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特許7580488皮膚刺激装置および皮膚刺激装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】皮膚刺激装置および皮膚刺激装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
A61H23/02 352
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022568200
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2021043783
(87)【国際公開番号】W WO2022124132
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】P 2020206292
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】大野 和久
(72)【発明者】
【氏名】大谷 毅
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-250161(JP,A)
【文献】特開2013-188250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面に機械刺激を与える皮膚刺激装置であって、
前記皮膚表面の第1の位置に機械刺激を与える第1の可動部と、
前記第1の可動部と対をなすとともに、前記第1の位置から所定距離だけ離れた前記皮膚表面の第2の位置に機械刺激を与える第2の可動部と、
前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれに同方向の磁束を印加することにより、前記第1の可動部を前記皮膚表面に対して鉛直である第1の方向に変位させ、前記第2の可動部を前記第1の方向とは反対の第2の方向に変位させる磁束生成部と、
を備えることを特徴とする皮膚刺激装置。
【請求項2】
前記第1の可動部および前記第2の可動部は一体に構成されることを特徴とする請求項1に記載の皮膚刺激装置。
【請求項3】
前記第1の可動部は第1の磁極を有し、前記第2の可動部は前記第1の磁極とは反対の第2の磁極を有することを特徴とする請求項2に記載の皮膚刺激装置。
【請求項4】
前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれは、互いに分離して構成される請求項1に記載の皮膚刺激装置。
【請求項5】
前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれは、第1の磁極と、前記第1の磁極とは反対の第2の磁極とを有し、
前記第1の可動部において、前記皮膚表面から鉛直方向に前記第1の磁極、前記第2の磁極が順に積層され、
前記第2の可動部において、前記皮膚表面から鉛直方向に前記第2の磁極、前記第1の磁極が順に積層されることを特徴とする請求項4に記載の皮膚刺激装置。
【請求項6】
前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれと前記皮膚表面との間にはスペーサが設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項7】
前記第1の可動部および前記第2の可動部を保持するとともに、顔に装着可能な装着部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項8】
前記磁束生成部は前記装着部と一体に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の皮膚刺激装置。
【請求項9】
前記磁束生成部は前記装着部と分離して構成されていることを特徴とする請求項7に記載の皮膚刺激装置。
【請求項10】
前記磁束生成部は携帯端末に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の皮膚刺激装置。
【請求項11】
前記磁束生成部は鏡に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の皮膚刺激装置。
【請求項12】
前記磁束生成部は寝具に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の皮膚刺激装置。
【請求項13】
前記磁束生成部は磁気コイルによって前記磁束を生成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項14】
前記磁束生成部は磁石によって前記磁束を生成することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項15】
前記磁束生成部は、前記磁石を変位させることにより、前記磁束を変化させることを特徴とする請求項14に記載の皮膚刺激装置。
【請求項16】
前記磁束生成部は、前記磁石を回転させることにより、前記磁束を変化させることを特徴とする請求項15に記載の皮膚刺激装置。
【請求項17】
前記磁束生成部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記磁束の密度、前記磁束の変化の周波数、および前記磁束の変化の波形の少なくとも1つを時間に伴い所定の駆動パターンで変化させることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の皮膚刺激装置。
【請求項18】
前記制御部は、被施術者の年齢、性別、嗜好、および前記皮膚表面の部位の少なくとも1つに応じて前記駆動パターンを決定することを特徴とする請求項17に記載の皮膚刺激装置。
【請求項19】
前記制御部は、前記被施術者の生体から得られた情報に基づき前記駆動パターンを決定することを特徴とする請求項18に記載の皮膚刺激装置。
【請求項20】
皮膚表面の第1の位置に機械刺激を与える第1の可動部と、前記第1の可動部と対をなすとともに、前記第1の位置から所定距離だけ離れた前記皮膚表面の第2の位置に機械刺激を与える第2の可動部とを備える皮膚刺激装置の制御方法であって、
前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれに同方向の磁束を印加することにより、前記第1の可動部を前記皮膚表面に対して鉛直である第1の方向に変位させ、前記第2の可動部を前記第1の方向とは反対の第2の方向に変位させるステップを備えることを特徴とする皮膚刺激装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚刺激装置および皮膚刺激装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、皮膚に刺激を与える皮膚刺激装置が案出されている。特許文献1に記載の皮膚刺激装置は、顔面形状のマスクと、マスクに設けられた振動付与体とを備える。振動付与体は振動素子またはモータから構成され、マスクを介して機械振動を肌に付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/139150号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の皮膚刺激装置は、振動付与体の振動をマスク全体に伝達させることによって、マスクから皮膚に刺激を与えている。このとき、振動付与体は、マスクからの反作用によって、マスクの変位とは逆向きに変位し得る。このため、振動付与体から皮膚に付与される機械振動は弱められ、十分な皮膚刺激を与えることができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、皮膚に十分な皮膚刺激を与えることができる皮膚刺激装置および皮膚刺激装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、皮膚表面に機械刺激を与える皮膚刺激装置であって、前記皮膚表面の第1の位置に機械刺激を与える第1の可動部と、前記第1の可動部と対をなすとともに、前記第1の位置から所定距離だけ離れた前記皮膚表面の第2の位置に機械刺激を与える第2の可動部と、前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれに同方向の磁束を印加することにより、前記第1の可動部を前記皮膚表面に対して鉛直である第1の方向に変位させ、前記第2の可動部を前記第1の方向とは反対の第2の方向に変位させる磁束生成部と、を備えることを特徴とする皮膚刺激装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によれば、皮膚表面の第1の位置に機械刺激を与える第1の可動部と、前記第1の可動部と対をなすとともに、前記第1の位置から所定距離だけ離れた前記皮膚表面の第2の位置に機械刺激を与える第2の可動部とを備える皮膚刺激装置の制御方法であって、前記第1の可動部および前記第2の可動部のそれぞれに同方向の磁束を印加するステップと、前記第1の可動部を前記皮膚表面に対して鉛直である第1の方向に変位させ、前記第2の可動部を前記第1の方向とは反対の第2の方向に変位させるステップとを備えることを特徴とする皮膚刺激装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、皮膚刺激装置および皮膚刺激装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態における皮膚刺激装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態における皮膚刺激部の上面透視図である。
図3】本発明の第1実施形態における皮膚刺激部の断面図である。
図4】本発明の第1実施形態における制御部のブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態における駆動信号の波形の一例である。
図6】本発明の第1実施形態における皮膚刺激部の動作を説明する図である。
図7】本発明の第1実施形態におけるユーザ端末のブロック図である。
図8】本発明の第1実施形態における操作画面の一例である。
図9】本発明の第2実施形態における皮膚刺激部の上面透視図である。
図10】本発明の第2実施形態における皮膚刺激部の断面図である。
図11】本発明の第2実施形態における皮膚刺激部の動作を説明する図である。
図12】本発明の第3実施形態における皮膚刺激部の断面図である。
図13】本発明の第4実施形態における制御部のブロック図である。
図14】本発明の第5実施形態における皮膚刺激部の上面透視図である。
図15】本発明の他の実施形態における磁気コイルの設置例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。明細書全般における同じ参照符号は、実質的に同一の構成要素を意味する。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明における皮膚刺激装置の構成を示す図である。皮膚刺激装置は被施術者の顔、手、足等に装着され、被施術者の皮膚に機械刺激を与えるために用いられるマッサージ装置である。皮膚刺激装置は、皮膚刺激部1、制御部2を含み、ユーザ端末(携帯端末)3によって操作され得る。
【0012】
皮膚刺激部1は、皮膚に装着可能な装着部10を備える。装着部10は、粘着性を有する薄膜シートであって、皮膚に密着可能となるように柔軟性を有する。装着部10は、顔に対応した形状を有し、目、鼻、口の位置に開口部を有する。また、装着部10が顔以外の身体部位に装着される場合には、装着部10は身体部位に対応した形状を有し得る。装着部10には未図示の磁気コイルおよび磁石が埋設されており、磁気コイルに電流を流すことにより磁石が振動し、皮膚に機械刺激が付与される。
【0013】
制御部2は、信号線を介して皮膚刺激部1に接続され、磁気コイルに駆動信号を印加する。制御部2はさらにユーザ端末3と通信可能であって、被施術者はユーザ端末3を介して制御部2を操作可能である。なお、制御部2は、皮膚刺激部1と一体に構成されてもよい。
【0014】
ユーザ端末3は、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどから構成され、制御部2を操作するために用いられる。ユーザ端末3は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等を介して制御部2と通信可能である。制御部2とユーザ端末3との無線通信方式は、Bluetoothに限定されるものではなく、NFC(Near Field Communication)等の任意の通信方式であり得る。なお、ユーザ端末3は、必ずしも制御部2と別に設けられることを要せず、制御部2と一体に構成されてもよい。また、制御部2とユーザ端末3とはケーブルによって接続されてもよい。
【0015】
図2は本発明における皮膚刺激部の上面透視図である。図3は本発明における皮膚刺激部の断面図であり、図2のIII-III’線における皮膚刺激部の断面図である。図2図3において、皮膚5の表面に対して略鉛直方向をZ方向とし、皮膚5の表面に対して略平行である任意の直交軸をX方向およびY方向とする。皮膚刺激部1は、装着部10、磁気コイル11、スペーサ13、磁石14、接着層18を備える。なお、図2図3には、1組の磁気コイル11、スペーサ13、磁石14のみが示されているが、装着部10には複数組の磁気コイル11、スペーサ13、磁石14が配され得る。
【0016】
装着部10は薄膜であり、接着層18を介して皮膚表面に貼り付け可能である。装着部10は、シリコーンゴム、樹脂、ポリアクリル酸コポリマ、グリセロール、精製水等の混合材料から構成され得る。装着部10には複数の凹部101が形成されている。凹部101は、平面視において略円形をなし、Z方向に所定の深さを有している。凹部101内には、磁気コイル11、スペーサ13、磁石14が格納される。
【0017】
磁気コイル11は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド等によって被覆された銅線によって構成され、磁束生成部として機能する。銅線は単線に限定されず、ツイスト線のように複数線であってもよい。銅線は、凹部101の内壁に沿って巻回され、略円筒形の磁気コイル11を形成している。磁気コイル11の巻回数は、十分な磁束を生成可能であるように、できるだけ多いことが望ましい。一方、磁気コイル11の巻回数が多くなると、磁気コイル11の内径が小さくなり、磁気コイル11の内側に十分に大きな磁石14を格納することが困難となる。このため、磁気コイル11の巻回数と内径とを十分に確保するため、径の小さな銅線を用いることが好ましい。但し、径の小さな銅線を用いた場合、磁気コイル11のインピーダンスが増加し、磁気コイル11が発熱することがあり得る。この場合、接着層18が磁気コイル11から皮膚への熱伝導を低減することが望ましい。また、装着部10に金属粒子、無機粒子などの熱伝導性の材料を含ませ、磁気コイル11の熱を装着部10から空気中に放熱させてもよい。
【0018】
磁石14は、凹部101内であって、平面視において磁気コイル11の略中央に配されている。磁石14は略円盤状をなし、磁石14の外径は磁気コイル11の内径よりも小さい。磁石14の厚さは装着部10の厚さよりも十分に薄く、磁石14が装着部10から突出しないように配されている。磁石14は、アルニコ磁石、フェライト磁石、ネオジム磁石等であって、磁石14の一方の半円部分は第1の磁極(N極)141に帯磁され、磁石14の他方の半円部分は第2の磁極(S極)142に帯磁されている。磁気コイル11に電流が流れ、磁束が生成されると、磁極141、142は互いに逆方向に変位する。例えば、磁極141が上方(Z方向)に変位すると、磁極142は下方(-Z方向)に変位する。すなわち、磁極141、142は互いに逆方向に変位する可動部として機能し得る。
【0019】
スペーサ13は、所定の厚さを有する合成樹脂等で構成され、磁石14と皮膚5との間に設けられる。スペーサ13は皮膚5に対して磁石14を所定距離だけ隔て、磁石14から皮膚5に与える磁力を低減することができる。なお、図3に示されたように、スペーサ13は、磁石14の全体を覆うように設けられてもよい。
【0020】
スペーサ13の側部および上部には、空隙12が形成される。空隙12は、磁石14の磁極141、142が上下に変位するのを妨げない程度の広さであることが好ましい。
【0021】
接着層18は粘着性を有する薄膜であり、装着部10と皮膚5の表面と、スペーサ13の下部と皮膚5の表面とを貼り付ける。接着層18は、シリコーンゴム、樹脂、ポリアクリル酸コポリマ、グリセロール、精製水等の混合材料から構成され得る。
【0022】
なお、接着層18のかわりに装着部10が粘着性を有してもよく、装着部10が接着層18を介さず直接皮膚表面に貼り付け可能であってもよい。この場合、スペーサ13と皮膚5とは接着層18を介して接着されず、クッション材が凹部101の内壁とスペーサ13との間に充填されることによってスペーサ13と皮膚5とが接触する。クッション材はウレタン、シリコーンゲル等の柔軟性を有する材料から構成され、凹部101の内壁とスペーサ13との間に充填される。すなわち、クッション材はスペーサ13の上面、側面の全体を覆い、スペーサ13と凹部101の内壁との間の空間に隙間なく配される。クッション材は磁石14の磁極141、142が上下に変位するのを妨げない程度に十分な柔軟性を有することが好ましい。
【0023】
図4は、本発明における制御部のブロック図である。制御部2は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、ディスプレイ205、タッチセンサ206、WAN(Wide Area Network)207、LAN(Local Area Network)208、バス210を備える。各部はバス210を介して相互に接続される。
【0024】
CPU201は、アプリケーションプログラムにより皮膚刺激部1の各部を制御する。ROM202は、不揮発性メモリから構成され、皮膚刺激部1の各部を制御するためのアプリケーションプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201の動作に必要なメモリ領域を提供する。記憶装置204は、ハードディスク、半導体メモリ等から構成される。ディスプレイ205は、例えば、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等から構成される。ディスプレイ205の表面にはタッチセンサ206が配置される。タッチセンサ206は、静電容量式または抵抗式の検出回路を備える。ユーザ端末3に代えて、ディスプレイ205およびタッチセンサ206を用いて、皮膚刺激部1を操作してもよい。WAN207は、データの送受信を行う通信部であり、制御部2とインターネットとを通信可能に接続する。また、WAN207は、移動体通信ネットワークを介して制御部2とユーザ端末3とを通信可能に接続してもよい。移動体通信ネットワークは、例えば、第3世代移動通信、LTE(Long Term Evolution)、第4世代移動通信、第5世代移動通信等であり得る。LAN208は、無線通信によりデータの送受信を行う通信部であり、例えば、Bluetooth等の近距離無線通信、Wi‐Fi等の無線LAN接続による無線通信を実行可能に構成される。
【0025】
制御部2は、さらにD/A(Digital/Analog)変換器211、PWM(Pulse Wave Modulation)回路212、トランジスタ221,222、コイル223、キャパシタ224を備える。D/A変換器211は、バス210を介して入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換する。PWM回路212は、D/A変換器211から入力されたアナログ信号をパルス幅変調し、パルス信号を出力する。PNP型のトランジスタ221およびNPN型のトランジスタ222はプッシュプル回路を形成する。すなわち、トランジスタ221、222のコレクタ端子は互いに接続され、トランジスタ221、222のベース端子は互いに接続されている。トランジスタ221のエミッタ端子には正の電圧+Vddが印加され、トランジスタ222のエミッタ端子には負の電圧-Vddが印加される。トランジスタ221、222のベース端子には、PWM回路212からパルス信号が印加され、トランジスタ221、222はパルス信号に応じて相補的にオンまたはオフに駆動される。例えば、正のパルス信号がトランジスタ221、222のベース端子に印加されると、トランジスタ221はオンとなり、トランジスタ222はオフとなる。このため、トランジスタ221、222のコレクタ端子の電圧は電圧+Vddとなる。一方、負のパルス信号がトランジスタ221、222のベース端子に印加されると、トランジスタ221はオフとなり、トランジスタ222はオンとなる。このため、トランジスタ221、222のコレクタ端子の電圧は電圧-Vddとなる。また、パルス信号の電位が接地電位になると、トランジスタ221、222はともにオフとなる。コイル223、キャパシタ224はローパスフィルタとして機能し、トランジスタ221、222のコレクタ端子におけるパルス信号を平滑化し、駆動信号として磁気コイル11に出力する。
【0026】
なお、D/A変換器211、PWM回路212は磁気コイル11毎に設けられてもよい。この場合、制御部2は磁気コイル11毎に異なる駆動信号を生成し、皮膚5の表面の部位毎に異なる皮膚刺激を与えることが可能となる。
【0027】
図5は、本実施形態における駆動信号の波形の一例である。図5(A)は正弦波の駆動信号を示している。正弦波の駆動信号が磁気コイル11に印加されると、磁気コイル11によって生成される磁束の密度および方向が変化し、磁石14も正弦波の駆動信号に応じて変位する。皮膚5には正弦波の駆動信号に応じた機械刺激が付与される。図5(B)は、人間の脳波の一つであるアルファ波の駆動信号を示している。アルファ波は、人間が安静であるとき、脳波において観測される信号である。アルファ波の駆動信号を用いて機械刺激を皮膚に付与することにより、被施術者はリラックスした気分を味わうことが可能となる。磁気コイル11に印加する駆動信号は、正弦波、アルファ波に限定されず、鋸波、矩形波、心音等であってもよい。また、被施術者の好み(嗜好)の音楽を駆動信号として用いることにより、被施術者は音楽を鑑賞しながら、音楽に同期した機械刺激を得ることができる。アルファ波、心音を駆動信号に用いる場合には、センサによって被施術者のアルファ波、心音を取得してもよい。
【0028】
図6は、本発明における皮膚刺激部の動作を説明する図である。図6(A)、図6(B)において、磁気コイル11の磁束を点線で示し、N極からS極への磁束の方向を矢印で示す。図6(A)において、磁気コイル11から磁極141、142のそれぞれに同方向の磁束が印加されると、磁極141は皮膚表面に対して鉛直の下方(第1の方向)に変位し、磁極142は皮膚表面に対して鉛直の上方(第2の方向)に変位する。磁極141が下方に変位することにより、磁極141は皮膚5の位置51を押圧する。磁極142が上方に変位することにより、磁極142は皮膚5の位置52を伸長する。駆動信号の極性が反転すると、図6(B)に示すように、磁束の方向も反転する。このため、磁極141は上方に変位することにより磁極141は皮膚5の位置51を伸長し、磁極142は下方に変位することにより磁極142は皮膚5の位置52を押圧する。駆動信号の極性が繰り返し反転することで、磁極141、142は互いに逆方向に変位しながら、皮膚5に機械刺激を繰り返し与えることができる。
【0029】
ここで、比較例として、磁石14が鉛直方向にN極、S極に帯磁されていると仮定する。この場合、磁石14はN極およびS極は同方向に変位するため、磁気コイル11は磁石14の反発力を受け、変位してしまう。このため、磁気コイル11から磁石14に付与される力は弱められ、皮膚に十分に大きな機械刺激を付与することが困難となる。これに対して、本実施形態においては、磁極141、142は互いに逆方向に変位するため、磁気コイル11が磁極141、142から受ける反発力は互いに打ち消され、反発力による磁気コイル11の変位を低減することができる。この結果、磁気コイル11に対して磁極141、142の変位を大きくし、皮膚に十分に大きな機械刺激を付与することが可能となる。
【0030】
図7は本実施形態におけるユーザ端末のブロック図である。ユーザ端末3はCPU301、ROM302、RAM303、記憶装置304、ディスプレイ305、タッチセンサ306、第1無線通信I/F307、第2無線通信I/F308、撮像部309、バス310を備える。各部は、バス310を介して相互に接続される。
【0031】
CPU301は、アプリケーションプログラムによりユーザ端末3の各部を制御する。ROM302は、不揮発性メモリで構成され、ユーザ端末3の各部を制御するためのアプリケーションプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301の動作に必要なメモリ領域を提供する。記憶装置304は、不揮発性メモリ、外部メモリなどである。
【0032】
ディスプレイ305は、例えば、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ、LEDディスプレイ等から構成される。ディスプレイ305の表面には、タッチセンサ306が配されている。タッチセンサ306は静電容量式または抵抗式の検出回路を備える。
【0033】
第1無線通信I/F307は、移動体通信ネットワークにおいて無線通信を行う通信部であり、例えば、第3世代移動通信、LTE、第4世代移動通信、第5世代移動通信等を実行可能である。
【0034】
第2無線通信I/F308は、無線通信によりデータの送受信を行う通信部であり、例えば、Bluetooth等の近距離無線通信、Wi‐Fi等の無線LAN接続による無線通信、赤外線無線通信等を実行可能である。ユーザ端末3は近距離無線通信を用いて制御部2と直接に無線通信を行ってもよい。
【0035】
撮像部309は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のエリアセンサである。
【0036】
図8は、本実施形態におけるユーザ端末の操作画面の一例である。皮膚刺激部1は、ユーザ端末3に入力されたユーザ情報に基づいて、被施術者に最適な機械刺激を付与することができる。被施術者がユーザ端末3においてアプリケーションプログラムを起動すると、ユーザ端末3は図8(A)に示された画面をディスプレイ305に表示する。被施術者はディスプレイ305に配されたタッチセンサ306を操作することによって、性別、誕生日(年齢)、使用部位等の情報をユーザ端末3に入力し、駆動信号を選択することができる。なお、駆動信号は被施術者によって選択されず、アプリケーションプログラムによって決定されてもよい。被施術者が情報を入力し、「次へ」のボタンに触れることによって、ユーザ端末3は図8(B)に示された画面をディスプレイ305に表示する。図8(B)の画面において、被施術者は現在の気分の状態をユーザ端末3に入力する。ユーザ端末3は、気分の状態を表す「good」、「not bad」、「bad」の3つのアイコンをディスプレイ305に表示する。被施術者は3つのアイコンのいずれかに触れることで、被施術者の現在の気分をユーザ端末3に入力することができる。図8(C)の画面において、被施術者は行動予定を入力する。ユーザ端末3は、「スキンケア」、「のんびり」、「睡眠」等のアイコンをディスプレイ305に表示する。被施術者はこれらのアイコンのいずれかに触れることで、被施術者の行動予定を入力することができる。
【0037】
ユーザ端末3は、以上のように入力されたユーザ情報に基づいて、駆動信号、刺激時間などの皮膚刺激情報を決定する。駆動信号の決定は、正弦波、アルファ波、音楽信号などの信号種別の特定によってなされてもよく、振幅、周波数、波形等の信号波形の特定によってなされてもよい。ユーザ端末3は決定された皮膚刺激情報を制御部2に送信し、制御部2は皮膚刺激情報に基づき駆動信号を出力する。皮膚刺激部1は、駆動信号に基づき、磁束の密度、磁束の変化の周波数、および磁束の変化の波形の少なくとも1つを時間に伴い所定の駆動パターンで変化させる。これにより、被施術者に最適な機械刺激を付与することが可能となる。
【0038】
なお、ユーザ端末3によって被施術者の顔画像を取得し、ユーザ端末3は顔画像に応じて皮膚刺激情報を自動的に決定してもよい。例えば、ユーザ端末3は顔画像に紐づけて皮膚刺激情報を学習することで、入力された顔画像に最適な皮膚刺激情報を決定することができる。
【0039】
以上に述べたように、本実施形態によれば、磁石の第1の磁極と第2の磁極とを互いに逆方向に変位させることにより、磁気コイルに対する反発力を打ち消し、十分な機械刺激を付与することができる。
【0040】
[第2実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、1対の磁石のそれぞれを互いに逆方向に変位させる点において、第1実施形態における皮膚刺激装置と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0041】
図9は本実施形態における皮膚刺激部の上面透視図である。図10は本実施形態における皮膚刺激部の断面図であり、図9のX-X’線における皮膚刺激部の断面図である。
【0042】
装着部10には、凹部102A,102B、溝部103が形成されている。溝部103は、平面視において所定幅の円環状をなし、磁気コイル11は円環状の溝部103の内壁に沿って巻回されている。溝部103に空隙が生じないように、磁気コイル11は十分な巻回数を有することが好ましい。凹部102A、102Bは平面視において溝部103で囲まれた領域に形成されている。凹部102A、102Bは対称に構成され、それぞれ同じ内径および深さを有している。
【0043】
磁石14A(第1の可動部)は、凹部102Aに設けられる。断面視において、磁石14Aの上部は第1の磁極141(N極)に帯磁され、磁石14Aの下部は第2の磁極142(S極)に帯磁される。磁石14B(第2の可動部)は、凹部102Bに設けられる。断面視において、磁石14Bの上部は第2の磁極142(S極)に帯磁され、磁石14Bの下部は第1の磁極141(N極)に帯磁される。すなわち、磁石14A、14Bは、それぞれの磁極が逆となるように配される。
【0044】
スペーサ13は、磁石14Aと皮膚5との間に設けられる。空隙12は、凹部102Aとスペーサ13との間に形成される。スペーサ13は磁石14Bにおいても同様に設けられ、空隙12は凹部102Bにおいても同様に形成される。
【0045】
図11は、本実施形態における皮膚刺激部の動作を説明する図である。図11において、磁気コイル11の磁束を点線で示し、N極からS極への磁束の方向を矢印で示す。図11に示された方向に磁束が生成されると、磁石14Aは下方に変位し、磁石14Bは上方に変位する。磁石14Aが下方に変位することにより、磁石14Aは皮膚5の位置51を押圧する。磁石14Bは皮膚5の位置52を伸長する。一方、磁束の方向が反転すると、磁石14Aは上方に変位し、磁石14Bは下方に変位する。磁石14Aが上方に変位することにより、磁石14Aは皮膚5の位置51を伸長する。磁石14Bが下方に変位することにより、磁石14Bは皮膚5の位置52を押圧する。このように、磁石14A、14Bは互いに逆方向に変位しながら、皮膚5に機械刺激が繰り返される。
【0046】
本実施形態においても、磁石14A、14Bは互いに逆向きに変位するため、磁気コイル11が磁石14A、14Bから受ける反発力は互いに打ち消され、反発力による磁気コイル11の変位を低減することができる。この結果、磁気コイル11に対して磁石14A、14Bの変位を大きくし、皮膚に十分に大きな機械刺激を付与することが可能となる。
【0047】
[第3実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、磁気コイルに替えて磁石を用いて磁束を生成する点において、第1実施形態における皮膚刺激装置と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0048】
図12は本発明における皮膚刺激部の断面図である。装着部10において、磁石14が格納された凹部101の上方には、モータ15、駆動磁石16が設けられている。モータ15の回転軸151には円盤状の駆動磁石16が取り付けられている。駆動磁石16は、凹部101の上方に形成された空隙104に配されており、空隙104内において自在に回転可能である。
【0049】
駆動磁石16は、一方の半円部分はN極に帯磁され、他方の半円部分はS極に帯磁される。磁石14が駆動磁石16から受ける磁束密度が異なるように、駆動磁石16の下面は磁石14の上面に対して所定の角度傾いて配されることが好ましい。または、駆動磁石16の中心が磁石14の中心に対してオフセットして配されてもよい。このような構成により、モータ15が駆動磁石16を回転させると、磁極141、142のそれぞれにおける磁束密度が変化し、磁極141、142は上下に変位する。仮に磁石14と駆動磁石16とが略水平をなして設けられる場合、駆動磁石16の回転に応じて磁石14の磁極141、142が同時に下方向または上方向に変位する。当該構成では、第1実施形態における磁極141、142のように変位しない。一方、磁石14と駆動磁石16とが所定の角度をなして設けられる場合、磁石14の磁極141、142が互い違いに上下に変位し、第1実施形態における磁極141、142のように変位する。
【0050】
第1実施形態および第2実施形態においては、制御部2は交流の駆動信号を生成する必要があるが、本実施形態においては、直流の駆動信号をモータ15に印加すれば足りる。このため、制御部2は交流回路を要せず、制御部2の構成を簡易化することが可能となる。また、高効率のモータ15を用いることにより、エネルギー変換効率を向上させ、より少ない電流で大きな機械刺激を皮膚に与えることが可能となる。
【0051】
本実施形態においても、第1の磁極(第1の可動部)と第2の磁極(第2の可動部)から磁気コイルへの反発力を打ち消し合うことができ、皮膚に十分な皮膚刺激を与えることができる。
【0052】
[第4実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、皮膚の変位を検出する検出コイルと検出磁石とを備える点において、第1実施形態における皮膚刺激装置と異なっている。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0053】
図13は、本実施形態における制御部のブロック図である。装着部10は、皮膚刺激用の磁気コイル11および磁石14に加えて、検出コイル17および検出磁石(未図示)を備える。変位検出用の検出コイル17および検出磁石は、皮膚刺激用の磁気コイル11および磁石14と同様に構成され得る。磁気コイル11に駆動信号が印加され、皮膚5に機械刺激が与えられると、検出磁石も同様に変位する。このとき、検出コイル17には、検出磁石の変位に応じた電圧が生じる。検出コイル17に生じた電圧はアンプ231によって増幅され、A/D変換器232によってデジタル信号に変換される。デジタル信号は、被施術者の生体情報として記憶装置204に記憶される。
【0054】
皮膚5の状態に応じて、機械刺激を受けた皮膚5の変位量は異なる。例えば、皮膚5にハリがある場合には、ハリがない場合に比べて、皮膚5の変位量は小さくなることが予想される。よって、皮膚5の変位量を検出することで、皮膚5の状態を推定することが可能となる。制御部2は検出コイル17から出力された電圧に基づき、皮膚の状態を推定し、皮膚の状態に応じた皮膚刺激情報を決定することが可能となる。
【0055】
以上に述べたように、本実施形態によれば、皮膚の変位を検出することで、皮膚の状態に応じた皮膚刺激を与えることが可能となる。また、被施術者は、検出された皮膚の変位の量に基づいて、皮膚の状態を把握することが可能となる。
【0056】
[第5の実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、1つの磁気コイルにつき第1の磁石群および第2の磁石群を備える点において、第2実施形態における皮膚刺激装置と異なっている。以下、第2実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0057】
図14は、本発明における皮膚刺激部の上面透視図である。装着部10は、磁気コイル11、磁石14A、14B、14C、14Dを備える。磁気コイル11は、平面視において磁石14A、14B、14C、14Dの周囲を囲むように設けられている。磁石14A、14Cは第1の磁石群を構成し、磁石14B、14Dは第2の磁石群を構成している。第1の磁石群および第2の磁石群は、2×2のマトリクス状に配されている。第1の磁石群において、磁石14A、14Cの上部は第1の磁極(N極)141に帯磁され、磁石14A、14Cの下部は第2の磁極(S極)142に帯磁される。第2の磁石群において、磁石14B、14Dの上部は第2の磁極(S極)142(S極)に帯磁され、磁石14B,14Dの下部は第1の磁極(N極)141に帯磁される。
【0058】
本実施形態において、第1の磁石群を構成する磁石14A、14Cと第2の磁石群を構成する14B、14Dとは互いに逆方向に変位する。このため、磁気コイル11が第1の磁石群および第2の磁石群から受ける反発力は互いに打ち消され、反発力による磁気コイル11の変位を低減することができる。この結果、磁気コイル11に対して磁石14A、14B、14C、14Dの変位を大きくし、皮膚に十分に大きな機械刺激を付与することが可能となる。
【0059】
磁気コイル11における反発力を打ち消すためには、第1の磁石群および第2の磁石群を構成する磁石14の数はそれぞれ等しいことが好ましい。また、第1の磁石群および第2の磁石群はできるだけ偏らずに分散して配されることが好ましい。例えば、第1の磁石群を構成する磁石14A、14Cと第2の磁石群を構成する磁石14B、14Dとが互いに隣接して配され得る。磁石14の数および配置は、2×2に限定されるものではなく、例えば、2×3、4×4等であってもよい。
【0060】
[他の実施形態]
続いて、本実施形態における皮膚刺激装置について説明する。本実施形態における皮膚刺激装置は、磁気コイルを装着部から分離して構成する点において、第1実施形態および第2実施形態における皮膚刺激装置と異なっている。以下、第1実施形態および第2実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0061】
図15(A)は本実施形態において磁気コイルが鏡の裏面に設けられた場合の磁気コイルの設置例であり、図15(B)は本実施形態において磁気コイルが寝具に設けられた場合の磁気コイルの設置例である。図15(A)において、磁気コイル11は鏡61の反射面の裏面等に設けられる。被施術者7は顔に装着部10を貼り付け、鏡61を顔に向ける。被施術者7が鏡61を顔に近づけると、磁気コイル11の磁束によって磁石14が変位する。これにより、被施術者7は鏡に顔を映しながら、機械刺激を得ることができる。磁気コイル11はドレッサーの鏡61の裏面等に設けられてもよい。この場合、被施術者7が顔に装着部10を貼り付け、ドレッサーの鏡61を見ながら、皮膚刺激装置は皮膚に機械刺激を与えることができる。図15(B)において、寝具62は内部に磁気コイル11を備える。寝具62は、例えば、枕、クッション、マットレス等であり得る。被施術者7は顔に装着部10を貼り付け、磁気コイル11が設けられた寝具62上で就寝する。被施術者7が就寝している間、制御部2から磁気コイル11に駆動信号が印加され、皮膚に機械刺激が付与される。
【0062】
以上に述べたように、装着部と磁気コイルとを分離して構成し、磁気コイルを鏡などの日常用品に設けることにより、被施術者は日常生活において皮膚刺激装置を使用することができる。本実施形態においては、装着部には磁気コイルが設けられていないため、装着部に配線ケーブルを接続せずに済む。被施術者は配線ケーブルを気にすることなく、皮膚刺激を得ることができる。
【0063】
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において変形実施可能である。例えば、磁石は必ずしも円盤状であることを要せず、矩形の板状、棒状であっても良い。また、磁石、磁気コイルの数および形状も上述の例に限定されない。
【符号の説明】
【0064】
1 皮膚刺激部
2 制御部
3 ユーザ端末
10 装着部
11 磁気コイル
12 クッション材
13 スペーサ
14 磁石
141 第1の磁極
142 第2の磁極
15 モータ
51 第1の位置
52 第2の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15