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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】検出装置及び光フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241101BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023502244
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2022004392
(87)【国際公開番号】W WO2022181292
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】P 2021029149
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 順子
(72)【発明者】
【氏名】田畠 茂
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-010702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0381470(US,A1)
【文献】特開2015-056484(JP,A)
【文献】特開2008-205317(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0301187(US,A1)
【文献】特開2016-015173(JP,A)
【文献】特開2014-022675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を有する基板と、
前記検出領域に設けられた複数のフォトダイオードと、
複数の前記フォトダイオードを覆って設けられた第1透光性樹脂層と、
前記第1透光性樹脂層の上に設けられ、複数の前記フォトダイオードのそれぞれに重畳する領域に開口が設けられた遮光層と、
前記遮光層を覆って設けられた第2透光性樹脂層と、
前記第2透光性樹脂層の上に設けられ、複数の前記フォトダイオードのそれぞれに重畳して設けられた複数のレンズと、
複数の前記フォトダイオードと前記第1透光性樹脂層との間に設けられ、赤外線を遮光するIRカットフィルタ層と、を有し、
前記基板の周縁側で、前記第2透光性樹脂層は、前記遮光層の周縁側の端部を覆って設けられ
前記IRカットフィルタ層の上に、前記第1透光性樹脂層、前記遮光層、前記第2透光性樹脂層及び複数の前記レンズが積層され、
前記第1透光性樹脂層は、前記IRカットフィルタ層の周縁側の端部を覆って設けられる
検出装置。
【請求項2】
前記第2透光性樹脂層は、前記遮光層の周縁側の端部及び前記第1透光性樹脂層の周縁側の端部を覆って設けられる
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第1透光性樹脂層の周縁側の端部及び前記第2透光性樹脂層の周縁側の端部は、傾斜して形成される
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1透光性樹脂層の周縁側の端部及び前記第2透光性樹脂層の周縁側の端部には、それぞれ複数の段差が形成される
請求項1又は請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2透光性樹脂層の複数の前記段差は、前記第2透光性樹脂層の周縁側の端部から、少なくとも第1上面、第1側面、第2上面及び第2側面が繋がって形成され、
前記段差の高さは、前記段差の幅よりも小さい
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
複数の前記フォトダイオードと前記第1透光性樹脂層との間に設けられた有機保護膜を有し、
前記有機保護膜は、前記検出領域から前記基板の周縁側の端部まで連続して形成され、
前記第1透光性樹脂層の周縁側の端部は、前記有機保護膜の上に設けられる
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記IRカットフィルタ層の膜厚は、前記遮光層の膜厚よりも厚く形成される
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項8】
前記遮光層の膜厚は、前記IRカットフィルタ層の膜厚よりも厚く形成される
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記基板に垂直な方向からの平面視で、前記第1透光性樹脂層の周縁側の隅部及び前記第2透光性樹脂層の周縁側の隅部の少なくとも一方には、面取り部が形成される
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記基板の周縁側の端部から前記検出領域に向かって、前記第1透光性樹脂層の周縁側の端部、前記第2透光性樹脂層の周縁側の端部、前記遮光層の周縁側の端部の順に配置される
請求項1に記載の検出装置。
【請求項11】
検出領域を有する基板と、前記検出領域に設けられた複数のフォトダイオードと、を有する検出装置に設けられる光フィルタであって、
第1透光性樹脂層と、
前記第1透光性樹脂層の上に設けられ、複数の開口が設けられた遮光層と、
前記遮光層を覆って設けられた第2透光性樹脂層と、
前記第2透光性樹脂層の上に設けられた複数のレンズと、
複数の前記フォトダイオードと前記第1透光性樹脂層との間に設けられ、赤外線を遮光するIRカットフィルタ層と、を有し、
前記第1透光性樹脂層の周縁側で、前記第2透光性樹脂層は、前記遮光層の周縁側の端部を覆って設けられ
前記IRカットフィルタ層の上に、前記第1透光性樹脂層、前記遮光層、前記第2透光性樹脂層及び複数の前記レンズが積層され、
前記第1透光性樹脂層は、前記IRカットフィルタ層の周縁側の端部を覆って設けられる
光フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置及び光フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のレンズを配列したレンズアレイと、複数の光センサを配列した光センサアレイと、レンズアレイと光センサアレイとの間に設けられたピンホールアレイとを有する表示パネルについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2019/0080138号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光センサアレイの上にピンホールアレイ及びレンズアレイが積層された検出装置では、例えば、遮光層やレンズが透光性樹脂層の上に形成される際に、透光性樹脂層の周縁側の端部に形成される段差の影響で、遮光層に形成されるピンホールやレンズの形状ばらつきが生じる可能性がある。ピンホールやレンズの形状のばらつきが生じると、レンズを透過してセンサに集光される光の状態が異なる。このため、検出精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、光学素子の形状ばらつきを抑制することが可能な検出装置及び光フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、検出領域を有する基板と、前記検出領域に設けられた複数のフォトダイオードと、複数の前記フォトダイオードを覆って設けられた第1透光性樹脂層と、前記第1透光性樹脂層の上に設けられ、複数の前記フォトダイオードのそれぞれに重畳する領域に開口が設けられた遮光層と、前記遮光層を覆って設けられた第2透光性樹脂層と、前記第2透光性樹脂層の上に設けられ、複数の前記フォトダイオードのそれぞれに重畳して設けられた複数のレンズと、を有し、前記基板の周縁側で、前記第2透光性樹脂層は、前記遮光層の周縁側の端部を覆って設けられる。
【0007】
本発明の一態様の光フィルタは、検出領域を有する基板と、前記検出領域に設けられた複数のフォトダイオードと、を有する検出装置に設けられる光フィルタであって、第1透光性樹脂層と、前記第1透光性樹脂層の上に設けられ、複数の開口が設けられた遮光層と、前記遮光層を覆って設けられた第2透光性樹脂層と、前記第2透光性樹脂層の上に設けられた複数のレンズと、を有し、前記第1透光性樹脂層の周縁側で、前記第2透光性樹脂層は、前記遮光層の周縁側の端部を覆って設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1B図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1C図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図1D図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
図2図2は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図3図3は、図2のIII-III’断面図である。
図4図4は、実施形態に係る光フィルタを示す平面図である。
図5図5は、光フィルタを示す断面図である。
図6図6は、表示パネルに貼り合わされたアレイ基板の構成を模式的に示す断面図である。
図7図7は、周辺領域のアレイ基板及び光フィルタを模式的に示す平面図である。
図8図8は、周辺領域の光フィルタを示す断面図である。
図9図9は、検出素子を示す平面図である。
図10図10は、図9のX-X’断面図である。
図11図11は、変形例4に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図12図12は、変形例5に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図13図13は、変形例6に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図14図14は、変形例7に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図15図15は、変形例8に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図16図16は、変形例9に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。
図17図17は、変形例10に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す平面図である。
図18図18は、変形例11に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す平面図である。
図19図19は、変形例12に係る、マザー基板を模式的に示す平面図である。
図20図20は、図19のXX-XX’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
図1Aは、実施形態に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Bは、変形例1に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Cは、変形例2に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。図1Dは、変形例3に係る検出装置を有する照明装置付き検出機器の概略断面構成を示す断面図である。
【0012】
図1Aに示すように、照明装置付き検出機器120は、検出装置1と、照明装置121と、を有する。検出装置1は、アレイ基板2と、光フィルタ7と、接着層125と、カバー部材122と、を有する。つまり、アレイ基板2の表面に垂直な方向において、アレイ基板2、光フィルタ7、接着層125、カバー部材122の順に積層されている。なお、後述するように検出装置1のカバー部材122を照明装置121に置き換えることもできる。接着層125は、光フィルタ7とカバー部材122とを接着させるものであればよく、検出領域AAに相当する領域に接着層125は無い構造であっても構わない。検出領域AAに接着層125が無い場合、検出領域AAの外側の周辺領域GAに相当する領域で接着層125がカバー部材122と光フィルタ7とを接着させている構造となる。また、検出領域AAに設けられる接着層125は、単に光フィルタ7の保護層と言い換えてもよい。
【0013】
図1Aに示すように、照明装置121は、例えば、カバー部材122を検出装置1の検出領域AAに対応する位置に設けられた導光板として用い、カバー部材122の一方端又は両端に並ぶ複数の光源123を有する、いわゆるサイドライト型のフロントライトであってもよい。つまり、カバー部材122は、光を照射する光照射面121aを有し、照明装置121の一構成要素となっている。この照明装置121によれば、カバー部材122の光照射面121aから検出対象である指Fgに向けて光L1を照射する。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられる。
【0014】
また、図1Bに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域AA内に設けられた光源(例えば、LED)を有するものであってもよく、光源を備えた照明装置121はカバー部材122としても機能する。
【0015】
また、照明装置121は、図1Bの例に限らず、図1Cに示すように、カバー部材122の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から指Fgに光L1を照射してもよい。
【0016】
さらには、図1Dに示すように、照明装置121は、検出装置1の検出領域に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであってもよい。
【0017】
照明装置121から照射された光L1は、検出対象である指Fgにより光L2として反射される。検出装置1は、指Fgで反射された光L2を検出することで、指Fgの表面の凹凸(例えば、指紋)を検出する。さらに、検出装置1は、指紋の検出に加え、指Fgの内部で反射した光L2を検出することで、生体に関する情報を検出してもよい。生体に関する情報は、例えば、静脈等の血管像や脈拍、脈波等である。照明装置121からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。
【0018】
カバー部材122は、アレイ基板2及び光フィルタ7を保護するための部材であり、アレイ基板2及び光フィルタ7を覆っている。上述のように、照明装置121がカバー部材122を兼ねる構造でもよい。図1C及び図1Dに示すカバー部材122が照明装置121と分離されている構造においては、カバー部材122は、例えばガラス基板である。なお、カバー部材122はガラス基板に限定されず、樹脂基板等であってもよい。また、カバー部材122が設けられていなくてもよい。この場合、アレイ基板2及び光フィルタ7の表面に絶縁膜等の保護層が設けられ、指Fgは検出装置1の保護層に接する。
【0019】
照明装置付き検出機器120は、図1Bに示すように、照明装置121に換えて表示パネルが設けられていてもよい。表示パネルは、例えば、有機ELディスプレイパネル(OLED:Organic Light Emitting Diode)や無機ELディスプレイ(マイクロLED、ミニLED)であってもよい。或いは、表示パネルは、表示素子として液晶素子を用いた液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)であってもよい。この場合であっても、表示パネルから照射された表示光(光L1)が指Fgで反射された光L2に基づいて、指Fgの指紋や生体に関する情報を検出することができる。
【0020】
図2は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。なお、図2以下で示す、第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の法線方向である。また、「平面視」とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係をいう。
【0021】
図2に示すように、検出装置1は、アレイ基板2(基板21)と、センサ部10と、走査線駆動回路15と、信号線選択回路16と、検出回路48と、制御回路102と、電源回路103と、を有する。
【0022】
基板21には、配線基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。配線基板110は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。配線基板110には、検出回路48が設けられている。制御基板101には、制御回路102及び電源回路103が設けられている。制御回路102は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路102は、センサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給し、センサ部10の動作を制御する。電源回路103は、電源電位VDDや基準電位VCOM(図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。なお、本実施形態においては、検出回路48が配線基板110に配置される場合を例示したがこれに限られない。検出回路48は、基板21の上に配置されてもよい。
【0023】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AA及び周辺領域GAは、基板21と平行な面方向に延在している。検出領域AA内には、センサ部10の各素子(検出素子3)が設けられている。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、光センサとして機能する各素子(検出素子3)が設けられない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と基板21の端部との間の領域である。周辺領域GA内には、走査線駆動回路15及び信号線選択回路16が設けられる。走査線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。
【0024】
センサ部10の複数の検出素子3は、それぞれ、センサ素子としてフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、光電変換素子であり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。また、フォトダイオード30はOPD(Organic Photo Diode)であってもよい。検出素子3は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。複数の検出素子3が有するフォトダイオード30は、走査線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号に従って検出を行う。複数のフォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号として信号線選択回路16に出力する。検出装置1は、複数のフォトダイオード30からの検出信号に基づいて生体に関する情報を検出する。
【0025】
図3は、図2のIII-III’断面図である。図3は、アレイ基板2、フォトダイオード30及び光フィルタ7の積層構成を模式的に示している。
【0026】
図3に示すように、光フィルタ7は、複数のフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)の上に設けられる。光フィルタ7は、第1遮光層71と、第2遮光層72と、第1透光性樹脂層74と、第2透光性樹脂層75と、レンズ78と、を有する。なお、図3に示す光フィルタ7は、あくまで模式的に示したものであり、光フィルタ7の詳細な積層構成については後述する。光フィルタ7は、指Fg等の被検出体で反射された光L2のうち、第3方向Dzに進行する成分をフォトダイオード30に向けて透過させ、斜め方向に進行する成分を遮蔽する光学素子である。光フィルタ7は、コリメートアパーチャ、あるいは、コリメータとも呼ばれる。
【0027】
光フィルタ7は、検出領域AA及び周辺領域GAに亘って設けられる。光フィルタ7は、上面に複数のレンズ78を有する。複数のレンズ78は、検出領域AAに設けられ、複数のフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)のそれぞれに重畳して設けられる。指Fg等の被検出体で反射された光L2は、複数のレンズ78のそれぞれで集光され、複数のレンズ78のそれぞれに対応する複数のフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)に照射される。
【0028】
なお、複数のレンズ78は、周辺領域GAには設けられていないが、周辺領域GAに光学素子として機能しないダミーレンズが設けられていてもよい。ダミーレンズは、検出領域AAの複数のフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)と非重畳に設けられる。複数のダミーレンズは、複数のレンズ78と同様の構成で形成され、複数のダミーレンズを設けることで、検出領域AAの複数のレンズ78の形状安定性を向上させることができる。
【0029】
次に、検出素子3及び光フィルタ7の詳細な構成について説明する。図4は、実施形態に係る光フィルタを示す平面図である。
【0030】
図4に示すように、光フィルタ7は、マトリクス状に配列された複数の検出素子3(フォトダイオード30)を覆って設けられる。光フィルタ7は、複数の検出素子3を覆う第1透光性樹脂層74及び第2透光性樹脂層75と、複数の検出素子3のそれぞれに設けられた複数のレンズ78を有する。さらに、光フィルタ7は、隣り合うレンズ78の間に設けられた複数の突出部PSを有する。
【0031】
1つの検出素子3に対して複数のレンズ78が配置される。図4に示す例では、1つの検出素子3に、レンズ78-1、78-2、・・・、78-8の8個のレンズ78が設けられる。複数のレンズ78-1、78-2、・・・、78-8は、三角格子状に配置される。また、後述するように、1つの検出素子3は、複数の検出領域(部分フォトダイオード30S)を有し、1つの検出素子3における複数の検出領域それぞれにレンズ78が対応する構造となる。
【0032】
ただし、1つの検出素子3に配置される複数のレンズ78の数は、複数の検出領域の数に合わせ、7個以下でもよいし、9個以上でもよい。複数のレンズ78の配置も、フォトダイオード30の構成に応じて適宜変更できる。
【0033】
突出部PSは、平面視でレンズ78と同じ円形状で形成された柱状の部材である。突出部PSは、光フィルタ7の上にカバー部材122等を貼り合わせる際のスペーサとして用いられる。あるいは、突出部PSは、検出装置1の製造工程において、アレイ基板2を他の基板と重ね合わせる際のスペーサとして用いられる。1つの突出部PSは、6個のレンズ78に囲まれて設けられる。より具体的には、突出部PSは、第2方向Dyでレンズ78-4とレンズ78-5との間に配置される。突出部PSは、第1方向Dxでレンズ78-1、78-3とレンズ78-6、78-8との間に配置される。突出部PSは、複数のレンズ78と三角格子状に配置され、複数のレンズ78の間のスペースに効率よく配置される。
【0034】
また、突出部PSは、第2方向Dyに隣り合う検出素子3の境界部分(例えば検出素子3-1、3-2の各境界部分)に設けられる。言い換えると、突出部PSは、平面視で、第2方向Dyに隣り合うフォトダイオード30の間に設けられる。突出部PSの数は、レンズ78の数よりも少ない。また、突出部PSは、フォトダイオード30の部分フォトダイオード30Sと非重畳に設けられる。
【0035】
ただし、突出部PSの配置や数は適宜変更することができる。例えば、突出部PSは、第1方向Dxに隣り合う検出素子3の境界部分に設けられていてもよい。突出部PSは、各検出素子3に設けられているが、突出部PSが設けられない検出素子3があってもよい。また、突出部PSは、レンズ78と異なる形状、大きさであってもよい。
【0036】
図5は、光フィルタを示す断面図である。図5は、図4のV-V’断面図である。なお、図5では、アレイ基板2の構成を簡略化して示しており、フォトダイオード30(部分フォトダイオード30S-1)と、フォトダイオード30を覆う保護膜29(有機保護膜)と、を模式的に示している。
【0037】
図5に示すように、光フィルタ7は、第1遮光層71と、第2遮光層72と、フィルタ層73(IRカットフィルタ層)と、第1透光性樹脂層74と、第2透光性樹脂層75と、レンズ78と、を有する。本実施形態では、保護膜29の上に、第1遮光層71、フィルタ層73、第1透光性樹脂層74、第2遮光層72、第2透光性樹脂層75、レンズ78の順に積層されている。突出部PSは、光フィルタ7と一体に形成され、レンズ78と同層に第2透光性樹脂層75の上に設けられる。
【0038】
レンズ78は、1つのフォトダイオード30の部分フォトダイオード30S-1に重畳する領域に設けられる。レンズ78は、凸レンズである。レンズ78の光軸CLは、第3方向Dzと平行方向に設けられ、部分フォトダイオード30S-1と交差する。レンズ78は、第2透光性樹脂層75の上に直接接して設けられる。言い換えると、第2透光性樹脂層75は、第2遮光層72とレンズ78との間に設けられる。また、本実施形態では、隣接するレンズ78の間では、第2透光性樹脂層75の上に遮光層等が設けられていない。
【0039】
第1遮光層71は、アレイ基板2の保護膜29の上に直接、接して設けられる。言い換えると、第1遮光層71は、第3方向Dzでフォトダイオード30とレンズ78との間に設けられる。また、第1遮光層71には、フォトダイオード30に重畳する領域に第1開口OP1が設けられる。第1開口OP1は、光軸CLと重なる領域に形成される。
【0040】
第1遮光層71は、例えば、モリブデン(Mo)等の金属材料で形成されている。これにより、第1遮光層71は、第1開口OP1を透過する光L2以外の、斜め方向に進行する光L2の成分を反射することができる。また、第1遮光層71が金属材料で形成されているので、第1開口OP1の第1方向Dxでの幅W1(直径)を精度よく形成することができる。したがって、フォトダイオード30の配置ピッチや面積が小さい場合でも、フォトダイオード30に対応させて第1開口OP1を設けることができる。
【0041】
さらに第1遮光層71は、後述する樹脂材料で形成される第2遮光層72と異なり金属材料により形成されるものであるため、第2遮光層72よりも薄く形成することができ、第2遮光層72に形成される第2開口OP2よりも小さな第1開口OP1を形成することができる。第1遮光層71の厚さは、第2遮光層72の厚さの10分の1以下である。第1遮光層71は第2遮光層72の厚さに比べ極めて薄く形成されることになる。一例として、第1遮光層71の厚さは、0.055μm以上であり、例えば0.065μmであり、第2遮光層の厚さTH5(図5参照)は例えば1μmである。第1遮光層71は第2遮光層72の厚さTH5に比べ極めて薄く形成されることになる。
【0042】
フィルタ層73は、第1遮光層71の上に直接、接して設けられ、第3方向Dzで、第1遮光層71と第1透光性樹脂層74との間に設けられる。フィルタ層73は、所定の波長帯域の光を遮光するフィルタである。フィルタ層73は、例えば、緑色に着色された樹脂材料で形成され、赤外線を遮光するIRカットフィルタである。これにより、光フィルタ7は、光L2のうち、例えば指紋検出に必要な波長帯域の成分をフォトダイオード30に入射させて、検出感度を向上させることができる。
【0043】
第1透光性樹脂層74は、フィルタ層73の上に直接、接して設けられ、第3方向Dzで、第1遮光層71と第2遮光層72との間に設けられる。第1透光性樹脂層74及び第2透光性樹脂層75は、例えば透光性のアクリル系樹脂で形成される。
【0044】
第2遮光層72は、第1透光性樹脂層74の上に直接、接して設けられる。第2遮光層72には、フォトダイオード30及び第1開口OP1に重畳する領域に第2開口OP2が設けられる。第2開口OP2は、光軸CLと重なる領域に形成される。より好ましくは、第2開口OP2の中心及び第1開口OP1の中心は、光軸CLと重なって設けられる。
【0045】
第2遮光層72は、例えば黒色に着色された樹脂材料で形成される。これにより、第2遮光層72は、第2開口OP2を透過する光L2以外の、斜め方向に進行する光L2の成分を吸収する光吸収層として機能する。また、第2遮光層72は、第1遮光層71で反射された光を吸収する。これにより、第2遮光層72が金属材料で形成された構成に比べて、第1遮光層71で反射された光が、複数回反射を繰り返して迷光として第1透光性樹脂層74を進行し、他のフォトダイオード30に入射することを抑制できる。また、第2遮光層72は、隣接するレンズ78の間から入射した外光を吸収することができる。これにより、第2遮光層72が金属材料で形成された構成に比べて、第2遮光層72での反射光を抑制できる。ただし、第2遮光層72は、黒色に着色された樹脂材料により形成される例に限らず、表面に黒色化処理された金属材料により形成されるものであってもよい。
【0046】
第2透光性樹脂層75は、第2遮光層72の上に直接、接して設けられ、第3方向Dzで、第2遮光層72とレンズ78との間に設けられる。
【0047】
第2透光性樹脂層75は、第1透光性樹脂層74と同じ材料が用いられ、第2透光性樹脂層75の屈折率は、第1透光性樹脂層74の屈折率と実質的に等しい。これにより、第2開口OP2での、第1透光性樹脂層74と第2透光性樹脂層75との界面での光L2の反射を抑制することができる。ただしこれに限定されず、第1透光性樹脂層74と第2透光性樹脂層75とは異なる材料で形成されていてもよく、第1透光性樹脂層74の屈折率と第2透光性樹脂層75の屈折率とが異なっていてもよい。
【0048】
本実施形態では、レンズ78の第1方向Dxでの幅W3(径)、第2開口OP2の第1方向Dxでの幅W2(径)、第1開口OP1の第1方向Dxでの幅W1(径)の順に小さくなっている。また、第1開口OP1の第1方向Dxでの幅W1は、フォトダイオード30の部分フォトダイオード30S-1の第1方向Dxでの幅よりも小さい。幅W1は、2μm以上、10μm以下、例えば3.5μm程度である。幅W2は、3μm以上、20μm以下、例えば10.0μm程度である。幅W3は、10μm以上、50μm以下、例えば21.9μm程度である。
【0049】
また、図5に示す第2透光性樹脂層75の厚さTH2は、第1透光性樹脂層74の厚さTH1とほぼ同じか、あるいは第1透光性樹脂層74の厚さTH1よりも薄く形成される。第1透光性樹脂層74の厚さTH1及び第2透光性樹脂層75の厚さTH2は、フィルタ層73の厚さTH4よりも厚く形成される。また、第1透光性樹脂層74の厚さTH1及び第2透光性樹脂層75の厚さTH2は、アレイ基板2の保護膜29の厚さTH3よりも厚い。厚さTH1及び厚さTH2は、3μm以上、30μm以下、例えば厚さTH1は18μm程度である。厚さTH2は、例えば16.5μm程度である。厚さTH3は、1μm以上、10μm以下、例えば4.5μm以上である。また、一例としてのフィルタ層73の厚さTH4は、1μm以上、5μm以下、例えば1.35μmである。
【0050】
このような構成により、指Fg等の被検出体で反射された光L2のうち、第3方向Dzに進行する光L2-1は、レンズ78で集光され、第2開口OP2及び第1開口OP1を透過して、フォトダイオード30に入射する。また、第3方向Dzに対して角度θ1だけ傾斜した光L2-2についても、第2開口OP2及び第1開口OP1を透過して、フォトダイオード30に入射する。
【0051】
突出部PSは、第1開口OP1が設けられていない第1遮光層71及び第2開口OP2が設けられていない第2遮光層72と重畳する位置に設けられる。突出部PSは、第1開口OP1及び第2開口OP2と非重畳であり、突出部PSを通過した光L2は、第1遮光層71及び第2遮光層72で遮られる。検出装置1は、突出部PSを設けた構成であっても、検出精度の低下を抑制することができる。
【0052】
突出部PSの第1方向Dxでの幅W4(径)は、レンズ78の第1方向Dxでの幅W3(径)と等しい。第3方向Dzで、突出部PSの高さHL2は、レンズ78の高さHL1よりも高い。第3方向Dzで、突出部PSの頂部は、レンズ78の頂部よりも高い位置に設けられている。突出部PSは、樹脂材料で形成され、フォトリソグラフィ法により柱状にパターニングされる。図5では、突出部PSの上面は平坦に形成されている。ただし、図5はあくまで模式的に示したものであり、突出部PSの上面は、レンズ78と同様に曲面を有していてもよい。
【0053】
図6は、表示パネルに貼り合わされたアレイ基板の構成を模式的に示す断面図である。図6に示すように、突出部PSが表示パネル126の下面に当接するように、基板21と表示パネル126とが貼り合わされる。これにより、検出装置1は、レンズ78が表示パネル126に接触して損傷することを抑制することができる。
【0054】
なお、図5に示した光フィルタ7の各層の膜厚、第1開口OP1の幅W1及び第2開口OP2の幅W2については光フィルタ7に求められる特性に合わせて適宜変更可能である。また、図6に示す表示パネル126に換えて、カバー部材122等の他の部材が積層されてもよい。
【0055】
次にアレイ基板2の周縁側での光フィルタ7の詳細な構成について説明する。図7は、周辺領域のアレイ基板及び光フィルタを模式的に示す平面図である。図8は、周辺領域の光フィルタを示す断面図である。図7及び図8に示すように、アレイ基板2の周縁側で、第1遮光層71、フィルタ層73、第1透光性樹脂層74、第2遮光層72、第2透光性樹脂層75の順に積層される。アレイ基板2の周縁側で、第2透光性樹脂層75は、第2遮光層72の周縁側の端部72eを覆って設けられる。また、アレイ基板2の周縁側で、第1透光性樹脂層74は、フィルタ層73の周縁側の端部73eを覆って設けられる。
【0056】
第1方向Dxで、第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74eよりも検出領域AA側(アレイ基板2の周縁側の端部から離れる方向)に位置する。また、第1方向Dxで、第2遮光層72の周縁側の端部72eは、フィルタ層73の周縁側の端部73e(及び第1遮光層71の周縁側の端部)よりも検出領域AA側に位置する。
【0057】
図7及び図8に示す例では、第1方向Dxで、アレイ基板2の周縁側から検出領域AA側に向かって、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e、フィルタ層73の周縁側の端部73e、第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75e、第2遮光層72の周縁側の端部72eの順に配置される。
【0058】
このように、光フィルタ7は、アレイ基板2の周縁側で、各端部72e、73e、74e、75eの位置がずれるように第2遮光層72、フィルタ層73、第1透光性樹脂層74、第2透光性樹脂層75が積層される。これにより、アレイ基板2の周縁側で、各端部72e、73e、74e、75eが一致して各層が形成された場合に比べて、急峻な段差が形成されず、全体として、アレイ基板2の周縁側での段差形状がなだらかに形成される。
【0059】
すなわち、各端部72e、73e、74e、75eが一致して各層が形成された場合に比べて、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eでの形状ばらつきが抑制される。この結果、第2遮光層72及び複数のレンズ78を塗布形成する際に、端部74e及び端部75eの形状ばらつきに起因する、第2遮光層72(第2開口OP2)及び複数のレンズ78の形状の不均一が生じることを抑制することができる。したがって、検出装置1は、レンズ78及び第2開口OP2を透過してフォトダイオード30(部分フォトダイオード30S)に集光される光L2のばらつきを抑制することができ、検出精度の低下を抑制することができる。
【0060】
また、光フィルタ7は、アレイ基板2と一体に形成されている。すなわち、光フィルタ7の第1遮光層71は、保護膜29の上に直接、接して設けられており、第1遮光層71と保護膜29との間に粘着層等の部材が設けられていない。光フィルタ7は、アレイ基板2上に直接、成膜され、パターニング等の工程が施されて形成されるので、光フィルタ7を別体でアレイ基板2に貼り合わせた場合に比べて、光フィルタ7の第1開口OP1、第2開口OP2及びレンズ78と、フォトダイオード30との位置精度を向上させることができる。ただし、これに限定されず、光フィルタ7は、接着層を介してアレイ基板2の保護膜29上に貼り合わされた、いわゆる外付けの光フィルタであってもよい。
【0061】
また、光フィルタ7は、第1遮光層71及び第2遮光層72を有する構成に限定されず、1層の遮光層で形成されていてもよい。フィルタ層73は、第1遮光層71と第1透光性樹脂層74との間に設けられているが、フィルタ層73の位置はこれに限定されない。フィルタ層73の位置は、光フィルタ7に要求される特性や製造プロセスに応じて適宜変更することができる。
【0062】
なお、図8では、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e、フィルタ層73の周縁側の端部73e、第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75e、第2遮光層72の周縁側の端部72eの形状を、あくまで模式的に示している。つまり、各端部72e、73e、74e、75e(側面)は、第3方向Dzに延在する構成に限定されず、それぞれ傾斜して形成されていてもよい。
【0063】
図9は、検出素子を示す平面図である。なお、図9では、図面を見やすくするために、検出素子3が有する複数のトランジスタ及び走査線、信号線等の各種配線を省略して示す。1つの検出素子3は、例えば、複数の走査線と、複数の信号線とで囲まれた領域で規定される。
【0064】
図9に示すように、フォトダイオード30は、複数の部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を有する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、三角格子状に配置される。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれに重畳して、図4に示すレンズ78-1、78-2、・・・、78-8、第1遮光層71の第1開口OP1及び第2遮光層72の第2開口OP2が設けられる。
【0065】
より具体的には、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、第2方向Dyに配列される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。部分フォトダイオード30S-6、30S-7、30S-8は、第2方向Dyに配列され、部分フォトダイオード30S-4、30S-5で構成される素子列と第1方向Dxに隣り合う。隣接する素子列間で、部分フォトダイオード30Sの第2方向Dyでの位置が、互い違いに配置される。
【0066】
部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8には、それぞれ、レンズ78-1、78-2、・・・、78-8から光L2が入射する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8は、電気的に接続され、1つのフォトダイオード30として機能する。つまり、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8のそれぞれが出力する信号が統合されて、フォトダイオード30から1つの検出信号が出力される。なお以下の説明では、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、・・・、30S-8を区別して説明する必要が無い場合には、単に部分フォトダイオード30Sと表す。
【0067】
部分フォトダイオード30Sは、それぞれi型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33を含む。i型半導体層31及びn型半導体層32は、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)である。p型半導体層33は、例えば、ポリシリコン(p-Si)である。なお、半導体層の材料は、これに限定されず、ポリシリコン、微結晶シリコン等であってもよい。
【0068】
n型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層33は、p-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32及びp型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0069】
また、図9では、p型半導体層33とi型半導体層31(n型半導体層32)とが接続された実効的なセンサ領域37を一点鎖線で示している。第1遮光層71の第1開口OP1は、センサ領域37と重畳して設けられる。
【0070】
部分フォトダイオード30Sは、平面視で、それぞれ異なる形状を有する。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、それぞれ、多角形状で形成される。また、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8は、それぞれ、円形状又は半円形状で形成される。
【0071】
第2方向Dyに配列された部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のn型半導体層32は、連結部CN1-1、CN1-2により電気的に接続される。部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33は、連結部CN2-1、CN2-2により電気的に接続される。
【0072】
また、部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のn型半導体層32(i型半導体層31)は、基部BA1により電気的に接続される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8のp型半導体層33は、基部BA2により電気的に接続される。基部BA1、基部BA2は、略五角形状に形成され、頂点の位置に部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8が設けられる。基部BA2と、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3のp型半導体層33とは、連結部CN2-3により電気的に接続される。これにより、1つのフォトダイオード30を構成する複数の部分フォトダイオード30Sが電気的に接続される。
【0073】
下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sのそれぞれと重なる領域に設けられる。下部導電層35は、いずれも平面視で円形状である。つまり、下部導電層35は、部分フォトダイオード30Sと異なる形状であってもよい。例えば、部分フォトダイオード30S-1、30S-2、30S-3は、平面視で多角形状であり、円形状の下部導電層35の上に形成される。部分フォトダイオード30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8は、平面視で、下部導電層35よりも小さい径を有する円形状又は半円形状であり、円形状の下部導電層35の上に形成される。下部導電層35には、p型半導体層33と同じ基準電位VCOMが供給され、下部導電層35とp型半導体層33との間の寄生容量を抑制することができる。
【0074】
上部導電層34は、複数の部分フォトダイオード30Sのn型半導体層32を電気的に接続する。上部導電層34は、アレイ基板2の各トランジスタ(図示は省略する)と電気的に接続される。上部導電層34は、どのように設けられていてもよく、例えば、部分フォトダイオード30Sの一部を覆っていてもよいし、部分フォトダイオード30Sの全体を覆って設けられていてもよい。
【0075】
本実施形態では、複数のレンズ78及び複数の第1開口OP1ごとに部分フォトダイオード30Sが設けられている。これにより、フォトダイオード30が、平面視で検出素子3の全体を覆うように四角形状等のベタ膜で形成された構成に比べて、複数のレンズ78及び複数の第1開口OP1に重畳しない領域での半導体層や配線層を削減できるので、フォトダイオード30の寄生容量を抑制することができる。
【0076】
なお、図9に示すフォトダイオード30の平面構造は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。1つのフォトダイオード30が有する部分フォトダイオード30Sの数は、7個以下でもよいし、9個以上でもよい。部分フォトダイオード30Sの配置は、三角格子状に限定されず、例えば、マトリクス状に配置されていてもよい。また、光フィルタ7が有する複数のレンズ78、第1開口OP1及び第2開口OP2の配置も、部分フォトダイオード30Sの構成に応じて適宜変更できる。
【0077】
図10は、図9のX-X’断面図である。なお、図10では、部分フォトダイオード30S-1の断面構成とともに、検出素子3が有するトランジスタMrstの断面構成を示している。
【0078】
基板21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板、又はポリイミド等の樹脂基板が用いられる。ゲート電極64は、基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23は、ゲート電極64を覆って基板21の上に設けられる。絶縁膜22、23及び絶縁膜24、25、26は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)等である。
【0079】
半導体層61は、絶縁膜23の上に設けられる。半導体層61は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層61は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。トランジスタMrstは、ゲート電極64が半導体層61の下側に設けられたボトムゲート構造であるが、ゲート電極64が半導体層61の上側に設けられたトップゲート構造でもよく、ゲート電極64が半導体層61の上側及び下側に設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0080】
半導体層61は、チャネル領域61aと、高濃度不純物領域61b、61cと、低濃度不純物領域61d、61eと、を含む。チャネル領域61aは、例えば、ノンドープの真性半導体又は低不純物領域であり、高濃度不純物領域61b、61c及び低濃度不純物領域61d、61eよりも低い導電性を有する。チャネル領域61aは、ゲート電極64と重なる領域に設けられる。
【0081】
絶縁膜24、25は、半導体層61を覆って絶縁膜23の上に設けられる。ソース電極62及びドレイン電極63は、絶縁膜25の上に設けられる。ソース電極62は、コンタクトホールH5を介して半導体層61の高濃度不純物領域61bと接続される。また、ドレイン電極63は、コンタクトホールH3を介して、半導体層61の高濃度不純物領域61cに接続される。ソース電極62及びドレイン電極63は、例えば、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTi又はTiAlの積層膜で構成されている。
【0082】
ゲート線GLsfは、ソースフォロワトランジスタMsfのゲートに接続される配線である。ゲート線GLsfは、ゲート電極64と同層に設けられる。ドレイン電極63(接続配線SLcn)は、絶縁膜22から絶縁膜25を貫通するコンタクトホールを介してゲート線GLsfに接続される。
【0083】
次に、フォトダイオード30の断面構成について説明する。図10では、部分フォトダイオード30S-1について説明するが、部分フォトダイオード30S-1についての説明は、他の部分フォトダイオード30S-2、・・・、30S-8にも適用できる。図10に示すように、下部導電層35は、ゲート電極64及びゲート線GLsfと同層に基板21の上に設けられる。絶縁膜22及び絶縁膜23は、下部導電層35の上に設けられる。フォトダイオード30は、絶縁膜23の上に設けられ、下部導電層35は、基板21と、p型半導体層33との間に設けられる。下部導電層35が、ゲート電極64と同じ材料で形成されることで遮光層として機能し、下部導電層35は、フォトダイオード30への基板21側からの光の侵入を抑制できる。
【0084】
第3方向Dzで、i型半導体層31は、p型半導体層33とn型半導体層32との間に設けられる。本実施形態では、絶縁膜23の上に、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の順に積層されている。図9に示した実効的なセンサ領域37は、i型半導体層31とp型半導体層33とが接続された領域である。
【0085】
具体的には、p型半導体層33は、半導体層61と同層に、絶縁膜23の上に設けられる。絶縁膜24、25、及び、26は、p型半導体層33を覆って設けられる。絶縁膜24及び絶縁膜25は、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH13が設けられる。絶縁膜26は、トランジスタMrstを含む複数のトランジスタを覆って絶縁膜25の上に設けられる。絶縁膜26は、コンタクトホールH13の内壁を構成する絶縁膜24及び絶縁膜25の側面を覆う。また、絶縁膜26には、p型半導体層33と重なる位置にコンタクトホールH14が設けられる。
【0086】
i型半導体層31は、絶縁膜26の上に設けられ、絶縁膜24から絶縁膜26を貫通するコンタクトホールH14を介してp型半導体層33と接続される。n型半導体層32は、i型半導体層31の上に設けられる。
【0087】
絶縁膜27は、フォトダイオード30を覆って絶縁膜26の上に設けられる。絶縁膜27は、フォトダイオード30及び絶縁膜26に直接、接して設けられる。絶縁膜27は、感光性アクリル等の有機材料からなる。絶縁膜27は、絶縁膜26よりも厚い。絶縁膜27は、無機絶縁材料に比べ、段差のカバレッジ性が良好であり、i型半導体層31及びn型半導体層32の側面を覆って設けられる。
【0088】
上部導電層34は、絶縁膜27の上に設けられる。上部導電層34は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。上部導電層34は、絶縁膜27の表面に倣って設けられ、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH1を介してn型半導体層32と接続される。また、上部導電層34は、絶縁膜27に設けられたコンタクトホールH2を介してトランジスタMrstのドレイン電極63及びゲート線GLsfと電気的に接続される。
【0089】
絶縁膜28は、上部導電層34を覆って絶縁膜27の上に設けられる。絶縁膜28は、無機絶縁膜である。絶縁膜28は、フォトダイオード30への水分の侵入を抑制する保護層として設けられる。重畳導電層36は、絶縁膜28の上に設けられる。重畳導電層36は、例えばITO等の透光性を有する導電材料である。なお、重畳導電層36は、なくてもよい。
【0090】
保護膜29は、重畳導電層36を覆って絶縁膜28の上に設けられる。保護膜29は、有機保護膜である。保護膜29は、検出装置1の表面を平坦化するように形成される。
【0091】
本実施形態では、フォトダイオード30のp型半導体層33及び下部導電層35が、各トランジスタと同層に設けられるので、フォトダイオード30を各トランジスタと異なる層に形成した場合に比べて製造工程を簡略化できる。
【0092】
なお、図10に示すフォトダイオード30の断面構成は、あくまで一例である。これに限定されず、例えば、フォトダイオード30は、各トランジスタと異なる層に設けられていてもよく、絶縁膜26の上にp型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の順に積層されて設けられてもよい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態の検出装置1は、検出領域AAを有する基板21(アレイ基板2)と、検出領域AAに設けられた複数のフォトダイオード30と、複数のフォトダイオード30を覆って設けられた第1透光性樹脂層74と、第1透光性樹脂層74の上に設けられ、複数のフォトダイオード30のそれぞれに重畳する領域に第2開口OP2が設けられた第2遮光層72と、第2遮光層72を覆って設けられた第2透光性樹脂層75と、第2透光性樹脂層75の上に設けられ、複数のフォトダイオード30のそれぞれに重畳して設けられた複数のレンズ78と、を有する。基板21(アレイ基板2)の周縁側で、第2透光性樹脂層75は、第2遮光層72の周縁側の端部72eを覆って設けられる。
【0094】
これによれば、光フィルタ7は、アレイ基板2の周縁側で、少なくとも第2遮光層72の周縁側の端部72eと、第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eとの位置がずれるように第2遮光層72、第1透光性樹脂層74、第2透光性樹脂層75が積層される。これにより、アレイ基板2の周縁側で、各端部72e、75eが一致して各層が形成された場合に比べて、急峻な段差が形成されず、全体として、アレイ基板2の周縁側での段差形状がなだらかに形成される。
【0095】
すなわち、各端部72e、75eが一致して各層が形成された場合に比べて、少なくとも第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eでの形状ばらつきが抑制される。この結果、第2遮光層72及び複数のレンズ78を塗布形成する際に、端部75eの形状ばらつきに起因する、光学素子(第2遮光層72(第2開口OP2)及び複数のレンズ78)の形状の不均一が生じることを抑制することができる。
【0096】
図11は、変形例4に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0097】
図11に示すように、変形例4に係る検出装置1A及び光フィルタ7Aでは、第1遮光層71の周縁側の端部、フィルタ層73の周縁側の端部73e、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2遮光層72の周縁側の端部72eが重なって形成される。第2透光性樹脂層75は、第1遮光層71の周縁側の端部、第2遮光層72の周縁側の端部72e、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及びフィルタ層73の周縁側の端部73eを覆って設けられる。第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、アレイ基板2の上に接する。
【0098】
第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eには、段差75sが形成される。段差75sは、アレイ基板2の表面と、第1遮光層71、フィルタ層73、第1透光性樹脂層74及び第2遮光層72とで形成される段差が転写して形成される。
【0099】
アレイ基板2の周縁側で、各端部72e、73e、74e、75eが一致して各層が形成された場合に比べて、アレイ基板2の周縁側で第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eの段差形状がなだらかに形成される。これにより、複数のレンズ78を塗布形成する際に、端部75eの形状ばらつきに起因する複数のレンズ78の形状の不均一が生じることを抑制することができる。
【0100】
図12は、変形例5に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。図12に示すように、変形例5に係る検出装置1B及び光フィルタ7Bでは、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、傾斜して形成される。より詳細には、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、なだらかな曲線形状を有して形成される。
【0101】
第2遮光層72は、第1透光性樹脂層74の平坦な領域に設けられる。第2遮光層72の周縁側の端部72eは、フィルタ層73の周縁側の端部73e及び第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74eよりも検出領域AA側に位置する。
【0102】
第2透光性樹脂層75は、フィルタ層73の周縁側の端部73e、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2遮光層72の周縁側の端部72eを覆って設けられる。複数のレンズ78は、第2透光性樹脂層75の平坦な領域に設けられる。
【0103】
変形例5に係る第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、例えば、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いて形成することができる。あるいは、形状の異なる複数の透光性樹脂層を繰り返し塗布形成することで、端部74e、75eを傾斜して形成することもできる。
【0104】
図13は、変形例6に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。図13に示すように、変形例6に係る検出装置1C及び光フィルタ7Cでは、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eには、それぞれ複数の段差74s、75sが形成される。第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、それぞれ階段状に形成される。
【0105】
具体的には、第2透光性樹脂層75の複数の段差75sは、第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eから、少なくとも第1上面75a、第1側面75b、第2上面75c及び第2側面75dが繋がって形成される。段差75sの高さ(例えば、第3方向Dzでの第1上面75aと第2上面75cとの距離)は、段差75sの幅(例えば、第1方向Dxでの第1側面75bと第2側面75dとの距離)よりも小さい。一例として、段差75sの高さは5μm程度であり、段差75sの幅は40μm程度である。また、第2透光性樹脂層75の複数の段差75sについて説明したが、複数の段差75sについての説明は、第1透光性樹脂層74の複数の段差74sにも適用できる。これにより、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eが、なだらかに形成される。
【0106】
変形例5(図12)と同様に、第2遮光層72は、第1透光性樹脂層74の、段差74sが形成されない平坦な領域に設けられる。また、複数のレンズ78は、第2透光性樹脂層75の段差75sが形成されない平坦な領域に設けられる。
【0107】
変形例6に係る第1透光性樹脂層74の複数の段差74s及び第2透光性樹脂層75の複数の段差75sは、例えば、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いて形成することができる。あるいは、形状の異なる複数の透光性樹脂層を繰り返し塗布形成することで、段差74s、75sを形成することもできる。
【0108】
なお、図13はあくまで模式的に示しており、各段差74s、75sは、それぞれの上面がなだらかに傾斜してもよく、あるいは曲線状に形成されていてもよい。
【0109】
図14は、変形例7に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。図14に示すように、変形例7に係る検出装置1D及び光フィルタ7Dでは、複数のフォトダイオード30と第1透光性樹脂層74との間に設けられた保護膜29(図5参照)が、検出領域AAからアレイ基板2の周縁側の端部まで連続して形成される。アレイ基板2の周縁側で、保護膜29の上に、第1遮光層71、フィルタ層73、第1透光性樹脂層74、第2遮光層72及び第2透光性樹脂層75が積層される。第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eは、保護膜29の上に設けられる。
【0110】
変形例7では、保護膜29(有機保護膜)が設けられているので、ハーフトーンマスクやグレートーンマスクを用いて段差74s、75sを形成する際に、現像液が第1透光性樹脂層74及びフィルタ層73の下に侵入することを抑制することができる。したがって、第1透光性樹脂層74及びフィルタ層73の剥離を抑制することができる。
【0111】
なお、変形例7では、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e及び第2透光性樹脂層75の周縁側の端部75eに、それぞれ複数の段差74s、75sが形成される構成について説明した。ただし、これに限定されず、変形例7は、上述した実施形態及び変形例4、変形例5にも適用することができる。
【0112】
図15は、変形例8に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。図15に示すように、変形例8に係る検出装置1E及び光フィルタ7Eでは、上述した実施形態及び変形例4から変形例7に比べて、フィルタ層73の厚さTH4が厚く形成される。
【0113】
フィルタ層73の厚さTH4は、第2遮光層72の厚さTH5よりも厚く形成される。また、第1透光性樹脂層74の厚さTH1とフィルタ層73の厚さTH4との合計の厚さを確保するように、第1透光性樹脂層74の厚さTH1が薄く形成される。第1透光性樹脂層74の厚さTH1とフィルタ層73の厚さTH4との合計の膜厚(TH1+TH4)に対するフィルタ層73の厚さTH4の比率は、50%以下程度である。
【0114】
変形例8では、フィルタ層73の厚さTH4を厚くすることで、第1透光性樹脂層74の厚さTH1とフィルタ層73の厚さTH4との合計の膜厚(すなわち、光フィルタ7Eの光学特性で規定される、第3方向Dzでの第1遮光層71と第2遮光層72との距離)を確保しつつ、第1透光性樹脂層74の厚さTH1を薄くすることができる。したがって、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74eの段差を小さくすることができる。このため、第1透光性樹脂層74の上に形成される第2遮光層72の第2開口OP2の形状安定性を向上させることができる。
【0115】
図16は、変形例9に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す断面図である。図16に示すように、変形例9に係る検出装置1F及び光フィルタ7Fでは、上述した実施形態及び変形例4から変形例8に比べて、第2遮光層72の厚さTH5が厚く形成される。
【0116】
第2遮光層72の厚さTH5は、フィルタ層73の厚さTH4よりも厚く形成される。また、第1透光性樹脂層74の厚さTH1と第2遮光層72の厚さTH5との合計の厚さを確保するように、第1透光性樹脂層74の厚さTH1が薄く形成される。第2遮光層72の厚さTH5を厚く形成した場合であっても、第2透光性樹脂層75の厚さTH2(すなわち第3方向Dzでのレンズ78と第2遮光層72との距離)が確保される。
【0117】
第2遮光層72の厚さTH5を厚く形成した分、第1透光性樹脂層74の厚さTH1を薄くできるので、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74eの段差を小さくすることができる。このため、第1透光性樹脂層74の上に形成される第2遮光層72の第2開口OP2の形状安定性を向上させることができる。また、第2遮光層72の厚さTH5が厚く形成されるので、第2遮光層72の膜厚ばらつきを相対的に小さくすることができる。
【0118】
図17は、変形例10に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す平面図である。図17に示すように、変形例10に係る検出装置1G及び光フィルタ7Gでは、平面視で、第1透光性樹脂層74の周縁側の隅部及び第2透光性樹脂層75の周縁側の隅部には、面取り部NTが形成される。面取り部NTは、第1方向Dx及び第2方向Dyと交差する斜め方向に延在し、第1方向Dxに延びる端部74e、75eと第2方向Dyに延びる端部74e、75eとを接続する。
【0119】
図18は、変形例11に係る、周辺領域の光フィルタを模式的に示す平面図である。図18に示すように、変形例11に係る検出装置1H及び光フィルタ7Hでは、平面視で、第1透光性樹脂層74の周縁側の隅部及び第2透光性樹脂層75の周縁側の隅部には、面取り部RCが形成される。面取り部RCは、曲線状に形成され、第1方向Dxに延びる端部74e、75eと第2方向Dyに延びる端部74e、75eとをなめらかに接続する。
【0120】
変形例10、11では、第1方向Dxに延びる端部74e、75eと第2方向Dyに延びる端部74e、75eとが直角に接続されて隅部が形成された場合に比べて、面取り部NT、RCを設けることにより、第1透光性樹脂層74の周縁側の隅部及び第2透光性樹脂層75の周縁側の隅部での、段差の形状のばらつきを抑制することができる。
【0121】
なお、図17図18では、第1透光性樹脂層74の周縁側の隅部及び第2透光性樹脂層75の周縁側の隅部の両方に、面取り部NT又は面取り部RCが形成される構成を示したがこれに限定されない。第1透光性樹脂層74の周縁側の隅部及び第2透光性樹脂層75の周縁側の隅部の少なくとも一方に面取り部NT又は面取り部RCが形成されてもよい。また、第2遮光層72及びフィルタ層73にも面取り部NT又は面取り部RCが形成されている。ただし、第2遮光層72及びフィルタ層73には面取り部NT又は面取り部RCが形成されていなくてもよい。
【0122】
変形例10又は変形例11の構成は、上述した実施形態及び変形例1から変形例9の構成と組み合わせることができる。
【0123】
図19は、変形例12に係る、マザー基板を模式的に示す平面図である。図20は、図19のXX-XX’断面図である。図19に示すように、マザー基板105は、複数のセンサ領域106を有する。複数のセンサ領域106は、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。複数のセンサ領域106は、分割ライン108、109に沿って個片に分割された場合に、それぞれ検出装置1(アレイ基板2)として形成される予定の領域である。つまり、マザー基板105は、基板21から光フィルタ7及び突出部PS(図5参照)までの積層構造が形成され、複数のトランジスタ、各種配線及びフォトダイオード30を含む。
【0124】
図20に示すように、第1方向Dxで隣り合う複数のセンサ領域106において、第1遮光層71、第2遮光層72及びフィルタ層73は、センサ領域106ごとに設けられ、分割ライン108と重なる領域には形成されない。
【0125】
第1透光性樹脂層74は、第1方向Dxで隣り合う複数のセンサ領域106に亘って設けられ、分割ライン108と重なる領域に溝部74gが形成される。第2透光性樹脂層75は、複数のセンサ領域106ごとに設けられ、溝部74gの内壁を覆う。第2透光性樹脂層75は、少なくとも分割ライン108と重なる領域に形成されない。本変形例では、溝部74gが設けられているので、分割ライン108でのマザー基板105の良好な切断性を確保することができる。また、分割ライン108で切断することで形成される、第1透光性樹脂層74の周縁側の端部74e(例えば図15参照)の段差を小さくすることができる。
【0126】
なお、図20では、分割ライン108と交差する断面図(第2方向Dyから見た断面図)を示したが、分割ライン109と交差する断面でも同様の構成である。すなわち、溝部74gは、分割ライン108、109に沿って格子状に設けられる。
【0127】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0128】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 検出装置
2 アレイ基板
3 検出素子
7、7A、7B、7C、7D、7E、7F、7G、7H 光フィルタ
10 センサ部
21 基板
29 保護膜
30 フォトダイオード
30S、30S-1、30S-2、30S-3、30S-4、30S-5、30S-6、30S-7、30S-8 部分フォトダイオード
71 第1遮光層
72 第2遮光層
73 フィルタ層
74 第1透光性樹脂層
75 第2透光性樹脂層
78、78-1、78-2、78-6、78-8 レンズ
AA 検出領域
GA 周辺領域
OP1 第1開口
OP2 第2開口
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20