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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20241101BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20241101BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109796
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2021554584の分割
【原出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2023126884
(43)【公開日】2023-09-12
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】62/816,254
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/816,257
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トールセン, ミッチェル
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0070639(US,A1)
【文献】特表2018-529324(JP,A)
【文献】特表2018-528765(JP,A)
【文献】国際公開第2018/178113(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/030168(WO,A1)
【文献】特表2015-504670(JP,A)
【文献】特表2018-535660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/465
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成材料を受け取るように構成されたレセプタクルと
前記レセプタクルの周りに延在する管状部材であって、空隙を設けるように前記レセプタクルから離して配置された管状部材と、
変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを加熱するように構成されたインダクタコイルであって、前記管状部材が前記インダクタコイルと前記レセプタクルとの間に配置されるように前記管状部材の周りに延在し、前記変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと、
を備えるエアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
記インダクタコイルが実質的に螺旋形である、請求項1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記管状部材が絶縁部材である、請求項1又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記管状部材が、前記空隙を設けるように、前記レセプタクルの外面から離して配置される、請求項1、2又は3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記管状部材と前記インダクタコイルとの間に空隙が設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
前記レセプタクルが、当該エアロゾル供給デバイスの加熱チャンバであって、物品を受け取るような大きさを有する加熱チャンバである、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項7】
前記管状部材が、0.25mm~1mmの厚みを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項8】
前記インダクタコイル及び前記管状部材が同軸である、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項9】
前記インダクタコイルの内面が前記管状部材の外面と接触している、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項10】
前記管状部材がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項11】
外側カバーが、当該エアロゾル供給デバイスの外面の少なくとも一部分を形成している、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項12】
前記外側カバーの内面が、0.5mm~1mmの距離だけ前記インダクタコイルの外面から離して配置される、請求項11に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項13】
前記外側カバーが、200W/mK~220W/mKの熱伝導率を有する、請求項11又は12に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項14】
前記外側カバーが、0.75mm~2mmの厚みを有する、請求項11、12又は13に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品であって、前記レセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られるような寸法を有する物品と、
を備える、エアロゾル供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイス、及びエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを備えるエアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シガレット、シガーなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。タバコを燃焼させるこれらの物品の代替品を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例には、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品でもよく、これらはニコチンを含むことも含まないこともある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル供給デバイスが提供される。このエアロゾル供給デバイスは、
エアロゾル生成材料を受け取るように構成されたレセプタクルであって、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを備えるレセプタクルと、
サセプタの周りに延在する絶縁部材であって、サセプタの周りに空隙を設けるようにレセプタクルから離して配置された絶縁部材と、
インダクタコイルであって、絶縁部材がインダクタコイルとサセプタとの間に配置されるように絶縁部材の周りに延在し、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと、
を備える。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル供給システムが提供される。このエアロゾル供給システムは、
第1の態様に係るエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品であって、レセプタクル内に少なくとも部分的に受け取られるような寸法を有する物品と、
を備える。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、エアロゾル供給デバイスが提供される。このエアロゾル供給デバイスは、
エアロゾル生成材料を受け取るように構成され、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタと、
サセプタの周りに延在し、サセプタから離して配置された絶縁部材と、
インダクタコイルであって、絶縁部材がインダクタコイルとサセプタとの間に配置されるように絶縁部材の周りに延在し、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと、
エアロゾル供給デバイスの外面の少なくとも一部分を形成する外側カバーであって、外側カバーの内面が、約4mm~約10mmの距離だけサセプタの外面から離して配置される、外側カバーと、
を備える。
【0006】
本開示の第4の態様によれば、エアロゾル供給デバイスが提供される。このエアロゾル供給デバイスは、
エアロゾル生成材料を受け取るように構成されたレセプタクルであって、変動磁場の侵入によって加熱可能であるサセプタを備えるレセプタクルと、
サセプタの周りに延在し、レセプタクルから離して配置された絶縁部材と、
インダクタコイルであって、絶縁部材がインダクタコイルとサセプタとの間に配置されるように絶縁部材の周りに延在し、変動磁場を生成するように構成されたインダクタコイルと、
エアロゾル供給デバイスの外面を形成する外側カバーであって、外側カバーの内面が、約0.2mm~約1mmの距離だけインダクタコイルの外面から離して配置される、外側カバーと、
を備える。
【0007】
本開示の第5の態様によれば、エアロゾル供給システムが提供される。このエアロゾル供給システムは、
第3又は第4の態様に係るエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品であって、使用時に、エアロゾル供給デバイスのサセプタ内に少なくとも部分的に受け取られるような寸法を有する物品と、
を備える。
【0008】
本開示の第6の態様によれば、エアロゾル供給システムが提供される。このエアロゾル供給システムは、
第3又は第4の態様に係るエアロゾル供給デバイスと、
エアロゾル生成材料を備える物品であって、使用時に、エアロゾル供給デバイスのサセプタと接触するような寸法を有する物品と、
を備える。
【0009】
本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明の好適な実施形態の以下の説明から明らかになる。ここで、この説明は、例示のためにのみ提供され、添付図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エアロゾル供給デバイスの一例の正面図である。
図2】外側カバーが取り外された状態の図1のエアロゾル供給デバイスの正面図である。
図3図1のエアロゾル供給デバイスの断面図である。
図4図2のエアロゾル供給デバイスの分解図である。
図5図5Aは、エアロゾル供給デバイス内の加熱アセンブリの断面図であり、図5Bは、図5Aの加熱アセンブリの一部分の拡大図である。
図6】サセプタ、インダクタコイル、及び絶縁部材からなる構成の線図である。
図7】絶縁部材によって包囲されたサセプタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱時に通常はエアロゾルの形態で揮発成分を提供する材料を含む。エアロゾル生成材料は、何らかのタバコ含有材料を含んでおり、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル生成材料は、他の非タバコ製品も含んでもよく、これらの非タバコ製品は、個々の製品に応じて、ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、ワックスなどの形態であってもよい。エアロゾル生成材料は、例えば、複数の材料の組合せ又は混合物であってもよい。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」と呼ばれることもある。
【0012】
典型的には吸入可能なエアロゾルを形成するために、エアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料を焼いたり燃焼させたりせずに、エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、場合によって「エアロゾル生成デバイス」、「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」又は「タバコ加熱デバイス」などと記述される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは通常、液体の形態のエアロゾル生成材料(ニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい)を気化させる。エアロゾル生成材料は、装置に挿入することの可能なロッド、カートリッジ、又はカセット等の形態であってもよいし、これらの一部として提供されてもよい。エアロゾル生成材料を加熱して揮発させるためのヒータは、装置の「恒久的」部分として設けられてもよい。
【0013】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を備える物品を加熱のために受け取ることができる。この文脈における「物品」とは、使用時にエアロゾル生成材料を含み又は収容し、任意で他の成分を使用時に含み又は収容する部品であり、ここで、エアロゾル生成材料は、これを揮発させるために加熱される。ユーザが吸入するエアロゾルを生成するためにこの物品が加熱される前に、ユーザは、この物品をエアロゾル供給デバイスに挿入してもよい。この物品は、例えば、物品を受け取るように寸法を定められたデバイスの加熱チャンバ内に配置されるように設定された所定の又は特定の寸法のものであってもよい。
【0014】
本開示の第1の態様は、サセプタ、絶縁部材、及び1つ以上のインダクタコイルからなる特定の構成を定める。本明細書においてより詳細に検討されるように、サセプタは、変動磁場の侵入により加熱可能な導電性物体である。インダクタコイルは、サセプタを加熱させる変動磁場を生成する。エアロゾル生成材料を備える物品をレセプタクル内に受け取ることができる。加熱されると、サセプタは、エアロゾル生成材料に熱を伝達し、これによりエアロゾルが放出される。一例において、サセプタはレセプタクルを画定し、サセプタはエアロゾル生成材料を受け取る。
【0015】
本構成において、サセプタは、例えばサセプタと同軸に配置することができる絶縁部材によって包囲される。絶縁部材は、空隙を設けるように、レセプタクル又はサセプタの外面から離して配置される。絶縁部材の周りにはインダクタコイルが延びる。これは、絶縁部材がインダクタコイルとサセプタとの間に配置され、絶縁部材とサセプタとの間に空隙が配置されることを意味する。特定の構成において、インダクタコイルは絶縁部材と接触してもよい。しかしながら、他の例では、絶縁部材とインダクタコイルとの間にさらなる空隙が設けられてもよい。
【0016】
上記の構成は、絶縁が改善されたデバイスを提供する。空隙及び絶縁部材の特定の順序により、加熱されたサセプタからの改善された絶縁がもたらされる。空隙は、絶縁部材を熱から絶縁するのに役立ち、空隙及び絶縁部材は共に、デバイスの他の構成要素を熱から絶縁するのに役立つ。例えば、空隙及び絶縁部材は、サセプタによる、インダクタコイル、電子機器及び/又はバッテリーの任意の加熱を低減する。
【0017】
上述したように、絶縁部材は、空隙を設けるように、レセプタ/サセプタから離して配置される。例えば、絶縁部材の内面は、サセプタの外面から離間される。これは、空隙がサセプタの外面を包囲し、サセプタがこの領域において絶縁部材と接触していないことを意味する。任意の接触が、熱が流れ得る熱橋をもたらす可能性がある。いくつかの例において、サセプタの端部は、絶縁部材に直接的又は間接的に接続してもよい。この接触は、空隙及び絶縁部材によってもたらされる絶縁特性を過度に低減させないように、サセプタの主要加熱領域から十分遠くに離してもよい。代替的に又はさらに、この接触は、サセプタからの伝導による絶縁部材への任意の熱伝達が小さくなるように、比較的小さなエリアにわたるものであってもよい。
【0018】
特定の構成において、サセプタは細長く、長手方向軸線等の軸線を画定する。絶縁部材は、方位角方向においてサセプタ及び軸線の周りに延在する。したがって、絶縁部材は、サセプタから径方向において外方に配置され、例えば、絶縁部材はサセプタと同軸であってもよい。この径方向は、サセプタの軸線に対し垂直であるものとして画定される。同様に、インダクタコイルは、絶縁部材の周りに延在し、サセプタ及び絶縁部材の双方から径方向において外方に配置され、インダクタコイルは、絶縁部材及びサセプタと同軸であってもよい。
【0019】
サセプタは、エアロゾル生成材料をサセプタ内に受け取ることが可能になり、その結果、サセプタがエアロゾル生成材料を包囲するように、中空及び/又は実質的に管状であってもよい。絶縁部材は、サセプタを絶縁部材内に配置することができるように、中空及び/又は実質的に管状であってもよい。
【0020】
インダクタコイルは実質的に螺旋形であってもよい。例えば、インダクタコイルは、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれたリッツ線等のワイヤから形成してもよい。
【0021】
インダクタコイルは、約3mm~約4mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。したがって、インダクタコイルの内面とサセプタの外面とは、この距離だけ離間させてもよい。この距離は、径方向距離であってもよい。この範囲内の距離は、サセプタの効率的な加熱を可能にするために、サセプタがインダクタコイルに対し径方向において近くにあることと、誘導コイル及び絶縁部材の改善された絶縁のために径方向において離れていることとの間の良好なバランスを表すことがわかっている。
【0022】
別の例において、インダクタコイルは、約2.5mm超の距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。
【0023】
別の例において、インダクタコイルは、約3mm~約3.5mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。さらなる例において、インダクタコイルは、約3mm~約3.25mmの距離だけ、例えば、好ましくは約3.25mmだけサセプタの外面から離して配置されてもよい。別の例において、インダクタコイルは、約3.2m超の距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。さらなる例において、インダクタコイルは、約3.5mm未満の距離だけ、又は約3.3mm未満だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。これらの距離は、効率的な加熱を可能にするために、サセプタがインダクタコイルに対し径方向において近くにあることと、誘導コイル及び絶縁部材の改善された絶縁のために径方向において離れていることとの間のバランスをもたらすことがわかっている。
【0024】
代替的な例において、インダクタコイルは、約2mm~約10mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。
【0025】
エンティティの「外面」への言及は、サセプタの軸線に対し垂直な方向において、この軸線から最も離れて配置された表面を意味する。同様に、エンティティの「内面」への言及は、サセプタの軸線に対し垂直な方向において、この軸線に対し最も近くに配置された表面を意味する。
【0026】
絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚みを有してもよい。例えば、絶縁部材は、約0.7mm未満、若しくは約0.6mm未満の厚みを有することができ、又は約0.25mm~約0.75mmの厚みを有することができ、又は好ましくは、約0.5mm等、約0.4mm~約0.6mmの厚みを有する。これらの厚みは、(空隙サイズを増大させるために絶縁部材を薄くすることによって)絶縁部材及びインダクタコイルの加熱を低減することと、(厚くすることによって)絶縁部材の頑健性を増大させることとの間の良好なバランスを表すことがわかっている。
【0027】
サセプタは、約0.025mm~約0.5mm、又は約0.025mm~約0.25mm、又は約0.03mm~約0.1mm、又は約0.04mm~約0.06mmの厚みを有してもよい。例えば、サセプタは、約0.025mm超、又は約0.03mm超、又は約0.04mm超、又は約0.5mm未満、又は約0.25mm未満、又は約0.1mm未満、又は約0.06mm未満の厚みを有してもよい。これらの厚みは、(より薄くされることによる)サセプタの高速な加熱と、(より厚くされることによる)サセプタの頑健性の確保との間の良好なバランスをもたらすことがわかっている。
【0028】
一例において、サセプタは約0.05mmの厚みを有する。これによって、高速で効果的な加熱と頑健性との間のバランスがもたらされる。そのようなサセプタは、より薄い寸法を有する他のサセプタよりも、エアロゾル供給デバイスの一部としての製造及び組立てがより容易となり得る。
【0029】
エンティティの「厚み」への言及は、エンティティの内面とエンティティの外面との間の平均距離を意味する。厚みは、サセプタの軸線に対し垂直な方向において測定してもよい。
【0030】
エアロゾル供給デバイスの特定の構成において、インダクタコイルは、約3mm~約4mmの距離だけサセプタの外面から離して配置され、絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚みを有し、サセプタは、約0.025mm~約0.5mmの厚みを有する。そのようなエアロゾル供給デバイスは、サセプタの迅速な加熱及び効果的な絶縁特性を可能にする。
【0031】
別の特定の構成において、インダクタコイルは、約3mm~約3.5mmの距離だけサセプタの外面から離して配置することができ、絶縁部材は、約0.25mm~約0.75mmの厚みを有し、サセプタは、約0.04mm~約0.06mmの厚みを有する。そのようなエアロゾル供給デバイスは、サセプタの改善した加熱及び改善した絶縁特性を可能にする。
【0032】
さらなる特定の構成において、インダクタコイルは、約3.25mmの距離だけサセプタの外面から離して配置され、絶縁部材は、約0.5mmの厚みを有し、サセプタは、約0.05mmの厚みを有する。そのようなエアロゾル供給デバイスは、サセプタの効率的な加熱及び良好な絶縁特性を可能にする。
【0033】
インダクタコイル、サセプタ、及び絶縁部材は同軸であってもよい。この構成は、サセプタが効果的に加熱されることを確実にし、空隙及び絶縁部材が効果的な絶縁をもたらすことを確実にする。
【0034】
インダクタコイルの内面は絶縁部材の外面と接触してもよい。こうすると、絶縁部材は、他の構成要素を必要とすることなくインダクタコイルを支持することができる。しかしながら、他の例では、インダクタコイルの内面と絶縁部材の外面との間にさらなる空隙が存在してもよい。インダクタコイルの内面と絶縁部材の外面との間の距離は、約0.1mm未満であってもよく、例えば約0.05mmであってもよい。
【0035】
上述したように、本開示の第2の態様において、上記で説明したようなエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル生成材料を備える物品とを備えるエアロゾル供給システムが提供される。物品は、物品の外面がサセプタの内面と接触するように、エアロゾル供給デバイスのサセプタ内に受け取られるような寸法を有してもよい。したがって、物品は、サセプタの内面に当接するような寸法を有してもよい。
【0036】
本開示の第3の態様は、サセプタ、絶縁部材、1つ以上のインダクタコイル、及び外側カバーからなる特定の構成を定める。第3の態様において、デバイスは、デバイスの外面の少なくとも一部分を形成する外側カバーを備える。外側カバーの内面は、約4mm~約10mmの距離だけサセプタの外面から離して配置される。
【0037】
この距離は、サセプタの外面と、外側カバーの内面との間の、最も近い点における距離である。したがって、この距離は、サセプタの外面と外側カバーの内面との間の最小距離であってもよい。一例において、この距離は、サセプタと、デバイスの側面との間で測定してもよい。
【0038】
外側カバーがこの距離だけサセプタから離して配置されているとき、外側カバーは、デバイスのサイズ及び重量を低減しながら、使用者に対する不快感又は負傷を回避するのに十分なだけ、加熱されたサセプタから絶縁されることがわかっている。このため、この範囲内の距離は、絶縁特性とデバイス寸法との間の良好なバランスを表す。
【0039】
外側カバーは、外側ケーシングとしても知られているかもしれない。外側ケーシングは、デバイスを完全に包囲してもよいし、デバイスを部分的に囲むように延在してもよい。
【0040】
一例において、外側カバーの内面は、約4mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置される。別の例において、外側カバーの内面は、約5mm~約6mmの距離だけサセプタの外面から離して配置される。外側カバーの内面は、約5.3mm~約5.4mm等、約5mm~約5.5mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されることが好ましい。この距離範囲内の間隔は、デバイスが小型で軽量のままであることも確実にしながら、より良好な絶縁をもたらす。特定の例において、間隔は5.3mmである。
【0041】
いくつかの例において、使用時に、インダクタコイルは、約240℃~約300℃等、約200℃~約300℃の温度、又は約250℃~約280℃の温度にサセプタを加熱するように構成される。外側カバーが少なくともこの距離だけサセプタから離間されているとき、外側カバーの温度は、約60℃未満、約50℃未満、約48℃未満、又は約43℃未満等の安全なレベルに保たれる。
【0042】
代替的な構成において、外側カバーの内面は、約2mm~約10mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。
【0043】
いくつかの例において、インダクタコイルと外側カバーとの間に空隙が形成される。空隙は絶縁を提供する。
【0044】
上記で説明したように、絶縁部材は、約0.25mm~約1mmの厚みを有してもよい。絶縁部材(及びサセプタと絶縁部材との間の任意の空隙)は、加熱されたサセプタから外側カバーを絶縁するのに役立つ。
【0045】
絶縁部材は、例えばプラスチック等の任意の絶縁材料から構成してもよい。特定の例において、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。PEEKは、良好な絶縁特性を有し、エアロゾル供給デバイスにおける使用によく適している。
【0046】
別の例において、絶縁部材は、マイカ又はマイカガラスセラミックを含んでもよい。これらの材料は、良好な絶縁特性を有する。
【0047】
絶縁部材は、約0.5W/mK未満、又は約0.4W/mK未満の熱伝導率を有してもよい。例えば、熱伝導率は約0.3W/mKであってもよい。PEEKは、約0.32W/mKの熱伝導率を有する。
【0048】
絶縁部材は、約300℃超等、約320℃超、又は約340℃超の溶融点を有してもよい。PEEKは、343℃の溶融点を有する。そのような溶融点を有する絶縁部材は、サセプタが加熱されているとき、絶縁部材が剛体/固体のままであることを確実にする。
【0049】
外側カバーの内面は、約2mm~約3mmの距離だけ絶縁部材の外面から離して配置されてもよい。このサイズの分離距離は、外側カバーが熱くなりすぎないことを確実にするのに十分な絶縁を提供することがわかっている。絶縁部材の外側と外側カバーとの間に空気が配置されてもよい。
【0050】
より詳細には、外側カバーの内面は、約2.3mm等、約2mm~約2.5mmの距離だけ絶縁部材の外面から離して配置されてもよい。そのような寸法は、絶縁をもたらすことと、デバイスの寸法を低減することとの間の良好なバランスをもたらす。
【0051】
外側カバーの内面は、約0.2mm~約1mmの距離だけインダクタコイルの外面から離して配置されてもよい。いくつかの例では、インダクタコイルが磁場を誘導するために用いられる際、例えば、インダクタコイルを通る電流が磁場を誘導することに起因した抵抗加熱から、インダクタコイル自体が発熱してもよい。インダクタコイルと外側カバーとの間に間隔を設けることによって、加熱されたインダクタコイルが外側カバーから絶縁されることが確実になる。いくつかの例において外側カバーの内面とインダクタコイルとの間にフェライトシールドが配置される。フェライトシールドは、外側カバーの内面を絶縁するのにさらに役立つ。フェライトシールドが1つ以上のインダクタコイルと接触しているとき、及び1つ以上のコイルを少なくとも部分的に包囲しているとき、外側カバーの表面温度を約3℃低下させることができることがわかっている。
【0052】
一例において、インダクタコイルはリッツ線を含み、リッツ線は、円形状の横断面を有する。そのような例において、外側カバーの内面は、約0.25mm等、約0.2mm~約0.5mm、又は約0.2mm~約0.3mmの距離だけインダクタコイルの外面から離して配置されている。
【0053】
一例において、インダクタコイルはリッツ線を含み、リッツ線は、方形状の横断面を有する。そのような例において、外側カバーの内面は、約0.9mm等、約0.5mm~約1mm、又は約0.8mm~約1mmの距離だけインダクタコイルの外面から離して配置されている。円形の横断面を有するリッツ線は、方形の横断面を有するリッツ線よりも外側カバーの近くに配置することができる。なぜなら、円形の横断面のワイヤは、外側カバーに向かって露出する表面積がより小さいためである。
【0054】
上述したように、インダクタコイルの内面は、約3mm~約4mmの距離だけサセプタの外面から離して配置されてもよい。
【0055】
外側カバーはアルミニウムを含んでもよい。アルミニウムは、良好な熱分散特性を有する。
【0056】
外側カバーは、約200W/mK~約220W/mKの熱伝導率を有してもよい。例えば、アルミニウムは、約209W/mKの熱伝導率を有する。このように、外側カバーが比較的高い熱伝導率を有することで、その熱が外側カバー全体にわたって分散し、そして大気中に失われ、それによりデバイスを冷却することを確実にしてもよい。
【0057】
外側カバーは、約0.75mm~約2mmの厚みを有してもよい。したがって、外側カバーは絶縁障壁としての役割を果たすことができる。これらの厚みは、良好な絶縁をもたらすことと、デバイスのサイズ及び重量を低減することとの間の良好なバランスをもたらす。外側カバーは、約1.25mm~約1.75mm等、約1mm~約1.75mmの厚みを有することが好ましい。外側カバーは、約1.5mm等、約1.4mm~約1.6mmの厚みを有することがさらにより好ましい。この特定の厚みは、外側カバーの外面温度を低減させることがわかっている。
【0058】
代替的な例において、厚みは、約1mm等、約0.75mm~約1.25mmである。
【0059】
上記の態様のうちの任意のものにおいて、エアロゾル供給デバイスは、さらに又は代替的に、デバイス内に配置された少なくとも1つの絶縁層を備えてもよい。絶縁層は、外側カバーをサセプタからさらに絶縁する。デバイスは、少なくとも、サセプタと、少なくとも1つのインダクタコイルとを備える。
【0060】
絶縁層は、以下の場所、すなわち、(i)サセプタと絶縁部材との間、(ii)絶縁部材とインダクタコイルとの間、(iii)インダクタコイルと外側カバーとの間、のうちの任意のもの又は全てに配置されてもよい。(ii)において、絶縁部材は、絶縁層を収容するために、より小さな外径を有してもよい。加えて、又は代替的に、インダクタコイルは、絶縁層を収容するために、より大きな内径を有してもよい。絶縁層は、複数の材料層を備えてもよい。
【0061】
絶縁層は、以下の材料、すなわち、(i)空気(約0.02W/mKの熱伝導率を有する)、(ii)AeroZero(登録商標)(約0.03W/mK~約0.04W/mの熱伝導率を有する)、(iii)ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(いくつかの例において、約0.25W/mKの熱伝導率を有してもよい)、(iv)セラミッククロス(約1.13kJ/kgKの比熱を有する)、(v)熱伝導パテ、のうちの任意のものによって提供されてもよい。
【0062】
好ましくは、デバイスは、非燃焼加熱式デバイスとしても知られるタバコ加熱デバイスである。
【0063】
図1は、エアロゾル生成媒体/材料からエアロゾルを生成するためのエアロゾル供給デバイス100の一例を示す。大まかには、デバイス100は、エアロゾル生成媒体を含む交換可能物品110を加熱して、デバイス100の使用者が吸入するエアロゾル又は他の吸入可能な媒体を生成するために使用することができる。
【0064】
デバイス100は、デバイス100の様々な構成要素を取り囲み収容するハウジング102(外側カバーの形態のもの)を備える。デバイス100は、一端部に開口104を有しており、加熱アセンブリによる加熱のために、この開口104を通して物品110を挿入してもよい。使用時は、物品110を加熱アセンブリに完全に又は部分的に挿入して、加熱アセンブリ内でヒータアセンブリの1つ以上の構成要素によって物品110を加熱してもよい。
【0065】
本例のデバイス100は、第1の端部部材106を備え、この端部部材は、物品110が所定の場所にないときに開口104を閉じるために、第1の端部部材106に対して移動可能な蓋108を備える。図1では、蓋108は、開いた配置で示されているが、キャップ108は、閉じた配置になるように動いてもよい。例えば、ユーザは、蓋108を矢印「A」の方向に摺動させてもよい。
【0066】
デバイス100は、ボタンやスイッチなど、押されたときにデバイス100を作動させる、ユーザ操作可能な制御要素112を含んでもよい。例えば、ユーザは、スイッチ112を操作することによってデバイス100をオンにしてもよい。
【0067】
デバイス100は、ソケット/ポート114などの電気部品を備えてもよく、この部品は、デバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを受け取ることができる。例えば、ソケット114は、USB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。いくつかの例では、ソケット114は、これに加えて又はこれに代えて、、デバイス100と、コンピューティングデバイスなどの別のデバイスとの間でデータを転送するために使用してもよい。
【0068】
図2は、外側カバー102が取り外され物品110が存在していない図1のデバイス100を描いている。デバイス100は、長手方向軸線134を画定している。
【0069】
図2に示すように、第1の端部部材106は、デバイス100の一端部に配置され、第2の端部部材116は、デバイス100の反対側の端部に配置されている。第1の端部部材106及び第2の端部部材116は共に、デバイス100の端面を少なくとも部分的に画定する。例えば、第2の端部部材116の底面は、デバイス100の底面を少なくとも部分的に画定する。外側カバー102の縁部も、端面の一部を画定してもよい。この例では、蓋108もデバイス100の上面の一部を画定する。
【0070】
開口104に最も近いデバイスの端部は、使用時にユーザの口に最も近いので、デバイス100の近位端部(又は口端部)と呼ばれることもある。使用時、ユーザは、物品110を開口104に挿入し、ユーザ制御部112を操作してエアロゾル生成材料の加熱を開始し、デバイスで生成されたエアロゾルを吸い込む。これによりエアロゾルは、デバイス100の中を流路に沿ってデバイス100の近位端部に向かって流れる。
【0071】
開口104から最も遠いデバイスの他方の端部は、使用時にユーザの口から最も遠い端部であるので、デバイス100の遠位端部と呼ばれることもある。デバイスで生成されたエアロゾルをユーザが吸い込むにつれて、エアロゾルはデバイス100の遠位端部から流れ出る。
【0072】
デバイス100は、電源118をさらに備える。電源118は、例えば、再充電可能バッテリー又は非再充電可能バッテリーなどのバッテリーであってもよい。適切なバッテリーの例としては、例えば、リチウムバッテリー、(リチウムイオンバッテリーなど)、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなど)、及びアルカリバッテリーが挙げられる。バッテリーは、必要なときにコントローラ(図示せず)の制御の下で電力を供給してエアロゾル生成材料を加熱するために、加熱アセンブリに電気的に連結されている。この例では、バッテリーは、バッテリー118を所定の場所に保持する中央支持体120に接続されている。
【0073】
デバイスは、少なくとも1つの電子モジュール122をさらに備える。電子モジュール122は、例えば、プリント回路基板(PCB)を備えてもよい。PCB122は、プロセッサなどの少なくとも1つのコントローラ、及びメモリを支持してもよい。PCB122は、デバイス100の様々な電子部品を電気的に接続するための1つ以上の電気線路を備えてもよい。例えば、バッテリー端子は、電力をデバイス100全体に分配できるようにPCB122に電気的に接続されてもよい。ソケット114も、電気線路を介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0074】
例示的なデバイス100では、加熱アセンブリは誘導加熱アセンブリであり、誘導加熱プロセスよって物品110のエアロゾル生成材料を加熱するための様々な構成要素を備える。誘導加熱とは、電磁誘導によって導電性物体(サセプタなど)を加熱するプロセスのことである。誘導加熱アセンブリは、誘導要素、例えば1つ以上の誘導コイルと、交流電流などの変動電流を誘導要素に流すためのデバイスとを含んでもよい。誘導要素の変動電流は、変動磁場を発生させる。この変動磁場は、誘導要素に対して適切に配置されたサセプタに侵入し、サセプタ内部に渦電流を発生させる。サセプタには渦電流に対する電気抵抗があり、それゆえに、この抵抗に抗して渦電流が流れることにより、サセプタがジュール加熱によって加熱される。サセプタが鉄、ニッケル、又はコバルトなどの強磁性材料を含む場合には、サセプタの磁気ヒステリシス損失によって、すなわち、磁性材料の磁気双極子の向きが、変動する磁場と揃う結果として変動することによっても熱が発生しうる。例えば熱伝導による加熱と比較すると、誘導加熱では、熱がサセプタの内部で発生するので、急速な加熱が可能になる。さらに、誘導ヒータとサセプタとの間には何ら物理的接触の必要がないので、製造及び応用の自由度を高めることができる。
【0075】
例示的なデバイス100の誘導加熱アセンブリは、サセプタ装置132(本明細書では「サセプタ」と呼ばれる)、第1のインダクタコイル124、及び第2のインダクタコイル126を備える。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、導電性材料から作られる。この例では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、螺旋状に巻かれて螺旋インダクタコイル124、126を形成するリッツ線/ケーブルから作られる。リッツ線は、複数の個別の線から構成され、これらの線は個別に絶縁されており、撚り合わされて単一のワイヤを形成している。リッツ線は、導体の表皮効果損失を低減するように設計されている。例示的なデバイス100では、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、方形の横断面を持つ銅リッツ線で作られる。他の例では、リッツ線は、円形などの他の形状の横断面を有してもよい。
【0076】
第1のインダクタコイル124は、サセプタ132の第1の部位を加熱するための第1の変動磁場を生成するように構成され、第2のインダクタコイル126は、サセプタ132の第2の部位を加熱するための第2の変動磁場を生成するように構成される。この例では、第1のインダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸線134に沿った方向に第2のインダクタコイル126と隣り合っている(すなわち、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は重なり合わない)。サセプタ装置132は、単一のサセプタを備えてもよいし、2つ以上の別個のサセプタを備えてもよい。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の各端部130は、PCB122に接続することができる。
【0077】
第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、いくつかの例では、少なくとも1つの互いに異なる特性を有してもよいことを理解されたい。例えば、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126と異なる少なくとも1つの特性を有してもよい。より具体的には、一例において、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる値のインダクタンスを有してもよい。図2では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は長さが異なっており、第1のインダクタコイル124が、第2のインダクタコイル126と比べて、サセプタ132のより小さい部位の上に巻かれるようになっている。したがって、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる巻数を有していてもよい(個々の巻線の間隔が実質的に同じであることを想定)。さらに別の例では、第1のインダクタコイル124は、第2のインダクタコイル126とは異なる材料から作られていてもよい。いくつかの例では、第1及び第2のインダクタコイル124、126が実質的に同一であってもよい。
【0078】
この例では、第1のインダクタコイル124と第2のインダクタコイル126は、反対の方向に巻かれている。こうすることは、各インダクタコイルが別々の時間に通電される場合に有用となりうる。例えば、最初に、第1のインダクタコイル124が、物品110の第1の部位を加熱するために動作し、後の時点に、第2のインダクタコイル126が、物品110の第2の部位を加熱するために動作してもよい。各コイルを反対方向に巻くことが、特定の種類の制御回路と組み合わせて使用されたときに、非通電コイルに誘導される電流を低減する助けになる。図2で、第1のインダクタコイル124は右巻きの螺旋であり、第2のインダクタコイル126は左巻きの螺旋である。しかし、別の実施形態では、インダクタコイル124、126が同じ方向に巻かれていてもよいし、或いは、第1のインダクタコイル124が左巻きの螺旋であり、第2のインダクタコイル126が右巻きの螺旋であってもよい。
【0079】
この例のサセプタ132は中空であり、したがって、エアロゾル生成材料が受け取られるレセプタクルを画定する。例えば、物品110は、サセプタ132に挿入することができる。この例では、サセプタ132は、円形の横断面を有する管状である。
【0080】
図2のデバイス100は、絶縁部材128をさらに備え、この絶縁部材は、略管状であってもよく、また、サセプタ132を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。絶縁部材128は、例えば、プラスチックなどの任意の絶縁材料から作られてもよい。この特定の例では、絶縁部材は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作られている。絶縁部材128は、サセプタ132で発生した熱からデバイス100の様々な構成要素を絶縁する助けとなりうる。
【0081】
絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126を完全に、又は部分的に支持することもできる。例えば、図2に示されるように、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126は、絶縁部材128の周囲に配置され、絶縁部材128の径方向外向きの面に接触している。いくつかの例では、絶縁部材128は、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126に当接しない。例えば、絶縁部材128の外面と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の内面との間に、小さな隙間が存在してもよい。
【0082】
特定の例では、サセプタ132と、絶縁部材128と、第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126とは、サセプタ132の中心長手方向軸線の周りに同軸にある。
【0083】
図3は、デバイス100の側面を示す部分断面図である。この例では、外側カバー102が存在する。第1のインダクタコイル124及び第2のインダクタコイル126の方形の横断面形状がより明確に見える。
【0084】
デバイス100は、サセプタ132の一端部と係合してサセプタ132を所定の場所に保持する支持体136をさらに備える。支持体136は、第2の端部部材116に接続されている。
【0085】
デバイスは、制御要素112の中に付随する第2のプリント回路基板138も備えてよい。
【0086】
デバイス100は、デバイス100の遠位端部の方に配置された第2の蓋/キャップ140及びばね142をさらに備える。ばね142は、サセプタ132にアクセスするために第2の蓋140を開けられるようにする。ユーザは、第2の蓋140を開けて、サセプタ132及び/又は支持体136を清掃してもよい。
【0087】
デバイス100は、サセプタ132の近位端部から離れて、デバイスの開口104に向かって延びる拡張チャンバ144をさらに備える。拡張チャンバ144の中に少なくとも部分的に保持クリップ146が、物品110がデバイス100内に受け取られたときに物品110に当接し、これを保持するように配置されている。拡張チャンバ144は、端部部材106に接続されている。
【0088】
図4は、図1のデバイス100の、外側カバー102を省略した分解図である。
【0089】
図5Aは、図1のデバイス100の一部分の横断面を描いている。図5Bは、図5Aの一領域のクローズアップを描いている。図5A及び図5Bは、サセプタ132によって提供されるレセプタクルの中に受け取られた物品110を示しており、物品110は、物品110の外面がサセプタ132の内面に当接するように寸法設定されている。これにより、加熱が最も効率的になることが保証される。この例の物品110は、エアロゾル生成材料110aを含む。エアロゾル生成材料110aは、サセプタ132の中に配置される。物品110は、フィルター、包装材料及び/又は冷却構造などの他の構成要素も含んでよい。
【0090】
図5Bは、中空で管状のサセプタ132の長手方向軸線158を示す。サセプタ132の内面及び外面は、軸線158の周りに方位角方向に延在する。サセプタ132を取り囲んでいるのは、中空で管状の絶縁部材128であってもよい。絶縁部材128の内面は、絶縁部材128とサセプタ132との間に空隙を設けるためにサセプタ132の外面から離して配置される。この空隙によって、サセプタ132に生成される熱から絶縁することができる。絶縁部材128を取り囲んでいるのはインダクタコイル124、126である。いくつかの例では、1つのインダクタコイルだけが絶縁部材128を取り囲んでもよいことが理解されるであろう。インダクタコイル124、126は、絶縁部材の周りに螺旋状に巻かれ、軸線158に沿って延在する。
【0091】
図5Bは、サセプタ132の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向で測定される距離150だけ、インダクタコイル124、126の内面から離れていることを示す。特定の例では、距離150は約3.25mmである。サセプタ132の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。サセプタ132の内面は、軸線158に最も近い表面である。インダクタコイル124、126の内面は、軸線158に最も近い表面である。絶縁部材128の外面は、軸線158から最も遠くに離れた表面である。
【0092】
サセプタ132とインダクタコイル124、126との間に相対間隔を空けるために、絶縁部材128を特定の寸法で形成することができる。絶縁部材128及びサセプタ132を、デバイス100の1つ以上の構成要素によって所定位置に保持することができる。図5Aの例では、絶縁部材128及びサセプタ132は、一端で支持体136によって、他端で拡張チャンバ144によって所定位置に保持される。他の例では、異なる構成要素が絶縁部材128及びサセプタ132を保持してもよい。
【0093】
図5Bは、絶縁部材128の外面が、サセプタ132の長手方向軸線158に垂直な方向で測定される距離152だけ、インダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では、距離152は約0.05mmである。別の例では、距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128に当たって接触するように実質的に0mmになっている。
【0094】
この例では、サセプタ132は約0.05mmの厚さ154を有する。サセプタ132の厚さは、軸線158に垂直な方向で測定される、サセプタ132の内面とサセプタ132の外面との間の平均距離である。
【0095】
一例では、サセプタ132は、約40mm~約50mm、又は約40mm~約45mmの長さを有する。この特定の例では、サセプタ132は約44.5mmの長さを有し、約42mmの長さを有するエアロゾル生成材料110aを備える物品110を受け取ることができる。エアロゾル生成材料及びサセプタ132の長さは軸線158と平行な方向で測定される。
【0096】
一例では、絶縁部材128は、約0.25mm~約2mm、又は約0.25mm~約1mmの厚さ156を有する。この特定の例では、絶縁部材は約0.5mmの厚さ156を有する。絶縁部材128の厚さ156は、軸線158に垂直な方向で測定される、絶縁部材128の内面と絶縁部材128の外面との間の平均距離である。
【0097】
図6は、図5A及び図5Bに示されるサセプタ132及び絶縁部材128の断面の線図である。しかしながら、この例において、2つのインダクタコイルは、明確にするために単一のインダクタコイル224に置き換えられている。インダクタコイル224は、2つ以上のインダクタコイルと置き換えてもよい。
【0098】
インダクタコイル224は、絶縁部材128の周りに巻かれ、絶縁部材128の外面128bと接触している。別の例では、これらは接触していなくてもよい。したがって、インダクタコイルの内面224aは、距離150だけサセプタ132の外面132bから離して配置される。この例において、インダクタコイル224を形成するワイヤは、円形の横断面を有するが、他の形状の横断面が用いられてもよい。図6に示す寸法は縮尺通りに示されていない。
【0099】
図6は、サセプタ132の厚み154を、サセプタ132の内面132aと外面132bとの間の距離として、また、絶縁部材128の厚み156を、絶縁部材128の内面128aと外面128bとの間の距離として、より明確に示す。
【0100】
図6は、幅204を有する空隙202も示す。空隙202の幅204は、サセプタ132の外面132bと、絶縁部材の内面128aとの間の距離である。
【0101】
図6は、外側カバー102の一部分の断面も示す。外側カバー102は、絶縁部材128の上下にさらに延在し続けてもよい。外側カバー102は、デバイスの内部構成要素に保護を提供し、通常、デバイスの使用中、使用者の手と接触する。外側カバー102の図示される部分は、サセプタ132の最も近くに配置される部分である。
【0102】
外側カバー102は、内面102a及び外面102bを備える。内面102aは、外面102bからよりも、サセプタ132から、より遠くに配置される。デバイス100が触るのに熱すぎないことを確実にするために、外側カバー102の内面102aと絶縁部材128の外面128bとの間に空隙208を設けてもよい。この例において、外側カバー102の内面128aは、約4mm~約10mmの距離160だけサセプタ132の外面132bから離して配置される。この特定の例において、距離160は約5.3mmである。
【0103】
外側カバー102は、約0.75mm~約2mmの厚み162を有する。この例において、外側カバー102は、約1mmの厚み162を有し、6063アルミニウムから作製される。厚み162は、軸線158に対し垂直な方向において測定された、外面102bと内面102aとの間の距離である。
【0104】
外側カバー102の内面102aは、約2mm~約3mmの距離164だけ絶縁部材128の外面128bから離して配置される。この例において、外側カバー102の内面102aは、約2.3mmの距離164だけ絶縁部材128の外面128bから離して配置される。
【0105】
外側カバー102の内面102aは、約0.2mm~約1mmの距離166だけインダクタコイル224の外面224bから離して配置されてもよい。本例において、インダクタコイルは、円形状の横断面を有するリッツ線を含む。そのような例において、距離166は、約0.2mm~約0.5mm、例えば約0.25mmである。(図5A及び図5Bの例のように)横断面が方形状である例において、この距離はより大きくてもよく、約0.5mm~約1mm、例えば約0.9mmであってもよい。
【0106】
図7は、絶縁部材128内に配置され、絶縁部材128によって包囲された管状サセプタ132の斜視図である。サセプタ132及び絶縁部材128の双方が円形状の横断面を有するが、これらの横断面は、任意の他の形状を有してもよく、いくつかの例では、互いに異なっていてもよい。使用者は、矢印206の方向に物品110を挿入することによって、物品110をサセプタ132内に導入することができる。
【0107】
上記の実施形態は、本発明の例示的なものとして理解されたい。本発明のさらなる実施形態が想起される。いずれか1つの実施形態に関して説明されたいずれかの特徴は単独で、又は説明された他の特徴と一緒に使用されてもよく、また、諸実施形態のうちのいずれか他のもの、又は実施形態のうちのいずれか他のものの任意の組合せ、のうちの1つ以上の特徴と一緒に使用されてもよいことを理解されたい。さらに、上述されていない等価物及び修正形態もまた、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱することなく使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7