(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】異物除去型鋼板搬送ロール
(51)【国際特許分類】
B21B 39/00 20060101AFI20241101BHJP
B21B 45/02 20060101ALI20241101BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
B21B39/00 F
B21B45/02 330
B08B5/04 Z
(21)【出願番号】P 2023031731
(22)【出願日】2023-03-02
(62)【分割の表示】P 2021534752の分割
【原出願日】2019-10-07
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164752
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、 ソン-ユン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 カン-ヒョク
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-028418(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1294017(KR,B1)
【文献】特開2006-297888(JP,A)
【文献】特開2016-094291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00 - 41/12
B21B 45/00 - 45/08
B21C 45/00 - 49/00
B08B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵ラインが連係され、周方向に一定間隔で提供された複数の吸込み開口を含む吸込み中空体と、
内部の吸込み空間を貫通する前記吸込み中空体に回転自在に提供されて鋼板を接触搬送する吸込みロールであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、
前記吸込み中空体の吸込み開口上に吸込み空間を区画するように提供される複数の隔膜部材と、
前記吸込み中空体の内側で回転自在に提供され、前記複数の吸込み開口から選択される少なくとも1つの吸込み開口と連通する吸込み開口開閉手段と
を含む、異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項2】
集塵ラインが連係され、少なくとも1つの吸込み開口を含む吸込み中空体と、
内部の吸込み空間を貫通する前記吸込み中空体に回転自在に提供されて鋼板を接触搬送する吸込みロールであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、
前記吸込み中空体の吸込み開口上に吸込み空間を区画するように提供される少なくとも1つの隔膜部材と
を含み、
前記隔膜部材は、前記吸込み開口から前記吸込みロールの吸込み長孔に向かって延び、
前記吸込み中空体の吸込み開口と前記少なくとも1つの隔膜部材は、少なくとも機械的に位置可変される、異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項3】
前記吸込みロールは、
前記吸込み中空体の両側に軸受を媒介として回転自在に提供されたフランジ部と、
前記フランジ部に組み立てられるリブ部材と、
前記リブ部材が内面の両側に提供され、前記吸込み長孔が加工された円筒ロールボディ部と
を含む、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項4】
前記円筒ロールボディ部は、前記吸込み長孔が加工された板材が円筒体に成形されて提供され、内面の両側に前記リブ部材が溶接固定されており、
前記リブ部材と前記フランジ部は、互いにずれて当接し、分解可能にボルトにより組み立てられる、請求項3に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項5】
前記吸込み中空体は、少なくとも軸受が組み立てられる補強部をさらに含む吸込みパイプとして提供され、
前記軸受は、前記フランジ部にボルトにより組み立てられるリテーナーにより固定される、請求項3に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項6】
前記隔膜部材の内側に提供される少なくとも1つの凸傾斜板をさらに含む、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項7】
前記吸込みロールの内面に提供される少なくとも1つの補強リブをさらに含む、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項8】
前記隔膜部材は、前記補強リブが貫通する切開部をさらに含むか、または前記補強リブの間に位置する、請求項7に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項9】
前記吸込みロールに備えられた吸込み長孔の幅aと長さbは
【数1】
を満たし、
前記吸込み長孔は、両端部に形成されたラウンド面と、ロール表面側に形成された面取り面とのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項10】
前記吸込みロールの表面がコーティングされており、
前記吸込み長孔は、前記吸込みロールの長さ方向、周方向、及び対角線方向のうち少なくとも1つの方向に配列される、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項11】
前記吸込み開口開閉手段は、前記吸込み中空体の内側に第2駆動手段を媒介として回転自在に提供されており、前記吸込み中空体の周方向に一定間隔で配置された複数の吸込み開口のうち少なくとも1つと連通する第2吸込開口が備えられた第2吸込み中空体をさらに含む、請求項1に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項12】
前記吸込み中空体は、外郭フレームに取り付けられ、一側には集塵ラインが連結されており、前記吸込み中空体の内側で回転する前記第2吸込み中空体の他側は、ロータリージョイントを媒介として集塵ラインが連係される、請求項11に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項13】
前記第2駆動手段は、前記外郭フレームに連係される駆動モーターにより駆動される駆動ギヤと、前記駆動ギヤと噛み合って前記第2吸込み中空体に提供される被動ギヤとを含む、請求項12に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項14】
前記第2駆動手段は、前記外郭フレームに連係される駆動モーターにより駆動され、チェーンが締結され、前記第2吸込み中空体の他側に提供されるスプロケットを含む、請求項12に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項15】
前記第2駆動手段のギヤ側駆動モーターまたはチェーン側駆動モーターは制御部と連係されており、
前記制御部は、少なくとも鋼板の搬送ロールへの進入位置に関する情報と、異物の発生を測定するカメラとのうち少なくとも1つに連係され、前記第2吸込み中空体の回転角度を制御する、請求項13または14に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項16】
前記隔膜部材の広がり角αは
【数2】
を満たし、
ここで、α=f(D,θ)であり、Dは吸込みロールの直径であり、θは鋼板が吸込みロールをくるむ角度である、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項17】
前記異物除去型鋼板搬送ロールは、少なくとも鋼板が面接触搬送されるデフレクターロールまたはブライドルロールによって代替される、請求項1または2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項18】
前記吸込み中空体は、外郭フレームに駆動手段を媒介として回転自在に提供され、その両側には、ロータリージョイントを媒介として外部の集塵ラインが連結されており、前記駆動手段の駆動時に、前記吸込み中空体の吸込み開口と前記少なくとも1つの隔膜部材の位置が前記吸込み空間内で機械的に位置可変される、請求項2に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項19】
前記駆動手段は、前記外郭フレームに連係される駆動モーターにより駆動される駆動ギヤと、前記駆動ギヤと噛み合って前記吸込み中空体に提供される被動ギヤとを含む、請求項18に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項20】
前記駆動手段は、前記外郭フレームに連係される駆動モーターにより駆動され、チェーンが締結され、前記吸込み中空体に提供されるスプロケットを含む、請求項18に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項21】
前記駆動手段のギヤ側駆動モーターまたはチェーン側駆動モーターは制御部と連係されており、
前記制御部は、少なくとも鋼板の搬送ロールへの進入位置に関する情報と、異物の発生を測定するカメラとのうち少なくとも1つに連係され、前記少なくとも1つの隔膜部材の位置を機械的に可変制御する、請求項19または20に記載の異物除去型鋼板搬送ロール。
【請求項22】
集塵ラインが連係された吸込みパイプと、前記吸込みパイプに形成された少なくとも1つの吸込み開口を含む吸込み中空体と、
前記吸込み中空体に回転自在に提供されて鋼板が接触搬送され、内部吸込み空間と連通する複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、
前記吸込み中空体の吸込み開口上に吸込み空間を区画するように提供され、前記吸込みパイプと一体に形成された少なくとも1つの隔膜部材と、を含み、
前記隔膜部材は、前記吸込み開口から前記吸込みロールの吸込み長孔に向かって延びる、異物除去型鋼板搬送ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去型鋼板搬送ロールに関し、より詳細には、熱延や冷延鋼板の表面に付着したり周辺に飛散したりする酸化スケール、ダスト、パウダー、オイル、洗浄液、汚染物質などの異物を効果的に除去可能であり、かつ少なくともデフレクターロール(Deflector Roll)やブライドルロール(Bridle Roll)などの鋼板搬送ロールに代替可能である、異物除去型鋼板搬送ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
熱延や冷延鋼板の巻取り(Coiling)や巻戻し(Uncoiling)時に、鋼板の表面に生成された酸化スケールが脱落して鋼板の表面に積もったり周辺に飛散したりすることがあり、この場合、鋼板の表面欠陥や設備損傷などの問題を引き起こす。
【0003】
または、電気鋼板の製造時に鉄損効率を増大させるために、非磁性体であるMgOパウダーを水溶液化して塗布し、焼鈍をすると、鋼板の表面で反応しなかったMgOパウダーが落ちながら鋼板に圧入傷、押し傷などを生じさせ、製品の表面欠陥を発生させる。
【0004】
または、鋼板の圧延時における圧延油などのオイルや、鋼板の洗浄時における洗浄液などのような残留汚染物質が発生する恐れがある。
【0005】
一方、このような多様な形態の異物を処理するために、従来は、該当領域の一定部分を包囲する集塵フードを用いて処理していたが、鋼板が搬送される環境では集塵フードでの処理に限界があり、異物の吸込み効率が低かった。
【0006】
そこで、従来の他の技術として、搬送される鋼板と線接触する吸込みロール(集塵ロール、真空ロールなど)を用いて鋼板表面の異物を除去していた。
【0007】
例えば、KR10-2010-0072639A(2010.07.01)には、真空吸込みロールを用いたストリップ表面の異物を除去する技術が開示されており、KR10-2015-0073494A(2015.07.01)には、真空ポンプと連結された吸込みロールを用いて鋼板上の圧延油を除去する技術が開示されている。
【0008】
しかし、上記の公開特許の吸込みロールは、鋼板と事実上線接触する、その直径が小さい小口径のロールであり、単に孔が形成された吸込みロールを基盤としたものであるため、異物の吸込み効率が事実上大きくなく、吸い込まれる異物の粒子サイズも制限されたり、液体に限定されるものであった。
【0009】
特に、上記の公開特許の吸込みロールは、広い幅の熱延や冷延鋼板の連続搬送環境において、少なくとも鋼板の搬送方向を切り替えるデフレクターロールやブライドルロールなどの鋼板搬送ロールに代替して用いることが不可能であった。
【0010】
さらに、KR10-1294017B1(2013.08.01)には真空吸込みロールが開示されているが、上記真空吸込みロールは、ストリップ形態の製品表面の洗浄液のような残留液体を吸い込む環境に、その使用が限定されるものであった。
【0011】
一方、上記の登録特許には、吸込み空間を設定または区分する羽構造の吸込み方向設定部材が開示されている。しかし、上記吸込み方向設定部材の羽は、セッティングされた方向にのみ位置するため、ロールの駆動中に羽の位置を自動的または機械的に位置可変させることは不可能であった。
【0012】
さらに、上記登録特許も前述の公開特許と同様に、鋼板と線接触する、その直径が小さい小口径のロールであり、処理される異物も液体に限定され、単に孔が形成された吸込みロールを基盤とするものである。
【0013】
したがって、上記登録特許も、広い幅の熱延や冷延鋼板の連続搬送環境において、少なくとも鋼板の搬送方向を切り替えるデフレクターロールやブライドルロールなどの鋼板搬送ロールに代替して用いることは不可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来の問題を解消するためになされたものであって、その目的は、熱延や冷延鋼板の表面に付着したり周辺から飛散される酸化スケール、ダスト、パウダー、オイル、洗浄液、汚染物質などの異物を効果的に除去可能である、かつデフレクターロールやブライドルロールなどの鋼板搬送ロールに代替可能である、異物除去型鋼板搬送ロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような目的を達成するための技術的な一実施形態として、本発明の異物除去型鋼板搬送ロールは、集塵ラインが連係される吸込み中空体と、上記吸込み中空体に回転自在に提供され、鋼板が接触搬送されるものであって、内部吸込み空間と連通する複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、を含み、上記吸込み長孔は、設定された幅及び長さと、両端部に形成されたラウンド面と、ロール表面側に形成された面取り面、のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0016】
さらに、技術的な他の実施形態として、本発明の異物除去型鋼板搬送ロールは、集塵ラインが連係され、少なくとも1つの吸込み開口を含む吸込み中空体と、内部吸込み空間を貫通する上記吸込み中空体に回転自在に提供され、鋼板が接触搬送されるものであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、上記吸込み中空体の吸込み開口に、吸込み空間を区画するように提供される少なくとも1つの隔膜部材と、上記吸込みロールの内面に提供される少なくとも1つの補強リブと、を含むことができる。
【0017】
さらに、技術的なさらに他の実施形態として、本発明の異物除去型鋼板搬送ロールは、集塵ラインが連係され、少なくとも1つの吸込み開口を含む吸込み中空体と、内部吸込み空間を貫通する上記吸込み中空体に回転自在に提供され、鋼板が接触搬送されるものであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、上記吸込み中空体の吸込み開口に、吸込み空間を区画するように提供される少なくとも1つの隔膜部材と、を含み、上記吸込み中空体の開口と上記隔膜部材は、少なくとも機械的に位置可変されることができる。
【0018】
さらに、技術的なさらに他の実施形態として、本発明の異物除去型鋼板搬送ロールは、集塵ラインが連係され、少なくとも1つの吸込み開口を含む吸込み中空体と、内部吸込み空間を貫通する上記吸込み中空体に回転自在に提供され、鋼板が接触搬送されるものであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、を含み、上記吸込み中空体は、吸込み空間内に形成された折り曲げ部をさらに含むことができる。
【0019】
さらに、技術的なさらに他の実施形態として、本発明の異物除去型鋼板搬送ロールは、集塵ラインが連係され、周方向に一定間隔で提供された複数の吸込み開口を含む吸込み中空体と、内部吸込み空間を貫通する上記吸込み中空体に回転自在に提供され、鋼板が接触搬送されるものであって、複数の吸込み長孔が備えられた吸込みロールと、上記吸込み中空体の吸込み開口に、吸込み空間を区画するように提供される複数の隔膜部材と、上記吸込み中空体の内側で回転自在に提供され、上記複数の吸込み開口から選択される少なくとも1つの吸込み開口と連通される吸込み開口開閉手段と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
上記のような本発明は、様々な実施形態の異物吸込み環境の最適化設計により、スケール、ダスト、パウダー、オイル、洗浄液、汚染物質などの多様な形態の異物を非常に効果的に除去可能であるという効果を提供する。
【0021】
特に、本発明は、ロールの様々な構造改善による最適化設計により、従来の鋼板と線接触する小口径の吸込みロールの代わりに、広い幅の熱延や冷延鋼板の連続搬送環境に用いられる従来のデフレクターロールやブライドルロールなどの鋼板搬送ロールで完全に代替して用いても全く問題ないというさらなる効果を提供する。
【0022】
結果として、本発明は、従来の鋼板搬送ロールに代替可能であるとともに、鋼板の欠陥の要因になる異物も除去可能であるため、従来の集塵フードのような設備が不要になり、全体的なコストを低減し、設備運用においても多くの利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による異物除去型鋼板搬送ロールを示した外観図である。
【
図2】本発明による異物除去型鋼板搬送ロールがブライドルロールやデフレクターロールで駆動される状態を示した概略図である。
【
図3】
図1の鋼板搬送ロールの吸込み長孔を示した要部平面図である。
【
図4】
図1の鋼板搬送ロールの「A」部分を示した、要部断面を含む拡大図である。
【
図5a】
図1の鋼板搬送ロールの吸込み長孔の様々な配列形態の実施形態を示した要部斜視図である。
【
図5b】
図1の鋼板搬送ロールの吸込み長孔の様々な配列形態の実施形態を示した要部斜視図である。
【
図5c】
図1の鋼板搬送ロールの吸込み長孔の様々な配列形態の実施形態を示した要部斜視図である。
【
図6】鋼板搬送ロールを示した
図1のX-X’線の断面図である。
【
図7a】一例として、鋼板搬送ロールの進入位置を区分して示した概略図である。
【
図7b】一例として、鋼板搬送ロールの進入位置を区分して示した概略図である。
【
図9】
図6の鋼板搬送ロールの設置状態を示した正面構成図である。
【
図10】
図6の鋼板搬送ロールの他の実施刑態を示した正面構成図である。
【
図11】
図6の本発明の鋼板搬送ロールのさらに他の実施刑態を示した正面構成図である。
【
図12】
図11の鋼板搬送ロールの変形例を示した正面構成図である。
【
図13】鋼板搬送ロールの隔膜部材を示した要部斜視図である。
【
図14a】
図6の鋼板搬送ロールのさらに他の実施刑態を示した正面構成図である。
【
図14b】
図6の鋼板搬送ロールのさらに他の実施刑態を示した正面構成図である。
【
図15】
図6の鋼板搬送ロールのさらに他の実施刑態を示した正面構成図である。
【
図16】
図15の鋼板搬送ロールの作動状態を示した側面構成図である。
【
図17】
図15の鋼板搬送ロールの作動状態を示した側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に図面符号を付するにあたり、同一の構成要素にはたとえ異なる図面上に表示されるとしてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意すべきである。
【0025】
また、本発明を説明するにあたり、係る公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0026】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0027】
図1には、一実施形態による本発明の異物除去型鋼板搬送ロール100を示しており、
図2には、かかる異物除去型鋼板搬送ロール100の使用状態を示している。
【0028】
但し、以下の本実施形態の説明において、「異物除去型鋼板搬送ロール」を「鋼板搬送ロール」と略して説明し、実施形態によって、鋼板搬送ロールを100、200、300、400の図面符号で説明する。そして、各実施形態の鋼板搬送ロール100、200、300、400に関連する特徴的な構成要素は、100、200、300、400番台の図面符号を用いて区分して説明する。様々な実施形態の鋼板搬送ロールで共通される構成要素は、後述の実施形態では詳細な説明を簡略することはいうまでもない。
【0029】
先ず、
図1及び
図2に示したように、一実施形態による本発明の鋼板搬送ロール100は、外部の集塵ライン(
図9の20参照)と連係される吸込み中空体110と、鋼板10が接触しながら搬送されるように、上記吸込み中空体110に回転自在に提供されており、内部に形成された吸込み空間(
図6の132参照)と連通しながら異物Sを吸い込む複数の吸込み長孔120が備えられた吸込みロール130と、を含んで提供されることができる。
【0030】
すなわち、本発明の鋼板搬送ロール100は、前述の特許文献に比べて大口径のロールの形態で提供されることができる。特に、吸込みロール130は、その長さ及び周方向に密に配列される従来の吸込みロールにおける単なる円形孔とは異なる幅aと長さbを有する吸込み長孔120を含んで提供される。
【0031】
そして、
図2に示したように、本発明の鋼板搬送ロール100は、吸込みロール130に密に提供された上記複数の吸込み長孔120を介して、鋼板10の表面の酸化スケール、微細ダスト、パウダー、オイル、洗浄液、汚染物質のような多様な形態の異物Sを効果的に吸い込んで除去することができる。
【0032】
例えば、
図2のように、本発明の鋼板搬送ロール100は、従来の特許文献における、鋼板と線接触し、直径の小さい孔が形成された小口径の吸込みロールとは全く異なって、鋼板10が巻かれながら搬送方向が切り替えるか張力が印加される、鋼板が面接触するデフレクターロール100bやブライドルロール100aなどの鋼板搬送ロール100に代替して用いても全く問題がない。
【0033】
すなわち、以下に詳細に説明するとおり、本発明は、ロールのフレーム構造の改善など、最適化設計を反映して提供されることができる。但し、以下の本実施形態の説明において、上記吸込み中空体を吸込みパイプ110として説明する。
【0034】
次に、
図1及び
図3に示したように、本発明の吸込みロール130に異物の吸込み効率を高めるように密に配列される上記吸込み長孔120は、予め設定された幅aと長さbを有するように提供されることができる。
【0035】
例えば、
図3のように、上記吸込みロール130の吸込み長孔120の幅aと長さbは、少なくとも吸込みロール130の曲率を維持し、かつ鋼板10の表面に損傷が生じないように、次の式1を満たすように提供してよい。
【0036】
【0037】
例えば、
図3のように、上記吸込み長孔120の幅aが1/3b(長さ)より大きいと、上記吸込み長孔120が、吸込みロール130の曲率に対応できずにほぼ平坦になり、吸込みロール130と接触して搬送される鋼板10の表面が吸込み長孔120のロール表面側の角に触れるようになり、鋼板の表面に傷が発生するようになる。
【0038】
そして、上記吸込み長孔120の幅aが1/10b(長さ)より小さいと、吸込み長孔120の幅が小さすぎて、異物の吸込み効率が低下するか、粒子が大きいスケールなどの吸込みが困難になる。
【0039】
また、上記吸込み長孔120の幅aと長さbは、鋼板搬送ロール100の剛性を最小に維持する範囲内で設定してよい。
【0040】
したがって、本発明の吸込み長孔120は、上記式1の条件を満たすように提供することができる。
【0041】
次に、
図4に示したように、本発明の鋼板搬送ロール100において、上記吸込みロール130の吸込み長孔120は、少なくとも接触搬送される鋼板の表面の損傷を防止するために、ロール表面側の角部分が鋭くないように処理される面取り面122をさらに含むことができる。例えば、吸込み長孔120のロール表面側の角(円周)に沿って一定部分を削る面取り加工を行ってよい。
【0042】
さらに、上記吸込み長孔120は、予め設定された曲率rで両端部(エッジ部分)が湾曲するように加工されたラウンド面124をさらに含むことができる。
【0043】
したがって、本発明の鋼板搬送ロール100がデフレクターロール(
図2の100b参照)やブライドルロール(
図2の100a参照)などに代替されても、鋼板がロールに巻かれながら搬送される特性上、鋼板が面接触した際にも、鋼板の表面に表面欠陥などの損傷が発生しない。
【0044】
さらに、
図4に示したように、上記吸込みロール130の表面にはコーティング層126をさらに形成してよい。かかる吸込みロールの表面のコーティング層126は、
図2のように、鋼板10が面接触して搬送されても、鋼板10と吸込みロール130との接触による摩擦を減少させることによって、鋼板製品の表面が損傷しないようにする。
【0045】
例えば、吸込みロール130の表面に、ウレタンなどの軟質コーティング層126を形成することができ、または、工程上の要求に応じてクロムコーティング層126をコーティングしてもよい。
【0046】
結局、本発明の鋼板吸込みロール130と、この吸込みロールに備えられた吸込み長孔120とは、少なくとも鋼板が面接触して搬送されても、鋼板の表面の損傷を引き起こす要因を防止する最適化設計を反映し得る。
【0047】
次に、
図5aに示したように、本発明の上記吸込みロール130に備えられた吸込み長孔120は、上記吸込みロール130の長さ方向に配列してよく、先行と後行とをずらして配列してもよい。
【0048】
または、
図5bに示したように、上記吸込み長孔120は、上記吸込みロール130の周方向に長さを有するように配列してよく、先行と後行とをずらして配列してもよい。
【0049】
または、
図5cに示したように、上記吸込み長孔120は、吸込みロール130の対角線方向に配列してもよい。
【0050】
例えば、
図5aから
図5cのような、本発明の吸込み長孔120の多様な配列形態は、鋼板10の搬送環境や、スケールなどの異物発生環境などを考慮して適宜設定することができる。
【0051】
次に、
図6は
図1のX-X’線の断面図であり、本発明による鋼板搬送ロール100を示している。
【0052】
例えば、
図6に示したように、本発明による鋼板搬送ロール100は、外部の集塵ライン(
図9の20参照)が連係され、少なくとも1つの吸込み開口112が備えられた吸込みパイプ110と、上記吸込みパイプ110に回転自在に提供され、鋼板10が接触搬送されるものであって、内部吸込み空間132と連通して異物を吸い込む複数の吸込み長孔120が備えられた吸込みロール130と、上記吸込み開口112上に、それを包囲し、かつ少なくとも上記吸込み空間132を区画するように提供される少なくとも1つの隔膜部材150と、を含んで構成されることができる。
【0053】
一方、
図7a及び
図7bには、本発明の鋼板搬送ロール100がデフレクターロール100bに用いられる場合を示している。
【0054】
すなわち、
図6、
図7a、及び
図7bに示したように、本発明の鋼板搬送ロール100は、外部の集塵ライン(
図9の20参照)が連係された吸込みパイプ110に集塵力が印加されると、吸込みパイプ110の吸込み開口112と、それを包囲し、かつ吸込みロール130の吸込み長孔120に向かってその付近まで延びる上記隔膜部材150は、吸込みロール130の内部吸込み空間132を区画するようになる。
【0055】
これにより、内部吸込み空間132は、上記吸込み開口112と連通しながら包囲する上記隔膜部材150の内部の吸込み集中空間132’を介して異物が吸い込まれるため、異物の吸込み能力が増大される。
【0056】
一方、
図7aのように、鋼板10がデフレクターロール100bの上側に進入する場合、これに対応して、上記吸込みパイプ110の吸込み開口112と隔膜部材150を上側の約1時方向に位置させることができる。これは、ロールの設置時にセッティングすることができる。
【0057】
または、
図7bのように、鋼板10がデフレクターロール100bの下側に進入する場合、これに対応して、上記吸込みパイプ110の吸込み開口112と隔膜部材150は下側に約5時方向に位置させることができる。これは、ロールの設置時にセッティングすることができる。
【0058】
図7a及び
図7bは、本発明の鋼板搬送ロール100がデフレクターロール100bに代替されて用いられることを示したものであって、鋼板のロールへの進入位置に応じて、上記吸込みパイプ110の吸込み開口112と隔膜部材150の位置を必ずしも
図7a及び
図7bのように限定するのではないことはいうまでもない。これらの位置は適宜調整されることができることはいうまでもない。
【0059】
したがって、本発明の鋼板搬送ロール100において、上記吸込みパイプ110の吸込み開口112の位置と内部の吸込み集中空間132’を形成する隔膜部材150の位置とは、少なくとも鋼板の搬送ロールへの進入位置に応じて、所望の位置にセッティングおよび調整することができる。
【0060】
すなわち、吸込みパイプ110は固定体であるが、吸込みロール130が空回り可能に組み立てられるため、外郭フレーム(
図9の30参照)に吸込みパイプ110を固定する時に、吸込みパイプ110の吸込み開口112と隔膜部材150の位置を予めセッティングすることができる。
【0061】
次に、
図8は
図6の「B」の拡大図であり、本発明の鋼板搬送ロール100の組み立て状態を示している。
【0062】
すなわち、
図8に示したように、本発明の鋼板搬送ロール100の上記吸込みロール130は、上記吸込みパイプ110に一定の長さで備えられ、略肉盛構造であることができる補強部134に組み立てられる軸受136を媒介として空回り可能に提供されたロール側壁であるフランジ部138と、上記フランジ部138に組み立てられる円形リング構造のリブ部材140と、上記リブ部材140が内面の両側に溶接などにより固定され、吸込み長孔120が形成された円筒ロールボディ部142と、を含んで提供してよい。
【0063】
そして、上記軸受136の一側は上記フランジ部138の下端段差部(不図示)により支持され、上記軸受136の他側は、上記吸込みパイプ110の補強部134を貫通して上記フランジ部138にボルトBとして組み立てられるリテーナー144により支持されることができる。
【0064】
一方、
図8のように、上記フランジ部138とリブ部材140は、互いに重なる部分(不図示)にボルトBが締結され、必要時に分解可能に組み立てられることができる。
【0065】
この際、上記吸込みパイプ110の補強部134は軸受136の内輪に接し、上記フランジ部138は上記軸受136の外輪に接し、上記フランジ部138に上記リブ部材140と円筒ロールボディ部142が組み立てられるため、上記吸込みロール130は、吸込みパイプ110に空回り可能に提供してよい。
【0066】
例えば、
図8のように、本発明の鋼板搬送ロール100は、吸込みパイプ110と、補強部134と、フランジ部138と、リブ部材140と、ロールボディ部142と、リテーナー144の強固な組み立て構造を基盤とするため、デフレクターロールやブライドルロールなどの鋼板搬送ロールで完全に代替されて用いられても、ロールの剛性維持に問題がない。
【0067】
そして、フランジ部138に沿って周方向にボルトBが組み立てられるため、いつでも分解が可能である。これは、吸込みパイプ110と隔膜部材150、後述する補強リブ170などの吸込みロール130の内部への設置を容易にし、搬送ロールのメンテナンスも容易にする。
【0068】
例えば、吸込みパイプ110と隔膜部材150を円筒ロールボディ部142の内部に進入させた状態で、吸込みパイプ110の補強部134にフランジ部138と軸受136を組み立て、上記フランジ部138をリブ部材140とボルトにより組み立て、最終的にリテーナー144を軸受の外郭でフランジ部にボルトにより組み立てればよい。
【0069】
一方、上記円筒ロールボディ部142は、金属板(母材)に、
図5aから
図5cに示したような適正な配列に吸込み長孔120を加工した後、金属板を円筒体に巻いて成形し、ロールボディ部142として提供してよい。
【0070】
次に、
図8及び
図13のように、上記隔膜部材150は、上記吸込みパイプ110に1つ以上形成された吸込み開口112の長さ方向に固定されるメイン隔膜152と、上記メイン隔膜152のエッジ部に提供されて組み立てまたは溶接される側壁隔膜154と、からなることができる。
【0071】
したがって、外部集塵力が印加される吸込みパイプ110の吸込み開口112を包囲する上記隔膜部材150のメイン隔膜152と側壁隔膜154により形成される内部には、密閉空間、すなわち、吸込み集中空間132’が形成される。
【0072】
そして、上記隔膜部材150の隔膜152、154は、吸込み開口112から吸込みロール130の吸込み長孔120の付近まで延びるため、外部から印加される集塵力が吸込み集中空間132’のみに印加される。これにより、これに対応する吸込み長孔120を介して吸い込まれる異物の吸込み能力が増大する。
【0073】
次に、
図9には、本発明の鋼板搬送ロール100の設置状態を示している。
【0074】
すなわち、
図9に示したように、上記吸込みパイプ110は外郭フレーム30に固定され、上記外郭フレーム30を通過して延びる上記吸込みパイプ110の両端部には、集塵設備、すなわち、真空ポンプと連係される集塵ライン20を、カップリング22などを媒介として連結することができる。
【0075】
いうまでもなく、かかる集塵ライン20は吸込みパイプ110の一側のみに連結され、吸込みパイプの反対側は密封処理されることも可能であるが、吸込み能力を安定に維持するためには、吸込みパイプ110の両端部に集塵ライン20を連係させる。
【0076】
次に、
図10には、本発明による他の実施形態の鋼板搬送ロール200を示している。但し、前述の一実施形態の鋼板搬送ロール100と同一の構成要素は同一の図面符号で示し、その詳細な説明は簡略する。
【0077】
先ず、
図10に示したように、本発明の他の実施形態の鋼板搬送ロール200において、吸込みパイプ110は、外郭フレーム30に駆動手段210を媒介として回転自在に提供することができる。
【0078】
これにより、上記吸込みパイプ110と一体に吸込み開口112及び吸込み開口に連係固定された上記隔膜部材150の位置を選択的および機械的に位置可変させることが可能である。
【0079】
すなわち、上記隔膜部材150により区画される隔膜部材の内部の吸込み集中空間132’の位置を、所望の時点に、いつでも機械的に可変させることが可能である。
【0080】
図10のように、上記吸込みパイプ110は、上記外郭フレーム30に軸受114を媒介として回転自在に提供することができ、上記吸込みパイプ110の両端部は、吸込みパイプ110の回転を補償するロータリージョイント24を媒介として、外部の集塵ライン20に連結することができる。
【0081】
そして、上記駆動手段210は、上記外郭フレーム30に連係される駆動モーター212により駆動される駆動ギヤ214と、上記駆動ギヤと噛み合って上記吸込みパイプ110の少なくとも一側に提供される被動ギヤ216と、を含むことができる。
【0082】
または、別の図面に示さないが、上記駆動手段210は、上記外郭フレーム30に連係される駆動モーターにより駆動され、チェーンが締結され、上記吸込みパイプ110の少なくとも一側に提供されるスプロケットを含んで提供してもよい。
【0083】
したがって、上記隔膜部材150が吸込み開口112の周辺に固定された上記吸込みパイプ110は、上記駆動手段210の駆動モーター212の作動により互いに噛み合った駆動ギヤ214と被動ギヤ216の回転によって、または図示しない駆動チェーンとスプロケットの回転によって、上記外郭フレーム30上で回転することができる。
【0084】
例えば、
図7aのように、鋼板10がデフレクターロール110bの上側に進入される場合、本発明の鋼板搬送ロール200は、
図10のように、上記駆動手段210の駆動モーター212を駆動させることで、吸込みパイプ110とその吸込み開口112及び隔膜部材150の位置を、吸込みロール130の内部吸込み空間132で約1時方向に機械的に位置可変させることができる。
【0085】
逆に、
図7bのように、鋼板10がデフレクターロール110bの下側に進入されると、これに応じて上記駆動モーター212を制御することで、上記吸込みパイプ110とその吸込み開口112及び隔膜部材150の位置を、内部吸込み空間132で約5時方向に機械的に位置可変させることができる。
【0086】
結局、本発明の他の実施形態の鋼板搬送ロール200は、作業者が鋼板搬送ロールの設置時に吸込みパイプの開口と隔膜部材の位置をセッティングする必要がなく、鋼板の搬送環境やスケールなどの異物発生環境に対応して、迅速に吸込みパイプ110とその吸込み開口112及び隔膜部材150の位置を機械的に可変させることができる。
【0087】
より好ましくは、
図10に示したように、上記駆動手段210に備えられたギヤ側駆動モーター212または図示しないチェーン側駆動モーターは、制御部Cと連係されてよい。
【0088】
そして、上記制御部Cは、鋼板10の搬送ロールへの進入位置に関する情報(点線で表示)や異物の発生を測定するカメラ40などと連係されてよく、これにより、制御部Cは、鋼板搬送環境や異物の発生または飛散環境に対応して、上記吸込みパイプ110とその吸込み開口112及び隔膜部材150の位置を、吸込みロール130の内部吸込み空間132で自動的または機械的に可変制御することができる。
【0089】
これは、本発明の鋼板搬送ロール200による異物の吸込み能力をより強化させ、周辺環境に迅速に対応しながらより最適の異物除去を可能にする。
【0090】
次に、
図11及び
図12には、前述の本発明の鋼板搬送ロール100、200のさらに他の実施刑態を示している。
【0091】
例えば、上記吸込みロール130の円筒ロールボディ部142の内周面に、少なくとも1つの補強リブ170、好ましくは複数の補強リブ170を、一定間隔でさらに提供することができる。かかる補強リブ170は、円筒ロールボディ部142の内面に溶接固定されることで、鋼板搬送ロールの全体的な剛性をより強化する。
【0092】
前述の本発明の鋼板搬送ロール100、200は、ロールフレームの構造的な強固性により、鋼板10が面接触して搬送されるブライドルロール(
図2の100a参照)やデフレクターロール(
図2の100b参照)に代替して用いられても、全く問題がないことはいうまでもない。
【0093】
但し、
図11及び
図12に示した、上記少なくとも1つの補強リブ170は、ロールの剛性をさらに向上させ、ロールの使用寿命を延長し、特に、広幅の鋼板10が荷重を印加しながら面接触して巻かれながら搬送されても、搬送ロールの破損が防止可能である。
【0094】
さらに、本発明の補強リブ170は、吸込みロール130の円筒ロールボディ部142に吸込み長孔120が密に貫通形成されても、吸込みロール130の剛性を安定して維持させる。
【0095】
一定間隔で配列された複数の補強リブ170を、吸込みロール130の円筒ロールボディ部142の内面に、円形リングの形態に設定された高さを有するように、溶接によって固定してよい。
【0096】
上記補強リブの幅(高さ)や厚さなどは、鋼板により印加される荷重などを考慮して適宜設計されることができることはいうまでもない。
【0097】
一方、
図11に示したように、上記補強リブ170が提供される場合、前述の上記隔膜部材150のメイン隔膜152には、補強リブ170が貫通する切開部152’をさらに形成してよい。
【0098】
または、
図12のように、上記隔膜部材150のメイン隔膜152の幅を減らし、補強リブ170の間に隔膜部材150が位置するようにしてもよい。
【0099】
上記隔膜部材150の設置数に対応して吸込みパイプ110の吸込み開口112の設置数が調整されることはいうまでもない。
【0100】
次に、
図13に示したように、上述の本発明の鋼板搬送ロール100、200において、上記隔膜部材150のメイン隔膜152の内側に、少なくとも1つの凸傾斜板156をさらに提供してよい。
【0101】
好ましくは、上記凸傾斜板156は、上記隔膜部材150の両側のメイン隔膜152に提供される一対が向い合うように配置してよく、この際、凸傾斜板156の中央部分が突出する構造を有してよい。
【0102】
したがって、上記隔膜部材150の内側で向い合う上記凸傾斜板156の間において最大突出部分では間隔が細くなるため、逆に流速は増加し、結果として、隔膜部材150の内部の吸込み集中空間132’における異物の吸込み能力が増大することができる。
【0103】
次に、
図13に示したように、上記隔膜部材150の広がり角、すなわち、隔膜部材150の両側に向い合うメイン隔膜152の広がり角αは、次の式2を満たすことができる。
【0104】
【0105】
すなわち、鋼板10が搬送ロール100に接触されずに離隔していると異物が吸い込まれないため、上記隔膜部材150のメイン隔膜152の広がり角αは、鋼板10が鋼板搬送ロール100をくるむ角度(θ)と等しいかまたは小さい必要がある。
【0106】
いうまでもなく、集塵設備による集塵力の容量を大きくすると、上記隔膜部材150の広がり角が大きく影響を与えないことができるが、集塵力(吸込み力)を増大させることは集塵設備の容量を増大させることであるため、コストの問題が発生する可能性がある。
【0107】
したがって、本発明では、吸込み力に影響を与える吸込みパイプ110の断面積と設定された吸込み力に基づいて、鋼板10がロールをくるむ角度(θ)の1/3よりは大きくすることが好ましい。
【0108】
上記隔膜部材150の広がり角αは、鋼板がロールをくるむ角度(θ)以上に最大に大きくすることは、吸込み効率上、好ましくないことはいうまでもない。
【0109】
例えば、
図2及び
図7で説明したデフレクターロール100bは、鋼板10が方向を切り替えながら、最大180°までロールをくるみながら搬送される。
【0110】
したがって、このようなデフレクターロールなどの環境を考慮すると、上記範囲よりも隔膜部材150の広がり角αが大きいと、その内部の吸込み集中空間132’の断面積が過度に広くなり、吸込み力が低下するようになる。
【0111】
逆に、上記隔膜部材150の広がり角αが上記範囲よりも小さい場合には、ロールの回転速度または鋼板の搬送速度に対応してスケールなどの異物の吸込みを効果的に維持することができなくなる。すなわち、鋼板の搬送速度が速い冷延鋼板では、異物の吸込みが減少する可能性がある。
【0112】
次に、
図14a及び
図14bには、本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール300を示している。但し、前述の鋼板搬送ロールと同一の構成は同一の図面符号で示し、その詳細な説明は簡略する。
【0113】
先ず、
図14a及び
図14bに示したように、本発明の鋼板搬送ロール300において、上記吸込みパイプ110は、折り曲げられた吸込みパイプ110として提供してよい。この折り曲げられた吸込みパイプ110は、上記吸込みロール130の内部吸込み空間132に形成された両側の折り曲げ部310をさらに含む。
【0114】
かかる折り曲げられた吸込みパイプ110の折り曲げ部310は、上述の鋼板搬送ロール100、200の直線の吸込みパイプ110に比べて、吸込みパイプ110の吸込み開口112と吸込みロール130の吸込み長孔120との間の間隔Tをより狭くすることを可能にする。
【0115】
したがって、
図14aのように、吸込みロール130の内部の、折り曲げられた吸込みパイプ110の折り曲げ部310により、吸込み開口112と吸込みロール130の吸込み長孔120との間の間隔Tが、前述の他の鋼板搬送ロール100、200に比べて非常に細くなることにより、例えば、吸込み長孔120に隣接して吸込み開口112が位置するため、前述の隔膜部材150がなくても異物の吸込み力が安定に維持される。
【0116】
この際、前述の吸込みロール130の内面に補強リブ170が提供された場合には、上記折り曲げられた吸込みパイプ110は、それらと干渉されないように折り曲げられる程度を調整すればよい。
【0117】
または、
図14bのように、上記吸込みパイプ110の吸込み開口112を包囲する隔膜部材150を、折り曲げられた吸込みパイプ110に設置することも可能である。
【0118】
この場合にも、吸込み開口112と吸込み長孔120の間隔Tが細くなるため、隔膜部材150の内部の吸込み集中空間132’が減少することで、異物の吸込み能力が他の鋼板搬送ロール100、200に比べて増大する。
【0119】
一方、
図14の折り曲げられた吸込みパイプ110も、前述の駆動手段210と連係して吸込みパイプ110の回転を可能にすることができ、この場合にも、吸込み開口112または/及びこれを包囲する隔膜部材150の位置を機械的に可変制御することが可能である。
【0120】
次に、
図15から
図17には、本発明によるさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400を示している。前述の鋼板搬送ロールと同一の構成要素は同一の符号で示し、その詳細な説明は簡略することはいうまでもない。
【0121】
例えば、
図15から
図17に示したように、本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400は、上記吸込みパイプ110の周方向に一定間隔で備えられた複数の吸込み開口112から選択される少なくとも1つの吸込み開口112のみを連通させる吸込み開口開閉手段402を基盤とするものとしてよい。
【0122】
例えば、上記吸込み開口開閉手段402は、第2吸込みパイプ410を含むことができる。この第2吸込みパイプ410は、上記吸込みパイプ110の内側に第2駆動手段420を介として回転自在に提供され、上記吸込みパイプ110の周方向に設定された一定間隔で配置された吸込み開口112のうち少なくとも1つと連通される第2吸込み開口412が備えられる。
【0123】
すなわち、本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400において、吸込みパイプ110と吸込み長孔120を有する吸込みロール130及び隔膜部材150は、前述の鋼板搬送ロール100、200、300と同様に提供することができる。
【0124】
但し、本実施形態において、吸込みパイプ110に提供される吸込み開口112は、吸込みパイプ110の周方向に複数個または複数列が予め設定された間隔で配置され、これらに応じて隔膜部材150も複数個が配置される。
【0125】
したがって、予め設定された間隔で吸込みパイプ110の周方向に配置された吸込み開口112のうち選択された吸込み開口112のみが、上記第2吸込みパイプ410の回転によって上記第2吸込みパイプ410の第2吸込み開口412と連通するので、当該選択された吸込み開口112に集塵力が印加され、結果として、異物の吸込み経路の調整が可能になる。
【0126】
すなわち、本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400は、外部集塵力が印加される第2吸込みパイプ410の回転によって、第2吸込みパイプ410の第2吸込み開口412→吸込みパイプ110の吸込み開口112→隔膜部材150の一連の異物の吸込み経路が実現され、異物が所望の経路を介してのみ吸い込まれる。
【0127】
一方、
図15に示したように、上記吸込みパイプ110の一側が、外郭フレーム30に固定されている間に、カップリング22を媒介として外部の集塵ライン20に連結されてよく、上記吸込みパイプ110の他側も、外郭フレーム30に固定されている。吸込みパイプ110の内側で回転され、吸込みパイプ110よりも突出した上記第2吸込みパイプ410の他側が、ロータリージョイント24を媒介として外部の集塵ライン20に連係され得る。
【0128】
したがって、吸込みパイプ110の一側及び第2吸込みパイプ410の他側にそれぞれ連係される集塵ライン20を介して集塵力が印加されながら、鋼板の表面や周辺の異物Sの吸込みが行われ得る。
【0129】
一方、
図15に示したように、上記第2吸込みパイプ410の回転を可能にする上記第2駆動手段420は、上記外郭フレーム30に連係される駆動モーター422により駆動される駆動ギヤ424と、上記駆動ギヤと噛み合って上記第2吸込みパイプ420の他側に提供される被動ギヤ426と、を含んでよい。
【0130】
または、別の図面に示さないが、上記外郭フレーム30に連係される駆動モーターにより駆動され、チェーンが締結され、上記吸込みパイプの他側に提供されるスプロケットを含んでもよい。
【0131】
したがって、上記第2駆動手段420のギヤ側駆動モーター422やチェーン側駆動モーターの作動により、上記第2吸込みパイプ410が吸込みパイプ110の内側で回転しながら、互いに連通される吸込み開口112と第2吸込み開口412を介して吸込み力が隔膜部材150の内側の吸込み集中空間132’に印加され、異物の吸込みが行われる。
【0132】
例えば、
図16のように、鋼板10が搬送ロール400の上側に進入すると、第2吸込みパイプ410の吸込み開口412は、吸込みパイプ110の周方向の吸込み開口112のうち上側の吸込み開口112と連通されるように、前述の第2駆動手段420により位置制御される。
【0133】
逆に、
図17のように、鋼板10が搬送ロール400の下側に進入すると、第2吸込みパイプ410の吸込み開口412は、吸込みパイプ110の周方向の吸込み開口112のうち下側の吸込み開口112と連通されるように、前述の第2駆動手段420により位置制御される。
【0134】
すなわち、本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400は、吸込みパイプ110は固定体として提供され、その内側の第2吸込みパイプ410は回転体として提供されることで、吸込み開口112と第2吸込み開口412が連通される位置によって異物の吸込み経路が可変される。
【0135】
このような本発明のさらに他の実施形態の鋼板搬送ロール400は、吸込みパイプ110の内側の第2吸込みパイプ410のみを回転させるため、設備維持が容易であり、直径の小さい第2吸込みパイプ410の回転のみを制御するため、非常に迅速な設備反応が可能である。
【0136】
より好ましくは、
図10を参照して、
図15のように、上記第2駆動手段420に備えられたギヤ側駆動モーター422または図示しないチェーン側駆動モーターを、制御部Cに連係させることができる。
【0137】
そして、上記制御部Cは、鋼板10の搬送ロールへの進入位置に関する情報(点線で表示)や異物の発生を測定するカメラ40などに連係してもよい。
【0138】
したがって、上記制御部Cは、鋼板搬送環境や異物の発生または飛散環境に対応して、第2駆動手段420の駆動モーターの制御により、連係された上記第2吸込みパイプ410の回転角度を制御することができる。
【0139】
これは、結果として、上記吸込みパイプ110の周方向に形成された吸込み開口112のうち少なくとも1つと、第2吸込みパイプ410の第2吸込み開口412との連通による異物の吸込み経路を、制御部により自動に制御可能にする。
【0140】
この場合、周辺環境に迅速に対応しながら、より最適の異物の吸込みが可能になる。
【0141】
これにより、上述の本発明の様々な実施形態の鋼板搬送ロール100、200、300、400は、スケール、ダスト、パウダー、オイル、洗浄液、汚染物質などのような多様な形態の異物を非常に効果的に吸い込んで除去することができる。
【0142】
特に、従来の吸込みロールが鋼板と単に線接触する小口径の吸込みロールであるのに対し、本発明の鋼板搬送ロールは、広い幅の熱延や冷延鋼板の搬送環境で、従来のデフレクターロールやブライドルロールなどで完全に代替されて用いることが可能である。
【0143】
結果として、本発明は、鋼板の搬送案内に加えて、異物除去機能が付加された形態であるため、従来の集塵フードなどの関連設備が不要であり、鋼板の搬送環境で発生する鋼板製品の欠陥要因を効果的に除去する。
【0144】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものにすぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。
【0145】
したがって、本明細書及び図面に開示の実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。
【0146】
本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内の全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0147】
以上のように、本発明は、例えば、熱延や冷延鋼板の巻取りや巻戻し工程に有用である。