(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置
(51)【国際特許分類】
H10K 30/50 20230101AFI20241101BHJP
F26B 5/04 20060101ALI20241101BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241101BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20241101BHJP
【FI】
H10K30/50
F26B5/04
H10K30/40
H10K71/12
(21)【出願番号】P 2022568737
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 CN2021137045
(87)【国際公開番号】W WO2023035449
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】202122197858.X
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521438869
【氏名又は名称】中国華能集団清潔能源技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUANENG CLEAN ENERGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Lab Block A, Huaneng Base, Beiqijia Future Science Park, Changping District, Beijing 102209, China
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【氏名又は名称】松本 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100198719
【氏名又は名称】泉 良裕
(72)【発明者】
【氏名】李新▲連▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲ウェイ▼▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼志国
(72)【発明者】
【氏名】秦校▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲東▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲ユン▼
(72)【発明者】
【氏名】夏渊
(72)【発明者】
【氏名】熊▲継▼光
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/123027(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/246764(WO,A1)
【文献】特開2003-039554(JP,A)
【文献】特開2006-053582(JP,A)
【文献】特開2001-026027(JP,A)
【文献】特開2010-284580(JP,A)
【文献】特開2013-122923(JP,A)
【文献】特開2005-159044(JP,A)
【文献】特開2010-118584(JP,A)
【文献】特開2015-153669(JP,A)
【文献】特表2021-507542(JP,A)
【文献】特表2018-531320(JP,A)
【文献】中国実用新案第208269524(CN,U)
【文献】特開2009-299176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-99/00
H01L 31/18-31/20
F26B 5/04-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに設けられ、膜層を成形するための基板と、
前記プラットフォームに上下移動可能に設けられるチャンバーカバーであって、前記チャンバーカバーに
は密閉チャンバーと真空ポンプとを連通させることが可能な真空管が設けられるチャンバーカバーと、
前記基板上に
前記膜層をナイフコーティングするための塗布ヘッドと、を備え、
前記チャンバーカバーは、初期状態では、前記プラットフォームの上方に位置し、前記基板が外部にさらされて、前記塗布ヘッドが前記基板上に
前記膜層を前記ナイフコーティングし、
前記チャンバーカバーは、前記ナイフコーティングが完了した直後に下へ移動するように配置され、前記基板を前記チャンバーカバーと前記プラットフォームとによって囲まれた密閉チャンバー内に係合して、前記密閉チャンバーを真空引きし、その場フラッシュ蒸着を行って
前記膜層中の溶媒を除去し、
前記真空管には前記真空管を開閉するための電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態であり、又は前記真空管は複数である場合、2つ又は複数の前記真空管は接続管を介して前記真空ポンプに接続され、前記接続管には電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態であることを特徴とするペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項2】
前記真空管は複数である場合、複数の前記真空管は前記基板に対して均一に配置されることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項3】
前記プラットフォームにシールリングが設けられ、前記シールリングは前記基板を囲んで配置され、前記チャンバーカバーには前記シールリングと嵌合可能なシールリング溝が設けられることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項4】
前記プラットフォームに吸着孔が設けられ、前記吸着孔は負圧ポンプに連通し、前記基板を吸着することに用いられることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項5】
前記塗布ヘッドの両側に1つの駆動ロッドがそれぞれ接続され、前記駆動ロッドにスライダーが接続され、前記スライダーはスライドレール内に嵌合され、前記スライドレールは前記塗布ヘッドのナイフコーティング方向に沿って延びており、前記駆動ロッドはリニア駆動装置により駆動されることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項6】
前記リニア駆動装置はリニアモーターであり、各々の前記駆動ロッドは1つの前記リニアモーターにより駆動されることを特徴とする請求項5に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項7】
前記チャンバーカバーはシリンダーにより駆動されることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項8】
前記チャンバーカバーの上方に固定板が設けられ、前記固定板にガイド孔が設けられ、前記チャンバーカバーの上面にガイド柱が設けられ、前記ガイド柱は前記ガイド孔内に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置を用いるペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜方法であって、
基板をプラットフォームに配置するステップと、
チャンバーカバーが前記プラットフォームの上方に位置する初期状態では、塗布ヘッドを用いて前記基板上に膜層をナイフコーティングするステップと、
前記ナイフコーティングが完了した直後に前記チャンバーカバーを下へ移動し、前記基板を前記チャンバーカバーと前記プラットフォームとによって囲まれた密閉チャンバー内に係合するステップと、
前記チャンバーカバーに設けられた真空管を介して真空ポンプを連通し、前記密閉チャンバーを真空引きし、その場フラッシュ蒸着を行って前記膜層中の溶媒を除去するステップと、を含み、
前記真空管には前記真空管を開閉するための電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態であり、又は前記真空管は複数である場合、2つ又は複数の前記真空管は接続管を介して前記真空ポンプに接続され、前記接続管には電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態であることを特徴とするペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペロブスカイト太陽電池の成膜の技術分野に関し、より具体的には、ペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は、2021年09月10日に中国特許庁に提出された、出願番号が202122197858.X、発明の名称が「ペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その全内容が援用により本願に組み込まれている。
【0003】
ペロブスカイト型太陽電池は、変換効率が高く、コストが低く、環境にやさしいなどの利点を持つため、ますます注目を集めている。そして、ペロブスカイト太陽電池の光電変換効率はわずか数年で数倍向上し、非常に優れた光電性能を示している。ペロブスカイト太陽電池の膜層の製造方法について、基板上に受光側電極層用の透明導電薄膜を製造し、その後、透明導電薄膜上にキャリア輸送層を製造し、キャリア輸送層の上方にペロブスカイト層を光吸収層として製造し、その後、光吸収層上に他方側のキャリア輸送層を製造し、最後に、金属層を他方側の透明導電薄膜として製造する。
【0004】
従来技術では、通常、ナイフコーティングプロセスを使用して膜層を製造する。ナイフコーティングが完了した後、成形された膜層を真空チャンバー内に移して溶媒を除去する必要があり、これはフラッシュ蒸着プロセスである。従来技術では、膜層をナイフコーティングするための装置とフラッシュ蒸着用の装置は2つの独立した装置である。ナイフコーティング装置では、膜層をナイフコーティング成形した後、成形された膜層をフラッシュ蒸着装置内に移してフラッシュ蒸着を行う必要がある。しかしながら、膜層をナイフコーティング装置からフラッシュ蒸着装置に移す過程では膜層中の溶媒の一部が揮発し、自然状態での溶媒の揮発が最終製品の品質を損なってしまう。
【0005】
従って、どのようにして膜層の移行時間を短縮させ、それによって自然状態での溶媒の揮発を回避し、さらに最終製品の品質を確保するかは、当業者が解決を急ぐべき重要な問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、膜層の移行時間を短縮させ、それによって自然状態での溶媒の揮発を回避し、さらに最終製品の品質を確保することを目的する。上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置であって、
プラットフォームと、
前記プラットフォームに設けられ、膜層を成形するための基板と、
前記プラットフォームに上下移動可能に設けられるチャンバーカバーであって、前記チャンバーカバーは前記基板を前記チャンバーカバーと前記プラットフォームとによって囲まれた密閉チャンバー内に係合することが可能であり、前記チャンバーカバーには前記密閉チャンバーと真空ポンプとを連通させることが可能な真空管が設けられるチャンバーカバーと、を備える。
【0008】
好ましくは、前記真空管に前記真空管を開閉するための電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態である。
【0009】
好ましくは、前記真空管は複数であり、複数の前記真空管は前記基板に対して均一に配置される。
【0010】
好ましくは、前記真空管は複数であり、2つ又は複数の前記真空管は接続管を介して前記真空ポンプに接続され、前記接続管に電磁弁が設けられ、前記真空ポンプは常時オン状態である。
【0011】
好ましくは、前記プラットフォームにシールリングが設けられ、前記シールリングは前記基板を囲んで配置され、前記チャンバーカバーには前記シールリングと嵌合可能なシールリング溝が設けられる。
【0012】
好ましくは、前記プラットフォームに吸着孔が設けられ、前記吸着孔は負圧ポンプに連通し、前記基板を吸着することに用いられる。
【0013】
好ましくは、塗布ヘッドをさらに備え、前記塗布ヘッドの両側に1つの駆動ロッドがそれぞれ接続され、前記駆動ロッドにスライダーが接続され、前記スライダーはスライドレール内に嵌合され、前記スライドレールは前記塗布ヘッドのナイフコーティング方向に沿って延びており、前記駆動ロッドはリニア駆動装置により駆動される。
【0014】
好ましくは、前記リニア駆動装置はリニアモーターであり、各々の前記駆動ロッドは1つの前記リニアモーターにより駆動される。
【0015】
好ましくは、前記チャンバーカバーはシリンダーにより駆動される。
【0016】
好ましくは、前記チャンバーカバーの上方に固定板が設けられ、前記固定板にガイド孔が設けられ、前記チャンバーカバーの上面にガイド柱が設けられ、前記ガイド柱は前記ガイド孔内に嵌合される。
【0017】
上記技術的解決手段からわかるように、初期状態では、チャンバーカバーがプラットフォームの上方に位置し、基板が外部にさらされ、従って、基板上に膜層をナイフコーティングすることができる。ナイフコーティングが完了した後、チャンバーカバーが下へ移動し、基板を密閉チャンバー内に係合し、真空ポンプ及び真空管をオンにして密閉チャンバーを真空引きし、フラッシュ蒸着を行って溶媒を除去する。膜層を成形した後、直接チャンバーカバーを降下させるだけで、成形された膜層に対してその場フラッシュ蒸着を行うことができ、成膜装置からフラッシュ蒸着装置への膜層の移行時間を省き、それによって自然状態での溶媒の揮発を回避し、さらに最終製品の品質を確保する。
【0018】
本発明の実施例の解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をせずにこれらの図面に基づいてほかの図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一具体的実施例に係るペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置がフラッシュ蒸着動作にあるときのある瞬間の状態図である。
【
図2】本発明の一具体的実施例に係るペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置がナイフコーティング動作にあるときのある瞬間の状態図である。
【
図3】本発明の一具体的実施例に係る駆動ロッド及びスライドレールの上面図である。
【
図4】本発明の一具体的実施例に係るチャンバーカバー、固定板及びガイド柱の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、膜層の位置を変えずに直ちに膜層に対してフラッシュ蒸着を行うことができ、それによって自然状態での溶媒の揮発を回避し、さらに最終製品の品質を確保するペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置を開示する。
【0021】
以下、本発明の実施例の図面を参照しながら本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は単に本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0022】
本発明の説明では、「上」、「下」などの用語で指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、単に本発明を説明することに用いられ、本発明が必ず特定の方位で構成されたり操作されたりすることを指示せず、従って本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【0023】
本発明はペロブスカイト太陽電池用のその場フラッシュ蒸着成膜装置を開示し、プラットフォーム1、基板2及びチャンバーカバー3を備える。基板2はプラットフォーム1に設けられ、膜層を成形することに用いられる。チャンバーカバー3はプラットフォーム1に上下移動可能に設けられる。チャンバーカバー3はプラットフォーム1に係合された後、プラットフォーム1とともに密閉チャンバーを形成し、基板2は該密閉チャンバー内に位置する。即ち、
図1に示すように、チャンバーカバー3は基板2をチャンバーカバー3とプラットフォーム1とによって囲まれた密閉チャンバー内に係合することが可能である。チャンバーカバー3には密閉チャンバーと真空ポンプとを連通させることが可能な真空管4が設けられる。
【0024】
図2に示すように、初期状態では、チャンバーカバー3がプラットフォーム1の上方に位置し、基板2が外部にさらされ、従って、基板2上に膜層をナイフコーティングすることができる。ナイフコーティングが完了した後、チャンバーカバー3が下へ移動し、基板2を密閉チャンバー内に係合し、真空ポンプ及び真空管4をオンにして密閉チャンバーを真空引きし、フラッシュ蒸着を行って溶媒を除去する。膜層を成形した後、直接チャンバーカバー3を降下させるだけで、成形された膜層に対してその場フラッシュ蒸着を行うことができ、成膜装置からフラッシュ蒸着装置への膜層の移行時間を省き、それによって自然状態での溶媒の揮発を回避し、さらに最終製品の品質を確保する。
【0025】
基板2上に膜層を成形した後、真空ポンプの始動に時間がかかることを回避し、それによってさらに膜層の自然状態での溶媒の揮発を回避するために、本発明は以下の設計を行った。真空管4に真空管4を開閉するための電磁弁5が設けられる。真空ポンプは常時オン状態である。一旦基板2上の膜層が成形されると、直ちにチャンバーカバー3を降下させ、その後、電磁弁5をオンにする。真空ポンプが常時オン状態であるため、電磁弁5をオンにすると、直ちに密閉チャンバーを真空引きすることができる。
【0026】
基板2の表面での真空引き速度を均一に確保するために、本発明では、真空管4は複数設けられ、複数の真空管4は基板2に対して均一に分布している。
【0027】
真空管4と真空ポンプはさらに以下の接続方法を採用してもよい。2つ又は複数の真空管4を1つの接続管を介して真空ポンプに接続するかすべての真空管4を1つの接続管を介して真空ポンプに接続するようにしてもよい。接続管に電磁弁5を設け、真空ポンプを常時オン状態にする。真空引きを行う必要がある場合、電磁弁5をオンにするだけで、直ちに密閉チャンバーを真空引きすることができる。本実施例の接続方法によって、電磁弁5の数を減らすことができる。
【0028】
チャンバーカバー3とプラットフォーム1とによって囲まれた密閉チャンバーの密封性を確保するために、本発明はさらに以下の設計を行った。プラットフォーム1にはシールリング8が基板2を囲んで設けられ、チャンバーカバー3にはシールリング8と嵌合可能なシール溝が設けられる。チャンバーカバー3がプラットフォーム1に降下した後、プラットフォーム1のシールリング8がちょうどシール溝内に押し込まれる。
【0029】
チャンバーカバー3の上下移動の安定性及び精度を確保するために、
図4に示すように、本発明はさらにガイド柱12及び固定板11が設けられる。固定板11はチャンバーカバー3の上方に設けられる。具体的には、固定板11は周囲のフレームに固定されてもよい。また、固定板11はさらに支持フレームに固定されてもよく、支持フレームは地面に設けられる。固定板11にガイド孔が設けられる。ガイド柱12は、チャンバーカバー3の上面に設けられ、チャンバーカバー3に固定して接続される。ガイド柱12はガイド孔内に挿設される。チャンバーカバー3の移動過程で、ガイド柱12とガイド孔との嵌合作用を受けて、チャンバーカバー3は安定的に上下移動することが可能であり、且つプラットフォーム1に正確に係合することが可能である。シールリング8はシールリング溝内に正確に入ることが可能である。囲まれた密閉チャンバーは予め設けられた密閉チャンバーでもあり、基板2を内部に正確に係合することができる。
【0030】
均一なガイドという点を考慮して、本発明では、ガイド柱12は2つ設けられ、2つのガイド柱12はチャンバーカバー3の両端に分布している。
【0031】
なお、チャンバーカバー3の下方に膜層をナイフコーティングする塗布ヘッド6が設けられ、従って、ガイド柱12及び固定板11がチャンバーカバー3の上方に設けられることで、塗布ヘッド6との干渉を回避することができる。
【0032】
さらになお、チャンバーカバー3の上下移動はシリンダー7により駆動されてもよい。シリンダー7は制御しやすく、動作精度が高い。
【0033】
以上の説明からわかるように、基板2はプラットフォーム1に設けられ、膜層をナイフコーティングする過程で基板2の固定を確保する必要がある。そのため、本発明では、プラットフォーム1に吸着孔が設けられる。吸着孔は複数であり、複数の吸着孔は基板2に対して均一に分布している。すべての吸着孔は負圧ポンプに連通する。膜層をナイフコーティングする過程で、負圧ポンプをオンにし、吸着孔に負圧を発生させ、それによって基板2を確実に吸着する。
【0034】
本分野では、通常、塗布ヘッド6を使用して基板2上に膜層をナイフコーティングする。塗布ヘッド6は基板2の一方側から他方側に移動する必要がある。本発明では、
図3に示すように、塗布ヘッド6の駆動方式は以下の通りである。塗布ヘッド6の両側に1つの駆動ロッド10をそれぞれ接続する。駆動ロッド10にスライダーが接続され、スライダーがスライドレール9内に嵌合される。2つの駆動ロッド10があるため、それに対応して2つのスライダー及び2つのスライドレール9がある。スライドレール9は塗布ヘッド6の移動方向に沿って延びている。駆動ロッド10はスライドレール9に垂直な方向に沿って設けられる。駆動ロッド10はリニア駆動装置により駆動される。リニア駆動装置は直線運動を出力し、それによって駆動ロッド10を駆動してスライドレール9に沿って移動させる。本発明では、リニア駆動装置として、好ましくは、リニアモーターである。そして、リニアモーターは2つであり、各々のリニアモーターは1つの駆動ロッド10を駆動する。
【0035】
上記説明からわかるように、ナイフコーティングする前に、塗布ヘッド6はプラットフォーム1の一方側に位置し、ナイフコーティングの進行に伴い、塗布ヘッド6はプラットフォーム1の他方側に移動する。塗布ヘッド6の移動過程で、チャンバーカバー3は基板2の上方に位置し、駆動ロッド10及び塗布ヘッド6はちょうどチャンバーカバー3と基板2との間の隙間を通る。ナイフコーティングが完了した後、塗布ヘッド6はチャンバーカバー3の投影範囲外に停止し、このように、チャンバーカバー3は降下する過程で塗布ヘッド6や駆動ロッド10と干渉することがない。
【0036】
本発明では、駆動ロッド10が設けられることで、塗布ヘッド6のリニアナイフコーティング動作を実現することができるとともに、駆動ロッド10がチャンバーカバー3と干渉しないことを確保することができる。このように、ナイフコーティング動作と真空引き動作が互いに干渉しないことを確保し、基板2の位置を変えずにナイフコーティング動作と真空引き動作を順に行う。
【0037】
最後に、なお、用語「備える」、「含む」又はその任意の変形は非排他的な包含をカバーし、それによって一連の要素を備える過程、方法、物品又は装置はこれらの要素を備えるだけでなく、明確にリストされていないほかの要素をさらに備えるか、又はこの過程、方法、物品又は装置に固有の要素をさらに備える。多くの制限がない場合、文「1つの…を備える」で限定される要素の場合、要素を備える過程、方法、物品又は装置に別の同じ要素がさらにあることを除外しない。
【0038】
本明細書の各実施例は漸進的に説明され、各々の実施例はほかの実施例との相違点を重点的に説明し、各実施例間の同じ又は類似の部分は互いに参照すればよい。
【0039】
開示された実施例の上記説明によって、当業者は本発明を実現又は使用することができる。これらの実施例に対する種々の変更は当業者にとって明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は本発明の趣旨又は範囲を逸脱せずに、ほかの実施例で実現することができる。従って、本発明は本明細書に記載されたこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理及び新規な特徴に一致する最も広い範囲を満たすべきである。
【符号の説明】
【0040】
1、プラットフォーム
2、基板
3、チャンバーカバー
4、真空管
5、電磁弁
6、塗布ヘッド
7、シリンダー
8、シールリング
9、スライドレール
10、駆動ロッド
11、固定板
12、ガイド柱