態では、第1のジョセフソン接合112bまたは第2のジョセフソン接合114bあるいはその両方は、1つもしくは複数の超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)または基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成された1つもしくは複数の非超伝導膜(例えば、通常の金属膜)を備えることができる。
【0029】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、第2の超伝導キュービット104bの第1の超伝導パッド106bおよび第2の超伝導パッド108bは、互いに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて(
図1BではC
3と表示された)第1のコンデンサ116bによって表されている。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、第2の超伝導キュービット104bの第2の超伝導パッド108bおよび第3の超伝導パッド110bは、互いに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
4と表示された)第2のコンデンサ118bによって表されている。
図1Bに示す例示的な実施形態では、第1のコンデンサ116bおよび第2のコンデンサ118bはそれぞれ、第1のジョセフソン接合112bおよび第2のジョセフソン接合114bにわたる直流容量分流を表す。この例示的な実施形態では、
図1Aおよび
図1Bにおいて例示されるように、第2の超伝導キュービット104bは、直列に接続された2つの容量分流ジョセフソン接合、すなわち第1のジョセフソン接合112bおよび第2のジョセフソン接合114bを備えることができる。
【0030】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bはそれぞれ、第1の振動モードおよび第2の振動モード(図示せず)で動作することができる。本明細書に記載された本開示のいくつかの実施形態では、第1の振動モードおよび第2の振動モードは、互いに異なる(例えば、別個の)周波数または異なる(例えば、別個の)空間対称性あるいはその両方に対応することができる。これらの実施形態では、第1の振動モードおよび第2の振動モードは、第1の超伝導キュービット104aの第1のジョセフソン接合112aおよび第2のジョセフソン接合114a、または第2の超伝導キュービット104bの第1のジョセフソン接合112bおよび第2のジョセフソン接合114b、あるいはその両方に関連する励起の対称的な組合せおよび反対称的な組合せを示すことができる。これらの実施形態では、第1の超伝導キュービット104aの第1のジョセフソン接合112aおよび第2のジョセフソン接合114aに関連する励起のそのような対称的な組合せおよび反対称的な組合せは、第1の超伝導キュービット104aの第1の超伝導パッド106aと第3の超伝導パッド110aとの容量結合から生じることができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて(
図1BではC
S1と表示された)第3のコンデンサ120aとして表されている。これらの実施形態では、第2の超伝導キュービット104bの第1のジョセフソン接合112bおよび第2のジョセフソン接合114bに関連する励起のそのような対称的な組合せおよび反対称的な組合せは、第2の超伝導キュービット104bの第1の超伝導パッド106bと第3の超伝導パッド110bとの容量結合から生じることができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
S2と表示された)第3のコンデンサ120bとして表されている。
【0031】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、第3のコンデンサ120aは、第1の超伝導キュービット104aの第1の超伝導パッド106aと第3の超伝導パッド110aとの間の容量結合を表し、このような容量結合は、上述したように、互いに相対的に異なる周波数および異なる空間対称性を有する第1の振動モードおよび第2の振動モードの作成を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、
図1Bにおいて第3のコンデンサ120aとして表されたこのような容量結合は、第1の振動モードおよび第2の振動モードが互いに相互作用することを可能にすることができ、そうでない場合、このようなモードは、第1の超伝導キュービット104aの第1のジョセフソン接合112aと第2のジョセフソン接合114aとの間で分離されることになる。この例示的な実施形態では、第1の振動モードと第2の振動モードとの間のそのような相互作用は、第1の超伝導キュービット104aの拡張状態(例えば、ハイブリッド化された量子状態、ハイブリッド化された振動モードなど)(例えば、異なる周波数および異なる空間対称性に対応するハイブリッド化された量子状態またはハイブリッド化された振動モードあるいはその両方)の作成を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、
図1Bにおいて第3のコンデンサ120aとして表されたこのような容量結合により、第1の超伝導キュービット104aの基本モードが、第1のジョセフソン接合112aおよび第2のジョセフソン接合114aにわたって対称的または反対称的に拡張することが可能になる。
【0032】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、第3のコンデンサ120bは、第2の超伝導キュービット104bの第1の超伝導パッド106bと第3の超伝導パッド110bとの間の容量結合を表し、このような容量結合は、上述したように、互いに相対的に異なる周波数および異なる空間対称性を有する第1の振動モードおよび第2の振動モードの作成を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、
図1Bにおいて第3のコンデンサ120bとして表されたこのような容量結合は、第1の振動モードおよび第2の振動モードが互いに相互作用することを可能にすることができ、そうでない場合、このようなモードは、第2の超伝導キュービット104bの第1のジョセフソン接合112bと第2のジョセフソン接合114bとの間で分離されることになる。この例示的な実施形態では、第1の振動モードと第2の振動モードとの間のそのような相互作用は、第2の超伝導キュービット104bの拡張状態(例えば、ハイブリッド化された量子状態、ハイブリッド化された振動モードなど)(例えば、異なる周波数および異なる空間対称性に対応するハイブリッド化された量子状態またはハイブリッド化された振動モードあるいはその両方)の作成を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、
図1Bにおいて第3のコンデンサ120bとして表されたこのような容量結合により、第2の超伝導キュービット104bの基本モードが、第1のジョセフソン接合112bおよび第2のジョセフソン接合114bにわたって対称的または反対称的に拡張することが可能になる。
【0033】
第1の振動モードおよび第2の振動モードはそれぞれ、(
図1AではAモードと表示された)第1の振動モード構造124aおよび(
図1AではBモードと表示された)第2の振動モード構造124bに対応することができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、第1の振動モード構造124aおよび第2の振動モード構造124bはそれぞれ、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方の第1の振動モードで量子情報を符号化するため、または記憶するため、あるいはその両方のために使用され得る特定の結合技術(例えば、結合方式、結合構成、結合パターンなど)を定義することができる。したがって、この例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方の第1の振動モードまたは第2の振動モードあるいはその両方は、符号化された量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を含むことができる。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102が、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方の第1の振動モードまたは第2の振動モードあるいはその両方に従って動作できるように、第1の振動モード構造124aまたは第2の振動モード構造124bあるいはその両方を使用して、超伝導バス共振器102を第1の振動モードまたは第2の振動モードあるいはその両方に結合することができる。
【0034】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態において例示された第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方は、超伝導バス共振器102に容量結合することができる。
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102の第1の超伝導パッド102aは、第1の超伝導キュービット104aの第1の超伝導パッド106aに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
c1と表示された)コンデンサ126aによって表されている。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102の第2の超伝導パッド102bは、第1の超伝導キュービット104aの第2の超伝導パッド108aに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
c2と表示された)コンデンサ128aによって表されている。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102の第3の超伝導パッド102cは、第2の超伝導キュービット104bの第1の超伝導パッド106bに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
c3と表示された)コンデンサ126bによって表されている。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102の第4の超伝導パッド102dは、第2の超伝導キュービット104bの第2の超伝導パッド108aに容量結合することができ、このような容量結合は、
図1Bにおいて、(
図1BではC
c4と表示された)コンデンサ128bによって表されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第1の振動モードは結合モードを含むことができる。これらの実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bは、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化または記憶することあるいはその両方を可能にすることができ、第2の振動モードはデータ・モードを含むことができる。他の実施形態では、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第2の振動モードは結合モードを含むことができる。これらの実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aは、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードで量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化または記憶することあるいはその両方を可能にすることができ、第1の振動モードはデータ・モードを含むことができる。本明細書で参照するように、上記の実施形態で説明したこのようなモード結合方式は、本明細書に記載された本開示の実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)のうちの1つまたは複数を実施するエンティティ(例えば、人間、コンピューティング・デバイス、ソフトウェア・アプリケーション、エージェント、機械学習モデル、人工知能モデルなど)によって実現され得るモード選択型結合方式を構成することができる。
【0036】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第2の振動モードは結合モードを含むことができる。
図1Aおよび
図1Bに示すこの例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aは、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードで量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化または記憶することあるいはその両方を可能にすることができ、第1の振動モードはデータ・モードを含むことができる。
【0037】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)超伝導バス共振器102を第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合しながら、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードで量子情報を符号化または記憶することあるいはその両方によって、デバイス100aは、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと、第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間の直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)を容易にすることができる。例えば、この例示的な実施形態では、デバイス100aは、これにより、例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間)の交換相互作用または静的ZZ相互作用あるいはその両方などの直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)を容易にすることができる。この例示的な実施形態では、高次相互作用(データ・モード1→結合モード1→バス共振器→結合モード1→データ・モード2)が存在するので、デバイス100aは、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間の静的ZZ相互作用の抑制を容易にすることができる。例えば、データ・モード1(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モード)→結合モード1(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モード)→バス共振器(例えば、超伝導バス共振器102)→結合モード2(例えば、第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モード)→データ・モード2(第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モード)として表現され得る高次相互作用である。
【0038】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)超伝導バス共振器102を第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合しながら、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードで量子情報を符号化または記憶することあるいはその両方によって、デバイス100aはさらに、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)の強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合を容易にすることができる。この例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)のそのような強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合は、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間の正味の縦方向結合を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間のそのような正味の縦方向結合(chi偏移(chi_01偏移)とも呼ばれる)は、(例えば、マイクロ波パルスを介して)超伝導バス共振器102をその共振周波数(例えば、6GHz)から離調させることによって、共振器誘起位相(RIP:resonator-induced phase)ゲートを介した2キュービットもつれゲートの生成または実行あるいはその両方を可能にすることができる。
【0039】
追加として、または代替として、
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、デバイス100aはさらに、データ・モードと超伝導バス共振器102との間の交換結合を防止することができ、これにより、超伝導バス共振器102に関連するエネルギー損失(例えば、パーセル損失)からそのようなデータ・モードを保護することができる(例えば、内部エネルギー散逸、または超伝導バス共振器102の近くのドライブ・ポートを介したデバイス100aの外部の環境へのエネルギーの損失)。例えば、
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、デバイス100aは、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードとの間の交換結合、または超伝導バス共振器102と第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間の交換結合、あるいはその両方を防止することができる。この例示的な実施形態では、上記のようなデータ・モードと超伝導バス共振器102との間の交換結合を防止することによって、デバイス100aは、デバイス100aまたはデバイス100aの1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に関連する、パーセル損失の低減またはデコヒーレンスの低減あるいはその両方を容易にすることができる。
【0040】
本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、1つまたは複数の外部デバイス(
図1Aにも
図1Bにも図示せず)に結合されて、そのような実施形態の動作を容易にすることができる。例えば、
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、例えば、パルス発生器デバイス、電源、または磁場発生器あるいはその組合せなど、デバイス100aの外部にあり得る1つまたは複数の外部デバイスに結合することができる。
【0041】
例示的な実施形態では、
図1Aにも
図1Bにも示されていないが、デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、デバイス100aの外部にあり得るとともに、デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)を送信または受信することあるいはその両方が可能である、任意波形発生器(AWG:arbitrary waveform generator)、ベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)、または別のパルス発生器デバイスあるいはその組合せを含むがこれらに限定されないパルス発生器デバイスに結合することができる。別の例示的な実施形態では、
図1Aにも
図1Bにも示されていないが、デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、デバイス100aの外部にあり得るとともに、デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せに、電流、電位、または磁場あるいはその組合せを提供することができる、電源または磁場発生器あるいはその両方に結合することができる。
【0042】
上記の例示的な実施形態では、そのような1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)はまた、命令(例えば、ソフトウェア、ルーチン、処理スレッドなど)を記憶できるメモリ(例えば、
図10を参照して後述するシステム・メモリ1016)と、メモリ上に記憶され得るそのような命令を実行することができるプロセッサ(例えば、
図10を参照して後述する処理ユニット1014)とを備えるコンピュータ(例えば、
図10を参照して後述するコンピュータ1012)に結合することができる。これらの例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、(例えば、システム・メモリ1016に記憶された命令を実行する処理ユニット1014を介して)そのような1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)を動作させること、または制御すること、あるいはその両方が可能である。例えば、これらの例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)が、a)デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)を送信または受信すること、あるいはその両方、またはb)デバイス100a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せに、電流、電位、または磁場あるいはその組合せを提供すること、あるいはその両方を可能にすることができる。
【0043】
様々な実施形態では、デバイス100aを実施するエンティティ(例えば、人間、コンピューティング・デバイス、ソフトウェア・アプリケーション、エージェント、機械学習モデル、人工知能モデルなどのエンティティ)は、本開示の1つまたは複数の実施形態に従って、本明細書に記載のモード選択型結合方式のうちの1つまたは複数(例えば、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、または
図3あるいはその組合せに記載および例示されたモード選択型結合方式)を実施することができる。これらの実施形態では、そのようなエンティティは、そのようなモード選択型方式の1つまたは複数が実現されるように、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方の1つまたは複数の超伝導パッドとの間の1つまたは複数の結合容量を設定または調整することあるいはその両方によって、そのようなモード選択型方式のうちの1つまたは複数を実施することができる。これらの実施形態では、そのようなエンティティは、デバイス100aまたはその1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に印加される磁場、電流、電位、またはマイクロ波パルスあるいはその組合せを(例えば、上述したように上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を介して)印加または調整することあるいはその両方によって、そのような1つまたは複数の結合容量(例えば、コンデンサ126a、コンデンサ126b、コンデンサ128a、またはコンデンサ128bあるいはその組合せの結合容量)を設定または調整することあるいはその両方が可能である。
【0044】
図1Aおよび
図1Bに示す例示的な実施形態では、上記で定義されたそのようなエンティティは、デバイス100aまたはその1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に印加される磁場、電流、電位、またはマイクロ波パルスあるいはその組合せを(例えば、上述したように上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を介して)印加または調整することあるいはその両方によって、
図1Bにおいてコンデンサ126a、コンデンサ126b、コンデンサ128a、またはコンデンサ128bあるいはその組合せとして表される結合容量を設定または調整することあるいはその両方が可能である。この例示的な実施形態では、本明細書で定義されたエンティティは、上記のそのような結合容量の設定または調整あるいはその両方に基づいて、上記のモード選択型結合方式を実現することができ、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第2の振動モードは結合モードを含み、かつ/または、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)は、第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードで符号化または記憶されることあるいはその両方が可能であり、第1の振動モードはデータ・モードを含むことができる。
【0045】
この例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードのみへの超伝導バス共振器102の正味の交換結合(例えば、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bのみへの超伝導バス共振器102の正味の交換結合)を実現するために、本明細書で定義されたそのようなエンティティは、そのような結合容量を、コンデンサ126a=2×コンデンサ128a(例えば、Cc1=2×Cc2)、コンデンサ126b=2×コンデンサ128b(例えば、Cc3=2×Cc4)のように設定または調整することあるいはその両方が可能である。
【0046】
上記の実施形態では、上述のモード選択型結合方式を実現することに基づいて、デバイス100aを実施するエンティティは、それによって、a)例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間、第1の振動モードおよび第2の振動モードは第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含むことができる)の交換相互作用または静的ZZ相互作用あるいはその両方などの直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)、b)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)の強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合、またはc)デバイス100aまたは超伝導バス共振器102あるいはその両方に関連するエネルギー損失(例えば、パーセル損失)またはデコヒーレンスあるいはその両方を低減することができる、データ・モード(例えば、第1の振動モードと第2の振動モードとの間)と超伝導バス共振器102との間の交換結合の防止、あるいはその組合せを容易にすることができる。この実施形態では、このような静的ZZ相互作用の抑制、エネルギー損失の低減、または超伝導バス共振器102に関連するデコヒーレンスの低減あるいはその組合せに基づいて、デバイス100aは、それによって、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方に関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bを含む量子ゲートの高速化、またはデバイス100aを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることができる。
【0047】
上記の実施形態では、デバイス100aを実施する本明細書で定義されたエンティティはさらに、(例えば、上述したように、上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を使用してマイクロ波パルスを介して)超伝導バス共振器102をその共振周波数(例えば、6GHz)から離調させて、RIPゲートを介して2キュービットもつれゲートを生成または実行することあるいはその両方が可能である。例えば、この実施形態では、上述したように超伝導バス共振器102をその共振周波数から離調させることによって、そのようなエンティティは、(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間にもつれ量子ゲートを作り出すために)第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとをもつれさせることができる。この実施形態では、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとのこのようなもつれにより、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間で量子ゲート動作を実行することが可能になる。例えば、この実施形態では、超伝導バス共振器102をその共振周波数から離調させることに基づいて、デバイス100aまたは超伝導バス共振器102あるいはその両方は、RIPゲートとして動作することができ、これにより、超伝導バス共振器102にマイクロ波駆動(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)があるとき(例えば、超伝導バス共振器102に印加されるマイクロ波信号があるとき)に存在する第1のキュービット(例えば、第1の超伝導キュービット104a)と第2のキュービット(例えば、第2の超伝導キュービット104b)との間のZZ相互作用を生成することができる。
【0048】
本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)の製造は、半導体デバイスまたは超伝導デバイス(例えば、集積回路)あるいはその両方における電子ベースのシステム、デバイス、構成要素、または回路あるいはその組合せの段階的な作成を容易にする、フォトリソグラフィ処理ステップまたは化学処理ステップあるいはその両方のマルチステップ・シーケンスを含むことができる。例えば本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、フォトリソグラフィ、マイクロリソグラフィ、ナノリソグラフィ、ナノインプリント・リソグラフィ、フォトマスキング技術、パターニング技術、フォトレジスト技術(例えば、ポジティブトーン・フォトレジスト、ネガティブトーン・フォトレジスト、ハイブリッドトーン・フォトレジストなど)、エッチング技術(例えば、反応性イオン・エッチング(RIE)、ドライ・エッチング、ウェット・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、プラズマ・エッチング、レーザ・アブレーションなど)、蒸着技術、スパッタリング技術、プラズマ灰化技術、熱処理(例えば、急速熱アニール、炉アニール、熱酸化など)、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)、物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)、分子線エピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)、電気化学蒸着(ECD:electrochemical deposition)、化学機械平坦化(CMP:chemical-mechanical planarization)、バックグラインド技術、または集積回路を製造するための別の技術あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない技術を採用することによって、基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に製造され得る。
【0049】
本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、様々な材料を使用して製造され得る。例えば、本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、導電性材料、半導体材料、超伝導材料、誘電体材料、ポリマー材料、有機材料、無機材料、非導電性材料、または集積回路を製造するための上記の技術のうちの1つまたは複数を用いて利用され得る別の材料、あるいはその組合せを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の異なる材料クラスの材料を使用して製造され得る。
【0050】
図2Aは、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイス200aの上面図を示す。
図2Bは、デバイス200aの例示的で非限定的な回路
図200bを示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0051】
デバイス200aは、
図1A~
図1Bを参照して上述したデバイス100aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができる。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、デバイス200aは、デバイス100aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、第1の超伝導キュービット104aの第2の超伝導パッド108aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の超伝導パッド108bのみがそれぞれ超伝導バス共振器102の第3の超伝導パッド102cおよび第4の超伝導パッド102dに結合することができる。追加として、または代替として、
図2Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、デバイス200aの超伝導バス共振器102は、4GHzの共振周波数(fr)を有することができる。
【0052】
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第2の超伝導パッド108aは、超伝導バス共振器102の第3の超伝導パッド102cに容量結合することができ、このような容量結合は、
図2Bにおいて、(
図2BではC
c1と表示された)第1のコンデンサ228aによって表されている。この例示的な実施形態では、第2の超伝導キュービット104bの第2の超伝導パッド108bは、超伝導バス共振器102の第4の超伝導パッド102dに容量結合することができ、このような容量結合は、
図2Bにおいて、(
図2BではC
c2と表示された)第2のコンデンサ228bによって表されている。
【0053】
図1Aおよび
図1Bを参照して上述したように、いくつかの実施形態では、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第1の振動モードは結合モードを含むことができる。これらの実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bは、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化または記憶することあるいはその両方を可能にすることができ、第2の振動モードはデータ・モードを含むことができる。
【0054】
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第1の振動モードは結合モードを含むことができる。
図2Aおよび
図2Bに示すこの例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードに対応する第2の振動モード構造124bは、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化または記憶することあるいはその両方を可能にすることができ、第2の振動モードはデータ・モードを含むことができる。
【0055】
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)超伝導バス共振器102を第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合しながら、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで量子情報を符号化または記憶することあるいはその両方によって、デバイス200aは、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)を容易にすることができる。例えば、この例示的な実施形態では、デバイス200aは、これにより、例えば第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間)の交換相互作用または静的ZZ相互作用あるいはその両方などの直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)を容易にすることができる。この例示的な実施形態では、高次相互作用(データ・モード1→結合モード1→バス共振器→結合モード1→データ・モード2)が存在するので、デバイス200aは、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の静的ZZ相互作用の抑制を容易にすることができる。例えば、データ・モード1(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モード)→結合モード1(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モード)→バス共振器(例えば、超伝導バス共振器102)→結合モード2(例えば、第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モード)→データ・モード2(第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モード)として表現され得る高次相互作用である。
【0056】
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)超伝導バス共振器102を第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合しながら、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで量子情報を符号化または記憶することあるいはその両方によって、デバイス200aはさらに、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)の強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合を容易にすることができる。この例示的な実施形態では、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)のそのような強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合は、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の正味の縦方向結合を可能にすることができる。この例示的な実施形態では、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間のそのような正味の縦方向結合(chi偏移(chi_01偏移)とも呼ばれる)は、超伝導バス共振器102を(例えば、マイクロ波パルスを介して)その共振周波数(例えば、4GHz)から離調させることによって、RIPゲートを介した2キュービットもつれゲートの生成または実行あるいはその両方を可能にすることができる。
【0057】
追加として、または代替として、
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、デバイス200aはさらに、データ・モードと超伝導バス共振器102との間の交換結合を防止することができ、これにより、超伝導バス共振器102に関連するエネルギー損失(例えば、パーセル損失)からそのようなデータ・モードを保護することができる(例えば、内部エネルギー散逸、または超伝導バス共振器102の近くのドライブ・ポートを介したデバイス200aの外部の環境へのエネルギーの損失)。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、デバイス200aは、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードとの間の交換結合、または超伝導バス共振器102と第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の交換結合、あるいはその両方を防止することができる。この例示的な実施形態では、上記のようなデータ・モードと超伝導バス共振器102との間の交換結合を防止することによって、デバイス200aは、デバイス200aまたはデバイス200aの1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に関連する、パーセル損失の低減またはデコヒーレンスの低減あるいはその両方を容易にすることができる。
【0058】
図1Aおよび
図1Bを参照して上述したように、本明細書に記載された、または図に例示された、あるいはその両方である本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、1つまたは複数の外部デバイス(
図2Aにも
図2Bにも図示せず)に結合されて、そのような実施形態の動作を容易にすることができる。例えば、
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、例えば、パルス発生器デバイス、電源、または磁場発生器あるいはその組合せなど、デバイス100aの外部にあり得る1つまたは複数の外部デバイスに結合することができる。
【0059】
例示的な実施形態では、
図2Aにも
図2Bにも示されていないが、デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、デバイス200aの外部にあり得るとともに、デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)を送信または受信することあるいはその両方が可能であるパルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)に結合することができる。別の例示的な実施形態では、
図2Aにも
図2Bにも示されていないが、デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せは、デバイス200aの外部にあり得るとともに、デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せに、電流、電位、または磁場あるいはその組合せを提供することができる、電源または磁場発生器あるいはその両方に結合することができる。
【0060】
上記の例示的な実施形態では、そのような1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)はまた、命令(例えば、ソフトウェア、ルーチン、処理スレッドなど)を記憶できるメモリ(例えば、
図10を参照して後述するシステム・メモリ1016)と、メモリ上に記憶され得るそのような命令を実行することができるプロセッサ(例えば、
図10を参照して後述する処理ユニット1014)とを備えるコンピュータ(例えば、
図10を参照して後述するコンピュータ1012)に結合することができる。これらの例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、(例えば、システム・メモリ1016に記憶された命令を実行する処理ユニット1014を介して)そのような1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)を動作させること、または制御すること、あるいはその両方が可能である。例えば、これらの例示的な実施形態では、そのようなコンピュータを採用して、1つまたは複数の外部デバイス(例えば、パルス発生器デバイス(例えば、AWG、VNAなど)、電源、または磁場発生器、あるいはその組合せ)が、a)デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せとの間でパルス(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)を送信または受信すること、あるいはその両方、またはb)デバイス200a、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、または第2の超伝導キュービット104bあるいはその組合せに、電流、電位、または磁場あるいはその組合せを提供すること、あるいはその両方を可能にすることができる。
【0061】
様々な実施形態では、デバイス200aを実施する、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義されたエンティティは、本開示の1つまたは複数の実施形態に従って、本明細書に記載のモード選択型結合方式のうちの1つまたは複数(例えば、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、または
図3あるいはその組合せに記載および例示されたモード選択型結合方式)を実施することができる。これらの実施形態では、そのようなエンティティは、そのようなモード選択型方式の1つまたは複数が実現されるように、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方の1つまたは複数の超伝導パッドとの間の1つまたは複数の結合容量を設定または調整することあるいはその両方によって、そのようなモード選択型方式のうちの1つまたは複数を実施することができる。これらの実施形態では、そのようなエンティティは、デバイス200aまたはその1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に印加される磁場、電流、電位、またはマイクロ波パルスあるいはその組合せを(例えば、上述したように上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を介して)印加または調整することあるいはその両方によって、そのような1つまたは複数の結合容量(例えば、
図1Bに例示されたデバイス200aのコンデンサ228aまたはコンデンサ228bあるいはその両方の結合容量)を設定または調整することあるいはその両方が可能である。
【0062】
図2Aおよび
図2Bに示す例示的な実施形態では、本明細書で定義されたそのようなエンティティは、デバイス200aまたはその1つもしくは複数の構成要素(例えば、超伝導バス共振器102、第1の超伝導キュービット104a、第2の超伝導キュービット104bなど)あるいはその両方に印加される磁場、電流、電位、またはマイクロ波パルスあるいはその組合せを(例えば、上述したように上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を介して)印加または調整することあるいはその両方によって、
図2Bにおいてコンデンサ228aまたはコンデンサ228bあるいはその両方として表される結合容量を設定または調整することあるいはその両方が可能である。この例示的な実施形態では、本明細書で定義されたエンティティは、上記のそのような結合容量の設定または調整あるいはその両方に基づいて、上記のモード選択型結合方式を実現することができ、超伝導バス共振器102は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aに基づいて(例えば、それに従って)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bに結合することができ、第1の振動モードは結合モードを含み、かつ/または、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)は、第2の振動モード構造124bに基づいて(例えば、それに従って)、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで符号化または記憶されることあるいはその両方が可能であり、第1の振動モードはデータ・モードを含むことができる。
【0063】
上記の実施形態では、上述のモード選択型結合方式を実現することに基づいて、デバイス200aを実施するエンティティは、それによって、a)例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間、第1の振動モードおよび第2の振動モードは第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含むことができる)の交換相互作用または静的ZZ相互作用あるいはその両方などの直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)、b)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)の強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合、またはc)デバイス200aまたは超伝導バス共振器102あるいはその両方に関連するエネルギー損失(例えば、パーセル損失)またはデコヒーレンスあるいはその両方を低減することができる、データ・モード(例えば、第1の振動モードと第2の振動モードとの間)と超伝導バス共振器102との間の交換結合の防止、あるいはその組合せを容易にすることができる。この実施形態では、このような静的ZZ相互作用の抑制、エネルギー損失の低減、または超伝導バス共振器102に関連するデコヒーレンスの低減あるいはその組合せに基づいて、デバイス200aは、それによって、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方に関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bを含む量子ゲートの高速化、またはデバイス200aを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることができる。
【0064】
上記の実施形態では、デバイス200aを実施する本明細書で定義されたエンティティはさらに、(例えば、上述したように、上記で定義された外部デバイスまたはコンピュータ1012あるいはその両方のうちの1つまたは複数を使用してマイクロ波パルスを介して)超伝導バス共振器102をその共振周波数(例えば、4GHz)から離調させて、RIPゲートを介して2キュービットもつれゲートを生成または実行することあるいはその両方が可能である。例えば、この実施形態では、上述したように超伝導バス共振器102をその共振周波数から離調させることによって、そのようなエンティティは、(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間にもつれ量子ゲートを作り出すために)第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとをもつれさせることができる。この実施形態では、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとのこのようなもつれにより、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間で量子ゲート動作を実行することが可能になる。例えば、この実施形態では、超伝導バス共振器102をその共振周波数から離調させることに基づいて、デバイス200aまたは超伝導バス共振器102あるいはその両方は、RIPゲートとして動作することができ、これにより、超伝導バス共振器102にマイクロ波駆動(例えば、マイクロ波パルス、マイクロ波信号、制御信号など)があるとき(例えば、超伝導バス共振器102に印加されるマイクロ波信号があるとき)に存在する第1のキュービット(例えば、第1の超伝導キュービット104a)と第2のキュービット(例えば、第2の超伝導キュービット104b)との間のZZ相互作用を生成することができる。
【0065】
図3は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なデバイス300の上面図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0066】
デバイス300は、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したデバイス200aの例示的で非限定的な代替実施形態を含むことができ、(
図3ではRと表示された)第1の読み出し共振器302aは、第1の超伝導キュービット104aに結合することができ、(
図3ではRと表示された)第2の読み出し共振器302bは、第2の超伝導キュービット104bに結合することができる。例えば、
図3に示す例示的な実施形態において例示されるように、第1の読み出し共振器302aは、デバイス300の第1の結合パッド304aを介して第1の超伝導キュービット104aの第1の超伝導パッド106aに結合(例えば、容量結合)することができ、第2の読み出し共振器302bは、デバイス300の第2の結合パッド304bを介して第2の超伝導キュービット104bの第1の超伝導パッド106bに結合(例えば、容量結合)することができる。
図3に示す例示的な実施形態では、第1の読み出し共振器302aまたは第2の読み出し共振器302bあるいはその両方は、(例えば、
図1A~
図2Bを参照して上述したように、上記で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を介して)デバイス300からの1つまたは複数のタイプの情報(例えば、量子情報、キュービット情報、量子状態情報など)の読み出しを容易にすることができる。
【0067】
図3に示す例示的な実施形態において例示されるように、デバイス300は、1つまたは複数のデバイス(図示せず)のデバイス300への結合(例えば、容量結合)(例えば、1つまたは複数のデバイスの、第1の超伝導キュービット104aの第2の超伝導パッド108aまたは第2の超伝導キュービット104bの第2の超伝導パッド108bあるいはその両方への結合)を容易にすることができる、第3の結合パッド304cまたは第4の結合パッド304dあるいはその両方をさらに備えることができる。様々な実施形態において、第1の結合パッド304a、第2の結合パッド304b、第3の結合パッド304c、または第4の結合パッド304dあるいはその組合せは、
図1A~
図1Bを参照して上述した1つもしくは複数の半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造技術を使用して基板(例えば、シリコン(Si)基板など)上に形成され得る超伝導膜(例えば、超伝導金属膜)を備えることができる。
【0068】
図4は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフ400を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0069】
グラフ400は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態を実施することから得られた結果データを含むことができる。例えば、グラフ400は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、
図7、
図8、および
図9を参照してそれぞれ後述する、コンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せ)に従って、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方を実施すること(例えば、シミュレートすること、量子化することなど)から得られた結果データを含むことができる。
【0070】
図4に示す例示的な実施形態では、グラフ400は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの周波数の関数として、(
図4ではTCQ1と表示された)第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと(
図4ではTCQ2と表示された)第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、
図4ではZZ:TCQ-TCQ、Bモードと表示された静的ZZ相互作用)の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ400は、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)が、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで符号化され得る、または記憶され得る、あるいはその両方である、(例えば、第2の振動モードが、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含む)上記のそのようなZZ相互作用の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ400は、超伝導バス共振器102が第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードのみに結合することができる(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの両方の第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aのみに結合する)上記のそのようなZZ相互作用の数値シミュレーションを含むことができる。
【0071】
図4に示すグラフ400の例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードの周波数は、ギガヘルツ(GHz)で表現され、グラフ400の(
図4ではTCQ1fB(GHz)と表示された)X軸に沿って延在し、第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードの周波数は、GHzで表現され、グラフ400の(
図4ではTCQ2fB(GHz)と表示された)Y軸に沿って延在し、ZZ相互作用周波数は、キロヘルツ(kHz)で表現され、
図4においてLog10(ZZ(kHz))と表示されており、
図4に例示されるZZ凡例に表示された周波数に対応するグラフ400のZ軸(例えば、ページの内外に延在するグラフ400の軸)のハッチングを変化させることによって表される。
【0072】
図4に示す例示的な実施形態では、グラフ400は、上記のそのようなZZ相互作用の数値シミュレーションを含むことができ、コンデンサ228aの静電容量=コンデンサ228bの静電容量=10フェムトファラッド(fF)であり、超伝導バス共振器102の共振周波数(fr)は4GHzである。この例示的な実施形態では、グラフ400は、(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を介して)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの臨界電流を、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのそれぞれについて電流I1と電流I2との間に5パーセント(%)の非対称性を伴って約20ナノアンペア(nA)から約30nAに変更することによって得ることができる上記のそのようなZZ相互作用の数値シミュレーションを含むことができる。
図4のグラフ400によって例示されるように、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方が上記で定義されたパラメータに従って実施される場合、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)は1kHz未満であり、したがって、このようなZZ相互作用は、このような条件下で抑制されること、中止されること、または効果的に存在しないことあるいはその組合せであることが理解されるべきである。
【0073】
図5は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフ500を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0074】
グラフ500は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態を実施することから得られた結果データを含むことができる。例えば、グラフ500は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、
図7、
図8、および
図9を参照してそれぞれ後述する、コンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せ)に従って、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方を実施すること(例えば、シミュレートすること、量子化することなど)から得られた結果データを含むことができる。
【0075】
図5に示す例示的な実施形態では、グラフ500は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの周波数の関数として、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードとの間の(例えば、
図5ではchi01と表示された)chi偏移と呼ばれる正味の縦方向結合の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ500は、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)が、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで符号化され得る、または記憶され得る、あるいはその両方である、(例えば、第2の振動モードが第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含む)上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ500は、超伝導バス共振器102が第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードのみに結合することができる(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの両方の第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aのみに結合する)上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。
【0076】
図5に示すグラフ500の例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードの周波数は、GHzで表現され、グラフ500の(
図5ではTCQ1fB(GHz)と表示された)X軸に沿って延在し、第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードの周波数は、GHzで表現され、グラフ500の(
図5ではTCQ2fB(GHz)と表示された)Y軸に沿って延在し、正味の縦方向結合(chi偏移)周波数は、メガヘルツ(MHz)で表現され、
図5においてchi01(MHz)と表示されており、
図5に例示されるchi01凡例に表示された周波数に対応するグラフ500のZ軸(例えば、ページの内外に延在するグラフ500の軸)のハッチングを変化させることによって表される。
【0077】
図5に示す例示的な実施形態では、グラフ500は、上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができ、コンデンサ228aの静電容量=コンデンサ228bの静電容量=10fFであり、超伝導バス共振器102の共振周波数(fr)は4GHzである。この例示的な実施形態では、グラフ500は、(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を介して)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの臨界電流を、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのそれぞれについて電流I1と電流I2との間に5パーセント(%)の非対称性を伴って約20nAから約30nAに変更することによって得ることができる上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、また
図5のグラフ500によって例示されるように、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方は、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の交換結合を防止することができるが、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方は、超伝導バス共振器102と第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードとの間の大きい(例えば、相対的に大きい)正味の縦方向結合(chi偏移)を可能にすることができる。
【0078】
図6は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なグラフ600を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0079】
グラフ600は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態を実施することから得られた結果データを含むことができる。例えば、グラフ600は、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、
図7、
図8、および
図9を参照してそれぞれ後述する、コンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せ)に従って、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方を実施すること(例えば、シミュレートすること、量子化することなど)から得られた結果データを含むことができる。
【0080】
図6に示す例示的な実施形態では、グラフ600は、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの周波数の関数として、超伝導バス共振器102と第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の(
図6ではchi01と表示された)chi偏移と呼ばれる上述の正味の縦方向結合の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ600は、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)が、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードで符号化され得る、または記憶され得る、あるいはその両方である、(例えば、第2の振動モードが第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含む)上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。この例示的な実施形態では、グラフ600は、超伝導バス共振器102が第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードのみに結合することができる(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの両方の第1の振動モードに対応する第1の振動モード構造124aのみに結合する)上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。
【0081】
図6に示すグラフ600の例示的な実施形態において例示されるように、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードの周波数は、GHzで表現され、グラフ600の(
図6ではTCQ1fB(GHz)と表示された)X軸に沿って延在し、第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードの周波数は、GHzで表現され、グラフ600の(
図6ではTCQ2fB(GHz)と表示された)Y軸に沿って延在し、正味の縦方向結合(chi偏移)周波数は、メガヘルツ(MHz)で表現され、
図6においてchi01(MHz)と表示されており、
図6に例示されるchi01凡例に表示された周波数に対応するグラフ600のZ軸(例えば、ページの内外に延在するグラフ600の軸)のハッチングを変化させることによって表される。
【0082】
図6に示す例示的な実施形態では、グラフ600は、上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができ、コンデンサ228aの静電容量=コンデンサ228bの静電容量=10fFであり、超伝導バス共振器102の共振周波数(fr)は4GHzである。この例示的な実施形態では、グラフ600は、(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を介して)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの臨界電流を、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのそれぞれについて電流I1と電流I2との間に5パーセント(%)の非対称性を伴って約20nAから約30nAに変更することによって得ることができる上記のそのような正味の縦方向結合(chi偏移)の数値シミュレーションを含むことができる。
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、また
図6のグラフ600によって例示されるように、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方は、超伝導バス共振器102と、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の交換結合を防止することができるが、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方は、超伝導バス共振器102と第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間の大きい(例えば、相対的に大きい)正味の縦方向結合(chi偏移)を可能にすることができる。
【0083】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、様々な技術に関連付けられることが可能である。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、量子コンピューティング技術、量子ゲート技術、量子カプラ技術、量子ハードウェア技術またはソフトウェア技術あるいはその両方、量子回路技術、超伝導回路技術、機械学習技術、人工知能技術、クラウド・コンピューティング技術、または他の技術あるいはその組合せに関連付けられることが可能である。
【0084】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、上記で特定された様々な技術に関連するシステム、デバイス、構成要素、動作ステップ、または処理ステップあるいはその組合せに対する技術的改善を提供することができる。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第1の振動モードで量子情報を符号化すること、または超伝導バス共振器を第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モードに対応する振動モード構造に結合すること、あるいはその両方が可能である。
【0085】
上記の例では、上記で説明し、
図1Aおよび
図1Bに示した例示的な実施形態を参照すると、上述のモード選択型結合方式の実現に基づいて、本明細書に記載された本開示のデバイス100aは、例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間(例えば、第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間、第1の振動モードおよび第2の振動モードは第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのデータ・モードを含むことができる)の交換相互作用または静的ZZ相互作用あるいはその両方などの直接相互作用の抑制(例えば、中止、低減など)を容易にすることができる。この例では、上述のモード選択型結合方式の実現に基づいて、デバイス100aはまた、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードと第2の振動モードとの間(例えば、第1の振動モード構造124aと第2の振動モード構造124bとの間)の強力な(例えば、相対的に強力な)縦方向結合を容易にすることができる。この例では、上述のモード選択型結合方式の実現に基づいて、デバイス100aはさらに、データ・モード(例えば、第1の振動モードと第2の振動モードとの間)と超伝導バス共振器102との間の交換結合の防止を容易にすることができ、これにより、デバイス100aまたは超伝導バス共振器102あるいはその両方に関連するエネルギー損失(例えば、パーセル損失)またはデコヒーレンスあるいはその両方を低減することができる。この例では、このような静的ZZ相互作用の抑制、エネルギー損失の低減、または超伝導バス共振器102に関連するデコヒーレンスの低減あるいはその組合せに基づいて、デバイス100aは、それによって、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方に関連する量子ゲート誤りの低減、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bを含む量子ゲートの高速化、またはデバイス100aを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、もしくは性能の向上のうちの少なくとも1つを容易にすることができる。
【0086】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)のうちの1つまたは複数に関連付けられ得る古典コンピューティング・デバイスまたは量子コンピューティング・デバイス(例えば、量子プロセッサ、量子ハードウェア、超伝導回路など)あるいはその両方に関連付けられた処理ユニット(例えば、デバイス100a、デバイス200a、またはデバイス300を備える量子プロセッサ、処理ユニット1014など)に対する技術的改善を提供することができる。例えば、上述のモード選択型結合方式を実現することによって、デバイス100aは、超伝導バス共振器102に関連する、そのような静的ZZ相互作用の抑制、エネルギー損失の低減、またはデコヒーレンスの低減あるいはその組合せを容易にすることができる。この例では、超伝導バス共振器102に関連する、そのようなZZ相互作用を抑制すること、そのようなエネルギー損失を低減すること、またはそのようなデコヒーレンスを低減すること、あるいはその組合せによって、デバイス100aは、第1の超伝導キュービット104aまたは第2の超伝導キュービット104bあるいはその両方に関連する量子ゲート誤りの低減、または、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bを含む量子ゲート(例えば、もつれ量子ゲート)の高速化を容易にすること、あるいはその両方を容易にすることができる。この例では、そのような量子ゲート誤りを低減すること、またはそのような量子ゲートを高速化すること、あるいはその両方によって、デバイス100aは、デバイス100aを備える量子プロセッサの忠実度の向上、精度の向上、または性能の向上あるいはその組合せを容易にすることができる。
【0087】
上述のような第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間のZZ相互作用のそのような抑制に基づけば、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)の実際の適用は、それらを量子デバイス(例えば、量子プロセッサ、量子コンピュータなど)に実装して、様々な分野(例えば、金融、化学、医学)における複雑なもの(例えば、推定問題、最適化問題など)に及ぶ様々な問題に対する1つまたは複数の解決法(例えば、発見的問題解決法など)を、忠実度または精度あるいはその両方を向上させて、より迅速かつ効率的に計算できることである。例えば、上述のような第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間のZZ相互作用のそのような抑制に基づけば、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、デバイス100aなど)の実際の適用は、例えば、それらを量子プロセッサ(例えば、デバイス100aを含む量子プロセッサ)に実装して、化学、医学、または金融あるいはその組合せの分野における最適化問題に対する1つまたは複数の解決法(例えば、発見的問題解決法など)を、忠実度または精度あるいはその両方を向上させて計算できることであり、このような解決法を使用して、例えば、新しい化合物、新しい薬剤、ならびに/または新しいオプション価格設定用のシステムおよび/もしくは方法を設計することができる。
【0088】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、比較的新しい量子コンピューティング技術によってもたらされる新しい手法を提供することが理解されるべきである。例えば、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態(例えば、デバイス100aなど)は、量子計算中に量子ゲート誤りが生じる結果となる上述の第1の超伝導キュービット104aの第1の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第1の振動モードとの間のZZ相互作用を抑制するための新しい手法を提供する。この例では、ZZ相互作用を抑制するためのそのような新しい手法は、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態のうちの1つまたは複数の(例えば、デバイス100aなど)を含む量子プロセッサを使用して、忠実度または精度あるいはその両方が向上した、より高速でより効率的な量子計算を可能にすることができる。
【0089】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、ハードウェアまたはソフトウェアを採用して、本質的に高度に技術的である問題、抽象的ではない問題、人間による一連の知的な行為として実行することができない問題を解決することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロセスのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の専用コンピュータ(例えば、専用処理ユニット、専用古典コンピュータ、専用量子コンピュータなど)が上記で特定された様々な技術に関連する定義されたタスクを実行することによって、実行され得る。本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)を採用して、上述の技術の進歩、量子コンピューティング・システム、クラウド・コンピューティング・システム、コンピュータ・アーキテクチャ、または別の技術あるいはその組合せの採用を通じて、新たに生じる問題を解決することができる。
【0090】
本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)によって実行され得る様々な動作は、人間の頭脳の能力を上回る動作であるため、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、電気部品、機械部品、および人間の頭脳の中で複製するも人間が実行することもできない回路の様々な組合せを利用できることを理解されたい。例えば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)によってある一定の期間にわたって処理されるデータの量、そのようなデータを処理する速度、または処理されるデータのタイプは、同じ期間にわたって人間の頭脳が処理できる量、速度、またはデータ・タイプと比較して、より多い、より高速である、または異なる可能性がある。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、本明細書に記載の様々な動作も実行しながら、1つまたは複数の他の機能を実行することを目的として全体的に動作すること(例えば、全体的に電源が入れられる、全体的に実行されるなど)も可能である。このような同時の複数動作の実行は人間の頭脳の能力を超えていることが理解されるべきである。本明細書に記載された本開示の様々な実施形態(例えば、デバイス100a、デバイス200a、デバイス300など)は、人間のユーザなどのエンティティによって手動で取得することが不可能な情報を含むことができることも理解されるべきである。例えば、デバイス100a、デバイス200a、またはデバイス300あるいはその組合せに含まれる情報の型、量、または種類あるいはその組合せは、人間のユーザによって手動で取得される情報よりも複雑である可能性がある。
【0092】
図7は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法700の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0093】
702において、コンピュータ実施方法700は、プロセッサプロセッサ(例えば、処理ユニット1014など)に動作可能に結合されたシステム(例えば、デバイス100a、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステム)によって、第1の超伝導キュービット(例えば、第1の超伝導キュービット104a)および第2の超伝導キュービット(例えば、第2の超伝導キュービット104b)の第1の振動モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第1の振動モード)で、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化することを含むことができる。
【0094】
704において、コンピュータ実施方法700は、システム(例えば、デバイス100a、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステム)によって、超伝導バス共振器(例えば、超伝導バス共振器102)を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第2の振動モード)に対応する振動モード構造(例えば、第2の振動モード構造124b)に結合することを含むことができる。
【0095】
図8は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法800の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0096】
802において、コンピュータ実施方法800は、プロセッサプロセッサ(例えば、処理ユニット1014など)に動作可能に結合されたシステム(例えば、デバイス100a、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステム)によって、第1の超伝導キュービット(例えば、第1の超伝導キュービット104a)および第2の超伝導キュービット(例えば、第2の超伝導キュービット104b)のデータ・モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第1の振動モード)で、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化することを含むことができる。
【0097】
804において、コンピュータ実施方法800は、システム(例えば、デバイス100a、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステム)によって、超伝導バス共振器(例えば、超伝導バス共振器102)を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの結合モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第2の振動モード)に対応する結合モード構造(例えば、第2の振動モード構造124b)に結合することを含むことができる。
【0098】
図9は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態による、2接合超伝導キュービットにおけるモード選択型結合を使用して静的ZZ抑制およびパーセル損失低減を容易にすることができる例示的で非限定的なコンピュータ実施方法900の流れ図を示す。簡潔にするために、それぞれの実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0099】
902において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、デバイス200aもしくはデバイス300、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステムを介して)、第1の超伝導キュービット(例えば、第1の超伝導キュービット104a)および第2の超伝導キュービット(例えば、第2の超伝導キュービット104b)の第1の振動モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第1の振動モード)で、量子情報(例えば、キュービット情報、量子状態情報など)を符号化することを含むことができる。
【0100】
904において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、デバイス200aもしくはデバイス300、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステムを介して)超伝導バス共振器(例えば、超伝導バス共振器102)を、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの第2の振動モード(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した第2の振動モード)に対応する振動モード構造(例えば、第2の振動モード構造124b)に結合することを含むことができる。
【0101】
906において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、デバイス200aもしくはデバイス300、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステムを介して)第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの臨界電流を調整することを含むことができる。例えば、
図1A、
図1B、
図2A、
図2B、および
図4を参照して上述したように、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方を実施する本明細書で定義されたエンティティは、コンデンサ228aの静電容量=コンデンサ228bの静電容量=10フェムトファラッド(fF)に設定することができ、超伝導バス共振器102の共振周波数(fr)は4GHzである。この例では、そのようなエンティティは、(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を介して)第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bの臨界電流を、第1の超伝導キュービット104aおよび第2の超伝導キュービット104bのそれぞれについて電流I1と電流I2との間に5パーセント(%)の非対称性を伴って約20nAから約30nAに調整または変更することあるいはその両方が可能である。
【0102】
908において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、本明細書で定義されたエンティティ、デバイス200aもしくはデバイス300、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステムを介して)第1の超伝導キュービットの第1の振動モードと第2の超伝導キュービットの第1の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)が抑制されるかどうかを判定することを含むことができる。例えば、動作906で上述した例を参照すると、上記で定義されたパラメータに従ってデバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方を実施するエンティティは、グラフ400を使用して、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)が抑制されるかどうかを判定することができる。この例では、そのようなエンティティは、グラフ400を使用して、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方が上記で定義されたパラメータに従って実施される場合、第1の超伝導キュービット104aの第2の振動モードと第2の超伝導キュービット104bの第2の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)が1kHz未満であるかどうかを判定することができる。この例では、デバイス200aまたはデバイス300あるいはその両方が上記で定義されたそのようなパラメータに従って実施される場合、1kHz未満の周波数値を有するそのようなZZ相互作用が抑制されること、中止されること、または効果的に存在しないことあるいはその組合せであることが理解されるべきである。
【0103】
908において、第1の超伝導キュービットの第1の振動モードと第2の超伝導キュービットの第1の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)が抑制されると判定された場合、910において、コンピュータ実施方法900は、(例えば、デバイス200aもしくはデバイス300、コンピュータ1012、または
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された1つもしくは複数のタイプの外部デバイスあるいはその組合せを含むシステムを介して)第1の超伝導キュービットと第2の超伝導キュービットとの間のもつれ量子ゲートを実行することを含むことができる。例えば、
図2Aおよび
図2Bを参照して上述したように、デバイス200aを実施する本明細書で定義されたエンティティは、(例えば、上述したように、本明細書で定義された外部デバイスのうちの1つもしくは複数またはコンピュータ1012あるいはその両方を使用してマイクロ波パルスを介して)超伝導バス共振器102をその共振周波数(例えば、4GHz)から離調させて、RIPゲートを介して2キュービットもつれゲート(例えば、2キュービットもつれ量子ゲート)を生成または実行することあるいはその両方が可能である。この例では、上述したように超伝導バス共振器102をその共振周波数から離調させることによって、そのようなエンティティは、(例えば、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間にもつれ量子ゲートを作り出すために)第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとをもつれさせることができる。この例では、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとのこのようなもつれにより、第1の超伝導キュービット104aと第2の超伝導キュービット104bとの間でもつれ量子ゲート動作を実行することが可能になる。
【0104】
908において、第1の超伝導キュービットの第1の振動モードと第2の超伝導キュービットの第1の振動モードとの間のZZ相互作用(例えば、静的ZZ相互作用)が抑制されないと判定された場合、コンピュータ実施方法900は、動作906に戻って、第1の超伝導キュービットおよび第2の超伝導キュービットの臨界電流を調整することを含むことができる。様々な実施形態において、コンピュータ実施方法900の動作906および動作908は、第1の超伝導キュービットの第1の振動モードと第2の超伝導キュービットの第1の振動モードとの間のZZ相互作用が(例えば、1kHz未満に)抑制されるまで繰り返され得る。これらの実施形態では、第1の超伝導キュービットの第1の振動モードと第2の超伝導キュービットの第1の振動モードとの間のZZ相互作用が抑制されるまで動作906および908を繰り返したことに基づいて、コンピュータ実施方法900は、動作910に進むことができる。
【0105】
開示された主題の様々な態様のコンテキストを提供するために、
図10および以下の説明は、開示された主題の様々な態様が実施され得る好適な環境の概略的説明を提供することを意図している。
図10は、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示す。例えば、以下に説明するように、動作環境1000を使用して、本明細書に記載された本開示の1つまたは複数の実施形態に従ってデバイス100a、200a、または300あるいはその組合せを製造するために実施され得る、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスを実施することができる。別の例では、以下に説明するように、動作環境1000を使用して、
図7、
図8、および
図9を参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数を実施することができる。簡潔にするために、本明細書に記載の他の実施形態で使用されている同様の要素またはプロセスあるいはその両方についての繰り返しの説明は省略されている。
【0106】
デバイス100a、200a、または300あるいはその組合せを製造するために実施され得る、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスは、コンピューティング・システム(例えば、
図10に例示された、後述する動作環境1000)またはコンピューティング・デバイス(例えば、
図10に例示された、後述するコンピュータ1012)あるいはその両方によって実施され得る。非限定的で例示的な実施形態では、そのようなコンピューティング・システム(例えば、動作環境1000)またはそのようなコンピューティング・デバイス(例えば、コンピュータ1012)あるいはその両方は、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによって実行されたときに、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスの実行を容易にすることができる実行可能命令を記憶することができる1つまたは複数のメモリ・デバイスとを備えることができる。非限定的な例として、1つまたは複数のプロセッサは、半導体デバイスまたは超伝導体デバイスあるいはその両方の製造を実行するように動作可能な1つもしくは複数のシステムまたは機器あるいはその両方を指示または制御することあるいはその両方によって、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述した例示的で非限定的なマルチステップ製造シーケンスの実行を容易にすることができる。
【0107】
別の例では、
図7、
図8、および
図9をそれぞれ参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数は、動作環境1000によって実施(例えば、実行)されることも可能である。非限定的な例として、そのようなコンピューティング・デバイス(例えば、コンピュータ1012)の1つまたは複数のプロセッサは、そのようなコンピュータ実施方法の動作またはルーチンあるいはその両方を実行するように動作可能な1つまたは複数のシステムまたは機器あるいはその両方(例えば、
図1Aおよび
図1Bを参照して上記で定義された外部デバイスのうちの1つまたは複数)を指示または制御することあるいはその両方によって、
図7、
図8、および
図9をそれぞれ参照して上述した例示的で非限定的なコンピュータ実施方法700、800、または900あるいはその組合せのうちの1つまたは複数の実行を容易にすることができる。
【0108】
説明を簡単にするために、コンピュータ実施方法論は、一連の動作として描写および説明されている。主題の革新は、例示された動作または動作の順序あるいはその両方によって限定されず、例えば、動作は、様々な順序でまたは同時にあるいはその両方で生じる可能性があり、本明細書では提示も説明もされていない他の動作とともに生じる可能性があることが理解および認識されるべきである。さらに、開示された主題に従ってコンピュータ実施方法論を実施するために、例示された動作のすべてが必要とされるわけではない。さらに、当業者であれば、代替として、コンピュータ実施方法論が状態図またはイベントを介して一連の相互に関連する状態として表され得ることを理解および認識するであろう。さらに、以下および本明細書全体で開示されるコンピュータ実施方法論は、そのようなコンピュータ実施方法論のコンピュータへの移送および転送を容易にするために製造品に記憶され得ることがさらに理解されるべきである。本明細書で使用される製造品という用語は、任意のコンピュータ可読デバイスまたは記憶媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラムを包含することを意図している。
【0109】
図10を参照すると、本開示の様々な態様を実施するための好適な動作環境1000は、コンピュータ1012も含むことができる。コンピュータ1012はまた、処理ユニット1014、システム・メモリ1016、およびシステム・バス1018を含むことができる。システム・バス1018は、システム・メモリ1016を含むがこれに限定されないシステム構成要素を処理ユニット1014に結合する。処理ユニット1014は、様々な利用可能なプロセッサのいずれかとすることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも処理ユニット1014として採用することができる。システム・バス1018は、インダストリアル・スタンダード・アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネル・アーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェント・ドライブ・エレクトロニクス(IDE)、VESAローカル・バス(VLB)、周辺機器相互接続(PCI)、カード・バス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、アドバンスト・グラフィックス・ポート(AGP)、ファイアワイヤ(IEEE1394)、および小規模コンピュータ・システム・インターフェース(SCSI)を含むがこれらに限定されない任意の様々な利用可能なバス・アーキテクチャを使用する、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺バスもしくは外部バス、またはローカル・バスあるいはその組合せを含む、いくつかのタイプのバス構造体のいずれかとすることができる。
【0110】
システム・メモリ1016は、揮発性メモリ1020および不揮発性メモリ1022を含むこともできる。起動中などにコンピュータ1012内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ1022に記憶される。コンピュータ1012は、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータ記憶媒体を含むこともできる。
図10は、例えば、ディスク・ストレージ1024を示す。ディスク・ストレージ1024は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピ(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックなどのデバイスを含むこともできるが、これらに限定されない。ディスク・ストレージ1024は、記憶媒体を別個に、または他の記憶媒体と組み合わせて含むこともできる。システム・バス1018へのディスク・ストレージ1024の接続を容易にするために、典型的には、インターフェース1026などの取り外し可能または取り外し不可能なインターフェースが使用される。
図10は、ユーザと、好適な動作環境1000に記載された基本的なコンピュータ・リソースとの間の仲介として作用するソフトウェアも示す。このようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム1028を含むこともできる。ディスク・ストレージ1024に記憶され得るオペレーティング・システム1028は、コンピュータ1012のリソースを制御および割り当てるように作用する。
【0111】
システム・アプリケーション1030は、例えばシステム・メモリ1016内またはディスク・ストレージ1024上のいずれかに記憶されたプログラム・モジュール1032およびプログラム・データ1034を介したオペレーティング・システム1028によるリソースの管理を活用する。本開示が様々なオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組合せを用いて実施され得ることを理解されたい。ユーザは、入力デバイス1036を介してコンピュータ1012にコマンドまたは情報を入力する。入力デバイス1036には、マウスなどのポインティング・デバイス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星受信アンテナ、スキャナ、TVチューナ・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、ウェブ・カメラなどが含まれるが、これらに限定されない。これらおよび他の入力デバイスは、インターフェース・ポート1038を経由してシステム・バス1018を介して処理ユニット1014に接続する。インターフェース・ポート1038には、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)が含まれる。出力デバイス1040は、入力デバイス1036と同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータ1012に入力を提供し、コンピュータ1012から出力デバイス1040に情報を出力することができる。出力アダプタ1042は、出力デバイス1040の中でもとりわけ、特別なアダプタを必要とするモニタ、スピーカ、およびプリンタのような一部の出力デバイス1040が存在することを示すために設けられている。出力アダプタ1042には、限定ではなく例として、出力デバイス1040とシステム・バス1018との間の接続手段を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードが含まれる。リモート・コンピュータ1044など、他のデバイスまたはデバイスのシステムあるいはその両方が入力と出力との両方の機能を提供することに留意されたい。
【0112】
コンピュータ1012は、リモート・コンピュータ1044などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化された環境において動作することができる。リモート・コンピュータ1044は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサ・ベースの機器、ピア・デバイスまたは他の共通ネットワーク・ノードなどとすることができ、典型的には、コンピュータ1012に関して説明した要素のうちの多くの要素またはすべての要素を含むこともできる。簡潔にするために、リモート・コンピュータ1044とともに、メモリ・ストレージ・デバイス1046のみを示している。リモート・コンピュータ1044は、ネットワーク・インターフェース1048を介してコンピュータ1012に論理的に接続され、さらに通信接続1050を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェース1048は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、セルラ・ネットワークなどの有線または無線あるいはその両方の通信ネットワークを包含する。LAN技術には、ファイバ分散データ・インターフェース(FDDI)、銅線分散データ・インターフェース(CDDI)、Ethernet(R)、トークン・リングなどが含まれる。WAN技術には、ポイント・ツー・ポイント・リンク、統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN)およびその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、ならびにデジタル加入者線(DSL)が含まれるが、これらに限定されない。通信接続1050は、ネットワーク・インターフェース1048をシステム・バス1018に接続するために使用されるハードウェア/ソフトウェアを指す。説明を明確にするために、通信接続1050はコンピュータ1012の内部に示されているが、コンピュータ1012の外部とすることもできる。ネットワーク・インターフェース1048に接続するためのハードウェア/ソフトウェアは、例示のみを目的として、正規電話グレード・モデム、ケーブル・モデムおよびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、ならびにEthernet(R)カードなどの内部技術および外部技術を含むこともできる。
【0113】
本発明は、任意の可能な技術的詳細の統合レベルでのシステム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品あるいはその組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスが使用するための命令を保持および記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の好適な組合せとすることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストには以下のもの、すなわち、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピ(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録された溝内の隆起構造体などの機械的に符号化されたデバイス、および上記の任意の好適な組合せを含むこともできる。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、または電線を介して伝送される電気信号などの、一過性の信号自体であると解釈されるべきではない。
【0114】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、または、ネットワーク、例えばインターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、またはワイヤレス・ネットワークあるいはその組合せを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバあるいはその組合せを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、そのコンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体での記憶のために転送する。本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、インストラクション・セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用の構成データ、または、Smalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして全体がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上で、一部がユーザのコンピュータ上かつ一部がリモート・コンピュータ上で、または全体がコンピュータ上もしくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されることができ、または(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに接続されることができる。いくつかの実施形態では、本発明の態様を実行するために、例えば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路が、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をパーソナライズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0115】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照しながら本明細書で説明されている。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ることが理解されよう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実施する手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されて、マシンを作り出すものとすることができる。また、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を含むように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスあるいはその組合せに対して特定の方式で機能するように指示できるものとすることもできる。また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイスで実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実施するように、コンピュータ実施プロセスを作り出すべくコンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の演算動作を実行させるものとすることもできる。
【0116】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。いくつかの代替の実装形態では、ブロックに記載された機能を、図に記載された順序とは異なる順序で行うことができる。例えば、連続して示されている2つのブロックを、実際には、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行することができ、または場合によっては、それらのブロックを逆の順序で実行することができる。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せは、指定された機能または動作を実行するか、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを遂行する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装され得ることにも留意されたい。
【0117】
本主題について、1つまたは複数のコンピュータ上で動作するコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで上述したが、当業者には、本開示がまた、他のプログラム・モジュールと組み合わせて実施され得ることが理解されよう。一般に、プログラム・モジュールには、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実装する、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、構成要素、データ構造などが含まれる。また、当業者には、本発明のコンピュータ実施方法が、シングル・プロセッサまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、ならびにコンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサ・ベースのまたはプログラム可能なコンシューマ向けのまたは産業用の電子機器などを含む他のコンピュータ・システム構成で実施され得ることが理解されよう。例示した態様は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境において実施され得る。しかしながら、本開示のすべての態様ではないとしてもいくつかの態様は、スタンドアロン・コンピュータ上で実施され得る。分散コンピューティング環境では、プログラム・モジュールは、ローカルとリモート両方のメモリ・ストレージ・デバイスに配置され得る。例えば、1つまたは複数の実施形態では、コンピュータ実行可能構成要素は、1つまたは複数の分散メモリ・ユニットを含むか、またはそれから構成され得るメモリから実行され得る。本明細書で使用される「メモリ」および「メモリ・ユニット」という用語は交換可能である。さらに、本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態は、コンピュータ実行可能構成要素のコードを分散方式で実行することができ、例えば、複数のプロセッサが、組み合わされてまたは協働して、1つまたは複数の分散メモリ・ユニットからのコードを実行することができる。本明細書で使用する「メモリ」という用語は、1つの場所にある単一のメモリもしくはメモリ・ユニット、または1つもしくは複数の場所にある複数のメモリもしくはメモリ・ユニットを包含することができる。
【0118】
本出願で使用する「構成要素」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などの用語は、1つまたは複数の特定の機能性を有するコンピュータ関連のエンティティ、または演算マシンに関連するエンティティを指すか、またはそれらを含むか、あるいはその両方とすることができる。本明細書で開示されるエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。例えば、構成要素は、プロセッサ上で動作するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、またはコンピュータあるいはその組合せとすることができるが、これらに限定されない。例として、サーバ上で動作するアプリケーションとそのサーバとの両方を、構成要素とすることができる。1つまたは複数の構成要素がプロセスまたは実行スレッドあるいはその両方内に存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に局在しているか、または2つ以上のコンピュータ間に分散しているか、あるいはその両方とすることができる。別の例では、それぞれの構成要素は、様々なデータ構造が記憶された様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。構成要素は、1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システムまたは分散システム内の別の構成要素と、またはインターネットなどのネットワークを経由して他のシステムと、あるいはその両方と信号を介して対話する1つの構成要素からのデータ)を有する信号などに従って、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信することができる。別の例として、構成要素は、プロセッサによって実行されるソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションによって動作する電気回路または電子回路によって動作する機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができる。このような場合、プロセッサは装置の内部にあっても外部にあってもよく、ソフトウェアまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の例として、構成要素は、機械部品なしで電子構成要素を介して特定の機能を提供する装置とすることができ、電子構成要素は、電子構成要素の機能を少なくとも部分的に与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するプロセッサまたは他の手段を含むことができる。一態様では、構成要素は、例えばクラウド・コンピューティング・システム内の仮想マシンを介して電子構成要素をエミュレートすることができる。
【0119】
さらに、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、特に指定のない限り、または文脈から明らかでない限り、「Xは、AまたはBを採用する」は、自然な包括的置換のうちのいずれかを意味することを意図している。すなわち、XがAを採用する、XがBを採用する、またはXがAとBの両方を採用する場合、上記の事例のいずれにおいても「Xは、AまたはBを採用する」を満たしている。さらに、本明細書および添付の図面で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、特に指定のない限り、または文脈から単数形を対象とすることが明らかでない限り、一般に、「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用する「例」または「例示的」という用語あるいはその両方は、例、事例、または例示としての役割を果たすものとして利用される。誤解を避けるために、本明細書に開示された主題は、そのような例に限定されない。さらに、「例」または「例示的」という用語あるいはその両方として本明細書に記載されているいずれの態様または設計も、他の態様または設計と比較して必ずしも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている同等の例示的な構造および技術を排除することを意味するものでもない。
【0120】
「プロセッサ」という用語は、本明細書で使用される場合、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するシングル・プロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェア・マルチスレッド実行能力を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術を有するマルチコア・プロセッサ、並列プラットフォーム、および分散型共有メモリを有する並列プラットフォームを含むがこれらに限定されない、実質的に任意のコンピューティング処理ユニットまたはデバイスを指すことができる。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、複合プログラマブル・ロジック・デバイス(CPLD)、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを指すことができる。また、プロセッサは、ユーザ機器の空間使用を最適化するまたは性能を高めるために、分子および量子ドット・ベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどであるがこれらに限定されないナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサは、コンピューティング処理ユニットの組合せとして実装されることも可能である。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」という用語、ならびに構成要素の動作および機能に関連する実質的に任意の他の情報ストレージ構成要素は、「メモリ構成要素」、「メモリ」において具現化されたエンティティ、またはメモリを含む構成要素を指すために用いられる。本明細書に記載のメモリまたはメモリ構成要素あるいはその両方が、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリのいずれかであり得るか、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含み得ることを理解されたい。限定ではなく例として、不揮発性メモリは、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))を含むことができる。揮発性メモリは、例えば、外部キャッシュ・メモリとして作用し得るRAMを含むことができる。限定ではなく例として、RAMは、シンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM)などの多くの形式で利用可能である。さらに、本明細書のシステムまたはコンピュータ実施方法の開示されたメモリ構成要素は、これらを含むことに限定されないが、これらおよび任意の他の好適なタイプのメモリを含むことを意図している。
【0121】
上記で説明したものは、システム、およびコンピュータ実施方法の例を含むにすぎない。当然ながら、本開示を説明するために、構成要素またはコンピュータ実施方法あるいはその両方の考えられるすべての組合せを説明することは不可能であるが、当業者であれば、本開示の多くのさらなる組合せおよび置換えが可能であると理解することができる。さらに、「含む」、「有する」、「所有する」などの用語が、詳細な説明、特許請求の範囲、添付書類および図面で使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲において「備える」という用語が移行語として用いられる際に解釈される場合と同様に、包括的であることを意図している。
【0122】
様々な実施形態の説明を例示の目的で提示してきたが、この説明は、網羅的であることも、開示された実施形態に限定されることも意図していない。当業者には、説明した実施形態の範囲および思想から逸脱することなく多くの修正形態および変形形態が明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実際の適用例、もしくは市場で見られる技術を超える技術的な改良を最もよく説明するように、または本明細書で開示された実施形態を当業者が理解することが可能になるように選択されたものである。