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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-31
(45)【発行日】2024-11-11
(54)【発明の名称】メガネ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20241101BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20241101BHJP
【FI】
H04R1/00 327Z
H04R1/02 107
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023513206
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(86)【国際出願番号】 CN2020139697
(87)【国際公開番号】W WO2022134103
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 金波
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 浩▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】松崎 孝大
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-76189(JP,U)
【文献】特開平8-65781(JP,A)
【文献】特開平8-298694(JP,A)
【文献】国際公開第2006/028045(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/099707(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/105180(WO,A1)
【文献】特表2012-510218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的に接続されたリム及びテンプルを含むメガネ本体と、
振動信号を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンと、を含み、
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リム又は前記テンプルと物理的に接続され、前記リム、前記テンプル又はユーザの身体からの振動信号を受信し、
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、振動ユニットと、前記振動ユニットを装着するためのハウジング構造と、音響トランスデューサと、を含み、
前記振動信号は前記ハウジング構造により前記振動ユニットに伝達され、
前記振動ユニットの振動は、前記振動ユニットと前記音響トランスデューサとの間の音響キャビティにおいて、音圧変化を引き起こし、
前記音響トランスデューサは、前記音圧変化を電気信号に変換するように構成されており、
前記振動ユニットは、前記リム又は前記テンプルと前記ユーザの身体とが接触する接触面に対して平行に設置されている、ことを特徴とするメガネ。
【請求項2】
ユーザが前記メガネを着用しているとき、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、ユーザの身体と接触しない、ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リムとユーザの身体との接触位置に近づくように位置付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載のメガネ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記テンプルとユーザの身体との接触位置に近づくように位置付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載のメガネ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リムと前記テンプルとの接続箇所に近づく、ことを特徴とする請求項2に記載のメガネ。
【請求項6】
前記骨伝導マイクロフォンの振動ユニットは、1軸加速度センサー又は多軸加速度センサーである、ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項7】
前記テンプルは、第1テンプル及び第2テンプルを含み、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォン及び少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンを含み、
前記少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォンは、第1テンプルに位置付けられ、前記少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンは、前記第2テンプルに位置付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項8】
前記テンプルは、ユーザと直接的に接触する接触面を含み、前記接触面と人体との間の圧力は、0.1Nより大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リム又は前記テンプルと弾性的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載のメガネ。
【請求項10】
ユーザが着用するとき、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記ユーザの身体と接触することにより、前記ユーザの身体の振動信号を受信する、ことを特徴とする請求項に記載のメガネ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンの振動ユニットは、前記リム又は前記テンプルと前記ユーザの身体との接触面に対して平行に設置される、ことを特徴とする請求項に記載のメガネ。
【請求項12】
前記テンプル又は前記リムには、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンを装着する装着キャビティが形成されている、ことを特徴とする請求項に記載のメガネ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンと、前記装着キャビティのキャビティ側壁とは、弾性素子により接続される、ことを特徴とする請求項12に記載のメガネ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンと、前記装着キャビティとの間に弾性層が設置されている、ことを特徴とする請求項12に記載のメガネ。
【請求項15】
前記リム又は前記テンプルの表面から突出している突出構造を更に含み、
前記接触面は前記突出構造の面である、請求項9に記載のメガネ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の分野に関し、特に骨伝導マイクロフォンを含むメガネに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のマイクロフォンは、空気伝導を利用した上、開放式に属し、良い音質を得ることができるが、外部の背景音源を遮断することができず、騒々しい環境での会話の場合、環境雑音を濾過することができず、使用者に大きな不便をもたらす。空気伝導マイクロフォンと比べて、骨伝導マイクロフォンは、人体と直接的又は間接的に接触するため、骨伝導の方式で使用者の発話時の振動を検出し、耐雑音能力が高い。しかしながら、現在、多くの骨伝導マイクロフォンは、適用範囲が制限され、着用しにくいという問題があり、これに対して、本願は、骨伝導マイクロフォンが集積されたメガネを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本願の一実施例に係るメガネは、物理的に接続されたリム及びテンプルを含むメガネ本体と、振動信号を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンとを含み、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リム又は前記テンプルと物理的に接続され、前記リム、前記テンプル又はユーザの身体からの振動信号を受信する。
【0004】
いくつかの実施例では、ユーザが前記メガネを着用しているとき、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、ユーザの身体と接触しない。
【0005】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リムとユーザの身体との接触位置に近づくように位置付けられる。
【0006】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記テンプルとユーザの身体との接触位置に近づくように位置付けられる。
【0007】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リムと前記テンプルとの接続箇所に近づく。
【0008】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リム又は前記テンプルと前記ユーザの身体とが接触する接触面に対して平行に設置された振動ユニットを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンの振動ユニットは、1軸加速度センサー又は多軸加速度センサーである。
【0010】
いくつかの実施例では、テンプルは、第1テンプル及び第2テンプルを含み、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォン及び少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンを含み、前記少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォンは、第1テンプルに位置付けられ、前記少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンは、前記第2テンプルに位置付けられる。
【0011】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォン及び前記少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンは、いずれも骨伝導ワイヤレスマイクロフォンである。
【0012】
いくつかの実施例では、テンプルは、ユーザと直接的に接触する接触面を含み、前記接触面と人体との間の圧力は、0.1Nより大きい。
【0013】
いくつかの実施例では、接触面と人体との間の圧力は、0.2Nより大きい。
【0014】
いくつかの実施例では、接触面と人体との間の圧力は、0.6Nより大きい。
【0015】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記リム又は前記テンプルと弾性的に接続される。
【0016】
いくつかの実施例では、ユーザが着用するとき、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンは、前記ユーザの身体と接触することにより、前記ユーザの身体の振動信号を受信する。
【0017】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンの振動ユニットは、前記リム又は前記テンプルと前記ユーザの身体との接触面に対して平行に設置される。
【0018】
いくつかの実施例では、前記テンプル又は前記リムには、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンを装着する装着キャビティが形成されている。
【0019】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンと、前記装着キャビティが位置するキャビティ側壁とは、弾性素子により接続される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンと、前記装着キャビティとの間に弾性層が設置されている。
【0021】
本願は、例示的な実施例の方式でさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号が同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本願のいくつかの実施例に係るメガネの例示的な概略構成図である。
図2】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの異なる装着位置での例示的な周波数応答曲線図である。
図3】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの装着位置の例示的な概略構成図である。
図4】本願の別のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの装着位置の例示的な概略構成図である。
図5】本願の別のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの装着位置の例示的な概略構成図である。
図6】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの例示的な概略構成図である。
図7】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの異なる圧力での例示的な周波数応答曲線図である。
図8】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの周波数応答曲線図である。
図9】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンが雑音信号及び音声信号を受信する場合の周波数応答図である。
図10】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンがユーザの身体と接触する場合の例示的な構成図である。
図11】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの音声信号の例示的な処理フローチャートである。
図12】本願のいくつかの実施例に係る音声モデルをトレーニングする場合の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は、単に本願のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似のシナリオに適用することができる。特に言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を示す。
【0024】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」が、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0025】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈を通して明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むように提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、他のステップ又は要素も含む可能性がある。
【0026】
本願では、フローチャートを使用して本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序に従って正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを、逆の順序で、又は同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらの過程に追加してもよく、これらの過程から1つ以上の操作を除去してもよい。
【0027】
図1は、本願のいくつかの実施例に係るメガネの例示的な概略構成図である。
【0028】
図1に示すように、メガネは、メガネ本体10及び少なくとも1つの骨伝導マイクロフォン20を含んでもよい。メガネ本体10は、リム11、テンプル12などの部品を含んでもよい。いくつかの実施例では、メガネ本体10は、近視鏡、遠視鏡、サングラス、3Dメガネ、VR(Virtual Reality、仮想現実)/AR(Augmented Reality、拡張現実)メガネなどの様々な種類のメガネを含んでもよく、本願では、これを具体的に限定しない。
【0029】
いくつかの実施例では、リム11とテンプル12とは、例えば、ヒンジ接続、係着、溶接、一体成形などの接続方式により物理的に接続されてもよく、例えば、テンプル12とリム11とがヒンジ接続の方式で接続される場合、テンプル12は、リム11とテンプル12との接続箇所を軸心として回動することにより、リム11に対して折り畳み状態又は展開状態となる。また、例えば、テンプル12とリム11とがヒンジ接続又は係着の方式で接続される場合、テンプル12をリム11に対して取り外すことにより、ユーザによるリム11へのメンテナンス又は交換を容易にすることができる。さらに、例えば、リム11とテンプル12とが溶接又は一体成形の方式で接続される場合、リム11及びテンプル12が一定の動作状態を有し、折り畳み又は展開の操作を行わなくてもよい。いくつかの実施例では、テンプル12は、伸縮構造(図1では図示せず)を含んでもよく、ユーザが該メガネを着用しているときに該伸縮構造によりテンプル12の長さを調整することができるため、テンプル12が異なるユーザの間の頭部形状の差に適応することができる。本明細書の実施例では、伸縮構造とは、長さを調整することができる能力を有する構造であってもよい。例えば、いくつかの実施例では、伸縮構造は、伸縮ロッドの構造であってもよい。
【0030】
骨伝導マイクロフォン20は、振動信号を電気信号に変換することができるピックアップ装置(すなわち、音声収集装置)である。振動信号とは、ユーザが話すときに、ユーザの身体部位が振動することにより生じられる信号であってもよい。理解を容易にするために、骨伝導マイクロフォンを、振動により伝達される骨伝導音には敏感であるが、空気により伝達される空気伝導音には敏感ではないマイクロフォン装置として理解することができる。骨伝導マイクロフォン20は、メガネ本体10、例えば、テンプル12又はリム11のある部位に設置されてもよい。いくつかの実施例では、ユーザが該メガネを着用しているとき、該骨伝導マイクロフォン20は、人体と直接的に接触しなくてもよく、ユーザが話すときに生じる振動信号(例えば顔の振動)は、まず、リム11及び/又はテンプル12に伝達され、次に、リム11及び/又はテンプル12により骨伝導マイクロフォン20に伝達され、骨伝導マイクロフォンは、さらに該人体振動信号を、音声情報を含む電気信号に変換する。いくつかの実施例では、ユーザが該メガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォン20は、人体と直接的に接触してもよく、ユーザが話すときに生じる振動信号は、骨伝導マイクロフォン20に直接的に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、テンプル12又はリム11は、内部に中空構造を含んでもよく、骨伝導マイクロフォン20に関連する制御回路又は信号伝達回路は、上記中空構造内に設置されてもよい。
【0031】
続いて、図1を参照して、いくつかの実施例では、メガネは、スピーカアセンブリ30をさらに含んでもよい。スピーカアセンブリ30は、音響情報を携帯している電気信号を音響に変換するために用いられてもよい。いくつかの実施例では、スピーカアセンブリ30は、ヒンジアセンブリ40によりテンプル12に接続され得る骨伝導スピーカであってもよい。図1に示すように、骨伝導スピーカは、テンプル12の末端(すなわち、リム11から離れた一端)に例示的に接続されてもよく、ユーザが該メガネを着用しているとき、骨伝導スピーカは、ユーザの耳の裏面に貼り合せ、骨伝導の方式で音響をユーザに伝達することができる。ヒンジアセンブリ40は、接続ワイヤ41をさらに含んでもよい。接続ワイヤ41は、電気的接続作用及び/又は機械的接続作用を有する接続部材であってもよい。いくつかの代替的な実施例では、スピーカアセンブリ30は、テンプル12の任意の位置に装着され得る空気伝導スピーカであってもよい。好ましくは、空気伝導スピーカは、テンプル12の中間部に装着されてもよく、ユーザが該メガネを着用しているとき、空気伝導スピーカは、ユーザの耳道に向かう1つ以上の音導孔により、空気伝導の方式で音響をユーザに伝達することができる。いくつかの実施例では、スピーカアセンブリ30に関連する制御回路又は信号伝達回路は、テンプル12の内部の中空構造内に設置されてもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、ユーザがメガネを着用しているときに人体が一般的にテンプル12又はリム11と直接的に接触することを考慮して、メガネ本体10と骨伝導マイクロフォン20とが剛結合される場合、骨伝導マイクロフォン20が人体と直接的に接触しなくても、メガネ本体10(例えば、リム11、テンプル12)により、ユーザが話すときの振動信号を骨伝導マイクロフォン20に効果的に伝達することができる。したがって、骨伝導マイクロフォン20を、メガネ本体10の、ユーザの身体と接触しない位置に設置し、剛結合の方式で骨伝導マイクロフォン20とメガネ本体10とを接続してもよい。本明細書における剛結合は、粘着、溶接又は一体成形などの固定接続方式を含んでもよく、係着、ボルト接続などの取り外し可能な接続方式であってもよく、接続方式は、具体的な状況に応じて適切に調整されてもよく、本明細書においてさらに限定しない。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20は、リム11又はテンプル12の外面又は内部に位置付けられてもよい。例えば、いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20は、リム11の外面に位置付けられる場合、リム11又はテンプル12の、ユーザの身体から離れた側の側壁に位置付けられてもよい。また、例えば、骨伝導マイクロフォン20は、リム11又はテンプル12の、ユーザの身体に向かう側の側壁領域に位置付けられてもよく、該側壁領域からユーザの身体までの距離は、骨伝導マイクロフォン20の高さ(又は厚さ)より大きい。さらに、例えば、いくつかの実施例では、リム11又はテンプル12は、骨伝導マイクロフォン20を収容できる装着キャビティ(図1では図示せず)を含んでもよく、骨伝導マイクロフォン20は、該装着キャビティから延出してもよく、延出しなくてもよく、このような方式により、ユーザがメガネを着用していときに骨伝導マイクロフォン20がユーザの身体と接触しないことを満たすことができる。
【0033】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの異なる装着位置での周波数応答曲線図である。図2に示すように、中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)では、骨伝導マイクロフォンがメガネ本体(例えば、テンプル又はリム)とユーザの身体との接触位置に近づく(図2に示される「接触位置に近づく」)ように位置付けられる場合に受信された振動信号は、骨伝導マイクロフォンがメガネ本体とユーザの身体との接触位置から離れる(図2に示される「接触位置から離れる」)ように位置付けられる場合に受信された振動信号より明らかに大きい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンが受信した振動信号の品質を向上させるために、骨伝導マイクロフォンは、メガネ本体とユーザの身体との接触位置に近づくように位置付けられてもよい。
【0034】
いくつかの実施例では、骨伝導信号の伝達効果を確保するために、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォンを、リムとユーザの身体との接触位置に近づくように設置してもよい。具体的には、図3に示すように、いくつかの実施例では、上記リム11は、人体と接触する鼻パッド111部分を含んでもよい。鼻パッド111部分とは、ユーザがメガネを着用しているとき、リム11がユーザの鼻に突き当たる構造であってもよい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20は、鼻パッド111の付近に設置されてもよい。理解できるように、ユーザが該メガネを着用しているときに該リムの鼻パッド部分が人体と直接的に接触しているため、ユーザが話すか又は身体振動を生じるときに生じた振動信号をリムの鼻パッド部分により骨伝導マイクロフォン20に直接的に伝達することができる。いくつかの実施例では、ユーザがメガネを着用しているとき、リム11は、ユーザの身体(例えば、眼の周囲)に当接してもよく、さらに、リム11がユーザの眼の周囲の皮膚を覆うことができ、この場合、骨伝導マイクロフォン20を直接的にリム11に設置し、ユーザが話すか又は身体振動を生じるときに生じた振動信号を直接的にリム11により骨伝導マイクロフォン20に伝達することができる。
【0035】
いくつかの実施例では、振動信号の伝達効果を向上させるために、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォン20を、テンプルとユーザの身体との接触位置に近づくように設置してもよい。図4に示すように、ユーザがメガネを着用しているとき、該メガネのテンプル12の、リム11から離れた位置は、一般的に人体と直接的に接触する。例えば、ユーザがメガネを着用しているとき、テンプル12とユーザの身体との接触位置とは、テンプルのこめかみに近づく部分から耳に近づく部分までの部分領域121であってもよい。また、例えば、テンプル12とユーザの身体との接触位置は、テンプルがリム11から離れた屈曲領域122であってもよく、ユーザがメガネを着用しているとき、該屈曲領域122は、一般的にユーザの耳介の上方に位置付けられる。いくつかの実施例では、テンプル12により骨伝導マイクロフォン20に伝達される振動信号の品質を向上させるために、少なくとも1つの骨伝導マイクロフォン20を、テンプルのこめかみに近づく部分から耳に近づく部分までの部分領域121又はテンプルの屈曲領域122に近づく位置に設置してもよい。
【0036】
図5に示すように、いくつかの実施例では、テンプル12の人体との接触位置に近づく空間及びリム11の人体との接触位置に近づく空間がいずれも制限されていることを考慮して、骨伝導マイクロフォン20をリム11とテンプル12との接続箇所の付近に設置することにより、骨伝導マイクロフォン20がリム11とテンプル12から振動信号を同時に受信することができるため、いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20を、リム11とテンプル12との接続箇所に近づくように設置してもよい。
【0037】
なお、いくつかの実施例では、リム11とテンプル12との接続方式及びリム11又はテンプル12の弾性強度に応じて骨伝導マイクロフォン20の装着位置を決定してもよい。例えば、リム11とテンプル12との間の接続強度が低く、かつテンプル12又はリム11自体の弾性強度が小さいと、骨伝導マイクロフォン20をリム11と人体との接触位置又はテンプル12と人体との接触位置に近づくように装着することにより、骨伝導マイクロフォン20に伝達された人体振動信号の品質を確保することができる。本明細書におけるリム11とテンプル12との間の接続強度とは、リム及びテンプルの接続後に耐えられる引張強度、屈曲荷重、圧縮荷重又は捩り荷重などの性能であってもよい。骨伝導マイクロフォン20の装着位置に関する上記説明は、例示的なものに過ぎず、骨伝導マイクロフォンの装着位置は、図3図4及び図5に示される位置に限定されず、本願の明細書の実施例では、骨伝導マイクロフォンの装着位置は、以上に挙げられたいくつかの状況を含んでもよいが、それらに限定されず、例えば、リム11とテンプル12とが緊密に接続され、かつテンプル12とリム11自体の弾性強度が大きい場合、骨伝導マイクロフォンの位置を任意に設定しても、骨伝導マイクロフォンが良好な振動信号を受信することを保証することができる。
【0038】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの例示的な概略構成図である。
【0039】
図6に示すように、いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20は、ハウジング構造210、音響トランスデューサ240及び振動ユニット220を含んでもよい。骨伝導マイクロフォン20の形状は、直方体、円柱体又はその他の規則的な構造体或いは不規則な構造体であってもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造210と音響トランスデューサ240は、物理的に接続され、ハウジング構造210と音響トランスデューサ240は、骨伝導マイクロフォン20のパッケージ構造と見なすことができる。いくつかの実施例では、本明細書における物理的な接続は、溶接、係着、粘着又は一体成形などの接続方式を含んでもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造210及び音響トランスデューサ240は、第1音響キャビティ230を有するパッケージ構造を囲み、振動ユニット220は、該パッケージ構造の第1音響キャビティ230内に位置付けられてもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット220は、第1音響キャビティ230を第2音響キャビティ231及び第3音響キャビティ232に仕切る。第3音響キャビティ232は、音響トランスデューサ240と音響的に連通する。いくつかの実施例では、第2音響キャビティ231は、音響的に封止されたキャビティ構造であってもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、振動ユニット220は、質量素子222及び弾性素子221を含んでもよい。いくつかの実施例では、質量素子222は、弾性素子221によりハウジング構造210に接続されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子221は、質量素子222の音響トランスデューサ240から離れた側に位置付けられてもよく、弾性素子221は、一端がハウジング構造210に接続され、他端が質量素子222に接続される。他の実施例では、弾性素子221は、さらに質量素子222の周側に位置付けられてもよく、弾性素子221の内側は、質量素子222の周側に接続され、弾性素子221の外側又は音響トランスデューサ240から離れた側は、ハウジング構造210に接続される。いくつかの実施例では、質量素子222は、さらに弾性素子221により音響トランスデューサ240に接続されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子221は、円管状、角管状、異形管状、環状、平板状などであってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子の材料は、弾性変形を発生させる能力を有する材料、例えば、シルカゲル、金属、ゴムなどであってもよい。本明細書の実施例では、弾性素子221がハウジング構造210よりも弾性変形しやすいため、振動ユニット220は、ハウジング構造210に対して相対的な移動が発生してもよい。
【0041】
骨伝導マイクロフォン20は、外部振動信号を電気信号に変換してもよい。いくつかの実施例では、外部振動信号は、人が話すときの振動信号、皮膚が人体運動などの原因で生じた振動信号及び骨伝導マイクロフォン20と接触する物体(例えば、リム又はテンプル)が生じた振動信号など或いはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0042】
骨伝導マイクロフォン20が動作するとき、外部振動信号は、ハウジング構造210により振動ユニット220に伝達されてもよく、振動ユニット220は、ハウジング構造210の振動に応答して振動する。振動ユニット220の振動位相がハウジング構造210及び音響トランスデューサ240の振動位相と異なるため、振動ユニット220の振動は、第3音響キャビティ232の体積変化を引き起こし、さらに第3音響キャビティ232の音圧変化を引き起こすことができる。音響トランスデューサ240は、第3音響キャビティ232の音圧変化を検出し、かつ電気信号に変換することができる。いくつかの実施例では、音響トランスデューサ240は、振動板(図6では図示せず)を含んでもよく、第3音響キャビティ232の音圧が変化することにより、第3音響キャビティ232の内部の空気が振動して振動板に作用し、すなわち振動板が変形し、音響トランスデューサ240により振動板の振動信号を電気信号に変換する。
【0043】
いくつかの実施例では、上記骨伝導マイクロフォン20の振動ユニット220は、上記リム又は上記テンプルとユーザの身体とが接触する接触面に対して平行に設置されてもよい。例えば、骨伝導マイクロフォン20がリム又はテンプルの内側(すなわちリム又はテンプルの人体とは反対の側面)又は外側に位置付けられるとき、振動ユニット220は、人体(皮膚)に垂直な方向に沿って振動することができる。人体とテンプル又はリムとの接触により人体に垂直な方向の振動を伝達することができるため、いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20の振動ユニット220を、上記リム又は上記テンプルとユーザの身体とが接触する接触面に対して平行に設置することにより、人体からの振動信号を効果的に収集して、骨伝導マイクロフォンの感度を向上させることができる。他の実施例では、骨伝導マイクロフォン20の振動ユニット220は、上記リム又は上記テンプルとユーザの身体とが接触する接触面に対して平行に設置されなくてもよい。例えば、骨伝導マイクロフォン20がリム又はテンプルの上側側壁又は下側側壁に位置付けられるとき、骨伝導マイクロフォン20は、振動ユニット220を有する一側がリム又はテンプルに接続されることにより、リム又はテンプルの振動信号を効果的に受信することができる。
【0044】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン20の振動ユニット220は、1軸加速度センサー又は多軸加速度センサー(例えば、3軸加速度センサー)を含んでもよい。いくつかの実施例では、多軸加速度センサーにより収集された複数の方向での振動信号のうちの最も強いものを骨伝導マイクロフォンの入力信号として選択してもよい。好ましくは、いくつかの実施例では、多軸加速度センサーにより複数の方向で収集された振動信号を重み付け加算することにより、より強い入力信号を取得してもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、メガネは、複数の骨伝導マイクロフォン20を含んでもよい。いくつかの実施例では、該複数の骨伝導マイクロフォン20は、それぞれ、メガネ本体10(例えば、リム又はテンプル)の異なる位置に設置されてもよい。例えば、いくつかの実施例では、メガネ本体10は、第1テンプル及び第2テンプルを含んでもよく、該複数の骨伝導マイクロフォンは、少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォン及び少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンを含んでもよく、少なくとも1つの第1骨伝導マイクロフォンは、第1テンプルに設置されてもよく、少なくとも1つの第2骨伝導マイクロフォンは、第2テンプルに設置されてもよい。いくつかの実施例では、第1テンプルに設置された複数の第1骨伝導マイクロフォン及び第2テンプルに設置された複数の第2骨伝導マイクロフォンは、それぞれ、アレイ状に配置されてもよい。なお、上記第1骨伝導マイクロフォン及び第2骨伝導マイクロフォンの数及びタイプは、同じであってもよく、異なってもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、第1テンプルに設置された複数の第1骨伝導マイクロフォン及び第2テンプルに設置された第2骨伝導マイクロフォンは、異なる向きを有してもよく、例えば、一部の骨伝導マイクロフォンの振動ユニットの振動方向は、人体(皮膚)に垂直な方向に沿って設置されてもよく、一部の骨伝導マイクロフォンの振動ユニットの振動方向は、人体に垂直な方向と一定の夾角を有してもよい。このように、異なる骨伝導マイクロフォンは、異なる方向での振動信号を収集することができる。いくつかの実施例では、複数の骨伝導マイクロフォンにより収集された信号から、信号対雑音比が最も大きい信号を目標信号として選択してもよい。なお、複数の骨伝導マイクロフォンの位置は、上記第1テンプル及び第2テンプルに限定されず、リムに位置付けられるか又はそれぞれリム又はテンプルに位置付けられてもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、複数の骨伝導マイクロフォンは、いずれも骨伝導ワイヤレスマイクロフォンであってもよく、該骨伝導マイクロフォンにより収集された音声信号は、無線通信ネットワークを介して他の電子機器に送信されてもよい。いくつかの実施例では、上記無線通信ネットワークは、ブルートゥース(登録商標)、赤外線、UWB(Ultra Wideband)などの無線通信方式のうちのいずれか一種を含んでもよい。
【0048】
図7は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの異なる圧力での例示的な周波数応答曲線図である。メガネ本体は、ユーザと直接的に接触する接触面、例えば、テンプルの内壁、リムの内壁、鼻パッドの内壁などを含んでもよい。いくつかの実施例では、メガネ本体の接触面とユーザの身体との間のクランプ力(圧力とも呼ばれる)を調整することにより、メガネ本体とユーザの身体との間の振動伝達効率を変更することができるため、メガネ本体の骨伝導マイクロフォンにより受信された振動信号の品質を変更する。図7に示すように、特定の周波数範囲において、骨伝導マイクロフォンとメガネ本体とが剛結合されるとき、骨伝導マイクロフォンが受信した振動信号は、メガネ本体(例えば、リム又はテンプル)と人体の皮膚との間のクランプ力の増大に伴って増加し、すなわち、骨伝導マイクロフォンが受信した振動信号は、メガネ本体と人体の皮膚との間のクランプ力と正の相関がある。本明細書における特定の周波数範囲とは、100Hz~1000Hz又は80Hz~800Hzであってもよく、該特定の周波数範囲は、具体的な状況に応じて選択でき、本明細書においてさらに限定しない。いくつかの実施例では、接触面と人体との間の圧力は、0.1Nより大きくてもよい。好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.2Nより大きくてもよい。さらに好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.4Nより大きくてもよい。より好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.6Nより大きくてもよい。より一層好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、1Nより大きくてもよい。いくつかの実施例では、メガネのサイズ(例えばテンプルの長さ、テンプルの間の相対距離)を調整することにより該接触面と人体の皮膚との間のクランプ力を調整することにより、メガネ本体が人体の振動信号を効果的に骨伝導マイクロフォンに伝達することを確保することができる。
【0049】
いくつかの実施例では、該接触面は、リム又はテンプルの部分領域の表面であってもよい。いくつかの実施例では、該接触面は、リム又はテンプルの表面から突出する構造(「突出構造」とも呼ばれる)の面であってもよく、該突出構造は、人体と接触して人体の振動信号を効果的に収集するための独立素子であってもよく、該素子は、テンプル又はリムと剛結合されるか又は一体成形されることにより、テンプル又はリムとの間に振動信号を伝達するときにもたらされるエネルギ損失を低減することができる。いくつかの実施例では、該突出構造の高さ(又は厚さ)又は弾性係数を調整することにより接触面とユーザの身体部位との間のクランプ力を調整し、さらに人体の振動信号の骨伝導マイクロフォンに伝達されるときの信号品質を調整することができる。
【0050】
いくつかの実施例では、ユーザは、該メガネを着用しているときに上記リム、テンプル又は突出構造の接触面と人体の皮膚との相対位置を調整することにより該接触面と人体の皮膚との間のクランプ力を変更し、さらに人体の振動信号の骨伝導マイクロフォンに伝達されるときの信号品質を調整することができ、換言すれば、骨伝導マイクロフォンの信号収集の効果を調整することができる。
【0051】
なお、上記クランプ力に関する数値は、単に例示的に説明されたものであり、本願において、該接触面と人体の皮膚との間のクランプ力は、上記数値を含むことができるが、それらに限定されない。例えば、いくつかの実施例では、該クランプ力は、0.3N、0.5N、0.7N、0.8N、1.2Nなどであってもよく、本明細書においてこれを具体的に限定しない。
【0052】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンは、メガネのテンプル又はリムの、ユーザの身体と接触する側に位置付けられてもよい。ユーザが該メガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンは、ユーザの身体と接触することにより、ユーザの身体、テンプル又はリムの振動信号を効果的に受信することができる。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンは、さらに、テンプル又はリムの構造の内部に位置付けられてもよく、例えば、いくつかの実施例では、テンプル又はリムに骨伝導マイクロフォンを装着するための装着キャビティが形成されてもよく、骨伝導マイクロフォンは、該装着キャビティ内に位置付けられてもよい。骨伝導マイクロフォンのテンプル又はリムから離れた一端は、テンプル又はリムの表面から突出してもよく、すなわち、骨伝導マイクロフォンの一端が該装着キャビティから伸び出すことにより、ユーザがメガネを着用しているときに骨伝導マイクロフォンと接触することができる。骨伝導マイクロフォンをテンプル又はリムの装着キャビティに設置することにより、一方では、メガネの体積を減少させ、メガネの美観を向上させることができる。他方では、外部の雑音信号による、骨伝導マイクロフォンにより収集された信号への影響を低減することもできる。
【0053】
いくつかの実施例では、テンプル又はリムの振動には、雑音信号(例えば、外部空気中の雑音がテンプル又はリムの振動を駆動する)を含む可能性があり、骨伝導マイクロフォンで受信された雑音信号を減少させるために、骨伝導マイクロフォンは、一端がテンプル又はリムに弾性的に接続され、他端がユーザが該メガネを着用しているときにユーザの身体と直接的に接触してもよい。このような状況で、ユーザがメガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンは、ユーザの身体と直接的に接触することにより、ユーザが話すときにその身体が発する振動信号を直接的に収集することができ、骨伝導マイクロフォンは、該振動信号に基づいて対応する電気信号を生成することができ、該電気信号は、処理された後に電子機器に伝達される。また、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間に弾性的な接続方式が用いられるため、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間の接続を減少させることより、テンプル又はリムが伝達する雑音振動信号を減少させることができる。
【0054】
骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとが弾性的な接続方式で接続される場合、テンプル又はリムの振動と、骨伝導マイクロフォンが受信した振動との間の関係を以下の式(1)に示す。
【0055】
【数1】
【0056】
式中、Lは、骨伝導マイクロフォンが受信した振動であり、Lは、テンプル又はリムの振動であり、kは、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間の接続弾性強度であり、mは、骨伝導マイクロフォンの質量であり、cは、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間の接続減衰であり、ωは、角周波数である。
【0057】
図8は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの周波数応答曲線図である。図8に示すように、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間に弾性的な接続方式が用いられる場合、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムとの間の弾性層又は弾性素子が一定の柔軟性を有するため、骨伝導マイクロフォンの共振ピークが相対的に低い周波数(例えば、400Hz~800Hz)に位置し、この時に高周波数範囲(例えば、1000Hzより大きい周波数範囲)内にある振動信号に比べて、骨伝導マイクロフォンは、低周波数範囲(例えば、共振ピーク周波数より小さい範囲)内にある振動信号に対してより高い感度を有する。このような状況で、骨伝導マイクロフォンは、外部雑音による中高周波振動の影響を受けにくいが、人体が骨伝導マイクロフォンに伝達した低周波信号(すなわち、有効音声信号)に対して高い応答性を有し、骨伝導マイクロフォンの信号対雑音比が効果的に向上する。また、弾性層又は弾性素子の存在で骨伝導マイクロフォンの共振ピークの値を効果的に低下させることにより、骨伝導マイクロフォンの周波数応答曲線が平坦となるため、骨伝導マイクロフォンが収集した音声信号に歪みの問題が発生しないことを保証する。
【0058】
いくつかの実施例では、テンプル又はリムに骨伝導マイクロフォンを装着するための装着キャビティが形成されてもよく、該装着キャビティは、リム又はテンプルの内部に位置付けられてもよい。いくつかの実施例では、テンプル又はリムは、突出構造を含んでもよく、該突出構造に骨伝導マイクロフォンを装着するための装着キャビティを形成することより、ユーザがメガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンがユーザの身体と接触することができる。図9は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンが雑音信号及び音声信号を受信する場合の周波数応答図である。図9に示すように、骨伝導マイクロフォンが受信した音声信号のうち、中低周波(例えば、100Hz~1000Hz)信号が多く、高周波(例えば、2000Hz~8000Hz)信号が少なく、骨伝導マイクロフォンは、雑音信号を均一に受信し、受信された雑音信号は、明らかな周波数特徴を有していない。音声信号は、主に人体の振動信号を伝達し、人体の振動信号は、中低周波にあるものが多く、高周波で徐々に減衰し、信号源としてリムにいくつかの共振を形成することにより、いくつかの高周波数帯域(例えば、2500Hz~4000Hz)にピークとバレーが現れる。雑音信号は、主に外部雑音で伝達する空気伝導信号であり、これらの空気伝導信号の受信機は、メガネの構造(例えば、リム、レンズ又はテンプルなど)に相当し、空気伝導信号に対応する波長は、人体の振動信号の波長より小さいため、受信された雑音信号のうち、中高周波信号が多く、低周波信号が少ない。装着キャビティは、骨伝導マイクロフォンから外部雑音を遮断し、骨伝導マイクロフォンの信号対雑音比を向上させることができる。
【0059】
図9から分かるように、中低周波数帯域(例えば、1000Hz未満)では、骨伝導マイクロフォンが受信した音声信号の雑音信号に対する信号対雑音比が高く、すなわち、低周波数帯域では、骨伝導マイクロフォンが受信した雑音信号は、基本的に音声信号の品質に影響を与えない。いくつかの実施例では、装着キャビティは、物理的に遮音して、テンプル又はリムから伝達された中高周波(例えば、1000Hz~2000Hzより大きい)及び高周波(例えば、2000Hzより大きい)の雑音信号を遮断するために用いられ、装着キャビティの物理的遮音により骨伝導マイクロフォンの中高周波での信号対雑音比を向上させることができる。ここで、物理的遮音とは、骨伝導マイクロフォンが外部の特定の周波数帯域(例えば、1000Hzより大きい)の雑音信号を受信することを減少させることである。さらに、ユーザがメガネを着用しているとき、ユーザの身体がテンプル又はリムと緊密に接触することにより、装着キャビティの内部の骨伝導マイクロフォンを外部から遮断することができ、骨伝導マイクロフォンを装着キャビティ内に設置して骨伝導マイクロフォンと空気との間の接触を減少させることにより、空気が直接的に伝達した雑音信号を減少させることができる。
【0060】
いくつかの実施例では、物理的遮音では、骨伝導マイクロフォンをユーザの身体と直接的に接触させ、骨伝導マイクロフォンをテンプル又はリムと弾性的に接続する必要がある。メガネは、構造が独立した骨伝導マイクロフォンの装着キャビティを有する需要を満たすことができるのに十分に大きな空間を有する。具体的には、骨伝導マイクロフォンは、テンプルの内側に配置され、ユーザの身体と直接的に接触することができる。さらに、装着キャビティという解決手段は、また他のシーン、例えば、イヤーマフ式イヤホンに適用することができる。イヤーマフ式イヤホンの空間が大きく、複数の箇所がユーザの身体と直接的に接触するため、効果的に遮音し、良好な骨伝導信号を収集することができる。
【0061】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンとテンプル又はリムの接触面或いは装着キャビティのキャビティ側壁との間に弾性層が設置されることにより、骨伝導マイクロフォンとテンプル、リム又は装着キャビティのキャビティ側壁との間の弾性接続が実現される。いくつかの実施例では、弾性層の一側がテンプル、リム又は装着キャビティのキャビティ側壁に固定的に接続され、弾性層の他側が骨伝導マイクロフォンに取り外し可能に接続されることにより、骨伝導マイクロフォンのメンテナンス及び交換を容易にすることができる。また、ユーザは、自身の状況に応じて骨伝導マイクロフォンとユーザの身体との間の圧力を調整して、骨伝導マイクロフォンが受信した振動信号の品質を向上させることができる。いくつかの実施例では、本明細書における固定的な接続方式は、粘着、溶接、嵌着などの方式を含んでもよいが、それらに限定されず、取り外し可能な接続方式は、スナップ接続、ねじ接続などを含んでもよいが、それらに限定されない。
【0062】
本明細書における弾性層とは、外力の作用を受けて弾性変形する構造であってもよい。いくつかの実施例では、弾性層の材料は、スポンジ、ゴム、シルカゲル、プラスチック、フォームなど又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、プラスチックは、高分子ポリエチレン、ブロー成形ナイロン、エンジニアリングプラスチックなど又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。ゴムとは、同様の性能を達成することができる他の単一材料又は複合材料であってもよく、汎用型ゴム及び特殊用途向けゴムを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、汎用型ゴムは、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴムなど又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、特殊用途向けゴムは、ニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリスルフィドゴム、ポリウレタンゴム、ヒドリンゴム、アクリルゴム、プロピレンオキシドゴムなど又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、それらに限定されない。スチレンブタジエンゴムは、乳化重合スチレンブタジエンゴム及び溶液重合スチレンブタジエンゴムを含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、複合材料は、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、黒鉛繊維、繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維又はアラミド繊維などの補強材料を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0063】
図10は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンがユーザの身体と接触する場合の例示的な構成図である。図10に示すように、いくつかの実施例では、メガネ本体1000(例えば、リム又はテンプル)の内部には、骨伝導マイクロフォン1020を装着するための装着キャビティ1030が形成されてもよく、骨伝導マイクロフォン1020は、ユーザの身体1010と直接的に接触してもよく、骨伝導マイクロフォン1020は、弾性素子(又は弾性層)1040により装着キャビティ1030のキャビティ側壁に弾性的に接続されてもよい。理解されるように、弾性素子(又は弾性層)1040が骨伝導マイクロフォン1020を圧迫することにより、骨伝導マイクロフォンがユーザの身体に貼り合わせることができる。いくつかの実施例では、弾性素子(又は弾性層)1040を調整することにより、骨伝導マイクロフォンの接触面と人体との間の圧力を調整することができる。いくつかの実施例では、接触面と人体との間の圧力は、0.1Nより大きくてもよい。好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.2Nより大きくてもよい。さらに好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.4Nより大きくてもよい。より好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、0.6Nより大きくてもよい。より一層好ましくは、接触面と人体との間の圧力は、1Nより大きくてもよい。
【0064】
ユーザがメガネを着用して話すと、骨伝導マイクロフォン1020とユーザの身体とが接触する接触面(例えば、顔の皮膚)に振動が生じられ、骨伝導マイクロフォン1020は、該接触面からの振動信号を受信し、該振動信号を対応する電気信号に変換することができる。また、弾性素子(又は弾性層)1040は、骨伝導マイクロフォン1020とメガネ本体1000との間に緩衝の作用を果たして、メガネ本体1000の振動が骨伝導マイクロフォン1020に与える影響を効果的に弱め、すなわちメガネ本体1000の振動雑音が骨伝導マイクロフォン1020に与える影響を効果的に弱めることができる。
【0065】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン1020の振動ユニットは、メガネ本体1000(テンプル又はリム)とユーザの顔との接触面に対して平行に設置されてもよい。具体的には、ユーザがメガネを着用して話すと、ユーザの顔は、主に皮膚の表面に垂直な振動を生じる。骨伝導マイクロフォン1020の振動ユニットをユーザの顔の接触面と平行に設置する場合、骨伝導マイクロフォン1020の振動ユニットの振動方向がユーザの顔の振動方向と平行となるため、振動ユニットは、ユーザの身体からの振動信号を効果的に受信する。振動ユニットの具体的な内容については、本願の図6及びその関連説明を参照することができる。
【0066】
図11は、本願のいくつかの実施例に係るメガネの骨伝導マイクロフォンの音声信号処理フローチャートである。図11に示すように、いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンの音声信号(電気信号)を処理するとき、骨伝導マイクロフォンの音声信号に対して音声区間検出(VAD)処理を行うことにより、アルゴリズム全体の雑音低減処理を容易にする。例えば、音声区間検出では、雑音付きの音声信号から音声信号の開始点及び終了点を正確に位置決めし、さらに雑音を干渉信号としてオリジナルデータから除去することができる。ユーザがメガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンの使用可能な周波数帯域は、概ね20Hz~5000Hzであり、骨伝導マイクロフォンの音声信号は、音声信号処理のアルゴリズム全体に対してより全面的なVAD情報を提供することにより、アルゴリズム全体の雑音低減性能を向上させることができる。いくつかの実施例では、メガネは、さらに空気伝導マイクロフォンを含んでもよい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンの低周波信号と空気伝導マイクロフォンの高周波信号とを接合することにより、アルゴリズム全体の耐雑音性能を向上させることができる。例えば、従来の骨伝導マイクロフォンの音声信号に対して使用可能な周波数帯域は、約20Hz~1200Hzであり、この場合、従来の骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号との接合点は、1000Hz程度であってもよい。本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンとメガネとの結合に基づいて、骨伝導マイクロフォンの使用可能な周波数帯域は、約20Hz~5000Hzであり、ここで骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号との接合点としてより高い周波数を選択することにより、アルゴリズム全体の耐雑音性能を向上させることができる。いくつかの実施例では、さらに骨伝導マイクロフォンの音声信号を処理(例えば、骨伝導音質処理)した後に、直接的に最終的な音声信号としてもよい。現在、骨伝導マイクロフォンの音声信号を直接的に最終的な音声信号として出力することにある問題は、主に使用可能な骨伝導マイクロフォンの音声信号の周波数帯域範囲が小さいことである。例えば、完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の骨伝導音声信号の使用可能な周波数帯域は、約20Hz~1500Hzである。また、骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号との音質が異なり、骨伝導マイクロフォンの音声信号を使用すると、最終的に出力された音響の音質が大幅に低下してしまう。本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンとメガネとの結合により、骨伝導マイクロフォンの音声信号の使用可能な周波数範囲を拡大することができ、メガネの骨伝導マイクロフォンの使用可能な周波数帯域は、約20Hz~5000Hzに達することができ、該周波数帯域は、音声信号の大部分の周波数帯域を含み得る。いくつかの実施例では、本願におけるメガネの骨伝導マイクロフォンと空気伝導マイクロフォンの音声信号とを比較して、比較結果に基づいて骨伝導音質処理のパラメータ(例えば、EQ)を調整することにより、骨伝導マイクロフォンの音質が良くないという問題を解決することができる。又は好ましくは、骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号とを関連付けるニューラルネットワークにより、骨伝導マイクロフォンの音声信号をそれに対応する空気伝導マイクロフォンの音声信号に変換することができ、骨伝導マイクロフォンの音質低下の問題を解決することもできる。いくつかの実施例では、上記ニューラルネットワークのトレーニングは、各ユーザに基づいて単独で行われてもよい。ユーザが骨伝導マイクロフォンを有するメガネを着用しているとき、EQが調整されるか又はニューラルネットワークにより変換された後の骨伝導マイクロフォンの音質は、空気伝導マイクロフォンの音質と近接する。なお、上記各実施例における骨伝導マイクロフォンの音声信号及び空気伝導マイクロフォンの音声信号に対して、いずれも雑音低減モジュールにより雑音低減処理を行うことができる。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンの音声信号及び/又は空気伝導マイクロフォンの音声信号は、周波数スペクトルエイリアシング装置により処理されてもよい。
【0067】
いくつかの実施例では、メガネの骨伝導マイクロフォンの音声信号を特定のシーンの識別信号とすることができる。例えば、環境雑音の大きいシーンでは、メガネの骨伝導マイクロフォンの音声信号を、キーワードを識別するためのスイッチ信号とすることができる。ユーザが常に雑音がある環境にあれば、マイクロフォン(例えば、骨伝導マイクロフォン、空気伝導マイクロフォン)をオン状態に保持する必要があり、対応するアルゴリズムもオン状態に保持する必要があり、この場合のマイクロフォンの消費電力が大きい。骨伝導マイクロフォンは、主にユーザが話すときにユーザの身体が振動する振動信号を受信し、外部環境の雑音が骨伝導マイクロフォンに与える影響が小さく、ここで骨伝導マイクロフォンの音声信号を音声識別スイッチとして使用することにより、外部雑音の影響を低減し、スイッチ機能をより正確にすることができる。
【0068】
いくつかの実施例では、メガネの骨伝導マイクロフォンの音声信号は、声紋識別に用いられてもよい。例えば、騒々しい環境において、メガネの骨伝導マイクロフォンは、主にユーザが話すときに身体が振動する振動信号を受信し、ユーザが骨伝導マイクロフォンを有するメガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンが使用する周波数帯域を20Hz~5000Hzに拡大することができ、該周波数帯域は、音声の大部分の周波数帯域を含み、ここで骨伝導マイクロフォンの音声信号を声紋識別の信号源として使用することにより、声紋識別の確率を向上させることができる。
【0069】
いくつかの実施例では、メガネの骨伝導マイクロフォンの音声信号は、音声識別に用いられてもよい。例えば、騒々しい環境において、特に周囲に多くの人の話しによる雑音がある条件下で、従来の空気伝導マイクロフォンの音声信号を音声識別に用いると、確率が低下する。この場合、骨伝導マイクロフォンの音声信号を音声識別の信号源として使用することができ、ある程度で外部雑音を遮蔽し、よりきれいな音声信号を得ることができる。ユーザが骨伝導マイクロフォンを有するメガネを着用しているとき、骨伝導マイクロフォンが使用できる周波数帯域を20Hz~5000Hzに拡大することができ、該周波数帯域は、音声の大部分の周波数帯域を含み、この場合、骨伝導マイクロフォンの音声信号に基づいて音声識別を行うと、確率もそれに応じて向上する。他の実施例では、さらに、音声識別の信号源として、骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号を組み合わせて使用してもよい。例えば、この場合の音声識別では、単独の骨伝導マイクロフォンの音声信号を使用する場合、骨伝導マイクロフォンの音声信号に関連する音声モデルを単独でトレーニングすることもできる。また例えば、音声識別では、骨伝導マイクロフォン及び空気伝導マイクロフォンの音声信号を使用する場合、骨伝導マイクロフォンの音声信号に関連する音声モデルを単独でトレーニングするか又は空気伝導マイクロフォンの音声信号に関連する音声モデルを単独でトレーニングするか、又は骨伝導マイクロフォンの音声信号と空気伝導マイクロフォンの音声信号に関連する音声モデルを同時にトレーニングすることができる。図12に示すように、骨伝導マイクロフォンの音声信号(図12に示される「骨伝導信号」)に対してモデルトレーニングを行って、キーワードのトレーニングに用いることができる対応する音声モデルを取得し、音声モデルのトレーニングが完了した後、骨伝導信号に基づいてキーワードを識別して、骨伝導信号に対応する識別結果を取得することができる。
【0070】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0071】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0072】
また、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0073】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、説明のためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲は、単に、開示される実施例に限定されず、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせを含むように意図されることが理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0074】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない。
【0075】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」などによって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲に使用されている数値データは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値データについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用すべきである。本願のいくつかの実施例では、その範囲を決定するための数値範囲及びデータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0076】
最後に、本願に係る実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
10、1000 メガネ本体
11 リム
111 鼻パッド
12 テンプル
20、1020 骨伝導マイクロフォン
210 ハウジング構造
220 振動ユニット
221、1040 弾性素子
222 質量素子
230 第1音響キャビティ
231 第2音響キャビティ
232 第3音響キャビティ
240 音響トランスデューサ
30 スピーカアセンブリ
40 ヒンジアセンブリ
41 接続ワイヤ
1010 ユーザの身体
1030 装着キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12