(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20241101BHJP
A63F 9/34 20060101ALI20241101BHJP
A63F 7/04 20060101ALI20241101BHJP
A63F 7/38 20060101ALI20241101BHJP
A63H 33/26 20060101ALI20241101BHJP
A63H 33/00 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
A63F9/00 509
A63F9/34
A63F7/04
A63F7/38
A63H33/26 A
A63H33/00 303D
(21)【出願番号】P 2023077391
(22)【出願日】2023-05-09
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水沼 正憲
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-024081(JP,U)
【文献】米国特許第03712617(US,A)
【文献】実開昭53-034384(JP,U)
【文献】実開昭55-095767(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00
A63F 9/34
A63F 7/04
A63F 7/38
A63H 33/26
A63H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体をスタート地点からゴール地点まで運ぶゲーム装置であって、
非磁性体から構成された起立した隔壁と、
前記隔壁の後側に設けられ、決められた所定の通路を前記隔壁に沿って移動可能な磁石と、
前記磁石の移動速度及び移動方向を変更する操作子と、
前記隔壁を間にして前記磁石に吸着されて前記磁石に追従可能な球体と、を具備し、
さらに、前記隔壁の前面に、前記磁石への追従に伴う前記球体の
通行途中で当該通行を制限する凸部が
固定して設けられた、
ギミックを
備え、
前記凸部は、前記球体が乗上げ可能となっており、前記球体の乗上げによって前記磁石と前記球体との間の磁力を弱めることによって、前記球体の通行を制限する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記隔壁の前面から突出する突起から構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記磁石は、前後方向に延在する軸の回りを公転するように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記隔壁の前面には、前記磁石の通路の下部に対応する場所に、前記球体を待機させる
待機場所が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記隔壁の前面には、前記磁石の通路の上部に対応する場所に、前記球体の追従を阻止して落下させるストッパが設けられ、前記ストッパよりも低く前記待機場所よりも高い場所に、落下した球体を受ける受け部が設けられている、ことを特徴とする請求項4に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記磁石の通路を前方から見て左右に2分した通路部分の各々に対応して、前記待機場所、前記ストッパ及び前記受け部の組が1組ずつ設けられ、一方の組が他方の組の前段に配置され、前記一方の組の前記受け部と他方の前記
待機場所とが下りスロープで繋がれるとともに、前記他方の組の前記受け部は前記一方の組の前記受け部よりも高い場所に設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲーム盤に障害物となる複数のギミックと、ギミックを操作する複数の操作子とが設けられ、操作子によってギミックを操作等することによって、球体をスタート地点からゴール地点まで運ぶように構成されたゲーム装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このゲーム装置によれば、操作子でギミックを上手く操作しないと、球体を前に進めることができないか、或いは、球体が所定位置まで戻ってしまうことから、スリル感のあるゲームを楽しむことができる。
このようなゲーム装置では、スリル感及び意外性のある新たなギミックの出現が要望されている。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、意外性のあるギミックを有するゲーム装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、
球体をスタート地点からゴール地点まで運ぶゲーム装置であって、
非磁性体から構成された起立した隔壁と、
前記隔壁の後側に設けられ、決められた所定の通路を前記隔壁に沿って移動可能な磁石と、
前記磁石の移動速度及び移動方向を変更する操作子と、
前記隔壁を間にして前記磁石に吸着されて前記磁石に追従可能な球体と、を具備し、
さらに、前記隔壁の前面に、前記磁石への追従に伴う前記球体の通行途中で当該通行を制限する凸部が固定して設けられた、
ギミックを備え、
前記凸部は、前記球体が乗上げ可能となっており、前記球体の乗上げによって前記磁石と前記球体との間の磁力を弱めることによって、前記球体の通行を制限する、
ことを特徴とする。
【0007】
第2の手段は、第1の手段であって、前記凸部は、前記隔壁の前面から突出する突起から構成されている、ことを特徴とする。
【0008】
第3の手段は、第1又は第2の手段であって、前記磁石は、前後方向に延在する軸の回りを公転するように構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記隔壁の前面には、前記磁石の通路の下部に対応する場所に、前記球体を待機させる待機場所が形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
第5の手段は、第4の手段であって、
前記隔壁の前面には、前記磁石の通路の上部に対応する場所に、前記球体の追従を阻止して落下させるストッパが設けられ、前記ストッパよりも低く前記待機場所よりも高い場所に、落下した球体を受ける受け部が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
第6の手段は、第5の手段であって、
前記磁石の通路を前方から見て左右に2分した通路部分の各々に対応して、前記待機場所、前記ストッパ及び前記受け部の組が1組ずつ設けられ、一方の組が他方の組の前段に配置され、前記一方の組の前記受け部と他方の前記待機場所とが下りスロープで繋がれるとともに、前記他方の組の前記受け部は前記一方の組の前記受け部よりも高い場所に設けられている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の手段によれば、起立した隔壁に沿って球体を磁力によって移動させることができる。また、隔壁の前面には、磁石への追従に伴う球体の通路を限定する凸部が設けられているので、操作子の操作によって、磁石の移動速度や移動方向を適宜に変える必要があり、操作子の操作を上手くしないと、球体が落下してしまう。
その結果、意外性及びスリル感のあるゲーム装置が実現できる。
【0013】
第2の手段によれば、通路限定部が隔壁の前面から突出する突起から構成されているので、球体が突起を避けたり、利用したりしながら揺れながら上っていくので、球体がロッククライミングやボルダリングを行っているかのイメージが醸し出され、面白み味があるゲーム装置が実現できる。
【0014】
第3の手段によれば、球体が下からの支持なく回転しながら移動するので、興趣性の高いゲーム装置が実現できる。
【0015】
第4の手段によれば、一方の組の待機場所から持ち上げた球体を当該一方の組の受け部に落として他方の組の待機場所に導き、他方の組の待機場所から持ち上げた球体を(一方の組の受け部よりも高い)当該他方の組の受け部に落とすことにより、段階的に球体を持ち上げることができるので、操作の妙味を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】ゾーンZ1に設けられたスロープを説明するための図である。
【
図4】ゾーンZ2の階段状部材及び突上げ部材を説明するための図である。
【
図5】ゾーンZ3の弧状通路を説明するための図である。
【
図6】ゾーンZ4の迷路を説明するための図である。
【
図7】ゾーンZ5の回転送り機構を説明するための図である。
【
図8】ゾーンZ6の筒体及び突上げ部材を説明するための図である。
【
図9】ゾーンZ7の受け皿を説明するための図である。
【
図10】ゾーンZ7及びゾーンZ8の間の通路を説明するための図である。
【
図11】ゾーンZ8の磁力送り機構を説明するための前面図である。
【
図12】ゾーンZ8の突起を説明するための前面図である。
【
図13】ゾーンZ8の磁力送り機構を説明するための後面図である。
【
図14】ゾーンZ9の迷路を説明するための上面図である。
【
図15】ゾーンZ9の迷路の動作機構を示す側面図である。
【
図16】ゾーンZ10の突上げ部材を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態のゲーム装置を説明する。
【0018】
図1は、実施形態のゲーム装置100のゲーム盤1の斜視図、
図2は、ゲーム盤1の上面図である。
ゲーム装置100は、手前の5つの操作子ОP1,ОP2,ОP3,OP4,OP5の操作によって球体B(
図3参照)を右手前のスタート地点SからゾーンZ1~Z10を経て左手前のゴール地点Lまで運ぶ、上面開放型のゲーム装置である。球体Bとしては、磁性体で構成された球体が用いられている。
以下、ゲーム装置100の詳細をゾーンZ1~Z10の順に説明する。
【0019】
(ゾーンZ1)
ゾーンZ1は、操作子OP1の操作によって、スタート地点Sにある球体Bを弾いて、球体Bをスロープ2の上まで運び、ゾーンZ2に導く領域である。
スロープ2は「9」字形をしており、上面視外縁には枠2a(
図3参照)が立設され球体Bの落下が防止されている。スロープ2の坂下はスタート地点Sとなっており、このスタート地点Sには球体Bがセットされる。
スロープ2の下部には幅方向中央に切欠き(符号省略)が形成され、
図3に示すように、切欠きには、球体Bを弾く打撃部材3が設置されている。操作子OP1は、前後方向に動作可能なスライド式の操作子である。打撃部材3は、操作子OP1と一体的に構成されるとともに、コイルばね4によって後方に向けて付勢されている。以下、「前」とはプレイヤから見て手前側を、「後」とは奥側を言い、また、「左右」とは、プレイヤから見ての左右を言うものとする。
そして、操作子OP1を手前側に引くと、コイルばね4が延びて蓄勢され、この状態で操作子OP1から手を離すと、コイルばね4の弾性力によって打撃部材3が後方に移動し、球体Bを叩く。これにより球体Bがスロープ2を上っていく。
一方、スロープ2の上部には環状通路5が形成され、環状通路5の略中央には円形の落とし穴6が形成されている。環状通路5の幅と落とし穴6の径は、球体Bが通過可能となるように球体Bの径よりも大きく設定されている。また、落とし穴6の下半部の縁には弧状枠6aが立設されている。これにより、球体Bが捕捉可能となっている。
【0020】
このゾーンZ1では、操作子OP1の操作によって、球体Bをスロープ2の上まで打ち上げる。球体Bは、強く打ち上げ過ぎると、環状通路5に沿って1周してスロープ2を下り、スタート地点Sに戻される。一方、球体Bは、適度な力で打ち上げれば、スロープ2の上部で威勢を失い、落とし穴6に落ちる。落とし穴6に落ちた球体Bは、通路7を通って、ゾーンZ2に導かれる。
【0021】
(ゾーンZ2)
ゾーンZ2では、操作子OP3の操作によって、球体Bを階段状部材10の上まで上らせ、ゾーンZ3に導く領域である。
ゾーンZ2には、
図4に示すように、階下部分10aを持つ3段の階段状部材10が設けられている。この階段状部材10の下には、4つの突上げロッド11a,11b,11c,11dが立設された突上げブロック11が設置されている。4つの突上げロッド11a,11b,11c,11dは、それぞれ、階下部分10aの孔、1段目の段板10bの孔、2段目の段板10cの孔、3段目の段板10dの孔に対応して設けられている。突上げブロック11は上下動可能に構成され、この突上げブロック11が上動したとき、4つの突上げロッド11a,11b,11c,11dが対応の孔から突出する。
【0022】
突上げブロック11は操作子OP3に連結されている。操作子OP3は、前後方向に延在する軸12を一体的に回転させるダイヤル式の操作子である。
図4に示すように、軸12には回転板カム13が設けられている。そして、回転板カム13に突上げブロック11が係合し、回転板カム13の動作によって突上げブロック11が上下動する。
【0023】
このゾーンZ2では、ゾーンS1からの球体Bを階下部分10aで受ける。そして、操作子OP3の操作によって突上げブロック11を上動させ、突上げロッド11a,11b,11cで球体Bを1段ずつ上の段板10b,10c,10eに上げる。さらに、球体Bが3段目の段板10dに至ったら、操作子OP3の操作によって突上げブロック11を上動させ、突上げロッド11dで球体Bを通路13a(
図1参照)に落とす。通路13aに落とされた球体BはゾーンZ3に導かれる。このとき、突上げロッド11dによる突き上げが弱いと右の通路13b(
図1参照)に球体Bが落ち、再び、階段状部材10の階下部分10aに球体Bが戻される。
【0024】
(ゾーンZ3)
ゾーンZ3は、操作子OP3の操作によって、弧状通路14を揺動させて球体Bを所定位置に導いて落下させてゾーンZ4に導く領域である。
ゾーンZ3には、
図5に示すように、上方が凹となる弧状通路14が設けられている。弧状通路14の外縁には球体Bの落下を防止する枠(符号省略)が出口部分を除いて立設されている。また、弧状通路14は中間部が軸15によって支持され、軸15を中心に揺動可能となっている。
【0025】
弧状通路14は操作子OP3に連結されている。操作子OP3と一体的に回転する軸12には回転板カム16が設けられている。一方、弧状通路14の下には回転板カム16に当接する二股状の係合部17が形成されている。そして、回転板カム16が動作したとき、弧状通路14が軸15を中心に揺動する。
【0026】
このゾーンZ3では、操作子OP3の操作によって、ゾーンZ2からの球体Bを受け取る。そして、操作子OP3の操作によって、球体Bを左右に転動させ、出口から所定の場所に上手く球体Bを落とし、ゾーンZ4に導く。
【0027】
(ゾーンZ4)
ゾーンZ4は、操作子OP2の操作によって、迷路18を揺動させて、球体Bを迷路18の出口から排出させてゾーンZ5に導く領域である。
ゾーンZ4には、
図6に示すように、入り組んだ枠付きの通路が形成された迷路18が設けられている。迷路18は軸19を介して支持され、軸19を中心に揺動可能となっている。
【0028】
迷路18は操作子OP2に連結されている。操作子OP2は、レバー式の操作子で、軸19を中心に回転して左右方向で起倒する。この操作子OP2を起倒させることにより、迷路18を揺動させる。
【0029】
このゾーンZ4では、操作子OP2の操作によって、迷路18を揺らし、入口18aから入った球体Bを出口18bまで導く。出口18bから出た球体BはゾーンZ5に導かれる。なお、迷路18にはダミーの出口18cが設けられており、この出口18cに導かれた球体Bは操作子OP2の操作タイミングが悪いとスタート地点Sに戻る。
【0030】
(ゾーンZ5)
ゾーンZ5は、操作子OP3の操作によって、回転送り機構20によって球体Bを右から左に送り、ゾーンZ6に導く領域である。
図7に示すように、回転送り機構20は、軸12を中心に回転する2枚の円板21,21の間に、放射状に延びる仕切り板23を設けたものであり、2枚の円板21,21の間には、隣り合う仕切り板23,23によって区画されるポケット24が形成されている。ポケット24には球体Bが保持される。
【0031】
回転送り機構20は、軸12を介して、操作子OP3に連結されている。そして、操作子OP3の操作によって回転送り機構20が動作する。
【0032】
このゾーンZ5では、操作子OP3の操作によって、ゾーンZ4からの球体Bがポケット24に入り、右から左に送られ、ポケット24から排出される。排出された球体BはゾーンZ6に導かれる。
【0033】
(ゾーンZ6)
ゾーンZ6は、操作子OP4を操作することによって、3つの筒体25a、25b,25cに順番に球体Bを移した後、球体BをゾーンZ7に導く領域である。
ゾーンZ6には、
図8に示すように、所定の間隔で飛び石状に配置された3つの筒体25a、25b,25cを備えている。3つの筒体25a、25b,25cは、この順に段階的に高くなっている。3つの筒体25a、25b,25cの下方には、各筒体に対応する3つの突上げロッド26a,26b,26cが立設された突上げブロック26が設置されている。突上げブロック26は上下動可能に構成され、この突上げブロック26が上動することにより、3つの突上げロッド26a,26b,26cが対応の筒体の孔から突出する。
【0034】
突上げブロック26は操作子OP4に連結されている。操作子OP4は押しボタン式の操作子である。突上げブロック26と操作子OP4の下方には軸28を中心にシーソ操作するシーソ部材29が設けられ、シーソ部材29の一端には操作子OP4が設けられ、他端には突上げブロック26が当接されている。そして、操作子OP4を押下すると突上げブロック26が上昇する。また、操作子OP4から手を離すと突上げブロック26が下降する。
【0035】
このゾーンS6によれば、筒体25aで受けた球体Bを、操作子OP4の操作によって突上げブロック26を上動させ、筒体25b,25cに順に乗せていき、筒体25cの箇所で球体Bを弾くことで、球体Bを次のゾーンS7に向けて打ち上げる。
【0036】
(ゾーンZ7)
ゾーンS7は、操作子OP3の操作によって、球体Bが乗った受け皿30を回転させて、球体Bを所定の場所で落下させてゾーンZ8に導く領域である。
図9に示すように、受け皿30は、シャーレー型を呈しており、中央に落とし穴31が形成されている。この受け皿30は、偏心位置で軸32によって支持されている。
【0037】
受け皿30は操作子OP3に連結されている。すなわち、軸32に冠歯車(図示せず)が設けられ、この冠歯車が、軸19に固定された歯車(図示せず)を介して操作子OP3に連結されている。
【0038】
このゾーンS7では、ゾーンS6からの球体Bを受け皿30で受け、操作子OP3を操作することで、所定の回転位置で球体Bを落とし穴31から落とす。これにより、球体Bは
図10に示す通路33を経てゾーンS8に送られる。
【0039】
(ゾーンS8)
ゾーンZ8は、操作子OP3の操作によって、球体Bを磁力により所定高さ位置まで移動させ、ゾーンZ9に導く領域である。
ゾーンZ8には、
図11に示すように、磁力移動機構36が設けられている。磁力移動機構36は、前面に2つの磁石37a,37bが付設された回転板37を備える。2つの磁石37a,37bは、回転板37の円周方向の異なる位置に付設されている。回転板37は非磁性体の壁(隔壁)38によって囲繞されており、磁石37a,37bには、壁38を間にして、球体Bが吸着可能となっている。また、
図2に示すように、回転板37は軸39によって支持されている。
ここで、回転板37に付設される一方の磁石37aはフェライト磁石であり、他方の磁石37bはネオジウム磁石である。また、磁石37a,37bは大きさが互いに異なっており、磁石37aの方が磁力の高い磁石37bよりも大きくなっている。また、回転板37の前方に位置する壁38の前面には、
図13に示すように、複数の突起39が形成されている。突起39としては、例えば、高低2種類の突起39a、39bが用意されている。突起39aは、磁石37a,37bに吸着された球体Bが乗り越えることができない程度の高さの突起であり、突起39bは、磁石37aによる吸着された球体Bは乗り越えることができないが、磁石37bによる吸着された球体Bは乗り越えることができる程度の高さとなっている。
この複数の突起39は、回転板37の回転に伴う磁石37aの通路(2点鎖線で示す大小の円で区画される領域)内に相当する部分の前方に形成されている。この複数の突起39は、磁石37a,37bに吸着された球体Bの通路を制限する。
例えば、右半部で、反時計方向に磁石37aが回転する場合には、突起39の外側しか球体Bは通過できない。また、右半部で、反時計方向に磁石37bが回転する場合には、突起39bの上しか通過できない。一方、左半部で、時計方向に磁石37aが回転する場合には、突起39の内側しか球体Bは通過できない。また、左半部で、反時計方向に磁石37bが回転する場合には、突起39bの上しか通過できない。ただし、球体Bが通過できる場合であっても、磁石37a,37bの回転速度が大きいと、突起39に弾かれて落下してしまう。したがって、適度な速度で磁石37a,37bを公転させる必要がある。また、適宜、磁石37a,37bを逆転させる必要がある。
なお、この実施形態では、2つの磁石37a,37bを設けているが、磁石の個数は2つに限定されず、例えば1個であってもよい。
【0040】
また、
図10及び
図11に示すように、回転板37の前方に位置する壁38の前面右には、ゾーンZ7からの球体Bを一旦待機させる待機場所40と、球体Bの磁石37a,37bへの追従を阻止して落下させるストッパ41と、が設けられている。また、回転板37の前方に位置する壁38の前面右には、ストッパ41よりも低く待機場所40よりも高い場所に、落下した球体Bを受ける受け部42が設けられている。
一方、
図10及び
図11に示すように、回転板37の前方に位置する壁38の前面左には、受け部42と下りスロープを介して繋がる待機場所43と、球体Bの磁石37a,37bへの追従を阻止して落下させるストッパ44とが設けられている。ここでは、ストッパ41とストッパ44とは1つのリブのよって構成されている。また、回転板37の前方に位置する壁38の前面左には、受け部42よりも高い場所に設けられた他の受け部45が設けられている。
【0041】
回転板37は操作子OP3と連結されている。
図12に示すように、回転板37には歯車46が付設され、この歯車46は、中間歯車47を介して、操作子OP3の軸19に固定された歯車48に連結されている。
【0042】
このゾーンZ8によれば、待機場所40に待機する球体Bが、操作子OP3の操作に伴って、磁石37a又は磁石37bに吸着され、ストッパ41に当たって受け部42に落下し、待機場所43に導かれる。その後、操作子OP3を逆方向に操作すると、磁石37a又は磁石37bに吸着され、ストッパ44に当たって受け部45に落下し、ゾーンZ9に導かれる。
【0043】
(ゾーンZ9)
ゾーンZ9は、操作子OP5の操作によって、迷路50を揺動させて、球体Bを出口からゾーンZ10に導く領域である。
このゾーンZ9には、
図14に示す迷路50が設けられている。迷路50には、入り組んだ枠付きの道が形成されている。この迷路50は揺動可能となっている。
【0044】
迷路50は操作子OP5に連結されている。操作子OP5は縦横に操作可能な操作子である。
図15に示すように、迷路50の下には半球状係合部51が設けられ、この半球状係合部51は、ゲーム盤に立設された筒体52に支持されている。また、半球状係合部51には連結ロッド53が垂設され、この連結ロッド53は筒体52の孔に遊嵌し盤面下側まで延びている。盤面下側には、連結部材54が設けられている。連結部材54は中間部に長孔54aが形成され、長孔54aが固定ピン55に係合している。そして、連結部材54の一端には操作子OP5が固定され、他端には連結ロッド53が係合している。その結果、操作子OP5を縦横に操作すると、その操作方向に応じて迷路50が揺動する。
【0045】
このゾーンZ9では、ゾーンZ8からの球体Bを入口50aで受け、操作子OP5の操作によって、迷路50を揺らし、球体Bを出口50bまで導く。出口50bから出た球体BはゾーンZ10に導かれる。
【0046】
(ゾーンZ10)
ゾーンZ10は、操作子OP4を操作することによって、球体Bをゴール地点Lに導く領域である。
ゾーンZ10には、筒体57(
図2参照)が設けられている。また、筒体57の下方には、突上げロッド58が設けられている。
図16に示すように、突上げロッド58は上記突上げブロック26に付設されている。
【0047】
このゾーンZ10によれば、操作子OP4によって、球体Bを弾きゴール地点L(
図1参照)の受け部60に乗せる。これにより、球体Bは受け部60から零れてゴール地点Lの筒61に入る。
【0048】
(実施形態の効果)
このように構成されたゲーム装置100によれば、次のような効果が得られる。
【0049】
下方からの支持なく、起立した壁38に沿って球体Bを磁力によって移動させることができるので、意外性のあるゲーム装置100が実現できる。また、この場合、壁38の前面には、磁石37a,37bへの追従に伴う球体Bの通路を限定する突起39が設けられているので、操作子OP3の操作によって、磁石37a,37bの移動速度や移動方向を適宜に変える必要があり、操作子OP3の操作を上手くしないと、球体が落下してしまうことから、スリル感のあるゲーム装置が実現できる。
【0050】
また、壁38の前面から突出する突起(通路限定部)39が設けられ、球体Bが突起39を避けたり、利用したりしながら揺れつつ上っていくので、球体Bがロッククライミングやボルダリングを行っているかのイメージが醸し出され、面白み味があるゲーム装置100が実現できる。
【0051】
また、待機場所40から持ち上げた球体Bを受け部42に落として待機場所43に導き、待機場所43から持ち上げた球体Bを受け部48に落とすことにより、段階的に球体Bを持ち上げることができるので、操作の妙味を楽しむことができる。
【0052】
さらに、磁石37a、37bを公転させるのに、ダイヤル式の操作子OP3を用いているので、直感的操作が可能となる。
【0053】
(発明の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、通路限定部として2種類の突起39a,39bを設けたが、通路を規制したり、磁力を弱めたりする1種類の突起39を設けたものでもよい。また、突起39に代えて或いは突起39に付加して、凸部となる所定の形のブロックやスロープを設けてもよい。さらに、磁石の数や種類も上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0054】
36 磁力移動機構
37 回転板
37a,37b 磁石
38 壁
39 軸
39a、39b 突起
40 待機場所
41 リブ(ストッパ)
42 受け部
43 待機場所
44 リブ(ストッパ)
45 受け部
100 ゲーム装置
B 球体
L ゴール地点
【要約】
【課題】スリル感及び意外性のある新たなギミックを有するゲーム装置を提供すること。
【手段】球体をスタート地点からゴール地点まで運ぶゲーム装置であって、非磁性体から構成された起立した隔壁と、前記隔壁の後側に設けられ、決められた所定の通路を前記隔壁に沿って移動可能な磁石と、前記磁石の移動速度及び移動方向を変更する操作子と、前記隔壁を間にして前記磁石に吸着されて前記磁石に追従可能な球体と、を具備し、さらに、前記隔壁の前面に、前記磁石への追従に伴う前記球体の通路を限定する凸部が設けられた、ギミックを備えている。
【選択図】
図11